JP4197296B2 - ランプロード装置及びそれを有するディスク装置 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、一般には、記録担体から外れた位置でヘッドを保持する機構に関する。本発明は、例えば、ハードディスクドライブ(以下、「HDD」という。)に好適である。
技術背景
【0002】
近年のインターネット等の急速な発達に伴い、利用される電子情報量は爆発的な勢いで増加している。このため、HDDに代表される磁気記録装置は大量の情報を保存しておくため、大容量化への要求がますます高まっている。
【0003】
HDDにおいては、典型的に、ヘッドを搭載したスライダがディスク上で浮上して記録再生動作を行う。ディスクの起動及び停止時のスライダとディスクとの関係(以下、「インターフェース」呼ぶ。)には、ディスク停止時及び回転開始時にスライダがディスクに接触するCSS(Contact Start Stop)方式と、スライダがディスクの停止時にディスクから退避してランプと呼ばれる保持部材に保持されるランプロード又はダイナミックロード方式が存在するが、従来のHDDのインターフェースはCSS方式を主に採用していた。
【0004】
ところが、CSS方式は、静止時及び滑走時の摩擦が大きくなるとクラッシュ(ディスクに傷をつけること)をもたらす。また、スライダとディスクは吸着しやすく、吸着を避けるためにディスク表面に微小な凹凸を形成するテクスチャ処理も必要となる。かかるテクスチャ処理はコストアップをもたらす上に、特に、近年の高記録密度によるスライダの浮上量の減少とそれに伴うディスク表面の平滑化の要請から困難になってきた。
【0005】
そこで、ランプロード方式が最近注目されている。ランプロード方式は、ディスクの回転開始時及び停止時のスライダとディスクとの非接触により、摩擦によるディスクの損傷や両者の吸着がない。また、テクスチャ処理も不要でヘッド浮上量も小さくできるという長所も有する。ランプロード方式においては、スライダを支持するサスペンションは、ランプに弾性力をもって当接しながらランプの摺動面を摺動し、スライダをディスクにロード及びアンロードする。
発明の開示
【0006】
しかし、ランプロード方式においては、典型的に、ランプは樹脂で、サスペンションは金属で形成されるために、スライダの摺動動作の繰り返しによって磨耗による磨耗粉が発生するという問題があった。かかる磨耗粉は、サスペンションに付着し、スライダがディスクにロードされる際にディスクに落下すると共に、ディスク上を移動するスライダにも付着する。磨耗粉はクラッシュの発生をもたらす惧れがあるために好ましくない。
【0007】
これに対して、ランプの磨耗を抑えるためにランプの材質を変更させる方法が提案されている。かかる方法によれば、例えば、ランプの形成条件、例えば、加圧条件や熱処理条件、が適当に変更される。しかし、かかる方法では磨耗粉の発生を防止するのに十分ではなかった。また、特開2000−132934号公報は、サスペンションを保持するランプのホームポジションに溝を設けて磨耗粉を除去する方法を提案している。しかし、同公報の溝による磨耗粉の除去では不十分であることを本発明者は発見した。
【0008】
そこで、本発明は、クラッシュの危険性を低減することによって安定した記録再生動作をもたらすランプロード装置並びにこれを有するドライブを提供することを例示的な目的とする。
【0009】
本発明の一側面としてのランプロード装置は、記録担体に記録又は再生を施すヘッドを支持するヘッド支持部を前記記録担体から離間した位置で保持する保持部と、前記ヘッドを前記記録担体上にロードする際と前記記録担体から前記ヘッドをアンロードする際に、前記ヘッド支持部が弾性的に当接して摺動する摺動部とを有し、前記摺動部は、前記ヘッド支持部に対向する凹凸状の摺動面を有して当該摺動面の凸部を介して前記ヘッド支持部と当接し、前記記録担体に向かって傾斜する傾斜部を有し、前記凸部は、前記ヘッド支持部と部分的に当接する幅を有し、前記凸部の位置は前記摺動面の幅方向と直交する長手方向に沿って変化し、前記ヘッド支持部が前記摺動部上を前記摺動面の長手方向に摺動すると、前記ヘッド支持部の前記凸部との当接位置が変化することを特徴とする。また、本発明の別の側面としてのドライブはかかるランプロード装置を有する。
【0010】
まず、本発明者は、平滑面を有する摺動部に弾性的に接触するヘッド支持部(ここでは後述するリフトタブ20)を摺動面上で繰り返し摺動させて磨耗粉の発生状態を観察する実験を行い、図10に示すような結果を得た。ここで、図10(a)は、100、000(100K)回の摺動動作後にヘッド支持部に付着する磨耗粉の量を示し、図10(b)、図10(c)はそれぞれ300K回、500K回のそれを示す。なお、同図のカラー写真は本出願に添付して提出する。各図は、舟形を有するヘッド支持部の底面図であり、中央の白い縦線部分は船底形状のヘッド支持部の底面であり、黒い部分は下から見たヘッド支持部の舟形側部である。また、中央の霞状の白い部分は磨耗粉である。同図から理解されるように、ヘッド支持部は、ほぼ一箇所で摺動部と接触して磨耗粉はヘッド支持部の当該箇所に集中的に蓄積される。
【0011】
この結果、磨耗粉の早く蓄積及び凝集して重量が増し、その後は記録担体に落下する。また、凝集した磨耗粉は大きさと重量が増すためにディスクから除去しにくい。これに対して本発明のランプロード装置は、ヘッド支持部上の、前記摺動部と接触する位置は変動するので、磨耗粉の蓄積はヘッド支持部で偏らない。この結果、ヘッド支持部上に磨耗粉の蓄積がその長手方向に(例えば、平坦に)分散され、磨耗粉は凝集せず落下しにくくなる。また落下してもかかる磨耗粉は小さく軽量であるため、凝集したものよりも悪影響が少ない。従って、ヘッド支持部上の一点に磨耗粉が集中する場合に比べて記録担体に落下する量は低減すると共に影響も少ない。上述した従来技術はいずれも一箇所に集中する磨耗粉をヘッド支持部の全体に分散させてならすという思想を開示しておらず、かかる作用は得られない。
【0012】
前記摺動部には潤滑剤が塗布されることが好ましい。これによって、磨耗粉の発生を低減することができる。潤滑剤には、例えば、ホンブリン系を使用することができる。
【0013】
ヘッド支持部上の凸部との接触位置を変動させるためには、凸部は同一の高さでも異なる高さでも、これらの組み合わせであってもよい。また、凸部の数は一つでもよいし複数でもよい。
【0014】
前記凹凸は複数の凸部から構成される場合には、ある凸部から別の凸部に前記ヘッド支持部が移動する際に異なる高さを移動するように前記複数の凸部の高さは決定されてもよい。ヘッド支持部が2つの凸部を移動する際に段差を経ればヘッド支持部に多少の衝撃が加わり、それに付着した磨耗粉がその間の凹部に落ち易くなるからである。
【0015】
必要があれば、前記摺動部は、前記ヘッド支持部の振動を防止するカバーを有し、前記カバーと前記摺動面との間に前記ヘッド支持部が配置される。これにより、凹凸面でヘッド支持部が振動したままディスクにスライダがロードされてスライダがディスクに衝突することを防止することができる。
【0016】
本発明の他の目的と更なる特徴は、以下、添付図面を参照して説明される実施例において明らかになるであろう。
図面の簡単な説明
【0017】
第図1は、本発明の一例としてのハードディスクドライブの内部構造を示す平面図である。
【0018】
第図2は、図1に示すハードディスクドライブのスライダの拡大斜視図である。
【0019】
第図3は、図1に示すハードディスクドライブのランプロード装置の斜視図である。
【0020】
第図4は、図1に示すハードディスクドライブのランプロード装置の平面図である。
【0021】
第図5は、図3に示すランプロード装置の摺動面の概略拡大斜視図である。
【0022】
第図6は、図5に示す摺動面の磁気ディスクに向かって右側の断面図、左側の断面図、及び、平面図である。
【0023】
第図7は、図3に示すランプロード装置の摺動面の変形例の概略拡大斜視図である。
【0024】
第図8は、図7に示す摺動面の磁気ディスクに向かって右側の断面図、左側の断面図、及び、平面図である。
【0025】
第図9は、図4に示すランプロード装置の変形例の平面図である。
【0026】
第図10は、従来のハードディスクドライブのリフトタブの摺動動作によって発生する磨耗粉の発生位置及び量と摺動回数との関係を示す写真である。
発明を実施するための最良の形態
【0027】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態としてのHDD1を説明する。HDD1は、図1に示すように、筐体12内に、記録担体としての一又は複数の磁気ディスク13と、スピンドルモータ14と、磁気ヘッド部と、ランプロード装置100とを収納する。ここで、図1は、HDD1の内部構造の概略平面図である。なお、本実施形態では磁気ディスク13の枚数は例示的に一枚である。
【0028】
筐体12は、例えば、アルミダイカストベースやステンレスなどから構成され、直方体形状を有し、内部空間を密閉する図示しないカバーが結合される。本実施形態の磁気ディスク13は高い面記録密度、例えば、100Gb/in2以上を有する。磁気ディスク13は、その中央に設けられた孔を介してスピンドルモータ14のスピンドルに装着される。
【0029】
スピンドルモータ14は、例えば、7200rpmや10000rpmなどの高速で磁気ディスク13を回転し、例えば、図示しないブラシレスDCモータとそのロータ部分であるスピンドルを有する。例えば、2枚の磁気ディスク13を使用する場合、スピンドルには、ディスク、スペーサー、ディスク、クランプと順に積まれてスピンドルと締結したボルトによって固定される。本実施形態と異なり、磁気ディスク13は中央孔を有さずにハブ有するディスクであってもよく、その場合、スピンドルはハブを介してディスクを回転する。
【0030】
磁気ヘッド部は、スライダ19と、スライダ19の位置決め及び駆動機構として機能するアクチュエータ21とを有する。
【0031】
スライダ19は、図2に示すように、略直方体に形成されるAl2O3−TiC(アルチック)製のスライダ本体22と、スライダ本体22の空気流出端に接合されて、読み出し及び書き込み用のヘッド23を内蔵するAl2O3(アルミナ)製のヘッド素子内蔵膜24とを備える。ここで、図2は、スライダ19の拡大斜視図である。スライダ本体22及びヘッド素子内蔵膜24には、磁気ディスク13に対向する媒体対向面、即ち、浮上面25が規定される。磁気ディスク13の回転に基づき生成される気流26は浮上面25に受け止められる。
【0032】
浮上面25には、空気流入端から空気流出端に向かって延びる2筋のレール27が形成される。各レール27の頂上面にはいわゆるABS(空気軸受け面)28が規定される。ABS28では気流26の働きに応じて浮力が生成される。ヘッド素子内蔵膜24に埋め込まれたヘッド23はABS28で露出する。なお、スライダ19の浮上方式はかかる形態に限られず、既知の動圧潤滑方式、静圧潤滑方式、ピエゾ制御方式、その他の浮上方式を適用することができる。本実施形態は、後述するように、停止時にスライダ19を磁気ディスク13から退避又はアンロードして磁気ディスク13の外側にあるランプロード装置100でスライダ19を磁気ディスク13と非接触に保持し、起動時に保持部から磁気ディスク13上に落下又はロードするダイナミックローディング又はランプロード方式を採用している。
【0033】
ヘッド23は、導電コイルパターン(図示せず)で生起される磁界を利用して磁気ディスク13に2値情報を書き込む誘導書き込みヘッド素子(以下、「インダクティブヘッド素子」という。)と、磁気ディスク13から作用する磁界に応じて変化する抵抗に基づき2値情報を読み取る磁気抵抗効果(以下、「MR」という。)ヘッド素子とを有するMRインダクティブ複合ヘッドである。MRヘッド素子は、(CIP(Current in Plane)構造を利用したGMR、CPP(Current Perpendicular to Plane)構造を利用したGMRを含む)GMR(巨大磁気抵抗:Giant Magnetoresistive)、TMR(Tunneling Magnetoresistive)、AMR(anisotropic Magnetoresistive)等種類を問わない。
【0034】
再び図1に戻って、アクチュエータ21は、図1には図示しないボイスコイルモータと、支軸15と、キャリッジ16とを有する。
【0035】
ボイスコイルモータには当業界で既知のいかなる技術をも適用することができ、ここでは詳しい構造の説明は省略する。例えば、ボイスコイルモータは、筐体12内に固定された鉄板に固定された永久磁石と、キャリッジ16に固定された可動磁石を有する。支軸15は、キャリッジ16に設けられた円筒中空孔に嵌合し、筐体12内に図1の紙面に垂直に延びるように配置される。
【0036】
キャリッジ16は、支軸15の周りに回転又は揺動可能に設けられる剛体のアーム17と、このアーム17の先端に取り付けられてアーム17から前方に延びるサスペンション18とを備える。サスペンション18は、例えば、ステンレス製のワトラス形サスペンションであり、図示しないジンバルばねによってスライダ19及びその先端のリフトタブ20を片持ち支持する。また、サスペンション18はスライダ19にリード線などを介して接続される配線部も支持する。配線部は小さいので図1では省略されている。かかるリード線を介して、ヘッド23と配線部との間でセンス電流、書き込み情報及び読み出し情報が供給及び出力される。スライダ19及びリフトタブ20には、磁気ディスク13の表面に抗して弾性力がサスペンション18から加えられている。
【0037】
リフトタブ20は、サスペンション18の中心軸に沿ってスライダ19から支軸15と反対方向に延びて、ランプロード装置100との係合部として機能する。リフトタブ20は、後述する摺動面160を摺動する舟形形状を有し、例えば、サスペンション18と一体で同一材料からなる。リフトタブ20は、ランプロード装置100を摺動することによって、スライダ19のロード及びアンロード動作を行う。即ち、リフトタブ20は、磁気ディスク13の駆動開始時にスライダ19をランプロード装置100から磁気ディスク13上へロードし、磁気ディスク13の駆動終了時にスライダ19を磁気ディスク13上からアンロードしてランプロード装置100に保持させる。
【0038】
図1、図3及び図4を参照するに、ランプロード装置100は、磁気ディスク13の外部又は最外周近傍に設けられる。ここで、図3及び図4は、それぞれ、ランプロード装置100の斜視図及び平面図である。本実施形態では、便宜上、一の磁気ディスク13に使用されるランプロード装置100を説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0039】
図3及び図4に示すように、ランプロード装置100は、筐体12の底壁に螺子などを介して固定される固定部110と、固定部110に結合して磁気ディスク13の外側に配置されたランプ120とを備えている。ランプ120は、固定部110に結合された基部122と、リフトタブ20を案内及び保持すると共にリフトタブ20と摺動可能に当接するガイド部124とを有する。ガイド部124の先端に形成されるU字形の溝126に磁気ディスク13の外周が部分的に挿入される。
【0040】
基部122は、リフトタブ20が振動して後述する保持部140から外れないように押さえるためのカバー130を備える。別の実施形態においては、図9に示すように、カバー130は、摺動面160上にも延在してリフトタブ20が凹凸状の摺動面160振動して摺動面160から外れないように押さえるカバー130Aに置換されてもよい。これにより、ランプロード装置100でリフトタブ20が振動したまま磁気ディスク13にスライダ19がロードされてスライダ19が磁気ディスク13に衝突することを防止することができる。ここで、図9は、図4に示すカバー130の変形例としての平面図である。
【0041】
ガイド部124は、保持部140と、摺動部150と、押え板190とを有する。なお、保持部140と後述する摺動面160はガイド部124の下側にも形成されているが、便宜上、上側のみを説明する。
【0042】
保持部140は、スライダ19を支持するリフトタブ20を保持する凹部であり、リフトタブ20にとってはランプ120におけるホームポジションである。保持部140の凹部の形状は、本実施形態では、両側のやや開いたU字形であるが、V字形、その他の形状であってもよい。
【0043】
摺動部150は、リフトタブ20が所定の弾性力をもって当接することができる高さに配置された摺動面160を有している。摺動面160は、図4に示すように、リフトタブ20が描く円弧状の軌跡に対応する所定幅の円弧形状を有し、平坦部162と傾斜部164とを有している。平坦部162は保持部140に接続し、磁気ディスク13の表面と平行に延びる。平坦部162から磁気ディスク13に向かって傾斜する傾斜部164は磁気ディスク13の外周近傍まで延びている。
【0044】
ランプロード装置100は、リフトタブ20が摺動部150上を摺動する際に、リフトタブ20が摺動部150と接触する、リフトタブ20上の位置を変動させる手段とを有する。かかる手段は、リフトタブ20上に蓄積される磨耗粉の蓄積がリフトタブ20上の一箇所に集中することを防止する。かかる手段は、リフトタブ20上で蓄積された磨耗粉をその長手方向に平坦にならす手段であってもよい。かかる手段により、磨耗粉はリフトタブ20の底面に広がって蓄積されるため、リフトタブ20の底面の各点で蓄積する磨耗粉の蓄積速度は一点で蓄積する場合のそれよりも遅くなる。リフトタブ20の底面の各点は、磨耗粉を保持可能な量及び重さを有し、それを超える磨耗粉は落下しやすくなる。しかし、本実施形態ではリフトタブ20の各点の磨耗粉が蓄積及び凝集する速度は遅く単位時間内に落下する量も減少する。
【0045】
本実施形態では、かかる手段は、摺動面160に形成された凹凸形状、より詳細には、凸部162のパターン、によって実現されているが、本発明はかかる態様に限定されるものではなく、リフトタブ20の摺動部150との接触位置を変動させる機械的、電気的、その他の手段を広く含む。例えば、摺動面160は平滑面に構成し、図9に示すように、カバー130Aを設け、カバー130Aのリフトタブ20と対向する底面にリフトタブ20と接触する一又は複数の凸部を分散させてもよい。かかる構成によれば、リフトタブ20が摺動面に印加する弾性力の方向を凸部が変化させるので、リフトタブ20が摺動面と接触する位置を変化させることができる。
【0046】
図5及び図6を参照するに、摺動面160には凸部170が形成されている。ここで、図5は、ランプロード装置100の摺動面160の概略拡大斜視図である。図6(a)は、ランプロード装置100の摺動面160の磁気ディスク13に向かって右側の断面図、図6(b)は磁気ディスク13に向かって左側の断面図、図6(c)は同平面図である。なお、図5及び図6は、便宜上、ガイド部124の摺動面160近傍のみを示している。
【0047】
本実施形態の凸部170は、例えば、数ミリの一定の幅を有して同一の高さを有する一本の波形を摺動面160に描いている。波形は、図6(c)に示すように、支軸15周りにリフトタブ20の任意の点が描く軌跡、即ち、支軸15周りの同心円に平行な軌跡Lと交差する。凸部170のパターンが軌跡Lと平行であれば、(凸部170の高さが一定であれば特に)リフトタブ20上の凸部170との接触位置は余り変動せず、磨耗粉がかかる接触位置に集中するおそれがあるからである。本実施形態では凸部170のパターンは波形上であるが、軌跡Lに対して摺動面160の幅方向Wに広がれば波形に限定されない任意の形状を採ることができる。
【0048】
本実施形態では、凸部170と共にその間に凹部又は溝172が形成され、リフトタブ20がその上を通過する際に溝172に磨耗粉が落下して磁気ディスク13に落下する量が低減するという長所も有する。凸部170は、ランプロード装置100を、例えば、ポリアセタールによって金型成形する際に同時に形成されてもよいし、別部材として射出成形、半だ、接着などによって形成してもよい。また、リフトタブ20の円滑な摺動を妨げない範囲で、布、スポンジその他の磨耗粉を吸着する材料を凸部170又は溝172に被覆又は配置して磨耗粉を除去してもよい。代替的に、摺動面160には潤滑剤が塗布されてもよい。これによって、磨耗粉の発生自体を低減することができる。潤滑剤には、例えば、ホンブリン系を使用することができる。
【0049】
次に、凸部170の変形例としての凸部170Aについて、図7及び図8を参照して説明する。ここで、図7は、凸部170Aを有する摺動面160の概略拡大斜視図である。図8(a)は、凸部170Aを有する摺動面160の、磁気ディスク13に向かって右側の断面図、図8(b)は磁気ディスク13に向かって左側の断面図、図8(c)は同平面図である。なお、図7及び図8も同様に、便宜上、ガイド部124の摺動面160近傍のみを示している。
【0050】
本実施形態の凸部170Aは、摺動面160の幅方向に異なる高さを有する、より具体的には、磁気ディスク13に向かって右側から左側に一定に増加する高さを有する複数の三角柱から構成される。このように、凸部170は異なる高さ、複数の部材から構成されてもよい。但し、凸部170が複数の部材から構成される場合、図8(a)に示すように、リフトタブ20が摺動面160上を移動する範囲に亘って、保持部140から磁気ディスク13に向かう方向Fに直交する直線W1と交差しなければならない。交差しなければリフトタブは凹部172Aに落ちてしまうからである。
【0051】
本実施形態も、凸部170Aと共にその間に凹部又は溝172Aが形成されているので、リフトタブ20がその上を通過する際に溝172Aに磨耗粉が落下し、磁気ディスク13に落下する量が低減するという長所を有する。
【0052】
但し、本実施形態では、直線W1で示す部分において、磁気ディスク13に向かって右端の凸部170Aにリフトタブ20がある状態から磁気ディスク13に向かって左端の凸部170Aにリフトタブ20が移行する。右端の凸部170Aの高さは図8(a)に示すように低く、左端の凸部170Aの高さは図8(b)に示すように高い。このような段差はリフトタブ20に衝撃を与えてその間の溝172Aに磨耗粉を落としやすくする。同様の目的で、2つの凸部170A間を移動する際にリフトタブ20の高さが常に下がるように凸部170Aの形状が決定されてもよい。例えば、ある凸部170は磁気ディスク13に向かって右側から左側に高さが増加し、それに隣接する凸部は磁気ディスク13に向かって左側から右側に高さが増加するなど、増加の方向を交互にするなどである。摩耗粉の大きさは、1〜数μm程度であるので、溝172Aの深さ及び幅を数百μm程度にすれば摩耗粉の除去には充分である。凸部170Aの幅は溝172Aと同じでも異なってもよいが、磨耗粉の発生には広すぎない幅が好ましい。
【0053】
押え板190は、ランプ120から突出し、角柱形状を有し、磁気ディスク13の表面と略平行な上面と下面とを有する。押え板190は、スライダ19の変動を抑える機能を有する
【0054】
HDD1は、図示しない制御系として、制御部、インターフェース、ハードディスクコントローラ(以下、「HDC」という。)、ライト変調部、リード復調部、ヘッドICを有する。制御部は、CPU、MPUなど名称の如何を問わずいかなる処理部を含み、制御系の各部を制御する。インターフェースは、例えば、HDD1を上位装置であるパーソナルコンピュータ(以下、「PC」という。)などの外部装置に接続する。HDCは、リード復調部によって復調されたデータを制御部に送信したり、ライト変調部にデータを送信したりする。また、制御部又はHDCはスピンドルモータ14とアクチュエータ21(のモータ)をサーボ制御する。ライト変調部は、例えば、インターフェースを介して上位装置から供給され、インダクティブヘッドによって磁気ディスク13に書き込まれるデータを変調してヘッドICに供給する。リード復調部はMRヘッド素子が磁気ディスク13読み取ったデータをサンプリングして元の信号に復調する。ライト変調部とリード復調部が一体の信号処理部として把握されてもよい。ヘッドICはプリアンプとして機能する。
【0055】
HDD1の動作において、図示しない制御部が、上位装置の命令などに応答してスピンドルモータ14を駆動して磁気ディスク13を回転させる。次に、制御部は、アクチュエータ21を制御してキャリッジ16を支軸15回りに回動させる。当初、リードタブ20はランプロード装置100の保持部140に保持されているが、キャリッジ16の回転によりリードタブ20は保持部140から摺動面160に移行する。
【0056】
次いで、リフトタブ162は、平坦部162及び傾斜部164の凸部170や170A(以下、「170」はこれらを総括するものとする。)上を摺動する。凸部170が軌跡Lに交差して摺動面160の幅方向に変動しているので、リフトタブ20上の凸部170との接触位置も変動する。この結果、摺動によって発生する磨耗粉はリフトタブ20の長手方向に沿って広がり、一箇所に集中して蓄積しない。また、リフトタブ20が溝172を通過する際に磨耗粉は溝172に落下する。その後、スライダ19内のヘッド23は磁気ディスク13の目的のトラック上にシークされるが、この際にリフトタブ20から磁気ディスク13に磨耗粉が落ちる量は低減される。摩耗粉が、リフトタブ20に落下していないとしても凝集していないので極めて軽量であり、磁気ディスク13の回転による空気流によって吹き飛ばされる可能性も大きい。
【0057】
本実施形態は、このようにスライダ19の軌跡が支軸15の周りに円弧を描くスイングアーム式であるが、本発明は、スライダ19の軌跡が直線状であるリニア式の適用を妨げるものではない。
【0058】
ランプローディング方式を採用しているので、CSS方式とは異なり、磁気ディスク13には駆動開始時にスライダ19による摩擦力が印加されずクラッシュの危険性が少ない。
【0059】
磁気ディスク13の回転に伴う空気流がスライダ19と磁気ディスク13との間に巻き込まれて微小な空気膜を形成され、スライダ19にはディスク面から浮上する浮力が作用する。一方、サスペンション18はスライダ19の浮力と対向する方向に弾性押付力をスライダ19に加えている。かかる浮力と弾性力との釣り合いにより、スライダ19と磁気ディスク13との間が一定に離間する。
【0060】
書き込み時には、図示しない制御部は、インターフェースを介して上位装置から得たデータを受信し、インダクティブヘッド素子を選択し、HDCを介してライト変調部に送信する。これに応答して、ライト変調部はデータを変調した後に当該変調されたデータをヘッドICに送信する。ヘッドICは、かかる変調されたデータを増幅した後でインダクティブヘッド素子に書き込み電流として供給する。これにより、インダクティブヘッド素子は目的のトラックにデータを書き込む。
【0061】
読み出し時には、図示しない制御部は、MRヘッド素子を選択し、所定のセンス電流を、HDCを介してMRヘッド素子に供給する。信号磁界に応じて変化するMRヘッド素子の電気抵抗変化に基づくデータは、ヘッドICによって増幅され、その後、リード復調部に供給されて元の信号に復調される。復調された信号は、HDC、制御部、インターフェースを介して、図示しない上位装置に送信される。
【0062】
本実施形態によれば、磁気ディスク13に落下する磨耗粉の量が少ないのでクラッシュの危険性が少なく、安定したヘッド23による記録再生動作が長期間に亘って可能になる。
【0063】
読み出し及び書き込みが終了すると、制御部は、アクチュエータ21を制御してキャリッジ16を支軸15回りに磁気ディスク13の内周から外周に向かって回動させる。これにより、リードタブ20は磁気ディスク13上からアンロードされ、ランプロード装置100の摺動面160を経て保持部140に移動される。
【0064】
リフトタブ162は、傾斜部164及び平坦部162の凸部170上を摺動する際には、ロード時と同様に、摺動によって発生する磨耗粉はリフトタブ20の長手方向に沿って広がり、一箇所に集中して蓄積しない。また、リフトタブ20が溝172を通過する際に磨耗粉は溝172に落下する。これにより、次回のシーク動作で磁気ディスク13に磨耗粉が落ちる量は低減する。保持部140において、カバー130はリフトタブ20の垂直な方向への移動を規制する。また、押え板190は、サスペンション18の自由端と約0.1mm程度の隙間で対向し、サスペンション18の異常な変位(即ち、スライダ19の異常な変位)を規制する。
【0065】
また、図示しない制御部は、スピンドルモータ14を駆動して磁気ディスク13の駆動を停止させる。ランプローディング方式を採用しているので、CSS方式とは異なり、磁気ディスク13には駆動停止時にスライダ19による摩擦力が印加されずクラッシュの危険性は少なくなる。
【0066】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されず、その要旨の範囲内で様々な変形及び変更が可能である。例えば、磁気ディスク13の枚数とスライダ19の数に対応してランプロード装置100の保持部140や摺動面160の数も増減可能である。また、本発明の記録媒体の種類は磁気ディスクに限定されず、光ディスク、その他のディスクも含む。更に、本実施形態ではサスペンション18の先端のリフトタブ20がランプロード装置100を摺動したが、サスペンション18においてランプロード装置100を摺動する部位はリフトタブ20に限定されない。
産業上の利用の可能性
【0067】
本発明によれば、磨耗粉の形成はヘッド支持部の一部に偏らないために記録担体への磨耗粉の落下を防止することができ、安定性と信頼性に優れた記録再生動作を提供することができる。また、ヘッドと記録担体とのクラッシュによる交換を防止するために経済的に優れている。
Claims (8)
- 記録担体に記録又は再生を施すヘッドを支持するヘッド支持部を前記記録担体から離間した位置で保持する保持部と、
前記ヘッドを前記記録担体上にロードする際と前記記録担体から前記ヘッドをアンロードする際に、前記ヘッド支持部が弾性的に当接して摺動する摺動部とを有し、
前記摺動部は、前記ヘッド支持部に対向する凹凸状の摺動面を有して当該摺動面の凸部を介して前記ヘッド支持部と当接し、前記記録担体に向かって傾斜する傾斜部を有し、
前記凸部は、前記ヘッド支持部と部分的に当接する幅を有し、前記凸部の位置は前記摺動面の幅方向と直交する長手方向に沿って変化し、前記ヘッド支持部が前記摺動部上を前記摺動面の長手方向に摺動すると、前記ヘッド支持部の前記凸部との当接位置が変化することを特徴とするランプロード装置。 - 前記摺動部には潤滑剤が塗布されていることを特徴とする請求項1記載のランプロード装置。
- 前記凹凸状の摺動面の前記凸部の高さは等しいことを特徴とする請求項1記載のランプロード装置。
- 前記凹凸状の摺動面の前記凸部の高さは異なることを特徴とする請求項1記載のランプロード装置。
- 前記凹凸状の摺動面は一以上の前記凸部から構成されることを特徴とする請求項1記載のランプロード装置。
- 前記凹凸状の摺動面は複数の凸部から構成され、ある凸部から別の凸部に前記ヘッド支持部が移動する際に異なる高さを移動するように前記複数の凸部の高さは決定されることを特徴とする請求項1記載のランプロード装置。
- 前記摺動部は、前記ヘッド支持部の振動を防止するカバーを有し、前記カバーと前記摺動面との間に前記ヘッド支持部が配置されることを特徴とする請求項1記載のランプロード装置。
- 記録媒体を駆動する駆動機構と、
前記記録担体に記録又は再生を施すヘッドと、
当該ヘッドを支持するヘッド支持部と、
請求項1に記載のランプロード装置とを有することを特徴とするドライブ。
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