JP4190343B2 - 分子認識高分子化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な分子認識高分子化合物の製造方法、前記製造方法により得られた新規な分子認識高分子化合物のクロマトグラフィー用固定相等の用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
特定のターゲット化合物を特異的に認識する手法として、分子鋳型手法が知られている。分子鋳型手法を適用した一般的な方法は、ターゲットとする化合物(ゲスト又は鋳型)と非共有結合型相互作用を行うモノマーを、試験管中で架橋剤等を反応させて重合することで高分子化合物(ホスト)を得る方法である。またゲスト化合物と重合体を混合し、相互作用状態で重合体を架橋反応させることによりホストを得る方法も知られている。(非特許文献1)
分子鋳型手法で得られた高分子化合物を分離メディアとした場合、ゲスト化合物に対し高い認識能力を示すことがしばしば見られるが、逆にゲスト化合物に対する認識度合いがあまりに強く、特にクロマトグラフィー材料においては吸着されたまま分離メディアから出てこない、又は得られたピーク形状が幅広く潰れてしまうことが知られており、分析や分取目的のクロマトグラフィー効率としては満足すべきものはない。またセンシング材料として適用した場合、あまりに強い吸着では、センシング部分がすぐに飽和してしまい繰り返しの使用に問題が起こる。
【0003】
このようなターゲット志向の分子鋳型手法では、ゲストとされる化合物はセンシング若しくは分離対象化合物そのもの、又はその類似構造化合物が使用されることが、ほとんどあった。このような背景のもと、センシング材料、分離メディアとしても良好な性能が発揮出来る高分子材料開発が待ち望まれていた。
【0004】
【非特許文献1】
G.Wulffら,Angew.Chem.,1972,84,364.
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、新たな視点からの鋳型の構築によって、新規な分子認識能力を有した高分子化合物の製造方法を提供することにある。
【0006】
本発明の他の課題は、前記方法で得られた高分子化合物の好適な用途を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題の解決手段として、鋳型高分子化合物及び重合開始剤の存在下、下記一般式(I)又は(II)で示されるアクリル酸誘導体と架橋性モノマーとを共重合反応させることを特徴とする分子認識高分子化合物の製造方法を提供するものである。
【0008】
【化3】
【0009】
(式中、各記号の意味は次のとおり。
【0010】
Xは、酸素、硫黄、窒素、リン、セレン、テルル、ケイ素から選ばれるヘテロ原子である。
【0011】
Yは、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、エステル基、アミド基である。
【0012】
Rは、水素原子が置換されていてもよい炭素数30以下のアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。)
更に本発明は、上記課題の他の解決手段として、鋳型高分子化合物及び重合開始剤の存在下、上記一般式(I)又は(II)で示されるアクリル酸誘導体と架橋性モノマーとを共重合反応させた後、有機溶媒により鋳型高分子化合物を抽出除去することを特徴とする分子認識高分子化合物の製造方法を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法では、鋳型高分子化合物及び重合開始剤の存在下で、一般式(I)で示されるアクリル酸誘導体と、架橋性モノマーとを共重合反応させて分子認識高分子化合物を得る。この分子認識高分子化合物中には、鋳型高分子化合物が含まれているため、場合により、有機溶媒により鋳型高分子化合物を抽出除去する。
【0014】
共重合反応では、一般式(I)又は(II)で示されるアクリル酸誘導体と架橋性モノマーとが、常温及び常圧で液体である場合、鋳型高分子化合物が溶解可能であれば無溶媒で重合反応を行うことができる。
【0015】
共重合反応では、一般式(I)又は(II)で示されるアクリル酸誘導体と架橋性モノマーとが、常温及び常圧で固体である場合、反応溶媒を使用する。この反応溶媒としては、鋳型高分子化合物が溶解可能であれば、ラジカル捕捉効果のない通常のいかなる有機溶剤でも使用することができる。より望ましくは、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム等の非プロトン性溶媒である。
【0016】
本発明の製造方法で用いられる鋳型高分子化合物は、光学活性な置換基を有していないポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸アミド、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸アミド、ポリアセチレン、光学活性な置換基を有したポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸アミド、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸アミド、ポリスチレン、ポリアセチレン、又はこれらの共重合体等の合成高分子化合物のほか、多糖類とその誘導体、ペプチド、蛋白質等の天然高分子化合物等を挙げることができ、特に不斉識別能力を有することで知られているメタクリル酸エステル、アクリル酸アミド、多糖とその誘導体及び蛋白質等が好ましい。
【0017】
鋳型高分子化合物としては、鋳型高分子化合物が分子認識能力を有しているものが好ましく、特に一方巻きのらせん構造を有している高分子化合物が好ましく、代表的な例として、トリフェニルメチル基やジフェニル-2-ピリジルメチル基等の嵩高い置換基をもったメタクリル酸エステルのポリマーを挙げることができる。
【0018】
鋳型高分子化合物の重合度は、好ましくは5以上、より好ましくは10〜1000、特に好ましくは10〜500であり、10,000以下であることが取り扱いの容易さの点で望ましい。
【0019】
鋳型高分子の使用量は、上限に関しては液体モノマー又は反応溶媒に溶解する濃度であればいかなる濃度でも構わないが、反応液中の濃度が0.01mmol/L〜100mol/Lとなる範囲で使用することができ、好ましくは反応液中の濃度が0.1mmol/L〜10mol/Lとなる範囲である。
【0020】
本発明の製造方法で用いられる重合開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等のアゾ化合物、過酸化ベンゾイル、ピバロイルパーオキシド、tert−ブチルヒドロキシパーオキシド等の有機過酸化物等の公知のラジカル重合開始剤を挙げることができる。
【0021】
重合開始剤の使用量は、反応液中の濃度が0.001mmol/L〜10mol/Lとなる範囲が好ましく、0.2mmol/L〜2mol/Lとなる範囲がより好ましい。
【0022】
一般式(I)又は(II)で示されるアクリル酸誘導体は上記のとおりであり、一般式中の各記号の詳細は下記のとおりである。
【0023】
一般式(I)中、Xは、酸素、硫黄、窒素、リン、セレン、テルル、ケイ素から選ばれるヘテロ原子を示し、好ましくは窒素、酸素、硫黄であり、特に酸素であることが好ましい。
【0024】
一般式(I)又は(II)中、Yは、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、エステル基、アミド基等であり、これらの中でもカルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基が好ましい。
【0025】
一般式(I)又は(II)中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数30以下のアルキル基、アリル基もしくはアラルキル基を示し、置換基を有するときは、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、アミノ基、チオニル基、シリル基等を置換基として有するものが好ましい。
【0026】
一般式(I)中のRとしては、これらの中でもアラルキル基、特にアラルキル基を有するフェニル基が好ましく、水素原子がメトキシ基、エトキシ基等で置換されたベンジル基が好ましい。
【0027】
一般式(II)中のRとしては、これらの中でも無置換又は置換フェニル基、アルキル基が好ましく、特にアルキル基が好ましい。
【0028】
一般式(I)で示されるアクリル酸誘導体としては、下記一般式で示されるものが好ましい。Zは水素原子を置換する原子又は置換基を示し、Zはなくてもよい。
【0029】
【化4】
【0030】
一般式(I)又は(II)で示されるアクリル酸誘導体の使用量は、反応溶液を使用したときは、反応溶液中において0.1〜100mol/Lとなる濃度範囲が好ましい。
【0031】
本発明の製造方法で用いる架橋性モノマーは、1分子内に重合可能な官能基を複数有するものであり、エチレンジメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。
【0032】
架橋性モノマーの使用量は、反応溶液を使用したときは、反応溶液中において0.1〜100mol/Lとなる濃度範囲が好ましい。
【0033】
共重合反応における条件は特に制限されるものではなく、使用したモノマーや有機溶媒の種類に応じて決定されるが、例えば約0〜200℃で、約1〜100時間反応を行う。
【0034】
鋳型高分子化合物の抽出除去は、鋳型高分子化合物が溶解可能な溶剤であればどのような溶剤を使用してもよく、溶剤を使用した乾留、洗浄等の処理を適宜組み合わせる方法が適用できるほか、加溶剤分解で鋳型高分子の構造を変換した後、溶剤を用いて前記と同様にして抽出する方法を適用してもよい。溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶剤、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤、アセトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系溶剤、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤、テトラメチル尿素、ジメチルイミダゾリジノン等のウレア系溶剤から選ばれる1又は2以上の溶剤を用いることができる。
【0035】
本発明の製造方法で得られる分子認識高分子化合物は、重合度が5以上のものが好ましく、より好ましくは20〜10,000、特に好ましくは20〜1000のものである。
【0036】
本発明の製造方法により得られた高分子化合物を用いて分子認識材料とした場合の認識対象化合物はいかなる化合物でもよいが、特に鋳型として用いた高分子化合物が認識可能な化合物が好適である。具体的には、鋳型高分子化合物が認識可能な光学活性体化合物の認識等に適用できる。
【0037】
本発明の製造方法で得られた分子認識高分子材料、分離メディア、センシング材料等の認識材料として使用することができるほか、液晶、非線型光学材料等の機能材料としても使用できる。
【0038】
分離メディアとしては、クロマトグラフィー材料、膜分離材料、ホストゲスト分離材料等を挙げることができ、特に液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動等のクロマトグラフィー用材料として好適であり、特定分子への認識材料という点では、分取用クロマトグラフィー基材、特に擬似移動床方式を組み合わせた大量分取を志向したクロマトグラフィー基材への適用が好ましい。
【0039】
センシング材料としては、ポルフィリン等の発色団との組み合わせにより、色相変化を引き起こすセンサー等への適用が考えられる。
【0040】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0041】
製造例1−1(一般式(I)で示されるアクリル酸誘導体の製造)
窒素置換した反応容器に、エチルα-(ブロモメチル)アクリレート6.46g(33.5mmol)及びベンジルアルコール9.1ml(87.5mmol)を加え、氷浴で冷やしながらトリエチルアミン(NEt3)14ml(104mmol)をゆっくり加えた。室温で12時間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、生成物をエーテルで抽出し、有機層を更に飽和塩化ナトリウム水溶液で洗い、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。溶媒を減圧除去した後、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、エチルα-(ベンジルオキシメチル)アクリレートを得た。(収率94%)
続いて、得られたエチルα-(ベンジルオキシメチル)アクリレート6.96g(31.6mmol)のTHF65ml溶液を氷浴で冷やしながら、1規定水酸化ナトリウム溶液65mlをゆっくり加え、更に室温で12時間激しく攪拌した。反応混合物に1規定塩酸を加えて弱酸性にし、酢酸エチルで生成物を抽出し、硫酸マグネシウムを加えて脱水した。溶媒を減圧除去し、カラムクロマトグラフィーで精製し、下記式で示されるα-(ベンジルオキシメチル)アクリル酸を得た。(収率71%)
【0042】
【化5】
【0043】
製造例1−2(一般式(I)で示されるアクリル酸誘導体として、Rが4−臭化フェニル基を有するものの製造)
窒素置換した反応容器に、エチルα-(ブロモメチル)アクリレート5.45g(28.2mmol)、p−ブロモベンジルアルコール16.0ml(85.5mmol)及び塩化メチレン60mlを加え、氷浴で冷やしながらNEt312ml(86.1mmol)をゆっくり加えた。室温で12時間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、生成物をエーテルで抽出し、有機層を更に飽和塩化ナトリウム水溶液で洗い、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。溶媒を減圧除去した後、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、エチルα-(p−ブロモベンジルオキシメチル)アクリレートを得た。(収率87%)
続いて、得られたエチルα-(p−ブロモベンジルオキシメチル)アクリレート7.34g(24.5mmol)のTHF100ml溶液を氷浴で冷やしながら、1規定水酸化ナトリウム溶液50mlをゆっくり加え、更に室温で12時間激しく攪拌した。反応混合物に1規定塩酸を加えて弱酸性にし、酢酸エチルで生成物を抽出し、硫酸マグネシウムを加えて脱水した。溶媒を減圧除去し、カラムクロマトグラフィーで精製し、下記式で示されるα-(p−ブロモベンジルオキシメチル)アクリル酸を得た。(収率75%)
【0044】
【化6】
【0045】
製造例1−3(一般式(I)で示されるアクリル酸誘導体として、Rが4−メトキシフェニル基を有するものの製造)
窒素置換した反応容器に、エチルα-(ブロモメチル)アクリレート6.89g(35.7mmol)及びp−メトキシベンジルアルコール14.3ml(113mmol)を加え、氷浴で冷やしながらNEt315.0ml(108mmol)をゆっくり加えた。室温で12時間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、生成物をエーテルで抽出し、有機層を更に飽和塩化ナトリウム水溶液で洗い、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。溶媒を減圧除去した後、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、エチルα-(p−メトキシベンジルオキシメチル)アクリレートを得た。(収率92%)
続いて、得られたエチルα-(p−メトキシベンジルオキシメチル)アクリレート8.93g(35.7mmol)のTHF144ml溶液を氷浴で冷やしながら、1規定水酸化ナトリウム溶液72mlをゆっくり加え、更に室温で12時間激しく攪拌した。反応混合物に1規定塩酸を加えて弱酸性にし、酢酸エチルで生成物を抽出し、硫酸マグネシウムを加えて脱水した。溶媒を減圧除去し、カラムクロマトグラフィーで精製し、下記式で示されるα-(p−メトキシベンジルオキシメチル)アクリル酸を得た。(収率83%)
【0046】
【化7】
【0047】
製造例1−4(一般式(II)で示されるアクリル酸誘導体として、Rがn-ヘキシル基を有するものの製造)
滴下漏斗をつけた500ml三口ナスフラスコを窒素置換後、イタコン酸無水物2.24g(20mmol)を加え、更にTHF360mlを加えて溶解させ、その溶液を氷浴で冷やした。そこへTHF40mlで希釈したn-ヘキシルアミン3.0ml(23mmol)を滴下漏斗からゆっくりと滴下した。滴下終了後、室温に戻し、合計7時間反応を行った。得られた粗結晶をカラムクロマトグラフィーで精製し、下記式で示されるN-ヘキシルカルバモイルメチルアクリル酸を得た。
【0048】
【化8】
【0049】
製造例2(重合開始剤の調製)
N,N-ジフェニルエチレンジアミン(DPEDA)0.1g(0.48mmol)を乾燥窒素置換した3方コック付きガラスアンプル中に入れ、乾燥トルエン1mlに溶解した。この溶液にn-ブチルリチウムの1.0mol/Lへプタン溶液0.48mlを加え、次いで(+)-1-(2-ピロリジニルメチル)ピロリジン0.086g(0.56mmol)を加え、重合開始剤溶液を得た。
【0050】
製造例3(鋳型高分子化合物の製造)
乾燥窒素雰囲気下、3方コックを取り付けたガラスアンプル中に、ジフェニル-2-ピリジルメチルメタクリレート(D2PyMA)1.0g(3.05mmol)を入れ、乾燥トルエン20mlを加え、モノマーを溶解した。この溶液を−78℃に冷却し、重合開始剤溶液0.67ml(0.152mmol)を加えた。2時間後、少量のメタノールを加え、重合を停止し、生成物を大量のメタノール(400ml)に沈殿させ、遠心分離により沈殿物を回収し、真空乾燥することにより鋳型高分子化合物であるポリ(D2PyMA)を得た。(収率99%以上)
実施例1−1〜1−4
一般式(I)で示されるモノマーとして製造例1−1で製造したモノマーを用い、表1に示すとおり、一般式(I)で示されるモノマー及び架橋性モノマーの濃度比を様々に変化させ、下記の方法で重合を行った
窒素雰囲気下、ガラスアンプル中に一般式(I)で示されるモノマー及びポリ(D2PyMA)を入れ、クロロホルムを加えて溶液とした。更に架橋性モノマーとしてエチレンジメタアクリレート(EDMA)、及びラジカル重合開始剤〔(i-PrOCOO)2〕を加えて、40℃で48時間重合を行った。生成物を取り出し、乳鉢で十分にすり潰した後、メタノール、THFで繰り返し洗浄し、遠心分離、真空乾燥を行いゲルを得た。
【0051】
得られたゲルを少量の塩酸を含むメタノール-クロロホルム溶液に入れ、24時間加熱還流し、再びメタノール、THFで十分に洗浄し、遠心分離及び真空乾燥して、分子認識高分子化合物(ゲル)を得た。鋳型高分子化合物の除去については、IR測定及び重量変化から確認した。
【0052】
実施例2−1、2−2
一般式(I)で示されるモノマーとして製造例1−2で製造したモノマーを用い、表1に示すとおり、一般式(I)で示されるモノマー及び架橋性モノマーの濃度比を様々に変化させ、実施例1−1と同様にして重合を行い、分子認識高分子化合物(ゲル)を得た。
【0053】
実施例3−1、3−2
一般式(I)で示されるモノマーとして製造例1−3で製造したモノマーを用い、表1に示すとおり、一般式(I)で示されるモノマー及び架橋性モノマーの濃度比を様々に変化させ、実施例1−1と同様にして重合を行い、分子認識高分子化合物(ゲル)を得た。
【0054】
比較例1
実施例1−1〜1−4において、一般式(I)で示されるモノマーに替えてメタクリル酸を用いたほかは同様にして、ゲルを得た。
【0055】
比較例2
モノマー等の濃度を変えたほかは比較例1と同様にして、ゲルを得た。
【0056】
【表1】
【0057】
実施例1−1〜1−4では、鋳型高分子化合物であるポリ(D2PyMA)の除去が困難であった。実施例2−1、2−2、実施例3−1、3−2では、鋳型高分子化合物であるポリ(D2PyMA)の除去は容易であった。
【0058】
試験例1
表2に示す各ゲルを用いて、その不斉識別能の評価を行った。各ゲルについて、ラセミ体(4〜6)をヘキサン/2−プロパノール=90/10に溶かした溶液を用い、3時間、室温にて不斉吸着を行い(ポリマー20mg/ラセミ体0.05mg)、吸着量(%)、上澄み液の純度(e.e)、分離係数(α)をHPLCにより見積もった。分離係数(α)は、下記式から求めた。結果を表2に示す。
【0059】
【数1】
【0060】
【表2】
【0061】
表2から明らかなとおり、各実施例のゲルは、いずれもラセミ体に対して不斉認識を示した。
【0062】
実施例4−1
一般式(II)で示されるモノマーとして製造例1−4で製造したモノマーを用い、実施例1−1と同様にして重合を行い、分子認識高分子化合物(ゲル)を得た。
【0063】
試験例2
表3に示す各ゲルを用いて、試験例1と同様にして、下記式で示されるラセミ体に対する不斉識別能の評価を行った。結果を表3に示す。
【0064】
【化9】
【0065】
【表3】
【0066】
表3から明らかなとおり、実施例4−1のゲルは、ラセミ体に対して不斉認識を示した。
【0067】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、様々な分子認識能を有する分子認識高分子化合物を高い収率で得ることができる。
Claims (11)
- 一般式(I)又は(II)中のRが、水素原子がハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、アミノ基、チオニル基、シリル基で置換された炭素数30以下のアルキル基、アリール基又はアラルキル基であるである請求項1又は2記載の分子認識高分子化合物の製造方法。
- 鋳型高分子化合物が、トリフェニルメチル基又はジフェニル−2−ピリジルメチル基を有するメタクリル酸エステルのポリマーである請求項1〜3のいずれか1記載の分子認識高分子化合物の製造方法。
- 架橋性モノマーが、アクリル酸又はメタクリル酸の誘導体である請求項1〜4のいずれか1記載の分子認識高分子化合物の製造方法。
- 架橋性モノマーが、エチレンジメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド又はジビニルベンゼンである請求項1〜4のいずれか1記載の分子認識高分子化合物の製造方法。
- 分子認識高分子化合物が、鋳型高分子化合物に対する分子認識能力を有している化合物である請求項1〜6のいずれか1記載の分子認識高分子化合物の製造方法。
- 分子認識高分子化合物が、鋳型高分子化合物が一方巻きのらせん構造を有し、不斉識別能力を有する光学活性な高分子化合物であり、前記鋳型高分子化合物に対する分子認識能力を有している化合物である請求項1〜7のいずれか1記載の分子認識高分子化合物の製造方法。
- クロマトグラフィー用固定相として使用される請求項1〜8のいずれか1記載の製造方法で得られた分子認識高分子化合物。
- 光学異性体分離用のクロマトグラフィー用固定相として使用される請求項1〜8のいずれか1記載の製造方法で得られた分子認識高分子化合物。
- 擬似移動床方式を含む連続式液体クロマト分取用固定相として使用される請求項1〜8のいずれか1記載の製造方法で得られた分子認識高分子化合物。
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