JP4188464B2 - 表面保護フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は表面保護フィルムに関する。具体的には、プリズムシート等の突起状物を有する被着体の表面保護に適した表面保護フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、被着体の表面保護にはシート状支持体に粘着剤層が積層された表面保護フィルムが用いられている。このうち、プリズムシート等表面に突起状物を有する被着体用の表面保護フィルムでは、経時変化に伴う接着力の上昇が大きいため、アクリル系粘着剤は使用されず、天然ゴム系粘着剤が主として用いられていた。
【0003】
また、天然ゴム系粘着剤を用いた場合でも、粘着剤層が厚い、例えば10μm以上になれば、アクリル系粘着剤を用いた場合と同様に、接着力が経時的に上昇してしまい、剥離した後にいわゆる糊残りを生じる恐れがあった。このため、天然ゴム系粘着剤を用いた場合でも、粘着剤層の厚さは概ね5μm以下となるように、粘着剤層は非常に薄く作製されるのが一般的であった。
【0004】
しかしながら、このように薄い粘着剤層の表面保護フィルムを用いた場合には、被着体の突起状物を十分に保護できず、突起状物の先端を破損する恐れがあった。特に、プリズムシートでは、プリズム部分の断面は略三角形状をしており、その頂角部分が非常に変形しやすい。このため、従来の薄い粘着剤層では、当該頂角部分を十分に保護できず、フィルムを貼付していたとしてもプリズムシートが変形し、品質の劣化を招いていた。
【0005】
一方、この問題を解決するため十分に厚い粘着剤層にて保護した場合、粘着剤層に突起状物が喰い込み、天然ゴム系粘着剤を用いても経時的に接着力が上昇してしまうという問題があった。
【0006】
さらに、天然ゴム系粘着剤を用いた表面保護フィルムは、剥離時に静電気を発生しやすいという問題もあった。特にアクリル系樹脂を用いた被着体から剥離する際には、多量の静電気を発生し、アクリル系樹脂から作製されたプリズムシートに貼付した場合には、剥離した後にプリズム形成面に多量のほこり等が付着して、適正な品質を保持できない恐れもあった。
【0007】
この問題は、液晶ディスプレイ(LCD)装置等の静電気を嫌う分野でも重要なものとなっており、各種の帯電防止方法が検討されている。その一つとして、帯電防止効果を有するアクリル系樹脂からなる中間層を形成することが考えられているが、粘着剤層が天然ゴム系の場合には、当該天然ゴム系の粘着剤層と前記中間層との間の投錨力が十分に得られず、層間剥離を生じる。この結果、剥離後の被着体表面に多量の粘着剤が残り、表面保護フィルムとして良好な性能を発揮することができない恐れもあった。
【0008】
このように、従来の表面保護フィルムにあっては、突起状物を有する被着体に対して十分な保護機能と接着特性の双方を同時に満足することができず、しかも、例えば上記プリズムシート等のアクリル樹脂から作製された被着体に用いた場合には、剥離時に発生する静電気を十分に抑えることができなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、突起状物を有する被着体を十分に保護する共に、なおかつ接着力を上昇させずに良好な接着力を保ち、しかも帯電防止効果の大きな表面保護フィルムを提供することにある。
【0010】
本発明者らは上記問題を解決すべく鋭意努力した結果、極性の大きなブロック共重合体、すなわちスチレンブロックの含有量の大きなブロック共重合体組成物を粘着剤層に用いることにより、粘着剤層の厚みを増した場合にも接着力が大きくならないことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るプリズムシート用表面保護フィルムは、支持体の片面に粘着剤層が積層された表面保護フィルムにおいて、前記粘着剤層は、共役ジエン化合物より誘導された1個の中間重合体ブロックとビニル芳香族化合物から誘導された2個の末端重合体ブロックとからなるトリブロック共重合体を含有し、前記ビニル芳香族化合物の含有率がスチレン換算で14%以上、前記トリブロック共重合体の含有率が40%以上であるブロック共重合体組成物100重量部に対し、他の粘着剤層成分0〜10重量部が配合され、当該粘着剤層の厚さが10μm以上であることを特徴としている。
【0012】
本発明において用いられる支持体は、表面保護フィルムの支持体として一般的に用いられるシート状物であれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体などのポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体のようなオレフィン極性モノマー共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアクリレートなどのポリエステル、ナイロン6、ナイロン6,6、部分芳香族ポリアミドなどのポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの合成樹脂あるいは紙や綿などの天然物から作製される。これらの合成樹脂や天然物から作製される支持体は、単層状、積層状のいずれでも差し支えなく、これらの合成樹脂のブレンド物であっても差し支えない。
【0013】
支持体の厚さとしても特に限定されるものではないが、一般には10〜300μmの厚さのものが用いられ、柔軟性等の観点から20〜100μmの厚さのものが好適に用いられる。
【0014】
本発明に係る表面保護フィルムの粘着剤層には、共役ジエン化合物より誘導された1個の中間重合体ブロックとビニル芳香族化合物より誘導された2個の末端重合体ブロックとからなるトリブロック共重合体を含有し、ビニル芳香族化合物の含有率がスチレン換算で14%以上で、トリブロック共重合体の含有率が40%以上であるブロック共重合体組成物が用いられる。
【0015】
本発明において意味するブロック共重合体組成物は、一般にブロック共重合体と称して入手されるものであって、ブタジエンやイソプレン等の共役ジエン化合物より誘導された1個の中間重合体ブロックとビニル芳香族化合物から誘導された2個の末端重合体ブロックとからなるトリブロック共重合体を含有するものである。
【0016】
また、当該ブロック共重合体組成物には、前記トリブロック共重合体の他に、トリブロック共重合体の副生物として、共役ジエン化合物より誘導された1個の重合体ブロックとビニル芳香族化合物より誘導された1個の重合体ブロックとが結合したジブロック共重合体や、共役ジエン化合物又はビニル芳香族化合物のホモ重合体が含有される。
【0017】
本発明において、ビニル芳香族化合物とはスチレンを代表とする各種重合可能な二重結合基を有する芳香族化合物を意味し、ビニル芳香族化合物としてスチレンを用いたいわゆるスチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体(SIS)やスチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)などのスチレンブロック共重合体が、入手容易な観点から好適に用いられる。また、接着性を考慮して、適宜エポキシ基やカルボニル基、カルボキシル基などの極性を有する各種官能基がスチレン基に導入されたブロック共重合体(混合物)を用いることもできる。
【0018】
また、当該ブロック共重合体組成物の中でも、ビニル芳香族化合物をスチレン換算にてブロック共重合体組成物中14%以上、好ましくは20〜40%含有し、かつ、トリブロック共重合体を40%以上、好ましくは50〜100%含有するものを用いるのが好ましい。
【0019】
ここにおいて、ビニル芳香族化合物の含有量については、用いるブロック共重合体組成物を熱プレスしてシート状のサンプルとし、当該サンプルについてアッベ屈折率計により屈折率を測定し、NMR(核磁器共鳴スペクトル法)によりスチレン含有量が測定された標準試料の屈折率測定値から得られた換算表から換算して求められる。
【0020】
また、ブロック共重合体組成物中のトリブロック共重合体の割合(以下本願においては、「カップリング率」と称する。)は、次の方法によって求められる。すなわち、ブロック共重合体組成物をテトラハイドロフラン(THF)に溶解し、東ソー(株)製GS5000H及びG4000Hの液体クロマトグラフ用カラムをそれぞれ2段づつ計4段を直列につなぎ、移動相にTHFを用いて、温度40℃、流量1ml/minの条件下で高速液体クロマトグラフィを行い、得られたチャートからカップリング成分、つまり、トリブロック共重合体に対応するピーク面積を測定し、全体のピーク面積に対する前記ピーク面積の100分率を算出することにより求められる。
【0021】
本発明においては、このようなブロック共重合体組成物を用いて粘着剤層が形成される。当該粘着剤層は、スチレンブロック共重合体組成物のみによって形成することができるが、粘着特性を調整すべく必要に応じて、例えばα−ピネン、ジテルペン重合体、α−ピネン・フェノール共重合体等のテルペン系樹脂、脂肪族系や芳香族系、脂肪族・芳香族共重合体系等の炭化水素系樹脂、その他ロジン系樹脂やクマロンインデン系樹脂、(アルキル)フェノール樹脂やキシレン系樹脂などの適当な粘着付与剤を配合できる。さらに、液状ポリマーやパラフィン系オイルなどの軟化剤、充填剤、顔料、老化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤など種々の添加剤を配合してもよい。
【0022】
このとき、ブロック共重合体組成物100重量部に対し、他の粘着剤層成分を0〜50重量部、望ましくは0〜10重量部配合される。すなわち、上記ブロック共重合体組成物単独で粘着剤層を構成することにしてもよく、ブロック共重合体組成物100重量部に対し、上記粘着付与剤や軟化剤等の添加剤を50重量部程度、望ましくは10重量部程度配合して粘着剤層を構成することにしてもよい。
【0023】
本発明にあっては、プリズムシート等の表面に突起状物を有する被着体、つまり粗面に対して貼付することを目的としているため、粘着剤層のタックを上げるのは好ましくない。従って、上記添加剤、特に粘着付与剤の配合量は少ないほど好ましく、ブロック共重合体組成物100重量部に対し添加剤を10重量部よりも多く配合した場合、タックが上昇する場合があり、50重量部より多く配合した場合にはタックが上がり過ぎ、経時接着力が上昇して糊残りを生じる恐れがある。
【0024】
さらに言い換えると本発明においては、粘着剤層中に極性の大きなスチレンブロック重合体を配合することにより上記本発明の目的を達成するものであり、好ましくは、得られた粘着剤層中にスチレンを含有するトリブロック共重合体を、計算上粘着剤層中少なくとも20%以上(カップリング率が40%のブロック共重合体100重量部に対しその他の添加剤を50重量部配合した場合)、望ましくは36%以上(カップリング率が40%のブロック共重合体100重量部に対しその他の添加剤を10重量部配合した場合)含有するように配合するものである。
【0025】
粘着剤層の厚さとしては、従来の表面保護フィルムと同様に薄膜状、すなわち5μm程度の厚さに形成することもできる。また、本発明にあっては、従来の表面保護フィルムよりも厚く厚膜状、すなわち10μm以上(通常、その上限は40μm程度)の厚さに形成した場合に特に効果を発揮し、経時変化に伴う接着力の向上を著しく抑制することができる。このように10μm以上の厚さに粘着剤層を形成することにより、突起状物を表面に有する被着体を有効に保護することができる。
【0026】
また、当該粘着剤層は、必要に応じて支持体の片面に設けられた帯電防止層に積層される。当該帯電防止層は、剥離時に静電気が発生するのを抑制する目的で設けられる。従って、当該目的を達成できるものであれば特に限定されるものではなく、従来から粘着テープ等の帯電防止剤として使用されてきた材料を適宜選択して使用することができる。特に、安価でかつ十分な帯電防止効果を発揮させる観点から、帯電防止効果を有するアクリル系樹脂層を設けるのが好適であり、上記ブロック共重合体組成物を含有する粘着剤層を積層した場合にも十分な投錨力が得られ、支障なく帯電防止層を形成した表面保護フィルムを得ることができる。
【0027】
中でも本発明においては、当該帯電防止層として(メタ)アクリル酸アルキルエステル系ポリマーに、塩化コリンやポリエチレンイミン、イミダゾール等の極性物質を配合し、さらに当該混合物にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を配合してなる熱硬化型帯電防止層を使用することが、帯電防止性の付与と、粘着剤層と支持体との投錨性の両立との観点から好ましい。具体的には、当該帯電防止層として、例えばコニシ社製のボンディップシリーズ(ボンディップPA−100、ボンディップPX等)を用いて形成することができる。もちろんこれら以外の帯電防止層を形成してもよく、また種々の方法により耐候性を向上させたり、さらに投錨力を向上させた帯電防止層を形成してもよい。
【0028】
【実施例】
次に本発明の実施例である表面保護フィルムについて各種作製し、本発明による効果を確認した。
【0029】
(実施例1)
スチレン含有率16%、カップリング率44%、重量平均分子量17万のスチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体(SIS)(日本ゼオン(株)製クインタック3433N)100重量部をトルエンに溶解し、これを粘着剤層の厚さが15μmとなるように、厚さ25μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)の片面に塗布した後乾燥させ、実施例1の表面保護フィルムを得た。
【0030】
(実施例2)
スチレン含有率25%、カップリング率58%、重量平均分子量18万のSIS(日本ゼオン(株)製クインタック3460C)100重量部と、粘着付与剤として石油系樹脂(荒川化学(株)製アルコンP−100)10重量部をトルエンに溶解した他は実施例1と同様にして,実施例2の表面保護フィルムを得た。
【0031】
(実施例3)
スチレン含有率25%、カップリング率58%、重量平均分子量18万のSIS(日本ゼオン(株)製クインタック3460C)100重量部と、粘着付与剤としてテルペンフェノール系樹脂(安原ケミカル(株)製クリアロンM−105)5重量部をトルエンに溶解した他は実施例1と同様にして、実施例3の表面保護フィルムを得た。
【0032】
(実施例4)
SIS及びテルペンフェノール系樹脂のトルエン溶液を、粘着剤層の厚さが10μmとなるように塗布した他は実施例3と同様にして、実施例4の表面保護フィルムを得た。
【0033】
(実施例5)
スチレン含有率14%、カップリング率88%、重量平均分子量23万のSIS(日本ゼオン(株)製クインタック3620)100重量部をトルエンに溶解し、これを粘着剤層の厚さが15μmとなるように、厚さ60μmの低密度ポリエチレンフィルム(密度0.923(JIS K−6760による)、メルトフローインデックス(MI)2g/10min(JIS K−6760による))の片面に塗布した後乾燥させ、実施例5の表面保護フィルムを得た。
【0035】
(実施例7)
厚さ25μmのOPPフィルムの片面に、塩化コリンとポリアクリレートとイミダゾールの混合物とエポキシ樹脂との混合物(重量混合比 50:50(株)コニシ製 ボンディップPA−100)を1μmの厚さに塗布した後、乾燥して帯電防止層を形成した。次にスチレン含有率25%、カップリング率58%、重量平均分子量18万のSIS(日本ゼオン(株)製クインタック3460C)100重量部と、粘着付与剤としてテルペンフェノール系樹脂(クリアロンM−105)5重量部をトルエンに溶解し、これを粘着剤層の厚さが15μmとなるように、前記帯電防止層の表面に塗布した後乾燥させ、実施例の表面保護フィルムを得た。
【0036】
(比較例1)
エチルアクリレート(EA)60重量部、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)40重量部、ヒドロキシアクリレート(HEA)5重量部を共重合させたアクリル系共重合体に、トリレンジイソシアネート(TDI)1重量部を配合したアクリル系粘着剤を、粘着剤層の厚さが15μmとなるように、厚さ25μmのOPPフィルムの片面に塗布した後乾燥させ、比較例1の表面保護フィルムを得た。
【0037】
(比較例2)
スチレン含有量13%のスチレン/エチレン・ブチレン/ブロック共重合体(SEBS)((株)シェルケミカル製 クレイトンG−1657)100重量部をトルエン溶剤に溶解し、これを粘着剤層の厚さが15μmとなるように、厚さ25μmのOPPフィルムの片面に塗布した後乾燥させ、比較例2の表面保護フィルムを得た。
【0038】
(比較例3)
スチレン含有量13%のSEBS(クレイトンG−1657)100重量部、粘着付与剤として石油系樹脂(アルコンP−100)10重量部をトルエン溶剤に溶解した他は比較例2と同様にして、比較例3の表面保護フィルムを得た。
【0039】
(比較例4)
スチレン含有率15%、カップリング率20%、重量平均分子量20万のSIS(日本ゼオン(株)製クインタック3520)100重量部をトルエンに溶解した他は比較例2と同様にして、比較例4の表面保護フィルムを得た。
【0040】
(比較例5)
比較例1と同様にして得たアクリル系粘着剤を、実施例7と同様にして帯電防止層が形成された厚さ25μmのOPPフィルムに、粘着剤層の厚さが15μmとなるように塗布乾燥して、比較例5の表面保護フィルムを用いた。
【0041】
(比較例6)
メタクリル酸メチルグラフト天然ゴム100重量部と、粘着付与剤としてテルペンフェノール系樹脂(クリアロンM−105)5重量部及びトリレンジイソシアネートをトルエンに溶解し、粘着剤層の厚さが15μmとなるように、実施例7と同様にして帯電防止層が形成された厚さ25μmのOPPフィルムに塗布した後乾燥させ、比較例6の表面保護フィルムを得た。
【0042】
〔評価試験〕次にこれら実施例及び比較例の表面保護フィルムを用いて、以下の評価試験を行った。
(接着力試験)実施例1〜及び比較例1〜4の表面保護フィルムを、頂角約90°高さ約25μmの断面三角形状をしたポリメタクリル酸メチル(PMAA)製のプリズムシート(大日本印刷(株)製 V7レンズフィルム)に貼付し、貼付30分経過後の初期接着力及び加温保存後の経日接着力を測定した。なお、初期接着力は、表面保護フィルムをハンドローラ(荷重2kg/cm)及びラミネータ(荷重5kg/cm)にて圧着し、被着体に接着するか否かで評価し、ハンドローラで接着した場合には○で、ラミネータで接着した場合には△で、また、いずれの方法でも接着しなかった場合には×として評価した。
【0043】
また、経日接着力は、線圧5kg/cm 1m/分の条件下で、表面保護フィルムを被着体に(プリズムシート)に圧着し、20g/cm2の荷重を掛け、60℃にて1週間で保存し、保存後インストロン型引張り試験機を用い、引張り速度0.3m/分、180°ピールにて剥離し、その時の抵抗値(gf/20mm)を測定した。
【0044】
(表面保護試験)
実施例1〜6及び比較例1〜4で得た表面保護フィルムを、上記接着力試験で用いたプリズムシートに、線圧5kg/cm 1m/分の条件下で、表面保護フィルムを被着体に(プリズムシート)に圧着し、、20g/cm2の荷重を掛け、40℃にて1週間で保存した。その後、表面保護フィルムを剥離し、プリズム面の異常を目視にて観察して、ほとんど異常がなかった場合には○で、異常はあるがよく見ないと分からない場合には△で、はっきりと異常が確認できた場合には×で評価した。
【0045】
(ピッキング試験)
実施例7及び比較例5、6の表面保護フィルムを用い、それぞれ同種の表面保護フィルムの粘着剤層同士をピッキングし、粘着剤が剥離されるか否かを目視にて確認した。1回のピッキングで粘着剤が剥離された場合には×で、2〜5回のピッキングで粘着剤が剥離された場合には△で、6回〜9回のピッキングで剥離されたものを○で、10回のピッキングで剥離されなかった場合には◎で評価した。
【0046】
(糊面表面抵抗値試験)
実施例7及び比較例5、6の表面保護フィルムを用い、JIS K6911に記載の方法に基づいて、印加電圧100V、雰囲気23℃、50%RHの測定条件下で、糊面表面抵抗値を測定した。
【0047】
〔評価結果〕
接着力試験及び表面保護試験の結果を表1に、ピッキング試験及び糊面表面抵抗値試験の結果を表2に示す。
【0048】
【表1】
Figure 0004188464
【0049】
【表2】
Figure 0004188464
【0050】
表1から分かるように、本発明に係る表面保護フィルムにあっては、初期においても適切な接着力が得られ、加温保存した場合でも、一般に良好な接着力であると言われている50gf/20mm以下の接着力に留まりで、接着力の上昇が抑えられた。また、接着剤層の厚さが従来例と同様に薄く作製した場合には、被着体であるプリズムシートの表面に異常が見受けられたが、接着剤層を厚くした場合には、異常が見られなくなった。なお、実施例6の表面保護フィルムにおいては、経日粘着力試験で少し糊残りが見られたが、粘着力は50gf/20mm以下であり、実際上問題にはならなかった。また、比較例2の表面保護フィルムではプリズムシートそのものへの貼付ができなかった。
【0051】
さらに、帯電防止層を設けた場合にも、表2から分かるように、糊面表面抵抗値の値も小さくなり、又、支持体との投錨性も実用上満足の出来るレベルであった。
【0052】
【発明の効果】
本発明の表面保護フィルムは、支持体の片面に粘着剤層が積層された表面保護フィルムにおいて、前記粘着剤層は、共役ジエン化合物より誘導された1個の中間重合体ブロックとビニル芳香族化合物から誘導された2個の末端重合体ブロックとからなるトリブロック共重合体を含有し、前記ビニル芳香族化合物の含有率がスチレン換算で14%以上、前記トリブロック共重合体の含有率が40%以上であるブロック共重合体組成物が配合されているので、ゴム系粘着剤でありながら経時的な接着力の上昇を抑えることができ、アクリル樹脂系の被着体に良好に接着する表面保護フィルムを得ることができる。また、突起状物を有する被着体に貼着した場合でも接着力の上昇を抑えることができる。
【0053】
特に、粘着剤層中に、前記ブロック共重合体組成物100重量部に対し、他の粘着剤層成分0〜10重量部を配合することにより、粘着剤層中に極性の高いトリブロック共重合体が多く含有され、接着力の上昇を効果的に抑えることができ、粘着剤層の厚さを厚くした場合にも接着力の上昇が少ない。
【0054】
このため、粘着剤層の厚さを10μm以上にすることにより、表面に突起状物が設けられた被着体に適した表面保護フィルムを作製でき、被着体に設けられた突起状物を確実に保護し、剥離時の糊残りも少なくできる。
【0055】
また、支持体の片面に設けられた帯電防止層上に粘着剤層を形成することにより、剥離時に生じる静電力を少なくでき、アクリル系樹脂から作製された被着体を有効に保護できる。特に帯電防止層として、帯電防止効果を有するアクリル樹脂層を形成することにより、上記粘着剤層との間に適切な投錨力が得られ、粘着剤層の剥離がなく、帯電防止効果の大きな表面保護フィルムを得ることができる。
【0056】
このように、本発明に係る表面保護シートを用いることにより、プリズムシートや液晶ディスプレイ等、表面に突起状物を有するアクリル樹脂系の被着体を有効に保護できる。

Claims (4)

  1. 支持体の片面に粘着剤層が積層された表面保護フィルムにおいて、前記粘着剤層は、共役ジエン化合物より誘導された1個の中間重合体ブロックとビニル芳香族化合物から誘導された2個の末端重合体ブロックとからなるトリブロック共重合体を含有し、前記ビニル芳香族化合物の含有率がスチレン換算で14%以上、前記トリブロック共重合体の含有率が40%以上であるブロック共重合体組成物100重量部に対し、他の粘着剤層成分0〜10重量部が配合され、当該粘着剤層の厚さが10μm以上であることを特徴とするプリズムシート用表面保護フィルム。
  2. 前記ビニル芳香族化合物は、スチレンであることを特徴とする請求項1に記載のプリズムシート用表面保護フィルム。
  3. 前記粘着剤層は、支持体の片面に設けられた帯電防止層に積層されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のプリズムシート用表面保護フィルム。
  4. 前記帯電防止層は、帯電防止効果を有するアクリル樹脂層であることを特徴とする請求項3記載のプリズムシート用表面保護フィルム。
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