JP6863770B2 - ハーフカット加工用粘着フィルム及び被着体の加工方法 - Google Patents

ハーフカット加工用粘着フィルム及び被着体の加工方法 Download PDF

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本発明は、剥離時にスリップスティック現象が生じにくく、ハーフカット加工を含む被着体の加工方法に用いたときに、被着体の位置ズレが発生しないハーフカット加工用粘着フィルム、及び、該ハーフカット加工用粘着フィルムを用いたハーフカット加工を含む被着体の加工方法に関する。
従来から、光学デバイス、金属板、塗装した金属板、樹脂板、ガラス板等の部材の表面を保護するために、基材層と、その一方の面に積層された粘着剤層とを有する表面保護フィルム(一般に、プロテクトテープ等と称されることもある)が広く用いられている。
特に、近年、表面保護フィルムは、液晶ディスプレイ用の光学部材の表面を保護するために使用されている(例えば、特許文献1)。光学部材には、プリズムシート、拡散フィルム等のように一方の表面に凹凸形状を有するプリズム面を、他方の表面にマット面を有するものがあり、これらの表面に損傷を与えないために、光学部材の使用に先立ち、プリズム面及びマット面を表面保護フィルムで保護している。
近年の製造方法の効率化のため、表面保護フィルムには、ハーフカット加工用粘着フィルムとしての機能も求められるようになってきている。図1に、ハーフカット加工を含む被着体の加工方法の概略を説明する模式図を示した。
図1(a)において、被着体1は凹凸形状を有するプリズム面13と、凹凸を有しないマット面12とを有し、該マット面側をハーフカット加工用粘着フィルム2で、プリズム面側を表面保護フィルム3でそれぞれ保護している。このように両面を保護された被着体1は、図1(b)において、所定の形状になるようにハーフカット加工が施される。ハーフカット加工では、表面保護フィルム3側から刃4を差し入れて、被着体1を所定の形状に切断する。この際、表面保護フィルム3と被着体1とを完全に切断する一方、ハーフカット加工用粘着フィルム2は切断してしまわないようにする(ハーフカット加工)。これにより、切断されていないハーフカット加工用粘着フィルム2上に、所定の形状に切断され、プリズム面13が表面保護フィルム3により保護された被着体1が貼付された状態となる。ハーフカット加工用粘着フィルム2が切断されていないため、取り扱いが容易であり、例えばロール状に巻くことにより、切断加工済の被着体1を容易に大量に取り扱うことが可能になる。
このような状態の被着体1は、その後、ハーフカット加工用粘着フィルム2から剥離して次工程へ送られる。図1(c)では、ステージ5の端部において、被着体1を搬送しながらハーフカット加工用粘着フィルム2を下方向に引っ張ることにより、ステージ5上に表面保護フィルム3で保護された被着体1を残して、ハーフカット加工用粘着フィルム2を剥離している。ステージ5上に残された表面保護フィルム3で保護された被着体1は、ピックアップされて次工程へ送られる。
しかしながら、このような加工方法によりステージ5上に残された表面保護フィルム3で保護された被着体1をピックアップしようとすると、ピックアップ後に次工程に送ったときに位置ズレが生じたり、ピックアップ自体ができなかったりすることがあった。
国際公開第2010/029773号パンフレット
本発明者らは、図1に示したハーフカット加工を含む被着体の加工方法により得られた、表面保護フィルム3で保護された被着体1について、ピックアップ後に次工程に送ったときに位置ズレが生じたり、ピックアップ自体ができなかったりする原因について検討した。その結果、ハーフカット加工用粘着フィルム2を剥離する際に、スリップスティック現象が生じていることが原因であることを突き止めた。スリップスティック現象とは、剥離応力を加えたときに、そのまま加速的に剥離されることなく、強く粘着している瞬間と急に離れる瞬間とが交互に生じる現象である。このようなスリップスティック現象が生じると、ハーフカット加工用粘着フィルム2を剥離時の「びびり」により、ステージ5上に残された表面保護フィルム3で保護された被着体1の位置が不均一となり、ピックアップ後に次工程に送ったときに位置ズレが生じたり、ピックアップ自体ができなかったりするものと考えられた。
本発明は、上記現状に鑑み、剥離時にスリップスティック現象が生じにくく、ハーフカット加工を含む被着体の加工方法に用いたときに、被着体の位置ズレが発生しないハーフカット加工用粘着フィルム、及び、該ハーフカット加工用粘着フィルムを用いたハーフカット加工を含む被着体の加工方法を提供することを目的とする。
本発明は、一方の表面の算術平均粗さRaが1.0μm以上、2.0μm以下、かつ、十点平均粗さRzが5μm以上、15μm以下である被着体の該表面に貼付した状態で該被着体にハーフカット加工を施した後、該被着体から剥離するためのハーフカット加工用粘着フィルムであって、基材層と粘着剤層とを有し、前記粘着剤層は、スチレン系エラストマーとテルペンフェノール系粘着付与剤とを含有し、前記粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率G’が1.8MPa以上、2.5MPa以下であるハーフカット加工用粘着フィルムである。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、種々の角度からスリップスティック現象を低減する方法を検討した。その結果、粘着剤層にスチレン系エラストマーとテルペンフェノール系粘着付与剤とを含有させるとともに、ハーフカット加工用粘着フィルムを貼付する被着体の表面の粗さに応じて、粘着剤層の貯蔵弾性率G’を調整することにより、ハーフカット加工を含む被着体の加工方法に用いたときに、スリップスティック現象を低減して、被着体の位置ズレが発生しないハーフカット加工用粘着フィルムが得られることを見出し、本発明を完成した。
本発明のハーフカット加工用粘着フィルムは、一方の表面の算術平均粗さRaが1.0μm以上、2.0μm以下、かつ、十点平均粗さRzが5μm以上、15μm以下である被着体の該表面に貼付した状態で該被着体にハーフカット加工を施した後、該被着体から剥離するためのハーフカット加工用粘着フィルムである。
このような表面を有する被着体としては、具体的には例えば、プリズムシート、拡散フィルム等の液晶ディスプレイ用の光学部材が挙げられる。例えばプリズムシートの場合、プリズム面の他方のマット面がこのような範囲の粗さを有するものが多い。
なお、本明細書において算術平均粗さRa、十点平均粗さRzは、JIS B 0601(1994)に規定されたものを意味する。
本発明のハーフカット加工用粘着フィルムは、基材層と、粘着剤層とを有する。
上記基材層は特に限定されないが、ポリオレフィン樹脂を含有することが好ましい。
上記ポリオレフィン樹脂は特に限定されず、従来公知のポリオレフィン樹脂を用いることができ、例えば、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂等が挙げられる。
上記ポリプロピレン樹脂として、例えば、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン等が挙げられる。上記ポリエチレン樹脂として、例えば、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等が挙げられる。なかでも、透明性、剛性、耐熱性の観点からポリプロピレン樹脂が好ましく、ホモポリプロピレン、又は、プロピレンと少なくとも1種のα−オレフィンとの共重合体がより好ましい。
上記基材層は、本発明の効果を損なわない範囲内で、帯電防止剤、酸化防止剤、耐候剤、結晶核剤等の添加剤、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、エラストマー等の樹脂改質剤を含有してもよい。
上記基材層の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は36μm、好ましい上限は88μmである。上記基材層の厚さがこの範囲内であると、取り扱い性に優れる。上記基材層の厚さのより好ましい下限は45μm、より好ましい上限は77μmである。
上記粘着剤層は、スチレン系エラストマーとテルペンフェノール系粘着付与剤とを含有する。従来のハーフカット加工用粘着フィルムでは、適度の粘着力が得られるという理由から炭化水素系粘着付与剤が用いられていたが、それがスリップスティック現象の原因の1つとなっていたものと考えられる。一方、テルペンフェノール系粘着付与剤は、粘着力が高くなりすぎて剥離が困難となることがあるという理由により、ハーフカット加工用粘着フィルムとしては忌避される傾向にあった。しかしながら、本発明者らは、スチレン系エラストマーとテルペンフェノール系粘着付与剤とを併用し、粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率G’を特定の範囲内とすることにより、剥離時のスリップスティック現象を防止できることを見出した。
上記スチレン系エラストマーとしては特に限定されず、例えば、スチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEPS)、水添スチレンブタジエンゴム(HSBR)、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレンエチレンプロピレンブロック共重合体(SEP)、スチレンエチレンブチレンブロック共重合体(SEB)、スチレン−イソプレンブロック共重合体(SI)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SB)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)等が挙げられる。
上記スチレン系エラストマーは、スチレン含有量の好ましい下限が5質量%、好ましい上限が50質量%である。上記スチレン含有量が5質量%以上であることで、粘着剤の変形を粘着力が高くなりすぎない程度に抑えることができるため剥離不良を抑えることができる。上記スチレン含有量が50質量%以下であることで、粘着剤の凝集力を粘着剤が変形できる程度に抑えることができるためより優れた粘着性能を発揮することができる。
上記テルペンフェノール系粘着付与剤とは、松ヤニやオレンジの皮等の天然物から得られる精油成分であるテルペン系樹脂とフェノールとの共重合体からなるテルペンフェノール系樹脂であって、当該共重合体の少なくとも一部を水素化した部分水添テルペンフェノール系樹脂又は完全に水素化した完全水添テルペンフェノール系樹脂も含まれる。
ここで、完全水添テルペンフェノール系樹脂は、テルペンフェノール系樹脂を、実質的に完全に水添することにより得られるテルペンフェノール系樹脂であり、部分水添テルペンフェノール系樹脂は、テルペンフェノール系樹脂を部分的に水添することにより得られるテルペンフェノール系樹脂である。そして、テルペンフェノール系樹脂は、テルペン由来の二重結合とフェノール類由来の芳香族環二重結合とを有している。したがって、完全水添テルペンフェノール系樹脂とは、テルペン部位およびフェノール部位の両方の部位が、完全に、あるいはほとんど水添された粘着付与樹脂を意味し、部分水添テルペンフェノール系樹脂とは、それらの部位の水添程度が完全でなく、部分的であるテルペンフェノール系樹脂を意味する。上記水添する方法や反応形式としては、特に限定されるものではない。
上記テルペンフェノール系樹脂の市販品としては、例えば、ヤスハラケミカル社製のYSポリスターUH115やYSポリスターNH等が挙げられる。
上記テルペンフェノール系樹脂は、フェノール成分の含有量(モル比)の好ましい下限が5%、好ましい上限が45%である。上記フェノール成分の含有量が5%以上であることで、被着体への貼付時に変形した粘着剤がすぐには弾性回復せず、変形した形状を維持できるため、より優れた粘着性能を発揮することができる。上記フェノール成分の含有量が45%以下であることで、被着体への貼付時に粘着剤が変形できる程度の凝集力とすることができるためより優れた粘着性能を発揮することができる。
上記粘着剤層における上記テルペンフェノール系粘着付与剤の含有量は、スチレン系エラストマー100重量部に対して、好ましい下限が5重量部、より好ましい下限が10重量部、好ましい上限が50重量部である。テルペンフェノール系粘着付与剤の含有量が5重量部以上であることでより優れた粘着性能を発揮することができる。テルペンフェノール系粘着付与剤の含有量が50重量部以下であることで、粘着力が高くなりすぎず、より剥離不良を抑えることができる。
上記粘着剤層は、23℃における貯蔵弾性率G’が1.8MPa以上、2.5MPa以下である。上記被着体の算術平均粗さRaが1.0μm以上、2.0μm以下、かつ、十点平均粗さRzが5μm以上、15μm以下である表面に対して、スチレン系エラストマーとテルペンフェノール系粘着付与剤とを含有する粘着剤層を用い、かつ、23℃における貯蔵弾性率G’をこの範囲内に調整することにより、剥離時のスリップスティック現象を防止することができるとともに、充分な初期粘着力を確保しながら、長期貼着時に接着昂進により粘着力が上昇して剥離が困難となるのを防止することができる。上記23℃における貯蔵弾性率G’の好ましい下限は1.9MPa、好ましい上限は2.4MPa以下である。
なお、上記粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率G’は、例えばDVA−200(アイティー計測制御社製)等の粘弾性スペクトロメーターを用い、定速昇温引張モードの10℃/分、10Hzの条件で上記粘着剤層の動的粘弾性スペクトルを測定して求めることができる。
上記23℃における貯蔵弾性率G’を所期の範囲内に調整する方法は特に限定されず、上記スチレン系エラストマーとテルペンフェノール系粘着付与剤の種類と配合比を選択することにより調整することができる。
上記スチレン系エラストマーとテルペンフェノール系粘着付与剤の種類にもよるが、一般的には、上記スチレン系エラストマー100重量部に対して、テルペンフェノール系粘着付与剤を5〜50重量部の配合比で配合することにより、上記23℃における貯蔵弾性率G’を所期の範囲内に調整することができる。
上記粘着剤層は、粘着力の制御等を目的に、必要に応じて、例えば、軟化剤、酸化防止剤、接着昂進防止剤、離型剤等の添加剤を含有してもよい。
上記粘着剤層の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は2μm、好ましい上限は6μmである。上記粘着剤層の厚さがこの範囲内であると、被着体に対する充分な粘着力と取り扱い性とを両立することができる。上記粘着剤層の厚さのより好ましい下限は3μm、より好ましい上限は5μmである。
本発明のハーフカット加工用粘着フィルムは、上記基材層の上記粘着剤層が積層している面とは反対側の面に離型層を有することが好ましい。
離型層を有すると、得られるハーフカット加工用粘着フィルムをロール状に巻き取った巻回体として保管する際に、離型層から粘着剤層へ離型剤が転写されるため、粘着フィルムの粘着力を抑えることができ、その結果剥離不良を防止することができる。上記離型層は、上記基材層の原料及び上記離型剤を含有する混合物を押出成形することによって形成することができる。
上記離型層を構成する離型剤は特に限定されないが、飽和脂肪酸ビスアミドであることが好ましい。上記飽和脂肪酸ビスアミドとしては、例えば、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミドや、m−キシレンビスステアリン酸アミド、N−N’−ジステアリルイソフタル酸アミド等の飽和脂肪酸芳香族ビスアミドが挙げられる。なかでも、エチレンビスステアリン酸アミド、m−キシレンビスステアリン酸アミドが好ましい。
なお、上記離型剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
上記離型層の厚さは1〜100nmであることが好ましい。
上記離型層の厚さが1nm以上であることで、離型剤の粘着剤層への転写が充分に行われるためより適度な粘着力とすることができる。上記離型層の厚さが100nm以下であることで、離型剤の粘着剤層への過剰な転写が抑えられるためより適度な粘着力とすることができる。上記離層の厚さの下限は、5nmであることがより好ましく、7nmであることがさらに好ましく、9nmであることが特に好ましい。上記離型層の厚さの上限は、80nmであることがより好ましく、60nmであることがさらに好ましく、40nmであることが特に好ましい。
上記基材層と粘着剤層と必要に応じて離型層を含む本発明のハーフカット加工用粘着フィルム全体の厚さの好ましい下限は40μm、好ましい上限は90μmである。本発明のハーフカット加工用粘着フィルム全体の厚さがこの範囲内であると、被着体に対する充分な粘着力と取り扱い性とを両立することができる。本発明のハーフカット加工用粘着フィルム全体の厚さのより好ましい下限は50μm、より好ましい上限は80μmである。
本発明のハーフカット加工用粘着フィルムを製造する方法は特に限定されず、例えば、予めTダイ成形又はインフレーション成形にて得られた層上に、押出ラミネーション、押出コーティング等の公知の積層法により他の層を積層する方法、各々の層を独立してフィルムとした後、得られた各々のフィルムをドライラミネーションにより積層する方法等が挙げられるが、生産性の点から、上記基材層、上記粘着剤層の各材料を多層の押出機に供給して成形する共押出成形が好ましく、厚み精度の点から、Tダイ成形がより好ましい。
本発明のハーフカット加工用粘着フィルムは、剥離時にスリップスティック現象が生じにくいことから、ハーフカット加工を含む被着体の加工方法に用いたときに、被着体の位置ズレが発生することがない。
ハーフカット加工を含む被着体の加工方法としては、具体的には図1の模式図により説明される方法が挙げられる。
一方の表面の算術平均粗さRaが1.0μm以上、2.0μm以下、かつ、十点平均粗さRzが5μm以上、15μm以下である被着体の該表面に本発明のハーフカット加工用粘着フィルムを、他方の表面に表面保護フィルムを貼付する貼付工程と、ハーフカット加工用粘着フィルムと表面保護フィルムとを貼付した状態で、表面保護フィルム側から刃を差し入れて、被着体を所定の形状に切断する一方、ハーフカット加工用粘着フィルムは切断してしまわないようにするハーフカット加工工程と、ハーフカット加工工程後に被着体からハーフカット加工用粘着フィルムを剥離する剥離工程とを有する被着体の加工方法もまた、本発明の1つである。
本発明によれば、剥離時にスリップスティック現象が生じにくく、ハーフカット加工を含む被着体の加工方法に用いたときに、被着体の位置ズレが発生しないハーフカット加工用粘着フィルム、及び、該ハーフカット加工用粘着フィルムを用いたハーフカット加工を含む被着体の加工方法を提供することができる。
ハーフカット加工を含む被着体の加工方法の概略を説明する模式図である。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
<被着体>
以下の6種の被着体を入手し、JIS B 0601(1994)に従い、一方の表面の算術平均粗さRa及び十点平均粗さRzを測定した。
・被着体A:一方の表面の算術平均粗さRaが1.2μm、十点平均粗さRzが8.0μm
・被着体B:一方の表面の算術平均粗さRaが1.5μm、十点平均粗さRzが13.0μm
・被着体C:一方の表面の算術平均粗さRaが2.0μm、十点平均粗さRzが10.0μm
・被着体D:一方の表面の算術平均粗さRaが1.5μm、十点平均粗さRzが6.0μm
・被着体E:一方の表面の算術平均粗さRaが0.5μm、十点平均粗さRzが3.0μm
・被着体F:一方の表面の算術平均粗さRaが3.0μm、十点平均粗さRzが20.0μm
<ベース樹脂>
実施例、比較例においては、以下に示した樹脂をベース樹脂として用いた。
・DR8300(商品名「DR8300」、スチレン系エラストマー、JSR社製)
・DR1321(商品名「DR1321」、スチレン系エラストマー、JSR社製)
・G1645(商品名「G1645」、スチレン系エラストマー、Kraton社製)
<粘着付与剤>
実施例、比較例においては、以下に示した粘着付与剤を用いた。
・UH115(商品名「YSポリスターUH115」、水添テルペンフェノール樹脂、ヤスハラケミカル社製)
・TH135(商品名「YSポリスターTH135」、水添テルペンフェノール樹脂、ヤスハラケミカル社製)
・TH160(商品名「YSポリスターTH160」、水添テルペンフェノール樹脂、ヤスハラケミカル社製)
・AP100(商品名「アルコンP100」、炭化水素樹脂、荒川化学工業社製)
<離型剤>
実施例、比較例においては、以下に示した離型剤を用いた。
・離型剤A:(商品名「アルフローH50F」、エチレンビスステアリン酸アミド、日油社製)
・離型剤B:(商品名「ビアスアマイドLA」メチレンビスステアリン酸アミド、日本化成社製)
・離型剤C:(商品名「スリパックスPXS」m−キシレンビスステアリン酸アミド、日本化成社製)
・離型剤D:(商品名「アルフローS−10」ステアリン酸アミド、日油社製)
(実施例1)
(ハーフカット加工用粘着フィルムの製造)
ベース樹脂としてDR8300を100重量部、粘着付与剤としてUH115を40重量部配合し、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物を得た。
基材層の原料及び離型層の成形原料としてポリオレフィン樹脂(商品名「Y900GV」、ポリプロピレン樹脂、プライムポリマー社製)を用い、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して離型剤としてアルフローH50Fを1.5重量部を配合して、基材層及び離型層組成物を得た。
得られた粘着剤組成物と基材層及び離型層組成物を、Tダイ法により共押出成形し、基材層70μm、粘着剤層5μm、離型層9.0nmのハーフカット加工用粘着フィルムを得た。得られたハーフカット加工用フィルムはロール状に巻き取って保管した。
(離型層の厚さの測定)
四酸化ルテニウムで染色し、離型層と基材層との染色されやすさの違いを利用して染め分けた。ハーフカット加工用粘着フィルムを封入した樹脂試料を、切片厚さを70nmに設定したウルトラミクロトーム(ライカ社製、REICHERT ULTRACUT S)を用いて繰り返し薄く削り複数の薄膜片を作製した。複数の薄膜片の中から透過型電子顕微鏡(JEOL社製、JEM−2100)を用いて離型層と基材層との断面を観察できる観察用薄膜片を選んだ。透過型電子顕微鏡を用いて観察用薄膜片を観察し、離型層の厚さを3箇所測定した。測定値の平均値を離型層の厚さとした。
(23℃における貯蔵弾性率G’の測定)
得られたハーフカット加工用粘着フィルムの粘着剤層について、粘弾性スペクトロメーター(DVA−200、アイティー計測制御社製)を用い、定速昇温引張モードの10℃/分、10Hzの条件で動的粘弾性スペクトルを測定し、23℃における貯蔵弾性率G’を測定した。
(試験片の作製)
被着体Aの粗さを測定した側の面上を覆うように25mm幅のハーフカット加工用粘着フィルムを貼り付けて、試験片を作製した。貼り付けは、23℃及び相対湿度50%RHの環境下で、2kgの圧着ゴムローラーを用いて、300mm/分の速度で圧締することにより行った。
(実施例2〜13、比較例1〜10)
表1に示すように、ベース樹脂、粘着付与剤、離型剤を変更したこと以外は実施例1と同様にして、ハーフカット加工用粘着フィルムを得た。得られたハーフカット加工用粘着フィルムの粘着剤層について、実施例1と同様にして23℃における貯蔵弾性率G’を測定した。
更に、被着体として表1に示したものを用い、実施例1と同様にして粗さを測定した側の面上を覆うように25mm幅のハーフカット加工用粘着フィルムを貼り付けて、試験片を作製した。なお、比較例10については離型層の厚さを測定できなかった。
<評価>
実施例、比較例で得られた試験片について、以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)初期粘着力の評価
得られた試験片を23℃、相対湿度50%RHの環境下で30分間放置した。放置後、JIS Z0237に準拠して、被着体から引張速度300mm/分で180°方向にハーフカット加工用粘着フィルムを剥離し、初期粘着力を測定した。また、初期粘着力を下記の基準で判定した。
○:0.05N/25mm以上、0.30N/25mm未満
×:0.05N/25mm未満、又は、0.30N/25mm以上
(2)経時粘着力の評価
得られた試験片を23℃、相対湿度50%RHの環境下で2週間放置した。放置後、JIS Z0237に準拠して、被着体から引張速度300mm/分で180°方向にハーフカット加工用粘着フィルムを剥離し、経時粘着力を測定した。また、経時粘着力を下記の基準で判定した。
○:0.05N/25mm以上、0.30N/25mm未満
×:0.05N/25mm未満、又は、0.30N/25mm以上
(3)剥離挙動の評価
得られた試験片を23℃、相対湿度50%RHの環境下で30分間放置した。放置後、JIS Z 0237に準拠して、被着体から引張速度300mm/分で90°方向にハーフカット加工用粘着フィルムを剥離した。剥離開始から終了までの剥離力を記録し、剥離力の最大値と最小値との差を算出した。剥離力の最大値に対する最大値と最小値との差の比率(%)を「剥離力の振幅」として算出し、以下の基準により評価した。
○:剥離力の振幅が30%以下(スリップスティック現象が生じていない)
×:剥離力の振幅が30%を超える(スリップスティック現象が生じている)
Figure 0006863770
本発明によれば、剥離時にスリップスティック現象が生じにくく、ハーフカット加工を含む被着体の加工方法に用いたときに、被着体の位置ズレが発生しないハーフカット加工用粘着フィルム、及び、該ハーフカット加工用粘着フィルムを用いたハーフカット加工を含む被着体の加工方法を提供することができる。
1 被着体
12 被着体のマット面
13 被着体のプリズム面
2 ハーフカット加工用粘着フィルム
3 表面保護フィルム
4 刃
5 ステージ

Claims (3)

  1. 一方の表面の算術平均粗さRaが1.0μm以上、2.0μm以下、かつ、十点平均粗さRzが5μm以上、15μm以下である被着体の該表面に貼付した状態で該被着体にハーフカット加工を施した後、該被着体から剥離するためのハーフカット加工用粘着フィルムであって、
    基材層と粘着剤層とを有し、前記粘着剤層は、スチレン系エラストマーとテルペンフェノール系粘着付与剤とを含有し、前記粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率G’が1.8MPa以上、2.5MPa以下であり、
    前記基材層の前記粘着剤層が積層している面とは反対側の面に厚さ1〜100nmの離型層を有する
    ことを特徴とするハーフカット加工用粘着フィルム。
  2. 離型層を構成する離型剤が飽和脂肪酸ビスアミドであることを特徴とする請求項記載のハーフカット加工用粘着フィルム。
  3. 一方の表面の算術平均粗さRaが1.0μm以上、2.0μm以下、かつ、十点平均粗さRzが5μm以上、15μm以下である被着体の該表面にハーフカット加工用粘着フィルムを、他方の表面に表面保護フィルムを貼付する貼付工程と、ハーフカット加工用粘着フィルムと表面保護フィルムとを貼付した状態で、表面保護フィルム側から刃を差し入れて、被着体を所定の形状に切断する一方、ハーフカット加工用粘着フィルムは切断してしまわないようにするハーフカット加工工程と、ハーフカット加工工程後に被着体からハーフカット加工用粘着フィルムを剥離する剥離工程を有する被着体の加工方法であって、
    前記ハーフカット加工用粘着フィルムは、基材層と粘着剤層とを有し、前記粘着剤層は、スチレン系エラストマーとテルペンフェノール系粘着付与剤とを含有し、前記粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率G’が1.8MPa以上、2.5MPa以下であり、
    前記ハーフカット加工用粘着フィルムは、前記基材層の前記粘着剤層が積層している面とは反対側の面に厚さ1〜100nmの離型層を有する
    ことを特徴とする被着体の加工方法。
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