JP2007118592A - 製本用感圧性接着剤およびそれを用いる製本方法 - Google Patents
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Abstract
接着部材を必要な部位に設けることができ、接着部材で固定されるページと接着部材で固定されていないページが出現することなく、使用しやすい本を作製する技術を提供すること。また、簡単な操作で効率よく紙片を重ね合わせ、接着・固定できる製本用接着剤を提供すること。
【解決手段】
オレフィン性不飽和基含有重合性単量体あるいは二種類以上のオレフィン性不飽和基含有重合性単量体を含む単量体混合物を常法により重合させて得る重合体の一種または二種以上と、粘着付与剤とから少なくとも構成される感圧性接着剤であって、しかも、その感圧性接着剤は初期タックが実質的に無く、かつ加圧処理により粘着力が発現する感圧性接着剤を製本用感圧性接着剤とする。
【選択図】 なし
Description
上記紙片から本あるいは冊子(以下、本ということがある)を作製する場合、それら紙片を重ね合わせ、接着・固定する工程が必須であり、その工程についての工夫や研究がいろいろとなされてきた。
たとえば、印刷された紙片の束の背小口に糊を塗布し、紙片同士を接着し、製本する技術が行われている。
また、剥離紙付製本テープを用いて製本する技術が報告されている(特許文献1)。この技術では、接着剤面を保護する剥離紙の存在が必要である。
その点、乾式コピー用紙等のシートの片面に水溶性糊ではなく、自着性の加圧接着剤層を設けておき、該加圧接着部材同士を合わせた後に加圧して冊子を作製する技術(特許文献2)、乾式コピー用紙等のシートの片面に自着性の加圧接着部材を固着し、該加圧接着部材が外側になるように二つ折りしておき、やがて該加圧接着部材同士を合わせた後に加圧して冊子を作製する技術が開示されている(特許文献3)。それら開示された技術は、確かに従来の水溶性糊を使用する技術と比較するとシワの発生などが少なく、有利であるし、簡単な操作であるともいえるが、自着性の接着部材を使用していることからも理解できるように、接着部材同士が合一しないかぎり接着されないのであるから、一方の被着体表面に接着部材を設けても二つの被着体を接着できないという問題点が残されており、改善の余地がある。また、前者の技術では接着剤を合わせる操作が困難であるという問題点があり、冊子を作製するという点では未だ満足できる程ではない。後者の技術では、接着部材で固定されるページと接着部材で固定されていないページが出現するので冊子を使用しづらいという問題点がある。また、二つ折りにする工程も必要であるし、冊子を作製するという点では未だ満足できない。
請求項2の発明は、オレフィン性不飽和基含有重合性単量体を重合させて得る重合体、及び天然ゴムから選ばれる一種または二種以上の高分子化合物と粘着付与剤とから少なくとも構成される感圧性接着剤であって、しかも、その感圧性接着剤は初期タックが実質的に無いかあるいは極めて少ししかなく、かつ加圧処理により粘着力が発現することを特徴とする製本用感圧性接着剤である。また、前記高分子化合物と粘着付与剤とから少なくとも構成される感圧性接着剤であって、しかも、その感圧性接着剤は室温におけるプローブタック 法による前記感圧性接着剤の初期タックが0.2N/mm2以下であり、かつ加圧処理により粘着力が発現し、その粘着力が6N/25mm以上であることを特徴とする製本用感圧性接着剤でもある。前記重合性単量体には、約二十個以下の単量体をあらかじめ重合させて得る重合性オリゴマーを含む。
請求項3の発明は、(メタ)アクリル系重合体と粘着付与剤とから少なくとも構成される製本用感圧性接着剤であり、しかも(メタ)アクリル系重合体の室温におけるプローブタック 法による初期タックが0.2N/mm2以下であり、粘着力が9N/25mm以上であることを特徴とする。なお、室温におけるプローブタック 法による初期タックが0.04N/mm2以下であり、粘着力が9N/25mm以上である製本用感圧性接着剤はより好ましい。なお、(メタ)アクリル系重合体に属する2種類以上の重合体の混合物を用いてもよい。請求項4の発明は、炭化水素系重合体と粘着付与剤とから少なくとも構成される製本用感圧性接着剤であり、しかも炭化水素系重合体の室温におけるプローブタック 法による初期タックが0.04N/mm2以下であり、粘着力が6N/25mm以上であることを特徴とする。なお、炭化水素系重合体に属する2種類以上の重合体の混合物を用いてもよい。
請求項5の発明は、請求項3の発明において、(メタ)アクリル系重合体が(メタ)アクリル系ブロック共重合体及び(メタ)アクリル系共重合体から選ばれる一種または二種以上であることを特徴とする。なお、(メタ)アクリル系重合体に属する2種類以上の重合体の混合物を用いてもよい。請求項6の発明は、請求項4の発明において、炭化水素系重合体が炭化水素系ブロック共重合体であることを特徴とする。炭化水素系ブロック共重合体に属する2種類以上の重合体の混合物を用いてもよい。
請求項7記載の発明は、請求項2〜6の発明において、粘着付与剤がロジン系樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂、及びフェノール系樹脂から選ばれる一種または二種以上であることを特徴とする。なお、本発明では、重合体100重量部に対して粘着付与剤を20〜250重量部配合することができる。
請求項8の発明は、請求項2〜6項記載のいずれかの感圧性接着剤の層を用いた本に関する。
本発明の一つの大きな特徴が新規な接着剤を用いた製本方法にある。この方法により作業性がよく、簡単に製本できる。しかも本を構成する紙片等が強固に接着しており、長期間保存可能である。また、その新規な接着剤にも大きな特徴がある。すなわち、初期タックが実質的に無いかあるいは極めて少ししかなく、しかも加圧すると粘着力が発現し、従来と同様あるいはそれ以上の機能を果たす新規な感圧性接着剤ともいえる。いままで知られている感圧性接着剤は初期タックがあり、初期タックが実質的に無いかあるいは極めて少ししかない混合物は感圧性接着剤としての機能を果たさないと考えられ、例えば廃棄処理されていることからみると、本発明の感圧性接着剤は新規であり、画期的なものである。
ここで、初期タックが実質的に無いかあるいは極めて少ししかない状態をプローブタック 法により記載すると、室温におけるプローブタック 法による前記感圧性接着剤の初期タックが0.2N/mm2以下である状態をいう。下限値は、限りなく0N/mm2に近い値であり、ここでは0N/mm2と記載する。初期タックが実質的に無いかあるいは極めて少ししかない状態とは、JIS Z0237−2000でのボール転がしボールタック試験では5程度以下となる状態を意味し、さらには、2程度以下となる状態と記載することもできる。なお、今まで用いられている普通の感圧性接着剤は接着面が所謂べとべとしており、上記ボールタック試験では初期タック値は10程度以上である。また、指で接触しても感圧性接着剤表面が所謂べとべとしていない状態あるいはわずかにべとべとしているとの感触を得る状態と記載することもできる。
粘着力は、感圧性接着剤の重合体成分、粘着付与剤などの構成成分により変動するし、粘着強度も、用いる感圧性接着剤の種類、感圧性接着剤の厚み、加圧の程度、感圧性接着剤を被着体に押圧した時間などにより変動するのであり、一概に規定することができないが、例えば180度引き剥がし粘着力試験での数値が6N/25mm以上である。上限値は高ければそれだけ好ましいのであって、特に制限されない。あえて表現すれば、技術の進歩に従って変動し、そのときどきに開発された技術の最高値が上限値となる。なお、前記数字は2kg―ロールを5往復押圧処理し、20〜40分間放置後に測定したときの値である(JIS Z0237−2000に準拠するが、加圧の程度を高めに設定する)。
上記感圧性接着剤は、オレフィン性不飽和基含有重合性単量体を重合させて得る重合体、及び天然ゴムから選ばれる一種または二種以上の高分子化合物と、粘着付与剤とから少なくとも構成される。なお、再生ゴム、ポリ乳酸などのポリエステル、ウレタン系重合体、及びシリコーン系重合体から選ばれる一種または二種以上の高分子化合物と、粘着付与剤とから少なくとも構成される感圧性接着剤でもよい。
上記オレフィン性不飽和基含有重合性単量体を重合させて得る重合体は、一種類のオレフィン性不飽和基含有重合性単量体を重合させて得る重合体および二種類以上のオレフィン性不飽和基含有重合性単量体を含有する単量体混合物を共重合させて得る共重合体を含む。該重合体は、オレフィン性不飽和基含有重合性単量体を少なくとも含む混合物あるいは二種類以上のオレフィン性不飽和基含有重合性単量体を少なくとも含む混合物を常法により重合させて得られる。
前記オレフィン性不飽和基含有重合性単量体はオレフィン性不飽和結合を分子中に含む重合しうる単量体を意味し、すでに公知の単量体である。ここでは、オレフィン性不飽和基含有重合性単量体にはジエン系単量体を含めることとする。
その重合性単量体としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、t−ブチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、メトキシスチレン、インデン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン、エチレン、プロピレンなどの不飽和炭化水素系単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、N,N'−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテルなどの単量体が挙げられるが、そのほか、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン原子含有不飽和単量体、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ビニルピリジン、アクリロニトリル、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、イソプロペニルオキサゾリン等の窒素原子含有不飽和単量体、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基を有する不飽和単量体、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のけい素原子含有不飽和単量体、グリシジル(メタ)アクリレート、α−メチルグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有不飽和単量体、−カプロラクトン、バレロラクトン等のラクトンなどの単量体に由来する成分、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、などの単量体も挙げられ、さらに、それら単量体が2〜20程度重合されたオリゴマーでもよい。また、水酸基などの官能基を有する単量体でもよい。
前記単量体を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
それらの中では、不飽和炭化水素系単量体あるいは(メタ)アクリル基含有単量体が好ましく、スチレン、メチルスチレン、t−ブチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、メトキシスチレンなどのビニル芳香族単量体、ブタジエン、イソプレンなどのジエン系単量体、炭素数が4〜5の不飽和オレフィンなどの不飽和炭化水素系単量体、上記(メタ)アクリル酸エステルや(メタ)アクリル基を含有する不飽和単量体などの(メタ)アクリル基含有単量体が好ましい。それら単量体に、本発明の目的を達成する範囲の量のほかの単量体を共存させてもよい。
前記単量体成分の重合においては、通常用いられるラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、有機過酸化物系重合開始剤やアゾ系重合開始剤等が挙げられる。前記有機過酸化物系重合開始剤としては、具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。前記アゾ系重合開始剤としては、具体的には、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2'−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等が挙げられる。なお、重合開始剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
調製された重合体あるいは共重合体は、所期の目的を達成できる限り、限定されないのであり、重合体あるいは共重合体単独でもよいし、二種類以上併用してもよい。
好ましい(メタ)アクリル系共重合体ブロック共重合体は、式(A−B)m−C、(式中、AおよびBはそれぞれ構造の異なる(メタ)アクリル系重合体ブロックを表し、それぞれのうち少なくとも1つはアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステル単位からなり、CはAと同じ構造でもよいし、異なる構造でもよく、mは1〜30の整数を表す)で表されるブロック共重合体でもよい。上記各ブロックを構成する重合性単量体には、本発明の所期の目的を達成でき、本発明の効果を損なわない範囲での少量であれば、上記規定する範囲外の重合性単量体を併用して用いてもよい。本発明では、m=1で、CはAと同じ構造であるトリブロック共重合体を用いることがとくに有利である。
上記ジブロック共重合体としては、「硬質ブロック」と「軟質ブロック」とから構成される(メタ)アクリル系共重合体のジブロック共重合体を例示できる。
そのブロック共重合体の中では、(X−Y)n−Z、(式中、Xはビニル芳香族単量体系ブロック重合体、Yはジエン系ブロック重合体を表し、Zはビニル芳香族単量体系ブロック重合体であり、Xと同じでもよく、異なっていてもよく、nは1〜30の整数を表す)で示されるトリブロック共重合体が好ましい。トリブロック共重合体全体の数平均分子量が10,000〜800,000の範囲にあるのがよい。またビニル芳香族単量体よりなる重合体ブロックの数平均分子量は2,500〜400,000の範囲になるのが好ましく、ジエン系ブロック重合体の数平均分子量は10,000〜400,000の範囲にあるのが好ましい。そして、ブロック共重合体では、ビニル芳香族単量体からの構造単位とイソブチレンからの構造単位の割合が重量で5/95〜80/20であるのが好ましく、10/90〜75/25がより好ましい。
前記粘着付与剤は、天然樹脂系と合成樹脂系とに大別され、天然樹脂系としてはロジン、ガムロジン、トール油ロジン、ロジンエステル、水添ロジン、マレイン化ロジンなどのロジン系樹脂、テルペンフェノール樹脂、α−ピネン、β−ピネン、リモネンなどを主体とするテルペン樹脂、芳香族炭化水素変性テルペン樹脂などを挙げることができる。また、合成樹脂系の粘着付与樹脂としては、脂肪族系、脂環族系、芳香族系の石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂などのフェノール系樹脂、キシレン樹脂などを挙げることができ、粘着付与樹脂を配合する場合は、上記した粘着付与樹脂の1種または2種以上を配合することができる。
これらの中では、とくに、(メタ)アクリル系重合体には、ロジン系樹脂、フェノール系樹脂、テルペンフェノール樹脂、石油樹脂等を用いるのが好ましく、炭化水素系重合体には、テルペンフェノール樹脂、ロジン系樹脂、石油樹脂等を用いるのが好ましい。
しかし、これらに何ら制限されることではない。
それら配合剤としては、可塑剤、充填剤などを挙げられる。
前記充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、酸化チタンなどの無機充填剤を例示できる。
本発明の感圧性接着剤は製本用として好適である。すなわち、本の分野で用いられる接着剤の代わりに本発明の接着剤を適用して製本することが出来る。例えば、紙片の所定部位に該感圧性接着剤を配置させ、それら紙片を製本可能なように重ね合わせ、必要によりそれら紙片を取り揃え、その重なり合った紙片同士を加圧(押圧)処理して本を作製できる。
紙片としては、本の分野で用いられる紙片であればとくに制限されないのであり、具体的には、通常の乾式コピー機においてコピー可能な紙、所謂普通紙が代表例であるが、それ以外には、合成繊維や合成紙等の紙やプラスチックフィルム等、表面に印刷可能な素材からなる紙片でもよい。紙片の形状は長方形が代表例であるが、その形状に限定されないのであり、正方形、楕円形などでもよい。
本発明により、簡単な操作で、外観に優れる本を作成することができる。
アクリル系ブロック共重合体混合物(LA2140:株式会社クラレ製)100重量部、アクリル系ブロック共重合体(LA1114e;株式会社クラレ製)100重量部およびロジンエステル系粘着付与剤(スーパーエステルA125:荒川化学社製)200重量部を、トルエン400重量部に溶解させ、ポリエチレンテレフタレートフィルムに塗工し、トルエンを乾燥除去し、感圧性接着剤を得た。なお、以下の実施例において、特に断らない限り、トルエンの使用量は感圧性接着剤を構成する樹脂と同量である。
(実施例2) 感圧性接着剤の調製
ロジンエステル系粘着付与剤(A125)200重量部の代わりに同じ粘着付与剤を300重量部とし、それ以外は実施例1と同様な操作を行い、感圧性接着剤を調製した。
実施例1のトルエン溶液を、厚さ1.3mmのガラス板表面に、乾燥後の厚みが40μmとなるように塗工して、乾燥し、感圧性接着剤の層を形成した。その感圧性接着剤を下記測定試料とした。
実施例2のトルエン溶液も同様に操作し、得られた感圧性接着剤を下記測定試料とした。
初期タック(プローブタック)の測定
ASTM D 2979に準拠して、プローブタックを測定した。測定結果を下記表1に示した。
用いたプローブ 直径5mm、
測定荷重 19.6g/5mmφ(1.0N/cm2)
接触時間 1秒
剥離速度 10mm/sec
測定機器 プローブタックテスターTE−600−D(テスター産業株式会社製)
JISZ0237−2000に準拠して、180度引きはがし粘着力(以下、ピール強度という)を測定した。測定結果を下記表1に示した。
温度 (23±2)℃
相対湿度 (50±5)%
加圧条件 2kgローラーで5往復
放置時間 20〜40分、
引張速さ 300mm/min
試料の幅 8.4mm又は25mm
実施例1及び実施例2の感圧性接着剤を測定試料として、JIS Z0237−2000に準拠して、ボール転がしボールタック法(以下、傾斜式ボールタック法という)による初期タックを測定した。測定結果を下記表1に示した。
(試験例3) 初期タック(フィンガータック)の測定
実施例1及び実施例2の感圧性接着剤表面に親指を押し付け、引き剥がすときの抵抗感を2名のパネラーにより、下記基準項目に従い官能評価した。評価結果を下記表1に示した。
基準項目
1.僅かなタックか殆どタックが無い
2.セロハン粘着テープより少し弱いタックがある。
3.セロハン粘着テープと同程度のタックがある。
4.セロハン粘着テープより少し強いタックがある。
5.セロハン粘着テープより強いタックがある。
表2に記載の重合体の量と粘着付与剤の量とを実施例1と同様に処理し、感圧性接着剤を得た。
表中、LAは、LA2140とLA1114eとの等量(重量)混合物、スミライトレジンはフェノール樹脂粘着付与剤(住友ベークライト社製)、タマノル901はテルペンフェノール樹脂粘着付与剤(荒川化学社製)である。
表3
傾斜式ボールタックの欄の−は、測定していないことを示す。
表4に記載の重合体の量と粘着付与剤の量とを実施例1と同様に処理し、感圧性接着剤を得た。
表4
表中、A115はロジンエステル系粘着付与剤(スーパーエステルA115:荒川化学社製)である。
実施例7〜13の感圧性接着剤を測定試料として、試験例2と同様な操作により、傾斜式ボールタック法による初期タックを測定した。
その結果、用いた鋼球すべてが止まらなかった。
このことから、実施例7〜13の感圧性接着剤の初期タックは殆ど無いということが出来る。なお、実施例13の粘着力は7.5N/8.4mmである。他の感圧性接着剤も特許請求の範囲の数値を満足する。
スチレン−イソプレンブロック共重合体(クインタック3421:日本ゼオン社製)70重量部、テルペンフェノール樹脂粘着付与剤(タマノル901:荒川化学社製)30重量部を、トルエンに溶解させ、実施例1と同様な操作を行い、感圧性接着剤得た。
(実施例15〜21) 感圧性接着剤の調製
表6に記載の重合体の量と粘着付与剤の量とを実施例14と同様に処理し、感圧性接着剤を得た。
表8に記載の重合体の量と粘着付与剤の量とを実施例14と同様に処理し、感圧性接着剤を得た。
表8
表中、エスコレッツE−1315は石油樹脂系粘着付与剤(エクソンモービル社製)、アルコンP125は水素添加石油樹脂:荒川化学社製)である。
その結果、用いた鋼球すべてが止まらなかった。
このことから、実施例22〜23の感圧性接着剤の初期タックは殆ど無いということが出来る。また、粘着力も特許請求の範囲の数値を満足する(N/8.4mm)。
表9に記載の重合体の量と粘着付与剤の量とを実施例1と同様に処理し、感圧性接着剤を得た。
表9
表中、SKダインはアクリル系接着剤(綜研化学株式会社製)である。
その結果、用いた鋼球すべてが止まらなかった。
このことから、実施例24〜27の感圧性接着剤の初期タックは殆ど無いということが出来る。また、粘着力も特許請求の範囲の数値を満足する(N/8.4mm)。
アクリル系ブロック共重合体混合物(LA2140)100重量部、アクリル系ブロック共重合体(LA1114e)100重量部およびロジンエステル系粘着付与剤(A115)180重量部を、トルエンに溶解させ、実施例1と同様に操作し、感圧性接着剤を調製した。その感圧性接着剤面に、基材を重ね、1kgのローラーを2往復処理した。ついで、試験例1と同様に操作し、表中に記載した所定時間経過直後のピール強度の変化を求めた。その結果を表10に示す。
SKダイン701を100重量部、粘着付与剤(タマノル901)67重量部を、トルエンに溶解させ、これ以降は試験例4と同様に操作し、表中に記載した所定時間経過直後のピール強度(N/8.4mm)の変化を求めた。
その結果を表10に示す。
アクリル系ブロック重合体混合物(LA)に実施例1と同様な操作を行い、樹脂膜を得た。
この膜を、試験例4と同様に操作し、時間の経過によるピール強度の変化を求めた。
その結果、30分経過しても、ピール強度の測定値は低かった。
本発明は次のような発明でもある。
(1)初期タックが実質的に無いかあるいは極めて少ししかなく、かつ加圧処理により粘着力が発現する樹脂組成物であって、本質的にオレフィン性不飽和基含有重合性単量体を重合させて得る重合体、及び天然ゴムから選ばれる一種または二種以上の高分子化合物と粘着付与剤とから本質的になる樹脂組成物。
(2)重合体が(メタ)アクリル系重合体、炭化水素系重合体、及び天然ゴムから選ばれる一種または二種以上であることを特徴とする上記(1)記載の樹脂組成物。
(3)重合体が(メタ)アクリル系共重合体、(メタ)アクリル系ブロック共重合体, 及び炭化水素系ブロック共重合体から選ばれる一種または二種以上であることを特徴とする上記(2)記載の樹脂組成物。
(4)粘着付与剤がロジン系樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂、及びテルペンフェノール系樹脂から選ばれる一種または二種以上であることを特徴とする上記(1)記載の樹脂組成物。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか記載の樹脂組成物の感圧性接着剤としての使用。
(6)上記(1)〜(4)のいずれか記載の樹脂組成物の製本用感圧性接着剤としての使用。
(7)上記(1)〜(4)のいずれか記載の樹脂組成物を用いて製造した本。
Claims (8)
- 高分子化合物と粘着付与剤とから少なくとも構成される初期タックが実質的に無いかあるいは極めて少ししかなく、かつ加圧処理により粘着力が発現する感圧性接着剤を用いることを特徴とする製本方法。
- オレフィン性不飽和基含有重合性単量体を重合させて得る重合体、及び天然ゴムから選ばれる一種または二種以上の高分子化合物と粘着付与剤とから少なくとも構成される初期タックが実質的に無いかあるいは極めて少ししかなく、かつ加圧処理により粘着力が発現することを特徴とする製本用感圧性接着剤。
- (メタ)アクリル系重合体と粘着付与剤とから少なくとも構成され、しかも(メタ)アクリル系重合体の室温におけるプローブタック 法による初期タックが0.2N/mm2以下であり、粘着力が9N/25mm以上であることを特徴とする製本用感圧性接着剤。
- 炭化水素系重合体と粘着付与剤とから少なくとも構成され、しかも炭化水素系重合体の室温におけるプローブタック 法による初期タックが0.04N/mm2以下であり、粘着力が6N/25mm以上であることを特徴とする製本用感圧性接着剤。
- (メタ)アクリル系重合体が(メタ)アクリル系ブロック共重合体及び(メタ)アクリル系共重合体から選ばれる一種または二種以上であることを特徴とする請求項3記載の製本用感圧性接着剤。
- 炭化水素系重合体が炭化水素系ブロック共重合体であることを特徴とする請求項5記載の製本用感圧性接着剤。
- 粘着付与剤がロジン系樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂、及びフェノール系樹脂から選ばれる一種または二種以上であることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の製本用感圧性接着剤。
- 請求項2〜6項記載のいずれかの感圧性接着剤の層を有することを特徴とする本。
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