JP4187422B2 - 半導体薄膜の形成方法およびその方法を用いて製造された半導体薄膜付き基板およびその半導体薄膜付き基板を用いた半導体デバイス。 - Google Patents

半導体薄膜の形成方法およびその方法を用いて製造された半導体薄膜付き基板およびその半導体薄膜付き基板を用いた半導体デバイス。 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に、半導体薄膜を形成する方法およびこの方法により製造した半導体薄膜を有する基板およびその半導体薄膜を有する基板を用いた半導体デバイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
窒化ガリウム(GaN)は、青色半導体発光デバイスや青色半導体レーザーのベース材料として、広く研究されている。
【0003】
しかし、GaNは発光に供せられるような単結晶ウエハーを製造することができないため、一般には基板材料としてサファイアが用いられている。
【0004】
通常はこのサファイア基板上にGaNのバッファ層を形成し、その上にGaNの層が形成されている。そしてこのGaN層の電気的、光学的特性は、サファイア基板上での初期成長条件に強く影響されることがわかっており、またバッファ層を形成する前に、サファイア基板の表面を窒化処理することにより、非優先方位成長核の除去を行い、結晶性の良い薄いGaNバッファ層の形成促すことが知られている。
【0005】
また、エピタキシャル成長したGaNの成長面は、通常Ga元素が最表面に位置するGa極性(cation)面の場合、非常にスムースな面を形成し、N元素が最表面に位置するN極性(anion)面の場合、6角形のピラミッド形状の突起が多数形成された表面モフォロジー(表面形態)を示すことが知られている。
【0006】
通常サファイア基板上にMOVPE法などでGaN膜をエピタキシャル成長させた場合、サファイア面を窒化させない場合は、成長GaNの表面はスムースであるが、GaN膜の結晶性を改善するためにサファイア基板を窒化させた場合、成長GaNの表面はN極性のため、N終端され、六角形のファセットを持つanion表面となる。
【0007】
さらに、GaNや酸化亜鉛(ZnO)、硫化カドミウム(CdS)などのように極性を有する物質をスパッタリングや真空蒸着などで非結晶性基板上に堆積すると、多結晶であってもその結晶の極性軸(この場合はC軸)を基板表面に垂直にそろえることが可能であるが、多くの場合にanionが表面にくる−極性の薄膜となり、耐食性や表面安定性がcationが表面にくる+極性の場合に比べてきわめて不十分である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の製造法で結晶性を改善するために窒化したサファイア基板上に作製したGaN膜の表面は、anion表面であり、その表面は多数のファセットが形成された凹凸の激しい表面となる。
【0009】
このため、この表面にさらに、他のエピタキシャル膜を形成したり、電極配線を形成することを大変困難にさせる。たとえばナノ量子ドットや、微細な多層配線を利用した電子デバイス、光学デバイスを作製する場合、その表面状態は大きな障害となる。
【0010】
また、エピタキシャル半導体膜が、透光性電極や発光素子、レーザー用半導体として応用されようとしているZnOの場合には、その透光性電極表面の耐食性、表面での反射・屈折特性などが、その電子デバイス、発光デバイスの特性を大きく損なわしめる。
【0011】
また、多結晶のGaNやZnOなどの場合であっても、透明電極や蛍光体などとして使われる際に、その表面が−極性でanion面となると、上記の単結晶の場合と同様に、プラズマプロセスなどへの耐食性や、真空デバイスでの表面安定性の特性を大きく損なわしめる。
【0012】
本発明は、前述のGaNやZnOなどの3−5族または2−6族半導体表面の極性を従来のanion表面から、よりスムースで不活性なcation表面に転換させることにより、その表面が電気的、光学的特性に大きな影響を与えるデバイスの特性向上を図る方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載された半導体薄膜の形成方法は、基板上にエピタキシャル成長した半導体薄膜を形成するにあたり、少なくとも該半導体薄膜の一部に数モノレイヤーのAlを含み、前記半導体薄膜の一部が単結晶または前記基板に対して優先配向した多結晶の構造をもつことを特徴としている。
【0014】
請求項2に記載された半導体薄層の形成方法は、基板上にエピタキシャル成長した半導体薄膜を形成するにあたり、少なくとも該半導体薄膜の一部にAlと同様に面心立方結晶構造を有する金属元素を数モノレイヤー含み、前記半導体薄膜の一部が単結晶または前記基板に対して優先配向した多結晶の構造をもつことを特徴としている。
【0015】
請求項3に記載された半導体薄膜の形成方法は、請求項1又は2記載の半導体薄膜の形成方法において、
前記半導体薄膜が、B,Al,Ga,Inなどの3族元素の窒化物(3族窒化物)またはZn,Cd,Mgなどの2族元素とO,S,Seなどの6族元素との化合物(2−6族化合物)から構成されていることを特徴としている。
【0016】
請求項4に記載された半導体薄膜の形成方法は、請求項1又は2記載の半導体薄膜の形成方法において、
前記半導体薄膜が、前記金属元素の数モノレイヤー又は前記Alの数モノレイヤーを内部に含んでおり、前記金属元素の数モノレイヤー又は前記Alの数モノレイヤーの上下で、その半導体薄膜表面の極性が負(anion)から正(cation)に変化し、その正極性が前記エピタキシャル成長薄膜表面まで維持されていることを特徴としている。
【0017】
請求項5に記載された半導体薄膜の形成方法は、請求項1又は2記載の半導体薄膜の形成方法において、
前記基板をサファイア基板で構成し、該サファイア基板のエピタキシャル成長面をC面とし、このC面の垂直方向に、前記半導体薄膜をエピタキシャル成長させることを特徴としている。
【0018】
請求項6に記載された半導体薄膜の形成方法は、請求項5記載の半導体薄膜の形成方法において、
前記基板の前記エピタキシャル成長面を、成長前に1100℃で、H雰囲気にさらした後、アンモニアガスを表面にフローさせることにより、前記基板表面をN化し、N終端させたことを特徴としている。
【0019】
請求項7に記載された半導体薄膜の形成方法は、請求項1又は2記載の半導体薄膜の形成方法において、
前記半導体薄膜が、GaまたはZnをその構成元素として含むことを特徴としている。
【0020】
請求項8に記載された半導体薄膜の形成方法は、請求項1又は2記載の半導体薄膜の形成方法において、
前記半導体薄膜が、GaNまたはZnOであることを特徴としている。
【0021】
請求項9に記載された半導体薄膜の形成方法は、請求項1又は2記載の半導体薄膜の形成方法において、
前記半導体薄膜が、GaNまたはZnOをベースとした多元混晶化合物であることを特徴としている。
【0022】
請求項10に記載された半導体薄膜の形成方法は、請求項1又は2記載の半導体薄膜の形成方法において、
前記半導体薄膜が、GaNまたはZnOのように、その結晶構造が六方晶系でであるなど、極性を有する化合物であることを特徴としている。
【0023】
請求項11に記載された半導体薄膜の形成方法は、請求項1又は2記載の半導体薄膜の形成方法において、
前記半導体薄膜が、2モノレイヤーのAlまたは2モノレイヤーの金属元素を含むことを特徴としている。
【0024】
請求項12に記載された半導体薄膜付き基板は、請求項1乃至11の何れか一項記載の方法を用いて製造されたことを特徴としている。
【0025】
請求項13に記載された半導体デバイスは、請求項11記載の半導体薄膜付き基板を用いることを特徴としている。
ここで、半導体デバイスとは、例えば、EL(エレクトロルミネセンス素子),VFD(蛍光表示管),FED(電界放出型表示装置)などの蛍光体を用いた表示デバイス、新規の多結晶構造大型平面発光表示デバイス,透明電極を用いたデバイスなどを意味している。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明は、絶縁性基板(絶縁性の単結晶基板等を含む)上にエピタキシャル成長した3−5族または2−6族半導体薄膜(B,Al,Ga,Inなどの3族元素の窒化物(3族窒化物)又はZn,Cd,Mgなどの2族元素とO,S,Seなどの6族元素との化合物(2−6族化合物))の内部に、Alなどの金属の数モノレイヤー程度の厚さの膜を形成することにより、その上下で、半導体表面の極性を従来の負(anion)から正(cation)に転換、その正極性を前記エピタキシャル成長薄膜や優先配向性の多結晶薄膜などに形成することを特徴とする。
ここでは、窒化したサファイア(0001)面に、LP−MOVPE法により成長させた窒化ガリウム膜の極性を制御する方法を例として示す。
【0027】
図1は、本発明の半導体薄膜の形成方法により製造されたGaN薄膜の構造を示す。
図1に示すように、本発明の半導体薄膜の形成方法を使用して製造された半導体薄膜付き基板は、基板であるサファイア基板1と、数モノレイヤーのAlであるサファイア基板1上に形成されたAlモノレイヤー(2層)2と、その上に形成されたGaNバッファ層3と、さらにその上に形成された基板上にエピタキシャル成長した半導体薄膜であるGaNエピタキシャル層4から構成される。
【0028】
サファイア基板1は、まず、1100℃、10分間H雰囲気中で加熱洗浄し、続いて同温度で、アンモニアガスを1500sccm、90秒フローさせて、サファイア基板1表面の窒化を行う。そこで、GaNバッファ層3の形成の前に、トリメチルアルミニウム(TMAl)を550℃で、2秒から30秒、5μmol/min、TMAlのフローに曝す事により、Alのモノレイヤー2を2層形成する(2層以上必要であるが、最低限2層存在すれば本発明の目的を達成可能なため、2層が最適である)。これが、本発明のKey構造である。
【0029】
そのあと、200Torrのガス圧力下、550℃で20nm厚のGaNバッファ層3、1080℃で2.5μm厚のGaNエピタキシャル層4を形成する。トリメチルガリウム(TMGa)、TMAl、NHが、それぞれGa、Al、Nのソース(有機金属化合物ガスソース及び原料ガス)として用いられる。
【0030】
作製されたGaN薄膜の表面モフォロジー(表面形態)はNormarski干渉顕微鏡を用いて観察した。また結晶性は、高解像度4結晶X線回折装置(HRXRD,Philips X’pert MRD)を用いて、GaNエピタキシャル膜4の対称(002)面と非対称(102)面からの反射をωスキャン、またはロッキングカーブすることによって評価した。
【0031】
図2のGaNエピタキシャル膜4の結晶性は、X線回折における(002)と(102)面の半値幅がそれぞれ約300と540arcsecを示すことから、良い結晶性を示していることがわかる。またVan der Pauw法測定によるホール移動度とキャリヤ濃度は、それぞれ230cm/V・sと3.3×1017cm−3であり、電気特性も良い値を示している。
【0032】
尚、サファイア基板上に成長したGaN薄膜の特性としては、この両結晶面のX線ロッキングカーブを測定評価することが一般的に行われる。ここでは、一般的に論文などで報告される値と比較(X線回折の半値幅は、結晶が悪いと数値が大きくなり、そのときの電気的特性は、移動度は小さくなり、キャリア濃度は大きくなる。)している。
【0033】
しかし、そのGaNの表面モフォロジーは図2(a)に示すように、窒化処理の時間を変えても、6角形のピラミッド形状の突起を示す。これは、前述したように、窒化処理したGaN(0001)表面は、N極性(ここでは、窒素(N)極性または負極性を意味している)を示すため、スムースな表面を持つGa極性(ここでは、ガリウム(Ga)極性または正極性を意味している)のGaNを成長させることが困難であるためである。
【0034】
そこで、鏡面状のフラットなGa極性のGaN薄膜(GaN薄膜の下地として、2層のAlモノレイヤー2およびGaNバッファ層3がある)を得るために、Alのモノレイヤー2を、窒化処理した基板の上に挿入させることにより、極性をanion面から、cation面に転換させた。
【0035】
まず窒化サファイア基板1の上にGaNバッファ層3を形成する前にMAl(トリメチルアルミニウム)をフローさせる時間を2,5,10,20および30secと変化させて成長させた。この実験に先だち、原子層エピタキシー法により、5μmol/minのフロー量2.5秒で、Alのモノレイヤーが1層形成されることを確認している。
【0036】
図2には、異なったTMAlのフロー時間(図2(a):0秒,図2(b):2秒,図2(c):5秒,図2(d):30秒)によるNormarski干渉顕微鏡写真を示す。TMAlフローが2秒の場合は、まだフロー無しの図2(a)と同様な6角形のピラミッド形状の突起を示す(図2(b))。しかし、TMAlフロー時間が5秒を越えると、GaNの表面モフォロジーは大きく変化し、図2(c)や図2(d)のようにスムースな表面となる。これらの結果はGaN薄膜の極性がTMAlフローによって変わったことを示している。
【0037】
また作製したGaN薄膜の極性はCAICISS(同軸型直衝突イオン散乱スペクトロスコピー)分析装置((株)島津製作所製、TALIS−9700)によって決定された。極性の決定は、理論からのシミュレーション結果、および既報告の解析データを基にして行った。
【0038】
図3に異なったTMAlフロー時間によるGaNの極性変化の模様を示す。すなわち、GaN薄膜の[1120]面方位での2keVのHeイオンの入射角に対するGaの信号強度依存性を測定した。入射角に対するGa信号強度依存性は、shadowing(シャドーイング)効果や集束効果を考慮することにより、説明できる。
【0039】
更に説明を加えると、最表面原子の直下にある第2層目の原子は、表面から見たときに、見る角度によって最表面原子の陰になる状態が変化するために(つまり、シャドーイング効果)、Heイオンの入射角を変えるとCAICISSのスペクトル形状が変化する。このスペクトルを、実験値とシミュレーション値で比較することにより、極性を判定できる。
【0040】
図3(a)および図3(c)でわかるように、Ga信号の角度依存性は窒化処理したサファイア基板1へTMAlフロー無しおよびTMAlフロー5秒処理した試料とは大変異なったプロファイルを示す。すなわち、窒化処理したサファイア基板1へTMAlフロー無しおよびTMAlフロー5秒処理の窒化ガリウム表面はN極性(anion面)をもち、TMAlフロー5秒以上の膜はGa極性(cation面)を持つ。
【0041】
また図3(a)、図3(c)のNとGaの極性は、既報告のデータ、およびシミュレーション結果との比較検討により確認された。しかし、TMAlフロー2秒の試料(図3(b))の極性は十分には、Ga極性に変わっていない。このサンプルは、N極性が大部分で、数%のGa極性との混合したGaN薄膜と考えられる。
【0042】
以上の図3の結果から、GaN薄膜は、TMAlフローの2秒以下と5秒以上で、その極性がanionとcationに分かれることがわかる。この原因機構を図4のモデル(2層のAlモノレイヤー2の挿入によって構成されるGaN構造のGa面の図形表示)で説明する。
【0043】
図4は、図1のGaN薄膜の内、窒化処理(Nitridation)されたサファイア基板1(sapphire)と、該サファイア基板1上に形成されたAlモノレイヤー2(Two monolayers of Al)と、その上に形成されたGaNバッファ層3(Initial stage of GaNbuffer layer)のみを図示している。
ここで、GaNバッファ層3の上に形成されたGaNエピタキシャル層4は、図4中では省略してある。
【0044】
GaNバッファ層3の成長初期では、サファイア基板1表面の窒化処理有り無しにかかわらず、N原子はAlと結合していることが知られている。サファイア基板1が窒化処理されたとき、N原子は3個のAl原子結合し、N面を反映して、サファイア基板1表面に対して垂直方向に1本の結合手を持っている。
【0045】
しかし、数層のAlモノレイヤーが窒化処理基板とGaNバッファ層3の間に挿入されると、GaNエピタキシャル層4の表面は、N極性からGa極性に変化するものと考えられる。
【0046】
Alモノレイヤーを1層挿入の場合には、図2(b)や図3(b)に示すように、GaNエピタキシャル層4は、N極性からGa極性へは変わらない。1層のAlモノレイヤーの挿入の場合、3個のAl原子と結合したバッファ層3の第1N原子は、1本の結合手のみ上方向に向いている。
【0047】
しかし、2層のAlモノレイヤー2を挿入した場合、GaNエピタキシャル層4は、図2(c)および図3(c)に示すように、Ga面に変わることができる。なぜなら、2層のAlモノレイヤー2を挿入した場合、バッファ層3の第1N原子は第2層のAlモノレイヤーのAl原子と結合し、3本の結合手が上方向を向く。
【0048】
TMAlフローが10秒以上の場合のGaN薄膜の極性変化を考えなければならない。最密六方結晶構造(HCP)と面心立方結晶構造(FCC)との間のヘテロエピタキシャル方位には、(0001)HCP//(111)FCCの関係がある。そしてFCCの<111>に沿っての積み重ね順序は、原子配列順序が、(ABC)(ABC)(ABC)である。
【0049】
Alモノレイヤーが2層挿入されると、最上のAl原子は上向きの1つの結合手をもち、GaN薄膜の極性は変化する。前述の例としては、サファイア基板1上でのGaN単結晶膜について述べたが、同様の効果は多結晶の場合にもおこる。
【0050】
多結晶の例としては、ZnOとGaNがあげられる。
ZnOについては極性制御(cation面方向にして、表面をZnにする)を行う場合の効果としては、以下の点が挙げられる。
すなわち一般に、スパッター等でガラスなどの非結晶性基板上に作製した多結晶膜はc軸が上に向いているが、その極性はanion面で揃っていると思われる。そこで、本発明の手法を用いることにより、以下の効果が期待できる。
【0051】
1.anion面は、逆のcation面に比べて、物理的・化学的に極めて安定・不活性であるため、透明電極や蛍光体材料としての耐食性を大幅に改善できる。例えば、プラズマプロセスに対する耐力が増す。また、吸着特性、すなわち真空内での表面の安定性を大幅に改善できる。
【0052】
2.極性を制御すると、ピエゾ電界の方向を制御できる。結晶の極性が反転すると、ピエゾ電界の方向も反転するため、弾性表面波素子では、上記の1.以外に、弾性表面波の位相制御が可能になり、弾性表面波を使った信号プロセシングが可能となる。
【0053】
3.電子源としては、上記の1.と同様である。
【0054】
4.cation表面は、その化学的安定性を反映して、表面での吸着原子の表面泳動が起こりやすく、薄膜表面が平坦化しやすい傾向にあるため、全てに共通として、結晶の品質が大幅に改善される。
【0055】
GaNの場合、多結晶でもpn制御が可能となれば、平面ディスプレイや低コストの発光素子作製が期待できる。
又、NEA(負電子親和力)を期待しての電界放出電子源や蛍光体としての応用があり、極性制御ができる事により、前述のZnOと同じ効果が期待できる。
さらに、窒化物系の発光素子(特に半導体レーザ素子)では、ピエゾ電界による量子シュタルク効果により発光特性に影響があり、レーザ素子でなくてもピエゾ電界の方向制御を通して様々な効果を、この技術により応用・制御できる。
【0056】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明により、絶縁性基板上にエピタキシャル成長した3−5族または2−6族半導体膜の内部に、Alモノレイヤー膜を形成することにより、その上下で、半導体表面の極性を従来の負(anion)から正(cation)に転換し、前記エピタキシャル成長薄膜表面を正極性膜として形成することにより、電気的、光学的特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の形成方法により製造されたGaN薄膜の構造を示す図である。
【図2】異なるTMAlフロー時間のGaN薄膜について、GaN薄膜の表面モフォロジーの違いを示す図である。
【図3】異なるTMAlフロー時間のGaN薄膜について、GaN薄膜の[1120]面方位での2keVのHeイオンの入射角に対するGaの信号強度依存性を測定した結果(CAICISS分析結果)を示す図である。
【図4】2層のAlモノレイヤー挿入によって構成されるGaN構造のGa面の模式図である。
【符号の説明】
1…サファイア基板、
2…Alモノレイヤー(2層)、
3…GaNバッファ層、
4…GaNエピタキシャル層。

Claims (13)

  1. 基板上にエピタキシャル成長した半導体薄膜を形成するにあたり、少なくとも該半導体薄膜の一部に数モノレイヤーのAlを含み、前記半導体薄膜の一部が単結晶または前記基板に対して優先配向した多結晶の構造をもつことを特徴とする半導体薄膜の形成方法。
  2. 基板上にエピタキシャル成長した半導体薄膜を形成するにあたり、少なくとも該半導体薄膜の一部にAlと同様に面心立方結晶構造を有する金属元素を数モノレイヤー含み、前記半導体薄膜の一部が単結晶または前記基板に対して優先配向した多結晶の構造をもつことを特徴とする半導体薄膜の形成方法。
  3. 前記半導体薄膜が、B,Al,Ga,Inなどの3族元素の窒化物(3族窒化物)またはZn,Cd,Mgなどの2族元素とO,S,Seなどの6族元素との化合物(2−6族化合物)から構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体薄膜の形成方法。
  4. 前記半導体薄膜が、前記金属元素の数モノレイヤー又は前記Alの数モノレイヤーを内部に含んでおり、前記金属元素の数モノレイヤー又は前記Alの数モノレイヤーの上下で、その半導体薄膜表面の極性が負(anion)から正(cation)に変化し、その正極性が前記エピタキシャル成長薄膜表面まで維持されていることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体薄膜の形成方法。
  5. 前記基板をサファイア基板で構成し、該サファイア基板のエピタキシャル成長面をC面とし、このC面の垂直方向に、前記半導体薄膜をエピタキシャル成長させることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体薄膜の形成方法。
  6. 前記基板の前記エピタキシャル成長面を、成長前に1100℃で、H雰囲気にさらした後、アンモニアガスを表面にフローさせることにより、前記基板表面をN化し、N終端させたことを特徴とする請求項5記載の半導体薄膜の形成方法。
  7. 前記半導体薄膜が、GaまたはZnをその構成元素として含むことを特徴とする請求項1又は2記載の半導体薄膜の形成方法。
  8. 前記半導体薄膜が、GaNまたはZnOであることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体薄膜の形成方法。
  9. 前記半導体薄膜が、GaNまたはZnOをベースとした多元混晶化合物であることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体薄膜の形成方法。
  10. 前記半導体薄膜が、GaNまたはZnOのように、その結晶構造が六方晶系でであるなど、極性を有する化合物であることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体薄膜の形成方法。
  11. 前記半導体薄膜が、2モノレイヤーのAlまたは2モノレイヤーの金属元素を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の半導体薄膜の形成方法。
  12. 請求項1乃至11の何れか一項記載の方法を用いて製造された半導体薄膜付き基板。
  13. 請求項12記載の半導体薄膜付き基板を用いることを特徴とする半導体デバイス。
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