JP4187196B2 - 偽造防止体積ホログラム積層体および偽造防止体積ホログラムシール - Google Patents

偽造防止体積ホログラム積層体および偽造防止体積ホログラムシール Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、身分証明書、受験票、パスポート、証券等に添付されている写真や情報欄等の被着体の表面にセキュリティー確保を目的として貼着され、透明な体積ホログラムを形成するために使用される体積ホログラム転写箔または体積ホログラムラベル等の体積ホログラム積層体、および体積ホログラム積層体を使用して透明な体積ホログラムが被着体表面に形成された体積ホログラムシールに関し、体積ホログラムの複製を不可能とする偽造防止体積ホログラム積層体および偽造防止体積ホログラムシールに関する。
【0002】
【従来の技術】
ホログラフィーはある表面における光波の振幅と位相の両方を記録する技術であり、この技術によって作製されたホログラムは一点から見た映像しかとらえていない通常の写真に比して、異なる角度から見た立体像を再生することが可能である。更にホログラムは製造技術が高度であり、製造装置も複雑でかつ高価であるために、ホログラム自体の偽造、変造は一般的には困難で、この偽造の困難性を利用し、証明書、証券等の偽造防止手段としての使用が試みられている。
【0003】
ホログラムを複製するためには高度の光学設計技術や高価な設備が必要となるが、体積ホログラムを原版とし複製用感材を密着させ、感材側からレーザー光を照射すれば複製が可能である。そのため、例えば体積ホログラム層の少なくとも一方の面に偏光制御層を設けて偽造防止体積ホログラム積層体とできることが提案(特許文献1参照)されているが、偏光制御層はその存在を確認されやすいという問題がある。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−138803号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、体積ホログラム積層体または体積ホログラムシールにおける記録済の体積ホログラムを原版として体積ホログラムを複製しようとしても、偽造を確実に防止できる偽造防止体積ホログラム積層体および偽造防止体積ホログラムシールの提供を課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の偽造防止体積ホログラム積層体は、透明表面保護層、体積ホログラム層、接着層の順次積層体であって、該透明表面保護層、接着層の少なくとも1層に350nm以上の粒径の微粒子を分散させると共に、該微粒子の光屈折率をnF とし、微粒子を分散する媒体の光屈折率をnB としたとき、光屈折率比(nF /nB )を1.05以上、または0.95以下としたことを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の偽造防止体積ホログラム積層体は、透明表面保護層、第1接着層、体積ホログラム層、第2接着層の順次積層体であって、該透明表面保護層、第1接着層、第2接着層の少なくとも1層に350nm以上の粒径の微粒子を分散させると共に、該微粒子の光屈折率をnF とし、微粒子を分散する媒体の光屈折率をnB としたとき、光屈折率比(nF /nB )を1.05以上、または0.95以下としたことを特徴とする。
【0010】
上記の偽造防止体積ホログラム積層体において、微粒子を分散させた層におけるヘイズ値を5%〜15%としたことを特徴とする。
【0011】
上記の偽造防止体積ホログラム積層体において、透明表面保護層が体積ホログラム再生波長光に対して吸収性を有する染料、または顔料により着色されていることを特徴とする。
【0012】
上記の偽造防止体積ホログラム積層体における透明表面保護層が、透明表面保護塗布膜であるか、または該透明表面保護塗布膜の外表面にさらに基体が積層されていることを特徴とする。
【0013】
上記の透明表面保護層が、透明表面保護フイルムであるか、または該透明表面保護フイルムの外表面にさらに基体が積層されていることを特徴とする。
【0014】
上記の接着層が、感熱接着層、または粘着剤層であることを特徴とする。
【0015】
本発明の第1の偽造防止体積ホログラムシールは、透明表面保護層、体積ホログラム層、接着層、被着体の順次積層体であって、該透明表面保護層、接着層の少なくとも1層に350nm以上の粒径の微粒子を分散させると共に、該微粒子の光屈折率をnF とし、微粒子を分散する媒体の光屈折率をnB としたとき、光屈折率比(nF /nB )を1.05以上、または0.95以下としたことを特徴とする。
【0017】
本発明の第2の偽造防止体積ホログラムシールは、透明表面保護層、第1接着層、体積ホログラム層、第2接着層、被着体の順次積層体であって、該透明表面保護層、第1接着層、第2接着層の少なくとも1層に350nm以上の粒径の微粒子を分散させると共に、該微粒子の光屈折率をnF とし、微粒子を分散する媒体の光屈折率をnB としたとき、光屈折率比(nF /nB )を1.05以上、または0.95以下としたことを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1(a)は、本発明の第1の偽造防止体積ホログラム積層体、および第1参考例の偽造防止体積ホログラム積層体の断面図であり、また、(b)は、本発明の第2の偽造防止体積ホログラム積層体、および第2参考例の偽造防止体積ホログラム積層体の断面図である。(a)中、1は体積ホログラム層、2は接着層、3は透明表面保護層、5は基材、6は剥離シート、(b)中、1は体積ホログラム層、2は第2接着層、2′は第1の接着層、4は透明表面保護フイルム、6は剥離シートを表す。なお、(a)中、基材5は無くともよく、また、(b)中、透明表面保護フイルム上に基材5を設けてもよい。
【0020】
本発明の第1の偽造防止体積ホログラム積層体について、図1(a)に基づき説明する。なお、図中、350nm以上の粒径の微粒子(以下、大粒径の微粒子ともいう)の図示は省略する。
【0021】
本発明の第1の偽造防止体積ホログラム積層体は、体積ホログラム層1の一方の面に透明表面保護塗布膜等の透明表面保護層3、基材5が順次積層され、他方の面には接着層2が積層された構造を有する。剥離シート6は、接着層2を保護するためのもので、必要に応じて設けられ、剥離シート6を剥離してからその接着層側から被着体上に適用され、図2(a)に示す偽造防止体積ホログラムシールとされる。
【0022】
第1の偽造防止体積ホログラム積層体は、透明表面保護層、接着層の少なくとも1層に350nm以上の粒径の微粒子を分散させると共に、該微粒子の光屈折率をnF とし、微粒子を分散する媒体の光屈折率をnB としたとき、光屈折率比(nF /nB )を1.05以上、または0.95以下とするものである。大粒径の微粒子は、透明表面保護層に分散させるのが好ましいが、接着層に分散させてもよく、また、透明表面保護層、接着層の全ての層に分散させてもよい。
【0023】
微粒子の粒径を350nm以上とする点、また、光屈折率比(nF /nB )を1.05以上、または0.95以下とする点について説明する。体積ホログラムの再生波長は、視感度の関係から、480nm以上、長くても550nmの再生波長が使用されることが多く、現在のレーザー技術においては大出力で安定的に発振しうるレーザーとして例えば532nmの固体レーザーが使用されることが多い。
【0024】
透明媒体中に粒子を分散した系においては、一般に、散乱強度のサイズパラメータαは α=πD/λ {式中、Dは粒子粒径(nm)、λは散乱光波長(nm)}で示されるが、α<0.4の領域ではレイリー散乱が支配的であり、短波長光をより散乱する傾向があるのに対して、α>0.4の領域ではミー散乱が支配的である。レイリー散乱の散乱光強度はλ4 に反比例するために、比較的長波長のレーザー光では散乱が起きにくい。一方、ミー散乱が支配的な場合には、散乱光強度はλに反比例し、長波長光でも散乱が生じる。そのため、再生波長として480nm以上の領域とする場合には、ミー散乱が支配的であることから、α>0.4のミー散乱領域であって、特に前方散乱が比較的大きくなる領域、α=2.0、再生波長(λ)=550nmとして計算すると、粒子の粒径は350nm以上と算出され、その場合に再生光を散乱させ、偽造防止を可能とする。粒子の粒径の範囲は、塗布性等との関係や大粒径の微粒子が分散される層によって相違するが350nm〜5μmである。
【0025】
また、サイズパラメータαと散乱強度との関係において、微粒子の光屈折率(nF )と媒体における光屈折率(nB )との屈折率比(nF /nB )は、1.05以上、または0.95以下の場合に、入射光、再生光の散乱が生じやすく、偽造防止を可能とする。ただ、材質や添加される層との関係から屈折率比(nF /nB )は、大きくても2、小さくても0.75 である。また、ヘイズ値は微粒子の添加量にもよるが、ホログラムの視認性から5%〜15%程度である。
【0026】
なお、本発明の第1、第2の偽造防止体積ホログラム積層体では微粒子の光屈折率(nF )と媒体における光屈折率(nB )との屈折率比(nF /nB )が1.05以上である場合を中心に説明するが、屈折率比(nF /nB )が0.95以下の場合、すなわちその逆数の場合においても同様である。屈折率比(nF /nB )が0.95を超え、1.05未満である場合には散乱が不充分であり、複製等を可能とするので好ましくない。
【0027】
本発明の第1の偽造防止体積ホログラム積層体にあっては、偽造防止の観点からは、大粒径の微粒子は透明表面保護層、接着層のいずれか一層に分散されていればよく、好ましくは透明表面保護層に分散されるとよい。また、透明表面保護層を着色させる場合には、大粒径の微粒子を必ずしも分散させる必要はないが、好ましくは分散させるとよい。また、後述する第1参考例の偽造防止体積ホログラム積層体で詳述するように層間の光屈折率比を1.08以上としても偽造防止を可能とするが、この場合には、透明表面保護層と体積ホログラム層の層間、体積ホログラム層と接着層の層間のいずれか1つの層間であればよく、好ましくは透明表面保護層と体積ホログラム層の層間とするとよく、また、その場合には他の層間では光屈折率比が1以下となるように組合せてもよい。このことは本発明の第1、第2の体積ホログラム積層体、第1参考例、第2参考例においても同様である。
【0028】
以下、第1の偽造防止体積ホログラム積層体における層構成について具体的に説明する。体積ホログラム層1は、物体光と参照光との干渉光を干渉縞の間隔よりも十分に厚い感光材料に体積ホログラムを記録したもので、干渉縞の3次元構造がそのまま記録されたものである。体積ホログラム層を形成するには、体積ホログラム形成用材料層に、直接、物体光と参照光との干渉光を記録するか、あるいは、体積ホログラムの原版を密着露光することにより複製して得るものであり、工業的には後者の方法による。
【0029】
一般に、ホログラム形成用材料としては、銀塩材料、重クロム酸ゼラチン乳剤、光重合性樹脂、光架橋性樹脂等の公知の体積ホログラム記録材料が挙げられるが、本発明における体積ホログラムとしては、生産の効率上、(1)バインダー樹脂、光重合可能な化合物、光重合開始剤及び増感色素からなる感光性材料、(2)カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、特定波長の光に感光してラジカル重合性化合物を重合させる光ラジカル重合開始剤系、及び上記特定波長の光に対しては低感光性であり、別の波長の光に感光してカチオン重合性化合物を重合させる光カチオン重合開始剤系からなる感光性材料が挙げられる。
【0030】
(1)の感光性材料におけるバインダー樹脂としては、ポリ(メタ)アクリルエステル又はその部分加水分解物、ポリ酢酸ビニル又はその加水分解物等、また、アクリル酸、アクリル酸エステル等の共重合可能なモノマー群の少なくとも1つを重合成分とする共重合体等、またはそれらの混合物が用いられ、また、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリビニルアルコール、又はポリビニルアルコールの部分アセタール化物であるホリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等、またはそれらの混合物が挙げられる。記録されたホログラムの安定化工程として加熱によるモノマー移動の工程があるが、そのためにはこれらのバインダー樹脂は、好ましくはガラス転移温度が比較的低く、モノマー移動を容易にするものであることが好ましい。
【0031】
光重合可能な化合物としては、後述するような1分子中に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合、光架橋可能なモノマー、オリゴマー、プレポリマー、およびそれらの混合物が一例として挙げられ、例えば、不飽和カルボン酸、及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド結合物が挙げられる。
【0032】
不飽和カルボン酸のモノマーの具体例としてはアクリル酸、メタクリル酸等があり、脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等があり、メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート等があり、イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート等があり、クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート等があり、イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート等がある。また、マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレエート、トリエチレングリコールジマレエート等がある。ハロゲン化不飽和カルボン酸としては、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート等が挙げられる。また、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミト等が挙げられる。
【0033】
開始剤系における光重合開始剤としては、1,3−ジ(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’、4,4’−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、N−フェニルグリシン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)s−トリアジン、3−フェニル−5−イソオキサゾロン、2−メルカプトベンズイミダゾール、また、イミダゾール二量体類等が例示される。
【0034】
光重合開始剤は、記録されたホログラムの安定化の観点からホログラム記録後に分解処理されるものが好ましい。例えば、有機過酸化物系にあっては紫外線照射することにより、容易に分解されるので好ましい。
【0035】
増感色素としては、350〜600nmに吸収光を有するチオピリリウム塩系色素、メロシアニン系色素、キノリン系色素、スチリルキノリン系色素、ケトクマリン系色素、チオキサンテン系色素、キサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン染料、ローダミン染料、チオピリリウム塩系色素、ピリリウムイオン系色素、ジフェニルヨードニウムイオン系色素等が例示される。なお、350nm以下、または600nm以上の波長領域に吸収光を有する増感色素があってもい。
【0036】
バインダー樹脂、光重合可能な化合物、光重合開始剤及び増感色素における配合比としては、光重合可能な化合物はバインダー樹脂100重量部に対して10重量部〜1000重量部、好ましくは10重量部〜100重量部の割合で使用される。光重合開始剤はバインダー樹脂100重量部に対して1重量部〜10重量部、好ましくは5重量部〜10重量部の割合で使用される。増感色素はバインダー樹脂100重量部に対して0.01重量部〜1重量部、好ましくは0.01重量部〜0.5重量部の割合で使用される。
【0037】
体積ホログラム形成用材料の他成分としては、例えば、可塑剤、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及び各種の非イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤が挙げられる。
【0038】
(1)の感光材料は、アセトン、メチルエチルケトン等の溶剤を使用し、固形分15〜25重量%の塗布液とされ、支持フィルムが枚葉(1枚毎のシート)の状態であれば、バーコート、スピンコート、又はディッピング等により塗布形成される。また、支持フィルムがロール状の長尺の状態で塗布するのであれば、グラビアコート、ロールコート、ダイコート、又はコンマコート等により塗布を行なうとよい。体積ホログラム形成層は、塗布液に合わせた乾燥ないし硬化の手段を用いて固化させる。このようにして得られる体積ホログラム形成材料層の膜厚は、0.1μm〜50μm、好ましくは5μm〜20μmであり、必要に応じて保護フイルムが貼着される。このような体積ホログラム形成材料層としては、例えばデュポン社製「オムニデックス801」を利用することができる。
【0039】
(1)の感光材料は、特定の波長を有するレーザー光に対して感光するものであり、2光束のレーザー光、例えばアルゴンイオンレーザー(波長514.5nm)、クリプトンイオンレーザー(波長647nm)等を使用して干渉縞を記録するか、物体光と参照光との干渉光を記録するか、あるいは、体積ホログラム形成用材料層に体積ホログラムの原版を密着し、体積ホログラム形成材料層側からアルゴンレーザー(波長514.5nm)を入射し、原版からの反射光と入射した光の干渉縞を記録して体積ホログラムの情報を与える。その後、加熱処理、例えば、100℃で10分の加熱により、光重合可能な化合物を拡散移動させる工程、また、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光源から、0.1〜10,000mJ/cm2、好ましくは、10〜5,000mJ/cm2 の紫外線照射により光重合開始剤を分解する工程により安定な体積ホログラム層とされる。
【0040】
次に、(2)の体積ホログラム記録用感光材料は、室温で液状であるカチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、特定の波長を有するレーザー光に感光してラジカル重合性化合物を重合させる光ラジカル重合開始剤系、及び上記特定波長の光に対しては低感光性であり、別の波長の光に感光してカチオン重合性化合物を重合させる光カチオン重合開始剤系からなる。
【0041】
この感光材料は、支持体上に塗布された後、光ラジカル重合開始剤系が感光するレーザー光等の光を照射し、次いで光カチオン重合開始剤系が感光する上記レーザー光等の光とは別の波長の光を照射することによりホログラム記録される。レーザー光等の光の照射(以下、第1露光)によってラジカル重合性化合物を重合させた後、カチオン重合性化合物は、その次に行う全面露光(以下、後露光)によって組成物中の光カチオン重合開始剤系を分解させて発生するブレンステッド酸あるいはルイス酸によってカチオン重合するものである。
【0042】
カチオン重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物の重合が終始比較的低粘度の組成物中で行なわれる様に室温液状のものが用いられる。そのようなカチオン重合性化合物としてはジグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)シクロヘキサン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等が例示される。
【0043】
また、ラジカル重合性化合物は、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有するものが好ましい。また、ラジカル重合性化合物の平均屈折率は上記カチオン重合性化合物のそれよりも大きく、好ましくは0.02以上大きいとよく、小さいと屈折率変調が不十分となり好ましくない。ラジカル重合性化合物としては、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン、2−ブロモスチレン、フェニルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2,3−ナフタレンジカルボン酸(アクリロキシエチル)モノエステル、メチルフェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、β−アクリロキシエチルハイドロゲンフタレート等が例示される。
【0044】
光ラジカル重合開始剤系は、ホログラム作製のための第1露光によって活性ラジカルを生成し、その活性ラジカルがラジカル重合性化合物を重合させる開始剤系であればよく、また、一般に光を吸収する成分である増感剤と活性ラジカル発生化合物や酸発生化合物を組み合わせて用いてもよい。光ラジカル重合開始剤系における増感剤は可視レーザー光を吸収するために色素のような有色化合物が用いられる場合が多いが、無色透明ホログラムとする場合にはシアニン系色素が好ましい。シアニン系色素は一般に光によって分解しやすいため、本発明における後露光、または室内光や太陽光の下に数時間から数日放置することによりホログラム中の色素が分解されて可視域に吸収を持たなくなり、無色透明なホログラムが得られる。シアニン系色素の具体例としては、アンヒドロ−3,3'−ジカルボキシメチル−9−エチル−2,2'チアカルボシアニンベタイン、アンヒドロ−3−カルボキシメチル−3',9−ジエチル−2,2’チアカルボシアニンベタイン、3,3',9−トリエチル−2,2'−チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,9−ジエチル−3'−カルボキシメチル−2,2'−チアカルボシアニン・ヨウ素塩等が例示される。
【0045】
シアニン系色素と組み合わせて用いてもよい活性ラジカル発生化合物としては、ジアリールヨードニウム塩類、あるいは2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類が挙げられる。高い感光性が必要なときは、ジアリールヨードニウム塩類の使用が特に好ましい。上記ジアリールヨードニウム塩類の具体例としては、ジフェニルヨードニウム、4,4'−ジクロロジフェニルヨードニウム、4,4'−ジメトキシジフェニルヨードニウム等が例示され、また、2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類の具体例としては、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等が例示される。
【0046】
光カチオン重合開始剤系は、第1露光に対しては低感光性で、第1露光とは異なる波長の光を照射する後露光に感光してブレンステッド酸、あるいはルイス酸を発生し、カチオン重合性化合物を重合させるような開始剤系とするとよく、第1露光の間はカチオン重合性化合物を重合させないものが特に好ましい。光カチオン重合開始剤系としては、例えばジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類あるいは鉄アレン錯体類等を挙げることができる。ジアリールヨードニウム塩類で好ましいものとしては、光ラジカル重合開始剤系で示したヨードニウムのテトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネートおよびヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。トリアリールスルホニウム塩類で好ましいものとしては、トリフェニルスルホニウム、4−ターシャリーブチルトリフェニルスルホニウム等が挙げられる。
【0047】
感光性組成物には、必要に応じてバインダー樹脂、熱重合防止剤、シランカップリング剤、可塑剤、着色剤などを併用してよい。バインダー樹脂は、ホログラム形成前の組成物の成膜性、膜厚の均一性を改善する場合や、レーザー光等の光の照射による重合で形成された干渉縞を後露光までの間、安定に存在させるために使用される。バインダー樹脂は、カチオン重合性化合物やラジカル重合性組成物と相溶性のよいものであれば良く、その具体例としては塩素化ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレートと他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体、塩化ビニルとアクリロニトリルの共重合体、ポリ酢酸ビニルなどが挙げられる。バインダー樹脂は、その側鎖または主鎖にカチオン重合性基などの反応性を有していても良い。
【0048】
感光性組成物の組成に於いて、組成物全重量に対してカチオン重合性化合物は2〜70重量%、好ましくは10〜50重量%、ラジカル重合性化合物は30〜90重量%、好ましくは40〜70重量%、光ラジカル重合開始剤系は0.3〜8重量%、好ましくは1〜5重量%及び光カチオン重合開始剤系は0.3〜8重量%、好ましくは1〜5重量%とするとよい。
【0049】
感光性組成物は、必須成分および任意成分をそのまま、もしくは必要に応じてメチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、メチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、メタノール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒と配合し、冷暗所にて例えば高速撹拌機を使用して混合することにより調製される。
【0050】
感光性組成物からなる記録層は、上記感光性組成物を(1)の感光材料と同様の塗布法で塗布し、必要に応じて乾燥して形成することができる。塗布厚は適宜選択されるが、例えば乾燥後膜厚が1μm〜50μmである。
【0051】
(2)の感光材料による記録層は、通常のホログラフィー露光装置によってレーザー光等の光(例えば波長300〜1200nm)を使用し、ラジカル重合性化合物を重合させてその内部に干渉縞が記録される。この段階で、記録された干渉縞による回折光が得られホログラムが形成されるが、未反応のまま残っているカチオン重合性化合物を更に重合させるために、後露光として光カチオン重合開始剤系の感光する光(例えば波長200〜700nm)を全面照射してホログラムを形成するとよい。なお、後露光の前に記録層を熱や赤外線で処理することで回折効率、回折光のピーク波長、半値巾などを変化させることもできる。
【0052】
本発明においては、上述の(1)、(2)の感光材料を使用する場合にあって体積ホログラムの再生波長は例えば300nm〜1,200nmとできる。
【0053】
本発明の体積ホログラム積層体にあって、後述する接着層2を感熱接着剤とし体積ホログラム転写箔とする場合には、被着体に熱圧転写により体積ホログラム層を転写するものであるので、ホログラム記録に対する熱圧転写による影響を少なくするには、耐熱性の観点からは(2)の感光材料を使用するのが好ましい。上記(1)の感光材料を使用することも可能である。上述の(1)、(2)の感光材料を記録層とする場合、得られる体積ホログラム感光材料層の屈折率は1.4〜1.6の範囲のものである。
【0057】
次に、透明表面保護層3は透明樹脂塗布層からなるが、透明樹脂としては熱可塑性樹脂、電離放射線硬化型樹脂、熱硬化性樹脂等が例示される。熱可塑性樹脂としてはポリメチルメタクリレート等のメタクリル系樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、シリコーン樹脂、塩化ゴム、カゼイン等が例示される。また、電離放射線硬化型樹脂には電子線硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂があり、後者の紫外線硬化型樹脂は光重合開始剤および増感剤を含有することを除いて、前者の電子線硬化型樹脂と成分的には同様である。電離放射線硬化型樹脂は、一般的には皮膜形成成分としてその構造中にラジカル重合性の活性基を有するモノマー、オリゴマー、またはポリマーを主成分とするもので、モノマーとしては(メタ)アクリル酸エステル等の誘導体等、また、オリゴマー、ポリマーとしてはウレタンアクリレートやポリエステルアクリレート等が例示される。紫外線硬化型樹脂とするには、上記のラジカル重合性の活性基を有するモノマー等に光重合開始剤としてアセトフェノン類、ベンゾフェノン、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミノキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類、また光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等を添加した組成物とするとよい。透明樹脂の光屈折率としては1.4〜1.6の範囲てある。
【0058】
透明表面保護層3中に分散される大粒径の微粒子の粒径としては、350nm〜5000nm、好ましくは350nm〜1500nmの粒径の微粒子を含有させてもよい。微粒子の粒径が5000nmを超えると、ホログラムがきれいにみえず、また、成膜性に劣るものとなる。微粒子としては、高屈折率のTiO2 (屈折率2.3〜2.7)、Y2 3 (屈折率1.87)、La2 3 (屈折率1.95)、ZrO2 (屈折率2.05)、Al2 3 (屈折率1.63)、SiOx(1.5≦x≦2.0、屈折率1.35〜1.48)等の無機微粒子、ポリエチレンワックス粒子(屈折率1.52)等の有機樹脂微粒子、また、低屈折率のLiF(屈折率1.4)、MgF2 (屈折率1.4)、3NaF・AlF3 (屈折率1.4)、AlF3 (屈折率1.4)、Na3 AlF6 (屈折率1.33)、SiOx(1.5≦x≦2.0、屈折率1.35〜1.48)等の無機微粒子が例示される。
【0059】
大粒径の微粒子としては、透明樹脂の光屈折率との光屈折率比(nF /nP )が、少なくとも1.05以上、または0.95以下となる微粒子を使用するとよく、好ましくは1.05〜1.8、0.75〜0.95の光屈折率比とするとよい。0.95を超え、1.05未満であると散乱強度が低く、偽造防止性が低く、また、1.8を超え、また、0.75未満であるとホログラムがきれいに見えない。
【0060】
また、大粒径の微粒子は、透明表面保護層中1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%の割合で添加されるとよく、また、ヘーズ値としては5〜15%である。添加量が多く、また、ヘーズ値が高いとホログラムがきれいに見えず、また、塗膜形成に問題がある。
【0061】
また、後述する第1参考例の偽造防止体積ホログラム積層体で詳述するように、透明表面保護層の光屈折率をnP 、体積ホログラム層の光屈折率をnH としたとき、透明表面保護層と体積ホログラム層との光屈折率比(nP /nH )が1.08以上となるようにすると、より偽造防止性に優れるものとできる。透明表面保護層における光屈折率を体積ホログラム層の光屈折率より大とするには、透明樹脂として光屈折率が感光材料より大きいものを選択するか、または350nm以下の小粒径で高屈折率の微粒子を添加して光屈折率を高めるとよい。大粒径と小粒径の微粒子の含有量は合計で1〜300量%、好ましくは1〜200重量%の含有量である。
【0062】
また、偽造防止性の観点から、透明表面保護層中に視感性の480nm〜550nmの波長光に対して光吸収性を有する顔料、染料の単独、または混合物を透明性を阻害しない範囲で添加して着色してもよい。透明表面保護層を着色するとホログラム複製は原理的には可能であるが、複製に時間を要し、複製を困難なものとすることができる。顔料としては、カーボンブラック、銅−鉄−マンガン、アニリンブラック等の黒色顔料、また、黒色以外のナフトールレッドF5RK、フタロシアニンブルー等の着色顔料、また、染料としては、アシッドブラック、クロムブラック、リアテクティブブラック等の黒色染料、また、ディスパースレッド、カチオンブルー、カチオンイエロー等の染料が例示され、単独または混合して用いられる。顔料または染料は、透明表面保護層中、0.1〜5重量%含有させることができる。
【0063】
また、透明表面保護層には、ハードコート性、印字性、スリップ性等を付与するための各種添加剤を適宜含有させてもよく、大粒径の微粒子や層間の光屈折率比を所定のものとする微粒子を兼ねてもよい。また、塗布性の観点から各種界面活性剤が添加されてもよい。
【0064】
透明表面保護層は、透明樹脂と微粒子等を適宜の溶媒と共に分散混合して基材5上に塗布され、乾燥、または硬化された後、体積ホログラム層におけるタック性を利用して体積ホログラム層上に積層される。なお、電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化方法としては、例えば電子線照射の場合にはコックロフトワルトン型等の電子線加速機を使用し50〜1000KeV、好ましくは100〜300KeVの電子線を0.1〜100Mrad.、好ましくは1〜10Mrad.照射することにより行われ、また、紫外線照射の場合には、超高圧水銀灯等の光源から発せられる紫外線を0.1〜10000mJ/cm2 、好ましくは10〜1000mJ/cm2 照射することにより行うとよい。透明表面保護層は、乾燥、または硬化後の膜厚が0.1μm〜10μm、好ましくは0.5〜5μmに形成される。
【0065】
次に、基材5は、体積ホログラム積層体が被着体に転写された後、剥離されるものであるので、その積層面を離型処理しておくか、または、透明表面保護層3における離型性を利用して剥離されるとよい。必要であれば、基材5はホログラムシールとされた後でも貼着した状態としてもよい。
【0066】
基材5としては、ポリエチレンフイルム、ポリプロピレンフイルム、ポリ弗化エチレン系フイルム、ポリ弗化ビニリデンフイルム、ポリ塩化ビニルフイルム、ポリ塩化ビニリデンフイルム、エチレン−ビニルアルコールフイルム、ポリビニルアルコールフイルム、ポリメチルメタクリレートフイルム、ポリエーテルスルホンフイルム、ポリエーテルエーテルケトンフイルム、ポリアミドフイルム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合フイルム、ポリエチレンテレフタレートフイルム、ポリイミドフイルム等が例示される。膜厚は2μm〜200μm、好ましくは5μm〜50μmである。さらに、基材としてカーボンブラック等の隠蔽性顔料を練り込んだ不透明性フィルムとした場合には、使用時までホログラム層を保護することができると共に基材の剥がし忘れを防止できる。
【0067】
次に、接着層2について説明する。本発明における第1、第2の偽造防止体積ホログラム積層体、第1参考例、第2参考例は、それぞれ体積ホログラム転写箔とする場合と体積ホログラムラベルとする場合とがある。体積ホログラム転写箔とする場合には、接着層2を感熱接着剤からなる接着層(以下、感熱接着剤層)とするものであり、また、体積ホログラムラベルとする場合には、粘着剤からなる接着層(以下、粘着剤層)とするものである。体積ホログラム転写箔とする場合には、後述する剥離シート6を剥離した状態での総厚を1μm〜10μmと薄膜化しうるものであり、また、体積ホログラムラベルとする場合には、総厚としては10μm〜50μmである。
【0068】
感熱接着剤としては、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−イソブチルアクリレート共重合樹脂、ブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂およびその共重合樹脂、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、SBS、SIS、SEBS、SEPS等の熱可塑性エラストマー、または、反応ホットメルト系樹脂を使用することができ、被着体との接着性の観点から適宜選択されるとよく、光屈折率が1.45〜1.46のものである。
【0069】
接着対象である被着体としては、ポリ塩化ビニルシート、ポリスチレンシート、PETシート、上質紙等が例示されるが、これら被着体との接着性の観点からは、感熱接着剤としては、例えば三井化学(株)製「V200」(軟化点85℃)、同「EV270」(軟化点41℃)、同「V100」(軟化点67℃)、東洋モートン社製「AD1790−15」(軟化点80℃)、綜研化学社製「U206」(軟化点60℃」、中央理化社製「EC1200」(軟化点75℃)、同「EC1700」(軟化点85℃)、同「AC3100」(軟化点90℃)、同「EC909」(軟化点100℃)、日本ポリウレタン(株)製「ニッポラン3038」(軟化点135℃)、大日本インキ化学工業(株)製「M−720AH」、大日本インキ化学工業(株)製「A−928」、大日本インキ化学工業(株)製「A−450」、大日本インキ化学工業(株)製「A−100Z−4」等の市販品を使用することができる。
【0070】
感熱接着層中においても、大粒径の微粒子を分散させてもよいが、大粒径の微粒子による偽造防止の作用は、上述したように前方散乱によるものであり、そのためには、後述する(3)の感熱接着層、着色剤層、感熱接着層の順次積層体のタイプで、背景色として光反射層を設ける場合に有効である。大粒径の微粒子としては、上述した透明表面保護層の項で記載した微粒子が同様に例示され、微粒子が分散される接着剤の光屈折率との光屈折率比(nF /nA )を、少なくとも1.05以上、または0.95以下となる微粒子とするとよい。大粒径の微粒子は、接着層中1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%の割合で添加されるとよく、また、ヘーズ値としては5%〜15%である。微粒子の添加量が多過ぎると接着性が低下したり、また、塗膜形成が困難となるので好ましくない。
【0071】
また、後述する第1参考例の偽造防止体積ホログラム積層体で詳述するように、接着層の光屈折率をnA 、体積ホログラム層の光屈折率をnH としたとき、体積ホログラム層と接着層との光屈折率比(nH /nA )が1.08以上となるようにすると、より偽造防止性に優れるものとできる。接着層における光屈折率を体積ホログラム層の光屈折率より小とするには、感光材料よりも光屈折率が小さい接着剤を選択するか、または接着層中に350nm以下の小粒径で光屈折率の小さい微粒子を添加して光屈折率を低めるとよい。大粒径と小粒径の微粒子の含有量は合計で1〜300重量%、好ましくは1〜200重量%の割合である。
【0072】
感熱接着層は、適宜の剥離シート6上に感熱接着剤等を水、トルエン、メチルエチルケトン等の溶媒に溶解、または分散してコンマコーター、ダイコーター、グラビアコーター等により乾燥膜厚2〜20μmに塗布形成した後、体積ホログラム層上に熱圧転写して積層されるとよい。
【0073】
感熱接着層は、無着色透明としてもよいが、ホログラムの視認性の向上を目的として、体積ホログラム層側から、(1)着色された感熱接着層、(2)着色剤層、感熱接着層の順次積層体、(3)感熱接着層、着色剤層、感熱接着層の順次積層体のそれぞれの構成としてもよい。
【0074】
感熱接着層として、(1)の着色された感熱接着層とするとホログラム画像の背景とすることができ、コントラストの高いホログラム画像を与えることができる。着色剤としては、顔料、染料の単独、または混合物が挙げられる。顔料としては、カーボンブラック、銅−鉄−マンガン、アニリンブラック等の黒色顔料、また、黒色以外のナフトールレッドF5RK、フタロシアニンブルー等の着色顔料、赤外線反射顔料を単独または混合して用いられる。顔料として、着色した赤外線反射顔料を使用すると、ホログラム記録層のバック層を可視光とは相違した状態に変化させることができる。また、染料としては、アシッドブラック、クロムブラック、リアテクティブブラック等の黒色染料、また、ディスパースレッド、カチオンブルー、カチオンイエロー等の染料が例示され、単独または混合して用いられる。顔料または染料は、感熱接着層中に1重量%〜40重量%、好ましくは10重量%〜30重量%含有させるとよいが、含有割合が40重量%を越えると感熱接着性が低下するので好ましくない。着色された感熱接着層は、O.D.値が、1.5以上、好ましくは1.9以上であり、また、体積ホログラム層の透過光を50%以上、好ましくは80%以上吸収するものとするとよく、これにより、コントラストに優れるホログラム画像とできる。
【0075】
着色された感熱接着層は、顔料、染料を接着剤と共に酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン等の溶媒に溶解、または分散した後、離型フイルム上にコンマコーター、ダイコーター、グラビアコーター等により乾燥膜厚0.5μm〜100μm、好ましくは1〜50μmに塗布形成された後、体積ホログラム層上に熱圧転写して形成するとよい。
【0076】
また、(2)の着色層、感熱接着層となる積層構成としてもよい。その際、着色層は、バインダーと着色剤とからなるインキ層とされる。バインダーは、ホログラム層、感熱接着層との接着性を有するものであれば格別の制限はなく、例えばポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル−酢ビ共重合樹脂、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢ビ共重合樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、ポリアミド樹脂等が例示される。着色層における着色剤としては、上述の顔料、染料の単独、または混合物が挙げられる。顔料または染料は、着色層中に1重量%〜40重量%、好ましくは10重量%〜30重量%含有させることができ、着色された感熱接着層に比して、多量に含有させることができる。着色層は、O.D.値が、1.5以上、好ましくは1.9以上であり、また、体積ホログラム層の透過光を50%以上、好ましくは80%以上吸収するものとするとよく、これによりコントラストに優れるホログラム画像とできる。着色層は、顔料、染料をバインダー中に分散させインキ化した後、コンマコーター、ダイコーター、グラビアコーター等により乾燥膜厚0.5μm〜100μm、好ましくは1〜50μmで感熱接着層上に直接塗布形成するとよい。着色層、感熱接着層となる積層構成の感熱接着層は、剥離シート6上に感熱接着層、着色層を順次塗布形成し、その着色層側から体積ホログラム層上に剥離シートと共に熱圧転写するとよい。
【0077】
(3)の感熱接着層/着色層/感熱接着層をこの順に剥離シート6に形成したものは、着色層としてアルミニウム、銀、金等の光反射性金属膜や上述したインキ層とされ、その感熱接着層側からホログラム層上に剥離性シートと共に一度に重ねて貼り合わせ、熱圧転写される。
【0078】
接着層を粘着剤層とする場合、粘着剤としては、アクリル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、またはこれらの共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、天然ゴム、カゼイン、ゼラチン、ロジンエステル、テルペン樹脂、フェノール系樹脂、スチレン系樹脂、クロマンインデン樹脂、ポリビニルエーテル、シリコーン樹脂等が例示され、また、アルファ−シアノアクリレート系、シリコーン系、マレイミド系、スチロール系、ポリオレフィン系、レゾルシノール系、ポリビニルエーテル系粘着剤が使用され、1.42〜1.46の屈折率を有するものである。また、接着対象である被着体としてはポリ塩化ビニルシート、ポリスチレンシート、PETシート、上質紙等が例示される。粘着剤層への大粒径の微粒子の添加や光屈折率に関しては、上述した感熱接着層と同様である。
【0079】
粘着剤層は、粘着剤等を溶媒として酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸ブチル等を使用して塗布液とし、適宜の剥離シート上に乾燥膜厚0.5μm〜20μmで塗布して粘着剤層を形成した後、体積ホログラム層上に剥離シートと共にラミネートし、積層される。粘着剤層は、無着色透明でもよいが、ホログラムの視認性の向上を目的として、上記した(1)〜(3)のタイプにおいて感熱接着剤層を粘着剤層としたものである。
【0080】
着色層としては、着色粘着剤層、印刷層、アルミニウム、銀、金等の光反射性金属膜や着色樹脂フイルムが例示される。着色粘着剤層としては透明粘着剤中に着色剤として顔料、染料の単独、または混合物を含有させたものである。顔料または染料は、感熱接着剤層の項で説明したものが同様に使用でき、粘着剤層中に1重量%〜40重量%、好ましくは10重量%〜30重量%含有させるとよい。着色された粘着剤層の膜厚は1μm〜100μm、好ましくは5〜30μmに塗布形成されるとよい。着色された粘着剤層は、O.D.値が1.5以上、好ましくは1.9以上であり、また、ホログラム層の透過光を50%以上、好ましくは80%以上吸収するものとするとよい。これによりコントラストに優れるホログラム画像とできる。印刷層としては、印刷インキを使用したベタおよび/または文字パターンからなる印刷層であり、それ自体で粘着剤層上に転写形成できるものである。また、着色樹脂フイルムとしては、透明プラスチックフイルムに着色剤を含有した着色樹脂フィルム、また、透明プラスチックフイルム上に着色層を設けたものが例示される。
【0081】
次に、剥離シート6としては、体積ホログラム積層体を被着体上に適用するまでの間、接着層を保護するものである。ポリエチレンフイルム、ポリプロピレンフイルム、ポリ弗化エチレン系フイルム、ポリ弗化ビニリデンフイルム、ポリ塩化ビニルフイルム、ポリ塩化ビニリデンフイルム、エチレン−ビニルアルコールフイルム、ポリビニルアルコールフイルム、ポリメチルメタクリレートフイルム、ポリエーテルスルホンフイルム、ポリエーテルエーテルケトンフイルム、ポリアミドフイルム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合フイルム、ポリエチレンテレフタレートフイルム、ポリイミドフイルム、剥離紙等が例示され、膜厚は2μm〜200μm、好ましくは10μm〜50μmである。剥離シートは、積層表面はフッ素系離型剤、シリコーン系離型剤により離型処理されるとよく、透明、または、カーボンブラック等の隠蔽性顔料を練り込んだ不透明フィルムであってもよく、枚葉状、ロール状とされる。
【0082】
次に、第1参考例の偽造防止体積ホログラム積層体について図1(a)により説明する。この偽造防止体積ホログラム積層体は、大粒径の微粒子を添加しないでも、各層間の屈折率の相違により偽造防止を可能とするものである。
【0083】
複製防止のためには、再生光の層間反射率が2%以上、好ましくは5%以上であることが必要である。図3に示す空気層、透明表面保護層、体積ホログラム層の順次積層構成において、体積ホログラムの再生角度を20〜60°とし、再生光を入射させる場合、空気層の屈折率をnair 、透明表面保護層の屈折率をnP 、体積ホログラム層の屈折率をnH とする。スネルの法則
air sinθair =nP sinθP =nH sinθH ・・(1)
において、20≦θp ≦60の場合、nP /nH が最小となるのはθp =60°のときであり、さらに、光がP偏光のときに反射率は極小値をとることから、この条件を満たす屈折率比を最小値とすればよい。また、P偏光におけるエネルギー反射率はフレネルの法則
p =tan2 (θp −θH )/tan2 (θp +θH )・・(2)
で与えられ、Rp =0.02、θp =60°のとき、θH =69.3°であり、(1)式より、nP /nH =1.08と算出される。
【0084】
このことから、透明表面保護層と体積ホログラム層の光屈折率比(nP /nH )を少なくとも1.08としたときに、複製が困難な体積ホログラムを得ることができることがわかる。さらに、5%以上の層間反射率とするには、nP /nH は1.11以上と計算され、より複製が困難な体積ホログラムとできる。
【0085】
層間の光屈折率比が1.08以下の場合には層間反射率が低く、偽造防止性がなく、さらに、光屈折率比が1以下の場合、すなわち透明表面保護層の屈折率が体積ホログラム層の屈折率より小さい場合には、同一の入射角(θp =60)において再生光の反射率を2%以上とるためには、nP /nH を0.4以下とする必要があり、現実的ではない。
【0086】
そのため、第1参考例の偽造防止体積ホログラム積層体は、上述した第1の偽造防止体積ホログラム積層体における透明表面保護層、体積ホログラム層、接着層の各層において、透明表面保護層の光屈折率をnP 、体積ホログラム層の光屈折率をnH 、接着層の光屈折率をnA としたとき、透明表面保護層と体積ホログラム層との光屈折率比(nP /nH )、体積ホログラム層と接着層との光屈折率比(nH /nA )の少なくとも1つの光屈折率比を1.08以上とするとよいが、全反射条件以下の光屈折率比にする必要がある。参考までに、θp =60で1.15、θp =50で1.30、θp =40で1.55である。特に、透明表面保護層と体積ホログラム層との光屈折率比(nP /nH )がこの光屈折率比より大きいと、ホログラムがきれいに見えなくなり、好ましくない。
【0087】
第1参考例の偽造防止体積ホログラム積層体は、上述した第1の偽造防止体積ホログラム積層体における透明表面保護層、体積ホログラム層、接着層の各層に関して、その層間の光屈折率比を調整することにより作製されるものであり、350nm以上の粒径の微粒子を分散させない以外は、各層の材料、積層方法は同様である。また、偽造防止の観点から明らかなように、層間の光屈折率比を1.08以上とする点にしても、透明表面保護層と体積ホログラム層の層間、体積ホログラム層と接着層の層間のいずれか1つの層間であればよく、好ましくは透明表面保護層と体積ホログラム層の層間とするとよい。その場合には他の層間では層間の光屈折率比が1以下であってもよい。
【0088】
次に、第2の偽造防止体積ホログラム積層体について、図1(b)により説明する。
【0089】
第2の偽造防止体積ホログラム積層体は、第1の偽造防止体積ホログラム積層体とは、体積ホログラム層1上に透明表面保護フイルムからなる透明表面保護層4を第1接着層2′を介して積層する点で相違するが、体積ホログラム層1、第2接着層2、剥離シート6は、第1の偽造防止体積ホログラム積層体における体積ホログラム層1、接着層2、剥離シート6と同様である。
【0090】
第2の偽造防止体積ホログラム積層体は、透明表面保護フィルムからなる透明表面保護層、第1接着層、体積ホログラム層、第2接着層の少なくとも1層に350nm以上の粒径の微粒子を分散させると共に、該微粒子の光屈折率をnF とし、微粒子を分散する媒体の光屈折率をnB としたとき、光屈折率比(nF /nB )を1.05以上、または0.95以下とするものである。
【0091】
第1接着層2′としては、ホログラムを観察する観点からは透明性が要求され、上述した感熱接着剤、または粘着剤を使用して形成するとよい。第1接着層2′は、透明表面保護フイルム4と体積ホログラム層1とが相互に接着性を有する場合には不要であるが、透明表面保護フィルムに微粒子を分散させない場合には、第1接着層2′を設け、層中に350nm以上の粒径の微粒子を分散させるとよい。
【0092】
第1接着剤層2′として感熱接着剤、または粘着剤を使用し、体積ホログラム層、透明表面保護フイルムとの接着性の観点から適宜選択されるとよい。第1接着剤層2′中には、偽造防止の観点から上述した第1の偽造防止体積ホログラム積層体における感熱接着層で記載したと同様に350nm以上の微粒子を分散させるとよい。微粒子としては、微粒子の光屈折率と媒体(接着剤)の光屈折率との光屈折率比(nF /nA )は、少なくとも1.05以上、または0.95以下となるように選択される。微粒子は、第1接着層中1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%の割合で添加されるとよく、また、ヘーズ値としては5%〜15%であり、微粒子の添加量やヘーズ値が大きすぎると、ホログラムがきれいに見えず、また、接着性や塗膜形成が困難となるので好ましくない。
【0093】
また、第1接着剤層2′は、後述する第2参考例の偽造防止体積ホログラム積層体の項で記載するように、第1接着剤層2′の光屈折率をnA 、体積ホログラム層の光屈折率をnH としたとき、第1接着剤層2′の光屈折率と体積ホログラム層の光屈折率との比(nA1/nH )が1.08以上となるようにすると、反射性に優れ、より偽造防止性に優れるものとできる。第1接着剤層2′における光屈折率を体積ホログラム層の光屈折率より大とするには、感光材料よりも光屈折率が大きい接着剤を選択するか、または350nm以下の小粒径で光屈折率の大きい微粒子を添加して層としての光屈折率を高めるとよい。大粒径と小粒径の微粒子の合計添加量は上述の添加量の範囲内である。
【0094】
第1接着剤層2′は、透明表面保護フイルム4上に接着剤溶液を接着剤層2と同様に塗布し、乾燥膜厚0.5μm〜20μmで形成した後、体積ホログラム層上に透明表面保護フイルムと共に熱圧転写される。
【0095】
透明表面保護フイルム4としては、例えばポリエチレンフイルム、ポリプロピレンフイルム、ポリ弗化エチレン系フイルム、ポリ弗化ビニリデンフイルム、ポリ塩化ビニルフイルム、ポリ塩化ビニリデンフイルム、エチレン−ビニルアルコールフイルム、ポリビニルアルコールフイルム、ポリメチルメタクリレートフイルム、ポリエーテルスルホンフイルム、ポリエーテルエーテルケトンフイルム、ポリアミドフイルム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合フイルム、ポリエチレンテレフタレートフイルム、ポリイミドフイルム等が例示され、膜厚としては2μm〜200μm、好ましくは10μm〜50μmであり、プラスチックフイルム自体の屈折率としては1.4〜1.6の範囲のものが例示される。プラスチックフイルム中には、偽造防止を目的として着色剤や大粒径の微粒子を含有させてもよく、着色剤や大粒径の微粒子を溶融プラスチック中に分散させて押出成形してフィルム成形されるか、大粒径の微粒子を分散させた樹脂溶液を使用してフィルム化されるとよい。
【0096】
大粒径の微粒子としては、透明表面保護層で記載した微粒子が使用でき、プラスチックフイルム中に1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%で含有され、また、ヘーズ値としては5〜15であり、微粒子の含有量、また、ヘーズ値が高過ぎるとホログラムがきれいに見えないという問題がある。大粒径の微粒子を分散した透明表面保護フイルムの屈折率としては1.4〜2.2の範囲である。
【0097】
透明表面保護フイルムは、体積ホログラム層を保護するためのものであり、その積層表面にはコロナ処理や火炎処理等の易接着処理、また、酸変成ポリエステル樹脂等の易接着層を設けるとよい。また、外表面には、必要に応じてハードコート処理が施されてもよい。ハードコート処理は、例えばシリコーン系、含フッ素シリコーン系、メラミンアルキッド系、ウレタンーアクリレート系(紫外線硬化型)等をディッピング法、スプレー法、ロールコート法等により、膜厚1μm〜50μmになるよう塗布するとよい。また、表面保護フイルムのハードコート処理面には、偽造に際して例えば他のフイルムを貼着して剥離されるのを防止するために離型処理が施されてもよい。離型処理は、フッ素系離型剤、シリコーン系離型剤、ステアリン酸系離型剤、ワックス系離型剤等をディッピング法、スプレー法、ロールコート法等により塗布するとよい。
【0098】
次に、第2参考例の偽造防止体積ホログラム積層体は、本発明の第2の偽造防止体積ホログラム積層体において、大粒径の微粒子を添加しないでも、各層間の屈折率の相違により偽造防止を可能とするものである。また、偽造や複製防止のためには、第1参考例の偽造防止体積ホログラム積層体と同様に、再生光の層間反射率が2%以上、好ましくは5%以上であることが必要である。
【0099】
そのため、第2参考例の偽造防止体積ホログラム積層体は、上述した本発明の第2の偽造防止体積ホログラム積層体における透明表面保護層の光屈折率をnP 、第1接着層の光屈折率をnA1、体積ホログラム層の光屈折率をnH 、第2接着層の光屈折率をnA2としたとき、透明表面保護層と第1接着層との光屈折率比(nP /nA1)、第1接着層と体積ホログラム層との光屈折率比(nA1/nH )、体積ホログラム層と第2接着層との光屈折率比(nH /nA2)の少なくとも1つの光屈折率比を1.08以上とするものである。
【0100】
第2参考例の偽造防止体積ホログラム積層体は、上述した本発明の第2の偽造防止体積ホログラム積層体における透明表面保護層、第1接着剤層、体積ホログラム層、第2接着層の各層に関して、その層間の光屈折率比を調整することにより作製されるものであり、350nm以上の粒径の微粒子を分散させない以外は、各層の材料、積層方法は同様である。また、偽造防止の観点から、層間の光屈折率比を1.08以上、好ましくは全反射条件における光屈折率比以下とするとよい。また、その光屈折率比とするのは、透明表面保護層と第1接着剤層との層間、第1接着剤層と体積ホログラム層との層間、体積ホログラム層と第2接着層の層間のいずれか1つの層間であればよいが、好ましくは透明表面保護層と第1接着剤層との層間、または第1接着剤層と体積ホログラム層との層間を所定の光屈折率比とするとよい。その場合には他の層間では層間の光屈折率比が1以下であってもよい。層間の光屈折率比に関する限定理由は、第1参考例の偽造防止体積ホログラム積層体で記載したと同様である。
【0101】
第1の偽造防止体積ホログラム積層体、第1参考例の偽造防止体積ホログラム積層体の作製方法の一例を示す。
(1) 離型フイルム/ホログラム形成用材料層/離型フイルムの第1積層体
(2) 基材/透明表面保護層の第2積層体
(3) 接着層/剥離シートの第3積層体
を別々に作製する。
【0102】
第1積層体のホログラム形成用材料層に体積ホログラム記録−加熱処理を行なった後、離型フイルムを剥離し、露出した体積ホログラム層面に第2積層体を透明表面保護層側からラミネートし、基材/透明表面保護層/体積ホログラム層/離型フイルムを作製する。次いで、体積ホログラムを紫外線照射して定着処理した後、離型フイルムを剥離し、その剥離面に第3積層体を接着層側からラミネートし、基材/透明表面保護層/体積ホログラム層/接着層/剥離シートからなる体積ホログラム積層体が作製される。
【0103】
第2の偽造防止体積ホログラム積層体、第2参考例の偽造防止体積ホログラム積層体の作製方法の一例を示す。
(1) 離型フイルム/ホログラム形成用材料層/離型フイルムの第1積層体
(2) 透明表面保護フイルム/第1接着剤層の第2積層体
(3) 第2接着剤層/剥離シートの第3積層体
を別々に作製する。
【0104】
第1積層体のホログラム形成用材料層に体積ホログラム記録−加熱処理−紫外線照射を行なった後、離型フイルムを剥離し、露出したホログラム層面に第2積層体を第1接着剤層側からラミネートし、透明表面保護フイルム/第1接着剤層/体積ホログラム層/離型フイルムを作製する。次いで、離型フイルムを剥離し、その剥離面に第3積層体を第2接着剤層側からラミネートし、透明表面保護フイルム/第1接着剤層/体積ホログラム層/第2接着剤層/剥離シートからなる体積ホログラム積層体が作製される。
【0105】
本発明の偽造防止体積ホログラム積層体は、予め、貼る対象やその部分の形状に合わせて切断しておくとよい。また、剥離シートを伴うときは、剥離性シート以外の部分に切れ目を入れておくことにより、大きいサイズや巻き取った形のラベルから、所定の形状の個々のラベルを取り出して、貼る対象に適用することができる。ラベルの上面側から打ち抜き刃を剥離性シートの厚み分を残したストロークにより上下動させ、剥離性シート以外の部分のみに切れ目を入れておくとよい。また、所定の形状の個々のラベルを残して、隣接するラベルとの間の剥離性シート以外の各層を除去しておいてもよい。この場合、剥離性シートの境界部に個々のラベルを分離可能とするミシン目を施しておくとよい。
【0106】
図2(a)(b)は偽造防止体積ホログラムシールの一例を示す断面図である。(a)は、本発明の第1の偽造防止体積ホログラム積層体、第1参考例の偽造防止体積ホログラム積層体を使用して作製される第1の偽造防止体積ホログラムシール、第1参考例の偽造防止体積ホログラムシールであり、(b)は、本発明の第2の偽造防止体積ホログラム積層体、第2参考例の偽造防止体積ホログラム積層体を使用して作製される第2の偽造防止体積ホログラムシール、第2参考例の偽造防止体積ホログラムシールである。図中、7は被着体であり、他の符号は図1と同一内容である。
【0107】
被着体7としては、紙、合成紙、合成樹脂や金属からなるフイルムやシートであることができ、受験票の如きシート状、またIDカードのようなカード形状、また、パスポートのような小冊子等さまざまな形態をとることができる。また、被着体が写真を貼着したものである場合には、写真は剥離しえない接着強度を有する糊等の接着剤を使用して貼着されているとよく、一般的に澱粉のり、合成のり等が例示される。被着体の一部をなす写真は、銀塩を代表とする公知の写真材料、昇華転写画像等であり、必ずしも顔を写した画像である必要はなく、指紋、掌紋等の個人を特定できる部分を表示する画像であってもよい。また、情報欄としては、その証明書がスポーツ大会等の証明書である場合には、数字、文字等が印刷やサーマルヘッドやインクジェットによる単色、またはカラー表示により表示され、会場名、選手か否か、所属等の資格表示、更に主催者による追記事項等を表示しうるものである。
【0108】
なお、本発明における屈折率は、JISK7142(プラスチックの屈折率測定方法)に準拠する下記の装置で測定されるものである。
【0109】
使用装置: 多波長アッペ屈折率計DR−2M(アタゴ社製)
干渉フィルター: 486nm
中間液:モノブロモナフタレン、n25=1.657(波長587nm)
硝材:オハラ製S−LAL14、n25=1.6968(波長587nm)
サイズ 20×8×3mm
加工:20×8 1面 一般光学研磨(測定面)
8×3 1面 研磨(表面粗さ6.3μmRa以下、採光面)
4角0.5C 全周 0.3C面取り。
【0110】
また、粒径としてはLeads & Northrup社製の粒度分布計「マイクロトラックUPA粒度分布計」により測定される50%平均粒径である。
【0111】
また、ヘイズ値は、JIS K7136に準拠するHAZE Meter NDH2000(日本電色工業(株)製)により測定されるものである。
【0112】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。なお、後述する各実施例における体積ホログラムの再生角度は全て50°に設定した。
【0113】
(実施例1)・・第1の体積ホログラム積層体の作成
(離型フイルム/ホログラム形成用材料層/離型フイルムの第1積層体)
PETフィルム{東レ(株)製、ルミラーT−60、厚み50μm}上に、ホログラム形成材料として、下記組成
・ポリメチルメタクリレート系樹脂(分子量200,000)・・・ 500重量部
・3,9−ジエチル−3′−カルボキシルメチル−2,2′−チアカルボシアニン沃素塩 ・・・ 5重量部
・ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート・・・ 60重量部
・2,2−ビス〔4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル〕プロパン・・・ 800重量部
・ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル ・・・ 800重量部
からなる体積ホログラム記録材料を、乾燥膜厚10μmとなるようにグラビアコートにて塗工し、塗工面に表面離型処理PETフィルム(「SP−PET」50μm、トーセロ(株)製)をラミネートし、第1の積層体を作製した。
【0114】
(基材/透明表面保護層の第2積層体)
PETフィルム{東レ(株)製、ルミラーT−60、厚み50μm}上に、透明表面保護層として、
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(PET30;日本化薬(株)製)・・・ 4重量部
・酸化チタン(HT0210、粒径1.7μm、屈折率2.50、東邦チタニウム(株)製) ・・・ 0.1重量部
・分散剤(ディスパービック163;ビックケミー・ジャパン(株)製)・・・0.05重量部
・光開始剤(イルガキュア−184;日本チバガイギー(株)製)・・・ 0.2重量部
・メチルイソブチルケトン ・・・ 37重量部
の塗液を、スライドダイを使用して乾燥後膜厚2μmとなるように均一にコートした。得られた塗膜にUV照射装置(フュージョンUVシステムジャパン(株)製)のHバルブを光源に用いて1000mJ/cm2 (365nm換算)の照射量で硬化させ、第2積層体を作製した。基材を剥離し、透明表面保護層の光屈折率を測定したところ1.54であり、また、ヘーズ値は7.2%であった。
【0115】
(接着層/剥離シートの第3積層体)
表面離型性PETフイルム(「SP−PET」50μm、トーセロ(株)製)上に、感熱接着剤(EC1200、中央理化(株)製)を乾燥膜厚2μmで塗布し、第3積層体を作製した。接着層の光屈折率を測定したところ1.47であった。
【0116】
(体積ホログラム積層体の作製)
第1の積層体に514nmの波長のレーザー光を用いてリップマンホログラムを記録し、100℃、10分間加熱した後、一方の離型フイルムを剥離し、その剥離面に第2積層体をその透明表面保護層側から80℃でラミネートし、基材/透明表面保護層/体積ホログラム層/離型フイルムの積層構成とした。
【0117】
得られた積層構成に、高圧水銀灯を使用して2500mJ/cm2 の照射量でホログラムを定着処理した後、離型フイルムを剥離し、その剥離面に第3積層体をその感熱接着剤側から100℃でラミネートし、基材/透明表面保護層/体積ホログラム層/感熱接着層/剥離シートの体積ホログラム積層体を作製した。
【0118】
得られた体積ホログラム積層体を、その剥離シートを剥離した後、120〜140℃でポリ塩化ビニルカード上にラミネートし、第1の偽造防止体積ホログラムシールを作製した。ホログラムの回折効率は70%であった。
【0119】
(体積ホログラム層における屈折率の測定)
上記で得た第1の積層体に対して、高圧水銀灯を使用して2500mJ/cm2 の照射量で処理し、体積ホログラム層における屈折率を測定したところ、1.52であった。
【0120】
(表面保護層における媒体の屈折率の測定)
上記で得た第2の積層体において、微粒子を添加しない以外は同様にして表面保護層を形成し、その屈折率を測定したところ1.51であった。
【0121】
(光屈折率比)
表面保護層における媒体の屈折率は1.51、微粒子の屈折率は2.50であり、nF /nB =1.66である。
【0122】
微粒子を添加した表面保護層の屈折率は1.54、体積ホログラム層の光屈折率は1.52であり、nP /nH =1.01である。
【0123】
体積ホログラム層の光屈折率は1.52であり、接着層の光屈折率は1.47であり、nH /nA =1.03である。
【0124】
(体積ホログラムの複製)
ホログラムシール表面に、上記で作製した第1積層体を複製材料としてその一方の離型フイルムを剥離して密着させ、複製材料側から上記と同様に514nmの波長のレーザー光を使用して体積ホログラムを複製した。複製材料のホログラム像を観察したところ、外観上、不要な干渉縞が多数記録されており、回折効率約32%であり、暗く、複製品として使用できないものであった。
【0125】
(実施例2)
(基材/透明表面保護層の第2積層体)
PETフィルム{東レ(株)製、ルミラーT−60、厚み50μm}上に、下記組成
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(PET30;日本化薬(株)製)・・・ 4重量部
・酸化チタン(HT0210、粒径1.7μm、屈折率2.50、東邦チタニウム(株)製) ・・・ 0.1重量部
・酸化チタン(TTO51(C);粒径15nm、石原産業(株)製)・・・ 10重量部
・分散剤(ディスパービック163;ビックケミー・ジャパン(株)製)・・・ 2重量部
・光開始剤(イルガキュア−184;日本チバガイギー(株)製)・・・ 0.2重量部
・メチルイソブチルケトン ・・・ 37重量部
の塗液を、スライドダイを使用して乾燥後膜厚2μmとなるように均一にコートした。
【0126】
得られた塗膜にUV照射装置(フュージョンUVシステムジャパン(株)製)のHバルブを光源に用いて1000mJ/cm2 (365nm換算)の照射量で硬化させ、透明表面保護層として第2積層体を作製した。この透明表面保護層の光屈折率は1.85であり、また、ヘーズ値は6.4%であった。
【0127】
(体積ホログラム積層体の作製)
実施例1で作製した第1の積層体に、実施例1同様にホログラム記録した後、同様にして、上記で作製した第2積層体をその透明表面保護層側から100℃でラミネートし、基材/透明表面保護層/体積ホログラム層/離型フイルムの積層構成とした。
【0128】
得られた積層構成に、高圧水銀灯を使用して2500mJ/cm2 を照射してホログラムを定着処理した後、離型フイルムを剥離し、その剥離面に実施例1で得た第3積層体をその感熱接着剤側から100℃でラミネートし、基材/透明表面保護層/体積ホログラム層/感熱接着層/剥離シートの体積ホログラム積層体を作製した。
【0129】
得られた体積ホログラム積層体を、その剥離シートを剥離した後、120〜140℃でポリ塩化ビニルカード上にラミネートし、カード上にホログラムを転写し、第1の偽造防止体積ホログラムシールを作製した。回折効率は70%であった。
【0130】
(光屈折率比)
第2積層体の表面保護層において、大粒径の微粒子を除いた媒体の屈折率を測定したところ1.83であった。大粒径微の粒子の屈折率は2.50であり、nF /nB =1.37であった。
【0131】
透明表面保護層の光屈折率は1.85であり、また、体積ホログラム層の屈折率は1.52であり、nP /nH =1.21であった。
【0132】
体積ホログラム層の光屈折率は1.52であり、接着層の光屈折率は1.47であり、nH /nA =1.03である。
【0133】
(体積ホログラムの複製)
ホログラムシール表面に、上記で作製した第1積層体を複製材料としてその一方の離型フイルムを剥離して密着させ、複製材料側から514nmの波長のレーザー光を使用して体積ホログラムを複製した。
【0134】
複製材料をホログラムシール上から剥離し、複製材料のホログラム像を観察したところ、外観上、不要な干渉縞が多数記録されており、また、全体的にモヤが記録された。回折効率約22%であり、暗く、複製品として使用できないものであった。
【0146】
参考例1)・・第1参考例の体積ホログラム積層体
(基材/透明表面保護層の第2積層体)
PETフィルム{東レ(株)製、ルミラーT−60、厚み50μm}上に、下記組成
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(PET30;日本化薬(株)製)
・・・ 4重量部
・酸化チタン(TTO51(C);粒径15nm、石原産業(株)製)
・・・ 10重量部
・分散剤(ディスパービック163;ビックケミー・ジャパン(株)製)
・・・ 2重量部
・光開始剤(イルガキュア−184;日本チバガイギー(株)製)
・・・ 0.2重量部
・メチルイソブチルケトン ・・・ 37重量部
の塗液を、スライドダイを使用して乾燥後膜厚1μmとなるように均一にコートした。
【0147】
得られた塗膜にUV照射装置(フュージョンUVシステムジャパン(株)製)のHバルブを光源に用いて1000mJ/cm2 (365nm換算)の照射量で硬化させ、透明表面保護層として第2積層体を作製した。透明表面保護層における屈折率は1.83であった。
【0148】
(体積ホログラム積層体の作製)
実施例1で作製した第1の積層体に、同様にホログラムを記録した後、上記で作製した第2積層体をその透明表面保護層側から100℃でラミネートし、基材/透明表面保護層/体積ホログラム層/離型フイルムの積層構成とした。
【0149】
得られた積層構成に、高圧水銀灯を使用して2500mJ/cm2 を照射してホログラムを定着処理した後、離型フイルムを剥離し、その剥離面に実施例1で作製した第3積層体をその感熱接着剤側から100℃でラミネートし、基材/透明表面保護層/体積ホログラム層/感熱接着剤層/剥離シートの第1参考例の体積ホログラム積層体を作製した。
【0150】
得られた体積ホログラム積層体を、その剥離シートを剥離した後、120〜140℃でポリ塩化ビニルカード上にラミネートし、第1参考例の偽造防止体積ホログラム積層体を得た。回折効率は67%であった。
【0151】
透明表面保護層の屈折率は1.83、体積ホログラム層の光屈折率は1.52であり、nP /nH =1.20であった。
【0152】
体積ホログラム層の光屈折率は1.52であり、また、接着剤層の光屈折率は、実施例1から1.47であり、nH /nA =1.03である。
【0153】
実施例3)・・第2の体積ホログラム積層体の作成
(透明表面保護フィルム/第1接着剤層の第2積層体)
PETフィルム{東レ(株)製、ルミラーT−60、厚み50μm、光屈折率1.52)}上に、
・感熱接着剤(AD1790、東洋モートン(株)製)・・・ 100重量部
・炭酸カルシウム微粒子(粒径690nm、光屈折率1.60、日東粉化工業(株)製) ・・・ 1重量部
を乾燥膜厚2μmで塗布し、第2積層体を作製した。第1接着剤層の光屈折率は1.48であり、ヘーズ値は7.9であった。
【0154】
(体積ホログラム積層体の作製)
実施例1における第1の積層体に同様にホログラムを記録し、高圧水銀灯を使用して2500mJ/cm2 の照射量でホログラムを定着処理した後、離型フイルムを剥離し、上記で得た第2積層体を80℃でラミネートし、透明表面保護フィルム/第1接着剤層/体積ホログラム層/離型フイルムの積層構成とした。
【0155】
得られた積層構成に、その離型フィルムを剥離し、その剥離面に実施例1で得た第3積層体をその感熱接着剤側から100℃でラミネートし、透明表面保護フィルム/第1接着剤層/体積ホログラム層/第2接着剤層/剥離シートの第2の体積ホログラム積層体を作製した。
【0156】
得られた体積ホログラム積層体を、その剥離シートを剥離した後、120〜140℃でポリ塩化ビニルカード上にラミネートし、第2の偽造防止体積ホログラムシールを得た。ホログラムの回折効率は70%であった。
【0157】
上記で得た第2の積層体において、大粒径の微粒子を分散しない第1接着剤層の屈折率は1.47である。
【0158】
(光屈折率比)
第1接着剤層における媒体の屈折率は、実施例1から1.47、大粒径の微粒子の屈折率は1.60であり、nF /nB =1.08である。
【0159】
透明表面保護フィルムの光屈折率(nP )は1.52であり、第1接着剤層の光屈折率は1.48であり、nP /nA1=1.02である。
【0160】
第1接着剤層の光屈折率は1.48であり、体積ホログラム層の光屈折率は1.52であり、nA1/nH =0.97である。
【0161】
(体積ホログラムの複製)
ホログラムシール表面に、実施例1で得た第1積層体を複製材料としてその一方の離型フイルムを剥離して密着させ、複製材料側から上記と同様に514nmの波長のレーザー光を使用して体積ホログラムを複製した。
【0162】
複製材料をホログラム上から剥離し、複製材料のホログラム像を観察したところ、外観上、不要な干渉縞が多数記録されており、暗く、複製品として使用できないものであった。回折効率約28%であった。
【0163】
参考例2)・・第2参考例の体積ホログラム積層体
(透明表面保護フィルム/第1接着剤層の第2積層体)
PETフィルム{東レ(株)製、ルミラーT−60、厚み50μm、光屈折率1.52)}上に、
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(PET30;日本化薬(株)製)
・・・ 4重量部
・酸化チタン(TTO51(C);粒径15nm、石原産業(株)製)
・・・ 10重量部
・分散剤(ディスパービック163;ビックケミー・ジャパン(株)製)
・・・ 2重量部
・光開始剤(イルガキュア−184;日本チバガイギー(株)製)
・・・ 0.2重量部
・メチルイソブチルケトン ・・・ 37重量部
の塗液を、スライドダイを使用して乾燥後膜厚4μmとなるように均一にコートした。
【0164】
(体積ホログラム積層体の作製)
実施例1で作製した第1の積層体に同様にホログラムを記録−UVキュアーをした。その後、上記で作製した第2積層体をその透明表面保護層側から室温でラミネート、さらに高圧水銀灯を使用してUV照射し、第1接着層を硬化させることにより表面保護フイルムと体積ホログラムとの密着力を強固なものとした。この作業により、透明表面保護フィルム/第1接着剤層/体積ホログラム層/離型フイルムの積層構成とした。
【0165】
その後、離型フイルムを剥離し、その剥離面に実施例1で作製した第3積層体をその感熱接着剤側から100℃でラミネートし、透明表面保護フィルム/第1接着剤層/体積ホログラム層/感熱接着層/剥離シートの第2参考例の体積ホログラム積層体を作製した。
【0166】
得られた体積ホログラム積層体をその剥離シートを剥離した後、120〜140℃でポリ塩化ビニルカード上にラミネートし、第2参考例の偽造防止体積ホログラムシールとした。回折効率は67%であった。
【0167】
透明表面保護フィルムの光屈折率(nP )は 1.52あり、第1接着剤層の光屈折率は1.83であり、nP /nA1=0.83である。
【0168】
第1接着剤層の光屈折率は1.83であり、体積ホログラム層の光屈折率は1.52であり、nA1/nH =1.20である。
【0169】
(体積ホログラムの複製)
ポリ塩化ビニルカードにおける体積ホログラム層上の透明表面保護層表面に、実施例1で得た第1積層体を複製材料として、その一方の離型フイルムを剥離して密着させ、複製材料側から514nmの波長のレーザー光を使用して体積ホログラムを複製した。
【0170】
複製材料をポリ塩化ビニルカード上から剥離し、そのホログラム像を観察したところ、外観上、不要な干渉縞が多数記録されており、また、全体的にモヤが記録された。暗く、複製品として使用できないものであった。回折効率約31%であった。
【0171】
【発明の効果】
本発明の第1、第2の偽造防止体積ホログラム積層体は、体積ホログラムを記録した体積ホログラム積層体や体積ホログラムシールを原版とし、その表面に複製用感光材料を配置して、記録波長(再生波長)のレーザー光を複製用感光材料側から照射し、原版における体積ホログラムを複製用感光材料に複製しようとしても、再生光を散乱させ、複製用感光材料に記録されるホログラム像を暗くできると共に、各層間の反射光を大きくでき、複製用感光材料に不要な干渉縞を記録するものであり、ホログラム視認性に優れるとともに、偽造防止を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は、本発明の第1の偽造防止体積ホログラム積層体、第1参考例の偽造防止体積ホログラム積層体をその断面で説明するための図であり、また、(b)は、本発明の第2の偽造防止体積ホログラム積層体、第2参考例の偽造防止体積ホログラム積層体その断面で説明するための図である。
【図2】 (a)は、本発明の第1の偽造防止体積ホログラムシール、第1参考例の偽造防止体積ホログラムシールをその断面で説明するための図であり、また、(b)は、本発明の第2の偽造防止体積ホログラムシール、第2参考例の偽造防止体積ホログラムシールその断面で説明するための図である。
【図3】 透明表面保護層、体積ホログラム層の順次積層構成に再生光を入射させる場合の模式図である。
【符号の説明】
1は体積ホログラム層、2は接着層または第2接着層、2′は第1接着層、3は透明表面保護層、4は透明表面保護フイルム、5は基材、6は剥離シート、7は被着体である。

Claims (9)

  1. 透明表面保護層、体積ホログラム層、接着層の順次積層体であって、該透明表面保護層、接着層の少なくとも1層に350nm以上の粒径の微粒子を分散させると共に、該微粒子の光屈折率をnF とし、微粒子を分散する媒体の光屈折率をnB としたとき、光屈折率比(nF /nB )を1.05以上、または0.95以下としたことを特徴とする偽造防止体積ホログラム積層体。
  2. 透明表面保護層、第1接着層、体積ホログラム層、第2接着層の順次積層体であって、該透明表面保護層、第1接着層、第2接着層の少なくとも1層に350nm以上の粒径の微粒子を分散させると共に、該微粒子の光屈折率をnF とし、微粒子を分散する媒体の光屈折率をnB としたとき、光屈折率比(nF /nB )を1.05以上、または0.95以下としたことを特徴とする偽造防止体積ホログラム積層体。
  3. 微粒子を分散させた層におけるヘイズ値を5%〜15%としたことを特徴とする請求項1、または請求項2記載の偽造防止体積ホログラム積層体。
  4. 透明表面保護層が体積ホログラム再生波長光に対して吸収性を有する染料、または顔料により着色されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の偽造防止体積ホログラム積層体。
  5. 透明表面保護層が、透明表面保護塗布膜であるか、または該透明表面保護塗布膜の外表面にさらに基体が積層されていることを特徴とする請求項1、または請求項2記載の偽造防止体積ホログラム積層体。
  6. 透明表面保護層が、透明表面保護フイルムであるか、または該透明表面保護フイルムの外表面にさらに基体が積層されていることを特徴とする請求項1、または請求項2記載の偽造防止体積ホログラム積層体。
  7. 接着層が、感熱接着層、または粘着剤層であることを特徴とする請求項1、または請求項2記載の偽造防止体積ホログラム積層体。
  8. 透明表面保護層、体積ホログラム層、接着層、被着体の順次積層体であって、該透明表面保護層、接着層の少なくとも1層に350nm以上の粒径の微粒子を分散させると共に、該微粒子の光屈折率をnF とし、微粒子を分散する媒体の光屈折率をnB としたとき、光屈折率比(nF /nB )を1.05以上、または0.95以下としたことを特徴とする偽造防止体積ホログラムシール。
  9. 透明表面保護層、第1接着層、体積ホログラム層、第2接着層、被着体の順次積層体であって、該透明表面保護層、第1接着層、第2接着層の少なくとも1層に350nm以上の粒径の微粒子を分散させると共に、該微粒子の光屈折率をnF とし、微粒子を分散する媒体の光屈折率をnB としたとき、光屈折率比(nF /nB )を1.05以上、または0.95以下としたことを特徴とする偽造防止体積ホログラムシール。
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