JP2012200973A - 擬似接着シート及び情報記録積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明基材1の一方の面に、第一のホログラムレリーフ2が設けられ、第一のホログラムレリーフを覆うように第一の接着剤層3が設けられ、且つ、透明基材の他方の面に、擬似接着層4、第二のホログラムレリーフ6が設けられたホログラム形成層5、及び第二の接着剤層7がこの順序で積層されている。
【選択図】図1
Description
特に、擬似接着シートがホログラムを有して、その情報記録積層体内の擬似接着面を剥離して、初めて、ホログラムが観察可能となる情報記録積層体に関するものである。
なお、「挟み込むように折り曲げる」とは、「シート状のもの(情報記録体)」を例えば二つ折りし(シートの中央が「折り目」となる。)、この二つ折りにより生じた空間(内側の空間)に、「別のシート(擬似接着シート)」を差し込んで、その「別のシート」の全体が丁度その内側の空間に入り込むことを意味する。
この「シート状のもの」を二つ折りした際の、その「内側となる面」において、その二つ折りの「折り目」を境界として例えば「左側の面」を「一方の面」とし、「右側の面」を「他方の面」として、この内側の空間に差し込まれた(挟み込まれた)「別のシートの例えば表面」と、その「一方の面」とを接着させると同時に、「別のシートの裏面」と、その「他方の面」とを接着させて、「別のシート」が「シート状のもの」に挟まれた状態で「一体物(情報記録積層体)」となっていることを意味する。
この「折り曲げ」には、三つ折り、その他のより複雑な折り方も含まれるが、いずれも、貼り合わせる際には、折られた多数の面の中の一つの面と、もう一つの面を貼り合わせることとなる。
また、「透明微粒子」とは、金属酸化物、金属窒化物または金属炭化物等の金属化合物であって高い透明性を有し、その質量平均粒子径が5μm以下のもの、または、透明な樹脂の粉体であって、質量平均粒径が10μm以下で且つ粉体を分散保持する樹脂との屈折率が異なるもの、さらには、金属粒子であって、その質量平均粒子径が1μm以下であることで樹脂に分散した際に高い透明性を有するものを意味する。
本明細書において、配合を示す「%」や「部」は特に断わらない限り質量基準である。また、「ホログラム」は、ホログラムと、回折格子などの光回折性機能を有するものも含む。
個人のプライバシーに係わる情報や、広く第三者には開示すべきでない情報、受取った人が外観を一瞥するだけでは記載内容を把握できず、折り曲げて貼着したシートを開いて初めて内容を確認できるという、意外性(受取人に予想を超えた印象を与え、高い関心を持たせる性質という意味。)を付与したい情報、さらには、受取人に対するポイントサービスや割引券付与等の特典情報を記載しているため、郵送途中や、配送途中ではその存在を知られたくない情報等、を記載した書類等に用いられ、それらの書類等に擬似接着シートを貼着し、擬似接着シートを内側に折り曲げて、擬似接着することにより、その書類等の上記情報を第三者から秘匿し、正規の受取人のみに、その情報を伝達する用途が挙げられる。
もちろん、それ以外にも、情報を記載した書類等を、一旦、二つ折り、三つ折り、もしくは、それ以上の回数折り、その書類のサイズを小さくして、搬送し、後に、擬似接着部分を開けて元のサイズとして使用する用途に用いることができる。
これらの「情報を記載した書類」を、以下、「情報記録体」とも称するが、この「情報記録体」に擬似接着シートを貼着した「積層体」、さらには、この「積層体」を二つ折り以上の回数折り曲げ、その擬似接着面同士を加熱、加圧等して熱圧着したものを、「情報記録積層体」と称する。
情報記録体を、三つ折り以上の回数折り曲げる場合には、複数の貼着面が生じるため、個々の貼着面に、異なる擬似接着シートを適用する場合もある。
主に過去に利用したことのある小売店や、入会しているクレジットカード会社などの顧客情報のデータベースから購入頻度などの属性で抽出され、「郵便」や、以下に説明する「メール便」を利用して届けられるダイレクトメールとして、銀行、証券会社、クレジットカード会社、百貨店、量販店などが、大量に顧客に送付しているものであって、その内容を可能な限り第三者には開示すべきでない書類等が挙げられる。
従来、このような個人情報や第三者に開示すべきでない情報に係わる書類等の郵送や配送には、プライバシー保護や、秘匿性確保等の観点から「封書」が使用されてきた。
しかし、「封書」は、「はがき」に比べ郵送料が高いことからコスト高になるという欠点がある。
また、宛先人毎に通知内容が異なる場合に、本人でない第三者に誤って配送しその情報が漏洩してしまうことを防ぐために、宛先人毎のデータをコンピューター制御によって管理し、宛先人名と通知内容の一致性を確保して、発送作業の正確性確保と省力化を図る手法を用いることが主流となっており、この作業において、コンピューターに入力されたデータを、宛先人毎に連続してプリントアウトし、且つ、プリントアウトしたものを、最終発送直前に、再度、その順序やプリント内容を自動照合する際には、「封書」に替えて、「はがき」そのもの、もしくは、「はがき」状の「シート」(これら「はがき」と「シート」を総称して、「情報記録体」と称することもある。)を用いることが必要となる。
もしくは、郵便事業株式会社内国郵便約款第22条に定める「私製葉書」(郵便事業株式会社以外の者が作成する通常葉書及び往復葉書。)であって、
通常葉書は、長辺14センチメートル以上15.4センチメートル以下、短辺9センチメートル以上10.7センチメートル以下の長方形の紙とし、往復葉書は、長辺18センチメートル以上21.4センチメートル以下、短辺14センチメートル以上15.4センチメートル以下の長方形の紙を短辺の部分をそろえて折り目が右側(横に長く使用するものにあっては、下側)になるように折り合わせ、その上片を往信部に、その下片を返信部とし、往信部の裏面と返信部の表面とがそれぞれ内側になるようにしたもの、
紙質及び厚さは、郵便事業株式会社の発行するものと同等以上であるもの、
重量は、通常葉書にあっては2グラム以上6グラム以下、往復葉書にあっては4グラム以上12グラム以下(往信部及び返信部のそれぞれが2グラム以上6グラム以下)のもの、
表面の色彩は、白色または淡色であるもの、
往復葉書の返信部の表面の左上部(横に長く使用するものにあっては、右上部)には、その返信部の料金支払に充てるため、往復葉書の料金の半額相当額の郵便切手をはり付け、または、料金受取人払の表示をしたもの、
表面の上部または左側部(横に長く使用するものにあっては、右側部)の中央に、通常葉書にあっては「郵便はがき」またはこれに相当する文字を、往復葉書の往信部及び返信部にあっては「郵便往復はがき」またはこれに相当する文字を明瞭に表示したもの、等が挙げられる。
宛名記載をせず指定した区域のみを配達するもので、各種宣伝用に使われることが多くポスティングに近い、配達地域指定郵便物(タウンメール)等、
そして、下端にくじが印刷されており、抽選で賞品があたる「くじ付き郵便はがき」でもある、お年玉付き郵便はがき(年賀はがき)や、夏のおたより郵便はがき(かもめ〜る、暑中見舞用郵便はがき)など、日本の風習に沿った用途のはがき等、さらには、各種のおまけ、割引券、サービス券等を、その一部に切り離し可能に設けたもの、もしくは、アドレスにアクセスしたり、ダイヤル番号に電話することにより、各種イベント案内や、何らかの特典情報、ポイントサービス等を得ることができる情報、すなわち、インターネットWEBアドレスや、フリーダイヤル番号等が印字されたもの等の、受取人に対して各種のサービスを提供する目的で利用されるもの、
もしくは、運送会社による配送物の中から、「紛失時の損害額の減額」,「小サイズに限定」,「ポストインで判取り不要」を条件に、配送伝票のコストダウンを図り、バーコード追跡システムを維持しつつ配送費用のコストダウンを実現した「メール便」と呼ばれる配送サービスにおいて、各種の通知や案内状または請求書などの書面を送付する手段として、さらには、親展書類等を送付する手段として郵便規則等の制限なく配送されるものなどが挙げられる。
もちろん、個人が、擬似接着シートを用いて、上記のような情報記録体を作成し、郵送、配送したり、プレゼントとして贈呈したりするための、「はがき等作成用キット」として、販売する等の用途にも用いることができる。
本発明の擬似接着シート、及び、情報記録積層体は、以上の情報記録体、もしくは、情報伝達物の中でも、特に、意匠性に優れることが求められ、且つ、その「開き率」(擬似接着された「はがき」等を開く率という意味。)を高める必要のある分野に好適に用いられる。
近年、「封書」に替えて、個人のプライバシーに係わる記録内容を隠蔽することのできる様々な「はがき」が提案されている。
これらの提案の一つとして、通常のはがきの表面に記載された文字や数字の上に、剥離可能に貼着することにより記録内容を隠蔽することのできる「シール紙」があるが、この「シール紙」は、接着面に弱粘着剤を使用しているため、弱粘着剤層を保護するための剥離紙を設けなければならず、コスト高になる上、その剥離紙の処分も煩雑になるという欠点があった。
また、「シール紙」を剥がす際に、「はがき」に記載された文字部分が剥がれて弱粘着層面に転移し、しばしば、文字が読めなくなるという欠点があった。
更に、この「シール紙」は、開封した痕跡が残らないように脱着することも可能であるので、プライバシー侵害防止効果に劣るという欠点があった。
また、他の材料として、「はがき」の表面に記載された文字を外部から見ることができないようにアルミニウム箔を積層したシートを、「はがき」の文字部分に貼着し、「はがき」の縁に沿って設けられたミシン目を切り離すことによって初めて開封することができるようした「ラベル」がある。しかしながら、この「ラベル」は複数構成から成る積層物であるためコスト高になる上、剥がした「ラベル」が破き難いのみならず不燃物でもあるので廃棄処理も煩雑となるという欠点があった。
その上、上記の「シール紙」や「ラベル」は、記載された情報の一部を隠蔽するためにしか使用できず、多くの情報を郵送する必要がある場合には、コスト高となっても封書を使用せざるを得なかった。
その提案例としては、例えば、表面に情報を記録することのできる感熱接着剤層を紙製支持体の片面に形成せしめた「封緘はがき」がある(特許文献1:実開平1−148371号公報参照。)。
この「封緘はがき」は、2つ折りにして「はがきサイズ」となるもので、感熱接着剤の表面に情報を記録した後、これを2つ折にして感熱接着剤同士を剥離可能な接着強度で熱圧着するものである。
しかしながら、この「封緘はがき」は、感熱接着剤層の表面、すなわち、剥離面に情報を記録するため、他面に記録内容が転写されるという欠点があるのみならず、感熱接着剤層の接着強度の調整が難しいために、「剥がしカール」(接着面を界面として基材を剥がした際、その基材が大きくカールしてしまう現象。極端な場合には、基材が円筒状にまるまってしまう。)が発生して情報の判読が困難となるなどの欠点がある。
また、2枚のはがきサイズの情報記録体に情報記録した後、各記録体の情報記録面同士を再剥離可能に感熱接着することのできる、両面接着性を有する感熱接着シート、及び、それを用いた情報記録体も提案されている(特許文献2:特開平4−126298号公報参照。)。
しかし、この感熱接着シートを用いた情報記録体の場合には、支持体の両面に形成した合成樹脂塗工層からなる感熱接着シートを、情報記録した2枚のはがきサイズの記録体の情報記録面間に挟んで感熱接着させる時、情報記録面と合成樹脂塗工層とが、直接、接し、熱溶融した合成樹脂塗工層が情報記録体の切り口部からはみ出し、支持体と合成樹脂塗工層間の剥離界面を樹脂で覆うため開封不良となり易いこと、及び、高濃度のインクで覆われた記録体材表面と合成樹脂塗工層との接着性が劣るという点で満足できるものではなかった。
しかし、この感熱積層シートを用いても、その受取人が、その差出人を確認するだけで、すなわち、外観を一瞥するだけで、擬似接着部分を開けることなく、そのまま廃棄する場合も多く、もしくは、一旦、開けて、その内側に記載された情報を確認したとしても、その情報の必要部分のみをメモして、開封した情報記録(積層)体を廃棄するか、情報そのものが一読すれば十分であって、保管する必要のない情報であると判断して、速やかに、開封した情報記録(積層)体を廃棄してしまうという課題を有するものであった。
すなわち、その「開き率」の向上や、開いた情報記録(積層)体を受取人の手元に置かせることによる、差出人発信情報の継続的提供性の確保という面では、何らの機能を有しないものであった。
擬似接着シートであって、その擬似接着シートにホログラムを設け、その擬似接着シートを介して、少なくとも二つ折りした情報記録体を熱圧着により貼着し情報記録積層体として、情報記録体上に記録した情報と、そのホログラムとを内側に秘匿することにより、その情報記録積層体の擬似接着面を剥離、すなわち、その二つ折りを開いて初めてそのホログラムを観察でき、且つ、その情報を確認可能となる、情報記録積層体を提供可能な擬似接着シートに関するものである。
そして、その情報記録積層体を受け取った受取人の注意を十分喚起して、関心を高め、その「開き率」を向上し、しかも、開いた情報記録積層体の両方の広い面積に渡ってホログラムを鑑賞できるものとし、さらには、開いた情報記録積層体を速やかに廃棄しようとする受取人に対して、その情報記録積層体を手元に保持させ得る機能を有する、擬似接着シート、及び、その擬似接着シートを用いた情報記録積層体を提供する。
本発明の擬似接着シートの第1の態様は、
透明基材の一方の面に、第一のホログラムレリーフH1が設けられ、前記第一のホログラムレリーフを覆うように第一の接着剤層が設けられ、且つ、前記透明基材の他方の面に、擬似接着層、第二のホログラムレリーフH2が設けられたホログラム形成層、及び第二の接着剤層がこの順序で積層されていることを特徴とするものである。
上記第1の態様の擬似接着シートによれば、
透明基材の一方の面に、第一のホログラムレリーフH1が設けられ、前記第一のホログラムレリーフを覆うように第一の接着剤層が設けられ、且つ、前記透明基材の他方の面に、擬似接着層、第二のホログラムレリーフH2が設けられたホログラム形成層、及び第二の接着剤層がこの順序で積層されていることを特徴とする擬似接着シートを提供することができ、この擬似接着シートを用いた情報記録積層体の「開き率」を向上可能な、擬似接着シートを提供することができる。
本発明の擬似接着シートの第2の態様は、
前記透明基材の屈折率と第一の接着剤層の屈折率との差、及び、前記ホログラム形成層の屈折率と前記第二の接着剤層の屈折率との差が、0.1〜0.3であることを特徴とするものである。
上記第2の態様の擬似接着シートによれば、
前記透明基材の屈折率と第一の接着剤層の屈折率との差、及び、前記ホログラム形成層の屈折率と前記第二の接着剤層の屈折率との差が、0.1〜0.3であることを特徴とする第1の態様に記載の擬似接着シートを提供することができ、第1の態様の特徴に加えて、より鮮明なホログラムを鑑賞可能な、擬似接着シートを提供することができる。
前記第一のホログラムレリーフH1に追従するように第一の透明反射性薄膜層が設けられ、且つ、前記第二のホログラムレリーフH2に追従するように第二の透明反射性薄膜層が設けられていることを特徴とするものである。
上記第3の態様の擬似接着シートによれば、
前記第一のホログラムレリーフH1に追従するように第一の透明反射性薄膜層が設けられ、且つ、前記第二のホログラムレリーフH2に追従するように第二の透明反射性薄膜層が設けられていることを特徴とする特徴とする第1の態様に記載の擬似接着シートを提供することができ、第1の態様の特徴に加えて、ホログラム再生像を著しく鮮明とすることが可能な、擬似接着シートを提供することができる。
本発明の擬似接着シートの第4の態様は、
第1〜第3の態様において、前記第一の接着剤層が第一の透明微粒子を含み、且つ、前記第二の接着剤層が第二の透明微粒子を含むことを特徴とするものである。
上記第の態様の擬似接着シートによれば、
前記第一の接着剤層が第一の透明微粒子を含み、且つ、前記第二の接着剤層が第二の透明微粒子を含むことを特徴とする第1〜第3の態様に記載の擬似接着シートを提供することができ、第1〜第3の態様の特徴に加えて、擬似接着シートをハンドリングする際に、ホログラムの存在を秘匿することが可能な、擬似接着シートを提供することができる。
本発明の第5の態様は、
請求項1〜4のいずれかに記載の擬似接着シートを挟み込むように折り曲げた情報記録体の、その折り目によって分けられた2つの内側の面のうち、一方の面と前記擬似接着シートの前記第一の接着剤層とが接着し、且つ、他方の面と前記擬似接着シートの前記第二の接着剤層とが接着した情報記録積層体であって、
前記擬似接着層と、前記透明基材との界面が剥離可能であることを特徴とするものである。
上記第5の態様によれば、
第1〜4の態様のいずれかに記載の擬似接着シートを挟み込むように折り曲げた情報記録体の、その折り目によって分けられた2つの内側の面のうち、一方の面と前記擬似接着シートの前記第一の接着剤層とが接着し、且つ、他方の面と前記擬似接着シートの前記第二の接着剤層とが接着した情報記録積層体であって、
前記擬似接着層と、前記透明基材との界面が剥離可能であることを特徴とする情報記録積層体を提供することができ、その「開き率」を直接、向上可能な、情報記録積層体を提供することができる。
透明基材の一方の面に、第一のホログラムレリーフH1が設けられ、前記第一のホログラムレリーフを覆うように第一の接着剤層が設けられ、且つ、前記透明基材の他方の面に、擬似接着層、第二のホログラムレリーフH2が設けられたホログラム形成層、及び第二の接着剤層がこの順序で積層されている。
また、前記透明基材の屈折率と第一の接着剤層の屈折率との差、及び、前記ホログラム形成層の屈折率と前記第二の接着剤層の屈折率との差が、それぞれ0.1〜0.3の範囲内である擬似接着シートとすることもでき、さらに、前記第一のホログラムレリーフH1に追従するように第一の透明反射性薄膜層が設けられ、且つ、前記第二のホログラムレリーフH2に追従するように第二の透明反射性薄膜層が設けた擬似接着シートとすることもできる。
そして、これらの擬似接着シートの前記第一の接着剤層、及び、前記第二の接着剤層に、それぞれ透明微粒子を含ませた擬似接着シートとすることもできる。
前記前記第一の接着剤層、及び、前記第二の接着剤層に含まれる透明微粒子は、同一の透明微粒子でもよいが、異なる透明微粒子としてもよい。
この透明微粒子は、第一ホログラムレリーフH1及び第二のホログラムレリーフH2の上側の層と下側の層(両層の上側と下側にある、第一及び第2接着剤層を意味する。)に含められていることから、ホログラムレリーフH1やH2を上側から、もしくは、下側から照明する「照明光」を散乱させる効果を有し、擬似接着シートをどちらの面から観察しても、ホログラムレリーフH1及びH2を鮮明には見ることができず、高い偽造防止性を付与することとなる。
そして、また、2つの接着剤層に透明微粒子を含む場合には、この擬似接着シートを情報記録体に挟み込み、情報記録積層体とした後、その情報記録積層体を開いてその内側にある情報(情報記録体上の情報)を読み取る際に、ホログラムレリーフH1とH2の間に存在する擬似接着層と、透明基材との界面で剥離が起き、そして、ホログラムレリーフH1やH2の上側にあった透明微粒子を含む接着剤層が、情報記録体に接着して、ホログラムレリーフH1やH2のそれぞれの下側に配置するため、その「内側にある情報(情報記録体上の情報)」の上を覆うように重なった、より鮮明なホログラムを、その開いた両面に観察することができる。
その上、それぞれの接着剤層にそれぞれの透明微粒子が含まれていることで、ホログラムレリーフH1とH2のホログラムを観察する際に、阻害要因となる情報記録体表面の反射光(照り返し)を和らげる効果を有する。
上記の透明基材としては、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や、その一方の面に第一のホログラムレリーフH1や、第一の接着剤層、そして、その他方の面に擬似接着層、ホログラム形成層、その上の第二のホログラムレリーフH2、及び、第二の接着剤層を設ける際の処理や加工、さらには、情報記録体への接着処理において、各種加工機の搬送用ガイドロールとの接触に対する耐磨耗性が高く、それらの処理や、加工に適した耐溶剤性、耐熱性及び耐摩耗性を有するものであって、擬似接着層との適度な接着性および再剥離性を有する、透明基材を用いることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、アクリル酸エステル樹脂、もしくは、アクリルアミド樹脂等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、もしくはフェノール樹脂等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、各種イソシアネート樹脂を用いて架橋させてもよいし、あるいは、各種の硬化触媒、例えば、金属石鹸を配合するか、または、熱もしくは紫外線で重合を開始させるための、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物、ベンゾフェノン、もしくは、アセトフェノン等を配合しても良い。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート等を挙げることができ、このような電離放射線硬化性樹脂に架橋構造を導入して用いてもよい。
さらに、環境に配慮して、生分解プラスチックを透明基材として用いることもできる。
上記の透明な材料を用いて、その一方の面に第一の第一のホログラムレリーフH1を形成するには、フォトレジスト等を用いて、その透明な材料上に直接的に形成するか、または、これらの熱可塑性樹脂や、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂など、エクストルージョン成形法に適する樹脂を用いて、フィイルム化と同時に第一のホログラムレリーフH1を形成することもでき、さらには、ポリカーボネートや、ポリエチレンテレフタレート等の適宜な透明フィルム上に、レリーフホログラムを形成可能な上記の透明な材料を設けておき、この透明な材料面に、複製用型を用いて、賦型(レリーフを形成するという意味。)を行なうことにより、一方の面に第一のホログラムレリーフH1を有する透明基材を形成することができる。
後者は、非常に量産性に優れる。もちろん、その透明フィルムを介さず、直接、フィルム状の透明材料の一方の面に、直接、賦型を行うことも好適である。
透明な材料として紫外線硬化タイプや、電子線硬化タイプ等の電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、ホログラムとしての耐久性等の物理特性に優れることから、ホログラムの長期保存性に適したものとなる。また、情報記録体を情報記録積層体とするために、擬似接着シートを挟んで、加熱、加圧する際にも、透明基材の表面に形成した第一のホログラムレリーフH1の形状が崩れず、好適である。
ここで、情報記録積層体を開いた時に(受取人が)目視にて鑑賞可能なホログラムを、少なくとも1種類は含めておくことは必須である。
本発明において、「ホログラム」は鑑賞用とし、「開き率向上」をその目的として設けられているが、そのはがき等が信頼できる送付人から送られてきたことを示すという、いわゆる、偽造防止性を併せ持つことも好適である。
例えば、送付人がはがき等を送付した後、受取人が、その中にある返信用はがき部分(切り離し可能に設けられ、申込書の体裁を有する部分。)等に所定の個人情報等を記入して、返信用はがきとしてその送付人に返送する際に、その申込書が正しい送付人に返送されるものであることを保証するような目的で使われることも好適である。
そして、「ホログラム」は、少なくとも二つ折りした状態から、開いた状態にして「鑑賞」するものであり、完全に開いた状態においては、その開き角度は、180度となる。
例えば、二つ折りの場合には、二つ折りに閉じた状態で、その「シート」を水平に保ち、この水平面を基準面として、基準面上のY軸を、「シート」の天地方向、基準面上のX軸方向を、その「シート」を展開する方向とする。
例えば、はがき等の情報記録積層体を受け取った受取人が、そのはがき等の上に記載された情報を視認する際には、この基準面である水平面に対して垂直な方向をZ軸とすると、この「シート」を照明する光源がその「シート」を照明する方向(光源から「シート」に向かう光となる。)が、YZ平面内においてZ軸と「+10度」の角度をなす方向であり、その照明光によって情報記録体上の印刷等の情報(オフセット印刷や、グラビア印刷、インクジェットプリンター等による固定情報や、個人毎の可変情報等を意味する。)を、同一のYZ平面内において、Z軸とは「−10度」の角度をなす方向において視認することになる。
すなわち、同一のYZ平面内のZ軸に対して「−30度」の角度において、鮮明なホログラムを「鑑賞」することができることを意味する。
この観賞用のホログラムに加えて、単一波長光源である半導体レーザーや、照明波長帯域の狭いLED光源(発光波長帯域幅10nm〜50nmのピークを有するもの。)を用いて初めて視認可能となるような「ホログラム」を、通常の照明光で鑑賞可能なホログラムに追加して記録(記録角度を変えて記録する等の多重記録を意味する。)しておき、ホログラム鑑賞に加えて、真偽判定をすることも好適である。
すなわち、開き角度‘180度’の時には、はがき等を開いたときの、その左右部分から、上記した立体配置の方向に「ホログラム再生像イメージ1」の再生像が結像し、開き角度‘150度’の時には、開いた左右部分が、基準面からそれぞれZ軸方向に15度ずつ浮き上がっている状態(左右の部分をそれぞれ別の平面領域として、個々の平面がY軸を中心線として、15度ずつ、浮き上がる方向へ回転した状態を意味する。)となり、照明光が、この「斜め」となった左右部分を照明し、その面から受取人の「目」の方へ向かう回折光によって、「ホログラム再生像イメージ2」が結像するものである。
もちろん、開き角度を変化させたときに、ホログラム再生像が結像する方向を、上記Z軸に対して「−20度」とするように変化させることも好適である。
このような、いわば、捩れた方向に、ホログラム再生像を向かわせるためには、「ホログラム再生像イメージ1」記録時の光学系の立体配置に対して、その干渉縞形成面に配置している感光材面、及び、光源光(「参照光」を意味する。)はそのままとし、「ホログラム再生像イメージ2」記録時には、再生像となる「物体光」(「物体」表面で反射してくる光という意味。通常は、この「光」を見て、「物体」を認識している。)の入射方向を、基準平面内で15度回転させた方向とすることにより実現できる。
立体像が再生可能なコンピュータジェネレーテッドホログラムの作成手法には、概略2つの方法があり、その1つは非特許文献「画像ラボ」(1997年4月号Vol.8,No.4.34〜37頁)もしくは、「3次元画像コンファレンス‘99―3D Image Conference’99−」講演論文集CD−ROM(1999年6月30日〜7月1日工学院大学新宿校舎)等で知られた物体表面を点光源の集合で置き換える方法である。もう1つは、ホログラフィック・ステレオグラムの方法である。
本発明においては、前者の物体表面を点光源の集合で置き換える方法を採用できる(図1参照。)。これは、干渉縞の強度分布を記録したバイナリホログラムであって、再生像が水平方向の視差のみを持ち、上方からの光源光で観察される場合について、その概要を説明すると、図1に示すように、ステップST1で、CGH化する物体の形状が定義される。次いで、ステップST2で、物体、CGH面、参照光の空間配置が定義される。次いで、ステップST3で、物体は、水平面でのスライスにより垂直方向に分割され、さらにスライス面上で点光源の集合に置き換えられる。そして、ステップST4で、これらの空間配置に基き、CGH面上に定義された各サンプル点において、物体を構成する各点光源から到達する光と参照光との干渉縞の強度が演算により求められ、干渉縞データが得られる。次に、ステップST5で、得られた干渉縞データは量子化された後、ステップST6で、EB描画(電子線描画)用矩形データに変換され、ステップST7で、EB描画装置により記録材料に記録され、CGHが得られる。
このようにして、擬似接着して閉じたはがき等を、開く角度により、異なるホログラムを再生することができる情報記録体及び、それを用いた情報記録積層体を作成することができ、より意匠性に富んだものとし、それによって、その「開き率」をさらに高いものとすることができる。
上記したホログラム再生像イメージ1とホログラム再生像イメージ2の再生方向は、3次元立体配置において、捩れた方向となっているため、ホログラム再生像同士の干渉により、互いに不鮮明化する現象が発生しにくく、開き角度180度に対して、10度以上角度を変えることで鮮明な第二のホログラム再生像を視認することができる。
しかしながら、ホログラム再生像は、多重記録によって、個々のホログラム再生像の再生効率(鮮明さの度合いであって、回折格子の回折効率と同様の指標である。)が低下するため、その低下を考慮して、180度、150度、120度、90度の四重記録が、限界である。
もちろん、開き角度90度未満となると、はがき等を開く角度が狭くなりすぎて、ホログラムを照明する光の量を十分確保できなくなる。
例えば、開き角度が180度のときには、正面を向いているホログラム再生像が、開き角度150度のときには、横を向いているホログラム再生像となるようにしたり、奥にあったホログラム再生像が、手前側に結像し、手前に飛び出すように見えるものとすることも可能である。
さらには、情報記録積層体に用いる情報記録体の材質によって、上記した「剥がしカール」を解消することが困難な場合があり、このような場合には、情報記録積層体を開けた際に、必ず、「剥がしカール」が発生し、左右に開いた面の中央部分が、上記基準面から、1〜5mm浮き上がる形となる。
但し、この「剥がしカール」の浮き上がり量(上記の場合は、「1〜5mm」。)は、再現性があり、従って、透明基材にホログラムを記録する際、この浮き上がりを想定して、記録することにより、この様な「剥がしカール」が発生する情報記録積層体においても、歪みの少ない、鮮明なホログラム再生像を得ることができる。
すなわち、上記の「ホログラフィー露光装置」におけるホログラム撮影時に、その干渉縞形成面に配置している感光材面の形状を、この「剥がしカール」発生状態と同一の形状とし、ホログラムを撮影し、そのホログラムを、レリーフホログラムとして複製することで得られる。
また、上記した、コンピュータジェネレーテッドホログラム(CGH)の手法を用いて、ホログラムを再生するホログラム記録面が、「剥がしカール」の形状(半円筒形)となるように設定してホログラムを作成することによっても、同様の、歪みの少ない、鮮明なホログラム再生像を得ることができる透明基材を作成することができる。
単一回折格子のように、全く同一形状の凹凸の繰り返しであるものは、隣り合う凹凸が同じ形状であればある程、反射する光の干渉度合いが増しその強度が強くなり、最大値へと収束する。回折方向のぶれも最小となる。立体像のように、画像の個々の点が焦点に収束するものは、その焦点への収束精度が向上し、再現もしくは再生画像が鮮明となる。すなわち、ホログラム再生像が鮮明となる。
上記の微細な凹凸形状を精密に再現するため、また、複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小とするため、複製用の原版は金属を使用し、低温・高圧下で複製を行う。
複製用原版には、Niなどの硬度の高い金属を用いる。高圧回転式の複製に用いるためには、このNi層の厚み精度を高くする必要がある。複製方式は、高圧とするため、平板式でなく、回転式を用いる。
第一のレリーフホログラムH1が形成された透明基材は、その表面に上記のような微細な凹凸を形成可能であればよいため、その厚さを非常に薄く形成することも可能で、その厚さは、上記した凹凸深さの2倍以上あればよいが、可視光線の波長よりも大きくすることが望ましく、3μm〜100μmとする。3μm未満では、ハンドリング適正に欠け、100μmを超えると、情報記録体に挟み込む際に大きな段差を生じ、且つ、情報記録積層体の変形やカールの要因となる。
また、3μm〜50μm厚さのポリエチレンテレフタレート(「PET」とも称する。)等の適宜な透明フィルム上に、上記した「透明な材料」を積層したものを「透明基材(2層となる。)」として用いる場合には、その透明フィルムと透明な材料とを積層した「総厚さ」をこの範囲内に設定する。
この透明基材上に設けた第一のホログラムレリーフH1を埋めるように、第一の接着剤層を設ける。すなわち、透明基材(その上の第一のホログラムレリーフH1)と第一の接着剤層との界面が、ホログラムレリーフの凹凸形状となる。
そして、この界面での反射光により、レリーフホログラムのホログラム再生像を視認することとなる。
この際、透明基材の屈折率と第一の接着剤層の屈折率との差を、0.1〜0.3とすることで、レリーフホログラムのホログラム再生像をより鮮明にすることができる。
ホログラム再生像の鮮明さは、この界面の反射光の反射率が高ければ高い程、すなわち、界面を構成する2つの樹脂間の屈折率差が大きければ大きい程、高まることとなる。
「ある2つの層」の界面に、屈折率n1の「層」側から、垂直に入射する光の反射率は、もう一つの「層」の屈折率をn2とすると、反射率Ref={(n1−n2)/(n1+n)}2と表すことができる。
この式より、透明基材と第一の接着剤層の屈折率差が大きければ大きい程、この反射率Refが大きくなることが判る。(反射率の大きさは、光の入射角度に依存するが、この傾向はいずれの入射角度においても同様である。)
従って、この屈折率差は大きければ大きいほど、その界面での光の反射率が大きくなり、望ましいが、いずれも透明な樹脂を用いる透明基材と、第一の接着剤層とにおいては、0.3を超える屈折率差を実現することは、その量産性、及び、コスト面から、非常に困難である。
但し、第一の接着剤層には、光散乱性を有すると同時に、高屈折率であって、第一の接着剤層の屈折率を高めることができる、透明微粒子(二酸化チタン顔料:屈折率2.70、酸化鉄パール顔料:屈折率3.0など。)を比較的多く混入させることが可能であるため(第一の接着剤層を通過する光は、「ホログラム再生」には寄与しないため、敢えてこの散乱性を高くする。)、ホログラム形成層の屈折率を低く設定し、第一の接着剤層の屈折率を高く設定するほうが、構成設計上、容易となる。
この第一の接着剤層が、情報記録積層体を作製するための加熱、加圧により、情報記録体の折り曲げられた一方の面に接着することとなる。
この情報記録体に用いられる「基材(基紙)」は、印刷用紙や情報用紙等、すなわち、上質紙、中質紙、色上質紙、アート紙、コート紙、マットコート紙、ミラーコート紙、アートポスト、ケント紙、更紙、ノーカーボン紙、模造紙、グラシン紙、再生紙、白板紙、色板紙、加工紙、上級印刷紙、中級印刷紙、下級印刷紙、微塗工紙、軽量コート紙、インクジェット用紙、昇華熱転写用紙等のプリンター用紙、フォーム用紙、ノーカーボン紙、感熱紙、OCR用紙、OMR用紙、磁気記録紙等(情報用紙)、未晒クラフト紙・半晒クラフト紙、塗工晒クラフト紙、再生可能防湿紙等、他の素材を混ぜ合わせた紙、風合いを出した紙、パール加工紙、ライナー、中芯原紙等、表面に顔料が塗られていないもので、木材原料を化学処理した化学パルプと、木材原料をほぐしただけの機械パルプを混ぜた、非塗工紙、上質紙、中質紙をベースに片面または両面に塗料を塗って、圧力をかけたロールの間を通し光沢を出した、塗工紙等、木材パルプを原料とし、機械により大量生産された洋紙に対して、楮(コウゾ)、三椏(ミツマタ)、雁皮(ガンピ) 、麻、檀(まゆみ)等を原料とした和紙等が用いられることが多い。
もちろん、上記の「紙」以外にも、樹脂含浸紙、ユポなどの合成紙、樹脂フィルム等も用いられる。樹脂フィルムとしては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリスチレン(PS)、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂(ABS)、ポリ塩化ビニル等が用いられるが、これらのものを用いる場合には、その表面の印刷適性等を改善するため、表面改質処理を施したり、適宜な樹脂をコーティングしたものを用いることができる。
また、情報記録体上の記録情報をグラビア印刷等のフルカラー印刷で設ける場合には、その基材として、アート紙、ミラーコート紙や、ユポ等を用いることが多く、また、印刷用紙や情報用紙に種々の印刷を施した後に、その上にさらに、「艶出し」コート等をして、情報記録体表面を「鏡面」とする場合が多く、その場合には、その情報記録体表面から高い反射光が戻ってくることとなる。
このような「鏡面」の上に透明基材、すなわち、第一のホログラムレリーフH1を配置すると、本来の(反射タイプとしての)ホログラム再生に寄与しない0次透過回折光や、±1次透過回折光が、一旦、透明基材を透過し、この「鏡面」でそれぞれ全反射し、再び、透明基材を裏から透過して、本来の(反射タイプとしての)ホログラム再生像を不鮮明にする現象を起こしてしまう。
そのため、これらの不要な0次透過回折光や、±1次透過回折光を散乱させて、その進行方向や、位相を乱して、上記したような阻害の発生を抑制するため、透明基材と情報記録体表面との間に位置する「第一の接着剤層」を「光散乱性を有するもの」とする。
そして、「第一の接着剤層」を、「接着性を維持しつつ、光散乱性を有する層」とするために、第一の接着剤層に用いる接着剤に透明微粒子を含める。
これに対して、ホログラム照明光(参照光ともいう。)に対する「透明性」とは、その照明光をその光の進行方向、強度や位相を「乱すことなく通過させる」という意味を有する。
本発明においては、これらの「透明性」を区別して用いる。
すなわち、記録情報に対する「透明性」とは、「散乱性を含み透明である」ことを意味し、ホログラムを観察する際のホログラム照明光の「透明性」とは、「散乱性を含まず透明である」ことを指す。
そして、この透明な樹脂に、第一透明微粒子を、その透明な樹脂の屈折率、希釈溶剤の種類、粘度、形成方法、形成厚さ等を考慮して、適宜選択し、透明な樹脂中に含ませる。具体的には、第一の透明微粒子は、透明な樹脂に対して、その光散乱性と透明性、さらには、接着剤層の凝集力をも考慮して、10%〜40%の範囲内にて添加する。
10%以下では、光散乱性を得難く、40%を超えると、必要な透明性(記録情報を視認するために必要な透明性を意味する。第一の透明微粒子が必要以上に多く含まれると、第一の透明微粒子間での多重反射が増大し、記録情報が霞んで見え難くなる。)を得ることが難しくなる。
金属酸化物、金属窒化物または金属炭化物等の金属化合物であって高い透明性を有し、その質量平均粒子径が5μm以下のもの、特には、質量平均粒子径が1μm以下のもの、であって、いずれも、10nm以上であるもの、
または、
透明な樹脂の粉体であって、質量平均粒径が10μm以下で且つ粉体を分散保持する樹脂との屈折率が異なるもの、特には、質量平均粒径が3μm以下で且つ粉体を分散保持する樹脂との屈折率が異なるもの、であって、いずれも、0.1μm以上のもの、
さらには、
金属粒子であって、その質量平均粒子径が1μm以下のもの、特には、100nm以下のものであって、いずれも、10nm以上のものであることで、樹脂に分散した際に、高い透明性と、所定の光散乱性を有するものを使用することができる。
具体的には、金属化合物として、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、フッ化グネシウム等がある。
特に、粒径を100nm以下とするには、
気相法として、化学気相析出法:電気炉法、化学炎法、プラズマ法、レーザー法、または、物理気相析出法:ガス中蒸発法、抵抗加熱法、高周波加熱法、プラズマ法により、
液相法として、化学的液相法:共沈法、均一沈殿法、化合物沈殿法、金属アルコキシド法、水熱反応法、逆相ミセル法、超臨界流体法、異相系液反応法、溶媒抽出法、または、物理的液相法:噴霧乾燥法、凍結乾燥法により製造することができる。
ここで、これらの透明な樹脂の粉体と、透明な樹脂の粉体を分散させる樹脂(接着剤層または擬似接着層に用いられる樹脂を意味する。)との屈折率差は、0.01以上あれば、その透明な樹脂の粉体による光散乱性を発現することができるが、0.1以上の屈折率差があれば、その光散乱性を十分確保でき、好適である。
この屈折率差は、大きい方が望ましく、樹脂の屈折率1.4に対して、屈折率1.9のもの(屈折率差0.6)を使用しても、第一の透明微粒子の質量平均粒径が最大でも10μmであって、情報記録体上の記録情報の大きさ、例えば、文字情報の画線の幅である数百μmより、はるかに小さいため、その文字情報を極端に歪めることなく、視認することを可能とする。
但し、この屈折率差0.6を超える材料系(透明な樹脂の粉体と、それを分散させる樹脂の系)を見出すことは物理的に困難である。
そして、金属微粒子としては、Auナノ粒子(4.4nm)、Agナノ粒子(11.5nm)、Cuナノ粒子(11.4nm)、タングステン微粒子、ニッケル微粒子等を用いることができる。
従って、情報記録積層体を開いて、ホログラム(再生像)及び情報記録体上の情報を視認する目的で、その開いた面に照明光あてた際、まず、透明基材と第一の接着剤層との界面、すなわち、第一のホログラムレリーフH1でその光が反射し、(反射型の)ホログラム再生像を結像する光が発生し、そして、残りの光が第一の接着剤層を透過して、情報記録体の基材の表面(もしくは、記録の表面)まで到達し、それらの表面で反射して、記録情報を「光の濃淡もしくは色彩」として担持した「散乱光」となって、再び、透明基材を透過する。
その散乱光は、その進行方向、位相及び強度が非常に乱れた状態となっているため、第一のホログラムレリーフを通過しても、新たなホログラム再生像を結像し難い。また、ここでも反射が生じるが、上記のように「乱れた光」となっているため、反射光の反射強度は小さく(この反射光とは、第一のホログラムレリーフH1の下方から侵入し、下方へ反射される、ホログラフィックな反射光を意味する。)、十分な透過光(反射も回折もしない光として、透明基材をそのまま透過する光を意味する。)を確保することができる。
従って、透明基材に用いる「ホログラム」を「反射型」とすることで、照明光が最初に第一のホログラムレリーフH1で反射した際に生じる、鮮明なホログラムを視認し、透明基材を透過した光による不要な反射や、不要なホログラム再生像を出現させないようにして、記録情報の判読や、鮮明なホログラム再生像に悪影響を及ぼさないようにすることが可能となる。
照明光を「散乱光」へと変換する機能を意味する「光散乱性」は、「ヘーズ」(JIS K 7136に準拠。)で表すことができ、第一の接着剤層としての「ヘーズ」は、10%〜30%とすることが望ましい。
「ヘーズ」が10%未満であると、上記した不要な反射や、不要なホログラム再生像が強くなり、鮮明なホログラム再生像に悪影響を及ぼし、「ヘーズ」が30%を超えると、情報記録体上の記録情報を視認し難くなる。
また、第一の透明微粒子の均一な分散性をさらに高めるために、第一の透明微粒子表面のシランカップリング処理等の表面活性化処理や、各種の界面活性剤の添加等も好適である。更に必要に応じて可塑剤、その他の添加剤を加えて使用することができる。
これらの接着剤は、適宜、溶剤や、水に溶解させ、グラビア印刷等のコーティング方式や、カーテンコート方式、ノズル方式、シルク印刷、さらには、無溶剤のホットメルト方式等を用いて、上記の第一のホログラムレリーフH1上に、乾燥後の形成厚さ、5μm〜50μmで、設けることができる。
5μm未満では、情報記録体表面との接着力が不十分であり、情報記録体に二つ折り等の折り加工を施した後、情報記録積層体を開封する際に、第一の接着剤層の接着剤と情報記録体表面が部分的に剥離して、接着剤と情報記録体表面との間に空気が入り込み、ホログラム再生像の視認性を著しく低下させることとなる。また、50μmを超えると、情報記録積層体の厚さを不必要に厚くし、また、情報記録体上の記録情報の視認性を低下させることとなる。
第一の接着剤層と、情報記録体との180度剥離強度(剥離強度測定は、JIS Z−0237に準じ、剥離速度500mm/分とする。)は、200g/50mm〜4000g/50mm、特に、500g/50mm以上とすることが望ましい。200mm/50mm未満では、郵送や配送中に、情報記録体表面と第一の接着剤層間において剥離が発生し、その部分に空気が入り込む等の現象が発生して、秘匿情報等の確認や、ホログラム再生像の鑑賞を阻害する。特に、折り部分はこの不具合が発生し易い。
また、接着剤層に第一の透明微粒子を混入する際、透明性と所定の光散乱性を維持しつつ、その表面に0.5μm〜3μmの深さの微細な凹凸を形成することにより、これを、二つ折りした情報記録体の中に挟んで、情報記録体との積層体を作製する方法を用いた時に、溶融した接着剤層の透明な樹脂が、情報記録積層体の間からはみ出すことを防止することができる上、擬似接着シートをロール状に製造する際に、ロール状となった擬似接着シートのブロッキングを防止することができる。そして、この微細な凹凸は、情報記録体に貼着した際に消失するため好適である。
さらに、第一のホログラムレリーフH1のホログラムレリーフに追従するように第一の透明反射性薄膜層を設けることにより(すなわち、透明基材と第一の接着剤層との間に、第一の透明反射性薄膜層を設けることを意味する。)、第一のホログラムレリーフH1と第一の透明反射性薄膜層との界面での屈折率差を大きくし、且つ、第一の透明反射性薄膜層内での多重反射を生じさせて、光の反射率を高め、再生するホログラムの鮮明度を著しく高めることができる。
上記した第一の透明反射性薄膜層としては、ITO等の金属酸化物または窒化物であり、比較的厚く形成しても、高い透明性を維持し、且つ、所定の屈折率を有するものが好適である。
第一の透明反射性薄膜層は、ほぼ無色透明な色相で、その光学的な屈折率が透明基材の屈折率とは異なることにより、金属光沢が無いにもかかわらず、ホログラムなどの光輝性を視認できることから、「透明なホログラム」を実現することができる。例えば、透明基材よりも屈折率の高い薄膜を形成可能な、Sb2 S3 (n=3.0)、Fe2O3 (n=2.7)、TiO2(n=2.6)、CdS(n=2.6)、CeO2(n=2.3)、ZnS(n=2.3)、PbCl2 (n=2.3)、CdO(n=2.2)、Bi2O3 (n=2.5)、PbO(n=2.6)、Ta2O5 (n=2.4)、In2O3 (n=2.0)、Sb2O3(n=2.0)、WO3 (n=2.0)、SiO(n=2.0)、ZnO(n=2.1 )、ZrO2(n=2.0)、Cd2O3 (n=1.8)、Al2O3 (n=1.6)、CaO ・SiO2(n=1.8)等がある。
第一の透明反射性薄膜層の形成は、透明基材の第一のホログラムレリーフH1面に、追従するように、50nm〜1000nmの厚さで形成する。好適には、100nm〜500μmの厚さとし、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD(化学蒸着法)などの真空薄膜法等により設ける。
第一の透明反射性薄膜層を形成した場合は、上記した第一の接着剤層は、この第一の透明反射性薄膜層の上に上記したものと同様の形成方法を用いて、同様の厚さに設けることができるが、この場合には、第一の透明反射性薄膜層において、十分な光の反射を得ることができるため、接着剤層の屈折率を上記のように選定する必要はなく、第一の透明反射性薄膜層及び、情報記録体との接着性に優れるものを用いる。
透明基材の一方の面に第一のホログラムレリーフH1及び第一の接着剤層を設けた、その反対側の面、すなわち、透明基材の他方の面には、擬似接着層を設ける。
剥離可能な擬似接着層は、ホログラム形成層との密着及び、透明基材との再剥離を容易にするように調整されており、粘着主剤、粘着力調整剤、添加物等を混合したものを使用することができる。
粘着主剤は、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリ酢酸ビニル等、または、これらの混合物が挙げられる。これらの粘着主剤の混合割合を、適宜、調整することによって、擬似接着層とホログラム形成層との密着性(接着強度ともいう。)を保持しつつ、透明基材との密着性をこれより小さくする。
添加物として、取り扱い性、各種加工機内での搬送性能等の滑り性向上または耐ブロッキング性向上のための微粒子ワックス類、劣化防止のための紫外線吸収剤などを添加してもよい。
また、消泡剤として、非イオン系界面活性剤を添加したり、さらに、消泡助剤として、シリカ等を添加してもよい。
このような擬似接着層の形成厚さは、乾燥後で5μm〜50μmとする。
しかし、情報記録積層体を開いたときに、情報記録体の折り目を挟んで左右の領域上の、一方には、透明基材、透明反射性薄膜層、第一の接着剤層が積層され、他方には、擬似接着層、ホログラム形成層、第二の接着剤層が積層されている状態となることから、これら左右の領域の視認性に差を設けないようにするため、上記した第一及び第二の接着剤層の厚さと、含める第一及び第二の透明微粒子の種類や含有量を同一とし、擬似接着層の厚さを可能な限り、透明、且つ、薄いものとして、その光散乱性の程度(例えば、「ヘーズ」の値を同一とするなど。)を、開いた面の左右において、同一とすることも好適である。
その形成厚さが、5μm未満では、透明基材とホログラム形成層との接着強度が不十分であり、情報記録体に二つ折り等の折り加工を施して情報記録積層体とした後、情報記録積層体を開封する際に、擬似接着層そのものが部分的に剥離して(透明基材側に取られる部分と、ホログラム形成層側に取られる部分とに分かれてしまうことを意味する。)、第一のホログラムレリーフH1や、第二のホログラムレリーフH2上に不要な「ムラ」を発生し、それらのホログラム再生像を不鮮明なものとする。また、50μmを超えると、擬似接着シートを不要に厚くするだけでなく、擬似接着層の内部破壊が発生し易くなり、やはり、不要な「ムラ」を発生し、それらのホログラム再生像を不鮮明なものとすることとなる。
特に、ガラス転移温度が25℃以上のもの、及び、ビカット軟化温度が45℃以上のものを選択して使用することが、透明基材との剥離性、及び、保存性を良好なものとすることができるので好ましい。
ここで、ビカット軟化温度とは、ASTMD1525−70によって測定した温度であり、プラスチック表面に1kgの荷重をかけたゲージを配置して加熱したとき、ゲージの針先がプラスチック中に1mm入り込んだ時の温度で表され、ビカット軟化点と同義である。
また、他の例示として、ポリプロピレンフィルムを透明基材に用いた場合には、その上に積層される擬似接着層はプロピレンとαオレフィンの共重合体と結晶性ポリブテン(ポリブテン−1ホモポリマー)の混合体であることが好ましい。
さらに、擬似接着層は、その形成層の破断点伸度が350%(破断点伸度測定は、JIS K−6760に準ずる。)以上となるように調整された形成層であることも好ましい。
破断点伸度が350%未満では、情報記録体の情報記録面間に擬似接着シートを挟んで、加熱、加圧により一体化された情報記録積層体を、剥離展開する(開けることを意味する。)際、擬似接着層が、層内でちぎれて、展開した透明基材上に部分的に付着し、「ムラ」となりやすく、ホログラム再生像の鮮明度を低下させる恐れがある。
この剥離強度が、20g/50mm未満であると自然剥離が発生し易く、郵送中や、配送中に二つ折りした情報記録積層体が開く恐れがあり、また、この剥離強度が150g/50mmを超えると、「剥がしカール」が強く発生したり、表面強度の弱い情報記録体を使用した場合には、情報記録積層体を開く時に、その情報記録体の表面が剥がれ、ホログラム再生像が歪んで不鮮明となり、伝達する情報そのものの判読性をも低下させる恐れがある。
そして、この擬似接着層の上に第二のホログラムレリーフH2が設けられたホログラム形成層を設ける。
このホログラム形成層には、透明基材に用いられる各種の透明な材料を用いることができ、且つ、同様の形成方法を用いて、擬似接着層上に形成することができる。
その形成厚さは、第一のホログラムレリーフH1と、第二のホログラムレリーフH2のホログラム再生像の鮮明さを同様とするため、[透明基材]の厚さと、[擬似接着層+ホログラム形成層]の厚さを同一とすることも好適である。
さらには、擬似接着層とホログラム形成層との界面(平面界面)の不要な反射光を低減させるために、擬似接着層とホログラム形成層の屈折率差を0.1以下とすることも好適である。
このホログラム形成層上に設ける第二のホログラムレリーフH2も、第一のホログラムレリーフH1と同様の方法を用いて形成することができる。
その厚さは、3μm〜100μmとする。3μm未満では、第二のホログラムレリーフH2の凹凸を形成し難くなり、100μmを超えると、擬似接着シートとしての厚さが厚くなって、情報記録積層体の変形やカールの要因となる。
第一のホログラムレリーフH1と第二のホログラムレリーフH2は、情報記録積層体を開いたときに、その開いた情報記録体の両側に並んで観察することとなるため、ホログラムデザインとして、左右合わせて一つの物体像(三次元立体像という意味。)としても良いし、情報記録体上に記録された記録情報に合わせて、それぞれ異なるホログラムデザインとしても良い。
このホログラム形成層の第二のホログラムレリーフH2を覆うように、第二の接着剤層を設けて、本発明の擬似接着シートを作製する。
すなわち、ホログラム形成層(その上の第二のホログラムレリーフH2)と第二の接着剤層との界面が、レリーフホログラムの凹凸形状となる。
そして、この界面にホログラム形成層側からの照射による照明光の、この界面での反射光により、レリーフホログラムのホログラム再生像を視認することとなる。
この際、ホログラム形成層の屈折率と第二の接着剤層の屈折率との差を、0.1〜0.3とすることで、レリーフホログラムのホログラム再生像をより鮮明にすることができる。
この屈折率差が、0.1未満であると、ホログラム形成層と第二の接着剤層との界面における光の反射光が、非常に小さいものとなり、その反射光の強度に左右される、レリーフホログラムのホログラム再生像の鮮明度(回折格子の回折効率にあたる。)が大幅に低下し、一般的な室内照明では、そのホログラム再生像を視認し難くなる。
この第二の接着剤層は、第一の接着剤層と同様の材料を用いることができ、且つ、同様の形成方法により、厚さ5μm〜50μmで形成することができる。
5μm未満では、情報記録体表面との接着力が不十分であり、情報記録体に二つ折り等の折り加工を施した後、情報記録積層体を開封する際に、第二の接着剤層の接着剤と情報記録体表面が部分的に剥離して、接着剤と情報記録体表面との間に空気が入り込み、第二のホログラムレリーフH2のホログラム再生像の視認性を著しく低下させることとなる。
また、50μmを超えると、情報記録積層体の厚さを不必要に厚くし、また、情報記録体上の記録情報の視認性を低下させることとなる。
第二の接着剤層に用いる透明な樹脂(接着剤を意味する。)は、ホログラム形成層と、情報記録体表面との接着性の強いものを適宜選択する。
10%以下では、光散乱性を得難く、40%を超えると、必要な透明性(記録情報を視認するために必要な透明性を意味する。第二の透明微粒子が必要以上に多く含まれると、第二の透明微粒子間での多重反射が増大し、記録情報が霞んで見え難くなる。)を得ることが難しくなる。
また、第二の接着剤層に第二の透明微粒子を混入する際、透明性と所定の光散乱性を維持しつつ、その表面に0.5μm〜3μmの深さの微細な凹凸を形成することにより、これを、二つ折りした情報記録体の中に挟んで、情報記録体との積層体を作製する方法を用いた時に、溶融した接着剤層の透明な樹脂が、情報記録積層体の間からはみ出すことを防止することができる上、擬似接着シートをロール状に製造する際に、ロール状となった擬似接着シートのブロッキングを防止することができる。そして、この微細な凹凸は、情報記録体に貼着した際に消失するため好適である。
第二の透明微粒子としては、第一の透明微粒子に用いることができる材料と同様の材料を用いることができる。
第二の接着剤層と、情報記録体との180度剥離強度(剥離強度測定は、JIS Z−0237に準じ、剥離速度500mm/分とする。)は、200g/50mm〜4000g/50mm、特に、500g/50mm以上とすることが望ましい。200mm/50mm未満では、郵送や配送中に、情報記録体表面と第一の接着剤層間において剥離が発生し、その部分に空気が入り込む等の現象が発生して、秘匿情報等の確認や、ホログラム再生像の鑑賞を阻害する。特に、折り部分はこの不具合が発生し易い。
上記した第二の透明反射性薄膜層としては、ITO等の金属酸化物または窒化物であり、比較的厚く形成しても、高い透明性を維持し、且つ、所定の屈折率を有するものが好適である。
第二の透明反射性薄膜層は、ほぼ無色透明な色相で、その光学的な屈折率がホログラム形成層の屈折率とは異なることにより、金属光沢が無いにもかかわらず、ホログラムなどの光輝性を視認できることから、「透明なホログラム」を実現することができる。例えば、ホログラム形成層よりも屈折率の高い薄膜を形成可能な、Sb2 S3 (n=3.0)、Fe2O3 (n=2.7)、TiO2(n=2.6)、CdS(n=2.6)、CeO2(n=2.3)、ZnS(n=2.3)、PbCl2 (n=2.3)、CdO(n=2.2)、Bi2O3 (n=2.5)、PbO(n=2.6)、Ta2O5 (n=2.4)、In2O3 (n=2.0)、Sb2O3(n=2.0)、WO3 (n=2.0)、SiO(n=2.0)、ZnO(n=2.1 )、ZrO2(n=2.0)、Cd2O3 (n=1.8)、Al2O3 (n=1.6)、CaO ・SiO2(n=1.8)等がある。
第二の透明反射性薄膜層の形成は、透明基材の第一のホログラムレリーフH1面に、追従するように、50nm〜1000nmの厚さで形成する。好適には、100nm〜500μmの厚さとし、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD(化学蒸着法)などの真空薄膜法等により設ける。
第二の透明反射性薄膜層を形成した場合は、上記した第二の接着剤層は、この第二の透明反射性薄膜層の上に上記したものと同様の形成方法を用いて、同様の厚さに設けることができるが、この場合には、第二の透明反射性薄膜層において、十分な光の反射を得ることができるため、第二の接着剤層の屈折率を上記のように選定する必要はなく、第二の透明反射性薄膜層及び、情報記録体との接着性に優れるものを用いる。
さらに、第一の透明反射性薄膜層と第一のホログラムレリーフH1との界面での反射率を、第二の透明反射性薄膜層と第二のホログラムレリーフH2との界面での反射率とを同一として、情報記録積層体を開いたときの左右のホログラムの鮮明さを調整することも好適である。
このようにして形成された擬似接着シートを、二つ折、三つ折り、もしくは複数折りした情報記録体に挿入し、その状態において、情報記録体の上下から、80℃〜200℃の加熱、及び、100g/cm〜10kg/cmの線圧加圧にて、搬送速度5m/分〜30m/分の条件にて、加熱、加圧する条件下において、熱圧着して、情報記録積層体とする。
この処理により、第一及び第二の接着剤層と、情報記録体との180度剥離強度(剥離強度測定は、JIS Z−0237に準じ、剥離速度500mm/分とする。)を、200g/50mm〜4000g/50mm、特に、500g/50mm以上とする。
また、同様に、擬似接着シートである一つのシートを折って、情報記録積層体するものではないため、情報記録体を二つ折りしたその内側に挿入する際、その内側全体に挿入する必要は無く、その内側の一部のみを接着するような大きさ(面積。)としても十分その機能を発揮することができるため、情報記録積層体を開いたときに、情報記録体上を部分的に第一のホログラムレリーフH1と第二のホログラムレリーフH2が覆うように設計することもでき、そのデザインの自由度が増すとともに、意匠性にもすぐれるものとなる。
さらには、透明基材上に擬似接着層を設ける前に、その透明基材上に、文字や絵柄等をオフセット印刷方式や、グラビア印刷、スクリーン印刷方式等を用いて、形成し、情報記録積層体を開いた際に、第一のホログラムレリーフH1のホログラム再生像上に、その文字や絵柄等が組み合わさって観察されるようにすることも好適である。
さらに、擬似接着層の上にも同様に文字や絵柄等の印刷層を形成して、情報記録積層体を開いた際に、今度は、第二のホログラムレリーフH2のホログラム再生像上に、それらの文字や絵柄等が組み合わさって観察されるようにすることも好適である。
もちろん、その両方に文字や絵柄等を形成してもよく、また、透明基材上の第一のホログラムレリーフH1上、第一の接着剤層上、ホログラム形成層上の第二のホログラムレリーフH2上、さらには、第二の接着剤層上、もしくは、第一、及び第二の透明反射性薄膜層の上下にも設けることができる。
そして、上記した条件設定により、情報記録積層体は、郵送等により、受取人宛てに送付可能で、受取人がこの情報記録積層体を受け取った際に、自然開封(はがき等が自然に開いてしまうことをいう。)などのトラブルを発生せず、「この情報記録積層体を開けばホログラムを視認できる」等のメッセージが記載されていることで、届いた情報記録積層体を速やかに開くように誘導でき、且つ、情報記録積層体を開いた際には、その開いた両面に鮮明なホログラム再生像を視認し、さらに、その背後の情報記録領域内の記録情報を十分に確認することができるものとなる。
ホログラムを有する擬似接着シートを介して、少なくとも二つ折りした情報記録体を熱圧着により貼着し情報記録積層体として、情報記録体上に記録した情報と、そのホログラムとを内側に秘匿することにより、その情報記録積層体の擬似接着面を剥離、すなわち、その二つ折りを開いて初めてそのホログラムを観察でき、且つ、その情報を確認可能となる、情報記録積層体を提供することができ、且つ、その情報記録積層体を受け取った受取人の注意や関心を十分喚起して、その「開き率」を向上し、しかも、開いた情報記録積層体の両方の広い面積に渡ってホログラムを鑑賞できるものとし、さらには、その情報記録積層体を手元に保持させ得る機能を有する、擬似接着シート、及び、その擬似接着シートを用いた情報記録積層体を提供することができる。
(擬似接着シート)
本発明の擬似接着シートA1またはA2(図2または3参照。)は、上記したように、透明基材1の一方の面に、[第一のホログラムレリーフH1]2を形成し、その上に、第一の接着剤層3をその[第一のホログラムレリーフH1]2を埋めるように形成し、その透明基材1の他方の面に、擬似接着層4、[第二のホログラムレリーフH2]6を設けたホログラム形成層5、及び、その上の[第二のホログラムレリーフH2]6を埋めるように形成された第二の接着剤層7を設けたもの、さらには、透明基材1の上の[第一のホログラムレリーフH1]2に追従するように設けた第一の透明反射性薄膜層8、ホログラム形成層5上の[第二のホログラムレリーフH2]6に追従するように設けた第二の透明反射性薄膜層9及び透明基材1上に設けた印刷層10を付加形成したものである。
(透明基材、第一のホログラムレリーフH1、及び、第一の透明反射性薄膜層)
上記の透明基材1としては、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や、その一方の面に[第一のホログラムレリーフH1]2や、第一の接着剤層3、そして、その他方の面に擬似接着層4、ホログラム形成層5、その上の[第二のホログラムレリーフH2]6、及び、第二の接着剤層7を設ける際の処理や加工、さらには、情報記録体11への接着処理において、各種加工機の搬送用ガイドロールとの接触に対する耐磨耗性が高く、それらの処理や、加工に適した耐溶剤性、耐熱性及び耐摩耗性を有するものであって、擬似接着層4との適度な接着性および再剥離性を有する、透明基材1を用いることが好ましい。(図2〜図4参照。)
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアリレート、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、ポリエチレン/ビニルアルコール等の各種のプラスチックフィルムを例示することができる。
透明基材1の厚さは、3μm〜100μmとする。
本発明のレリーフホログラムは、上記したごとく、その凹凸深さを反射型に設定したものを使用する。(図示していないが、第一のホログラムレリーフH1は、透明基材1側からホログラムを鑑賞する。また、第二のホログラムレリーフH2は、ホログラム形成層5側からホログラムを鑑賞する。)
また、透明基材1として、さらに各種の透明な材料が用いられる。例えば、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。
また、透明基材1として、上記の透明なフィルム上に、これらの透明な材料を適宜な形成方法により形成したものを用いることも好適である。
熱可塑性樹脂としては、アクリル酸エステル樹脂(屈折率n=1.47)、アクリルアミド樹脂(n=1.50)、ニトロセルロース樹脂(n=1.54)、酢酸ビニル樹脂(n=1.47)、もしくは、ポリスチレン樹脂(n=1.60)等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、ウレタン樹脂(n=1.60)、エポキシ変性アクリル樹脂(n=1.55)、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、アルキッド樹脂(n=1.54)、もしくはフェノール樹脂(n=1.60)等が挙げられる。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート(n=1.55)、ウレタンアクリレート(n=1.54)、アクリル変性ポリエステル(n=1.64)等を挙げることができ、このような電離放射線硬化性樹脂に架橋構造を導入するか、もしくは粘度を調整する目的で、単官能モノマーもしくは多官能モノマー、またはオリゴマー等を配合して用いてもよい。
さらに、環境に配慮して、生分解プラスチックを透明基材1として用いることもできる。
上記の透明な材料を用いて[第一のホログラムレリーフH1]2を形成するには、直接的に形成することもできるが、複製用型を用い、賦型を行なうこともできる。後者は、非常に量産性に優れる。
熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、複製用型面に未硬化の樹脂を密着させたまま、加熱もしくは電離放射線照射により、硬化を行わせ、硬化後に剥離することによって、硬化した透明な材料からなる層の片面に[第一のホログラムレリーフH1]2の凹凸を形成することができる。なお、同様な方法によりパターン状に形成して模様状とした回折格子を有する回折格子形成層も光回折構造として使用できる。
[第一のホログラムレリーフH1]2のホログラムレリーフの凹凸のピッチは、0.1μm〜数μmとし、凹凸の深さは、0.1μm〜1μmとする。
上記の微細な形状を精密に再現するため、また、複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小とするため、複製用の原版は金属を使用し、低温・高圧下で複製を行う。
従って、生分解性プラスチックを用いる場合にも、低温処理の可能なもの、すなわち、その融点が低いものが好ましく、その融点が110℃以下のものは特に好ましい。
複製用原版には、Niなどの硬度の高い金属を用いる。この複製用原版は、光学的撮影もしくは、電子線描画などにより形成したガラスマスターなどの表面に、Cr、Ni薄膜を真空蒸着法、スパッタリングなどにより5〜50nm形成後、Niなどを電着法(電気めっき、無電解めっき、さらには複合めっきなど)により50〜1000μm形成した後、金属を剥離することで作ることができる。
高圧回転式の複製に用いるためには、このNi層の厚み精度を高くする必要があり、通常±10μm、好ましくは、±1μmとする。このため、裏面の研磨や、平坦化方法を用いてもよい。
複製方式は、高圧とするため、平板式でなく、回転式を用い、線圧0.1トン/m〜10トン/m、好ましくは、5トン/m以上とする。複製用シリンダーは、その直径が小さいとレリーフの再現性が低下するため、複製シリンダー直径は大きい方が好ましく、通常、直径0.1m〜2.0m、好ましくは、1.0m以上の弧を使用する。
例えば、透明基材1そのものの上、もしくは、透明基材1上に形成された[第一のホログラムレリーフH1]2形成用の透明な樹脂の層をこの複製用シリンダーに沿って押し当て、裏面より(透明基材1側から)金属製シリンダーにより上記圧力にて複製を実施する。
透明基材1は、透明基材1そのものの上、もしくは、透明基材1に用いられる透明なフィルム上に設けた[第一のホログラムレリーフH1]2形成用の透明な樹脂の表面に、上記のような微細な凹凸を形成可能であればよいため、その厚さを非常に薄く形成することができ、透明性が高く、鮮明なホログラムを再生でき、且つ、情報記録積層体A3とした際の厚さを、より小さいものとすることができる。
さらに、[第一のホログラムレリーフH1]2に追従するように透明反射性薄膜層8を設けることにより、透明基材1と透明反射性薄膜層8との界面での屈折率差を大きくし、再生するホログラムの鮮明度をさらに高めることができる。(図3参照。)
上記した透明反射性薄膜層8としては、金属酸化物または窒化物を用いる。すなわち、レリーフホログラム7よりも屈折率の高い薄膜を形成可能な、Sb2 S3 (n=3.0)、Fe2O3 (n=2.7)、TiO2(n=2.6)、CdS(n=2.6)、CeO2(n=2.3)、ZnS(n=2.3)、PbCl2 (n=2.3)、CdO(n=2.2)、Bi2O3 (n=2.5)、PbO(n=2.6)、Ta2O5 (n=2.4)、In2O3 (n=2.0)、Sb2O3(n=2.0)、WO3 (n=2.0)、SiO(n=2.0)、ZnO(n=2.1 )、ZrO2(n=2.0)、Cd2O3 (n=1.8)、Al2O3 (n=1.6)、CaO ・SiO2(n=1.8)等を用いる。
透明反射性薄膜層8は、[第一のホログラムレリーフH1]2に、追従するように、50nm〜1000nmの厚さで形成する。好適には、100nm〜500μmの厚さとし、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD(化学蒸着法)などの真空薄膜法などにより設ける。
透明反射性薄膜層8を形成した場合は、この上に設ける第一の接着剤層3は、透明反射性薄膜層8において、十分な光の反射を得ることができるため、第一の接着剤層3の屈折率を特に制限する必要はなく、透明反射性薄膜層8及び、情報記録体11との接着性に優れるもの、且つ、その情報記録領域12との接着性にも優れるものを用いる。
情報記録体11や、情報記録領域12との接着性が不十分であると、情報記録積層体A3を郵送したり、配送したりしている過程で、情報記録体11や、情報記録領域12と、第一の接着剤層3との界面に剥離現象が発生し、空気が回り込んで、白濁して見え、ホログラム再生像の鮮明度を低下させる原因となる。
この透明基材1の上に、または、[第一のホログラムレリーフH1]2上に、さらには、透明反射性薄膜層8の上に、第一の接着剤層3を設ける。(図2または3参照。)
[第一のホログラムレリーフH1]2上に、直接、設ける場合には、透明基材1と第一の接着剤層3との界面が、レリーフホログラムの凹凸形状となるため、第一の接着剤層3の屈折率を、透明基材1の屈折率に対して、0.1〜0.3だけ、差のあるものとして、ホログラム再生像をより鮮明なものとする。
第一の接着剤層3に用い得る透明な樹脂(すなわち、接着剤)としては、ポリメチルメタクリレート(屈折率n=1.49)、ポリメチルアクリレート(n=1.47)、ポリベンジルメタクリレート(n=1.57)、ポリブチルアクリレート(n=1.44)、ポリビニリデン(n=1.42)、ポリイソブチルアクリレート(n=1.48)、硝酸セルロース(n=1.54)、メチルセルロース(n=1.50)、セルロース・アセテートプロピオネート(n=1.47)、ポリスチレン(n=1.60)、ポリエチレンテレフタレート(n=1.64)、ポリ酢酸ビニル(n=1.47)、ポリ塩化ビニル・酢酸ビニル(n=1.54)、フッ素樹脂(n=1.32)、メラミン樹脂(n=1.56)、ポリカーボネート(n=1.59)、エポキシ樹脂(n=1.60〜1.65)、フェノール樹脂(n=1.60)、チオウレタン樹脂(n=1.55〜1.75)、酢酸ビニル樹脂(n=1.47)、アクリル樹脂(n=1.45)、酢酸ビニル−アクリル共重合体(n=1.48)、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体(n=1.54)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂(n=1.60)、チオウレタン樹脂(n=1.55〜1.75)等や、天然ゴム(n=1.52)、クロロプレンゴム(n=1.35〜1.56)などのゴム系樹脂等もしくは、この混合体等を適宜用いることができる。
そして、これらの透明な樹脂に、第一の透明微粒子を含める。(図示せず。)
この第一の透明微粒子には、
金属酸化物、金属窒化物または金属炭化物等の金属化合物であって高い透明性を有し、その質量平均粒子径が5μm以下のもの、特には、質量平均粒子径が1μm以下のもの、であって、いずれも、10nm以上であるものを用いることができる。
また、透明な樹脂の粉体であって、質量平均粒径が10μm以下で且つ粉体を分散保持する樹脂との屈折率が異なるもの、特には、質量平均粒径が3μm以下で且つ粉体を分散保持する樹脂との屈折率が異なるもの、であって、いずれも、0.1μm以上のものも用いることができる。
具体的には、金属化合物として、シリカ、板状アルミナ、繊維状アルミナ、ジルコニア、Y−PSZ、スピネル、タルク、ムライト、コージエライト、炭化ケイ素、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化サマリウム、酸化ランタン、酸化タンタル、酸化テルビウム、酸化ユーロピウム、酸化ネオジム、酸化亜鉛、酸化チタン、フッ化グネシウム、酸化スズ、アンチモン含有酸化スズ(ATO)、スズ含有酸化インジウム(ITO)、チタン酸バリウム、PT、PZT、PLZT、さらには、有色透明性を有する、ヘマタイト、コバルトブルー、コバルトバイオレット、コバルトグリーン、窒化アルミニウム(AlN)、窒化シリコン(Si3N4)、炭化タンタル、炭化ニオブ等を用いることができる。
さらに具体的には(以下、()内に平均粒径を示す。)、
シーアイ化成社超微粒子パウダー:酸化アルミニウム(31nm)、酸化ビスマス(51nm)、酸化セリウム(14nm)、酸化コバルト(22nm)、酸化銅(48nm)、酸化ホロニウム(38nm)、酸化イットリウム(33nm)、コバルトブルー(40nm)や、安達産業ファインパウダー:窒化アルミニウム(0.2μm)、窒化硼素(六方晶)(2μm)、炭化タンタル(1.3μm)、炭化ニオブ(1.5μm)、炭化ケイ素(0.45μm)、酸化ビスマス(柱状)(2−4μm)、酸化ジルコニウム(不定形)(0.8μm)、五酸化タンタル(不定形)(0.7μm)、酸化イリジウム(0.1μm以下)、酸化亜鉛(不定形)(0.1−0.3μm)等を用いることができる。
また、透明な樹脂の粉体として、ナイロンパウダー、 アクリルパウダー、フェノールパウダー、シリコーンパウダー、ペンゾグアナミン・メラミンパウダー、ポリエチレンパウダー、セルロースパウダー、超高分子量ポリオレフィン(PE)パウダー、フッ素樹脂パウダー、PAN(ポリアクリロニトリル)系パウダー、スチレンパウダー、アクリル・スチレン系パウダー等を用いることができる。
フッ素樹脂パウダー:三井・デュポンフロロケミカル社 PTFEディスパージョン(0.2〜0.25μm)、
安達産業ポリマーファインパウダー(球状):ベンゾグアナミン・ホルマリンパウダー(1−3μm)、メラミン・ホルマリンパウダー(0.1−0.3μm)、同(1−2μm)、シリコーン樹脂(0.3μm)、同(0.5μm)、同(0.8μm)、スチレン・アクリル酸エステル系(0.05μm)、同(0.08μm)、同(0.1μm)、架橋ポリスチレン(6−8μm)、フッ素樹脂(0.2μm)、同(0.3μm)、フッ化ビニリデン樹脂(0.15−0.3μm)等を用いることができる。
ここで、これらの透明な樹脂の粉体と、透明な樹脂の粉体を分散させる樹脂(第一の接着剤層3に用いられる樹脂を意味する。)との屈折率差は、0.01以上あれば、その透明な樹脂の粉体による光散乱性を発現することができるが、屈折率差は、0.1〜0.6とする。
そして、金属微粒子としては、Auナノ粒子(4.4nm)、Agナノ粒子(11.5nm)、Cuナノ粒子(11.4nm)、タングステン微粒子、ニッケル微粒子等を用いることができ、
さらに具体的には、安達産業社製貴金属(球状):金(0.5μm)、銀(0.2μm)、同(0.5μm)、同(1μm)、タングステン(不定形)(0.6μm)、同(1.5μm)、モリブデン(不定形)(0.5μm)、ニッケル(0.2μm)、同(0.3μm)、同(0.4μm)等を用いることができる。
そして、この透明な樹脂に、第一の透明微粒子を、10%〜40%の範囲内にて添加、分散する。
これらの接着剤は、適宜、溶剤や、水に溶解させ、各種コーティング方式や、シルクスクリーン印刷方式、ホットメルト方式等を用いて、透明基材1の[第一のホログラムレリーフH1]2上に、乾燥後の形成厚さ、5μm〜50μmで、設け、第一の接着剤層3とする。
このとき、第一の接着剤層3の「ヘーズ」は、10%〜30%とする。
また、上記した第一の接着剤層3に用いる透明な樹脂(接着剤)は、透明基材1と、情報記録体11表面や、その上の情報記録領域12表面との接着性の強いものを適宜選択する。(図4参照。)
擬似接着層4としては、粘着主剤、粘着力調整剤、添加物等を混合し、擬似接着層4と、透明基材1やホログラム形成層5との接着性、及び、透明基材1との再剥離性を調整したものを使用する。(図2または3参照。)
その混合割合は、粘着主剤100部、粘着力調整剤として、針状物質の場合10〜50部、微粒状物質の場合5〜30部、そして、添加物は、ワックス0.01〜20部、紫外線吸収剤、消泡剤、消泡助剤を、適宜、微量添加し、エマルジョン化成分として、水200〜300部、乳化剤0.5〜2部、エマルジョン化用樹脂1〜50部とする。
粘着主剤としては、天然ゴム、エステル化天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート等、または、これらの混合物、さらには、上記の接着剤層3に用いることができる透明な樹脂を用いることができる。
粘着主剤の混合にあたっては、その混合割合を、調整して、擬似接着層4とホログラム形成層5との接着性を保持しつつ、透明基材1との密着性をその接着性より小さくする。
添加物としては、ポリエチレンワックス、カルナウバワックス等の微粒子ワックス類、劣化防止のために、アンモニア、エタノールアミン等の紫外線吸収剤などを添加することができる。
また、消泡剤(非イオン系界面活性剤や、アニオン系界面活性剤(鉱物油系))、さらに、消泡助剤等を添加できる。
これらの粘着主剤、粘着力調整剤、添加物は、水等の媒体に分散してエマルジョン状態として透明基材1に塗布する。
このエマルジョン化用樹脂としては、水分散性高分子ポリエステル、熱可塑性エラストマー、また、低密度ポリエチレン等の低分子ポリエチレン、アイオノマー、酢酸ビニル−オレフィン共重合体等が好適に使用できる。
水系の擬似接着層4は、透明基材1から剥離したときに、その表面が鏡面となり易く、この層を透過するホログラム照明光や、ホログラムを再生する反射光を乱すことが少ないため、好適である。
擬似接着層4の形成厚さは、乾燥後で、5μm〜50μmとする。(図2または3参照。)
擬似接着層4に用いられる樹脂としては、さらに、ポリエチレン樹脂、エチレン/メタクリル酸共重合樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン/アクリル酸エチル共重合樹脂、の単体或いはこれらの混合物系等を用いることができるが、特に、ポリエチレン樹脂とアイオノマー樹脂との混合物系(混合比率=95/5〜30/70)が剥離の安定性に優れるため好適である。
また、透明基材1との剥離性、及び、保存性を良好なものとするため、ガラス転移温度が25℃以上のもの、及び、ビカット軟化温度が45℃以上のものを使用する。
特に、エチレン系共重合ポリオレフィン、低密度ポリオレフィン、酢酸ビニル系共重合ポリオレフィン、アイオノマー樹脂ディスバージョンの中から選択された何れかの樹脂と自己乳化型ポリオレフィン樹脂とを、樹脂混合比率95/5〜5/95の割合で混合したものを、透明基材1上に塗布・乾燥して形成した、ビカット温度45℃以上のものが好適である。
共重合体と結晶性ポリブテンの混合割合としては、共重合体が65〜95%、ポリブテンが5〜35%の範囲が好ましい。結晶性ポリブテンが5%を下まわると、感熱圧着させる温度が高くなり、剥離力が強くなりすぎる。また、結晶性ポリブテンが35%を越えていると、感熱圧着する温度は低くなるが、適度な剥離強度が得られる圧着温度の範囲が狭くなってしまう。また、擬似接着層4については、形成厚さが厚くなると感熱加圧した際、剥離力が強くなるために剥離感が悪くなる。
また、擬似接着層4は、その層の破断点伸度が350%以上となるように調整すると、開き適性(開いた際に「ムラ」が発生し難いと言う意味。)や、折り適性等に非常に優れ、好ましい。
さらに、透明基材1と擬似接着層4との界面における180度剥離強度(剥離速度500mm/分)を、20〜150g/50mm、特に、20〜100g/50mmとすることでも、情報記録積層体A3を開く際、透明基材1と擬似接着層4との界面でスムーズに剥離することができ、層内ちぎれを起こさないようにすることができる。(図示せず。)
この擬似接着層4の上に、ホログラム形成層5を設ける。
このホログラム形成層5には、透明基材1に用いられる各種の透明な材料を用いることができ、且つ、同様の形成方法を用いて、擬似接着層4上に形成することができる。
その形成厚さは、[[第一のホログラムレリーフH1]2]2と、[第二のホログラムレリーフH2]6のホログラム再生像の鮮明さを同様とするため、[透明基材1]の厚さと、[擬似接着層4+ホログラム形成層5]の厚さを同一としても良い。
このホログラム形成層5上に設ける[第二のホログラムレリーフH2]6も、[第一のホログラムレリーフH1]2と同様の方法を用いて形成することができる。
そのホログラム形成層5の厚さは、3μm〜100μmとする。
[第一のホログラムレリーフH1]2と[第二のホログラムレリーフH2]6は、情報記録積層体を開いたときに、その開いた情報記録体の両側に並んで観察することとなるが、このとき、二つのホログラムの間に擬似接着シートA1またはA2の厚さ程度(0.1mm程度)の隙間が生じるものの、このことが反って功を奏し、「左右のホログラムの間」、すなわち、「二つのホログラムの隙間」の周辺領域に何らの歪みや、シワを発生せず、鮮明なホログラムを観察できる。
従って、左右合わせて一つの物体像とするホログラムデザインには好適である。
このホログラム形成層5の[第二のホログラムレリーフH2]6を覆うように、第二の接着剤層7を設けて、本発明の擬似接着シートA1を作製する。(図2参照。)
すなわち、ホログラム形成層5(その上の[第二のホログラムレリーフH2]6)と第二の接着剤層7との界面が、レリーフホログラムの凹凸形状となる。
この範囲設定は、透明基材1と第一の接着剤層3との間の屈折率差を設定する理由と同一の理由による。
この第二の接着剤層7は、第一の接着剤層3と同様の材料を用いることができ、且つ、同様の形成方法により、ホログラム形成層5上の[第二のホログラムレリーフH2]6を覆うように、厚さ5μm〜50μmで形成することができる。
第二の接着剤層7に用いる透明な樹脂(接着剤を意味する。)は、ホログラム形成層5と、情報記録体11表面との接着性の強いものを適宜選択する。
そして、この透明な樹脂に、前記した第一の透明微粒子に用い得る材料から選定される第二の透明微粒子を、その透明な樹脂の屈折率、希釈溶剤の種類、粘度、形成方法、形成厚さ等を考慮して、適宜選択し、透明な樹脂中に含ませる。具体的には、第二の透明微粒子は、透明な樹脂に対して、その光散乱性と透明性、さらには、第二の接着剤層7の凝集力をも考慮して、10%〜40%の範囲内にて添加する。(図示せず。)
また、第二の接着剤層7に第二の透明微粒子を混入する際、透明性と所定の光散乱性を維持しつつ、その表面に0.5μm〜3μmの深さの微細な凹凸を形成することにより、これを、二つ折りした情報記録体11の中に挟んで、情報記録積層体A3を作製する方法を用いた時に、溶融した第二の接着剤層7の透明な樹脂が、情報記録積層体A3の間からはみ出すことを防止することができる上、擬似接着シートA1もしくはA2をロール状に製造する際に、ロール状となった擬似接着シートA1もしくはA2のブロッキングを防止することができる。そして、この微細な凹凸は、情報記録体11に貼着した際に消失するため好適である。
さらに、[第二のホログラムレリーフH2]6に追従するように第二の透明反射性薄膜層9を設けることにより(すなわち、ホログラム形成層5と第二の接着剤層7との間に、第二の透明反射性薄膜層9を設けることを意味する。)、[第二のホログラムレリーフH2]6と第二の透明反射性薄膜層9との界面での屈折率差を大きくし、且つ、第二の透明反射性薄膜層9内での多重反射を生じさせて、光の反射率を高め、再生するホログラムの鮮明度を著しく高めることができる。(図3参照。)
上記した第二の透明反射性薄膜層9としては、第一の透明反射性薄膜層8と同様の材料を用いて、同様の方法により、同様の厚さにて(50nm〜1000nmの厚さ、好適には、100nm〜500μmの厚さ。)、ホログラム形成層5上の[第二のホログラムレリーフH2]6に追従するように設ける。
情報記録積層体A3を開いた際に、その両側にあるホログラムの見え方を同様のものとするために、第二の透明反射性薄膜層9と、第一の透明反射性薄膜層8の材質や厚さを同一として、種々の角度で入射する可視光線に対する反射性を同一のものとすることもできる。
(文字や絵柄等の印刷層)
さらには、透明基材1上に擬似接着層4を設ける前に、その透明基材1上に(透明基材1と擬似接着層4との間に。)、秘匿情報等の文字や絵柄等(印刷層10)をオフセット印刷方式や、グラビア印刷、スクリーン印刷方式、さらにはインクジェット方式を用いて、形成し(図3参照。)、情報記録積層体A3を開いた際に(印刷層10と擬似接着層4との界面から剥離して。)、[第一のホログラムレリーフH1]2のホログラム再生像上に、その文字や絵柄等が組み合わさって観察されるようにすることもできる。(図示せず。)
さらに、擬似接着層4の上にも(擬似接着層4とホログラム形成層5との間に。)同様に文字や絵柄等の印刷層を形成して、情報記録積層体A3を開いた際に(印刷層10はホログラム形成層5に密着し、擬似接着層4と印刷層10との界面で剥離する。)、今度は[第二のホログラムレリーフH2]6のホログラム再生像上に、それらの文字や絵柄等が組み合わさって観察されるようにすることも好適である。
もちろん、その両方に文字や絵柄等を形成してもよく、また、透明基材上の[第一のホログラムレリーフH1]2上、第一の接着剤層3上、ホログラム形成層5上の[第二のホログラムレリーフH2]6上、さらには、第二の接着剤層7上、もしくは、第一の透明反射性薄膜層8、及び/または、第二の透明反射性薄膜層9の上、及び/または、下にも設けることができる。(図示せず。)
情報記録体11としては、各種請求書、支払い通知書、受領書及び満期通知書等、 HYPERLINK "http://ja.wikipedia.org/wiki/eμaセソ" \o "郵便" 郵便や、ダイレクトメールとして、量販店などが大量に顧客に送付している各種の通知や案内状などの書類等、ポスティング等によるビラやチラシ、内国通常郵便物である、第二種郵便物、船便、航空便、エコーはがき、e−センスカード等、「私製葉書」等、選挙郵便、選挙事務所開き案内、投票所入場券等、タウンメール等、年賀はがきや、暑中見舞用郵便はがき等、さらには、各種のおまけ、割引券、サービス券等を、その一部に切り離し可能に設けたもの等、地方自治体の地域限定の行事案内やお知らせや水道局による、断水やにごり水、交通規制のお知らせ等、に用いられる、「はがき」そのもの、もしくは、「はがき」状の「シート」であって、
その基材(基紙)として、印刷用紙や情報用紙等、すなわち、上質紙、中質紙、色上質紙、アート紙、コート紙、マットコート紙、ミラーコート紙、アートポスト、ケント紙、更紙、ノーカーボン紙、模造紙、グラシン紙、再生紙、白板紙、色板紙、加工紙、上級印刷紙、中級印刷紙、下級印刷紙、微塗工紙、軽量コート紙、インクジェット用紙、昇華熱転写用紙等のプリンター用紙、フォーム用紙、ノーカーボン紙、感熱紙、OCR用紙、OMR用紙、磁気記録紙等(情報用紙)、未晒クラフト紙・半晒クラフト紙、塗工晒クラフト紙、再生可能防湿紙等、他の素材を混ぜ合わせた紙、風合いを出した紙、パール加工紙、ライナー、中芯原紙等、表面に顔料が塗られていないもので、木材原料を化学処理した化学パルプと、木材原料をほぐしただけの機械パルプを混ぜた、非塗工紙、上質紙、中質紙をベースに片面または両面に塗料を塗って、圧力をかけたロールの間を通し光沢を出した、塗工紙等、木材パルプを原料とし、機械により大量生産された洋紙に対して、楮(コウゾ)、三椏(ミツマタ)、雁皮(ガンピ) 、麻、檀(まゆみ)等を原料とした和紙等を用いることができ、さらには、樹脂含浸紙、ユポなどの合成紙、樹脂フィルム等も用いることができる。
これらの基材は、紙ベースのものとしては、50g/m2〜300g/m2のもの、好ましくは、90g/m2〜160g/m2のものを用いる。
また、合成紙や、フィルムベースのものとしては、その厚さとして、50μm〜500μmのもの、好適には、60μm〜200μmのものを用いる。
この情報記録体11の表面に、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷等の印刷により、もしくは、インクジェット方式等のプリンター印字により、秘匿情報を含んだ情報記録を行い、情報記録領域12を形成する。(形成プロセスは図示せず。)
このような印刷方式や、印字方式を用いて、情報記録体9の外側面に別の情報記録を行えることは当然であるが、上記した熱圧着条件下において劣化、変質しない情報記録とすることは言うまでもない。
これらの情報記録体11をその情報記録面(情報記録領域12を有する面)を内側として二つ折りしたその隙間(空間)へ、このような材料構成の擬似接着シートA1またはA2を挿入して、その上下から、80℃〜200℃の加熱、及び、100g/cm〜10kg/cmの線圧加圧にて、搬送速度5m/分〜30m/分の条件にて、加熱、加圧することで、その積層体を熱圧着して、例えば、二つ折りした「情報記録積層体」A3とする。(図4参照。)
もちろん、三つ折り、四つ折り、さらには、それ以上の回数だけ折るものでも使用できる。この場合には、それぞれの折りの隙間へ、それぞれの擬似接着シートA1またはA2を挿入することもできる。
郵便にて送付する場合には、情報記録積層体を、折り、圧着した後のサイズ、重さ、その他の仕様が、郵便法や、郵便規則に適合するサイズ、重さ等となるように調整する。
メール便によって配送する場合には、そのサイズ、重さ等に制限がないため、任意のサイズ、重さのものを用いることができ、さらには、左右の面積を同一のものとせず、異なる面積とするものや、部分的に貼着するものであっても、好適に用いることができる。
この情報記録積層体A3を、郵便による郵送、もしくは、メール便による配送により宛先人へ届ける。
この情報記録積層体A3を開くと、透明基材1と擬似接着層4との界面、もしくは、設定により、擬似接着層4とホログラム形成層5との界面から、剥離が生じ、それをきっかけとして、それぞれの界面全体をスムースに剥離することができ、開いた面上にある秘匿情報等(情報記録体上の情報記録領域12内に記録されている。A3参照。)と併せて、透明基材1の[第一のホログラムレリーフH1]2、及び、ホログラム形成層5の[第二のホログラムレリーフH2]6からのそれぞれのホログラム再生像を視認できるようになる。(図示せず。)
(実施例1)
レーザ光学系を用いてフォトレジスト上に撮影した、はがき1面(はがき1枚分の面積という意味。)サイズの「絵画モチーフ」のホログラムを現像処理して、レリーフホログラム(ホログラムレリーフの凹凸:最大0.3μm。)とし、このホログラムレリーフを型取って、Ni原版を用意し、透明基材1に用いる材料として、100μmポリ塩化ビニルフィルムシート(ガラス転移点Tg=82℃)を用い、そのポリ塩化ビニルフィルムシートの表面に、そのNi原版のホログラムレリーフ面を合わせて、回転式レリーフホログラム形成装置(原版シリンダー径1.0m・原版面温度75℃、加圧シリンダー径0.3m、水冷式、圧力10トン/m、複製速度2m/分)にて、レリーフホログラムを複製して、[第一のホログラムレリーフH1]2を形成し、透明基材1とした。(図2参照)
この透明基材1の一方の面に形成された[第一のホログラムレリーフH1]2を埋めるように、下記第一の接着剤層3用組成物を用いて、透明基材1の[第一のホログラムレリーフH1]2面に、シルクスクリーン印刷方式にて、乾燥後の厚さ20μmの第一の接着剤層3を形成した。(図2参照)
ポリ塩化ビニル・酢酸ビニル 30部
酢酸ビニル樹脂 10部
イソホロン・ジイソシアネート 0.1部
イソプロピルアルコール 10部
メチルセルソルブ 30部
エチルセルソルブ 20部
次に、下記擬似接着層4用組成物を用いて、シルクスクリーン印刷方式にて、乾燥後の厚さ20μmの擬似接着層4を形成した。
<擬似接着層4用組成物>
ポリビニルブチラール樹脂(ガラス転移温度57℃) 40部
イソプロピルアルコール 10部
メチルセルソルブ 30部
エチルセルソルブ 20部
そして、その擬似接着層4の上に、下記組成のホログラム形成層5用組成物を乾燥厚さ3μmとなるように、グラビアコーティング方式にて形成し、ホログラム形成層5に用いる「透明な層」を形成し、この「透明な層」の表面に、はがき1面サイズの別の「絵画モチーフ」のホログラムを現像処理して、レリーフホログラム(ホログラムレリーフの凹凸:最大0.3μm。)として型どった、Ni原版のホログラムレリーフ面を合わせて、回転式レリーフホログラム形成装置(原版シリンダー径1.0m・原版面温度100℃、加圧シリンダー径0.3m、水冷式、圧力2トン/m、複製速度10m/分)にて、[第二のホログラムレリーフH2]6を形成し、ホログラム形成層5とした。(図2参照。)
アクリルアミド樹脂 20部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 20部
酢酸エチル 20部
さらに、そのホログラム形成層5上の[第二のホログラムレリーフH2]6の凹凸を埋めるように、下記組成の第二の接着剤層7用組成物を用いて、グラビアコーティング方式にて、乾燥後の厚さ20μmの第二の接着剤層7を形成し、実施例1の擬似接着シートA1を得た。(図2参照)
<第二の接着剤層7用組成物>
ポリ塩化ビニル・酢酸ビニル 30部
酢酸ビニル樹脂 10部
イソホロン・ジイソシアネート 0.1部
トルエン 20部
メチルエチルケトン 10部
酢酸エチル 30部
この情報記録体11を、その特典情報等印字面を内側にして二つ折りし、その間に擬似接着シートA1を挿入し(特典情報印字面に、擬似接着シートA1の第一の接着剤層3面、または、第二の接着剤層7面が、それぞれ接するように重ねた。)、表面温度が80度の熱ロール間に、1kg/cm線圧、4m/分の速度で通して、情報記録体11の内側の一方(はがきサイズ1面分大きさとなる。)と擬似接着シートA1の第一の接着剤層3を、及び、情報記録体11の内側の他方(はがきサイズ1面分大きさとなる。)と第二の接着剤層7を、一時に貼り合わせ、実施例1の情報記録積層体A3を得た。(図4参照。)
この情報記録積層体A3を左右に開いたとき、透明基材1と、擬似接着層4との界面において剥離が起こり、開いた情報記録体11の左側において、擬似接着シートA1の透明基材1及び第一の接着剤層3が、情報記録領域12の左側にある特典情報印字部分を覆うように接着しており、開いた情報記録体11の右側には、擬似接着シートA1の擬似接着層4、ホログラム形成層5、及び第二の接着剤層7が、右側の情報記録領域12を覆うように接着した状態となった([情報記録積層体A3を開いた後の情報記録体11]となることを意味する。)。(図示せず。)
このときの、透明基材1と、擬似接着層4との180度剥離強度は、40g/50mm(測定速度500mm/分。)であり、擬似接着層4と、ホログラム形成層5との180度剥離強度は、120g/50mm(測定速度500mm/分。)であった。
また、第一の接着剤層3及び第二の接着剤層7と、情報記録体11(情報記録領域12を含む。)との同様の剥離強度は、いずれも、600g/50mmであった。
このように作製したはがきの全重量その他の仕様は、郵便法及び郵便規則の規格内であり「郵便はがき」として使用できることが確認された。
この情報記録積層体A3は、郵送時には剥離等の不具合も生じず、到着した情報記録積層体A3をスムースに開くことができ、「剥離カール」などの不具合も発生せず、開き角度を180度として、室内照明光にて、[第一のホログラムレリーフH1]2によるはがきサイズの「絵画モチーフ」のホログラム再生像と、[第二のホログラムレリーフH2]6によるはがきサイズの別の「絵画モチーフ」のホログラム再生像と、情報記録体11上の特典情報等を視認することができた。(図示せず。)
しかも、情報記録積層体A3の宛名記載面の下方に、「このはがきを開くとホログラムを鑑賞できます。」とのメッセージが記載されていたため、このメッセージを見たはがきの受取人(宛先人を意味する。)が、このはがきを開く率(「開き率」)が非常に高くなるものと思われ、そして、この2つの「絵画モチーフ」を鑑賞するため、この[情報記録積層体A3を開いた状態の情報記録体11]を長期間保存するものと思われた。
透明基材1として、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(屈折率n=1.58)の[透明フィルム]の一方の面に、下記透明基材1用[透明な樹脂]形成用組成物(n=1.58)を乾燥厚さ5μmとなるように、グラビアコーティングにて形成し(この[透明フィルム]と、この[透明な樹脂]の二層で[透明基材1]を構成する。)、その[透明な樹脂]表面に、回転式レリーフホログラム形成装置使用条件を、原版シリンダー径1.0m・原版面温度100℃、加圧シリンダー径0.3m、水冷式、圧力2トン/m、複製速度10m/分としたこと以外は、実施例1と同様にして、[第一のホログラムレリーフH1]2を形成し、透明基材1とした。(図2参照)
<透明基材1用[透明な樹脂]形成用組成物>
ウレタン樹脂(n=1.60) 20部
アクリルアミド樹脂(n=1.50) 5部
トルエン 30部
メチルエチルケトン 20部
酢酸エチル 25部
そして、下記する第一の接着剤層3用組成物(n=1.46)を用いて、グラビアコーティング方式にて、乾燥後の厚さ20μmの第一の接着剤層3を、ホログラム形成層5用組成物(n=1.47)を用いて、グラビアコーティング方式にて、乾燥後の厚さ10μmのホログラム形成層5を、第二の接着剤層7用組成物(n=1.59)を用いて、グラビアコーティング方式にて、乾燥後の厚さ20μmの第二の接着剤層7を、形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の擬似接着シートA1、及び、情報記録積層体A3を得た。(図2及び4参照。)
アクリル樹脂(n=1.45) 20部
酢酸ビニル樹脂(n=1.47) 20部
イソホロン・ジイソシアネート 0.1部
トルエン 25部
メチルエチルケトン 10部
酢酸エチル 25部
<ホログラム形成層5用組成物>
アクリル酸エステル樹脂(n=1.47) 20部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 20部
酢酸エチル 20部
<第二の接着剤層7用組成物>
ポリ塩化ビニル・酢酸ビニル(n=1.54) 20部
エポキシ樹脂(n=1.64) 20部
イソホロン・ジイソシアネート 0.1部
トルエン 20部
メチルエチルケトン 10部
酢酸エチル 30部
実施例1と同様に評価したところ、2つのホログラムがより鮮明に鑑賞できたこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。
実施例2において、透明基材1の[第一のホログラムレリーフH1]2上に、第一の透明反射性薄膜層8として、TiO2薄膜を、電子線加熱真空蒸着方法を用いて、100nm厚さで形成し、その上に、第一の接着剤層3を同様にして設けたこと、透明基材1の反対面に特典情報を紫外線硬化型ののオフセットインキを用いて、UV(紫外線)オフセット印刷方式で、厚さ2μmで形成後、擬似接着層4を同様にして形成したこと、及び、ホログラム形成層5の[第二のホログラムレリーフH2]6上に、第二の透明反射性薄膜層9として、TiO2薄膜を、電子線加熱真空蒸着方法を用いて、100nm厚さで形成し、その上に、第二の接着剤層7を同様にして設けたこと、以外は、実施例2と同様にして、実施例3の擬似接着シートA1、及び、情報記録積層体A3を得た。(図3及び4参照。)
実施例2と同様に評価したところ、2つのホログラムが、著しく鮮明に鑑賞できたこと、及び、室内照明光にて、[第一のホログラムレリーフH1]2によるはがきサイズの「絵画モチーフ」のホログラム再生像の中に、その印刷された特典情報をも組み合わせて鑑賞することができ、意匠性と偽造防止性により優れると感じたこと、以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。
下記第一の接着剤層3用組成物を用いて、第一の接着剤層3を同様に形成したこと、及び、下記第二の接着剤層7用組成物を用いて、第二の接着剤層7を同様に形成したこと、以外は、実施例1と同様にして、実施例4の擬似接着シートA1、及び、情報記録積層体A3を得た。(図2及び4参照。)
<第一の接着剤層3用組成物>
ポリ塩化ビニル・酢酸ビニル 30部
酢酸ビニル樹脂 10部
シリコーン樹脂ファインパウダー(第一の透明微粒子)
(0.8μm、安達産業製、n=1.43) 8部
イソホロン・ジイソシアネート 0.1部
イソプロピルアルコール 10部
メチルセルソルブ 30部
エチルセルソルブ 20部
<第二の接着剤層7用組成物>
ポリ塩化ビニル・酢酸ビニル 30部
酢酸ビニル樹脂 10部
シリコーン樹脂ファインパウダー(第二の透明微粒子)
(0.8μm、安達産業製、n=1.43) 8部
イソホロン・ジイソシアネート 0.1部
トルエン 20部
メチルエチルケトン 10部
酢酸エチル 30部
実施例1と同様に評価したところ、擬似接着シートA1をハンドリングする際に、どのようなホログラムが記録されているかを視認することができず、また、擬似接着シートA1を重ねてもブロッキングが発生せず、さらに、2つのホログラムが、より鮮明に鑑賞できたこと、以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。
(比較例1)
[第一のホログラムレリーフH1]2及び、[第二のホログラムレリーフH2]6を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にし、比較例1の擬似接着シート及び、情報記録積層体を得た。
この情報記録積層体を実施例1と同様に評価したところ、なんら特徴がなく、受け取り人の注意も惹かず、開き率の向上は見込めないものと思われた。
[回折効率測定方法]
:光源:半導体レーザー:キコー技研 MLX標準コリメートレーザー
:電圧DC4.8〜6.5V・平行光時ビーム径拡大6mm
:効率:反射回折光強度/入射光強度*100(%)
A2 擬似接着シート(透明反射性薄膜層が2層形成され、さらに、透明基材と擬似接 着層との間に印刷層が形成されている。)
A3 情報記録積層体{擬似接着シートA1を挟み込むように情報記録体11を折り曲 げ、情報記録体11上の情報記録領域12に、一方(折り曲げた時の折り目を境 界線として、情報記録領域10を二つに分けた時のその一方の領域。)では擬似 接着シートA1の第一の接着剤層3が接着し、他方(同様にしたときの、他方の 領域。)では、擬似接着シートA1の第二の接着剤層7が接着している状態。擬 似接着シートA1を挟み込むように情報記録体11を折り曲げた後、
1 透明基材
2 第一のホログラムレリーフH1
3 第一の接着剤層
4 擬似接着層
5 ホログラム形成層
6 第二のホログラムレリーフH2
7 第二の接着剤層
8 第一の透明反射性薄膜層
9 第一の透明反射性薄膜層
10 印刷層
11 情報記録体
12 情報記録体上の情報記録領域
Claims (5)
- 透明基材の一方の面に、第一のホログラムレリーフH1が設けられ、前記第一のホログラムレリーフを覆うように第一の接着剤層が設けられ、且つ、前記透明基材の他方の面に、擬似接着層、第二のホログラムレリーフH2が設けられたホログラム形成層、及び第二の接着剤層がこの順序で積層されていることを特徴とする擬似接着シート。
- 前記透明基材の屈折率と第一の接着剤層の屈折率との差、及び、前記ホログラム形成層の屈折率と前記第二の接着剤層の屈折率との差が、0.1〜0.3であることを特徴とする請求項1記載の擬似接着シート。
- 前記第一のホログラムレリーフH1に追従するように第一の透明反射性薄膜層が設けられ、且つ、前記第二のホログラムレリーフH2に追従するように第二の透明反射性薄膜層が設けられていることを特徴とする請求項1記載の擬似接着シート。
- 前記第一の接着剤層が第一の透明微粒子を含み、且つ、前記第二の接着剤層が第二の透明微粒子を含むことを特徴とする請求項1〜3に記載の擬似接着シート。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の擬似接着シートを挟み込むように折り曲げた情報記録体の、その折り目によって分けられた2つの内側の面のうち、一方の面と前記擬似接着シートの前記第一の接着剤層とが接着し、且つ、他方の面と前記擬似接着シートの前記第二の接着剤層とが接着した情報記録積層体であって、
前記擬似接着層と、前記透明基材との界面が剥離可能であることを特徴とする情報記録積層体。
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