JP5610221B2 - 情報記録積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、情報記録体に接着可能であって、その情報記録体上の情報記録面同士を、加熱・加圧手段を用いて、剥離可能に貼着、すなわち、容易に剥離可能ではあるが自然剥離しないように貼着することのできる擬似接着シート及び、その擬似接着シートを情報記録体に積層した積層体である、情報記録積層体に関するものである。
特に、擬似接着シートがホログラムを有して、その情報記録媒積層体の貼着された擬似接着面を剥離して、初めて、ホログラムが観察可能となる情報記録積層体に関するものである。
なお、「折り曲げて貼着する」とは、シート状のものを二つ折りして、その内側同士を貼り合わせることを意味し、同一サイズのものを貼り合わせるか、もしくは、大きさの異なるものを貼り合わせる。この「折り曲げ」には、三つ折り、その他のより複雑な折り方も含まれるが、いずれも、貼り合わせる際には、一つの面と一つの面の貼り合わせとなる。
本明細書において、配合を示す「%」や「部」は特に断わらない限り質量基準である。また、「ホログラム」は、ホログラムと、回折格子などの光回折性機能を有するものも含む。
(主なる用途)本発明の擬似接着シート及び情報記録積層体の主なる用途としては、
個人のプライバシーに係わる情報や、広く第三者には開示すべきでない情報、受取った人が外観を一瞥するだけでは記載内容を把握できず、折り曲げて貼着したシートを開いて初めて内容を確認できるという、意外性(受取人に予想を超えた印象を与え、高い関心を持たせる性質という意味。)を付与したい情報、さらには、受取人に対するポイントサービスや割引券付与等の特典情報を記載しているため、郵送途中や、配送途中ではその存在を知られたくない情報等、を記載した書類等に用いられ、それらの書類等に擬似接着シートを貼着し、擬似接着シートを内側に折り曲げて、擬似接着することにより、その書類等の上記情報を第三者から秘匿し、正規の受取人のみに、その情報を伝達する用途が挙げられる。
もちろん、それ以外にも、情報を記載した書類等を、一旦、二つ折り、三つ折り、もしくは、それ以上の回数折り、その書類のサイズを小さくして、搬送し、後に、擬似接着部分を開けて元のサイズとして使用する用途に用いることができる。
これらの「情報を記載した書類」を、以下、「情報記録体」とも称するが、この「情報記録体」に擬似接着シートを貼着した「積層体」、さらには、この「積層体」を二つ折り以上の回数折り曲げ、その擬似接着面同士を加熱、加圧等して熱圧着したものを、「情報記録積層体」と称する。
情報記録体を、三つ折り以上の回数折り曲げる場合には、複数の貼着面が生じるため、個々の貼着面に、異なる擬似接着シートを適用する場合もある。
その情報記録体としては、近年増加している、携帯電話、クレジット、税金、年金、証券、預貯金、ガス・水道・電気等の各種請求書、支払い通知書、受領書及び満期通知書等のような個人のプライバシーに係わる情報(個人情報を含む)等を記載した書類等や、
主に過去に利用したことのある小売店や、入会しているクレジットカード会社などの顧客情報のデータベースから購入頻度などの属性で抽出され、「郵便」や、以下に説明する「メール便」を利用して届けられるダイレクトメールとして、銀行、証券会社、クレジットカード会社、百貨店、量販店などが、大量に顧客に送付しているものであって、その内容を可能な限り第三者には開示すべきでない書類等が挙げられる。
従来、このような個人情報や第三者に開示すべきでない情報に係わる書類等の郵送や配送には、プライバシー保護や、秘匿性確保等の観点から「封書」が使用されてきた。
しかし、「封書」は、「はがき」に比べ郵送料が高いことからコスト高になるという欠点がある。
また、宛先人毎に通知内容が異なる場合に、本人でない第三者に誤って配送しその情報が漏洩してしまうことを防ぐために、宛先人毎のデータをコンピューター制御によって管理し、宛先人名と通知内容の一致性を確保して、発送作業の正確性確保と省力化を図る手法を用いることが主流となっており、この作業において、コンピューターに入力されたデータを、宛先人毎に連続してプリントアウトし、且つ、プリントアウトしたものを、最終発送直前に、再度、その順序やプリント内容を自動照合する際には、「封書」に替えて、「はがき」そのもの、もしくは、「はがき」状の「シート」(これら「はがき」と「シート」を総称して、「情報記録体」と称することもある。)を用いることが必要となる。
これらの「はがき」もしくは、「シート」として(すなわち、「情報記録体」として)、内国通常郵便物である、第二種郵便物(通常はがき:最大サイズ10.7×15.4cm、最小サイズ9×14cm、重さ2〜6g、もしくは、往復はがき:最大サイズ21.4cm(二つ折)×15.4cm、最小サイズ18cm(二つ折)×15.4cm、重さ4〜12g)、国際通常郵便物である船便(平面路便ともいう。)としての、書状、はがき、印刷物(グリーティングカード等含む。)、航空便としての書状、はがき、印刷物・点字(グリーティングカード、Dメール、Pメール等含む。)、エコーはがき、e−センスカード等、
もしくは、郵便事業株式会社内国郵便約款第22条に定める「私製葉書」(郵便事業株式会社以外の者が作成する通常葉書及び往復葉書。)であって、
通常葉書は、長辺14センチメートル以上15.4センチメートル以下、短辺9センチメートル以上10.7センチメートル以下の長方形の紙とし、往復葉書は、長辺18センチメートル以上21.4センチメートル以下、短辺14センチメートル以上15.4センチメートル以下の長方形の紙を短辺の部分をそろえて折り目が右側(横に長く使用するものにあっては、下側)になるように折り合わせ、その上片を往信部に、その下片を返信部とし、往信部の裏面と返信部の表面とがそれぞれ内側になるようにしたもの、
紙質及び厚さは、郵便事業株式会社の発行するものと同等以上であるもの、
重量は、通常葉書にあっては2グラム以上6グラム以下、往復葉書にあっては4グラム以上12グラム以下(往信部及び返信部のそれぞれが2グラム以上6グラム以下)のもの、
表面の色彩は、白色または淡色であるもの、
往復葉書の返信部の表面の左上部(横に長く使用するものにあっては、右上部)には、その返信部の料金支払に充てるため、往復葉書の料金の半額相当額の郵便切手をはり付け、または、料金受取人払の表示をしたもの、
表面の上部または左側部(横に長く使用するものにあっては、右側部)の中央に、通常葉書にあっては「郵便はがき」またはこれに相当する文字を、往復葉書の往信部及び返信部にあっては「郵便往復はがき」またはこれに相当する文字を明瞭に表示したもの、等が挙げられる。
その他、選挙公示後に出される候補者のPR用ダイレクトメールである選挙郵便、小選挙区選出の衆議院議員の選挙で、政党が私製するものや公示前に出される選挙事務所開き案内、選挙管理委員会が出す投票所入場券等、
宛名記載をせず指定した区域のみを配達するもので、各種宣伝用に使われることが多くポスティングに近い、配達地域指定郵便物(タウンメール)等、
そして、下端にくじが印刷されており、抽選で賞品があたる「くじ付き郵便はがき」でもある、お年玉付き郵便はがき(年賀はがき)や、夏のおたより郵便はがき(かもめ〜る、暑中見舞用郵便はがき)など、日本の風習に沿った用途のはがき等、さらには、各種のおまけ、割引券、サービス券等を、その一部に切り離し可能に設けたもの、もしくは、アドレスにアクセスしたり、ダイヤル番号に電話することにより、各種イベント案内や、何らかの特典情報、ポイントサービス等を得ることができる情報、すなわち、インターネットWEBアドレスや、フリーダイヤル番号等が印字されたもの等の、受取人に対して各種のサービスを提供する目的で利用されるもの、
もしくは、運送会社による配送物の中から、「紛失時の損害額の減額」,「小サイズに限定」,「ポストインで判取り不要」を条件に、配送伝票のコストダウンを図り、バーコード追跡システムを維持しつつ配送費用のコストダウンを実現した「メール便」と呼ばれる配送サービスにおいて、各種の通知や案内状または請求書などの書面を送付する手段として、さらには、親展書類等を送付する手段として郵便規則等の制限なく配送されるものなどが挙げられる。
さらには、飲食店、通信販売、貸金業、不動産会社などにおいて、広告・宣伝を目的に、ビラやチラシを、各個人宅へ配送する行為(ポスティング)に用いられるものや、商業目的ではなく、公共性を有するものを郵便受けへ直接投入する例として、地方自治体(地域限定の行事案内や、お知らせ)や水道局(主に工事による断水やにごり水、交通規制のお知らせ)によって行われる場合に用いられるもののごとく、秘匿性がそれ程求められていない郵便物や、配達物であっても、受取人が受け取った時に、その外観を一瞥するのみでは伝達情報(何が書かれているのか)を把握できないように情報を配置し、擬似接着部分を開けて、初めて目的たる伝達情報を確認できるように構成して、受取人の関心を引く等の目的に用いられるものなど、市場において流通する全ての情報伝達物が挙げられる。
もちろん、個人が、擬似接着シートを用いて、上記のような情報記録体を作成し、郵送、配送したり、プレゼントとして贈呈したりするための、「はがき等作成用キット」として、販売する等の用途にも用いることができる。
本発明の擬似接着シート、及び、情報記録積層体は、以上の情報記録体、もしくは、情報伝達物の中でも、特に、意匠性に優れることが求められ、且つ、その「開き率」(擬似接着された「はがき」等を開く率という意味。)を高める必要のある分野に好適に用いられる。
(先行技術)
近年、「封書」に替えて、個人のプライバシーに係わる記録内容を隠蔽することのできる様々な「はがき」が提案されている。
これらの提案の一つとして、通常のはがきの表面に記載された文字や数字の上に、剥離可能に貼着することにより記録内容を隠蔽することのできる「シール紙」があるが、この「シール紙」は、接着面に弱粘着剤を使用しているため、弱粘着剤層を保護するための剥離紙を設けなければならず、コスト高になる上、その剥離紙の処分も煩雑になるという欠点があった。
また、「シール紙」を剥がす際に、「はがき」に記載された文字部分が剥がれて弱粘着層面に転移し、しばしば、文字が読めなくなるという欠点があった。
更に、この「シール紙」は、開封した痕跡が残らないように脱着することも可能であるので、プライバシー侵害防止効果に劣るという欠点があった。
また、他の材料として、「はがき」の表面に記載された文字を外部から見ることができないようにアルミニウム箔を積層したシートを、「はがき」の文字部分に貼着し、「はがき」の縁に沿って設けられたミシン目を切り離すことによって初めて開封することができるようした「ラベル」がある。しかしながら、この「ラベル」は複数構成から成る積層物であるためコスト高になる上、剥がした「ラベル」が破き難いのみならず不燃物でもあるので廃棄処理も煩雑となるという欠点があった。
その上、上記の「シール紙」や「ラベル」は、記載された情報の一部を隠蔽するためにしか使用できず、多くの情報を郵送する必要がある場合には、コスト高となっても封書を使用せざるを得なかった。
そこで、情報量を確保するため、「内部」に情報を隠蔽することのできる、様々な「はがき」も提案され、実用化されている。
その提案例としては、例えば、表面に情報を記録することのできる感熱接着剤層を紙製支持体の片面に形成せしめた「封緘はがき」がある(特許文献1:実開平1−148371号公報参照。)。
この「封緘はがき」は、2つ折りにして「はがきサイズ」となるもので、感熱接着剤の表面に情報を記録した後、これを2つ折にして感熱接着剤同士を剥離可能な接着強度で熱圧着するものである。
しかしながら、この「封緘はがき」は、感熱接着剤層の表面、すなわち、剥離面に情報を記録するため、他面に記録内容が転写されるという欠点があるのみならず、感熱接着剤層の接着強度の調整が難しいために、「剥がしカール」(接着面を界面として基材を剥がした際、その基材が大きくカールしてしまう現象。極端な場合には、基材が円筒状にまるまってしまう。)が発生して情報の判読が困難となるなどの欠点がある。
そこで、感熱接着剤層同士の剥離を適度なものとするために、熱圧着の温度と圧力を調整する方法が考えられるが、この方法による剥離性の調整は極めて難しく、接着不良により自然剥離を起こす欠点があること(記録情報の中に秘匿すべき個人情報が含まれている場合には、個人情報の不要な開示と見做される。)、及び、ダイレクトメール等の、情報記録面の全面がインクで覆われる情報記録体では、感熱接着そのものができず、一体化物を得ることができないという欠点がある。
また、2枚のはがきサイズの情報記録体に情報記録した後、各記録体の情報記録面同士を再剥離可能に感熱接着することのできる、両面接着性を有する感熱接着シート、及び、それを用いた情報記録体も提案されている(特許文献2:特開平4−126298号公報参照。)。
しかし、この感熱接着シートを用いた情報記録体の場合には、支持体の両面に形成した合成樹脂塗工層からなる感熱接着シートを、情報記録した2枚のはがきサイズの記録体の情報記録面間に挟んで感熱接着させる時、情報記録面と合成樹脂塗工層とが、直接、接し、熱溶融した合成樹脂塗工層が情報記録体の切り口部からはみ出し、支持体と合成樹脂塗工層間の剥離界面を樹脂で覆うため開封不良となり易いこと、及び、高濃度のインクで覆われた記録体材表面と合成樹脂塗工層との接着性が劣るという点で満足できるものではなかった。
これらの欠点を克服するものとして、支持体の一方の面に、自然剥離することなく、且つ、容易に剥離可能な、そして、100℃以下の熱では溶融はみ出しを起こすことのない熱可塑性樹脂層(擬似接着層となる。)を設けてなる形成物の両面に、接着性が優れ、且つ、100℃以下の熱で情報記録体と感熱接着可能な感熱接着剤層を形成させた感熱積層シートを使用することにより、情報記録体への感熱接着性に優れると共に、記録情報を他面へ転写させることがなく、情報を記録した情報記録体の記録面同士を剥離可能に接着させるのに好適であり、また、特にその大きさを「はがきサイズ」とすることにより、「はがき」の郵送料金で従来の2倍以上の量の情報を送ることができる上、プライバシー保護に優れた情報伝達手段として有用である感熱積層シート(特許文献3:特開平7−17166号公報、もしくは、特許第2645535号公報参照。)が提案されている。
しかし、この感熱積層シートを用いても、その受取人が、その差出人を確認するだけで、すなわち、外観を一瞥するだけで、擬似接着部分を開けることなく、そのまま廃棄する場合も多く、もしくは、一旦、開けて、その内側に記載された情報を確認したとしても、その情報の必要部分のみをメモして、開封した情報記録(積層)体を廃棄するか、情報そのものが一読すれば十分であって、保管する必要のない情報であると判断して、速やかに、開封した情報記録(積層)体を廃棄してしまうという課題を有するものであった。
すなわち、その「開き率」の向上や、開いた情報記録(積層)体を受取人の手元に置かせることによる、差出人発信情報の継続的提供性の確保という面では、何らの機能を有しないものであった。
実開平1−148371号公報 特開平4−126298号公報 特開平7−17166号公報
本発明は、上記した問題を解決するものであり、
報記録積層体を受け取った受取人の注意を十分喚起して、関心を高め、その「開き率」を向上し、しかも、開いた情報記録積層体の広い面積に渡ってホログラムを鑑賞できる情報記録積層体を提供する。
上記の課題を解決するために、
発明の情報記録積層体は、
透明基材の一方の面に、ホログラム形成層及び接着剤層がこの順序で設けられ、前記透明基材の他方の面に擬似接着層が設けられた擬似接着シートを、前記擬似接着シートの接着剤層を介して、情報記録体に接着し情報記録積層材を形成しさらに前記情報記録積層を前記擬似接着シートの前記擬似接着層が内側となるように折り曲げ、前記擬似接着層同士を、剥離可能に貼着した情報記録積層体であって、
前記情報記録積層体の宛名記載面には、受取人の注意や関心を喚起し開き率を向上させるメッセージが記載されていることを特徴とするものである。
本発明の情報記録積層体を構成する擬似接着シートは、透明基材の一方の面に、ホログラム形成層及び接着剤層がこの順序で設けられ、その透明基材の他方の面に、擬似接着層が設けられている。
その透明基材としては、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や、その一方の面にホログラム形成層や接着剤層、そして、その他方の面に擬似接着層を設ける際の処理や加工、さらには、情報記録体への接着処理及び、その折り加工において、各種加工機の搬送用ガイドロールとの接触に対する耐磨耗性が高く、それらの処理や、加工に適した耐溶剤性、耐熱性及び耐摩耗性を有するものであって、擬似接着層との適度な接着性および再剥離性を有する、透明基材を用いることが好ましい。
その加工方法にもよるので、限定されるものではないが、フィルム状もしくはシート状のプラスチックが好ましい。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、トリアセチルセルロース(TAC)等の各種のプラスチックフィルムを例示することができる。
透明基材の厚さは、通常5〜100μmであるが、その取り扱い適性、特に、折り適性(折り曲げ適性ともいう。)から5〜25μmとすることが望ましい。
擬似接着シートは、情報記録体に貼着され、その情報記録体を折り曲げて、熱圧着されて情報記録積層体を構成することになるが、擬似接着シートの一部を構成する透明基材の「剛度」が大きすぎる、もしくは、「剛性」が強すぎると、折られた透明基材が元に戻ろうとする「力」が強く働き、擬似接着していた情報記録積層体が、自然剥離してしまうことになる。従って、透明基材の「剛度」は、小さい方が好ましい。

このように、一旦、「折り曲げたもの」の元に戻ろうとする「力」が比較的小さいことを指して、「折り適性が良好」という。
例えば、JAPAN TAPPI NO40:2000に準じて測定されるガーレー剛度(試験片に一定の力を加えたときに曲がる角度を測定 「ガーレー法:ガーレーこわさ試験器で紙を押し曲げるときのたわみを測定するもの。この方法に準じてフィルムも評価する。)で、0.01mN〜10mNあることが好ましい。ガーレー剛度は、小さければ小さい程、折り適性に優れるが、が0.01mN未満であると、加工工程におけるハンドリング適正に欠ける。また、ガーレー剛度が、20mNを超えると上記した折り適性に劣ることとなる。
この折り適性は、透明基材のみならず、擬似接着シート全体においても、満足することが好ましく、擬似接着シート全体において、上記したガーレー剛度範囲を満足することが好適である。
透明基材の一方の面に形成するホログラム形成層としては、リップマンホログラム等の「反射型の体積ホログラム」、または、ホログラム形成層の表面にホログラムレリーフを形成してある「レリーフホログラム」を用いることができるが、いずれも、情報記録体に適用した際に、その情報記録体上の記録情報を、本発明の擬似接着シートを通して視認できるように、十分な透明性を有するものとすることが必要である。
ここで、情報記録体に用いられる「基材(基紙)」は、印刷用紙や情報用紙等、すなわち、上質紙、中質紙、色上質紙、アート紙、コート紙、マットコート紙、ミラーコート紙、アートポスト、ケント紙、更紙、ノーカーボン紙、模造紙、グラシン紙、再生紙、白板紙、色板紙、加工紙、上級印刷紙、中級印刷紙、下級印刷紙、微塗工紙、軽量コート紙、インクジェット用紙、昇華熱転写用紙等のプリンター用紙、フォーム用紙、ノーカーボン紙、感熱紙、OCR用紙、OMR用紙、磁気記録紙等(情報用紙)、未晒クラフト紙・半晒クラフト紙、塗工晒クラフト紙、再生可能防湿紙等、他の素材を混ぜ合わせた紙、風合いを出した紙、パール加工紙、ライナー、中芯原紙等、表面に顔料が塗られていないもので、木材原料を化学処理した化学パルプと、木材原料をほぐしただけの機械パルプを混ぜた、非塗工紙、上質紙、中質紙をベースに片面または両面に塗料を塗って、圧力をかけたロールの間を通し光沢を出した、塗工紙等、木材パルプを原料とし、機械により大量生産された洋紙に対して、楮(コウゾ)、三椏(ミツマタ)、雁皮(ガンピ) 、麻、檀(まゆみ)等を原料とした和紙等が用いられることが多く、これらの「表面」の特徴は、鏡のような「鏡面」ではなく、「光散乱性を有する面」であるということである。これら基材の白色光沢度(紙などの基材に対し、ある一定の角度で照射した光が、同一の対角にどれだけ跳ね返るかを数値で表したもの)は、20%〜80%である。白色光沢度が小さいほど、光散乱性が大きいといえる。
これらのガーレー剛度や、折り曲げた後の復元力、さらには、疑似接着シートを貼り合わせた情報記録積層体としてのガーレー剛度及びその復元力を考慮して、疑似接着シートの疑似接着する強度を調整する。
この情報記録体に用いられる基材の上に、各種印刷方法や、各種プリンター、その他の情報記録方法を用いて、所望の情報を記録するが、この記録等の表面も通常は光散乱性を有する。
従って、情報記録積層体を開いて、ホログラム(再生像)及び情報記録体上の情報を視認する目的で、その開いた面に照明光あてた際、まず、ホログラム形成層でその光が反射し、(反射型の)ホログラム再生像を結像する光が発生し、そして、残りの光がホログラム形成層を透過して、情報記録体の基材の表面(もしくは、記録の表面)まで到達し、それらの表面で反射して、記録情報を「光の濃淡もしくは色彩」として担持した「散乱光」となって、再び、ホログラム形成層を透過する。
その散乱光は、その進行方向、位相及び強度が非常に乱れた状態となっているため、ホログラム形成層を通過しても、新たなホログラム再生像を結像し難い。また、ここでも反射が生じるが、上記のように「乱れた光」となっているため、その反射強度は小さく、十分な透過光を(反射も回折もしない光として)確保することができる。
従って、ホログラム形成層に用いる「ホログラム」を「反射型」とすることで、照明光が最初にホログラム形成層で反射した際に生じる、鮮明なホログラムを視認し、ホログラム形成層を透過した光による不要な反射や、不要なホログラム再生像を出現させないようにして、記録情報の判読や、鮮明なホログラム再生像に悪影響を及ぼさないようにすることが可能となる。
もちろん、上記の「紙」以外にも、樹脂含浸紙、ユポなどの合成紙、樹脂フィルム等も用いられる。樹脂フィルムとしては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリスチレン(PS)、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂(ABS)、ポリ塩化ビニル等が用いられるが、これらのものを用いる場合には、その表面の印刷適性等を改善するため、表面改質処理を施したり、適宜な樹脂をコーティングしたものを用いる場合が多い。
上記の「反射型の体積ホログラム」をホログラム形成層に用いる場合には、各種の透明な材料が用いられる。例えば、銀塩写真乳剤、重クロム酸ゼラチン、フォトレジスト、フォトポリマー材料、無機材料からなるフォトリフラクティブ材料、フォトクロミック材料等及び、それらの材料からなるフィルムが用いられる。
銀塩写真乳剤としては、高感度及び、高解像度が求められる。
フォトレジストには、ポジ型フォトレジストと、ネガ型フォトレジストをいずれも用い得る。
フォトポリマー材料としては、架橋型フォトポリマー、ラジカル重合型フォトポリマー、カチオン重合型フォトポリマー、化学増幅型フォトポリマー、ナノ粒子分散系フォトポリマー等を用いることができ、その取り扱い適性は、特に優れる。
フォトクロミック材料は、光や熱等の特定の環境下において、その色調が変化するため、その意匠性はさらに高いものとなる。
重クロム酸ゼラチンは、その屈折率変調の高さ(すなわち、高い回折効率、帯域幅対応性)から、「反射ホログラム」の製作に選ばれる材料である。但し、重クロム酸ゼラチンは保存性に課題があり、「反射ホログラム」形成後に、湿式処理を必要とする。このため、この材料はホログラム記録の直前に新たに調製しなければならず、あるいは、予備硬化させたゼラチンを使用しなければならず、画像の再生効率を低下させる。
湿式処理は、ホログラム形成に際し、付加的工程をもち込むことになり、そして処理中に材料が膨潤し、ついで収縮する際に寸法的な変化を生じやすい。これらの寸法的な変化はフリンジの間隔に影響する。従って、重クロム酸ゼラチンによって高品質の「反射ホログラム」を作製することは、時間がかかり、かつ、困難である。
いくつかの処理工程を必要とする、銀塩写真乳剤、或いは、重クロム酸ゼラチンに対して、1回処理工程のみを必要とする固体光重合性材料、すなわち、フォトポリマー材料は、好適である。
フォトポリマー材料の例としては、固体の光重合性組成物であって、熱可塑性重合体結合剤、付加重合可能なエチレン系不飽和単量体、及び、不飽和単量体の重合を活性化する光開始剤からなる、屈折率変調を有する光重合性組成物が挙げられる。
熱可塑性重合体結合剤は、溶媒可溶性の熱可塑性重合体であるが、単独で、または、互に組合せて使用することができ、例えば、アクリレート及びアルファーアルキルアクリレートエステル等、並びに、それらの混合物を使用できる。エチレン系不飽和単量体は、単一の単量体として、または、組合せて使用することができる単量体として、スチレン、2−クロロスチレン等を用いることができる。
光開始剤としは、遊離ラジカル発生付加重合開始剤等を使用することができる。
体積ホログラムである、ホログラム形成層の厚さは、5μm〜30μmとする。好適には、10μm〜20μmである。もちろん、この厚さは薄い方がコスト面や、透明性を確保するためには有利であるが、5μm未満では、反射型体積ホログラムのホログラム再生像が不鮮明となり、30μmを超えると、擬似接着シートとしての折り適性を悪化させる。
ホログラム形成層は、スピンコート、またはディッピング等により、また、グラビアコート、ロールコート、ダイコート等により塗布する。ホログラム形成層は塗布液に合わせた、乾燥ないし硬化の手段を用いて固化される。
光重合性組成物は、必要に応じて、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、芳香族系溶媒等と配合し、混合することにより調製される。
この光重合性組成物は、その透明性を維持しつ、鮮明な体積ホログラムを再生でき、且つ、高い破断強度、小さい破断伸度、さらには、高い鉛筆硬度を有するため、高い透明性と、引張り耐性や耐摩耗性等の強靭な物理特性を必要とする、本発明の擬似接着シートに好適である。
特に、二つ折り等の折り曲げ適性に優れ、情報記録積層体を開いて、その開き角度を繰り返し変化させても、その折り曲げ部分の劣化が発生し難いため、好適である。
反射型体積ホログラムは、物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を、いわゆる、体積ホログラムの原理でホログラムを記録したものであり、例えば、フレネルホログラムなどのレーザー再生ホログラム、イメージホログラム及び白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーテッドホログラム(CGH。計算機合成ホログラムともいう。)、ホログラフィック回折格子などとすることができる。また、マシンリーダブルホログラムのように、その再生光を受光部でデータに変換し所定の情報として伝達したり、真偽判定を行うものであってもよい。
ここで、情報記録積層体を開いた時に(受取人が)目視にて鑑賞可能なホログラムを、少なくとも1種類は含めておくことは必須である。
体積ホログラムとなるホログラム形成層は、いわゆる「ホログラフィー露光装置」による所定の波長範囲のレーザー光等の光を使用し、ラジカル重合性化合物を重合させてその内部に干渉縞が記録される。この段階で、記録された干渉縞による回折光が得られ、体積ホログラムが形成されるが、体積ホログラム形成層として、カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、光ラジカル重合開始剤系、及び光カチオン重合開始剤系からなる感光性材料を用いた場合には、未反応のまま残っているカチオン重合性化合物を更に重合させるために、後露光として光カチオン重合開始剤系の感光する光(例えば波長200〜800nm)を全面照射して体積ホログラムを固定化するとよい。なお、後露光の前に体積ホログラム形成層を熱や赤外線で処理することで回折効率、回折光のピーク波長、半値巾などを変化させることもできる。
また、「レリーフホログラム」をホログラム形成層に用いる場合には、各種の透明な材料が用いられる。例えば、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、アクリル酸エステル樹脂、もしくは、アクリルアミド樹脂等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、もしくはフェノール樹脂等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、各種イソシアネート樹脂を用いて架橋させてもよいし、あるいは、各種の硬化触媒、例えば、金属石鹸を配合するか、または、熱もしくは紫外線で重合を開始させるための、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物、ベンゾフェノン、もしくは、アセトフェノン等を配合しても良い。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート等を挙げることができ、このような電離放射線硬化性樹脂に架橋構造を導入して用いてもよい。
さらに、環境に配慮して、生分解プラスチックをホログラム形成層として用いることもできる。
上記の透明な材料を用いてレリーフホログラム用のホログラム形成層を形成するには、直接的に形成することもできるが、複製用型を用い、賦型を行なうこともできる。後者は、非常に量産性に優れる。
紫外線硬化タイプや、電子線硬化タイプ等の電離放射線硬化性樹脂を用いることができ、この場合には、二つ折り等の折り曲げ適性に優れ、情報記録積層体を開いて、その開き角度を繰り返し変化させても、その折り曲げ部分の劣化が発生し難いため、好適である。
ホログラムは、体積ホログラムに用いられるものと同様のものを用いることができる。
本発明において、「ホログラム」は鑑賞用とし、「開き率向上」をその目的として設けられているが、そのはがき等が信頼できる送付人から送られてきたことを示すという、いわゆる、偽造防止性を併せ持つことも好適である。
例えば、送付人がはがき等を送付した後、受取人が、その中にある返信用はがき部分(切り離し可能に設けられ、申込書の体裁を有する部分。)等に所定の個人情報等を記入して、返信用はがきとしてその送付人に送付する際に、その申込書が正しい送付人に送付(返送)されるものであることを保証するような目的で使われることも好適である。
そして、「ホログラム」は、少なくとも二つ折りした状態から、開いた状態にして「鑑賞」するものであり、完全に開いた状態においては、その開き角度は、180度となる。
例えば、二つ折りの場合には、二つ折りに閉じた状態で、その「シート」を水平に保ち、この水平面を基準面として、基準面上のY軸を、「シート」の天地方向、基準面上のX軸方向を、その「シート」を開く方向とする。
はがき等の情報記録積層体を受け取った受取人が、そのはがき等の上に記載された情報を視認する際には、この水平面に対して、垂直な方向をZ軸とすると、この「シート」を照明する光源がその「シート」を照明する方向(光源から「シート」に向かう光となる。)が、ZY平面内において、Z軸と「+10度」の角度をなす方向であり、その照明光によって情報記録体上の印刷等の情報(オフセット印刷や、グラビア印刷、インクジェットプリンター等による固定情報や、個人毎の可変情報等を意味する。)を、同一のZY平面内において、Z軸とは「−10度」の角度をなす方向において視認することになる。
これに対して、擬似接着シートに設けられ、そして、情報記録体上に貼着された「ホログラム」を「鑑賞」する際には、受け取ったはがき等を、その擬似接着面を左右に開いて、上記した基準面上に開いた状態で「水平」に置き、上記と同一の照明光によって、再生される「ホログラム再生像」の再生方向が、同一ZY平面内のZ軸とは、「−30度」の角度をなす方向(一次回折光によるホログラム再生像を意味する。)となるように、記録しておくことができる。
すなわち、同一のZY平面内のZ軸に対して「−30度」の角度において、鮮明なホログラムを「鑑賞」することができることを意味する。
(このようなホロラムの記録は、レリーフホログラムのみならず、反射型体積ホログラムにおいても可能である。)
この観賞用のホログラムに加えて、単一波長光源である半導体レーザーや、照明波長帯域の狭いLED光源(発光波長帯域幅10nm〜50nmのピークを有するもの。)を用いて初めて視認可能となるような「ホログラム」を、通常の照明光で鑑賞可能なホログラムに追加して記録(記録角度を変えて記録する等の多重記録を意味する。)しておき、ホログラム鑑賞に加えて、真偽判定をすることも好適である。
さらに、上記左右に開く場合に、閉じた状態を「開き角度‘0度’」とし、左右に完全に開いた状態を「開き角度‘180度’」として、開き角度‘180’のときに、上記ZY平面内のZ軸に対して「−30度」の方向に「一つのホログラム再生像H1」を視認し、開き角度‘150’度のときに、同一方向に「別のホログラム再生像H2」を視認できるように、二つのホログラムを多重記録することが可能である。
すなわち、開き角度‘180度’の時には、はがき等を開いたときの、その左右部分から、上記した立体配置の方向に「ホログラム再生像H1」の再生像が結像し、開き角度‘150度’の時には、開いた左右部分が、基準面からそれぞれZ軸方向に15度ずつ浮き上がっている状態(左右の部分をそれぞれ別の平面領域として、個々の平面がY軸を中心線として、15度ずつ、浮き上がる方向へ回転した状態を意味する。)となり、照明光が、この「斜め」となった左右部分を照明し、その面から受取人の「目」の方へ向かう回折光によって、「ホログラム再生像H2」が結像するものである。
もちろん、開き角度を変化させたときに、ホログラム再生像が結像する方向を、上記Z軸に対して「−20度」とするように変化させることも好適である。
このような、いわば、捩れた方向に、ホログラム再生像を向かわせるためには、「ホログラム再生像H1」記録時の光学系の立体配置に対して、その干渉縞形成面に配置している感光材面、及び、光源光(「参照光」を意味する。)はそのままとし、「ホログラム再生像H2」記録時には、再生像となる「物体光」(「物体」表面で反射してくる光という意味。通常は、この「光」を見て、「物体」を認識している。)の入射方向を、基準平面内で15度回転させた方向とすることにより実現できる。
さらには、コンピュータジェネレーテッドホログラム(CGH)の手法を用いて、照明光源として、2つの照明光を設定し、それぞれの照明光により再生されるそれぞれ(2つ)の再生像を再生可能な干渉縞(ホログラム)を多重記録することが可能である。
立体像が再生可能なコンピュータジェネレーテッドホログラムの作成手法には、概略2つの方法があり、その1つは非特許文献「画像ラボ」(1997年4月号Vol.8,No.4.34〜37頁)もしくは、「3次元画像コンファレンス‘99―3D Image Conference’99−」講演論文集CD−ROM(1999年6月30日〜7月1日工学院大学新宿校舎)等で知られた物体表面を点光源の集合で置き換える方法である。もう1つは、ホログラフィック・ステレオグラムの方法である。
本発明においては、前者の物体表面を点光源の集合で置き換える方法を採用できる(図1参照。)。これは、干渉縞の強度分布を記録したバイナリホログラムであって、再生像が水平方向の視差のみを持ち、上方からの光源光で観察される場合について、その概要を説明すると、図1に示すように、ステップST1で、CGH化する物体の形状が定義される。次いで、ステップST2で、物体、CGH面、参照光の空間配置が定義される。次いで、ステップST3で、物体は、水平面でのスライスにより垂直方向に分割され、さらにスライス面上で点光源の集合に置き換えられる。そして、ステップST4で、これらの空間配置に基き、CGH面上に定義された各サンプル点において、物体を構成する各点光源から到達する光と参照光との干渉縞の強度が演算により求められ、干渉縞データが得られる。次に、ステップST5で、得られた干渉縞データは量子化された後、ステップST6で、EB描画(電子線描画)用矩形データに変換され、ステップST7で、EB描画装置により媒体に記録され、CGHが得られる。
より具体的には、本出願人が出願した「特開2008−77042公報」に記載した手法を用いることができる。すなわち、立体模様の原画像となる「三次元構造体M」として、その「三次元構造体M」の表面上の「標本点Q」の位置における「法線ベクトルN」を、記録媒体1から所定のサイズの開口部を通して進行する「物体光」にあてはめ、これを投影面Syzに投影して得られる投影ベクトルN*と基準軸Rとの交差角ξを求め、θ=ξ/2なる方位核θを定義して、「標本点Q」に対応する投影面Syz上の点Pに位置する画素に、X軸に対して方位角θをなす方向を向いた回折格子線を配置してなる回折格子を有する画素パターンを割付け、この割付けを物理的記録媒体(記録媒体2。)に、電子線描画装置による電子線レジストへの描画及び、現像処理(ステップST8)を経て、本発明のホログラムレリーフ(原盤作成:ステップST9)を得るものである。
このようにして、擬似接着して閉じたはがき等を、開く角度により、異なるホログラムを再生することができる擬似接着シート及び、それを用いた情報記録体を作成することができ、より意匠性に富んだものとし、それによって、その「開き率」をさらに高いものとすることができる。
上記したホログラム再生像H1とホログラム再生像H2の再生方向は、3次元立体配置において、捩れた方向となっているため、ホログラム再生像同士の干渉により、互いに不鮮明化する現象が発生しにくく、開き角度180度に対して、10度以上角度を変えることで鮮明な第二のホログラム再生像を視認することができる。
しかしながら、ホログラム再生像は、多重記録によって、個々のホログラム再生像の再生効率(鮮明さの度合いであって、回折格子の回折効率と同様の指標である。)が低下するため、その低下を考慮して、180度、150度、120度、90度の四重記録が、限界である。
もちろん、開き角度90度未満となると、はがき等を開く角度が狭くなりすぎて、ホログラムを照明する光の量を十分確保できなくなる。
また、はがき等を開くことにより、異なるホログラム再生像を鑑賞する際に、その角度を180度、150度、そして、再び180度に戻すごとく、動きを伴って鑑賞する鑑賞の仕方に応じて、そのホログラム再生像のデザインそのものを「動き」のあるものとして記録しておくこともさらに好適である。
例えば、開き角度が180度のときには、正面を向いているホログラム再生像が、開き角度150度のときには、横を向いているホログラム再生像となるようにしたり、奥にあったホログラム再生像が、手前側に結像し、手前に飛び出すように見えるものとすることも可能である。
さらには、情報記録積層体に用いる情報記録体の基材材質によって、上記した「剥がしカール」を解消することが困難な場合があり、このような場合には、情報記録積層体を開けた際に、必ず、「剥がしカール」が発生し、左右に開いた面の中央部分が、上記基準面から、数mm浮き上がる形となる。
但し、この「剥がしカール」の浮き上がり量(上記の場合は、「数mm」。)は、再現性があり、従って、ホログラム形成層にホログラムを記録する際、この浮き上がりを想定して、記録することにより、この様な「剥がしカール」が発生する情報記録積層体においても、歪みの少ない、鮮明なホログラム再生像を得ることができる。
すなわち、上記の「ホログラフィー露光装置」におけるホログラム撮影時に、その干渉縞形成面に配置している感光材面の形状を、この「剥がしカール」発生状態と同一の形状とし、ホログラムを撮影し、そのホログラムを、体積ホログラムや、レリーフホログラムとして複製することで得られる。
また、上記した、コンピュータジェネレーテッドホログラム(CGH)の手法を用いて、ホログラムを再生するホログラム記録面が、「剥がしカール」の形状となるように設定してホログラムを作成することによっても、同様の、歪みの少ない、鮮明なホログラム再生像を得ることができるホログラム形成層を作成することができる。
これらのレリーフホログラムのホログラムレリーフの凹凸のピッチ(周期)は、通常0.1μm〜数μmであり、凹凸の深さは、通常0.1μm〜1μmである。
単一回折格子のように、全く同一形状の凹凸の繰り返しであるものは、隣り合う凹凸が同じ形状であればある程、反射する光の干渉度合いが増しその強度が強くなり、最大値へと収束する。回折方向のぶれも最小となる。立体像のように、画像の個々の点が焦点に収束するものは、その焦点への収束精度が向上し、再現もしくは再生画像が鮮明となる。
上記の微細な形状を精密に再現するため、また、複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小とするため、複製用の原版は金属を使用し、低温・高圧下で複製を行う。
複製用原版には、Niなどの硬度の高い金属を用いる。高圧回転式の複製に用いるためには、このNi層の厚み精度を高くする必要がある。複製方式は、高圧とするため、平板式でなく、回転式を用いる。
レリーフホログラム用のホログラム形成層は、その表面に上記のような微細な凹凸を形成可能であればよいため、その厚さを非常に薄く形成することができ、擬似接着シートとしての折り適性を高いものとすることができる。
すなわち、その厚さは、上記した凹凸深さの2倍以上あればよいが、可視光線の波長よりも大きくすることが望ましく、0.5μm〜5.0μmとする。0.5μm以下では、微細な凹凸を形成し難く、そして、「薄い塗膜の干渉現象」による不要な虹模様が発生し易く、また、5.0μmを超えると上記した折り適性の悪化を招く。
このレリーフホログラムのホログラムレリーフ上に、接着剤層を設ける。すなわち、ホログラム形成層と接着剤層との界面が、ホログラムレリーフの凹凸形状となる。この際、ホログラム形成層の屈折率と接着剤層の屈折率との差を、0.1〜0.3とすることで、レリーフホログラムのホログラム再生像を視認可能なものとする。
この屈折率差が、0.1未満であると、ホログラム形成層と接着剤層との界面における光の反射光が、非常に小さいものとなり、その反射光の強度に左右される、レリーフホログラムのホログラム再生像の鮮明度(回折格子の回折効率にあたる。)が大幅に低下し、一般的な室内照明では、そのホログラム再生像を視認し難くなる。
この屈折率差は大きければ大きいほど、その界面での光の反射率が大きくなり、望ましいが、いずれも透明な樹脂を用いるホログラム形成層と、接着剤層とにおいては、0.3を超える屈折率差を実現することは、その量産性、及び、コスト面から、非常に困難である。
但し、接着剤層には、光散乱性を有するものの、高屈折率で、接着剤層の屈折率を高めることができる、透明無機顔料微粒子(二酸化チタン顔料:屈折率2.70、酸化鉄パール顔料:屈折率3.0など。)を比較的多く混入させることが可能であるため(接着剤層を通過する光は、「ホログラム再生」には寄与しないため。さらには、敢えてこの散乱性高くすることも、同様の意味において好適である。)、ホログラム形成層の屈折率を低く設定し、接着剤層の屈折率を高く設定するほうが、構成設計上、容易となる。
接着剤層に用い得る透明な樹脂としては、ポリメチルメタクリレート(屈折率n=1.49)、ポリブチルアクリレート(n=1.44)、ポリビニリデン(n=1.42)、メチルセルロース(n=1.50)、フッ素樹脂(n=1.32)、メラミン樹脂(n=1.56)等もしくは、この混合体等を適宜用いることができ、更に必要に応じて可塑剤、その他の添加剤を加えて使用することができる。
これらの接着剤は、適宜、溶剤や、水に溶解させ、グラビア印刷等のコーティング方式や、シルク印刷、さらには、無溶剤のホットメルト方式等を用いて、上記のレリーフホログラムのホログラムレリーフ上に、乾燥後の形成厚さ、5μm〜30μmで、設けることができる。
5μm未満では、情報記録体表面との接着力が不十分であり、二つ折り等の折り加工を施した際、接着剤が剥離し、擬似接着シートと情報記録体表面との間に空気が入り込んで、ホログラム再生像の視認性を著しく低下させることとなる。また、30μmを超えると、擬似接着シートの折り適性を悪化させる。
上記した接着剤層に用いる透明な樹脂は、ホログラム形成層と、情報記録体表面との接着性の強いものを適宜選択する。
接着剤層と、情報記録体との180度剥離強度(剥離強度測定は、JIS Z−0237に準じ、剥離速度500mm/分とする。)は、200g/50mm〜2000g/50mm、特に、500g/50mm以上とすることが望ましい。200mm/50mm未満では、郵送や配送中に、情報記録体と接着剤層間で剥離が発生し、その部分に空気が入り込む等の現象が発生して、秘匿情報等の確認や、ホログラム再生像の鑑賞を阻害する。特に、折り部分はこの不具合が発生し易い。
これらの接着剤層に用いる透明な樹脂は、ホログラム形成層として、体積ホログラムを用いる場合も同様にして用いることができる。
さらに、レリーフホログラムのホログラムレリーフに追従するように透明反射性薄膜層を設けることにより、ホログラムレリーフと透明反射性薄膜層との界面での屈折率差を大きくし、且つ、透明反射性薄膜層内での多重反射を生じさせて、光の反射率を高め、再生するホログラムの鮮明度をさらに高めることができる。
上記した透明反射性薄膜層としては、ITO等の金属酸化物または窒化物であり、比較的厚く形成しても、高い透明性を維持し、且つ、所定の屈折率を有するものが好適である。
透明反射性薄膜層は、ほぼ無色透明な色相で、その光学的な屈折率がホログラム形成層の屈折率とは異なることにより、金属光沢が無いにもかかわらず、ホログラムなどの光輝性を視認できることから、「透明なホログラム」を実現することができる。例えば、ホログラム形成層よりも屈折率の高い薄膜を形成可能な、Sb23 (n=3.0)、Fe23 (n=2.7)、TiO2(n=2.6)、CdS(n=2.6)、CeO2(n=2.3)、ZnS(n=2.3)、PbCl2 (n=2.3)、CdO(n=2.2)、Bi23 (n=2.5)、PbO(n=2.6)、Ta25 (n=2.4)、In23 (n=2.0)、Sb23(n=2.0)、WO3 (n=2.0)、SiO(n=2.0)、ZnO(n=2.1 )、ZrO2(n=2.0)、Cd23 (n=1.8)、Al23 (n=1.6)、CaO ・SiO2(n=1.8)等がある。
さらに、Be、Mg、Ca、Cr、Mn、Cu、Ag、Al、Sn、In、Te、Ti、Fe、Co、Zn、Ge、Pb、Cd、Bi、Se、Ga、Rb、Sb、Pb、Ni、Sr、Ba、La、Ce、Auなどの酸化物または窒化物、または、それらの2種以上を混合したものなどが例示できる。
透明反射性薄膜層の形成は、ホログラム形成層のホログラムレリーフ面に、追従するように、50nm〜1000nmの厚さで形成する。好適には、100nm〜500μmの厚さとし、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD(化学蒸着法)などの真空薄膜法等により設ける。
透明反射性薄膜層を形成した場合は、上記した接着剤層は、この透明反射性薄膜層の上に上記したものと同様の形成方法を用いて、同様の厚さに設けることができるが、この場合には、透明反射性薄膜層において、十分な光の反射を得ることができるため、接着剤層の屈折率を上記のように選定する必要はなく、透明反射性薄膜層及び、情報記録体との接着性に優れるものを用いる。
透明基材の一方の面にホログラム形成層及び接着剤層を設けた、その反対側の面、すなわち、透明基材の他方の面には、擬似接着層を設ける。
剥離可能な擬似接着層は、擬似接着層同士の密着面の密着及び、透明基材との再剥離を容易にするように調整されており、粘着主剤、粘着力調整剤、添加物等を混合したものを使用することができる。
粘着主剤は、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリ酢酸ビニル等、または、これらの混合物が挙げられる。これらの粘着主剤の混合割合を、適宜、調整することによって、擬似接着層同士の自着性(同一材料同士の密着面の密着性を意味する。)を保持しつつ、透明基材との密着性を自着性より小さくする。
または、その混合割合を変えて、敢えて、透明基材との密着性を自着性より大きくし、透明基材と擬似接着層との界面でなく、擬似接着層同士の界面で再剥離させることもできる。
粘着力調整剤は、粘着主剤の粘着力を調整するために混合され、針状物質もしくは微粒状物質、または、これらの混合物が用いられる。
添加物として、取り扱い性、各種加工機内での搬送性能等の滑り性向上または耐ブロッキング性向上のための微粒子ワックス類、劣化防止のための紫外線吸収剤などを添加してもよい。
また、消泡剤として、非イオン系界面活性剤を添加したり、さらに、消泡助剤として、シリカ等を添加してもよい。
このような擬似接着層の形成厚さは、乾燥後で0.3μm〜5.0μm、好ましくは、0.5μm〜3.0μmが好適である。
形成厚さが、0.3μm未満、すなわち、擬似接着層同士を貼着させて、この2倍の厚さとしたとき、その厚さが、可視光線の波長の大きさより小さいものであると、その形成薄膜による不要な光の干渉現象が発生し、ホログラム再生像を視認する際に、その妨げとなる。また、貼着後の厚さが、10μm(5μmの2倍。)を超えると、擬似接着層同士の接着性が不安定になる。さらには、ブロッキングやパイリング(粉落ち。)等も発生し易くなる。また、擬似接着層は、形成厚さが厚くなると、感熱加圧した際、透明基材からの剥離力(基材に接着する強さ)が強くなり、そのために「剥離感」が悪くなる傾向がある。
そして、情報記録積層体を左右に開いたときに、この擬似接着層が残っている側(透明基材上に擬似接着層が積層されている側。)と、透明基材が露出している側(透明基材表面が最表面となっている側。)とで、ホログラム再生像の鮮明度の差を小さくするためにも、この擬似接着層の厚さを小さいものとし、且つ、その透明性及びその均一性を確保する。
もちろん、擬似接着層同士の界面で再剥離させるとこの差が生じず、より好適である。
また、情報記録積層体を左右に開いたときに、擬似接着層が左右両側にそれぞれ部分的に残存して「ムラ」となること(圧着された擬似接着層が、分断されることを意味する。)を防ぐため、情報記録積層体を上下から加熱圧着する際の情報記録積層体の上下の加熱温度に、20度〜40度の差を設け、上下に存在(位置)する、透明基材と擬似接着層の界面(二つ存在する。)に加わる温度に差をつけて、上側と下側、それぞれの界面の接着強度が加熱強化される度合いに差を生じさせることも好適である。
こうすることで、情報記録積層体の左と右の面(閉じる前の状態での左右の面を意味する。)での透明基材と擬似接着層の接着強度に差が発生し、情報記録積層体を左右に開いたときに、低温加熱した方の界面が優先的に剥離し、「ムラ」のない開封が可能となる。
擬似接着層に用いられる樹脂としては、さらに、ポリエチレン樹脂、エチレン/メタクリル酸共重合樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン/アクリル酸エチル共重合樹脂、ポリエチレン樹脂とアイオノマー樹脂との混合物系等が挙げられる。
特に、ガラス転移温度が25℃以上のもの、及び、ビカット軟化温度が45℃以上のものを選択して使用することが、透明基材との剥離性、及び、保存性を良好なものとすることができるので好ましい。
ここで、ビカット軟化温度とは、ASTMD1525−70によって測定した温度であり、プラスチック表面に1kgの荷重をかけたゲージを配置して加熱したとき、ゲージの針先がプラスチック中に1mm入り込んだ時の温度で表され、ビカット軟化点と同義である。
また、他の例示として、ポリプロピレンフィルムを透明基材に用いた場合には、その上に積層される擬似接着層はプロピレンとαオレフィンの共重合体と結晶性ポリブテン(ポリブテン−1ホモポリマー)の混合体であることが好ましい。
さらに、擬似接着層は、その形成層の破断点伸度が350%(破断点伸度測定は、JIS K−6760に準ずる。)以上となるように調整された形成層であることも好ましい。
破断点伸度が350%未満では、情報記録体の情報記録面間に擬似接着シートを挟んで、加熱、加圧により一体化された情報記録積層体を、剥離展開する(開けることを意味する。)際、擬似接着層が、層内でちぎれて、展開した透明基材の左右に部分的に付着し、「ムラ」となりやすく、ホログラム再生像の鮮明度を低下させる恐れがある。
また、透明基材と擬似接着層との界面における180度剥離強度は、20〜150g/50mmであることが好適であり、特に20〜100g/50mmであることがさらに好ましい(剥離強度測定は、JIS Z−0237に準じ、剥離速度500mm/分とする。)。こうすることで、擬似接着層同士は十分に密着する一方、情報記録積層体を開く際、透明基材と擬似接着層との界面でスムーズに剥離することができ、層内ちぎれの発生を抑制できる。
この剥離強度が、20g/50mm未満であると自然剥離が発生し易く、郵送中や、配送中に二つ折りした情報記録積層体が開く恐れがあり、また、この剥離強度が150g/50mmを超えると、「剥がしカール」が発生したり、表面強度の弱い情報記録体を使用した場合には、情報記録積層体を開く時に、その情報記録体の表面が剥がれ、ホログラム再生像が歪んで不鮮明となり、伝達する情報そのものの判読性をも低下させる恐れがある。
また、接着剤層に、微粒子の無機顔料、或いは、有機顔料を添加して、透明性を維持しつつ、接着剤層の表面に微細な凹凸を形成することにより、擬似接着シートをあらかじめ二つ折りしておき(接着剤層を外側にする。)、これを、やはり二つ折りした情報記録体の中に挟んで、情報記録体との積層体を作製する方法を用いた時に、溶融した接着剤層の透明な樹脂が、情報記録積層体の間からはみ出すことを防止することができる上、擬似接着シートをロール状に製造する際に、ロール状となった擬似接着シートのブロッキングを防止することができる。そして、この微細な凹凸は、情報記録体に貼着した際に消失するため好適である。
これらの顔料の添加量は、接着剤層100%当たり0.5%〜10%であることが好ましく、特に好ましくは0.5%〜5%である。顔料添加比率が0.5%未満では、擬似接着シート巻き取り時のブロッキングが発生し易かったり、情報記録積層体作製時に溶融した樹脂がはみ出し、開き適性の低下を招き易いために好ましくない。また、10%を超える添加量では、情報記録面との接着不良を招くので好ましくない。
更に、香料、帯電防止剤、レベリング剤、着色剤等を添加することも可能である。
本発明によれば、
ホログラムを有する擬似接着シートを情報記録体に貼着した情報記録積層体を、少なくとも二つ折りして熱圧着させ、情報記録体上の記録情報と、そのホログラムとを内側に秘匿することができ、その情報記録媒積層体の貼着された擬似接着面を剥離、すなわち、その二つ折りを開いて初めてそのホログラムを観察できる、情報記録積層体を提供することができ、且つ、その情報記録積層体を受け取った受取人の注意や関心を十分喚起して、その「開き率」を向上し、しかも、開いた情報記録積層体の広い面積に渡ってホログラムを鑑賞できるものとし、さらには、その情報記録積層体を手元に保持させ得る機能を有する、擬似接着シート、及び、その擬似接着シートを用いた情報記録積層体を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
計算機合成ホログラム(CGH)作成方法の説明図である。 本発明の一実施例を示す擬似接着シートの断面図である。 本発明の別の実施例を示す擬似接着シート(ホログラム形成層にレリーフホロ グラムを用いている。)の断面図である。 本発明のさらに別の実施例を示す擬似接着シート(ホログラム形成層に、レリ ーフホログラム及び、そのホログラムレリーフに追従するように透明反射性薄 膜層を設けた2層構成のものを用いている。)の断面図である。 図2に示す、本発明の擬似接着シート(シート内部の層構成を省略している。 )を、情報記録体に貼着して、情報記録積層体とし、その擬似接着層側を内側 にして、2つ折りし、その擬似接着層同士を加熱、加圧して圧着した情報記録 積層体の断面図である。
(擬似接着シート)
本発明の擬似接着シートA1〜A3(図2〜4参照。)は、上記したように、透明基材1の一方の面に、ホログラム形成層2、もしくは、レリーフホログラム5を形成し(A1、A2参照。)、さらには、レリーフホログラム5の上に、そのレリーフホログラム5の表面の凹凸であるホログラムレリーフに追従するように、透明反射性薄膜層6を形成し(A3参照。)、各層、すなわち、ホログラム形成層2、レリーフホログラム5、そして、透明反射性薄膜層6の上に、接着剤層3を形成したものにおいて、それらの透明基材1の他方の面に、擬似接着層4を形成したものである。
(透明基材、ホログラム形成層、レリーフホログラム及び、透明反射性薄膜層)
透明基材1としては、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や、ホログラム形成層2、レリーフホログラム5、透明反射性薄膜層6、接着剤層3、擬似接着層4を設ける際の処理や加工、さらには、情報記録体への接着処理、あるいは、折り加工時等の各種加工機による処理に適した物理特性を有するものであって、擬似接着層との適度な接着性および再剥離性を有する、透明基材を用いることが好ましい。
透明基材1としては、加工方法にもよるので、限定されるものではないが、フィルム状もしくはシート状のプラスチックが好ましい。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアリレート、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、ポリエチレン/ビニルアルコール等の各種のプラスチックフィルムを例示することができる。
透明基材の厚さは、通常5〜100μmであるが、その取り扱い適性、特に、折り適性から5〜25μmとすることが望ましい。
ホログラム形成層2には、各種のホログラム形成材料を用いることができる。
ホログラム形成材料は、大別すると、振幅ホログラム形成材料と、位相ホログラム形成材料に分けられるが、本発明のホログラム形成層2には、位相ホログラム形成材料を使用する。
これは、振幅ホログラムが専ら透過タイプのホログラム(光を透過させる際にその明暗パターンによるホログラム情報を付加するもの。)として用いられるためであり、照明光を反射させてホログラム再生を行う本発明の擬似接着シートには不向きなためである。
位相ホログラムを、さらに大別すると、3次元記録をする「体積ホログラム」用材料と、記録材の表面の凹凸形状でホログラムを記録する「レリーフホログラム」用材料に分けられる。
体積ホログラム用材料に対して、参照光と物体光をそれぞれ異なる側(方向)から照射して、その干渉縞を記録すると、「反射型の体積ホログラム」を記録することができ、本発明のホログラム形成層2には、この「反射型の体積ホログラム」を使用する。
また、レリーフホログラムも、その原理から、反射型、もしくは透過型、いずれも形成することができるが、そのホログラムレリーフである凹凸の深さを設定する際、反射型用と透過型用では、その最適な深さが異なるため、反射型用に凹凸深さを設定すると、そのレリーフホログラムを敢えて、透過型として観察した場合、そのホログラム再生効率を著しく小さくすることができ、ほとんど視認することはできないものとすることができる。逆に、その凹凸深さを、透過型に設定すると、反射型としては視認し難いものとなる。
本発明のレリーフホログラムは、上記したごとく、その凹凸深さを反射型に設定したものを使用する。
上記の「反射型の体積ホログラム」をホログラム形成層2に用いる場合には、高感度、且つ、高解像度の銀塩写真乳剤、重クロム酸ゼラチン、ポジ型、及び、ネガ型フォトレジスト、架橋型、ラジカル重合型、カチオン重合型、化学増幅型、ナノ粒子分散系フォトポリマー、フォトリフラクティブ材料、フォトクロミック材料等を用いることができる。
フォトポリマー材料としては、固体の光重合性組成物であって、熱可塑性重合体結合剤、付加重合可能なエチレン系不飽和単量体、及び、不飽和単量体の重合を活性化する光開始剤からなる、屈折率変調を有する光重合性組成物を用いることができる。
熱可塑性重合体結合剤は、溶媒可溶性の熱可塑性重合体であるが、単独で、または、互に組合せて使用することができ、例えば、アクリレート及びアルファーアルキルアクリレートエステル、ポリビニルエステル、飽和及び不飽和ポリウレタン、ブタジエン及びイソプレン重合体及び共重合体、エポキシ化物、ポリアミド等、並びに、それらの混合物を使用できる。エチレン系不飽和単量体は、単一の単量体として、または、組合せて使用することができる単量体として、スチレン、2−クロロスチレン、2−ブロモスチレン、メトキシスチレン、アクリル酸フェニル等を用いることができる。
光開始剤としは、遊離ラジカル発生付加重合開始剤等を使用することができる。
反射型体積ホログラムである、ホログラム形成層2の厚さは、5μm〜30μmとする。好適には、10μm〜20μmである。5μm未満では、反射型体積ホログラムのホログラム再生像が不鮮明となり、30μmを超えると、擬似接着シートとしての折り適性を悪化させるとともに、折り目にあたる領域の変形が目立つようになるため、ホログラム全体の意匠性が低下する。
ホログラム形成層2は、光重合性組成物の塗布液(例えば、固形分15〜25%)を、透明基材1が、1枚毎のシート状であればバーコート、スピンコート、またはディッピング等により塗布形成され、また、透明基材1、がロール状の長尺の状態で塗布するのであれば、グラビアコート、ロールコート、ダイコート、またはコンマコート等により塗布する。ホログラム形成層2は塗布液に合わせた、乾燥ないし硬化の手段を用いて固化される。
その光重合性組成物としては、一例として、組成物全体に対してカチオン重合性化合物を10〜50%、ラジカル重合性化合物を40〜70%、光ラジカル重合開始剤系を1〜5%、及び、光カチオン重合開始剤系を1〜5%とするとよく、全量を100%となるように配合する。
光重合性組成物は、必須成分および添加物をそのまま、もしくは必要に応じてメチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、メチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、メタノール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒と配合し、冷暗所にて、高速撹拌機を使用して混合することにより調製される。
この光重合性組成物は、その透明性を維持しつ、鮮明な体積ホログラムを再生でき、且つ、高い破断強度、小さい破断伸度、さらには、高い鉛筆硬度を有するため、高い透明性と、引張り耐性や耐摩耗性等の強靭な物理特性を必要とする、擬似接着シートA1に好適である。
特に、二つ折り等の折り曲げ適性に優れ、情報記録積層体A4(図5参照。)を開いて、その開き角度を繰り返し変化させても、その折り曲げ部分の劣化が発生し難いため、好適である。
反射型体積ホログラムは、フレネルホログラム、イメージホログラム、白色光再生ホログラム、カラーホログラム、コンピュータジェネレーテッドホログラム、ホログラフィック回折格子、また、マシンリーダブルホログラムとすることができる。
ここで、情報記録積層体A4を開いた時に(受取人が)目視にて鑑賞可能なホログラムを、少なくとも1種類は含めておく。
体積ホログラムとなるホログラム形成層2は、レーザー光を用いた撮影方法や、複製方法により作成することができる。
また、「レリーフホログラム」をホログラム形成層2に用いる場合には、各種の透明な材料が用いられる。例えば、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、アクリル酸エステル樹脂(屈折率n=1.47)、アクリルアミド樹脂(n=1.50)、ニトロセルロース樹脂(n=1.54)、酢酸ビニル樹脂(n=1.47)、もしくは、ポリスチレン樹脂(n=1.60)等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、ウレタン樹脂(n=1.60)、エポキシ変性アクリル樹脂(n=1.55)、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、アルキッド樹脂(n=1.54)、もしくはフェノール樹脂(n=1.60)等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、1種もしくは2種以上を使用することができる。これらの樹脂の1種もしくは2種以上は、各種イソシアネート樹脂を用いて架橋させてもよいし、あるいは、各種の硬化触媒、例えば、ナフテン酸コバルト、もしくはナフテン酸亜鉛等の金属石鹸を配合するか、または、熱もしくは紫外線で重合を開始させるためのベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、ナフトキノン、アゾビスイソブチロニトリル、もしくはジフェニルスルフィド等を配合しても良い。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート(n=1.55)、ウレタンアクリレート(n=1.54)、アクリル変性ポリエステル(n=1.64)等を挙げることができ、このような電離放射線硬化性樹脂に架橋構造を導入するか、もしくは粘度を調整する目的で、単官能モノマーもしくは多官能モノマー、またはオリゴマー等を配合して用いてもよい。
さらに、環境に配慮して、生分解プラスチックをホログラム形成層2として用いることもできる。
上記の樹脂材料を用いてレリーフホログラム用のホログラム形成層2を形成するには、直接的に形成することもできるが、複製用型を用い、賦型を行なうこともできる。後者は、非常に量産性に優れる。
熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、複製用型面に未硬化の樹脂を密着させたまま、加熱もしくは電離放射線照射により、硬化を行わせ、硬化後に剥離することによって、硬化した透明な樹脂材料からなる層の片面にレリーフホログラムの凹凸を形成することができる。なお、同様な方法によりパターン状に形成して模様状とした回折格子を有する回折格子形成層も光回折構造として使用できる。
紫外線硬化タイプや、電子線硬化タイプ等の電離放射線硬化性樹脂を用いた場合には、二つ折り等の折り曲げ適性に優れ、情報記録積層体A4を開いて、その開き角度を繰り返し変化させても、その折り曲げ部分の劣化が発生し難いため、好適である。
ホログラムとしては、体積ホログラムと同様に、レーザ再生ホログラム、白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーテッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子、複合回折格子で構成されるホログラムや、マシンリーダブルホログラムなどを用いることができる。
これらのレリーフホログラムは、図3における、レリーフホログラム5としても、用いることができる。但し、レリーフホログラム5として用いる場合には、その屈折率を、接着剤層3の屈折率と、0.1〜0.3だけ異なるものを使用する。
レリーフホログラム5は、非常に量産性に優れ、大量に郵送、または配送する用途に好適である。
レリーフホログラム5のホログラムレリーフの凹凸のピッチは、0.1μm〜数μmとし、凹凸の深さは、0.1μm〜1μmとする。
上記の微細な形状を精密に再現するため、また、複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小とするため、複製用の原版は金属を使用し、低温・高圧下で複製を行う。
従って、生分解性プラスチックを用いる場合にも、低温処理の可能なもの、すなわち、その融点が低いものが好ましく、その融点が110℃以下のものは特に好ましい。
複製用原版には、Niなどの硬度の高い金属を用いる。この複製用原版は、光学的撮影もしくは、電子線描画などにより形成したガラスマスターなどの表面に、Cr、Ni薄膜を真空蒸着法、スパッタリングなどにより5〜50nm形成後、Niなどを電着法(電気めっき、無電解めっき、さらには複合めっきなど)により50〜1000μm形成した後、金属を剥離することで作ることができる。
高圧回転式の複製に用いるためには、このNi層の厚み精度を高くする必要があり、通常±10μm、好ましくは、±1μmとする。このため、裏面の研磨や、平坦化方法を用いてもよい。
複製方式は、高圧とするため、平板式でなく、回転式を用い、線圧0.1トン/m〜10トン/m、好ましくは、5トン/m以上とする。複製用シリンダーは、その直径が小さいとレリーフの再現性が低下するため、複製シリンダー直径は大きい方が好ましく、通常、直径0.1m〜2.0m、好ましくは、1.0m以上の弧を使用する。
例えば、透明基材上のホログラム形成層をこの複製用シリンダーに沿って押し当て、裏面より(透明基材側から)金属製シリンダーにより上記圧力にて複製を実施する。複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小限とするためには、透明基材1全体を加熱するのではなく、ホログラム形成層面側の一部のみを加熱する方法が望ましい。通常60℃〜110℃に加熱する。さらには、裏面の金属製シリンダーを常温に保つ、もしくは冷却することで、さらにその精度を向上させることができる。
レリーフホログラム用のホログラム形成層は、その表面に上記のような微細な凹凸を形成可能であればよいため、その厚さを非常に薄く形成することができ、擬似接着シートとしての折り適性を高いものとすることができる。
すなわち、その厚さは、0.5μm〜5.0μmとする。0.5μm以下では、複製圧力を高くしても微細な凹凸を正確には形成し難い上、不要な虹模様が発生し易く、また、5.0μmを超えると、折り適性の劣化を招くとともに、折り領域の変形が目立ち易くなる。
さらに、レリーフホログラム5のホログラムレリーフに追従するように透明反射性薄膜層6を設けることにより、レリーフホログラム5と透明反射性薄膜層6との界面での屈折率差を大きくし、再生するホログラムの鮮明度をさらに高める。(図4参照。)
上記した透明反射性薄膜層6としては、金属酸化物または窒化物を用いる。すなわち、レリーフホログラム5よりも屈折率の高い薄膜を形成可能な、Sb23 (n=3.0)、Fe23 (n=2.7)、TiO2(n=2.6)、CdS(n=2.6)、CeO2(n=2.3)、ZnS(n=2.3)、PbCl2 (n=2.3)、CdO(n=2.2)、Bi23 (n=2.5)、PbO(n=2.6)、Ta25 (n=2.4)、In23 (n=2.0)、Sb23(n=2.0)、WO3 (n=2.0)、SiO(n=2.0)、ZnO(n=2.1 )、ZrO2(n=2.0)、Cd23 (n=1.8)、Al23 (n=1.6)、CaO ・SiO2(n=1.8)等を用いる。
さらに、Be、Mg、Ca、Cr、Mn、Cu、Ag、Al、Sn、In、Te、Ti、Fe、Co、Zn、Ge、Pb、Cd、Bi、Se、Ga、Rb、Sb、Pb、Ni、Sr、Ba、La、Ce、Auなどの酸化物または窒化物、または、それらを2種以上を混合したものなどを用いる。
透明反射性薄膜層6は、レリーフホログラム5のホログラムレリーフ面に、追従するように、50nm〜1000nmの厚さで形成する。好適には、100nm〜500μmの厚さとし、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD(化学蒸着法)などの真空薄膜法などにより設ける。
透明反射性薄膜層6を形成した場合は、この上に設ける接着剤層3は、透明反射性薄膜層6において、十分な光の反射を得ることができるため、接着剤層3の屈折率を特に制限する必要はなく、透明反射性薄膜層6及び、情報記録体7との接着性に優れるもの、且つ、その情報記録領域8との接着性にも優れるものを用いる。
情報記録体7や、情報記録領域8との接着性が不十分であると、情報記録積層体A4を郵送したり、配送したりしている過程で、情報記録体7や、情報記録領域8と、接着剤層3との界面に剥離現象が発生し、空気が回り込んで、白濁して見え、ホログラム再生像の鮮明度を低下させる原因となる。
(接着剤層)
このホログラム形成層2の上に、または、レリーフホログラム5のホログラムレリーフ上に、接着剤層3を設ける。
後者の場合には、レリーフホログラム5と接着剤層3との界面が、ホログラムレリーフの凹凸形状となるため、接着剤層3の屈折率を、レリーフホログラム5の屈折率に対して、0.1〜0.3だけ、差のあるものとする。
但し、接着剤層3には、高屈折率で、透明な、無機顔料微粒子を混入させることが可能であるため、接着剤層3の屈折率を高く設定するほうが、容易である。
接着剤層3に用い得る透明な樹脂としては、ポリメチルメタクリレート(屈折率n=1.49)、ポリメチルアクリレート(n=1.47)、ポリベンジルメタクリレート(n=1.57)、ポリブチルアクリレート(n=1.44)、ポリビニリデン(n=1.42)、ポリイソブチルアクリレート(n=1.48)、硝酸セルロース(n=1.54)、メチルセルロース(n=1.50)、セルロース・アセテートプロピオネート(n=1.47)、ポリスチレン(n=1.60)、ポリエチレンテレフタレート(n=1.64)、ポリ酢酸ビニル(n=1.47)、ポリ塩化ビニル・酢酸ビニル(n=1.54)、フッ素樹脂(n=1.32)、メラミン樹脂(n=1.56)、ポリカーボネート(n=1.59)、エポキシ樹脂(n=1.60〜1.65)、フェノール樹脂(n=1.60)、チオウレタン樹脂(n=1.55〜1.75)、酢酸ビニル樹脂(n=1.47)、アクリル樹脂(n=1.45)、酢酸ビニル−アクリル共重合体(n=1.48)、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体(n=1.54)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂(n=1.60)、チオウレタン樹脂(n=1.55〜1.75)等や、天然ゴム(n=1.52)、クロロプレンゴム(n=1.35〜1.56)などのゴム系樹脂等もしくは、この混合体等を適宜用いることができる。
また、溶剤系及び水系のいずれの接着剤も用いることができ、特に、ホログラム形成層2や、レリーフホログラム5を構成する材料に対して、溶解したり、膨潤させたりすること(わずかな溶解、膨潤でもホログラム再生像への影響は大きい。)の少ない、水系のものがより好適である。
また、これらの樹脂に、上記の透明無機顔料微粒子を、樹脂比5%〜30%添加したものも好適である。
自然にやさしい材料構成とするために、特に、天然ゴムを主成分とするラテックス、それを変性したもの、特に天然ゴムにスチレン特にメタクリルさんメチルとをグラフト重合させて得た天然ゴムラテックス等の天然素材から作製されたものを用いても良く、また、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂(n=1.60)、ポリアミド系樹脂(n=1.53)、または、これらのゴム変性物などの比較的内部凝集力の大きいものも適宜選択して使用でき、単体、もしくは2種以上の混合系で、更に必要に応じて可塑剤、その他の添加剤を加えて使用することができる。
これらの接着剤は、適宜、溶剤や、水に溶解させ、各種コーティング方式や、シルクスクリーン印刷方式、ホットメルト方式等を用いて、レリーフホログラム5のホログラムレリーフ上に、乾燥後の形成厚さ、5μm〜30μmで、設ける。
上記した接着剤層3に用いる接着剤は、ホログラム形成層2、または、レリーフホログラム5と、情報記録体7表面や、その上の情報記録領域8表面との接着性の強いものを適宜選択する。(図5参照。)
(擬似接着層、擬似接着シート、情報記録体及び、情報記録積層体)
擬似接着層4としては、粘着主剤、粘着力調整剤、添加物等を混合し、擬似接着層4同士の密着面9の密着性、及び、透明基材1との再剥離性を調整したものを使用する。(図5参照。)
その混合割合は、粘着主剤100部、粘着力調整剤として、針状物質の場合10〜50部、微粒状物質の場合5〜30部、そして、添加物は、ワックス0.01〜20部、紫外線吸収剤、消泡剤、消泡助剤を、適宜、微量添加し、エマルジョン化成分として、水200〜300部、乳化剤0.5〜2部、エマルジョン化用樹脂1〜50部とする。
粘着主剤としては、天然ゴム、エステル化天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート等、または、これらの混合物を用いる。
粘着主剤の混合にあたっては、その混合割合を、調整して、擬似接着層4同士の自着性を保持しつつ、透明基材1との密着性を自着性より小さくするか、敢えて、透明基材1と擬似接着層4との界面でなく、擬似接着層4同士の界面で、再剥離させる目的で、透明基材1との密着性を自着性より大きくする。
好ましくは、加熱、加圧によって擬似接着層4同士の自着性を発現する性質の高い天然ゴムに、透明基材1との密着性、すなわち、アンカー効果を高める目的で、ポリメチルメタクリレートやスチレンブタジエンゴムを添加する。
ポリメチルメタクリレートは、他の粘着主剤と混合して用いる。
粘着力調整剤としては、針状物質として、無機物質、有機物質のいずれでもよく、その形状が略針状であればよく、偏平状、螺旋状、鱗片状等の様々な形態を持つものから任意に選択する。また、微粒状物質を用いることもでき、マイクロシリカ、合成ゼオライト、活性アルミナゲル、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、タルク、クレー、カオリン、活性白土、アクリルビーズ、澱粉、セルロース、シラスバルーン等が挙げられ、その粒径は、0.01μm〜0.3μm、さらには0.01μm〜0.1μmの範囲にあるものが好適である。針状物質と共に添加することにより、微粒状物質の添加量を少なくすることができると共に微粒状物質の粉落ちを防止することができる。
添加物としては、ポリエチレンワックス、カルナウバワックス等の微粒子ワックス類、劣化防止のために、アンモニア、エタノールアミン等の紫外線吸収剤などを添加することができる。
また、消泡剤(非イオン系界面活性剤や、アニオン系界面活性剤(鉱物油系))、さらに、消泡助剤等を添加できる。
これらの粘着主剤、粘着力調整剤、添加物は、水等の媒体に分散してエマルジョン状態として透明基材1に塗布する。
エマルジョン化の際には、必要に応じて乳化剤を添加する。乳化剤としては、オレイン酸石鹸、ひまし油カリウム石鹸、カゼイン、にかわ、ゼラチン等を使用できる。また、エマルジョン化したときの粘着主剤の2次凝集防止のために、粘着主剤と親和性を有しないエマルジョン化用樹脂を添加することができる。
このエマルジョン化用樹脂としては、水分散性高分子ポリエステル、熱可塑性エラストマー、また、低密度ポリエチレン等の低分子ポリエチレン、アイオノマー、酢酸ビニル−オレフィン共重合体等が好適に使用できる。
水系の擬似接着層4は、透明基材1から剥離したときに、その表面が鏡面となり易く、この層を透過するホログラム照明光や、ホログラムを再生する反射光を乱すことが少ないため、好適である。
擬似接着層4の形成厚さは、乾燥後で、0.3μm〜5.0μm、好ましくは、0.5μm〜3.0μmとする。
擬似接着層4に用いられる樹脂としては、さらに、ポリエチレン樹脂、エチレン/メタクリル酸共重合樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン/アクリル酸エチル共重合樹脂、の単体或いはこれらの混合物系等を用いることができるが、特に、ポリエチレン樹脂とアイオノマー樹脂との混合物系(混合比率=95/5〜30/70)が剥離の安定性に優れるため使用できる。
さらに、エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン/アクリル酸共重合樹脂、エチレン/アクリル酸エチル共重合樹脂、ポリウレタン樹脂、ホリアミド樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル/プロピオン酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等の中から選択される少なくとも1種の樹脂を使用することもできる。特に、エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂の単体もしくは複数の混合物を使用することが好ましい。
また、透明基材1との剥離性、及び、保存性を良好なものとするため、ガラス転移温度が25℃以上のもの、及び、ビカット軟化温度が45℃以上のものを使用する。
特に、エチレン系共重合ポリオレフィン、低密度ポリオレフィン、酢酸ビニル系共重合ポリオレフィン、アイオノマー樹脂ディスバージョンの中から選択された何れかの樹脂と自己乳化型ポリオレフィン樹脂とを、樹脂混合比率95/5〜5/95の割合で混合したものを、透明基材1上に塗布・乾燥して形成した、ビカット温度45℃以上のものが好適である。
擬似接着層4と、接着剤層3との好適な組み合わせとしては、擬似接着層4を、ビカット軟化温度が45℃以上の、熱可塑性エラストマー、アイオノマー樹脂、低分子量ポリオレフィン樹脂の中から選択される少なくとも1種の樹脂を使用し、接着剤層3として、ガラス転移温度が30〜70℃、もしくはビカット軟化温度が40〜65℃のエチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン/アクリル酸共重合樹脂、エチレン/アクリル酸エチル共重合樹脂等の中から選択される少なくとも1種の樹脂を使用することが好ましく、接着剤層3による好適な情報記録体7への接着性と、擬似接着層4の安定した再剥離性を得ることができる。
このような材料構成の擬似接着シートA1〜A3を、情報記録体7の情報記録面に接着剤層3を介して接着させ、一体となった情報記録積層体を二つ折りして、擬似接着層4面同士を密着させ、100度以下の温度で、線圧1kg/cmの圧力にて加熱、加圧して、ホログラム及び、記録した情報(情報記録領域8)を内側に秘匿した情報記録積層体A4を作成することができる。
この加熱及び加圧条件は、使用する情報記録体7の材質や、擬似接着シートA1〜A3の各層の材質によって、調節する。
また、ポリプロピレンフィルムを透明基材1に用いた場合には、その上に積層される擬似接着層4はプロピレンとαオレフィンの共重合体と結晶性ポリブテン(ポリブテン−1ホモポリマー)の混合体とする。αオレフィンとしては、エチレン、ブテン、ブタジエン、ペンテンなどが使用でき、これらの2種とプロピレンの3元共重合体も使用できる。特に、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン共重合体は好ましい。共重合体のうちプロピレンが占める割合は、80〜95%が好ましく、95%以上では、加熱、加圧による熱圧着性が良くない。
共重合体と結晶性ポリブテンの混合割合としては、共重合体が65〜95%、ポリブテンが5〜35%の範囲が好ましい。結晶性ポリブテンが5%を下まわると、感熱圧着させる温度が高くなり、剥離力が強くなりすぎる。また、結晶性ポリブテンが35%を越えていると、感熱圧着する温度は低くなるが、適度な剥離強度が得られる圧着温度の範囲が狭くなってしまう。また、擬似接着層4については、形成厚さが厚くなると感熱加圧した際、剥離力が強くなるために剥離感が悪くなる。
透明基材1の片面に設けられる擬似接着層4は、その形成層の破断点伸度が350%以上となるように調整すると、開き適性(開いた際に「ムラ」が発生し難いと言う意味。)や、折り適性等に非常に優れ、好ましい。
さらに、透明基材1と擬似接着層4との界面における180度剥離強度(剥離速度500mm/分)を、20〜150g/50mm、特に、20〜100g/50mmとすることでも、擬似接着層4同士の密着を十分とし、情報記録積層体A4を開く際、透明基材1と擬似接着層4との界面でスムーズに剥離することができ、層内ちぎれを起こさないようにすることができる(情報記録積層体A4を開いた状態は図示せず。)。
また、接着剤層3への微粒子無機顔料や有機顔料添加で、その表面に微細な凹凸を形成し、二つ折りした擬似接着シートA1〜A3を二つ折りした情報記録体7の中に挟んだ後、熱圧着して情報記録積層体A4作製時の、溶融樹脂のはみ出し防止を図り、擬似接着シートA1〜A3巻取り時のブロッキングをも防止することができる。
更に、香料、帯電防止剤、レベリング剤、着色剤等を添加することも可能である。
(情報記録体)
情報記録体7としては、各種請求書、支払い通知書、受領書及び満期通知書等、 HYPERLINK "http://ja.wikipedia.org/wiki/eμaセソ" \o "郵便" 郵便や、ダイレクトメールとして、量販店などが大量に顧客に送付している各種の通知や案内状などの書類等、ポスティング等によるビラやチラシ、内国通常郵便物である、第二種郵便物、船便、航空便、エコーはがき、e−センスカード等、「私製葉書」等、選挙郵便、選挙事務所開き案内、投票所入場券等、タウンメール等、年賀はがきや、暑中見舞用郵便はがき等、さらには、各種のおまけ、割引券、サービス券等を、その一部に切り離し可能に設けたもの等、地方自治体の地域限定の行事案内やお知らせや水道局による、断水やにごり水、交通規制のお知らせ等、に用いられる、「はがき」そのもの、もしくは、「はがき」状の「シート」であって、
その基材(基紙)として、印刷用紙や情報用紙等、すなわち、上質紙、中質紙、色上質紙、アート紙、コート紙、マットコート紙、ミラーコート紙、アートポスト、ケント紙、更紙、ノーカーボン紙、模造紙、グラシン紙、再生紙、白板紙、色板紙、加工紙、上級印刷紙、中級印刷紙、下級印刷紙、微塗工紙、軽量コート紙、インクジェット用紙、昇華熱転写用紙等のプリンター用紙、フォーム用紙、ノーカーボン紙、感熱紙、OCR用紙、OMR用紙、磁気記録紙等(情報用紙)、未晒クラフト紙・半晒クラフト紙、塗工晒クラフト紙、再生可能防湿紙等、他の素材を混ぜ合わせた紙、風合いを出した紙、パール加工紙、ライナー、中芯原紙等、表面に顔料が塗られていないもので、木材原料を化学処理した化学パルプと、木材原料をほぐしただけの機械パルプを混ぜた、非塗工紙、上質紙、中質紙をベースに片面または両面に塗料を塗って、圧力をかけたロールの間を通し光沢を出した、塗工紙等、木材パルプを原料とし、機械により大量生産された洋紙に対して、楮(コウゾ)、三椏(ミツマタ)、雁皮(ガンピ) 、麻、檀(まゆみ)等を原料とした和紙等を用いることができ、さらには、樹脂含浸紙、ユポなどの合成紙、樹脂フィルム等も用いることができる。
樹脂フィルムとしては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリスチレン(PS)、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂(ABS)、ポリ塩化ビニル等が用いられるが、これらのものを用いる場合には、その表面の印刷適性等を改善するため、表面改質処理を施したり、適宜な樹脂をコーティングしたものを用い、それら基材の上に、各種印刷方法や、各種プリンター、その他の情報記録方法を用いて、郵送中や、配送中には、第三者に対して秘匿すべき情報を少なくとも記録したもの(情報記録領域8)を使用できる。
これらの基材は、紙ベースのものとしては、50g/m2〜300g/m2のもの、好ましくは、90g/m2〜160g/m2のものを用いる。
また、合成紙や、フィルムベースのものとしては、その厚さとして、50μm〜500μmのもの、好適には、60μm〜200μmのものを用いる。
(情報記録積層体)
これらの情報記録体7に、擬似接着シートA1〜A3を、その情報記録領域8を覆うように貼着させて、情報記録積層体(貼着直後の状態は図示せず。)とし、その情報記録積層体を、その擬似接着層4を内側にして、例えば、二つ折りし、その上下から、80℃〜200℃の加熱、及び、100g/cm〜10kg/cmの線圧加圧にて、搬送速度5m/分〜30m/分の条件にて、加熱、加圧することで、その情報記録積層体を熱圧着して、「二つ折りした情報記録積層体」A4とする。
このときの貼着界面が、擬似接着層4同士の密着面9となる。(図5参照。)
もちろん、三つ折り、四つ折り、さらには、それ以上の回数だけ折るものでも使用できる。
郵便にて送付する場合には、情報記録積層体を、折り、圧着した後のサイズ、重さ、その他の仕様が、郵便法や、郵便規則に適合するサイズ、重さ等となるように調整する。
メール便によって配送する場合には、そのサイズ、重さ等に制限がないため、任意のサイズ、重さのものを用いることができ、さらには、左右の面積を同一のものとせず、異なる面積とするものや、部分的に貼着するものであっても、好適に用いることができる。
この情報記録積層体A4を、郵便による郵送、もしくは、メール便による配送により宛先人へ届ける。
この情報記録積層体A4を開くと、擬似接着層7と、透明基材1との界面、もしくは、設定により、擬似接着層7同士の密着面9から、剥離が生じ、それをきっかけとして、その面全体をスムースに剥離することができ、開いた面上にある秘匿情報等と併せて、ホログラム形成層2のホログラム再生像を視認できるようになる。
また、その開き角度によって、複数のホログラム再生像を切り替えて視認できる場合には、開き角度を180度としたり、150度としたりして、異なるホログラム再生像を見ることができ、また、それらホログラム再生像が連続的に切り替わることで、「一連の動き」として鑑賞することもできるなど、非常に高い意匠性を有するホログラム再生像をも提供することができる情報記録積層体A4とすることができる。
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。なお、溶媒(溶剤や水等。)を除き、各層の各組成物は固形分換算の質量部である。
(実施例1)
透明基材1として、50μm厚さのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、その上に、膜厚20μmのフォトポリマー(ホログラム形成層2)が積層され、その上に保護フィルムとして、厚さ23μmポリエチレンテレフタレートフイルムが積層されたフォトポリマーフィルム(デュポン社製「HRF705」。図示せず。)を用い、露光強度2.0mWにて、記録角度を透明基材1に対して、(シート面の垂線方向に対し)30度とし、50mJ/cm2の露光量となるように照射した後、高圧水銀灯を用いて500mJ/cm2の紫外線を照射し、更に120℃で120分間加熱処理し、その後、上記保護フィルムを剥離して、透明基材1と、ホログラム形成層2が積層されているシートを作製した。
これに用いたホログラムは、クリプトンレーザー(発光波長647nm)を光源とし、2ステップ法を用いて、はがき2面(はがき2枚分の面積という意味。)サイズの「絵画モチーフ」をリップマンホログラムとし、その結像位置を、記録面から2mmの位置として撮影し、現像処理したものを用いた。
このシートのホログラム形成層2の上に、接着剤層3として、ガラス転移温度が57℃であり、80℃で情報記録体7と感熱接着させることのできる透明なポリビニルブチラール樹脂を乾燥後の厚みが15μmとなるように形成し、さらに、このシートの反対面上に、擬似接着層4として、同一の樹脂を、乾燥後の厚みが、2μmとなるように形成し、はがきサイズ2面分の大きさにカットして、実施例1の擬似接着シートA1を得た。(図2参照。)
情報記録体7としては、150g/m2のはがき用の用紙(はがきサイズ2面分の大きさ)に、差出人に関する所定デザイン等をオフセット印刷にて印刷したものに、インクジェットプリンターにて、その一方の面に宛先人向けの特典情報等を、そして、他方の面に宛先情報(宛名や住所等。)等、を印字したものを用いた。
この情報記録体7を、その特典情報等印字面を内側にして二つ折りし、且つ、擬似接着シートA1も同様に、その擬似接着層4が内側となるように二つ折りし、この二つ折りした擬似接着シートA1を情報記録体7の中に挿入し(特典情報等印字面に、擬似接着シートA1の接着剤層3面が接するように重ねた。)、表面温度が110度の熱ロール間に、1kg/cm線圧、10m/分の速度で通して、情報記録体7と擬似接着シートA1、及び、擬似接着層4同士を、一時に貼り合わせ、実施例1の擬似接着積層体A4を得た。(図5参照。)
この擬似接着積層体A4を左右に開いたとき、左側に擬似接着層4同士の密着した層(擬似接着層4の2層が一体となった層を意味する。)が貼着しており、このときの、透明基材1と、この層との180度剥離強度は、40g/50mm(測定速度500mm/分。)であった。
また、擬似接着シートA1と、情報記録体7との同様の剥離強度は、300g/50mmであった。
このように作製したはがきの全重量は、郵便法及び郵便規則の規格内であり「郵便はがき」として使用できることが確認された。
この擬似接着積層体A4は、郵送時には剥離等の不具合も生じず、到着した擬似接着積層体A4をスムースに開くことができ、「剥離カール」などの不具合も発生せず、開き角度を180度として、室内照明光にてホログラム形成層2を観察したところ、その折り目部分もあまり目立つことも無く、鮮明なホログラム再生像「絵画モチーフ」を、その開いた面全面に視認することができた。
しかも、擬似接着積層体A4の宛名記載面の下方に、「このはがきを開くとホログラムを鑑賞できます。」とのメッセージが記載されていたため、このメッセージを見たはがきの受取人(宛先人を意味する。)が、このはがきを開く率(「開き率」)が非常に高くなるものと思われた。
(実施例2)
厚さ16μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの透明基材1の一方の面に、下記組成の光重合成組成物を乾燥厚さ10μmとなるように、グラビアコーティングにて形成して、ホログラム形成層2とし、
<光重合成組成物>
ポリメチルメタクリレート系樹脂(分子量200,000) 10部
7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン(東京化成工業社製) 0.1部
ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン 0.1部
2,2−ビス[4-(アクリロキシジエントキシ)フェニル]プロパン 20部
ペンエリスリトールポリグリシジルエーテル 20部
メチルイソブチルケトン 30部
n−ブタノール 19部
アルゴンレーザーにより、波長488nm、露光強度1.80mwにて、10mJ/cm2 の露光量となるように照射して、リップマンホログラムを形成し、高圧水銀灯を用いて100mJ/cm2の紫外線を照射したこと以外は、実施例1と同様にして、反射型の体積ホログラムを有するホログラム形成層2を形成した。この体積ホログラムの波長488nm(再生波長となる。)における回折効率は、50%であった。
このホログラム形成層2の上に、下記組成の接着剤組成物を乾燥厚さ20μmとなるように、グラビアコーティングにて形成して、接着剤層3とした。
<接着剤組成物>
酢酸ビニル−アクリル共重合体 30部
イソホロン・ジイソシアネート 0.1部
体質顔料 5部
トルエン 35部
酢酸エチル 40部
さらに、透明基材1の他方の面に、ビカット軟化温度が55℃で、100℃以下の温度では溶融はみ出しを起こすことのないアイオノマー樹脂からなる熱可塑性樹脂層を2μmの厚さとなるように形成して、実施例2の擬似接着シートA1を得た。(図2参照。)
情報記録体7としては、実施例1と同様のものを使用し、この情報記録体7の特典情報等印字面に、擬似接着シートA1の接着剤層3が接するように重ね、表面温度が100度のシリコーン樹脂製熱ロール間に、300g/cm線圧、10m/分の速度で通して、情報記録体7と擬似接着シートA1を貼り合わせ、一体物とした。
その後、この一体物を擬似接着シートA1を内側にして、擬似接着シートA1の左側が上となるように二つ折りし、表面温度が120度(上側の熱ロール。擬似接着シートA1の左側に近い位置にある。)と、表面温度が100度(下側の熱ロール。擬似接着シートA1の右側に近い位置にある。)の2本のシリコーン樹脂製熱ロール間に、500g/cm線圧、10m/分の速度で通して、擬似接着層4同士を貼り合わせ、実施例2の擬似接着積層体A4を得た。(図5参照。)
この擬似接着積層体A4を左右に開いたとき、透明基材1の右側が露出しており、透明基材1の左側に擬似接着層4同士の密着した層(擬似接着層4の2層が一体となった層を意味する。)が貼着しており、このときの、透明基材1と、この密着した層との180度剥離強度は、50g/50mm(測定速度500mm/分。)であった。
また、擬似接着シートA1と、情報記録体7との剥離強度は、900g/50mmであった。
このように作製したはがきの全重量は、郵便法及び郵便規則の規格内であり「郵便はがき」として使用できることが確認された。
この擬似接着積層体A4は、郵送時には剥離等の不具合も生じず、到着した擬似接着積層体A4をスムースに開くことができ、「剥離カール」などの不具合も発生せず、開き角度を180度として、室内照明光にてホログラム形成層2を観察したところ、その折り目部分はさらに目立つこと無く、鮮明なホログラム再生像「絵画モチーフ」を、その開いた面全面に視認することができた。
しかも、擬似接着積層体A4の宛名記載面の下方に、「このはがきを開くとホログラムを鑑賞できます。」とのメッセージが記載していたため、このメッセージを見たはがきの受取人(宛先人を意味する。)が、このはがきを開く率(「開き率」)が非常に高くなると思われた。
(実施例3)
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの透明基材1の一方の面に、下記組成の透明樹脂組成物を乾燥厚さ3μmとなるように、グラビアコーティングにて形成し、レリーフホログラム形成用の層(この層がレリーフホログラム5となる。)を形成した。
<透明樹脂層用組成物>
ポリブチルアクリレート(n=1.44) 20部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 20部
酢酸エチル 20部
次に、レーザ光学系を用いてフォトレジスト上に撮影した、はがき2面(はがき2枚分の面積という意味。)サイズの「絵画モチーフ」のホログラムを現像処理して、レリーフホログラム(ホログラムレリーフの凹凸:最大0.3μm。)とし、このホログラムレリーフを型取って、Ni原版を用意し、上記した層の表面に、そのNi原版のホログラムレリーフ面を合わせて、回転式レリーフホログラム形成装置(原版シリンダー径1.0m・原版面温度100℃、加圧シリンダー径0.3m水冷式、圧力2トン/m、複製速度10m/分)にて、透明基材1上の層を、レリーフホログラム5とした。(図3参照)
このレリーフホログラム5のホログラムレリーフ面上に、下記組成の接着剤組成物を、乾燥厚さ15μmとなるように、グラビアコーティングにて形成し、接着剤層3としたこと以外は、実施例2と同様にして、実施例3の擬似接着シートA2を得た。(図3参照。)
<接着剤組成物>
ポリ塩化ビニル・酢酸ビニル(n=1.54) 30部
イソホロン・ジイソシアネート 0.1部
体質顔料(屈折率1.80の透明無機微粒子顔料) 5部
トルエン 35部
酢酸エチル 40部
情報記録体7としては、実施例2と同様のものを使用し、実施例2と同様にして、実施例3の擬似接着積層体A4を得た。(図5参照。)
この擬似接着積層体A4を実施例2と同様に評価したところ、擬似接着シートA2と、情報記録体7との剥離強度が、1.5kg/50mmであったこと以外は、実施例2と同様の良好な結果を得た。
(実施例4)
接着剤層3として、下記接着剤組成物を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、実施例4の擬似接着シートA2(図3参照。)、及び、実施例4の擬似接着積層体A4を得た。(図5参照。)
<接着剤組成物>
チオウレタン樹脂(n=1.70) 30部
酸化鉄パール顔料(屈折率3.0の透明無機微粒子顔料) 3部
トルエン 27部
酢酸エチル 40部
この擬似接着積層体A4を実施例3と同様に評価したところ、擬似接着シートA2と、情報記録体7との剥離強度が、700kg/50mmであったこと、折り目の変形がさらに目立たなくなったこと、及び、ホログラム再生像がより鮮明に視認できたこと、以外は、実施例3と同様の良好な結果を得た。
(実施例5)
実施例3において、レリーフホログラム5のホログラムレリーフ上に、透明反射性薄膜層6として、TiO2薄膜を、電子線加熱真空蒸着方法を用いて、100nm厚さで形成し、その上に接着剤層3を設けたこと以外は、実施例3と同様にして、実施例5の擬似接着シートA3(図4参照。)、及び、実施例4の擬似接着積層体A4を得た。(図5参照。)
この擬似接着積層体A4を実施例3と同様に評価したところ、折り目の変形がさらに目立たなくなったこと、及び、ホログラム再生像がさらに鮮明に視認できたこと、以外は、実施例3と同様の良好な結果を得た。
(比較例)
(比較例1)
ホログラム形成層2を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にし、比較例1の擬似接着シート及び、情報記録積層体を得た。
この情報記録積層体を実施例1と同様に評価したところ、なんら特徴がなく、受け取り人の注意も惹かず、開き率の向上は見込めないものと思われた。
[回折効率測定方法]
:光源:半導体レーザー:キコー技研 MLX標準コリメートレーザー
:電圧DC4.8〜6.5V・平行光時ビーム径拡大6mm
:効率:反射回折光強度/入射光強度*100(%)
A1 擬似接着シート(ホログラム形成層に体積ホログラムを用いている。)
A2 擬似接着シート(ホログラム形成層にレリーフホログラムを用いている。)
A3 擬似接着シート(ホログラム形成層に、レリーフホログラム及び、そのホログラ ムレリーフに追従するように透明反射性薄膜層を設けた2層構成のものを用いて いる。)
A4 情報記録積層体(擬似接着シートA1を、情報記録体に貼着した情報記録積層体 を、その擬似接着層側を内側にして、2つ折りし、その擬似接着層同士を加熱、 加圧して圧着したもの。)
1 透明基材
2 ホログラム形成層
3 接着剤層
4 擬似接着層
5 レリーフホログラム
6 透明反射性薄膜層
7 情報記録体
8 情報記録領域
9 擬似接着層同士の密着面

Claims (1)

  1. 透明基材の一方の面に、ホログラム形成層及び接着剤層がこの順序で設けられ、前記透明基材の他方の面に擬似接着層が設けられた擬似接着シートを、前記擬似接着シートの接着剤層を介して、情報記録体に接着し情報記録積層材を形成し
    さらに前記情報記録積層を前記擬似接着シートの前記擬似接着層が内側となるように折り曲げ、前記擬似接着層同士を、剥離可能に貼着した情報記録積層体であって、
    前記情報記録積層体の宛名記載面には、受取人の注意や関心を喚起し開き率を向上させるメッセージが記載されていることを特徴とする情報記録積層体。
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