JP5516322B2 - 窓付き封筒 - Google Patents

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Description

本発明は、封筒の一部に情報が目視可能な「透明な窓」を設けた窓付き封筒において、特にその窓にホログラムを有する窓付き封筒に関するものである。
本明細書において、配合を示す「部」は特に断わらない限り質量基準である。また、 「ホログラム」はホログラムと、回折格子などの光回折性機能を有するものも含む。
(主なる用途)本発明の窓付き封筒の主なる用途としては、
長形、角形、洋形封筒、中貼、左横貼、右横逆貼、内カマス貼、外カマス貼、ダイヤ貼の封筒など、
また、運送会社による宅配配送物の中から、「紛失時の損害額の減額」,「小サイズに限定」,「ポストインで判取り不要」を条件に、配送伝票のコストダウンを図り、バーコード追跡システムを維持しつつ配送費用のコストダウンを実現した「メール便」と呼ばれる宅配サービスにおいて、郵便規則等の制限なく用いられる封筒、
さらには、各種の通知や案内状又は請求書などの書面を送付する手段として、さらには、親展書類等を送付する手段として利用され、その内の一つの形態として封筒本体に窓部を有してその窓部を透明なフィルムで覆って封筒本体の内部を見ることができる窓開き封筒であって、書面の方に受取人住所氏名を印字して封筒本体内に入れることで、その受取人住所氏名が窓部を通して外から確認することができ、封筒本体の表面に受取人住所氏名の記載、印字を行なう手間を無くす利点があり、各種の会社が顧客宛への書面送付などに際して利用する封筒などがある。
そして、主に過去に利用したことのある小売店や、入会しているクレジットカード会社などの顧客情報のデータベースから購入頻度などの属性で抽出され、メール便を利用して届けられるダイレクトメールとして、銀行、証券会社、クレジットカード会社、百貨店、量販店などが、大量に顧客に送付しているもの等であって、多くは自動封入封緘機によりその封筒への封入物の挿入・封緘が行われる封筒など、
さらに、各種の商品、商品見本、おまけ、割引券、さらには、商品券、手形、小切手等の各種金券の封入物を封入するもの、商品やサービスの宣伝であるが、通信販売では定期的にカタログが最新のものとして送られて来て、消費者はこれを見て商品やサービスを購入することが出来き、また、これら通信販売の楽しみ方として、定期的に送られてくるカタログを眺めることを趣味とするなど、一定のメディアとしての機能も持ち、通信販売会社側では読まれたらすぐに捨てられるカタログではなく、一種の雑誌として編集、情報価値をもたせる封筒など、
加えて、書類、冊子、カタログ、ポスター、カレンダーやパンフレット、Tシャツなどをメール便で送る、メール便用板紙封筒、耐ショック構造で書籍・書類等の内容物をしっかり保護する再生紙使用の板ボール製小包ケース、ダンボールの目を利用してフリーサイズで折込が可能なダンボール製ケース、ワンタッチで組立が出来、底貼り作業不要なダンボール製組函ケース、再生紙使用の板ボール製冊子小包用封筒、エアクッション入封筒、再生紙使用の板ボール製マチ付封筒、片面ダンボール製封筒、透明度抜群のOPP規格袋などがある。
また、飲食店、通信販売、貸金業、不動産会社などにおいて、広告・宣伝を目的に、ビラやチラシを、各個宅の郵便受けへ直接投入する行為に用いられるものや、商業目的ではない公共性を有する例として、地方自治体(地域限定の行事案内やお知らせ)や水道局(主に工事による断水やにごり水、交通規制のお知らせ)によって行われる場合に用いられる封筒等、市場において、郵便法等の規制を受けず流通する全ての、窓付き封筒に用いられる。
これらの中には、あらかじめ封筒を展開した形状に仕上げ、封筒製袋機にて窓用フィルムを供給しつつ貼付し製袋するもの、及び、連続帳票を印刷・加工し、その工程内にて窓用フィルムを供給、貼着して、窓付き封筒として仕上げるもの、さらには、銀行等の各種預金口座、公共料金自動払い、カード発行等の申込みや、各種会員制組織への入会等のための申込書等のごとく、申込者が必要事項記入後に自ら製袋するものなどがある。
以上の分野の中でも、特に、意匠性に優れ、且つ、その開封率を高める必要のある分野に好適である。
(先行技術)
近時、透視窓に透明フィルムを貼着した、紙製の透視窓付きの郵便封筒などが、広く使われている。それは、ラインプリンター等で請求書等を作成する際に、その請求書等の一部に送付先の住所・氏名等を印字して窓付封筒の窓から見えるようにすれば、封筒に送付先の住所・氏名等を印字する手間が省け、事務能率を大巾に向上することが出来るからである。かかる窓付封筒に関する文献として、特開昭57−28756号公報,実開昭60−161045号公報,実開昭61−40338号公報等が挙げられる。特開昭57−28756号公報の窓付き連続封筒およびその製造装置は、透明窓を有する封筒体形成連続紙と中入れ用連続紙とをそれぞれバーストして封筒単位の封筒体形成片と中入れ片とし、封筒体形成片を二つ折りする際に中入れ片を封筒体形成片内に挿入し、次いで封筒体形成片の周縁を封閉接着するものであり、中入れ片を封筒体内にフリーな状態で納め、封筒の表層用連続紙,通信文等の連続紙,封筒の裏層用連続紙を連続紙のまま重ね合わせ、封筒単位毎に縁辺を接着した後、連続紙をバーストしている、それまでの連続封筒では、通信文等の縁辺が封筒体の表裏の縁辺に貼着され、封筒体の一部を開封しただけでは通信文を取り出すことが出来なかった点を改良している。
また、実開昭60−161045号公報の窓つき封筒は、窓つき封筒の裏側用紙部にその上縁又は下縁から窓に向かって突出する切欠きを設け、その切欠きから露出する表側用紙部の一部に封緘用舌片の一部を貼着するもので、封筒内で伝票ががさつくのを防止するものである。
この透視窓に貼着する透明フィルムとしては、強度と透明度とが優れた、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムやポリエステルフィルムなどの、プラスチックフィルムが用いられているものである。
このような窓付き封筒を用いて、上記したように、受取人以外にその内容を知られたくない親展書類を送付する場合や、葉書には書ききれない多量の情報などの複数枚におよぶ書類を送付する場合に、それらの書類を封筒に封入して郵送したり、また、バーゲン情報や新装開店の情報、通信販売のカタログなどを封筒に封入したダイレクトメールを、特定の顧客に直接送付することが、さかんに行われているため、各顧客のポストには、1日に多数の郵便物や配送物が投函され、その多数の郵便物や配送物のなかから、封筒送付人や、その窓から確認できる範囲で、各人が必要な郵便物や配送物を選択し、その選択された郵便物や配送物のみ開封され、他の郵便物や配送物は開封もされず廃棄されることが多かった。
これに対処すべく、例えば、ダイレクトメールの開封率の向上をはかるために、本来の郵送・配送目的である「広告」のほかに、商品見本や、おまけ、もしくは割引券などの「封入物」を封筒に封入することが行われており、「封入」される帳票(書面)には、所定窓部用の宛名等の印字に加えて、例えば、郵便の場合には(郵便法や、郵便規則等の制限あり。)、郵便法等で認められる範囲で、他の窓を設け、この窓から、封筒内部の帳票に印刷された内容の一部や、同封された景品等の内容が見えるようにして、封筒の開封率を高める工夫がなされている。(例えば、特開平8−282678公報参照。)
さらには、封筒部材に宛名部ではなく、「別の窓」を新たに設け、その位置に光回折パターンを設けて、他の郵便物に対して、封筒の外観の差別化を行い、もって、封筒の開封率の向上を図る工夫もなされている。(例えば、特開平8−175546公報参照。)
しかしながら、多量に且つ、多数回送付するものに、毎回、高価な景品等を封入することはできず、また、封筒の窓として、所定の位置に大きいサイズを確保できる宛名用の窓部ではなく、別途窓を設けて、その位置に合わせて光回折パターンを形成しただけでは、他の封筒との差別化の効果も薄く、また、その封筒の外観を視認するだけで、その「光回折パターンのデザイン」を確認できるため、特に開封する必要もなく、「直接的に開封率を向上する」という効果の小さいものであった。
さらに、「封入物」そのものに光回折パターンを設け、やはり宛名用の窓部以外の別に設けた窓から覗けるように配置する方法も、個別情報を印字する帳票等に個々に光回折等の特殊加工を施すことが求められ、煩雑であるとともに、やはりコストのかかるものとなっていた。
その上、得意先毎に、さらには、送付する目的ごとに、封筒の宛名用窓部以外の所に別途開口部(別の窓)を設け、その位置に合わせて、光回折パターンを設けたシートを貼付する工程は、その検査工程をも含め、多品種、小ロット生産が求められる今日においては、煩雑そのものであり、効率が低く、量産性に欠けるものであった。
特開平8−282678公報 特開平8−175546公報
本発明は、上記した問題を解決すべく、窓付き封筒において、大きい領域を確保可能な「窓」部に、すなわち、受取人が本人なのかもしくは家族等であるのかを確認するため、必ず視認する宛名用窓部にホログラムシートを設けることにより、封筒における所定の一つの位置に十分な大きさのホログラム鑑賞領域を確保でき、顧客の注意を十分に喚起して、その開封率を向上し、且つ、その窓付き封筒を少し傾けるだけで、その背後にある宛名等の印字を目視にて十分視認できる、窓付き封筒を提供することにある。
上記の課題を解決するために、
本発明の窓付き封筒の第1の態様は、
透明な窓を備えた窓付き封筒において、前記透明な窓が、ホログラムシートで構成されている窓付き封筒であって、
前記ホログラムシート面を基準面とし、その基準面に垂直な方向を0度として、0度〜45度、及び、60度〜90度の方向にホログラム再生像が再生され、45度超且つ60度未満の方向には、ホログラム再生像が再生されないことを特徴とするものである。
上記第1の態様の窓付き封筒によれば、
透明な窓を備えた窓付き封筒において、前記透明な窓が、ホログラムシートで構成されている窓付き封筒であって、
前記ホログラムシート面を基準面とし、その基準面に垂直な方向を0度として、0度〜45度、及び、60度〜90度の方向にホログラム再生像が再生され、45度超且つ60度未満の方向には、ホログラム再生像が再生されないことを特徴とする窓付き封筒を提供することができ、封筒の外側正面から、ホログラムを認識できるとともに、見る角度を45度〜60度に傾けると、ホログラム再生像が消失して、宛名等の印字を目視にて十分視認可能となる、窓付き封筒を提供することができる。
本発明の窓付き封筒の第2の態様は、
前記ホログラムシートが、リップマンホログラムを記録したリップマンホログラムシートであることを特徴とするものである。
上記第2の態様の窓付き封筒によれば、前記ホログラムシートが、リップマンホログラムを記録したリップマンホログラムシートであることを特徴とする第1の態様に記載の窓付き封筒を提供することができ、第1の態様の効果に加えて、見る角度を変えたときのホログラム消失効果がより明確な、窓付き封筒を提供することができる。
本発明の窓付き封筒の第3の態様は、
前記リップマンホログラムの回折効率が、60%〜90%であることを特徴とするものである。
上記第3の態様の窓付き封筒によれば、
前記リップマンホログラムの回折効率が、60%〜90%であることを特徴とする第2の態様に記載の窓付き封筒を提供することができ、第2の態様の態様の効果に加えて、封筒の外側正面から、より鮮明なホログラムを認識できる、窓付き封筒を提供することができる。
封筒に用いられる紙、もしくは板紙は、一般的には、その使用目的により、印刷用紙・情報用紙、包装用紙、衛生用紙、雑種紙、もしくは、段ボール原紙、紙器用板紙に大別される。
さらに小分類としては、
上質紙、中質紙、色上質紙、アート紙、コート紙、マットコート紙、ミラーコート紙、アートポスト、ケント紙、更紙、ノーカーボン紙、模造紙、グラシン紙、再生紙、白板紙、色板紙、加工紙、上級印刷紙、中級印刷紙、下級印刷紙、微塗工紙、軽量コート紙、インクジェット用紙、POD用紙、昇華熱転写用紙等のプリンター用紙、フォーム用紙、ノーカーボン紙、感熱紙、OCR用紙、OMR用紙、磁気記録紙等(情報用紙)、未晒クラフト紙・半晒クラフト紙、塗工晒クラフト紙、再生可能防湿紙等(包装用紙)、表面に様々なエンボス加工を加えた紙、他の素材を混ぜ合わせた紙、風合いを出した紙、パール加工紙、ライナー、中芯原紙等(段ボール原紙)、表面に顔料が塗られていないもので、木材(原料)を化学処理した化学パルプと、木材(原料)をほぐしただけの機械パルプを混ぜた、非塗工紙、上質紙、中質紙をベースに片面または両面に塗料を塗って、圧力をかけたロールの間を通し光沢を出した、塗工紙等、木材パルプを原料とし、機械により大量生産された洋紙に対して、楮(コウゾ)、三椏(ミツマタ)、雁皮(ガンピ) 、麻、檀(まゆみ)等を原料とした和紙等がある。
封筒に用いられる素材としては、上記の他に、樹脂含浸紙、合成紙、樹脂フィルム等も用いられる。樹脂フィルムとしては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリスチレン(PS)、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂(ABS)、ポリ塩化ビニル等が用いられる。
これらの紙、もしくは板紙、さらには、樹脂フィルムを用いて、上記した様々な用途に用いられる「窓付き封筒」を、枚葉製袋機や、窓貼装置・口糊付装置を組み込んだ輪転製袋機、各種のフォーム印刷加工機等を用いることにより作製することができる。
これら製袋機は、作製する封筒の名称を用いて、平盤製袋機ガゼット製袋機、縦型封筒用洋封筒製袋機、横型封筒用製袋機、もしくは、外カマス製袋機枚葉型角底製袋機等とも呼ばれるものである。
窓付き封筒は、菊判や四六判等の平判の枚葉用紙を、断裁機、もしくは所定の形に打ち抜くことが可能な型抜き刃を有する型抜き機等を用いて、所定の形(封筒を展開した形。所定の位置に窓としての開口を設けておくことができる。)とし、この1片1片を、製袋機によって、窓用フィルムを貼りながら、所定の箇所を糊付けして、作製することができる。
この時、製袋用の糊と、封筒封緘用の糊とは別のものとし、製袋用の糊は、乾燥することで固着する水系アクリルエマルジョン接着剤や、部分的に加圧することで接着する感圧接着剤・粘着剤、加熱により固化反応が促進される感熱接着剤・粘着剤、さらには、高周波乾燥性の接着剤等、窓付き封筒に用いられる封筒素材に対応して、種々のものを用いることができる。
封筒封緘用の糊は、封筒封緘部にアラビア糊等の再湿性の糊を設けておき、封緘時に水等を付着し、封緘するものや、両面テープ方式のもの、さらには、封筒封緘部の「フタ」の部分と「折り返し」部分の両方に糊を設けておく、アドヘアタイプが用いられる。
また、窓用フィルムに用いられる接着剤・粘着剤も上記のものなどを適用することができるが、本発明の透明な窓に用いられる窓用フィルムには、リップマンホログラムが形成されたリップマンホログラムシートを用いるため、このリップマンホログラムシートと、封筒用紙との接着が可能な接着剤を選定する。
特に、このリップマンホログラムシートを、その窓付き封筒開封後に、封筒用紙から剥して、鑑賞用として保管する場合に、その「接着剤・粘着剤の跡」(接着・粘着残渣を意味する。)が残らない、「再剥離性」を有するものを使用することが好適である。
窓付き封筒は、封筒本体の片面に窓部を備えてその窓部の周辺に透明なフィルムの辺部を貼着することでその窓部を覆った基本構造を有する。
封筒本体は、例えば、窓部を有する封筒上紙とこの封筒上紙に重ね合わせる封筒下紙とからなり、相対する四辺に設けた接着手段を介して四方が封着されたものからなる。
この形状の窓付き封筒は、ロール状の封筒上紙とロール状の封筒下紙に、用紙送りのためのマージナルパンチ部を設け、それらを分離された状態で準備し、さらに複数枚の封筒上紙が切り取りミシン目を介して連続しているとともに、複数枚の封筒下紙も切り取りミシン目を介して連続していて、一枚ずつ封筒上紙と、窓用の透明なフィルム片とを対応させ、封筒上紙の窓用開口部のその開口より少し内側に感圧接着剤をパターン状に設け、その上にその透明なフィルムを重ねて、四方を圧着して、透明なフィルムを封筒上紙に接着し、そして、再度、一枚ずつの封筒上紙と封筒下紙とを対応させて、四方を封着することで複数単位の窓付き封筒を分離可能にして、連続して得ることができるものである。
封筒本体を構成している封筒上紙と封筒下紙とは、フォーム上質紙等からなるものである。
封筒下紙の重ね合わせ面には封筒上紙の窓部に対応する位置に宛名部が設けられているとともに、封着部分に囲まれた内部領域であってその窓部に対応しない位置に情報記録部が設けられていて、この宛名部と情報記録部とは、予め、フォーム印刷用インキ等を用いて、所要情報、罫線、図柄などの印刷すべき事項が印刷形成され、さらに、宛て名人毎の個別情報等をノンインパクト・プリンター等により印字形成し、また、封筒上紙の重ね合わせ面に地紋等が印刷されていて、情報記録部側に表示する情報を外部から見えないようにしたりして、一体の窓付き封筒とする。
また、例えば、郵便物として郵送する場合には、封筒上紙の外表面(封筒本体としての外面)には郵便料金前納表示マークが印刷され、封筒上紙のマーク以外の領域と封筒下紙の外表面(封筒本体としての外面)にも必要に応じて印刷すべき事項を設ける。
このようにして、所定の印刷が行なわれた後に各種の個別可変情報の印字がなされ、そして、封筒上紙と封筒下紙とが重ね合わされて四方が封着されることで、複数単位が連続している窓付き封筒が得られ、この後、切り取りミシン目から分離して一単位としての窓付き封筒が得られる。
この場合にも、その窓部に、ホログラムが形成されたホログラムシートを用いるため、上記同様に、このホログラムシートと、封筒用紙との接着が可能な接着剤を用いる。
但し、上記加工は、高速、且つ、連続処理により行われるため、ホログラムが形成されたホログラムシートが貼着された状態で、多数の搬送用ガイドロール(フォーム印刷加工機等の金属ガイドロールを意味する。)にその上面及び下面が接触することになる。
従って、この接触によって、そのホログラムが傷ついたり、変形をうけることがないように、十分な表面硬度を有する、ホログラムシートを用いるか、もしくは、十分な表面硬度を有する透明な保護層を設けることが好適である。
このことから、ホログラムを形成する材料として、電離放射線硬化タイプのものを使用することはさらに望ましい。ホログラムシートが多層構成であるならば、少なくともそのホログラムが形成されている層(ホログラムをその一部に持つ、ホログラム形成層を意味する。)において、電離放射線硬化タイプのものを使用する。
また、返信用封筒を内臓する、窓付き封筒としては、例えば、
上記の様にして作成した、宛名用の窓部を有する窓付き封筒内に、新たに、返信用封筒上紙と返信用封筒下紙の対向面の封着すべき三周縁は剥離困難に、他の部分(三周縁以外の領域)は剥離可能に接着し、宛名情報等(以下、宛名等、又は、単に、宛名、もしくは、宛名情報、ともいう。)を印字した一辺開口型の返信用封筒を、その宛名情報が、窓付き封筒のその窓部と対応した位置に配置される(窓部からその宛名情報がのぞけるという意味。)ように封入することで作成することができる。
その返信用封筒上紙と返信用封筒下紙の対向面の封着すべき三周縁は剥離困難に、他の部分は剥離可能に接着する構成として、例えば、対向面の一方の全面に接着後に剥離可能な感圧性接着剤による接着剤層を設け、対向面の他方の三周縁にその感圧性接着剤の接着力を増強する接着力増強層を設ける構成を挙げることができる。接着力増強層としては、平均粒子系の小さい微細シリカ粉末をポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、セルロースエーテル、でんぷん、及びその誘導体、ゼラチン、アルブミン、アラビアゴムアルキネート類、ポリアクリルアミド、または、ポリビニルピロリドン、あるいはこれらの混合物等からなる樹脂組成物と等量以上混合したものを数μmの厚さで所定のパターン状に形成することで得られる。
この様な返信用封筒は、返信用封筒上紙と返信用封筒下紙の対向面が剥離可能に接着されるので、返信用封筒面上等へのノンインパクト・プリンター印字等による隙間発生がなく、返信用封筒表面を適正な電荷状態にすることができ、ドラムとの接触状態も適正なものとなり、確実な印字が可能となる。また、返信用封筒はあたかも1枚のシートのようになるので、窓付き封筒に挿入する作業が容易であって、返信時には、返信用封筒上紙と返信用封筒下紙の剥離可能な接着面を剥離して、申込書等の各種書面を封入することができるものとなる。
さらに、例えば、窓付き封筒は、1枚のシートを折って糊代部を接着してなる通常の封筒であり、開口部を透明フィルムで閉塞して窓部を形成している。そして、この窓付き封筒内に返信用封筒と申込書とを封入することもできる。申込書は、例えば、切り用ミシン目を境として入会申込書と入会案内書とに区分けされ、その入会申込書には表面に「入会申込書」なる表題のほか、入会申込文、申込年月日記入欄、入会者住所氏名記入欄、捺印欄等が印刷される一方、入会案内書には表面に「○○会へ入会のご案内」なる表題と入会案内文が、裏面に返信用封筒の使用説明文が、それぞれ印刷される。
返信用封筒は、宛名情報印字部を表面に有する返信用封筒上紙と表面が返信先情報印字部となった返信用封筒下紙からなり、宛名情報印字部は窓付き封筒に返信用封筒を封入した際に、窓部に対応する位置に設けられている。封筒上紙の裏面である封筒下紙との対向面には、接着後に剥離可能な感圧性接着剤が全面的に塗布されてなる接着剤層が設けられ、封筒下紙の裏面である封筒上紙との対向面には、封着すべき三周縁に接着力増強層が設けられている。
返信用封筒は当初、折り(兼)切り取り用ミシン目を介して単位封筒が連接された連続状態にあり、返信用封筒上紙の右端と封筒下紙の左右端には、それぞれ切り用ミシン目が設けられ、これら切り用ミシン目を境(境界線)として移送孔を設けた用紙搬送用のマージナル部が形成されている。
接着後に剥離可能な感圧性接着剤としては、また、天然ゴムに、スチレンとメタクリル酸メチルとをグラフト共重合させた天然ゴムラテックスにテルペン樹脂系等の粘着付与剤等を添加したものも用いることができる。
返信用封筒上紙と返信用封筒下紙とは、感圧性接着剤の接着条件である所定の圧を加えることにより、封着すべき三周縁では接着力増強層に感圧性接着剤が浸透して接着力が増強されることによって剥離困難に強接着し、他の部分においては剥離可能に弱接着している。このようにして、返信用封筒は、返信用封筒上紙と返信用封筒下紙の対向面が密着したシート状態となっている。
従って、この連続状態にある返信用封筒を、各移送用マージナル穴を利用してトラクタ装置により移送しながら、ノンインパクト・プリンターにかけても、封筒上紙と封筒下紙との間に隙間を生じないので、適正状態で電荷がかかり、また、適正状態でドラムと接触するので、返信用封筒上紙の宛名情報印字部に対する宛名情報がカスレ等なく確実になされる。
同様にして、返信用封筒下紙の表出面に印字する返信先情報もカスレ等なく確実になされる。なお、この返信先情報は全ての返信用封筒に共通の不変情報であるから、あらかじめ印刷しておいてもよい。
そして、印字後の連続状態にある返信用封筒は、封筒ごとに切り用ミシン目で分離され、各宛名情報が窓付き封筒の窓部に対応する位置に位置合わせされるようにして、申込書とともに、窓付き封筒内に封入・封緘装置等を用いて封入・封緘される。この封入・封緘作業は、返信用封筒が1枚のシート状になっているので、円滑かつ確実になされる。
但し、窓付き封筒には、既に、窓用フィルムとして、ホログラムシートが貼着されているため、この挿入時に、返信用封筒等が、このホログラムシートに引っ掛かって折れ曲がったり、逆にホログラムシートを封筒面から剥離することのないように(元々、剥離可能な程度の接着力しか持たないため。)、その挿入時に衝突防止用の「ガイド」(薄く平坦な金属へらを、ホログラムシートの上にあてておく等の処理を行うという意味。)を用いることも好適である。
以上の工程によって、窓付き封筒は、一般の封筒と同様に投函可能となって、宛名人に対して郵送もしくは配送される。
この窓付き封筒を受け取った宛名人(受取人)は、その窓部に設けられている「宛名」を確認し、自分宛のものか、もしくは、家族宛のものか、さらには、全く他人宛の誤配送のものか等を、確認するが、その時に、その窓部にある「ホログラム」を確実に視認し、その「ホログラムデザイン」をほぼ100%の確率で「鑑賞」することになる。
もちろん、その宛名が家族もしくはその他の人のものであったならば、その窓付き封筒は、いずれ、その「該当者」に渡され、その際、再び、その「該当者」がほぼ100%の確率で、その「ホログラムデザイン」を「鑑賞」することになる。
この「鑑賞」率の高さが、すなわち、開封率向上に寄与することは言うまでもない。
その後、開封して返信用封筒及び申込書を取り出し、この入会案内書の案内文及び説明文を読み、入会を希望する場合には、入会申込書の各記入欄に所定事項を記入したうえ、捺印欄に自己の印鑑を捺印し、さらに、切り取り用ミシン目を破断して入会申込書と入会案内書を分離する。そして、返信用封筒の封筒上紙と封筒下紙の剥離可能な接着部分を離反し、入会申込書を挿入したうえ、糊付けして封緘する。これによって、返信用封筒は一般の封筒と同様な投函可能状態となり、返信先に対して郵送される。
そして、窓付き封筒そのもの、もしくは、ホログラムシートを、窓付き封筒の封筒本体より分離し、個人の鑑賞用として保管することもできる。
そもそも、ホログラムシートは、通過する光を強く回折する機能を持つため、そのホログラムシートの直下にある「宛名等の情報」を、正面から視認しようとすると、その「宛名等の情報」の上に重なるように(壁のように)、ホログラム再生像が見え、その背後にある「宛名等の情報」を認識することができない。
しかし、窓付き封筒を、「メール便」等として配送したり、その受取人が、その宛先を確認するためには、この「宛名等の情報」を、特別な装置等を用いず、素早く読み取ることができる必要がある。
このため、本発明の窓付き封筒に用いられるホログラムシートには、ホログラムシート面を基準面として、その基準面に垂直な方向(正面を意味する。)を0度として、0度〜45度、及び、60度〜90度の方向には、ホログラム再生像が出現し(再生され)、45度超且つ60度未満の方向には、ホログラム再生像が現れない(再生されない)、ホログラムを記録する。
こうすることで、正面からは、ホログラムしか視認できないものの、窓付き封筒を少し傾ける(45超、且つ、60度未満傾ける。)と、「宛名等の情報」の視認性を阻害していたホログラム再生像が消失し、はっきりと「宛名等の情報」を確認することができるようになる。
窓付き封筒の宛名等(氏名を含んでいる。)は、「個人情報」として保護すべき対象であって、個人情報保護法によっても、また、個人情報を大量に預かっている企業の信義則からも、あらゆる手段を用いて、盗難防止手段を講じたり、不要な開示を避けるよう様々な工夫をする必要がある。
特に、各種企業等が、その企業にとっての優良顧客を抽出して配送する場合や、高額所得者向けの特典情報配送をするなどの場合には、それら窓付き封筒の「宛名等の情報」を全て複写してリスト化すると、高い付加価値を有するものとなる。また、特定医療対象者や、特定の趣味を持つ人への窓付き封筒等の配送など、その配送物全体の「宛名等の情報」を複写収集し、リスト化し、そのリストを悪用しようとする行為を阻止、抑制するために、封筒を正面から一瞥して盗み見ようとしたり、この宛名部を複写機等を用いて複写しようとしたり(自動搬送方式にて、大量に複写するような試みも含む。)、持ち込んだカメラや、近年普及してきた大量撮影が可能なデジタルカメラや、撮影と同時に外部へ転送可能な携帯電話に内臓しているカメラ等による撮影等を防ぐ、本発明の窓付き封筒の機能が非常に有効となる。
窓付き封筒を受け取った正規の受取人は、通常は、横長の封筒に横方向に記載されている「宛名等」を確認するため、封筒宛名部を正面に置き、宛名部の上方から照明光をあてて、その「宛名等」を読み取ろうとする。
しかし、本発明の窓付き封筒においては、この角度からの照明に対して、ほぼ真正面に鮮明なホログラムが再生する(上記基準面に垂直な方向に対して、0度〜―10度程度の 照明光が入射し、その方向に対して、0度〜+20度程度の方向へ向かうホログラム再生像を視認することになる。)ため、その背後にある「宛名等」を判読することはできない。
そこで、窓付き封筒の表面に、「宛名等は、この封筒を傾けてご確認ください。」等のメッセージを印刷しておくことにより、正規の受取人に、窓付き封筒を傾けさせ(封筒の上部を奥側へ、封筒の下部を手前に引くように傾ける。)、上記照明光によってホログラム再生像が発生しない方向である、+45度超、且つ、+60度未満の方向での、「宛名等」の判読を可能ならしめる。
従って、横長の窓付き封筒においては、上記記載した角度を採用する場合が最も有効であるため、ホログラム再生像の消失領域を、窓付き封筒を正面において、上記基準面に垂直な方向に対して、+45度超、且つ、+60度未満の方向であって、さらに、窓付き封筒の下方に向かう方向に限定することができる。
すなわち、上記の「+45度超、且つ、+60度未満の方向」とは、3次元空間において、その垂直な方向を軸とした、回転対象な方向全て(垂線のまわりをぐるりと360度まわった領域という意味。)を意味するが、窓付き封筒の一般的形状から、また、受取人の一般的判読動作から、その方向を360度とする必要はなく、その垂直な方向を軸とした(下方に向いた)20度〜30度で十分ということになる。
もちろん、このような形状的特徴を有しない配送物の場合には、360度、その消失領域を確保する必要がある。但し、この場合においても、その消失方向を上記したようなメッセージによって「宛先等」を判読する手順を示すことができれば、その方向のみに制限することもできる。
このように、消失する方向を制限することができると、下記するようなホログラム形成手順における「遮蔽板」の大きさを小さいものとすることができ、ホログラム全体の明るさを確保しやすくなるため、好適となる。
但し、上記したような「メッセージ」は、差出人と受取人のような当事者でない第三者(当然、配送する人は、この第三者にあたる。)には秘匿すべきであるため、定期的に配送するものの場合には、その旨を別の手段にて伝達しておくことも好適である。
なお、例えば、返信用封筒の封筒上紙と封筒下紙を剥離可能に接着する構造として、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、合成ゴム系樹脂をベースにした感圧性接着剤を用いてもよい。また、返信用封筒の封緘は糊付けによるほか、あらかじめ両面接着テープを設けて、一方を剥離紙で被覆保護するよう構成してもよい。さらに、返信用封筒は連続状態ではなく、当初から単位状態にあってもよい。この場合には、移送用マージナル穴を有するマージナル部は不要になる。
また、この窓付き封筒に封入するものとしては、返信用封筒と申込書の組合わせに限らず、返信用封筒は必須要件であるが、申込書に加えて関連する他の文書類を同封したり、申込書に換えて、残高通知等に対する確認書等を同封することもできる。
ホログラムが形成されたホログラムシートは、透明なフィルムそのものを、ホログラムを有する「ホログラム形成層」とする方法、又は、透明基材の少なくともその一方の面に、透明な樹脂をコーティングして、ホログラムを有する「ホログラム形成層」を設けた積層体とする方法により得られる。
前者の方法においては、ホログラム形成層は、透明な材料又は、透明なフィルムで構成される。
また、後者の方法においては、その透明基材として、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や、ホログラムシートを製造する際の処理や加工、さらには、窓付き封筒加工時の封筒用紙との接触や、各種加工機の搬送用ガイドロールとの接触に対する耐磨耗性等が高く、それらの処理や、加工に適した耐溶剤性、耐熱性及び耐摩耗性等を有するものであって、封筒に用いる材料との適度な接着性および再剥離性を有する、透明基材を用いることが好ましい。
その加工方法にもよるので、限定されるものではないが、フィルム状もしくはシート状のプラスチックが好ましい。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース(TAC)、等の各種のプラスチックフィルムを例示することができる。
本発明に用いられるホログラムは、そのホログラム形成層の層中、もしくは、その層の表面のレリーフ上(凹凸を意味する。)に、種々の屈折率のパターンとして、そのホログラム画像を形成する(ホログラム記録ともいう。ホログラム形成層は、ホログラム記録用媒体にホログラム画像を形成した際の記録層を意味する。)、いわゆる、位相ホログラムであって、そのホログラム形成層に光をあて、これを透過、もしくは、反射させるとき、光の位相は、「屈折率のパターン」により変調される。
ホログラム画像として画像化される「物体」(一般的には、3次元物体、もしくは2次元物体が用いられる。もしくは、「物体光」を与え得るものであれば、「光学系」であっても、別途作成したホログラムからの「ホログラム再生像」であってもよい。)は、レーザー等が発振するコヒーレントな光によって照明され、そして感光性の記録用媒体が、この「物体」から反射(発散)された光を受けるように配置される。「物体」上の各点は記録媒体の全体に対して光を反射し、また記録用媒体上の各点は「物体」全体からの光を受け入れる。この反射(発散)された光束は「物体光」といわれている。
同時に、コヒーレントな光の一部は「物体」をバイパスし(「物体」を避けて通るという意味。)、反射鏡等により、記録用媒体に向けられる。この光束は「参照光」といわれている。
記録用媒体上に記録されるものは、媒体上に当たった「参照光」と「物体光」との相互作用で生ずる「干渉パターン」であり、この記録が、ホログラム(以下、リップマンホログラムともいう。)となる。
もしくは、この記録媒体を現像処理等して、その表面にレリーフ(凹凸)を形成したときは、このレリーフが「干渉パターン」に対応しており、この記録が、ホログラム(以下、レリーフホログラムともいう。)となる。
この記録用媒体、すなわち、記録されたホログラムが、照明され、適切に観察されるとき、照明光源からの光は、「物体」から記録用媒体にもともと到達した波面を再生するように、そのホログラムにより回折され、それにより、ホログラムは、観察者に対して、「物体」の虚像を、記録媒体という「窓」を通して、完全な遠近差をもつ3次元の「物体」を見たように、認識させる。
また、本発明に用いられるホログラムには、リップマンホログラムとレリーフホログラムのいずれも用いることができるため、以下、それぞれを区別して説明する。
また、本発明に用いられるリップマンホログラムは、「参照光」と「物体光」を反対の側から記録用媒体中に入射させ、両者がほぼ反対方向に進行するようにして形成したホログラム、すなわち、「反射ホログラム」である。
この場合において、記録媒体中の「物体光」と「参照光」との相互作用は、屈折率の変化する材料の屈折率変化という「フリンジ(干渉縞)」を形成するが、このフリンジは、記録用媒体の面に対して、ほぼ平行な面となる。
このリップマンホログラムを再生するとき、これらの各フリンジは入射光を観察者に向けて反射する「鏡」として作用し、それで、このリップマンホログラムは、「透過」よりもむしろ「反射」で観察される(従って、「反射ホログラム」とも呼ばれる。)。このように形成された「ホログラム」は、「波長感度」が甚だ高いため(波長選択性のこと。特定の波長にのみ作用するという意味。)、その再生には、「白色光」を用いることができる。
すなわち、ホログラムを記録した際の光源に用いた波長の光をあらかじめ準備してその光で再生しなくとも、容易に得られる、広い波長領域を持つ光(例えば、波長範囲が可視光線波長[400nm〜800nm]をカバーするような太陽光や、ハロゲンランプ光など。)を、その再生光として用いたとしても、その「ホログラム記録に用いた波長」以外の波長の光(「ホログラム記録に用いた波長」以外の波長成分という意味。)は、ほとんど位相変化を受けずそのまま透過し、「ホログラム記録に用いた波長」の光(該当する波長成分という意味。)のみ反射して、その光の像(該当する波長成分により作られる、リップマンホログラム再生像)を、視認することになる。
従って、窓付き封筒をその正面から見たときに、ホログラム再生像によって、その背後にある「宛名等」を「遮蔽」するためには、単一の、発光波長領域(発光波長幅を意味する。)の狭い光源を用いてホログラムを形成するよりも、複数の光源を用いるか、発光波長領域の広い光源を用いてホログラムを形成することが好ましい。
リップマンホログラムの記録方法及び、その再生方法は、図1に示す。(図1参照。)
図1において、(1)及び(2)による2ステップでリップマンホログラムを作成する方法を示す。この2ステップ目である「(2)リップマンホログラムの記録」の際に、図中にあるように、実像の手前に、実像の結像領域の3倍の直径を内径とし5倍の直径をその外径とする「ドーナツ状」の光遮蔽版を、実像面から直径分だけ離間させた位置に設置する。
この配置によって、(2)のステップにおいて、「物体光」を制限することで、(3)のステップにおける白色光再生時、(3)の図中にある「ドーナツ状」の領域内に向かう方向には、ホログラム再生像が現れず、その方向の延長線上から、「物体光」を見ようとしても、何も見えないものとなる。すなわち、この方向から見たときは、あたかも、ホログラムが消失しているように認識されることとなる。
このとき、「ドーナツ状」遮蔽領域の内径位置が、45度方向であり、外径位置が60度方向となる。
もちろん、上記したように、この「遮蔽版」を「ドーナツ状」とせず、この「ドーナツ状領域の一部(領域を12等分したもの→扇の開き角が30度、もしくは、領域を18等分したもの→同角が20度となる。)のみを遮蔽する遮蔽版を用いることで、上記と同一の効果を有しながらも、遮蔽領域を小さくし、ホログラム再生像をより明るいものとすることも好適である。
また、図示していないが、図1中の(1)における「マスターホログラムの記録」の際、物体を記録材料に近接して設置し、物体とは反対の方向から記録材料を透過して物体を照明するように参照光を投射すると、1ステップでリップマンホログラムを作成することができる。この場合には、(1)のステップの段階で、物体側に、同様の遮蔽版を適用するが、物体と記録材料との間隔が狭いため、2ステップ方式の方が好適である。
一般に、「反射ホログラム」は、コヒーレントな放射線の光を、記録用媒体の後部にある「物体」上に記録用媒体を通して投射する、光軸上(on−axis)法により作ることができる(1ステップ法)。この場合、反射された物体光は戻って来て記録用媒体の面内で投射されている光と交差し、記録用媒体面に実質的に平行な「フリンジ」を形成する。
「反射ホログラム」は、また、「参照光」が記録用媒体の一方の側に投射され、そして物体光は記録用媒体の反対の側に投射される、光軸外(off−axis)法により作ることもできる。この場合、物体光は記録用媒体を通過しないコヒーレント光で「物体」を照明することにより作られる。コヒーレント光は2つの部分に分割され、一方の部分は記録用媒体上に投射され、そして、他の部分は記録用媒体のそばにある「物体」上に投射される。このとき、「物体光」として、「物体」そのものからの反射光を使用せず、あらかじめ作成しておいた、その「物体」のホログラムを用い、この「物体」のホログラムを再生し、そこから得られる「物体」像(「物体」の光の像)を、「物体光」とする方法が、2ステップ法である。
ホログラムの原理で作製される「ホログラフ鏡」は、「反射ホログラム」のもっとも簡単なものである。これは、2つのコヒーレントな平面波を、記録用媒体に対して反対の方向から投射し、記録用媒体中でその2つのコヒーレントな平面波が交差する、ホログラムである。これは単一のレーザー光を分割し記録用媒体の所で両光を合体させるか、あるいは分割しないレーザー光を、記録用媒体を通して、その後ろの「平面鏡」上に投射することにより作ることができる。これにより均一な間隔のフリンジの「一組」が形成され、投射された2つの光間の鈍角の2等分線に対して平行に配列され、三角関数の強度を有することになる。
もしも、この鈍角が、「180度」であり、2つの投射した光の波面が媒体の面に対して直角であるならば、各フリンジは媒体の面に対して平行となる。
もしも、この鈍角が、「180度以下」であるか、または2つの光が媒体の面に対して直角でないときは、反射性のフリンジは媒体の面に関して鋭角に傾いて形成される。 ホログラフ鏡はその反射効率、屈折率変調、および反射光の分光帯域と分光特性などにより特性化される。
「反射ホログラム」を形成する実質的に水平なフリンジは、「透過ホログラム」を形成する垂直なフリンジよりも、記録することが困雌である。
その第1の理由は、より高い解像性、すなわち、単位長さ当りに、より多数のフリンジが必要であって、フリンジの間隔は非常に小さくなる。「反射ホログラム」は「透過ホロクラム」よりも単位長さ当り約3倍〜約6倍多いフリンジを必要とする。
その第2の理由は、記録用媒体の収縮に対する水平なフリンジの敏感性である。露光中の記録用媒体の収縮はフリンジの消失を招き、もし収縮がひどいときはホログラムの形成が妨げられる。これは「透過ホログラム」の場合とは対照的なものであり、「透過ホログラム」では収縮はほとんど影響がないか、あるいはフリンジが媒体の面に対して直角ならば影響がなく、フリンジが媒体の面から45度以上傾いているときに、比較的僅かな画像の歪みを生ずるだけである。
また、本発明に用いられるレリーフホログラムは、「参照光」と「物体光」を同一の側からフォトレジスト等の記録用媒体中に入射させる撮影方式、もしくは、この干渉縞をコンピュータジェネレーティッドホログラムの手法により電算処理計算し(CGH)、電子線描画方法を用いて記録する直接描画方式のいずれも用いることができる。
このコンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)の手法を用いて、上記のリップマンホログラム撮影時の「遮蔽版」をその計算処理中に導入し、ホログラム再生方向の所望の方向を制限することが可能である。
このような立体像が再生可能なコンピュータジェネレーティッドホログラムの作成手法には、概略2つの方法があり、その1つは非特許文献「画像ラボ」(1997年4月号Vol.8,No.4.34〜37頁)若しくは、「3次元画像コンファレンス‘99―3D Image Conference’99−」講演論文集CD−ROM(1999年6月30日〜7月1日工学院大学新宿校舎)等で知られた物体表面を点光源の集合で置き換える方法である。もう1つは、ホログラフィック・ステレオグラムの方法である。
本発明においては、前者の物体表面を点光源の集合で置き換える方法を採用できる(図2参照。)。これは、干渉縞の強度分布を記録したバイナリホログラムであって、再生像が水平方向の視差のみを持ち、上方からの光源光で観察される場合について、その概要を説明すると、図2に示すように、ステップST1で、CGH化する物体の形状の定義される。次いで、ステップST2で、物体、CGH面、参照光の空間配置が定義される。次いで、ステップST3で、物体は、水平面でのスライスにより垂直方向に分割され、さらにスライス面上で点光源の集合に置き換えられる。そして、ステップST4で、これらの空間配置に基き、CGH面上に定義された各サンプル点において、物体を構成する各点光源から到達する光と参照光との干渉縞の強度が演算により求められ、干渉縞データが得られる。
次に、ステップST5で、得られた干渉縞データは量子化された後、ステップST6で、EB描画用矩形データに変換され、ステップST7で、EB描画装置により媒体に記録され、CGHが得られる。
より具体的には、本出願人出願特許「特開2008−77042」に記載した手法により、立体模様の原画像となる「三次元構造体M」として、その「三次元構造体M」の表面上の「標本点Q」の位置における「法線ベクトルN」を、上記した記録媒体1から所定のサイズの開口部を通して進行する「物体光」にあてはめ、これを投影面Syzに投影して得られる投影ベクトルN*と基準軸Rとの交差角ξを求め、θ=ξ/2なる方位核θを定義して、「標本点Q」に対応する投影面Syz上の点Pに位置する画素に、X軸に対して方位角θをなす方向を向いた回折格子線を配置してなる回折格子を有する画素パターンを割付け、この割付けを物理的記録媒体(上記、記録媒体2に相当。)に、電子線描画装置による電子線レジストへの描画及び、現像処理(ステップST8)を経て、本発明のホログラムレリーフ(原盤作成:ステップST9)を得るものである。
但し、レリーフホログラムは、照明光源に対する波長選択性を有しないため、その再生角度が照明光源波長により変化することから、この変化分を考慮してホログラム撮影もしくは、CGHによる直接描画を行う必要がある。
従って、リップマンホログラムの方がホログラムを形成し易く、且つ、その再生角度の制限精度も高いものとなる。
本発明に用いられるレリーフホログラムには、各種の透明な材料が用いられる。例えば、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、アクリル酸エステル樹脂、もしくは、アクリルアミド樹脂等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、もしくはフェノール樹脂等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、各種イソシアネート樹脂を用いて架橋させてもよいし、あるいは、各種の硬化触媒、例えば、金属石鹸を配合するか、または、熱もしくは紫外線で重合を開始させるための、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物、ベンゾフェノン、もしくは、アセトフェノン等を配合しても良い。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート等を挙げることができ、このような電離放射線硬化性樹脂に架橋構造を導入して用いてもよい。
さらに、環境に配慮して、生分解プラスチックをホログラム形成層として用いることもできる。
上記の樹脂材料を用いてレリーフホログラム用のホログラム形成層を形成するには、直接的に形成することもできるが、複製用型を用い、賦型を行なうこともできる。後者は、非常に量産性に優れる。
紫外線硬化タイプや、電子線硬化タイプ等の電離放射線硬化性樹脂を用いることができ、この場合には、二つ折り等の折り曲げ適性に優れ、情報記録積層体を開いて、その開き角度を繰り返し変化させても、その折り曲げ部分の劣化が発生し難いため、好適である。
ホログラムの種類としては、体積ホログラムと同様のものを用いることができる。
そのような、リップマンホログラムを形成する、リップマンホログラム形成層には、各種の透明な材料又は、透明なフィルムが用いられる。
すなわち、銀塩写真乳剤、重クロム酸ゼラチン、フォトレジスト、フォトポリマー材料、無機材料からなるフォトリフラクティブ材料、フォトクロミック材料等及び、それらの材料からなるフィルムがある。
銀塩写真乳剤としては、高感度及び、高解像度が求められる。
フォトレジストには、ポジ型フォトレジストと、ネガ型フォトレジストをいずれも用い得る。
フォトポリマー材料としては、架橋型フォトポリマー、ラジカル重合型フォトポリマー、カチオン重合型フォトポリマー、化学増幅型フォトポリマー、ナノ粒子分散系フォトポリマー等を用いることができ、その取り扱い適正は、特に優れる。
フォトクロミック材料は、光や熱等の特定の環境下において、その色調が変化するため、その意匠性はさらに高いものとなる。
重クロム酸ゼラチンは、その屈折率変調の高さ(すなわち、高い回折効率、帯域幅対応性)から、「反射ホログラム」の製作に選ばれる材料である。但し、重クロム酸ゼラチンは保存性に課題があり、「反射ホログラム」形成後に、湿式処理を必要とする。このため、この材料はホログラム記録の直前に新たに調製しなければならず、あるいは、予備硬化させたゼラチンを使用しなければならず、画像の再生効率を低下させる。
湿式処理は、ホログラム形成に際し、付加的工程をもち込むことになり、そして処理中に材料が膨潤し、ついで収縮する際に寸法的な変化を生じやすい。これらの寸法的な変化はフリンジの間隔に影響する。従って、重クロム酸ゼラチンによって高品質の「反射ホログラム」を作製することは、時間がかかり、かつ、困難である。
いくつかの処理工程を必要とする、銀塩写真乳剤、或いは、重クロム酸ゼラチンに対して、1回処理工程のみを必要とする固体光重合性材料、すなわち、フォトポリマー材料は、好適である。
フォトポリマー材料の例としては、固体の光重合性組成物であって、熱可塑性重合体結合剤、付加重合可能なエチレン系不飽和単量体、及び、不飽和単量体の重合を活性化する光開始剤からなる、屈折率変調を有する光重合性組成物が挙げられる。
熱可塑性重合体結合剤は、溶媒可溶性の熱可塑性重合体であるが、単独で、又は、互に組合せて使用することができ、例えば、アクリレート及びアルファーアルキルアクリレートエステル、ポリビニルエステル、飽和及び不飽和ポリウレタン、ブタジエン及びイソプレン重合体及び共重合体、エポキシ化物、ポリアミド等、並びに、それらの混合物を使用できる。
エチレン系不飽和単量体は、単一の単量体として、又は、組合せて使用することができる単量体として、スチレン、2−クロロスチレン、2−ブロモスチレン、メトキシスチレン、アクリル酸フェニル等を用いることができる。
光開始剤としは、遊離ラジカル発生付加重合開始剤等を使用することができる。
フォトポリマー材料としては、さらに、フッ素含有ポリマー、付加重合可能なエチレン性不飽和モノマー、及び、光開始剤を有する、光重合性組成物を用いることができる。
フッ素含有ポリマーとしては、テトラフルオロエチレンまたはへキサフルオロプロピレンのような、過フッ素化モノマーとビニルアセテートとから作られたポリマーが挙げられる。
コヒーレント光による露光によって、このモノマーは、未露光域とは異なる屈折率とレオロジー的性質をもつ、高分子量のフォトポリマーを形成するように(光)重合する。この高分子量のフォトポリマーは実質的に固体ではあるが、各成分は電離放射線による一様、且つ、全面に渡る露光、または、高温度で熱処理することで「定着」されるまでは、コヒーレント光による露光中、および、露光後も、内部拡散をする。
このフォトポリマーは、その厚さと屈折率変調とにより決定される、所定の中心波長、及び、波長領域(分散帯域)をもつ光を反射する。そこで、その厚さは、用途、および、光学系の光学的な要請、すなわち使用中にホログラムを照明(再生)するのに用いる光の帯域幅、に対して一致させられる。一般的に狭い帯域幅用の応用には、比較的厚いフォトポリマーが選ばれ、広い帯域幅用の応用には比較的薄いフォトポリマーが選ばれる。
使用されるフッ素含有ポリマーは、フォトポリマーのその他の各成分と両立し得るフッ素含有ポリマーであり、塗布されたときに実質的に固体の透明な皮膜を作るものである。
「実質的に固体」とは塗布された皮膜が、溶剤を除去した後に、一般的に固体材料の有している諸特性(例えば寸法安定性)を有していることを意味している。
フッ素含有ポリマー中のフッ素の存在は、一般に、フォトポリマーの屈折率を低下させ、これによりホログラム画像化後のフォトポリマーにおいて、増加した(「より大きな」という意味。)屈折率変調が達成される。屈折率変調は、フッ素含有量の増加とともに増大するが、フォトポリマーに不透明化を起こさせないためには、そのフッ素の存在量は限定される。
従って、フッ素の含有量は、その効果が、1%のような低レベルにあっても達成されるものの、代表的には、10〜20%の範囲内とされる。フッ素の含有量は、用途に応じた屈折率変調を達成するために調整可能である。
フッ素は、フッ素含有ポリマーを構成する他のモノマーとフッ素含有モノマーとを共重合するか、または、フッ素含有ポリマーとの反応により導入する。例えば、フッ素含有ポリマーが、アルコール、または、酸置換基のような官能基を含むとき、フッ素を導入するためには縮合、アセタール化、ケタール化、またはエステル化反応などが使用できる。
フッ素含有ポリマーには、ビニルエステル、ビニルアルコール、ビニルエーテル、ビニルアセタール/ブチラール、またはプレポリマー類あるいはこれらの混合物と、フッ素化モノマーとのポリマー類等を用いることができる。
以上のフッ素含有ポリマー、付加重合可能なエチレン性不飽和モノマー、及び、光開始剤からなる、光重合性組成物は、その透明性を維持しつ、大きな屈折率変調を有するため、高い透明性と、鮮明なリップマンホログラムの再生を必要とする、本発明の透明な窓に用いられるリップマンホログラムシートに好適である。
また、透明な樹脂、すなわち、光重合性組成物としては、カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、特定波長の光に感光してラジカル重合性化合物を重合させる光ラジカル重合開始剤系、及び上記特定波長の光に対しては低感光性であり、別の波長の光に感光してカチオン重合性化合物を重合させる光カチオン重合開始剤系からなる感光性材料が用いられる。
この光重合性組成物は、光ラジカル重合開始剤系が感光するレーザー光等の光を照射し、次いで光カチオン重合開始剤系が感光する上記レーザー光等の光とは別の波長の光を照射することによりリップマンホログラムが記録される。レーザー光等の光の照射(以下、第1露光)によってラジカル重合性化合物を重合させた後、カチオン重合性化合物は、その次に行う全面露光(以下、後露光)によって組成物中の光カチオン重合開始剤系を分解させて発生するブレンステッド酸あるいはルイス酸によってカチオン重合するものである。
カチオン重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物の重合が比較的低粘度の組成物中で行なわれるように室温液状のものが用いられる。そのようなカチオン重合性化合物としてはジグリセロールポリグリシジルエーテル等が例示される。
ラジカル重合性化合物は、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有するものが好ましい。また、ラジカル重合性化合物の平均屈折率は上記カチオン重合性化合物のそれよりも大きく、好ましくは0.02以上大きいとよく、小さいと屈折率変調が不十分となり好ましくない。ラジカル重合性化合物としては、アクリルアミド、メタクリルアミド等が例示される。
光ラジカル重合開始剤系は、リップマンホログラム作製のための第1露光によって活性ラジカルを生成し、その活性ラジカルがラジカル重合性化合物を重合させる開始剤系であればよく、また、一般に光を吸収する成分である増感剤と活性ラジカル発生化合物や酸発生化合物を組み合わせて用いてもよい。光ラジカル重合開始剤系における増感剤は可視レーザー光を吸収するために色素のような有色化合物が用いられる場合が多いが、無色透明リップマンホログラムとする場合には、シアニン系色素が好ましい。
シアニン系色素は、一般に光によって分解しやすいため、後露光、または室内光や太陽光の下に数時間から数日放置することにより、リップマンホログラム中の色素が分解されて可視域に吸収を持たなくなり、無色透明なリップマンホログラムが得られる。
このような無色透明性は、リップマンホログラムシートの背後にある宛名情報等を読み取る際に好適である。
光カチオン重合開始剤系は、第1露光に対しては低感光性で、第1露光とは異なる波長の光を照射する後露光に感光してブレンステッド酸、あるいはルイス酸を発生し、カチオン重合性化合物を重合させるような開始剤系とするとよく、第1露光の間はカチオン重合性化合物を重合させないものが特に好ましい。
そのリップマンホログラム形成層の厚さは、10μm〜100μmとする。好適には、20μm〜50μmである。もちろん、この厚さは薄い方がコスト面や、透明性を確保するためには有利であるが、10μm未満では、シートとしての強度が不十分で封筒加工適正や、郵送や配送適正に欠け、100μmを超えると、窓部とその他の部分とに大きな段差が生じ、封筒加工時に引っ掛かりが起きる等、封筒加工適正や、郵送や配送適正に欠けるものとなる。
以上の方法は、樹脂を担持するための透明基材を介することなく、直接樹脂から形成することができるため、あらかじめ透明基材に樹脂をコーティングしておく工程が不要となり、コスト面及び、管理面において優れる。
後者の方法、すなわち、透明基材の少なくともその一方の面に、透明な樹脂をコーティングして、リップマンホログラムを有する「リップマンホログラム形成層」を設けた積層体とする方法においては、リップマンホログラム形成層は、光重合性組成物の塗布液(例えば、固形分15〜25%)を、透明基材が、1枚毎のシート状であればバーコート、スピンコート、又はディッピング等により塗布形成され、また、透明基材、がロール状の長尺の状態で塗布するのであれば、グラビアコート、ロールコート、ダイコート、又はコンマコート等により塗布する。リップマンホログラム形成層は塗布液に合わせた乾燥ないし硬化の手段を用いて固化される。
その光重合性組成物としては、一例として、組成物全体に対してカチオン重合性化合物を10〜50%、ラジカル重合性化合物を40〜70%、光ラジカル重合開始剤系を1〜5%、及び、光カチオン重合開始剤系を1〜5%とするとよく、全量を100%となるように配合する。
光重合性組成物は、必須成分および任意成分をそのまま、もしくは必要に応じてメチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、メチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、メタノール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒と配合し、冷暗所にて、高速撹拌機を使用して混合することにより調製される。
この光重合性組成物は、その透明性を維持しつ、鮮明なリップマンホログラムを再生でき、且つ、高い破断強度、小さい破断伸度、さらには、高い鉛筆硬度を有するため、高い透明性と、引張り耐性や耐摩耗性等の強靭な物理特性を必要とする、本発明の透明な窓に用いられるリップマンホログラムシートに好適である。
光重合性組成物そのものからなるシートや、フィルム、さらには、透明基材上にコーティングした光重合性組成物、すなわち、リップマンホログラム形成層に、上記した方法を用いてリップマンホログラムを形成することができる。
リップマンホログラムは、物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を上記したような、いわゆる、体積ホログラムの原理でホログラムを記録したものであり、例えば、フレネルホログラムなどのレーザー再生ホログラム、イメージホログラム及び白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子などとすることができる。また、マシンリーダブルホログラムのように、その再生光を受光部でデータに変換し所定の情報として伝達したり、真偽判定を行うものであってもよい。
ここで、封筒の開封時に宛名人が目視にて鑑賞可能なホログラムを、少なくとも1種類は含めておくことは必須である。
リップマンホログラム形成層は、いわゆる「ホログラフィー露光装置」による所定の波長範囲のレーザー光等の光を使用し、ラジカル重合性化合物を重合させてその内部に干渉縞が記録される。この段階で、記録された干渉縞による回折光が得られ、リップマンホログラムが形成されるが、リップマンホログラム形成層として、カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、光ラジカル重合開始剤系、及び光カチオン重合開始剤系からなる感光性材料を用いた場合には、未反応のまま残っているカチオン重合性化合物を更に重合させるために、後露光として光カチオン重合開始剤系の感光する光(例えば波長200〜800nm)を全面照射してリップマンホログラムを固定化するとよい。なお、後露光の前にリップマンホログラム形成層を熱や赤外線で処理することで回折効率、回折光のピーク波長、半値巾などを変化させることもできる。
リップマンホログラムを形成したリップマンホログラム形成層は、そのホログラムを形成したときに使用したレーザー等の光源波長(これが、上記した「参照光」や、「物体光」となる。)によって、その「層」の中に、フリンジ(干渉縞)を「屈折率の部分的な変化(屈折率変調)」という形で、「3次元的」に記録(フリンジ全体が立体的構造となるという意味。)したものである。
このフリンジは、上記したホログラム形成時に使用した光源波長で照明したときにのみ、「干渉現象」を発生し、観察者の目に視認可能となる反射再生像(リップマンホログラム再生像)を出現させる。
しかしながら、このフリンジを、上記の波長以外の光で照明したときは、上記した「干渉現象」が発生せず、わずかな散乱現象が生じるのみで、その光はそのまま透過することになる。
例えれば、可視光線領域の一部である、488nmの波長領域にある、アルゴンレーザー等の光源を用いてリップマンホログラムを形成し、リップマンホログラムシートとすると、そのリップマンホログラムシートに、488nm以外の可視光線領域にその発光波長を有する光源の光を投射しても、リップマンホログラムを再生せず、しかも、反射光をも発生しない(シートと空気との界面でのわずかな界面反射は存在するが、フリンジによる反射光は発生しない。)。
このことにより、このリップマンホログラムを形成した窓付き封筒を、太陽光下や、一般的な室内に採用されている蛍光灯(3波長を有する3波長管が主流である。)で照明すると、488nm近傍の光による反射型リップマンホログラム再生像を、0度〜45度、及び60度〜90度の角度範囲内で視認することができるが、それ以外の可視光波長、すなわち、太陽光線においては、488nm近傍を除く、400nm〜800nmの広範囲に渡る波長領域の光、そして、3波長管(主波長は、例えば、430nm、550nm、630nmなどとなっている。)を用いた蛍光灯においては、ホログラム再生像が再生されないこととなる。
従って、リップマングラムとして、この3波長管の光源波長に合わせた、3つのレーザー光源を用いて、3重記録を行い、且つ、その回折効率も、各波長において、高い回折効率、すなわち、回折効率60%〜90%を有するものとする。
この回折効率が60%未満であると、ホログラムを透過する光の量が多くなり、ホログラムの遮蔽効果が薄れる。このため、回折効率は高いほうが望ましいが、この回折効率を高くすればするほど、その波長選択性が強くでるため、回折効率は90%以下とする。望ましくは、回折効率60%〜70%とする。
さらに、ホログラムを反射再生することができる波長領域を広くするためには、各波長による多重記録をさらに重ねることが望ましいが、同一記録領域に4重記録や5重記録をすると、各波長における回折効率が低下してしまうため、記録領域を市松模様状に分割するか、リップマンホログラムシートを多層として、対応する波長領域を広くすることも好適である。
例えば、400nm〜800nmの間を、80nm間隔で波長を選択し(6波長とする。)、各層に3重記録して2層構成とすることができる。
これらのリップマンホログラムを形成する際に用いられる光源としては、
例えば、ガスレーザーとして、HeNeレーザーLGシリーズ、HeNeレーザーLHシリーズ、アルゴンレーザー、HeCdレーザーIKシリーズ、窒素/色素レーザーGL−301、窒素/色素レーザーGL−302等、
固体レーザーとして、ルビーレーザー、小型CWレーザー(Nd:YAG、Nd:YLF、Nd:YVO4レーザー)Direct、小型CWレーザーCrystal、波長変換レーザーOptiシリーズ、TOL90色素レーザー等、
半導体レーザーとして、SWL−7513H、FK LA−100、LDM等を用いることができる。
本発明によれば、窓付き封筒において、大きい領域を確保可能な、宛名等に割り当てられた「窓」部に、すなわち、受取人が本人なのかもしくは家族等であるのかを確認するため、必ず視認する宛名用窓部にホログラムシートを設けることにより、封筒における所定の一つの位置に十分な大きさのホログラム鑑賞領域を確保でき、顧客の注意を十分に喚起して、その開封率を向上し、且つ、その窓付き封筒を少し傾けるだけで、その背後にある宛名等の印字を目視にて十分視認できる、窓付き封筒を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
リップマンホログラム形成方法の説明図である。 コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)の説明図である。 本発明の一実施例を示す窓付き封筒の加工中の図である。 本発明の一実施例を示す窓付き封筒(封緘前)である。 本発明の別の実施例を示す窓付き封筒(その断面も合わせて示す。書面等として、封入物を封緘してあり、その封入物上に宛名部を形成している。)である。 本発明の一実施例に用いられるホログラムシートの断面図を示す図(1層構成 の例。)である。 本発明の他の実施例に用いられるホログラムシートの断面図を示す図(透明基 材の一方の面にホログラムが形成されている2層構成の例。)である。
(窓付き封筒、封筒本体)
本発明の窓付き封筒1は、上記したように、種々の製袋機を用いて、加工可能であるが、その一例としては、封筒本体2の窓部3に、ホログラムシート4を上記した適宜な接着剤(図示せず。)を用いて、貼着したものとする。(図3〜5参照。)
但し、この接着剤は、一般的な粘着剤や接着剤を用いることができるが、特に、「再剥離性」を有することが好ましい。
接着剤には、エポキシ・変成シリコーン樹脂系等の弾性系接着剤、熱可塑性樹脂系接着剤、オレフィン樹脂系、EVA系などのホットメルト系接着剤、酢酸ビニル系、EVA系、アクリル系などのエマルジョン系接着剤、エラストマー系接着剤、熱硬化性樹脂系接着剤、アルキル-α-シアノアクリレート系等の瞬間系接着剤、粘着・接着形接着剤、ゴム系接着剤、一液形接着剤、二液混合形接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、反応形アクリル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、塩化ビニル・酢酸ビニル系、ウレタン系、ポリエステル系、ニトロセルロース系などの樹脂系溶剤形接着剤、クロロプレンゴム系、ニトリルゴム系、SBRゴム系などのゴム系溶剤形接着剤、エポキシ変性、ポリビニルアセタール変性、ニトリルゴム変性などのフェノール樹脂、ポリ乳酸系接着剤(環境配慮)、さらには、再湿接着剤(水分を加えることで接着性を復活させるもの)等を用いることができる。
粘着剤には、天然ゴム系、合成ゴム系、熱可塑性エラストマー系などのゴム系粘着剤、溶剤型アクリル系、エマルション型アクリル系、、液状紫外線硬化型、電子線硬化型などのアクリル系粘着剤、過酸化物硬化型シリコーン系、付加型シリコーン系などのシリコーン系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤等に、適宜、ロジン系、テルペン系、石油樹脂系などの粘着付与剤を添加したものや、これらのエマルション型やホットメルト型等、さらに、再剥離型アクリル系粘着剤、微粘着型シリコーン系粘着剤、ポリ乳酸系粘着剤(環境配慮)、さらには、再湿粘着剤(水分を加えることで粘着性を復活させるもの)等を用いることができる。
また、これらの混合系を用いることができ、さらに、種々の添加剤、すなわち、マイクロシリカ、炭酸カルシウム等の体質顔料など、種々の通常用いられる添加剤も用いることができ、本発明においても、用途に応じ、これらを適宜入れ替えたり、混合したりして用いることができる。
これらは、処理する方法により、例えば、圧力を掛けて処理する場合には、感圧接着剤・粘着剤と呼ばれ、加熱処理する場合には、感熱接着剤・粘着剤と呼ばれる。
その形成厚さは、「紙」の上に適用する場合は、「紙」への浸透を考慮し、3μm〜10μmの厚さで、「フィルム」の上に適用する場合には、その浸透がないため、薄くすることができ、0.5μm〜3μmの厚さで形成する。
もちろん、これら材料をパターン印刷処理する代わりに、適宜な幅の両面テープを適用して接着(粘着)させることも好適である。特に、受取人に封緘処理をさせる場合などは、その封緘部分に両面テープを剥離紙を残したまま適用する。(再湿接着剤や再湿粘着剤も用い得る。)
一般的には、封筒上紙の開口部の開口位置から数mmの位置に、幅1mm程度で、厚さ5μm程度のパターン状に形成され、ホログラムシート4をその上に載せた後、ホログラムシート4全体に圧力を掛け、接着剤形成部にて圧着されることで、ホログラムシート4を固定する。
このとき、ホログラム形成面は、表側にあっても、裏側(封筒内部側)にあってもよいが、表側を向いていた方が設計が容易である。但し、郵送、乃至は、配送される際にそのホログラム面が他の郵便物や、配送物等と接触しないように、裏側を向いた設計とすることで、損傷を受けにくくすることも好適である。
封筒本体2は、封筒上紙5と、封筒下紙6とを製袋処理ユニットをセットした、一般的なフォーム印刷機等を用いて、上記した適宜な接着剤から選択した、封筒製袋用の接着剤11により製袋され、バースト処理されて、個々の封筒となる。封筒上紙5には、必要に応じ所定のマーク10(郵便マーク等)が印刷されている。(図3参照。)
封筒本体2、封筒上紙5と、封筒下紙6には、その用途に応じ、封筒に用いられる紙、もしくは板紙は、一般的には、印刷用紙・情報用紙、包装用紙、雑種紙、もしくは、段ボール原紙、紙器用板紙等を適宜選択し用いる。その厚さは、用途により適宜選択するが、例えば、連量が45kg/四六判(メートル坪量52.3g/m2)〜180kg/四六判(メートル坪量209.3g/m2)の上質紙等を用いる。
この個々の封筒本体2には、一般的な封入・封緘機を用いて、別途準備した、所定の位置に印字された宛名部8や、その他の部分に印字された情報記録部9をその表面に持つ、書面等12からなる封入物が挿入され、封緘されて、郵便物もしくは配送物となって、郵便配達乃至は、宅配配送される。郵便物の場合には、郵便法及び郵便規則に準拠して、材料選択及び加工処理される。(図3及び図5参照。)
製袋加工時や、封入・封緘時に貼着されているホログラムシート4のホログラム面が損傷を受けないよう配慮することが必要である。もちろん、その反対面が傷ついた場合にも、その透明性が低下するため、いずれの面も擦り傷等の損傷を受けないよう十分な配慮が必要となる。
(ホログラムシート、ホログラム形成層、透明基材)
ホログラムシート4(以下、A、A´とも称す。)は、ホログラムシートA(図6参照。)を構成するホログラム形成層13(以下、ホログラム形成層13ともいう。)単独構成、もしくは、ホログラムシートA´(図7参照。)を構成する透明基材14(以下、透明基材14とも称す。)と、ホログラム形成層13との2層構成、さらには、その上にさらに適宜な耐摩耗性や透明性を有する樹脂からなる保護層(図示せず。)や、透明基材14のホログラム形成層13とは反対の面に、耐擦傷性の離型処理層(図示せず。)等を設けたものを用いることができる。それぞれの層は一般的に用いられる方法を用いて、適宜な厚さに形成される。
ホログラム形成層13には、各種の透明な材料又は、透明なフィルムが用いられる。
ホログラム形成層13として、リップマンホログラムを用いる場合には、銀塩写真乳剤、重クロム酸ゼラチン、フォトレジスト、フォトポリマー材料、無機材料からなるフォトリフラクティブ材料、フォトクロミック材料等及び、それらの材料からなるフィルムを用い得る。
銀塩写真乳剤としては、高感度、高解像度が求められ、超微粒子銀塩や、金―カルコゲン増感や、還元増感を施した材料等が用い得る。
フォトレジストとしては、ポジ型フォトレジストとして、ノボラック−DNQ系、又は、化学増幅型フォトレジスト、ネガ型フォトレジストとして、光架橋型フォトレジスト、又は、光重合型フォトレジスト等を用いることができる。
銀塩写真乳剤、或いは、重クロム酸ゼラチンは、処理工程が多く煩雑であるが、固体光重合性材料、すなわち、フォトポリマー材料は、処理工程が1回のみであるため、好適である。
これは、1工程で、固体の光重合性フィルムから、安定な高解像度のホログラムを作成することができ、ホログラフ情報をもつコヒーレントな光源に対する1回の露光により、「屈折率変調を固定化した画像」が得られることを意味する。このようにして形成されたホログラムは、光に対するその後の均一な露光によっても破壊されることなく、むしろ定着されまたは強化される。
フォトポリマー材料は、熱可塑性重合体結合剤、付加重合可能なエチレン系不飽和単量体、及び、不飽和単量体の重合を活性化する光開始剤からなる、屈折率変調を有する光重合性組成物を用いる。
熱可塑性重合体結合剤は、溶媒可溶性の熱可塑性重合体であり、単独で、又は、組合せて使用する。具体的には、
;アクリレート及びアルファーアルキルアクリレートエステル、例えば、ポリメタクリル酸メチル及びポリメタクリル酸エチル、
;ポリビニルエステル、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸/アクリル酸ビニル、ポリ酢酸/メタクリル酸ビニル及び加水分解型ポリ酢酸ビニル;エチレン/酢酸ビニル共重合体、
;飽和及び不飽和ポリウレタン、
;ブタジェン及びイソプレン重合体及び共重合体、
;エポキシ化物、例えば、アクリレート又はメタクリレート基を有するエポキシ化物、
;ポリアミド、例えば、N−メトキシメチルポリヘキサメチレンアシツクアミド、
;セルロースエステル、例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートサクシネート及びセルロースアセテートブチレート、
;セルロースエーテル、例えば、メチルセルロース、並びにエチルセルロース;ポリカーボネート等、
並びに、
;ポリビニルアセタール、例えば、ポリビニルブチラール及びポリビニルホルマール等。
特に好適には、セルロースアセテートラクテート重合体、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル/メタクリル酸及びメタクリル酸メチル/アクリル酸共重合体を含むアクリル系重合体及びプレポリマー、メタクリル酸メチル/アクリル酸又はメタクリル酸(C2〜C4)アルキル/アクリル酸又はメタクリル酸の3元重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール等、並びに、それらの混合物である。
さらに、ポリスチレン、ポリ(スチレン/アクリロニトリル)、ポリ(スチレン/メタクリル酸メチル)、並びに、ポリビニルペンデル、及び、それらの混合物を含むこともできる。
エチレン系不飽和単量体は、単一の単量体として、又は、組合せて使用することができる単量体として、スチレン、2−クロロスチレン、2−ブロモスチレン、メトキシスチレン、アクリル酸フェニル、アクリル酸p−クロロフェニル、アクリル酸2−フェニルエチル、アクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、フェノールエトキシレートアクリレート、アクリル酸2−(p−クロロフェノキシ)エチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−(1−ナフチロキシ)エチル、又はジメタクリレート、2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジメタクリレート、ポリオキシエチル−2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジメタクリレート、ビスフェノール−Aジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、エトキシル化ヒスフェノール−Aジアクリレート、ビスフェノール−A−ジ(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、ビスフェノール−A−ジ(2−アクリロキシエチル)エーテル、テトラクロロ−ビスフェノール−A−ジ(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、テトラクロロ−ビスフェノール−A−ジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、テトラブロモ−ビスフェノール−A−ジ(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、テトラブロモ−ビスフェノール−A−ジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、ジフェノール酸−ジ(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、1,4−ベンゼン・フォールジメタクリレート、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、ベンゾキノンモノメタクリレート、並びにアクリル酸2−〔β−(N−カルバジル)プロピオニロキシ〕エチル等、を用いることができる。
この単量体が、置換又は非置換フェニル、フェノキシ、ナフチル、ナフトキシ、3つまでの芳香族環を有するヘテロ芳香族、塩素、臭素、よりなる群から選択される、1つ又はそれ以上の部分を含有する場合には、これらを含む光重合性組成物は、いわば「単量体配向型系」と称することができる。
この単量体配向型系に好適な単量体は、アクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、アクリル酸フェノールエトキシレートアクリレート、アクリル酸2−(p−クロロフェノキシ)エチル、アクリル酸p−クロロフェニル、アクリル酸フェニル、アクリル酸2−フェニルエチル、ビスフェノール−A−ジ(2−アクリロキシエチル)エーテル、エトキシル化ヒスフェノール−Aジアクリレート、並びにアクリル酸2−(1−ナフチロキシ)エチル、である。
そして、エチレン系不飽和カルバゾール単量体;アクリル酸2−ナフチル;アクリル酸インタクロロフエ=ル;ビスフェノール−Aジアクリレート;アクリル酸2−(2−ブチロキシ)エチル; 並びに、N−フェニルマレイミドのような第2の固体単量体と混合して使用してもよい。
また、予め形成された重合体材料(プレポリマーを意味する。)が、置換又は非置換フェニル、フェノキシ、ナフチル、ナフトキシ、3つまでの芳香族環を有するヘテロ芳香族、塩素、臭素、よりなる群から選択される、1つ又はそれ以上の部分を含有する場合には、これらを含む光重合性組成物は、いわば「結合剤配向型系」と称することができる。
この系に使用される単量体には、フェニル、フェノキシ、ナフチル、ナフチロキシ、3つまでの芳香族環を有するヘテロ芳香族、塩素及び臭素よりなる群からとられる部分を含まないものを使用する。
「結合剤配向型系」に好適な単量体は、付加重合することができ、100℃より高い沸点を有する液体、エチレン系不飽和化合物である。単一の単量体としてか又は他の単量体と組合せて使用することができるこの型の適当な単量体は、次のものを含む。
すなわち、アクリル酸一ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソーホルニル、1,5−ベンタンジオールジアクリレート、N、N´−エチルアミノエチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールノアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート、1,3−プロノぐンジオール・クアクリレート、デカメチレングリコールジアクリレー)、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパンジアクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−プロパンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリメチロ−−ルプロJRントリメタクリレート、1,5−ベンタンジオールジメタクリレート、フマル酸ジアリル、アクリル酸パーフロロオクチル、メタクリル酸フロロオクチル、並びに1−ビニル−2−ピロリジノン等。
上記のエチレン系不飽和単量体の外、少なくとも300の分子量を有する、1種又はそれ以上の遊離ラジカル開始型、連鎖生長性、付加重合可能、エチレン系不飽和化合物も含有することができる。
また、単量体は、2〜15の炭素原子のアルキレングリコール又は1〜10のエーテル結合のポリアルキレンエーテルグリコールから製造されるアルキレン又はポリアルキレングリコールジアクリレート、並びに、末端結合として存在する時、複数の付加重合可能なエチレン結合を有するものであってもよい。
さらに、デカンジオールジアクリレート、アクリル酸イソ−ボルニル、トリエチレングリフールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、アクリル酸エトキシエトキシエチル、エトキシル化トリメチロールプロノンのトリアクリレートエステル、等である。また、同じ型の第2の固体単量体、例えば、N−ビニルカプロラクタムと混合して使用してよい。
光開始剤として適当な、遊離ラジカル発生付加重合開始剤は、共役炭素環状環系中2つの環内炭素原子を有する化合物である置換又は非置換多核キノン、例えば、9,10−アンスラキノン、1−クロロアンスラキノン、2−クロロアンスラキノン、2−メチルアンスラキノン、2−エチルアンスラキノン、2−三級−ブチルアンスラキノン、オクタメチルアンスラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナンスレンキノン、1,2−ベンズアンスラキノン、2,3−ベンズアンスラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジクロロナフトキノン、1,4−ジメチルアンスラキノン、2,3−ジメチルアンスラキノン、2−フェニルアンスラキノン、2,3−ジメチルアンスラキノン、アンスラキノンアルファースルホン酸のナトリウム塩、3−クロロ−2−メチルアンスラキノン、7,8,9,10−テトラヒドロナフタセンキノン、を含む。
また、ベンゾイン、ピパロイン、アシロインエーテル、例えば、ベンゾインメチル及びエチルエーテル;α−メチルベンゾイン、α−アリルベンゾイン、及び、α−フェニルベンゾインを含む、α−炭化水素置換芳香族アシロインを含んでもよい。
さらに好適な光開始剤には、2−(0−クロロフェニル)−4,5−ビス(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体;1,1′−ビイミダゾール、2,2′−ヒス(0−クロロフェニル)−4,4’、5,5’−テトラフェニルー:並びに、1H−イミダゾール、2,5−ビス(0−クロロフェニル)−4−3,4−・ジメトキシフェニル−2量体(そのおのおのは、典型的には水素ドナー、例えば、2−メルカプトベンズオキサゾールと共に使用される)を挙げることができる。
フォトポリマー材料としては、さらに、フッ素含有ポリマー、付加重合可能なエチレン性不飽和モノマー、及び、光開始剤からなり、画像化(光記録)されたとき、0.001よりも大きな屈折率変調を有する、光重合性組成物を用いることができる。これには、さらに、可塑剤を含めてもよい。
フッ素含有ポリマーとしては、テトラフルオロエチレンまたはへキサフルオロプロピレンのような、過フッ素化モノマーとビニルアセテートとから作られたポリマーを用いることができ、他のモノマーを含むこともできる。例えば、10〜20%のフッ素を含有しているものを使用する。
使用されるフッ素含有ポリマーは、フォトポリマーのその他の各成分と両立し得るフッ素含有ポリマーであり、塗布されたときに実質的に固体の透明な皮膜を作るものである。
フッ素は、フッ素含有ポリマーを構成する他のモノマーとフッ素含有モノマーとを共重合するか、または、フッ素含有ポリマーとの反応により導入し、フッ素含有ポリマーが、アルコール、または、酸置換基のような官能基を含むとき、フッ素を導入するためには縮合、アセタール化、ケタール化、またはエステル化反応などを使用する。
フッ素含有ポリマーには、ビニルエステル、ビニルアルコール、ビニルエーテル、ビニルアセタール/ブチラール、またはプレポリマー類あるいはこれらの混合物と、フッ素化モノマーとのポリマー類を含む。例えば、フッ素含有ポリマーは、ビニルアセテートとフッ素化モノマーとのポリマーとすることができ、必要に応じ、このポリマーのアセテート置換基は、加水分解によりとり除き、フッ素化したポリ(ビニルアルコール)誘導体を得ることもできる。このフッ素化ポリ(ビニルアルコール)は、例えば、ブチルアルデヒドと縮合させ、フッ素化したポリ(ビニルブチラール)誘導体にすることができる。
フッ素化したポリ(ビニルホルマール)、ポリ(ビニルアセタール)など、または、これらの混合物も同じ方法で作ることができる。フッ素化モノマーは、テトラフルオロエチレン、および/または、へキサフルオロプロピレンのような、過フッ素化モノマーが好適であるが、ビニルフロライドまたはビニリデンフロライドのような、その他のモノマーも特定の用途のために選定することができる。
必要に応じ、他のモノマー類も存在させることができる。例えば、フォトポリマーの溶解性、接着性、柔軟性、または硬さなどのような、化学的、もしくは、物理的諸性質を調整するために、モノマー混合物中にエチルビニルエーテルを混在させることができる。このようなフォトポリマーは通常のフリーラジカル重合法を用いて製造される。
フッ素化したフッ素含有ポリマーは、また適切に置換されているポリマーと、フッ素化された化合物との反応により作ることもできる。ヒドロキシルまたはカルボキシル基のような、潜在的な反応位置をもったポリマーは、フッ素化された化合物との反応によりフッ素化されたフッ素含有ポリマーに変換することができる。例えば、フッ素化されたポリ(ビニルブチラール)は、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルアルデヒドと、ポリ(ビニルアルコール)の縮合により調製することができる。カルボキシル酸を含むポリマー類はフッ素化したアルコール類でエステル化することができ;ポリ(ビニルアルコール)、部分ケン化されたポリ(ビニルアセテート)、またはフッ素化されたモノマーとビニルアセテートとのポリマー類の部分ケン化またはケン化されたものなどのような、ヒドロキシル基含有のポリマー類は、フッ素化されたカルボキシル酸によりエステル化することができる。
フルオロオレフィン類は標準的なグラフト化技術を用いて、適切に置換されているポリマー上にグラフト化することができる。ビニルエステル、少なくとも、1つのフッ素化されたモノマー、および、得られるポリマーの物理的性質を調整するための任意の他のモノマーとのポリマーが好ましい。
一般に、フッ素含有量が低下するとその効果も減少するから、フッ素含有ポリマーは少なくとも10%のフッ素を含有するようにされる。しかしながら、フッ素含有量が余りにも高すぎると、得られるフォトポリマーは不透明となる傾向があり、リップマンホログラム形成層の調製のためには有用でない。さらには、窓用フィルムとして用いる場合に、再接着用の糊との接着性が著しく低下する。従って、好ましいフッ素含有ポリマーは、10〜20%のフッ素含有量を有している。
フッ素含有ポリマーのビニルエステル成分としては、ビニルアセテートが特に好ましいが、他のビニルエステルおよび類似の結果を与える構造的に関連した化合物も、これに加えて、またはビニルアセテートの代りに選定することができる。例えば、ビニルピバレート、ビニルプロピオネート、ビニルステアレート、ビニルアルコール、または、n−ブチルビニルエーテルなどを選ぶことができる。テトラフルオロエチレン、または、へキサフルオロプロピレンのような過フッ素化モノマー類は、フッ素化モノマー成分として特に有用であると認められているが、ビニルフルオライド、ビニリデンフルオライド、フルオロオレフィン類、フロロアルキルアクレリートおよびメタアクリレートなどのようなその他の化合物も、特定の用途のためには選ぶことができる。
フッ素化されていない対応物よりも、フッ素化されているフッ素含有ポリマーを選ぶことは屈折率変調を劇的に増加させ、それでホログラムの回折効率も増加させる。
例えば、他のすべての成分を同じにして、ポリビニルアセテートによって達成されるのは約0.025〜0、031の範囲の値であるのに反して、ビニルアセテート/過フッ素化物モノマーのフォトポリマーの使用では0.040を超え、0.076の高い屈折率変調の値が達成される。
フッ素化フッ素含有ポリマーは、全フッ素含有ポリマーの1部分だけに選択することができる。この場合、フッ素含有ポリマーのフッ素化されていない対応物は、2つのフッ素含有ポリマーが互いに両立し、そして塗布用溶剤および他のフォトポリマー成分とも両立し、そしてフォトポリマーの透明性、機械的諸性質などを不当にぎせいとしないならば、その他の成分として選択することができる。
フォトポリマーは、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを含み、これはフリーラジカルで開始される重合し得るもので、100℃以上の沸点を有し、塗布溶剤および選ばれたフッ素含有ポリマーと両立し得るものである。このモノマーは通常末端位置に不飽和性基を含んでいる。一般に液体のモノマーが選定されるが、固体のモノマーが実質的に固体のフォトポリマー組成物中で内部拡散し得るならば、固体のモノマーも1個または数個の液体モノマーと組み合わせて用いることができる。
モノマーは、付加重合をすることができかつ100℃以上の沸点をもつ液体の、エチレン性不飽和化合物であり、これは3個までの芳香環;塩素;および臭素を含む、置換または未置換のフェニル、ビフェニル、フェノキシ、ナフチル、ナフチルオキシ、およびヘテロ芳香基、よりなる群から選ばれた1個または数個の部分を含んでいる。モノマーはこのような部分を少なくとも1つ含み、またモノマーが液体でとどまるならば、同一または異なるこのような部分を2個またはそれ以上含むことができる。低級アルキル、アルキオキシ、ヒドロキシ、フェニル、フェノキシ、カルボキシ、カルボニルイミド、シアノ、クロロ、ブロモまたはこれらの組み合わせのような置換基を、モノマーが液体モノマーにとどまり、かつ光重合性層中で拡散し得るならば存在させることができる。
代表的な液体モノマーには、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルメタアクリレート、フェノールエトキシレートモノアクリレート、2− (p−クロロフェノキシ)エチルアクリレート、p−クロロフェニルアクリレート、フェニルアクリレート、2−フェニルエチルアクリレ−1−、2− (1−ブチルオキシ)エチルアクリレート、0−ビフェニルメタアクリレート、0−フェニルアクリレート、およびこれらの混合物などが含まれる。
モノマーは、通常、液体であるが、エチレン性不飽和カルバゾールモノマーのような、1個または数個のエチレン性不飽和固体モノマーと混合して使用することもできる。
カルバゾール部分の窒素原子に結合したビニル基を含んだ、エチレン性不飽和カルバゾールモノマーは代表的に固体である。このタイプの好適なモノマーには、N−ビニルカルバゾールと3、6−ジプロモー9−ビニルカルバゾールとが含まれる。特に好ましいエチレン性不飽和モノマーの混合物は、N−ビニルカルバゾールと液体モノマーの1個または数個、特に2−フェノキシエチルアクリレート、フェノールエトキシレートモノアクリレート、エトキシレートビスフェノール−Aジアクリレート、またはこれらの混合物などとの組み合わせからなるものである。
フォトポリマーを架橋化(光重合)するときは、組成物中に2個または数個の末端エチレン性不飽和基を含む、多官能性モノマーの少なくとも1つを5%まで加えることができる。この多官能性モノマーは、組成物の他の成分と両立し得るものでなければならず、また好ましくは液体である。多官能性モノマーには、ビスフェノール−Aのジ(2−アクリルオキシエチル)エーテル、エトキシレートビスフェノール−Aジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、およびその他が含まれる。エトキシレートビスフェノール−Aジアクリレートは、特に好ましい。
光開始剤系は、電離放射線により活性化されたときに、フリーラジカルを直接に与える1個または数個の化合物からなるものである。「電離放射線」は、モノマー材料の重合を開始するのに必要な、フリーラジカルを生成させるような活性な放射線を意味している。
この系はまた複数の化合物から構成されることもでき、その1つは別の化合物、または増感剤が放射線により活性化された後に、フリーラジカルを生ずるものである。
有用な開始剤系は、種々の増感剤を含んでいてもよく、多数のフリーラジカル生成化合物を利用できる。特に色素を含むレドックス系、例えばローズベンガル/2−ジブチルアミノエタノールを用いることもできる。光還元性色素および還元剤、オギサジン、およびキノン系の各色素、色素−オウ酸塩コンブレックス、色素増感されたアジニウム塩、およびトリクロロメチルトリアジンなどを、光重合を開始させるために用いることができる。
好ましい光開始剤系は、可視光線用増感剤で増感され、連鎖移転剤または水素供与剤、およびこれらの混合物をもった、2,4,5−トリフェニルイミダゾリルダイマーである。 これには、2−(0−クロロフェニル)−4,5−ビス(m−メトキシフェニル)−イミダゾールダイマー;1,1’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(0−クロロフェニル’)−4,4’5,5’−テトラフェニル;およびIH−イミダゾール、2,5−ビス(0−クロロフェニル)−4−(3,4−ジメトキシフェニル〕−タイマーなどが含まれ、それぞれ代表的に水素供与体とともに用いられる。
増感剤には、ビス(p−ジアルキルアミノベンジリジン)ケトン類、および、アリーリチンアリールケトン類が含まれる。
水素供与体の適当なものには、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、4−メチル−4H−1,2,4−1−リアゾール−3−チオール、およびその他が含まれる。
N−ビニルカルバゾールモノマーを含む組成物に対して好ましい、この他の水素供与体は、5−クロロ−2−メルカプトベンゾチアゾール;2−メルカプトベンゾチアゾール、 IH−1,2、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、1−ドデカンチオール、およびこれらの混合物などである。
その他の成分として、フォトポリマー組成物に一般に添加されるその他の各成分はフォトポリマーの物理的特性を変えるだめのものである。このような成分には可塑剤、熱安定剤、光学的増白剤、紫外線安定剤、接着性変更剤、塗布助剤、および剥離剤などが含まれる。
可塑剤は、フォトポリマーの接着性、柔軟性、硬さ、およびその他の物理的緒特性を変えるために存在させられる。可塑剤には、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジプロピオネート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、ジエチルセパケート、ジブチルスベレート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、イソゾロビルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン、ポリ(プロピレングリコール)、トリ酪酸グリセリル、アジピン酸ジエチル、セバシン酸ジエチル、スペリン酸・ノブチル、燐酸トリブチル、燐酸トリス(2−エチルヘキシル)、などが含まれる。
有用な熱安定剤には、ハイドロキノン、フェニドン、p−メトキシフェノール、アルキルおよびアリール置換されたハイドロキノンとキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、ベータナフトール、塩化第一銅、2,6−ジーt−ブチル−p−クレゾール、フェノチアジン、レジン酸銅、ナフチルアミン、ピリジン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、フロラニール、およびクロルアニールなどが含まれる。ジニトロソダイマー類もまた有用である。
塗布助剤として、非イオン性界面活性剤を光重合性組成物に加えることができる。好ましい塗布助剤は、フッ素化された非イオン性活性剤である。
有用な光学増白剤は、7−(4’−クロロ−6′−ジエチルアミノ−1’,3’,5’−トリアジン−4′イル)アミノ3−フェニルクマリンである。さらに、紫外線吸収材料を適宜用いることができる。
また、透明な樹脂、すなわち、光重合性組成物としては、カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、光ラジカル重合開始剤系、及び、カチオン重合性化合物を重合させる光カチオン重合開始剤系からなる感光性材料が用いられる。
カチオン重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物の重合が終始比較的低粘度の組成物中で行なわれるように室温液状のものが用いられる。そのようなカチオン重合性化合物としてはジグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)シクロヘキサン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等が用いられる。
ラジカル重合性化合物は、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有するものが好ましい。また、ラジカル重合性化合物の平均屈折率は上記カチオン重合性化合物のそれよりも大きく、好ましくは0.02以上大きいとよく、小さいと屈折率変調が不十分となり好ましくない。ラジカル重合性化合物としては、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン、2−ブロモスチレン、フェニルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2,3−ナフタレンジカルボン酸(アクリロキシエチル)モノエステル、メチルフェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、β−アクリロキシエチルハイドロゲンフタレート等が用いられる。
光ラジカル重合開始剤系は、リップマンホログラム作製のための第1露光によって活性ラジカルを生成し、その活性ラジカルがラジカル重合性化合物を重合させる開始剤系であればよく、また、一般に光を吸収する成分である増感剤と活性ラジカル発生化合物や酸発生化合物を組み合わせて用いる。
光ラジカル重合開始剤系における増感剤は可視レーザー光を吸収するために色素のような有色化合物が用いられる場合が多いが、無色透明リップマンホログラムとする場合にはシアニン系色素が好ましい。シアニン系色素は一般に光によって分解しやすいため、後露光、または室内光や太陽光の下に数時間から数日放置することによりリップマンホログラム中の色素が分解されて可視域に吸収を持たなくなり、無色透明なリップマンホログラムが得られる。
シアニン系色素の具体例としては、アンヒドロ−3,3'−ジカルボキシメチル−9−エチル−2,2'チアカルボシアニンベタイン、アンヒドロ−3−カルボキシメチル−3',9−ジエチル−2,2’チアカルボシアニンベタイン、3,3',9−トリエチル−2,2'−チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,9−ジエチル−3'−カルボキシメチル−2,2'−チアカルボシアニン・ヨウ素塩等が例示される。
シアニン系色素と組み合わせて用いてもよい活性ラジカル発生化合物としては、ジアリールヨードニウム類、あるいは2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類が挙げられる。高い感光性が必要なときは、ジアリールヨードニウム類の使用が特に好ましい。上記ジアリールヨードニウム類としては、ジフェニルヨードニウム、4,4'−ジクロロジフェニルヨードニウム、4,4'−ジメトキシジフェニルヨードニウム等が例示される。また、2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類としては、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等が例示される。
光カチオン重合開始剤系は、第1露光に対しては低感光性で、第1露光とは異なる波長の光を照射する後露光に感光してブレンステッド酸、あるいはルイス酸を発生し、カチオン重合性化合物を重合させるような開始剤系とするとよく、第1露光の間はカチオン重合性化合物を重合させないものが特に好ましい。光カチオン重合開始剤系としては、例えばジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類あるいは鉄アレン錯体類等を挙げることができる。ジアリールヨードニウム塩類で好ましいものとしては、光ラジカル重合開始剤系で示したヨードニウム類のテトラフルオロボレート塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアルセネート塩およびヘキサフルオロアンチモネート塩等が挙げられる。トリアリールスルホニウム塩類で好ましいものとしては、トリフェニルスルホニウム、4−ターシャリーブチルトリフェニルスルホニウム等が挙げられる。
光重合性組成物には、必要に応じてバインダー樹脂、熱重合防止剤、シランカップリング剤、可塑剤、着色剤などを併用してよい。バインダー樹脂は、リップマンホログラム形成前の組成物の成膜性、膜厚の均一性を改善する場合や、レーザー光等の光の照射による重合で形成された干渉縞を後露光までの間、安定に存在させるために使用される。バインダー樹脂は、カチオン重合性化合物やラジカル重合性組成物と相溶性のよいものであれば良く、その具体例としては塩素化ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレートと他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体、塩化ビニルとアクリロニトリルの共重合体、ポリ酢酸ビニルなどが挙げられる。バインダー樹脂は、その側鎖または主鎖にカチオン重合性基などの反応性を有していても良い。
そのホログラム形成層13の厚さは、10μm〜100μmとする。好適には、20μm〜50μmとする。
透明基材14に、透明な樹脂をコーティングして、リップマンホログラムを有する「ホログラム形成層13」を設けた積層体とする方法においては、ホログラム形成層13は、光重合性組成物の塗布液を、バーコート、スピンコート、又はディッピング等、または、グラビアコート、ロールコート、ダイコート、又はコンマコート等により塗布し、形成する。ホログラム層13は、乾燥ないし硬化手段を用いて固化される。
その光重合性組成物としては、組成物全体に対してカチオン重合性化合物を10〜50%、ラジカル重合性化合物を40〜70%、光ラジカル重合開始剤系を1〜5%、及び、光カチオン重合開始剤系を1〜5%とし、全量を100%となるように配合する。
光重合性組成物は、必要に応じて、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、芳香族系溶媒、セロソルブ系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン系溶媒等と配合し、冷暗所にて、高速撹拌機で混合し調製する。
上記の樹脂材料を用い、キャスティング法や、ダイコート法等を用いて、ホログラム形成層13を単層として形成し、ホログラムシートA(1層構成)とする。(図6参照。)
もしくは、透明基材14上に、上記したような方法により、ホログラム形成層13を積層し、ホログラムシートA´(2層構成)とする。(図7参照。)
このホログラムシートAもしくは、A´に、適宜な光学系を用いて、リップマンホログラムを形成(記録)する。(図1参照。)
以下に、その方法を説明する。
まず、ホログラム画像として画像化される「物体」を準備する。
「物体」としては、彫刻や模型等の実在する、3次元物体(高名な作者のものであれば、その意匠性は非常に高いものとなる。)、もしくは、絵画やブランドデザイン等の2次元物体が用いられる。もしくは、「物体光」を与え得るものであって、空間変調器等のような電子的にセル変換が可能な光学素子を用いた光学系によって、記録用媒体面に投影されるような「光の像」であってもよい。
もちろん、あらかじめ作成した「ホログラム」からの「ホログラム再生像」(立体的な光の像となる。)を用いることもできる。
この「物体」を、所定の波長を選択した、ガスレーザー、固体レーザー、半導体レーザー、各種色素レーザー等のコヒーレント光を用いて照明し、図1中の(1)のような光学系を準備し、適宜なホログラム記録用のフォトレジストにマスターホログラムを記録し、現像処理する。
次いで、このマスターホログラムを図1中の(2)のような光学系を用いて、「物体」のリップマンホログラムを、上記で使用した光源を再度用いて、リップマンホログラムシートAもしくは、A´上に記録する。
このとき、リップマンホログラムシートAもしくは、A´を、図1中の(2)のステップにおける、記録材料の位置にセットする。そして、参照光と物体光の角度を調整し、記録する。
その後、適宜な現像処理や、後処理を行って、所望のリップマンホログラムを記録した、ホログラムシートAもしくは、A´とする。
以上の方法を用いる際、「レーザー光源」を複数準備し、マスターホログラム作成時にその複数のレーザー光源(所望の発光波長を有する。)を用いて、複数のマスターホログラムを作成し、リップマンホログラム作成時に再度この複数の光源、及び、複数のマスターホログラムを用い、各々、その波長に応じて角度を変えて設定し、リップマンホログラムシートAもしくは、A´に、複数のリップマンホログラムを多重記録することができる。
このときに用いるリップマンホログラムシートAもしくは、A´は、上記の複数のレーザー光源に感度を持つように、例えば、複数の増感剤を含めたものとする。もしくは、個々の増感剤を含む層の多層構成とする。
このリップマンホログラムシートAもしくは、A´は、図1中の(3)のステップのようにして、リップマンホログラムを再生することができ、複数のリップマンホログラムを多重記録した場合には、複数の色調による、ほぼ同一の観察方向に、多色の「物体」像を見ることができる。(図示せず。)
ホログラムとしては、レーザー再生ホログラム、白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子、複合回折格子で構成されるホログラムや、マシンリーダブルホログラムなどを 適宜、記録することができる。
本発明において、「ホログラム」を鑑賞用とし、「開封率向上」をその目的として設けているが、その窓付き封筒が信頼できる送付人から送られてきたことを示すという、いわゆる、偽造防止性を、その「ホログラム」に、併せ持たせることも好適である。
例えば、送付人が窓付き封筒を送付した後、受取人が、その中にある申込書等に所定の個人情報等を記入して、同封されている返信用封筒をその送付人に送付する際に、その申込書が正しい送付人に送付されるものであることを保証するような目的で使われることも好適である。
リップマンホログラムは、上記のようにして記録したリップマンホログラムシートAもしくは、A´を、再び、マスターホログラムとして用いて、大量に複製することができる。
すなわち、所定のリップマンホログラムを記録した第1のリップマンホログラムシートAもしくは、A´上に、未記録の別の第2のリップマンホログラムシートAもしくは、A´を密着して重ね(インデックスマッチング液等をその間に挿入してもよい。)、その積層体に、所定のレーザー光を照射する(第2のリップマンホログラムシートAもしくは、A´側から照射する。)ことで、既にリップマンホログラムを記録してある、第1のリップマンホログラムシートAもしくは、A´から、そのリップマンホログラムの再生像を浮き上がらせ、その浮き上がったリップマンホログラムの再生像を「物体光」とし、第2のリップマンホログラムシートAもしくは、A´上にて、そのレーザー光と干渉させて、第1のリップマンホログラムシートAもしくは、A´に記録してあるリップマンホログラムと同一のリップマンホログラムを、第2のリップマンホログラムシートAもしくは、A´に記録するものである。(図示せず。)
透明基材14は、透明基材として、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や、耐磨耗性等が高く、耐溶剤性、耐熱性及び耐摩耗性等を有するものであって、封筒に用いる材料との適度な接着性および再剥離性を有するものであって、フィルム状もしくはシート状のプラスチックを用いる。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアリレート、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、ポリエチレン/ビニルアルコール等の各種のプラスチックフィルムを例示することができる。
透明基材14の厚さは、通常5〜100μmであるが、その取り扱い適正から25〜100μmとすることが望ましい。
さらに、環境に配慮して、上記した生分解プラスチックを透明基材14として用いることも好適である。
本発明に用いられるレリーフホログラムには、各種の透明な材料、すなわち、
アクリル酸エステル樹脂、もしくは、アクリルアミド樹脂等の熱可塑性樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、もしくはフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、もしくは、エポキシアクリレート等の電離放射線硬化性樹脂を用い、各種イソシアネート樹脂を加えて、あるいは、金属石鹸等の各種硬化触媒を配合して架橋させたもの、または、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物、ベンゾフェノン、もしくは、アセトフェノン等を配合して、熱もしくは電離放射線(紫外線等)で重合させたもの等を用いて、ホログラム形成層13とすることができる。
さらに、環境に配慮して、生分解プラスチックをホログラム形成層13として用いることもできる。
上記の樹脂材料を用いてレリーフホログラム用のホログラム形成層13を形成するには、直接的に形成することもできるが、複製用型を用い、賦型を行なうこともできる。後者は、非常に量産性に優れる。
紫外線硬化タイプや、電子線硬化タイプ等の電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、物理特性に優れるため、好適である。
レリーフホログラムの種類としては、リップマンホログラムと同様のものを用いることができる。
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。なお、溶媒を除き、各層の各組成物は固形分換算の質量部である。
(実施例1)
図3のごとく、封筒上紙5と、封筒下紙6に、連量が70kg/四六のロール状の上質紙を用い、フォーム輪転印刷機を用いて、マージナル部7の加工や、ミシン加工その他の加工を行い、封筒上紙5には、窓部3(宛名部8用開口部、45mm×80mm)の開口処理をしながら、通常の印刷用インキ、及び通常用いる接着剤11(封筒製袋用糊)等にて、マーク10を含む所定の固定情報の印刷加工や糊加工を行った。
その後、インクジェットプリンターにて、封筒下紙6に、宛名部8や、情報記録部9に個別情報や、追加の固定情報を印字した後、製袋ユニット及び窓加工部を有する連続製袋機にて、長形3号(235mm×120mm)の封筒本体2(図4参照。)を作製した。なお、その変形例として、封筒本体2の中に別途作製した書面等12の所望の封入物を封入して(図5参照。)、同様の窓部を有する窓付き封筒1とした。このように、宛名部を封筒下紙に印字せず、書面等12の上に印字する場合もある。
この時、窓用フィルムとして、リップマンホログラムを記録したホログラムシート4をタテ55mm×ヨコ90mmにカットしたものを準備した。
これに用いたリップマンホログラムは、赤色レーザー(クリプトンレーザー、発光波長647nm)、緑色レーザー(アルゴンレーザー、発光波長514nm)及び、青色レーザー(アルゴンレーザー、発光波長488nm)を光源とし、2ステップ法を用いて、30mm×40mmサイズの「絵画モチーフ」のリップマンホログラムとし、その結像位置を、記録面から2mmの位置として撮影し、現像処理したものを用いた。
このとき、遮蔽版として、内径120mm、外形200mmのドーナツ状の黒色プラスチックシートを用いた。
ホログラムシート4としては、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフイルム(透明基材14)上に、膜厚30μmのフォトポリマー(ホログラム形成層13)が積層され、その上に保護フィルムとして、厚さ23μmポリエチレンテレフタレートフイルムが積層されたフォトポリマー(デュポン社製「HRF705」)を用い、
それぞれ、赤色レーザーの露光強度を、1.40mwとし、ホログラムシート4に対して、(シート面の垂線方向に対し)記録角度を−10度とし、50mJ/cm2 の露光量となるように照射した後、高圧水銀灯を用いて100mJ/cm2 紫外線を照射し、更に120℃で120分間加熱処理し、緑色レーザーの露光強度を2.60mwとし、同様に30mJ/cm2 の露光量となるように照射した後、高圧水銀灯を用いて100mJ/cm2紫外線を照射し、更に120℃で120分間加熱処理し、そして、青色レーザーの露光強度を1.80mwとし、同様15mJ/cm2 の露光量となるように照射した後、高圧水銀灯を用いて100mJ/cm2 紫外線を照射し、更に120℃で120分間加熱処理し、その後、それぞれの保護フィルム及び、透明基材14を剥離し、各ホログラム形成層13を重ねて一体とし、三層からなる厚さ90μmのホログラムシート4(A)を作製した。(図6参照。)
それぞれの回折効率は、40%、53%、40%とし、リップマンホログラムを封筒の外側に向くようにした。
ホログラムシート4用の粘着剤(図示せず。)は、微粒子マイクロシリカを混入させたゴム系(再剥離性を有する。)とし、2mm幅で厚さ5μmの開口部より一回り大きい長方形のパターンとした。
封入物は別途印刷加工し、所望の印刷及び宛名等、個別情報印字をして、A4サイズの3つ折とし、書面等12としたものを、その宛名等が、封筒本体1の窓部4位置に合うよう調整して、封入し、実施例1の窓付き封筒1を作製し、その後、封緘した。
この実施例1の窓付き封筒1を、メール便にて配送し、受け取った後、この窓付き封筒1の窓部を正面から視認すると、「絵画モチーフ」のホログラムを鮮明に認識することができ、且つ、その背後にある宛名等を判読することはできなかった。
そして、観察する角度を50度だけ傾けて、宛名部を確認したところ、リップマンホログラムの再生像は見えず、リップマンホログラムの背後に位置する宛名等を確実に読み取ることができた。
その窓部3から、リップマンホログラムシート4(A)を剥したところ、粘着残渣は全く無く、観賞用として適していると思われた。
リップマンホログラムに用いた「絵画モチーフ」は、意匠性に優れるものであり、この窓付き封筒1を受け取った人が、この窓付き封筒1を開封する率が大幅に向上するものと思われた。
(実施例2)
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフイルム(透明基材14)上に、下記組成の光重合成組成物を乾燥厚さ20μmとなるように、グラビアコーティングにて形成し、
まず、赤色レーザー(クリプトンレーザー、発光波長647nm)、緑色レーザー(アルゴンレーザー、発光波長514nm)、青色レーザー(アルゴンレーザー、発光波長488nm)を光源として、リップマンホログラムのホログラム形成層13(その1)とし、次に、同様にして、ホログラム形成層13(その1)の上に、同様に、下記組成の光重合成組成物を乾燥厚さ20μmとなるように、グラビアコーティングにて形成し、半導体レーザー、LDM1(発光波長、405nm)及び、LDM2(発光波長、690nm)を光源とし、各色調の回折効率、60%〜70%のリップマンホログラムのホログラム形成層13(その2)とし、全体厚さ90μmのホログラムシート4(A´)を作製した(図7参照。)。
これ以外は、実施例1と同様にして、実施例2の窓付き封筒1を得た。
<光重合成組成物>
ポリメチルメタクリレート系樹脂(分子量200,000) 10部
クマリン系色素クマリン343(日本シイベルヘグナー社製) 0.1部
2H−ピリド[3,2−b]−1,4−オキサジン−[4]Hオン 0.1部
ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン 0.1部
2,2−ビス[4-(アクリロキシジエントキシ)フェニル]プロパン 20部
ペンエリスリトールポリグリシジルエーテル 20部
メチルイソブチルケトン 30部
n−ブタノール 19部
実施例1と同様に評価したところ、ホログラム再生像は、より鮮明となり、その背後にある宛名等がさらに判読し難くなったこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。
(実施例3)
ホログラムシート4として、レリーフホログラムシートを構成する透明基材14として、16μm透明ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その上に、下記ホログラム形成用組成物をグラビアリバースコーティング方式により塗布し、乾燥して厚さ5μmのレリーフホログラムシートを構成するホログラム形成層13とした、積層体とした。
これに用いるホログラムとして、レーザー光学系を用いて、30mm×70mmサイズの「絵画モチーフ」をレインボーホログラムとした。
このとき、適宜なフォトレジストを形成した、ホログラム記録用乾板に対して、アルゴンレーザー光源を用いて、参照光入射角度―10度、物体光再生方向+10度となる第一撮影と、参照光入射角度―10度、物体光再生方向+70となる第二撮影を行って2重記録し、且つ、上記のホログラム記録用乾板をその乾板面内で90度回転させ、再度、同様の撮影を行い、その結像位置を、記録面から10mmの位置として撮影し、所定の現像処理をしてレリーフホログラムとした。
そのレリーフ面を型取りしたNi原盤によって、回転方式にて、線圧1トン/m、150℃にて、この積層体のホログラム形成層13の表面にエンボス加工を施し、その表面にホログラムレリーフを形成した。
その後、そのホログラムレリーフ面に追従するように、反応性電子ビーム加熱蒸着法により、ITO:In23 (n=2.0)の透明薄膜層(図示せず。)を、800nm厚さで均一に形成し、ホログラムシート4(A´)とし、以下、実施例1と同様にして、実施例3の窓付き封筒1を得た。
この時の各方向の反射型回折効率は、15%であった。
〈ホログラム形成用組成物〉
メラミン樹脂(n=1.56) 20部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 40部
実施例1と同様に評価したところ、窓付き封筒1の正面において、ホログラム再生像を視認でき、その背後にある宛名等はわずかにその存在が判るものの、一文字一文字を正確には判読不可能であった。そして、窓付き封筒1をその天地方向に50度程度傾けても、また、左右方向に50度傾けても、ホログラム再生像が消えて、宛名等を正確に把握することができた。
(比較例)
(比較例1)30μmの透明な無延伸ポリエチレンフィルムを窓用フィルムとして用いたこと以外は、実施例1と同様とし、比較例1の窓付き封筒を得た。
この窓付き封筒を実施例1と同様に評価したところ、なんら特徴がなく、受け取り人の注意も惹かず、開封率の向上は見込めないものと思われた。
[回折効率測定方法]
:光源:半導体レーザー:キコー技研 MLX標準コリメートレーザー
:電圧DC4.8〜6.5V・平行光時ビーム径拡大6mm
:効率:反射光強度/入射光強度*100(%)
A ホログラムシート(1層構成)
A´ ホログラムシート(2層構成)
1 窓付き封筒(2つの形態を含む。)
2 封筒本体
3 窓部
4 リップマンホログラムシート
5 封筒上紙
6 封筒下紙
7 マージナル部
8 宛名部
9 情報記録部
10 マーク
11 接着剤(封筒製袋用糊)
12 書面等
13 ホログラムシートを構成するホログラム形成層
14 ホログラムシートを構成する透明基材

Claims (3)

  1. 透明な窓を備えた窓付き封筒において、前記透明な窓が、ホログラムシートで構成されている窓付き封筒であって、
    前記ホログラムシート面を基準面とし、その基準面に垂直な方向を0度として、0度〜45度、及び、60度〜90度の方向にホログラム再生像が再生され、45度超且つ60度未満の方向には、ホログラム再生像が再生されないことを特徴とする窓付き封筒。
  2. 前記ホログラムシートが、リップマンホログラムを記録したリップマンホログラムシートであることを特徴とする請求項1に記載の窓付き封筒。
  3. 前記リップマンホログラムの回折効率が、60%〜90%であることを特徴とする請求項2に記載の窓付き封筒。
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