JP6327467B2 - スクラッチラベル - Google Patents
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Description
本来、「ある一つの層」の端部に位置する「面」は、「端面」と定義すべき(すなわち、上下面と、4つの端面とすべき。)であるが、本発明のスクラッチラベルにおいては、「切り立った面」という意味合いから、「断面」という語を使用する。従って、以下の説明における「断面」は、「端面」を含む。逆に、一般に用いられる「ある物体の『断面』」などと表現される「物体内部の形状を示す『語』としての『断面』」は、これに含まれない。
また、「ホログラム層」の上面(スクラッチ隠蔽層のスクラッチにより、露出したホログラム層の表面を意味する。)に照明光を照射することにより、その「上面」より「第三のホログラム再生像」が再生されることとなる、「第三のホログラム」が、その「ホログラム層」に記録されている。
シート基材上に「秘密情報」を設けた部分を、「秘密情報」表示部、「秘密情報」印字部、または、「秘密情報」形成部と、適宜、表現する。
また、抽せんコードの如き機密の個別データをスクラッチが可能な隠蔽層で隠蔽してあるインスタント抽選付ゲームカードやインスタント抽選付商品等においては、機密の個別データを複雑なゲームにも利用できるものとし、その隠蔽層を擦り取ると、「あたり」の文字や懸賞番号等のメッセージが浮かび上がるように構成されている
このように「スクラッチ方式」は、いわば「簡易くじ」としても用いられており、その用途としては、宝くじなどの各種くじ等の他、商品の購入時の景品提供の手段、教習具や、ケームカード等があるが、より具体的には、携帯電話ショップで、スクラッチ枠を11か所設け、その内5か所だけを擦って、自分の携帯電話番号といくつ一致するかでもらえる景品が決まり、裏面には新規契約の方への特別割引クーポン券がついているもの、大手ドラッグストアで、ポイントカード会員獲得のために、ポイント5倍などのスクラッチに使用するもの、会員登録したその日からクーポン券として利用可能で、クーポン券の利用期間を設けるもの、大手鶏卵メーカーで、大手スーパー量販店様への卵パックの中に封入し、当たりが出たら「当たり券」をハガキに貼って裏面記載の係りあてに応募すると、購入先で使用できる商品券がプレゼントされるもの、住宅展示場、ファーストフードショップ、遊園地、観光スポット、スポーツ観戦に使用されるもの等、さらには、食品業界、ファッション業界、美容業界や医療関係等用の、擦った後に削りカスが出にくいもの等、または、被封くじであって、当せんパターンがスクラッチ印刷され、これを削ることにより抽せんを行う、インスタントくじ、スクラッチ宝くじ等、スクラッチ可能な隠蔽層をパターン状に複数設けて、それらの何れかを削って、所定のマークを出すことができた場合に「当たり」とするもの、そのマークを出すまでの削り回数や、削った軌跡で「当たり」のレベル(例えば商品価格)を定めるもの、そのパターンが、縦横マス目状に設けられ、そのマークがそのマス目のどの位置にあるかによって、「当たり」のレベルを定めるもの等がある。
さらには、来店促進のためのお買物券や割引券等、店頭でのイベントなどに用いられる名刺サイズやハガキサイズのもの、イベント案内のダイレクトメールにスクラッチを活用するもの、店頭への誘導にハガキだけでなく、V折やZ折などの圧着ハガキDMへスクラッチ印刷したもの等、1日1回で数十回スクラッチすると、その回数に応じて、景品引換券や、家具や洋服等の店頭で販売している商品が手に入るものや、スクラッチカードの四つ角に決まったアイテムが用意され、これを参考にすれば、欲しいアイテムを効率良く集めることができるように構成されているもの等がある。
(先行技術)上記したように、銀行口座からの自動引き落としや、信販会社を介した決済という方法は、非常に堅実な方法ではあるが、事前の手続きが面倒で、また、サービスの利用開始までに時間がかかるという問題があり、公共料金など利用が不可欠なサービスについては、有効な料金回収方法であるとしても、顧客にとって恣意的なサービスについての料金回収方法としては、必ずしも適切ではなく、利用料金の支払いのための手続きが面倒であったり、実際に利用が可能になるまでに何日も待たされたりすれば、顧客はそのサービスの利用に躊躇せざるを得なくなる。
以上のごとき、カムフラージュ行為を直接的に阻止する方法として、スクラッチ可能な隠蔽層の上、または、スクラッチ可能な隠蔽層と基材とに跨るように、ホログラム画像を形成したホログラム層を設け、不正を行おうとする者にホログラム画像の存在を認識させて、「ホログラム層」を形成することの困難さを持って不正行為を阻止しようとする技術も開発されている。(例えば、特許文献3または4参照。)
しかし、これらの技術は、ホログラム層の存在や、そのホログラムデザインが第三者にあらかじめ開示されていることから、そのホログラム再生像に類似した光学効果を有するものを十分な時間を掛けて偽造したり、もともと、この構成自体がホログラム層とスクラッチ可能な隠蔽層を同時に削る仕様となっていることから、「ホログラム層もろともスクラッチ可能な隠蔽層を全て削ってしまった」と偽ることにより、ホログラム層が全く存在しない変造品を持参しながら、あたかも正規品であったかの如く振る舞う等の不正を防ぐことができないという欠点を有していた。
本発明のスクラッチラベルの第1の態様は、
シート基材上に設けられた秘密情報を隠蔽するスクラッチラベルであって、
スクラッチ隠蔽層、体積ホログラム形成層、及び粘着層がこの順序で構成され、前記体積ホログラム形成層の露出している断面の内、一方の断面に入射した所定の入射光により、前記所定の入射光に基づく第一の体積ホログラム再生像が再生されるとともに、前記体積ホログラム形成層の露出している断面の内、前記一方の断面に対向する、他方の断面から出射された第一出射光から、前記第一の体積ホログラム再生像を視認することができ、且つ、前記体積ホログラム形成層の露出している断面の内、前記一方の断面に入射した前記所定の入射光により、前記所定の入射光に基づく第二の体積ホログラム再生像が再生されるとともに、前記体積ホログラム形成層の露出している断面の内、前記一方の断面に直交する、第三の断面から出射された第二出射光から、前記第二の体積ホログラム再生像を視認することができ、さらに、前記スクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去することにより、前記秘密情報が視認可能となることを特徴とするものである。
シート基材上に設けられた秘密情報を隠蔽するスクラッチラベルであって、
スクラッチ隠蔽層、体積ホログラム形成層、及び粘着層がこの順序で構成され、前記体積ホログラム形成層の露出している断面の内、一方の断面に入射した所定の入射光により、前記所定の入射光に基づく第一の体積ホログラム再生像が再生されるとともに、前記体積ホログラム形成層の露出している断面の内、前記一方の断面に対向する、他方の断面から出射された第一出射光から、前記第一の体積ホログラム再生像を視認することができ、且つ、前記体積ホログラム形成層の露出している断面の内、前記一方の断面に入射した前記所定の入射光により、前記所定の入射光に基づく第二の体積ホログラム再生像が再生されるとともに、前記体積ホログラム形成層の露出している断面の内、前記一方の断面に直交する、第三の断面から出射された第二出射光から、前記第二の体積ホログラム再生像を視認することができ、さらに、前記スクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去することにより、前記秘密情報が視認可能となることを特徴とするスクラッチラベルを提供することができ、その「秘密情報」の覗き見や、偽造及び変造を困難としたスクラッチラベルを提供することができる。
第1の態様のスクラッチラベルにおいて、前記スクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去することにより、前記秘密情報及び、前記体積ホログラム形成層から再生される第三の体積ホログラム再生像が視認可能となることを特徴とするものである。
第1の態様のスクラッチラベルにおいて、前記スクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去することにより、前記秘密情報及び、前記体積ホログラム形成層から再生される第三の体積ホログラム再生像が視認可能となることを特徴とするスクラッチラベルを提供することができ、その「秘密情報」の覗き見や、偽造及び変造を、より困難としたスクラッチラベルを提供することができる。
第1の態様または第2の態様のスクラッチラベルにおいて、前記スクラッチ隠蔽層と前記体積ホログラム形成層との界面が、「光学的な鏡面」であることを特徴とするものである。
第1の態様または第2の態様のスクラッチラベルにおいて、前記スクラッチ隠蔽層と前記体積ホログラム形成層との界面が、「光学的な鏡面」であることを特徴とするスクラッチラベルを提供することができ、より鮮明なホログラム再生像を出現可能とし、その偽造防止性と意匠性を高めたスクラッチラベルを提供することができる。
第1の態様から第3の態様の何れかの態様のスクラッチラベルにおいて、前記スクラッチ隠蔽層の前記体積ホログラム形成層が形成されている面とは反対の面に、地紋印刷が施されていることを特徴とするものである。
第1の態様から第3の態様の何れかの態様のスクラッチラベルにおいて、前記スクラッチ隠蔽層の前記体積ホログラム形成層が形成されている面とは反対の面に、地紋印刷が施されていることを特徴とするスクラッチラベルを提供することができ、より偽造防止性と意匠性を高めたスクラッチラベルを提供することができる。
第1の態様から第4の態様の何れかの態様のスクラッチラベルにおいて、前記スクラッチ隠蔽層が、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料及び、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料を含んでいることを特徴とするものである。
第1の態様から第4の態様の何れかの態様のスクラッチラベルにおいて、前記スクラッチ隠蔽層が、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料及び、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料を含んでいることを特徴とするスクラッチラベルを提供することができ、その偽造防止性を著しく高めたスクラッチラベルを提供することができる。
上記した、「投影」する角度、すなわち、「収束」させる角度は、「開き角度」として、比較的小さくすることが望ましく、5度〜30度、好適には、5度〜10度とする。
そして、「ホログラム」を記録するための「参照光」は、所定の光学系にて、「平行光」とし、その「断面」に対して、ほぼ「垂直」に入射させ、この「参照光」が、「奥行」方向に延びて(進んで)、上記した「裏面」に対しても、ほぼ「垂直」に到達するものとする。
上記した「半円柱型シリンドリカルレンズ」は、「第一の体積ホログラム」(「対向断面体積ホログラム」)用のものとほぼ同様であるが、その「焦点距離」として、30〜1000mmのものを用い、少なくとも20mmは必要である。
上記した、「投影」する角度、すなわち、「収束」させる角度は、「開き角度」として、比較的小さくすることが望ましく、5度〜30度、好適には、5度〜10度とする。
そして、「ホログラム」を記録するための「参照光」は、所定の光学系にて、「平行光」とし、その「断面」に対して、ほぼ「垂直」に入射させ、この「参照光」が、「奥行」方向に延びて(進んで)、上記した「裏面」に対しても、ほぼ「垂直」に到達するものとする。
この場合において、記録媒体中の「物体光」と「参照光」との相互作用は、屈折率の変化する材料の屈折率変化という「フリンジ(干渉縞)」を形成するが、このフリンジは、記録用媒体の面に対して、ほぼ平行な面となる。
「実質的に固体」とは塗布された皮膜が、溶剤を除去した後に、一般的に固体材料の有している諸特性(例えば寸法安定性)を有していることを意味している。
しかし、スクラッチ隠蔽層の体積ホログラム形成層と接している面とは反対の面(スクラッチラベルとしての最表面)は、まさにそのスクラッチをする面であってそのような粗さとすることが好ましいものの、その反対面、すなわち、スクラッチ隠蔽層の体積ホログラム形成層と接している面は、本発明の目的より、上記したように「光学的な鏡面」とする必要がある。このため、適宜な剥離性フィルム上に、スクラッチ隠蔽層を形成後、上記した「光学的な鏡面」以上の平滑な表面を有する、「表面平滑化処理を施した金属板」等を用いて、100〜200℃の加熱、及び、107〜109Paでの加圧をする平板プレス処理、もしくは、「表面平滑化処理を施した金属ロール」等を用いてロール幅1cmに対して1.0kg以上の線圧を掛けるロールプレス処理により、スクラッチ隠蔽層の体積ホログラム形成層と接している面を「光学的な鏡面」とする。
」)を得てもよい。
(シート基材、及び、「秘密情報」形成部)
本発明のスクラッチラベルH1、または、H2を貼着して構成されるスクラッチシートSS1に用いられるシート基材S1としては、「秘密情報」S2表示部を設けることができ、本発明のスクラッチラベルH1、または、H2を貼着できるものであれば、あらゆる材料、すなわち、プラスチック材料、金属材料、セラミック材料、生体材料、それらの複合材料、さらには、それらを多層構造としたり、さらに複雑に組み合わせたりしたものなどを用いることができる。
その形状も、あらゆる形状、すなわち、シート状、フィルム状、板状、立方体状、直方体状、カード形状(磁気カード、ICカード、非接触ICカード、ポストカード、グリーティングカード、名刺、ポイントカード、ライセンスカード、遊戯用カード等の形形状)、はがき形状、リーフ形状、帳票形状、伝票形状、Sメール形状、ラベル形状、シール形状、証券類形状、通帳形状、パスポート形状、郵便物形状、配送物形状、封筒状、袋状、箱状、ケース状、円盤状、ディスク状、楕円体状、球体状、曲面形状、棒状、及びこれらの組み合わせや、これらに変形、切断、穴あけ、接着等の加工処理を施したものなどを採用することができる。さらには、電子端末や、携帯用端末等、あらゆる工業製品やあらゆる商品をもシート基材S1として採用することができる。
赤外線照射に対しては、さらに赤外線吸収剤等を、紫外線照射に対しては、さらに紫外線吸収剤等を、X線照射に対しては、金属板の中でも鉛材料等を、電子線等の粒子線照射に対しては、それらの粒子線を吸収する素材を混在させることで、その効果を増すことができる。
その中でも、その「汎用性」(加工汎用性を含む。この「加工汎用性」とは、カード基材を積層体とする等の製造ラインや製造条件が確立していることを意味する。)から、「JIS規格やISO規格で定められている『プリペイドカード』として用いられているカード基材及び形状」が望ましい。
具体的には、50μm〜1000μmの厚さの乳白ポリエチレンテレフタレートが好適である。
この識別手段としては、目視識別、携帯カメラ認識やバーコード認識等の光学的識別、機械識別、その他の物理的識別手段等をいう。
これらの「秘密情報」S2をスクラッチシートSS1のシート基材S1上に設ける方法としては、可変情報を形成する方式として、感熱溶融転写方式、昇華転写方式、光学的もしくは物理的直接描画方式、電子写真方式及び、インクジェット方式等があり、固定情報を形成する方式としては、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、活版印刷方式、凹版印刷方式、スクリーン印刷方式等がある。(図3〜図5参照。)
もちろん、電子端末のディスプレー上に「秘密情報」S2を表示するものであってもよい。
感熱発色材料としては、発色剤、顕色剤、及び、増感剤からなる系を用いることができ、発色剤としては、ベンゾイルロイコメチレンブルー、クリスタルバイオレットラクトン等のフタリド化合物等、顕色剤としては、4−4´ビフェノール、1−ナフトール等の酸など、さらに、増感剤としては、4−ベンジルビフェニル、フルオレン等を用いる。
(スクラッチ隠蔽層、及び地紋印刷)
本発明のスクラッチラベルH1、または、H2のスクラッチ隠蔽層1に用いるインキ組成物としては、熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂を用いることができる。
また、熱硬化性樹脂としては、シリコン樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、エポキシ樹脂や、不飽和ポリエステル樹脂等をあげることができ、シリコン樹脂として、シリコンゴム(シロキサン結合が5000〜10000の直鎖構造分子。)や、ケイ素樹脂、ゴム系天然樹脂として、天然ゴム、塩酸ゴム、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等を用いることができる。
さらに、スクラッチ隠蔽層1用インキ組成物として、金属ペースト、樹脂材料及び助剤を、水と低級アルコールに分散せしめて水性エマルジョンインキとしたものも使用でき、特に、体積ホログラム形成層2の上にスクラッチ隠蔽層1を設ける際に、その体積ホログラム形成層2の表面に不要な変形や変質を与えないため好適である。
もちろん、スクラッチラベルH1、または、H2を形成した後の、そのスクラッチ隠蔽層1上に改めて、同様の印刷方式を用いて地紋印刷5を設けてもよい。
また、本発明のスクラッチラベルH1、または、H2において、スクラッチ隠蔽層1の体積ホログラム形成層2から「はみ出す部分」がある場合には(図示せず。はみ出した部分は、スクラッチ隠蔽層1と粘着層3の2層のみの構成となる。)、その「はみ出す部分」については、特にスクラッチオフ適正を持たせる必要がないため、シート基材S1の上に強固に粘着させて、スクラッチ隠蔽層1のスクラッチオフの際に、シート基材S1上に残る部分として設計してよい。
(体積ホログラム形成層、及び黒色層)
適宜な剥離性フィルム上に設けた、または、適宜な剥離性フィルム上に設けてある地紋印刷5の上に設けた、スクラッチ隠蔽層1のその全面、もしくは、その一部に、体積ホログラム形成層2を設ける。(図1、または、図2参照。図1、または、図2には、スクラッチ隠蔽層1の全面に、体積ホログラム形成層2を設けた例を図示している。適宜な剥離性フィルムは図示していない。)
さらには、体積ホログラム形成層2の「断面」を「光学的な鏡面」とするため、体積ホログラム形成層2を、レーザー切断等の方法により、所定のサイズに切断し、その切断面(『断面』)を「光学的な鏡面」として仕上げることも好適である。(手順は図示せず。)
さらには、体積ホログラム形成層2への「所定の入射光」や、体積ホログラム形成層2からの「所定の出射光」を、スクラッチ隠蔽層1の表面が成す「平面」に平行に進む「光」(結果として、『断面』にほぼ垂直に『入射』及び『出射』する『光』となる。)ではなく、その表面(その「平面」)に対して仰角±10度〜±60度の入射角、もしくは、仰角±10度〜±60度の出射角とするため、体積ホログラム形成層2の「断面」から内側に1mm〜10mmの領域に、所定の「ホログラム『反射鏡』」を多重記録する。(体積ホログラム用の記録材料に対して、互いに所定の角度を成す「コヒーレントな平行光」どおしの干渉縞を記録すると、その体積ホログラムは、入射光を鏡のように反射する『反射鏡』となる。この『反射鏡』を用いて、仰角±10度とするためには、スクラッチ隠蔽層1の表面(その「平面」)に対して±5度の斜面となる『反射鏡』を記録し、仰角±60度とするためには、スクラッチ隠蔽層1の表面(その「平面」)に対して±30度の斜面となる『反射鏡』を記録することを意味する。)
本発明のスクラッチラベルH1、または、H2の体積ホログラム形成層2には、各種の透明な材料又は、透明なフィルムが用いられる。
以下に、その方法を説明する。
また反射型ホログラムの場合には、参照光を用いずとも、その波長選択性により、所定の波長でのみ再生された「物体」の像、すなわち反射型ホログラム再生像を視認することができる。この場合の「再生角度」も同様である。
ホログラムとしては、レーザー再生ホログラム、白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィックステレオグラム、ホログラフィック回折格子、複合回折格子で構成されるホログラムなどを、適宜、記録することができる。また、マシンリーダブルホログラムのように、その再生光を受光部でデータに変換し、「秘密情報」S2として、もしくは、「秘密情報」S2の一部構成情報として伝達したり、真偽判定を行うものであってもよい。(図示せず。)
体積ホログラムは、「上記のようにして記録した体積ホログラム形成層2(単独の層。)」上に、「まだ体積ホログラムを記録していない体積ホログラム形成層2と、スクラッチ隠蔽層1、さらには、適宜な剥離性フィルムの積層体」のその体積ホログラム形成層2面上に、「単独の層である記録済み体積ホログラム形成層2」を密着させて重ねたものに(インデックスマッチング液等をその間に挿入してもよい。)、その「記録済み体積ホログラム形成層2」側から、適宜なレーザー光を照射する方法により、大量に複製することができる。(図示せず。)
本発明のスクラッチラベルH2の体積ホログラム形成層2の背面に、すなわち、体積ホログラム形成層2と粘着層3の間(「秘密情報」S2形成部に対応する位置を除く。逆に、本発明のスクラッチラベルH2を、シート基材S1上に貼着する際には、この『黒色層4を設けていない位置』に、そのシート基材S1上の「秘密情報」S2を併せるように貼着する必要がある。)の所定の位置に、黒色層4を設ける。(図2参照。図2においては、便宜的に、黒色層4を体積ホログラム形成層2の全面に設けた図を示している。)
ここで、黒色層4は、部分的、且つ、離散的に複数形成してもよい。そして、この黒色層4のパターンによって、何らかのデザインを表すものとしてもよい。(図示せず。)
黒色層4は、微粒子カーボンブラックや、超微粒子カーボンブラック、その他の炭素系黒色顔料や酸化物系黒色顔料の微粒子や超微粒子、さらには、含金属黒色染料(金属錯塩染料)等を、含有率で20〜70質量%として、透明樹脂、例えば、熱可塑性樹脂としてはアクリル酸エステル樹脂、アクリルアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、もしくはポリスチレン樹脂等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、もしくはフェノール樹脂等に2次凝集を少なくするように、ガラスビーズやスチールビーズを用いたボールミル、ニーダー、ロールミル等による混練りを十分行い、溶剤等で粘度調整をして、グラビア方式、オフセット方式、シルクスクリーン方式、カーテンコート方式、ノズルコート方式、インクジェット方式さらには、フレキソ印刷方式を適宜用いて均一な厚さに形成することができる。(図示せず。)
この場合、体積ホログラム形成層2との密着性の高いものを選定する。
また、スクラッチ隠蔽層1、及び/または、体積ホログラム形成層2の上に、さらには、黒色層4の上に、この地紋印刷5以外の通常デザイン(主要なデザイン模様等)の印刷を施し、その意匠性を高めることができることは言うまでもない。
そして、この地紋印刷5を、スクラッチ隠蔽層1上、及び、スクラッチ隠蔽層1と体積ホログラム形成層2との間、の両方に設け、且つ、そのデザイン及び、形成位置をスクラッチ隠蔽層1の上下で、位置を異ならせたり、同一としたりすることも、その意外性や偽造防止性を高めるため好適である。(図示せず。)
(粘着層)
本発明のスクラッチラベルH1、または、H2において、体積ホログラム形成層2の上に、または、黒色層4の上に、粘着層3を設ける。(図1、または、図2参照。)
ここで、粘着層3としては、従来公知の溶剤系及び水系のいずれの接着剤、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂や、天然ゴム、クロロプレンゴムなどのゴム系樹脂などが挙げられる。自然にやさしい材料構成とするために、特に、天然ゴムを主成分とするラテックス、それを変性したもの、特に天然ゴムにスチレン特にメタクリルさんメチルとをグラフト重合させて得た天然ゴムラテックス等の天然素材から作製されたものを用いても良い。
粘着層3の粘着力は、体積ホログラム形成層2、もしくは、黒色層4と粘着層3との界面の剥離強度として、JIS Z0237準拠の180°による剥離方法において、1.0〜3.0kg/25mm巾の範囲にすることが望ましい。もちろん、それ以上の剥離強度を有していても、本発明の目的には適合している。
この場合、粘着層3である「高屈折率樹脂層」の屈折率を、体積ホログラム形成層2の屈折率よりも、0.3以上、大きくなるように設計する。さらには、その屈折率差が0.5〜1.0となるようにするとより好適である。
このとき、シート基材S1上の所定の位置に、「秘密情報」S2として、連続数字1〜8が印字されており(図4参照。図4には、その所定の位置を示す枠が便宜上表示されている。)、その「秘密情報」S2を覆うように、粘着層3、体積ホログラム形成層2、もしくは、黒色層4と体積ホログラム形成層2、及び、スクラッチ隠蔽層1からなる、本発明のスクラッチラベルH1、または、H2が貼着している。
いずれの場合も、目視では、スクラッチ隠蔽層1で覆われた「秘密情報」S2、さらには、体積ホログラム形成層2を、視認することはできず、これらの層を、爪等で破断なくきれいに剥がすことは、到底、不可能であると思われたが、体積ホログラムの「露出している断面の内、一方の断面」に、「所定の入射光」を入射させ、その「断面」の対向面にある、「露出している断面の内、他方の断面」から出射する第一出射光を観察したところ、体積ホログラム形成層2による「第一の体積ホログラム再生像」を視認することができ、また、その「断面」に直交する位置にある「露出している断面の内、第三の断面」から出射する第二出射光を観察したところ、体積ホログラム形成層2による「第二の体積ホログラム再生像」をも視認することができた。
(実施例1)
スクラッチシートSS1用のシート基材S1として、厚さ188μmの乳白ポリエチレンテレフタレートシート(カードサイズ)に、所定のデザインをオフセット印刷にて施し、インクジェットプリンターにて、シート基材S1の所定の領域に、「秘密情報」S2として、「12345678」の番号(各「数字」文字の高さ4mm、幅2mm、文字間隔1mm。)を印字した。(図4参照。)
これとは別に、表面をフッ素樹脂にて離形処理し、且つ、粗面化処理を施した38μm厚さの透明ポリエチレンテレフタレートシート(表面粗さを3μm〜10μmとした「剥離性フィルム」。)上に、下記組成のスクラッチ隠蔽層1用インキ組成物を、ステンレススクリーン印刷方式にて形成し、乾燥後の厚さとして、スクラッチ隠蔽層1を30μmの厚さで形成した。(図1参照。「剥離性フィルム」は図示せず。)
<スクラッチ隠蔽層1用インキ組成物>
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体 20部
アクリル樹脂 5部
顔料ノンリーフィングアルミペースト アルミニウム微粉末 40部
顔料リーフィングアルミペースト アルミニウム微粉末 10部
イソシアネート系硬化剤 1部
トルエン 10部
酢酸エチル 5部
エチルセルソルブ 9部
次いで、このスクラッチ隠蔽層1上に、表面平滑性の比較的高い(平均表面粗さRaが0.5μm。)ステンレス金属ロール板を用いて、100℃の加熱、100kg/cmの線圧にてカレンダー処理を施して、スクラッチ隠蔽層1の表面を平滑とした。(図1参照。「剥離性フィルム」は図示せず。)
ここで、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフイルム上に、膜厚100μmのフォトポリマー(「体積ホログラム形成層2」となる層。)が積層され、その上に保護フィルムとして、厚さ50μmポリエチレンテレフタレートフイルムが積層されたフォトポリマー(デュポン社製「HRF705」のフォトポリマー層を貼り合わせて所定の厚さとしたもの。)を用い、この積層フィルムを、縦30mm×横50mmのサイズに、その表面が滑らかな表面仕上げを施してあるステンレス製の断裁刃(刃先形状を『片刃形状』としたもの。)を用いて、丁寧にカッティングし、その4つの「断面」を滑らかな面(平面)とした。
次いで、クリプトンレーザー(発光波長647nm)を光源とし、所定の透過型ホログラム撮影光学系(図示せず。)を用いて、縦10mm×横10mmの「真」と「正」の文字(文字太さ1.0mm。)を、5mmの間を開けて配置した「透過原稿」(この『透過原稿』の背後から、平行光をあてて透過させることにより、『縦10mm×横25mm』の広がりを持つ『物体1』とする。)を、透過型体積ホログラムとして、以下の手順により、体積ホログラム形成層2に、「第一の体積ホログラム(対向断面体積ホログラム)」を記録した。(記録する状況は図示せず。)
すなわち、露光強度2.0mWにて、「縦10mm×横25mm」のサイズの広がりを持つ「物体1の物体光1」を、「縦15mm×横30mmの大きさを有し、焦点距離500mmの半円柱型シリンドリカルレンズ」を通して、その「物体1の物体光1」の広がりを、縦0.1mm×横30mmのサイズまで圧縮し(縦方向の圧縮となる。この『物体1の物体光1』はこの圧縮により強まるため、光路中に拡大光学系を挿入して、その強度を弱め、調整した。)、縦100μm×横30mmの長方形の形状をした「体積ホログラム形成層2」の「露出している断面の内、他方の断面SEC2」へほぼ垂直に入射させ、この「物体1の物体光」と、同一方向に進み、且つ、その「露出している断面の内、他方の断面SEC2」、及び、「その断面に対向している『露出している断面の内、一方の断面SEC1』」のいずれにも垂直に進む「平行光」を「参照光1」として、その「物体1の物体光1」と、その「参照光1」を、30mJ/cm2の露光量となるように照射し、その「体積ホログラム形成層2」の中で干渉させ、「第一の体積ホログラム(断面体積ホログラム)」を記録した。(記録する状況は図示せず。)
さらに、同様のクリプトンレーザー(発光波長647nm)を光源とし、同様の所定の透過型ホログラム撮影光学系(図示せず。)を用いて、縦10mm×横10mmの「本」と「物」の文字(文字太さ1.0mm。)を、5mmの間を開けて配置した「透過原稿」(この『透過原稿』の背後から、平行光をあてて透過させることにより、『縦10mm×横25mm』の広がりを持つ『物体2』とする。)を、透過型体積ホログラムとして、以下の手順により、体積ホログラム形成層2に、「第二の体積ホログラム(直交断面体積ホログラム)」を記録した。(記録する状況は図示せず。)
すなわち、露光強度2.0mWにて、「縦10mm×横25mm」のサイズの広がりを持つ「物体2の物体光2」を、「縦15mm×横50mmの大きさを有し、焦点距離500mmの半円柱型シリンドリカルレンズ」を通して、その「物体2の物体光2」の広がりを、縦0.1mm×横50mmのサイズまで圧縮し(縦方向の圧縮となる。この『物体2の物体光2』はこの圧縮により強まるため、光路中に拡大光学系を挿入して、その強度を弱め、調整した。)、縦100μm×横50mmの長方形の形状をした「体積ホログラム形成層2」の「露出している断面の内、第三の断面SEC3」へほぼ垂直に入射させ、上記と同様の「平行光」を「参照光2」として(この『参照光2』の進行方向と、『物体2の物体光2』の進行方向は、『直交』している。)、その「物体2の物体光2」と、その「参照光2」を、40mJ/cm2の露光量となるように照射し、その「体積ホログラム形成層2」の中で干渉させ、「第二の体積ホログラム(直交断面体積ホログラム)」を記録した。(記録する状況は図示せず。)
その後、高圧水銀灯を用いて、500mJ/cm2の紫外線を照射し、更に120℃で120分間加熱処理し、上記保護フィルムを剥離して、「2つの『透過原稿』が記録された体積ホログラム形成層2が積層されている、厚さが200μmで、サイズが30mm×50mmのシート」を作製した。このときの回折効率は、第一の体積ホログラムとして、25%、第二の体積ホログラムとして、20%とした。
そして、その積層体1の体積ホログラム形成層2の上に、下記組成の粘着層3用粘着剤組成物をステンレススクリーン印刷方式にて、形成し、乾燥後の厚さとして、粘着層3を30μmの厚さで形成した。(図1参照。剥離性フィルムは図示せず。)
この際、この粘着層3が、体積ホログラム形成層2の断面に回り込んで付着しないように配慮した。
<粘着層3用粘着剤組成物>
酢酸ビニル−アクリル共重合体 30質量部
イソホロンジイソシアネート 0.1質量部
トルエン 10質量部
イソプロピルアルコール 20質量部
酢酸ビニル 30質量部
エチルセルソルブ 10質量部
この「剥離性フィルム、スクラッチ隠蔽層1、体積ホログラム形成層2、及び粘着層3」の積層体2の「剥離性フィルム及びスクラッチ隠蔽層1」を、体積ホログラム形成層2のサイズに合わせ、体積ホログラム形成層2の断面に傷がつかないように配慮して縦30mm×横50mmのサイズにカットし、その後、剥離性フィルムを剥離して、本発明の実施例1のスクラッチラベルH1を得た。(図1参照。)
このスクラッチラベルH1を、最初に準備してあった、スクラッチシートSS1用のシート基材S1の上の所定の位置に(図4の枠の位置。)、そのシート基材S1の上に印字してある「秘密情報」S2形成部を覆うように、貼着して、スクラッチシートSS1とした。(図3参照。図3において、「H1、H2」は、「H1」と、そして、「2〜3、4」は、「2〜3」となる。)
このスクラッチシートSS1を観察したところ、シート基材S1上にて、「銀色のラベル」を観察できるのみであり、その下、及び、その中に形成されている、「秘密情報」S2や、ホログラムの存在を窺い知ることはできなかった。(図1及び図3参照。『体積ホログラム形成層2』の『露出している断面の内、一方の断面SEC1、他方の断面SEC2及び、第三の断面SEC3』は、注意深く観察すると視認できたが、『それらの断面』から、『何らかの体積ホログラム』の存在を認識することは出来なかった。)
次いで、このスクラッチシートSS1の、シート基材S1の表面から突出している「銀色の印刷層」部分の「露出している断面の内、一方の断面SEC1、他方の断面SEC2及び、第三の断面SEC3」(『縦30mm×横50mmの長方形の縦30mmの一辺』及び、『縦30mm×横50mmの長方形の横50mmの一辺』と、『厚さ100μmの一辺』により形作られる『長方形』で表される断面となっている。)の内、「『体積ホログラム形成層2』の露出している断面の内、一方の断面SEC1」に垂直に、記録時の「参照光1」と同様の平行光であって、その「進行方向が逆」の「所定の入射光」を入射させると、「『体積ホログラム形成層2』の露出している断面の内、他方の断面SEC2」から、「第一出射光」が出射され、その「第一出射光」から「第一の体積ホログラム」による、「第一の体積ホログラム再生像」(物体1:「真」及び「正」の文字からなる「透過原稿」)が再生され、同時に、「『体積ホログラム形成層2』の露出している断面の内、第三の断面SEC3」から、「第二出射光」が出射され、その「第二出射光」から「第二の体積ホログラム」による、「第二の体積ホログラム再生像」(物体2:「本」及び「物」の文字からなる「透過原稿」)が再生されて、それぞれ視認することが出来た。(ホログラム再生像が再生されている状況は図示せず。)
次いで、このスクラッチシートSS1の上の「銀色のラベル」をコインで引っ掻くと、スクラッチ隠蔽層1が部分的に削れ、その削れた部分から、「秘密情報」S2の一部を視認でき、この「銀色のラベル」、すなわち、本発明の実施例1のスクラッチラベルH1、さらには、このスクラッチラベルH1を貼着したスクラッチシートSS1を偽造することは、困難と思われた。(図示せず。)
(実施例2)
実施例1と同様に、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフイルム上に、膜厚100μmのフォトポリマー(「体積ホログラム形成層2」となる層。)が積層され、その上に保護フィルムとして、厚さ50μmポリエチレンテレフタレートフイルムが積層されたフォトポリマー(デュポン社製「HRF705」を貼り合わせて形成したもの。)を用いる。
次いで、縦10mm×横10mmの「真」と「正」の文字(文字太さ1.0mm。)を、5mmの間を開けて配置した「透過原稿」(この『透過原稿』の背後から、平行光をあてて透過させることにより、『縦10mm×横25mm』の広がりを持つ『物体1』とする。)を透過型体積ホログラムとして、以下の手順により、体積ホログラム形成層2に、「第一の体積ホログラム(対向断面体積ホログラム)」を上記のホログラム記録に重ねて記録した。(『第三の体積ホログラム』と『第一の体積ホログラム(対向断面体積ホログラム)』を多重記録するという意味。記録する状況は図示せず。)
すなわち、「縦10mm×横25mm」のサイズの広がりを持つ「物体1の物体光1」を、「『底面』形状が、縦15mm×横30mmであって、焦点距離500mmの半円柱型シリンドリカルレンズ」を通して、その「物体1の物体光1」の広がりを、縦0.1mm×横30mmのサイズまで圧縮(縦方向の圧縮となる。)し、縦100μm×横30mmの長方形の形状をした「体積ホログラム形成層2」の「露出している断面の内、他方の断面SEC2」へほぼ垂直に入射させ、この「物体1の物体光1」と、同一方向に進み、且つ、その「露出している断面の内、他方の断面SEC2」、及び、「その断面に対向している『露出している断面の内、一方の断面SEC1』」のいずれにも垂直に進む「平行光」を「参照光1」として、その「物体1の物体光1」と、その「参照光1」を、その「体積ホログラム形成層2」の中で干渉させ、「第一の体積ホログラム(対向断面体積ホログラム)」を記録した。(記録する状況は図示せず。)
さらに、縦10mm×横10mmの「本」と「物」の文字(文字太さ1.0mm。)を、5mmの間を開けて配置した「透過原稿」(この『透過原稿』の背後から、平行光をあてて透過させることにより、『縦10mm×横25mm』の広がりを持つ『物体2』とする。)を、透過型体積ホログラムとして、以下の手順により、体積ホログラム形成層2に、「第二の体積ホログラム(直交断面体積ホログラム)」を、上記のホログラム記録及び「第一の体積ホログラム(対向断面体積ホログラム」記録に重ねて記録した。(『第三の体積ホログラム』、『第一の体積ホログラム(対向断面体積ホログラム)』、及び、『第二の体積ホログラム(直交断面体積ホログラム)』を多重記録するという意味。記録する状況は図示せず。)
その後、多重記録した三つの「体積ホログラム」に対して、高圧水銀灯を用いて、500mJ/cm2の紫外線を照射し、更に120℃で120分間加熱処理し、上記保護フィルムを剥離して、「『絵画モチーフ』及び、2つの『透過原稿』が多重記録された体積ホログラム形成層2が積層されている、厚さが200μmで、サイズが30mm×50mmのシート」を作製した。このときの回折効率は、第三の体積ホログラム、第一の体積ホログラム及び、第二の体積ホログラムにつき、それぞれ、20%、20%、及び、15%とした。
このスクラッチラベルH1を、同様に準備してあった、スクラッチシートSS1用のシート基材S1の上の所定の位置に(図4の枠の位置。)、そのシート基材S1の上に印字してある「秘密情報」S2形成部を覆うように、貼着して、スクラッチシートSS1とした。(図3参照。図3において、「H1、H2」は、「H1」と、そして、「2〜3、4」は、「2〜3」となる。)
このスクラッチシートSS1を実施例1と同様に観察したところ、このスクラッチシートSS1の上の「銀色のラベル」をコインで引っ掻いた際、スクラッチ隠蔽層1が部分的に削れ、その削れた部分から、「秘密情報」S2の一部を視認でき、同時に、体積ホログラム形成層2による、「第三の体積ホログラム再生像」(反射型体積ホログラム再生像『絵画モチーフ』)が出現して、この「銀色のラベル」、すなわち、本発明の実施例2のスクラッチラベルH1、さらには、このスクラッチラベルH1を貼着したスクラッチシートSS1を偽造することは、非常に困難と思われたこと(図示せず。)以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。
実施例2において、適宜な剥離性フィルム(厚さ38μの表面離型処理ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に、一旦、スクラッチ隠蔽層1を形成し、その露出面と、その剥離性フィルムを、厚さ3mmのステンレス板2枚(その表面に適宜な樹脂コートを施して、平均表面粗さRaで、0.1μmとし、「光学的な鏡面」に仕上げたもの。)の間に挟み込み、その両側から、200℃、109Paでの加熱及び加圧をする平板プレス処理を施して、スクラッチ隠蔽層1の露出面を「光学的な鏡面」とし、この露出面を、実施例2と同様にして、体積ホログラム形成層2の表面に接するようにラミネートし、粘着層3を設けて、その「適宜な剥離性フィルム」を剥離し、同様にカットして、スクラッチ隠蔽層1、体積ホログラム形成層2、及び粘着層3からなる、本発明の実施例3のスクラッチラベルH1を得た。
そして、このスクラッチラベルH1を、実施例2と同様にして準備したスクラッチシートSS1用のシート基材S1の上の所定の位置に、そのシート基材S1の上に印字してある「秘密情報」S2形成部を覆うように、貼着して、スクラッチシートSS1とした。(図3参照。)
このスクラッチシートSS1を、実施例2と同様に評価したところ、体積ホログラム形成層2による「第三の体積ホログラム」(反射型体積ホログラム再生像『絵画モチーフ』)がより鮮明に観察でき(図示せず。)、本発明の実施例3のスクラッチラベルH1、さらには、スクラッチラベルH1を貼着したスクラッチシートSS1を偽造することは、より困難と思われたこと以外は、実施例2と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
(実施例4)
実施例1のスクラッチ隠蔽層1の体積ホログラム形成層2と接している面とは反対の面(スクラッチ隠蔽層1の露出している面)上に、昇華転写プリンターにて幾何学模様からなる黄色の地紋印刷5を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の実施例4のスクラッチラベルH1、及び、そのスクラッチラベルH1を貼着した実施例4のスクラッチシートSS1を得た。(図1及び図3〜図5参照。図1及び図3において、地紋印刷5は図示していない。図3において、「秘密情報」S2を覆う層は、「『2〜3、4』と『1』」でなく、「『2〜3』と『1、5』」となる。)このとき、昇華転写プリンターの印字部分、すなわち、地紋印刷5の部分はスクラッチ隠蔽層1に浸透しており、スクラッチ隠蔽層1の最表面と、地紋印刷5の表面は同一面を形成している。
(実施例5)
実施例2において、黒色層4として、下記組成の黒色層4用インキ組成物を用いて、体積ホログラム形成層2上に、スクリーン印刷方式を用いて、乾燥後の厚さ10μmでその全面に形成し(但し、シート基材S1に貼着する際に、「秘密情報」S2形成部の位置に当たる領域は、除いて形成した。すなわち、各「数字」文字のサイズ「高さ4mm、幅2mm」とその「位置間隔」に合わせた「開口部」を設けた。)、さらに、その上に、粘着層3を実施例2と同様にして設け、「スクラッチ隠蔽層1、体積ホログラム形成層2、黒色層4(一部「開口部」あり。)、及び粘着層3」の積層体3を形成して、本発明の実施例5のスクラッチラベルH2を作製したこと、及び、そのスクラッチラベルH2を、シート基材S1に貼着する際に、「秘密情報」S2形成部の各「数字」文字の位置と、黒色層4の「開口部」の位置が、同一となるように、位置合わせして、実施例5のスクラッチシートSS1を作製したこと以外は、実施例2と同様にして、本発明の実施例5のスクラッチラベルH2、及び、そのスクラッチラベルH2を貼着したスクラッチシートSS1を得た。(図2、及び、図3参照。図3において、「H1、H2」は、「H2」となる。)
<黒色層4用インキ組成物>
ウレタン樹脂 25部
カーボンブラック 20部
トルエン 15部
イソプロピルアルコール 15部
ブチルセルソルブ 25部
この実施例5のスクラッチラベルH2、及び、スクラッチシートSS1を、実施例2と同様に評価したところ、体積ホログラム形成層2による「第三の体積ホログラム」(反射型体積ホログラム再生像『絵画モチーフ』)が非常に鮮明に観察でき、本発明の実施例5のスクラッチラベルH2、及び、このスクラッチラベルH2を貼着したスクラッチシートSS1を偽造することは、非常に困難と思われたこと以外は実施例2と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
(実施例6)
実施例1において、下記組成のスクラッチ隠蔽層1用インキ組成物を用いて、同様の方式、同様の厚さで、スクラッチ隠蔽層1を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6のスクラッチラベルH1、及び、そのスクラッチラベルH1を貼着したスクラッチシートSS1を得た。(図1及び図3参照。図3において、「H1、H2」は、「H1」と、そして、「2〜3、4」は、「2〜3」となる。)
<スクラッチ隠蔽層1用インキ組成物>
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体 20部
アクリル樹脂 5部
顔料アルミペースト アルミニウム微粉末(平均粒径8μm) 30部
微粒子酸化ジルコニウム(平均粒径:0.01μm) 20部
シリコーンオイル 5部
トルエン 10部
酢酸エチル 5部
エチルセルソルブ 5部
このスクラッチラベルH1、及び、スクラッチシートSS1を、実施例1と同様に評価し、さらに、その「銀色のラベル」を不正に剥がす試みとして、シート基材S1を90度近く湾曲させたところ、スクラッチ隠蔽層1のスクラッチオフしていない部分に「剥離痕」状のシワが発生し、そのシワがシート基材S1を再び平らな状態に戻しても消えず(さらに、シワが発生した部分に、一部、裂け目まで発生。)、固定化してしまったことから、本発明の実施例6のスクラッチラベルH1、及び、このスクラッチラベルH1を貼着したスクラッチシートSS1の偽造が、非常に困難であると思われたこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
(比較例)
実施例1において、体積ホログラム形成層2を設けず、スクラッチラベル、及び、スクラッチシートを形成したこと以外は、実施例1と同様にして比較例のスクラッチラベル、及び、スクラッチシートを得た。
SS1 スクラッチシート
S1 シート基材
S2 「秘密情報」
1 スクラッチ隠蔽層
2 体積ホログラム形成層
SEC1 露出している断面の内、一方の断面
SEC2 露出している断面の内、他方の断面
SEC3 露出している断面の内、第三の断面
3 粘着層
4 黒色層
5 地紋印刷
Claims (5)
- シート基材上に設けられた秘密情報を隠蔽するスクラッチラベルであって、
スクラッチ隠蔽層、体積ホログラム形成層、及び粘着層がこの順序で構成され、
前記体積ホログラム形成層の露出している断面の内、一方の断面に入射した所定の入射光により、前記所定の入射光に基づく第一の体積ホログラム再生像が再生されるとともに、前記体積ホログラム形成層の露出している断面の内、前記一方の断面に対向する、他方の断面から出射された第一出射光から、前記第一の体積ホログラム再生像を視認することができ、且つ、
前記体積ホログラム形成層の露出している断面の内、前記一方の断面に入射した前記所定の入射光により、前記所定の入射光に基づく第二の体積ホログラム再生像が再生されるとともに、前記体積ホログラム形成層の露出している断面の内、前記一方の断面に直交する、第三の断面から出射された第二出射光から、前記第二の体積ホログラム再生像を視認することができ、さらに、
前記スクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去することにより、前記秘密情報が視認可能となることを特徴とするスクラッチラベル。
- 請求項1のスクラッチラベルにおいて、
前記スクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去することにより、前記秘密情報及び、前記体積ホログラム形成層から再生される第三の体積ホログラム再生像が視認可能となることを特徴とするスクラッチラベル。
- 請求項1または2に記載のスクラッチラベルにおいて、
前記スクラッチ隠蔽層と前記体積ホログラム形成層との界面が、「光学的な鏡面」であることを特徴とするスクラッチラベル。
- 請求項1から3の何れかに記載のスクラッチラベルにおいて、前記スクラッチ隠蔽層の前記体積ホログラム形成層が形成されている面とは反対の面に、地紋印刷が施されていることを特徴とするスクラッチラベル。
- 請求項1から4の何れかに記載のスクラッチラベルにおいて、前記スクラッチ隠蔽層が、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料及び、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料を含んでいることを特徴とするスクラッチラベル。
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