JP2016071080A - スクラッチラベル - Google Patents

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Abstract

【課題】スクラッチラベルH1、または、H2等において、秘密情報を秘匿する手段はスクラッチ隠蔽層のみであって、不正者が容易にその偽造品を作製したり、覗き見できるという問題を有していた。また、その偽造を防止するため、最上層にホログラム層を設けたスクラッチラベルH1、または、H2等も開発されたが、第三者がそのホログラム層を視認できるため、不正者が容易に類似の光学的効果を持つスクラッチラベルH1、または、H2等を偽造できるという問題があった。
【解決手段】ホログラム層をスクラッチ隠蔽層で隠蔽することで、「秘密情報」のみならず、ホログラム再生像の発現をも秘匿して、スクラッチ隠蔽層をスクラッチして初めて、秘密情報、及び、ホログラム再生像を視認できる、偽造防止効果の高いスクラッチラベルH1、または、H2等を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、シート基材上の秘密情報表示部を隠蔽するためのスクラッチ隠蔽層及びホログラム層が設けられたスクラッチラベルであって、シート基材上の秘密情報表示部を覆うようにスクラッチラベルを貼着することで、その秘密情報を隠蔽することができ、そのスクラッチ隠蔽層をスクラッチにより削り取ると、その秘密情報を視認できるようになるスクラッチラベルに関する。
さらには、そのシート基材上にホログラム層とスクラッチ隠蔽層を設けた積層体を、一つの「三層積層体」と見做すと、その「ホログラム層」は、「シート基材」と「スクラッチ隠蔽層」とによって挟まれた状態(いわゆる「サンドイッチ」状態を意味する。)となっている。
より詳しくは、その「ホログラム層」の上面と下面は、それぞれ、「スクラッチ隠蔽層」と「シート基材」で覆われている状態(隠蔽されている状態。)となっており、「ホログラム層」の端部に位置する「四方」の「露出している断面」は、「露出している状態」となっている。(この『四方の露出している断面』とは、いわゆる、『四方の切断面』を意味し、それぞれ、『露出している断面』、さらには、単なる『断面』とも表現する。また、この『ホログラム層』を一つの『直方体』と見做せば、その『直方体』を構成する『6つの面』、すなわち、『上面と下面、及び、4つの側面』のうち、この『4つの側面』が、その『四方の露出している断面』に相当する。)
本来、「ある一つの層」の端部に位置する「面」は、「端面」と定義すべき(すなわち、上下面と、4つの端面とすべき。)であるが、本発明のスクラッチカードにおいては、「切り立った面」という意味合いから、「断面」という語を使用する。従って、以下の説明における「断面」は、「端面」を含む。逆に、一般に用いられる「ある物体の『断面』」などと表現される「物体内部の形状を示す『語』としての『断面』」は、これに含まれない。
本発明のスクラッチラベルにおいては、このホログラム層の4つの「露出している断面」の内、少なくとも、その「一方の断面」から、「所定の入射光」が「入射」し、その「所定の入射光」が、その「ホログラム層」の中を通って、その「ホログラム層」に記録してある「第一のホログラム」によって「回折」され(より詳しくは、『ホログラム層の一方の断面、もしくは、他方の断面、または、その両方の断面に設けられた、第一のホログラムレリーフ』を通過する際に、『回折』される。)、その「ホログラム層」による「第一のホログラム再生像」を再生する「光」となり、(『ホログラム層』の上面や下面で反射されつつ伝搬することを含む。)、「ホログラム層」の「露出している断面」の内、「他方の断面」から出射する「出射光」となって、この「出射光」を観察する者に、その第一のホログラム再生像を視認させることとなる。
従って、その4つの「断面」のうち、少なくとも2つの「断面」が、「露出」しておれば十分であって、他の2つの「断面」は、「スクラッチ隠蔽層」で覆われていても良い。
さらには、その4つの「断面」のうち、ただ1つの「断面」のみ「露出」させ、その「断面」に所定の入射光を入射させ、且つ、その「断面」から上記の出射光を出射させることとすることも可能である。(この場合には、『ホログラム層』の『他方の断面』が、『反射面』となるか、『他方の断面』に『反射層』を設けることとなる。もちろん、『一方の断面』が『反射面』となるか、『一方の断面』に『反射層』を設けてもよい。)
これに対して、「ホログラム層」の上面(スクラッチ隠蔽層のスクラッチにより、露出したホログラム層の表面を意味する。)に照明光を照射することにより、その「上面」より「第二のホログラム再生像」が再生されることとなる、「第二のホログラム」が、その「ホログラム層」に記録されている。(『上面』より入射した照明光が、その『下面』に設けられている『第二のホログラムレリーフ』で反射して、再び、『上面』より出射され、『第二のホログラム再生像』を出現することを意味する。もちろん、『上面』、もしくは、『下面』、または、その『両面』に『第二のホログラムレリーフ』を設けても良く、そのいずれにも、『反射層』を設けて良い。)
この「第一のホログラム」と「第二のホログラム」は、光学的な視点より、「互いに直交している」ということができ、それらを同時に再生する場合において、それぞれの再生像に対する、「互いの像の鮮明性を低下させ」たり、「互いの像を歪ませる」などの悪影響は比較的小さくすることができる。
本発明において、「シート基材」とは、秘密情報表示部を設けられたプリペイドカードそのもの、もしくは、秘密情報を予め記録してある種々のシート状、カード状、その他の形状を有するものを意味し、その素材も、プラスチック材料、金属材料、その他あらゆる材料を用いたものでよく、本発明のスクラッチラベルによって、その秘密情報を隠蔽することができるものであれば、特に限定するものでない。
また、本発明において、「秘密情報」とは、「その秘密情報を知り得る正当な権利者にのみ開示されるべき情報」を意味し、その「秘密情報」をシート基材上に設ける手段は、適宜な印刷方法や、個別情報を形成できるインクジェット方式を用いた方法、さらには、レーザー印字等、その「情報」としての文字、図形、記号、その他の、少なくとも目視認識可能な、あらゆる「情報」を形成可能な方法を用いることができるものである。
もちろん、そのシート基材上の「秘密情報」と、スクラッチラベルが担持する別の「情報」(秘匿されていても開示されていてもよい。)との単なる組み合わせや、それらの「情報」を各種の情報合成手段等(暗号化処理も含まれる。)により合成して、「正当な権利者に開示される情報が形成される」ものであってもよい。
さらに、本発明において、「スクラッチ」とは、コインや爪等によって「対象となる層」を削り取る行為であって、「対象となる層」を部分的、もしくは、全面的に除去する行為を意味する。特に、「対象となる層」の背後にあるものを視認することが目的であるため、「部分的な削り取り」であっても、「削り取った領域」においては、「対象となる層」の全てを、削り残し無く、除去することとなる。(以下、この「スクラッチ」操作、すなわち、スクラッチ隠蔽層を「『スクラッチ』により除去すること」を「スクラッチオフ」とも言う。)
シート基材上に「秘密情報」を設けた部分を、「秘密情報」表示部、「秘密情報」印字部、または、「秘密情報」形成部と、適宜、表現する。
また、本発明において、「光学的な鏡面」とは、ある「層」の表面の平滑性が、実質的に、平均表面粗さRaで、0.01μm〜0.1μmであることを意味する。そして、この「光学的な鏡面」をその表面に有する「ある層」の上に、その表面平滑性を維持した状態(その表面形状に何らの変化を及ぼさないことを意味する。)で、「別の層」を重ねた際に、この「ある層」と「別の層」との界面が、「光学的な鏡面」であるともいう。
本明細書において、配合を示す「部」は特に断わらない限り質量基準である。また、「ホログラム」は、回折格子などの光回折性機能を有するものも含む。
(主なる用途)通信網やコンピュータネットワークの普及に加え、データを送受信するコンピュータ端末の普及及びその携帯化が進むとともに、わが国においても第三次産業の占める割合が急速に伸び、様々な業者、さらには、公的機関によっても、様々なサービスの提供が行われている。
第三次産業とは、情報通信業、運輸業、郵便業、卸売業、小売業、金融業、保険業、不動産業、物品賃貸業、学術研究または専門技術サービス業、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業、教育または学習支援業、医療または福祉関連、電気事業、ガス事業、熱供給事業、水道業、公務、理容美容関連、複合サービス業、レジャーサービス、レンタルサービス、アウトソーシングサービス、交通サービス、外食サービス、エネルギー、エンターテインメント、コンサルティング、その他サービス業と位置づけられているが、このような第三次産業に携わる業者や公的機関は、物品の販売のみならず、特定のサービスの提供によっても対価を得ているため、物品を販売する形態とは異なる形態によっても、顧客や消費者へのサービス提供、もしくは、顧客や消費者(以下、顧客等ともいう。)からの料金や対価(以下、料金等ともいう。)の回収を行っていることが多い。
例えば、その料金や対価の回収方法として、顧客等の銀行口座から、利用したサービスに相当する対価を自動的に引き落とす方法や、信販会社に対してクレジット契約を予め締結しておき、信販会社を介して利用料金を決済する方法などは、ごく一般的な料金等の回収の形態であり、電気料金、ガス料金、水道料金などの公共サービスや、種々の情報提供サービスなどにおける料金等の決済の手法として広く利用されている。そして、プリペイドカードの販売という形式により、将来提供されるべきサービスに対して、料金等の回収を先に行ってしまう方法も普及している方法であり、料金や、運賃、その他の対価の回収に広く利用されている。
さらに、販売する「物品」そのものが、データ端末装置、パーソナルコンピュータ、デスクトップパソコン、オンライン対応ゲーム機、電話回線機器、ファクシミリ、モデム等のデータ回線終端装置、ラジオ受信機や、テレビ受像機等の通信機器(情報機器)、特に携帯して利用可能な通信機器である携帯通信機器(端末)や、携帯して利用可能な情報機器である携帯情報機器(端末)、すなわち、携帯音楽プレーヤー、ICレコーダー、ポータブルDVDプレーヤー、ポケットコンピュータ、スマートブック、タブレットPC、PDA、電卓、携帯ゲーム機、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ラップトップコンピュータ、ノートパソコン、ハンドヘルドパソコン、携帯プリンター、携帯スキャナ、携帯モデム、電子辞書、電子手帳、電子書籍、ポータブルデータターミナル、携帯電話端末、PHS端末、ポケットベル端末、携帯ラジオ、携帯テレビ、ワンセグ、腕時計、懐中時計、補聴器、ハンドヘルドGPS、防犯ブザー、テレビ電話、GPS受信機、カーナビゲーション端末、リモコン端末、電子マネー、デジタルキー、デジタルロックやポイントカード用のICカード等を用いて顧客に届けられるものとなり、音楽、映画、ゲームソフト等の文字、画像、映像、動画、音声、映画の著作物や、Webアニメ等のマルチメディア関連のコンテンツを、これらの「物品」として、ダウンロード販売、クラウドコンピューティング、音楽配信、IP放送、インターネット放送、インターネットテレビ、インターネット放送ネットワーク、インターネットラジオ、ポッドキャスト、ビデオ・オン・デマンド、動画共有サービス等の手段を用いて配信する方法も広く利用されている。
そして、これらの付加価値の対象である「物品」そのものや、上記した様な種々の「サービス」を受けることができる「資格」や「権利」を顧客に付与するもの、すなわち、それらの付加価値の受領、または、利用を要求している者が、正当な「資格」、または、「権利」を保有している者であるか否かを判定する媒体として、各種のカード類が広く一般的に用いられている。
これらカード類は、身分を証明するIDカード、会員カードや、金銭的価値を有するキャッシュカード、クレジットカード、プリペイドカード、定期券、もしくは、回数券等として多くの分野で使用されており、その数は増加の一途をたどっている。この中で、前払い方式でサービスを提供する際の前払証票、いわゆるプリペイドカードは、特に数量的な増加率が高く、一定単位の金額を予め支払い、その金額分の価値情報を利用できるものとして広く普及している。
そして、そのカード上には、価値情報や識別情報が、基材に印字または印刷表示した絵柄や文字情報として記録され、また、基材上に設けられた磁気記録部または光学記録部、場合によってはICチップに機械読み取り情報として記録されており、用途に応じた様々な情報を保持し、様々な場面でそれらの情報を利用可能とするものである。
そのプリペイドカードの代表とも言えるテレホンカードにおいては、価値情報や識別情報がテレホンカードそのものに記録され、電話端末においてテレホンカードを使用する都度、その通話料金をテレホンカードに記録してある価値情報から減額し、その残金を再びテレホンカードに記録しておくものであったが、その後、テレホンカードの偽造や変造に対処する方式として、テレホンカード上にはランダムな「番号」のみを印字しておいて、テレホンカードの発行、登録、販売、利用、減額処理、登録抹消等を管理しているホストコンピュータ上にその「番号」に対応した価値データを持たせ、テレホンカードの使用者が、そのホストコンピュータにアクセスした時に利用金額分の通話を行うことができるという、いわゆる「スクラッチオフ方式のテレホンカード」、すなわち、秘匿性の許可番号(秘密情報。)を交付する形式のテレホンカードを使用する方式が実用化され、そのカード発行数量も多くなってきている。
この方式では、流通段階において許可番号の漏洩が発生すると、その許可番号を不正に入手した者による不正サービス受給や、正規購入者に対して正当な利用を提供できなくなる等のトラブルを招くのみならず、もはや、「実際にその許可番号を利用した行為」が、正規購入者による行為なのか、もしくは、不正入手者による行為なのかを判別する手段も無くなってしまい、不正行為の特定ができず、従って、その損害額の特定、そして、その特定に基づく損害賠償請求も不可能となる。
このため、テレホンカードにその許可番号を印字した後、その許可番号が第三者に簡単に盗まれることを防止する目的で、削り取り(スクラッチ)が可能な隠蔽層でその許可番号を一旦覆って流通させ、テレホンカード購入者(正規購入者)が、その隠蔽層をスクラッチして除去して、その下に隠蔽されている許可番号を読み取り、その許可番号を利用するという方式である、「スクラッチオフ方式」の採用が必須となっている。
例えば国際電話のアクセス方式として、中継基地となる電話会社(中継会社という。)と契約し、料金先払いで所定の金額(例えば、千円。)を支払うことによりその契約者個有のナンバーが記載されたカードが発行され、国際電話を掛ける際にはカードに表示されたアクセスナンバー(フリーダイヤル。これが秘密情報となる。)を入力して中継会社にアクセスし、次いで契約者個人に与えられた個人ナンバーを入力したのち、相手方の電話番号を入力することによって通話ができるシステムが、国際電話を低料金で掛けられ、且つ、中継会社へアクセスした際に所定秒時コマーシャルを流すことによる宣伝媒体としての利用を図ることができる方式として広く普及しつつある。
このシステムに加入すると、個人に与えられた個人ナンバーはスクラッチ加工(スクラッチ可能な隠蔽処理という意味。)により外部からは完全に見えないように処理されており、このスクラッチ加工部分を削るようにして剥すことにより初めて個人ナンバーが現われるようになされている。
また、従来より、イベントくじやゲーム用カード等において、秘密情報である、例えば、「あたり」又は「はずれ」に相当する絵柄や文字や番号などのくじの結果をスクラッチが可能な隠蔽層で一時的に隠蔽した後、このスクラッチが可能な隠蔽層を爪やコインなどで擦ることで、その隠蔽層の下に表示された秘密情報の内容を見ることができるようにしたスクラッチが可能な隠蔽層付き印刷物は知られている。これらの印刷物は、一般的に複数個所にスクラッチが可能な隠蔽層を設けておき、その中から「あたり」と思われる1ヶ所の隠蔽層をコイン等で削り取ることで、下層に表示された秘密情報の表示を目視で確認するもので、もし仮に2ヶ所以上の隠蔽層を削り取った場合は、無効とするなどの規則とする場合が多い。
さらに、スピードくじや、ファーストフード店等においてサービス的に用いられているチケットは、シート基材に数字や文字等(秘密情報)を印刷した後、その上にスクラッチが可能な隠蔽層を印刷して、下地の印刷が見えないように構成され、くじの購入者やチケットを受け取った者が、爪や硬貨を用いてその隠蔽層を擦り取ると、下地に印刷されている数字や文字等が出現する。この出現した数字や文字を、予め決定されている数字や文字等と比較して、合致した場合には当選が決まるシステム(秘密情報がある意味において暗号情報となっており、他の情報との照合、いわば、解読により、「当たり」が決まる仕組み。)となっている
また、抽せんコードの如き機密の個別データをスクラッチが可能な隠蔽層で隠蔽してあるインスタント抽選付ゲームカードやインスタント抽選付商品等においては、機密の個別データを複雑なゲームにも利用できるものとし、その隠蔽層を擦り取ると、「あたり」の文字や懸賞番号等のメッセージが浮かび上がるように構成されている
このように「スクラッチ方式」は、いわば「簡易くじ」としても用いられており、その用途としては、宝くじなどの各種くじ等の他、商品の購入時の景品提供の手段、教習具や、ケームカード等があるが、より具体的には、携帯電話ショップで、スクラッチ枠を11か所設け、その内5か所だけを擦って、自分の携帯電話番号といくつ一致するかでもらえる景品が決まり、裏面には新規契約の方への特別割引クーポン券がついているもの、大手ドラッグストアで、ポイントカード会員獲得のために、ポイント5倍などのスクラッチに使用するもの、会員登録したその日からクーポン券として利用可能で、クーポン券の利用期間を設けるもの、大手鶏卵メーカーで、大手スーパー量販店様への卵パックの中に封入し、当たりが出たら「当たり券」をハガキに貼って裏面記載の係りあてに応募すると、購入先で使用できる商品券がプレゼントされるもの、住宅展示場、ファーストフードショップ、遊園地、観光スポット、スポーツ観戦に使用されるもの等、さらには、食品業界、ファッション業界、美容業界や医療関係等用の、擦った後に削りカスが出にくいもの等、または、被封くじであって、当せんパターンがスクラッチ印刷され、これを削ることにより抽せんを行う、インスタントくじ、スクラッチ宝くじ等、スクラッチ可能な隠蔽層をパターン状に複数設けて、それらの何れかを削って、所定のマークを出すことができた場合に「当たり」とするもの、そのマークを出すまでの削り回数や、削った軌跡で「当たり」のレベル(例えば商品価格)を定めるもの、そのパターンが、縦横マス目状に設けられ、そのマークがそのマス目のどの位置にあるかによって、「当たり」のレベルを定めるもの等がある。
また、抽選用品としてのスクラッチ三角くじやおみくじ用、キャラクター抽選会、おもちゃの抽選会、菓子等食品の抽選会、生活用品の抽選会等の抽選会景品セット用、サイコロを使う景品セット、輪なげや射的景品セット、おもちゃ釣りや千本つり景品セット、穴あけ宝箱景品セット、ガチャガチャやカプセル景品セット、つかみどりやすくいどり景品セット、詰め放題や玉入れ遊び景品セット、季節の抽選セットや景品抽選セット、夏の花火景品セット、夏の縁日景品抽選セット、夏のサマーグッズ抽選セット、クリスマス景品抽選セット、お正月景品抽選セット、年末年始景品抽選セット等のイベント景品セット用として、
さらには、来店促進のためのお買物券や割引券等、店頭でのイベントなどに用いられる名刺サイズやハガキサイズのもの、イベント案内のダイレクトメールにスクラッチを活用するもの、店頭への誘導にハガキだけでなく、V折やZ折などの圧着ハガキDMへスクラッチ印刷したもの等、1日1回で数十回スクラッチすると、その回数に応じて、景品引換券や、家具や洋服等の店頭で販売している商品が手に入るものや、スクラッチカードの四つ角に決まったアイテムが用意され、これを参考にすれば、欲しいアイテムを効率良く集めることができるように構成されているもの等がある。
このような「スクラッチ方式」の普及により、その「秘密情報」として、単純な「あたり」または「はずれ」の文字や、シリアルナンバー等の番号類のみならず、バーコードや二次元バーコード等の機械認識コード類、顧客データ、メッセージ等、あらゆる語句や記号、もしくは特定のマーク等の図形を固定もしくは可変で構成するもの、さらには、これらの「情報」が発色機構や消色機構を利用して浮き出るものや、特定の光源によってのみ、その「秘密情報」を読み取ることができるものなども提案されている。
(先行技術)上記したように、銀行口座からの自動引き落としや、信販会社を介した決済という方法は、非常に堅実な方法ではあるが、事前の手続きが面倒で、また、サービスの利用開始までに時間がかかるという問題があり、公共料金など利用が不可欠なサービスについては、有効な料金回収方法であるとしても、顧客にとって恣意的なサービスについての料金回収方法としては、必ずしも適切ではなく、利用料金の支払いのための手続きが面倒であったり、実際に利用が可能になるまでに何日も待たされたりすれば、顧客はそのサービスの利用に躊躇せざるを得なくなる。
そのため、プリペイドカードを用いた料金回収方法が、非常に手軽な方法であり、サービスによっては非常に有効な方法であることから、すなわち、通常の物品を購入する場合と同じ形態で、サービスに対する対価の支払いを行うことができ、かつ、プリペイドカードを購入した時点からそのサービスを利用できるようになることから、いわゆる「プリペイドカード方式」が拡大したが、その半面、プリペイドカードの偽造や変造という問題が生じるに至り、すなわち、一般的なプリペイドカードは、磁気的に残存対価を記録する方式を採っているため、この磁気的な記録の改竄という方法による不正利用が蔓延する結果となり、従来の磁気記録を利用した「プリペイドカード方式」は、安全性の面で些か問題があるのではないかとの認識が広がった。
このような理由も追い風となり、カードそのものには金額等の記録を保持せず、「認証番号等」のみを「秘密情報」として保持させて、そのカードを購入した者がその「番号等」を「申告する」ことにより種々のサービスを受けることができるという新規な「プリペイドカードサービス」が普及した。この「番号等」は、「秘密情報」として秘匿するために、スクラッチが可能な隠蔽層等により隠蔽されているため、従来の磁気型プリペイドカードに対して、番号型プリペイドカードとも呼ばれる。
この番号型プリペイドカードには、公衆電話用カード、携帯電話用カード、国際電話用カード等の通信系、ゲームソフトや音楽ソフト、その他有料ソフトの決済カード等の決済系、ショッピングカード、ギフトカード、コインカード等の物品購入系等が実用化されている。
本発明のスクラッチラベルは、このような、付加価値のある「秘密情報」が設けられたカード等の「シート基材」、すなわち、そのカード等を構成している「シート基材」であってその上に「秘密情報」が設けられているものに対して、その「秘密情報」を覆うようにスクラッチ隠蔽層を設けて、その「秘密情報」を第三者に対して秘匿し、その「秘密情報」の開示を受けられる正当な権利を有する者のみが、そのスクラッチラベルのスクラッチ隠蔽層をスクラッチして初めて、その「秘密情報」を確認することができるようにするものである。
この目的を達成するための技術として、特許文献1には、カードそのものには金額等の記録を保持せず、「認証番号等」のみを秘密情報として保持させて、そのカードを購入した者がその「番号等」を「申告する」ことにより種々のサービスを受けることができる、これらのプリペイドカードサービスとして、この「番号等」を、秘密情報として秘匿するために、スクラッチが可能な隠蔽層等で隠蔽する技術が開示されている。
また、インスタント抽選券、秘密情報伝達カード、クイズカード等で、一時的に秘密にしたい情報をシート上にプリンター等で印字表示し、それらの秘密情報表示部の上層に引っ掻くことで破壊されるスクラッチ可能な隠蔽層を形成させてなる「スクラッチカード」が既に広く用いられているが、これらのスクラッチ可能な隠蔽層は、比較的容易に入手できる原料から形成することが可能であるため、偽造や変造を行うことも容易である。
例えば、販売前の段階において、販売関係者が宝くじ等のインスタント抽選券のスクラッチ可能な隠蔽層を一旦引っ掻いて剥離し、抽選番号を見て当たりの抽選券と外れの抽選券を事前に確認して判別しておき、再度抽選番号の表示部分上にスクラッチ可能な隠蔽層を再形成することで、見かけ上、元の状態に戻しておき不正行為が行われたことを気づかれないようにカムフラージュし、当たりの抽選券を知り合いに販売することで特定の客に儲けさせる等の不正行為を働くことも物理的に可能であるため、この対策として、スクラッチ可能な隠蔽層に香料を含んだマイクロカプセルを入れ、真偽判定をする方法が提案されている。しかし、この方法では、正当な使用者がスクラッチした際、バラの匂い等、嗅覚に訴える販促的効果は期待できるが、不正者が一度スクラッチをした後、再度同様の匂いの香料を含むスクラッチ可能な隠蔽層を設けても、その後入手した正当な使用者にとって、目視にて容易に判読できる不正の痕跡を残すことは困難であった。(例えば、特許文献2参照。)
以上のごとき、カムフラージュ行為を直接的に阻止する方法として、スクラッチ可能な隠蔽層の上、または、スクラッチ可能な隠蔽層と基材とに跨るように、ホログラム画像を形成したホログラム層を設け、不正を行おうとする者にホログラム画像の存在を認識させて、「ホログラム層」を形成することの困難さを持って不正行為を阻止しようとする技術も開発されている。(例えば、特許文献3または4参照。)
しかし、これらの技術は、ホログラム層の存在や、そのホログラムデザインが第三者にあらかじめ開示されていることから、そのホログラム再生像に類似した光学効果を有するものを十分な時間を掛けて偽造したり、もともと、この構成自体がホログラム層とスクラッチ可能な隠蔽層を同時に削る仕様となっていることから、「ホログラム層もろともスクラッチ可能な隠蔽層を全て削ってしまった」と偽ることにより、ホログラム層が全く存在しない変造品を持参しながら、あたかも正規品であったかの如く振る舞う等の不正を防ぐことができないという欠点を有していた。
特開平10−214320号公報 特開2001−47777号公報 特開平11−34565号公報 特開2005−305844号公報
本発明は、ホログラム層をスクラッチ隠蔽層の背後に設けて、第三者に対してホログラムの存在、及び、そのホログラムデザインを秘匿可能とし、スクラッチ隠蔽層をスクラッチして初めて、そのホログラムの存在を確認できるという高い偽造防止性と、スクラッチ後には、隠蔽した秘密情報、及び、その鮮明なホログラムデザインを重ねて視認できるという高い意匠性、さらには、そのホログラムが存在するか否かを目視によって判定するという真正性判定の簡易性をも併せ持つスクラッチラベルを提供する。
そして、本発明のスクラッチラベルを、上記した、いわば、「スクラッチカード」となるカード等のシート基材上に設けられた「秘密情報」を覆うようにして、そのシート基材に貼着することにより、「本発明のスクラッチラベルが貼着されたカード等」、すなわち、「秘密情報が隠蔽されたスクラッチカード等」とすることを可能とする。
本発明のスクラッチラベルを貼着したスクラッチカード等においては、ホログラムデザインを第三者に開示していないことから、不正者が、例え、本発明のスクラッチラベルを貼着したスクラッチカード等を複数枚入手して、その構造やホログラムの存在を知り得たとしても、そのホログラムデザインが統一された唯一のデザインなのか、複数のデザインを任意に配したものなのか、もしくは、特定の秘密情報に対して特定のホログラムデザインを対応させてあるものかを知ることができないものとしており、この原理によって、入手したスクラッチカード以外の秘密情報を有するスクラッチカード等に対しての「偽造品」を作ることを事実上不可能とした、スクラッチラベルを提供する。
さらには、そのレリーフホログラム層に、断面への入射照明光によって断面から出射再生するホログラムを記録しておき、スクラッチ隠蔽層をスクラッチする前に、不正者には想像することも出来ない方法での真正性判定が可能となる、著しく偽造防止性に優れるスクラッチカードを提供する。
また、スクラッチ隠蔽層とレリーフホログラム層の界面を「光学的な鏡面」として、そのホログラム再生像の鮮明度を確保して、これを偽造することを非常に困難とし、さらには、スクラッチ隠蔽層に平均粒径の異なる顔料を配して、不正な目的でカードを湾曲させたりしたときに、その剥離痕を発生させ、もはや、その剥離痕を修復することは不可能となる構造として、その偽造防止性を著しく高めることを可能としたスクラッチラベルを提供する。
上記の目的を達成するために、
本発明のスクラッチラベルの第1の態様は、
シート基材上に設けられた秘密情報を隠蔽するスクラッチラベルであって、スクラッチ隠蔽層、レリーフホログラム形成層、及び粘着層がこの順序で構成され、前記レリーフホログラム形成層の露出している断面の内、一方の断面に入射した所定の入射光により、前記所定の入射光に基づく第一のレリーフホログラム再生像が再生されるとともに、前記レリーフホログラム形成層の露出している断面の内、他方の断面から出射された出射光から、前記第一のレリーフホログラム再生像を視認することができ、且つ、前記スクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去することにより、前記秘密情報が視認可能となることを特徴とするものである。
上記第1の態様のスクラッチラベルによれば、
シート基材上に設けられた秘密情報を隠蔽するスクラッチラベルであって、スクラッチ隠蔽層、レリーフホログラム形成層、及び粘着層がこの順序で構成され、前記レリーフホログラム形成層の露出している断面の内、一方の断面に入射した所定の入射光により、前記所定の入射光に基づく第一のレリーフホログラム再生像が再生されるとともに、前記レリーフホログラム形成層の露出している断面の内、他方の断面から出射された出射光から、前記第一のレリーフホログラム再生像を視認することができ、且つ、前記スクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去することにより、前記秘密情報が視認可能となることを特徴とするスクラッチラベルを提供することができ、その「秘密情報」の覗き見や、偽造及び変造を困難としたスクラッチラベルを提供することができる。
本発明のスクラッチラベルの第2の態様は、
第1の態様のスクラッチラベルにおいて、前記スクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去することにより、前記秘密情報及び、前記レリーフホログラム形成層から再生される第二のレリーフホログラム再生像が視認可能となることを特徴とするものである。
上記第2の態様のスクラッチラベルによれば、
第1の態様のスクラッチラベルにおいて、前記スクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去することにより、前記秘密情報及び、前記レリーフホログラム形成層から再生される第二のレリーフホログラム再生像が視認可能となることを特徴とするスクラッチラベルを提供することができ、その「秘密情報」の覗き見や、偽造及び変造を、より困難としたスクラッチラベルを提供することができる。
本発明のスクラッチラベルの第3の態様は、
第1の態様または第2の態様のスクラッチラベルにおいて、前記スクラッチ隠蔽層と前記レリーフホログラム形成層との界面が、「光学的な鏡面」であることを特徴とするものである。
上記第3の態様のスクラッチラベルによれば、
第1の態様または第2の態様のスクラッチラベルにおいて、前記スクラッチ隠蔽層と前記レリーフホログラム形成層との界面が、「光学的な鏡面」であることを特徴とするスクラッチラベルを提供することができ、より鮮明なホログラム再生像を出現可能とし、その偽造防止性と意匠性を高めたスクラッチラベルを提供することができる。
本発明のスクラッチラベルの第4の態様は、
第1の態様から第3の態様の何れかの態様のスクラッチラベルにおいて、前記スクラッチ隠蔽層の前記レリーフホログラム形成層が形成されている面とは反対の面に、地紋印刷が施されていることを特徴とするものである。
上記第4の態様のスクラッチラベルによれば、
第1の態様から第3の態様の何れかの態様のスクラッチラベルにおいて、前記スクラッチ隠蔽層の前記レリーフホログラム形成層が形成されている面とは反対の面に、地紋印刷が施されていることを特徴とするスクラッチラベルを提供することができ、より偽造防止性と意匠性を高めたスクラッチラベルを提供することができる。
本発明のスクラッチラベルの第5の態様は、
第1の態様から第4の態様の何れかの態様のスクラッチラベルにおいて、前記スクラッチ隠蔽層が、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料及び、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料を含んでいることを特徴とするものである。
上記第5の態様のスクラッチラベルによれば、
第1の態様から第4の態様の何れかの態様のスクラッチラベルにおいて、前記スクラッチ隠蔽層が、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料及び、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料を含んでいることを特徴とするスクラッチラベルを提供することができ、その偽造防止性を著しく高めたスクラッチラベルを提供することができる。
本発明のスクラッチカードのレリーフホログラム形成層は、透明樹脂層で構成され、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。(電離放射線とは、電子線及び紫外線を意味する。)
そして、このレリーフホログラム形成層の、4つの「露出している断面」の内、少なくとも、その「一方の断面」に、予め準備した回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された「第一の原版」(所定の『第一のホログラムレリーフ』面を有する原版という意味。)を、以下に詳述する方法を用いて、複製方式のプレス型(スタンパともいう。)として押し当て、加熱ロールなどの適宜な手段により、特に原版を加熱して圧着することにより、「第一の原版」の凹凸模様を、レリーフホログラム形成層の、その「一方の断面」に複製することができる。この際、形成する「第一のレリーフホログラム」パターンは単独のパターンでも、複数のパターンの集合体でもよい。
さらに、このレリーフホログラム形成層の上面と下面の内の、少なくとも一つの面に、予め準備した、上記とは異なる回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された「第二の原版」(所定の『第二のホログラムレリーフ』面を有する原版という意味。)を、通常の複製方式のプレス型(スタンパともいう。)として押し当て、加熱ロールなどの適宜な手段により、両者を加熱して圧着することにより、その「第二の原版」の凹凸模様を、レリーフホログラム形成層に複製することができる。
本発明のスクラッチラベルが貼着されるシート基材としては、秘密情報表示部を設けることができ、本発明のスクラッチラベルとの貼着性(接着性)を有するものであれば、あらゆる材料、すなわち、プラスチック材料、金属材料、セラミック材料、生体材料、それらの複合材料、さらには、それらを多層構造としたものなどを用いることができる。
また、シート基材の形状も、あらゆる形状、すなわち、シート状、フィルム状、板状、立方体状、直方体状、カード状、はがき状、伝票状、封筒状、円盤状、楕円体状、球体状、棒状、及びこれらの組み合わせや、これらに変形、切断、穴あけ、接着等の加工処理を施したものなどを採用することができる。
その厚さも、秘密情報表示部を支持することができ、且つ、ハンドリング可能であればよく、特に制限はないが、通常、3.0μm〜3.0mmの厚さとする。もちろん、封筒状や、箱状のものであれば、その立体形状の寸法は、それぞれの用途に適したものとするため、この範囲内とする必要はない。
但し、これらのシート基材上に設けた秘密情報を本発明のスクラッチラベルで秘匿することとなるが、そのスクラッチラベルを設けた側面とは反対の側面から、シート基材に対して、強度の大きい可視光線や、赤外線、紫外線、X線等、さらには、電子線等の粒子線(以上を総称して「光線」と称する。)を照射して、その「透過『光線』」や「反射『光線』」、さらには、特性X線等から、その秘密情報そのものを読み取ろうという試みに対抗するため、そのシート基材の性質として、これらの「光線」を「遮蔽」したり、「反射」、もしくは、「散乱」させる性質を保有することが望ましい。
これらシート基材の代表例としては、いわゆる「プリペイドカード」として用いられている基材及び形状や、「プラスチックカード」として用いられている基材及び形状、特に、JIS規格やISO規格で定められているものがある。すなわち、その「埋め込み適正」及び「汎用性」(加工汎用性を含む。)から、「JIS規格やISO規格で定められている『プリペイドカード』として用いられている基材及び形状」が望ましい。
これらは、既に、世の中に大量に頒布され、普及しているため、そのハンドリングや、保持することに抵抗感がなく、また、それらを携帯したり、使用したりする場合の周辺機器や、関連グッズ等も既に普及しているため、これらのものへの適用もスムースであって好適である。
本発明のスクラッチラベルを貼着した「スクラッチカード」(本発明のスクラッチラベルをシート基材に、そのシート基材上の「秘密情報」を覆うように設けたもの。「スクラッチカード等」ともいう。)が秘匿する「秘密情報」としては、暗証番号、個人認証番号、口座番号、その他の個人特有の番号または記号や、抽選番号または記号、管理番号または記号等、もしくは、単なる連続番号や記号であって、登録することによりその有効性を発現するもの、暗号鍵番号である共通鍵番号のように同一の番号、さらには、全くの乱数であってスクラッチカードのシート基材を作製するときに発生させ作製者も含め誰もその番号の内容を知り得ないように工夫した番号等、知ることが許された者(正規な購入者等を意味する。もちろん、スクラッチカードのシステム設計者や、スクラッチカード発行者等が含まれる場合もある。)のみが見ることができ、その他の者は物理的に見ることができないよう設定される番号または記号等がある。
また、そのスクラッチカードの用途により、番号または記号のみならず、文字、図形、マークその他、個人及びそのスクラッチカードの供給者が共通に認識できるもの(この対象は、いわゆる「情報」全てとなる。)であれば何れも用いることができる。そして、その認識方法も、少なくとも目視確認により認識できる情報を有しながら、目視以外の認識方法、例えば、光学読取方法、磁気的読取方法、その他、あらゆる物理的もしくは化学的読取方法を採用することができ、且つ、秘密情報と重ねて視認できるレリーフホログラム再生像の中にも、ホログラム再生原理を利用した光学読取方法を含めることができて、いずれも、その偽造防止性を高めるために好適である。
この「秘密情報」をスクラッチカードのシート基材上に設ける方法としては、可変情報を形成する方式として、感熱溶融転写方式、昇華転写方式、光学的もしくは物理的直接描画方式、電子写真方式及び、インクジェット方式等があり、固定情報を形成する方式としては、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、活版印刷方式、凹版印刷方式、スクリーン印刷方式等がある。
また、シート基材そのものを発色材料や消色材料で構成し、その発色原理や消色原理を用いて、可変情報や固定情報を記録する方法を用いてもよい。
すなわち、電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱発色材料からなるシート基材や、基紙となる紙材料やフィルム材料上に、電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱発色層を設けたもの、さらには、それらの基紙上に、カプセル内包の発色剤と顕色剤とからなる感圧発色層を設けたものを、シート基材として用いることができる。
また、発色と消色を繰り返して操作できる、感温材料等を用いたサーマルリライタブル層や、フルギド系やスピロピラン系などのフォトクロミック材料等を用いる光リライタブル層を設けることも、その意外性や偽造防止性が高まり、好ましい。
特に、これらの「リライタブル層」を設けて、「秘密情報」を表示させると、正規購入者が、その「秘密情報」を確認するときのみ「秘密情報」が現れ、それ以外のときには「非表示」とすることで、不要な第三者による「秘密情報」の視認を阻止することができる。
感熱発色材料としては、発色剤、顕色剤、及び、増感剤からなる系を用いることができ、発色剤としては、ベンゾイルロイコメチレンブルー、クリスタルバイオレットラクトン等のフタリド化合物等、顕色剤としては、4−4´ビフェノール、1−ナフトール等の酸など、さらに、増感剤としては、4−ベンジルビフェニル、フルオレン等を用いる。
感熱記録とは,基紙上の層に分散させた発色剤及び顕色剤を熱により溶融させ、接触させることにより発色させる仕組みである。その高感度化のために、低融点の増感剤を添加するが、様々な酸発生方法とこの発色機構を組み合わせることにより、繰り返しの書き込みや消去が可能なリライタブル感熱記録を実現できるものである。例えば、低い熱エネルギーにて発色する赤色感熱記録層と,高い熱エネルギーにて発色する黒色感熱記録層を積層させることにより,その印加エネルギーを使い分けることで赤/黒の2色での記録を可能にする2色発色感熱記録材料を用いてもよい。
これらのロイコ系感熱発色材料や、フォトクロミック系光発色材料は、その発色機構である「紫外領域または赤外領域→可視領域への変化」を、「可視領域→紫外領域または赤外領域への変化」とすべく材料選定をすることにより、消色記録材料として用いることができる。
このような消色機構を用いると、正規購入者が、その「秘密情報」を確認した後、正規購入者の判断により、速やかに、もしくは、適宜なタイミングで、「秘密情報」を消色(消去)することを可能とし、その偽造防止性を高めることを可能とする。
また、シート基材上へ「秘密情報」を設ける位置、もしくは、配置についても、特に制限は無いが、プリペイドカード等のように、薄く強靭な素材を用いた場合には、そのシート基材を容易に湾曲させることができるため、そのシート基材の中央部分に設けることを避け、その右端、もしくは、左端、さらには、上端、もしくは、下端に設けることが望ましい。(湾曲した際に、スクラッチ隠蔽層にその変形圧力が掛からないように配慮するという意味。)もしくは、湾曲した際の比較的曲がっていない部分に、2箇所またはそれ以上の箇所に分散して設けてもよい。
また、磁気カード仕様や、ICカード仕様上のいわゆる「禁止エリア」(磁気部エリアやIC部エリアのように、印刷やエンボス加工等を禁止しているエリアのこと。所定の機能以外のものを設けることを禁止しているエリアを意味する。)を避けて設けたり、さらには、カードに加える様々な加工処理、例えば、エンボッシング処理、磁気記録処理、接触タイプのICチップ加工処理、非接触タイプのICチップやアンテナ類の加工処理、サインパネル加工処理やホログラム加工処理において、不具合が発生しない位置に設ける。
また、「秘密情報」を一つの位置に設けるのみ(一つの情報として読み取ることができるものが一か所に固まっているという意味。)ならず、シート基材上に、分散して複数の位置に設けたり、シート基材の表裏に設けることも、その秘匿性が向上し好適である。もちろん、その場合には、それぞれの位置に、それぞれのスクラッチ隠蔽層を設けることは言うまでもない。
上記した方法、または、方式により、その「秘密情報」をスクラッチカードのシート基材上に形成し、スクラッチ隠蔽層、レリーフホログラム形成層、及び、粘着層からなる本発明のスクラッチラベルを、適宜な配置で、その「秘密情報」を覆うように貼着した後、そのスクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去すると、その「秘密情報」が視認可能となり、さらには、これと同時にスクラッチ隠蔽層の背後にあるレリーフホログラム形成層から再生されるレリーフホログラム再生像までも視認可能となるスクラッチカードを作成することにより、その「秘密情報」を第三者が目視によって判読したり、不正者が盗読することを防ぎ、且つ、正当な使用者がスクラッチ隠蔽層をスクラッチして、その「秘密情報」を判読できるスクラッチカードを提供することができる。
ここで、レリーフホログラム形成層の背後、すなわち、レリーフホログラム形成層と粘着層との間に黒色層を設けて(もちろん、「秘密情報」形成部の視認性を阻害しないように、「秘密情報」形成部に対応する領域を除いて設けることとなる。さらには、粘着層そのものを黒色層としてもよい。)、「第二のレリーフホログラム再生像」を非常に鮮明なものとすることができる。但し、『第一のレリーフホログラム再生像』が、『再生される』ときに、その再生光(入射光が、再生光となり、そして出射光となる過程における、その再生光を意味する。)がレリーフホログラム形成層と黒色層との界面で1回以上、反射することを想定する場合には、その反射する界面領域に該当する部分の黒色層を除くこととなる。
いずれも、その偽造防止性を高めたり、意匠性を高める効果があり、好適である。
また、スクラッチ隠蔽層とレリーフホログラム形成層との間に地紋印刷を施したり、もちろん、スクラッチ隠蔽層上に(最上層の上に)、地紋印刷を施すことも、その偽造防止性を高めたり、意匠性を高める効果があり、好適である。
そもそも、ホログラムとは、一方で、ホログラム再生像として再生したい「3次元物体」に対して、時間的、且つ、空間的コヒーレント性を有する光であるレーザー光を照射(照明)し、その「3次元物体」の表面で、反射し、散乱(回折)した「光」(これが「物体光」と呼ばれる。)を、所定の角度で、感光材料へ入射させ、他方で、そのレーザー光そのもの(これが、「参照光」と呼ばれる。)を、その「物体光」の入射角度とは異なる角度で、同時に、その感光材料へ入射させて、その「物体光」と、「参照光」とを干渉させ、その干渉によって生じた「干渉縞」を、その感光材料に記録したものである。
このホログラム形成方法は、撮影方式によるホログラム形成方法の一つであって、「二光線束干渉法」とも呼ばれる。
その「物体光」と、「参照光」は、互いにコヒーレントであるので、感光材料内に鮮明な干渉縞が発生し、その干渉縞が記録される。
まず簡単な場合として、参照光及び物体光の二つが、ある角度をなす、いずれも平行光である場合を考えると、二つの光の感光材料面までの道筋(光路)の長さの違い、したがって二つの光の位相の違いによって、感光材料面上のある位置では互いに強め合い、また別の位置では弱め合い、結果として感光材料には、参照光、物体光のなす角度によって決まる等間隔で感光材料面に垂直方向に伸びる干渉縞が記録される。
また、この干渉縞のコントラストは、参照光及び物体光の振幅が等しいときもっとも大きく、相違があるほど小さくなる。物体光は、「3次元物体」の立体形状に依存して変化する光であって平行光ではないので、干渉縞は乱れたものになる。
しかし、その乱れは、参照光に対する物体光の位相の変化が干渉縞の横ずれとして、また、振幅の変化がコントラストの変化として生じ、感光材料には、物体光の位相、振幅の情報がすべて記録される。このようにして露光された感光材料を現像処理したものがホログラムとなる。
このホログラムには、普通のカメラで写した写真のようには、物体の像が写っておらず、ただ一様に白濁(屈折率分布として記録されている。)しているように見えるが、光の波長に近い細かさで物体情報が完全に記録されている。
この感光材料として、フォトレジストを用い、フォトレジストの現像時間管理によって、フォトレジストの表面に、所望の深さの凹凸を設けたものが、レリーフホログラムであって、その凹凸が、上記と同様に、その深さや、周期において乱れたものとなっており、その乱れが、物体光の位相や、振幅の情報を含むことになる。
そして、その凹凸面が、ホログラムレリーフ面であって、このときの「凹凸面を有する感光材料層」が、「レリーフホログラム形成層」に該当することとなる。
干渉縞を記録したホログラムを、例えば、上記した参照光と同一のレーザー光で照明すると、感光材料内に記録された干渉縞が、光の進行方向を変える回折格子として作用する。
回折格子に光が入射すると、そのまま透過する直接透過光(ゼロ次回折光)のほかに、格子の間隔、いまの場合は、干渉縞の間隔によって決まる方向にプラス1次、及び、マイナス1次の回折光を生じる。
ホログラム作成時、物体光及び参照光として所定の角度をなす平行光を用いた場合には、このホログラムを照明した際のプラス及び、マイナス1次の回折光は、いずれも平行光であり、前者は元の物体光が感光材料を透過する方向に進む。
実際の干渉縞は物体光の位相や振幅で乱されているので、ちょうどそれに対応するようにプラス1次の回折光は乱され、元の物体光をそのまま再生することになる。ホログラムを通して観察すると、ゼロ次、または、マイナス1次の回折光にじゃまされず、元の位置に物体像が立体的に再生する。この像は直接像とよばれ、あたかも物体から光が出たように、発散する光で見えるので虚像になる。また、マイナス1次の回折光によって、ホログラムの右側に、元の物体と前後が逆になった像が再生する。これは共役像とよばれ、実際に光が集束するので実像になる。
直接像を、見る位置を変えて観察すると、3次元物体の前後の相対位置が変化し、立体的に再生していることを確認できる。
この状況は、レリーフホログラムにおいても同様であって、上記したレリーフホログラム形成層が有するホログラムレリーフ面を、所定の「参照光」で照明すると、所定の角度に直接像(ホログラム再生像)が現れる。
そして、このホログラムレリーフ面に、「反射層」として、「反射性薄膜層」が追従するように接して設けられた場合には、その「反射性薄膜層」の最表面(レリーフ状の凹凸面となっている。)、もしくは、「レリーフホログラム形成層」と「反射性薄膜層」との界面が、「ホログラムレリーフ面そのもの」となっており、これらの面が、「反射面」と位置付けられ、その「ホログラムレリーフ面」で「反射した光」が、所定の角度によって決まる反射方向へ、その直接像を出現させる。その共役像である実像も同様である。
これらの「ホログラムレリーフ面」の形状は、その深さが、0.01μm程度であり、ピッチ(凹凸の周期を意味する。)が、1.0μm前後の凹凸が所定の領域内に隙間なく敷き詰められた形状をしており、この凹凸形状の一つ一つがいわば、1.0μm毎に「個々の反射(もしくは、透過)回折光」を発生し、その「個々の反射(もしくは、透過)回折光」が互いに光の干渉現象を生じて、最終的に一つの合体したレリーフホログラム再生像として、視認される。
従って、例えば、この1.0μmの凹凸形状の一つを滑らかな小さな3次元曲面と捉えたとき(ホログラムレリーフの凹凸の断面形状は、しばしば、三角関数曲線のような単調増加や単調減少を繰り返す曲線に例えられる。)、その3次元曲面に、0.001μmオーダーの微細な凹みや突起が生じたり、その曲面そのものが0.001μmオーダーで変形した曲面となったりするような「凹凸形状のわずかな変形」(凹部の深さが0.001μm深くなったり、浅くなったり、もしくは、その直径が0.1μm程度広がったりすることを意味する。このような変化は、極く微細なものと思われがちであるが、それでも「10%の変化」という大きなものとなっている。)、すなわち、「ホログラムレリーフ面形状のわずかな変形」が発生することで、レリーフホログラム再生像の鮮明度に大きな影響を与え、その鮮明度が低下することとなる。
特に、このような変形がホログラム記録領域の中で偏在して発生すると、レリーフホログラム再生像そのものの変形までをも引き起こす。
本発明のスクラッチカードは、スクラッチカードのカード基材上に、「秘密情報」が設けられ、その「秘密情報」を覆うように、レリーフホログラム形成層、スクラッチ隠蔽層、または、そのスクラッチ隠蔽層上にさらに地紋印刷を設けたもので構成される。
このレリーフホログラム形成層を構成するための透明樹脂層として、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。(電離放射線とは、電子線及び紫外線を意味する。)
レリーフホログラム形成層は、「秘密情報」表示部を溶解したり、変質させたりしない溶剤を用いて、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、凹版印刷方式、インクジェット印刷方式等の印刷方式や、スピンコーティング方式、カーテンコート方式、フォトレジスト処理方式等の形成手段を用いて、乾燥後の厚さとして、10μm〜1000μm、好適には、100μm〜500μmの厚さで形成する。
この厚さが、10μm未満であると断面レリーフホログラムの形成が困難となり、1000μmを超える厚さでは、スクラッチカードのカード基材上のスクラッチ隠蔽部分(「秘密情報」を隠蔽するための、レリーフホログラム形成層やスクラッチ隠蔽層等の積層部分をいう。)の総厚さが大きくなりすぎ、カード基材への積層に支障をきたす。
そして、このレリーフホログラム形成層の露出している面(レリーフホログラム形成層のスクラッチ隠蔽層と接する面を意味する。もちろん、レリーフホログラム形成層のカード基材と接する面に設けても良い。)に、予め準備した回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された「第二の原版」(所定の第二のホログラムレリーフ面を有する原版という意味。『第一の原版』は、所定の第一のホログラムレリーフ面を有する原版となる。)を、複製方式のプレス型(スタンパともいう。)として押し当て、加熱ロールなどの適宜な手段により、両者を加熱して圧着することにより、第二の原版の凹凸模様をレリーフホログラム形成層に複製することができる。この際、形成する第二のレリーフホログラムパターンは単独のパターンでも、複数のパターンの集合体でもよい。
または、その第二の原版の凹凸面と、「『秘密情報』を設けたカード基材」との間に、電離放射線硬化性樹脂を充填し、電離放射線にて、その樹脂を硬化させた後、その原版を剥離することで、カード基材上の所定の位置に、より精密な第二のホログラムレリーフ面を有するレリーフホログラム形成層を形成することもできる。
もちろん、第二の原版の凹凸面の上に、予め、レリーフホログラム形成層を設けておき、その露出している面を、カード基材上の所定の位置に押し当てて、レリーフホログラム形成層を第二の原版から剥離すると同時に、カード基材上の所定の位置に接着させる方法(いわば、転写方法。)も、その簡易性より、好適である。
これらの第二のホログラムレリーフ面は、スクラッチ隠蔽層のスクラッチオフによって露出し、空気(屈折率n=1.0)との界面となって、この界面からの反射光により、もしくは、この界面で透過しつつ回折され、カード基材面で反射して、戻る透過光により、レリーフホログラム形成層の第二のレリーフホログラム再生像を出現させるものである。
もしくは、第二のホログラムレリーフ面は、「『秘密情報』を設けたカード基材」と「レリーフホログラム形成層」との界面となっており、この界面からの反射光によりレリーフホログラム形成層の第二のレリーフホログラム再生像を出現させる。
これらの反射光の強度を十分なものとするには、これらの界面における屈折率差が大きければ大きいほど望ましく、このため、レリーフホログラム形成層を、「高屈折率透明樹脂層」とすることが好ましい。
ここで、「高屈折率透明樹脂層」とは、「高い屈折率を持つ透明な樹脂層」であって、屈折率nが1.7を超える透明な樹脂層をいう。特に、第二のホログラムレリーフ面が、レリーフホログラム形成層の下側、すなわち、スクラッチ隠蔽層と接している面とは反対の面(レリーフホログラム形成層とカード基材との界面を意味する。)にある場合には、この透明性が、直接、第二のレリーフホログラム再生像の鮮明度に影響を及ぼす。
レリーフホログラム形成層を、「高屈折率透明樹脂層」、すなわち、「透明性」を確保しながら屈折率nが1.7〜2.3という高屈折率を示す、透明な樹脂層により構成することで、この界面における屈折率差を、0.7〜1.3、特に1.0〜1.3とすることができ、上記した反射光の強度を非常に大きなものとして、より鮮明な第二のレリーフホログラム再生像を出現させることを可能とする。
「樹脂材料の光学的透明性を維持した上での高屈折化」については、鋭意、研究が進められているが、ホログラム再生像の観察に悪影響を及ぼさず(「光学的に透明」であることを意味する。)、レリーフホログラム形成層を通して、その配下にある「秘密情報」を十分、且つ、確実に視認できる「透明性」を保持しつつ、「《樹脂層》としての屈折率」を高くすることには限界があり、比較的屈折率の高い樹脂の高分子構造の中に、原子屈折率の高い「硫黄原子」や、塩素原子やフッ素原子等の「ハロゲン成分」、さらには、高屈折率構造を持つ「芳香環基」を分子レベルで導入する方法や、TiOxやZrOx等の高屈折率金属酸化物の超微粒子(平均粒径:0.0003μm〜0.03μm)を樹脂材料に高度に分散させる方法、さらには、高分子材料の分子構造の中に、所定の金属塩を取り込ませる方法等によって、屈折率n=1.9を超える材料を見出したものの、それでも、金属化合物微粒子(または薄膜。)の例であるZnSの屈折率n=2.3を超えるような「透明な」樹脂はまだ発見されていない。
また、上記の「第二の原版」によって、「『秘密情報』を設けたカード基材」上の露出面に第二のホログラムレリーフの複製を行い、その「カード基材」上のホログラムレリーフ面を埋めるようにしてレリーフホログラム形成層を設けることで、レリーフホログラム形成層にホログラムレリーフを設けることも出来る。
または、その「カード基材」上の第二のホログラムレリーフ面と、表面を鏡面仕上げした(『光学的な鏡面』となっている。)適宜な透明フィルムとの間に、電離放射線硬化性樹脂を充填し、電離放射線にて、その樹脂を硬化させた後、そのフィルムを剥離することで、カード基材上の所定の位置に、より精密な第二のホログラムレリーフ界面を有し、且つ、その露出面が「光学的な鏡面」となっている、レリーフホログラム形成層を形成することができる。
この第二のホログラムレリーフ面は、レリーフホログラム形成層の上面から入射する光が、カード基材の第二のホログラムレリーフ面で反射し、その第二のホログラムレリーフの位相差を含んで戻ってくることで、第二のレリーフホログラム再生像を出現させるものである。
本発明の「レリーフホログラム形成層」は、その「層」を一つの「直方体」に見立てて、その上面及び下面の形状を、所定の「縦」と、所定の「横」を有する「長方形」とし、その上面と下面の「距離」を、所定の「厚さ」と定義して、「所定の縦」×「所定の横」×「所定の厚さ」で一義的に定まる「直方体」としたときに、本発明の「レリーフホログラム形成層」は、「所定の縦」や「所定の横」に対して、「所定の厚さ」が、その1/10以下、特には、1/100以下となる、いわゆる、「薄手のシート状」の形状をしている。
そして、その直方体の4つの側面は、すなわち、4つの「レリーフホログラム形成層の『断面』」は、「『所定の縦』×『所定の厚さ』」や「『所定の横』×『所定の厚さ』」で定まる、いわゆる、「細長い長方形」の形状となる。
この「『所定の縦』及び『所定の横』」でその形状が定まる、「レリーフホログラム形成層の『上面』、または、『下面』」を通して、「レリーフホログラム」を記録した場合には、その「レリーフホログラム」は、上述したように、「第二のレリーフホログラム」であって、その「レリーフホログラム再生像」は、「第二のレリーフホログラム再生像」となる。
また、この「『所定の縦』×『所定の厚さ』」や「『所定の横』×『所定の厚さ』」で定まる、「レリーフホログラム形成層の『断面』」のいずれかに、「レリーフホログラム」を記録した場合には、その「レリーフホログラム」は、「第一のレリーフホログラム」であって、その「レリーフホログラム再生像」は、「第一のレリーフホログラム再生像」となる。
このことから、「第一のレリーフホログラム」及び「第一のレリーフホログラム再生像」は、それぞれ「断面レリーフホログラム」及び「断面レリーフホログラム再生像」と称することも可能である。
まず、「第二のレリーフホログラム」、及び、「第二のレリーフホログラム再生像」につき、以下に、詳述する。
ホログラム画像として画像化される「物体」(一般的には、3次元物体、もしくは2次元物体が用いられる。もしくは、「物体光」を与え得るものであれば、「光学系」であっても、別途作成したホログラムからの「ホログラム再生像」であってもよい。)は、レーザー等が発振するコヒーレントな光によって照明され、そして感光性の記録用媒体が、この「物体」から反射(発散)された光を受けるように配置される。「物体」上の各点は記録媒体の全体に対して光を反射し、また記録用媒体上の各点は「物体」全体からの光を受け入れる。この反射(発散)された光束は「物体光」といわれている。
同時に、コヒーレントな光の一部は「物体」をバイパスし(「物体」を避けて通るという意味。)、反射鏡等により、記録用媒体に向けられる。この光束は「参照光」といわれている。
記録用媒体上に記録されるものは、媒体上に当たった「参照光」と「物体光」との相互作用で生ずる「干渉パターン」であり、この記録が、ホログラムとなる。
この記録用媒体、すなわち、記録されたホログラムが、照明され、適切に観察されるとき、照明光源からの光(これが、『照明光』となる。)は、「物体」から記録用媒体にもともと到達した波面を再生するように、そのホログラムにより回折され(透過、または、反射され)、それにより、ホログラムは、透過側、または、反射側からの観察者に対して、「物体」の虚像を、記録媒体という「窓」を通して、完全な遠近差をもつ3次元の「物体」を見たように、認識させる。
次に、「第一のレリーフホログラム」、及び、「第一のレリーフホログラム再生像」、すなわち、「断面レリーフホログラム」、及び、「断面レリーフホログラム再生像」につき、以下に、詳述する。
この「第一のレリーフホログラム」、すなわち、「断面レリーフホログラム」は、上記したように、4つの「レリーフホログラム形成層の『露出している断面』(以下、単に、『断面』とも称す。)」の、少なくとも一つの「断面」に、特には、対向する二つの「断面」の両方に、それぞれの「断面レリーフホログラム」に対応する「断面ホログラムレリーフ」が設けられている。
すなわち、それらの「断面ホログラムレリーフ」を、所定の「照明光(参照光ともいう。)」で、「照明」すると、個々の「断面ホログラムレリーフ」に対応する「断面レリーフホログラム再生像」が出現する。
これに対して、一般的な、「広い平面」に設ける「ホログラムレリーフ」を、「平面ホログラムレリーフ」と称し、それぞれ、「平面レリーフホログラム」や、「平面レリーフホログラム再生像」とも称す。「第二のレリーフホログラム」、及び、「第二のレリーフホログラム再生像」がこれに該当する。
この「第一のレリーフホログラム」、すなわち、「断面レリーフホログラム」は、「『所定の縦』×『所定の厚さ』」や「『所定の横』×『所定の厚さ』」で定まる、いわゆる、「細長い長方形」の形状を持ち、その「細長い長方形」の中に、「微細な凹凸形状」、すなわち、「周期が0.01〜数μmで、深さが、0.01〜0.5μmの『レリーフ形状』」を持つ「ホログラム」である。
この「細長い長方形」は、例えば、「縦=数百μm」×「横=数十mm」である、非常に細長い形状を成すため、目視では、その横幅は十分認識できたとしても、その縦幅は、視認し難いものとなっている。
しかしながら、この視認し難い「縦=数百μm」の中に、上記した微細な凹凸形状を、数百個〜千個程度含んでいる(あくまで、『縦』方向に関する。)ことから、それらの微細な凹凸形状の「光の干渉現象」により、いわゆる「ホログラム再生像」を、再生することを可能としている。
すなわち、その「ホログラム再生像」の「縦方向の解像度」についても、十分な「再生」が可能である。(ここで、『ホログラム再生像』の『横方向の解像度』は、全く問題ないため、言及していない。)
但し、以下の2点の課題がある。
その1点目は、「微細な凹凸形状」が、「ホログラム再生像」の「縦方向の解像度」として、「数百個〜千個程度」しか存在しないことである。
「縦方向の解像度」として、「微細な凹凸形状」が「数百個〜千個程度」しか存在しない状態では、比較的視認し易い「平面パターン」や「平面画像」を再生し、「平面パターン」や「平面画像」の「像」として認識することは可能であるものの、「3次元の物体像」を再生し、そして、再生した「3次元の物体像」を、「立体感」を備えて認識することは、いずれも困難であり、「真正性判定」には不十分なものとなる。
その2点目は、その「細長い長方形」が、「ホログラム再生像」を視認するための、いわば、「窓」となることである。(その『窓』を通して、その向こうに、『像』が見えるという意味。)
そのような、非常に細長い「窓」、例えば、「高さ数百μm×幅数十mm」の「窓」を通して、「平面パターン」や「平面画像」の「像」、さらには、「3次元の物体像」を見ることとなるため、その「窓」そのものが「開いた窓」か否かさえ、その判別が難しいことに加え、そのような「開いている窓」と明言できない「窓」の奥にある、「平面パターン」や「平面画像」、さらには、「3次元の物体」を「認識」することはさらに困難なものとなる。
以上の課題より、この「第一のレリーフホログラム」、すなわち、「断面レリーフホログラム」は、比較的横長のサイズの「平面パターン」や「平面画像」を、その「原稿」とする「ホログラム」を、通常の「撮影」方法(『二光線束干渉法』による『撮影方法』。もしくは、『露光方法』。)で記録し、再生することは可能であるが、例え、横長のサイズの「3次元の物体」であっても、その厚さ方向にも情報を持つ「3次元の物体」を、その「原稿」として撮影した「ホログラム」を、通常の方法で再生したときに、その再生像である、「『物体』の全体像」を確実に把握する(全体像を隅々まで認識するという意味。)ことは困難である。
従って、「ホログラム」の中で、最も単純な凹凸形状をもつもの、すなわち、単純1次元回折格子(同一形状の凹凸が一定の方向に整然と並んでいるもの、すなわち、『一つの方向に延びる同一形状の溝』が、その『溝』に直交する方向に、一定周期で、並んでいるもの。)や、単純2次元回折格子を、「断面レリーフホログラム」とし、その「断面レリーフホログラム」を照明する「照明光」を、「一定の方向に曲げる」光学的効果のみをもつものとする。
すなわち、その「照明光」を、「一本のレーザービーム光(スポット形状が円形や、楕円形で、スポット径が、0.5mm〜5mmのレーザー光。)」とすると、そのような「断面ホログラム」は、その「断面」に、垂直に入射する「一本のレーザービーム光」を、「所定の角度で曲げ」たり、「一本のレーザービーム光」を、「異なる方向に進む、二本以上のレーザービーム光」に分割」する。
そして、真正性判定者は、その「一本のビーム光」が、「所定の方向に向かう一本のビーム光」となったり、「所定の方向に向かう複数のビーム光」となることを確認して、その「真正性」を判断することとなる。
もちろん、適宜なスクリーン上に、この「ビーム光」(さらには、『光の像』。)をあてて(『投影して』という意味。)、その「光の輝点」(さらには、『光の平面像』。)を視認し、判定することも好適である。
さらに、このような「回折格子」を、組み合わせた「複合回折格子」とすると、そのような「ビーム光」を曲げたり、分割したりする、単純な「光学的効果」のみならず、広がりを持った「光」である、「平行光」や、「球面光(いわゆる、『球面波』のごとく、一点から広がる『光』を意味する。)」を、「曲げ」たり、「分割」したりできるとともに、その「平行光」や、「球面光」を、「所定の形の『光』の像」へと「変換」することを可能とする。
そのような「複合回折格子」とは、その「断面」を、その格子周期、格子方向、格子深さ、さらには、格子形状(凹凸形状のことを意味する。)などが異なる、複数の種類の「回折格子」で分割形成したものであって、この「複合回折格子」を、一定の「升目」に分割し、各々の「升目」に対して、「再生されるべき光の像(フルカラー立体像を含む。)」から、逆算して、それぞれ、「格子周期、格子方向、格子深さ」を決定して、割り当てると、いわゆる、「CGH(コンピュータジェネレーティッドホログラム)」となる。(以下、これらの『回折格子』を総称して、『複合回折格子』とも称する。)
そして、このような「CGH」は、電子線描画装置を用いて、その微細な凹凸形状を形成するため、上記した「縦方向の解像度として、微細な凹凸形状が数百個〜千個程度しか存在しない状態」においても、個々の「凹凸形状」を「撮影方法」よりも、微細、且つ、精密に形成でき、その「再生像」の「鮮明度」を向上させることを可能とする。
この「CGH」の手法を用いると、「使用する照明光」と、「所望する再生像」を定めることで、その「複合回折格子」を構成する「全ての回折格子」の「個々の凹凸形状」が、全て定まることとなる。
従って、この手法を応用して、「使用する照明光」を、その「断面」に、垂直、もしくは、所定の角度で斜めに入射する「平行光」と定め、「所望する再生像」を、「縦方向において、複数の角度、すなわち、5つの方向〜10の方向に向かう、細長い横長の再生像の組み合わせ」とし、個々の再生像の間隔を、0.5〜5mmずつ開けることで、「全体の再生像」が、縦方向に「2.5〜50mm」の広がりを持つ再生像とする(回折格子の一方向に向かう、一つの再生像が『横長の像』となるため、この『横長の像』を、縦方向に多段に積み上げて、縦及び横に広がる像とするという意味。すなわち、5重〜10重の多重記録をするか、もしくは、『断面』を5〜10種類の回折格子で分割記録することとなる。)。
このとき、それぞれの「細長い再生像」を、ビーム光のスポット(『光のドット』となる。)の、「飛び飛びのつながり」や、「連続するつながり」で表し、「縦及び横に広がる全体像」を、「光のドット」の集合体として表すことも、その簡便性から好適である。
または、「所望する再生像」を、その「断面」を視認する位置、すなわち、「断面」から、10〜30cmの距離だけ、離れた位置において、ある程度の縦方向の「広がり」を持つ、「3次元の物体の虚像」としての「再生像」と定めて、その複合回折格子を設定することも可能である。
さらには、そのような「細長い再生像」を、5倍から100倍の拡大鏡、すなわち、シリンドリカルレンズ、凸レンズや、凸面鏡を使用して、拡大観察することもできる。
例えば、「長方形を成す『底面』のサイズが、縦30mm以上×横30mm以上の大きさを有し、焦点距離500mmのシリンドリカルレンズ」とし、「縦100μm×横30mmの長方形」の形状を、縦0.1mm×横30mmのサイズまで、拡大する。
そのような「シリンドリカルレンズ」は、「円柱」や「楕円柱」を、その「円の直径」や「楕円の長軸」に沿って2分する平面(もしくは、その平面に平行な平面。)で、分割した「立体形状」を成すものであり、その「底面」のサイズとして、縦10〜300mm×横10〜100mmの大きさを有することとなる。
また「シリンドリカルレンズ」の「焦点距離」(『焦点距離』は、上記した『円』の半径や『楕円』の軸の長さと、構成する材料の屈折率によって定まる。また、その『円』の曲率半径で直接的にその『形状』を定義できるが、ここでは、『焦点距離』をもって定義する。)として、50〜1000mmのものを用いる。
さらには、「断面レリーフホログラム再生像」を共役像である「実像」とし、その「実像」を凸レンズ等を用いて、拡大して、その拡大像を視認したり、適宜なスクリーン上にその「実像」や、その「拡大像の実像」を結像させて観察することも好適である。
以上の「複合回折格子」を、4つの「レリーフホログラム形成層の『露出している断面』」の、少なくとも一つの「所定の断面」に設ける。
さらには、対向する二つの「断面」に対して、それぞれ異なる「断面レリーフホログラム」を設け、その「二つのホログラム」を通過した「照明光」が、「新たな、一つのホログラム再生像」を再生する、いわゆる、「連想ホログラム」のような構成とすることも好適である。
もちろん、カード表面に対して、斜めに入射する「ビーム光や、平行光」を、カード表面に平行に進む「ビーム光や、平行光」(レリーフホログラム形成層内を、カード表面に平行に進むという意味。)に替えたり、カード表面に平行に進む「ビーム光や、平行光」(同上。)を、カード表面に対して、斜めに出射する「ビーム光や、平行光」に替える、「回折格子」をその「複合回折格子」に含めることも好適である。
そして、このような「断面レリーフホログラム」に対応する「断面ホログラムレリーフ」を、4つの「レリーフホログラム形成層の『露出している断面』」の、少なくとも一つの「断面」に設ける方法としては、あらかじめ、「第一のホログラムレリーフ」を有する「第一の原版」を、予め準備しておき、この「第一の原版」を「複製原版」として、その「第一のホログラムレリーフ」面を、その「断面」に押し付け、「複製原版」側から、加熱、及び、加圧して、その「複製原版」の「第一のホログラムレリーフ」面の凹凸形状を、その「断面」に複製する方法(転写するという意味。)を用いる。
もしくは、「レリーフホログラム形成層」の外形、すなわち、非常に薄く平べったい「直方体」の「形」をした「空洞」であって、その一方の側面(一つの『断面』に相当する。)に、その「複製原版」の「第一のホログラムレリーフ」面を組み込んだものに、「電離放射線硬化タイプ」や、「2液硬化型タイプ」の「透明な樹脂等」を充填して、それぞれの硬化手段により、その「透明な樹脂等」を硬化させ、その「空洞」から取り出す方法を用いる。
何れの場合においても、複数の「レリーフホログラム形成層」(10層〜100層。)を、その「層」間に適宜な剥離処理を施して、もしくは、適宜な剥離層や剥離シート(『厚さ』が、5〜100μmである。)を、複数の「レリーフホログラム形成層」の間に挟んで、「高さ(『厚み』を意味する。縦、横に加えて、高さも、同様に、大きくなるという意味。)」のある「直方体」の「形」ととした、「多層のレリーフホログラム形成層」(一体としたもの。その『断面』形状が、『縦=数mm〜数十mm』×『横=数十mm』となっている。)に対して、同様の手法を用い、一度に、複数の所望の「レリーフホログラム形成層」を得ても良い。
もちろん、この「比較的広くなった断面(複数の『断面』の集合体。)」に、直接、「所定の感光材料」を塗布し、露光方法や、直接描画方法を用いて、その感光材料の表面に、直接、所望の凹凸形状を設ける手法も排除するものでない。
さらには、この「断面」の凹凸形状に、接して、追従するように「反射性薄膜層」を設けることも排除しない。
この「反射性薄膜層」は、10nm〜1000nmの厚さの「金属薄膜」等の「全反射性薄膜層」や、100nm〜500nmの厚さの「金属化合物薄膜」等の「透明反射性薄膜層」を用い得る。
以下の説明においては、「レリーフホログラム形成層」の少なくとも一つの「断面」に、以上の方法を用いて、上記した「第一のレリーフホログラム」、すなわち、「断面レリーフホログラム」の、上記した「ホログラムレリーフ」が設けられているものとする。
本発明においては、このようにして「第一のレリーフホログラム」を記録した「レリーフホログラム形成層」の一方の露出している「断面」(上記の説明における『一方の』の『断面』に相当する。)に、「所定の入射光」として、所定の波長のレーザービーム光や、所定の波長の平行光、さらには、可視光光源(広範囲な波長域を持つ。)からの光を入射させ、その「断面」に設けた、及び/または、その「断面」に対向する「断面」(上記の説明における『他方』の『断面』に相当する。)に設けた、「第一のホログラムレリーフ」によって回折させ、「その『所定の入射光』に基づく『第一のレリーフホログラム再生像』」を再生させて(『レリーフホログラム形成層』の中を通過している。)、その「第一のレリーフホログラム再生像」の「情報」を担持した「光」(これが、出射光となる。)を、対向する「他方の露出している断面」(上記の説明における『他方』の『断面』に相当する。)から、「出射光」として出射させる。
観察者は、本発明のスクラッチカードのスクラッチ隠蔽層をスクラッチしなくとも、この「他方の露出している断面」から出射された「出射光」から、その「第一のレリーフホログラム再生像」を視認することができ、その真正性を判定することができる。(もちろん、スクラッチオフした後も、同様の『真正性判定』は可能である。)
上記した、「出射光」の出射する角度は、カード基材の表面と並行な方向を「角度0度」とし、カード基材の表面に垂直な方向を「角度90度」としたとき、比較的小さくすることが望ましく(カード表面の方向として、『出射光』を見つけ易い。)、「角度0度〜30度」、好適には、「角度5度〜10度」とする(光の進行方向の『上』に曲がるという意味。)。
この「上」に曲がる角度が、30度を超えると、第一のレリーフホログラム再生像の回折効率が低下し易く、また、カード基材から数十cm離れた位置において、再生像を視認し、判定する場合に、その「出射光」の位置を見つけ難くなる。
ここで、カード基材の表面に平行な面内における、曲がる角度は(光の進行方向の『右』や、『左』に曲がるという意味。)、0度〜50度の範囲内において、任意に設定可能である。
また、その「物体」が「平面画像」(透過原稿など。)を平行光で透過させた「もの」(空間変調器による表示を含む。)である場合には、その「物体」の位置に、適宜な「スクリーン」を配置して、その「スクリーン」上に再生された「平面画像」を読取る観察方法も好適である。
特に、POS(『Point of Sale』)端末リーダーに通常使用される光源装置(可視光半導体レーザー。光源波長650nm±10nm。『ビーム径』数mmφ。)を、その「照明光」として使用する場合には、入射する「断面」上を、走査速度50〜100スキャン/秒でラスタースキャンさせることにより(主として、左右にスキャンすることとなる。)、「断面」上のそれぞれの位置に入射する「光(ビーム光)」による、それぞれの第一のレリーフホログラム再生像(再生すべき領域の一部を部分的に照明することによる、部分的な再生となる。但し、『ホログラム記録再生原理』の特徴である『冗長性』により、それぞれの照明においても再生像全体のかなりの範囲がそれぞれ再生される。)が、その走査速度に応じて再生し、残像効果をもって、「全体の再生像」として観察者に視認されることとなるため、好適である。
さらに、「レリーフホログラム形成層」の「第一のホログラムレリーフ」を設けていない「断面」は、その形成過程から、比較的粗い「粗面」となり易く、以下に詳述する「光学的な鏡面」とは異なり、不規則な三次元曲面状となっているため、この「断面」を「所定の入射光」や、「所定の出射光」が通過したとした場合、その「所定の入射光」や、「所定の出射光」の進行方向が不揃いとなるものの、記録した「レリーフホログラム」の性質である「方向選択性」(記録時に定まる方向に進む光のみ、その強度が大きくなる性質。)により、鮮明なホログラム再生像を得ることができるものである。
もちろん、この「断面」をも、「光学的な鏡面」とすることが、より好ましいことは言うまでもない。
本発明のスクラッチラベルに用いられるレリーフホログラム形成層には、「第一のレリーフホログラム」、または、「第二のレリーフホログラム」として、「反射型ホログラム」、または、「透過型ホログラム」のいずれをも記録することができる。
「第二のレリーフホログラム」として、「反射型ホログラム」を記録した場合には、本発明のスクラッチラベルのスクラッチ隠蔽層をスクラッチオフした際、レリーフホログラム形成層にて反射されて観察側に戻ってくる「レリーフホログラム再生像」を視認することができる。
また、「第二のレリーフホログラム」として、「透過型ホログラム」を記録した場合には、レリーフホログラム形成層を透過した光が、レリーフホログラム形成層の背後にある、シート基材との界面にて正反射して、もしくは、黒色層との界面にて吸収されなかった光が正反射して、観察側に戻ってくる「レリーフホログラム再生像」を視認することとなる。
そして、「第一のレリーフホログラム」として、「透過型ホログラム」を記録した場合には、本発明のスクラッチラベルの「レリーフホログラム形成層」の「一方の断面」に対して、所定の入射光を照射すると、その「裏面(反対面)」にあたる「他方の断面」から「第一のレリーフホログラム再生像」が出射されることとなる。
もしくは、「一方の断面」に入射した「所定の入射光」が、鏡面且つ反射面とした「他方の断面」で、正反射(鏡面反射することを意味する。)されて、再び「一方の断面」より、出射する。
また、「第一のレリーフホログラム」として、「反射型ホログラム」を記録した場合には、本発明のスクラッチカードの「レリーフホログラム形成層」の「一方の断面」に対して、所定の入射光を照射すると、その「一方の断面」上で反射され(回折しつつ反射することを意味する。)、「第一のレリーフホログラム再生像」が出射されることとなるか、その「裏面(反対面)」にあたる「他方の断面」上で反射され(同上。)、もしくは、正反射され(同上。)、「一方の断面」に戻って、「一方の断面」から「第一のレリーフホログラム再生像」が出射されることとなる。
このとき、「一方の断面」、もしくは、「他方の断面」、または、その「両方の断面」に、「第一のレリーフホログラム」の「ホログラムレリーフ」を設けるが、その通過、または、反射する過程における「回折」(複数の回折を含む。)や「屈折(反射を含む。)」現象を詳細に設計して、それらの回折効率や、材料の屈折率、さらには、構成を決定する。
そして、それらの「直接的なホログラム記録」または「複製によるホログラム記録」を、カード基材上に設けてある状態の「レリーフホログラム形成層」に施すこともでき、この方法は、多様なホログラムデザインを用いたり、個々のスクラッチカードに個別のホログラム記録を施す場合に好適である。
この記録の際には、レリーフホログラム形成層と、カード基材、さらには、黒色層や反射性薄膜層との界面の状態、すなわち、これらの界面から反射する光の状態が、そのホログラム記録や複製の、精度や品質(すなわち、レリーフホログラム再生像の鮮明度。)に大きな影響を及ぼし、また、ホログラム再生像を観察し、その真正性を判定する際には、観察(判定)するための照明光が、スクラッチ隠蔽層をスクラッチオフして露出したレリーフホログラム形成層の露出面(スクラッチ隠蔽層とレリーフホログラム形成層との界面)を通過するため、この界面の状態、すなわち、この界面を通過する光の状態が、そのレリーフホログラム再生像の鮮明度に大きな影響を及ぼす。
この中でも、スクラッチ隠蔽層とレリーフホログラム形成層の界面が「光学的な鏡面」であることは非常に重要であって、特に、スクラッチ隠蔽層をスクラッチオフした後のレリーフホログラム形成層の露出面の「光学的な鏡面」性の維持は必須要件となる。
この中でも、スクラッチ隠蔽層とレリーフホログラム形成層の界面が「光学的な鏡面」であることは非常に重要であって、特に、スクラッチ隠蔽層をスクラッチオフした後のレリーフホログラム形成層の露出面の「光学的な鏡面」性の維持は必須要件となる。
但し、レリーフホログラム再生像に「ぼかし効果」等の特殊効果を付与する場合には、敢えて、それらの層の界面(スクラッチ隠蔽層とレリーフホログラム形成層との界面。もしくは、レリーフホログラム形成層と黒色層との界面、さらには、シート基材の粘着層と接している表面。)を0.1〜5.0μm程度の「粗面」とすることも好適である。
この「粗面」化処理は、例えば、スクラッチ隠蔽層のレリーフホログラム形成層と接している面、レリーフホログラム形成層の表面や、黒色層、さらには、シート基材の表面に対して施す場合には、例えば、2枚の「表面鏡面仕上げのステンレス板」に、スクラッチ隠蔽層そのものや、スクラッチ隠蔽層とレリーフホログラム形成層の積層体、もしくは、シート基材そのもの等を挟み込んで、適宜な加熱、及び適宜な加圧処理を施す際に、その「表面鏡面仕上げ」を「上記の粗面仕上げを部分的に施し、それ以外の領域た表面鏡面仕上げ、もしくは、全面に粗面仕上げ」としたステンレス板に挟みこむことで、施すことができる。
また、「レリーフホログラム形成層」の断面を「光学的な鏡面」とするために、炭酸ガスレーザーや、YAG個体レーザー等の高出力のレーザー切断装置を用いて切断する「レーザー切断法」や、非常に鋭利な断裁刃を用いて物理的に切断するなどして、「レリーフホログラム形成層」を所定のサイズに切断し、少なくとも1つ以上の切断面を「光学的な鏡面」とした後、カード基材上にラミネートしたり、転写形成したりして設けることが好ましい。
レリーフホログラムは、物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を上記したような、いわゆる、レリーフホログラムの原理でホログラムを記録したものであり、例えば、フレネルホログラムなどのレーザー再生ホログラム、イメージホログラム及び白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、ホログラフィックステレオグラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子などとすることができる。また、マシンリーダブルホログラムのように、その再生光を受光部でデータに変換し所定の情報として伝達したり、真偽判定を行うものであってもよい。
また、CGH手法を用いて、「レリーフホログラム形成層」の「上面」(もしくは、『下面』)への直接描画により、「第二のレリーフホログラム」を記録したり、「レリーフホログラム形成層」の「断面」への直接描画により、「第一のレリーフホログラム」を記録したり、することは、その記録の可変性や、記録精度の高さから、さらに好ましい。
ここで、本発明のスクラッチカードのスクラッチ隠蔽層をスクラッチオフして、露出したレリーフホログラム形成層を観察する者に、このレリーフホログラム形成層の全面に、「単なる一つの第二のレリーフホログラム」が設けられていると思わせることを目的として、自然光下では視認できない「もう一つの、透過型の第二のホログラム」を記録しておき、それらの観察者が自然光下で目視にて鑑賞可能な「反射型の第二のホログラム」を、少なくとも1種類は、上下面の何れかの面に多重記録、もしくは、上下面に別々に記録しておくことも好適である(『隠しホログラム』である透過型ホログラムの記録に重ねて、目に付き易い、反射型ホログラムを記録するという意味。)。
この際、透過型ホログラムの再生効率(ホログラムとして、回折格子を記録した際の回折効率に相当する。)を反射型ホログラムの再生効率よりも小さくすることが、その透過型ホログラムの隠し効果を高める上で、好適である。
「第一のレリーフホログラム」や「第二のレリーフホログラム」を撮影する場合や、再生する場合の光源としては、可視光波長領域にあるコヒーレントな光を発振(発光)するものであれば、いずれも用いることができるが、例えば、ガスレーザーとして、HeNeレーザーLGシリーズ(発振(発光)波長は、594nm、633nm、0.5mW〜30mW)、HeNeレーザーLHシリーズ(同、594nm、604nm、612nm、633nm、0.3mW〜4.0mW)、アルゴンレーザー(同、488nm、40mW)、HeCdレーザーIKシリーズ(同、442nm、20mW〜200mW)、窒素/色素レーザーGL−301、窒素/色素レーザーGL−302(同、360nm〜990nmから選択可能。)等、固体レーザーとして、ルビーレーザー(同、694nm、パルスレーザー)、小型CWレーザー(Nd:YAG、Nd:YLF、Nd:YVO4レーザー)Direct(同、405nm、445nm、447nm、488nm、638nm、643nm、655nm、690nm)、小型CWレーザー(同)Crystal(同、473nm、593nm、657nm、660nm、671nm)、波長変換レーザーOptiシリーズ(同、488nm、589nm)、TOL90色素レーザー(同、420nm〜900nmから選択可能。)等、半導体レーザーとして、SWL−7513H(同、633nm、660nm、8mW〜20mW)、FK LA−100(同、457nm、1W)、LDM(同、405nm、440nm、473nm、635nm、665nm、690nm、10mW〜200mW)等を用いることができる。
この中でも、発振(発光)波長が、650nm±10nmのレーザーを用いることは、上記したPOS端末に対応することを可能とし、本発明のスクラッチカードのPOS端末での真正性判定を可能とするため、特に、好適である。
本発明のスクラッチラベルは、スクラッチ隠蔽層、レリーフホログラム形成層、及び、粘着層、または、そのスクラッチ隠蔽層上や、「スクラッチ隠蔽層とレリーフホログラム形成層との間」に地紋印刷を施したもの、さらには、そのレリーフホログラム形成層に黒色層を付加したもの(「レリーフホログラム形成層と黒色層との間」に地紋印刷を施してもよい。)で構成される。
本発明における「地紋印刷」という表記は、「『地紋印刷という印刷方式』という意味と、『地紋印刷という印刷方式で形成された地紋印刷層』」という意味の両方、もしくは、いずれかを表すものである。
さらに、「黒色層」や、「反射性薄膜層」を、上記した位置に、適宜、設けてもよい。
ここで、「黒色層」や、「反射性薄膜層」は、レリーフホログラム形成層の領域に対してその領域全面に対応して形成してもよいし(もちろん、「秘密情報」形成部を覆う領域には設けない。)、いわゆる「パターン形状」に形成してもよい。
このことは、「粘着層」の形成位置や形成パターンについても同様として、「粘着層」を形成することができることは言うまでもない。
レリーフホログラム形成層は、スクラッチ隠蔽層を溶解したり、変質させたりしない溶剤を用いて、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、凹版印刷方式、インクジェット印刷方式等の印刷方式や、スピンコーティング方式、カーテンコート方式、フォトレジスト処理方式等の形成手段を用いて、乾燥後の厚さとして、5.0μm〜500μm、さらには30μm〜100μmの厚さで、スクラッチ隠蔽層上に形成する。
もしくは、適宜な透明基材に、予め上記の厚さで、レリーフホログラム形成層を設けておき、そのレリーフホログラム形成層(レリーフホログラム記録前、もしくは、記録後)の露出面を、スクラッチ隠蔽層面に接するように積層し、さらに、その透明基材をレリーフホログラム形成層との界面で剥離して、レリーフホログラム形成層を最表面とする手順とすることもできるが、この際も、上記の形成手段を適宜用いることができる。
この厚さが、5.0μm未満であるとレリーフホログラムの記録が困難となり、500μmを超える厚さでは、このレリーフホログラム形成層の上に部分的に設けるスクラッチ隠蔽層の厚さとのバランスが悪化し、または、スクラッチカードのシート基材上のスクラッチ隠蔽部分(「秘密情報」を隠蔽するための、スクラッチ隠蔽層やレリーフホログラム形成層等の積層部分をいう。)の総厚さが大きくなりすぎ、スクラッチカードのスクラッチ適正やハンドリング適正が低下する。
記録するレリーフホログラムのデザインは、単独のホログラムデザインでも、複数のホログラムデザインの集合体でもよい。この「集合体」とは、記録領域が異なるホログラムの集合体、もしくは、記録領域が同一のホログラム多重記録による集合体でもよい。
さらには、反射型レリーフホログラムを通常の観察角度で鮮明に視認される鑑賞用として記録しておき、これに加えて、透過型ホログラムをその観察角度とは、大きく異なる角度(その角度差を30度〜60度とする。この場合は、上述したそれぞれの『角度』範囲を超えることも許容される。)で多重記録して、特殊な観察角度のみで視認可能とすることで、本発明のスクラッチラベルの偽造防止性を高めることも好適である。
本発明のスクラッチラベルを構成するスクラッチ隠蔽層用のインキ組成物としては、ゴム系天然樹脂、ジエン系樹脂、アクリル系樹脂や、ビニル系樹脂を樹脂成分とし、隠蔽性とスクラッチ性を得るために、金属系微粉末やそれらの酸化微粉末等の顔料成分を固形分全体の20〜80%の割合で含有するものを用いる。また、スクラッチ隠蔽層の隠蔽性を向上させるために、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の隠蔽性の強い顔料成分を1〜10%含有させてもよい。スクラッチ隠蔽層用インキ組成物を以上の組成物から構成することにより、印刷適性とスクラッチ性との双方を満足することができるようになる。
スクラッチ隠蔽層は、この組成物を適宜な溶剤で希釈したものを、「適宜な剥離性フィルム」上に、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、凹版印刷方式、インクジェット印刷方式等の印刷方式を用い、乾燥後の厚さとして、5μm〜50μm、さらには10μm〜30μmの厚さで形成する。
この厚さが5μm未満では、「秘密情報」が透けて見える可能性があり、50μmを超える厚さではスクラッチラベルの総厚さが大きくなりすぎ、スクラッチカード等の基材上に貼着した際に、基材上の「突出」が大きすぎてスクラッチカード等を重ねる等のハンドリングに支障をきたす。さらにその厚さが、10μm以上あれば秘密情報の隠蔽性は十分であり、30μm以下であれば形成作業性に優れ、スクラッチカード等を1000枚重ねた際の突出量は3cm以内となり、自動搬送処理等にも使用可能な範囲に収まるものとなる。スクラッチ隠蔽層の厚さがこの範囲であれば、コインや、指もしくは爪で容易に粉砕可能である。
但し、この適宜な剥離性フィルム上に設けた、スクラッチ隠蔽層の露出面は、レリーフホログラム形成層との界面となり、且つ、スクラッチラベルを構成してシート基材に貼着後にスクラッチ隠蔽層を部分的にスクラッチした際には、そのスクラッチ隠蔽層が除去された領域において、その界面を通して、「秘密情報」、及び、レリーフホログラム形成層によるレリーフホログラム再生像を視認することとなるため、それらの視認性を確実なものとすることを目的として、そのスクラッチ隠蔽層の露出面を、いわゆる「光学的な鏡面」とすることが求められる。
このスクラッチ隠蔽層とレリーフホログラム形成層との界面が、「光学的な鏡面」とならず、いわゆる「ランダムな散乱光を発する粗面状」となっている場合には、この「粗面状の界面」をレリーフホログラム再生像を視認するための照明光で照明したときに、その「光の位相」が乱され、さらには、「散乱光」となってしまい、「秘密情報」に対しては、いわば「擦りガラス」を通して情報を見ているような状態となり、レリーフホログラム再生像にあっては、位相の揃った光の干渉により発生するホログラムの再生そのものを阻害して、レリーフホログラム再生像を確認することすらできないものとなってしまう。
このような「光学的な鏡面」とは、ある「層」の表面の平滑性が、実質的に、平均表面粗さRaで、0.01μm〜0.1μmであることを意味する。また、スクラッチ隠蔽層の表面ような「広範囲な三次元曲面」が、「光学的な鏡面である」とは、その曲面が、「理想的な単一平面を成す」ことが理想的であるが、実際には、「『単一平面に近似できる程度の比較的なだらかな曲面』であって、そのような『近似的な平面』から逸脱するような不規則な凹凸(突起やクレーターを意味する。)の無い「滑らかな面」であることを言い、敢えて定義すれば、「その三次元曲面において、微視的領域であってその領域内ではほぼ平面と近似できる小さな面領域(直径で、数百μmから数mmの領域)における平均表面粗さRaの値が、どの微視的領域においても0.01μm〜0.1μmであること」と定義できる。
通常、スクラッチ隠蔽層を上記のような印刷方式を用いて形成すると、その表面は、1.0μm〜30.0μm程度、場合によってはそれ以上の「粗さ」となり、その「粗さ」が、コインや、指もしくは爪で粉砕することを容易なものとし、スクラッチオフ適正という点では望ましいとされている。(スクラッチオフとは、コインや爪によるスクラッチによりスクラッチ隠蔽層を部分的に除去することを意味する。)
しかし、スクラッチ隠蔽層のレリーフホログラム形成層と接している面とは反対の面(スクラッチラベルとしての最表面)は、まさにそのスクラッチをする面であってそのような粗さとすることが好ましいものの、その反対面、すなわち、スクラッチ隠蔽層のレリーフホログラム形成層と接している面は、本発明の目的より、上記したように「光学的な鏡面」とする必要がある。このため、適宜な剥離性フィルム上に、スクラッチ隠蔽層を形成後、上記した「光学的な鏡面」以上の平滑な表面を有する、「表面平滑化処理を施した金属板」等を用いて、100〜200℃の加熱、及び、107〜109Paでの加圧をする平板プレス処理、もしくは、「表面平滑化処理を施した金属ロール」等を用いてロール幅1cmに対して1.0kg以上の線圧を掛けるロールプレス処理により、スクラッチ隠蔽層のレリーフホログラム形成層と接している面を「光学的な鏡面」とする。
または、上記の印刷方式のみならず、ロールコーティング方式や、レジスト処理方式を用いることもこの目的のためには好適である。
さらには、予め、転写用シート基材として、平均表面粗さRaが0.01μm以下の非常に鏡面性の高い「樹脂フィルム」を準備し、この「樹脂フィルム」上に、スクラッチ隠蔽層を仮形成して、スクラッチ隠蔽層のこの「樹脂フィルム」と接している面を「光学的な鏡面」とし、この仮形成したスクラッチ隠蔽層を上記した「適宜な剥離性フィルム」上に転写して、その「適宜な剥離性フィルム」上に、露出面が「光学的な鏡面」となったスクラッチ隠蔽層を設けることができる。
この方式(転写方式)は、スクラッチ隠蔽層を乾燥、さらには、硬化する段階において、スクラッチ隠蔽層に用いるスクラッチ隠蔽層用のインキ組成物の中の顔料成分の移動や、樹脂成分の移動が起こり、比較的容易に「光学的な鏡面」を得ることができ、且つ、その面を、そのまま、スクラッチ隠蔽層のレリーフホログラム形成層との界面とすることができるため好適である。
そのスクラッチ隠蔽層の上に、上記したようにレリーフホログラム形成層を設ける。
さらに、そのレリーフホログラム形成層の上に、粘着層や黒色層を設けたり、黒色層上にさらに粘着層を設ける手順としてもよいし、レリーフホログラム形成層の露出面をも、さらに「光学的な鏡面」とした後に、黒色層や粘着層を形成する手順としてもよい。
もちろん、適宜な剥離性フィルム上に、スクラッチ隠蔽層(「光学的な鏡面」である面を有する。)、その上に、もしくは、その上の一部分に、レリーフホログラム形成層を設けたもの、もしくは、そのレリーフホログラム形成層の上に黒色層を設けたもの、さらには、それらの最上層に粘着層を設けたものを準備し、スクラッチカード等のシート基材上の「秘密情報」形成部が、「そのスクラッチ隠蔽層によって覆われるように配置」して、その剥離性フィルムを有するまま、その適宜な剥離性フィルムごと、シート基材上に貼着するものとしてもよい。
このため、スクラッチ隠蔽層の「平坦な面」、または、レリーフホログラム形成層の「平坦な面」の物理特性を、このようなレリーフホログラム形成層形成段階や、スクラッチ隠蔽層形成段階において、その面を「光学的な鏡面として維持できるレベル」まで向上させる必要がある。
例えば、スクラッチ隠蔽層やレリーフホログラム形成層のインキ組成物に2液硬化性樹脂や、熱硬化樹脂を用いた場合には、「平坦な面」形成時に、そのプレス用の「平板」、もしくは、「ロール」そのものを加熱して、「平坦な面」近傍の硬化度を促進し、完結させたり、レリーフホログラム形成層のインキ組成物に、電離放射線樹脂を用いた場合には、「平板」や「ロール」処理後、または、スクラッチ隠蔽層やレリーフホログラム形成層形成後、さらに、電離放射線を追加照射(ポストキュア。)して、スクラッチ隠蔽層やレリーフホログラム形成層全体の架橋度を98%以上とする。
さらには、その「平板」、もしくは、「ロール」を電離放射線透過性の素材を用いて作製し、その「平板」、もしくは、「ロール」をレリーフホログラム形成層に押し当てたまま、電離放射線を十分に照射して、「平坦な面」形状を高い精度に保ったまま、その物理特性を上記したレベルまで向上させることも好適である。
そして、いずれの層においても、上記の印刷方式のみならず、ロールコーティング方式や、レジスト処理方式を用いることも以上の目的のためには好適である。
または、スクラッチ隠蔽層を、適宜な剥離性フィルム上に、所定の厚さで形成後、「乾燥、さらには、硬化する段階」において、スクラッチ隠蔽層に用いるスクラッチ隠蔽層用インキ組成物の中の顔料成分の移動や、樹脂成分の移動を十分に起こすために、その「乾燥条件や硬化条件」を通常の処理時間の2倍〜10倍の処理時間とすることも、スクラッチ隠蔽層の固まった界面そのものを「光学的な鏡面」として仕上げることができ好適である(この界面付近に粒径の小さい顔料が集まったり、顔料と顔料の隙間に樹脂成分が十分に充填されることを意味する。)。
もちろん、予め、「『光学的な鏡面』を持つ適宜なフィルム」上に、スクラッチ隠蔽層を仮形成して、スクラッチ隠蔽層のその「光学的な鏡面」と接している面を、実質的に「光学的な鏡面」とし、これを、「適宜な仮転写用フィルム」上に「仮転写(転移)」して、その「光学的な鏡面」を露出させ、これを、ある意味で新たな「平板、もしくは、ロール」と見立てて、レリーフホログラム形成層に押し当てて、その適宜な仮転写用フィルムから転写(スクラッチ隠蔽層の転移。)して、スクラッチ隠蔽層の鏡面性を確実に高めた状態で、レリーフホログラム形成層とスクラッチ隠蔽層の積層体とすることも、「光学的な鏡面」を高い精度で確実に得ることができる手段として好ましい。
本発明のレリーフホログラム形成層の上には、さらに黒色層を設けることができ、その黒色層としては、微粒子カーボンブラック(一次粒子径:0.2〜2.0μm)や、超微粒子カーボンブラック(一次粒子径:0.01〜0.1μm)、その他の炭素系黒色顔料や酸化物系黒色顔料の微粒子や超微粒子、さらには、含金属黒色染料(金属錯塩染料)等のように、観察する光(可視光)の全波長領域に対する吸収性を有する顔料や染料を、熱可塑性樹脂、または、熱硬化性樹脂に分散したもの(顔料や染料の含有率:20〜70質量%)からなるものであって、且つ、観察する光の波長である約0.5μmの5倍〜50倍、すなわち、2.5μm〜25μmの厚さ、さらには、10倍〜40倍、5.0μm〜20μmの厚さを有していることにより、反射型レリーフホログラムを記録したレリーフホログラム形成層で反射した光(反射型ホログラム再生像を再生する光を含んでいない。)をほぼ全て吸収して、そのレリーフホログラム再生像の鮮明度を非常に高いものとする。または、透過型レリーフホログラムを記録したレリーフホログラム形成層を透過した光(透過型ホログラム再生像を再生する光を含んでいる。)をパターン状に吸収して、そのレリーフホログラム形成層のホログラムデザインをより意匠性の高いものとする。
さらには、上記した種々の手段を採用して、この黒色層の表面を「光学的な鏡面」とし、この面で全反射する角度(ブリュスター角より大きい角度を意味する。)に入射する観察光を、「正反射光」として反射し、その偽造防止性の確保に寄与することもできる。
その厚さが、観察光の波長の5倍以下では、光の吸収が不十分であり、50倍以上では、「ラベル」の「総厚さ」が大きくなりすぎ、スクラッチカード等のハンドリングに支障をきたす。
黒色層の表面を「光学的な鏡面」とする場合には、超微粒子黒色顔料を用い、且つ、3本ロールミルや、ニーダー等の、インキに対する顔料の高分散処理が可能な装置を用いてインキ化することが望ましい。
黒色層の形成方法は、上記のインキを用いて、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式等、形成パターンに適宜な方式を用いることができる。さらには、にじみや、インキダレを抑えるため、フレキソ印刷方式を用いることが望ましい。
黒色層を形成する位置は、レリーフホログラム形成層の背後、すなわち、レリーフホログラム形成層と粘着層(シート基材上の「秘密情報」を視認可能とするため、少なくとも「秘密情報」形成部に対応する部分を除いて形成する。)との間であって、レリーフホログラム形成層全面に亘るサイズとして形成してもよいし、複数の領域に適宜なパターンで離散的に形成してもよい。
それぞれ、レリーフホログラムデザインとの同調性、各層厚さとのバランス、使用する樹脂層の屈折率差や、接着性を考慮して形成方法、形成パターン形状を定める。
さらに、反射性薄膜層の形成方法としては、「金属」や「合金」、または、金属酸化物や、金属窒化物等の、金属化合物を用いて、蒸着法、スパッタリング法などの物理的薄膜形成法や、メッキ法や、CVD(化学気相成長法)などの化学的薄膜形成法等を用いることができる。
この「反射性薄膜層」は、10nm〜1000nmの厚さの「金属薄膜」等の「全反射性薄膜層」や、100nm〜500nmの厚さの「金属化合物薄膜」等の「透明反射性薄膜層」を用い得るが、「全反射性薄膜層」としては、アルミニウム薄膜層、そして、「透明反射性薄膜層」としては、ZnS薄膜層や、TiOx薄膜層を用いることが望ましい。
また、以下に詳述する粘着層に、上記の顔料等を追加(添加)して、「黒色粘着層(黒色層と粘着層の機能を一つの層で実現するという意味。)」とすることも好適である。
このレリーフホログラム形成層の上に、粘着層を、乾燥後の厚さとして、10μm〜60μmの厚さで形成する。
粘着層用のインキ組成物としては、溶剤系及び水系のいずれの粘着剤をも用いることができ、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体や、天然ゴムなどのゴム系樹脂などを挙げることができる。また、自然にやさしい材料構成とするために、特に、天然ゴムを主成分とするラテックス等の天然素材から作製されたものを用いることが好適である。
粘着層は、10μm未満であると、スクラッチカード等のシート基材、及び、秘密情報記録部との粘着性が不十分となり、60μmを超えると、やはり、スクラッチラベルの総厚さが大きくなりすぎ、スクラッチカード等のシート基材上に貼着した際に、スクラッチカード等を重ねる等のハンドリングに支障をきたすものとなる。
但し、「秘密情報」をインクジェット方式でシート基材上に設けた際に、その「秘密情報」印字部の高さ(印字部の盛り上がりを意味する。)が、5.0μm〜20μmと高くなった場合には、その「秘密情報」の上に本発明のスクラッチラベルを貼着したときに、粘着層が、その「高い」印字部を柔らかく包み込むように適宜な変形を生じ、その「高さ」を吸収して、「秘密情報」印字部の盛り上がりパターンをレリーフホログラム形成層や、スクラッチ隠蔽層の盛り上がりに繋がらないようにすることが必須であり、このため、粘着層の厚さを、インクジェット方式で設けた「秘密情報」の盛り上がり高さ(印字部のシート基材面から印字部表面までの距離を意味する。)の2.0倍〜5.0倍とすることが好適である。
この厚さが、その盛り上がり高さの2.0倍未満であると、その吸収性が不十分となり、5.0倍を超えると、不必要な厚さとなり、やはり、スクラッチラベルの総厚さに悪影響を与えることとなる。
粘着層の形成方法としては、グラビアコート、ロールコート、コンマコートなどの方法で、塗布し乾燥して形成することができる。
粘着層の粘着力は、レリーフホログラム形成層との界面の剥離強度として、JIS Z0237準拠の180°による剥離方法において、1.0〜3.0kg/25mm巾の範囲にすることが望ましい。もちろん、それ以上の剥離強度を有していても、本発明の目的には適合している。特に、シート基材及びシート基材上の「秘密情報」形成部との粘着力は、本発明の目的より、本発明のスクラッチラベルをシート基材及びシート基材上の「秘密情報」形成部から剥がすことが困難となるレベルまで大きいものとする必要があるが、その粘着層とシート基材及びシート基材上の「秘密情報」形成部との界面の剥離強度よりも、粘着層とレリーフホログラム形成層との界面の剥離強度を、より大きいものとなるように設計する。
このようにして適宜な剥離性フィルム上に設けた、スクラッチ隠蔽層、レリーフホログラム形成層及び粘着層からなるスクラッチラベルを、その剥離性フィルムから剥離すると、本発明のスクラッチラベルとなる。
上記した目的から、この剥離性フィルムの表面を、平均表面粗さRaで、1.0μm〜30μm、もしくはそれ以上の粗さに設定した「粗面」としておくことも、スクラッチ時の破壊性を均一、且つ、容易化することができ、スクラッチオフ適正の向上に寄与する。
また、この構成において、粘着層とレリーフホログラム形成層との界面を「反射面」とし、そのレリーフホログラム形成層に記録した「透過型レリーフホログラム」を、この「反射面」を介して観察するようにするためには、粘着層の屈折率とレリーフホログラム形成層の屈折率との差は、0.1以上とし、この両層の界面における、反射光の強度を確保して、その「反射光」を「透過再生光」として再生される「透過型レリーフホログラム再生像」を鮮明なものとすることが必要である。
この両層の屈折率差が、0.1未満であると、上記した「反射光」の強度が小さくなり、目視ではほとんど「透過型レリーフホログラム再生像」を視認することができないものとなる。
また、粘着層は、そもそも反射型であって粘着層の手前で再生像を形作る「反射型レリーフホログラム」を記録したレリーフホログラム形成層や、透過型レリーフホログラムを記録したレリーフホログラム形成層であっても、その透過型レリーフホログラム再生像の再生に大きな影響を持つ、上記の「反射面」の背後にあるため、その「反射型レリーフホログラム」や、上記の反射光そのものには直接的な影響を及ぼさず、比較的透明性を犠牲にすることが可能であって(「秘密情報」を視認可能なレベルの透明性は必要。)、比較的屈折率の高い透明な樹脂材料に、屈折率の高い顔料(顔料の屈折率が2.0以上、さらには、3.0以上のもの等。屈折率が3.0を超えると、光散乱性や光遮蔽性が発現する。)を30〜70%程度、混入させることで、透明性がやや低下するものの、「高屈折率を有する層」とすることができる。
但し、反射面の背後であっても、着色していたり、白色となって光を散乱する性質が強いものとなると、「秘密情報」の視認性のみならず、レリーフホログラム再生像の鮮明度にも悪影響を及ぼすこととなるため、粘着層を、「高屈折率透明樹脂層」、すなわち、「透明性」を確保しながら屈折率nが、1.7〜2.3という高屈折率を示す、透明な樹脂層により構成することで、この両層の屈折率差を、0.3〜1.0、特に0.5〜1.0とすることができ、上記した反射光強度を非常に大きなものとして、より鮮明な透過型レリーフホログラム再生像を出現させることを可能とすることができる。
「樹脂材料の光学的透明性を維持した上での高屈折化」については、鋭意、研究が進められているが、ホログラム再生像の観察に悪影響を及ぼさず(「光学的に透明」であることを意味する。)、粘着層を通して、その配下にある「秘密情報」を十分、且つ、確実に視認できる「透明性」を保持しつつ、「《樹脂層》としての屈折率」を高くすることには限界があり、比較的屈折率の高い樹脂の高分子構造の中に、原子屈折率の高い「硫黄原子」や、塩素原子やフッ素原子等の「ハロゲン成分」、さらには、高屈折率構造を持つ「芳香環基」を分子レベルで導入する方法や、TiOxやZrOx等の高屈折率金属酸化物の超微粒子(平均粒径:0.0003μm〜0.03μm)を樹脂材料に高度に分散させる方法、さらには、高分子材料の分子構造の中に、所定の金属塩を取り込ませる方法等によって、屈折率n=1.9を超える材料を見出したものの、それでも、金属化合物微粒子(または薄膜。)の例であるZnSの屈折率n=2.3を超えるような「透明な」樹脂はまだ発見されていない。
従って、「水」の屈折率n=1.33に近い、「樹脂」としては最も低いものをレリーフホログラム形成層に用いたとしても、粘着層に用いられる高屈折率透明樹脂層としての樹脂の屈折率は、屈折率n=1.83で屈折率差0.5を実現でき、レリーフホログラム形成層として良く用いられるアクリル樹脂(屈折率n=1.47)に対しては、屈折率n=1.97の樹脂をその粘着層に用いられる高屈折率樹脂層として実現可能であるものの、屈折率差で1.0を超える樹脂の組み合わせを実現することは、その樹脂の透明性を犠牲にする以外には方法がなく、本発明のスクラッチラベルの粘着層に求める「透明性」を維持しつつ、これを実現することは相当の困難を伴うこととなる。
さらに、本発明のスクラッチラベルをシート基材に設けてスクラッチカード等を形成する方法に代えて、シート基材上の「秘密情報」を覆うように、直接、レリーフホログラム形成層を設け、そのレリーフホログラム形成層を覆うようにスクラッチ隠蔽層を設けることも可能であり、この場合には、シート基材、「秘密情報」形成部、レリーフホログラム形成層、及び、スクラッチ隠蔽層が、一体となった、スクラッチシートを構成することができる。
すなわち、この手順においても、本発明のスクラッチラベルを貼着してスクラッチカード等を構成することと同様の効果をえることができる。
そしてこのスクラッチシートにおいても、シート基材上に「秘密情報」形成部を設ける際、シート基材上の、その「秘密情報」を覆うように、直接、レリーフホログラム形成層を設ける際、そして、そのレリーフホログラム形成層を覆うようにスクラッチ隠蔽層を設ける際、さらには、地紋印刷を施したり、黒色層を設ける際には、上記した材料、方法、及び、手順を用いることができることは言うまでもない。
また、レリーフホログラム形成層を「スクラッチシート」のシート基材上の「秘密情報」を覆うように設ける際、そのシート基材(及び、「秘密情報」)とレリーフホログラム形成層との間に、接着層を設けることができる。もしくは、シート基材(及び、「秘密情報」)と、「レリーフホログラム形成層及びスクラッチ隠蔽層」積層体、または、「黒色層、レリーフホログラム形成層及びスクラッチ隠蔽層」積層体との間に、接着層を設けて、「スクラッチシート」とすることができる。
接着層を設けることで、シート基材及び「秘密情報」と、レリーフホログラム形成層、スクラッチ隠蔽層(一部分)、または、黒色層との接着力を高めることができ、スクラッチオフの際や、レリーフホログラム形成層を不正に剥がそうとする場合に、不要なスクラッチ隠蔽層や、レリーフホログラム形成層の剥がれを防止することができ、且つ、「秘密情報」の改ざんや改変を阻止することができる。
接着層は、乾燥後の厚さとして、1.0μm〜30μmの厚さで形成する。
この接着層用のインキ組成物としては、シート基材及び「秘密情報」を部分的に溶解したり、膨潤させたり、変形や変質を生じさせないものを用いる。もちろん、この接着層用インキ組成物を、レリーフホログラム形成層、スクラッチ隠蔽層(一部分)、または、黒色層上に設ける手順とする場合には、それらの層を部分的に溶解したり、膨潤させたり、変形や変質を生じさせないものを用いる。
そのインキ組成物としては、上記した粘着層と同様の材料を用いることができるが、その乾燥後や、硬化後の性質が「粘着性(常温で粘性『タック』がある。)」でなく、「固化(常温で粘性『タック』がない。)」するものを選定する。
すなわち、上記の粘着層に用いるものより、ガラス転移点(Tg)が高いものや、2液硬化剤の添加量の多いものを選定する。
接着層の接着力は、スクラッチカードのシート基材、及び、「秘密情報」形成部との接着力、また、スクラッチ隠蔽層との界面の剥離強度として、JIS Z0237準拠の180°による剥離方法において、2.0〜4.0kg/25mm巾の範囲にすることが望ましい。もちろん、それ以上の剥離強度を有していても、本発明の目的には適合している。
特に、シート基材及びシート基材上の「秘密情報」形成部との接着力は、本発明の目的より、レリーフホログラム形成層やスクラッチ隠蔽層(一部分)をシート基材及びシート基材上の「秘密情報」形成部から物理的に剥がすことは、ほぼ不可能となるレベルまで大きいものとする必要がある。
このようにして、スクラッチカード等のシート基材、その上に設けた「秘密情報」、その「秘密情報」を覆うようにして設けた、レリーフホログラム形成層、さらにそれらの層を覆うように設けられたスクラッチ隠蔽層からなるスクラッチカード等(「スクラッチシート
」)を得てもよい。
または、スクラッチカードのシート基材、その上に設けた「秘密情報」、その「秘密情報」を覆うようにして設けた、接着層、レリーフホログラム形成層(さらに黒色層が設けられている場合もある。)及びスクラッチ隠蔽層からなるスクラッチシートを得ることもできる。
また、スクラッチ隠蔽層を、一旦、適宜な剥離性フィルムに設ける手順とする場合に、その剥離性フィルムの表面の一部(「正規購入者のみが知り得る「秘密情報」形成部の位置」を表示するような「パターン」状として設けたり、バーコード状、網点状、市松模様状に設ける。)を、平均表面粗さRaで、1.0μm〜30μm、もしくはそれ以上の粗さに設定した「粗い粗面」としておくことも、スクラッチ時の破壊性を均一、且つ、容易化することができ、スクラッチオフ適正の向上に寄与する。
もちろん、本発明のスクラッチラベルを形成後、そのスクラッチ隠蔽層の最表面上に、さらに、上記したごとく「粗い粗面」を有する「平板やロール」を用いて、加熱、且つ、加圧処理を施して、スクラッチ隠蔽層の最表面を所定の「粗い粗面」とすることも好適である。
さらには、このような「粗い粗面」部分の導入を、スクラッチ隠蔽層とレリーフホログラム形成層の界面に実施しても、そのスクラッチ適正の向上や、意匠性の向上に好適である。
また、スクラッチ隠蔽層のレリーフホログラム形成層が形成されている面とは反対の面に、または、スクラッチ隠蔽層とレリーフホログラム形成層との界面に、地紋印刷を施して、その「地紋」が存在することによる偽造防止性の向上のみならず、不正にスクラッチした際にその「地紋」も同時に削れてしまうことによって、偽造や変造を防止する効果を高めることができる。
この地紋印刷は、主要なデザイン模様の背景となる淡色系のパターンや彩文の印刷のことであり、単色の印刷用インキを使用してもよいが、より偽造防止性を高めるため、多色の印刷用インキを使用することも好ましい。この多色の地紋印刷には、オフセット印刷や、グラビア印刷も使われるが、オルロフ印刷やシムルタン印刷などの特殊な印刷方式もその高い偽造防止性から好適である。
オルロフ印刷とは、凸版多色集合印刷のことであり、それぞれの色のインキに対応する部分版(パターンローラ)に転移したそれぞれの色のインキを中間のローラに集合し、その集合ローラから一つの凸版版面にそれらのインキを同時に着肉する。凸版版面から直接印刷する場合(オルロフ印刷)とゴム胴(ブランケット胴)にインキを転移してから印刷する方法(オフセット・ザンメル)とがある。版面は一つであるが、一つの画線の途中から色を何色かに変化させることが出来るものである。
また、シムルタン印刷とは、複数の版面(平版や樹脂版、もしくは金属版などの凸版版面)を一つのゴム胴(ブラン胴)の周りに配置して、各版面からのインキをゴム胴に集合してから印刷する。印刷位置精度は版胴への版面の取り付け精度でほとんど決まり、シート基材の伸縮などの影響が少ないため、高い見当合わせが安定して可能となるものである。
この地紋印刷のデザインとしては、装飾的効果をあげるための図形であって、規則正しく繰り返される「文様」や、紋章的な感じを含む図文である「紋様」、その他染織等に用いられる「型」として繰り返される意匠等を用いることができる。
特に、スクラッチによって、容易にそのデザインが破壊されることを目的として、それらの画線の幅を非常に細く、30〜100μm程度とした「細線」、もしくは、「細紋」とすることも好適である。
地紋印刷における「地紋」の形成厚さは、1.0〜10.0μmとする。
ここで、スクラッチ隠蔽層の表面は「粗い」面であるため、この凹凸に追従して印刷可能なインクジェット方式や、この凹凸に影響され難い感熱転写方式、もしくは、昇華転写方式を用いて地紋印刷を行ってもよい。さらに、このような転写方式を用いて、スクラッチ隠蔽層の凹凸の凸部のみに印刷を行い、不正なスクラッチにより非常に容易に地紋印刷が破壊されるようにすることも好適である。
特に、昇華転写方式は、スクラッチ隠蔽層を構成する樹脂層にのみ浸透し、独特の風合いを醸し出すとともに、同一のものを偽造することが困難であるため好ましい。
また、この地紋印刷のデザイン及び、形成位置を、スクラッチ隠蔽層の上下で同一とすることも、その意外性や偽造防止性を高めるため好適である。
そして、本発明のスクラッチラベルのスクラッチ隠蔽層を、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料及び、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料の両方を含んでいるものとすると、スクラッチカードを不正な目的で曲げたり、湾曲させたりした際に、さらには、そのスクラッチ隠蔽層部分そのものを剥がそうとした際に、スクラッチ隠蔽層に対して、いわゆる「剥離痕」を残すことが可能となり、その偽造防止性を著しく高めることが可能となる。しかも、この「剥離痕」は、一旦、発生すると、もはや、その「剥離痕」を修復する手段はないため、その偽造防止性を著しく高めることとなる。
スクラッチ隠蔽層用のインキ組成物に含める顔料成分としては、上記したごとく、金属系微粉末やそれらの酸化微粉末等(もちろん、窒化物やその他の化合物微粉末でもよい。)の顔料成分を20〜80%含有するものを用いるが、この顔料成分として、平均粒子径1.0μm〜10μmの比較的粒子径の大きい顔料、または、顔料群(「群」とは、複数の顔料を混合することも含める意味。以下、「顔料、または、顔料群」を略して、「顔料(群)」ともいう。)と、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料、または、顔料群を準備し、これらの混合系を用いることで、粒子径の大きい顔料(群)の隙間に微粒子顔料(群)が入り込む構造とし、スクラッチ隠蔽層が極度の変形を受けた際に、微粒子顔料(群)が粒子径の大きい顔料間の滑り剤の役目を果たして、粒子径の大きい顔料の層内移動を容易かつ不可逆なものとする(塑性変形を生じることを意味する。)。さらに、この「滑り」効果を助長するためにシリコーンオイルやタルク等の滑り性付与剤を1%〜5%添加することも好適である。
スクラッチカードを不正な目的で、90度から180度の「折れ曲がり変形」させると、スクラッチ隠蔽層自体も同様の変形を受け、スクラッチ隠蔽層の一方の面は、シート基材と固着してズレ変形を生じ難い状態となっていることから、スクラッチ隠蔽層の他方の面にその変形圧力が集中し、上記の塑性変形を大きくして、そのスクラッチ隠蔽層の他方の面に不規則な凹凸や、不規則な裂け目を発生させ、この不規則な凹凸や、不規則な裂け目が、「剥離痕」として視認されることとなる。
このような「剥離痕」をより確実に発生させるためには、粒子径の大きい顔料(群)と、微粒子顔料(群)の比率を、10対1〜10対30、特には、10対5〜10対10とすることが好ましい。
「粒子径の大きい顔料(群)」10に対して、「微粒子顔料(群)」の比率が1未満であると、スクラッチ隠蔽層に「剥離痕」が発生し難くなり、「微粒子顔料(群)」の比率が30を超えても、やはり「剥離痕」が発生し難くなる。
さらには、スクラッチ隠蔽層用インキ組成物に用いる樹脂として、凝集破壊し易い脆弱性の樹脂を用いることもこの「剥離痕」の発生を確実なものとするが、この場合には、スクラッチオフ(コインや爪によるスクラッチによりスクラッチ隠蔽層を部分的に除去することを意味する。)を容易とする効果も発現するため好適である。
また、そのインキ組成物に、粒子径の大きい顔料(群)と、微粒子顔料(群)の比率を、10対1〜10対5として配合することで、スクラッチ隠蔽層の塑性変形をし易くすることは、スクラッチ隠蔽層の最表面に上記したような平圧(平板)プレスやロールプレス処理を施すことにより「光学的な鏡面」とする際にも望ましいものとなる。
さらに、スクラッチ隠蔽層のレリーフホログラム形成層が積層されている領域以外の領域において(スクラッチ隠蔽層のサイズが、レリーフホログラム形成層のサイズより大きく設定してあることを意味する。スクラッチ隠蔽層のレリーフホログラム形成層よりはみ出した部分は、粘着剤と、直接、接することとなる。)、スクラッチ隠蔽層とシート基材との接着強度に「所定パターン」状の変化(例えば、粘着層の材料を代えて、「粘着の強い部分」と「粘着の弱い部分」を設け、その強度比を、2/1〜5/1とすることを意味する。)を持たせたり、または、スクラッチ隠蔽層の「秘密情報」形成部以外の領域において、スクラッチ隠蔽層を部分的に、例えば、文字状にスクラッチし難い層として、すなわち、「不正」や「開示」等の文字状にスクラッチ隠蔽層をレリーフホログラム形成層上や、シート基材上に固着させて、むやみにスクラッチ隠蔽層を隅から隅までスクラッチオフしようとする行為に対する牽制とすることも好ましい。
この場合には、例えば、スクラッチ隠蔽層を、上層と下層の2層構成とし、スクラッチ隠蔽層の下層を設ける際に、予め、レリーフホログラム形成層面やシート基材面に固着し、且つ、爪等によっては剥がすことができない強度(硬度)を有する樹脂層を用いて、「文字パターン」の印刷を行っておき、このパターン部分を除いて、通常のスクラッチ隠蔽層の下層を設け、それらを全て覆うように、スクラッチ隠蔽層の上層を設ける等の工夫が必要となる。
このようにして得られた、本発明のスクラッチラベルを貼着したスクラッチカード等を、その外観から観察した場合には、スクラッチ隠蔽層(及びレリーフホログラム形成層)に覆われた「秘密情報」を視認することはできなかったが、そのレリーフホログラム形成層の一方の断面に、所定の入射照明光による照明を行うと、他の断面から「第一のレリーフホログラム再生像」が現れ、さらに、そのスクラッチ隠蔽層をコインで一部削り取ることにより、その削りとった領域から、「秘密情報」及び、レリーフホログラム形成層からの「第二のレリーフホログラム再生像」を同時に視認することができた。
また、スクラッチ隠蔽層が、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料及び、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料を含んでいる本発明のスクラッチラベルを貼着したスクラッチカード等のシート基材を湾曲させて、スクラッチ隠蔽層の断面を露出(より見えやすくするという意味も含む。)させようとすると、スクラッチ隠蔽層の表面に「剥離痕」が発生し、不正を働こうとした痕跡を残さずスクラッチ隠蔽層を元の状態に戻すことはもとより、スクラッチカード等に何らかの変造を加えようとすることは困難と思われた。
さらには、本発明のスクラッチラベルを貼着したスクラッチカード等のスクラッチ隠蔽層を、その下にある「秘密情報」形成部の位置を知らずに一部スクラッチオフしたところ、その領域には「秘密情報」が現れず、結局、やみくもに全てのスクラッチ隠蔽層を剥がすこととなり、正規購入者によるスクラッチオフでないことが一目瞭然となった。このことは、スクラッチカードの正規購入者でない者が、「秘密情報」を覗き見する等の不正を働くことに対する牽制効果を有すると思われた。
本発明によれば、レリーフホログラム層をスクラッチ隠蔽層の背後に設けて、第三者に対してレリーフホログラムの存在、及び、そのレリーフホログラムデザインを秘匿可能とし、スクラッチ隠蔽層をスクラッチして初めて、そのレリーフホログラムの存在を確認できるという高い偽造防止性と、スクラッチ後には、隠蔽した秘密情報とその鮮明なレリーフホログラムデザインを重ねて視認できるという高い意匠性、さらには、そのレリーフホログラムが存在するか否かを目視によって判定するという真正性判定の簡易性をも併せ持つスクラッチラベルを提供することができる。
そして、本発明のスクラッチラベルを、上記した、いわば、「スクラッチカード」となるカード等のシート基材上に設けられた「秘密情報」を覆うようにして、そのシート基材に貼着することにより、「本発明のスクラッチラベルが貼着されたカード等」、すなわち、「秘密情報が隠蔽されたスクラッチカード等」とすることを可能とする。
本発明のスクラッチラベルを貼着したスクラッチカード等においては、レリーフホログラムデザインを第三者に開示していないことから、不正者が、例え、本発明のスクラッチラベルを貼着したスクラッチカード等を複数枚入手して、その構造やレリーフホログラムの存在を知り得たとしても、そのレリーフホログラムデザインが統一された唯一のデザインなのか、複数のデザインを任意に配したものなのか、もしくは、特定の秘密情報に対して特定のレリーフホログラムデザインを対応させてあるものかを知ることができないものとしており、この原理によって、入手したスクラッチカード以外の秘密情報を有するスクラッチカード等に対しての「偽造品」を作ることを事実上不可能とした、スクラッチラベルを提供することができる。
さらには、そのレリーフホログラム層に、断面への入射照明光によって断面から出射再生するホログラムを記録しておき、スクラッチ隠蔽層をスクラッチする前に、不正者には想像することも出来ない方法での真正性判定が可能となる、著しく偽造防止性に優れるスクラッチカードを提供する。
また、スクラッチ隠蔽層とレリーフホログラム層の界面を「光学的な鏡面」として、そのレリーフホログラム再生像の鮮明度を確保して、これを偽造することを非常に困難とし、さらには、スクラッチ隠蔽層に平均粒径の異なる顔料を配して、不正な目的でカードを湾曲させたりしたときに、その剥離痕を発生させ、もはや、その剥離痕を修復することは不可能となる構造として、その偽造防止性を著しく高めることを可能としたスクラッチラベルを提供することができる。
従って、本発明のスクラッチラベルは、偽造や変造を著しく困難とした新規なスクラッチカード等(すなわち、「スクラッチシート」。)を提供することを可能とし、第三次産業においてそのカード保持者が正当な権利を有する者であるとの証明や、「スクラッチくじ」などの用途のみならず、高額商品や高額サービスを提供するシステムにおいて、いわゆる「鍵」の役割を担う用途に有用である。
本発明の一実施例を示すスクラッチラベルH1の断面図である。(SEC1、 及び、SEC2は、レリーフホログラム形成層2の、それぞれ『一方の露出し ている断面』及び『他方の露出している断面』である。) 本発明の他の実施例を示すスクラッチラベルH2の断面図である。(レリーフ ホログラム形成層2と粘着層3の間に、黒色層4が設けられている。SEC1 、及び、SEC2は、レリーフホログラム形成層2の、それぞれ『一方の露出 している断面』及び『他方の露出している断面』である。) 本発明のスクラッチラベルH1、または、H2を貼着したスクラッチシートS S1の、そのシート基材S1の所定の位置に、そのシート基材S1の上に設け られている「秘密情報」S2を覆うように、本発明のスクラッチラベルH1、 または、H2を貼着した図である。ここで、(a)は、スクラッチシートSS 1を上から見た図であり、(b)は、そのA−A断面図である。(地紋印刷5 は表示していない。) スクラッチシートSS1のシート基材S1の上に「秘密情報:1234567 8」S2を印字した図。(「秘密情報」S2を囲む枠は、便宜上、記載してあ るのみ。) シート基材S1の所定の位置に、「秘密情報」S2を覆うように、貼着した本 発明のスクラッチラベルH1、または、H2(図中では「長方形」で示してあ る。)の、そのスクラッチ隠蔽層1の上(最上層)に、さらに、地紋印刷5を 設けた図である。(図中、地紋印刷5のみを強調して図示している。)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
(シート基材、及び、「秘密情報」形成部)
本発明のスクラッチラベルH1、または、H2を貼着して構成されるスクラッチシートSS1に用いられるシート基材S1としては、「秘密情報」S2表示部を設けることができ、本発明のスクラッチラベルH1、または、H2を貼着できるものであれば、あらゆる材料、すなわち、プラスチック材料、金属材料、セラミック材料、生体材料、それらの複合材料、さらには、それらを多層構造としたり、さらに複雑に組み合わせたりしたものなどを用いることができる。
且つ、その表面や裏面に、本発明のスクラッチシートSS1の用途に応じた印刷等の手段による適宜な表示を設けたものであってもよい。(図3〜図5参照。図3〜図5では、シート基材S1の表面に「☆スクラッチカード☆」などの印刷を施しているが、この「印刷デザイン」を、スクラッチ隠蔽層1の上に設けてもよいし、また、この「印刷デザイン」をレリーフホログラム形成層2に記録する「ホログラムデザイン」として、レリーフホログラム形成層2に記録しておいてもよい。)
その形状も、あらゆる形状、すなわち、シート状、フィルム状、板状、立方体状、直方体状、カード形状(磁気カード、ICカード、非接触ICカード、ポストカード、グリーティングカード、名刺、ポイントカード、ライセンスカード、遊戯用カード等の形形状)、はがき形状、リーフ形状、帳票形状、伝票形状、Sメール形状、ラベル形状、シール形状、証券類形状、通帳形状、パスポート形状、郵便物形状、配送物形状、封筒状、袋状、箱状、ケース状、円盤状、ディスク状、楕円体状、球体状、曲面形状、棒状、及びこれらの組み合わせや、これらに変形、切断、穴あけ、接着等の加工処理を施したものなどを採用することができる。さらには、電子端末や、携帯用端末等、あらゆる工業製品やあらゆる商品をもシート基材S1として採用することができる。
また、スクラッチシートSS1の他の構成(図示していない。)として、シート基材S1、「秘密情報」S2表示部、レリーフホログラム形成層2、及び、スクラッチ隠蔽層1の構成とする場合には、レリーフホログラム形成層2や、スクラッチ隠蔽層等との接着性を考慮してシート基材S1を選定する。
その厚さも、「秘密情報」S2表示部を支持することができ、且つ、ハンドリング可能であればよく、特に制限はないが、通常、3.0μm〜3.0mmの厚さとする。もちろん、封筒状や、箱状のものであれば、その立体形状の寸法は、それぞれの用途に適したものとするため、この範囲内とする必要はない。
但し、これらのシート基材S1上に設けた「秘密情報」S2を、本発明のスクラッチラベルH1、または、H2の貼着により、そのスクラッチ隠蔽層1で秘匿することとなるが、そのスクラッチ隠蔽層1を設けた側、もしくは、その反対側から、シート基材S1に対して、1000ルクスを超える強度の大きい可視光線照射や、0.5W/平方センチメートル以上の赤外線照射、0.1W/平方センチメートル以上の紫外線照射、1ギール/分以上のX線照射等、さらには、100kV以上の電子線等の粒子線(以上を総称して「光線」と称する。)を照射して、その「透過『光線』」や「反射『光線』」、さらには、特性X線等から、その「秘密情報」S2や「レリーフホログラム形成層2」の「位置や形状」を読み取ろうという試みに対抗するため、そのシート基材S1の性質として、これらの「光線」を「遮蔽」したり、「反射」、もしくは、「散乱」させる性質を保有するものを採用することができる。
すなわち、可視光線照射に対しては、可視光線を遮蔽したり散乱させたりする隠蔽性の高い顔料や、鱗片状の金属材料、さらには、金属板そのもの等をシート基材S1中に混入させたり、シート基材S1に用いる基紙にコーティングしたり、ラミネートしたり、複合化したりする(以上を総合して、「混在させる」と称する。)。(図示せず。)
赤外線照射に対しては、さらに赤外線吸収剤等を、紫外線照射に対しては、さらに紫外線吸収剤等を、X線照射に対しては、金属板の中でも鉛材料等を、電子線等の粒子線照射に対しては、それらの粒子線を吸収する素材を混在させることで、その効果を増すことができる。
また、これらシート基材S1の代表例として、いわゆる「プリペイドカード」として用いられている材料及び形状や、「プラスチックカード」として用いられている材料及び形状、特に、JIS規格(「プリペイドカード JIS X 6310シリーズ」や、JIS X 6301、JIS X 6300シリーズ、JIS X 6320シリーズ、JIS X 6330シリーズ等。)やISO規格(ISO/IEC7810シリーズ、ISO/IEC7816シリーズ、ISO/IEC14443シリーズ、ISO/IEC15457シリーズ等。)で定められているものがある。(図示せず。)
その中でも、その「汎用性」(加工汎用性を含む。この「加工汎用性」とは、カード基材を積層体とする等の製造ラインや製造条件が確立していることを意味する。)から、「JIS規格やISO規格で定められている『プリペイドカード』として用いられているカード基材及び形状」が望ましい。
これらは、既に、世の中に大量に頒布され、普及しているため、それらをハンドリングしたり、保持することに抵抗感がなく、また、それらを携帯したり、使用したりする場合の周辺機器(入退室用ゲート端末、駅務ゲート端末、その他のカード利用機器を意味する。)や、関連グッズ(カードを携帯するためのカード入れや、カード用装飾品等を意味する。)等も既に普及しているため、これらのものに対する適用もスムースであって好適である。
特に、不透明性を有するフィルム状もしくはシート状のプラスチックがその加工適正やコスト面で好ましく、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や耐溶剤性および耐熱性をも有するものが用いられる。例えば、その材料として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアリレート、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、ポリエチレン/ビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の各種のプラスチックフィルム材料があげられる。そして、これらのプラスチックそのものが透明性を有する場合には、不透明化処理のために、二酸化チタンや炭酸カルシウム等の不透明性付与のための顔料等を適宜練り込むなど、不透明性付与材料を混在させた、フィルム状もしくはシート状のプラスチックを例示することができる。
さらに、これらの材料に、フッ素系樹脂パウダーや、シリコン系樹脂パウダー等を混入したプラスチックフィルムは、耐擦傷性が著しく高く好適である。
これらのフィルム状もしくはシート状のプラスチック材料からなるシート基材S1の厚さは、通常、3.0μm〜1.0mmであるが、スクラッチシートSS1としての加工適正や取り扱い適正から50〜300μmとすることが望ましい。
この厚さが、3.0μm未満であると、本発明のスクラッチラベルH1、または、H2を貼着したり、スクラッチシートSS1としてのハンドリング適正に劣るものとなり、この厚さが1.0mmを超えると、シート処理や巻き取り処理における取扱いに困難を生じるため好ましくない。(図3〜図5参照。)
具体的には、50μm〜1000μmの厚さの乳白ポリエチレンテレフタレートが好適である。
スクラッチシートSS1が秘匿する「秘密情報」S2としては、文字、図形、記号、模様、マーク、形状、立体、もしくは、これらの結合、または、これらと色彩との結合その他、さらには、識別コード、識別番号、識別文字等のあらゆる識別情報、その他何らかの手段によって識別することが可能なものであれば、特に制限はなく、採用することができる。(図3〜図5参照。)
この識別手段としては、目視識別、携帯カメラ認識やバーコード認識等の光学的識別、機械識別、その他の物理的識別手段等をいう。
識別可能であれば、全てが同一のものであっても、全てが個別のものであってもよく、また、個人や企業、さらには、特定の業界特有のものであってもよい。
また、「意匠」のごとく、物品(物品の部分を含む。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって視覚を通じて美感を起こさせるもの、または、これと類似のものであってもよく、「商標」のごとく、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合であって、業として商品を生産し、証明し若しくは譲渡する者がその商品について使用するもの、または業として役務を提供し若しくは証明する者がその役務について使用するもの、または、これと類似のものであってもよい。その他、「称号」や、「商号」、さらには、種々の場面において照合の対象となるものでもよい。
そして、「文字」には、楷書体、隷書体等のあらゆる書体の文字が含まれ、「記号」には、特殊文字記号、顔文字記号、電気文字記号、地図記号等も含まれ、HTML記号等の限られた業種の限られた場面においてのみ用いられる記号もその特殊性から好ましい。
また、英文字、ギリシャ文字その他各国で使用されている文字や、シンボル、数学記号等も、不正者が瞬間的に覗き見した程度では暗記できないものとなり、好ましい。
さらには、これらの情報の中に、目視等の単なる情報読取手段では判別できない隠し情報や、暗号情報を含ませて、スクラッチシートSS1の運用を管理する者のみが所定の情報処理手段によって、それらの隠し情報や、暗号情報を判読することができるものとすることも好適である。
このような特殊性を有するものは、正規購入者によってもその登録や照合等の場面で、誤記や誤入力の原因となるため、携帯カメラ認識等の自動認識手段を併用することが好ましい。
以下、これらのものを総称して、「番号等」という。
さらに「秘密情報」S2には、暗証番号等、個人認証番号等、口座番号等、その他の個人特有の番号等や、何らかの個別番号等、抽選番号等、管理番号等、もしくは、単なる連続番号等であって、登録することによりその有効性を発現するもの、暗号鍵番号である共通鍵番号のように同一の番号等、さらには、全くの乱数であってスクラッチシートSS1のシート基材S1を作製するときに発生させ作製者含め誰もその番号等の内容を知らないよう工夫した番号等、知ることが許された者(正規な購入者等を意味する。もちろん、スクラッチシートSS1のシステム設計者や、スクラッチシートSS1の発行者等が含まれる場合もある。)のみが見ることができ、その他の者は物理的に見ることができないよう設定される番号等を含めることができる。
また、そのスクラッチシートSS1の用途により、上記した番号等のみならず、文字、図形、マークその他、個人及びそのスクラッチシートSS1の供給者が共通に認識できるもの(この対象は、いわゆる「情報」全てとなる。)であれば何れも用いることができる。
そして、その認識方法も、少なくとも目視確認により認識できる情報を有しながら、目視以外の認識方法、例えば、光学読取方法、磁気的読取方法、その他、あらゆる物理的もしくは化学的読取方法を採用することができ、且つ、秘密情報と重ねて視認できるレリーフホログラム再生像の中にも、マシンリーダブルホログラム等の、ホログラム再生原理を利用した光学読取方法を含めることもその偽造防止性を高めるために好適である。(認識方法や手段は図示せず。)
これらの「秘密情報」S2をスクラッチシートSS1のシート基材S1上に設ける方法としては、可変情報を形成する方式として、感熱溶融転写方式、昇華転写方式、光学的もしくは物理的直接描画方式、電子写真方式及び、インクジェット方式等があり、固定情報を形成する方式としては、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、活版印刷方式、凹版印刷方式、スクリーン印刷方式等がある。(図3〜図5参照。)
もちろん、電子端末のディスプレー上に「秘密情報」S2を表示するものであってもよい。
また、シート基材S1そのものを発色材料や消色材料で構成し、その発色原理や消色原理を用いて、可変情報や固定情報を記録する方法を用いてもよい。
すなわち、電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱発色材料からなるシート基材S1や、そのシート基材S1を構成する基紙となる紙材料やフィルム材料上に、電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱発色層を設けたもの、さらには、それらの基紙上に、カプセル内包の発色剤と顕色剤とからなる感圧発色層を設けたものを、シート基材S1として用いることができる。
また、発色と消色を繰り返して操作できる、感温材料等を用いたサーマルリライタブル層や、フルギド系やスピロピラン系などのフォトクロミック材料等を用いる光リライタブル層を同様の目的で、さらには、別の位置に単なる情報表示の目的で設けることも、その意外性や偽造防止性が高まり、好ましい。
特に、これらの「リライタブル層」を設けて、「秘密情報」S2を表示させると、正規購入者が、その「秘密情報」S2を確認するときのみ「秘密情報」S2が現れ、それ以外のときには「非表示」とすることで、不要な第三者による「秘密情報」S2の視認を阻止することができる。(シート基材S1の種々の構成は図示せず。)
感熱発色材料としては、発色剤、顕色剤、及び、増感剤からなる系を用いることができ、発色剤としては、ベンゾイルロイコメチレンブルー、クリスタルバイオレットラクトン等のフタリド化合物等、顕色剤としては、4−4´ビフェノール、1−ナフトール等の酸など、さらに、増感剤としては、4−ベンジルビフェニル、フルオレン等を用いる。
感熱記録とは,基紙上の層に分散させた発色剤及び顕色剤を熱により溶融させ、接触させることにより発色させる仕組みである。その高感度化のために、低融点の増感剤を添加するが、様々な酸発生方法とこの発色機構を組み合わせることにより、繰り返しの書き込みや消去が可能なリライタブル感熱記録を実現できるものである。例えば、低い熱エネルギーにて発色する赤色感熱記録層と,高い熱エネルギーにて発色する黒色感熱記録層を積層させることにより,その印加エネルギーを使い分けることで赤/黒の2色での記録を可能にする2色発色感熱記録材料を用いてもよい。
これらのロイコ系感熱発色材料や、フォトクロミック系光発色材料は、その発色機構である「紫外領域または赤外領域→可視領域への変化」を、「可視領域→紫外領域または赤外領域への変化」とすべく材料選定をすることにより、消色記録材料として用いることができる。
このような消色機構を用いると、正規購入者が、その「秘密情報」S2を確認した後、正規購入者の判断により、速やかに、もしくは、適宜なタイミングで、「秘密情報」S2を消色(消去)することを可能とし、その偽造防止性を高めることを可能とする。
このようにしてシート基材S1上に「秘密情報」S2形成部を設け、その「秘密情報」S2形成部を覆うように、本発明のスクラッチラベルH1、または、H2を貼着する。(図1〜図5参照。)
(スクラッチ隠蔽層、及び地紋印刷)
本発明のスクラッチラベルH1、または、H2のスクラッチ隠蔽層1に用いるインキ組成物としては、熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂を用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、エチルセルロース、硝酸セルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン等のスチレン樹脂、あるいはスチレン共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの単独あるいは共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等のビニル共重合体、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、重合ロジン等のロジンエステル樹脂、クマロン樹脂、ビニルトルエン樹脂、ポリアミドや、ポリイミド等を挙げることができる。また、スクラッチオフ性を満足する範囲でこれらの樹脂に硬化剤等を混合して、擦れ等によるスクラッチ隠蔽層1の表面の不要な剥離や、剥がれを防止してもよい。(図1、または、図2参照。)
また、熱硬化性樹脂としては、シリコン樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、エポキシ樹脂や、不飽和ポリエステル樹脂等をあげることができ、シリコン樹脂として、シリコンゴム(シロキサン結合が5000〜10000の直鎖構造分子。)や、ケイ素樹脂、ゴム系天然樹脂として、天然ゴム、塩酸ゴム、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等を用いることができる。
さらには、スクラッチオフするという行為における環境影響を考慮して、スクラッチ隠蔽層1に用いるインキ組成物として、生分解性プラスチックを用いることも好適である。
生分解プラスチックとしては、化学合成系として、εーカプロラクトン等のラクトン系樹脂、ポリブチレンサクシネート−アジペート等のポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリ乳酸等、低分子量脂肪族ジカルボン酸と低分子量脂肪族ジオールより合成したポリエステル樹脂等、変性ポリビニルアルコールと脂肪族ポリエステル樹脂と澱粉の混合物等、または、低分子量脂肪族ポリエステルに脂肪族イソシアネートを添加して重合させたものなどが、また、天然物系として、ゼラチンなどの動物性天然物質、セルロースなどの植物性天然物質など、または、ポリヒドロキシブチレート等の微生物生産系物質などが好適である。
スクラッチ隠蔽層1に用いるインキ組成物としては、これらの樹脂成分を含む固形分全体に対して、隠蔽性とスクラッチ性を付与するために、金属系微粉末(アルミニウム粉末、黄銅微粉末、銅微粉末等)やそれらの酸化微粉末、窒化微粉末、その他の化合物微粉末等の顔料成分を20〜80%含有するものを用いる。
また、スクラッチ隠蔽層1の隠蔽性をさらに向上させるために、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の隠蔽性の強い顔料成分を1〜10%含有させてもよい。スクラッチ隠蔽層1用インキ組成物を以上の組成物から構成することにより、印刷適性とスクラッチ性との双方を満足することができるようになる。
スクラッチ隠蔽層1は、この組成物を適宜な溶剤で希釈したものを、適宜な剥離性フィルム(本発明のスクラッチラベルH1、または、H2を、このフィルム上で形成した後、このフィルムから剥離することで、本発明のスクラッチラベルH1、または、H2を得ることができる。この「適宜な剥離性フィルム」は図示せず。)上に、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、凹版印刷方式、インクジェット印刷方式等の印刷方式を用い、乾燥後の厚さとして、5μm〜50μm、さらには10μm〜30μmの厚さで形成する。(図1、または、図2参照。)
さらに、スクラッチ隠蔽層1用インキ組成物として、金属ペースト、樹脂材料及び助剤を、水と低級アルコールに分散せしめて水性エマルジョンインキとしたものも使用でき、特に、レリーフホログラム形成層2の上にスクラッチ隠蔽層1を設ける際に、そのレリーフホログラム形成層2の表面に不要な変形や変質を与えないため好適である。
その金属ペーストの金属としては、銅と亜鉛の合金であるブロンズパウダーや、アルミニウムパウダーを用いる。また、アルミニウムを微粉末化して、脂肪酸等で表面を処理したものを沸点の高い炭化水素溶剤( ミネラルスピリットなど)でペースト状にしたアルミニウムペーストとしてもよい。
これに、一般の印刷インキに使用する黄、マゼンタ、シアンまたは墨用の着色顔料、チタン白等体質顔料を、適宜、含めて着色タイプとしてもよい。
その樹脂材料としては、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂や、ポリアクリル酸系樹脂等を用いることができ、このこれら樹脂材料のエマルジョンをインキ組成物の25 〜50%としてアルミニウムペーストや、着色顔料などに、10〜35%の水と5%未満のイソプロピルアルコールを加えて攪拌して水性のエマルジョンインキとするものである。これに消泡剤や界面活性剤、もしくは防腐剤等の助剤を0.1〜3%添加することもできる。
この水性エマルジョンインキ組成物を用いたスクラッチ隠蔽層1の形成は、グラビア印刷法、スクリーン印刷法あるいはアニロックスローラーを介して印刷するフレキソ印刷法などが全面印刷あるいは部分印刷に好適な方法として適用され得る。
また、スクラッチ隠蔽層1用インキ組成物として、層内にて凝集破壊し易い脆弱性の樹脂を溶剤に溶かしたものに、隠蔽性の顔料としてアルミニウム粉末(銀色)、真鍮粉末(金色)、銅粉末(赤色)など金属粉末、あるいはタルク、カオリンなどの白色の体質顔料を混合したもの、あるいは、これに適宜色の着色顔料や染料を混合して着色したものを使用できる。
その凝集破壊し易い樹脂としては、異種の樹脂を適宜な配合比率でブレンドしたブレンド樹脂が使用でき、例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン系重合体、スチレン−ブタジエンゴム、各種ワックス、ロジン、テルペン系樹脂、テルペン系重合体などの樹脂のうちのいずれか2種以上を適宜比率にて配合したブレンド樹脂が使用できる。
この樹脂を溶解する溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、シクロヘキサノール、酢酸イソブチル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサノン、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコール誘導体など、又はこれらの混合溶剤が使用できる。
スクラッチ隠蔽層1用インキ組成物に用いられる顔料としては、さらに、有機顔料として、キナクリドン系レッド・マゼンタ、アンスラキノン系レッド・イエロー、ポリアゾ系イエロー、ベンズイミダゾロン系イエロー・オレンジ、フタロシアニン系顔料として、銅フタロシアニンブルー(α型、β型)、銅フタロシアニングリーン、異種金属フタロシアニンブルー、スレン系ブルー、アゾ系顔料として、溶性アゾ顔料(カーミン6B、パーマネントレッド2B他)、不溶性アゾ顔料(ジスアゾ系、モノアゾ系他)、不溶性多環式顔料(赤:キナクリドン、ペリレン、ジケトピロロピロール、橙:ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、黄:キノフタロン、イソインドリノン、緑:フタロシアニン、青:フタロシアニン、インダンスレン、紫:ジオキサジン他)、不溶性レーキ顔料(赤:レーキレッドC、ウォチュングレッド他)等がある。
無機顔料としては、複合酸化物系顔料、微粒子複合酸化物系顔料、紺青、ハイブリッド型顔料等があるが、さらに、弁柄、モリブデンレッド、カドミウムレッド、鉛丹(以上、赤色。)、黄鉛(赤口)、モリブデンオレンジ(橙色)、カドミウムオレンジ(橙色)、群青(ウルトラマリンブルー)、紺青(プルシアンブルー)、コバルトブルー、セルリアン、マンガン青(以上、青色。)、アンバー(茶色。)、黄鉛、カドミウムイエロー、チタン黄、黄色酸化鉄(以上、黄色。)、酸化クロム、コバルトグリーン、ビリジアン、ピーコック(以上、緑色。)、マルス紫、コバルトバイオレット、マンガンバイオレット(以上、紫色。)その他、体質顔料や、金属粉顔料等が用いられる。
これらの顔料の粒径を、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料(群)、もしくは、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料(群)として仕上げる。特に、微粒子顔料(群)は、二次凝集しやすく、再分散処理等を施す必要がある。
適宜な剥離性フィルム上に、スクラッチ隠蔽層1を設ける前に、本発明のスクラッチラベルの用途に応じたデザインにより、オフセット印刷や、グラビア印刷等を用いて、1.0〜10.0μmの厚さで地紋印刷5を施した後、その地紋印刷5を覆うようにスクラッチ隠蔽層1を設ける手順とすると、本発明の地紋印刷5が最表面となるスクラッチラベルを得ることができる。(図示せず。図5において、その地紋印刷5を強調した図を示している。)
もちろん、スクラッチラベルH1、または、H2を形成した後の、そのスクラッチ隠蔽層1上に改めて、同様の印刷方式を用いて地紋印刷5を設けてもよい。
この地紋印刷5以外の通常デザイン(主要なデザイン模様等)の印刷を施し、その意匠性を高めることができることは言うまでもない。
さらに、スクラッチ隠蔽層1の上に、または、スクラッチ隠蔽層1及び地紋印刷5の上に、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、これらの共重合体さらには電離放射線硬化樹脂等の保護層を、感熱溶融転写方式、昇華転写方式、インクジェット方式で、1〜3μm厚さに形成して、「秘密情報」S2の隠蔽をさらに強化してもよい。(図示せず。)
また、本発明のスクラッチラベルH1、または、H2において、スクラッチ隠蔽層1のレリーフホログラム形成層2から「はみ出す部分」がある場合には(図示せず。はみ出した部分は、スクラッチ隠蔽層1と粘着層3の2層のみの構成となる。)、その「はみ出す部分」については、特にスクラッチオフ適正を持たせる必要がないため、シート基材S1の上に強固に粘着させて、スクラッチ隠蔽層1のスクラッチオフの際に、シート基材S1上に残る部分として設計してよい。
そして、その固着して残る部分を、「所定のパターン状」、すなわち、「不正」、「覗き見」、「削り済み」や「開示」等の「既に削られたことを示す文字や情報を表すパターン状」とすることで、その偽造防止性を高めることができる。
この目的でのスクラッチ隠蔽層1の形成は、上記と同様の印刷方式等を用いることができる。
但し、上記した「所定のパターン状」での固着部分を設けるため、スクラッチ隠蔽層1の形成を2段階に分け、その第一段階として、その「所定のパターン状」にあらかじめ、2液硬化型の樹脂材料における硬化剤等を所定の割合の2倍〜5倍程度添加したスクラッチ隠蔽層1用インキ組成物で、一旦、目的の厚さより薄く設けておき(例えば、目的の厚さの1/5〜3/5等。この部分は、スクラッチ適性が無い。)、第二段階において、その「所定のパターン状」部分を覆うように(他の部分を埋めるように。)、残りの厚さだけ、スクラッチ隠蔽層1用インキ組成物を上乗せする方法を用いてもよい。
(レリーフホログラム形成層、及び黒色層)
適宜な剥離性フィルム上に設けた、または、適宜な剥離性フィルム上に設けてある地紋印刷5の上に設けた、スクラッチ隠蔽層1のその全面、もしくは、その一部に、レリーフホログラム形成層2を設ける。(図1、または、図2参照。図1、または、図2には、スクラッチ隠蔽層1の全面に、レリーフホログラム形成層2を設けた例を図示している。適宜な剥離性フィルムは図示していない。)
さらには、レリーフホログラム形成層2の「断面」を「光学的な鏡面」とするため、レリーフホログラム形成層2を、レーザー切断等の方法により、所定のサイズに切断し、その切断面(『断面』)を「光学的な鏡面」として仕上げることも好適である。(手順は図示せず。)
本発明のスクラッチラベルH1、または、H2のレリーフホログラム形成層2を構成するための透明樹脂層に用いられる樹脂材料としては、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。
熱可塑性樹脂としてはアクリル酸エステル樹脂、すなわち、ポリメチルメタクリレート(屈折率n=1.49)、ポリメチルアクリレート(n=1.47)、ポリベンジルメタクリレート(n=1.57)、ポリブチルアクリレート(n=1.44)、ポリイソブチルアクリレート(n=1.48)等、セルロース系樹脂、すなわち、硝酸セルロース(n=1.54)、メチルセルロース(n=1.50)、セルロース・アセテートプロピオネート(n=1.47)等、ビニル系樹脂、すなわち、ポリ酢酸ビニル(n=1.47)、ポリ塩化ビニル・酢酸ビニル(n=1.54)等、アクリルアミド樹脂(n=1.50)、もしくはポリスチレン樹脂(n=1.60)等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、アクリルウレタン樹脂(n=1.60)、エポキシ変性アクリル樹脂(n=1.55)、メラミン樹脂(n=1.56)、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、アルキッド樹脂(n=1.54)、フェノール樹脂(n=1.60)、シリコン樹脂(n=1.41〜1.60)、もしくは、フッ素化樹脂(n=1.35〜1.38)等が挙げられる。(図1または図2参照。)
これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、1種もしくは2種以上を使用することができる。これらの樹脂の1種もしくは2種以上は、各種イソシアネート樹脂を用いて架橋させてもよいし、あるいは、各種の硬化触媒、例えば、ナフテン酸コバルト、もしくはナフテン酸亜鉛等の金属石鹸を配合するか、または、熱もしくは紫外線で重合を開始させるためのベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、ナフトキノン、アゾビスイソブチロニトリル、もしくはジフェニルスルフィド等を配合しても良い。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル変性ポリエステル等を挙げることができ、このような電離放射線硬化性樹脂に架橋構造を導入するか、もしくは粘度を調整する目的で、単官能モノマーもしくは多官能モノマー、またはオリゴマー等を配合して用いてもよい。
また、上記の熱可塑性樹脂、もしくは熱硬化性樹脂に、シリコン樹脂やフッ素含有樹脂、さらには、シリコンオイルを混合したもの、または、熱可塑性樹脂、もしくは熱硬化性樹脂とシリコン樹脂やフッ素含有樹脂を共重合させたものや、熱可塑性樹脂、もしくは熱硬化性樹脂の分子内にシロキサン結合〔―Si(R1)(R2)−O―〕やフッ素原子〔−F〕を導入したものを用いることができる。
さらには、上記の熱可塑性樹脂、もしくは熱硬化性樹脂に、シリコンパウダー微粒子やフッ素パウダー微粒子を分散させたものを用いることもできる。
フッ素化樹脂には、完全フッ素化樹脂として、四フッ素化樹脂、部分フッ素化樹脂として、三フッ素化樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、フッ素化樹脂共重合体として、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂。四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、エチレン・四フッ化エチレン共重合体、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体などを用いることができる。
さらに、上記の樹脂材料を用いてレリーフホログラム形成層2を形成するには、感光性樹脂材料にホログラムの干渉露光を行なって現像することによって直接的に形成することもできるが、予め作成したレリーフホログラムもしくはその複製物、またはそれらのメッキ型等を複製用型として用い、その型面を、上記の樹脂材料をプレス成型や、射出成型、ブロー成型等により作成した透明樹脂層に押し付けることにより、賦型を行ない、そのSEC1、及び/または、SEC2に、「第一のレリーフホログラム」に係る「第一のホログラムレリーフ」を設ける、もしくは、「レリーフホログラム形成層2」の上面(スクラッチ隠蔽層1と接している面。)、及び/または、「レリーフホログラム形成層2」の下面(粘着層3と接している面。)に、「第二のレリーフホログラム」に係る「第二のホログラムレリーフ」を形成する。(図1または図2参照。それぞれの『レリーフ形状』は、図示していない。)
以下、説明の簡略化のため、「SEC1、及び/または、SEC2」に、「第一のレリーフホログラム」に係る「第一のホログラムレリーフ」を設ける、もしくは、「レリーフホログラム形成層2」の上面(スクラッチ隠蔽層1と接している面。)、及び/または、「レリーフホログラム形成層2」の下面(粘着層3と接している面。)に、「第二のレリーフホログラム」に係る「第二のホログラムレリーフ」を形成することを、まとめて(それらに共通して適用可能であるため。)、「レリーフホログラム形成層2に、レリーフホログラムのホログラムレリーフを設ける」と表現する。
熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、型面に未硬化の樹脂を密着させたまま、加熱もしくは電離放射線照射により、硬化を行わせ、硬化後に剥離することによって、硬化した透明樹脂層の片面にレリーフホログラムの微細凹凸を形成することができ、この微細凹凸がホログラムレリーフとなる。
なお、同様な方法によりパターン状に形成して模様状とした回折格子を有する回折格子形成層も光回折構造(すなわち、レリーフホログラム形成層2のホログラムレリーフ。)として使用できる。
ホログラムは、物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を凹凸のレリーフ形状で記録されたもので、例えば、フレネルホログラムなどのレーザ再生ホログラム、及びレインボーホログラムなどの白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーテッドホログラム(CGH)や、ホログラフィック回折格子などがある。また、マシンリーダブルホログラムのように、その再生光を受光部でデータに変換し、「秘密情報」S2として、もしくは、「秘密情報」S2の一部構成情報として伝達したり、真偽判定を行うものであってもよい。
さらに、微細な凹凸(すなわち、ホログラムレリーフ。)を精密に作成するため、光学的な方法だけでなく、電子線描画装置を用いて、精密に設計されたレリーフ構造を作り出し、より精密で複雑な再生光を作り出すものであってもよい。
このレリーフ形状は、ホログラムを再生する光、もしくは、光源の波長(域)と、再生する方向、及び強度によってその凹凸のピッチや、深さ、もしくは特定の周期的形状が設計される。
凹凸のピッチ(周期)は再生角度に依存し、通常0.1μm〜数μmであり、凹凸の深さは、再生強度に大きな影響を与える要素であって、通常0.1μm〜2μmである。
単一回折格子のように、全く同一形状の凹凸の繰り返しであるものは、隣り合う凹凸が同じ形状であればある程、反射する光の干渉度合いが増しその強度が強くなり、最大値へと収束する。回折方向のぶれも最小となる。立体像のように、像の個々の点が焦点に収束するものは、その焦点への収束精度が向上し、再生像が鮮明となる。
また、ホログラムレリーフ面にホログラム画像の凹凸とは異なる周期や、形状の凹凸が存在すると、それはホログラムもしくは回折格子の再生時のノイズとなり、像を不鮮明にする要因となる。
ホログラムレリーフ形状を賦形(複製ともいう)する方法は、回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された原版をプレス型(スタンパという)として用い、上記レリーフホログラム形成層2上に、原版を重ねて加熱ロールなどの適宜な手段により、両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸模様を複製することができる。形成するホログラムパターンは単独でも、複数でもよい。
上記の極微細な形状を精密に再現するため、また、複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小とするため、原版は金属を使用し、低温、且つ、高圧下で複製を行うことが望ましい。
原版は、Niなどの硬度の高い金属を用いる。光学的撮影もしくは、電子線描画などにより形成したガラスマスターなどの表面にCr、または、Ni薄膜を真空蒸着法、スパッタリングなどにより5〜50nm形成後、Niなどを電着法(電気めっき、無電解めっき、さらには複合めっきなど)により50〜1000μmの厚さで形成した後、それらの金属を剥離することで作ることができる。
高圧回転式の複製に用いるためには、このNi層の厚み精度を高くする必要があり、通常±10μm、好ましくは、±1μmとする。このため、裏面の研磨や、平坦化方法を用いてもよい。
複製方式は、高圧とするため、平板式でなく、回転式を用い、線圧100kg/m〜10000kg/m、好ましくは、5000kg/m以上とする。複製用シリンダーは、その直径が小さいとレリーフの再現性が低下するため、複製シリンダー直径は大きい方が好ましく、通常、直径0.1m〜2.0m、好ましくは、1.0m以上の弧を使用する。
レリーフホログラム形成層2をこの複製用シリンダーに沿って押し当て、そして、裏面に金属製シリンダーがある場合には、その金属製シリンダーにより挟んで、上記圧力にて複製を実施する。複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小限とするためには、レリーフホログラム形成層2全体を加熱するのではなく、レリーフホログラム形成層2のホログラムレリーフ面側の一部のみを加熱する方法が望ましい。通常60℃〜110℃に加熱する。(複製プロセスは、図示していない。)
さらに、ホログラムレリーフ面が、レリーフホログラム形成層2と粘着層3との間の界面にある場合も同様の手法を用いて本発明のスクラッチラベルH1、または、H2を作製とすることができ、そして同様の好適な効果を得ることができる。
この構成の場合には、レリーフホログラム形成層2とその上に設けられるスクラッチ隠蔽層1との界面が、平坦な面となるとともに、スクラッチ隠蔽層1をスクラッチオフする際に、この平坦な面上をコインや爪が引っ掻くこととなり、比較的、スクラッチ隠蔽層1が削れやすく、また、スクラッチラベルH1、または、H2の削り残りが発生し難くなって、スクラッチオフ適正に優れるものとなる。
この効果は、レリーフホログラム形成層2中に、シリコン樹脂、または、シリコンオイル等の離型剤を10〜30%の割合で含めていた場合にさらに増幅される。
また、レリーフホログラム形成層2の「断面」を「光学的な鏡面」とするため、レリーフホログラム形成層3を、予め、YAGレーザーや、Nd:YAGレーザー等の固体レーザー、または、炭酸ガスレーザーや、エキシマレーザー等のガスレーザーを用いた、レーザー切断法等の方法により、所定のサイズに切断し、その切断面(『断面』)を「光学的な鏡面」として仕上げることも好適である。(手順は図示せず。)
さらには、レリーフホログラム形成層2への「所定の入射光」や、レリーフホログラム形成層2からの「所定の出射光」を、シート基材S1の表面に平行な「光」ではなく、その表面に対して仰角10度〜60度の入射角、もしくは、出射角とするため、レリーフホログラム形成層2の「断面」の外側に隣接して、同一の厚さで、同一の横幅を持ち、奥行方向(表面の『長方形』における『縦方向』を意味する。)に、0.1mm〜5.0mmの長さを持つ、「その『斜面』が、『所定の角度で傾斜している反射面』となっているプリズム(透明な樹脂、もしくは、透明な樹脂+反射性薄膜層で構成される。)や、シリンドリカルレンズなど」をそれぞれ、「入射光」側と、「出射光」側に設けてことも、真正性判定の容易性から好ましい。
そのレリーフホログラム形成層2の厚さは、10μm〜1000μmとする。好適には、100μm〜500μmとする。
これらのレリーフホログラム形成層2、及び/または、スクラッチ隠蔽層1の上に、さらには、黒色層4もしくは反射性薄膜層の上に、本発明のスクラッチラベルH1、または、H2の用途に応じた印刷デザインや、ホログラムデザインにより、オフセット印刷や、グラビア印刷等を用いて、1.0〜10.0μmの厚さで地紋印刷5を施す。(図5参照。スクラッチ隠蔽層1上に幾何学模様の地紋印刷5を施している。)
レリーフホログラム形成層2、及び/または、スクラッチ隠蔽層1の上に、さらには、黒色層4もしくは反射性薄膜層の上に、この地紋印刷5以外の通常デザイン(主要なデザイン模様等)の印刷を施し、その意匠性を高めることができることは言うまでもない。
さらに、スクラッチ隠蔽層1の上に、または、スクラッチ隠蔽層1及び地紋印刷5の上に、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、これらの共重合体さらには電離放射線硬化樹脂等の保護層を、感熱溶融転写方式、昇華転写方式、インクジェット方式で、1〜3μm厚さに形成して、「秘密情報」S2の隠蔽をさらに強化してもよい。(図示せず。)
但し、レリーフホログラム形成層2やスクラッチ隠蔽層1の表面の一部が、上記したように、意図して「粗い粗面」を設けた部分である場合には、この大きな凹凸に追従して印刷可能なインクジェット方式や、この凹凸に影響され難い感熱転写方式、もしくは、昇華転写方式を用いて地紋印刷5を行ってもよい。さらに、このような感熱転写方式、もしくは、昇華転写方式を用いて、その大きな凹凸の凸部のみに印刷を行い、不正なスクラッチにより非常に容易に地紋印刷5が破壊されるようにすることもできる。
特に、昇華転写方式は、レリーフホログラム形成層3を構成する樹脂層に浸透し、独特の風合いを醸し出すことができる。
地紋印刷5を形成する位置は、レリーフホログラム形成層2上やスクラッチ隠蔽層1上の全面に均一に設けてもよいし(図5参照。図5では、スクラッチ隠蔽層1上に地紋印刷5をその全面に形成している例を示している。)、部分的に設けてもよく、さらには、複数の領域に分散して設けてもよい。(図示せず。)
そして、この地紋印刷5を、スクラッチ隠蔽層1上、及びスクラッチ隠蔽層1とレリーフホログラム形成層2との間、の両方に設け、且つ、そのデザイン及び、形成位置をスクラッチ隠蔽層1の上下で、位置を異ならせたり、同一としたりすることも、その意外性や偽造防止性を高めるため好適である。(図示せず。)
また、本発明のスクラッチラベルH1、または、H2において、レリーフホログラム形成層2の背面に、すなわち、シート基材S1とレリーフホログラム形成層2との間(その上に形成された「秘密情報」S2形成部上を除く)の所定の位置に、黒色層4を設けることができる。(図示せず。)
ここで、黒色層4は、部分的、且つ、離散的に複数形成してもよい。そして、この黒色層4のパターンによって、何らかのデザインを表すものとしてもよい。(図示せず。)
黒色層4は、微粒子カーボンブラックや、超微粒子カーボンブラック、その他の炭素系黒色顔料や酸化物系黒色顔料の微粒子や超微粒子、さらには、含金属黒色染料(金属錯塩染料)等を、含有率で20〜70質量%として、透明樹脂、例えば、熱可塑性樹脂としてはアクリル酸エステル樹脂、アクリルアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、もしくはポリスチレン樹脂等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、もしくはフェノール樹脂等に2次凝集を少なくするように、ガラスビーズやスチールビーズを用いたボールミル、ニーダー、ロールミル等による混練りを十分行い、溶剤等で粘度調整をして、グラビア方式、オフセット方式、シルクスクリーン方式、カーテンコート方式、ノズルコート方式、インクジェット方式さらには、フレキソ印刷方式を適宜用いて均一な厚さに形成することができる。(図示せず。)
この場合、レリーフホログラム形成層2、または、粘着層3との密着性の高いものを選定する。
もちろん、黒色層4として、上記の顔料や染料を同様の割合含んだプラスチックフィルムを用いることも好適である。
この場合には、予め、そのフィルムの表面を「光学的な鏡面」として仕上げておくことができ、且つ、屈折率を調整し易く、さらには、その厚さムラも高い精度で制御することが可能となる。
黒色層4の厚さは、2.5μm〜25μmとし、好適には、5.0μm〜20μmとする。
さらに、本発明のスクラッチラベルH1、または、H2H1のレリーフホログラム形成層2のホログラムレリーフに接して且つ追従するように、または、レリーフホログラム形成層2の平坦な面上に、反射性薄膜層を形成することができる。この反射性薄膜層は、入射した光を反射する必要があるため、レリーフホログラム形成層2よりも高い屈折率を有する薄膜層であれば、特に限定されない。(図示せず。)
反射性薄膜層としては、真空薄膜法などにより形成される「金属薄膜」などの「全反射性薄膜層」、または、「金属化合物薄膜」等の「透明反射性薄膜層」のいずれでもよいが、「全反射性薄膜層」の場合には、「秘密情報」S2を視認可能(もしくは、所定の識別を可能)とする目的で、「全反射性薄膜層」の「秘密情報」S2に該当する領域を開口部とした「部分形成」とする。
「透明反射性薄膜層」の場合は、「全面形成」であっても、「部分形成」としてもよいが、「秘密情報」S2を視認可能な(もしくは、所定の識別が可能な)透明性を持つことが必須である。
反射性薄膜層の形成には、真空薄膜法等の物理的薄膜形成方法や、メッキ等の化学的薄膜形成方法を用いることができ、その厚さとして、10〜2000nm程度、好ましくは20〜1000nmの厚さになるように設ける。
「透明反射性薄膜層」としては、ほぼ無色透明な色相で、その光学的な屈折率がレリーフホログラム形成層2のそれとは異なることにより、金属光沢が無いにもかかわらず、ホログラムなどの光輝性を視認できることから、「透明なホログラム」を作製することができる。
例えば、レリーフホログラム形成層2よりも光屈折率の高い薄膜層には、例として、ZnS、TiOx(X=1.0〜2.0)、Al23、Sb23、SiO、SnO2、ITOなどがある。
好ましくは、金属酸化物又は窒化物であり、具体的には、Be、Mg、Ca、Cr、Mn、Cu、Ag、Al、Sn、In、Te、Ti、Fe、Co、Zn、Ge、Pb、Cd、Bi、Se、Ga、Rb、Sb、Pb、Ni、Sr、Ba、La、Ce、Auなどの酸化物または窒化物他はそれらを2種以上を混合したものなど(透明な金属化合物)が例示できる。
またアルミニウムなどの一般的な光反射性(可視光波長のほぼ全域にわたる反射、すなわち、「全反射」に近い性質を有する。)の金属薄膜も、厚みが20nm以下になると、透明性が出て使用できる。
「透明反射性薄膜層」の形成は、金属の薄膜と同様、10〜2000nm程度、好ましくは20〜1000nmの厚さになるよう、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD(化学気相成長法)などの真空薄膜法などにより設ければよい。
特にCVD法は、レリーフホログラム形成層2への熱的ダメージが少ない。また、他の薄膜形成法を用いても、形成する薄膜層を薄くしておくと、その熱的ダメージを少なくすることができる。例えば、アルミニウム蒸着層であれば、形成条件によるが、厚さにして、ほぼ20nmのものあたりが、透明性が無くなり全反射性を出現する臨界点である。この厚さは薄膜材料、形成方法、金属加熱温度・真空度等の形成条件により異なる。

(粘着層)
本発明のスクラッチラベルH1、または、H2において、レリーフホログラム形成層2の上に、または、黒色層4の上に、粘着層3を設ける。(図1、または、図2参照。)
ここで、粘着層3としては、従来公知の溶剤系及び水系のいずれの接着剤、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂や、天然ゴム、クロロプレンゴムなどのゴム系樹脂などが挙げられる。自然にやさしい材料構成とするために、特に、天然ゴムを主成分とするラテックス、それを変性したもの、特に天然ゴムにスチレン特にメタクリルさんメチルとをグラフト重合させて得た天然ゴムラテックス等の天然素材から作製されたものを用いても良い。
粘着層3に用いられる溶剤としては、溶剤類、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、イソホロン、ジイソブチルケトン、等。)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブチルアルコール等、さらにはその水溶液。)、芳香族類(ベンゼン、トルエン、キシレン、ソルベッソNo.100、ソルベッソNo.150、カクタスP−180等。)、環状炭化水素類(シクロヘキサン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸セルソルブ、エチルー3−エトキシプロピオネート等。)、エーテル類(テトラヒドロフラン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、t−ブチルセルソルブ等。)等を用いることができる。
粘着層3の形成厚さは、10μm〜60μmとする。
粘着層3の形成方法としては、グラビアコート、ロールコート、コンマコートなどの方法で、レリーフホログラム形成層2の上、もしくは、黒色層4の上に、塗布し乾燥して形成することができる。また、より精密な印刷を要する場合には、ステンレススクリーン印刷方法や、活版印刷方式、オフセット印刷方式、フォトレジスト処理方式等を用いることができる。(図1、または、図2参照。)
粘着層3の粘着力は、レリーフホログラム形成層2、もしくは、黒色層4と粘着層3との界面の剥離強度として、JIS Z0237準拠の180°による剥離方法において、1.0〜3.0kg/25mm巾の範囲にすることが望ましい。もちろん、それ以上の剥離強度を有していても、本発明の目的には適合している。
特に、シート基材S1、及び、シート基材S1上の「秘密情報」S2形成部との粘着力は、本発明の目的より、本発明のスクラッチラベルH1、または、H2を、シート基材S1、及び、シート基材S1上の「秘密情報」S2形成部から剥がすことが困難となるレベルまで大きいものとする必要があるが、その粘着層3とシート基材S1、及び、シート基材S1上の「秘密情報」S2形成部との界面の剥離強度よりも、粘着層3とレリーフホログラム形成層2、または、黒色層4との界面の剥離強度を、より大きいものとなるように設計する。
また、粘着層3を、「高屈折率透明樹脂層」とし、粘着層3の屈折率と、レリーフホログラム形成層2の屈折率の差を0.3以上とすることにより、レリーフホログラム形成層2と、粘着層3の界面からの「反射光」をより大きくし、この「反射光」により出現する透過型レリーフホログラム再生像を、より鮮明なものとすることができる。(図示せず。)
この場合、粘着層3である「高屈折率樹脂層」の屈折率を、レリーフホログラム形成層2の屈折率よりも、0.3以上、大きくなるように設計する。さらには、その屈折率差が0.5〜1.0となるようにするとより好適である。
粘着層3を「高屈折率透明樹脂層」とする場合には、レリーフホログラム形成層2に用いられる樹脂の中から、適宜選択して用いることができ、その屈折率を大きくする目的で、微粒子透明顔料や、超微粒子顔料を添加する。
その微粒子透明顔料や超微粒子顔料としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、クレー、カオリン、ホワイトカーボン、アルミナホワイト、珪藻土、石膏、タルク、珪石粉等の体質顔料を細かく粉砕したものや、マイクロシリカ等の無機微粒子、シリコン樹脂やフッ素樹脂粉末等の微粒子樹脂紛体、その他、平均粒径で、0.1μm〜0.01μmとした微粒子顔料や、0.01μm以下とした超微粒子顔料を使用する。
具体的には、天然に産する方解石、氷州席、アラゴナイト、石灰岩、大理石、貝殻、チョーク、重晶石、石膏、ギブス石などを微粉砕したものや、その合成物において平均粒径を調整したもの、さらには、一般的に用いられる無機顔料、や有機顔料においても、超微粒子酸化チタンや超微粒子酸化ジルコニウム等、その平均粒径を、0.01μm以下としたもの等は、適宜な樹脂材料との混合において、透明となるため、好適である。特に、顔料そのものの屈折率が2.0〜3.0であるものが好ましい。この屈折率が3.0を超えるものは、金属光沢が発現し始めるため、その透明性に欠けるものとなるため好ましくない。
具体例としては、超微粒子酸化チタン(石原産業株式会社製TTO−55N:屈折率n=2.4)を適宜な樹脂に分散した場合に、高屈折率樹脂層としての屈折率は、1.9〜2.0であり、また、超微粒子酸化ジルコニウム(動的光散乱法における平均粒径0.0001μm〜0.05μm)を適宜な樹脂に分散した場合に、高屈折率樹脂層としての屈折率は、1.7〜1.9である。
但し、この粒径のものは、二次凝集しやすく、ニーダー等の適宜な分散処理機に繰り返し通すなどの再分散処理等を施す必要がある。添加量は、屈折率の向上度合いと透明性とのバランスで決められるが、通常1%〜20%添加が好適であり、レリーフホログラム形成層2に配慮した、適宜な溶剤または水に溶かして、選定した樹脂に分散して用いる。
その形成方法、及び、厚さは、上記した方法、及び、厚さとする。
また、高屈折率樹脂層に使用される樹脂は、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド系樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
用いる樹脂の屈折率は、例えば、熱可塑性樹脂としては、アクリル酸エステル樹脂(屈折率n=1.47)、アクリルアミド樹脂(n=1.50)、ニトロセルロース樹脂(n=1.54)、酢酸ビニル樹脂(n=1.47)、もしくは、ポリスチレン樹脂(n=1.60)等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、ウレタン樹脂(n=1.60)、エポキシ変性アクリル樹脂(n=1.55)、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、アルキッド樹脂(n=1.54)、もしくはフェノール樹脂(n=1.60)等である。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート(n=1.55)、ウレタンアクリレート(n=1.54)、アクリル変性ポリエステル(n=1.64)等である。
さらに、環境に配慮して、高屈折率樹脂層に、上記したような生分解性プラスチックを用いることも好適である。
このようにして形成した本発明のスクラッチラベルH1、または、H2を、シート基材S1の上に、且つ、そのシート基材S1上に設けてある「秘密情報」S2を覆うように、所定の位置に、貼着し、スクラッチシートSS1とした。(図3、または、図4参照。)
このとき、シート基材S1上の所定の位置に、「秘密情報」S2として、連続数字1〜8が印字されており(図4参照。図4には、その所定の位置を示す枠が便宜上表示されている。)、その「秘密情報」S2を覆うように、粘着層3、レリーフホログラム形成層2、もしくは、黒色層4とレリーフホログラム形成層2、及び、スクラッチ隠蔽層1からなる、本発明のスクラッチラベルH1、または、H2が貼着している。
このスクラッチシートSS1を、通常の照明光下で、観察したところ、「単なるスクラッチラベルH1、または、H2」であると判断できたが、そのスクラッチ隠蔽層1の下に隠されていると推定される「秘密情報」S2は、全く視認できず、もちろん、レリーフホログラム形成層2については、その存在すら想像できないものであった。
また、スクラッチラベルH1、または、H2を貼着したスクラッチシートSS1の、そのスクラッチ隠蔽層1の上に、幾何学模様からなる地紋印刷5を施した。(図5参照。)
いずれの場合も、目視では、スクラッチ隠蔽層1で覆われた「秘密情報」S2、さらには、レリーフホログラム形成層2を、視認することはできず、これらの層を、爪等で破断なくきれいに剥がすことは、到底、不可能であると思われたが、レリーフホログラムの「一方の露出している断面」に、「所定の入射光」を入射させ、その「断面」の対向面にある、「他方の露出している断面」から出射する出射光を観察したところ、レリーフホログラム形成層2による「第一のレリーフホログラム再生像」を視認することができ、そして、スクラッチシートSS1に貼着している本発明のスクラッチラベルH1、または、H2のスクラッチ隠蔽層1、もしくは、地紋印刷5とスクラッチ隠蔽層1を、コインを用いて部分的に削り取ると、その削り取った領域から、その下に隠れていた「秘密情報」S2が視認可能となり、または、「秘密情報」S2と同時に、レリーフホログラム形成層2による第二のレリーフホログラム再生像が観察可能となって、このような本発明のスクラッチラベルH1、または、H2、さらには、スクラッチシートSS1を偽造することは非常に困難であると思われた。(図示せず。)
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。なお、溶媒を除き、各層の各組成物は固形分換算の質量部である。
(実施例1)
スクラッチシートSS1用のシート基材S1として、厚さ188μmの乳白ポリエチレンテレフタレートシート(カードサイズ)に、所定のデザインをオフセット印刷にて施し、インクジェットプリンターにて、シート基材S1の所定の領域に、「秘密情報」S2として、「12345678」の番号(各「数字」文字の高さ4mm、幅2mm、文字間隔1mm。)を印字した。(図4参照。)
これとは別に、表面をフッ素樹脂にて離形処理し、且つ、粗面化処理を施した38μm厚さの透明ポリエチレンテレフタレートシート(表面粗さを3μm〜10μmとした「剥離性フィルム」。)上に、下記組成のスクラッチ隠蔽層1用インキ組成物を、ステンレススクリーン印刷方式にて形成し、乾燥後の厚さとして、スクラッチ隠蔽層1を30μmの厚さで形成し、積層体(1)とした。(図1参照。「剥離性フィルム」は図示せず。)
<スクラッチ隠蔽層1用インキ組成物>
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体 20部
アクリル樹脂 5部
顔料ノンリーフィングアルミペースト アルミニウム微粉末 40部
顔料リーフィングアルミペースト アルミニウム微粉末 10部
イソシアネート系硬化剤 1部
トルエン 10部
酢酸エチル 5部
エチルセルソルブ 9部
次いで、この積層体(1)のスクラッチ隠蔽層1の露出面上に、表面平滑性の比較的高い(平均表面粗さRaが0.5μm。)ステンレス金属ロール板を用いて、100℃の加熱、100kg/cmの線圧にてカレンダー処理を施して、スクラッチ隠蔽層1の表面を平滑とした。(図1参照。「剥離性フィルム」は図示せず。)
これとは別に、一方の面にシリコン系離型剤による離型処理が施してある、厚さ3.0μmのポリエチレンフィルム(片面離型処理済みフィルム。『(離型処理面)3.0μmPEフィルム(非処理面)』とも表す。また、単に『PEフィルム』とも称す。)の、もう一方の面に、下記組成のレリーフホログラム形成層2用インキ組成物を、ステンレススクリーン印刷方式にて、タテ15mm×横40mmのサイズで形成し、乾燥後の厚さとして、50μmの厚さとし、これを、6回、繰り返して、300μmの厚さとなる、レリーフホログラム形成層2を形成した。(図示せず。)
<レリーフホログラム形成層2用インキ組成物>
メラミン樹脂 40部
トルエン 5部
メチルアルコール 5部
イソプロピルアルコール 20部
エチルセルソルブ 20部
ブチルセルソルブ 10部
この厚さ3.0μmのPEフィルムと、厚さ300μmのレリーフホログラム形成層2の「積層体(2)」を、100シート作成し、これらを位置合わせして重ね合わせ、全体厚さを、30.3mmとした、「多層積層体(3)」を得た。(図示せず。)
この「多層積層体(3)」を、その表面が滑らかな表面仕上げを施してあるステンレス製の断裁刃(刃先形状を『片刃形状』としたもの。)を用いて、その四方を、丁寧にカッティングし、その4つの「断面」を滑らかな面(平面)としつつ、その上面及び下面の形状が「縦10mm×横30mm」の長方形となっている、直方体形状の「多層積層体(4)」とした。
この「多層積層体(4)」は、「(離型処理面)3.0μmPEフィルム(非処理面)/300μmレリーフホログラム形成層2/(離型処理面)3.0μmPEフィルム(非処理面)/300μmレリーフホログラム形成層2/・・・(離型処理面)3.0μmPEフィルム(非処理面)/300μmレリーフホログラム形成層2(この最後の『300μmレリーフホログラム形成層2』の露出面を、最表面とする。)」(200層構成。)の多層となっており、その外形(形状)は、「縦10mm×横30mm×高さ(厚さ)30.3mm」の「直方体形状」であり、その4つの断面が露出し、従って、その中に100層存在する「300μm厚さのレリーフホログラム形成層2」の一つ一つの層の4つの「断面」も、それぞれ露出している状態であった。
ここで、その最表面側に位置する「(離型処理面)3.0μmPEフィルム(非処理面)/300μmレリーフホログラム形成層2」を観察したとき、その「300μm厚さのレリーフホログラム形成層2」の4つの「断面」は、「縦300μm×横10mm」の長方形を成す2つの「断面」と、「縦300μm×横30mm」の長方形を成す2つの「断面」で構成されていた。
その4つの断面を区別するため、「縦300μm×横10mm」の長方形を成す2つの「断面」の内、シート基材S1の表面を真上から観察したときの、「右側」の「断面」を、「SEC1:露出している断面の内、一方の断面」とし、その「断面」に対向している「断面」、すなわち、シート基材S1の表面を真上から観察したときの、「左側」の「断面」を、「SEC2:露出している断面の内、他方の断面」とする。
残りの、2つの「断面」、すなわち、「縦300μm×横30mm」の長方形を成す2つの「断面」は、本実施例1においては、以下に言及しない。
そして、レーザ光学系を用いて、互いに10度の開き角とした、2つの平行光(一方の平行光を、感光材料の面に垂直に入射させ、他方の平行光を、その垂直な平行光に対して、10度の角度で、感光材料面に入射させる。)を、感光材料上で交差させて露光した後、現像処理を施し、その感光材料上に、単純回折格子(回折効率は、20%とした。)である「第一のレリーフホログラム」を記録した。
このときの、感光材料の表面には、その単純回折格子の凹凸形状が形成されており、この凹凸形状が、「第一のレリーフホログラム」の「第一のホログラムレリーフ」となっている。そして、この凹凸形状を、Ni原版(1)(母型。ホログラムレリーフを複製するための、原版。Ni原版を作製する手順は省略した。)として準備した。
この単純回折格子は、同一形状の「溝(凹凸形状となっているが、凹みに注目して、『溝』と称す。『溝』の形状は、その感光材料に対する露光量と、現像時間で定まる。)」が、同一周期(平行光の波長と、互いの開き角で定まる。)で、平行、且つ、整然と並んでいるものであって、その「溝」の方向が、「格子方向」であり、単純回折格子の面(これが、『格子面』となる。)に垂直に入射した「レーザービーム光」は、この「格子方向」とは直交する方向に(『直交する平面内』においてという意味。)、且つ、その「レーザービーム光」に対して10度の開き角を持って、「回折」され、「レーザービーム光」に対して、「10度の角度だけ、曲げられ」て、進むこととなる。
より詳しくは、この単純回折格子の回折効率を20%とし、「格子面」に垂直に、直進する「0次回折光(入射光の光の強度に対して、『60%』の光の強度。)」と、その「格子面」の垂直線に対して、「格子方向」と直交する方向に対して、+10度方向に曲げられた「+1次回折光(同20%。)と、「格子方向」と直交する方向に対して、−10度方向に曲げられた「−1次回折光(同20%。)の、3本の「レーザービーム光」に分かれる。
このNi原版を用いて、「多層積層体(4)」の[SEC1:露出している断面の内、一方の断面]が並んでいる「側面」に対して(この『側面』は、『縦30.3mm×横10mm』の長方形を成す。)、その格子方向が、その「側面」の「縦方向」と平行なるようにして、Ni原版を押し付け、回転式レリーフホログラム形成装置(原版シリンダー径1.0m、原版面温度100℃、水冷式、圧力2000kg/m、複製速度2m/分。『多層積層体(4)』の6つの『面』の内、残りの5つの『面』を、適宜な『ステンレス板』で固定している。)にて、「第一のレリーフホログラム」(断面レリーフホログラム)の「第一のホログラムレリーフ」(断面ホログラムレリーフ)を、その「側面」に形成した。
すなわち、その「側面」として露出している、100層の「レリーフホログラム形成層2」の、一つ一つの「SEC1:露出している断面の内、一方の断面」に、この単純回折格子が複製された。このとき、各層の間に、いわば、「分離帯」として挟んでいる「3.0μmPEフィルム」は、軟化して、この複製の阻害要因とはならなかった。(複製プロセスは図示せず。また、図1において、『ホログラムレリーフ』は図示していない。)
次いで、この「多層積層体(4)」の最表面に位置する「(離型処理面)3.0μmPEフィルム(非処理面)/300μmレリーフホログラム形成層2」の「レリーフホログラム形成層2」の上に、「厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム」をラミネートして、一旦、201層とした後、その最上面に位置する3層部分を、その「PEフィルムの離型処理面」から剥離することで、「3.0μmPEフィルム/レリーフホログラム形成層2/厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム」の「積層体(5)」を取り出し、さらに、この「積層体(5)」から、「3.0μmPEフィルム」を剥がして、「厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム/300μmレリーフホログラム形成層2」からなる「積層体(6)」を得た。(図示せず。)
この「積層体(6)」は、「厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム/厚さ300μmのレリーフホログラム形成層2」の2層構成であり、且つ、その「レリーフホログラム形成層2」の一方の「断面」である「SEC1」に、「第一のレリーフホログラム」の「第一のホログラムレリーフ」が形成されている。
この「一方の断面:SEC1」は、「縦300μm×横10mm」の長方形であり、その縦方向に平行に、単純回折格子の「格子」が刻まれている。すなわち、その「縦」方向と、「格子方向」が同一方向となっている。(その『縦』方向と、『格子方向』が、『平行である』という意味。)
すなわち、シート状の『積層体(6)』の一つの断面(SEC1)に、そのシート面に垂直な方向の「溝」が、整然と並んでいる状態となっている。
次に、この厚さ350μmの「積層体(6)」の「レリーフホログラム形成層2」の露出面と、この積層体(1)のスクラッチ隠蔽層1の露出面が接するように、この「積層体(6)」と「積層体(1)」をラミネートし、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフイルムを剥離して、
粗面化処理を施した38μm厚さの透明ポリエチレンテレフタレートシート上に、厚さ30μmのスクラッチ隠蔽層1、及び、厚さ300μmで、サイズが10mm×30mmの「レリーフホログラム形成層2」が積層された「積層体(7)」を形成した。(図1及び、図2参照。38μm厚さの透明ポリエチレンテレフタレートシートは図示していない。)
そして、その「積層体7」のレリーフホログラム形成層2の上に、下記組成の粘着層3用粘着剤組成物をステンレススクリーン印刷方式にて、形成し、乾燥後の厚さとして、粘着層3を、30μmの厚さで形成し、「積層体8」とした。(図1参照。同上。)
この際、この粘着層3が、レリーフホログラム形成層2の断面に回り込んで付着しないように配慮した。
<粘着層3用粘着剤組成物>
酢酸ビニル−アクリル共重合体 30質量部
イソホロンジイソシアネート 0.1質量部
トルエン 10質量部
イソプロピルアルコール 20質量部
酢酸ビニル 30質量部
エチルセルソルブ 10質量部
この「38μm厚さの透明ポリエチレンテレフタレートシート、スクラッチ隠蔽層1、レリーフホログラム形成層2、及び粘着層3」の「積層体8」の「38μm厚さの透明ポリエチレンテレフタレートシート及び、スクラッチ隠蔽層1」を、レリーフホログラム形成層2のサイズに合わせ、レリーフホログラム形成層2の断面に傷がつかないように配慮して縦10mm×横30mmのサイズにカットし、その後、38μm厚さの透明ポリエチレンテレフタレートシートを剥離して、本発明の実施例1のスクラッチラベルH1を得た。(図1参照。)
このスクラッチラベルH1を、最初に準備してあった、スクラッチシートSS1用のシート基材S1の上の所定の位置に(図4の枠の位置。)、そのシート基材S1の上に印字してある「秘密情報」S2形成部を覆うように、貼着して、スクラッチシートSS1とした。(図3参照。図3において、「H1、H2」は、「H1」と、そして、「2〜3、4」は、「2〜3」となる。)
このスクラッチシートSS1を観察したところ、シート基材S1上にて、「銀色のラベル」を観察できるのみであり、その下、及び、その断面に形成されている、「秘密情報」S2や、ホログラムの存在を窺い知ることはできなかった。(図1及び図3参照。『レリーフホログラム形成層2』の『露出している断面の内、一方の断面SEC1、及び、他方の断面SEC2』は、注意深く観察すると視認できたが、『それらの断面』から、『何らかのレリーフホログラム』の存在を認識することは出来なかった。)
次いで、このスクラッチシートSS1の、シート基材S1の表面から突出している「銀色の印刷層」部分の「露出している断面の内、一方の断面SEC1、及び、他方の断面SEC2」(『縦10mm×横30mmの長方形の縦10mmの一辺』と、『厚さ300μmの一辺』により形作られる長方形で表される断面となっている。)の内、「『レリーフホログラム形成層2』の露出している断面の内、一方の断面SEC1」に垂直に、記録時の「平行光」と同様の平行光である「所定の入射光(平行光1)」を入射させると、「露出している断面の内、他方の断面SEC2」から、「第一のレリーフホログラム」による、「第一のレリーフホログラム再生像」である、「その『平行光1』と開き角が10度の『平行光2』」(すなわち、『平行光2』は、+1次回折光であって、『平行光1』の進行方向を、『シート』面内に、+10度だけ、曲げた平行光である。)が再生され、視認することが出来た。(ホログラム再生像が再生されている状況は図示せず。)
但し、このとき、「平行光1」の「0次回折光」(『平行光1』がその光の強度を60%としてそのまま直進する平行光。)や、「平行光1」の「−1次回折光」(『平行光1』の進行方向を、『シート』面内に、−10度だけ、曲げた平行光である。)も、同時に視認されるため、この3つの光(平行光)を、スクラッチシートSS1から20cm程度離れた観測位置において、互いに3cm程度離れている「3つの光(もしくは、スクリーンにあてた、3つの光の点。)」として、視認することも可能である。
但し、この3つの光の間隔は、「SEC1」から「30mm」の距離だけ離れたところで、±5.1mmとなるため、[SEC1]への「所定の入射光」として、直径3mmの「レーザービーム光」としたときは、その「レーザービーム光」を、「SEC1」の中央に入射させても、その±1次回折光の一部が、対向する「断面」である「SEC2」の右端、もしくは左端を外れることとなってしまう。また、その「レーザービーム光」を、「SEC1」の左端に入射させると、+1次回折光と、0次回折光のみを視認できるのみとなり、−1次回折光を視認することができなくなってしまう。
この現象は、「単純回折格子」に特有の性質ではなく、「回折格子及びホログラム」に共通する性質(但し、ブレーズド回折格子のように、+1次回折格子のみが存在し、0次回折光や、−1次回折格子が無いものは、これとは異なる現象を示す。)であって、このような性質を利用して、「真正性判定」をすることも可能と思われた。
次いで、このスクラッチシートSS1の上の「銀色のラベル」をコインで引っ掻くと、スクラッチ隠蔽層1が部分的に削れ、その削れた部分から、「秘密情報」S2の一部を視認でき、この「銀色のラベル」、すなわち、本発明の実施例1のスクラッチラベルH1、さらには、このスクラッチラベルH1を貼着したスクラッチシートSS1を偽造することは、困難と思われた。(図示せず。)
(実施例2)
実施例1において、別に準備したレーザ光学系を用いて撮影した「意匠性の高いホログラム」(第二のレリーフホログラム。三次元立体像。)の「第二のホログラムレリーフ」を備えた、Ni原版(2)を用意し、実施例1における「積層体(7)」の、その「レリーフホログラム形成層2」の「露出している表面」に、そのNi原版(2)のホログラムレリーフ面を合わせて、回転式レリーフホログラム形成装置(原版シリンダー径1.0m、原版面温度100℃、加圧シリンダー径0.3m、水冷式、圧力2000kg/m、複製速度5m/分)にて、「第二のレリーフホログラム」の「第二のホログラムレリーフ」を、「レリーフホログラム形成層2」の露出している表面上に形成した。(図示していない。)
従って、この「積層体(7)」の「粗面化処理を施した38μm厚さの透明ポリエチレンテレフタレートシート/厚さ30μmのスクラッチ隠蔽層1」の上に設けられている「レリーフホログラム形成層2」は、その「一方の断面:SEC1」に、「第一のレリーフホログラム」の「第一のホログラムレリーフ」(単純回折格子)が形成され、且つ、その露出している表面に、「第二のレリーフホログラム」の「第二のホログラムレリーフ」(意匠性の高いホログラム)が形成されている。
以上のこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の実施例2のスクラッチラベルH1を得た。(図1参照。)
この実施例2のスクラッチラベルH1を、実施例1のスクラッチシートSS1用のシート基材S1の上の所定の位置に(図4の枠の位置。)、そのシート基材S1の上に印字してある「秘密情報」S2形成部を覆うように、貼着して、スクラッチシートSS1とした。(図3参照。図3において、「H1、H2」は、「H1」と、そして、「2〜3、4」は、「2〜3」となる。)
そして、この実施例2のスクラッチシートSS1を実施例1と同様に評価したところ、
このスクラッチシートSS1の上の「銀色のラベル」をコインで引っ掻いたとき、スクラッチ隠蔽層1が部分的に削れ、その削れた部分から、「秘密情報」S2の一部を視認でき、同時に、レリーフホログラム形成層2による「第二のレリーフホログラム再生像」(意匠性の高いホログラム)の一部を観察でき、この「銀色のラベル」、すなわち、本発明の実施例2のスクラッチラベルH1、さらには、このスクラッチラベルH1を貼着したスクラッチシートSS1を偽造することは、非常に困難と思われた。(図示せず。)
(実施例3)
実施例2において、実施例1の「積層体(1)」を、厚さ3mmのステンレス板2枚(その表面に適宜な樹脂コートを施して、平均表面粗さRaで、0.1μmとし、「光学的な鏡面」に仕上げたもの。)の間に挟み込み、その両側から、200℃、109Paでの加熱及び加圧をする平板プレス処理を施して、スクラッチ隠蔽層1の露出面を「光学的な鏡面」とし、この露出面を、実施例2と同様にして、レリーフホログラム形成層2の表面に接するようにラミネートし、粘着層3を設けて、同様にカットして、その「粗面化処理を施した38μm厚さの透明ポリエチレンテレフタレートシート」を剥離し、スクラッチ隠蔽層1、レリーフホログラム形成層2、及び粘着層3からなる、本発明の実施例3のスクラッチラベルH1を得た。
この時、スクラッチ隠蔽層1とレリーフホログラム形成層2との界面が、「光学的な鏡面」となっている。(図1参照。図1において、スクラッチ隠蔽層1とレリーフホログラム形成層2の界面が、「光学的な鏡面」となっている状態は図示していない。)
そして、このスクラッチラベルH1を、実施例2と同様にして準備したスクラッチシートSS1用のシート基材S1の上の所定の位置に、そのシート基材S1の上に印字してある「秘密情報」S2形成部を覆うように、貼着して、スクラッチシートSS1とした。(図3参照。)
このスクラッチシートSS1を、実施例2と同様に評価したところ、レリーフホログラム形成層2による「第二のレリーフホログラム」(第二のレリーフホログラム再生像『意匠性の高いホログラム』)がより鮮明に観察でき(図示せず。)、本発明の実施例3のスクラッチラベルH1、さらには、スクラッチラベルH1を貼着したスクラッチシートSS1を偽造することは、さらに困難と思われたこと以外は、実施例2と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
(実施例4)
実施例1のスクラッチ隠蔽層1のレリーフホログラム形成層2と接している面とは反対の面(スクラッチ隠蔽層1の露出している面)上に、昇華転写プリンターにて幾何学模様からなる黄色の地紋印刷5を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の実施例4のスクラッチラベルH1、及び、そのスクラッチラベルH1を貼着した実施例4のスクラッチシートSS1を得た。(図1及び図3〜図5参照。図1及び図3において、地紋印刷5は図示していない。図3において、「秘密情報」S2を覆う層は、「『2〜3、4』と『1』」でなく、「『2〜3』と『1、5』」となる。)このとき、昇華転写プリンターの印字部分、すなわち、地紋印刷5の部分はスクラッチ隠蔽層1に浸透しており、スクラッチ隠蔽層1の最表面と、地紋印刷5の表面は同一面を形成している。
このスクラッチシートSS1を、実施例1と同様に評価したところ、地紋印刷5が独特の風合いを呈して金色に観察されたこと、及び、コインでスクラッチしたところ、地紋印刷5とスクラッチ隠蔽層1が同時に削れ、本発明の実施例4のスクラッチラベルH1、及び、このスクラッチラベルH1を貼着したスクラッチシートSS1の偽造が、さらに困難と思われたこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
(実施例5)
実施例2において、黒色層4として、下記組成の黒色層4用インキ組成物を用いて、レリーフホログラム形成層2上に、スクリーン印刷方式を用いて、乾燥後の厚さ10μmでその全面に形成し(但し、シート基材S1に貼着する際に、「秘密情報」S2形成部の位置に当たる領域は、除いて形成した。すなわち、各「数字」文字のサイズ「高さ4mm、幅2mm」とその「位置間隔」に合わせた「開口部」を設けた。)、さらに、その上に、粘着層3を実施例2と同様にして設け、「スクラッチ隠蔽層1、レリーフホログラム形成層2、黒色層4(一部「開口部」あり。)、及び粘着層3」として、本発明の実施例5のスクラッチラベルH2を作製したこと、及び、そのスクラッチラベルH2を、シート基材S1に貼着する際に、「秘密情報」S2形成部の各「数字」文字の位置と、黒色層4の「開口部」の位置が、同一となるように、位置合わせして、実施例5のスクラッチシートSS1を作製したこと以外は、実施例2と同様にして、本発明の実施例5のスクラッチラベルH2、及び、そのスクラッチラベルH2を貼着したスクラッチシートSS1を得た。(図2、及び、図3参照。図3において、「H1、H2」は、「H2」となる。)
<黒色層4用インキ組成物>
ウレタン樹脂 25部
カーボンブラック 20部
トルエン 15部
イソプロピルアルコール 15部
ブチルセルソルブ 25部
この実施例5のスクラッチラベルH2、及び、スクラッチシートSS1を、実施例2と同様に評価したところ、レリーフホログラム形成層2による「第二のレリーフホログラム」(第二のレリーフホログラム再生像『意匠性の高いホログラム』)が非常に鮮明に観察でき、本発明の実施例5のスクラッチラベルH2、及び、このスクラッチラベルH2を貼着したスクラッチシートSS1を偽造することは、非常に困難と思われたこと以外は実施例2と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
(実施例6)
実施例1において、下記組成のスクラッチ隠蔽層1用インキ組成物を用いて、同様の方式、同様の厚さで、スクラッチ隠蔽層1を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6のスクラッチラベルH1、及び、そのスクラッチラベルH1を貼着したスクラッチシートSS1を得た。(図1及び図3参照。図3において、「H1、H2」は、「H1」と、そして、「2〜3、4」は、「2〜3」となる。)
<スクラッチ隠蔽層1用インキ組成物>
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体 20部
アクリル樹脂 5部
顔料アルミペースト アルミニウム微粉末(平均粒径8μm) 30部
微粒子酸化ジルコニウム(平均粒径:0.01μm) 20部
シリコーンオイル 5部
トルエン 10部
酢酸エチル 5部
エチルセルソルブ 5部
このスクラッチラベルH1、及び、スクラッチシートSS1を、実施例1と同様に評価し、さらに、その「銀色のラベル」を不正に剥がす試みとして、シート基材S1を90度近く湾曲させたところ、スクラッチ隠蔽層1のスクラッチオフしていない部分に「剥離痕」状のシワが発生し、そのシワがシート基材S1を再び平らな状態に戻しても消えず(さらに、シワが発生した部分に、一部、裂け目まで発生。)、固定化してしまったことから、本発明の実施例6のスクラッチラベルH1、及び、このスクラッチラベルH1を貼着したスクラッチシートSS1の偽造が、非常に困難であると思われたこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
(比較例)
実施例1において、レリーフホログラム形成層2を設けず、スクラッチラベル、及び、スクラッチシートを形成したこと以外は、実施例1と同様にして比較例のスクラッチラベル、及び、スクラッチシートを得た。
このスクラッチラベル、及び、スクラッチシートを実施例1と同様に評価したところ、スクラッチオフにより、「秘密情報」S2を視認することはできたが、ホログラム(再生像)が発現せず、このスクラッチラベル、及び、スクラッチシートの偽造や変造が容易と推定された。
H1、H2 スクラッチラベル
SS1 スクラッチシート
S1 シート基材
S2 「秘密情報」
1 スクラッチ隠蔽層
2 レリーフホログラム形成層
SEC1 露出している断面の内、一方の断面
SEC2 露出している断面の内、他方の断面
3 粘着層
4 黒色層
5 地紋印刷

Claims (5)

  1. シート基材上に設けられた秘密情報を隠蔽するスクラッチラベルであって、
    スクラッチ隠蔽層、レリーフホログラム形成層、及び粘着層がこの順序で構成され、
    前記レリーフホログラム形成層の露出している断面の内、一方の断面に入射した所定の入射光により、前記所定の入射光に基づく第一のレリーフホログラム再生像が再生されるとともに、前記レリーフホログラム形成層の露出している断面の内、他方の断面から出射された出射光から、前記第一のレリーフホログラム再生像を視認することができ、
    且つ、前記スクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去することにより、前記秘密情報が視認可能となることを特徴とするスクラッチラベル。
  2. 請求項1のスクラッチラベルにおいて、
    前記スクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去することにより、前記秘密情報及び、前記レリーフホログラム形成層から再生される第二のレリーフホログラム再生像が視認可能となることを特徴とするスクラッチラベル。
  3. 請求項1または2に記載のスクラッチラベルにおいて、
    前記スクラッチ隠蔽層と前記レリーフホログラム形成層との界面が、「光学的な鏡面」であることを特徴とするスクラッチラベル。
  4. 請求項1から3の何れかに記載のスクラッチラベルにおいて、前記スクラッチ隠蔽層の前記レリーフホログラム形成層が形成されている面とは反対の面に、地紋印刷が施されていることを特徴とするスクラッチラベル。
  5. 請求項1から4の何れかに記載のスクラッチラベルにおいて、前記スクラッチ隠蔽層が、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料及び、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料を含んでいることを特徴とするスクラッチラベル。
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