JP6108091B2 - スクラッチラベル - Google Patents
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Description
また、本発明において、「高屈折率透明樹脂」とは、「高い屈折率を持つ透明な樹脂」を意味し、ここでは、屈折率nが1.7を超える透明な樹脂をいう。
また、抽せんコードの如き機密の個別データをスクラッチが可能な隠蔽層で隠蔽してあるインスタント抽選付ゲームカードやインスタント抽選付商品等においては、機密の個別データを複雑なゲームにも利用できるものとし、その隠蔽層を擦り取ると、「あたり」の文字や懸賞番号等のメッセージが浮かび上がるように構成されている
このように「スクラッチ方式」は、いわば「簡易くじ」としても用いられており、その用途としては、宝くじなどの各種くじ等の他、商品の購入時の景品提供の手段、教習具や、ケームカード等があるが、より具体的には、携帯電話ショップで、スクラッチ枠を11か所設け、その内5か所だけを擦って、自分の携帯電話番号といくつ一致するかでもらえる景品が決まり、裏面には新規契約の方への特別割引クーポン券がついているもの、大手ドラッグストアで、ポイントカード会員獲得のために、ポイント5倍などのスクラッチに使用するもの、会員登録したその日からクーポン券として利用可能で、クーポン券の利用期間を設けるもの、大手鶏卵メーカーで、大手スーパー量販店様への卵パックの中に封入し、当たりが出たら「当たり券」をハガキに貼って裏面記載の係りあてに応募すると、購入先で使用できる商品券がプレゼントされるもの、住宅展示場、ファーストフードショップ、遊園地、観光スポット、スポーツ観戦に使用されるもの等、さらには、食品業界、ファッション業界、美容業界や医療関係等用の、擦った後に削りカスが出にくいもの等、または、被封くじであって、当せんパターンがスクラッチ印刷され、これを削ることにより抽せんを行う、インスタントくじ、スクラッチ宝くじ等、スクラッチ可能な隠蔽層をパターン状に複数設けて、それらの何れかを削って、所定のマークを出すことができた場合に「当たり」とするもの、そのマークを出すまでの削り回数や、削った軌跡で「当たり」のレベル(例えば商品価格)を定めるもの、そのパターンが、縦横マス目状に設けられ、そのマークがそのマス目どの位置にあるかによって、「当たり」のレベルを定めるもの等がある。
さらには、来店促進のためのお買物券や割引券等、店頭でのイベントなどに用いられる名刺サイズやハガキサイズのもの、イベント案内のダイレクトメールにスクラッチを活用するもの、店頭への誘導にハガキだけでなく、V折やZ折などの圧着ハガキDMへスクラッチ印刷したもの等、1日1回で数十回スクラッチすると、その回数に応じて、景品引換券や、家具や洋服等の店頭で販売している商品が手に入るものや、スクラッチカードの四つ角に決まったアイテムが用意され、これを参考にすれば、欲しいアイテムを効率良く集めることができるように構成されているもの等がある。
(先行技術)上記したように、銀行口座からの自動引き落としや、信販会社を介した決済という方法は、非常に堅実な方法ではあるが、事前の手続きが面倒で、また、サービスの利用開始までに時間がかかるという問題があり、公共料金など利用が不可欠なサービスについては、有効な料金回収方法であるとしても、顧客にとって恣意的なサービスについての料金回収方法としては、必ずしも適切ではなく、利用料金の支払いのための手続きが面倒であったり、実際に利用が可能になるまでに何日も待たされたりすれば、顧客はそのサービスの利用に躊躇せざるを得なくなる。
以上のごとき、カムフラージュ行為を直接的に阻止する方法として、スクラッチ可能な隠蔽層の上、または、スクラッチ可能な隠蔽層と基材とに跨るように、ホログラム画像を形成したホログラム層を設け、不正を行おうとする者にホログラム画像の存在を認識させて、「ホログラム層」を形成することの困難さを持って不正行為を阻止しようとする技術も開発されている。(例えば、特許文献3または4参照。)
しかし、これらの技術は、ホログラム層の存在や、そのホログラムデザインが第三者にあらかじめ開示されていることから、そのホログラム再生像に類似した光学効果を有するものを十分な時間を掛けて偽造したり、もともと、この構成自体がホログラム層とスクラッチ可能な隠蔽層を同時に削る仕様となっていることから、「ホログラム層もろともスクラッチ可能な隠蔽層を全て削ってしまった」と偽ることにより、ホログラム層が全く存在しない変造品を持参しながら、あたかも正規品であったの如く振る舞う等の不正を防ぐことができないという欠点を有していた。
本発明のスクラッチラベルの第1の態様は、
基材上に設けられた秘密情報を隠蔽するスクラッチラベルであって、スクラッチ隠蔽層、及び粘着層がこの順序で構成され、前記スクラッチ隠蔽層と前記粘着層の界面が、ホログラムレリーフ面を形成しており、且つ、前記スクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去することにより、前記秘密情報及び、前記ホログラムレリーフ面から再生されるレリーフホログラム再生像が視認可能となることを特徴とするものである。
基材上に設けられた秘密情報を隠蔽するスクラッチラベルであって、スクラッチ隠蔽層、及び粘着層がこの順序で構成され、前記スクラッチ隠蔽層と前記粘着層の界面が、ホログラムレリーフ面を形成しており、且つ、前記スクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去することにより、前記秘密情報及び、前記ホログラムレリーフ面から再生されるレリーフホログラム再生像が視認可能となることを特徴とするスクラッチラベルを提供することができ、第三者に対してホログラムの存在、及び、そのホログラムデザインを秘匿可能とし、スクラッチ隠蔽層をスクラッチして初めて、そのホログラムの存在を確認できるという高い偽造防止性と、スクラッチ後には、隠蔽した秘密情報とその鮮明なホログラムデザインを重ねて視認できるという高い意匠性、さらには、そのホログラムが存在するか否かを目視によって判定するという真正性判定の簡易性をも併せ持つスクラッチラベルを提供することができる。
反射性薄膜層が前記スクラッチ隠蔽層の前記ホログラムレリーフ面に追従するように接して設けられていることを特徴とするものである。
反射性薄膜層が前記スクラッチ隠蔽層の前記ホログラムレリーフ面に追従するように接して設けられていることを特徴とする第1の態様のスクラッチラベルを提供することができ、より鮮明なホログラム再生像を出現可能とし、その意外性と意匠性を高めたスクラッチラベルを提供することができる。
前記スクラッチ隠蔽層の前記粘着層が形成されている面とは反対の面に、地紋印刷が施されていることを特徴とするものである。
前記スクラッチ隠蔽層の前記粘着層が形成されている面とは反対の面に、地紋印刷が施されていることを特徴とする第1の態様または第2の態様のスクラッチラベルを提供することができ、スクラッチ隠蔽層の変造を防止し、より偽造防止性を高めたスクラッチラベルを提供することができる。
前記粘着層の屈折率が、1.7より大きい屈折率を有する高屈折率透明樹脂からなることを特徴とするものである。
前記粘着層の屈折率が、1.7より大きい屈折率を有する高屈折率透明樹脂からなることを特徴とする第1から第3の態様のスクラッチラベルを提供することができ、さらに鮮明なホログラム再生像を出現可能とし、その意外性と意匠性を高めたスクラッチラベルを提供することができる。
前記スクラッチ隠蔽層が、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料及び、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料を含んでいることを特徴とするものである。
前記スクラッチ隠蔽層が、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料及び、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料を含んでいることを特徴とする第1から第4の態様のスクラッチラベルを提供することができ、スクラッチラベルを剥がそうとすると、スクラッチ隠蔽層にその剥離痕が残り、その偽造防止性を著しく高めたスクラッチラベルを提供する。
本発明のスクラッチラベルが秘匿する「秘密情報」としては、暗証番号、個人認証番号、口座番号、その他の個人特有の番号または記号や、抽選番号または記号、管理番号または記号等、もしくは、単なる連続番号や記号であって、登録することによりその有効性を発現するもの、暗号鍵番号である共通鍵番号のように同一の番号、さらには、全くの乱数であってスクラッチカード等の基材を作製するときに発生させ作製者含め誰もその番号の内容を知らないよう工夫した番号等、知ることが許された者(正規な購入者等を意味する。もちろん、スクラッチカード等のシステム設計者や、スクラッチカード発行者等が含まれる場合もある。)のみが見ることができ、その他の者は物理的に見ることができないよう設定される番号または記号等がある。
スクラッチ隠蔽層、及び粘着層がこの順序で構成され、そのスクラッチ隠蔽層とその粘着層の界面が、ホログラムレリーフ面を形成しており、且つ、そのスクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去することにより、その秘密情報及び、そのホログラムレリーフ面から再生されるレリーフホログラム再生像が視認可能となるスクラッチラベルを、その「秘密情報」形成部分を覆うように基材上に貼着することにより、その「秘密情報」を第三者が目視によって判読したり、不正者が盗読することを防ぎ、且つ、正当な使用者がそのスクラッチ隠蔽層をスクラッチして、その「秘密情報」を判読できるスクラッチカード等とすることができる。
しかし、スクラッチ隠蔽層の粘着層と接している面とは反対の面(スクラッチラベルとしての最表面)は、まさにそのスクラッチをする面であってそのような粗さとすることが好ましいものの、その反対面、すなわち、スクラッチ隠蔽層のホログラムレリーフ面は、本発明の目的より、上記したように「光学的な鏡面」とする必要がある。このため、適宜な剥離性フィルム上に、スクラッチ隠蔽層を形成後、上記した「光学的な鏡面」以上の平滑な表面を有する、「表面平滑化処理を施した金属板」等を用いて、100〜200℃の加熱、及び、107〜109Paでの加圧をする平板プレス処理、もしくは、「表面平滑化処理を施した金属ロール」等を用いてロール幅1cmに対して1.0kg以上の線圧を掛けるロールプレス処理により、スクラッチ隠蔽層の粘着層と接する面を「光学的な鏡面」とする。
このスクラッチ隠蔽層のホログラムレリーフ面上に、粘着層を、乾燥後の厚さとして、10μm〜60μmの厚さで形成する。
この厚さが、その盛り上がり高さの2.0倍未満であると、その吸収性が不十分となり、5.0倍を超えると、不必要な厚さとなり、やはり、スクラッチラベルの総厚さに悪影響を与えることとなる。
さらに、スクラッチ隠蔽層を、一旦、上記した原版のホログラムレリーフ面上に形成して、原版のホログラムレリーフ面形状を高い精度でスクラッチ隠蔽層上に再現させ(低粘度のスクラッチ隠蔽層用インキ組成物の状態でホログラムレリーフ面上に設け、インキ内の顔料や樹脂材料の移動による、高い面形状再現性を発現させるという意味。)、その原版から上記した適宜な剥離性フィルムへスクラッチ隠蔽層を転移させる方法も、より鮮明なレリーフホログラム再生像を出現させるためには好適である。
(スクラッチ隠蔽層、地紋印刷、及びホログラムレリーフ)
本発明のスクラッチラベルH、または、H´のスクラッチ隠蔽層1に用いるインキ組成物としては、熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、エチルセルロース、硝酸セルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン等のスチレン樹脂、あるいはスチレン共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの単独あるいは共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等のビニル共重合体、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、重合ロジン等のロジンエステル樹脂、クマロン樹脂、ビニルトルエン樹脂、ポリアミドや、ポリイミド等を挙げることができる。また、スクラッチオフ性を満足する範囲でこれらの樹脂に硬化剤等を混合して、擦れ等によるスクラッチ隠蔽層1の最表面の不要な剥離や、剥がれを防止してもよい。(図1または図2参照。)
また、熱硬化性樹脂としては、シリコン樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、エポキシ樹脂や、不飽和ポリエステル樹脂等をあげることができ、シリコン樹脂として、シリコンゴム(シロキサン結合が5000〜10000の直鎖構造分子。)や、ケイ素樹脂、ゴム系天然樹脂として、天然ゴム、塩酸ゴム、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等を用いることができる。
さらに、スクラッチ隠蔽層1用インキ組成物として、金属ペースト、樹脂材料及び助剤を、水と低級アルコールに分散せしめて水性エマルジョンインキとしたものも使用でき、特に、粘着層3のホログラムレリーフ面2の上にスクラッチ隠蔽層1を設ける手順とする場合に、そのホログラムレリーフ面2の表面に不要な変形や変質を与えないため好適である。
さらに、上記のスクラッチ隠蔽層1上にホログラムレリーフ面2を形成するには、感光性樹脂材料にホログラムの干渉露光を行なって現像して作成したレリーフホログラムもしくはその複製物、またはそれらのメッキ型等を複製用型として用い、その型面を、そのスクラッチ隠蔽層1に押し付けることにより、賦型を行ない、ホログラムレリーフ面2を形成する。(図1または図2参照。)
特に、スクラッチ隠蔽層1に熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂を添加する場合には、型面に未硬化の樹脂を密着させたまま、加熱もしくは電離放射線照射により、硬化を行わせ、硬化後に剥離することによって、硬化したスクラッチ隠蔽層1の片面にレリーフホログラムの微細凹凸を形成することができ、この微細凹凸がホログラムレリーフ面2となる。
ホログラムレリーフ面2を形成する面をこの複製用シリンダーに沿って押し当て、裏面より金属製シリンダーにより上記圧力にて複製を実施する。複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小限とするためには、ホログラムレリーフ面2を形成する層の全体を加熱するのではなく、ホログラムレリーフ面2を形成する面側の一部のみ(表面のみという意味。)を加熱する方法が望ましい。通常60℃〜200℃に加熱する。さらには、裏面の金属製シリンダーを常温に保つ、もしくは冷却することで、さらにその精度を向上させることができる。
(反射性薄膜層)
本発明のスクラッチラベルH、または、H´のホログラムレリーフ2に接して、且つ、追従するように反射性薄膜層4を形成する。この反射性薄膜層4は、入射した光を反射する必要があるため、高い屈折率を有する薄膜層であれば、特に限定されない。(図1または図2参照。)
ここで、図2においては、スクラッチ隠蔽層1上にホログラムレリーフ面2を設け、そのホログラムレリーフ面2に追従するように接して反射性薄膜層4を設ける場合の例を示しているため、ホログラムレリーフ面2は、スクラッチ隠蔽層1と反射性薄膜層4との界面となっている。しかし、粘着層3上にホログラムレリーフ面2を設けて、その上に反射性薄膜層4を設ける場合には、図2において、ホログラムレリーフ面2とは、反射性薄膜層4と粘着層3との界面であるように図示すべきであるが、混乱を避けるため、図2には、敢えて前者の例のみを示してある。
(粘着層)
粘着層3としては、従来公知の溶剤系及び水系のいずれの粘着剤、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂や、天然ゴム、クロロプレンゴムなどのゴム系樹脂などが挙げられる。自然にやさしい材料構成とするために、特に、天然ゴムを主成分とするラテックス、それを変性したもの、特に天然ゴムにスチレン特にメタクリルさんメチルとをグラフト重合させて得た天然ゴムラテックス等の天然素材から作製されたものを用いても良い。
溶剤類、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、イソホロン、ジイソブチルケトン、等。)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブチルアルコール等、さらにはその水溶液。)、芳香族類(ベンゼン、トルエン、キシレン、ソルベッソNo.100、ソルベッソNo.150、カクタスP−180等。)、環状炭化水素類(シクロヘキサン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸セルソルブ、エチルー3−エトキシプロピオネート等。)、エーテル類(テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、t−ブチルセロソルブ等。)等を用いることができる。
粘着層3の粘着力は、ホログラムレリーフ面2、もしくは、反射性薄膜層4と粘着層3との界面の剥離強度として、JIS Z0237準拠の180°による剥離方法において、1.0〜3.0kg/25mm巾の範囲にすることが望ましい。もちろん、それ以上の剥離強度を有していても、本発明の目的には適合している。
この場合、粘着層3である高屈折率樹脂層の屈折率を、ホログラムレリーフ面2の屈折率よりも、0.3以上大きくなるように設計する。さらには、その屈折率差が0.5〜1.0となるようにする。
この際、基材6上の所定の位置に、「秘密情報」7として、連続数字1〜8が印字されており(図4参照。図4には、その所定の位置を示す枠が便宜上表示されている。)、その「秘密情報」7を覆うように、本発明のスクラッチラベルHが貼着されている。
いずれの場合も、目視では、本発明のスクラッチラベルHで覆われた「秘密情報」7を、視認することはできず、また、これらの外観からは、そのスクラッチラベルHの中にホログラムレリーフ面2が存在することはとても知り得ない状態であった。
(実施例1)
スクラッチカード5の基材6として、厚さ188μmの乳白ポリエチレンテレフタレートシート(カードサイズ)に、所定のデザインをオフセット印刷にて施し、(図3(a)、(b)参照。)、インクジェットプリンターにて、基材6の所定の領域に、「秘密情報」7として、「12345678」の番号(各数字文字の高さ4mm、幅2mm、文字間隔1mmm。)を印字した。(図4参照。)
これとは別に、表面をフッ素樹脂にて離形処理し、且つ、粗面化処理を施した38μm厚さの透明ポリエチレンテレフタレートシート(表面粗さを3μm〜10μmとした剥離性フィルム。)上に、下記組成のスクラッチ隠蔽層1用インキ組成物を、ステンレススクリーン印刷方式にて形成し、乾燥後の厚さとして、スクラッチ隠蔽層1を30μmの厚さで形成した。(図1参照。剥離性フィルムは図示せず。)
<スクラッチ隠蔽層1用インキ組成物>
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体 20部
アクリル樹脂 5部
顔料ノンリーフィングアルミペースト アルミニウム微粉末 40部
顔料リーフィングアルミペースト アルミニウム微粉末 10部
イソシアネート系硬化剤 1部
トルエン 10部
酢酸エチル 5部
エチルセルソルブ 9部
次いで、このスクラッチ隠蔽層1上に、表面平滑性の高い(平均表面粗さRaが0.1μm。)ステンレス金属ロール板を用いて、100℃の加熱、100kg/cmの線圧にてカレンダー処理を施して、スクラッチ隠蔽層1の表面を平滑とした。(図示せず。)
ここで、レーザ光学系を用いて撮影した意匠性の高いホログラム(レリーフホログラム)を備えたNi原版を用意し、上記したスクラッチ隠蔽層1の平滑な表面に、そのNi原版のレリーフ面を合わせて、回転式レリーフホログラム形成装置(原版シリンダー径1.0m、原版面温度200℃、加圧シリンダー径0.3m、水冷式、圧力10000kg/m、複製速度2m/分)にて、ホログラムレリーフ面2(Ni原版のレリーフ形状)をスクラッチ隠蔽層1上に形成した。(図1参照。剥離性フィルムは図示せず。)
そして、そのホログラムレリーフ面2上に、下記組成の粘着層3用粘着剤組成物をステンレススクリーン印刷方式にて、形成し、乾燥後の厚さとして、粘着層3を30μmの厚さで形成した。(図1参照。剥離性フィルムは図示せず。)
・<粘着層3用粘着剤組成物>
酢酸ビニル−アクリル共重合体 30質量部
イソホロンジイソシアネート 0.1質量部
トルエン 10質量部
イソプロピルアルコール 20質量部
酢酸ビニル 30質量部
エチルセルソルブ 10質量部
このスクラッチ隠蔽層1、及び粘着層3の積層物を、タテ10mm×横30mmのサイズにカットし、剥離性フィルムから剥離して、本発明の第1実施例のスクラッチラベルHを得た。(図1参照。)
このスクラッチラベルHを、最初に準備してあった、スクラッチカード5の基材6上の所定の位置に、その基材6上に印字してある「秘密情報」7を覆うように、貼着したところ、スクラッチカード5上にて、「銀色のラベル」を観察できるのみであり、その下、及びその中に形成されている、「秘密情報」7や、ホログラムの存在を窺い知ることはできなかった。(図3(a)、(b)参照。)
次いで、このスクラッチカード5上の「銀色のラベル」をコインで引っ掻くと、スクラッチ隠蔽層1が部分的に削れ、その削れた部分から、「秘密情報」7の一部を視認でき、同時に、ホログラムレリーフ面2によるレリーフホログラム再生像「意匠性の高いホログラム」が出現して、この「銀色のラベル」を偽造することは、困難と思われた。(図示せず。)
(実施例2)
実施例1のホログラムレリーフ面2上に、電子線加熱式真空蒸着機を使用して、TiOx薄膜を、200nmの厚さで形成して、反射性薄膜層4とし、その反射性薄膜層4の上に、粘着層3を設けたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2のスクラッチラベルH´を得た。(図2及び、図3参照。)
このスクラッチカード5上のスクラッチラベルH´を実施離1と同様に評価したところ、ホログラムレリーフ面2によるレリーフホログラム再生像「意匠性の高いホログラム」がより鮮明に出現し(図示せず。)、このラベルを偽造することは、より困難と思われたこと以外は実施例1と同様の良好な結果を得た。
実施例1のスクラッチ隠蔽層1のホログラムレリーフ面2とは反対の面に、昇華転写プリンターにて幾何学模様からなる黄色の地紋印刷8を行った(この印刷面は、剥離性フィルムと接していた面であり、剥離フィルムを剥離後に形成した。)こと以外は、実施例1と同様にして、実施例3のスクラッチラベルHを得た。(図1、図3及び図5参照。)
このスクラッチカード5上のスクラッチラベルHを実施離1と同様に評価したところ、地紋印刷8が独特の風合いを呈して金色に観察されたこと、及び、コインでスクラッチしたところ、地紋印刷8とスクラッチ隠蔽層1が同時に削れ、このラベルの偽造が、より困難と思われたこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
(実施例4)
実施例1の粘着層3として、下記組成のインキ組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4のスクラッチラベルHを得た。(図1及び図3参照。)
・<粘着層3用インキ組成物:屈折率n=1.85の高屈折率透明樹脂>
ウレタン樹脂(屈折率n=1.60) 30質量部
超微粒子酸化ジルコニウム(平均粒径:0.001μm、屈折率n=2.10)
6質量部
トルエン 5質量部
イソプロピルアルコール 34質量部
ブチルセルソルブ 2 5質量部
このスクラッチカード5上のスクラッチラベルHを実施離1と同様に評価したところ、コインでスクラッチした際に、ホログラムレリーフ面2によるレリーフホログラム再生像が、より鮮明となっており、偽造防止性が高まったと思われたこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
(実施例5)
表面をフッ素樹脂にて離形処理した38μm厚さの透明ポリエチレンテレフタレートシート(ラベルの剥離紙、すなわち、「ラベル用セパレータ」として使用する。)上に、実施例1の粘着層3用粘着剤組成物に、紫外線硬化性樹脂5部と、紫外線開始剤0.1部を加えた組成物を用いて、同様の方式、及び、厚さで、粘着層3を形成した。
さらに、その粘着層3のホログラムレリーフ面2上に、実施例1のスクラッチ隠蔽層1用インキ組成物を、同様の方式、及び、厚さで形成し、「ラベル用セパレータ」を剥離して、実施例5のスクラッチラベルHとした。(図1参照。)
このスクラッチラベルHを実施例1と同様に評価したところ、スクラッチ時の粘着層3のホログラムレリーフ面2がより固くなっており、スクラッチし易く、且つ、より鮮明なホログラムレリーフ面2によるレリーフホログラム再生像を観察できたこと以外は、基材5と「秘密情報」7との粘着力はほぼ同様であったことを含め、実施例1と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
(実施例6)
実施例1において、下記組成のスクラッチ隠蔽層1用インキ組成物を用いて、同様の方式、同様の厚さで、スクラッチ隠蔽層1を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6のスクラッチラベルHを得た。(図1参照。)
<スクラッチ隠蔽層1用インキ組成物>
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体 20部
アクリル樹脂 5部
顔料アルミペースト アルミニウム微粉末(平均粒径8μm) 30部
微粒子酸化ジルコニウム(平均粒径:0.01μm) 20部
シリコーンオイル 5部
トルエン 10部
酢酸エチル 5部
エチルセルソルブ 5部
このスクラッチカード5上のスクラッチラベルHを実施離1と同様に評価し、さらに、そのスクラッチラベルHを剥がそうとしたところ、実施例1と同様の良好な結果に加え、スクラッチ隠蔽層1のスクラッチオフしていない部分に「剥離痕」が発生したことから、このラベルの偽造が非常に困難であると思われた。(図示せず。)
(比較例)
実施例1において、ホログラムレリーフ面2を設けず、スクラッチラベルを形成したこと以外は、実施例1と同様にして比較例のスクラッチラベルを得た。
1 スクラッチ隠蔽層
2 ホログラムレリーフ面
3 粘着層
4 反射性薄膜層
5 スクラッチカード
6 基材
7 「秘密情報」(「秘密情報」として、「12345678」が形成され ており、それを模式的に示している。)
8 地紋印刷
Claims (5)
- 基材上に設けられた秘密情報を隠蔽するスクラッチラベルであって、
スクラッチ隠蔽層、及び粘着層がこの順序で構成され、前記スクラッチ隠蔽層と前記粘着層の界面が、ホログラムレリーフ面を形成しており、且つ、前記スクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去することにより、前記秘密情報及び、前記ホログラムレリーフ面から再生されるレリーフホログラム再生像が視認可能となることを特徴とするスクラッチラベル。
- 反射性薄膜層が前記スクラッチ隠蔽層の前記ホログラムレリーフ面に追従するように接して設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスクラッチラベル。
- 前記スクラッチ隠蔽層の前記粘着層が形成されている面とは反対の面に、地紋印刷が施されていることを特徴とする請求項1または2に記載のスクラッチラベル。
- 前記粘着層の屈折率が、1.7より大きい屈折率を有する高屈折率透明樹脂からなることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のスクラッチラベル。
- 前記スクラッチ隠蔽層が、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料及び、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料を含んでいることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のスクラッチラベル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013069317A JP6108091B2 (ja) | 2013-03-28 | 2013-03-28 | スクラッチラベル |
Applications Claiming Priority (1)
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