JP2014226918A - スクラッチシート - Google Patents

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Kumiko Uchida
久美子 内田
大竹 望
Nozomi Otake
望 大竹
耕太郎 檀上
Kotaro Danjo
耕太郎 檀上
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Abstract

【課題】スクラッチシートにおいて、秘密情報の秘匿手段がスクラッチ隠蔽層のみであり、不正者が容易にその偽造品を作製できるという問題を有していた。また、その偽造を防止するため、最上層にホログラム層を設けたスクラッチシートも開発されたが、第三者がそのホログラム層を視認できるため、不正者が容易に類似の光学的効果を持つスクラッチシートを偽造できるという問題があった。【解決手段】スクラッチシートのスクラッチ隠蔽層の下に、ホログラム層を設け、第三者にはそのホログラムデザインを秘匿し、しかも、スクラッチしただけでは、そのホログラムが現れず、スクラッチ隠蔽層を界面剥離させて、初めて、秘密情報とホログラム再生像を同時に視認でき、その意外性による偽造防止効果を高めたスクラッチシートを提供する。【選択図】 図1

Description

本発明は、基材上の秘密情報表示部を隠蔽するためのスクラッチ隠蔽層が設けられたスクラッチシートであって、基材上の秘密情報表示部を覆うようにスクラッチ隠蔽層を設けることで、その秘密情報を隠蔽することができ、そのスクラッチ隠蔽層をスクラッチにより削り取ると、その秘密情報を視認できるようになるスクラッチシートに関する。
特に、スクラッチ隠蔽層を削り取った後、残った部分を剥がそうとすると、秘密情報に重なる形で、鮮明なホログラム再生像が現れ、偽造品や変造品に対する真偽判定を容易とし、且つ、その偽造や変造を非常に困難とすることができるスクラッチシートに関する。
本発明において、「基材」とは、秘密情報表示部を設けることができるプリペイドカードそのもの、もしくは、秘密情報を記録可能な種々のシート状、カード状、その他の形状を有するものを意味し、その素材も、プラスチック材料、金属材料、その他あらゆる材料を用いたものでよいが、少なくとも、本発明のスクラッチシートとして、その秘密情報を形成、且つ、隠蔽することができるものである。
また、本発明において、「秘密情報」とは、「その秘密情報を知り得る正当な権利者にのみ開示されるべき情報」を意味し、その「秘密情報」を基材上に設ける手段は、適宜な印刷方法や、個別情報を形成できるインクジェット方式を用いた方法、さらには、レーザー印字等、その「情報」としての文字、図形、記号、その他の、少なくとも目視認識可能な、あらゆる「情報」を形成可能な方法を用いることができるものである。
もちろん、その基材上の「秘密情報」と、スクラッチシートが担持する別の「情報」(秘匿されていても開示されていてもよい。)との単なる組み合わせや、それらの「情報」を各種の情報合成手段等(暗号化処理も含まれる。)により合成して、「正当な権利者に開示される情報が形成される」ものであってもよい。
基材上に「秘密情報」を設けた部分を、「秘密情報」表示部、「秘密情報」印字部、または、「秘密情報」形成部と、適宜、表現する。
さらに、本発明において、「スクラッチ」とは、コインや爪等によって「対象となる層」を削り取る行為であって、「対象となる層」を部分的、もしくは、全面的に除去する行為を意味する。特に、「対象となる層」の背後にあるものを視認することが目的であるため、「部分的な削り取り」であっても、「削り取った領域」においては、「対象となる層」の全てを、削り残し無く、除去することとなる。(これ以下、このスクラッチ操作を「スクラッチオフ」とも言う。)
本発明において、「高屈折率透明樹脂層」とは、「高い屈折率を持つ透明樹脂層」を意味し、ここでは、屈折率nが1.7を超える透明樹脂層をいう。
屈折率nは、、真空中の光速度(c)を媒質中の光速度(v)(より正確には位相速度)で割った値であらわされ、特に断らない限り、屈折率の値は、ナトリウムのD線波長589.3nmの光に対するものである。
さらに、本発明の「レリーフホログラム形成層が、剥離層上にあって、且つ、その剥離層の形成領域より小さい領域に設けられている」とした、
「その剥離層の形成領域」とは、「基材上に設けられた剥離層の、『その剥離層が基材面を覆う領域』」のことをいい、「その剥離層の形成領域より小さい領域に設けられている」とは、「剥離層上に設けられたレリーフホログラム形成層の、『その剥離層面を覆う領域』」の面積が、その「基材上に設けられた剥離層の、『その剥離層が基材面を覆う領域』」の面積より小さく、且つ、「後者の占める領域が、前者の占める領域の中に含まれる」位置関係にあることをいう。もちろん、それらの領域の境界線が一部重なることも、その位置関係に含めるものとする。
また、、本発明の「スクラッチ隠蔽層が、レリーフホログラム形成層を覆うように設けられている」とした、「覆うように設ける」とは、上記した「基材上の秘密情報表示部を覆うようにスクラッチ隠蔽層を設ける」場合の「覆うように設ける」ことと、ほぼ同義である。
但し、「秘密情報」に対しては、スクラッチシートの外観上からは、その「秘密情報」が一切視認できないようにスクラッチ隠蔽層を設けることになるが、レリーフホログラム形成層に対しては、そのレリーフホログラム形成層の上にスクラッチ隠蔽層を設けただけでは、もちろんスクラッチ隠蔽層の表面からは一切視認できないことは当然であるものの、その「断面部分の観察」から、スクラッチ隠蔽層と基材との間に何らかの「層」が存在することが推認され得ることに対応して、「このレリーフホログラム形成層の断面を秘匿できるように、その断面をも覆い隠すように設ける」ことであって、より具体的には、スクラッチ隠蔽層がその断面まで回り込むように設ける」ことをいう。
従って、レリーフホログラム形成層の断面が隠れるように、レリーフホログラム形成層の面積より、少なくとも、一回り大きく、例えば、0.5mm〜数mm程度大きいサイズで、スクラッチ隠蔽層を設けることを意味するが、敢えて、そのレリーフホログラム形成層の位置を隠蔽する目的で、レリーフホログラム形成層の大きさの2倍〜10倍の大きさのスクラッチ隠蔽層を設けることを排除するものでない。
本明細書において、配合を示す「部」は特に断わらない限り質量基準である。また、 「ホログラム」は、回折格子などの光回折性機能を有するものも含む。
(主なる用途)通信網やコンピュータネットワークの普及に加え、データを送受信するコンピュータ端末の普及及びその携帯化が進むとともに、わが国においても第三次産業の占める割合が急速に伸び、様々な業者、さらには、公的機関によっても、様々なサービスの提供が行われている。
第三次産業とは、情報通信業、運輸業、郵便業、卸売業、小売業、金融業、保険業、不動産業、物品賃貸業、学術研究または専門技術サービス業、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業、教育または学習支援業、医療または福祉関連、電気事業、ガス事業、熱供給事業、水道業、公務、理容美容関連、複合サービス業、レジャーサービス、レンタルサービス、アウトソーシングサービス、交通サービス、外食サービス、エネルギー、エンターテインメント、コンサルティング、その他サービス業と位置づけられているが、このような第三次産業に携わる業者や公的機関は、物品の販売のみならず、特定のサービスの提供によっても対価を得ているため、物品を販売する形態とは異なる形態によっても、顧客や消費者へのサービス提供、もしくは、顧客や消費者(以下、顧客等ともいう。)からの料金や対価(以下、料金等ともいう。)の回収を行っていることが多い。
例えば、その料金や対価の回収方法として、顧客等の銀行口座から、利用したサービスに相当する対価を自動的に引き落とす方法や、信販会社に対してクレジット契約を予め締結しておき、信販会社を介して利用料金を決済する方法などは、ごく一般的な料金等の回収の形態であり、電気料金、ガス料金、水道料金などの公共サービスや、種々の情報提供サービスなどにおける料金等の決済の手法として広く利用されている。そして、プリペイドカードの販売という形式により、将来提供されるべきサービスに対して、料金等の回収を先に行ってしまう方法も普及している方法であり、料金や、運賃、その他の対価の回収に広く利用されている。
さらに、販売する「物品」そのものが、データ端末装置、パーソナルコンピュータ、デスクトップパソコン、オンライン対応ゲーム機、電話回線機器、ファクシミリ、モデム等のデータ回線終端装置、ラジオ受信機や、テレビ受像機等の通信機器(情報機器)、特に携帯して利用可能な通信機器である携帯通信機器(端末)や、携帯して利用可能な情報機器である携帯情報機器(端末)、すなわち、携帯音楽プレーヤー、ICレコーダー、ポータブルDVDプレーヤー、ポケットコンピュータ、スマートブック、タブレットPC、PDA、電卓、携帯ゲーム機、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ラップトップコンピュータ、ノートパソコン、ハンドヘルドパソコン、携帯プリンター、携帯スキャナ、携帯モデム、電子辞書、電子手帳、電子書籍、ポータブルデータターミナル、携帯電話端末、PHS端末、ポケットベル端末、携帯ラジオ、携帯テレビ、ワンセグ、腕時計、懐中時計、補聴器、ハンドヘルドGPS、防犯ブザー、テレビ電話、GPS受信機、カーナビゲーション端末、リモコン端末、電子マネー、デジタルキー、デジタルロックやポイントカード用のICカード等を用いて顧客に届けられるものとなり、音楽、映画、ゲームソフト等の文字、画像、映像、動画、音声、映画の著作物や、Webアニメ等のマルチメディア関連のコンテンツを、これらの「物品」として、ダウンロード販売、クラウドコンピューティング、音楽配信、IP放送、インターネット放送、インターネットテレビ、インターネット放送ネットワーク、インターネットラジオ、ポッドキャスト、ビデオ・オン・デマンド、動画共有サービス等の手段を用いて配信する方法も広く利用されている。
そして、これらの付加価値の対象である「物品」そのものや、上記した様な種々の「サービス」を受けることができる「資格」や「権利」を顧客に付与するもの、すなわち、それらの付加価値の受領、または、利用を要求している者が、正当な「資格」、または、「権利」を保有している者であるか否かを判定する媒体として、各種のカード類が広く一般的に用いられている。
これらカード類は、身分を証明するIDカード、会員カードや、金銭的価値を有するキャッシュカード、クレジットカード、プリペイドカード、定期券、もしくは、回数券等として多くの分野で使用されており、その数は増加の一途をたどっている。この中で、前払い方式でサービスを提供する際の前払証票、いわゆるプリペイドカードは、特に数量的な増加率が高く、一定単位の金額を予め支払い、その金額分の価値情報を利用できるものとして広く普及している。
そして、そのカード上には、価値情報や識別情報が、基材に印字または印刷表示した絵柄や文字情報として記録され、また、基材上に設けられた磁気記録部または光学記録部、場合によってはICチップに機械読み取り情報として記録されており、用途に応じた様々な情報を保持し、様々な場面でそれらの情報を利用可能とするものである。
そのプリペイドカードの代表とも言えるテレホンカードにおいては、価値情報や識別情報がテレホンカードそのものに記録され、電話端末においてテレホンカードを使用する都度、その通話料金をテレホンカードに記録してある価値情報から減額し、その残金を再びテレホンカードに記録しておくものであったが、その後、テレホンカードの偽造や変造に対処する方式として、テレホンカード上にはランダムな「番号」のみを印字しておいて、テレホンカードの発行、登録、販売、利用、減額処理、登録抹消等を管理しているホストコンピュータ上にその「番号」に対応した価値データを持たせ、テレホンカードの使用者が、そのホストコンピュータにアクセスした時に利用金額分の通話を行うことができるという、いわゆる「スクラッチオフ方式のテレホンカード」、すなわち、秘匿性の許可番号(秘密情報。)を交付する形式のテレホンカードを使用する方式が実用化され、そのカード発行数量も多くなってきている。
この方式では、流通段階において許可番号の漏洩が発生すると、その許可番号を不正に入手した者による不正サービス受給や、正規購入者に対して正当な利用を提供できなくなる等のトラブルを招くのみならず、もはや、「実際にその許可番号を利用した行為」が、正規購入者による行為なのか、もしくは、不正入手者による行為なのかを判別する手段も無くなってしまい、不正行為の特定ができず、従って、その損害額の特定、そして、その特定に基づく損害賠償請求も不可能となる。
このため、テレホンカードにその許可番号を印字した後、その許可番号が第三者に簡単に盗まれることを防止する目的で、削り取り(スクラッチ)が可能な隠蔽層でその許可番号を一旦覆って流通させ、テレホンカード購入者(正規購入者)が、その隠蔽層をスクラッチして除去して、その下に隠蔽されている許可番号を読み取り、その許可番号を利用するという方式である、「スクラッチオフ方式」の採用が必須となっている。
例えば国際電話のアクセス方式として、中継基地となる電話会社(中継会社という。)と契約し、料金先払いで所定の金額(例えば、千円。)を支払うことによりその契約者個有のナンバーが記載されたカードが発行され、国際電話を掛ける際にはカードに表示されたアクセスナンバー(フリーダイヤル。これが秘密情報となる。)を入力して中継会社にアクセスし、次いで契約者個人に与えられた個人ナンバーを入力したのち、相手方の電話番号を入力することによって通話ができるシステムが、国際電話を低料金で掛けられ、且つ、中継会社へアクセスした際に所定秒時コマーシャルを流すことによる宣伝媒体としての利用を図ることができる方式として広く普及しつつある。
このシステムに加入すると、個人に与えられた個人ナンバーはスクラッチ加工(スクラッチ可能な隠蔽処理という意味。)により外部からは完全に見えないように処理されており、このスクラッチ加工部分を削るようにして剥すことにより初めて個人ナンバーが現われるようになされている。
また、従来より、イベントくじやゲーム用カード等において、秘密情報である、例えば、「あたり」又は「はずれ」に相当する絵柄や文字や番号などのくじの結果をスクラッチが可能な隠蔽層で一時的に隠蔽した後、このスクラッチが可能な隠蔽層を爪やコインなどで擦ることで、その隠蔽層の下に表示された秘密情報の内容を見ることができるようにしたスクラッチが可能な隠蔽層付き印刷物は知られている。これらの印刷物は、一般的に複数個所にスクラッチが可能な隠蔽層を設けておき、その中から「あたり」と思われる1ヶ所の隠蔽層をコイン等で削り取ることで、下層に表示された秘密情報の表示を目視で確認するもので、もし仮に2ヶ所以上の隠蔽層を削り取った場合は、無効とするなどの規則とする場合が多い。
さらに、スピードくじや、ファーストフード店等においてサービス的に用いられているチケットは、基材に数字や文字等(秘密情報)を印刷した後、その上にスクラッチが可能な隠蔽層を印刷して、下地の印刷が見えないように構成され、くじの購入者やチケットを受け取った者が、爪や硬貨を用いてその隠蔽層を擦り取ると、下地に印刷されている数字や文字等が出現する。この出現した数字や文字を、予め決定されている数字や文字等と比較して、合致した場合には当選が決まるシステム(秘密情報がある意味において暗号情報となっており、他の情報との照合、いわば、解読により、「当たり」が決まる仕組み。)となっている
また、抽せんコードの如き機密の個別データをスクラッチが可能な隠蔽層で隠蔽してあるインスタント抽選付ゲームカードやインスタント抽選付商品等においては、機密の個別データを複雑なゲームにも利用できるものとし、その隠蔽層を擦り取ると、「あたり」の文字や懸賞番号等のメッセージが浮かび上がるように構成されている
このように「スクラッチ方式」は、いわば「簡易くじ」としても用いられており、その用途としては、宝くじなどの各種くじ等の他、商品の購入時の景品提供の手段、教習具や、ケームカード等があるが、より具体的には、携帯電話ショップで、スクラッチ枠を11か所設け、その内5か所だけを擦って、自分の携帯電話番号といくつ一致するかでもらえる景品が決まり、裏面には新規契約の方への特別割引クーポン券がついているもの、大手ドラッグストアで、ポイントカード会員獲得のために、ポイント5倍などのスクラッチに使用するもの、会員登録したその日からクーポン券として利用可能で、クーポン券の利用期間を設けるもの、大手鶏卵メーカーで、大手スーパー量販店様への卵パックの中に封入し、当たりが出たら「当たり券」をハガキに貼って裏面記載の係りあてに応募すると、購入先で使用できる商品券がプレゼントされるもの、住宅展示場、ファーストフードショップ、遊園地、観光スポット、スポーツ観戦に使用されるもの等、さらには、食品業界、ファッション業界、美容業界や医療関係等用の、擦った後に削りカスが出にくいもの等、または、被封くじであって、当せんパターンがスクラッチ印刷され、これを削ることにより抽せんを行う、インスタントくじ、スクラッチ宝くじ等、スクラッチ可能な隠蔽層をパターン状に複数設けて、それらの何れかを削って、所定のマークを出すことができた場合に「当たり」とするもの、そのマークを出すまでの削り回数や、削った軌跡で「当たり」のレベル(例えば商品価格)を定めるもの、そのパターンが、縦横マス目状に設けられ、そのマークがそのマス目どの位置にあるかによって、「当たり」のレベルを定めるもの等がある。
また、抽選用品としてのスクラッチ三角くじやおみくじ用、キャラクター抽選会、おもちゃの抽選会、菓子等食品の抽選会、生活用品の抽選会等の抽選会景品セット用、サイコロを使う景品セット、輪なげや射的景品セット、おもちゃ釣りや千本つり景品セット、穴あけ宝箱景品セット、ガチャガチャやカプセル景品セット、つかみどりやすくいどり景品セット、詰め放題や玉入れ遊び景品セット、季節の抽選セットや景品抽選セット、夏の花火景品セット、夏の縁日景品抽選セット、夏のサマーグッズ抽選セット、クリスマス景品抽選セット、お正月景品抽選セット、年末年始景品抽選セット等のイベント景品セット用として、さらには、来店促進のためのお買物券や割引券等、店頭でのイベントなどに用いられる名刺サイズやハガキサイズのもの、イベント案内のダイレクトメールにスクラッチを活用するもの、店頭への誘導にハガキだけでなく、V折やZ折などの圧着ハガキDMへスクラッチ印刷したもの等、1日1回で数十回スクラッチすると、その回数に応じて、景品引換券や、家具や洋服等の店頭で販売している商品が手に入るものや、スクラッチカードの四つ角に決まったアイテムが用意され、これを参考にすれば、欲しいアイテムを効率良く集めることができるように構成されているもの等がある。
このような「スクラッチ方式」の普及により、その「秘密情報」として、単純な「あたり」または「はずれ」の文字や、シリアルナンバー等の番号類のみならず、バーコードや二次元バーコード等の機械認識コード類、顧客データ、メッセージ等、あらゆる語句や記号、もしくは特定のマーク等の図形を固定もしくは可変で構成するもの、さらには、これらの「情報」が発色機構や消色機構を利用して浮き出るものや、特定の光源によってのみ、その「秘密情報」を読み取ることができるものなども提案されている。
(先行技術)上記したように、銀行口座からの自動引き落としや、信販会社を介した決済という方法は、非常に堅実な方法ではあるが、事前の手続きが面倒で、また、サービスの利用開始までに時間がかかるという問題があり、公共料金など利用が不可欠なサービスについては、有効な料金回収方法であるとしても、顧客にとって恣意的なサービスについての料金回収方法としては、必ずしも適切ではなく、利用料金の支払いのための手続きが面倒であったり、実際に利用が可能になるまでに何日も待たされたりすれば、顧客はそのサービスの利用に躊躇せざるを得なくなる。
そのため、プリペイドカードを用いた料金回収方法が、非常に手軽な方法であり、サービスによっては非常に有効な方法であることから、すなわち、通常の物品を購入する場合と同じ形態で、サービスに対する対価の支払いを行うことができ、かつ、プリペイドカードを購入した時点からそのサービスを利用できるようになることから、いわゆる「プリペイドカード方式」が拡大したが、その半面、プリペイドカードの偽造や変造という問題が生じるに至り、すなわち、一般的なプリペイドカードは、磁気的に残存対価を記録する方式を採っているため、この磁気的な記録の改竄という方法による不正利用が蔓延する結果となり、従来の磁気記録を利用した「プリペイドカード方式」は、安全性の面で些か問題があるのではないかとの認識が広がった。
このような理由も追い風となり、カードそのものには金額等の記録を保持せず、「認証番号等」のみを「秘密情報」として保持させて、そのカードを購入した者がその「番号等」を「申告する」ことにより種々のサービスを受けることができるという新規な「プリペイドカードサービス」が普及した。この「番号等」は、「秘密情報」として秘匿するために、スクラッチが可能な隠蔽層等により隠蔽されているため、従来の磁気型プリペイドカードに対して、番号型プリペイドカードとも呼ばれる。
この番号型プリペイドカードには、公衆電話用カード、携帯電話用カード、国際電話用カード等の通信系、ゲームソフトや音楽ソフト、その他有料ソフトの決済カード等の決済系、ショッピングカード、ギフトカード、コインカード等の物品購入系等が実用化されている。
本発明のスクラッチシートは、このような、付加価値のある「秘密情報」が設けられたカード等の「基材」、すなわち、そのカード等を構成している「基材」であってその上に「秘密情報」が設けられているものに対して、その「秘密情報」を覆うようにスクラッチ隠蔽層を設けて、その「秘密情報」を第三者に対して秘匿し、その「秘密情報」の開示を受けられる正当な権利を有する者のみが、そのスクラッチシートのスクラッチ隠蔽層をスクラッチして初めて、その「秘密情報」を確認することができるようにするものである。
この目的を達成するための技術として、特許文献1には、カードそのものには金額等の記録を保持せず、「認証番号等」のみを秘密情報として保持させて、そのカードを購入した者がその「番号等」を「申告する」ことにより種々のサービスを受けることができる、これらのプリペイドカードサービスとして、この「番号等」を、秘密情報として秘匿するために、スクラッチが可能な隠蔽層等で隠蔽する技術が開示されている。
また、インスタント抽選券、秘密情報伝達カード、クイズカード等で、一時的に秘密にしたい情報をシート上にプリンター等で印字表示し、それらの秘密情報表示部の上層に引っ掻くことで破壊されるスクラッチ可能な隠蔽層を形成させてなる「スクラッチカード」が既に広く用いられているが、これらのスクラッチ可能な隠蔽層は、比較的容易に入手できる原料から形成することが可能であるため、偽造や変造を行うことも容易である。
例えば、販売前の段階において、販売関係者が宝くじ等のインスタント抽選券のスクラッチ可能な隠蔽層を一旦引っ掻いて剥離し、抽選番号を見て当たりの抽選券と外れの抽選券を事前に確認して判別しておき、再度抽選番号の表示部分上にスクラッチ可能な隠蔽層を再形成することで、見かけ上、元の状態に戻しておき不正行為が行われたことを気づかれないようにカムフラージュし、当たりの抽選券を知り合いに販売することで特定の客に儲けさせる等の不正行為を働くことも物理的に可能であるため、この対策として、スクラッチ可能な隠蔽層に香料を含んだマイクロカプセルを入れ、真偽判定をする方法が提案されている。しかし、この方法では、正当な使用者がスクラッチした際、バラの匂い等、嗅覚に訴える販促的効果は期待できるが、不正者が一度スクラッチをした後、再度同様の匂いの香料を含むスクラッチ可能な隠蔽層を設けても、その後入手した正当な使用者にとって、目視にて容易に判読できる不正の痕跡を残すことは困難であった。(例えば、特許文献2参照。)
以上のごとき、カムフラージュ行為を直接的に阻止する方法として、スクラッチ可能な隠蔽層の上、または、スクラッチ可能な隠蔽層と基材とに跨るように、ホログラム画像を形成したホログラム層を設け、不正を行おうとする者にホログラム画像の存在を認識させて、「ホログラム層」を形成することの困難さを持って不正行為を阻止しようとする技術も開発されている。(例えば、特許文献3または4参照。)
しかし、これらの技術は、ホログラム層の存在や、そのホログラムデザインが第三者にあらかじめ開示されていることから、そのホログラム再生像に類似した光学効果を有するものを十分な時間を掛けて偽造したり、もともと、この構成自体がホログラム層とスクラッチ可能な隠蔽層を同時に削る仕様となっていることから、「ホログラム層もろともスクラッチ可能な隠蔽層を全て削ってしまった」と偽ることにより、ホログラム層が全く存在しない変造品を持参しながら、あたかも正規品であったの如く振る舞う等の不正を防ぐことができないという欠点を有していた。
特開平10−214320号公報 特開2001−47777号公報 特開平11−34565号公報 特開2005−305844号公報
本発明は、ホログラム層をスクラッチ隠蔽層の背後に設けて、第三者に対してホログラムの存在、及び、そのホログラムデザインを秘匿可能とし、スクラッチ隠蔽層をスクラッチして「秘密情報」を視認可能としても、まだ、そのホログラムの存在は秘匿され、不正目的等で、もしくは、真正性確認のために敢えて、残りの部分を剥がすと、鮮明なホログラム再生像が出現し、初めて、そのホログラムの存在を確認できるという、高い偽造防止性を有するスクラッチシートを提供する。
そして、本発明のスクラッチシートを、上記した、いわば、「スクラッチカード」となるカード等の基材上に設けられた「秘密情報」を覆うようにして、ホログラム層及びスクラッチ隠蔽層をそれらの基材上に設けることにより、「秘密情報が隠蔽されたスクラッチカード等」とすることができる。
本発明のスクラッチシートにおいては、ホログラムデザインを第三者に開示していないことから、不正者が、例え、本発明のスクラッチシートを複数枚入手しても、まず、そのホログラムの存在には気づかず、例え、その構造やホログラムの存在を知り得たとしても、そのホログラムデザインが統一された唯一のデザインなのか、複数のデザインを任意に配したものなのか、もしくは、特定の秘密情報に対して特定のホログラムデザインを対応させてあるものかを知ることができないものとしており、この原理によって、入手したスクラッチカード以外の秘密情報を有するスクラッチカード等に対しての「偽造品」を作ることを事実上不可能とした、スクラッチシートを提供する。
さらに、ホログラム層を高度なスクラッチ耐性を有するものとして、スクラッチによるホログラム再生像の鮮明さの劣化を抑制可能とし、且つ、残りの部分を剥がしたときに露出する層を高屈折率な層として、出現するホログラム再生像をより鮮明なものとし、また、スクラッチ隠蔽層に平均粒径の異なる顔料を配して、シートを剥がそうとしたときに、その剥離痕を残せる構造とし、その偽造防止性を著しく高めることを可能としたスクラッチシートを提供する。
上記の目的を達成するために、
本発明のスクラッチシートの第1の態様は、
基材上に設けられた秘密情報を隠蔽するスクラッチシートであって、
前記秘密情報を覆うように、剥離層、レリーフホログラム形成層、及び、スクラッチ隠蔽層がこの順序で設けられ、前記スクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去することにより、前記秘密情報が視認可能となり、且つ、前記レリーフホログラム形成層と前記剥離層の界面で剥離が生じることにより前記レリーフホログラム形成層から再生されるレリーフホログラム再生像が視認可能となることを特徴とするものである。
上記第1の態様のスクラッチシートによれば、
基材上に設けられた秘密情報を隠蔽するスクラッチシートであって、
前記秘密情報を覆うように、剥離層、レリーフホログラム形成層、及び、スクラッチ隠蔽層がこの順序で設けられ、前記スクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去することにより、前記秘密情報が視認可能となり、且つ、前記レリーフホログラム形成層と前記剥離層の界面で剥離が生じることにより前記レリーフホログラム形成層から再生されるレリーフホログラム再生像が視認可能となることを特徴とするスクラッチシートを提供することができ、第三者に対してホログラムの存在、及び、そのホログラムデザインを秘匿可能とし、スクラッチ隠蔽層をスクラッチして「秘密情報」を視認可能としても、まだ、そのホログラムの存在は秘匿され、さらに残りの部分を剥がす行為によって、初めて、ホログラムの存在を確認できるという偽造防止性の高いスクラッチシートを提供することができる。
本発明のスクラッチシートの第2の態様は、
前記スクラッチ隠蔽層の前記レリーフホログラム形成層が形成されている面とは反対の面に、地紋印刷が施されていることを特徴とするものである。
上記第2の態様のスクラッチシートによれば、
前記スクラッチ隠蔽層の前記レリーフホログラム形成層が形成されている面とは反対の面に、地紋印刷が施されていることを特徴とする第1の態様の態様のスクラッチシートを提供することができ、スクラッチ隠蔽層の変造を防止し、より偽造防止性を高めたスクラッチシートを提供することができる。
本発明のスクラッチシートの第3の態様は、
前記剥離層の屈折率が、前記レリーフホログラム形成層の屈折率と同一、もしくは、その屈折率差が、0.1以下であることを特徴とするものである。
上記第3の態様のスクラッチシートによれば、
前記剥離層の屈折率が、前記レリーフホログラム形成層の屈折率と同一、もしくは、その屈折率差が、0.1以下であることを特徴とする第1または第2の態様のスクラッチシートを提供することができ、ホログラム層の秘匿性をさらに高め、その偽造防止性を向上させたスクラッチシートを提供することができる。
本発明のスクラッチシートの第4の態様は、
前記基材と前記剥離層との間に、接着層が設けられていることを特徴とするものである。
上記第4の態様のスクラッチシートによれば、
前記基材と前記剥離層との間に、接着層が設けられていることを特徴とする第1から第3の態様のスクラッチシートを提供することができ、より安定したスクラッチを可能とするスクラッチシートを提供することができる。
本発明のスクラッチシートの第5の態様は、
前記剥離層が高屈折率透明樹脂層であって、前記剥離層の屈折率が、1.7以上であることを特徴とするものである。
上記第5の態様のスクラッチシートによれば、
前記剥離層が高屈折率透明樹脂層であって、前記剥離層の屈折率が、1.7以上であることを特徴とする第1から第4の態様のスクラッチシートを提供することができ、より鮮明なホログラム再生像を出現させることができ、偽造防止性の高いスクラッチシートを提供することができる。
本発明のスクラッチシートの第6の態様は、
前記スクラッチ隠蔽層が、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料及び、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料を含んでいることを特徴とするものである。
上記第6の態様のスクラッチシートによれば、
前記スクラッチ隠蔽層が、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料及び、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料を含んでいることを特徴とする第1から第5の態様のスクラッチシートを提供することができ、スクラッチシートを剥がそうとすると、スクラッチ隠蔽層にその剥離痕が残り、その偽造防止性を著しく高めたスクラッチシートを提供する。
本発明のスクラッチシートの第7の態様は、
前記レリーフホログラム形成層が、前記剥離層上にあって、且つ、前記剥離層の形成領域より小さい領域に設けられていることを特徴とするものである。
上記第7の態様のスクラッチシートによれば、
前記レリーフホログラム形成層が、前記剥離層上にあって、且つ、前記剥離層の形成領域より小さい領域に設けられていることを特徴とする第1から第6の態様のスクラッチシートを提供することができ、そのレリーフホログラム形成層の剥離層からの剥離をより安定性のあるものとして、その偽造防止性をより高めたスクラッチシートを提供することができる。
本発明のスクラッチシートの第8の態様は、
前記スクラッチ隠蔽層が、少なくとも前記レリーフホログラム形成層を覆うように設けられていることを特徴とするものである。
上記第8の態様のスクラッチシートによれば、
前記スクラッチ隠蔽層が、少なくとも前記レリーフホログラム形成層を覆うように設けられていることを特徴とする第1から第7の態様のスクラッチシートを提供することができ、そのレリーフホログラム形成層の断面を秘匿して、その偽造防止性を著しく高めたスクラッチシートを提供することができる。
本発明のスクラッチシートに用いられる基材としては、
秘密情報表示部を設けることができるものであれば、あらゆる材料、すなわち、プラスチック材料、金属材料、セラミック材料、生体材料、それらの複合材料、さらには、それらを多層構造としたものなどを用いることができる。
その形状も、あらゆる形状、すなわち、シート状、フィルム状、板状、立方体状、直方体状、カード状、はがき状、伝票状、封筒状、円盤状、楕円体状、球体状、棒状、及びこれらの組み合わせや、これらに変形、切断、穴あけ、接着等の加工処理を施したものなどを採用することができる。
その厚さも、秘密情報表示部を支持することができ、且つ、ハンドリング可能であればよく、特に制限はないが、通常、3.0μm〜3.0mmの厚さとする。もちろん、封筒状や、箱状のものであれば、その立体形状の寸法は、それぞれの用途に適したものとするため、この範囲内とする必要はない。
但し、これらの基材上に設けた秘密情報をスクラッチ隠蔽層で秘匿することとなるが、そのスクラッチ隠蔽層を設けた側とは、反対側から、基材に対して、強度の大きい可視光線や、赤外線、紫外線、X線等、さらには、電子線等の粒子線(以上を総称して「光線」と称する。)を照射して、その「透過『光線』」や「反射『光線』」、さらには、特性X線等から、その秘密情報を読み取ろうという試みに対抗するため、その基材の性質として、これらの「光線」を「遮蔽」したり、「反射」、もしくは、「散乱」させる性質を保有することが望ましい。
これら基材の代表例としては、いわゆる「プリペイドカード」として用いられている基材及び形状や、「プラスチックカード」として用いられている基材及び形状、特に、JIS規格やISO規格で定められているものがある。
これらは、既に、全世界に大量に頒布され、普及しているため、そのハンドリングや、保持することに抵抗感がなく、また、それらを携帯したり、使用したりする場合の周辺機器や、関連グッズ等も既に普及しているため、これらのものへの適用もスムースであって好適である。
本発明のスクラッチシートが秘匿する「秘密情報」としては、暗証番号、個人認証番号、口座番号、その他の個人特有の番号または記号や、抽選番号または記号、管理番号または記号等、もしくは、単なる連続番号や記号であって、登録することによりその有効性を発現するもの、暗号鍵番号である共通鍵番号のように同一の番号、さらには、全くの乱数であってスクラッチシートの基材を作製するときに発生させ作製者含め誰もその番号の内容を知らないよう工夫した番号等、知ることが許された者(正規な購入者等を意味する。もちろん、スクラッチシートのシステム設計者や、スクラッチカード発行者等が含まれる場合もある。)のみが見ることができ、その他の者は物理的に見ることができないよう設定される番号または記号等がある。
また、そのスクラッチシートの用途により、番号または記号のみならず、文字、図形、マークその他、個人及びそのスクラッチシートの供給者が共通に認識できるもの(この対象は、いわゆる「情報」全てとなる。)であれば何れも用いることができる。そして、その認識方法も、少なくとも目視確認により認識できる情報を有しながら、目視以外の認識方法、例えば、光学読取方法、磁気的読取方法、その他、あらゆる物理的もしくは化学的読取方法を採用することができ、且つ、秘密情報と重ねて視認できるレリーフホログラム再生像の中にも、ホログラム再生原理を利用した光学読取方法を含めることもその偽造防止性を高めるために好適である。
この「秘密情報」をスクラッチシートの基材上に設ける方法としては、可変情報を形成する方式として、感熱溶融転写方式、昇華転写方式、光学的もしくは物理的直接描画方式、電子写真方式及び、インクジェット方式等があり、固定情報を形成する方式としては、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、活版印刷方式、凹版印刷方式、スクリーン印刷方式等がある。
また、基材そのものを発色材料や消色材料で構成し、その発色原理や消色原理を用いて、可変情報や固定情報を記録する方法を用いてもよい。
すなわち、電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱発色材料からなる基材や、基紙となる紙材料やフィルム材料上に、電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱発色層を設けたもの、さらには、それらの基紙上に、カプセル内包の発色剤と顕色剤とからなる感圧発色層を設けたものを、基材として用いることができる。
また、発色と消色を繰り返して操作できる、感温材料等を用いたサーマルリライタブル層や、フルギド系やスピロピラン系などのフォトクロミック材料等を用いる光リライタブル層を設けることも、その意外性や偽造防止性が高まり、好ましい。
特に、これらの「リライタブル層」を設けて、「秘密情報」を表示させると、正規購入者が、その「秘密情報」を確認するときのみ「秘密情報」が現れ、それ以外のときには「非表示」とすることで、不要な第三者による「秘密情報」の視認を阻止することができる。
感熱発色材料としては、発色剤、顕色剤、及び、増感剤からなる系を用いることができ、発色剤としては、ベンゾイルロイコメチレンブルー、クリスタルバイオレットラクトン等のフタリド化合物等、顕色剤としては、4−4´ビフェノール、1−ナフトール等の酸など、さらに、増感剤としては、4−ベンジルビフェニル、フルオレン等を用いる。
感熱記録とは,基紙上の層に分散させた発色剤及び顕色剤を熱により溶融させ、接触させることにより発色させる仕組みである。その高感度化のために、低融点の増感剤を添加するが、様々な酸発生方法とこの発色機構を組み合わせることにより、繰り返しの書き込みや消去が可能なリライタブル感熱記録を実現できるものである。例えば、低い熱エネルギーにて発色する赤色感熱記録層と,高い熱エネルギーにて発色する黒色感熱記録層を積層させることにより,その印加エネルギーを使い分けることで赤/黒2色での記録を可能にする2色発色感熱記録材料を用いてもよい。
これらのロイコ系感熱発色材料や、フォトクロミック系光発色材料は、その発色機構である「紫外領域または赤外領域→可視領域への変化」を、「可視領域→紫外領域または赤外領域への変化」とすべく材料選定をすることにより、消色記録材料として用いることができる。
このような消色機構を用いると、正規購入者が、その「秘密情報」を確認した後、正規購入者の判断により、速やかに、もしくは、適宜なタイミングで、「秘密情報」を消色(消去)することを可能とし、その偽造防止性を高めることを可能とする。
また、基材上へ「秘密情報」を設ける位置、もしくは、配置についても、特に制限は無いが、
プリペイドカード等のように、薄く強靭な素材を用いた場合には、その基材を容易に湾曲させることができるため、その基材の中央部分に設けることを避け、その右端、もしくは、左端、さらには、上端、もしくは、下端に設けることが望ましい。(湾曲した際に、スクラッチ隠蔽層にその変形圧力が掛からないように配慮するという意味。)もしくは、湾曲した際の比較的曲がっていない部分に、2箇所またはそれ以上の箇所に分散して設けてもよい。
また、磁気カード仕様や、ICカード仕様上のいわゆる「禁止エリア」(磁気部エリアやIC部エリアのように、印刷やエンボス加工等を禁止しているエリアのこと。所定の機能以外のものを設けることを禁止しているエリアを意味する。)を避けて設けたり、さらには、カードに加える様々な加工処理、例えば、エンボッシング処理、磁気記録処理、接触タイプのICチップ加工処理、非接触タイプのICチップやアンテナ類の加工処理、サインパネル加工処理やホログラム加工処理において、不具合が発生しない位置に設ける。
また、「秘密情報」を一つの位置に設けるのみ(一つの情報として読み取ることができるものが一か所に固まっているという意味。)ならず、基材上に、分散して複数の位置に設けたり、基材の表裏に設けることも、その秘匿性が向上し好適である。もちろん、その場合には、それぞれの位置に、それぞれのスクラッチ隠蔽層を設けることは言うまでもない。
上記した方法、または、方式により、その「秘密情報」をスクラッチシートの基材上に形成し、そして、その「秘密情報」を覆うように、剥離層を、直接、もしくは、接着層を介して、設け、その上に、レリーフホログラム形成層とスクラッチ隠蔽層をこの順序で形成し、且つ、そのスクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去すると、その「秘密情報」が視認可能となり、さらに、その残りの部分、すなわち、「削り残ったスクラッチ隠蔽層、レリーフホログラム形成層、剥離層及び接着層」を、その基材から剥がそうとすると、レリーフホログラム形成層と剥離層の界面からの剥離が発生して、剥離層表面が露出し(その露出面が「ホログラムレリーフ面」となっている。)、そこで初めて、その露出面からから再生されるレリーフホログラム再生像が視認可能となるスクラッチシートを作成することにより、その「秘密情報」を第三者が目視によって判読したり、不正者が盗読することを防ぎ、且つ、正当な使用者がそのスクラッチ隠蔽層をスクラッチして、その「秘密情報」を視認可能とし、しかも、その段階においても、まだ、そのホログラムの存在は秘匿され、不正目的等で、もしくは、真正性確認のために敢えて、残りの部分を剥がすと、鮮明なホログラム再生像が出現し、初めて、そのホログラムの存在を確認できるスクラッチシートとを構成することができる。
ここで、ホログラムとは、一方で、ホログラム再生像として再生したい「3次元物体」に対して、時間的、且つ、空間的コヒーレント性を有する光であるレーザー光を照射(照明)し、その「3次元物体」の表面で、反射し、散乱(回折)した「光」(これが「物体光」と呼ばれる。)を、所定の角度で、感光材料へ入射させ、他方で、そのレーザー光そのもの(これが、「参照光」と呼ばれる。)を、その「物体光」の入射角度とは異なる角度で、同時に、その感光材料へ入射させて、その「物体光」と、「参照光」とを干渉させ、その干渉によって生じた「干渉縞」を、その感光材料に記録したものである。
このホログラム形成方法は、撮影方式によるホログラム形成方法の一つであって、「二光線束干渉法」とも呼ばれる。
その「物体光」と、「参照光」は、互いにコヒーレントであるので、感光材料内に鮮明な干渉縞が発生し、その干渉縞が記録される。
まず簡単な場合として、参照光及び物体光の二つが、ある角度をなす、いずれも平行光である場合を考えると、二つの光の感光材料面までの道筋(光路)の長さの違い、したがって二つの光の位相の違いによって、感光材料面上のある位置では互いに強め合い、また別の位置では弱め合い、結果として感光材料には、参照光、物体光のなす角度によって決まる等間隔で感光材料面に垂直方向に伸びる干渉縞が記録される。
また、この干渉縞のコントラストは、参照光及び物体光の振幅が等しいときもっとも大きく、相違があるほど小さくなる。物体光は、「3次元物体」の立体形状に依存して変化する光であって平行光ではないので、干渉縞は乱れたものになる。
しかし、その乱れは、参照光に対する物体光の位相の変化が干渉縞の横ずれとして、また、振幅の変化がコントラストの変化として生じ、感光材料には、物体光の位相、振幅の情報がすべて記録される。このようにして露光された感光材料を現像処理したものがホログラムとなる。
このホログラムには、普通のカメラで写した写真のようには、物体の像が写っておらず、ただ一様に白濁(屈折率分布として記録されている。)しているように見えるが、光の波長に近い細かさで物体情報が完全に記録されている。
この感光材料として、フォトレジストを用い、フォトレジストの現像時間管理によって、フォトレジストの表面に、所望の深さの凹凸を設けたものが、レリーフホログラムであって、その凹凸が、上記と同様に、その深さや、周期において乱れたものとなっており、その乱れが、物体光の位相や、振幅の情報を含むことになる。
そして、その凹凸面が、ホログラムレリーフ面であって、このときの「凹凸面を有する感光材料層」が、「レリーフホログラム形成層」に該当することとなる。
干渉縞を記録したホログラムを、例えば、上記した参照光と同一のレーザー光で照明すると、感光材料内に記録された干渉縞が、光の進行方向を変える回折格子として作用する。
回折格子に光が入射すると、そのまま透過する直接透過光(ゼロ次回折光)のほかに、格子の間隔、いまの場合は、干渉縞の間隔によって決まる方向にプラス1次、及び、マイナス1次の回折光を生じる。
ホログラム作成時、物体光及び参照光として所定の角度をなす平行光を用いた場合には、このホログラムを照明した際のプラス及び、マイナス1次の回折光は、いずれも平行光であり、前者は元の物体光が感光材料を透過する方向に進む。
実際の干渉縞は物体光の位相や振幅で乱されているので、ちょうどそれに対応するようにプラス1次の回折光は乱され、元の物体光をそのまま再生することになる。ホログラムを通して観察すると、ゼロ次、または、マイナス1次の回折光にじゃまされず、元の位置に物体像が立体的に再生する。この像は直接像とよばれ、あたかも物体から光が出たように、発散する光で見えるので虚像になる。また、マイナス1次の回折光によって、ホログラムの右側に、元の物体と前後が逆になった像が再生する。これは共役像とよばれ、実際に光が集束するので実像になる。
直接像を、見る位置を変えて観察すると、3次元物体の前後の相対位置が変化し、立体的に再生していることを確認できる。
この状況は、レリーフホログラムにおいても同様であって、上記したレリーフホログラム形成層が有するホログラムレリーフ面を、所定の「参照光」で照明すると、所定の角度に直接像(ホログラム再生像)が現れる。
そして、このホログラムレリーフ面に、そのレリーフホログラム形成層と屈折率が実質的に同一、すなわち、屈折率が全く同一、乃至はその差が0.1以下の剥離層がそのレリーフ面を埋めるように形成されていると、そのレリーフホログラム形成層と、その剥離層とがホログラムレリーフ面を含んで「一体」となって、「光学的には一様な一つの層」と見做される状態となり、すなわち、光学的にはその界面が存在しないこととなり、この界面での反射や屈折が一切生じない状態となる。
このことは、実質的にホログラムレリーフ面が解消されたことを意味し、もはや、「この界面から『反射した光』が、所定の角度によって決まる反射方向へ、その直接像を出現させたり、その共役像である実像を結像したりする」ことが無くなる。
但し、レリーフホログラム形成層と、剥離層の界面を、「非常に剥離し易い状態」として、「レリーフホログラム形成層に何らかの力が働いたときに、容易に、その界面からの剥離が生じる状態」としておき、もしくは、「その界面があることを知り得る者のみがその界面を剥離できる状態」としておくと、その界面剥離後は、剥離層に転写されているホログラムレリーフ面から、その剥離層と空気との屈折率差により、その界面、すなわち、剥離層の露出面が反射面となって、「この界面から『反射した光』が、所定の角度によって決まる反射方向へ、その直接像を出現させたり、その共役像である実像を結像したりする」こととなる。
これらの「ホログラムレリーフ面」の形状は、その深さが、0.01μm程度であり、ピッチ(凹凸の周期を意味する。)が、1.0μm前後の凹凸が所定の領域内に隙間なく敷き詰められた形状をしており、この凹凸形状の一つ一つがいわば、1.0μm毎に「個々の反射回折光」を発生し、その「個々の反射回折光」が互いに光の干渉現象を生じて、最終的に一つの合体したレリーフホログラム再生像として、視認される。
従って、例えば、この1.0μmの凹凸形状の一つを滑らかな小さな3次元曲面と捉えたとき(ホログラムレリーフの凹凸の断面形状は、しばしば、三角関数曲線のような単調増加や単調減少を繰り返す曲線に例えられる。)、その3次元曲面に、0.001μmオーダーの微細な凹みや突起が生じたり、その曲面そのものが0.001μmオーダーで変形した曲面となったりするような「凹凸形状のわずかな変形」(凹部の深さが0.001μm深くなったり、浅くなったり、もしくは、その直径が0.1μm程度広がったりすることを意味する。このような変化は、極く微細なものと思われがちであるが、それでも「10%の変化」という大きなものとなっている。)、すなわち、「ホログラムレリーフ面形状のわずかな変形」が発生することで、レリーフホログラム再生像の鮮明度に大きな影響を与え、その鮮明度が低下することとなる。
特に、このような変形がホログラム記録領域の中で偏在して発生すると、レリーフホログラム再生像そのものの変形までをも引き起こす。
本発明のスクラッチシートは、スクラッチシートの基材上に、「秘密情報」が設けられ、その「秘密情報」を覆うように、剥離層、レリーフホログラム形成層、スクラッチ隠蔽層、もしくは、接着層、剥離層、レリーフホログラム形成層、スクラッチ隠蔽層、または、そのスクラッチ隠蔽層上にさらに地紋印刷を設けたもので構成される。
レリーフホログラム形成層上に設けられる、スクラッチ隠蔽層用のインキ組成物としては、ゴム系天然樹脂、ジエン系樹脂、アクリル系樹脂や、ビニル系樹脂を樹脂成分とし、隠蔽性とスクラッチ性を得るために、金属系微粉末やそれらの酸化微粉末等の顔料成分を固形分全体の20〜80%の割合で含有するものを用いる。また、スクラッチ隠蔽層の隠蔽性を向上させるために、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の隠蔽性の強い顔料成分を1〜10%含有させてもよい。スクラッチ隠蔽層用インキ組成物を以上の組成物から構成することにより、印刷適性とスクラッチ性との双方を満足することができるようになる。
スクラッチ隠蔽層は、この組成物を適宜な溶剤で希釈したものを、レリーフホログラム形成層上に、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、凹版印刷方式、インクジェット印刷方式等の印刷方式を用い、乾燥後の厚さとして、5μm〜50μm、さらには10μm〜30μmの厚さで形成する。
この厚さが5μm未満では、「秘密情報」が透けて見える可能性があり、50μmを超える厚さではスクラッチシートの基材上の「突出」が大きすぎて、スクラッチシートを重ねる等のハンドリングに支障をきたす。さらにその厚さが、10μm以上あれば秘密情報の隠蔽性は十分であり、30μm以下であれば形成作業性に優れ、スクラッチカード等を1000枚重ねた際の突出量は3cm以内となり、自動搬送処理等にも使用可能な範囲に収まるものとなる。スクラッチ隠蔽層の厚さがこの範囲であれば、コインや、指もしくは爪で容易に粉砕可能である。
但し、スクラッチ隠蔽層を部分的にスクラッチした際には、そのスクラッチ隠蔽層が除去された領域において、スクラッチ隠蔽層とレリーフホログラム形成層との界面が露出することとなり、その界面を通して、「秘密情報」を視認することとなるため、その視認性を確実なものとすることを目的として、そのスクラッチ隠蔽層の露出面を、いわゆる「光学的な鏡面」としてもよい。
このスクラッチ隠蔽層とレリーフホログラム形成層との界面が、「光学的な鏡面」とならず、いわゆる「粗面」となっている場合には、この「粗面状の界面」を「秘密情報」を視認するための照明光が通過したときに、その「光の位相」が乱れ、さらには、「散乱光」となってしまい、「秘密情報」に対して、いわば「擦りガラス」を通して情報を見ているような状態となる。
このような「光学的な鏡面」とは、ある「層」の表面の平滑性が、実質的に、平均表面粗さRaで、0.01μm〜0.1μmであることを意味する。また、ホログラムレリーフ面のような三次元曲面において、「光学的な鏡面である」とは、その曲面が、あるべき曲面から逸脱するような不規則な凹凸の無い「滑らかな面」であることを言い、敢えて定義すれば、「その三次元曲面において、微視的領域であってその領域内ではほぼ平面と近似できる極く小さな面領域における平均表面粗さRaの値が、どの微視的領域においても0.01μm〜0.1μmであること」と定義できる。
通常、スクラッチ隠蔽層を上記のような印刷方式を用いて形成すると、その表面は、1.0μm〜30.0μm程度、場合によってはそれ以上の「粗さ」となり、その「粗さ」が、コインや、指もしくは爪で粉砕することを容易なものとし、スクラッチオフ適正という点では望ましいとされている。(スクラッチオフとは、コインや爪によるスクラッチによりスクラッチ隠蔽層を部分的に除去することを意味する。)
しかし、スクラッチ隠蔽層のレリーフホログラム形成層と接している面とは反対の面(スクラッチシートとしての最表面)は、まさにそのスクラッチをする面であってそのような粗さとすることが好ましいものの、その反対面、すなわち、スクラッチ隠蔽層のレリーフホログラム形成層と接している面は、本発明の目的より、上記したように「光学的な鏡面」とすることも好適である。
このため、適宜な剥離性フィルム上に、スクラッチ隠蔽層を形成後、上記した「光学的な鏡面」以上の平滑な表面を有する、「表面平滑化処理を施した金属板」等を用いて、100〜200℃の加熱、及び、107〜109Paでの加圧をする平板プレス処理、もしくは、「表面平滑化処理を施した金属ロール」等を用いてロール幅1cmに対して1.0kg以上の線圧を掛けるロールプレス処理により、スクラッチ隠蔽層の露出面を、一旦、「光学的な鏡面」とした後に、基材上に、「秘密情報」、剥離層、及びレリーフホログラム形成層を設けた、そのレリーフホログラム形成層上に、その平滑な表面を接するようにして、転写形成することにより、スクラッチ隠蔽層とレリーフホログラム形成層との界面、すなわち、スクラッチ後の露出面を「光学的な鏡面」とする。もちろん、この際には、レリーフホログラム形成層の最表面が「光学的な鏡面」となっていることが好ましいことは言うまでもない。
また、スクラッチ隠蔽層を、上記の印刷方式のみならず、ロールコーティング方式や、レジスト処理方式を用いて設けることもこの目的のためには好適である。
但し、スクラッチ隠蔽層をスクラッチオフした段階で、レリーフホログラム形成層と剥離層との界面であるホログラムレリーフ面の存在をより隠蔽し易くする目的で、敢えて、スクラッチ隠蔽層とレリーフホログラム形成層との界面を上記した様な「光学的な鏡面」とせず、あくまで、「秘密情報」の視認性を確保した上で、その界面に届く照明光の「光の位相を乱す粗面」とすることもまた、本発明のスクラッチシートの用途や目的(その界面の秘匿性を特に高する必要がある場合を意味する。)によっては好適となる。
このレリーフホログラム形成層に用いられる透明樹脂層として、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。(電離放射線とは、電子線及び紫外線を意味する。)
レリーフホログラム形成層の形成手順は、以下のような種々の方法を用いることができる。
例えば、まず、適宜な剥離性フィルムに、スクラッチ隠蔽層とレリーフホログラム形成層を積層した後、このレリーフホログラム形成層の露出面に、ホログラムレリーフ複製手段を用いてホログラムレリーフを形成し、このホログラムレリーフ面上に、そのホログラムレリーフ面を埋めるように設けた剥離層を積層した、「適宜な剥離性フィルム/スクラッチ隠蔽層/レリーフホログラム形成層/剥離層」の4層積層体、または、その剥離層上に接着層を重ねて形成した5層積層体を、予め準備してあるスクラッチシート用基材の「秘密情報」形成部上に、転写形成し、適宜な剥離性フィルムを剥離することで、本発明のスクラッチシートとする手順(手順1)を用いることができる。
または、スクラッチシート用基材の「秘密情報」形成部上に、剥離層を設け、その剥離層の露出面に、上記の手順1にて作成できる、「適宜な剥離性フィルム/スクラッチ隠蔽層/ホログラムレリーフを形成してあるレリーフホログラム形成層」の3積層体を、そのホログラムレリーフ面を剥離層に押し付けるようにしてラミネートする(レリーフホログラム形成層のホログラムレリーフ面を、「複製原版のホログラムレリーフ面」と見做すことを意味する。)ことで、本発明のスクラッチシートとする手順(手順2)とすることもできる。
さらには、スクラッチシート用基材の「秘密情報」形成部上に、剥離層を設け、その剥離層の最表面にホログラムレリーフを形成し、そのホログラムレリーフ面を埋めるようにレリーフホログラム形成層を設けて、そのレリーフホログラム形成層上にスクラッチ隠蔽層を設けて、本発明のスクラッチシートとしてもよい(手順3)。
手順1は、転写方式を用いて、レリーフホログラム形成層やスクラッチ隠蔽層を設けるため、転写の際の加熱や加圧の影響を、基材や「秘密情報」形成部の一部のみとすることができ、且つ、比較的任意の複数の位置に容易に形成することができるため好適である。
また、手順2も、レリーフホログラム形成層をホログラムレリーフ形成用原版として用い、そのまま、ラミネートするため、剥離層として、電離線硬化樹脂を用いて、そのラミネート後に硬化させる手順とすることができ、やはり好適である。もちろん、この手順2において、剥離層上に、レリーフホログラム形成層のみをラミネートし、その後、そのレリーフホログラム形成層上に、スクラッチ隠蔽層を設ける手順としてもよいことはいうまでもない。
このレリーフホログラム形成層は、各手順において、それぞれ、スクラッチ隠蔽層、または、剥離層を溶解しない溶剤を用い、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、凹版印刷方式、インクジェット印刷方式等の印刷方式や、スピンコーティング方式、カーテンコート方式、フォトレジスト処理方式等の形成手段によって、乾燥後の厚さとして、1.0μm〜50μm、さらには10μm〜30μmの厚さで形成する。
この厚さが、1.0μm未満であると、レリーフホログラム形成層に対してホログラムレリーフを形成すること、もしくは、剥離層のホログラムレリーフ面を埋めて秘匿すること、さらには、レリーフホログラム形成層をその真正性確認の目的で剥がすことが困難となり、50μmを超える厚さでは、やはり、スクラッチシートの総厚さが大きくなりすぎ、スクラッチシートを重ねる等のハンドリングに支障をきたす。
このレリーフホログラム形成層にホログラムレリーフを形成するには、レリーフホログラム形成層の露出している面に、予め準備した回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された原版(所定のホログラムレリーフ面を有する原版という意味。)を、複製方式のプレス型(スタンパともいう。)として押し当て、加熱ロールなどの適宜な手段により、両者を加熱して圧着することにより、原版の凹凸模様をレリーフホログラム形成層に、すなわち、ホログラムレリーフを複製することができる。この際、形成するホログラムレリーフパターンは単独のパターンでも、複数のパターンの集合体でもよい。
または、上記の原版の凹凸面とスクラッチ隠蔽層との間に、電離放射線硬化性樹脂を充填し、電離放射線にて、その樹脂を硬化させた後、その原版を剥離することで、スクラッチ隠蔽層上に、より精密なホログラムレリーフ面を有するレリーフホログラム形成層を形成することができる。
そのレリーフホログラム形成層に形成するホログラムレリーフ、すなわち、「ホログラム」としては、「レリーフホログラム」として形成できる、レインボーホログラム等、種々の「ホログラム」を採用することができるが、そのホログラムデザインとして、本発明のスクラッチシートの発行者のみが「全体のデザイン構成」(各種類のスクラッチシートに、適用しているデザインの種類等を意味する。)を把握し、正規購入者に本発明のスクラッチシートを配布する際に、そのスクラッチシートに適用しているホログラムデザインを告知して、正規購入者がその「秘密情報」を確認する際に、併せて、指定されたホログラムデザインを有しているか否かを判定できるものとすることも、その偽造防止性を高め、好適である。
剥離層の形成手順は、上記した本発明のスクラッチシートの基材上に、且つ、その基材上の「秘密情報」を覆うように、剥離層を設けるか、または、上記したレリーフホログラム形成層のホログラムレリーフ面を埋めるように、且つ、レリーフホログラム形成層との界面での界面剥離が可能なように、剥離層を設ける手順となる。
剥離層に用い得る樹脂としては、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができるが、レリーフホログラム形成層に対する剥離層の「濡れ性は、低い」ことが好ましく、前者の手順の場合には、剥離層の表面張力は、レリーフホログラム形成層の表面張力より小さく設定することが好ましい。
もしくは、後者の手順の場合には、レリーフホログラム形成層の表面張力は、剥離層の表面張力より小さく設定することが好ましい。
但し、このような表面張力の差があると、レリーフホログラム形成層が剥離層のホログラムレリーフ面を、もしくは、剥離層がレリーフホログラム形成層のホログラムレリーフ面を、高い精度で埋めることが難しくなる傾向があるため、剥離層のホログラムレリーフ面にレリーフホログラム形成層を形成した後にそのレリーフホログラム形成層の背面側から、もしくは、レリーフホログラム形成層のホログラムレリーフ面上に剥離層を形成した後に剥離層の背面側から、平板プレスやロールプレスを施して、レリーフホログラム形成層や剥離層へのホログラムレリーフ形状の転写精度を高めることも好適である。
以下、レリーフホログラム形成層のホログラムレリーフ面上に、剥離層を設ける場合につき、より詳細に述べるが、同様の原理及び手段を用いて、剥離層のホログラムレリーフ面上にレリーフホログラム形成層を形成する場合においても、同様に高い転写精度を得ることができる(その場合には、「剥離層」と「レリーフホログラム形成層」の関係を入れ替えて、この原理及び手順を適用する。)。
例えば、レリーフホログラム形成層に、2液硬化タイプ等の反応性樹脂を用い、30℃〜80℃で数日〜数か月のエージング処理をしたり、コロナ処理や、電離放射線硬化タイプとして、その電離放射線を追加照射するなどして、それらの反応を促進して、硬化度(特にレリーフホログラム形成層のホログラムレリーフ面の硬化度)を100%に近づけることで、ホログラムレリーフ面の表面張力を低下させることができる。
さらには、ホログラムレリーフ面へのフッ化処理や、フッ素イオン注入処理も、ホログラムレリーフ面の「形状」を変化させずに維持したまま、ホログラムレリーフ面の表面張力を低下させる効果がある。
ここで、剥離層の表面張力を、ホログラム形成層の表面張力より、1mN/mでも大きくすることで、剥離層をホログラム形成層上に形成する際の「濡れ難さ」が発生し、剥離層に用いる樹脂とホログラム形成層に用いた樹脂とが「相溶」して混ざり合うことによる、ホログラムレリーフ面の劣化、すなわち、ホログラムレリーフ面の微細な凹凸形状の変形を防ぐ。
そして、剥離層をホログラム形成層上に形成する際の濡れ難さは、ホログラム形成層の表面張力より、剥離層の表面張力を1mN/mでも大きくすることで得られるが、さらに、その差を10mN/m以上、より好ましくは20mN/m以上とする。なお、これらの濡れ性の値は、和光純薬工業株式会社製濡れ張力試験用混合液を用いて実測できる。
この「濡れ難さ」、すなわち、「ホログラムレリーフ面形状の維持のし易さ」は、両層の表面張力の差が、10mN/m以上となると増大し、20mN/m以上とすると顕著となる。但し、両層の表面張力の差を40mN/mを超えるものとすることは両層に使用する樹脂選定にあたりかなりの困難を伴う。しかも、両層の表面張力の差が大きくなればなるほど、ホログラム形成層のホログラムレリーフ面上に設ける剥離層用樹脂等が濡れ難くなり、通常の印刷方法では、ホログラム形成層のホログラムレリーフ面への追従性が逆に低下し始め、剥離層のレリーフ面(ホログラム形成層のホログラムレリーフ面に接している面という意味。)が、高い精度で「ホログラム形成層のホログラムレリーフ面」と同一となることを阻害するようになる。
このため、剥離層を形成する際、もしくは形成後に、剥離層の露出面側(剥離層のホログラムレリーフ面とは反対の面側という意味。)から高い線圧(ロールプレスという意味。ロール幅1cmに対して0.1kg以上。さらには、1kg以上の圧力という意味。)、もしくは高い平圧(平圧プレスという意味。107Pa以上、さらには、108Pa以上の圧力という意味。)を掛けて、剥離層のレリーフ面が、高い精度でホログラム形成層のホログラムレリーフ面と一致するように工夫する必要がある。
そして、ホログラム形成層と剥離層の表面張力の差が大きければ大きいほど、両層の界面での界面剥離が発生し易くなり、例えば、本発明のスクラッチシートから不正にスクラッチ隠蔽層部分を剥がそうとして、スクラッチシートに変形圧力を掛けたり、シートの粘着剤を溶解させようとして溶剤を浸み込ませたりすると、両層の界面の至る所で部分剥離が生じ始め(空隙が発生するという意味。)、その部分が空気を含んで「白濁」して見えるようになり、しかも、ホログラムレリーフが非常に微細であって、且つ、剥離層がレリーフホログラム形成層に対して濡れ難く設定してあるため、もはや、レリーフホログラム形成層側から高い圧力を掛けてもその界面剥離してしまった部分を元に戻すことは不可能となっているものである。
具体的には、レリーフホログラム形成層として、剥離層との離形性を有し、且つ、表面張力が低い、シリコン樹脂や、フッ素含有樹脂そのものも用いることができる。
また、各種の熱可塑性樹脂、もしくは熱硬化性樹脂に、シリコン樹脂やフッ素含有樹脂、さらには、シリコンオイルを混合したもの、または、それらの樹脂とシリコン樹脂やフッ素含有樹脂を共重合させたものや、それらの樹脂の分子内にシロキサン結合〔―Si(R1)(R2)−O―〕やフッ素原子〔−F〕を導入したものを用いることができる。
さらに、剥離層に用い得る樹脂としては、、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂の樹脂の中から、スクラッチシートの基材や、「秘密情報」形成部との接着性を確保した上で、レリーフホログラム形成層との界面剥離強度が、0.1〜200g/25mm巾、特には、1.0〜30g/25mm巾(JIS Z0237準拠の180°による剥離方法による。)となるものを用いる。
界面剥離強度が、0.1g/25mm巾未満であると、加工適正や、ハンドリング適正に劣るものとなり、200g/25mm巾を超えると、その界面を剥離して真正性を確認しようとする試みが困難なものとなる。
特に、剥離層用インキ組成物には、レリーフホログラム形成層を溶解し難い溶剤系や、水系のものを用い、レリーフホログラム形成層のホログラムレリーフの「光学的な鏡面」性に悪影響を与えないものとする。
剥離層のレリーフホログラム形成層との界面剥離性をさらに高めるため、剥離層に用い得る樹脂中に、マイクロシリカ等の無機微粒子、シリコン樹脂やフッ素樹脂粉末等の微粒子樹脂紛体、その他、炭酸カルシウム、硫酸バリウムや、タルク等の滑剤や体質顔料、さらにはシリコンオイル等の離型剤を、その樹脂成分に対して、1.0〜30.0%添加することができる。
剥離層の厚さは、1.0μm〜30μm、さらには3.0μm〜20μmの厚さで形成する。
この厚さが、1.0μm未満であると、レリーフホログラム形成層からのホログラムレリーフ形状の転写が不十分となり、且つ、転写されたホログラムレリーフ形状を維持し難くなり、30μmを超えると、やはり、スクラッチシートの総厚さが大きくなりすぎ、スクラッチシートを重ねる等のハンドリングに支障をきたす。
特に、スクラッチシートの基材が加熱や、加圧により変形し易い材料からなる場合には、剥離層を、敢えて、0.5μm〜3.0μmの非常に薄い層と設定しても、その剥離層上へのホログラムレリーフ形成性と、レリーフホログラム形成層との界面剥離性を両立させることができる。
また、レリーフホログラム形成層においても、特に、ホログラムレリーフ面を再現し、且つ、界面剥離性を発現するためには、非常に薄い層であってもその機能を発揮できるため、敢えて、1.0μm〜3.0μmの薄い層に設定し、界面剥離した後に、その表面を指で触れるなど、僅かな圧力が加わったとき、レリーフホログラム形成層に「破断」や「変形」が生じて、露出しているホログラムレリーフ面を複製する等の悪用を防止できるものとすることができ、その変造や偽造を防止できるものとなる。
すなわち、「スクラッチカード等の正規購入者が、その真正性判定のため、界面剥離を行った後、その露出したホログラムレリーフの覗き見や、悪用を阻止するため、速やかに、レリーフホログラム形成層を指でつぶすシステム」とすることも好適である。

また、本発明のスクラッチシートの構成においては、レリーフホログラム形成層と剥離層との界面が、レリーフホログラム形成層のホログラムレリーフ面となっているため、この界面の秘匿性を高めるため、剥離層の屈折率を、レリーフホログラム形成層の屈折率と実質的に同一、すなわち、剥離層の屈折率とレリーフホログラム形成層の屈折率を、同一、もしくは、その屈折率差を、0.1以下とし、この両層の界面、すなわち、ホログラムレリーフ面における、反射光の強度を極小化して、その反射光によって再生されるレリーフホログラム形成層によるレリーフホログラム再生像の発現を抑制する。
こうすることで、両層の界面を「光学的には存在しないもの」とすることができ、この界面からの不必要な反射や屈折を無くして、本発明のスクラッチシートのスクラッチ隠蔽層をスクラッチオフした際に、そのスクラッチした部分から、レリーフホログラム再生像が一切発生せず、レリーフホログラム再生像を視認することはできないものとすることができる。すなわち、この段階では、本発明のスクラッチシート内にはホログラムは含まれてはいないものと思わせることを可能とする。
特には、両層の屈折率差を、可視光線(400nm〜800nm)のいずれの波長に対しても、0.05以下となるようにすることで、屋外での太陽光下や、強いハロゲンランプの照射等に対しても、その秘匿性を確保することができ、好適である。
この屈折率差が、0.1を超えると、上記した反射光の強度が大きくなり、室内蛍光灯等の一般的な照明光下でも、目視で容易に、その界面の存在に気づく状態、すなわち、レリーフホログラム再生像が現れて、レリーフホログラム再生像を視認することができるものとなってしまい、その存在を暴露してしまうこととなる。
さらに、剥離層は、レリーフホログラム形成層が剥がされた後に、その露出面にホログラムレリーフ面を有し、この露出面の状態が(露出面の光学的特性、例えば、この面が「光学的な鏡面」となっているか否かなど。)、レリーフホログラム再生像の再生に大きな影響を持つ、すなわち、この露出面が、レリーフホログラム再生像の鮮明度を左右する「反射面」となっている。
この剥離層の露出面における反射光の強さは、この露出面が界面となる上下の「層」、すなわち、「この界面の上の層=空気(屈折率n=1.0)」と、「この界面の下の層=剥離層」との屈折率差の二乗に比例するため、剥離層の屈折率は1.0より大きく離れていることが好ましい。
この目的で、剥離層を「高屈折率透明樹脂層」、すなわち、「透明性」を確保しながら屈折率nが1.7以上という高屈折率を示す、透明な樹脂層により構成することで、空気との屈折率差を0.7以上とすることができ、上記した反射光強度を非常に大きなものとして、より鮮明なレリーフホログラム再生像を出現させ、且つ、その背後の「秘密情報」をも鮮明に視認できるものとする。
「樹脂材料の光学的透明性を維持した上での高屈折化」については、鋭意、研究が進められているが、ホログラム再生像の観察に悪影響を及ぼさず(「光学的に透明」であることを意味する。)、剥離層を通して、その配下にある「秘密情報」を十分、且つ、確実に視認できる「透明性」を保持しつつ、「《樹脂層》としての屈折率」を高くすることには限界があり、比較的屈折率の高い樹脂の高分子構造の中に、原子屈折率の高い「硫黄原子」や、塩素原子やフッ素原子等の「ハロゲン成分」、さらには、高屈折率構造を持つ「芳香環基」を分子レベルで導入する方法や、TiOxやZrOx等の高屈折率金属酸化物の超微粒子(平均粒径:0.0003μm〜0.03μm)を樹脂材料に高度に分散させる方法、さらには、高分子材料の分子構造の中に、所定の金属塩を取り込ませる方法等によって、屈折率n=1.9を超える材料を見出したものの、それでも、金属化合物微粒子(または薄膜。)の例であるZnSの屈折率n=2.3を超えるような「透明な」樹脂はまだ発見されていない。従って、現状では、剥離層の屈折率を、1.7〜2.3とすることで、空気との屈折率差を0.7〜1.3、特に1.0〜1.3とすることができる。
もちろん、剥離層の屈折率を高いものに設定する場合には、それに応じて、レリーフホログラム形成層の屈折率も高くすることは当然のことである。
但し、その剥離層そのものは、観察者側から見て、その露出面(上記の「界面」、もしくは、「反射面」。)の背後にあるため、上記の「反射光」そのものには直接的な影響を及ぼさず(剥離層内部の性質は、レリーフホログラム再生像の鮮明さには直接的な影響を及ぼさず、剥離層の最表面の性質が直接的な影響を及ぼすことを意味する。)、その界面における屈折率の大きさ等が重要となるものの、その「層内部」の透明性や、「層内部」の光散乱性は、レリーフホログラム再生像の鮮明度には、ほぼ影響しない。
従って、剥離層そのもの(層の内部)は、「光学的透明性」や「光学的均一性」を犠牲にすることが可能であって(もちろん、「秘密情報」を視認可能なレベルの透明性は必要。)、比較的屈折率の高い透明な樹脂材料に、屈折率の高い顔料(顔料の屈折率が2.0以上、さらには、3.0以上のもの等。屈折率が3.0を超えると、光散乱性や光遮蔽性が発現する。)を30〜70%程度、混入させることで、透明性をやや犠牲にしつつ(透明性の低下を意味する。)、「さらなる高屈折率を有する層」を追求することができる。
但し、反射面の背後であっても、着色していたり、白色となって光を散乱する性質が強いものとなると、「秘密情報」の視認性のみならず、レリーフホログラム再生像の鮮明度にも悪影響を及ぼすことがあるため、配慮が必要である。
また、本発明のスクラッチシートの基材と、剥離層との間に、接着層を設けることで、剥離層の、基材との接着強度を高めることができる。もちろん、基材上の「秘密情報」形成部と、剥離層との接着強度をも高める接着層とすることが望ましいことは言うまでもない。
この接着層を、乾燥後の厚さとして、3.0μm〜30μmの厚さで形成する。
接着層用のインキ組成物としては、溶剤系及び水系のいずれの粘着剤をも用いることができ、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体や、天然ゴムなどのゴム系樹脂などを挙げることができる。また、自然にやさしい材料構成とするために、特に、天然ゴムを主成分とするラテックス等の天然素材から作製されたものを用いることが好適である。
接着層は、3.0μm未満であると、スクラッチシートの基材、及び、「秘密情報」形成部との接着性が不十分となり、30μmを超えると、やはり、スクラッチシートの総厚さが大きくなりすぎ、スクラッチシートを重ねる等のハンドリングに支障をきたすものとなる。
この場合においては、接着層上に設けられる剥離層が、特に、非常に薄い層であっても、ホログラムレリーフ面を再現し、且つ、界面剥離性を発現する機能を十分に発揮できるため、敢えて、0.5μm〜3.0μmの薄い層に設定し、界面剥離した後に、その表面を指で触れるなど、僅かな圧力が加わったとき、剥離層に「破断」や「変形」が生じて、露出しているホログラムレリーフ面を複製する等の悪用を防止できるものとすることができ、その変造や偽造を防止できるものとなる。
すなわち、「スクラッチカード等の正規購入者が、その真正性判定のため、界面剥離を行った後、その露出したホログラムレリーフの覗き見や、悪用を阻止するため、速やかに、剥離層を指でつぶすシステム」とすることも好適である。
但し、「秘密情報」をインクジェット方式で基材上に設けた際に、その「秘密情報」印字部の高さ(形成部である「印字部」の盛り上がりを意味する。)が、5.0μm〜20μmと高くなった場合には、その「秘密情報」の上に、上記した接着層を形成したときに、接着層が、その「高い」印字部を柔らかく包み込むように適宜な変形を生じ、その「高さ」を吸収して(高低差を均すことを意味する。)、「秘密情報」印字部の盛り上がりパターンをレリーフホログラム形成層や、スクラッチ隠蔽層の盛り上がりに繋がらないようにすることが必須であり、このため、接着層の厚さを、インクジェット方式で設けた「秘密情報」の盛り上がり高さ(印字部の基材面から印字部表面までの距離を意味する。)の2.0倍〜5.0倍とすることが好適である。(この場合には、接着層の厚さが上記した範囲を超えたとしてもやむを得ない。)
この厚さが、その盛り上がり高さの2.0倍未満であると、その吸収性が不十分となり、5.0倍を超えると、不必要な厚さとなり、やはり、スクラッチシートの総厚さに悪影響を与えることとなる。
接着層の形成方法としては、グラビアコート、ロールコート、コンマコートなどの方法で、塗布し乾燥して形成することができる。
接着層の剥離層との接着強度、及び、基材やその上の「秘密情報」形成部との接着強度は、すくなくとも、レリーフホログラム形成層と剥離層との界面剥離強度より大きく、特には、その1.5倍、さらには3.0倍以上とし、剥離層との界面の剥離強度として、JIS Z0237準拠の180°による剥離方法において、1.0〜3.0kg/25mm巾の範囲にすることが望ましい。もちろん、それ以上の剥離強度を有していても、本発明の目的には適合している。特に、基材及び基材上の「秘密情報」形成部との接着強度は、本発明の目的より、本発明のスクラッチシートを基材及び基材上の「秘密情報」形成部から剥がすことが困難となるレベルまで大きいものとする必要があるが、その接着層と基材及び基材上の「秘密情報」形成部との界面の剥離強度よりも、接着層と剥離層との界面の剥離強度を、より大きいものとし、且つ、いずれの剥離強度も、レリーフホログラム形成層と剥離層の界面剥離強度よりはるかに大きくなるように設計する。

さらに、スクラッチ隠蔽層のレリーフホログラム形成層が形成されている面とは反対の面に、地紋印刷を施して、その「地紋」が存在することによる偽造防止性の向上のみならず、不正にスクラッチした際にその「地紋」も同時に削れてしまうことによって、偽造や変造を防止する効果を高めることができる。
この地紋印刷は、主要なデザイン模様の背景となる淡色系のパターンや彩文の印刷のことであり、単色の印刷用インキを使用してもよいが、より偽造防止性を高めるため、多色の印刷用インキを使用することも好ましい。この多色の地紋印刷には、オフセット印刷や、グラビア印刷も使われるが、オルロフ印刷やシムルタン印刷などの特殊な印刷方式もその高い偽造防止性から好適である。
オルロフ印刷とは、凸版多色集合印刷のことであり、それぞれの色のインキに対応する部分版(パターンローラ)に転移したそれぞれの色のインキを中間のローラに集合し、その集合ローラから一つの凸版版面にそれらのインキを同時に着肉する。凸版版面から直接印刷する場合(オルロフ印刷)とゴム胴(ブランケット胴)にインキを転移してから印刷する方法(オフセット・ザンメル)とがある。版面は一つであるが、一つの画線の途中から色を何色かに変化させることが出来るものである。
また、シムルタン印刷とは、複数の版面(平版や樹脂版、もしくは金属版などの凸版版面)を一つのゴム胴(ブラン胴)の周りに配置して、各版面からのインキをゴム胴に集合してから印刷する。印刷位置精度は版胴への版面の取り付け精度でほとんど決まり、基材の伸縮などの影響が少ないため、高い見当合わせが安定して可能となるものである。
この地紋印刷のデザインとしては、装飾的効果をあげるための図形であって、規則正しく繰り返される「文様」や、紋章的な感じを含む図文である「紋様」、その他染織等に用いられる「型」として繰り返される意匠等を用いることができる。
特に、スクラッチによって、容易にそのデザインが破壊されることを目的として、それらの画線の幅を非常に細く、30〜100μm程度とした「細線」、もしくは、「細紋」とすることも好適である。
地紋印刷における「地紋」の形成厚さは、1.0〜10.0μmとする。
但し、スクラッチ隠蔽層の表面が「粗い」面であるため、この凹凸に追従して印刷可能なインクジェット方式や、この凹凸に影響され難い感熱転写方式、もしくは、昇華転写方式を用いて地紋印刷を行ってもよい。さらに、このような転写方式を用いて、スクラッチ隠蔽層の凹凸の凸部のみに印刷を行い、不正なスクラッチにより非常に容易に地紋印刷が破壊されるようにすることも好適である。
特に、昇華転写方式は、スクラッチ隠蔽層を構成する樹脂層にのみ浸透し、独特の風合いを醸し出すとともに、同一のものを偽造することが困難であるため好ましい。
また、この地紋印刷を、スクラッチ隠蔽層とレリーフホログラム形成層との間にも設け、且つ、そのデザイン及び、形成位置をスクラッチ隠蔽層の上下で同一とすることで、スクラッチ隠蔽層を削った際に、その地紋デザインが、連続したデザインとして視認できるようにすることも、その意外性や偽造防止性を高めるため好適である。
そして、本発明のスクラッチシートのスクラッチ隠蔽層を、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料及び、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料の両方を含んでいるものとすると、スクラッチシートを不正に剥離しようとした際に、スクラッチ隠蔽層に剥離痕を残すことが可能となり、その偽造防止性を著しく高めることが可能となる。
もちろん、真正性判定をしようとする者が、敢えて、レリーフホログラム形成層と剥離層の界面での剥離を行った際にも、この「剥離痕」が発生するため、この場合には、この「剥離痕の発生」をも、その真正性判定の一つとすることができ、好適である。
スクラッチ隠蔽層用のインキ組成物に含める顔料成分としては、上記したごとく、金属系微粉末やそれらの酸化微粉末等(もちろん、窒化物やその他の化合物微粉末でもよい。)の顔料成分を20〜80%含有するものを用いるが、この顔料成分として、平均粒子径1.0μm〜10μmの比較的粒子径の大きい顔料群(「群」とは、複数の顔料を混合することも含める意味。)と、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料群を準備し、これらの混合系を用いることで、粒子径の大きい顔料群の隙間に微粒子顔料群が入り込む構造とし、スクラッチ隠蔽層が極度の変形を受けた際に、微粒子顔料群が粒子径の大きい顔料間の滑り剤の役目を果たして、粒子径の大きい顔料の層内移動を容易かつ不可逆なものとする(塑性変形を生じることを意味する。)。さらに、この「滑り」効果を助長するためにシリコーンオイルやタルク等の滑り性付与剤を1%〜5%添加することも好適である。
スクラッチシートを不正に剥がそうとすると、スクラッチシート、もしくは、界面剥離を起こした「スクラッチ隠蔽層とレリーフホログラム形成層の積層部分」が、90度から180度の「折れ曲がり変形」を受け、従って、スクラッチ隠蔽層も同様の変形を受けるとともに、スクラッチ隠蔽層の一方の面は、レリーフホログラム形成層と固着してズレ変形を生じ難い状態となっていることから、スクラッチ隠蔽層の他方の面にその変形圧力が集中し、上記の塑性変形を大きくして、そのスクラッチ隠蔽層の他方の面に不規則な凹凸や、不規則な裂け目を発生させ、この不規則な凹凸や、不規則な裂け目が、「剥離痕」として視認されることとなる。
このような「剥離痕」をより確実に発生させるためには、粒子径の大きい顔料群と、微粒子顔料群の比率を、10対1〜10対30、特には、10対5〜10対10とすることが好ましい。
粒子径の大きい顔料群10に対して、微粒子顔料群の比率が1未満であると、スクラッチ隠蔽層に「剥離痕」が発生し難くなり、微粒子顔料群の比率が30を超えても、やはり「剥離痕」が発生し難くなる。
さらには、スクラッチ隠蔽層用インキ組成物に用いる樹脂として、凝集破壊し易い脆弱性の樹脂を用いることもこの「剥離痕」の発生を確実なものとするが、この場合には、スクラッチオフ(コインや爪によるスクラッチによりスクラッチ隠蔽層を部分的に除去することを意味する。)を容易とする効果も発現するため好適である。
さらに、スクラッチ隠蔽層と、レリーフホログラム形成層との間に、透明基材を設けることで、スクラッチオフ時に、コインや爪が、直接、レリーフホログラム形成層の表面を削ることを防ぎ、レリーフホログラム形成層の表面の「光学的な鏡面」に対して悪影響を与えることを防止し、且つ、スクラッチ隠蔽層を残渣(削り残りを意味する。)なく、安定して、確実に除去することを容易なものとすることができる。
特に、透明基材として、耐擦傷性が高く、爪等の押圧で変形を生じ難いものを使用することが好ましく、例えば、3次元架橋フィルムのように表面強度が強いもの、または、フッ素系樹脂のような離形性を有して、爪等を滑らせてしまうものを用いると、これらの効果に優れるスクラッチシートとすることができる。
このような透明基材としては、上記の特性に加えて、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や耐溶剤性および耐熱性をも有するものが好ましい。さらに、透明性を有していれば、特に限定されるものではないが、フィルム状もしくはシート状のプラスチックが好ましい。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアリレート、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、ポリエチレン/ビニルアルコール等の各種のプラスチックフィルムを例示することができる。
特に、フッ素系樹脂パウダーや、シリコン系樹脂パウダー等を混入したプラスチックフィルムは、耐擦傷性が著しく高く好適である。
透明基材の厚さは、2.0〜30μmであるが、スクラッチシートとしての加工適正や取り扱い適正から3.0〜10.0μmとすることが望ましい。
この厚さが、2.0μm未満であると、この透明基材上にスクラッチ隠蔽層やレリーフホログラム形成層をを設けたり、もしくは、ラミネート処理する際の加工適正に劣るものとなり、この厚さが30.0μmを超えると、スクラッチシートの総厚さが大きくなり過ぎるため好ましくない。
透明基材を設ける場合には、上記したスクラッチシートの作成手順1において、適宜な剥離性フィルムを用いず、この透明基材の一方の面にスクラッチ隠蔽層を設け、その透明基材の他方の面にレリーフホログラム形成層を設けて、その表面にホログラムレリーフを形成し、以下同様とすることで、適宜な剥離性フィルムを用いずとも、本発明のスクラッチシートを得ることができる。
この手順を用いると、スクラッチ隠蔽層やレリーフホログラム形成層を、「透明基材」という、物理的、且つ、化学的に安定しており、さらには、表面平滑性をも高い「フィルム」上に、別々の工程を用いて設けることができるため、より安定して、より精密に形成できる。
さらに、レリーフホログラム形成層そのものを、電離放射線硬化性樹脂、もしくは、熱硬化性樹脂とし、レリーフホログラム形成層のホログラムレリーフ面の強度を局所的に高めるため、原版を押し当てた状態で、透明基材側から圧力を掛けながら、原版を100〜200℃に加熱する方法も好適である。
また、使用する透明樹脂層として、3次元架橋型のメラミン樹脂等の、耐溶剤性及び耐熱性に優れるものを用いることも好適である。
さらに、本発明のスクラッチシートにおいて、レリーフホログラム形成層が、剥離層上にあって、且つ、その剥離層の形成領域より小さい領域に設けられているものとすることで、レリーフホログラム形成層と剥離層との界面剥離をし易くすることができる。
これは、「スクラッチ隠蔽層/レリーフホログラム形成層/剥離層」の断面が、単なる垂直に切り立った断面である場合には、レリーフホログラム形成層を剥がそうとして、レリーフホログラム形成層と剥離層との界面に鋭利な金属片や、爪先を、その断面にやみくもに押し当てても、その先端が、その望む界面には挿入され難く、基材と剥離層の界面にあたり易いため、正規購入者がその真正性を確認し難いという欠点を改善することができる。
すなわち、基材上の剥離層形成領域が、その上のレリーフホログラム形成層の形成領域より一回り大きく形成してあるため、まず、鋭利な金属片や爪先の先端部分を、剥離層上に押し当て、その後、その先端部分を剥離層に押し当てたまま、レリーフホログラム形成層の断面まで、その剥離層上を滑らせて移動させることで、確実に、その先端部分を剥離層とレリーフホログラム形成層との界面へと誘導できるためである。
この領域間の差は、1mmから5mmだけ確保すれば(すなわち、レリーフホログラム形成層の形成領域に対して、少なくともその一つの辺において1.0〜5.0mmだけ大きく剥離層が形成されていることを意味する。)、上記した目的を達成することができるが、それ以上の差としてもよい。
もちろん、この場合には、「秘匿すべきホログラムのホログラムレリーフ」の存在を秘匿するため、そのはみ出している領域上には、「そのホログラムレリーフ」が存在しないことが望ましいが、「単なる装飾目的のホログラムのホログラムレリーフ」をそのはみ出している領域に設けることを排除するものではない。
また、スクラッチシートの基材上に、「秘密情報」を設け、その「秘密情報」を覆うように、レリーフホログラム形成層を設けた後、その上に、スクラッチ隠蔽層を設ける際に、そのスクラッチ隠蔽層をレリーフホログラム形成層をも覆うように設けて、レリーフホログラム形成層の存在をさらに秘匿する。
そもそも、レリーフホログラム形成層上に、スクラッチ隠蔽層を設ける際には、そのレリーフホログラム形成層の上に、同一サイズ(且つ、同一位置。)のスクラッチ隠蔽層を設けて、レリーフホログラム形成層の露出面を全て埋めることとなるが、このとき、レリーフホログラム形成層の断面部分が露出しており、その断面を注意深く観察することで、すなわち、その光沢を観察したり、照明光を当ててその反射光を観察したりすることで、スクラッチ隠蔽層の下に、「なんらかの光学的に透明な層」が存在し、その「層」が「偽造防止目的の光学的な層」であり、もしかしたら、「ホログラム層」であるかもしれないとの推測へと導かれる可能性を否定できない。
もしくは、スクラッチ隠蔽層のサイズを、レリーフホログラム形成層のサイズより、小さく設けた場合には、その可能性をより大きなものとする。この場合には、レリーフホログラム形成層のホログラムレリーフ面のみをスクラッチ隠蔽層で覆うように設けてあるか、または、「秘匿すべきホログラムレリーフ」とは異なる、「単なる意匠性目的のホログラムレリーフ」を、第三者が視認できるように設けている。
このような推量を一切させないために、スクラッチ隠蔽層の下は、スクラッチシートの基材のみであるかのごとく、レリーフホログラム形成層そのものを覆い隠すように、そのレリーフホログラム形成層の面積より、少なくとも、一回り大きく、例えば、0.5mm〜数mm程度大きいサイズで、スクラッチ隠蔽層を設ける。
特に、「スクラッチ隠蔽層の下にレリーフホログラム形成層が存在する領域」と、「スクラッチ隠蔽層の下にレリーフホログラム形成層が存在しない領域」とにおいて、スクラッチ隠蔽層の形成高さに差がでることで(スクラッチ隠蔽層の表面に段差が現れるという意味。)、やはり、スクラッチ隠蔽層の下に何らかの層が存在するとの推測を招くため、敢えて、レリーフホログラム形成層とほぼ同一の大きさとし、スクラッチ隠蔽層のインキ組成物がその断面に回り込む程度、すなわち、スクラッチ隠蔽層の印刷用製版時、その製版サイズを、0.05〜0.2mm程度を大きくした版を用いて印刷形成する。
または、そのような段差を生じさせないため、スクラッチ隠蔽層の形成を2段階とし、最初のステップにおいて、レリーフホログラム形成層の部分をその領域内に含み、且つ、その部分を除く領域(基材上の位置を指す。)に、例えば、レリーフホログラム形成層のサイズの2倍から10倍のサイズのスクラッチ隠蔽層(下層)を、レリーフホログラム形成層の厚さと実質的に同一の厚さ(高さ)で形成し、その上に、今度は、レリーフホログラム形成層の部分を含んで、全体サイズのスクラッチ隠蔽層(上層)を、下層の厚さの1/10〜30/10倍の厚さで設ける。
このように、レリーフホログラム形成層の形成サイズとスクラッチ隠蔽層の形成サイズを異ならせた場合には、レリーフホログラム形成層内の秘匿すべきホログラムレリーフの形成位置と、「秘密情報」形成部の位置は、全面的に重なるものとしても、または、一部重なるものとしてもよい。
このような位置関係の複雑化は、本発明のスクラッチシートを偽造しようとする者に対する牽制となり好適である。
さらに、レリーフホログラム形成層の形成領域以外の領域において、スクラッチ隠蔽層を部分的にスクラッチし難い層として、例えば、「不正」や「開示」等の文字を基材上に固着させて、全面スクラッチオフしようとする行為に対する牽制とすることも好ましい。
この場合には、上記した、スクラッチ隠蔽層の下層を設ける際に、予め、スクラッチシートの基材面に固着し、且つ、爪等によっては剥がすことができない強度(硬度)を有する樹脂層を用いて、上記の文字パターンの印刷を行っておき、このパターン部分とレリーフホログラム形成層部分を除いて、スクラッチ隠蔽層の下層を設け、それらを全て覆うように、スクラッチ隠蔽層の上層を設ける等の工夫が必要となる。
このようにして得られた、本発明のスクラッチシートを、その外観から観察した場合には、スクラッチ隠蔽層に覆われた「秘密情報」を視認することはできず、また、そのスクラッチシートの中にホログラムが含められているとは想像もできなかったが、スクラッチシートのスクラッチ隠蔽層をコインで一部削り取ることにより、その削りとった領域から、「秘密情報」のみを視認することができ、さらに、レリーフホログラム形成層を剥離層との界面から剥離することで、鮮明なレリーフホログラム再生像が出現し、そのスクラッチシートが真正なものであると判定できた。
また、スクラッチ隠蔽層が、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料及び、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料を含んでいる本発明のスクラッチシートのそのスクラッチ隠蔽層等が形成してある部分の一部を剥がそうとして、スクラッチシートを湾曲させたところ、その剥がす行為によって、スクラッチ隠蔽層表面に「剥離痕」が発生し、剥がした痕跡を残さず、スクラッチ隠蔽層部分を剥がすことは困難と思われた。
本発明の一実施例を示すスクラッチシートH1の断面図である。 本発明の他の実施例を示すスクラッチシートH2の断面図である。 本発明の他の実施例を示すスクラッチシートH3の断面図である。

(レリーフホログラム形成層4が、剥離層3上にあって、且つ、そ の剥離層3の形成領域より小さい領域に設けられている。)
本発明の他の実施例を示すスクラッチシートH4の断面図である。

(スクラッチ隠蔽層6が、レリーフホログラム形成層4を覆うよう に設けられている。)
本発明の一実施例であるスクラッチシートH1において、レリーフ ホログラム形成層4と剥離層3の界面での剥離を発生させている図 である。 本発明のスクラッチシート9の基材1の所定の位置に、「秘密情報 」2を覆うように、接着層7、剥離層3、レリーフホログラム形成 層4、ホログラムレリーフ5、及びスクラッチ隠蔽層6を所定の形 (図中では「長方形」。)で形成した図である。(図中、「3〜7 」で示す。)ここで、(a)は、スクラッチシート9を上から見た 図であり、(b)は、そのA−A断面図である。(図中、「3〜7 」の詳細構成は省略している。) スクラッチシート9の基材1上に「秘密情報:12345678」 2を印字した図(「秘密情報」を囲む枠は便宜上記載してあるのみ 。) 本発明のスクラッチシート9のスクラッチ隠蔽層6の上に地紋印刷 8が設けられている図である。(地紋印刷8のデザインを強調して 図示している。)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
(基材、及び、「秘密情報」形成部)
本発明のスクラッチシートH1〜H4、及び9に用いられる基材1としては、「秘密情報」2表示部を設けることができるものであれば、あらゆる材料、すなわち、プラスチック材料、金属材料、セラミック材料、生体材料、それらの複合材料、さらには、それらを多層構造としたり、さらに複雑に組み合わせたりしたものなどを用いることができる。且つ、その表面や裏面に、本発明のスクラッチシートH1〜H4、及び9の用途に応じた印刷等の手段による適宜な表示を設けたものであってもよい。(図1〜図8参照。図6〜図8では、基材1の表面に「☆スクラッチカード☆」などの印刷を施している。)
その形状も、あらゆる形状、すなわち、シート状、フィルム状、板状、立方体状、直方体状、カード形状(磁気カード、ICカード、非接触ICカード、ポストカード、グリーティングカード、名刺、ポイントカード、ライセンスカード、遊戯用カード等の形形状)、はがき形状、リーフ形状、帳票形状、伝票形状、Sメール形状、ラベル形状、シール形状、証券類形状、通帳形状、パスポート形状、郵便物形状、配送物形状、封筒状、袋状、箱状、ケース状、円盤状、ディスク状、楕円体状、球体状、曲面形状、棒状、及びこれらの組み合わせや、これらに変形、切断、穴あけ、接着等の加工処理を施したものなどを採用することができる。さらには、電子端末や、携帯用端末等、あらゆる工業製品やあらゆる商品をも基材1として採用することができる。
その厚さも、「秘密情報」2表示部を支持することができ、且つ、ハンドリング可能であればよく、特に制限はないが、通常、3.0μm〜3.0mmの厚さとする。もちろん、封筒状や、箱状のものであれば、その立体形状の寸法は、それぞれの用途に適したものとするため、この範囲内とする必要はない。
但し、これらの基材1上に設けた「秘密情報」2をスクラッチ隠蔽層6で秘匿することとなるが、そのスクラッチ隠蔽層6を設けた側、もしくは、その反対側から、基材1に対して、1000ルクスを超える強度の大きい可視光線照射や、0.5W/平方センチメートル以上の赤外線照射、0.1W/平方センチメートル以上の紫外線照射、1ギール/分以上のX線照射等、さらには、100kV以上の電子線等の粒子線(以上を総称して「光線」と称する。)を照射して、その「透過『光線』」や「反射『光線』」、さらには、特性X線等から、その秘密情報を読み取ろうという試みに対抗するため、その基材1の性質として、これらの「光線」を「遮蔽」したり、「反射」、もしくは、「散乱」させる性質を保有するものを採用することができる。
すなわち、可視光線照射に対しては、可視光線を遮蔽したり散乱させたりする隠蔽性の高い顔料や、鱗片状の金属材料、さらには、金属板そのもの等を基材1中に混入させたり、基材1に用いる基紙にコーティングしたり、ラミネートしたり、複合化したりする(以上を総合して、「混在させる」と称する。)。(図示せず。)
赤外線照射に対しては、さらに赤外線吸収剤等を、紫外線照射に対しては、さらに紫外線吸収剤等を、X線照射に対しては、金属板の中でも鉛材料等を、電子線等の粒子線照射に対しては、それらの粒子線を吸収する素材を混在させることで、その効果を増すことができる。
また、これら基材1の代表例として、いわゆる「プリペイドカード」として用いられている材料及び形状や、「プラスチックカード」として用いられている材料及び形状、特に、JIS規格(「プリペイドカード JIS X 6310シリーズ」や、JIS X 6301、JIS X 6300シリーズ、JIS X 6320シリーズ、JIS X 6330シリーズ等。)やISO規格(ISO/IEC7810シリーズ、ISO/IEC7816シリーズ、ISO/IEC14443シリーズ、ISO/IEC15457シリーズ等。)で定められているものがある。(図示せず。)
これらは、既に、全世界に大量に頒布され、普及しているため、そのハンドリングや、保持することに抵抗感がなく、また、それらを携帯したり、使用したりする場合の周辺機器や、関連グッズ等も既に普及しているため、これらのものへの適用もスムースであって好適である。
特に、不透明性を有するフィルム状もしくはシート状のプラスチックがその加工適正やコスト面で好ましく、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や耐溶剤性および耐熱性をも有するものが用いられる。例えば、その材料として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアリレート、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、ポリエチレン/ビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の各種のプラスチックフィルム材料があげられる。そして、これらのプラスチックそのものが透明性を有する場合には、不透明化処理のために、二酸化チタンや炭酸カルシウム等の不透明性付与のための顔料等を適宜練り込むなど、不透明性付与材料を混在させた、フィルム状もしくはシート状のプラスチックを例示することができる。
さらに、これらの材料に、フッ素系樹脂パウダーや、シリコン系樹脂パウダー等を混入したプラスチックフィルムは、耐擦傷性が著しく高く好適である。
これらのフィルム状もしくはシート状のプラスチック材料からなる基材1の厚さは、通常、3.0μm〜1.0mmであるが、スクラッチシートH1〜H4としての加工適正や取り扱い適正から50〜300μmとすることが望ましい。
この厚さが、3.0μm未満であると、この基材1上にスクラッチ隠蔽層6を設けたり、もしくは、レリーフホログラム形成層3を設けたりする際の加工適正に劣るものとなり、この厚さが1.0mmを超えると、シート処理や巻き取り処理における取扱いに困難を生じるため好ましくない。(図1〜図8参照。)
本発明のスクラッチシートH1〜H4、及び9が秘匿する「秘密情報」2としては、文字、図形、記号、模様、マーク、形状、立体、もしくは、これらの結合、または、これらと色彩との結合その他、さらには、識別コード、識別番号、識別文字等のあらゆる識別情報、その他何らかの手段によって識別することが可能なものであれば、特に制限はなく、採用することができる。(図1〜図7参照。)
この識別手段としては、目視識別、携帯カメラ認識やバーコード認識等の光学的識別、機械識別、その他の物理的識別手段等をいう。
識別可能であれば、全てが同一のものであっても、全てが個別のものであってもよく、また、個人や企業、さらには、特定の業界特有のものであってもよい。
また、「意匠」のごとく、物品(物品の部分を含む。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって視覚を通じて美感を起こさせるもの、または、これと類似のものであってもよく、「商標」のごとく、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合であって、業として商品を生産し、証明し若しくは譲渡する者がその商品について使用するもの、または業として役務を提供し若しくは証明する者がその役務について使用するもの、または、これと類似のものであってもよい。その他、「称号」や、「商号」、さらには、種々の場面において照合の対象となるものでもよい。
そして、「文字」には、楷書体、隷書体等のあらゆる書体の文字が含まれ、「記号」には、特殊文字記号、顔文字記号、電気文字記号、地図記号等も含まれ、HTML記号等の限られた業種の限られた場面においてのみ用いられる記号もその特殊性から好ましい。
また、英文字、ギリシャ文字その他各国で使用されている文字や、シンボル、数学記号等も、不正者が瞬間的に覗き見した程度では暗記できないものとなり、好ましい。
さらには、これらの情報の中に、目視等の単なる情報読取手段では判別できない隠し情報や、暗号情報を含ませて、スクラッチシートH1〜H4、及び9の運用を管理する者のみが所定の情報処理手段によって、それらの隠し情報や、暗号情報を判読することができるものとすることも好適である。
このような特殊性を有するものは、正規購入者によってもその登録や照合等の場面で、誤記や誤入力の原因となるため、携帯カメラ認識等の自動認識手段を併用することが好ましい。
以下、これらのものを総称して、「番号等」という。
さらに「秘密情報」2には、暗証番号等、個人認証番号等、口座番号等、その他の個人特有の番号等や、何らかの個別番号等、抽選番号等、管理番号等、もしくは、単なる連続番号等であって、登録することによりその有効性を発現するもの、暗号鍵番号である共通鍵番号のように同一の番号等、さらには、全くの乱数であってスクラッチシートH1〜H4、及び9の基材1を作製するときに発生させ作製者含め誰もその番号等の内容を知らないよう工夫した番号等、知ることが許された者(正規な購入者等を意味する。もちろん、スクラッチシートH1〜H4、及び9のシステム設計者や、スクラッチシートH1〜H4、及び9の発行者等が含まれる場合もある。)のみが見ることができ、その他の者は物理的に見ることができないよう設定される番号等を含めることができる。
また、そのスクラッチシートH1〜H4、及び9の用途により、上記した番号等のみならず、文字、図形、マークその他、個人及びそのスクラッチシートH1〜H4、及び9の供給者が共通に認識できるもの(この対象は、いわゆる「情報」全てとなる。)であれば何れも用いることができる。
そして、その認識方法も、少なくとも目視確認により認識できる情報を有しながら、目視以外の認識方法、例えば、光学読取方法、磁気的読取方法、その他、あらゆる物理的もしくは化学的読取方法を採用することができ、且つ、秘密情報と重ねて視認できるレリーフホログラム再生像の中にも、マシンリーダブルホログラム等の、ホログラム再生原理を利用した光学読取方法を含めることもその偽造防止性を高めるために好適である。(認識方法や手段は図示せず。)
これらの「秘密情報」2をスクラッチシートH1〜H4、及び9の基材1上に設ける方法としては、可変情報を形成する方式として、感熱溶融転写方式、昇華転写方式、光学的もしくは物理的直接描画方式、電子写真方式及び、インクジェット方式等があり、固定情報を形成する方式としては、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、活版印刷方式、凹版印刷方式、スクリーン印刷方式等がある。(図1〜図7参照。)
もちろん、電子端末のディスプレー上に「秘密情報」2を表示するものであってもよい。
また、基材1そのものを発色材料や消色材料で構成し、その発色原理や消色原理を用いて、可変情報や固定情報を記録する方法を用いてもよい。
すなわち、電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱発色材料からなる基材1や、その基材1を構成する基紙となる紙材料やフィルム材料上に、電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱発色層を設けたもの、さらには、それらの基紙上に、カプセル内包の発色剤と顕色剤とからなる感圧発色層を設けたものを、基材1として用いることができる。
また、発色と消色を繰り返して操作できる、感温材料等を用いたサーマルリライタブル層や、フルギド系やスピロピラン系などのフォトクロミック材料等を用いる光リライタブル層を同様の目的で、さらには、別の位置に単なる情報表示の目的で設けることも、その意外性や偽造防止性が高まり、好ましい。
特に、これらの「リライタブル層」を設けて、「秘密情報」2を表示させると、正規購入者が、その「秘密情報」2を確認するときのみ「秘密情報」2が現れ、それ以外のときには「非表示」とすることで、不要な第三者による「秘密情報」2の視認を阻止することができる。(基材1の種々の構成は図示せず。)
感熱発色材料としては、発色剤、顕色剤、及び、増感剤からなる系を用いることができ、発色剤としては、ベンゾイルロイコメチレンブルー、クリスタルバイオレットラクトン等のフタリド化合物等、顕色剤としては、4−4´ビフェノール、1−ナフトール等の酸など、さらに、増感剤としては、4−ベンジルビフェニル、フルオレン等を用いる。
感熱記録とは,基紙上の層に分散させた発色剤及び顕色剤を熱により溶融させ、接触させることにより発色させる仕組みである。その高感度化のために、低融点の増感剤を添加するが、様々な酸発生方法とこの発色機構を組み合わせることにより、繰り返しの書き込みや消去が可能なリライタブル感熱記録を実現できるものである。例えば、低い熱エネルギーにて発色する赤色感熱記録層と,高い熱エネルギーにて発色する黒色感熱記録層を積層させることにより,その印加エネルギーを使い分けることで赤/黒2色での記録を可能にする2色発色感熱記録材料を用いてもよい。
これらのロイコ系感熱発色材料や、フォトクロミック系光発色材料は、その発色機構である「紫外領域または赤外領域→可視領域への変化」を、「可視領域→紫外領域または赤外領域への変化」とすべく材料選定をすることにより、消色記録材料として用いることができる。
このような消色機構を用いると、正規購入者が、その「秘密情報」2を確認した後、正規購入者の判断により、速やかに、もしくは、適宜なタイミングで、「秘密情報」2を消色(消去)することを可能とし、その偽造防止性を高めることを可能とする。
このようにして基材1上に「秘密情報」2形成部を設け、その「秘密情報」2形成部を覆うように、剥離層3を基材1上に設ける。(図1〜図5参照。)
(剥離層)
基材1上に、そして、基材1上に設けた「秘密情報」2形成部を覆うように、且つ、レリーフホログラム形成層4との界面での界面剥離が可能なように、剥離層3を設ける。(図1〜図5参照。レリーフホログラム形成層4と剥離層3がホログラムレリーフ5面で剥離する状況は、図5参照。)
剥離層3に用い得る樹脂としては、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができるが、剥離層3上にレリーフホログラム形成層4を設ける手順においては、剥離層3に対するレリーフホログラム形成層4の「濡れ性は、低い」ことが好ましく、剥離層3の表面張力は、レリーフホログラム形成層4の表面張力より小さいことが好ましい。また、レリーフホログラム形成層4上に剥離層3を設ける手順においては、レリーフホログラム形成層4に対する剥離層3の「濡れ性は、低い」ことが好ましく、レリーフホログラム形成層4の表面張力は、剥離層3の表面張力より小さく設定することが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、アクリルアミド樹脂(n=1.50)、もしくはポリスチレン樹脂(n=1.60)等、セルロース系樹脂、すなわち、硝酸セルロース(n=1.54)、メチルセルロース(n=1.50)、セルロース・アセテートプロピオネート(n=1.47)等、アクリル酸エステル樹脂、すなわち、ポリメチルメタクリレート(屈折率n=1.49)、ポリメチルアクリレート(n=1.47)、ポリベンジルメタクリレート(n=1.57)、ポリブチルアクリレート(n=1.44)、ポリイソブチルアクリレート(n=1.48)等、ビニル系樹脂、すなわち、ポリ酢酸ビニル(n=1.47)、ポリ塩化ビニル・酢酸ビニル(n=1.54)等が、また、熱硬化性樹脂としては、シリコン樹脂(n=1.41〜1.60)、フェノール樹脂(n=1.60)、メラミン樹脂(n=1.56)、アルキッド樹脂(n=1.54)、不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、アクリルウレタン樹脂(n=1.60)、エポキシ変性アクリル樹脂(n=1.55)、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、もしくは、フッ素化樹脂(n=1.35〜1.38)等が挙げられる。(図1〜図5参照。)
これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、1種もしくは2種以上を使用することができ、各種イソシアネート樹脂を用いて架橋させてもよいし、あるいは、各種の硬化触媒を配合しても良い。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル変性ポリエステル等を挙げることができ、このような電離放射線硬化性樹脂に架橋構造を導入するか、もしくは粘度を調整する目的で、単官能モノマーもしくは多官能モノマー、またはオリゴマー等を配合して用いてもよい。
また、上記の熱可塑性樹脂、もしくは熱硬化性樹脂に、シリコン樹脂やフッ素含有樹脂、さらには、シリコンオイルを混合したもの、または、熱可塑性樹脂、もしくは熱硬化性樹脂とシリコン樹脂やフッ素含有樹脂を共重合させたものや、熱可塑性樹脂、もしくは熱硬化性樹脂の分子内にシロキサン結合〔―Si(R1)(R2)−O―〕やフッ素原子〔−F〕を導入したものを用いることができる。
さらには、上記の熱可塑性樹脂、もしくは熱硬化性樹脂に、シリコンパウダー微粒子やフッ素パウダー微粒子を分散させたものを用いることもできる。
フッ素化樹脂には、完全フッ素化樹脂として、四フッ素化樹脂、部分フッ素化樹脂として、三フッ素化樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、フッ素化樹脂共重合体として、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂。四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、エチレン・四フッ化エチレン共重合体、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体などを用いることができる。
また、これらの樹脂の表面張力(界面張力とも呼ばれる。)は、JIS K6768(改正)において、ポリ四フッ化エチレン(ポリテトラフロロエチレン)18、シリコン樹脂20、ポリ三フッ化エチレン(PTFE)22、ポリフッ化ビニリデン25、ポリフッ化ビニル28、ポリエチレン(密度0.955〕31、ポリスチレン33、ポリカーボネート35、ポリビニルアルコール37、ポリ酢酸ビニル37、ポリメタクリル酸メチル39、ポリ塩化ビニル39、ポリ塩化ビニリデン40、ウレタン樹脂40、ナイロン6:42、ポリエチレンテレフタレート43、ユリア樹脂45、ナイロン66:46、環状脂肪族エポキシ樹脂46、ポリビニルブチラール54mN/m等である。(和光純薬工業株式会社製濡れ張力試験用混合液にて実測可能。)
但し、このようにして、両層に表面張力の差を設けると、レリーフホログラム形成層4が、剥離層3上のホログラムレリーフ5面を高い精度で埋めることが難しくなる傾向にある、もしくは、剥離層3がレリーフホログラム形成層4上のホログラムレリーフ5面を高い精度で埋めることが難しくなる傾向にあるため、剥離層3形成後にその剥離層3側から(剥離層3の露出面側からという意味。)、もしくは、レリーフホログラム形成層4形成後に、レリーフホログラム形成層4側から(同様。)、平板プレスやロールプレスを施して、剥離層3、もしくは、レリーフホログラム形成層4へのホログラムレリーフ3形状の転写精度を高める。
このため、例えば、後者の場合において、剥離層3に、〔ウレタン樹脂/イソシアネート硬化剤〕タイプのような、2液硬化タイプの反応性樹脂系を用い、30℃〜80℃で、数日〜数か月のエージング処理をしたり、春日電機製絶縁基板用コロナ処理機による表面コロナ処理を施したり、剥離層3の樹脂を電離放射線硬化タイプとして、その電離放射線を追加照射するなどして、それらの反応を促進して、硬化度(特に剥離層3の上に設けるホログラムレリーフ5面の硬化度)を100%に近づけることで、ホログラムレリーフ5面の表面張力を低下させたり、さらには、剥離層3のホログラムレリーフ5面へのフッ化処理や、フッ素イオン注入処理も、ホログラムレリーフ5面の「形状」を変化させずに維持したまま、ホログラムレリーフ5面の表面張力を低下させる。
この場合、剥離層3の表面張力は、レリーフホログラム形成層4の表面張力より、1mN/m以上小さくする。さらに、その差を、10mN/m以上、より好ましくは20mN/m以上とする。
この際、レリーフホログラム形成層4の露出面側(レリーフホログラム形成層4のホログラムレリーフ5面とは反対の面側という意味。)からロール線圧として、0.1kg以上/ロール1cm巾のロールプレスや、107Pa以上の平圧プレスを併用する。
さらに、レリーフホログラム形成層4に用い得る樹脂としては、、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂の樹脂の中から、剥離層3との界面剥離強度が、0.1〜200g/25mm巾、特には、1.0〜30g/25mm巾(JIS Z0237準拠の180°による剥離方法による。)となるものを用い、レリーフホログラム形成層4用インキ組成物には、剥離層3を溶解し難い溶剤系や、水系のものを用い、剥離層3のホログラムレリーフ5の「光学的な鏡面」性に悪影響を与えないものとする。
そして、剥離層3の基材1、及び、基材1上の「秘密情報」2形成部との接着強度は、界面剥離強度において、1.0〜3.0kg/25mm巾の範囲とする。もちろん、それ以上の剥離強度を有していても、本発明の目的には適合している。
また、剥離層3のレリーフホログラム形成層4との界面剥離性をさらに高めるため、剥離層3に用い得る樹脂中に、マイクロシリカ等の無機微粒子、シリコン樹脂やフッ素樹脂粉末等の微粒子樹脂紛体、その他、炭酸カルシウム、硫酸バリウムや、タルク等の滑剤や体質顔料、さらにはシリコンオイル等の離型剤を、その樹脂成分に対して、1.0〜30.0%添加することも好適である。
剥離層3の厚さは、オフセット印刷、グラビア印刷、ステンレススクリーン印刷、凹版印刷、カーテンコート方式、ロールコート方式、スピンコート方式等を用いて、1.0μm〜30μm、さらには3.0μm〜20μmの厚さとする。
さらに、剥離層3の屈折率を、レリーフホログラム形成層4の屈折率と実質的に同一、すなわち、剥離層3の屈折率とレリーフホログラム形成層4の屈折率を、同一、もしくは、その屈折率差を、0.1以下とする。特に、両層の屈折率差を、可視光線(400nm〜800nm)のいずれの波長に対しても、0.05以下となるようにする。
また、剥離層3を「高屈折率透明樹脂層」、すなわち、「透明性」を確保しながら屈折率nが1.7〜2.3の透明な樹脂層系(顔料等を含むという意味。)により構成する。
この高屈折率樹脂層に使用される樹脂は、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド系樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
用いる樹脂の屈折率を例示すると、熱可塑性樹脂としては、アクリル酸エステル樹脂(屈折率n=1.47)、アクリルアミド樹脂(n=1.50)、ニトロセルロース樹脂(n=1.54)、酢酸ビニル樹脂(n=1.47)、もしくは、ポリスチレン樹脂(n=1.60)等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、ウレタン樹脂(n=1.60)、エポキシ変性アクリル樹脂(n=1.55)、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、アルキッド樹脂(n=1.54)、もしくはフェノール樹脂(n=1.60)等がある。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート(n=1.55)、ウレタンアクリレート(n=1.54)、アクリル変性ポリエステル(n=1.64)等がある。
さらに、環境に配慮して、高屈折率樹脂層に、上記したような生分解性プラスチックを用いることも好適である。
そして、上記した樹脂材料の中から比較的屈折率の高い透明な樹脂材料を選定し、その樹脂材料に屈折率が2.0以上の顔料等を30〜70%程度、混入させ、「高屈折率を有する層」とする。
その顔料等には、特に、微粒子透明顔料や超微粒子顔料が適しており、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、クレー、カオリン、ホワイトカーボン、アルミナホワイト、珪藻土、石膏、タルク、珪石粉等の体質顔料を細かく粉砕したものや、マイクロシリカ等の無機微粒子、シリコン樹脂やフッ素樹脂粉末等の微粒子樹脂紛体、その他、平均粒径で、0.1μm〜0.01μmとした微粒子顔料や、0.01μm以下とした超微粒子顔料を使用する。
具体的には、天然に産する方解石、氷州席、アラゴナイト、石灰岩、大理石、貝殻、チョーク、重晶石、石膏、ギブス石などを微粉砕したものや、その合成物において平均粒径を調整したもの、さらには、一般的に用いられる無機顔料、や有機顔料においても、超微粒子酸化チタンや超微粒子酸化ジルコニウム等、その平均粒径を、0.01μm以下としたもの等は、適宜な樹脂材料との混合において、透明となるため、好適である。特に、顔料そのものの屈折率が2.0〜3.0であるものが好ましい。この屈折率が3.0を超えるものは、金属光沢が発現し始めるため、その透明性に欠けるものとなるため、その点を考慮しながら使用することとなる。
具体例としては、超微粒子酸化チタン(石原産業株式会社製TTO−55N:屈折率n=2.4)を適宜な樹脂に分散した場合に、剥離層3としての高屈折率樹脂層3における屈折率は、1.9〜2.0であり、また、超微粒子酸化ジルコニウム(動的光散乱法における平均粒径0.0001μm〜0.05μm)を適宜な樹脂に分散した場合に、高屈折率樹脂層3の屈折率は、1.7〜1.9である。
但し、この粒径のものは、二次凝集しやすく、ニーダー等の適宜な分散処理機に繰り返し通すなどの再分散処理等を施す必要がある。添加量は、屈折率の向上度合いと透明性とのバランスで決められるが、通常1%〜20%添加が好適であり、基材1上及びその上の「秘密情報」2上に形成する場合には、その基材1上及びその上の「秘密情報」2に配慮して、もしくは、レリーフホログラム形成層4上に設ける場合には、レリーフホログラム形成層4に配慮した、適宜な溶剤または水に溶かして、剥離層3として選定した樹脂に分散して用いる。
さらに、剥離層3上にホログラムレリーフ5を形成するには、感光性樹脂材料にホログラムの干渉露光を行なって現像することによって直接的に形成することもできるが、予め作成したレリーフホログラムもしくはその複製物、またはそれらのメッキ型等をホログラムレリーフ5複製用型として用い、その型面を、上記の剥離層3に押し付けることにより、賦型を行ない、剥離層3上の全面、もしくは、一部に、ホログラムレリーフ5面を形成する。(図1〜図5参照。)
剥離層3として、熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、型面に未硬化の樹脂を密着させたまま、加熱もしくは電離放射線照射により、硬化を行わせ、硬化後に剥離することによって、硬化した透明樹脂層の片面にレリーフホログラムの微細凹凸を形成することができ、この微細凹凸がホログラムレリーフ5となる。なお、同様な方法によりパターン状に形成して模様状とした回折格子を有する回折格子形成層も光回折構造(すなわち、剥離層3のホログラムレリーフ5。)として使用できる。
ホログラムは、物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を凹凸のレリーフ形状で記録されたもので、例えば、フレネルホログラムなどのレーザ再生ホログラム、及びレインボーホログラムなどの白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーテッドホログラム(CGH)や、ホログラフィック回折格子などがある。また、マシンリーダブルホログラムのように、その再生光を受光部でデータに変換し所定の情報として伝達したり、真偽判定を行うものであってもよい。
さらに、微細な凹凸(すなわち、ホログラムレリーフ5。)を精密に作成するため、光学的な方法だけでなく、電子線描画装置を用いて、精密に設計されたレリーフ構造を作り出し、より精密で複雑な再生光を作り出すものであってもよい。このレリーフ形状は、ホログラムを再生する光、もしくは、光源の波長(域)と、再生する方向、及び強度によってその凹凸のピッチや、深さ、もしくは特定の周期的形状が設計される。凹凸のピッチ(周期)は再生角度に依存し、通常0.1μm〜数μmであり、凹凸の深さは、再生強度に大きな影響を与える要素であって、通常0.1μm〜2μmである。
単一回折格子のように、全く同一形状の凹凸の繰り返しであるものは、隣り合う凹凸が同じ形状であればある程、反射する光の干渉度合いが増しその強度が強くなり、最大値へと収束する。回折方向のぶれも最小となる。立体像のように、像の個々の点が焦点に収束するものは、その焦点への収束精度が向上し、再生像が鮮明となる。
また、レリーフ面にホログラム画像の凹凸とは異なる周期や、形状の凹凸が存在すると、それはホログラムもしくは回折格子の再生時のノイズとなり、像を不鮮明にする要因となる。
ホログラムレリーフ形状を賦形(複製ともいう)する方法は、回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された原版をプレス型(スタンパという)として用い、上記剥離層3上に、原版を重ねて加熱ロールなどの適宜な手段により、両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸模様を複製することができる。形成するホログラムパターンは単独でも、複数でもよい。
上記の極微細な形状を精密に再現するため、また、複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小とするため、原版は金属を使用し、低温、且つ、高圧下で複製を行う。
原版は、Niなどの硬度の高い金属を用いる。光学的撮影もしくは、電子線描画などにより形成したガラスマスターなどの表面にCr、または、Ni薄膜を真空蒸着法、スパッタリングなどにより5〜50nm形成後、Niなどを電着法(電気めっき、無電解めっき、さらには複合めっきなど)により50〜1000μmの厚さで形成した後、それらの金属を剥離することで作ることができる。
高圧回転式の複製に用いるためには、このNi層の厚み精度を高くする必要があり、通常±10μm、好ましくは、±1μmとする。このため、裏面の研磨や、平坦化方法を用いてもよい。
複製方式は、高圧とするため、平板式でなく、回転式を用い、線圧100kg/m〜10000kg/m、好ましくは、5000kg/m以上とする。複製用シリンダーは、その直径が小さいとレリーフの再現性が低下するため、複製シリンダー直径は大きい方が好ましく、通常、直径0.1m〜2.0m、好ましくは、1.0m以上の弧を使用する。
剥離層3をこの複製用シリンダーに沿って押し当て、裏面より金属製シリンダーにより上記圧力にて複製を実施する。複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小限とするためには、レリーフホログラム形成層2全体を加熱するのではなく、レリーフホログラム形成層4のホログラムレリーフ5面側の一部のみを加熱する方法が望ましい。通常60℃〜110℃に加熱する。さらには、裏面の金属製シリンダーを常温に保つ、もしくは冷却することで、さらにその精度を向上させることができる。
もちろん、剥離層3の形成手順によっては、例えば、レリーフホログラム上に既に形成してあるホログラムレリーフ5面の上に、剥離層3を上記した方法により形成することで、結果として、剥離層3のレリーフホログラム形成層4と接している面にホログラムレリーフ5を形成することができる。
また、基材1及び「秘密情報」2形成部上に設けた剥離層3上に、既に形成してある、「スクラッチ隠蔽層6/レリーフホログラム形成層4(その露出面にホログラムレリーフ5が形成されている。)」積層体のそのホログラムレリーフ5面を、上記した「ホログラムレリーフ5形成用原版」と見做して、ホログラムレリーフ5の複製を施しつつラミネートして、結果として、剥離層3のレリーフホログラム形成層4と接している面にホログラムレリーフ5を形成することができる。
(レリーフホログラム形成層、及び、ホログラムレリーフ)
この剥離層3の上に、そのホログラムレリーフ5を埋めるようにレリーフホログラム形成層4を設ける。(図1〜図5参照。)
その際、剥離層3の全面を覆うように形成してもよいし(図1〜図3、及び図5参照。)、剥離層3の形成領域より、小さい領域を覆うように形成してもよい(図4参照。)。図4では、剥離層3上のホログラムレリーフ5全体を覆うように形成してあるが、その一部のみを覆うものとしてもよい。但し、ホログラムレリーフ5の内、秘匿すべきホログラムに対応する部分は、少なくとも、レリーフホログラム形成層4で覆われることとなる。もちろん、その秘匿すべきホログラムがレリーフホログラム形成層4で覆われていなくとも、その上に形成するスクラッチ隠蔽層6で覆うものであってもよい。
また、スクラッチ隠蔽層6上にレリーフホログラム形成層4を形成し、その最表面にホログラムレリーフ5を形成する手順とすることもできる。
本発明のスクラッチシートH1〜H4のレリーフホログラム形成層4を構成するための透明樹脂層に用いられる樹脂材料としては、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としてはアクリル酸エステル樹脂、すなわち、ポリメチルメタクリレート(屈折率n=1.49)、ポリメチルアクリレート(n=1.47)、ポリベンジルメタクリレート(n=1.57)、ポリブチルアクリレート(n=1.44)、ポリイソブチルアクリレート(n=1.48)等、セルロース系樹脂、すなわち、硝酸セルロース(n=1.54)、メチルセルロース(n=1.50)、セルロース・アセテートプロピオネート(n=1.47)等、ビニル系樹脂、すなわち、ポリ酢酸ビニル(n=1.47)、ポリ塩化ビニル・酢酸ビニル(n=1.54)等、アクリルアミド樹脂(n=1.50)、もしくはポリスチレン樹脂(n=1.60)等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、アクリルウレタン樹脂(n=1.60)、エポキシ変性アクリル樹脂(n=1.55)、メラミン樹脂(n=1.56)、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、アルキッド樹脂(n=1.54)、フェノール樹脂(n=1.60)、シリコン樹脂(n=1.41〜1.60)、もしくは、フッ素化樹脂(n=1.35〜1.38)等が挙げられる。(図1〜図4参照。)
これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、1種もしくは2種以上を使用することができる。これらの樹脂の1種もしくは2種以上は、各種イソシアネート樹脂を用いて架橋させてもよいし、あるいは、各種の硬化触媒、例えば、ナフテン酸コバルト、もしくはナフテン酸亜鉛等の金属石鹸を配合するか、または、熱もしくは紫外線で重合を開始させるためのベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、ナフトキノン、アゾビスイソブチロニトリル、もしくはジフェニルスルフィド等を配合しても良い。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル変性ポリエステル等を挙げることができ、このような電離放射線硬化性樹脂に架橋構造を導入するか、もしくは粘度を調整する目的で、単官能モノマーもしくは多官能モノマー、またはオリゴマー等を配合して用いてもよい。
また、上記の熱可塑性樹脂、もしくは熱硬化性樹脂に、シリコン樹脂やフッ素含有樹脂、さらには、シリコンオイルを混合したもの、または、熱可塑性樹脂、もしくは熱硬化性樹脂とシリコン樹脂やフッ素含有樹脂を共重合させたものや、熱可塑性樹脂、もしくは熱硬化性樹脂の分子内にシロキサン結合〔―Si(R1)(R2)−O―〕やフッ素原子〔−F〕を導入したものを用いることができる。
さらには、上記の熱可塑性樹脂、もしくは熱硬化性樹脂に、シリコンパウダー微粒子やフッ素パウダー微粒子を分散させたものを用いることもできる。
フッ素化樹脂には、完全フッ素化樹脂として、四フッ素化樹脂、部分フッ素化樹脂として、三フッ素化樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、フッ素化樹脂共重合体として、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂。四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、エチレン・四フッ化エチレン共重合体、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体などを用いることができる。
さらに、上記の樹脂材料を用いてレリーフホログラム形成層4を形成するには、感光性樹脂材料にホログラムの干渉露光を行なって現像することによって直接的に形成することもできるが、予め作成したレリーフホログラムもしくはその複製物、またはそれらのメッキ型等を複製用型として用い、その型面を、上記の樹脂材料をプレス成型や、射出成型、ブロー成型等により作成した透明樹脂層に押し付けることにより、もしくは、エクストリュージョン成形によって、賦型を行ない、ホログラムレリーフ5面を形成する。または、その型面を、スクラッチ隠蔽層6上に設けたレリーフホログラム形成層4上に押し付けることにより、賦型を行ない、ホログラムレリーフ5面を形成する。
さらには、上記した剥離層3のホログラムレリーフ5上に、そのホログラムレリーフ5を埋めるようにレリーフホログラム形成層4を設けることで、結果として、レリーフホログラム形成層4の剥離層3と接している面に、ホログラムレリーフ5を形成することができる。この際のレリーフホログラム形成層4の剥離層3に対する「濡れ性」の制御については上述したとおりである。(図1〜図4参照。)
熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、型面に未硬化の樹脂を密着させたまま、加熱もしくは電離放射線照射により、硬化を行わせ、硬化後に剥離することによって、硬化した透明樹脂層の片面にレリーフホログラムの微細凹凸を形成することができ、この微細凹凸がホログラムレリーフ5となる。なお、同様な方法によりパターン状に形成して模様状とした回折格子を有する回折格子形成層も光回折構造(すなわち、レリーフホログラム形成層4のホログラムレリーフ5。)として使用できる。
この際、レリーフホログラム形成層4のホログラムレリーフ5を形成してある面とは反対の面、すわわち、スクラッチ隠蔽層6と接している面を、「光学的な鏡面」とするため、適宜な剥離性フィルム上に設けたスクラッチ隠蔽層6の露出面を「光学的な鏡面」として仕上げた後に、レリーフホログラム形成層4を設ける手順とするか、剥離層3のホログラムレリーフ5を埋めるようにレリーフホログラム形成層4を設けた後に、その露出面に、同様の「光学的な鏡面」処理を施す手順とすることもできる。
ホログラムは、物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を凹凸のレリーフ形状で記録されたもので、例えば、フレネルホログラムなどのレーザ再生ホログラム、及びレインボーホログラムなどの白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーテッドホログラム(CGH)や、ホログラフィック回折格子などがある。また、マシンリーダブルホログラムのように、その再生光を受光部でデータに変換し、「秘密情報」2として、もしくは、「秘密情報」2の一部構成情報として伝達したり、真偽判定を行うものであってもよい。
さらに、微細な凹凸(すなわち、ホログラムレリーフ5。)を精密に作成するため、光学的な方法だけでなく、電子線描画装置を用いて、精密に設計されたレリーフ構造を作り出し、より精密で複雑な再生光を作り出すものであってもよい。このレリーフ形状は、ホログラムを再生する光、もしくは、光源の波長(域)と、再生する方向、及び強度によってその凹凸のピッチや、深さ、もしくは特定の周期的形状が設計される。凹凸のピッチ(周期)は再生角度に依存し、通常0.1μm〜数μmであり、凹凸の深さは、再生強度に大きな影響を与える要素であって、通常0.1μm〜2μmである。
単一回折格子のように、全く同一形状の凹凸の繰り返しであるものは、隣り合う凹凸が同じ形状であればある程、反射する光の干渉度合いが増しその強度が強くなり、最大値へと収束する。回折方向のぶれも最小となる。立体像のように、像の個々の点が焦点に収束するものは、その焦点への収束精度が向上し、再生像が鮮明となる。
また、レリーフ面にホログラム画像の凹凸とは異なる周期や、形状の凹凸が存在すると、それはホログラムもしくは回折格子の再生時のノイズとなり、像を不鮮明にする要因となる。
ホログラムレリーフ形状を賦形(複製ともいう)する方法は、回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された原版をプレス型(スタンパという)として用い、上記レリーフホログラム形成層4上に、原版を重ねて加熱ロールなどの適宜な手段により、両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸模様を複製することができる。形成するホログラムパターンは単独でも、複数でもよい。
上記の極微細な形状を精密に再現するため、また、複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小とするため、原版は金属を使用し、低温、且つ、高圧下で複製を行う。
原版は、Niなどの硬度の高い金属を用いる。光学的撮影もしくは、電子線描画などにより形成したガラスマスターなどの表面にCr、または、Ni薄膜を真空蒸着法、スパッタリングなどにより5〜50nm形成後、Niなどを電着法(電気めっき、無電解めっき、さらには複合めっきなど)により50〜1000μmの厚さで形成した後、それらの金属を剥離することで作ることができる。
高圧回転式の複製に用いるためには、このNi層の厚み精度を高くする必要があり、通常±10μm、好ましくは、±1μmとする。このため、裏面の研磨や、平坦化方法を用いてもよい。
複製方式は、高圧とするため、平板式でなく、回転式を用い、線圧100kg/m〜10000kg/m、好ましくは、5000kg/m以上とする。複製用シリンダーは、その直径が小さいとレリーフの再現性が低下するため、複製シリンダー直径は大きい方が好ましく、通常、直径0.1m〜2.0m、好ましくは、1.0m以上の弧を使用する。
レリーフホログラム形成層4をこの複製用シリンダーに沿って押し当て、裏面より金属製シリンダーにより上記圧力にて複製を実施する。複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小限とするためには、レリーフホログラム形成層2全体を加熱するのではなく、レリーフホログラム形成層4のホログラムレリーフ5面側の一部のみを加熱する方法が望ましい。通常60℃〜110℃に加熱する。さらには、裏面の金属製シリンダーを常温に保つ、もしくは冷却することで、さらにその精度を向上させることができる。
(スクラッチ隠蔽層及び、地紋印刷)
このレリーフホログラム形成層4上に、スクラッチ隠蔽層6を設ける。(図1〜図3及び、図5参照。)
この際、レリーフホログラム形成層4の全面にスクラッチ隠蔽層6を形成してもよいし、その一部にスクラッチ隠蔽層6を形成してもよい。(全面形成のみ、図1〜図3及び、図5に図示している。)
さらには、レリーフホログラム形成層4の形成領域より大きい領域に設けてもよい。(この場合には、図4に示したごとく、スクラッチ隠蔽層6の一部が、直接、剥離層3上に、形成されることとなる。さらには、図示していないが、直接、基材1上に形成されることもある。)また、レリーフホログラム形成層4に対して「割印」をするように、スクラッチ隠蔽層6の一部がレリーフホログラム形成層4上に、残りの部分がレリーフホログラム形成層4からはみ出して形成することも、その偽造防止性を向上させ好適である。
もしくは、適宜な剥離性フィルム上に、一旦、スクラッチ隠蔽層6を形成する手順とすることもできる。この手順を用いて、適宜な剥離性フィルム上に、スクラッチ隠蔽層6、その上の一部にレリーフホログラム形成層4及ホログラムレリーフ5、その上のやはり一部に剥離層3を形成した後、基材1上及び「秘密情報」2形成部上に、「スクラッチ隠蔽層6、その一部のレリーフホログラム形成層4(ホログラムレリーフ5)、その一部の剥離層3」積層体をラミネート、もしくは、転写により形成すると、「基材1上及び『秘密情報』2形成部」と剥離層3とが強固に接着し、基材1上及び『秘密情報』2形成部」と「スクラッチ隠蔽層6やレリーフホログラム形成層4の剥離層3から少しはみ出した部分」とは、ほとんど接着していない状態とすることができ、この部分が、「剥離層3とレリーフホログラム形成層4との界面における界面剥離のきっかけ」として機能することとなり、「界面剥離」し易いホログラムシート9とすることも好適である。(図示せず。)
本発明のスクラッチシートH1〜H4のスクラッチ隠蔽層6に用いるインキ組成物としては、熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、エチルセルロース、硝酸セルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン等のスチレン樹脂、あるいはスチレン共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの単独あるいは共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等のビニル共重合体、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、重合ロジン等のロジンエステル樹脂、クマロン樹脂、ビニルトルエン樹脂、ポリアミドや、ポリイミド等を挙げることができる。また、スクラッチオフ性を満足する範囲でこれらの樹脂に硬化剤等を混合して、擦れ等によるスクラッチ隠蔽層6の最表面の不要な剥離や、剥がれを防止してもよい。(図1〜図4参照。)
また、熱硬化性樹脂としては、シリコン樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、エポキシ樹脂や、不飽和ポリエステル樹脂等をあげることができ、シリコン樹脂として、シリコンゴム(シロキサン結合が5000〜10000の直鎖構造分子。)や、ケイ素樹脂、ゴム系天然樹脂として、天然ゴム、塩酸ゴム、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等を用いることができる。
さらには、スクラッチオフするという行為における環境影響を考慮して、スクラッチ隠蔽層6に用いるインキ組成物として、生分解性プラスチックを用いることも好適である。
生分解プラスチックとしては、化学合成系として、εーカプロラクトン等のラクトン系樹脂、ポリブチレンサクシネート−アジペート等のポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリ乳酸等、低分子量脂肪族ジカルボン酸と低分子量脂肪族ジオールより合成したポリエステル樹脂等、変性ポリビニルアルコールと脂肪族ポリエステル樹脂と澱粉の混合物等、または、低分子量脂肪族ポリエステルに脂肪族イソシアネートを添加して重合させたものなどが、また、天然物系として、ゼラチンなどの動物性天然物質、セルロースなどの植物性天然物質など、または、ポリヒドロキシブチレート等の微生物生産系物質などが好適である。
スクラッチ隠蔽層6に用いるインキ組成物としては、これらの樹脂成分を含む固形分全体に対して、隠蔽性とスクラッチ性を付与するために、金属系微粉末(アルミニウム粉末、黄銅微粉末、銅微粉末等)やそれらの酸化微粉末、窒化微粉末、その他の化合物微粉末等の顔料成分を20〜80%含有するものを用いる。
また、スクラッチ隠蔽層6の隠蔽性をさらに向上させるために、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の隠蔽性の強い顔料成分を1〜10%含有させてもよい。スクラッチ隠蔽層6用インキ組成物を以上の組成物から構成することにより、印刷適性とスクラッチ性との双方を満足することができるようになる。
スクラッチ隠蔽層6は、この組成物を適宜な溶剤で希釈したものを、適宜な剥離性フィルム(本発明のスクラッチシートH1〜H4をこのフィルム上で形成した後、このフィルムから剥離することで、本発明のスクラッチシートH1〜H4を得ることができる。この「適宜な剥離性フィルム」は図示せず。)上に、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、凹版印刷方式、インクジェット印刷方式等の印刷方式を用い、乾燥後の厚さとして、5μm〜50μm、さらには10μm〜30μmの厚さで形成する。(図1〜図4参照。)
さらに、スクラッチ隠蔽層6用インキ組成物として、金属ペースト、樹脂材料及び助剤を、水と低級アルコールに分散せしめて水性エマルジョンインキとしたものも使用でき、特に、レリーフホログラム形成層4の上にスクラッチ隠蔽層6を設ける手順とする場合に、そのレリーフホログラム形成層4の表面に不要な変形や変質を与えないため好適である。
その金属ペーストの金属としては、銅と亜鉛の合金であるブロンズパウダーや、アルミニウムパウダーを用いる。また、アルミニウムを微粉末化して、脂肪酸等で表面を処理したものを沸点の高い炭化水素溶剤( ミネラルスピリットなど)でペースト状にしたアルミニウムペーストとしてもよい。
これに、一般の印刷インキに使用する黄、マゼンタ、シアンまたは墨用の着色顔料、チタン白等体質顔料を、適宜、含めて着色タイプとしてもよい。
その樹脂材料としては、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂や、ポリアクリル酸系樹脂等を用いることができ、このこれら樹脂材料のエマルジョンをインキ組成物の25 〜50%としてアルミニウムペーストや、着色顔料などに、10〜35%の水と5%未満のイソプロピルアルコールを加えて攪拌して水性のエマルジョンインキとするものである。これに消泡剤や界面活性剤、もしくは防腐剤等の助剤を0.1〜3%添加することもできる。
この水性エマルジョンインキ組成物を用いたスクラッチ隠蔽層6の形成は、グラビア印刷法、スクリーン印刷法あるいはアニロックスローラーを介して印刷するフレキソ印刷法などが全面印刷あるいは部分印刷に好適な方法として適用され得る。
また、スクラッチ隠蔽層6用インキ組成物として、層内にて凝集破壊し易い脆弱性の樹脂を溶剤に溶かしたものに、隠蔽性の顔料としてアルミニウム粉末(銀色)、真鍮粉末(金色)、銅粉末(赤色)など金属粉末、あるいはタルク、カオリンなどの白色の体質顔料を混合したもの、あるいは、これに適宜色の着色顔料や染料を混合して着色したものを使用できる。
その凝集破壊し易い樹脂としては、異種の樹脂を適宜な配合比率でブレンドしたブレンド樹脂が使用でき、例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン系重合体、スチレン−ブタジエンゴム、各種ワックス、ロジン、テルペン系樹脂、テルペン系重合体などの樹脂のうちのいずれか2種以上を適宜比率にて配合したブレンド樹脂が使用できる。
この樹脂を溶解する溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、シクロヘキサノール、酢酸イソブチル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサノン、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコール誘導体など、又はこれらの混合溶剤が使用できる。
スクラッチ隠蔽層6用インキ組成物に用いられる顔料としては、さらに、有機顔料として、キナクリドン系レッド・マゼンタ、アンスラキノン系レッド・イエロー、ポリアゾ系イエロー、ベンズイミダゾロン系イエロー・オレンジ、フタロシアニン系顔料として、銅フタロシアニンブルー(α型、β型)、銅フタロシアニングリーン、異種金属フタロシアニンブルー、スレン系ブルー、アゾ系顔料として、溶性アゾ顔料(カーミン6B、パーマネントレッド2B他)、不溶性アゾ顔料(ジスアゾ系、モノアゾ系他)、不溶性多環式顔料(赤:キナクリドン、ペリレン、ジケトピロロピロール、橙:ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、黄:キノフタロン、イソインドリノン、緑:フタロシアニン、青:フタロシアニン、インダンスレン、紫:ジオキサジン他)、不溶性レーキ顔料(赤:レーキレッドC、ウォチュングレッド他)等がある。
無機顔料としては、複合酸化物系顔料、微粒子複合酸化物系顔料、紺青、ハイブリッド型顔料等があるが、さらに、弁柄、モリブデンレッド、カドミウムレッド、鉛丹(以上、赤色。)、黄鉛(赤口)、モリブデンオレンジ(橙色)、カドミウムオレンジ(橙色)、群青(ウルトラマリンブルー)、紺青(プルシアンブルー)、コバルトブルー、セルリアン、マンガン青(以上、青色。)、アンバー(茶色。)、黄鉛、カドミウムイエロー、チタン黄、黄色酸化鉄(以上、黄色。)、酸化クロム、コバルトグリーン、ビリジアン、ピーコック(以上、緑色。)、マルス紫、コバルトバイオレット、マンガンバイオレット(以上、紫色。)その他、体質顔料や、金属粉顔料等が用いられる。
これらの顔料の粒径を、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料群、もしくは、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料群として仕上げる。特に、微粒子顔料群は、二次凝集しやすく、再分散処理等を施す必要がある。
さらに、スクラッチ隠蔽層6をレリーフホログラム形成層4上に設ける際、このレリーフホログラム形成層4を覆うように設けて、そのレリーフホログラム形成層4の断面が露出することを防ぎ、レリーフホログラム形成層4の存在をさらに秘匿することができる。(図4参照。)
もちろん、接着層7を設けた構成の場合には、スクラッチ隠蔽層6は、レリーフホログラム形成層4、剥離層3及び接着層7の全ての断面のを覆って秘匿することもできる。(図示せず。)
いずれの場合にも、スクラッチ隠蔽層6のレリーフホログラム形成層4からはみ出す部分は、剥離層3面に直接、接するか、基材1面と直接、接着することとなる。
従って、この場合には、スクラッチ隠蔽層6用インキ組成物として、少なくとも、基材1、及び、基材1上に設けた種々の印刷表示部等との接着性をも考慮して材料選定を行う。
さらに、この「はみ出す部分」に、敢えてスクラッチオフ適正を持たせず、基材1に強固に接着させて、スクラッチ隠蔽層6のスクラッチオフの際に、基材1上に残る部分として設計してよい。
特に、その固着して残る部分を、「所定のパターン状」、すなわち、「開示済み」や「削り済み」、または、「不正」や「覗き見」等の「既に削られたことを示す文字や情報を表すパターン状」としてその偽造防止性を高めることができる。
この目的でのスクラッチ隠蔽層6の形成は、上記と同様の印刷方式等を用いることができる。
但し、上記した「所定のパターン状」での固着部分を設けるため、スクラッチ隠蔽層6の形成を2段階に分け、その第一段階として、その「所定のパターン状」にあらかじめ、2液硬化型の樹脂材料における硬化剤等を所定の割合の2倍〜5倍程度添加したスクラッチ隠蔽層6用インキ組成物で、一旦、目的の厚さより薄く設けておき(例えば、目的の厚さの1/5〜3/5等。)、第二段階において、その「所定のパターン状」部分を覆うように(他の部分を埋めるように。)、残りの厚さだけ、スクラッチ隠蔽層6用インキ組成物を上乗せする方法を用いてもよい。
そして、適宜な剥離性フィルム上に、スクラッチ隠蔽層6を設ける前に、本発明のスクラッチシートH1〜H4の用途に応じたデザインにより、オフセット印刷や、グラビア印刷等を用いて、1.0〜10.0μmの厚さで地紋印刷8を施した後、その地紋印刷8を覆うようにスクラッチ隠蔽層6を設ける手順とすると、本発明の地紋印刷8が最表面となるスクラッチシート9(図8参照。図8は、地紋印刷8を設けた本発明のスクラッチシート9の図である。)を得ることができる。
もちろん、スクラッチシートH1〜H4を形成した後の、そのスクラッチ隠蔽層6上に改めて、同様の印刷方式を用いて地紋印刷8を設けることができる。
この地紋印刷8以外の通常デザイン(主要なデザイン模様等)の印刷を施し、その意匠性を高めることができることは言うまでもない。
また、その適宜な剥離性フィルムを用いず、厚さ2.0〜50.0μmの透明基材を用い、その透明基材の一方の面に、上記した印刷方式等を用いて、スクラッチ隠蔽層6を設け、さらにそのスクラッチ隠蔽層6の上に地紋印刷8を設けた後、その透明基材の他方の面に、レリーフホログラム形成層4(そしてホログラムレリーフ5。)、剥離層3及び、接着層7を設け、これを基材1の所定の位置に転写形成する手順として、本発明のスクラッチシート9を形成してもよい。(図示せず。)
さらに、スクラッチ隠蔽層6の上に、または、スクラッチ隠蔽層6及び地紋印刷8の上に、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、これらの共重合体さらには電離放射線硬化樹脂等の保護層を、感熱溶融転写方式、昇華転写方式、インクジェット方式で、1〜3μm厚さに形成して、「秘密情報」2の隠蔽をさらに強化してもよい。(図示せず。)
(接着層)
接着層7としては、従来公知の溶剤系及び水系のいずれの接着剤、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂や、天然ゴム、クロロプレンゴムなどのゴム系樹脂などが挙げられる。自然にやさしい材料構成とするために、特に、天然ゴムを主成分とするラテックス、それを変性したもの、特に天然ゴムにスチレン特にメタクリル酸メチルとをグラフト重合させて得た天然ゴムラテックス等の天然素材から作製されたものを用いても良い。
接着層7に用いられる溶剤としては、溶剤類、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、イソホロン、ジイソブチルケトン、等。)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブチルアルコール等、さらにはその水溶液。)、芳香族類(ベンゼン、トルエン、キシレン、ソルベッソNo.100、ソルベッソNo.150、カクタスP−180等。)、環状炭化水素類(シクロヘキサン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸セルソルブ、エチルー3−エトキシプロピオネート等。)、エーテル類(テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、t−ブチルセロソルブ等。)等を用いることができる。
接着層7の形成厚さは、3.0μm〜30μmとする。
接着層7の形成方法としては、グラビアコート、ロールコート、コンマコートなどの方法で、基材1、及び、「秘密情報」2形成部上に、もしくは、剥離層3上に、塗布し乾燥して形成することができる。
また、より精密な印刷を要する場合には、ステンレススクリーン印刷方法や、活版印刷方式、オフセット印刷方式、フォトレジスト処理方式等を用いることができる。(図2参照。)
接着層7の接着力は、剥離層3との界面の剥離強度として、JIS Z0237準拠の180°による剥離方法において、1.0〜3.0kg/25mm巾の範囲にすることが望ましい。もちろん、それ以上の剥離強度を有していても、本発明の目的には適合している。
特に、基材1及び基材1上の「秘密情報」2形成部との接着力は、本発明の目的より、剥離層3を、基材1及び基材1上の「秘密情報」2形成部から剥がすことが困難となるレベルまで大きいものとする必要があるが、その接着層7と基材1及び基材1上の「秘密情報」2形成部との界面の剥離強度よりも、接着層7と剥離層3との界面の剥離強度を、より大きいものとなるように設計する。
この「秘密情報」2を覆うように、基材1上に、接着層7を直接形成する、もしくは、転写形成する。
このようにして形成した本発明のスクラッチシートH1〜H4、及び9を、通常の照明光下で、観察したところ、「一般的なスクラッチシート」であると判断できたが、そのスクラッチ隠蔽層6の下に隠されていると推定される「秘密情報」2は、全く視認できず、また、このスクラッチ隠蔽層6の下にレリーフホログラム形成層4まで含まれているとは、到底、想像すらできないものであった。(図1〜図8参照。)
この際、基材1上の所定の位置に、「秘密情報」2として、連続数字1〜8が印字されており(図7参照。図7には、その所定の位置を示す枠が便宜上表示されている。)、その「秘密情報」2を覆うように、剥離層3、レリーフホログラム形成層4及びスクラッチ隠蔽層6、さらには、接着層7が設けられることとなる。(図1〜図7参照。)
また、本発明のスクラッチシート9のスクラッチ隠蔽層6上に、幾何学模様からなる地紋印刷8を施した。(図8参照。)
いずれの場合も、目視では、スクラッチ隠蔽層6で覆われた「秘密情報」2を、視認することはできず、また、これらの外観からは、そのスクラッチシートH1〜H4、及び9の中にレリーフホログラム形成層4や、ホログラムレリーフ5が存在することはとても知り得ない状態であった。
そして、本発明のスクラッチシートH1〜H4、及び9のスクラッチ隠蔽層6、もしくは、地紋印刷8とスクラッチ隠蔽層6を、コインを用いて部分的に削り取ると、その削り取った領域から、その下に隠れていた「秘密情報」2を視認できるようになった。
但し、この段階でも、そのスクラッチシートH1〜H4及び9の中にレリーフホログラム形成層4や、ホログラムレリーフ5が存在することは知り得ず、さらに、削り残ったスクラッチ隠蔽層6及びレリーフホログラム形成層4を剥がして、初めて、剥離層3の上のホログラムレリーフ5が露出し、「秘密情報」2、及び、ホログラムレリーフ5から再生される「レリーフホログラム再生像」を同時に視認することができた。(スクラッチ隠蔽層6及びレリーフホログラム形成層4を剥がして、剥離層3の上のホログラムレリーフ5が露出する状況を図5に示す。)

以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。なお、溶媒を除き、各層の各組成物は固形分換算の質量部である。
(実施例1)
スクラッチシート9の基材1として、厚さ188μmの乳白ポリエチレンテレフタレートシート(カードサイズ)に、所定のデザインをオフセット印刷にて施し、(図1及び、図8参照。)、インクジェットプリンターにて、基材1の所定の領域に、「秘密情報」2として、「12345678」の番号(各数字文字の高さ4mm、幅2mm、文字間隔1mmm。)を印字した。(図1及び、図7参照。)
その基材1上の所定の位置に、且つ、その「秘密情報」2を覆うように、下記組成の剥離層3用インキ組成物を、ステンレススクリーン印刷方式にて、タテ10mm×横30mmのサイズで形成し、乾燥後の厚さとして、剥離層3を5.0μmの厚さで形成した。(図1参照。)
・<剥離層3用インキ組成物>
酢酸セルロース 30部
イソプロピルアルコール 20部
酢酸エチル 30部
エチルセルソルブ 20部
ここで、レーザ光学系を用いて撮影した意匠性の高いホログラム(レリーフホログラム)を備えたNi原版を用意し、上記した剥離層3に、そのNi原版のレリーフ面を合わせて、回転式レリーフホログラム形成装置(原版シリンダー径1.0m、原版面温度100℃、加圧シリンダー径0.3m、水冷式、圧力2000kg/m、複製速度10m/分)にて、ホログラムレリーフ5(Ni原版のレリーフ形状)を剥離層3上に形成した。(図1〜図5参照。剥離性フィルムは図示せず。)
次いで、この剥離層3のホログラムレリーフ5を埋めるように、その剥離層3上に、下記組成のレリーフホログラム形成層4用インキ組成物を、ステンレススクリーン印刷方式にて、同一サイズで形成し、乾燥後の厚さとして、レリーフホログラム形成層4を10μmの厚さで形成した。(図1参照。)
そして、このレリーフホログラム形成層4の上に、下記組成のスクラッチ隠蔽層6用インキ組成物を、ステンレススクリーン印刷方式にて形成し、乾燥後の厚さとして、スクラッチ隠蔽層6を30μmの厚さで同一サイズに形成し、実施例1のスクラッチシートH1、もしくは、9を得た。(図1及び図6参照。図6において、「秘密情報」2を覆う層は、「3〜7」でなく、「3〜6」となる。)
<スクラッチ隠蔽層6用インキ組成物>
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体 20部
アクリル樹脂 5部
顔料ノンリーフィングアルミペースト アルミニウム微粉末 40部
顔料リーフィングアルミペースト アルミニウム微粉末 10部
イソシアネート系硬化剤 1部
トルエン 10部
酢酸エチル 5部
エチルセルソルブ 9部
この実施例1のスクラッチシートH1、もしくは、9を、通常の蛍光灯下で観察したところ、スクラッチシートH1、もしくは、9上にて、「銀色の印刷層」を観察できるのみであり、その下、及びその中に形成されている、「秘密情報」2や、ホログラムの存在を窺い知ることはできなかった。(図1及び図6参照。)
次いで、このスクラッチシートH1、もしくは、9の「銀色の印刷層」をコインで引っ掻くと、スクラッチ隠蔽層6が部分的に削れ、その削れた部分から、「秘密情報」2の一部を視認できたが、やはり、この段階でも、ホログラムの存在を窺い知ることはできなかった。(図示せず。)
次いで、その「銀色の印刷層」部分の断面に爪を引っ掻けるようにして、剥がす行為をしたところ、レリーフホログラム形成層4と剥離層3の界面から剥離が生じ、「削り残ったスクラッチ隠蔽層6とレリーフホログラム形成層4」の積層部分が剥がれ(図5参照。但し、この図5は、スクラッチ隠蔽層6を削らずに界面剥離を発生させた図となっている。)、剥離層3のホログラムレリーフ5によるレリーフホログラム再生像「意匠性の高いホログラム」が出現して、「秘密情報」2とそのホログラム形成層4を同時に視認できるものとなり、この「銀色のシート」を偽造することは、困難と思われた。(図示せず。)
(実施例2)
実施例1のスクラッチ隠蔽層6のレリーフホログラム形成層4と接している面とは反対の面に、昇華転写プリンターにて幾何学模様からなる黄色の地紋印刷8を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2のスクラッチシート9を得た。(図8参照。)
このスクラッチシート9を実施離1と同様に評価したところ、地紋印刷8が独特の風合いを呈して金色に観察されたこと、及び、コインでスクラッチしたところ、地紋印刷8とスクラッチ隠蔽層6が同時に削れ、このシートの偽造が、より困難と思われたこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
(実施例3)
実施例1のレリーフホログラム形成層4、及び、剥離層3として、下記組成のインキ組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3のスクラッチシートH1、もしくは、9を得た。(図1及び図6参照。)
<レリーフホログラム形成層4用インキ組成物>
ポリブチルアクリレート(n=1.44) 30部
トルエン 10部
メチルアルコール 10部
イソプロピルアルコール 20部
エチルセルソルブ 20部
ブチルセルソルブ 10部
・<剥離層3用インキ組成物>
シリコン樹脂(屈折率n=1.44) 30部
酢酸エチル 10部
イソプロピルアルコール 35部
ブチルセルソルブ 25部
このスクラッチシートH1、もしくは、9を、実施離1と同様に評価したところ、コインでスクラッチした際に、太陽光の下で観察しても、ホログラムレリーフ5によるレリーフホログラム再生像は全く発生せず、偽造防止性が非常に高まったと思われたこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
(実施例4)
実施例1のレリーフホログラム形成層4、及び、剥離層3として、下記組成のインキ組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4のスクラッチシートH1、もしくは、9を得た。(図1及び図6参照。)
<レリーフホログラム形成層4用インキ組成物>
ポリブチルアクリレート(n=1.44) 30部
トルエン 10部
メチルアルコール 10部
イソプロピルアルコール 20部
エチルセルソルブ 20部
ブチルセルソルブ 10部
・<剥離層3用インキ組成物>
シリコン樹脂(屈折率n=1.54) 30部
酢酸エチル 10部
イソプロピルアルコール 35部
ブチルセルソルブ 25部
このスクラッチシートH1、もしくは、9を、実施離1と同様に評価したところ、コインでスクラッチした際に、室内蛍光灯を近づけて観察しても、ホログラムレリーフ5によるレリーフホログラム再生像は視認できず、偽造防止性が高まったと思われたこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
(実施例5)
実施例1のレリーフホログラム形成層4、及び、剥離層3として、下記組成のインキ組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5のスクラッチシートH1、もしくは、9を得た。(図1及び図6参照。)
<レリーフホログラム形成層4用インキ組成物>
不飽和ポリエステル樹脂(屈折率n=1.64) 25部
シリコン樹脂(屈折率n=1.60) 5部
トルエン 10部
メチルアルコール 10部
イソプロピルアルコール 20部
エチルセルソルブ 20部
ブチルセルソルブ 10部
・<剥離層3用インキ組成物:屈折率n=1.71の高屈折率透明樹脂層>
ウレタン樹脂(屈折率n=1.60) 30質量部
超微粒子酸化ジルコニウム(平均粒径:0.001μm、屈折率n=2.10)
6部
酢酸エチル 5部
イソプロピルアルコール 34部
ブチルセルソルブ 25部
このスクラッチシートH1、もしくは、9を実施離1と同様に評価したところ、スクラッチ隠蔽層6とレリーフホログラム形成層4を剥がした際に出現したレリーフホログラム再生像が、より鮮明となっており、偽造防止性が高まったと思われたこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
(実施例6)
実施例1において、下記組成のスクラッチ隠蔽層6用インキ組成物を用いて、同様の方式、同様の厚さで、スクラッチ隠蔽層6を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6のスクラッチシートH1、もしくは、9を得た。(図1及び図6参照。)
<スクラッチ隠蔽層6用インキ組成物>
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体 20部
アクリル樹脂 5部
顔料アルミペースト アルミニウム微粉末(平均粒径8μm) 30部
微粒子酸化ジルコニウム(平均粒径:0.01μm) 20部
シリコーンオイル 5部
トルエン 10部
酢酸エチル 5部
エチルセルソルブ 5部
このスクラッチシートH1、もしくは、9を、実施離1と同様に評価し、さらに、このスクラッチシートH1、もしくは、9の「銀色の印刷層」部分を剥がそうとしたところ、実施例1と同様の良好な結果に加え、スクラッチ隠蔽層6のスクラッチオフしていない部分に「剥離痕」が発生したことから、このスクラッチシートH1、もしくは、9の偽造が非常に困難であると思われた。(図示せず。)
(実施例7)
実施例1において、その基材1及び、その「秘密情報」2を覆うように、下記組成の接着層7用接着剤組成物をステンレススクリーン印刷方式にて、形成し、乾燥後の厚さとして、接着層7を20μmの厚さで形成し、(図2参照。)その上に、剥離層3を設けたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7のスクラッチシートH2、もしくは、9を得た。(図2、及び図6参照。)
このスクラッチシートH2、もしくは、9を実施離1と同様に評価したところ、剥離層3が、接着層7で、基材1及び、「秘密情報」2上にしっかりと固定されており、スクラッチオフ適正、及び、剥離層3とレリーフホログラム形成層4との界面剥離性に優れると思われたこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
・<接着層7用接着剤組成物>
酢酸ビニル−アクリル共重合体 30部
イソホロンジイソシアネート 0.1部
トルエン 10部
イソプロピルアルコール 20部
酢酸エチル 30部
エチルセルソルブ 10部
(実施例8)
実施例1において、レリーフホログラム形成層4とスクラッチ隠蔽層6の形成サイズを、いずれも、タテ8.0mm×横24mmのサイズとし、ホログラムレリーフ5が全て隠れるように、且つ、剥離層3の形成領域の内側であって、天地1mmずつ、左右3mmずつ均等に小さくした領域に形成したこと以外は、実施例1と同様にして、本発明のスクラッチシートH3を得た。(図3参照。)
このスクラッチシートH3を実施離1と同様に評価したところ、その「銀色の印刷層」部分の断面への爪の引っ掛かりがスムースであって、容易にスクラッチ隠蔽層6とレリーフホログラム形成層4が剥がれたこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。
このことから、本発明のホログラムシートH3のホログラムレリーフ5の存在確認が容易となり、偽造防止性が向上したものと思われた。
(実施例9)
実施例1において、レリーフホログラム形成層4の形成サイズをタテ6.0mm×横20mmのサイズとし、スクラッチ隠蔽層6の形成サイズを、タテ8.0mm×横24mmのサイズとして、ホログラムレリーフ5が全て隠れるように、且つ、いずれも、剥離層3の形成領域の内側であって、天地、左右とも均等に小さくした領域に形成したこと以外は、実施例1と同様にして、本発明のスクラッチシートH4を得た。(図4参照。)
このスクラッチシートH4を実施離1と同様に評価したところ、その「銀色の印刷層」部分の断面への爪の引っ掛かりがスムースであるとともに、レリーフホログラム形成層4の断面がスクラッチ隠蔽層6に覆われて隠蔽されており、その「銀色の印刷層」部分の断面への爪の引っ掛かりがスムースであると同時に、「ホログラム」の秘匿性が向上したと思われたこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。
(比較例)
実施例1において、剥離層3とレリーフホログラム形成層4を設けず、スクラッチシートを形成したこと以外は、実施例1と同様にして比較例のスクラッチシートを得た。
このスクラッチシートを実施例1と同様に評価したところ、スクラッチオフにより、「秘密情報」2を視認することはできたが、ホログラム再生像は出現せず、通常のスクラッチシートと判明し、容易に偽造が可能と推定された。
H1〜H4、9 スクラッチシート
1 基材
2 「秘密情報」(「秘密情報」として、「12345678」が形成され ており、それを模式的に示している。)
3 剥離層
4 レリーフホログラム形成層
5 ホログラムレリーフ
6 スクラッチ隠蔽層
7 接着層
8 地紋印刷
9 スクラッチシート

Claims (8)

  1. 基材上に設けられた秘密情報を隠蔽するスクラッチシートであって、
    前記秘密情報を覆うように、剥離層、レリーフホログラム形成層、及び、スクラッチ隠蔽層がこの順序で設けられ、前記スクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去することにより、前記秘密情報が視認可能となり、且つ、前記レリーフホログラム形成層と前記剥離層の界面で剥離が生じることにより前記レリーフホログラム形成層から再生されるレリーフホログラム再生像が視認可能となることを特徴とするスクラッチシート。
  2. 前記スクラッチ隠蔽層の前記レリーフホログラム形成層が形成されている面とは反対の面に、地紋印刷が施されていることを特徴とする請求項1に記載のスクラッチシート。
  3. 前記剥離層の屈折率が、前記レリーフホログラム形成層の屈折率と同一、もしくは、その屈折率差が、0.1以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のスクラッチシート。
  4. 前記基材と前記剥離層との間に、接着層が設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のスクラッチシート。
  5. 前記剥離層が高屈折率透明樹脂層であって、前記剥離層の屈折率が、1.7以上であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のスクラッチシート。
  6. 前記スクラッチ隠蔽層が、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料及び、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料を含んでいることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のスクラッチシート。
  7. 前記レリーフホログラム形成層が、前記剥離層上にあって、且つ、前記剥離層の形成領域より小さい領域に設けられていることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載のスクラッチシート。
  8. 前記スクラッチ隠蔽層が、少なくとも前記レリーフホログラム形成層を覆うように設けられていることを特徴とする請求項1から7の何れかに記載のスクラッチシート。

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