JP6197436B2 - スクラッチカード - Google Patents

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Description

本発明は、カード基材上の秘密情報表示部を隠蔽するための黒色層及びホログラム層が設けられたスクラッチカードであって、カード基材上の秘密情報表示部を覆うように黒色層及びホログラム層を設けることで、その秘密情報を隠蔽することができ、その黒色層及びホログラム層をスクラッチにより削り取ると、その秘密情報を視認できるようになるスクラッチカードに関する。
特に、黒色層及びホログラム層がいずれもカード基材に埋め込まれており、その背後にある秘密情報を覗き見ることを意図して、ホログラム層や黒色層を剥がそうとしても、その断面に爪を入れることができず、結局、それらの層を削り出す他に手段は無く、一旦、削り出してしまうと、もはや、その凹部に、それらの層を復元することが非常に困難であって、それらの貼り替えなどの変造や、偽造を物理的に不可能とするスクラッチカードに関する。
本発明において、「カード基材」とは、秘密情報表示部を設けることができるプラスチックカードそのもの、もしくは、秘密情報を記録可能な種々のシート状、カード状、その他の形状を有するものを意味し、その素材も、プラスチック材料、金属材料、その他あらゆる材料を用いたものでよいが、少なくとも、本発明のスクラッチカードとして、その秘密情報を形成、且つ、隠蔽することができ、さらに、黒色層をカード基材内へ埋め込むことができるものである。
また、本発明において、「秘密情報」とは、「その秘密情報を知り得る正当な権利者にのみ開示されるべき情報」を意味し、その「秘密情報」をカード基材上に設ける手段は、適宜な印刷方法や、個別情報を形成できるインクジェット方式を用いた方法、さらには、レーザー印字等、その「情報」としての文字、図形、記号、その他の、少なくとも目視認識可能な、あらゆる「情報」を形成可能な方法を用いることができるものである。
もちろん、そのカード基材上の「秘密情報」と、スクラッチカードが担持する別の「情報」(秘匿されていても開示されていてもよい。)との単なる組み合わせや、それらの「情報」を各種の情報合成手段等(暗号化処理も含まれる。)により合成して、「正当な権利者に開示される情報が形成される」ものであってもよい。
カード基材上に「秘密情報」を設けた部分を、「秘密情報」表示部、「秘密情報」印字部、または、「秘密情報」形成部と、適宜、表現する。
さらに、本発明において、「スクラッチ」とは、コインや爪等によって「対象となる層」を削り取る行為であって、「対象となる層」を部分的、もしくは、全面的に除去する行為を意味する。特に、「対象となる層」の背後にあるものを視認することが目的であるため、「部分的な削り取り」であっても、「削り取った領域」においては、「対象となる層」の全てを、削り残し無く、除去することとなる。(これ以下、このスクラッチ操作を「スクラッチオフ」とも言う。)
本明細書において、配合を示す「部」は特に断わらない限り質量基準である。また、「ホログラム」は、回折格子などの光回折性機能を有するものも含む。
(主なる用途)通信網やコンピュータネットワークの普及に加え、データを送受信するコンピュータ端末の普及及びその携帯化が進むとともに、わが国においても第三次産業の占める割合が急速に伸び、様々な業者、さらには、公的機関によっても、様々なサービスの提供が行われている。
第三次産業とは、情報通信業、運輸業、郵便業、卸売業、小売業、金融業、保険業、不動産業、物品賃貸業、学術研究または専門技術サービス業、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業、教育または学習支援業、医療または福祉関連、電気事業、ガス事業、熱供給事業、水道業、公務、理容美容関連、複合サービス業、レジャーサービス、レンタルサービス、アウトソーシングサービス、交通サービス、外食サービス、エネルギー、エンターテインメント、コンサルティング、その他サービス業と位置づけられているが、このような第三次産業に携わる業者や公的機関は、物品の販売のみならず、特定のサービスの提供によっても対価を得ているため、物品を販売する形態とは異なる形態によっても、顧客や消費者へのサービス提供、もしくは、顧客や消費者(以下、顧客等ともいう。)からの料金や対価(以下、料金等ともいう。)の回収を行っていることが多い。
例えば、その料金や対価の回収方法として、顧客等の銀行口座から、利用したサービスに相当する対価を自動的に引き落とす方法や、信販会社に対してクレジット契約を予め締結しておき、信販会社を介して利用料金を決済する方法などは、ごく一般的な料金等の回収の形態であり、電気料金、ガス料金、水道料金などの公共サービスや、種々の情報提供サービスなどにおける料金等の決済の手法として広く利用されている。そして、プリペイドカードの販売という形式により、将来提供されるべきサービスに対して、料金等の回収を先に行ってしまう方法も普及している方法であり、料金や、運賃、その他の対価の回収に広く利用されている。
さらに、販売する「物品」そのものが、データ端末装置、パーソナルコンピュータ、デスクトップパソコン、オンライン対応ゲーム機、電話回線機器、ファクシミリ、モデム等のデータ回線終端装置、ラジオ受信機や、テレビ受像機等の通信機器(情報機器)、特に携帯して利用可能な通信機器である携帯通信機器(端末)や、携帯して利用可能な情報機器である携帯情報機器(端末)、すなわち、携帯音楽プレーヤー、ICレコーダー、ポータブルDVDプレーヤー、ポケットコンピュータ、スマートブック、タブレットPC、PDA、電卓、携帯ゲーム機、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ラップトップコンピュータ、ノートパソコン、ハンドヘルドパソコン、携帯プリンター、携帯スキャナ、携帯モデム、電子辞書、電子手帳、電子書籍、ポータブルデータターミナル、携帯電話端末、PHS端末、ポケットベル端末、携帯ラジオ、携帯テレビ、ワンセグ、腕時計、懐中時計、補聴器、ハンドヘルドGPS、防犯ブザー、テレビ電話、GPS受信機、カーナビゲーション端末、リモコン端末、電子マネー、デジタルキー、デジタルロックやポイントカード用のICカード等を用いて顧客に届けられるものとなり、音楽、映画、ゲームソフト等の文字、画像、映像、動画、音声、映画の著作物や、Webアニメ等のマルチメディア関連のコンテンツを、これらの「物品」として、ダウンロード販売、クラウドコンピューティング、音楽配信、IP放送、インターネット放送、インターネットテレビ、インターネット放送ネットワーク、インターネットラジオ、ポッドキャスト、ビデオ・オン・デマンド、動画共有サービス等の手段を用いて配信する方法も広く利用されている。
そして、これらの付加価値の対象である「物品」そのものや、上記した様な種々の「サービス」を受けることができる「資格」や「権利」を顧客に付与するもの、すなわち、それらの付加価値の受領、または、利用を要求している者が、正当な「資格」、または、「権利」を保有している者であるか否かを判定する媒体として、各種のカード類が広く一般的に用いられている。
これらカード類は、身分を証明するIDカード、会員カードや、金銭的価値を有するキャッシュカード、クレジットカード、プリペイドカード、定期券、もしくは、回数券等として多くの分野で使用されており、その数は増加の一途をたどっている。この中で、前払い方式でサービスを提供する際の前払証票、いわゆるプリペイドカードは、特に数量的な増加率が高く、一定単位の金額を予め支払い、その金額分の価値情報を利用できるものとして広く普及している。
そして、そのカード上には、価値情報や識別情報が、カード基材に印字または印刷表示した絵柄や文字情報として記録され、また、カード基材上に設けられた磁気記録部または光学記録部、場合によってはICチップに機械読み取り情報として記録されており、用途に応じた様々な情報を保持し、様々な場面でそれらの情報を利用可能とするものである。
そのプリペイドカードの代表とも言えるテレホンカードにおいては、価値情報や識別情報がテレホンカードそのものに記録され、電話端末においてテレホンカードを使用する都度、その通話料金をテレホンカードに記録してある価値情報から減額し、その残金を再びテレホンカードに記録しておくものであったが、その後、テレホンカードの偽造や変造に対処する方式として、テレホンカード上にはランダムな「番号」のみを印字しておいて、テレホンカードの発行、登録、販売、利用、減額処理、登録抹消等を管理しているホストコンピュータ上にその「番号」に対応した価値データを持たせ、テレホンカードの使用者が、そのホストコンピュータにアクセスした時に利用金額分の通話を行うことができるという、いわゆる「スクラッチオフ方式のテレホンカード」、すなわち、秘匿性の許可番号(秘密情報。)を交付する形式のテレホンカードを使用する方式が実用化され、そのカード発行数量も多くなってきている。
この方式では、流通段階において許可番号の漏洩が発生すると、その許可番号を不正に入手した者による不正サービス受給や、正規購入者に対して正当な利用を提供できなくなる等のトラブルを招くのみならず、もはや、「実際にその許可番号を利用した行為」が、正規購入者による行為なのか、もしくは、不正入手者による行為なのかを判別する手段も無くなってしまい、不正行為の特定ができず、従って、その損害額の特定、そして、その特定に基づく損害賠償請求も不可能となる。
このため、テレホンカードにその許可番号を印字した後、その許可番号が第三者に簡単に盗まれることを防止する目的で、削り取り(スクラッチ)が可能な隠蔽層でその許可番号を一旦覆って流通させ、テレホンカード購入者(正規購入者)が、その隠蔽層をスクラッチして除去して、その下に隠蔽されている許可番号を読み取り、その許可番号を利用するという方式である、「スクラッチオフ方式」の採用が必須となっている。
例えば国際電話のアクセス方式として、中継基地となる電話会社(中継会社という。)と契約し、料金先払いで所定の金額(例えば、千円。)を支払うことによりその契約者個有のナンバーが記載されたカードが発行され、国際電話を掛ける際にはカードに表示されたアクセスナンバー(フリーダイヤル。これが秘密情報となる。)を入力して中継会社にアクセスし、次いで契約者個人に与えられた個人ナンバーを入力したのち、相手方の電話番号を入力することによって通話ができるシステムが、国際電話を低料金で掛けられ、且つ、中継会社へアクセスした際に所定秒時コマーシャルを流すことによる宣伝媒体としての利用を図ることができる方式として広く普及しつつある。
このシステムに加入すると、個人に与えられた個人ナンバーはスクラッチ加工(スクラッチ可能な隠蔽処理という意味。)により外部からは完全に見えないように処理されており、このスクラッチ加工部分を削るようにして剥すことにより初めて個人ナンバーが現われるようになされている。
また、従来より、イベントくじやゲーム用カード等において、秘密情報である、例えば、「あたり」又は「はずれ」に相当する絵柄や文字や番号などのくじの結果をスクラッチが可能な隠蔽層で一時的に隠蔽した後、このスクラッチが可能な隠蔽層を爪やコインなどで擦ることで、その隠蔽層の下に表示された秘密情報の内容を見ることができるようにしたスクラッチが可能な隠蔽層付き印刷物は知られている。これらの印刷物は、一般的に複数個所にスクラッチが可能な隠蔽層を設けておき、その中から「あたり」と思われる1ヶ所の隠蔽層をコイン等で削り取ることで、下層に表示された秘密情報の表示を目視で確認するもので、もし仮に2ヶ所以上の隠蔽層を削り取った場合は、無効とするなどの規則とする場合が多い。
さらに、スピードくじや、ファーストフード店等においてサービス的に用いられているチケットは、カード基材に数字や文字等(秘密情報)を印刷した後、その上にスクラッチが可能な隠蔽層を印刷して、下地の印刷が見えないように構成され、くじの購入者やチケットを受け取った者が、爪や硬貨を用いてその隠蔽層を擦り取ると、下地に印刷されている数字や文字等が出現する。この出現した数字や文字を、予め決定されている数字や文字等と比較して、合致した場合には当選が決まるシステム(秘密情報がある意味において暗号情報となっており、他の情報との照合、いわば、解読により、「当たり」が決まる仕組み。)となっている
また、抽せんコードの如き機密の個別データをスクラッチが可能な隠蔽層で隠蔽してあるインスタント抽選付ゲームカードやインスタント抽選付商品等においては、機密の個別データを複雑なゲームにも利用できるものとし、その隠蔽層を擦り取ると、「あたり」の文字や懸賞番号等のメッセージが浮かび上がるように構成されている
このように「スクラッチ方式」は、いわば「簡易くじ」としても用いられており、その用途としては、宝くじなどの各種くじ等の他、商品の購入時の景品提供の手段、教習具や、ケームカード等があるが、より具体的には、携帯電話ショップで、スクラッチ枠を11か所設け、その内5か所だけを擦って、自分の携帯電話番号といくつ一致するかでもらえる景品が決まり、裏面には新規契約の方への特別割引クーポン券がついているもの、大手ドラッグストアで、ポイントカード会員獲得のために、ポイント5倍などのスクラッチに使用するもの、会員登録したその日からクーポン券として利用可能で、クーポン券の利用期間を設けるもの、大手鶏卵メーカーで、大手スーパー量販店様への卵パックの中に封入し、当たりが出たら「当たり券」をハガキに貼って裏面記載の係りあてに応募すると、購入先で使用できる商品券がプレゼントされるもの、住宅展示場、ファーストフードショップ、遊園地、観光スポット、スポーツ観戦に使用されるもの等、さらには、食品業界、ファッション業界、美容業界や医療関係等用の、擦った後に削りカスが出にくいもの等、または、被封くじであって、当せんパターンがスクラッチ印刷され、これを削ることにより抽せんを行う、インスタントくじ、スクラッチ宝くじ等、スクラッチ可能な隠蔽層をパターン状に複数設けて、それらの何れかを削って、所定のマークを出すことができた場合に「当たり」とするもの、そのマークを出すまでの削り回数や、削った軌跡で「当たり」のレベル(例えば商品価格)を定めるもの、そのパターンが、縦横マス目状に設けられ、そのマークがそのマス目どの位置にあるかによって、「当たり」のレベルを定めるもの等がある。
また、抽選用品としてのスクラッチ三角くじやおみくじ用、キャラクター抽選会、おもちゃの抽選会、菓子等食品の抽選会、生活用品の抽選会等の抽選会景品セット用、サイコロを使う景品セット、輪なげや射的景品セット、おもちゃ釣りや千本つり景品セット、穴あけ宝箱景品セット、ガチャガチャやカプセル景品セット、つかみどりやすくいどり景品セット、詰め放題や玉入れ遊び景品セット、季節の抽選セットや景品抽選セット、夏の花火景品セット、夏の縁日景品抽選セット、夏のサマーグッズ抽選セット、クリスマス景品抽選セット、お正月景品抽選セット、年末年始景品抽選セット等のイベント景品セット用として、
さらには、来店促進のためのお買物券や割引券等、店頭でのイベントなどに用いられる名刺サイズやハガキサイズのもの、イベント案内のダイレクトメールにスクラッチを活用するもの、店頭への誘導にハガキだけでなく、V折やZ折などの圧着ハガキDMへスクラッチ印刷したもの等、1日1回で数十回スクラッチすると、その回数に応じて、景品引換券や、家具や洋服等の店頭で販売している商品が手に入るものや、スクラッチカードの四つ角に決まったアイテムが用意され、これを参考にすれば、欲しいアイテムを効率良く集めることができるように構成されているもの等がある。
このような「スクラッチ方式」の普及により、その「秘密情報」として、単純な「あたり」または「はずれ」の文字や、シリアルナンバー等の番号類のみならず、バーコードや二次元バーコード等の機械認識コード類、顧客データ、メッセージ等、あらゆる語句や記号、もしくは特定のマーク等の図形を固定もしくは可変で構成するもの、さらには、これらの「情報」が発色機構や消色機構を利用して浮き出るものや、特定の光源によってのみ、その「秘密情報」を読み取ることができるものなども提案されている。
(先行技術)上記したように、銀行口座からの自動引き落としや、信販会社を介した決済という方法は、非常に堅実な方法ではあるが、事前の手続きが面倒で、また、サービスの利用開始までに時間がかかるという問題があり、公共料金など利用が不可欠なサービスについては、有効な料金回収方法であるとしても、顧客にとって恣意的なサービスについての料金回収方法としては、必ずしも適切ではなく、利用料金の支払いのための手続きが面倒であったり、実際に利用が可能になるまでに何日も待たされたりすれば、顧客はそのサービスの利用に躊躇せざるを得なくなる。
そのため、プリペイドカードを用いた料金回収方法が、非常に手軽な方法であり、サービスによっては非常に有効な方法であることから、すなわち、通常の物品を購入する場合と同じ形態で、サービスに対する対価の支払いを行うことができ、かつ、プリペイドカードを購入した時点からそのサービスを利用できるようになることから、いわゆる「プリペイドカード方式」が拡大したが、その半面、プリペイドカードの偽造や変造という問題が生じるに至り、すなわち、一般的なプリペイドカードは、磁気的に残存対価を記録する方式を採っているため、この磁気的な記録の改竄という方法による不正利用が蔓延する結果となり、従来の磁気記録を利用した「プリペイドカード方式」は、安全性の面で些か問題があるのではないかとの認識が広がった。
このような理由も追い風となり、カードそのものには金額等の記録を保持せず、「認証番号等」のみを「秘密情報」として保持させて、そのカードを購入した者がその「番号等」を「申告する」ことにより種々のサービスを受けることができるという新規な「プリペイドカードサービス」が普及した。この「番号等」は、「秘密情報」として秘匿するために、スクラッチが可能な隠蔽層等により隠蔽されているため、従来の磁気型プリペイドカードに対して、番号型プリペイドカードとも呼ばれる。
この番号型プリペイドカードには、公衆電話用カード、携帯電話用カード、国際電話用カード等の通信系、ゲームソフトや音楽ソフト、その他有料ソフトの決済カード等の決済系、ショッピングカード、ギフトカード、コインカード等の物品購入系等が実用化されている。
本発明のスクラッチカードは、このような、付加価値のある「秘密情報」が設けられたカード等の「カード基材」、すなわち、そのカード等を構成している「カード基材」であってその上に「秘密情報」が設けられているものに対して、その「秘密情報」を覆うように黒色層及びホログラム層を設けて、その「秘密情報」を第三者に対して秘匿し、その「秘密情報」の開示を受けられる正当な権利を有する者のみが、そのスクラッチカードの黒色層及びホログラム層をスクラッチして初めて、その「秘密情報」を確認することができるようにするものである。
この目的を達成するための技術として、特許文献1には、カードそのものには金額等の記録を保持せず、「認証番号等」のみを秘密情報として保持させて、そのカードを購入した者がその「番号等」を「申告する」ことにより種々のサービスを受けることができる、これらのプリペイドカードサービスとして、この「番号等」を、秘密情報として秘匿するために、スクラッチが可能な隠蔽層等で隠蔽する技術が開示されている。
また、インスタント抽選券、秘密情報伝達カード、クイズカード等で、一時的に秘密にしたい情報をシート上にプリンター等で印字表示し、それらの秘密情報表示部の上層に引っ掻くことで破壊されるスクラッチ可能な隠蔽層を形成させてなる「スクラッチカード」が既に広く用いられているが、これらのスクラッチ可能な隠蔽層は、比較的容易に入手できる原料から形成することが可能であるため、偽造や変造を行うことも容易である。
例えば、販売前の段階において、販売関係者が宝くじ等のインスタント抽選券のスクラッチ可能な隠蔽層を一旦引っ掻いて剥離し、抽選番号を見て当たりの抽選券と外れの抽選券を事前に確認して判別しておき、再度抽選番号の表示部分上にスクラッチ可能な隠蔽層を再形成することで、見かけ上、元の状態に戻しておき不正行為が行われたことを気づかれないようにカムフラージュし、当たりの抽選券を知り合いに販売することで特定の客に儲けさせる等の不正行為を働くことも物理的に可能であるため、この対策として、スクラッチ可能な隠蔽層に香料を含んだマイクロカプセルを入れ、真偽判定をする方法が提案されている。しかし、この方法では、正当な使用者がスクラッチした際、バラの匂い等、嗅覚に訴える販促的効果は期待できるが、不正者が一度スクラッチをした後、再度同様の匂いの香料を含むスクラッチ可能な隠蔽層を設けても、その後入手した正当な使用者にとって、目視にて容易に判読できる不正の痕跡を残すことは困難であった。(例えば、特許文献2参照。)
以上のごとき、カムフラージュ行為を直接的に阻止する方法として、スクラッチ可能な隠蔽層の上、または、スクラッチ可能な隠蔽層とカード基材とに跨るように、ホログラム画像を形成したホログラム層を設け、不正を行おうとする者にホログラム画像の存在を認識させて、「ホログラム層」を形成することの困難さを持って不正行為を阻止しようとする技術も開発されている。(例えば、特許文献3または4参照。)
しかし、これらの技術は、ホログラム層の存在や、そのホログラムデザインが第三者にあらかじめ開示されていることから、そのホログラム再生像に類似した光学効果を有するものを十分な時間を掛けて偽造したり、もともと、この構成自体がホログラム層とスクラッチ可能な隠蔽層を同時に削る仕様となっていることから、「ホログラム層もろともスクラッチ可能な隠蔽層を全て削ってしまった」と偽ることにより、ホログラム層が全く存在しない変造品を持参しながら、あたかも正規品であったの如く振る舞う等の不正を防ぐことができないという欠点を有していた。
特開平10−214320号公報 特開2001−47777号公報 特開平11−34565号公報 特開2005−305844号公報
本発明は、このホログラム層及び黒色層を、カード基材の中に埋め込んでしまい、これらの層を注意深く剥離するなどの変造を阻止し、その偽造を困難なものとした、スクラッチカードを提供する。
さらに、ホログラム層の最表面に「粗面」を設けて、そのスクラッチ適正を向上させたスクラッチカードを提供する。
上記の目的を達成するために、
本発明のスクラッチカードの第1の態様は、
カード基材上に設けられた秘密情報を隠蔽するスクラッチカードであって、
前記秘密情報を覆うように、黒色層及び体積ホログラム形成層がこの順序で設けられ、且つ、前記黒色層及び前記体積ホログラム形成層が前記カード基材に埋め込まれて、前記体積ホログラム形成層の最表面が、前記カード基材の表面と面一、または、前記カード基材の表面から凹んだ位置にあり、前記体積ホログラム形成層及び前記黒色層をスクラッチにより除去することにより、前記秘密情報が視認可能となることを特徴とするものである。
上記第1の態様のスクラッチカードによれば、
カード基材上に設けられた秘密情報を隠蔽するスクラッチカードであって、
前記秘密情報を覆うように、黒色層及び体積ホログラム形成層がこの順序で設けられ、且つ、前記黒色層及び前記体積ホログラム形成層が前記カード基材に埋め込まれて、前記体積ホログラム形成層の最表面が、前記カード基材の表面と面一、または、前記カード基材の表面から凹んだ位置にあり、前記体積ホログラム形成層及び前記黒色層をスクラッチにより除去することにより、前記秘密情報が視認可能となることを特徴とするスクラッチカードを提供することができ、その「秘密情報」の覗き見や、偽造及び変造を困難としたスクラッチカードを提供することができる。
本発明のスクラッチカードの第2の態様は、
前記カード基材と前記黒色層の間に、前記秘密情報を覆うように接着層が設けられていることを特徴とするものである。
上記第2の態様のスクラッチカードによれば、
前記カード基材と前記黒色層の間に、前記秘密情報を覆うように接着層が設けられていることを特徴とする第1の態様のスクラッチカードを提供することができ、より安定したスクラッチを可能とし、その信頼性を高めたスクラッチカードを提供することができる。
本発明のスクラッチカードの第3の態様は、
前記体積ホログラム形成層の黒色層が設けられている面とは反対の面の少なくとも一部が粗面状となっていることを特徴とするものである。
上記第3の態様のスクラッチカードによれば、
前記体積ホログラム形成層の黒色層が設けられている面とは反対の面の少なくとも一部が粗面状となっていることを特徴とする第1の態様または第2の態様のスクラッチカードを提供することができ、さらに安定したスクラッチを可能とし、その信頼性をより高めたスクラッチカードを提供することができる。
本発明のスクラッチカードの第4の態様は、
前記体積ホログラム形成層の黒色層が設けられている面とは反対の面の上に地紋印刷が設けられていることを特徴とするものである。
上記第4の態様のスクラッチカードによれば、
前記体積ホログラム形成層の黒色層が設けられている面とは反対の面の上に地紋印刷が設けられていることを特徴とする第1から第3の態様のスクラッチカードを提供することができ、体積ホログラム形成層の変造を防止し、より偽造防止性を高めたスクラッチカードを提供することができる。
本発明のスクラッチカードに用いられるカード基材としては、秘密情報表示部を設けることができ、且つ、黒色層及び体積ホログラム形成層をそのカード基材内に埋め込むことができるものであれば、あらゆる材料、すなわち、プラスチック材料、金属材料、セラミック材料、生体材料、それらの複合材料、さらには、それらを多層構造としたものなどを用いることができる。
ここで、「黒色層及び体積ホログラム形成層をそのカード基材内に埋め込む」とは、最終的に、「体積ホログラム形成層の最表面が、カード基材表面と面一、または、カード基材の表面より凹んだ位置になっている」ことをいう。
一例としては、「10μm厚さの体積ホログラム形成層と5μm厚さの黒色層の2層積層体」であって、総厚さ15μm、幅10mm、長さ30mmのストリップ(「小片」という意味。幅10mm×長さ30mm×高さ15μmの非常に薄い直方体状。)を、クレジットカードサイズで、厚さ760μmの軟質塩化ビニルシートからなるカード基材の表面の中央部に置き、このカード基材を、常温→150度→常温の加熱サイクル(1サイクル30分〜90分。)により、且つ、表面鏡面仕上げステンレス板に挟んだ平板加圧状態で、1.0MPa(メガパスカル。N/平方ミリメートル)の圧力を掛けつづけて、そのストリップの全厚さを、その760μmの軟質塩化ビニルシート内に埋め込むことをいう。
このとき、カード基材表面を、触針式表面粗さ計を用いて、埋め込んだ部分の境界領域を測定し、その境界における段差が、1.0μm以下である状態が「面一」となっている状態である。
また、上記のストリップに、さらに、10μm厚さのポリエチレンテレフタレートを積層した3層積層体とし、上記と同様にして、カード基材内に埋め込んだ後、そのポリエチレンテレフタレートを剥離することで、体積ホログラム形成層の最表面が、カード基材表面より、10μmの深さだけ、「凹んだ」状態とすることができる。すなわち、上記した触針式表面粗さ計を用いて、凹んだ部分の段差を測定し、その段差が、10μmである状態が、「カード基材表面から10μm凹んだ」状態である。
この「凹み」は、クレジットカード形状のカード基材においては、1.0μm〜30μmとすることが望ましい。この凹みが1.0μm未満であると、凹ませた効果が無くなり、30μmを超えると、この段差の引っ掛かりがスクラッチカードのハンドリングに支障をきたす。
この凹みは、カード基材厚さに対して、1/10以下とし、望ましくは、1/20以下とする。また、凹みのサイズよりもストリップのサイズが小さい場合には、凹みとストリップの間に「隙間」が生じるが、この「隙間の幅」は、その偽造防止性を考慮して、爪先や金属へらを挿入し難い大きさ、すなわち、5.0mm幅以下、望ましくは、1.0mm以下とする。
さらに、「黒色層及び体積ホログラム形成層をそのカード基材内に埋め込む」ために、予め、カード基材表面に、深さ20μm、幅11mm、長さ31mmの凹みを設けておき(プラスチック等であれは、その成形加工時に「凹み」を設けても良いし、カード基材表面を切削加工などにより削り込んで、凹みを設けてもよい。)、その凹みに、上記したストリップを入れて固定することも、その製造安定性から好適である。この場合には、上記したような、高温加熱や、高圧プレスの必要がないため、黒色層や体積ホログラム形成層に対する変形や歪みが発生し難いという利点がある。
但し、偽造や変造を防止する観点からは、加熱及び加圧によりカード基材に埋め込む方式が望ましい。
また、カード基材の形状も、あらゆる形状、すなわち、シート状、フィルム状、板状、立方体状、直方体状、カード状、はがき状、伝票状、封筒状、円盤状、楕円体状、球体状、棒状、及びこれらの組み合わせや、これらに変形、切断、穴あけ、接着等の加工処理を施したものなどを採用することができる。
その厚さも、秘密情報表示部を支持することができ、且つ、ハンドリング可能であればよく、特に制限はないが、通常、3.0μm〜3.0mmの厚さとする。もちろん、封筒状や、箱状のものであれば、その立体形状の寸法は、それぞれの用途に適したものとするため、この範囲内とする必要はない。
但し、これらのカード基材上に設けた秘密情報を黒色層で秘匿することとなるが、その黒色層を設けた側とは、反対側から、カード基材に対して、強度の大きい可視光線や、赤外線、紫外線、X線等、さらには、電子線等の粒子線(以上を総称して「光線」と称する。)を照射して、その「透過『光線』」や「反射『光線』」、さらには、特性X線等から、その秘密情報を読み取ろうという試みに対抗するため、そのカード基材の性質として、これらの「光線」を「遮蔽」したり、「反射」、もしくは、「散乱」させる性質を保有することが望ましい。
これらカード基材の代表例としては、いわゆる「プリペイドカード」として用いられているカード基材及び形状や、「プラスチックカード」として用いられているカード基材及び形状、特に、JIS規格やISO規格で定められているものがある。すなわち、その「埋め込み適正」及び「汎用性」(加工汎用性を含む。)から、「JIS規格やISO規格で定められている『プラスチックカード』として用いられているカード基材及び形状」が望ましい。
これらは、既に、全世界に大量に頒布され、普及しているため、そのハンドリングや、保持することに抵抗感がなく、また、それらを携帯したり、使用したりする場合の周辺機器や、関連グッズ等も既に普及しているため、これらのものへの適用もスムースであって好適である。
本発明のスクラッチカードが秘匿する「秘密情報」としては、暗証番号、個人認証番号、口座番号、その他の個人特有の番号または記号や、抽選番号または記号、管理番号または記号等、もしくは、単なる連続番号や記号であって、登録することによりその有効性を発現するもの、暗号鍵番号である共通鍵番号のように同一の番号、さらには、全くの乱数であってスクラッチカードのカード基材を作製するときに発生させ作製者含め誰もその番号の内容を知らないよう工夫した番号等、知ることが許された者(正規な購入者等を意味する。もちろん、スクラッチカードのシステム設計者や、スクラッチカード発行者等が含まれる場合もある。)のみが見ることができ、その他の者は物理的に見ることができないよう設定される番号または記号等がある。
また、そのスクラッチカードの用途により、番号または記号のみならず、文字、図形、マークその他、個人及びそのスクラッチカードの供給者が共通に認識できるもの(この対象は、いわゆる「情報」全てとなる。)であれば何れも用いることができる。そして、その認識方法も、少なくとも目視確認により認識できる情報を有しながら、目視以外の認識方法、例えば、光学読取方法、磁気的読取方法、その他、あらゆる物理的もしくは化学的読取方法を採用することができ、且つ、秘密情報と重ねて視認できる体積ホログラム再生像の中にも、ホログラム再生原理を利用した光学読取方法を含めることもその偽造防止性を高めるために好適である。
この「秘密情報」をスクラッチカードのカード基材上に設ける方法としては、可変情報を形成する方式として、感熱溶融転写方式、昇華転写方式、光学的もしくは物理的直接描画方式、電子写真方式及び、インクジェット方式等があり、固定情報を形成する方式としては、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、活版印刷方式、凹版印刷方式、スクリーン印刷方式等がある。
また、カード基材そのものを発色材料や消色材料で構成し、その発色原理や消色原理を用いて、可変情報や固定情報を記録する方法を用いてもよい。
すなわち、電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱発色材料からなるカード基材や、基紙となる紙材料やフィルム材料上に、電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱発色層を設けたもの、さらには、それらの基紙上に、カプセル内包の発色剤と顕色剤とからなる感圧発色層を設けたものを、カード基材として用いることができる。
また、発色と消色を繰り返して操作できる、感温材料等を用いたサーマルリライタブル層や、フルギド系やスピロピラン系などのフォトクロミック材料等を用いる光リライタブル層を設けることも、その意外性や偽造防止性が高まり、好ましい。
特に、これらの「リライタブル層」を設けて、「秘密情報」を表示させると、正規購入者が、その「秘密情報」を確認するときのみ「秘密情報」が現れ、それ以外のときには「非表示」とすることで、不要な第三者による「秘密情報」の視認を阻止することができる。
感熱発色材料としては、発色剤、顕色剤、及び、増感剤からなる系を用いることができ、発色剤としては、ベンゾイルロイコメチレンブルー、クリスタルバイオレットラクトン等のフタリド化合物等、顕色剤としては、4−4´ビフェノール、1−ナフトール等の酸など、さらに、増感剤としては、4−ベンジルビフェニル、フルオレン等を用いる。
感熱記録とは,基紙上の層に分散させた発色剤及び顕色剤を熱により溶融させ、接触させることにより発色させる仕組みである。その高感度化のために、低融点の増感剤を添加するが、様々な酸発生方法とこの発色機構を組み合わせることにより、繰り返しの書き込みや消去が可能なリライタブル感熱記録を実現できるものである。例えば、低い熱エネルギーにて発色する赤色感熱記録層と,高い熱エネルギーにて発色する黒色感熱記録層を積層させることにより,その印加エネルギーを使い分けることで赤/黒の2色での記録を可能にする2色発色感熱記録材料を用いてもよい。
これらのロイコ系感熱発色材料や、フォトクロミック系光発色材料は、その発色機構である「紫外領域または赤外領域→可視領域への変化」を、「可視領域→紫外領域または赤外領域への変化」とすべく材料選定をすることにより、消色記録材料として用いることができる。
このような消色機構を用いると、正規購入者が、その「秘密情報」を確認した後、正規購入者の判断により、速やかに、もしくは、適宜なタイミングで、「秘密情報」を消色(消去)することを可能とし、その偽造防止性を高めることを可能とする。
また、カード基材上へ「秘密情報」を設ける位置、もしくは、配置についても、特に制限は無いが、
プリペイドカード等のように、薄く強靭な素材を用いた場合には、そのカード基材を容易に湾曲させることができるため、そのカード基材の中央部分に設けることを避け、その右端、もしくは、左端、さらには、上端、もしくは、下端に設けることが望ましい。(湾曲した際に、黒色層にその変形圧力が掛からないように配慮するという意味。)もしくは、湾曲した際の比較的曲がっていない部分に、2箇所またはそれ以上の箇所に分散して設けてもよい。
また、磁気カード仕様や、ICカード仕様上のいわゆる「禁止エリア」(磁気部エリアやIC部エリアのように、印刷やエンボス加工等を禁止しているエリアのこと。所定の機能以外のものを設けることを禁止しているエリアを意味する。)を避けて設けたり、さらには、カードに加える様々な加工処理、例えば、エンボッシング処理、磁気記録処理、接触タイプのICチップ加工処理、非接触タイプのICチップやアンテナ類の加工処理、サインパネル加工処理やホログラム加工処理において、不具合が発生しない位置に設ける。
また、「秘密情報」を一つの位置に設けるのみ(一つの情報として読み取ることができるものが一か所に固まっているという意味。)ならず、カード基材上に、分散して複数の位置に設けたり、カード基材の表裏に設けることも、その秘匿性が向上し好適である。もちろん、その場合には、それぞれの位置に、それぞれの黒色層を設けることは言うまでもない。
上記した方法、または、方式により、その「秘密情報」をスクラッチカードのカード基材上に形成し、そして、黒色層及び体積ホログラム形成層を適宜な位置に、その「秘密情報」を覆うように設けて埋め込んだ後、その体積ホログラム再生像を出現させている体積ホログラム形成層と、その背後にある黒色層をスクラッチにより除去すると、その「秘密情報」が視認可能となるスクラッチカードを作成することにより、その「秘密情報」を第三者が目視によって判読したり、不正者が盗読することを防ぎ、且つ、正当な使用者がその体積ホログラム形成層と黒色層をスクラッチして、その「秘密情報」を判読できるスクラッチカードを構成することができる。
ここで、カード基材及び「秘密情報」形成部と、黒色層との間に、接着層を設けて、カード基材、「秘密情報」、接着層、黒色層、及び体積ホログラム形成層という順序としてもよいし、さらには、黒色層と体積ホログラム形成層との間に地紋印刷を施したり、もちろん、体積ホログラム形成層上に(最上層の上に)、地紋印刷を施すことも、その偽造防止性を高めたり、意匠性を高める効果があり、好適である。
そして、体積ホログラム形成層の最表面の少なくとも一部に、「粗面状」の領域(以下、「『粗面状』の部分」ともいう。)を設けることで、爪やコインを用いてスクラッチをする際の「きっかけ」の役割を果たさせることができる。
この「粗面状」の領域は、凹凸深さで、3.0μm〜50μm、且つ、凹凸のピッチ(ある凸部と隣接する凸部との間の距離を意味する。)で、3.0μm〜500μmとする。特には、凹凸深さで、10μm〜30μm、且つ、凹凸のピッチで、50μm〜300μmとすることで、爪やコインの引っ掛かりがより確実となり好適である。
そして、その立体形状は、二次元に広がる三角関数形状(例えば、SIN関数状。)や、2次元に広がるラミナリー形状、さらには、円錐形状、円錐台形状、その他のあらゆる凹凸形状を採用することができる。もちろん、一次元に広がるものであっても、規則的、もしくは、不規則にその深さや、ピッチが変動するものであってもよい。
この「粗面状」の領域は、凹凸形状を有する原版を用いて、平板プレスやロールプレス方式を用いて形成することができる。この際には、上記の立体形状を「その型」として持つ、「原版」を予め作製し、その「原版」を用いて、体積ホログラム形成層の最表面に形成することができる。
もちろん、適宜な剥離性フィルムを用い、この剥離性フィルムの表面に上記の立体形状を持つ凹凸を形成しておき、この凹凸を埋めるように体積ホログラム形成層をこの剥離性フィルム上に形成し、この剥離性フィルムを体積ホログラム形成層から剥離することで、最終的に、体積ホログラム形成層の最表面に、所望の「粗面状」の領域を形成することもできる。
この場合には、体積ホログラム形成層に対して、「複製」時の加熱や、加圧等の負荷が掛からず、その立体形状をより精密に形成できるため特に好ましい。
また、この剥離性フィルムを「可視光を通さない不透明なフィルム(もちろん、その表面に商業的デザインが施されていてもよい。)」とし、スクラッチカードの正規購入者が、スクラッチをする直前まで貼りつけたままとすることで、不正を働こうとする者ならず、正規購入者にも、その「粗面状」の領域のみならず、体積ホログラムの存在までをも秘匿可能とし、正規購入者がその剥離性フィルムを剥離して初めて、その「粗面状」の領域、及び、鮮明な体積ホログラム再生像を視認できるものとし、且つ、その「粗面状」の領域の汚れや、傷つきを防止することもでき、さらに好適である。
このようにすると、第三者には、ホログラムそのものの存在を秘匿できると共に、例え、ホログラムの存在を何らかの手段で知り得たとしても、「多種あるホログラムデザインの中で、どのホログラムデザインがどのスクラッチカードに適用されている」かという全体像をつかむためには、全てのタイプのスクラッチカードを購入する他は無く、「実質的には不可能」とすることができる。
本発明のスクラッチカードに用いられる体積ホログラムは、その体積ホログラム形成層の層中に、種々の屈折率のパターンとして、そのホログラム画像を形成する(ホログラム記録ともいう。体積ホログラム形成層は、ホログラム記録用媒体にホログラム画像を形成した際の記録層を意味する。)、いわゆる、位相ホログラムであって、この体積ホログラムが透過型ホログラムである場合には、その体積ホログラム形成層に光をあて、これを透過させるとき、光の位相は、「屈折率のパターン」により変調され、その先においてホログラム再生像を観察することができる。また、この体積ホログラムが反射型ホログラムである場合には、その体積ホログラム形成層に光をあてると、この体積ホログラム形成層に侵入した光の位相は、「屈折率のパターン」により変調されると同時に反射され、その戻り光においてホログラム再生像を観察することができる。
ホログラム画像として画像化される「物体」(一般的には、3次元物体、もしくは2次元物体が用いられる。もしくは、「物体光」を与え得るものであれば、「光学系」であっても、別途作成したホログラムからの「ホログラム再生像」であってもよい。)は、レーザー等が発振するコヒーレントな光によって照明され、そして感光性の記録用媒体が、この「物体」から反射(発散)された光を受けるように配置される。「物体」上の各点は記録媒体の全体に対して光を反射し、また記録用媒体上の各点は「物体」全体からの光を受け入れる。この反射(発散)された光束は「物体光」といわれている。
同時に、コヒーレントな光の一部は「物体」をバイパスし(「物体」を避けて通るという意味。)、反射鏡等により、記録用媒体に向けられる。この光束は「参照光」といわれている。
記録用媒体上に記録されるものは、媒体上に当たった「参照光」と「物体光」との相互作用で生ずる「干渉パターン」であり、この記録が、ホログラムとなる。
この記録用媒体、すなわち、記録されたホログラムが、照明され、適切に観察されるとき、照明光源からの光は、「物体」から記録用媒体にもともと到達した波面を再生するように、そのホログラムにより回折され(透過、または、反射され)、それにより、ホログラムは、透過側、または、反射側からの観察者に対して、「物体」の虚像を、記録媒体という「窓」を通して、完全な遠近差をもつ3次元の「物体」を見たように、認識させる。
本発明のスクラッチカードに用いられる体積ホログラム形成層には、その「反射型ホログラム」、または、「透過型ホログラム」のいずれをも記録することができる。
「反射型ホログラム」を記録した場合には、本発明のスクラッチカードを外観した際、体積ホログラム形成層にて反射されて観察側に戻ってくる「体積ホログラム再生像」を視認することができる。
また、「透過型ホログラム」を記録した場合には、体積ホログラム形成層を透過した光が、体積ホログラム形成層の背後にある、黒色層面、または、黒色層の無い領域においては、カード基材面において、反射して観察側に戻ってくる「体積ホログラム再生像」を視認することとなる。但し、黒色層面においては、その界面反射(特に、ブリュスター角以上の角度での正反射等。)が大きく、黒色層内に入り込まずに反射して、黒色層による吸収が十分でなかった場合に、その光が正反射して、観察側に戻ってくる「体積ホログラム再生像」を視認することとなる。
「透過型ホログラム」は、「参照光」と「物体光」を同一の側から記録用媒体中に入射させ、両者がほぼ同じ方向に進行するようにして形成したホログラムであって、体積ホログラム形成層自体を透明なものとすることにより、その「位相分布」のみを記録として残したものである。
この場合において、記録媒体中の「物体光」と「参照光」との相互作用は、屈折率の変化する材料の屈折率変化という「フリンジ(干渉縞)」を形成するが、このフリンジは、記録用媒体の面に対して、「物体光」と「参照光」とが対称な角度で入射する場合には、ほぼ垂直なフリンジとなる。そして、その「物体光」と「参照光」とが非対称な角度で入射する場合には、そのフリンジは、記録用媒体の面に対して、やや傾いたものとなる。
また、「反射型ホログラム」は、「参照光」と「物体光」を反対の側から記録用媒体中に入射させ、両者がほぼ反対方向に進行するようにして形成したホログラム、いわゆる、「リップマンホログラム」である。(以下、体積ホログラムであって、反射型ホログラムとしたものを「リップマンホログラム」ともいう。)
この場合において、記録媒体中の「物体光」と「参照光」との相互作用は、屈折率の変化する材料の屈折率変化という「フリンジ(干渉縞)」を形成するが、このフリンジは、記録用媒体の面に対して、ほぼ平行な面となる。
このリップマンホログラムを再生するとき、これらの各フリンジは入射光を観察者に向けて反射する「鏡」として作用し、それで、このリップマンホログラムは、「透過」よりもむしろ「反射」で観察される。
このように形成された「ホログラム」は、「波長感度」が甚だ高いため(波長選択性のこと。特定の波長にのみ作用するという意味。)、その再生には、「白色光」を用いることができるものである。
すなわち、ホログラムを記録した際の光源に用いた波長の光をあらかじめ準備してその光で再生しなくとも、容易に得られる、広い波長領域を持つ光(例えば、波長範囲が可視光線波長[400nm〜800nm]をカバーするような太陽光や、ハロゲンランプ光など。)を、その再生光として用いたとしても、その「ホログラム記録に用いた波長」以外の波長の光(「ホログラム記録に用いた波長」以外の波長成分という意味。)は、ほとんど位相変化を受けずそのまま透過し、「ホログラム記録に用いた波長」の光(該当する波長成分という意味。)のみ反射して、その光の像(該当する波長成分により作られる、リップマンホログラム再生像)を、視認することができる。
これらの「反射型ホログラム」、または、「透過型ホログラム」を「体積ホログラム形成層」に記録するには、上記したように、光学系を用いて、直接、「体積ホログラム形成層」にホログラムの干渉縞を記録することもできるが、予め、「反射型ホログラム」、または、「透過型ホログラム」を記録した「マスター版(「未記録感光材料」と「記録済み感光材料」をマッチング液等を介在して積層し、両層にレーザー照射を行う等の、光学的な複製を行うための『複製用マスター』という意味。)」を準備し、その「マスター版」を用いて、「体積ホログラム形成層」に光学的手段によって「複製」することも好適である。もちろん、その併用も望ましい。
そして、それらの「直接的なホログラム記録」または「複製によるホログラム記録」を、カード基材上に設けてある状態の「体積ホログラム形成層」に施すこともでき、この方法は、多様なホログラムデザインを用いたり、個々のスクラッチカードに個別のホログラム記録を施す場合に好適である。この記録の際には、体積ホログラム形成層と、黒色層、さらには、カード基材との界面の状態、すなわち、これらの界面から反射する光の状態が、そのホログラム記録や複製の、精度や品質(すなわち、体積ホログラム再生像の鮮明度。)に大きな影響を及ぼすため、体積ホログラム形成層とカード基材との高い精度での「面一」性が必須であって、さらに、それらの層の界面が「光学的な鏡面」であることや、その界面における屈折率差が大きいことなどが求められる。
但し、体積ホログラム再生像に「ぼかし効果」等の特殊効果を付与する場合には、敢えて、体積ホログラム形成層の最表面や、体積ホログラム形成層と黒色層またはカード基材との界面を上記した「粗面状」とすることも好適である。この「粗面状」の凹凸を形成するための「粗面化処理」は、カード基材表面と体積ホログラム形成層の表面を「面一」にする際、例えば、2枚の「表面鏡面仕上げのステンレス板」にカード基材と体積ホログラム形成層を挟み込んで、適宜な加熱、及び適宜な加圧処理を行う際に、その「表面鏡面仕上げ」を「その『粗面状』仕上げ」としたステンレス板に挟みこむことで、施すことができる。(この処理によってできる「粗面状」の凹凸の凸部頂点を結ぶ面は、「面一」となっている。)
ホログラムの原理で作製される「ホログラフ鏡」は、「反射型ホログラム」の最も簡単なものである。これは、2つのコヒーレントな平面波を、記録用媒体に対して反対の方向から投射し、記録用媒体中でその2つのコヒーレントな平面波が交差する、ホログラムである。これは単一のレーザー光を分割し記録用媒体の所で両光を合体させるか、あるいは分割しないレーザー光を、記録用媒体を通して、その後ろの「平面鏡」上に投射することにより作ることができる。これにより均一な間隔のフリンジの「一組」が形成され、投射された2つの光間の鈍角の2等分線に対して平行に配列され、三角関数の強度を有することになる。
この鈍角が、「180度」であり、2つの投射した光の波面が媒体の面に対して直角であるならば、各フリンジは媒体の面に対して平行となる。
そして、この鈍角が、「180度以下」であるか、または2つの光が媒体の面に対して直角でないときは、反射性のフリンジは媒体の面に関して鋭角に傾いて形成される。ホログラフ鏡はその反射効率、屈折率変調、および反射光の分光帯域と分光特性などにより特性化される。
「反射ホログラム」を形成する実質的に水平なフリンジは、「透過型ホログラム」を形成する垂直なフリンジよりも、記録することが困雌である。
その第1の理由は、より高い解像性、すなわち、単位長さ当りに、より多数のフリンジが必要であって、フリンジの間隔は非常に小さくなる。「反射型ホログラム」は「透過型ホロクラム」よりも単位長さ当り約3倍〜約6倍多いフリンジを必要とする。
その第2の理由は、記録用媒体の収縮に対する水平なフリンジの敏感性である。露光中の記録用媒体の収縮はフリンジの消失を招き、もし収縮がひどいときはホログラムの形成が妨げられる。これは「透過型ホログラム」の場合とは対照的なものであり、「透過型ホログラム」では収縮はほとんど影響がないか、あるいはフリンジが媒体の面に対して直角ならば影響がなく、フリンジが媒体の面から45度以上傾いているときに、比較的僅かな画像の歪みを生ずるだけである。
従って、透過型ホログラムの再生像を真正性判定に使用することは好ましい。
そのような、体積ホログラムを形成する、体積ホログラム形成層には、各種の透明な材料又は、透明なフィルムが用いられる。
すなわち、銀塩写真乳剤、重クロム酸ゼラチン、フォトレジスト、フォトポリマー材料、無機材料からなるフォトリフラクティブ材料、フォトクロミック材料等及び、それらの材料からなるフィルムがある。
銀塩写真乳剤としては、高感度及び、高解像度が求められる。
フォトレジストには、ポジ型フォトレジストと、ネガ型フォトレジストをいずれも用い得る。
フォトポリマー材料としては、架橋型フォトポリマー、ラジカル重合型フォトポリマー、カチオン重合型フォトポリマー、化学増幅型フォトポリマー、ナノ粒子分散系フォトポリマー等を用いることができ、その取り扱い適正は、特に優れる。
フォトクロミック材料は、光や熱等の特定の環境下において、その色調が変化するため、その意匠性はさらに高いものとなる。
重クロム酸ゼラチンは、その屈折率変調の高さ(すなわち、高い回折効率、帯域幅対応性)から、「反射ホログラム」の製作に選ばれる材料である。但し、重クロム酸ゼラチンは保存性に課題があり、「反射ホログラム」形成後に、湿式処理を必要とする。このため、この材料はホログラム記録の直前に新たに調製しなければならず、あるいは、予備硬化させたゼラチンを使用しなければならず、画像の再生効率を低下させる。
湿式処理は、ホログラム形成に際し、付加的工程をもち込むことになり、そして処理中に材料が膨潤し、ついで収縮する際に寸法的な変化を生じやすい。これらの寸法的な変化はフリンジの間隔に影響する。従って、重クロム酸ゼラチンによって高品質の「反射ホログラム」を作製することは、時間がかかり、かつ、困難である。
いくつかの処理工程を必要とする、銀塩写真乳剤、或いは、重クロム酸ゼラチンに対して、1回処理工程のみを必要とする固体光重合性材料、すなわち、フォトポリマー材料は、好適である。
フォトポリマー材料の例としては、固体の光重合性組成物であって、熱可塑性重合体結合剤、付加重合可能なエチレン系不飽和単量体、及び、不飽和単量体の重合を活性化する光開始剤からなる、屈折率変調を有する光重合性組成物が挙げられる。
熱可塑性重合体結合剤は、溶媒可溶性の熱可塑性重合体であるが、単独で、又は、互に組合せて使用することができ、例えば、アクリレート及びアルファーアルキルアクリレートエステル、ポリビニルエステル、飽和及び不飽和ポリウレタン、ブタジェン及びイソプレン重合体及び共重合体、エポキシ化物、ポリアミド等、並びに、それらの混合物を使用できる。
エチレン系不飽和単量体は、単一の単量体として、又は、組合せて使用することができる単量体として、スチレン、2−クロロスチレン、2−ブロモスチレン、メトキシスチレン、アクリル酸フェニル等を用いることができる。
光開始剤としは、遊離ラジカル発生付加重合開始剤等を使用することができる。
フォトポリマー材料としては、さらに、フッ素含有ポリマー、付加重合可能なエチレン性不飽和モノマー、及び、光開始剤を有する、光重合性組成物を用いることができる。
フッ素含有ポリマーとしては、テトラフルオロエチレンまたはへキサフルオロプロピレンのような、過フッ素化モノマーとビニルアセテートとから作られたポリマーが挙げられる。
コヒーレント光による露光によって、このモノマーは、未露光域とは異なる屈折率とレオロジー的性質をもつ、高分子量のフォトポリマーを形成するように(光)重合する。この高分子量のフォトポリマーは実質的に固体ではあるが、各成分は電離放射線による一様、且つ、全面に渡る露光、または、高温度で熱処理することで「定着」されるまでは、コヒーレント光による露光中、および、露光後も、内部拡散をする。
このフォトポリマーは、その厚さと屈折率変調とにより決定される、所定の中心波長、及び、波長領域(分散帯域)をもつ光を反射する。そこで、その厚さは、用途、および、光学系の光学的な要請、すなわち使用中にホログラムを照明(再生)するのに用いる光の帯域幅、に対して一致させられる。一般的に狭い帯域幅用の応用には、比較的厚いフォトポリマーが選ばれ、広い帯域幅用の応用には比較的薄いフォトポリマーが選ばれる。
使用されるフッ素含有ポリマーは、フォトポリマーのその他の各成分と両立し得るフッ素含有ポリマーであり、塗布されたときに実質的に固体の透明な皮膜を作るものである。
「実質的に固体」とは塗布された皮膜が、溶剤を除去した後に、一般的に固体材料の有している諸特性(例えば寸法安定性)を有していることを意味している。
フッ素含有ポリマー中のフッ素の存在は、一般に、フォトポリマーの屈折率を低下させ、これによりホログラム画像化後のフォトポリマーにおいて、増加した(「より大きな」という意味。)屈折率変調が達成される。屈折率変調は、フッ素含有量の増加とともに増大するが、フォトポリマーに不透明化を起こさせないためには、そのフッ素の存在量は限定される。
従って、フッ素の含有量は、その効果が、1%のような低レベルにあっても達成されるものの、代表的には、10〜20%の範囲内とされる。フッ素の含有量は、用途に応じた屈折率変調を達成するために調整可能である。
フッ素は、フッ素含有ポリマーを構成する他のモノマーとフッ素含有モノマーとを共重合するか、または、フッ素含有ポリマーとの反応により導入する。例えば、フッ素含有ポリマーが、アルコール、または、酸置換基のような官能基を含むとき、フッ素を導入するためには縮合、アセタール化、ケタール化、またはエステル化反応などが使用できる。
フッ素含有ポリマーには、ビニルエステル、ビニルアルコール、ビニルエーテル、ビニルアセタール/ブチラール、またはプレポリマー類あるいはこれらの混合物と、フッ素化モノマーとのポリマー類等を用いることができる。
以上のフッ素含有ポリマー、付加重合可能なエチレン性不飽和モノマー、及び、光開始剤からなる、光重合性組成物は、その透明性を維持しつ、大きな屈折率変調を有するため、高い透明性と、鮮明なホログラムの再生を必要とする、本発明のスクラッチカードに好適である。
また、透明な樹脂、すなわち、光重合性組成物としては、カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、特定波長の光に感光してラジカル重合性化合物を重合させる光ラジカル重合開始剤系、及び上記特定波長の光に対しては低感光性であり、別の波長の光に感光してカチオン重合性化合物を重合させる光カチオン重合開始剤系からなる感光性材料が用いられる。
この光重合性組成物は、光ラジカル重合開始剤系が感光するレーザー光等の光を照射し、次いで光カチオン重合開始剤系が感光する上記レーザー光等の光とは別の波長の光を照射することによりリップマンホログラムが記録される。レーザー光等の光の照射(以下、第1露光)によってラジカル重合性化合物を重合させた後、カチオン重合性化合物は、その次に行う全面露光(以下、後露光)によって組成物中の光カチオン重合開始剤系を分解させて発生するブレンステッド酸あるいはルイス酸によってカチオン重合するものである。
カチオン重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物の重合が比較的低粘度の組成物中で行なわれるように室温液状のものが用いられる。そのようなカチオン重合性化合物としてはジグリセロールポリグリシジルエーテル等が例示される。
ラジカル重合性化合物は、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有するものが好ましい。また、ラジカル重合性化合物の平均屈折率は上記カチオン重合性化合物のそれよりも大きく、好ましくは0.02以上大きいとよく、小さいと屈折率変調が不十分となり好ましくない。ラジカル重合性化合物としては、アクリルアミド、メタクリルアミド等が例示される。
光ラジカル重合開始剤系は、体積ホログラム作製のための第1露光によって活性ラジカルを生成し、その活性ラジカルがラジカル重合性化合物を重合させる開始剤系であればよく、また、一般に光を吸収する成分である増感剤と活性ラジカル発生化合物や酸発生化合物を組み合わせて用いてもよい。光ラジカル重合開始剤系における増感剤は可視レーザー光を吸収するために色素のような有色化合物が用いられる場合が多いが、無色透明体積ホログラムとする場合には、シアニン系色素が好ましい。
シアニン系色素は、一般に光によって分解しやすいため、後露光、または室内光や太陽光の下に数時間から数日放置することにより、体積ホログラム中の色素が分解されて可視域に吸収を持たなくなり、無色透明な体積ホログラムが得られる。
このような無色透明性は、体積ホログラム再生像の鮮明度を向上させるのみならず、体積ホログラム形成層の背後に設けた地紋印刷や、デザイン印刷等を視認する際に好適となる。
光カチオン重合開始剤系は、第1露光に対しては低感光性で、第1露光とは異なる波長の光を照射する後露光に感光してブレンステッド酸、あるいはルイス酸を発生し、カチオン重合性化合物を重合させるような開始剤系とするとよく、第1露光の間はカチオン重合性化合物を重合させないものが特に好ましい。
その体積ホログラム形成層の厚さは、5.0μm〜50μmとする。好適には、10μm〜30μmである。もちろん、この厚さは薄い方がコスト面や、透明性を確保するためには有利であるが、5.0μm未満では、十分な光選択性が得られず、また、鮮明なホログラム再生像を得ることが困難である。
しかし、50μmを超えると、コスト面で不利となるだけでなく、その熱変形によるホログラム再生像の歪みが顕著となり、また、その加工適性も劣化する。
以上の方法は、樹脂を担持するための「適宜な透明基材」を介することなく、直接樹脂から形成することができるため、あらかじめそのような透明基材に樹脂をコーティングしておく工程を不要とすることも可能で、この場合には、コスト面及び、管理面において優れるものとなる。
但し、「適宜な透明基材」を用いると、そのハンドリング適正が著しく向上するため、本発明のスクラッチカードの使用目的や用途によっては、敢えて、「適宜な透明基材」を用いることも好適である。
その場合には、その透明基材の一方の面に、透明な樹脂をコーティングして、体積ホログラムを有する「体積ホログラム形成層」を設けた積層体を、一旦、形成することとなる。
体積ホログラム形成層は、光重合性組成物の塗布液(例えば、固形分15〜25%)を、透明基材が、1枚毎のシート状であればバーコート、スピンコート、または、ディッピング等により塗布形成され、また、透明基材が、ロール状の長尺の状態で塗布するのであれば、グラビアコート、ロールコート、ダイコート、または、コンマコート等により塗布する。体積ホログラム形成層は、塗布液に合わせた乾燥、乃至、硬化の手段を用いて固化される。
その光重合性組成物としては、一例として、組成物全体に対してカチオン重合性化合物を10〜50%、ラジカル重合性化合物を40〜70%、光ラジカル重合開始剤系を1〜5%、及び、光カチオン重合開始剤系を1〜5%とするとよく、全量を100%となるように配合する。
光重合性組成物は、必須成分および任意成分をそのまま、もしくは必要に応じてメチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、メチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、メタノール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒と配合し、冷暗所にて、高速撹拌機を使用して混合することにより調製される。
この光重合性組成物は、その透明性を維持しつ、鮮明な体積ホログラムを再生でき、且つ、高い破断強度、小さい破断伸度、さらには、高い鉛筆硬度を有するため、高い透明性と、引張り耐性や耐摩耗性等の強靭な物理特性などの高い信頼性を必要とする偽造防止用途に、好適である。
光重合性組成物そのものからなるシートや、フィルム、さらには、透明基材上にコーティングした光重合性組成物、すなわち、体積ホログラム形成層に、上記した方法を用いて体積ホログラムを形成することができる。
体積ホログラムは、物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を上記したような、いわゆる、体積ホログラムの原理でホログラムを記録したものであり、例えば、フレネルホログラムなどのレーザー再生ホログラム、イメージホログラム及び白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、ホログラフィックステレオグラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子などとすることができる。また、マシンリーダブルホログラムのように、その再生光を受光部でデータに変換し所定の情報として伝達したり、真偽判定を行うものであってもよい。
ここで、本発明のスクラッチカードを観察する者に、このスクラッチカードに、「単なるリップマンホログラム」が設けられていると思わせるためには、自然光下では視認できない透過型ホログラムに加えて、それらの観察者が自然光下で目視にて鑑賞可能な反射型ホログラム、すなわち、リップマンホログラムを、少なくとも1種類は、多重記録しておくことが必須である(隠しホログラムである透過型ホログラムの記録に重ねて、反射型ホログラムを記録するという意味。)。
この際、透過型ホログラムの再生効率(ホログラムとして、回折格子を記録した際の回折効率に相当する。)を反射型ホログラムの再生効率よりも小さくすることが、その透過型ホログラムの隠し効果を高める上で、好適である。
体積ホログラム形成層は、いわゆる「ホログラフィー露光装置」による所定の波長範囲のレーザー光等の光を使用し、ラジカル重合性化合物を重合させてその内部に干渉縞が記録される。この段階で、記録された干渉縞による回折光が得られ、体積ホログラムが形成されるが、体積ホログラム形成層として、カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、光ラジカル重合開始剤系、及び光カチオン重合開始剤系からなる感光性材料を用いた場合には、未反応のまま残っているカチオン重合性化合物を更に重合させるために、後露光として光カチオン重合開始剤系の感光する光(例えば波長200〜800nm)を全面照射して体積ホログラムを固定化するとよい。なお、後露光の前に体積ホログラム形成層を熱や赤外線で処理することで回折効率、回折光のピーク波長、半値巾などを変化させることもできる。
体積ホログラムを形成した体積ホログラム形成層は、そのホログラムを形成したときに使用したレーザー等の光源波長(これが、上記した「参照光」や、「物体光」となる。)によって、その「層」の中に、フリンジ(干渉縞)を「屈折率の部分的な変化(屈折率変調)」という形で、「3次元的」に記録したもの(フリンジ全体が立体的構造となるという意味。)である。
このフリンジは、上記したホログラム形成時に使用した光源波長で照明したときにのみ、「干渉現象」を発生し、観察者の目に視認可能となる反射再生像(体積ホログラム再生像)を出現させる。
しかしながら、このフリンジを、上記の波長以外の光で照明したときは、上記した「干渉現象」が発生せず、わずかな散乱現象が生じるのみで、その光はそのまま透過することになる。
例えれば、可視光線領域内である、発振波長442nmの固体レーザー(HeCdレーザー。)を用いて体積ホログラムを形成し、体積ホログラム形成層とすると、その体積ホログラム形成層に、470nmや、520nm等の可視光線領域に別の発光波長を有する光源の光を投射しても、体積ホログラムを再生せず、しかも、反射光をも発生しない(層表面と空気との界面でのわずかな界面反射は存在するが、フリンジによる反射光は発生しない。)。
これらの体積ホログラムを形成する際に用いられる光源としては、可視光波長領域にあるコヒーレントな光を発振(発光)するものであれば、いずれも用いることができるが、例えば、ガスレーザーとして、HeNeレーザーLGシリーズ(発振(発光)波長は、594nm、633nm、0.5mW〜30mW)、HeNeレーザーLHシリーズ(同、594nm、604nm、612nm、633nm、0.3mW〜4.0mW)、アルゴンレーザー(同、488nm、40mW)、HeCdレーザーIKシリーズ(同、442nm、20mW〜200mW)、窒素/色素レーザーGL−301、窒素/色素レーザーGL−302(同、360nm〜990nmから選択可能。)等、固体レーザーとして、ルビーレーザー(同、694nm、パルスレーザー)、小型CWレーザー(Nd:YAG、Nd:YLF、Nd:YVO4レーザー)Direct(同、405nm、445nm、447nm、488nm、638nm、643nm、655nm、690nm)、小型CWレーザー(同)Crystal(同、473nm、593nm、657nm、660nm、671nm)、波長変換レーザーOptiシリーズ(同、488nm、589nm)、TOL90色素レーザー(同、420nm〜900nmから選択可能。)等、半導体レーザーとして、SWL−7513H(同、633nm、660nm、8mW〜20mW)、FK LA−100(同、457nm、1W)、LDM(同、405nm、440nm、473nm、635nm、665nm、690nm、10mW〜200mW)等を用いることができる。
本発明のスクラッチカードは、スクラッチカードのカード基材上に、「秘密情報」が設けられ、その「秘密情報」を覆うように、黒色層、体積ホログラム形成層、もしくは、接着層、黒色層、体積ホログラム形成層、または、その黒色層上や、体積ホログラム形成層上にさらに地紋印刷を設けたもので構成され、且つ、その「黒色層と体積ホログラム形成層」、「接着層、黒色層、体積ホログラム形成層、その体積ホログラム形成層上にさらに地紋印刷を設けたもの、または、黒色層と体積ホログラム形成層との間に、さらに地紋印刷を設けたもの」などの積層体を、カード基材に埋め込んだものである。
従って、「黒色層」を、体積ホログラム形成層の領域に対してその領域全面に対応して形成してもよいし、少なくとも「秘密情報」を覆う形として、いわゆる「パターン形状」に形成してもよい。
このことは、「接着層」の形成位置や形成パターンについても同様として、「接着層」を形成することができることは言うまでもない。
体積ホログラム形成層は、黒色層を溶解したり、変質させたりしない溶剤を用いて、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、凹版印刷方式、インクジェット印刷方式等の印刷方式や、スピンコーティング方式、カーテンコート方式、フォトレジスト処理方式等の形成手段を用いて、乾燥後の厚さとして、5.0μm〜50μm、さらには10μm〜30μmの厚さで形成する。
もしくは、適宜な透明基材に、予め上記の厚さで、体積ホログラム形成層及び黒色層を設けておき、その体積ホログラム形成層(体積ホログラム記録前、もしくは、記録後)及び/または、黒色層の露出面を、カード基材面に接するように積層する手順としたり、さらに、その透明基材を体積ホログラム形成層との界面で剥離して、体積ホログラム形成層を最表面とする手順とすることもできるが、この際も、上記の形成手段を適宜用いることができる。
この厚さが、5.0μm未満であると体積ホログラムの記録が困難となり、50μmを超える厚さでは、カード基材への埋め込みに支障をきたしたり、または、スクラッチカードのカード基材上のスクラッチ隠蔽部分(「秘密情報」を隠蔽するための、体積ホログラム形成層や黒色層等の積層部分をいう。)の総厚さが大きくなりすぎ、そのスクラッチ適正が低下する。
記録する体積ホログラムのデザインは、単独のホログラムデザインでも、複数のホログラムデザインの集合体でもよい。この「集合体」とは、記録領域が異なるホログラムの集合体、もしくは、記録領域が同一のホログラム多重記録による集合体でもよい。
さらには、リップマンホログラムである反射型ホログラムを通常の観察角度で鮮明に視認される鑑賞用として記録しておき、これに加えて、透過型ホログラムをその観察角度とは、大きく異なる角度(その角度差を30度〜60度とする。)で多重記録して、特殊な観察角度のみで視認可能とすることで、本発明のスクラッチカードの偽造防止性を高めることも好適である。
本発明のスクラッチカードに用いられる黒色層は、微粒子カーボンブラック(一次粒子径:0.2〜2.0μm)や、超微粒子カーボンブラック(一次粒子径:0.01〜0.1μm)、その他の炭素系黒色顔料や酸化物系黒色顔料の微粒子や超微粒子、さらには、含金属黒色染料(金属錯塩染料)等のように、観察する光(可視光)の全波長領域に対する吸収性を有する顔料や染料を、熱可塑性樹脂、または、熱硬化性樹脂に分散したもの(顔料や染料の含有率:20〜70質量%)からなるものとする。
そして、観察する光の波長である約0.5μmの5倍〜50倍、すなわち、2.5μm〜25μmの厚さ、さらには、10倍〜40倍、5.0μm〜20μmの厚さとすることにより、反射型ホログラムを記録した体積ホログラム形成層を透過した光(反射型ホログラム再生像を再生する光を含んでいない。)をほぼ全て吸収して、その体積ホログラム再生像の鮮明度を非常に高いものとする。または、透過型ホログラムを記録した体積ホログラム形成層を透過した光(透過型ホログラム再生像を再生する光を含んでいる。)をパターン状に吸収して、その体積ホログラム形成層のホログラムデザインをより意匠性の高いものとする。
さらには、表面鏡面仕上げ(平均表面粗さRaで、0.01μm〜0.1μmとしたもの。)のステンレス板で挟み込み、「常温→加温→70〜200℃→冷却→常温」等の加熱&冷却サイクル(1サイクル30分〜90分。)を通すなど種々の手段を採用して、この黒色層の表面を「光学的な鏡面(その表面が、実質的に、平均表面粗さRaで、0.01μm〜0.1μmである状態のことを意味する。)」とし、この面で全反射する角度(ブリュスター角より大きい角度を意味する。)に入射する観察光を、「正反射光」として反射し、その偽造防止性の確保に寄与することもできる。
その厚さが、観察光の波長の5倍以下では、光の吸収が不十分であり、50倍以上では、カード基材への埋め込みに支障をきたす。
黒色層の表面を「光学的な鏡面」とする場合には、超微粒子黒色顔料を用い、且つ、3本ロールミルや、ニーダー等の、インキに対する顔料の高分散処理が可能な装置を用いてインキ化することが望ましい。
黒色層の形成方法は、上記のインキを用いて、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式等、形成パターンに適宜な方式を用いることができる。さらには、にじみや、インキダレを抑えるため、フレキソ印刷方式を用いることが望ましい。
黒色層を形成する位置は、体積ホログラム形成層の背後、すなわち、体積ホログラム形成層とカード基材(カード基材上の「秘密情報」形成部を含む。)との間であって、カード基材全面に亘るサイズとして形成してもよいし、複数の領域に適宜なパターンで形成してもよい。
それぞれ、体積ホログラムデザインとの同調性、各層厚さとのバランス、使用する樹脂層の屈折率差、接着性を考慮して形成方法、形成パターン形状を定める。
さらに、体積ホログラム形成層の黒色層が形成されている面とは反対の面、すなわち、スクラッチカードの最表面は、比較的平面性が高く、且つ、滑り性を有していることが多く、この面を爪やコイン等でスクラッチする際に、その爪やコイン等がその表面で滑ってしまい、うまく、スクラッチできない場合が起こりうる。
このため、体積ホログラム形成層の黒色層が形成されている面とは反対の面の少なくとも一部を、「粗面状」とすることで、この「粗面状」領域において、爪やコインの先端が「引っ掛かり」、その「引っ掛かり」に力が集中し、この「引っ掛かり」をきっかけとした「体積ホログラム形成層の破断が発生することを促進し、この破断が、一連のスクラッチオフにつながることとなる。(この「粗面状」領域からは体積ホログラム再生像を視認することはできない。)
このための「粗面状」とした部分(領域)の形状は、いわゆる凹凸形状であって、凹凸深さで、3.0μm〜50μm、且つ、凹凸のピッチで、3.0μm〜500μmとする。特には、凹凸深さで、10μm〜30μm、且つ、凹凸のピッチで、50μm〜300μmとする。
このような凹凸形状を体積ホログラム形成層の最表面に形成する手段としては、予め、この凹凸形状を設けた剥離性フィルムのその凹凸形状を埋めるように体積ホログラム形成層を所定の方式により、所定の厚さで設け、その体積ホログラム形成層に体積ホログラムを記録し、その体積ホログラム形成層上に黒色層を形成した後、カード基材に埋め込んで、その剥離性フィルムを剥がすことで得られる。
その剥離性フィルム上への所望の凹凸形状を形成する手段には、剥離性フィルムの成形処理、剥離性フィルムのエンボス加工処理、または、剥離性フィルムの化学的、もしくは、物理的エッチング処理等を採用することができる。
また、この「粗面状」の部分の配置は、「秘密情報」形成部にその位置を対応させて設ける。すなわち、「秘密情報」形成部が「文字」である場合には、「その『文字』の幅と高さを有する長方形領域や、その長い方を直径とする円形領域」としたり、すべての「文字」をその領域内に包含する長方形領域、円形領域、もしくは、楕円形領域とする。
もしくは、「粗面状」の部分がスクラッチの「きっかけ」となることを意識して、「秘密情報」形成部の最初の文字部分のみに対応させて設けても好適である。
いずれにしても、この「粗面状」の部分は、その背後にある体積ホログラム形成層からの体積ホログラム再生像の再生に対して、その再生の阻害要因となるため(この「粗面状」部分を通過する光を「散乱」させ、その光の位相を乱すため。)、この体積ホログラム再生像の判読に支障をきたさない程度に、その配置や、その領域の大きさを制御する。従って、この「粗面状」の部分の合計面積は、体積ホログラム形成層の形成面積の1/2〜1/10とする。
この割合が、1/2を超えると、体積ホログラム再生像の判読に支障が生じ、この割合が、1/10未満であると、スクラッチ適正の向上に寄与しないものとなる。
また、黒色層をスクラッチカードのカード基材上の「秘密情報」を覆うように設ける際、そのカード基材(及び、「秘密情報」)と黒色層との間に、接着層を設けることができる。
接着層を設けることで、カード基材及び「秘密情報」と、黒色層との接着力を高めることができ、スクラッチオフの際や、体積ホログラム形成層を不正に剥がそうとする場合に、不要な黒色層の剥がれを防止することができ、且つ、「秘密情報」の改ざんや改変を阻止することができる。
また、体積ホログラム形成層と黒色層からなる「積層体」を予め作成した後、その「積層体」をこの接着層を介して、カード基材及び「秘密情報」上に、加熱、及び加圧プレス処理により埋め込むと同時に固着させる手順とすることもでき、その作成手順の自由度を高めることができる。
接着層は、乾燥後の厚さとして、1.0μm〜30μmの厚さで形成する。
この接着層用のインキ組成物としては、カード基材及び「秘密情報」を、または、他の作成手順によっては、黒色層や、体積ホログラム形成層を、部分的に溶解したり、膨潤させたり、変形や変質を生じさせないものを用いる。
そのインキ組成物としては、溶剤系及び水系のいずれの接着剤をも用いることができ、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体や、天然ゴムなどのゴム系樹脂などを挙げることができる。また、自然にやさしい材料構成とするために、特に、天然ゴムを主成分とするラテックス等の天然素材から作製されたものを用いることが好適である。
接着層は、1.0μm未満であると、スクラッチカードのカード基材、及び、「秘密情報」との接着性(「秘密情報」との接着性とは、その「秘密情報」形成部との接着性という意味。)が不十分となり、30μmを超えると、やはり、カード基材への埋め込みに支障をきたす。もちろん、カード基材に予め凹みを設ける場合には、その凹みを深くすれば、これらの厚さをより厚く設定可能であるが、カード基材の一部に設ける凹みを深くすればするほど、そのカード基材の物理的強度が損なわれるため、偽造防止媒体として好ましくない。
但し、「秘密情報」をインクジェット方式でカード基材上に設けた際に、その「秘密情報」印字部の高さ(印字部の盛り上がりを意味する。)が、5.0μm〜20μmと高くなった場合には、その「秘密情報」の上に、体積ホログラム形成層や黒色層を設けるときに、接着層が、その「高い」印字部を柔らかく包み込むように適宜な変形を生じ、その「高さ」を吸収して、「秘密情報」印字部の盛り上がりパターンを体積ホログラム形成層や、黒色層の盛り上がりに繋がらないようにすることができ好適である。この目的のためには、接着層の厚さを、インクジェット方式で設けた「秘密情報」の盛り上がり高さ(印字部のカード基材面から印字部表面までの距離を意味する。)の2.0倍〜5.0倍とすることが好適であって、上記した厚さの上限を超えることもやむを得ない。
この厚さが、その盛り上がり高さの2.0倍未満であると、その吸収性が不十分となり、5.0倍を超えると、不必要な厚さとなり、やはり、カード基材への埋め込みに支障をきたしたり、カード基材そのものの物理的強度を低下させることとなる。
接着層の形成方法としては、グラビアコート、ロールコート、コンマコートや、スクリーン印刷などの方法で、塗布し乾燥して形成することができる。
接着層の接着力は、スクラッチカードのカード基材、及び、「秘密情報」形成部との接着力、また、黒色層との界面の剥離強度として、JIS Z0237準拠の180°による剥離方法において、1.0〜3.0kg/25mm巾の範囲にすることが望ましい。もちろん、それ以上の剥離強度を有していても、本発明の目的には適合している。特に、カード基材及びカード基材上の「秘密情報」形成部との接着力は、本発明の目的より、本発明のスクラッチカードをカード基材及びカード基材上の「秘密情報」形成部から剥がすことが困難となるレベルまで大きいものとする必要があるが、その接着層とカード基材及びカード基材上の「秘密情報」形成部との界面の剥離強度よりも、接着層と体積ホログラム形成層との界面の剥離強度を、より大きいものとなるように設計する。
このようにして、スクラッチカードのカード基材、その上に設けた「秘密情報」、その「秘密情報」を覆うようにして設けた、黒色層と体積ホログラム形成層からなる本発明のスクラッチカードを得る。
または、スクラッチカードのカード基材、その上に設けた「秘密情報」、その「秘密情報」を覆うようにして設けた、接着層、黒色層及び体積ホログラム形成層からなる本発明のスクラッチカードを得る。
さらに、体積ホログラム形成層の黒色層が形成されている面とは反対の面に、または、体積ホログラム形成層と黒色層との界面に、地紋印刷を施して、その「地紋」が存在することによる偽造防止性の向上のみならず、不正にスクラッチした際にその「地紋」も同時に削れてしまうことによって、偽造や変造を防止する効果を高めることができる。
但し、体積ホログラム形成層上に地紋印刷を設けた場合には、体積ホログラム形成層の最表面ではなく、この「地紋印刷の最表面」をカード基材の表面と面一、もしくは、カード基材の表面に対して凹ませることも、上記した理由から好適である。
また、カード基材に埋め込まれた体積ホログラム形成層の表面及びカード基材表面に、一様に地紋印刷を施してもよく、さらには、その地紋印刷のデザインが、その体積ホログラム形成層とカード基材表面の境界を跨るものであって、体積ホログラム形成層を剥がそうとすると、その境界を跨っている部分が破断されるように設定することも、その偽造防止性を高めることができ、好適である。
この地紋印刷は、主要なデザイン模様の背景となる淡色系のパターンや彩文の印刷のことであり、単色の印刷用インキを使用してもよいが、より偽造防止性を高めるため、多色の印刷用インキを使用することも好ましい。この多色の地紋印刷には、オフセット印刷や、グラビア印刷も使われるが、オルロフ印刷やシムルタン印刷などの特殊な印刷方式もその高い偽造防止性から好適である。
オルロフ印刷とは、凸版多色集合印刷のことであり、それぞれの色のインキに対応する部分版(パターンローラ)に転移したそれぞれの色のインキを中間のローラに集合し、その集合ローラから一つの凸版版面にそれらのインキを同時に着肉する。凸版版面から直接印刷する場合(オルロフ印刷)とゴム胴(ブランケット胴)にインキを転移してから印刷する方法(オフセット・ザンメル)とがある。版面は一つであるが、一つの画線の途中から色を何色かに変化させることが出来るものである。
また、シムルタン印刷とは、複数の版面(平版や樹脂版、もしくは金属版などの凸版版面)を一つのゴム胴(ブラン胴)の周りに配置して、各版面からのインキをゴム胴に集合してから印刷する。印刷位置精度は版胴への版面の取り付け精度でほとんど決まり、カード基材の伸縮などの影響が少ないため、高い見当合わせが安定して可能となるものである。
この地紋印刷のデザインとしては、装飾的効果をあげるための図形であって、規則正しく繰り返される「文様」や、紋章的な感じを含む図文である「紋様」、その他染織等に用いられる「型」として繰り返される意匠等を用いることができる。
特に、スクラッチによって、容易にそのデザインが破壊されることを目的として、それらの画線の幅を非常に細く、30〜100μm程度とした「細線」、もしくは、「細紋」とすることも好適である。
地紋印刷における「地紋」の形成厚さは、1.0〜10.0μmとする。
また、カード基材に埋め込んだ際の、体積ホログラム形成層、黒色層、及び、接着層の、各層または領域の大きさは、種々、選択することができ、いずれも、その偽造や変造に対する牽制となり好適である。
例えば、その全層及び領域の大きさを全て「同一」とする。もしくは、黒色層形成領域、もしくは、接着層形成領域を、体積ホログラム形成層の一部領域(それぞれが全て同一の「一部領域」としても、また、それぞれが、別々の「一部領域」としてもよい。)に設ける。
さらに、体積ホログラム形成層の「秘密情報」形成部に対応する領域以外の領域において、黒色層を部分的にスクラッチし難い層として(黒色層と接着層の界面、もしくは、接着層とカード基材との界面が剥離し難くなっていることを意味する。)、例えば、「不正」や「開示」等の文字をカード基材上に固着させて、全面スクラッチオフしようとする行為に対する牽制とすることも好ましい。
この場合には、黒色層の下層に位置する接着層を設ける際に、予め、スクラッチカードのカード基材面に固着し、且つ、爪等によっては剥がすことができない強度(硬度)を有する接着層で上記の文字パターンの印刷を行っておき、残りの部分を比較的剥離し易い接着層を用いて埋めて、一つの接着層とする。(スクラッチをしたとき、この文字パターン状に黒色層が除去されずに残って、「文字パターン」を判読できるとともに、その他の「黒色層が除去されるところ」を通して、「秘密情報」を視認することとなる。)、
本発明のスクラッチカードを外観したところ、カードに埋め込まれている体積ホログラム形成層から再生される鮮明な体積ホログラム再生像を視認することができ、その背後に隠蔽されている「秘密情報」を視認することはできなかった。
その体積ホログラム形成層及び黒色層をコインを用いて、カードから掘り起こすようにして、スクラッチしたところ、その背後に隠蔽されていた「秘密情報」を視認でき、一旦、掘り起こした部分を再度埋め合わせたり、このカードそのものを偽造することが困難と思われた。
また、体積ホログラム形成層の表面の一部に「粗面状」がある、本発明の別のスクラッチカードの、その「粗面状」の部分に爪を引っかけてスクラッチしたところ、そのスクラッチが非常にスムースなものとなり、スクラッチ適正に優れ、確実に「秘密情報」を判読できると思われた。
本発明によれば、ホログラム層及び黒色層を、カード基材の中に埋め込み、これらの層を注意深く剥離するなどの変造を阻止することができ、また、鮮明なホログラム再生像を視認する構造としていることから、その偽造を困難とした、スクラッチカードを提供することができる。
さらに、本発明によれば、ホログラム層の最表面に設けた「粗面」により、スクラッチ適正を向上させたスクラッチカードを提供することができる。
従って、本発明は、偽造や変造を困難とした新規なスクラッチカードを提供することを可能とし、第三次産業においてそのカード保持者が正当な権利を有する者であるとの証明や、「スクラッチくじ」などの用途のみならず、高額商品や高額サービスを提供するシステムにおいて、いわゆる「鍵」の役割を担う用途に有用である。
本発明の一実施例を示すスクラッチカードH1の断面図である。 本発明の他の実施例を示すスクラッチカードH2の断面図である。 本発明のさらに他の実施例を示すスクラッチカードH3の断面図である。 本発明のスクラッチカード8のカード基材1の所定の位置に、「秘密情報」2 を覆うように、接着層5、黒色層4、体積ホログラム形成層3、及び「粗面状 」の部分6を所定の形(図中では「長方形」。)で形成し、カード基材1に埋 め込んだ図である。(図中、「3〜6」で示す。)ここで、(a)は、スクラ ッチカード8を上から見た図であり、(b)は、そのA−A断面図である。( 図中、「3〜6」の詳細構成は省略している。) スクラッチカード8のカード基材1の上に「秘密情報:12345678」2 を印字した図(「秘密情報」を囲む枠は便宜上記載してあるのみ。) カード基材1の所定の位置に、「秘密情報」2を覆うように、接着層5、黒色 層4、体積ホログラム形成層3、及び「粗面状」の部分6を所定の形(図中で は「長方形」。)で形成し、カード基材1に埋め込んである本発明のスクラッ チカード8の、その体積ホログラム形成層3上に(最上層に)、さらに、地紋 印刷7を設けた図である。(図中、地紋印刷7のみを強調して図示している。 )
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
(カード基材、及び、「秘密情報」形成部)
本発明のスクラッチカードH1〜H3、及び8に用いられるカード基材1としては、「秘密情報」2表示部を設けることができ、且つ、少なくとも体積ホログラム形成層3及び黒色層4をそのカード基材1内に埋め込むことができるものであれば、あらゆる材料、すなわち、プラスチック材料、金属材料、セラミック材料、生体材料、それらの複合材料、さらには、それらを多層構造としたり、さらに複雑に組み合わせたりしたものなどを用いることができる。且つ、その表面や裏面に、本発明のスクラッチカードH1〜H3、及び8の用途に応じた印刷等の手段による適宜な表示を設けたものであってもよい。(図1〜図6参照。図4〜図6では、カード基材1の表面に「☆スクラッチカード☆」などの印刷を施している。)
その形状も、あらゆる形状、すなわち、シート状、フィルム状、板状、立方体状、直方体状、カード形状(磁気カード、ICカード、非接触ICカード、ポストカード、グリーティングカード、名刺、ポイントカード、ライセンスカード、遊戯用カード等の形形状)、はがき形状、リーフ形状、帳票形状、伝票形状、Sメール形状、ラベル形状、シール形状、証券類形状、通帳形状、パスポート形状、郵便物形状、配送物形状、封筒状、袋状、箱状、ケース状、円盤状、ディスク状、楕円体状、球体状、曲面形状、棒状、及びこれらの組み合わせや、これらに変形、切断、穴あけ、接着等の加工処理を施したものなどを採用することができる。さらには、電子端末や、携帯用端末等、あらゆる工業製品やあらゆる商品をもカード基材1として採用することができる。
その厚さも、「秘密情報」2表示部を支持することができ、且つ、ハンドリング可能であればよく、特に制限はないが、通常、3.0μm〜3.0mmの厚さとする。もちろん、封筒状や、箱状のものであれば、その立体形状の寸法は、それぞれの用途に適したものとするため、この範囲内とする必要はない。
但し、これらのカード基材1上に設けた「秘密情報」2を黒色層4で秘匿することとなるが、その黒色層4を設けた側、もしくは、その反対側から、カード基材1に対して、1000ルクスを超える強度の大きい可視光線照射や、0.5W/平方センチメートル以上の赤外線照射、0.1W/平方センチメートル以上の紫外線照射、1ギール/分以上のX線照射等、さらには、100kV以上の電子線等の粒子線(以上を総称して「光線」と称する。)を照射して、その「透過『光線』」や「反射『光線』」、さらには、特性X線等から、その秘密情報を読み取ろうという試みに対抗するため、そのカード基材1の性質として、これらの「光線」を「遮蔽」したり、「反射」、もしくは、「散乱」させる性質を保有するものを採用することができる。
すなわち、可視光線照射に対しては、可視光線を遮蔽したり散乱させたりする隠蔽性の高い顔料や、鱗片状の金属材料、さらには、金属板そのもの等をカード基材1中に混入させたり、カード基材1に用いる基紙にコーティングしたり、ラミネートしたり、複合化したりする(以上を総合して、「混在させる」と称する。)。(図示せず。)
赤外線照射に対しては、さらに赤外線吸収剤等を、紫外線照射に対しては、さらに紫外線吸収剤等を、X線照射に対しては、金属板の中でも鉛材料等を、電子線等の粒子線照射に対しては、それらの粒子線を吸収する素材を混在させることで、その効果を増すことができる。
また、これらカード基材1の代表例として、いわゆる「プリペイドカード」として用いられている材料及び形状や、「プラスチックカード」として用いられている材料及び形状、特に、JIS規格(「プリペイドカード JIS X 6310シリーズ」や、JIS X 6301、JIS X 6300シリーズ、JIS X 6320シリーズ、JIS X 6330シリーズ等。)やISO規格(ISO/IEC7810シリーズ、ISO/IEC7816シリーズ、ISO/IEC14443シリーズ、ISO/IEC15457シリーズ等。)で定められているものがある。(図示せず。)
その中でも、その「埋め込み適正」(体積ホログラム形成層3や黒色層4の積層体をそのカード基材1内に安定して埋め込むことができると共に、その黒色層4の最表面とカード基材1の表面とを再現性良く「面一」とすることができる性質をいう。)及び「汎用性」(加工汎用性を含む。この「加工汎用性」とは、「保護層/磁気層/接着層」からなる磁気ストライプをカード基材に埋め込む製造ラインや製造条件が確立していることを意味する。)から、「JIS規格やISO規格で定められている『プラスチックカード』として用いられているカード基材及び形状」が望ましい。
これらは、既に、全世界に大量に頒布され、普及しているため、それらをハンドリングしたり、保持することに抵抗感がなく、また、それらを携帯したり、使用したりする場合の周辺機器(入退室用ゲート端末、駅務ゲート端末、クレジットカード端末その他のカード利用機器を意味する。)や、関連グッズ(カードを携帯するためのカード入れや、カード用装飾品等を意味する。)等も既に普及しているため、これらのものに対する適用もスムースであって好適である。
特に、不透明性を有するフィルム状もしくはシート状のプラスチックがその加工適正やコスト面で好ましく、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や耐溶剤性および耐熱性をも有するものが用いられる。例えば、その材料として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアリレート、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、ポリエチレン/ビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の各種のプラスチックフィルム材料があげられる。そして、これらのプラスチックそのものが透明性を有する場合には、不透明化処理のために、二酸化チタンや炭酸カルシウム等の不透明性付与のための顔料等を適宜練り込むなど、不透明性付与材料を混在させた、フィルム状もしくはシート状のプラスチックを例示することができる。
さらに、これらの材料に、フッ素系樹脂パウダーや、シリコン系樹脂パウダー等を混入したプラスチックフィルムは、耐擦傷性が著しく高く好適である。
そして、少なくとも体積ホログラム形成層3及び黒色層4をそのカード基材1内に、加熱温度60℃〜200℃、好適には、80℃〜150℃、且つ、プレス圧力104Pa〜1010Pa(N/平方メートル)、好適には、106Pa〜108Paの条件下で、「面一」に埋め込むことが可能なものが用いられる。
これらのフィルム状もしくはシート状のプラスチック材料からなるカード基材1の厚さは、通常、3.0μm〜1.0mmであるが、スクラッチカードH1〜H3としての加工適正や取り扱い適正から50〜300μmとすることが望ましい。
この厚さが、3.0μm未満であると、このカード基材1上に黒色層4を設けたり、もしくは、体積ホログラム形成層3を設けたりする際の加工適正に劣るものとなり、この厚さが1.0mmを超えると、シート処理や巻き取り処理における取扱いに困難を生じるため好ましくない。(図1〜図6参照。)
具体的には、50μm〜1000μmの厚さの軟質塩化ビニルシートや硬質塩化ビニルシート、もしくは、その組み合わせ(積層体という意味。)が好適である。
カード基材1として、100μmの軟質塩化ビニルシートを用いて、総厚さ30μmの黒色層4(10μm)及び体積ホログラム形成層3(20μm)積層体(幅10mmの帯状。カード基材1の厚さの約1/3の厚さを有する。)を、150℃の加温、及び106Paの加圧にて、3mm厚さの表面鏡面仕上げのステンレス板で挟み込み、「常温→加温→150℃→冷却→常温」の加熱&冷却サイクル(1サイクル30分〜90分。)を通した場合には、積層体が全て、カード基材1内に埋め込まれ、体積ホログラム形成層3の最表面とカード基材1の表面が面一となった。
同様の条件下においては、カード基材1の厚さ100μmに対して、5μm〜50μmまでの積層体を「面一」とすることができるが、50μmを超える厚さの積層体に対しては、その境界における段差が、1.0μmを超えるものとなり、「面一」とするためには、より高温、且つ、高圧の条件とする必要が生じる。
しかしながら、上記の条件をより過酷な条件に設定することは、カード基材1の大きな変形や、変質のみならず、体積ホログラム形成層の変形や変質(すなわち、体積ホログラム再生像の歪みや変色となる。)を招き、スクラッチカード8としての用途には不向きであり、カード基材1の厚さに対する埋め込み深さは、「カード基材1の厚さの1/20〜1/2」とする。
また、「面一」の状態とは、上記したように、その境界における段差が、1.0μm以下となった状態を意味するが、「埋め込む小片(上記したストライプ等を意味する。)」のサイズによって、「小片」全体が均一に埋め込まれる場合(「小片」を含むカード基材1の厚さが、「小片」のある個所や、その他の箇所で同一となっている状態。)や、「小片」の埋め込み量に偏りがある場合(「小片」の端部(境界に近い部分)に対して「小片」の中央部の埋め込み量が少なくなっている状態。)、さらには、カード基材1の材料が「小片」の断面を覆い隠すように流動した場合等を含むものとし、結果として「小片」が面一に埋め込まれた状態となることを指す。
さらには、「面一」の状態から「凹んだ状態」とするためには、上記した総厚さ30μm積層体の代わりに「耐熱性を有する剥離性フィルム(10μm)/体積ホログラム形成層3(15μm)/黒色層4(5μm)」の3層積層体を、同一条件下でカード基材1に埋め込み、その剥離性フィルムを剥離することで、体積ホログラム形成層3の最表面が、カード基材1の表面より、10μm凹んだ状態とすることができる。
すなわち、この積層体における「剥離性フィルム」の厚さだけ、カード基材1の表面より凹ませることができることとなる。
この「凹み」は、カード基材1の厚さに対して、1/10以下とし、望ましくは、1/20以下とする。
また、このような「剥離性フィルム」は、体積ホログラム形成層3の保護層の代用となるため、製造工程中や、流通過程においては残しておき、スクラッチカード8の正規購入者がスクラッチをする直前に剥離するものとすることで、体積ホログラム形成層3の最表面の汚れや傷の発生を防止できる。さらに、「剥離性フィルム」は、一旦、剥離すると、もはや、元に戻すことが困難であるため、不正者が接着剤等を塗布して元の状態に戻そうとすると、「剥離性フィルム」の剥離性が損なわれるだけでなく、「段差」が1.0μmを超えてしまい、不正が行われたことを示唆する機能を持つため、「剥離性フィルム」を付加したスクラッチカードとすることも好適である。(凹んだ状態や、「剥離性フィルム」を付加した状態は、図示せず。)
本発明のスクラッチカードH1〜H3、及び8が秘匿する「秘密情報」2としては、文字、図形、記号、模様、マーク、形状、立体、もしくは、これらの結合、または、これらと色彩との結合その他、さらには、識別コード、識別番号、識別文字等のあらゆる識別情報、その他何らかの手段によって識別することが可能なものであれば、特に制限はなく、採用することができる。(図1〜図6参照。)
この識別手段としては、目視識別、携帯カメラ認識やバーコード認識等の光学的識別、機械識別、その他の物理的識別手段等をいう。
識別可能であれば、全てが同一のものであっても、全てが個別のものであってもよく、また、個人や企業、さらには、特定の業界特有のものであってもよい。
また、「意匠」のごとく、物品(物品の部分を含む。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって視覚を通じて美感を起こさせるもの、または、これと類似のものであってもよく、「商標」のごとく、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合であって、業として商品を生産し、証明し若しくは譲渡する者がその商品について使用するもの、または業として役務を提供し若しくは証明する者がその役務について使用するもの、または、これと類似のものであってもよい。その他、「称号」や、「商号」、さらには、種々の場面において照合の対象となるものでもよい。
そして、「文字」には、楷書体、隷書体等のあらゆる書体の文字が含まれ、「記号」には、特殊文字記号、顔文字記号、電気文字記号、地図記号等も含まれ、HTML記号等の限られた業種の限られた場面においてのみ用いられる記号もその特殊性から好ましい。
また、英文字、ギリシャ文字その他各国で使用されている文字や、シンボル、数学記号等も、不正者が瞬間的に覗き見した程度では暗記できないものとなり、好ましい。
さらには、これらの情報の中に、目視等の単なる情報読取手段では判別できない隠し情報や、暗号情報を含ませて、スクラッチカードH1〜H3、及び8の運用を管理する者のみが所定の情報処理手段によって、それらの隠し情報や、暗号情報を判読することができるものとすることも好適である。
このような特殊性を有するものは、正規購入者によってもその登録や照合等の場面で、誤記や誤入力の原因となるため、携帯カメラ認識等の自動認識手段を併用することが好ましい。
以下、これらのものを総称して、「番号等」という。
さらに「秘密情報」2には、暗証番号等、個人認証番号等、口座番号等、その他の個人特有の番号等や、何らかの個別番号等、抽選番号等、管理番号等、もしくは、単なる連続番号等であって、登録することによりその有効性を発現するもの、暗号鍵番号である共通鍵番号のように同一の番号等、さらには、全くの乱数であってスクラッチカードH1〜H3、及び8のカード基材1を作製するときに発生させ作製者含め誰もその番号等の内容を知らないよう工夫した番号等、知ることが許された者(正規な購入者等を意味する。もちろん、スクラッチカードH1〜H3、及び8のシステム設計者や、スクラッチカードH1〜H3、及び8の発行者等が含まれる場合もある。)のみが見ることができ、その他の者は物理的に見ることができないよう設定される番号等を含めることができる。
また、そのスクラッチカードH1〜H3、及び8の用途により、上記した番号等のみならず、文字、図形、マークその他、個人及びそのスクラッチカードH1〜H3、及び8の供給者が共通に認識できるもの(この対象は、いわゆる「情報」全てとなる。)であれば何れも用いることができる。
そして、その認識方法も、少なくとも目視確認により認識できる情報を有しながら、目視以外の認識方法、例えば、光学読取方法、磁気的読取方法、その他、あらゆる物理的もしくは化学的読取方法を採用することができ、且つ、秘密情報と重ねて視認できる体積ホログラム再生像の中にも、マシンリーダブルホログラム等の、ホログラム再生原理を利用した光学読取方法を含めることもその偽造防止性を高めるために好適である。(認識方法や手段は図示せず。)
これらの「秘密情報」2をスクラッチカードH1〜H3、及び8のカード基材1上に設ける方法としては、可変情報を形成する方式として、感熱溶融転写方式、昇華転写方式、光学的もしくは物理的直接描画方式、電子写真方式及び、インクジェット方式等があり、固定情報を形成する方式としては、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、活版印刷方式、凹版印刷方式、スクリーン印刷方式等がある。(図1〜図6参照。)
もちろん、電子端末のディスプレー上に「秘密情報」2を表示するものであってもよい。
また、カード基材1そのものを発色材料や消色材料で構成し、その発色原理や消色原理を用いて、可変情報や固定情報を記録する方法を用いてもよい。
すなわち、電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱発色材料からなるカード基材1や、そのカード基材1を構成する基紙となる紙材料やフィルム材料上に、電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱発色層を設けたもの、さらには、それらの基紙上に、カプセル内包の発色剤と顕色剤とからなる感圧発色層を設けたものを、カード基材1として用いることができる。
また、発色と消色を繰り返して操作できる、感温材料等を用いたサーマルリライタブル層や、フルギド系やスピロピラン系などのフォトクロミック材料等を用いる光リライタブル層を同様の目的で、さらには、別の位置に単なる情報表示の目的で設けることも、その意外性や偽造防止性が高まり、好ましい。
特に、これらの「リライタブル層」を設けて、「秘密情報」2を表示させると、正規購入者が、その「秘密情報」2を確認するときのみ「秘密情報」2が現れ、それ以外のときには「非表示」とすることで、不要な第三者による「秘密情報」2の視認を阻止することができる。(カード基材1の種々の構成は図示せず。)
感熱発色材料としては、発色剤、顕色剤、及び、増感剤からなる系を用いることができ、発色剤としては、ベンゾイルロイコメチレンブルー、クリスタルバイオレットラクトン等のフタリド化合物等、顕色剤としては、4−4´ビフェノール、1−ナフトール等の酸など、さらに、増感剤としては、4−ベンジルビフェニル、フルオレン等を用いる。
感熱記録とは,基紙上の層に分散させた発色剤及び顕色剤を熱により溶融させ、接触させることにより発色させる仕組みである。その高感度化のために、低融点の増感剤を添加するが、様々な酸発生方法とこの発色機構を組み合わせることにより、繰り返しの書き込みや消去が可能なリライタブル感熱記録を実現できるものである。例えば、低い熱エネルギーにて発色する赤色感熱記録層と,高い熱エネルギーにて発色する黒色感熱記録層を積層させることにより,その印加エネルギーを使い分けることで赤/黒の2色での記録を可能にする2色発色感熱記録材料を用いてもよい。
これらのロイコ系感熱発色材料や、フォトクロミック系光発色材料は、その発色機構である「紫外領域または赤外領域→可視領域への変化」を、「可視領域→紫外領域または赤外領域への変化」とすべく材料選定をすることにより、消色記録材料として用いることができる。
このような消色機構を用いると、正規購入者が、その「秘密情報」2を確認した後、正規購入者の判断により、速やかに、もしくは、適宜なタイミングで、「秘密情報」2を消色(消去)することを可能とし、その偽造防止性を高めることを可能とする。
このようにしてカード基材1上に「秘密情報」2形成部を設け、その「秘密情報」2形成部を覆うように、体積ホログラム形成層3をカード基材1上に設ける。(図1〜図4参照。)
但し、これらの発色、または、消色機構を用いる場合には、上記したカード基材1への埋め込み条件下ではそれらの変化を示さない材料を使用するか、または、その条件下で変化したとしても、常温に戻すことで元に戻る可逆変化性を有する材料を使用する。
(体積ホログラム形成層、及び、「粗面状」の部分)
本発明のスクラッチカードH1〜H3、及び8のカード基材1上に「秘密情報」2形成部を設け、その「秘密情報」2形成部を覆うように設けた黒色層4の上に、体積ホログラム形成層3を設ける。(図1〜図4参照。)
この際、体積ホログラム形成層3を、カード基材1及び「秘密情報」2形成部上に設けた黒色層4の上にラミネートする手順、または、予め、黒色層4を、体積ホログラム形成層3の上に形成し、その体積ホログラム形成層3の黒色層4が設けてある側を、カード基材1の「秘密情報」2形成部のある側に接するように、そして、その「秘密情報」2形成部の位置とその黒色層4とが対面するように重ね合わせた後、その表面を「面一」とする手順(「一体化」、すなわち、積層体とすると同時にその表面を「面一」としたことを意味する。)等により設けることができる。(図1〜図4参照。)
体積ホログラム形成層3には、各種の透明な材料又は、透明なフィルムが用いられる。
すなわち、銀塩写真乳剤、重クロム酸ゼラチン、フォトレジスト、フォトポリマー材料、無機材料からなるフォトリフラクティブ材料、フォトクロミック材料等及び、それらの材料からなるフィルムを用い得る。
銀塩写真乳剤としては、高感度、高解像度が求められ、超微粒子銀塩や、金―カルコゲン増感や、還元増感を施した材料等が用い得る。
フォトレジストとしては、ポジ型フォトレジストとして、ノボラック−DNQ系、又は、化学増幅型フォトレジスト、ネガ型フォトレジストとして、光架橋型フォトレジスト、又は、光重合型フォトレジスト等を用いることができる。
銀塩写真乳剤、或いは、重クロム酸ゼラチンは、処理工程が多く煩雑であるが、固体光重合性材料、すなわち、フォトポリマー材料は、処理工程が1回のみであるため、好適である。
これは、1工程で、固体の光重合性フィルムから、安定な高解像度のホログラムを作成することができ、ホログラフ情報をもつコヒーレントな光源に対する1回の露光により、「屈折率変調を固定化した画像」が得られることを意味する。このようにして形成されたホログラムは、光に対するその後の均一な露光によっても破壊されることなく、むしろ定着されまたは強化される。
フォトポリマー材料は、熱可塑性重合体結合剤、付加重合可能なエチレン系不飽和単量体、及び、不飽和単量体の重合を活性化する光開始剤からなる、屈折率変調を有する光重合性組成物を用いる。
熱可塑性重合体結合剤は、溶媒可溶性の熱可塑性重合体であり、単独で、又は、組合せて使用する。具体的には、
〔アクリレート及びアルファーアルキルアクリレートエステル、例えば、ポリメタクリル酸メチル及びポリメタクリル酸エチル、〕、〔ポリビニルエステル、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸/アクリル酸ビニル、ポリ酢酸/メタクリル酸ビニル及び加水分解型ポリ酢酸ビニル;エチレン/酢酸ビニル共重合体〕、飽和及び不飽和ポリウレタン、ブタジェン及びイソプレン重合体及び共重合体、エポキシ化物、例えば、アクリレート又はメタクリレート基を有するエポキシ化物、〔ポリアミド、例えば、N−メトキシメチルポリヘキサメチレンアシツクアミド〕、〔セルロースエステル、例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートサクシネート及びセルロースアセテートブチレート〕、〔セルロースエーテル、例えば、メチルセルロース、並びにエチルセルロース〕、ポリカーボネート等、並びに、〔ポリビニルアセタール、例えば、ポリビニルブチラール及びポリビニルホルマール〕等。
特に好適には、セルロースアセテートラクテート重合体、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル/メタクリル酸及びメタクリル酸メチル/アクリル酸共重合体を含むアクリル系重合体及びプレポリマー、メタクリル酸メチル/アクリル酸又はメタクリル酸(C2〜C4)アルキル/アクリル酸又はメタクリル酸の3元重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール等、並びに、それらの混合物である。
さらに、ポリスチレン、ポリ(スチレン/アクリロニトリル)、ポリ(スチレン/メタクリル酸メチル)、並びに、ポリビニルペンデル、及び、それらの混合物を含むこともできる。
エチレン系不飽和単量体は、単一の単量体として、又は、組合せて使用することができる単量体として、スチレン、2−クロロスチレン、2−ブロモスチレン、メトキシスチレン、アクリル酸フェニル、アクリル酸p−クロロフェニル、アクリル酸2−フェニルエチル、アクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、フェノールエトキシレートアクリレート、アクリル酸2−(p−クロロフェノキシ)エチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−(1−ナフチロキシ)エチル、又はジメタクリレート、2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジメタクリレート、ポリオキシエチル−2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジメタクリレート、ビスフェノール−Aジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、エトキシル化ヒスフェノール−Aジアクリレート、ビスフェノール−A−ジ(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、ビスフェノール−A−ジ(2−アクリロキシエチル)エーテル、テトラクロロ−ビスフェノール−A−ジ(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、テトラクロロ−ビスフェノール−A−ジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、テトラブロモ−ビスフェノール−A−ジ(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、テトラブロモ−ビスフェノール−A−ジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、ジフェノール酸−ジ(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、1,4−ベンゼン・フォールジメタクリレート、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、ベンゾキノンモノメタクリレート、並びにアクリル酸2−〔β−(N−カルバジル)プロピオニロキシ〕エチル等、を用いることができる。
この単量体が、置換又は非置換フェニル、フェノキシ、ナフチル、ナフトキシ、3つまでの芳香族環を有するヘテロ芳香族、塩素、臭素、よりなる群から選択される、1つ又はそれ以上の部分を含有する場合には、これらを含む光重合性組成物は、いわば「単量体配向型系」と称することができる。
この単量体配向型系に好適な単量体は、アクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、アクリル酸フェノールエトキシレートアクリレート、アクリル酸2−(p−クロロフェノキシ)エチル、アクリル酸p−クロロフェニル、アクリル酸フェニル、アクリル酸2−フェニルエチル、ビスフェノール−A−ジ(2−アクリロキシエチル)エーテル、エトキシル化ヒスフェノール−Aジアクリレート、並びにアクリル酸2−(1−ナフチロキシ)エチル、である。
そして、エチレン系不飽和カルバゾール単量体;アクリル酸2−ナフチル;アクリル酸インタクロロフエ=ル;ビスフェノール−Aジアクリレート;アクリル酸2−(2−ブチロキシ)エチル; 並びに、N−フェニルマレイミドのような第2の固体単量体と混合して使用してもよい。
また、予め形成された重合体材料(プレポリマーを意味する。)が、置換又は非置換フェニル、フェノキシ、ナフチル、ナフトキシ、3つまでの芳香族環を有するヘテロ芳香族、塩素、臭素、よりなる群から選択される、1つ又はそれ以上の部分を含有する場合には、これらを含む光重合性組成物は、いわば「結合剤配向型系」と称することができる。
この系に使用される単量体には、フェニル、フェノキシ、ナフチル、ナフチロキシ、3つまでの芳香族環を有するヘテロ芳香族、塩素及び臭素よりなる群からとられる部分を含まないものを使用する。
「結合剤配向型系」に好適な単量体は、付加重合することができ、100℃より高い沸点を有する液体、エチレン系不飽和化合物である。単一の単量体としてか又は他の単量体と組合せて使用することができるこの型の適当な単量体は、次のものを含む。
すなわち、アクリル酸一ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソーホルニル、1,5−ベンタンジオールジアクリレート、N、N´−エチルアミノエチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールノアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート、1,3−プロノぐンジオール・クアクリレート、デカメチレングリコールジアクリレー)、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパンジアクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−プロパンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリメチロ−−ルプロJRントリメタクリレート、1,5−ベンタンジオールジメタクリレート、フマル酸ジアリル、アクリル酸パーフロロオクチル、メタクリル酸フロロオクチル、並びに1−ビニル−2−ピロリジノン等。
上記のエチレン系不飽和単量体の外、少なくとも300の分子量を有する、1種又はそれ以上の遊離ラジカル開始型、連鎖生長性、付加重合可能、エチレン系不飽和化合物も含有することができる。
また、単量体は、2〜15の炭素原子のアルキレングリコール又は1〜10のエーテル結合のポリアルキレンエーテルグリコールから製造されるアルキレン又はポリアルキレングリコールジアクリレート、並びに、末端結合として存在する時、複数の付加重合可能なエチレン結合を有するものであってもよい。
さらに、デカンジオールジアクリレート、アクリル酸イソ−ボルニル、トリエチレングリフールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、アクリル酸エトキシエトキシエチル、エトキシル化トリメチロールプロノンのトリアクリレートエステル、等である。また、同じ型の第2の固体単量体、例えば、N−ビニルカプロラクタムと混合して使用してよい。
光開始剤として適当な、遊離ラジカル発生付加重合開始剤は、共役炭素環状環系中2つの環内炭素原子を有する化合物である置換又は非置換多核キノン、例えば、9,10−アンスラキノン、1−クロロアンスラキノン、2−クロロアンスラキノン、2−メチルアンスラキノン、2−エチルアンスラキノン、2−三級−ブチルアンスラキノン、オクタメチルアンスラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナンスレンキノン、1,2−ベンズアンスラキノン、2,3−ベンズアンスラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジクロロナフトキノン、1,4−ジメチルアンスラキノン、2,3−ジメチルアンスラキノン、2−フェニルアンスラキノン、2,3−ジメチルアンスラキノン、アンスラキノンアルファースルホン酸のナトリウム塩、3−クロロ−2−メチルアンスラキノン、7,8,9,10−テトラヒドロナフタセンキノン、を含む。
また、ベンゾイン、ピパロイン、アシロインエーテル、例えば、ベンゾインメチル及びエチルエーテル;α−メチルベンゾイン、α−アリルベンゾイン、及び、α−フェニルベンゾインを含む、α−炭化水素置換芳香族アシロインを含んでもよい。
さらに好適な光開始剤には、2−(0−クロロフェニル)−4,5−ビス(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体;1,1′−ビイミダゾール、2,2′−ヒス(0−クロロフェニル)−4,4’、5,5’−テトラフェニルー:並びに、1H−イミダゾール、2,5−ビス(0−クロロフェニル)−4−3,4−・ジメトキシフェニル−2量体(そのおのおのは、典型的には水素ドナー、例えば、2−メルカプトベンズオキサゾールと共に使用される)を挙げることができる。
フォトポリマー材料としては、さらに、フッ素含有ポリマー、付加重合可能なエチレン性不飽和モノマー、及び、光開始剤からなり、画像化(光記録)されたとき、0.001よりも大きな屈折率変調を有する、光重合性組成物を用いることができる。これには、さらに、可塑剤を含めてもよい。
フッ素含有ポリマーとしては、テトラフルオロエチレンまたはへキサフルオロプロピレンのような、過フッ素化モノマーとビニルアセテートとから作られたポリマーを用いることができ、他のモノマーを含むこともできる。例えば、10〜20%のフッ素を含有しているものを使用する。
使用されるフッ素含有ポリマーは、フォトポリマーのその他の各成分と両立し得るフッ素含有ポリマーであり、塗布されたときに実質的に固体の透明な皮膜を作るものである。
フッ素は、フッ素含有ポリマーを構成する他のモノマーとフッ素含有モノマーとを共重合するか、または、フッ素含有ポリマーとの反応により導入し、フッ素含有ポリマーが、アルコール、または、酸置換基のような官能基を含むとき、フッ素を導入するためには縮合、アセタール化、ケタール化、またはエステル化反応などを使用する。
フッ素含有ポリマーには、ビニルエステル、ビニルアルコール、ビニルエーテル、ビニルアセタール/ブチラール、またはプレポリマー類あるいはこれらの混合物と、フッ素化モノマーとのポリマー類を含む。例えば、フッ素含有ポリマーは、ビニルアセテートとフッ素化モノマーとのポリマーとすることができ、必要に応じ、このポリマーのアセテート置換基は、加水分解によりとり除き、フッ素化したポリ(ビニルアルコール)誘導体を得ることもできる。このフッ素化ポリ(ビニルアルコール)は、例えば、ブチルアルデヒドと縮合させ、フッ素化したポリ(ビニルブチラール)誘導体にすることができる。
フッ素化したポリ(ビニルホルマール)、ポリ(ビニルアセタール)など、または、これらの混合物も同じ方法で作ることができる。フッ素化モノマーは、テトラフルオロエチレン、および/または、へキサフルオロプロピレンのような、過フッ素化モノマーが好適であるが、ビニルフロライドまたはビニリデンフロライドのような、その他のモノマーも特定の用途のために選定することができる。
必要に応じ、他のモノマー類も存在させることができる。例えば、フォトポリマーの溶解性、接着性、柔軟性、または硬さなどのような、化学的、もしくは、物理的諸性質を調整するために、モノマー混合物中にエチルビニルエーテルを混在させることができる。このようなフォトポリマーは通常のフリーラジカル重合法を用いて製造される。
フッ素化したフッ素含有ポリマーは、また適切に置換されているポリマーと、フッ素化された化合物との反応により作ることもできる。ヒドロキシルまたはカルボキシル基のような、潜在的な反応位置をもったポリマーは、フッ素化された化合物との反応によりフッ素化されたフッ素含有ポリマーに変換することができる。例えば、フッ素化されたポリ(ビニルブチラール)は、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルアルデヒドと、ポリ(ビニルアルコール)の縮合により調製することができる。カルボキシル酸を含むポリマー類はフッ素化したアルコール類でエステル化することができ;ポリ(ビニルアルコール)、部分ケン化されたポリ(ビニルアセテート)、またはフッ素化されたモノマーとビニルアセテートとのポリマー類の部分ケン化またはケン化されたものなどのような、ヒドロキシル基含有のポリマー類は、フッ素化されたカルボキシル酸によりエステル化することができる。
フルオロオレフィン類は標準的なグラフト化技術を用いて、適切に置換されているポリマー上にグラフト化することができる。ビニルエステル、少なくとも、1つのフッ素化されたモノマー、および、得られるポリマーの物理的性質を調整するための任意の他のモノマーとのポリマーが好ましい。
一般に、フッ素含有量が低下するとその効果も減少するから、フッ素含有ポリマーは少なくとも10%のフッ素を含有するようにされる。しかしながら、フッ素含有量が余りにも高すぎると、得られるフォトポリマーは不透明となる傾向があり、体積ホログラム形成層の調製のためには有用でない。さらには、窓用フィルムとして用いる場合に、再接着用の糊との接着性が著しく低下する。従って、好ましいフッ素含有ポリマーは、10〜20%のフッ素含有量を有している。
フッ素含有ポリマーのビニルエステル成分としては、ビニルアセテートが特に好ましいが、他のビニルエステルおよび類似の結果を与える構造的に関連した化合物も、これに加えて、またはビニルアセテートの代りに選定することができる。例えば、ビニルピバレート、ビニルプロピオネート、ビニルステアレート、ビニルアルコール、または、n−ブチルビニルエーテルなどを選ぶことができる。テトラフルオロエチレン、または、へキサフルオロプロピレンのような過フッ素化モノマー類は、フッ素化モノマー成分として特に有用であると認められているが、ビニルフルオライド、ビニリデンフルオライド、フルオロオレフィン類、フロロアルキルアクレリートおよびメタアクリレートなどのようなその他の化合物も、特定の用途のためには選ぶことができる。
フッ素化されていない対応物よりも、フッ素化されているフッ素含有ポリマーを選ぶことは屈折率変調を劇的に増加させ、それでホログラムの回折効率も増加させる。
例えば、他のすべての成分を同じにして、ポリビニルアセテートによって達成されるのは約0.025〜0、031の範囲の値であるのに反して、ビニルアセテート/過フッ素化物モノマーのフォトポリマーの使用では0.040を超え、0.076の高い屈折率変調の値が達成される。
フッ素化フッ素含有ポリマーは、全フッ素含有ポリマーの1部分だけに選択することができる。この場合、フッ素含有ポリマーのフッ素化されていない対応物は、2つのフッ素含有ポリマーが互いに両立し、そして塗布用溶剤および他のフォトポリマー成分とも両立し、そしてフォトポリマーの透明性、機械的諸性質などを不当に犠牲としないならば、その他の成分として選択することができる。
フォトポリマーは、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを含み、これはフリーラジカルで開始される重合し得るもので、100℃以上の沸点を有し、塗布溶剤および選ばれたフッ素含有ポリマーと両立し得るものである。このモノマーは通常末端位置に不飽和性基を含んでいる。一般に液体のモノマーが選定されるが、固体のモノマーが実質的に固体のフォトポリマー組成物中で内部拡散し得るならば、固体のモノマーも1個または数個の液体モノマーと組み合わせて用いることができる。
モノマーは、付加重合をすることができかつ100℃以上の沸点をもつ液体の、エチレン性不飽和化合物であり、これは3個までの芳香環;塩素;および臭素を含む、置換または未置換のフェニル、ビフェニル、フェノキシ、ナフチル、ナフチルオキシ、およびヘテロ芳香基、よりなる群から選ばれた1個または数個の部分を含んでいる。モノマーはこのような部分を少なくとも1つ含み、またモノマーが液体でとどまるならば、同一または異なるこのような部分を2個またはそれ以上含むことができる。低級アルキル、アルキオキシ、ヒドロキシ、フェニル、フェノキシ、カルボキシ、カルボニルイミド、シアノ、クロロ、ブロモまたはこれらの組み合わせのような置換基を、モノマーが液体モノマーにとどまり、かつ光重合性層中で拡散し得るならば存在させることができる。
代表的な液体モノマーには、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルメタアクリレート、フェノールエトキシレートモノアクリレート、2− (p−クロロフェノキシ)エチルアクリレート、p−クロロフェニルアクリレート、フェニルアクリレート、2−フェニルエチルアクリレ−1−、2− (1−ブチルオキシ)エチルアクリレート、0−ビフェニルメタアクリレート、0−フェニルアクリレート、およびこれらの混合物などが含まれる。
モノマーは、通常、液体であるが、エチレン性不飽和カルバゾールモノマーのような、1個または数個のエチレン性不飽和固体モノマーと混合して使用することもできる。
カルバゾール部分の窒素原子に結合したビニル基を含んだ、エチレン性不飽和カルバゾールモノマーは代表的に固体である。このタイプの好適なモノマーには、N−ビニルカルバゾールと3、6−ジプロモー9−ビニルカルバゾールとが含まれる。特に好ましいエチレン性不飽和モノマーの混合物は、N−ビニルカルバゾールと液体モノマーの1個または数個、特に2−フェノキシエチルアクリレート、フェノールエトキシレートモノアクリレート、エトキシレートビスフェノール−Aジアクリレート、またはこれらの混合物などとの組み合わせからなるものである。
フォトポリマーを架橋化(光重合)するときは、組成物中に2個または数個の末端エチレン性不飽和基を含む、多官能性モノマーの少なくとも1つを5%まで加えることができる。この多官能性モノマーは、組成物の他の成分と両立し得るものでなければならず、また好ましくは液体である。多官能性モノマーには、ビスフェノール−Aのジ(2−アクリルオキシエチル)エーテル、エトキシレートビスフェノール−Aジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、およびその他が含まれる。エトキシレートビスフェノール−Aジアクリレートは、特に好ましい。
光開始剤系は、電離放射線により活性化されたときに、フリーラジカルを直接に与える1個または数個の化合物からなるものである。「電離放射線」は、モノマー材料の重合を開始するのに必要な、フリーラジカルを生成させるような活性な放射線を意味している。
この系はまた複数の化合物から構成されることもでき、その1つは別の化合物、または増感剤が放射線により活性化された後に、フリーラジカルを生ずるものである。
有用な開始剤系は、種々の増感剤を含んでいてもよく、多数のフリーラジカル生成化合物を利用できる。特に色素を含むレドックス系、例えばローズベンガル/2−ジブチルアミノエタノールを用いることもできる。光還元性色素および還元剤、オギサジン、およびキノン系の各色素、色素−オウ酸塩コンブレックス、色素増感されたアジニウム塩、およびトリクロロメチルトリアジンなどを、光重合を開始させるために用いることができる。
好ましい光開始剤系は、可視光線用増感剤で増感され、連鎖移転剤または水素供与剤、およびこれらの混合物をもった、2,4,5−トリフェニルイミダゾリルダイマーである。 これには、2−(0−クロロフェニル)−4,5−ビス(m−メトキシフェニル)−イミダゾールダイマー;1,1’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(0−クロロフェニル’)−4,4’5,5’−テトラフェニル;およびIH−イミダゾール、2,5−ビス(0−クロロフェニル)−4−(3,4−ジメトキシフェニル〕−タイマーなどが含まれ、それぞれ代表的に水素供与体とともに用いられる。
増感剤には、ビス(p−ジアルキルアミノベンジリジン)ケトン類、および、アリーリチンアリールケトン類が含まれる。
水素供与体の適当なものには、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、4−メチル−4H−1,2,4−1−リアゾール−3−チオール、およびその他が含まれる。
N−ビニルカルバゾールモノマーを含む組成物に対して好ましい、この他の水素供与体は、5−クロロ−2−メルカプトベンゾチアゾール;2−メルカプトベンゾチアゾール、 IH−1,2、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、1−ドデカンチオール、およびこれらの混合物などである。
その他の成分として、フォトポリマー組成物に一般に添加されるその他の各成分はフォトポリマーの物理的特性を変えるだめのものである。このような成分には可塑剤、熱安定剤、光学的増白剤、紫外線安定剤、接着性変更剤、塗布助剤、および剥離剤などが含まれる。
可塑剤は、フォトポリマーの接着性、柔軟性、硬さ、およびその他の物理的緒特性を変えるために存在させられる。可塑剤には、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジプロピオネート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、ジエチルセパケート、ジブチルスベレート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、イソゾロビルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン、ポリ(プロピレングリコール)、トリ酪酸グリセリル、アジピン酸ジエチル、セバシン酸ジエチル、スペリン酸・ノブチル、燐酸トリブチル、燐酸トリス(2−エチルヘキシル)、などが含まれる。
有用な熱安定剤には、ハイドロキノン、フェニドン、p−メトキシフェノール、アルキルおよびアリール置換されたハイドロキノンとキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、ベータナフトール、塩化第一銅、2,6−ジーt−ブチル−p−クレゾール、フェノチアジン、レジン酸銅、ナフチルアミン、ピリジン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、フロラニール、およびクロルアニールなどが含まれる。ジニトロソダイマー類もまた有用である。
塗布助剤として、非イオン性界面活性剤を光重合性組成物に加えることができる。好ましい塗布助剤は、フッ素化された非イオン性活性剤である。
有用な光学増白剤は、7−(4’−クロロ−6′−ジエチルアミノ−1’,3’,5’−トリアジン−4′イル)アミノ3−フェニルクマリンである。さらに、紫外線吸収材料を適宜用いることができる。
また、透明な樹脂、すなわち、光重合性組成物としては、カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、光ラジカル重合開始剤系、及び、カチオン重合性化合物を重合させる光カチオン重合開始剤系からなる感光性材料が用いられる。
カチオン重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物の重合が終始比較的低粘度の組成物中で行なわれるように室温液状のものが用いられる。そのようなカチオン重合性化合物としてはジグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)シクロヘキサン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等が用いられる。
ラジカル重合性化合物は、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有するものが好ましい。また、ラジカル重合性化合物の平均屈折率は上記カチオン重合性化合物のそれよりも大きく、好ましくは0.02以上大きいとよく、小さいと屈折率変調が不十分となり好ましくない。ラジカル重合性化合物としては、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン、2−ブロモスチレン、フェニルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2,3−ナフタレンジカルボン酸(アクリロキシエチル)モノエステル、メチルフェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、β−アクリロキシエチルハイドロゲンフタレート等が用いられる。
光ラジカル重合開始剤系は、体積ホログラム作製のための第1露光によって活性ラジカルを生成し、その活性ラジカルがラジカル重合性化合物を重合させる開始剤系であればよく、また、一般に光を吸収する成分である増感剤と活性ラジカル発生化合物や酸発生化合物を組み合わせて用いる。
光ラジカル重合開始剤系における増感剤は可視レーザー光を吸収するために色素のような有色化合物が用いられる場合が多いが、無色透明な体積ホログラムとする場合にはシアニン系色素が好ましい。シアニン系色素は一般に光によって分解しやすいため、後露光、または室内光や太陽光の下に数時間から数日放置することにより体積ホログラム中の色素が分解されて可視域に吸収を持たなくなり、無色透明な体積ホログラムが得られる。
シアニン系色素の具体例としては、アンヒドロ−3,3'−ジカルボキシメチル−9−エチル−2,2'チアカルボシアニンベタイン、アンヒドロ−3−カルボキシメチル−3',9−ジエチル−2,2’チアカルボシアニンベタイン、3,3',9−トリエチル−2,2'−チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,9−ジエチル−3'−カルボキシメチル−2,2'−チアカルボシアニン・ヨウ素塩等が例示される。
シアニン系色素と組み合わせて用いてもよい活性ラジカル発生化合物としては、ジアリールヨードニウム類、あるいは2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類が挙げられる。高い感光性が必要なときは、ジアリールヨードニウム類の使用が特に好ましい。上記ジアリールヨードニウム類としては、ジフェニルヨードニウム、4,4'−ジクロロジフェニルヨードニウム、4,4'−ジメトキシジフェニルヨードニウム等が例示される。また、2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類としては、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等が例示される。
光カチオン重合開始剤系は、第1露光に対しては低感光性で、第1露光とは異なる波長の光を照射する後露光に感光してブレンステッド酸、あるいはルイス酸を発生し、カチオン重合性化合物を重合させるような開始剤系とするとよく、第1露光の間はカチオン重合性化合物を重合させないものが特に好ましい。光カチオン重合開始剤系としては、例えばジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類あるいは鉄アレン錯体類等を挙げることができる。ジアリールヨードニウム塩類で好ましいものとしては、光ラジカル重合開始剤系で示したヨードニウム類のテトラフルオロボレート塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアルセネート塩およびヘキサフルオロアンチモネート塩等が挙げられる。トリアリールスルホニウム塩類で好ましいものとしては、トリフェニルスルホニウム、4−ターシャリーブチルトリフェニルスルホニウム等が挙げられる。
光重合性組成物には、必要に応じてバインダー樹脂、熱重合防止剤、シランカップリング剤、可塑剤、着色剤などを併用してよい。バインダー樹脂は、体積ホログラム形成前の組成物の成膜性、膜厚の均一性を改善する場合や、レーザー光等の光の照射による重合で形成された干渉縞を後露光までの間、安定に存在させるために使用される。バインダー樹脂は、カチオン重合性化合物やラジカル重合性組成物と相溶性のよいものであれば良く、その具体例としては塩素化ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレートと他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体、塩化ビニルとアクリロニトリルの共重合体、ポリ酢酸ビニルなどが挙げられる。バインダー樹脂は、その側鎖または主鎖にカチオン重合性基などの反応性を有していても良い。
その体積ホログラム形成層3の厚さは、5.0μm〜50μmとする。好適には、10μm〜30μmとする。
カード基材1上に設けた黒色層4の上に、透明な樹脂をコーティングして、体積ホログラム形成層3を設ける場合には、体積ホログラム形成層3は、光重合性組成物の塗布液を、バーコート、スピンコート、又はディッピング等、または、グラビアコート、ロールコート、ダイコート、又はコンマコート等により塗布し、形成する。体積ホログラム形成層3は、乾燥ないし硬化手段を用いて固化される。
その光重合性組成物としては、組成物全体に対してカチオン重合性化合物を10〜50%、ラジカル重合性化合物を40〜70%、光ラジカル重合開始剤系を1〜5%、及び、光カチオン重合開始剤系を1〜5%とし、全量を100%となるように配合する。
光重合性組成物は、必要に応じて、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、芳香族系溶媒、セロソルブ系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン系溶媒等と配合し、冷暗所にて、高速撹拌機で混合し調製する。
上記の樹脂材料を用い、キャスティング法や、ダイコート法等を用いて、体積ホログラム形成層3をカード基材1上に設けた黒色層4の上に設けることもできる。
これらの体積ホログラム形成層3に、適宜な光学系を用いて、体積ホログラムである、透過型ホログラムや、反射型ホログラムを記録する。または、その両方を多重記録する。(図示せず。)
以下に、その方法を説明する。
まず、ホログラム画像として画像化される「物体」を準備する。
「物体」としては、彫刻や模型等の実在する、3次元物体(高名な作者のものであれば、その意匠性は非常に高いものとなる。)、もしくは、絵画やブランドデザイン等の2次元物体が用いられる。もしくは、「物体光」を与え得るものであって、空間変調器等のような電子的にセル変換が可能な光学素子を用いた光学系によって、記録用媒体面に投影されるような「光の像」であってもよい。
もちろん、あらかじめ作成した「ホログラム」からの「ホログラム再生像」(立体的な光の像となる。)を用いることもできる。
この「物体」を、所定の波長を選択した、ガスレーザー、固体レーザー、半導体レーザー、各種色素レーザー等のコヒーレント光を用いて照明し、所定の光学系を準備し(図示せず。)、透過型ホログラムを記録する。
もしくは、適宜なホログラム記録用のフォトレジストに、同様な光学系を準備し、マスターホログラムを記録し、現像処理する。
次いで、このマスターホログラムを所定の光学系を用いて、「物体」の体積ホログラムを、上記で使用した光源を再度用いて、体積ホログラム形成層3に、「反射型ホログラム」として記録する。
透過型ホログラムに上記の光学系で用いた参照光と同一の照明を行うと、その参照光が透過した方向からの観察により、体積ホログラム形成層3を通して、その向こう側に「物体」の像、すなわち、透過型ホログラム再生像を視認することができる。この「物体」の像から観察者の目の方向へ向かう角度が、「再生角度」である。(図示せず。)
また反射型ホログラムの場合には、参照光を用いずとも、その波長選択性により、所定の波長でのみ再生された「物体」の像、すなわち反射型ホログラム再生像を視認することができる。この場合の「再生角度」も同様である。
以上の方法を用いる際、「物体」を2つ準備し、2つの光源(第1の波長、及び第2の波長を有する2つのレーザー光源)を用いて、それぞれ体積ホログラム形成に各々、角度を変えて記録して、2つの体積ホログラムを多重記録することができる。
もちろん、上記した透過型ホログラムと反射型ホログラムを同一の体積ホログラム形成層3に記録し、「透過型ホログラムと反射型ホログラムを多重記録」することも可能である。
このときに用いる体積ホログラム形成層3は、例えば、2つの光源に感度を持つように、2種類の増感剤を含めたものとする。
また、体積ホログラム形成層3を単層として、その一つの層に多重記録するのみならず、体積ホログラム形成層3を多層として、それぞれの層に、それぞれのフォトポリマーを用い、それぞれの体積ホログラムを記録することも、個々のホログラム再生像の鮮明度を高めるため好適である。
2つの体積ホログラムを多重記録した場合には、2つの観察方向に、各々の「物体」像を見ることができる。(図示せず。)
ホログラムとしては、レーザー再生ホログラム、白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィックステレオグラム、ホログラフィック回折格子、複合回折格子で構成されるホログラムなどを、適宜、記録することができる。また、マシンリーダブルホログラムのように、その再生光を受光部でデータに変換し、「秘密情報」2として、もしくは、「秘密情報」2の一部構成情報として伝達したり、真偽判定を行うものであってもよい。
体積ホログラムは、「上記のようにして記録した体積ホログラム形成層3(単独の層。)」上に、「まだ体積ホログラムを記録していないカード基材1と体積ホログラム形成層3の積層体」のその体積ホログラム形成層3面上に、「単独の層である記録済み体積ホログラム形成層3」を密着させて重ねたものに(インデックスマッチング液等をその間に挿入してもよい。)、その「記録済み体積ホログラム形成層3」側から、適宜なレーザー光を照射する方法により、大量に複製することができる。(図示せず。)
これらの体積ホログラム形成層3、及び/または、黒色層4の上に、本発明のスクラッチカードH1〜H3、及び8の用途に応じた印刷デザインや、ホログラムデザインにより、オフセット印刷や、グラビア印刷等を用いて、1.0〜10.0μmの厚さで地紋印刷7を施す。(図6参照。体積ホログラム形成層3上に幾何学模様の地紋印刷7を施している。)
体積ホログラム形成層3、及び/または、黒色層4の上に、この地紋印刷7以外の通常デザイン(主要なデザイン模様等)の印刷を施し、その意匠性を高めることができることは言うまでもない。
さらに、体積ホログラム形成層3の上に、または、体積ホログラム形成層3及び地紋印刷7の上に、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、これらの共重合体さらには電離放射線硬化樹脂等の保護層を、感熱溶融転写方式、昇華転写方式、インクジェット方式で、1〜3μm厚さに形成して、「秘密情報」2の隠蔽をさらに強化してもよい。(図示せず。)
そして、この体積ホログラム形成層3の最表面の少なくとも一部(体積ホログラム形成層3の黒色層4が設けられている面とは反対の面の少なくとも一部)に、上記したように「粗面状」の部分6を設けることができる。この「粗面上」の部分6は、体積ホログラム形成層3と黒色層4との界面に設けてもよく、同様に、スクラッチ適正の向上につながるものとなる。(図示せず。)
但し、体積ホログラム形成層3の最表面の少なくとも一部に、この「粗面状」の部分6を設けた場合には、この大きな凹凸に追従して印刷可能なインクジェット方式や、この凹凸に影響され難い感熱転写方式、もしくは、昇華転写方式を用いて地紋印刷7を行ってもよい。さらに、このような感熱転写方式、もしくは、昇華転写方式を用いて、その大きな凹凸の凸部のみに印刷を行い、不正なスクラッチにより非常に容易に地紋印刷7が破壊されるようにすることもできる。
特に、昇華転写方式は、体積ホログラム形成層3を構成する樹脂層に浸透し、独特の風合いを醸し出すことができる。
地紋印刷7を形成する位置は、体積ホログラム形成層3上の全面に均一に設けてもよいし(図示せず。)、敢えて、「秘密情報」2に対応する位置に設けてもよく(図6参照。)、さらには、複数の領域に分散して設けてもよい。(図示せず。)
そして、この地紋印刷7を、黒色層4と体積ホログラム形成層3との間の両方に設け、且つ、そのデザイン及び、形成位置を体積ホログラム形成層3の上下で、位置を異ならせたり、同一としたりすることも、その意外性や偽造防止性を高めるため好適である。(図示せず。)
さらに、体積ホログラム形成層3の最表面に形成する「粗面状」の部分6は、体積ホログラム形成層3をカード基材1に埋め込んだ後に、機械切削加工や、レーザー加工等の手段を用いて、個別パターンとして形成することもできる。この場合には、この「粗面状」の部分6の凹凸形状や、その形成領域を個々に変更することができ、その偽造防止性、及び、意匠性をより高めることができ好適である。(図示せず。)
(黒色層)
本発明のスクラッチカードH2、及び、H3において、カード基材1上に、そのカード基材1に設けた「秘密情報」2を覆うように、黒色層4を設け、その黒色層4を覆うように、体積ホログラム形成層3を設ける。(図2及び図3参照。)
ここで、黒色層4は、少なくともその「秘密情報」2を覆うようにして、部分的、且つ、離散的に複数形成してもよい。そして、この黒色層4のパターンによって、何らかのデザインを表すものとしてもよい。(図示せず。)
黒色層4は、微粒子カーボンブラックや、超微粒子カーボンブラック、その他の炭素系黒色顔料や酸化物系黒色顔料の微粒子や超微粒子、さらには、含金属黒色染料(金属錯塩染料)等を、含有率で20〜70質量%として、透明樹脂、例えば、熱可塑性樹脂としてはアクリル酸エステル樹脂、アクリルアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、もしくはポリスチレン樹脂等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、もしくはフェノール樹脂等に2次凝集を少なくするように、ガラスビーズやスチールビーズを用いたボールミル、ニーダー、ロールミル等による混練りを十分行い、溶剤等で粘度調整をして、グラビア方式、オフセット方式、シルクスクリーン方式、カーテンコート方式、ノズルコート方式、インクジェット方式さらには、フレキソ印刷方式を適宜用いて均一な厚さに形成することができる。
この場合、カード基材1及び「秘密情報」2形成部、及び、体積ホログラム形成層3との密着性の高いものを選定する。
黒色層の厚さは、2.5μm〜25μmとし、好適には、5.0μm〜20μmとする。
(接着層)
本発明のスクラッチカードH2及び3に用いる接着層5としては、従来公知の溶剤系及び水系のいずれの接着剤、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂や、天然ゴム、クロロプレンゴムなどのゴム系樹脂などが挙げられる。自然にやさしい材料構成とするために、特に、天然ゴムを主成分とするラテックス、それを変性したもの、特に天然ゴムにスチレン特にメタクリルさんメチルとをグラフト重合させて得た天然ゴムラテックス等の天然素材から作製されたものを用いても良い。(図2及び図3参照。)
接着層5に用いられる溶剤としては、溶剤類、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、イソホロン、ジイソブチルケトン、等。)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブチルアルコール等、さらにはその水溶液。)、芳香族類(ベンゼン、トルエン、キシレン、ソルベッソNo.100、ソルベッソNo.150、カクタスP−180等。)、環状炭化水素類(シクロヘキサン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸セルソルブ、エチルー3−エトキシプロピオネート等。)、エーテル類(テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、t−ブチルセロソルブ等。)等を用いることができる。
接着層5の形成厚さは、1.0μm〜30μmとする。
接着層5の形成方法としては、グラビアコート、ロールコート、コンマコートなどの方法で、カード基材1上、及び、「秘密情報」2上に、塗布し乾燥して形成することができる。また、より精密な印刷を要する場合には、ステンレススクリーン印刷方法や、活版印刷方式、オフセット印刷方式、フォトレジスト処理方式等を用いることができる。(図1〜図4参照。)
接着層5の接着力は、カード基材1、及び、「秘密情報」2と、接着層5との界面の剥離強度、さらには、黒色層4と、接着層5との界面の剥離強度として、JIS Z0237準拠の180°による剥離方法において、1.0〜3.0kg/25mm巾の範囲にすることが望ましい。もちろん、それ以上の剥離強度を有していても、本発明の目的には適合している。
特に、カード基材1及びカード基材1上の「秘密情報」2形成部との接着力は、本発明の目的より、本発明のスクラッチカードH1〜H3、及び8のカード基材1及びカード基材1上の「秘密情報」2形成部から剥がすことが困難となるレベルまで大きいものとする必要があるが、その接着層5とカード基材1及びカード基材1上の「秘密情報」2形成部との界面の剥離強度よりも、接着層5と黒色層4との界面の剥離強度を、より大きいものとなるように設計する。
接着層5には、その接着強度やその堅さ(層としての堅牢度を意味する。)及び耐熱性を調整する目的で、微粒子透明顔料や超微粒子顔料を添加することができる。
その微粒子透明顔料や超微粒子顔料としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、クレー、カオリン、ホワイトカーボン、アルミナホワイト、珪藻土、石膏、タルク、珪石粉等の体質顔料を細かく粉砕したものや、マイクロシリカ等の無機微粒子、シリコン樹脂やフッ素樹脂粉末等の微粒子樹脂紛体、その他、平均粒径で、0.1μm〜0.01μmとした微粒子顔料や、0.01μm以下とした超微粒子顔料を使用する。
具体的には、天然に産する方解石、氷州席、アラゴナイト、石灰岩、大理石、貝殻、チョーク、重晶石、石膏、ギブス石などを微粉砕したものや、その合成物において平均粒径を調整したもの、さらには、一般的に用いられる無機顔料、や有機顔料においても、超微粒子酸化チタンや超微粒子酸化ジルコニウム等、その平均粒径を、0.01μm以下としたもの等は、適宜な樹脂材料との混合において、透明となるため、好適である。
具体例としては、超微粒子酸化チタン(石原産業株式会社製TTO−55N:屈折率n=2.4)を適宜な樹脂に分散した場合に、その屈折率は、1.9〜2.0であり、また、超微粒子酸化ジルコニウム(動的光散乱法における平均粒径0.0001μm〜0.05μm)を適宜な樹脂に分散した場合に、「層」としての屈折率は、1.7〜1.9となる。
但し、この粒径のものは、二次凝集しやすく、ニーダー等の適宜な分散処理機に繰り返し通すなどの再分散処理等を施す必要がある。添加量は、屈折率の向上度合いと透明性とのバランスで決められるが、通常、1%〜20%添加が好適である。
その形成方法、及び、厚さは、上記した方法、及び、厚さとする。
また、高屈折率を有する層に使用される樹脂は、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド系樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
用いる樹脂の屈折率は、例えば、熱可塑性樹脂としては、アクリル酸エステル樹脂(屈折率n=1.47)、アクリルアミド樹脂(n=1.50)、ニトロセルロース樹脂(n=1.54)、酢酸ビニル樹脂(n=1.47)、もしくは、ポリスチレン樹脂(n=1.60)等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、ウレタン樹脂(n=1.60)、エポキシ変性アクリル樹脂(n=1.55)、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、アルキッド樹脂(n=1.54)、もしくはフェノール樹脂(n=1.60)等である。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート(n=1.55)、ウレタンアクリレート(n=1.54)、アクリル変性ポリエステル(n=1.64)等である。
さらに、環境に配慮して、上記したと同様の生分解性プラスチックを用いることもできる。
このようにして形成した本発明のスクラッチカードH1〜H3、及び8を、通常の照明光下で、観察したところ、「ホログラム付きスクラッチカード」であると判断できたが、その体積ホログラム形成層3の下に隠されていると推定される「秘密情報」2は、全く視認できないものであった。(図1〜図4参照。)
この際、カード基材1上の所定の位置に、「秘密情報」2として、連続数字1〜8が印字されており(図5参照。図5には、その所定の位置を示す枠が便宜上表示されている。)、その「秘密情報」2を覆うように、黒色層4及び体積ホログラム形成層3が設けられ、そして、埋め込まれている。(図1〜図5参照。)
また、本発明のスクラッチカード8の体積ホログラム形成層3上に、幾何学模様からなる地紋印刷7を施した。(図6参照。)
いずれの場合も、目視では、体積ホログラム形成層3、及び、黒色層4で覆われた「秘密情報」2を、視認することはできず、また、体積ホログラム形成層3及び黒色層4が、カード基材1内に埋め込まれているため、これらの層を爪等で剥がすことは、到底、不可能であると思われた。
そして、本発明のスクラッチカードH1〜H3、及び8の体積ホログラム形成層3及び黒色層4、もしくは、地紋印刷7と体積ホログラム形成層3及び黒色層4を、コインを用いて部分的に削り取る、すなわち、除去すると、その削り取った領域から、その下に隠れていた「秘密情報」2が視認可能となったが、同時に、このようなスクラッチカードH1〜H3、及び8を偽造することは非常に困難であると思われた。
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
(実施例1)
スクラッチカード8のカード基材1として、厚さ560μmの硬質塩化ビニルシートを、厚さ100μmの軟質塩化ビニルシート2枚で挟み込み、総厚さ760μmの3層積層塩化ビニルシート(クレジットカードサイズ)を用いる。
所定のデザイン印刷は、その硬質塩化ビニルシート上にオフセット印刷にて施した後、所定のラミネート条件にて、3層積層体とした。(図1及び、図4参照。カード基材1の積層状況は図示せず。)
このカード基材1の所定の領域に、インクジェットプリンターにて、「秘密情報」2として、「12345678」の番号(各数字文字の高さ4mm、幅2mm、文字間隔1mm。)を印字した。(図1及び、図5参照。図5には、所定の領域を示す「枠」を表示している。)
そのカード基材1上に、且つ、その「秘密情報」2を覆うように、下記組成の黒色層4用インキ組成物を用いて、タテ10mm×横30mmのサイズで、スクリーン印刷方式を用いて、乾燥後の厚さ10μmで形成して、黒色層4とした。(図1及び図5参照。図5の「『秘密情報』を囲む枠の領域」となる、その「枠」の位置のみに形成した。)
<黒色層4用インキ組成物>
ウレタン樹脂 25部
カーボンブラック 20部
トルエン 15部
イソプロピルアルコール 15部
ブチルセルソルブ 25部
ここで、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフイルム上に、膜厚20μmのフォトポリマー層(「体積ホログラム形成層3」となる層。)、及び、保護フィルムとして、厚さ23μmポリエチレンテレフタレートフイルムが積層されたフォトポリマーシート(デュポン社製「HRF705」)を用い、反射型ホログラムとして、クリプトンレーザー(発光波長647nm)を光源とし、所定の反射型ホログラム撮影光学系(図示せず。)を用いて、10mm×30mmサイズの「絵画モチーフ」を反射型ホログラムとして、その結像位置を、記録面から2mmの位置として撮影した。
この時、露光強度2.0mWにて、記録角度(参照光の角度。「物体」である「絵画モチーフ」は、そのシート面の垂線方向に対しその参照光と対称の方向にある。)を体積ホログラム形成層3に対して、(そのシート面の垂線方向に対し)20度とし、50mJ/cm2の露光量となるように照射した後、高圧水銀灯を用いて500mJ/cm2の紫外線を照射し、更に120℃で120分間加熱処理し、その後、上記保護フィルムを剥離して、「体積ホログラム形成層3が積層されている厚さ70μmのシート」を作製した。このときの回折効率は、50%とした。
次に、この厚さ70μmのシートをタテ10mm×横30mmのサイズにカットし(「絵画モチーフ」の部分をカットした。)、その体積ホログラム形成層3の露出面と、カード基材1上に設けた黒色層4の表面とが接するように、このシートとカード基材1をラミネートし、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフイルムを剥離して、カード基材1の「秘密情報」2形成部を覆う黒色層4上に、体積ホログラム形成層3を転写形成した後、この積層体を、表面鏡面仕上げ(平均表面粗さRaで0.1μmとしたもの。)のステンレス板で挟み込み、120℃、106Pa、及び60分の加熱、加圧、及び冷却処理を施して、実施例1のスクラッチカードH1、もしくは8を得た。(図1及び図4参照。図4において、「秘密情報」2を覆う層は、「3〜6」ではなく、「3〜4」となる。)
この実施例1のスクラッチカードH1、もしくは8を、通常の蛍光灯下で観察したところ、スクラッチカードH1、もしくは8上にて、「埋め込まれた、意匠性の高い体積ホログラム再生像」を観察できるのみであり、その下に形成されている、「秘密情報」2の存在を窺い知ることはできなかった。(図1及び図4参照。)
このような「クレジットカードサイズの塩化ビニル製カード」には、一般的にその偽造防止目的で「ホログラム層」が設けられており、正規購入者でない限り、その偽造防止目的と推定される「ホログラム層」そのものを、爪やコインで削り取るものとは、到底、思い当たることは無いものと思われた。
次いで、このスクラッチカードH1、もしくは8上の「埋め込まれた、意匠性の高い体積ホログラム再生像」の部分をコインで引っ掻くと、体積ホログラム形成層3及び黒色層4が部分的に削れ、その削れた部分から、「秘密情報」2の一部を視認でき、このような埋め込まれたホログラムを含む、このスクラッチカードH1、もしくは8を偽造することは、困難と思われた。(図示せず。)
(実施例2)
実施例1において、そのカード基材1及び、その「秘密情報」2を覆うように、下記組成の接着層5用接着剤組成物をステンレススクリーン印刷方式にて、形成し、乾燥後の厚さとして、接着層5を10.0μmの厚さで形成し、(図2参照。)その上に、黒色層4を設けたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2のスクラッチカードH2、もしくは8を得た。(図2、及び図4参照。図4において、「秘密情報」2を覆う層は、「3〜6」でなく、「3〜5」となる。)
・<接着層5用接着剤組成物>
酢酸ビニル−アクリル共重合体 30部
イソホロンジイソシアネート 0.1部
トルエン 10部
イソプロピルアルコール 20部
酢酸エチル 30部
エチルセルソルブ 10部
このスクラッチカードH2、もしくは8を、実施例1と同様に評価したところ、黒色層4が接着層5で、カード基材1以上にしっかりと固定され、且つ、スクラッチしたときのスクラッチ安定性に優れ(スクラッチの際に、「秘密情報」2形成部の一部が体積ホログラム形成層3と一緒に削れてしまう等の不具合が発生し難いという意味。)、さらに、「秘密情報」2形成部の突出部分の凸形状が、接着層5によって吸収されて、スクラッチカードH2、もしくは8の偽造防止カードとしての信頼性が非常に高いと思われたこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
(実施例3)
実施例1において、フォトポリマーシートへの紫外線照射のみを施して、加熱処理を施さずに、体積ホログラム形成層3をカード基材1上に積層し、この積層体を、表面鏡面仕上げのステンレス板で挟み込み、120℃、106Pa、及び120分の加熱、加圧、及び冷却処理を施したこと、及び、この表面鏡面仕上げのステンレス板の所定の位置に、あらかじめ精密機械切削方式にて、最大凹凸深さ20μm、ピッチ100μmの「SIN関数形状」の凹凸を二次元方向に形成した領域(なだらかな山と谷が縦、横に整列している形状。山の頂点と谷の底を含む平面で切り取ると、その断面形状が「SIN関数形状」となっていることを意味する。)を、8個の並べて形成した長方形領域(個々の長方形領域のサイズを、高さ4mmで幅2mmとし、それらの長方形領域の間隔を1mmとして、8個並べており、各々が「秘密情報」2形成部の各数字を覆う位置に配してある。)として形成していたこと、さらには、この処理によって、体積ホログラム形成層3の黒色層4が設けられている面とは反対の面の少なくとも一部が粗面状となっていたこと、以外は実施例1と同様にして、実施例3のスクラッチカードH3、または、8を得た。(図1及び図4参照。)
このスクラッチカードH3、もしくは8を、実施例1と同様に評価したところ、スクラッチの際、体積ホログラム形成層3の最表面にある凹凸(「粗面状」の部分6)に、コインがしっかりと引っかかって、スクラッチがスムースに実施できた(図示せず。)こと以外は実施例1と同様の良好な結果を得た。
(実施例4)
実施例1の体積ホログラム形成層3の黒色層4と接している面とは反対の面(体積ホログラム形成層3の露出している面)上に、昇華転写プリンターにて幾何学模様からなる黄色の地紋印刷7を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4のスクラッチカードH1、もしくは8を得た。(図1、図4及び図6参照。図1において、地紋印刷7は図示していない。図4において、「秘密情報」2を覆う層は、「3〜6」でなく、「3及び4」となる。)このとき、昇華転写プリンターの印字部分、すなわち、地紋印刷7の部分は、体積ホログラム形成層3に浸透しており、体積ホログラム形成層3の最表面と、地紋印刷7の表面は同一面を形成している。
このスクラッチカードH1、もしくは8を実施例1と同様に評価したところ、地紋印刷7が独特の風合いを呈して金色に観察されたこと、及び、コインでスクラッチしたところ、地紋印刷7と体積ホログラム形成層3及び黒色層4が同時に削れ、このスクラッチカードH1、もしくは8の偽造が、より困難と思われたこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
(比較例)
実施例1において、体積ホログラム形成層3を設けず、単純に、スクラッチ隠蔽層をカード基材1に設けたのみで、そのスクラッチ隠蔽層をカード基材1には埋め込まず、スクラッチカードを形成したこと以外は、実施例1と同様にして比較例のスクラッチカードを得た。
このスクラッチカードを実施例1と同様に評価したところ、スクラッチオフにより、「秘密情報」2を視認することはできたが、ホログラム再生像は一切、出現せず、通常のスクラッチカードであり、また、カード基材1から飛び出しているスクラッチ隠蔽層とカード基材1との隙間に爪を差し込むことで、スクラッチ隠蔽層が剥離可能と推定され、容易に偽造が可能と思われた。
H1〜H3、8 スクラッチカード
1 カード基材
2 「秘密情報」
3 体積ホログラム形成層
4 黒色層
5 接着層
6 「粗面状」の部分
7 地紋印刷

Claims (4)

  1. カード基材上に設けられた秘密情報を隠蔽するスクラッチカードであって、
    前記秘密情報を覆うように、黒色層及び体積ホログラム形成層がこの順序で設けられ、且つ、前記黒色層及び前記体積ホログラム形成層が前記カード基材に埋め込まれて、前記体積ホログラム形成層の最表面が、前記カード基材の表面と面一、または、前記カード基材の表面から凹んだ位置にあり、
    前記体積ホログラム形成層及び前記黒色層をスクラッチにより除去することにより、前記秘密情報が視認可能となることを特徴とするスクラッチカード。
  2. 前記カード基材と前記黒色層の間に、前記秘密情報を覆うように接着層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスクラッチカード。
  3. 前記体積ホログラム形成層の黒色層が設けられている面とは反対の面の少なくとも一部が粗面状となっていることを特徴とする請求項1または2に記載のスクラッチカード。
  4. 前記体積ホログラム形成層の黒色層が設けられている面とは反対の面の上に地紋印刷が設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のスクラッチカード。
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