JP3938634B2 - 情報隠蔽カード - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高い偽造防止効果を有する情報隠蔽カードに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、図10に示されるようにカード基材11上に隠蔽すべき情報を印字した情報印字層12と、剥離層13とを順次形成し、さらにこの剥離層13上にアルミペースト等からなる隠蔽層14を形成して、情報印字層に印字した文字情報を隠蔽した情報隠蔽カードが知られている。このカードは、隠蔽層を削ることで、情報印字層に印字した文字情報を認識することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成の情報隠蔽カードは、剥離層を剥離して情報を得た後に、再度隠蔽層を形成することにより、情報漏洩やカードの偽造が可能であるといった問題を有していた。
【0004】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものでり、偽造を容易に検出することができる情報隠蔽カードを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために本発明の情報隠蔽カードは、基材上の所定の領域に形成された情報印字層と、情報印字層を覆い隠す隠蔽層と、隠蔽層を剥離しやすくするために、隠蔽層の下地として、情報印字層上に形成された剥離層と、隠蔽層上と、少なくとも隠蔽層周囲の基材上とに連続して重なる偽造防止層と、を有し、偽造防止層は、地紋パターンあるいは万線パターンを印刷してなる印刷層であることを特徴とする。
【0006】
また、本発明にかかる情報隠蔽カードにおいて、剥離層の面積は、隠蔽層の面積と同じであるか、または該隠蔽層の面積よりも小さく形成されていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明にかかる情報隠蔽カードにおいて、剥離層は、所定のパターンに形成されていることを特徴とする。
【0009】
上記の剥離層は、所定のパターンに形成されているとよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に添付図面を参照して本発明の情報隠蔽カードの実施の形態を詳細に説明する。図1〜図9を参照すると本発明の情報隠蔽カードの好適な実施の形態が示されている。
【0011】
まず、図1を参照しながら本発明の情報隠蔽カードの第1の実施形態について説明する。図1に示されるように第1の実施形態の情報隠蔽カードは、カード基材1上に情報印字層2と、剥離層3と、隠蔽層4と、偽造防止層5とが設けられている。
【0012】
カード基材1の材質は加工性、印刷特性に優れたものが好ましい。紙材やポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタラート、ポリスチロール樹脂、アクリロニトリル、およびブタジエンとスチレンの共重合体からなる樹脂材料などを用いる。なお、紙材には、上質紙、コート紙、樹脂含浸紙等が用いられる。
【0013】
カード基材1上に直接形成される情報印字層2は、例えば、情報隠蔽カードをプリペイドカードに適用する場合に、使用者毎に割り当てられた暗証番号等を印刷する層である。なお、情報印字層は、カード基材上の任意の位置に、任意の大きさで設けてよい。
【0014】
隠蔽層4は、情報印字層2に印刷された情報を隠蔽するための層である。また、隠蔽層の下地として設けられる剥離層3は、情報印字層上に形成される隠蔽層を剥離しやすくするために設けられた層である。
【0015】
剥離層3は、カード基材上に形成された情報印字層の上面に、情報印字層の面積と略同一の面積で設けられている。また、隠蔽層4は、剥離層上と剥離層周囲のカード基材上とに連続するように形成している。このように剥離層より隠蔽層の面積を大きくした構成とすることにより、剥離層を下地に設けた領域の隠蔽層は容易に剥離することができるが、カード基材上に直接形成した領域の隠蔽層は剥離することが困難となる。
【0016】
下地に形成する剥離層と隠蔽層との組み合わせとしては、例えば、隠蔽層をポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂などの汎用樹脂と、アルミペーストと、キシレン、セロソルブアセテート、イソホロンなどの溶剤とを混合したシルバーインキで形成する場合、剥離層をシリコン系樹脂と、キシレン、セロソルブ、イソホロンなどの溶剤と、硬化剤とを混合したインキを用いて形成することにより、隠蔽層が剥離しやすくなる。なお、この隠蔽層及び剥離層は、上述したインキを用いてシルクスクリーン印刷により形成される。
【0017】
偽造防止層5は、情報隠蔽カードの偽造を防止するために隠蔽層上に微細パターンを印刷した層である。この微細パターンは、図2のAに示されるような地紋パターン、または図2のBに示されるような万線パターンなどが適用される。このような微細パターンを、図1に示されるように隠蔽層上と隠蔽層周囲のカード基材上とに連続するように形成する。または、隠蔽層上に重なり、カード基材の全面を覆うように設けてもよいし、図2に示されるように隠蔽層と隠蔽層周囲のカード基材上とに連続し、隠蔽層を部分的に覆うように設けてもよい。なお、偽造防止層を隠蔽層上と隠蔽層周囲のカード基材上とに連続し、隠蔽層を部分的に覆うように設ける場合には、偽造防止層を剥離しなければ、情報印字層に印字された情報の全て見ることができないように設ける必要がある。
【0018】
上記構成の情報隠蔽カードを購入した購入者は、情報印字層に印刷された暗証番号等の文字情報を視認するために隠蔽層及び偽造防止層を削るなどの方法により剥離する。この時、図3または図4に示されるように下地に剥離層3を設けた領域の隠蔽層と偽造防止層だけが剥離され、カード基材上に直接形成した領域の隠蔽層と偽造防止層は剥離できずに残ることとなる。
【0019】
従来の情報隠蔽カードは、図10に示されるように情報印字層上に情報印字層の面積と略同一、もしくは情報印字層の面積よりも小さい面積で剥離層を設け、さらに、その上面に隠蔽層を設けて情報を隠蔽しただけの構成であったため、隠蔽層を剥離して情報印字層に印字された文字情報を視認してから隠蔽層を再形成することで、何の痕跡も残さずに容易に情報隠蔽カードを偽造することが可能であった。
【0020】
そこで、本実施形態は、カードの偽造防止対策として、図1に示されるように隠蔽層4を剥離層3と剥離層周囲のカード基材とに連続して形成している。また、隠蔽層上に偽造防止層5を、隠蔽層4と少なくとも隠蔽層周囲のカード基材上とに連続して形成している。また、この偽造防止層5に図2に示された偽造防止効果の高い地紋パターン、または万線パターンからなる微細パターンを採用している。
【0021】
上述した偽造防止対策を施すことにより、下地に剥離層を設けた領域の隠蔽層と偽造防止層は容易に剥離することができるが、カード基材上に直接形成した領域の隠蔽層は容易には剥離することができず、無理に剥離しようとすると、カード基材表面が破損される。従って、例えば、情報隠蔽カードの偽造を図ろうとする者が、剥離層を下地に設けた領域の隠蔽層及び偽造防止層と、カード基材上に直接形成した隠蔽層及び偽造防止層を剥離して、偽造カードを製造しようとしても、カード基材上に直接形成した隠蔽層と偽造防止層は、下地に剥離層がないので、図4に示されるようにカード基材上に直接形成した領域の隠蔽層と偽造防止層とが部分的に残ることとなる。このような状態からカード基材上に隠蔽層と偽造防止層とを再形成しても、剥離部分と一致する様に再形成することは困難である。
【0022】
また、偽造防止層5に図2に示された地紋パターン、または万線パターンからなる微細パターンを採用することにより、例えば、偽造カードを偽造しようしても、残存する偽造防止層の微細パターンと一致する微細パターンを再形成することは非常に困難なこととなる。従って、図6に示されるように偽造防止層の微細パターンにずれが生じる。
【0023】
さらに、図5に示されるように再形成した隠蔽層と偽造防止層が剥離部分の面積よりも大きい場合には、残存している隠蔽層と偽造防止層とに重なり、凹凸ができてしまう。また、剥離された部分の面積より小さく形成すると再形成部分と残存部分とが不連続になる。
【0024】
このように本実施形態は、隠蔽層を剥離層と剥離層周囲のカード基材とに連続して形成し、また、偽造防止層を地紋パターン、または万線パターンからなる微細パターンを印刷して形成することにより、残った隠蔽層と偽造防止層によりカードの表面に凹凸ができる、再形成部分と残存部分との間が不連続になる、微細パターンが一致しないなど偽造カードであると識別することができる点が明瞭になる。従って、偽造カードであるか否かの判別を容易に行うことができる。
【0025】
次に上述した第1の実施形態の情報隠蔽カードの変形例について説明する。
【0026】
この変形例では、上述した第1の実施形態で採用した微細パターンからなる偽造防止層5に変えて、ホログラム箔からなる偽造防止層を設けている。このホログラム箔からなる偽造防止層を、隠蔽層上と隠蔽層周囲のカード基材上とに連続するように形成する。または、隠蔽層上に重なり、カード基材の全面を覆うように設けてもよいし、図2に示されるように隠蔽層と隠蔽層周囲のカード基材上とに連続し、隠蔽層を部分的に覆うように設けてもよい。なお、偽造防止層を隠蔽層上と隠蔽層周囲のカード基材上とに連続し、隠蔽層を部分的に覆うように設ける場合には、偽造防止層を剥離しなければ、情報印字層に印字された情報の全て見ることができないように設ける必要がある。
【0027】
上記構成の情報隠蔽カードを購入した購入者は、情報印字層に印字された文字情報を視認するためには、隠蔽層と一緒にホログラム箔からなる偽造防止層を剥離しなければならない。一度ホログラム箔を剥離してしまうと、ホログラム箔の入手は困難であるので、カードを偽造することができなくなる。
【0028】
また、ホログラム箔を入手することができたとしても、第1の実施形態にて説明したように、残っている部分と一致するように隠蔽層及び偽造防止層を再形成するのは困難である。従って、例えカードが偽造されたとしても、容易に偽造カードであると判断することができる。
【0029】
次に図7を参照しながら本発明の情報隠蔽カードの第2の実施形態について説明する。図7に示されるように第2の実施形態の情報隠蔽カードもカード基材1上に、情報印字層2と、剥離層3と、隠蔽層4と、偽造防止層5とが設けられている。
【0030】
この第2の実施形態は、図7に示されるように情報印字層の情報に重なり合わない領域に、剥離剤を塗布する箇所と、塗布しない箇所とを設けて、剥離剤を塗布しなかった箇所には、隠蔽層を直接カード基材上に形成している。
【0031】
上述した偽造防止対策を施すことにより、剥離層周囲のカード基材上に形成した隠蔽層に加えて、図8に示されるように情報印字層上に形成した隠蔽層にも剥がすことができない領域ができる。このように隠蔽層と偽造防止層とが複雑に残存した状態からカード基材上に隠蔽層と偽造防止層とを再形成しても、剥離部分と一致する様に再形成することはさらに困難となり、図9に示されるように再形成した隠蔽層と偽造防止層が剥離部分の面積より大きい場合、残存している隠蔽層と偽造防止層とに重なり、凹凸ができてしまう。また、剥離された部分の面積より小さく形成すると再形成部分と残存部分とが不連続になる。
【0032】
また、露出した情報印字層の周囲を囲むすべての微細パターンに合致する微細パターンを形成しなければならず、再形成した偽造防止層の微細パターンと、残っている偽造防止層の微細パターンとを一致させることは非常に困難となる。従って、偽造したカードであるか否かの判断を容易につけることができる。
【0033】
このように剥離層を情報印字層の上面全面に形成するのではなく、情報印字層の情報が印字された領域以外の領域では、剥離層と隠蔽層を分けて形成することにより、情報隠蔽カードの偽造防止効果をさらに高めることができる。
【0034】
また、第2の実施形態の変化例として、微細パターンからなる偽造防止層に代えてホログラム箔からなる偽造防止層を隠蔽層上に設けてもよい。ホログラム箔の入手は困難であるので、カードの偽造を防止することができる。
【0035】
次に、上述した実施形態の製造手順について説明する。
所定のデザイン等印刷が施されたカード基材の所定の位置に隠蔽される情報を印字する。次に、情報を印字した情報印字層上に、情報印字層の面積と略同一の面積の剥離層をシルクスクリーン印刷にて形成する。次に、剥離層上と剥離層周囲のカード基材上とに連続する隠蔽層をシルクスクリーン印刷にて形成する。その後、微細パターンからなる偽造防止層を隠蔽層上と少なくとも隠蔽層周囲のカード基材上とに連続するようにシルクスクリーン印刷にて形成する。または、ホログラム箔からなる偽造防止層を隠蔽層上と少なくとも隠蔽層周囲のカード基材上とに連続するように転写して形成する。
【0036】
次に、本発明の具体例を示す。
上述した製造工程に従って、以下に示すカード基材及びインキを用いて情報隠蔽カードを製造した。
【0037】
実施例1
〔カード基材〕
東レ株式会社製、商品名 E−22 ポリエステルフィルム
〔剥離性インキ〕(シルク印刷)
帝国インキ株式会社製、商品名 2000メジウム
〔シルバーインキ〕(シルク印刷)
帝国インキ株式会社製、商品名 RVB−484 シルバー
〔万線・地紋インキ〕(シルク印刷)
帝国インキ株式会社製、商品名 RVB−7090 赤
【0038】
実施例2
〔カード基材〕
東レ株式会社製、商品名 E−22 ポリエステルフィルム
〔剥離性インキ〕(シルク印刷)
帝国インキ株式会社製、商品名 2000メジウム
〔シルバーインキ〕(シルク印刷)
帝国インキ株式会社製、商品名 RVB−484 シルバー
〔ホログラム箔〕
熱転写式ホログラム
【0039】
なお、上述した実施形態は、本発明の好適な実施の形態である。但しこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。
【0040】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように本発明の情報隠蔽カードは、基材上の所定の領域に形成された情報印字層と、情報印字層を覆い隠す隠蔽層と、隠蔽層を剥離しやすくするために、隠蔽層の下地として情報印字層上に形成された剥離層と、隠蔽層上と、少なくとも隠蔽層周囲の基材上とに連続して形成された偽造防止層とを有して構成され、偽造防止層を地紋パターンあるいは万線パターンを印刷してなる印刷層としたことにより、情報印字層に印刷された情報を視認してから、再度この領域に隠蔽層と偽造防止層を形成して情報隠蔽カードを偽造しようとしても、再形成した偽造防止層の地紋パターンまたは万線パターンと、情報印字層の周囲に剥離できずに残された偽造防止層の地紋パターンあるいは万線パターンとにずれが生じる。従って、偽造カードであるか否かの判別を容易に行うことができる。
【0041】
また、偽造防止層をホログラム箔層とした場合、情報印字層に印字された情報を視認するために一度ホログラム箔層を剥離すると、ホログラム箔の入手は困難であるので、情報隠蔽カードの偽造を防止することができる。
【0042】
また、剥離層の面積を、隠蔽層の面積と同じであるか、またはそれより小さく形成することにより、剥離層を下地に設けた領域の隠蔽層及び偽造防止層は容易に剥離することができるが、基材上に直接形成した領域の隠蔽層及び偽造防止層は無理に剥離しようとしても剥離することが困難となる。従って、隠蔽層及び偽造防止層を再形成して情報隠蔽カードを偽造しようとしても、残った隠蔽層と偽造防止層によりカードの表面に凹凸ができる、再形成部分と残存部分との間が不連続になる、微細パターンが一致しないなど偽造カードであると識別することができる点が明瞭になる。従って、偽造カードであるか否かの判別を容易に行うことができる。
【0043】
また、剥離層を所定のパターンに形成することにより、情報印字層上に形成された隠蔽層に剥離しやすい領域と剥離できない領域とができる。従って、情報印字層に印字された情報を視認するために隠蔽層と偽造防止層を剥離すると、隠蔽層と偽造防止層とが複雑に残ることとなる。従って、この状態から情報隠蔽カードを偽造しようとしても、再形成した偽造防止層の微細パターンと、複雑に残った偽造防止層の微細パターンとにずれが生じる、残った隠蔽層と偽造防止層によりカードの表面に凹凸ができるなど偽造カードであると識別することができる点が明瞭になる。従って、偽造カードであるか否かの判別を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の情報隠蔽カードの第1の実施形態の構成を表す断面図である。
【図2】偽造防止層に印刷される微細パターンの例を表す図である。
【図3】情報印字層上に形成した隠蔽層及び偽造防止層を剥離した状態を表す図である。
【図4】情報印字層上に形成した隠蔽層及び偽造防止層を剥離した状態を表す断面図である。
【図5】偽造した情報隠蔽カードに表れる特徴を表す図である。
【図6】偽造した情報隠蔽カードに表れる特徴を表す図である。
【図7】本発明の情報隠蔽カードの第2の実施形態の構成を表す断面図である。
【図8】情報印字層上に形成した隠蔽層及び偽造防止層を剥離した状態を表す図である。
【図9】偽造した情報隠蔽カードに表れる特徴を表す図である。
【図10】従来の情報隠蔽カードの構成を表す断面図である。
【符号の説明】
1 カード基材
2 情報印字層
3 剥離層
4 隠蔽層
5 偽造防止層

Claims (3)

  1. 基材上の所定の領域に形成された情報印字層と、
    前記情報印字層を覆い隠す隠蔽層と、
    前記隠蔽層を剥離しやすくするために、該隠蔽層の下地として、前記情報印字層上に形成された剥離層と、
    前記隠蔽層上と、少なくとも該隠蔽層周囲の基材上とに連続して形成された偽造防止層と、を有し、
    前記偽造防止層は、地紋パターンあるいは万線パターンを印刷してなる印刷層であることを特徴とする情報隠蔽カード。
  2. 前記剥離層の面積は、前記隠蔽層の面積と同じであるか、または該隠蔽層の面積よりも小さく形成されていることを特徴とする請求項記載の情報隠蔽カード。
  3. 前記剥離層は、所定のパターンに形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の情報隠蔽カード。
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