JP6398188B2 - 隠ぺいホログラムシート - Google Patents

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本発明は、一見しただけでは、立体的な再生像など、「ホログラム」が有する「特異な視覚効果」を視認できず、「所定の処置」を施すことで初めて鮮明なホログラムが出現する、すなわち、その「ホログラム」によって再生される「ホログラム再生像」が視認可能になる、隠ぺいホログラムシートに関する。
特には、その「所定の処置」によって、「ホログラム層」の「最表面」が露出し、さらには、その「最表面」が「光学的な鏡面」であって、その「最表面」を通して出現するホログラム再生像が非常に鮮明な像として視認できるホログラムシートに関し、隠ぺいしている層が剥離できるという意外性を持つとともに、出現するホログラム再生像の鮮明性(輝度や、コントラスト比が大きく、ボケが少ないこと。)並びに再現性(再生像に歪み、輝度ムラや色ムラがないこと。)に優れる、隠ぺいホログラムシートに関する。
また、本発明の隠ぺいホログラムシートは、その「隠ぺい層」の下に、「秘密情報」を担持し、一旦、「隠ぺい層」を剥離してしまうと、最早、復元不可能となるため(再び、その「秘密情報」を覆うように、本発明の機能を有する「隠ぺい層」を設ける、もしくは、再接着させることが困難であることを意味する。)、本発明の隠ぺいホログラムシートを使用する権利を有する者に届くまでの流通過程等において、その「秘密情報」を盗み見した者が存在しないであろうことを保証することができる。
この場合、その「隠ぺい層」を「ホログラム層」から「物理的に剥離」すると、秘密情報に重なる形で、鮮明なホログラム再生像が現れ、意匠性に優れると同時に、偽造品や変造品に対する真偽判定を容易とし、且つ、その偽造や変造を非常に困難とすることができる隠ぺいホログラムシートとすることができる。
さらには、「ホログラム層」の両面を覆う二つの「隠ぺい層」の両方を「物理的な剥離」によって剥離した後は、露出した「ホログラム層」の二つの面のいずれもが、「光学的な鏡面」となっており、その「ホログラム層」を透過して視認できる「背景」をも鮮明に観察できるとともに、「ホログラム層」を透過照明する照明光に対しても、非常に鮮明なホログラム再生像を視認可能とするものである。そして、このように「光学的な鏡面」をその両面にもつ「ホログラム層」は、その「最表面」が空気中の湿気で曇ったり、空気中に露出することで酸化したり、また、人の手や指などとの接触によって指紋や油の不着等、不要な汚染を受けず、結果として、「歪みやムラ無く、『設計した光学的機能』通りの光学的機能を発揮することが求められる『光学素子』」として利用できるレベルの「性能」を有することから、「光学素子系」の一部品として、または、非常に高い精度、すなわち、高度の信頼性が要求される偽造防止システムの一要素として利用できるものとなっている。しかも、「ホログラム層」によって再生される「ホログラム再生像」は、その二つの「隠ぺい層」を「物理的な剥離」によって剥離するまで視認することはできないため、その「ホログラム再生像」すなわちホログラムデザインの高い秘匿性をも確保している。
本発明において、「第一隠ぺい層」または「第二隠ぺい層」に用いられる、「隠ぺい層」とは、その「隠ぺい層」によって覆われた、すなわち、視認する観察側からみてその「隠ぺい層」の背後にある、「ホログラム層」の存在を隠ぺいすることを目的として設けられた「層」であって、且つ、その「隠ぺい層」を、以下に説明する手段を用いて「物理的に剥離」することができ、さらに、その「『隠ぺい層』の『ホログラム層』からの『物理的な剥離』」後には、その「ホログラム層」の最表面(「ホログラム層」の二つの面のうち、「『ホログラム層』によるホログラム再生像」を観察する側の面を意味する。)が「空気」中に露出して、その最表面自体が「ホログラム層」と「空気」との「界面」をなし、その上、その最表面そのものが、「光学的な鏡面」となっている、ことを実現可能な「層」である。
この「隠ぺい層」には、樹脂材料等の有機材料系が主として用いられるが、上記の特徴を満足可能であれば、金属薄膜や、金属化合物薄膜(酸化物、窒化物等。)などの無機材料系を用いることもできる。
その有機材料系としては、「ホログラム層」との界面の剥離強度(JIS Z0237準拠の180°による剥離方法による。)が、1.0kg/25mm幅以下であって、且つ、「ホログラム層」によるホログラム再生像の発現を抑制して、その再生像の視認を阻止する性質を有するものが用いられる。
例えば、樹脂材料そのものが可視光に対する不透明性を有し、且つ、上記の剥離強度を満足する、結晶性プラスチック材料や配向処理プラスチック材料を用いることができる。
または、隠ぺい性の高い顔料である二酸化チタンなどの白色顔料や、光遮蔽性に優れる鱗片状金属薄膜材料(鱗片状アルミニウムなど)を、上記の剥離強度を満足する範囲で、適宜な樹脂材料であるウレタン樹脂や、塩化ビニル樹脂等に分散し混入させた材料を用いることができる。
さらには、ホログラムの再生原理より、ホログラムを照明する照明光が「散乱光」(すなわち、「ホログラム層」の最表面に対して、「あらゆる角度」から入射する光。その光の波長域も「あらゆる波長」を含む可視光全域である場合が多い。)であった場合には、その個々の角度の入射光に対して、対応する個々の角度へホログラム再生像が個々結像するため、それらのホログラム再生像が連続的に重なり合って、何らの再生像をも視認できなくなることを利用して、「ホログラム層」への入射光を「散乱光」に変化させる機能をもたせることで「隠ぺい層」とすることができる。
このような「隠ぺい層」には、無機超微粒子顔料や有機超微粒子顔料を適宜な樹脂材料に高度に分散させた材料、樹脂材料中にその樹脂の屈折率とは異なる屈折率を有する「別の樹脂」を「紛体状」として分散させた材料、樹脂材料とは相溶性の低い「別の樹脂」を適宜な溶剤にて相溶させた後その溶剤を徐々に蒸発させて「別の樹脂」をその樹脂材料内に「微結晶状として析出」させた材料、さらには、樹脂材料中に多数の気泡(空洞を意味する)を有する材料などを用いることができる。これらの材料は、ヘーズ(JIS K 7136:2000準拠)で20%以上の「層」を形成することができ、好適である。
また、体積ホログラム層を隠ぺいする場合には、体積ホログラムの記録及び再生原理より、その体積ホログラム層から体積ホログラム再生像を再生可能な光の波長が限定されるため(以下、この「光の波長」及び「光そのもの」を「特定波長」及び「特定波長光」とする。)、この「特定波長」を選択的に吸収する「染料」や「顔料」を含めた樹脂材料を用いて、「隠ぺい層」とすることができる。すなわち、「染料」や「顔料」の光吸収曲線のピークが、この「特定波長」と同一、もしくは、「特定波長」に対して±10%にある、「染料」や「顔料」を適宜な割合で配合した樹脂材料を適宜な厚さで形成した「隠ぺい層」に、自然光等の照明光を照射しても、この「隠ぺい層」を通過する際に、「特定波長光」が全て吸収され、体積ホログラム再生像の出現が阻止されることとなる。
ただし、上記したいずれの材料系を用いる場合においても、それらの材料系を用いて「ホログラム層」上に形成した「隠ぺい層」が、「ホログラム層」から「物理的な剥離」をすることができ、且つ、その「物理的な剥離」後の「ホログラム層」の露出した「最表面」を「光学的な鏡面」とすることができるように、「ホログラム層」と「隠ぺい層」の界面における「相互作用」の小さい、すなわち、「両層に用いられる材料間の相溶性が高く、その界面において、両層の材料が混ざり合う」、「『隠ぺい層』に用いられる溶剤が『ホログラム層』の表面を劣化する」、「『隠ぺい層』に用いられる材料が『ホログラム層』の表面に対して『濡れ易く(隠ぺい層に用いられる材料の表面張力より、ホログラム層に用いられる材料の表面張力の方が小さい。)』、両層間の接着強度が大きい」などの「相互作用」を抑制できるものを選定する必要がある。
本発明における「第一隠ぺい層」または「第二隠ぺい層」に用いられる、「隠ぺい層」には、以下に説明する「スクラッチ隠蔽層」を採用することができる。
「スクラッチ隠蔽層」は、爪やコイン等を用いて、容易に、「物理的な剥離」をすることができ、好ましい。
本発明において、「物理的な剥離」とは、爪やコイン等の「隠ぺい層」より硬度の大きい材料を用いて、その「隠ぺい層」を物理的に削り取り、「ホログラム層」の最表面を露出させること(この場合には、「硬度の大きい材料を用いて、「最表面」を磨き上げることとなる。)、または、「隠ぺい層」を指で持ち上げたり、「隠ぺい層」に粘着テープを貼着した後その粘着テープを「90度剥離」したり(90度垂直方向へ引っ張ることを意味する。)、「180度剥離」して、「隠ぺい層」と「ホログラム層」との界面における剥離(「界面剥離」ともいう。)を生じさせるなど、種々の物理的な手段を用いて、このような「界面剥離」を生じさせて「ホログラム層」の最表面を露出させること、及び、これらの手段の併用、さらには、あらかじめ、「隠ぺい層」と「ホログラム層」との間に「空隙」を設けておき、「隠ぺい層」を「ホログラム層」から分離することで、その「最表面」を露出させることなどを意味する。
また、「隠ぺい層」を加熱して軟化させ、「界面剥離」し易くしたり、「隠ぺい層」と「ホログラム層」との間に、その「界面剥離」を助長する「層」(「剥離助長層」。界面張力の非常に小さいシリコン樹脂等からなる「層」などを例示できる。)を設けることなどして、「界面剥離」し易くすることも好適である。
このような「物理的な剥離」を用いることで初めてその剥離界面である「最表面」を下記するような「光学的な鏡面」とすることができる。
従って、白濁状態にある「隠ぺい層」を加熱等により「透明化」したり(この場合には、「最表面」が露出せず、また、「層」内に屈折率分布が残存して「空気中」のような光学的な透明)状態とはならない。)、「隠ぺい層」として設けた金属薄膜層を部分的に加熱蒸発させることは(この場合には、不透明な金属薄膜材料が「最表面」上に残留してしまう。)、この「物理的な剥離」に該当しない。また、「ホログラム層」に接して「液晶層」を設け、「液晶層」の光シャッター機能を利用して「ホログラム層」を遮蔽したり出現させたりすることも、同様に、「物理的な剥離」には該当しない。
本発明において、「光学的な鏡面」とは、「ある層」の表面の平滑性が、実質的に、平均表面粗さRaで、0.01μm〜0.1μmであることを意味する。また、ホログラムレリーフ面のような三次元曲面において、「光学的な鏡面である」とは、その曲面が、あるべき曲面から逸脱するような不規則な凹凸の無い「滑らかな面」であることを言い、敢えて定義すれば、「その三次元曲面において、微視的領域であってその領域内ではほぼ平面と近似できる極く小さな面領域における平均表面粗さRaの値が、どの微視的領域においても0.01μm〜0.1μmであること」と定義できる。
本発明においては、「ホログラム層」の「最表面」となる「第一面」及び/又は「第二面」が、「光学的な鏡面」となる表面である。
すなわち、第一ホログラムや第二ホログラムが、「反射型ホログラム」として「ホログラム層」に記録されている場合には、第一ホログラムが記録されている「ホログラム層」が、「第一隠ぺい層」と接している「面」であって、この「面」を通して第一ホログラム再生像を視認できる「面」が「第一面」であり、第二ホログラムが記録されている「ホログラム層」が、「第二隠ぺい層」と接している「面」であって、この「面」を通して第二ホログラム再生像を視認できる「面」が「第二面」である。
また、第一ホログラムや第二ホログラムが、「透過型ホログラム」として「ホログラム層」に記録されている場合には、第一ホログラムが記録されている「ホログラム層」が、「第二隠ぺい層」と接している「面」であって、この「面」を通して第一ホログラム再生像を視認できる「面」が「第二面」であり、第二ホログラムが記録されている「ホログラム層」が、「第一隠ぺい層」と接している「面」であって、この「面」を通して第二ホログラム再生像を視認できる「面」が「第一面」ということとなる。
本発明において、「スクラッチ隠蔽層」とは、
インキ組成物として、ゴム系天然樹脂、ジエン系樹脂、アクリル系樹脂や、ビニル系樹脂を樹脂成分とし、隠蔽性とスクラッチ性を得るために、金属系微粉末やそれらの酸化微粉末等の顔料成分を固形分全体の20〜80%の割合で含有するものを用い、この組成物を適宜な溶剤で希釈したものを、「ホログラム層」上に、その「ホログラム層」の最表面の「光学的な鏡面」性を劣化させることなく、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、凹版印刷方式、インクジェット印刷方式等の中から、適宜な印刷方式を用い、乾燥後の厚さとして、5μm〜50μmの厚さで形成した「隠ぺい層」であって、印刷適性とスクラッチ性との双方を満足させることが容易であり、且つ、「スクラッチ隠蔽層」を「スクラッチ」した後の「最表面」を「光学的な鏡面」とすることができる「隠ぺい層」である。
ここで、「スクラッチ」とは、「物理的な剥離」の一種であって、コインや爪等によって「対象となる層」を削り取ることで、「対象となる層」を部分的、もしくは、全面的に除去する行為を意味する。特に、「対象となる層」の背後にあるものを視認することが目的であるため、「部分的な削り取り」であっても、「削り取った領域」においては、「対象となる層」の全てを、削り残し無く、除去することとなる。(この以下、このスクラッチ操作を「スクラッチオフ」とも言う。)
本発明において、「秘密情報」とは、「その秘密情報を知り得る正当な権利者にのみ開示されるべき情報」を意味し、その「秘密情報」を「ホログラム層」上に設ける手段は、適宜な印刷方法や、「個別情報」を形成できるインクジェット方式を用いた方法、さらには、レーザー印字等、その「情報」としての文字、図形、記号、その他の、少なくとも目視認識可能な、あらゆる「情報」を形成可能な方法を用いることができるものである。
もちろん、この「秘密情報」と、隠ぺいホログラムシートが担持する別の「情報」(ホログラム再生像そのもの「情報」を含み、一般的に形成された他の「情報」。秘匿されていても開示されていてもよい。)との単なる組み合わせや、それらの「情報」を各種の情報合成手段等(秘密鍵方式、公開鍵方式等を含む暗号化/複合化処理方式や、共通鍵方式に用いられるDES:Data Encryption Standard暗号、トリプルDES暗号、さらには、『AES:Advanced Encryption Standard』暗号化処理も含まれる。)により合成して、「正当な権利者に開示される情報が形成される」ものであってもよい。
本明細書において、配合を示す「部」は特に断わらない限り質量基準である。また、 「ホログラム」は、回折格子などの光回折性機能を有するものも含む。
(主なる用途)
一般に、ホログラムは、立体的な再生像を出現することが可能など、その特異な視覚効果を提供できることから、単純な用途としては、「美術品」としてホログラム単体で、もしくは、「装飾」目的で、あらゆる物品上に設けられ、その付加価値を高めることなどに用いられてきた。
また、より高度な用途としては、その特異な視覚効果が容易には再現できないことを利用して、物品上に設けられたホログラムの存在そのものをもって偽造や変造を防ぐという「偽造防止」目的で用いられてきた。
本発明の隠ぺいホログラムは、このような従来のホログラムの用途をさらに「高度なもの」(その付加価値がより高くなるという意味。)とするため、一見しただけでは、ホログラムが存在しないかのごとく認識させ、比較的簡単な手段を用いて、すなわち、所定の処置を施すことで、鮮明なホログラムが出現するという、意外性と装飾性を併せ持つ用途 や、より高度な偽造防止性を必要とする用途に用いられる。
特に、「ホログラム」に「秘密情報」を含ませて、サービス提供のツールとする用途が、益々拡大傾向にある。
近年、通信網やコンピュータネットワークの普及に加え、データを送受信するコンピュータ端末の普及及びその携帯化が進むとともに、わが国においても第三次産業の占める割合が急速に伸び、様々な業者、さらには、公的機関によっても、様々なサービスの提供が行われている。
第三次産業とは、情報通信業、運輸業、郵便業、卸売業、小売業、金融業、保険業、不動産業、物品賃貸業、学術研究または専門技術サービス業、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業、教育または学習支援業、医療または福祉関連、電気事業、ガス事業、熱供給事業、水道業、公務、理容美容関連、複合サービス業、レジャーサービス、レンタルサービス、アウトソーシングサービス、交通サービス、外食サービス、エネルギー、エンターテインメント、コンサルティング、その他サービス業と位置づけられているが、このような第三次産業に携わる業者や公的機関は、物品の販売のみならず、特定のサービスの提供によっても対価を得ているため、物品を販売する形態とは異なる形態によっても、顧客や消費者へのサービス提供、もしくは、顧客や消費者(以下、顧客等ともいう。)からの料金や対価(以下、料金等ともいう。)の回収を行っていることが多い。
また、これらの付加価値の対象である「物品」そのものや、上記した様な種々の「サービス」を受けることができる「資格」や「権利」を顧客に付与するもの、すなわち、それらの付加価値の受領、または、利用を要求している者が、正当な「資格」、または、「権利」を保有している者であるか否かを判定する媒体として、各種のカード類が広く一般的に用いられている。
これらのカード類には、価値情報や識別情報が、基材に印字または印刷表示した絵柄や文字情報として記録され、また、基材上に設けられた磁気記録部または光学記録部、場合によってはICチップに機械読み取り情報として記録されており、用途に応じた様々な情報を保持し、様々な場面でそれらの情報を利用可能とするものである。
また、従来より、イベントくじやゲーム用カード等において、秘密情報である、例えば、「あたり」又は「はずれ」に相当する絵柄や文字や番号などのくじの結果をスクラッチが可能な隠蔽層で一時的に隠蔽した後、このスクラッチが可能な隠蔽層を爪やコインなどで擦ることで、その隠蔽層の下に表示された秘密情報の内容を見ることができるようにしたスクラッチが可能な隠蔽層付き印刷物が知られている。
このような「スクラッチ方式」の普及により、その「秘密情報」として、単純な「あたり」または「はずれ」の文字や、シリアルナンバー等の番号類のみならず、バーコードや二次元バーコード等の機械認識コード類、顧客データ、メッセージ等、あらゆる語句や記号、もしくは特定のマーク等の図形を固定もしくは可変で構成するもの、さらには、これらの「情報」が発色機構や消色機構を利用して浮き出るものや、特定の光源によってのみ、その「秘密情報」を読み取ることができるものなども提案されている。
(先行技術)
本出願人は、特開平5−342428号公報(特許文献1)において、磁気カード上にホログラム層を設け、そのホログラム層を「隠ぺい層」で覆う技術を開示している。
しかしながら、この「隠ぺい層」は、「ホログラム層」に固着されており、しかも、「ホログラム層」に対して、その「隠ぺい層」を透過する赤外線を照射して、その「ホログラム層」による赤外線回折光を検知するものであって、立体再生像等、意匠性の高い目視可能なホログラム再生像を観察可能とするものでなく、意匠性のみならず、その意外性をも劣るものであった。
さらに、本出願人は、特開2012−200972号公報(特許文献2)において、透明基材上に設けたレリーフホログラム層に対して、そのホログラム層と屈折率が同一、または、その屈折率差が0.1以下である「疑似接着層」を覆うように設けて、あたかも、レリーフホログラム層が存在しないかのごとく観察されるシートを開示している。
そして、この「疑似接着層」を「ホログラム層」から剥離することで、レリーフホログラム層が露出し、レリーフホログラム層による、レリーフホログラム再生像を視認できるようになるというものであるが、そもそも「疑似接着層」は、光学的に遮蔽効果を持つ、いわゆる、隠ぺい層ではなく、また、この「疑似接着層」は「ホログラム層」を折り曲げて固定する目的で「接着」しているため、「ホログラム層」から「疑似接着層」を剥離した後の、「ホログラム層」の表面は、接着層の残渣が残り、「光学的な鏡面」とはなっていない。しかも、可視光波長域の全域にわたって、異なる樹脂系からなる層の屈折率を同一、もしくは、その屈折率差を0.1以下とすることは技術的にも高度であり、その実現にはかなりの困難を伴うものであって、さらには、体積ホログラムを想定した技術開示でない。そして、最終的には、情報担持体で挟み込むことで、結果として、「疑似接着層」や「ホログラム層」の存在を一時的に秘匿することも開示されているが、情報担持体そのものは一般的なものでよく、本発明のごとく種々な機能を満足することが求められる「隠ぺい層」を想起させるものでない。
さらに、「秘密情報」の隠ぺい技術について以下に説明する。
近年、銀行口座からの自動引き落としや、信販会社を介した決済という方法は、非常に堅実な方法ではあるが、事前の手続きが面倒で、また、サービスの利用開始までに時間がかかるという問題があるため、非常に手軽であり、且つ、有効な方法である、プリペイドカードを用いた料金回収方法(いわゆる「プリペイドカード方式」)が拡大した。
しかし、磁気的に残存対価を記録する方式を採っているプリペイドカードの磁気的な記録の改竄による不正利用が蔓延する結果となり、従来の磁気記録を利用した「プリペイドカード方式」は、安全性の面で些か問題があるのではないかとの認識が広がった。
このような理由も追い風となり、カードそのものには金額等の記録を保持せず、「認証番号等」のみを「秘密情報」として保持させて、そのカードを購入した者がその「番号等」を「申告する」ことにより種々のサービスを受けることができるという新規な「プリペイドカードサービス」が普及した。この「番号等」は、「秘密情報」として秘匿するために、スクラッチが可能な隠蔽層等により隠蔽されているため、従来の磁気型プリペイドカードに対して、番号型プリペイドカードとも呼ばれる。
そして、その付加価値のある「秘密情報」を隠ぺいする技術として、「秘密情報」が設けられたカード等の「基材」に対して、その「秘密情報」を覆うようにスクラッチラベルを貼着して、その「秘密情報」を第三者に対して秘匿し、その「秘密情報」の開示を受けられる正当な権利を有する者のみが、そのスクラッチラベルのスクラッチ隠蔽層をスクラッチして初めて、その「秘密情報」を確認することができるようにするものが出現した。
この目的を達成するための技術として、特許文献3には、カードそのものには金額等の記録を保持せず、「認証番号等」のみを秘密情報として保持させて、そのカードを購入した者がその「番号等」を「申告する」ことにより種々のサービスを受けることができる、これらのプリペイドカードサービスとして、この「番号等」を、秘密情報として秘匿するために、スクラッチが可能な隠蔽層等で隠蔽する技術が開示されている。
また、インスタント抽選券、秘密情報伝達カード、クイズカード等で、一時的に秘密にしたい情報をシート上にプリンター等で印字表示し、それらの秘密情報表示部の上層に引っ掻くことで破壊されるスクラッチ可能な隠蔽層を形成させてなる「スクラッチカード」が既に広く用いられているが、これらのスクラッチ可能な隠蔽層は、比較的容易に入手できる原料から形成することが可能であるため、偽造や変造を行うことも容易である。
例えば、販売前の段階において、販売関係者が宝くじ等のインスタント抽選券のスクラッチ可能な隠蔽層を一旦引っ掻いて剥離し、抽選番号を見て当たりの抽選券と外れの抽選券を事前に確認して判別しておき、再度抽選番号の表示部分上にスクラッチ可能な隠蔽層を再形成することで、見かけ上、元の状態に戻しておき不正行為が行われたことを気づかれないようにカムフラージュし、当たりの抽選券を知り合いに販売することで特定の客に儲けさせる等の不正行為を働くことも物理的に可能であるため、この対策として、スクラッチ可能な隠蔽層に香料を含んだマイクロカプセルを入れ、真偽判定をする方法が提案されている。しかし、この方法では、正当な使用者がスクラッチした際、バラの匂い等、嗅覚に訴える販促的効果は期待できるが、不正者が一度スクラッチをした後、再度同様の匂いの香料を含むスクラッチ可能な隠蔽層を設けても、その後入手した正当な使用者にとって、目視にて容易に判読できる不正の痕跡を残すことは困難であった。(例えば、特許文献4参照。)
以上のごとき、カムフラージュ行為を直接的に阻止する方法として、スクラッチ可能な隠蔽層の上、または、スクラッチ可能な隠蔽層と基材とに跨るように、ホログラム画像を形成したホログラム層を設け、不正を行おうとする者にホログラム画像の存在を認識させて、「ホログラム層」を形成することの困難さを持って不正行為を阻止しようとする技術も開発されている。(例えば、特許文献5または6参照。)
しかし、これらの技術は、ホログラム層の存在や、そのホログラムデザインが第三者にあらかじめ開示されていることから、そのホログラム再生像に類似した光学効果を有するものを十分な時間を掛けて偽造したり、もともと、この構成自体がホログラム層とスクラッチ可能な隠蔽層を同時に削る仕様となっていることから、「ホログラム層もろともスクラッチ可能な隠蔽層を全て削ってしまった」と偽ることにより、ホログラム層が全く存在しない変造品を持参しながら、あたかも正規品であったの如く振る舞う等の不正を防ぐことができないという欠点を有していた。
しかも、「秘密情報」とホロラム層とは別々に設けられるものであって、その一体化による高い偽造防止性を醸し出すものでない。
特開平5−342428号公報 特開2012−200972号公報 特開平10−214320号公報 特開2001−47777号公報 特開平11−34565号公報 特開2005−305844号公報
本発明は、ホログラム層を第一隠ぺい層、及び、第二隠ぺい層で挟み込んで、第三者に対して、レリーフホログラム形成層、または、体積ホログラム形成層というホログラム層の存在、及び、そのホログラム層に記録されているホログラムデザインを非常に高いレベルで秘匿可能とし、いずれか一方の隠ぺい層を物理的に剥離して初めて、そのホログラムの存在を確認できるという高度な偽造防止性を有し、且つ、その物理的な剥離後には、鮮明なホログラムデザイン(ホログラム再生像)、特には、その剥離界面が「光学的な鏡面」となることによって、非常に鮮明なホログラム再生像が出現するという高い意匠性を有する隠ぺいホログラムシートを提供する。
また、それらの第一隠ぺい層、または、第二隠ぺい層をスクラッチ隠蔽層とすることで、高い隠ぺい性を確保し、且つ、安定した「物理的な剥離」を可能とし、さらには、隠ぺいホログラムシート内に、秘密情報を含め、上記した物理的な剥離後には、隠蔽した秘密情報とその鮮明なホログラムデザインを重ねて視認できるという高い意匠性、さらには、そのホログラムが存在するか否かを目視によって判定するという真正性判定の簡易性をも併せ持つ隠ぺいホログラムシートを提供する。
本発明の隠ぺいホログラムシートは、ホログラムデザイン及び、「秘密情報」を第三者に開示していないことから、不正者が、例え、本発明の隠ぺいホログラムシートを複数枚入手して、その構造やホログラムの存在を知り得たとしても、そのホログラムデザインが統一された唯一のデザインなのか、複数のデザインを任意に配したものなのか、もしくは、特定の「秘密情報」に対して特定のホログラムデザインを対応させてあるものかを知ることができないものとしており、この原理によって、入手した隠ぺいホログラムシート以外の「秘密情報」を有する隠ぺいホログラムシート等に対しての「偽造品」を作ることを事実上不可能とした、隠ぺいホログラムシートを提供する。
さらに、スクラッチ隠蔽層に平均粒径の異なる顔料を配して、スクラッチ隠蔽層を剥がそうとしたときに、その剥離痕を残せる構造とし、その偽造防止性を著しく高めることを可能とした隠ぺいホログラムシートを提供する。
上記の目的を達成するために、本発明の隠ぺいホログラムシートの第1の態様は、第一隠ぺい層、ホログラム層、及び第二隠ぺい層からなる隠ぺいホログラムシートであって、前記ホログラム層には、前記ホログラム層が前記第一隠ぺい層と接している第一面を通して第一ホログラム再生像を視認できる第一ホログラム、及び前記ホログラム層が前記第二隠ぺい層と接している第二面を通して第二ホログラム再生像を視認できる第二ホログラムが記録されており、前記第一隠ぺい層を物理的に剥離することによって、前記第一ホログラム再生像が視認可能になり前記第二隠ぺい層を物理的に剥離することによって、前記第二ホログラム再生像が視認可能になることを特徴とするものである。
上記第1の態様の隠ぺいホログラムシートによれば、第一隠ぺい層、ホログラム層、及び第二隠ぺい層からなる隠ぺいホログラムシートであって、前記ホログラム層には、前記ホログラム層が前記第一隠ぺい層と接している第一面を通して第一ホログラム再生像を視認できる第一ホログラム、及び前記ホログラム層が前記第二隠ぺい層と接している第二面を通して第二ホログラム再生像を視認できる第二ホログラムが記録されており、前記第一隠ぺい層を物理的に剥離することによって、前記第一ホログラム再生像が視認可能になり前記第二隠ぺい層を物理的に剥離することによって、前記第二ホログラム再生像が視認可能になることを特徴とすることを特徴とする隠ぺいホログラムシートを提供することができ、第三者に対してホログラムの存在、及び、そのホログラムデザインを秘匿可能とし、第一隠ぺい層、又は第二隠ぺい層のいずれかの隠蔽層を物理的に剥離して初めて、そのホログラムの存在を確認できるという高い偽造防止性と、物理的な剥離後には、鮮明なホログラムデザインを視認できるという高い意匠性、さらには、そのホログラムが存在するか否かを目視によって判定するという真正性判定の簡易性をも併せ持つ隠ぺいホログラムシートを提供することができる。
本発明の隠ぺいホログラムシートの第2の態様は、第一隠ぺい層、レリーフホログラム層、第二隠ぺい層及び粘着層からなる隠ぺいホログラムシートであって、前記レリーフホログラム層には、前記レリーフホログラム層が前記第一隠ぺい層と接している第一面を通して再生像を視認できるレリーフホログラムが記録されており、当該ホログラムシートをスクラッチカード基材の上の秘密情報を覆うように、前記粘着層により貼着した後、第一隠ぺい層を物理的に剥離することによって、前記レリーフホログラム再生像が視認可能になり、さらにレリーフホログラム形成層及び前記第二隠ぺい層を物理的に剥離することによって、スクラッチカード基材上の秘密情報が視認可能になることを特徴とするものである。
上記第2の態様の隠ぺいホログラムシートによれば、第一隠ぺい層、レリーフホログラム層、第二隠ぺい層及び粘着層からなる隠ぺいホログラムシートであって、前記レリーフホログラム層には、前記レリーフホログラム層が前記第一隠ぺい層と接している第一面を通して再生像を視認できるレリーフホログラムが記録されており、当該ホログラムシートをスクラッチカード基材の上の秘密情報を覆うように、前記粘着層により貼着した後、第一隠ぺい層を物理的に剥離することによって、前記レリーフホログラム再生像が視認可能になり、さらにレリーフホログラム形成層及び前記第二隠ぺい層を物理的に剥離することによって、スクラッチカード基材上の秘密情報が視認可能になることを特徴とするホログラムシートを提供することができ、より鮮明なホログラム再生像を出現可能とし、その意外性と意匠性を高めた隠ぺいホログラムシートを提供することができる。
本発明の隠ぺいホログラムシートの第3の態様は、
前記第一隠ぺい層及び前記第二隠ぺい層の少なくともいずれか一方が、スクラッチ隠蔽層であることを特徴とするものである。
上記第3の態様の隠ぺいホログラムシートによれば、
前記第一隠ぺい層及び前記第二隠ぺい層の少なくともいずれか一方が、スクラッチ隠蔽層であることを特徴とする第1の態様または第2の態様の隠ぺいホログラムシートを提供することができ、物理的な剥離をより安定、且つ、確実とした隠ぺいホログラムシートを提供することができる。
本発明の隠ぺいホログラムシートの第4の態様は、
前記ホログラム層が、レリーフホログラム形成層、または、体積ホログラム形成層であることを特徴とするものである。
上記第4の態様の隠ぺいホログラムシートによれば、
前記ホログラム層が、レリーフホログラム形成層、または、体積ホログラム形成層であることを特徴とする第1の態様の隠ぺいホログラムシートを提供することができ、ホログラムデザインに適した記録再生方法を選択でき、より意匠性に優れた隠ぺいホログラムシートを提供することができる。
本発明の隠ぺいホログラムシートの第5の態様は、
前記ホログラム層の前記第一面上、及び/又は、前記第二面上に、秘密情報が形成されていることを特徴とするものである。
上記第5の態様の隠ぺいホログラムシートによれば、
前記ホログラム層の前記第一面上、及び/又は、前記第二面上に、秘密情報が形成されていることを特徴とする第1から第4の態様の隠ぺいホログラムシートを提供することができ、鮮明なホログラム再生像と秘密情報を併せて視認することを可能とし、その意匠性と偽造防止性を高めた隠ぺいホログラムシートを提供することができる。
本発明の隠ぺいホログラムシートが秘匿する「秘密情報」としては、暗証番号、個人認証番号、口座番号、その他の個人特有の番号または記号や、抽選番号または記号、管理番号または記号等、もしくは、単なる連続番号や記号であって、登録することによりその有効性を発現するもの、暗号鍵番号である共通鍵番号のように同一の番号、さらには、全くの乱数であって隠ぺいホログラムシートを作製するときに発生させ作製者含め誰もその番号の内容を知り得ないように工夫した番号等、知ることが許された者(正規な購入者等を意味する。もちろん、スクラッチカード等のシステム設計者や、スクラッチカード発行者等が含まれる場合もある。)のみが知ることができ、その他の者は物理的に見ることができないよう設定される番号または記号等がある。
また、隠ぺいホログラムシートの用途により、番号または記号のみならず、文字、図形、マークその他、個人及びその隠ぺいホログラムシートの供給者が共通に認識できるもの(この対象は、いわゆる「情報」全てとなる。)であれば何れも用いることができる。そして、その認識方法も、少なくとも目視確認により認識できる情報を有しながら、目視以外の認識方法、例えば、光学読取方法、磁気的読取方法、その他、あらゆる物理的もしくは化学的読取方法を採用することができ、且つ、秘密情報と重ねて視認できるレリーフホログラム再生像や体積ホログラム再生像の中にも、ホログラム再生原理を利用した光学読取方法を含めることもその偽造防止性を高めるために好適である。
この「秘密情報」を隠ぺいホログラムシートのホログラム層上に設ける方法としては、可変情報を形成する方式として、感熱溶融転写方式、昇華転写方式、光学的もしくは物理的直接描画方式、電子写真方式及び、インクジェット方式等があり、固定情報を形成する方式としては、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、活版印刷方式、凹版印刷方式、スクリーン印刷方式等がある。
この際、ホログラム層によるホログラム再生像が、この「秘密情報」形成部によって遮蔽されるようにしてもよいし(ホログラム再生像がこの「遮蔽」パターンとなっている「秘密情報」形成部の部分のみ「抜けている」ように「複合化されたホログラムデザイン」となっていることを意味する。)、この「秘密情報」形成部を透過して(「秘密情報」形成部が光透過性を有し、ホログラム照明光及び、「ホログラム再生像を結像する光」が、「秘密情報」形成部を光学的に透過すること意味する。)、ホログラム再生像と「秘密情報」形成部のパターンが重なり合って「光学的に合成された」ように「複合化されたホログラムデザイン」となっているようにしてもよい。
また、ホログラム層そのものに発色材料や消色材料を混入させたり、発色材料や消色材料からなる層を追加形成して、その発色原理や消色原理を用いて、可変情報や固定情報を記録する方法を用いてもよい。
これらの方法、または、方式により、その「秘密情報」をホログラム層上、もしくは、ホログラム層内に形成し、そして、第一隠ぺい層、及び「秘密情報」が設けられたホログラム層、第二隠ぺい層がこの順序で構成され、且つ、そのいずれかの隠ぺい層をスクラッチを含む物理的な剥離により除去すると、その「秘密情報」及び、「そのホログラム層から再生されるホログラム再生像」が視認可能となる隠ぺいホログラムシートであって、その「秘密情報」を第三者が目視によって判読したり、不正者が盗読することを防ぎ、且つ、正当な使用者がその隠ぺい層に対してスクラッチを含む物理的な剥離を施して、ホログラム再生像とともに、その「秘密情報」を判読できる隠ぺいホログラムシートとすることができる。
また、例えば、第一隠ぺい層としてスクラッチ隠蔽層を設けた隠ぺいホログラムシートの第二隠ぺい層側に粘着層を設け、別の「秘密情報」を設けてあるスクラッチカード等の基材上に、且つ、その「別の『秘密情報』」を覆うように貼着することにより、その「秘密情報」及び「別の『秘密情報』」を第三者が目視によって判読したり、不正者が盗読することを防ぎ、且つ、正当な使用者がそのスクラッチ隠蔽層をスクラッチして、その「秘密情報」を判読できるスクラッチカード等とすることができるとともに、第二隠ぺい層をもスクラッチ隠蔽層としておくことで、正当な使用者がその第一隠ぺい層(スクラッチ隠蔽層)をスクラッチして、その「秘密情報」を判読した後、さらに、ホログラム層と第二隠ぺい層(スクラッチ隠蔽層)をスクラッチして、別の「秘密情報」をも判読できるスクラッチカード等とすることができる。
ここで、ホログラムとは、一方で、ホログラム再生像として再生したい「3次元物体」に対して、時間的、且つ、空間的コヒーレント性を有する光であるレーザー光を照射(照明)し、その「3次元物体」の表面で、反射し、散乱(回折)した「光」(これが「物体光」と呼ばれる。)を、所定の角度で、感光材料へ入射させ、他方で、そのレーザー光そのもの(これが、「参照光」と呼ばれる。)を、その「物体光」の入射角度とは異なる角度で、同時に、その感光材料へ入射させて、その「物体光」と、「参照光」とを干渉させ、その干渉によって生じた「干渉縞」を、その感光材料に記録したものである。
このホログラム形成方法は、撮影方式によるホログラム形成方法の一つであって、「二光線束干渉法」とも呼ばれる。
その「物体光」と、「参照光」は、互いにコヒーレントであるので、感光材料内に鮮明な干渉縞が発生し、その干渉縞が記録される。
まず簡単な場合として、参照光及び物体光の二つが、ある角度をなす、いずれも平行光である場合を考えると、二つの光の感光材料面までの道筋(光路)の長さの違い、したがって二つの光の位相の違いによって、感光材料面上のある位置では互いに強め合い、また別の位置では弱め合い、結果として感光材料には、参照光、物体光のなす角度によって決まる等間隔で感光材料面に垂直方向に伸びる干渉縞が記録される。
また、この干渉縞のコントラストは、参照光及び物体光の振幅が等しいときもっとも大きく、相違があるほど小さくなる。物体光は、「3次元物体」の立体形状に依存して変化する光であって平行光ではないので、干渉縞は乱れたものになる。
しかし、その乱れは、参照光に対する物体光の位相の変化が干渉縞の横ずれとして、また、振幅の変化がコントラストの変化として生じ、感光材料には、物体光の位相、振幅の情報がすべて記録される。このようにして露光された感光材料を現像処理したものがホログラムとなる。
このホログラムには、普通のカメラで写した写真のようには、物体の像が写っておらず、ただ一様に白濁(屈折率分布として記録されている。)しているように見えるが、光の波長に近い細かさで物体情報が完全に記録されている。
この感光材料として、フォトレジストを用い、フォトレジストの現像時間管理によって、フォトレジストの表面に、所望の深さの凹凸を設けたものが、レリーフホログラムであって、その凹凸が、上記と同様に、その深さや、周期において乱れたものとなっており、その乱れが、物体光の位相や、振幅の情報を含むことになる。
そして、その凹凸面が、ホログラムレリーフ面であって、このときの「凹凸面を有する感光材料層」が、「レリーフホログラム形成層」に該当することとなる。
また、感光材料としてフォトポリマーを用い、フォトポリマー層内部にこの干渉縞に対応した屈折率分布を設けたものが、体積ホログラムであって、この屈折率分布が物体光の位相や、振幅の情報を含むこととなり、そして、この屈折率分布を有する感光材料層が、「体積ホログラム形成層」に該当することとなる。
このように干渉縞を記録したホログラムを、例えば、上記した参照光と同一のレーザー光で照明すると、感光材料内に記録された干渉縞が、光の進行方向を変える回折格子として作用する。
回折格子に光が入射すると、そのまま透過する直接透過光(ゼロ次回折光)のほかに、格子の間隔、いまの場合は、干渉縞の間隔によって決まる方向にプラス1次、及び、マイナス1次の回折光を生じる。
ホログラム作成時、物体光及び参照光として所定の角度をなす平行光を用いた場合には、このホログラムを照明した際のプラス及び、マイナス1次の回折光は、いずれも平行光であり、前者は元の物体光が感光材料を透過する方向に進む。
実際の干渉縞は物体光の位相や振幅で乱されているので、ちょうどそれに対応するようにプラス1次の回折光は乱され、元の物体光をそのまま再生することになる。ホログラムを通して観察すると、ゼロ次、または、マイナス1次の回折光にじゃまされず、元の位置に物体像が立体的に再生する。この像は直接像とよばれ、あたかも物体から光が出たように、発散する光で見えるので虚像になる。また、マイナス1次の回折光によって、ホログラムの右側に、元の物体と前後が逆になった像が再生する。これは共役像とよばれ、実際に光が集束するので実像になる。
直接像を、見る位置を変えて観察すると、3次元物体の前後の相対位置が変化し、立体的に再生していることを確認できる。
この状況は、レリーフホログラムにおいても同様であって、上記したレリーフホログラム形成層が有するホログラムレリーフ面を、所定の「参照光」で照明すると、所定の角度に直接像(ホログラム再生像)が現れる。
そして、このホログラムレリーフ面に、反射性薄膜層が追従するように接して設けた場合には、レリーフホログラム形成層と反射性薄膜層との界面、すなわち、ホログラムレリーフ面そのものが、「反射面」と位置付けられ、そのホログラムレリーフ面で「反射した光」が、所定の角度によって決まる反射方向へ、その直接像を出現させる。その共役像である実像も同様である。
ホログラムレリーフ面の形状は、その深さが、0.01μm程度であり、ピッチ(凹凸の周期を意味する。)が、1.0μm前後の凹凸が所定の領域内に隙間なく敷き詰められた形状をしており、この凹凸形状の一つ一つがいわば、1.0μm毎に「個々の反射回折光」を発生し、その「個々の反射回折光」が互いに光の干渉現象を生じて、最終的に一つの合体したレリーフホログラム再生像として、視認される。
従って、例えば、この1.0μmの凹凸形状の一つを滑らかな小さな3次元曲面と捉えたとき(ホログラムレリーフの凹凸の断面形状は、しばしば、三角関数曲線のような単調増加や単調減少を繰り返す曲線に例えられる。)、その3次元曲面に、0.001μmオーダーの微細な凹みや突起が生じたり、その曲面そのものが0.001μmオーダーで変形した曲面となったりするような「凹凸形状のわずかな変形」(凹部の深さが0.001μm深くなったり、浅くなったり、もしくは、その直径が0.1μm程度広がったりすることを意味する。このような変化は、極く微細なものと思われがちであるが、それでも「10%の変化」という大きなものとなっている。)、すなわち、「ホログラムレリーフ面形状のわずかな変形」が発生することで、レリーフホログラム再生像の鮮明度に大きな影響を与え、その鮮明度が低下することとなる。
このことは、体積ホログラム形成層の2つの表面においても同様であって、この2つの「面」が、体積ホログラムと空気等(空気や他の材料層を示す。)との界面となって、ホログラムの照明光を屈折させ、反射させ、場合によっては、散乱させたりする。従って、この2つの「面」が「光学的な鏡面」であればあるほど、そして、その2つの「面」がそのような理想的な「面」を維持して、何らの変形や歪みを生じないほど、その照明光の入射の際、及び、その照明光によって再生される体積ホログラム再生像を結像する光が透過する際、それらの「光」に不要な屈折、回折や位相変化を生じさせず、結果として、その照明光によって再生される体積ホログラム再生像(透過タイプ及び反射タイプがある。)の鮮明性や再現性が優れるものとなる。
特に、このような変形や歪みがホログラム記録領域(記録領域に対応する「領域」を含む。)の中で偏在して発生すると、レリーフホログラム再生像や体積ホログラム再生像そのものの変形までをも引き起こす。
本発明の隠ぺいホログラムシートは、第一隠ぺい層、レリーフホログラム形成層、及び第二隠ぺい層がこの順序で構成されている。または、第一隠ぺい層、体積ホログラム形成層、及び第二隠ぺい層がこの順序で構成されている。
さらには、このレリーフホログラム形成層のホログラムレリーフ面に追従するように反射性薄膜層を設けたもの、または、レリーフホログラム形成層のホログラムレリーフ面とは反対の面や、体積ホログラム形成層の2つの面のいずれかに、反射性薄膜層を設けたもので構成される。
また、これらの積層体に適宜粘着層を設けたもの、これらの積層体の層間や層内に「秘密情報」を形成したもの、追加層として、透明基材を設けたもの、さらには、第一隠ぺい層及び第二隠ぺい層の少なくともいずれかをスクラッチ隠蔽層としたもの、及び、それらの「隠ぺい層」上に地紋印刷を設けたもので構成される。
本発明の隠ぺいホログラムシートに用いられる体積ホログラムは、その体積ホログラム形成層の層中に、種々の屈折率のパターンとして、そのホログラム画像を形成する(ホログラム記録ともいう。体積ホログラム形成層は、ホログラム記録用媒体にホログラム画像を形成した際の記録層を意味する。)、いわゆる、位相ホログラムであって、この体積ホログラムが透過型ホログラムである場合には、その体積ホログラム形成層に光をあて、これを透過させるとき、光の位相は、「屈折率のパターン」により変調され、その先においてホログラム再生像を観察することができる。また、この体積ホログラムが反射型ホログラムである場合には、その体積ホログラム形成層に光をあてると、この体積ホログラム形成層に侵入した光の位相は、「屈折率のパターン」により変調されると同時に反射され、その戻り光においてホログラム再生像を観察することができる。
ホログラム画像として画像化される「物体」(一般的には、3次元物体、もしくは2次元物体が用いられる。もしくは、「物体光」を与え得るものであれば、「光学系」であっても、別途作成したホログラムからの「ホログラム再生像」であってもよい。)は、レーザー等が発振するコヒーレントな光によって照明され、そして感光性の記録用媒体(感光材料を意味する。)が、この「物体」から反射(発散)された光を受けるように配置される。「物体」上の各点は記録媒体の全体に対して光を反射し、また記録用媒体上の各点は「物体」全体からの光を受け入れる。この反射(発散)された光束は「物体光」といわれている。
同時に、コヒーレントな光の一部は「物体」をバイパスし(「物体」を避けて通るという意味。)、反射鏡等により、記録用媒体に向けられる。この光束は「参照光」といわれている。
記録用媒体上に記録されるものは、媒体上に当たった「参照光」と「物体光」との相互作用で生ずる「干渉パターン」であり、この記録が、ホログラムとなる。
この記録用媒体、すなわち、記録されたホログラムが、照明され、適切に観察されるとき、照明光源からの光は、「物体」から記録用媒体にもともと到達した波面を再生するように、そのホログラムにより回折され(透過、または、反射され)、それにより、ホログラムは、透過側、または、反射側からの観察者に対して、「物体」の虚像を、記録媒体という「窓」を通して、完全な遠近差をもつ3次元の「物体」を見たように、認識させる。
本発明の隠ぺいホログラムシートに用いられる体積ホログラム形成層には、その「反射型ホログラム」、または、「透過型ホログラム」のいずれをも記録することができる。
「反射型ホログラム」を記録した場合には、本発明の隠ぺいホログラムシートを外観した際、体積ホログラム形成層にて反射されて観察側に戻ってくる「体積ホログラム再生像」を視認することができる。
また、「透過型ホログラム」を記録した場合には、体積ホログラム形成層を透過した光を観察するか、もしくは、体積ホログラム形成層の背後に、反射性薄膜層を設けている場合には、その反射性薄膜層において、反射して観察側に戻ってくる「体積ホログラム再生像」を視認することとなる。
但し、体積ホログラム形成層の2つの面が「光学的な鏡面」であるため(特に、参照光や物体光が入射し、透過して「層」から「出ていくときの界面」が問題となる。)、ホログラムを記録する際に、参照光及び物体光のいずれも、この界面における正反射光が発生し、この正反射光が参照光や物体光と干渉し、さらには、正反射光どうしが互いに干渉しあって、「不必要なホログラム」(ノイズとも呼ばれる。)を記録してしまうこととなるため、ホログラム記録の際には、体積ホログラム記録用の感光材料の背後に、その背面(上記した「出ていくときの界面」を意味する。)に接するように、黒色層を設けて、上記した「出ていく光」を全て吸収して、「反射光」を生じさせないようにするか、ホログラム層と屈折率をほぼ同一とした樹脂層を仮に設けて、界面反射を防ぐなどの工夫が必要となる。
「透過型ホログラム」は、「参照光」と「物体光」を同一の側から記録用媒体中に入射させ、両者がほぼ同じ方向に進行するようにして形成したホログラムであって、体積ホログラム形成層自体を透明なものとすることにより、その「位相分布」のみを記録として残したものである。
この場合において、記録媒体中の「物体光」と「参照光」との相互作用は、屈折率の変化する材料の屈折率変化という「フリンジ(干渉縞)」を形成するが、このフリンジは、記録用媒体の面に対して、「物体光」と「参照光」とが対称な角度で入射する場合には、ほぼ垂直なフリンジとなる。そして、その「物体光」と「参照光」とが非対称な角度で入射する場合には、そのフリンジは、記録用媒体の面に対して、やや傾いたものとなる。
また、「反射型ホログラム」は、「参照光」と「物体光」を反対の側から記録用媒体中に入射させ、両者がほぼ反対方向に進行するようにして形成したホログラム、いわゆる、「リップマンホログラム」である。(以下、体積ホログラムであって、反射型ホログラムとしたものを「リップマンホログラム」ともいう。)
この場合において、記録媒体中の「物体光」と「参照光」との相互作用は、屈折率の変化する材料の屈折率変化という「フリンジ(干渉縞)」を形成するが、このフリンジは、記録用媒体の面に対して、ほぼ平行な面となる。
このリップマンホログラムを再生するとき、これらの各フリンジは入射光を観察者に向けて反射する「鏡」として作用し、それで、このリップマンホログラムは、「透過」よりもむしろ「反射」で観察される。
このように形成された「ホログラム」は、「波長感度」が甚だ高いため(波長選択性のこと。特定の波長にのみ作用するという意味。)、その再生には、「白色光」を用いることができるものである。
すなわち、ホログラムを記録した際の光源に用いた波長の光をあらかじめ準備してその光で再生しなくとも、容易に得られる、広い波長領域を持つ光(例えば、波長範囲が可視光線波長[400nm〜800nm]をカバーするような太陽光や、ハロゲンランプ光など。)を、その再生光として用いたとしても、その「ホログラム記録に用いた波長」以外の波長の光(「ホログラム記録に用いた波長」以外の波長成分という意味。)は、ほとんど位相変化を受けずそのまま透過し、「ホログラム記録に用いた波長」の光(該当する波長成分という意味。)のみ反射して、その光の像(該当する波長成分により作られる、リップマンホログラム再生像)を、視認することができる。
これらの「反射型ホログラム」、または、「透過型ホログラム」を「体積ホログラム形成層」に記録するには、上記したように、光学系を用いて、直接、「体積ホログラム形成層」にホログラムの干渉縞を記録することもできるが、予め、「反射型ホログラム」、または、「透過型ホログラム」を記録した「マスター版(「未記録感光材料」と「記録済み感光材料」をマッチング液等を介在して積層し、両層にレーザー照射を行う等の、光学的な複製を行うための『複製用マスター』という意味。)」を準備し、その「マスター版」を用いて、「体積ホログラム形成層」に光学的手段によって「複製」することも好適である。もちろん、その併用も望ましい。
そして、それらの「直接的なホログラム記録」または「複製によるホログラム記録」を、カード基材上に設けてある状態の「体積ホログラム形成層」に施すこともでき、この方法は、多様なホログラムデザインを用いたり、個々の隠ぺいホログラムシートに個別のホログラム記録を施す場合に好適である。
この記録の際には、体積ホログラム形成層の界面の状態、すなわち、この界面が「光学的な鏡面」であることが求められる。
但し、体積ホログラム再生像に「ぼかし効果」等の特殊効果を付与する場合には、敢えて、体積ホログラム形成層の最表面の一部を「粗面状」とすることも好適である。この「粗面状」の凹凸を形成するための「粗面化処理」は、体積ホログラム形成層の表面を、例えば、2枚の「表面鏡面仕上げのステンレス板」に挟み込んで、適宜な加熱、及び適宜な加圧処理を行う際に、その「表面鏡面仕上げ」の一部に「『粗面状』仕上げ」としたステンレス板に挟みこむことで、施すことができる。(この処理によってできる「粗面状」の凹凸の凸部頂点を結ぶ面は、「面一」となっている。)
ホログラムの原理で作製される「ホログラフ鏡」は、「反射型ホログラム」の最も簡単なものである。これは、2つのコヒーレントな平面波を、記録用媒体に対して反対の方向から投射し、記録用媒体中でその2つのコヒーレントな平面波が交差する、ホログラムである。これは単一のレーザー光を分割し記録用媒体の所で両光を合体させるか、あるいは分割しないレーザー光を、記録用媒体を通して、その後ろの「平面鏡」上に投射することにより作ることができる。これにより均一な間隔のフリンジの「一組」が形成され、投射された2つの光間の鈍角の2等分線に対して平行に配列され、三角関数の強度を有することになる。
この鈍角が、「180度」であり、2つの投射した光の波面が媒体の面に対して直角であるならば、各フリンジは媒体の面に対して平行となる。
そして、この鈍角が、「180度以下」であるか、または2つの光が媒体の面に対して直角でないときは、反射性のフリンジは媒体の面に関して鋭角に傾いて形成される。ホログラフ鏡はその反射効率、屈折率変調、および反射光の分光帯域と分光特性などにより特性化される。
「反射型ホログラム」を形成する実質的に水平なフリンジは、「透過型ホログラム」を形成する垂直なフリンジよりも、記録することが困雌である。
その第1の理由は、より高い解像性、すなわち、単位長さ当りに、より多数のフリンジが必要であって、フリンジの間隔は非常に小さくなる。「反射型ホログラム」は「透過型ホロクラム」よりも単位長さ当り約3倍〜約6倍多いフリンジを必要とする。
その第2の理由は、記録用媒体の収縮に対する水平なフリンジの敏感性である。露光中の記録用媒体の収縮はフリンジの消失を招き、もし収縮がひどいときはホログラムの形成が妨げられる。これは「透過型ホログラム」の場合とは対照的なものであり、「透過型ホログラム」では収縮はほとんど影響がないか、あるいはフリンジが媒体の面に対して直角ならば影響がなく、フリンジが媒体の面から45度以上傾いているときに、比較的僅かな画像の歪みを生ずるだけである。
従って、透過型ホログラムの再生像を真正性判定に使用することは好ましい。
そのような、体積ホログラムを形成する、体積ホログラム形成層には、各種の透明な材料又は、透明なフィルムが用いられる。
すなわち、銀塩写真乳剤、重クロム酸ゼラチン、フォトレジスト、フォトポリマー材料、無機材料からなるフォトリフラクティブ材料、フォトクロミック材料等及び、それらの材料からなるフィルムがある。
銀塩写真乳剤としては、高感度及び、高解像度が求められる。
フォトレジストには、ポジ型フォトレジストと、ネガ型フォトレジストをいずれも用い得る。
フォトポリマー材料としては、架橋型フォトポリマー、ラジカル重合型フォトポリマー、カチオン重合型フォトポリマー、化学増幅型フォトポリマー、ナノ粒子分散系フォトポリマー等を用いることができ、その取り扱い適正は、特に優れる。
フォトクロミック材料は、光や熱等の特定の環境下において、その色調が変化するため、その意匠性はさらに高いものとなる。
重クロム酸ゼラチンは、その屈折率変調の高さ(すなわち、高い回折効率、帯域幅対応性)から、「反射型ホログラム」の製作に選ばれる材料である。但し、重クロム酸ゼラチンは保存性に課題があり、「反射型ホログラム」形成後に、湿式処理を必要とする。このため、この材料はホログラム記録の直前に新たに調製しなければならず、あるいは、予備硬化させたゼラチンを使用しなければならず、画像の再生効率を低下させる。
湿式処理は、ホログラム形成に際し、付加的工程をもち込むことになり、そして処理中に材料が膨潤し、ついで収縮する際に寸法的な変化を生じやすい。これらの寸法的な変化はフリンジの間隔に影響する。従って、重クロム酸ゼラチンによって高品質の「反射型ホログラム」を作製することは、時間がかかり、かつ、困難である。
いくつかの処理工程を必要とする、銀塩写真乳剤、或いは、重クロム酸ゼラチンに対して、1回処理工程のみを必要とする固体光重合性材料、すなわち、フォトポリマー材料は、好適である。
フォトポリマー材料の例としては、固体の光重合性組成物であって、熱可塑性重合体結合剤、付加重合可能なエチレン系不飽和単量体、及び、不飽和単量体の重合を活性化する光開始剤からなる、屈折率変調を有する光重合性組成物が挙げられる。
熱可塑性重合体結合剤は、溶媒可溶性の熱可塑性重合体であるが、単独で、又は、互に組合せて使用することができ、例えば、アクリレート及びアルファーアルキルアクリレートエステル、ポリビニルエステル、飽和及び不飽和ポリウレタン、ブタジェン及びイソプレン重合体及び共重合体、エポキシ化物、ポリアミド等、並びに、それらの混合物を使用できる。
エチレン系不飽和単量体は、単一の単量体として、又は、組合せて使用することができる単量体として、スチレン、2−クロロスチレン、2−ブロモスチレン、メトキシスチレン、アクリル酸フェニル等を用いることができる。
光開始剤としは、遊離ラジカル発生付加重合開始剤等を使用することができる。
フォトポリマー材料としては、さらに、フッ素含有ポリマー、付加重合可能なエチレン性不飽和モノマー、及び、光開始剤を有する、光重合性組成物を用いることができる。
フッ素含有ポリマーとしては、テトラフルオロエチレンまたはへキサフルオロプロピレンのような、過フッ素化モノマーとビニルアセテートとから作られたポリマーが挙げられる。
コヒーレント光による露光によって、このモノマーは、未露光域とは異なる屈折率とレオロジー的性質をもつ、高分子量のフォトポリマーを形成するように(光)重合する。この高分子量のフォトポリマーは実質的に固体ではあるが、各成分は電離放射線による一様、且つ、全面に渡る露光、または、高温度で熱処理することで「定着」されるまでは、コヒーレント光による露光中、および、露光後も、内部拡散をする。
このフォトポリマーは、その厚さと屈折率変調とにより決定される、所定の中心波長、及び、波長領域(分散帯域)をもつ光を反射する。そこで、その厚さは、用途、および、光学系の光学的な要請、すなわち使用中にホログラムを照明(再生)するのに用いる光の帯域幅、に対して一致させられる。一般的に狭い帯域幅用の応用には、比較的厚いフォトポリマーが選ばれ、広い帯域幅用の応用には比較的薄いフォトポリマーが選ばれる。
使用されるフッ素含有ポリマーは、フォトポリマーのその他の各成分と両立し得るフッ素含有ポリマーであり、塗布されたときに実質的に固体の透明な皮膜を作るものである。
「実質的に固体」とは塗布された皮膜が、溶剤を除去した後に、一般的に固体材料の有している諸特性(例えば寸法安定性)を有していることを意味している。
フッ素含有ポリマー中のフッ素の存在は、一般に、フォトポリマーの屈折率を低下させ、これによりホログラム画像化後のフォトポリマーにおいて、増加した(「より大きな」という意味。)屈折率変調が達成される。屈折率変調は、フッ素含有量の増加とともに増大するが、フォトポリマーに不透明化を起こさせないためには、そのフッ素の存在量は限定される。
従って、フッ素の含有量は、その効果が、1%のような低レベルにあっても達成されるものの、代表的には、10〜20%の範囲内とされる。フッ素の含有量は、用途に応じた屈折率変調を達成するために調整可能である。
フッ素は、フッ素含有ポリマーを構成する他のモノマーとフッ素含有モノマーとを共重合するか、または、フッ素含有ポリマーとの反応により導入する。例えば、フッ素含有ポリマーが、アルコール、または、酸置換基のような官能基を含むとき、フッ素を導入するためには縮合、アセタール化、ケタール化、またはエステル化反応などが使用できる。
フッ素含有ポリマーには、ビニルエステル、ビニルアルコール、ビニルエーテル、ビニルアセタール/ブチラール、またはプレポリマー類あるいはこれらの混合物と、フッ素化モノマーとのポリマー類等を用いることができる。
以上のフッ素含有ポリマー、付加重合可能なエチレン性不飽和モノマー、及び、光開始剤からなる、光重合性組成物は、その透明性を維持しつ、大きな屈折率変調を有するため、高い透明性と、鮮明なホログラムの再生を必要とする、本発明の隠ぺいホログラムシートに好適である。
また、透明な樹脂、すなわち、光重合性組成物としては、カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、特定波長の光に感光してラジカル重合性化合物を重合させる光ラジカル重合開始剤系、及び上記特定波長の光に対しては低感光性であり、別の波長の光に感光してカチオン重合性化合物を重合させる光カチオン重合開始剤系からなる感光性材料が用いられる。
この光重合性組成物は、光ラジカル重合開始剤系が感光するレーザー光等の光を照射し、次いで光カチオン重合開始剤系が感光する上記レーザー光等の光とは別の波長の光を照射することによりリップマンホログラムが記録される。レーザー光等の光の照射(以下、第1露光)によってラジカル重合性化合物を重合させた後、カチオン重合性化合物は、その次に行う全面露光(以下、後露光)によって組成物中の光カチオン重合開始剤系を分解させて発生するブレンステッド酸あるいはルイス酸によってカチオン重合するものである。
カチオン重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物の重合が比較的低粘度の組成物中で行なわれるように室温液状のものが用いられる。そのようなカチオン重合性化合物としてはジグリセロールポリグリシジルエーテル等が例示される。
ラジカル重合性化合物は、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有するものが好ましい。また、ラジカル重合性化合物の平均屈折率は上記カチオン重合性化合物のそれよりも大きく、好ましくは0.02以上大きいとよく、小さいと屈折率変調が不十分となり好ましくない。ラジカル重合性化合物としては、アクリルアミド、メタクリルアミド等が例示される。
光ラジカル重合開始剤系は、体積ホログラム作製のための第1露光によって活性ラジカルを生成し、その活性ラジカルがラジカル重合性化合物を重合させる開始剤系であればよく、また、一般に光を吸収する成分である増感剤と活性ラジカル発生化合物や酸発生化合物を組み合わせて用いてもよい。光ラジカル重合開始剤系における増感剤は可視レーザー光を吸収するために色素のような有色化合物が用いられる場合が多いが、無色透明体積ホログラムとする場合には、シアニン系色素が好ましい。
シアニン系色素は、一般に光によって分解しやすいため、後露光、または室内光や太陽光の下に数時間から数日放置することにより、体積ホログラム中の色素が分解されて可視域に吸収を持たなくなり、無色透明な体積ホログラムが得られる。
このような無色透明性は、体積ホログラム再生像の鮮明度を向上させるのみならず、体積ホログラム形成層の背後に設けた地紋印刷や、デザイン印刷等を視認する際に好適となる。
光カチオン重合開始剤系は、第1露光に対しては低感光性で、第1露光とは異なる波長の光を照射する後露光に感光してブレンステッド酸、あるいはルイス酸を発生し、カチオン重合性化合物を重合させるような開始剤系とするとよく、第1露光の間はカチオン重合性化合物を重合させないものが特に好ましい。
その体積ホログラム形成層の厚さは、5.0μm〜50μmとする。好適には、10μm〜30μmである。もちろん、この厚さは薄い方がコスト面や、透明性を確保するためには有利であるが、5.0μm未満では、十分な光選択性が得られず、また、鮮明なホログラム再生像を得ることが困難である。
しかし、50μmを超えると、コスト面で不利となるだけでなく、その熱変形によるホログラム再生像の歪みが顕著となり、また、その加工適性も劣化する。
以上の方法は、樹脂を担持するための「適宜な透明基材」を介することなく、直接樹脂から形成することができるため、あらかじめそのような透明基材に樹脂をコーティングしておく工程を不要とすることも可能で、この場合には、コスト面及び、管理面において優れるものとなる。
但し、「適宜な透明基材」を用いると、そのハンドリング適正が著しく向上するため、本発明の隠ぺいホログラムシートの使用目的や用途によっては、敢えて、「適宜な透明基材」を用いることも好適である。
その場合には、その透明基材の一方の面に、透明な樹脂をコーティングして、体積ホログラムを有する「体積ホログラム形成層」を設けた積層体を、一旦、形成することとなる。
体積ホログラム形成層は、光重合性組成物の塗布液(例えば、固形分15〜25%)を、透明基材が、1枚毎のシート状であればバーコート、スピンコート、または、ディッピング等により塗布形成され、また、透明基材が、ロール状の長尺の状態で塗布するのであれば、グラビアコート、ロールコート、ダイコート、または、コンマコート等により塗布する。体積ホログラム形成層は、塗布液に合わせた乾燥、乃至、硬化の手段を用いて固化される。
その光重合性組成物としては、一例として、組成物全体に対してカチオン重合性化合物を10〜50%、ラジカル重合性化合物を40〜70%、光ラジカル重合開始剤系を1〜5%、及び、光カチオン重合開始剤系を1〜5%とするとよく、全量を100%となるように配合する。
光重合性組成物は、必須成分および任意成分をそのまま、もしくは必要に応じてメチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、メチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、メタノール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒と配合し、冷暗所にて、高速撹拌機を使用して混合することにより調製される。
この光重合性組成物は、その透明性を維持しつ、鮮明な体積ホログラムを再生でき、且つ、高い破断強度、小さい破断伸度、さらには、高い鉛筆硬度を有するため、高い透明性と、引張り耐性や耐摩耗性等の強靭な物理特性などの高い信頼性を必要とする偽造防止用途に、好適である。
光重合性組成物そのものからなるシートや、フィルム、さらには、透明基材上にコーティングした光重合性組成物、すなわち、体積ホログラム形成層に、上記した方法を用いて体積ホログラムを形成することができる。
体積ホログラムは、物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を上記したような、いわゆる、体積ホログラムの原理でホログラムを記録したものであり、例えば、フレネルホログラムなどのレーザー再生ホログラム、イメージホログラム及び白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、ホログラフィックステレオグラム、コンピュータジェネレーテッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子などとすることができる。また、マシンリーダブルホログラムのように、その再生光を受光部でデータに変換し所定の情報として伝達したり、真偽判定を行うものであってもよい。
ここで、本発明の隠ぺいホログラムシートを観察する者に、この隠ぺいホログラムシートに、「単なるリップマンホログラム」が設けられていると思わせるためには、自然光下では視認できない透過型ホログラムに加えて、それらの観察者が自然光下で目視にて鑑賞可能な反射型ホログラム、すなわち、リップマンホログラムを、少なくとも1種類は、多重記録しておくことが必須である(隠しホログラムである透過型ホログラムの記録に重ねて、反射型ホログラムを記録するという意味。)。
この際、透過型ホログラムの再生効率(ホログラムとして、回折格子を記録した際の回折効率に相当する。)を反射型ホログラムの再生効率よりも小さくすることが、その透過型ホログラムの隠し効果を高める上で、好適である。
体積ホログラム形成層は、いわゆる「ホログラフィー露光装置」による所定の波長範囲のレーザー光等の光を使用し、ラジカル重合性化合物を重合させてその内部に干渉縞が記録される。この段階で、記録された干渉縞による回折光が得られ、体積ホログラムが形成されるが、体積ホログラム形成層として、カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、光ラジカル重合開始剤系、及び光カチオン重合開始剤系からなる感光性材料を用いた場合には、未反応のまま残っているカチオン重合性化合物を更に重合させるために、後露光として光カチオン重合開始剤系の感光する光(例えば波長200〜800nm)を全面照射して体積ホログラムを固定化するとよい。なお、後露光の前に体積ホログラム形成層を熱や赤外線で処理することで回折効率、回折光のピーク波長、半値幅などを変化させることもできる。
体積ホログラムを形成した体積ホログラム形成層は、そのホログラムを形成したときに使用したレーザー等の光源波長(これが、上記した「参照光」や、「物体光」となる。)によって、その「層」の中に、フリンジ(干渉縞)を「屈折率の部分的な変化(屈折率変調)」という形で、「3次元的」に記録したもの(フリンジ全体が立体的構造となるという意味。)である。
このフリンジは、上記したホログラム形成時に使用した光源波長で照明したときにのみ、「干渉現象」を発生し、観察者の目に視認可能となる反射再生像(体積ホログラム再生像)を出現させる。
しかしながら、このフリンジを、上記の波長以外の光で照明したときは、上記した「干渉現象」が発生せず、わずかな散乱現象が生じるのみで、その光はそのまま透過することになる。
例えれば、可視光線領域内である、発振波長442nmの固体レーザー(HeCdレーザー。)を用いて体積ホログラムを形成し、体積ホログラム形成層とすると、その体積ホログラム形成層に、470nmや、520nm等の可視光線領域に別の発光波長を有する光源の光を投射しても、体積ホログラムを再生せず、しかも、反射光をも発生しない(層表面と空気との界面でのわずかな界面反射は存在するが、フリンジによる反射光は発生しない。)。
これらの体積ホログラムを形成する際に用いられる光源としては、可視光波長領域にあるコヒーレントな光を発振(発光)するものであれば、いずれも用いることができるが、例えば、ガスレーザーとして、HeNeレーザーLGシリーズ(発振(発光)波長は、594nm、633nm、0.5mW〜30mW)、HeNeレーザーLHシリーズ(同、594nm、604nm、612nm、633nm、0.3mW〜4.0mW)、アルゴンレーザー(同、488nm、40mW)、HeCdレーザーIKシリーズ(同、442nm、20mW〜200mW)、窒素/色素レーザーGL−301、窒素/色素レーザーGL−302(同、360nm〜990nmから選択可能。)等、固体レーザーとして、ルビーレーザー(同、694nm、パルスレーザー)、小型CWレーザー(Nd:YAG、Nd:YLF、Nd:YVO4レーザー)Direct(同、405nm、445nm、447nm、488nm、638nm、643nm、655nm、690nm)、小型CWレーザー(同)Crystal(同、473nm、593nm、657nm、660nm、671nm)、波長変換レーザーOptiシリーズ(同、488nm、589nm)、TOL90色素レーザー(同、420nm〜900nmから選択可能。)等、半導体レーザーとして、SWL−7513H(同、633nm、660nm、8mW〜20mW)、FK LA−100(同、457nm、1W)、LDM(同、405nm、440nm、473nm、635nm、665nm、690nm、10mW〜200mW)等を用いることができる。
本発明の隠ぺいホログラムシートは、隠ぺいホログラムシートのホログラム層に、「秘密情報」が設けられ、その「秘密情報」を覆うように、第一隠ぺい層や第二隠ぺい層、さらには、粘着層や、地紋印刷を設けたもので構成される。

体積ホログラム形成層は、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、凹版印刷方式、インクジェット印刷方式等の印刷方式や、スピンコーティング方式、カーテンコート方式、フォトレジスト処理方式等の形成手段を用いて、乾燥後の厚さとして、5.0μm〜50μm、さらには10μm〜30μmの厚さで形成する。
もしくは、適宜な透明基材に、予め上記の厚さで、体積ホログラム形成層を設けておいてもよい。
この厚さが、5.0μm未満であると体積ホログラムの記録が困難となり、50μmを超える厚さでは、体積ホログラム形成層へ「隠ぺい層」を設けたり、それらに粘着層を設けたり、さらには、カード基材へ貼着加工したりする際のハンドリングに支障をきたす。
また、隠ぺいホログラムシートをカード基材上に設けて、すべての層をスクラッチする際、その総厚さが大きくなりすぎ、スクラッチ適正が低下することとなる。
記録する体積ホログラムのデザインは、単独のホログラムデザインでも、複数のホログラムデザインの集合体でもよい。この「集合体」とは、記録領域が異なるホログラムの集合体、もしくは、記録領域が同一のホログラム多重記録による集合体でもよい。
さらには、リップマンホログラムである反射型ホログラムを通常の観察角度で鮮明に視認される鑑賞用として記録しておき、これに加えて、透過型ホログラムをその観察角度とは、大きく異なる角度(その角度差を30度〜60度とする。)で多重記録して、特殊な観察角度のみで視認可能とすることで、本発明の隠ぺいホログラムシートの偽造防止性を高めることも好適である。
本発明の隠ぺいホログラムシートの「隠ぺい層」には、有機材料系、または、無機材料系を用いることができる。
その有機材料系としては、「ホログラム層」との界面の剥離強度(JIS Z0237準拠の180°による剥離方法による。)が、1.0kg/25mm幅以下であって、且つ、「ホログラム層」によるホログラム再生像の発現を抑制して、その再生像の視認を阻止する性質を有するものが用いられ、樹脂材料そのものが可視光に対する不透明性を有し、且つ、上記の剥離強度を満足する、結晶性プラスチック材料や配向処理プラスチック材料を用いることができる。
この結晶性プラスチック材料としては、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール(POM)(:最も高い結晶化度80%)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド(結晶化度8〜35%。特には、結晶化度20%以上。さらには、ヘーズ20%以上。)、及び、液晶ポリマー(LCP:芳香族ポリエステルアラミドなど)などを用いることができる。
ここで、「結晶化度」とは、プラスチック固体の結晶領域(C)と非晶領域(G)との全体の中で、結晶領域(C)が占める重量の割合を算出したもの。すなわち、「結晶化度=C/(C+G)×100%」として求められる。
そして、配向処理プラスチック材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステルや、ポリウレタンなどの種々の汎用プラスチック材料をその長手方向や幅方向(長手方向と直行する方向。)に、一軸延伸、または、二軸延伸したものを用いることができる。ここで、配向処理とは、未配向状態の長鎖高分子を一軸または二軸方向に引き延し、分子を延伸した方向に配向させる処理を意味する。
または、隠ぺい性の高い顔料である、炭酸カルシウム、鉛白(塩基性炭酸鉛)、亜鉛華(酸化亜鉛)、リトポン(酸化亜鉛と硫酸バリウムの混合物)、チタンホワイト(酸化チタンや二酸化チタン)などの白色顔料や、中空微粒子からなる有機白色顔料など、もしくは、光遮蔽性に優れる鱗片状金属薄膜材料(鱗片状アルミニウム、鱗片状銅、鱗片状銅合金、鱗片状チタン、鱗片状モリブデン、鱗片状ニッケル、鱗片状マグネシウム、鱗片状ステンレス、鱗片状特殊合金、鱗片状金箔、鱗片状銀箔など)を、上記の剥離強度を満足する範囲で、適宜な樹脂材料であるウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ゴム系樹脂、ポリエステル樹脂や、アクリル系樹脂等に分散し混入させた材料を用いることができる。
さらには、ホログラムを照明する照明光を「散乱光」に変化させる機能をもたせた「隠ぺい層」には、無機超微粒子顔料(平均粒径0.01〜0.1μm)や有機超微粒子顔料(平均粒径0.01〜0.5μm)を適宜な樹脂材料に高度に分散させた材料(3本ミルや、ニーダーを使用して2次凝集物を分解し、一次粒子とする「分散」を意味する。)、樹脂材料中にその樹脂の屈折率とは異なる屈折率を有する「別の樹脂」を「紛体状」として分散させた材料(屈折率差≧0.1とする。)、樹脂材料とは相溶性の低い「別の樹脂」を適宜な溶剤にて相溶させた後その溶剤を徐々に蒸発させて「別の樹脂」をその樹脂材料内に「微結晶状として析出」させた材料(「微結晶状」とは、「結晶」のごとく定まった形状とはならず、様々な「形状」を有する小さな個体となっていることを意味する。)は、「微結晶状樹脂」のサイズは、0.1μm〜0.1mm程度となる。)、さらには、樹脂材料中に多数の気泡(空洞を意味する)を有する材料(「空洞」の大きさは、最大直径で、1.0μm以上であって、「隠ぺい層」の厚さの1/3以下とする。)などを用いることができる。これらの材料は、ヘーズ(JIS K 7136:2000準拠)で20%以上の「層」を形成することができ、好適である。
また、体積ホログラム層を隠ぺいする場合には、体積ホログラムの「特定波長」を選択的に吸収する「染料」や「顔料」を含めた樹脂材料を用いて、「隠ぺい層」とすることができる。
この「染料」として、天然染料、直接染料、酸性染料、反応染料、分散染料、塩基性染料、蛍光染料、カチオン染料、硫化染料など、また「顔料」では、天然無機顔料として、カオリン、石膏等の土系顔料、バーンドアンバー等の焼成土、マラカイト等の鉱物性顔料、その他、サンゴ、瑚粉など、合成無機顔料として、酸化物顔料、水酸化物顔料、硫化物顔料、ケイ酸塩顔料、リン酸塩顔料、炭酸塩顔料、ブロンズ粉、アルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉顔料、アイボリーブラック、カーボンブラック等の炭素顔料など、天然有機顔料として、植物性顔料、動物性顔料など、合成有機顔料として、染色レーキ顔料、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾ錯塩顔料、フタロシアニン顔料、縮合多環顔料、蛍光顔料などを用いることができる。
但し、上記したいずれの材料系を用いる場合においても、それらの材料系を用いて「ホログラム層」上に形成した「隠ぺい層」が、「ホログラム層」から「物理的な剥離」をすることができ、且つ、その「物理的な剥離」後の「ホログラム層」の露出した「最表面」を「光学的な鏡面」とすることができるように、「ホログラム層」と「隠ぺい層」の界面における「相互作用」の小さい、すなわち、「両層に用いられる材料間の相溶性が高く、その界面において、両層の材料が混ざり合ったり」、「『隠ぺい層』に用いられる溶剤が『ホログラム層』の表面を劣化したり」、「『隠ぺい層』に用いられる材料が『ホログラム層』の表面に対して『濡れ易かったり(隠ぺい層に用いられる材料の表面張力より、ホログラム層に用いられる材料の表面張力の方が小さいこと、特に、この表面張力の差が、10mN/m未満を意味する。)』、両層間の接着強度が大きかったり(界面の剥離強度が、1.0kg/25mm幅を超えることを意味する。)」するような「相互作用」を抑制できるもの(すなわち、上記した特性値を下回るようにすることができるものを意味する。)を選定する必要がある。
また、「隠ぺい層」が「光散乱性」を有するとは、その「隠ぺい層」が、いわゆる、「ブラッシング現象」により白化している状態、すなわち、隠ぺい層用インキ組成物中に極性の大きい溶剤や、使用する樹脂を溶解しない溶剤を混入させたり、互いに相溶性の無い樹脂を混合し共通溶剤で溶解したもの等を、塗布後所定の乾燥条件(冷風乾燥など、その溶剤の揮発速度を遅く、且つ、所定の速度に制御することを意味する。)にて乾燥させる過程で、「白化」現象を起こしたものであって、「隠ぺい層」内に屈折率の異なる微細な領域が、多数、分散して存在し、この領域間の屈折や、界面反射で「光散乱性」を帯びている状態、または、隠ぺい層内に微細な空隙が、多数、分散して存在し、この空隙の界面での屈折や、界面反射で「光散乱性」を帯びている状態、さらには、隠ぺい層の露出面が「粗面」であって、その面を通過する光を散乱させる状態等をいう。
そして、「隠ぺい層」内に屈折率の異なる微細な領域が存在させるために、「隠ぺい層」内に、「屈折率の異なる低融点成分」を「固形の状態」で分散混入させる手法や、「隠ぺい層」内に微細な空隙が存在させるために、「隠ぺい層」用インキ組成物を作成する際、そのインキ組成物の粘度を高く保ちつつ、種々のインキ処理機、例えば、ビーズミル、ミキサー、ディゾルバー、3本ロールミル、ニーダー、加圧ニーダーや、ケーエックスニーダー等で空気を含ませながらインキ組成物を「混練」処理して、微細な空隙をインキ組成物中に留め、その微細な空気を含んだまま、「隠ぺい層」を形成する手法を採用することができる。
以上の種々の「隠ぺい層」のインキ組成及び、その形成厚さ、さらには、その形成方法は、以下に述べる「スクラッチ隠蔽層」に準じる。
以下、「隠ぺい層」の代表例として、「第一隠ぺい層」及び「第二隠ぺい層」の両方を「スクラッチ隠蔽層」とした場合につき、詳述する。
このスクラッチ隠蔽層用のインキ組成物としては、ゴム系天然樹脂、ジエン系樹脂、アクリル系樹脂や、ビニル系樹脂を樹脂成分とし、隠蔽性とスクラッチ性を得るために、金属系微粉末やそれらの酸化微粉末等の顔料成分を固形分全体の20〜80%の割合で含有するものを用いる。また、スクラッチ隠蔽層の隠蔽性を向上させるために、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の隠蔽性の強い顔料成分を1〜10%含有させてもよい。スクラッチ隠蔽層用インキ組成物を以上の組成物から構成することにより、印刷適性とスクラッチ性との双方を満足することができるようになる。
スクラッチ隠蔽層は、この組成物を適宜な溶剤で希釈したものを、適宜な剥離性フィルム上に、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、凹版印刷方式、インクジェット印刷方式等の印刷方式を用い、乾燥後の厚さとして、5μm〜50μm、さらには10μm〜30μmの厚さで形成する。
このスクラッチ隠蔽層上に、レリーフホログラム形成層や体積ホログラム形成層を設け、さらに、その上に、二つ目のスクラッチ隠蔽層を同様の厚さで設けて、本発明の隠ぺいホログラムシートを得る。
この厚さが5μm未満では、ホログラム再生像や「秘密情報」が透けて見える可能性があり、50μmを超える厚さでは隠ぺいホログラムシートの総厚さが大きくなりすぎ、スクラッチカード等の基材上に貼着した際に、基材上の「突出」が大きすぎてスクラッチカード等を重ねるなど、隠ぺいホログラムシートのハンドリングの際に支障をきたす。スクラッチ隠蔽層の厚さがこの範囲であれば、コインや、指もしくは爪で容易に粉砕可能である。
但し、この適宜な剥離性フィルム上に設けた、スクラッチ隠蔽層の露出面は、ホログラム層との界面となり、且つ、隠ぺいホログラムシートを構成して基材に貼着後にスクラッチ隠蔽層を部分的にスクラッチした際には、そのスクラッチ隠蔽層が除去された領域において、その界面を通して、「秘密情報」、及び、ホログラム層によるホログラム再生像を視認することとなるため、それらの視認性を確実なものとすることを目的として、そのスクラッチ隠蔽層の露出面を、いわゆる「光学的な鏡面」とすることが求められる。
このスクラッチ隠蔽層とホログラム層との界面が、「光学的な鏡面」とならず、いわゆる「粗面」となっている場合には(ホログラムのぼかし効果を目的として、一部設けた粗面部分を除く。)、この「粗面状の界面」を「秘密情報」及びレリーフホログラム再生像を視認するための照明光が通過したときに、その「光の位相」が乱れ、さらには、「散乱光」となってしまい、「秘密情報」に対しては、いわば「擦りガラス」を通して情報を見ているような状態となり、ホログラム再生像にあっては、位相の揃った光の干渉により発生するホログラムの再生そのものを阻害して、ホログラム再生像を確認することすらできないものとなってしまう。
このような「光学的な鏡面」とは、上記したように、ある「層」の表面の平滑性が、実質的に、平均表面粗さRaで、0.01μm〜0.1μmであることを意味する。また、ホログラムレリーフ面のような三次元曲面において、「光学的な鏡面である」とは、その曲面が、あるべき曲面から逸脱するような不規則な凹凸の無い「滑らかな面」であることを言い、敢えて定義すれば、「その三次元曲面において、微視的領域であってその領域内ではほぼ平面と近似できる極く小さな面領域における平均表面粗さRaの値が、どの微視的領域においても0.01μm〜0.1μmであること」と定義できる。
通常、スクラッチ隠蔽層を上記のような印刷方式を用いて形成すると、その表面は、1.0μm〜30.0μm程度、場合によってはそれ以上の「粗さ」となり、その「粗さ」が、コインや、指もしくは爪で粉砕することを容易なものとし、スクラッチオフ適正という点では望ましいとされている。(スクラッチオフとは、コインや爪によるスクラッチによりスクラッチ隠蔽層を部分的に除去することを意味する。)
しかし、スクラッチ隠蔽層のホログラム層と接している面とは反対の面(隠ぺいホログラムシートとしての最表面)は、まさにそのスクラッチをする面であってそのような粗さとすることが好ましいものの、その反対面、すなわち、スクラッチ隠蔽層のレリーフホログラム形成層と接している面は、本発明の目的より、上記したように「光学的な鏡面」とする必要がある。このため、適宜な剥離性フィルム上に、スクラッチ隠蔽層を形成後、上記した「光学的な鏡面」以上の平滑な表面を有する、「表面平滑化処理を施した金属板」等を用いて、100〜200℃の加熱、及び、107〜109Paでの加圧をする平板プレス処理、もしくは、「表面平滑化処理を施した金属ロール」等を用いてロール幅1cmに対して1.0kg以上の線圧を掛けるロールプレス処理により、スクラッチ隠蔽層のホログラム層と接している面を「光学的な鏡面」とする。
または、上記の印刷方式のみならず、ロールコーティング方式や、レジスト処理方式を用いることもこの目的のためには好適である。
さらには、予め、転写用基材として、平均表面粗さRaが0.01μm以下の非常に鏡面性の高いフィルムを準備し、このフィルム上に、スクラッチ隠蔽層を仮形成して、スクラッチ隠蔽層のこのフィルムと接している面を「光学的な鏡面」とし、この仮形成したスクラッチ隠蔽層を上記した適宜な剥離性フィルム上に転写して、その適宜な剥離性フィルム上に、露出面が「光学的な鏡面」となったスクラッチ隠蔽層を設けることができる。この方式(転写方式)は、スクラッチ隠蔽層を乾燥、さらには、硬化する段階において、スクラッチ隠蔽層に用いるスクラッチ隠蔽層用インキ組成物の中の顔料成分の移動や、樹脂成分の移動が起こり、比較的容易に「光学的な鏡面」を得ることができ、且つ、その面をそのままスクラッチ隠蔽層のホログラム形成層との界面とすることができるため好適である。
以下、本発明の隠ぺいホログラムシートの「第一隠ぺい層」及び「第二隠ぺい層」のいずれもをスクラッチ隠蔽層とし、「ホログラム層」をレリーフホログラム形成層とした場合につき詳述する。
上記したスクラッチ隠蔽層(「第一隠ぺい層」となる。以下、「第一のスクラッチ隠蔽層」という。)の上に、レリーフホログラム形成層を構成するための透明樹脂層として、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。(電離放射線とは、電子線及び紫外線を意味する。)
レリーフホログラム形成層は、スクラッチ隠蔽層を溶解しない溶剤を用いて、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、凹版印刷方式、インクジェット印刷方式等の印刷方式や、スピンコーティング方式、カーテンコート方式、フォトレジスト処理方式等の形成手段を用いて、乾燥後の厚さとして、1.0μm〜50μm、さらには3.0μm〜20μmの厚さで形成する。
この厚さが、1.0μm未満であるとレリーフホログラムの形成が困難となり、50μmを超える厚さでは、やはり、隠ぺいホログラムシートの総厚さが大きくなりすぎ、製造工程中や各種の用途に用いる際に、カールが発生し易くなったり、ハンドリングに支障をきたす。但し、スクラッチカード等へ貼着したりせず、本発明の隠ぺいホログラムシート単体で用いる場合には、レリーフホログラム形成層に対して、50〜150μmの厚さを有する適宜な透明フィルム基材を積層したり、さらには、1.0〜3.0mmの厚さを有するアクリル樹脂板などの透明樹脂板を積層することも好適である。
このような「厚い基材や板」を積層した場合は、本発明の隠ぺいホログラムシートを偽造防止を目的とする媒体の一部に装着するという目的ではなく、本発明の隠ぺいホログラムシートそのものを「ホログラムを含む表示デザインを隠ぺい層に隠したポスターやグリーティングカードなど」、さらには、新車等の新製品発表に用いられる「所定の期日まではそのデザインを隠ぺい層で覆ったままとするキャンペーン媒体や展示品など」としたりする。
さらに、隠ぺい層を物理的に剥離した後に初めて現れる「メッセージ」等の「秘密情報」を上記した方法にて、レリーフホログラム形成層上や、その透明フィルム基材上に設けることも好適である。
そして、このレリーフホログラム形成層の露出している面(レリーフホログラム形成層のスクラッチ隠蔽層と接している面とは反対の面を意味する。)に、予め準備した回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された原版(所定のホログラムレリーフ面を有する原版という意味。)を、複製方式のプレス型(スタンパともいう。)として押し当て、加熱ロールなどの適宜な手段により、両者を加熱して圧着することにより、原版の凹凸模様をレリーフホログラム形成層に複製することができる。この際、形成するレリーフホログラムパターンは単独のパターンでも、複数のパターンの集合体でもよい。
または、上記の原版の凹凸面とスクラッチ隠蔽層との間に、電離放射線硬化性樹脂を充填し、電離放射線にて、その樹脂を硬化させた後、その原版を剥離することで、スクラッチ隠蔽層上に、より精密なホログラムレリーフ面を有するレリーフホログラム形成層を形成することができる。
そして、このレリーフホログラム形成層のホログラムレリーフ面を覆うように、レリーフホログラム形成層の最表面を溶解したり、変性したりしない溶剤系とし、且つ、レリーフホログラム形成層の表面張力より小さい表面張力を持つスクラッチ隠蔽層(「第二隠ぺい層」となる。以下、「第二のスクラッチ隠蔽層」という。)を、「第一のスクラッチ隠蔽層」と同様の方式を用いて、「第一のスクラッチ隠蔽層」と同様の厚さで設けて、本発明の隠ぺいホログラムシートとする。
このとき、「第一のスクラッチ隠蔽層」と「第二のスクラッチ隠蔽層」の厚さを「実質的な同一」とし、3層積層体のカール発生を防止することも好適である。また、上記した表面張力の差を10mN/m以上とすることが望まく、且つ、「濡れ難く、ホログラムレリーフに追従し難い」性質に対抗して、第二のスクラッチ隠蔽層のレリーフホログラム形成層と接している「面」を、そのホログラムレリーフに強制的に追従させるため、この3層積層体からなる隠ぺいホログラムシートの両面から、その3層積層体を挟み込むように、「平板プレス」にて、100〜200℃の加熱、及び、107〜109Paの圧力を加えることも好適である。しかも、このような「平板プレス」を施すことで、「第一隠ぺい層」と「レリーフホログラム形成層」との界面、及び、「第二隠ぺい層」と「レリーフホログラム形成層」との界面が平滑化され、さらに「光学的な鏡面」となるため好適である(「光学的な鏡面」性を高めることができるという意味。)。
そして、上記したような「秘密情報」を、上記した手段を用いて、レリーフホログラム形成層のいずれか一方の面、もしくは、その両面に形成し、それらの隠ぺい層を物理的に剥離した際、非常に鮮明なレリーフホログラム形成層によるホログラム再生像と、「秘密情報」を同時に視認することができるようにする。
本発明の隠ぺいホログラムシートは、この3層積層体(「秘密情報」を形成したものを含む。)として上記したような目的(用途)に用い得るが、さらに、この「第二隠ぺい層」上に、粘着層を、乾燥後の厚さとして、10μm〜60μmの厚さで形成して、「ラベル」化し、スクラッチカード等の基材上に貼着して用いることも好適である。
この際、スクラッチカード等の上に、「別の秘密情報」を、上記した「秘密情報」形成手段と同様の手段を用いてあらかじめ設けておき、2つの「秘密情報」を秘匿するスクラッチカード等とすることも好適である。
この場合は、「第一隠ぺい層」を物理的に剥離して、まず「秘密情報」を判読し、さらに、「レリーフホログラム形成層」と「第二隠ぺい層」を物理的に剥離して、「もう一つの秘密情報(『別の秘密情報』)」を判読することとなる。
粘着層用のインキ組成物としては、溶剤系及び水系のいずれの粘着剤をも用いることができ、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体や、天然ゴムなどのゴム系樹脂などを挙げることができる。また、自然にやさしい材料構成とするために、特に、天然ゴムを主成分とするラテックス等の天然素材から作製されたものを用いることが好適である。
粘着層は、10μm未満であると、スクラッチカード等の基材、及び、秘密情報記録部との粘着性が不十分となり、60μmを超えると、やはり、隠ぺいホログラムシートの総厚さが大きくなりすぎ、スクラッチカード等の基材上に貼着した際に、スクラッチカード等を重ねる等のハンドリングに支障をきたすものとなる。
但し、「秘密情報」をインクジェット方式でスクラッチカード等の基材上に設けた際に、その「別の『秘密情報』」印字部(形成部)の高さ(印字部の盛り上がりを意味する。)が、5.0μm〜20μmと高くなった場合には、その「別の『秘密情報』」の上に本発明の隠ぺいホログラムシートを貼着したときに、粘着層が、その「高い」印字部を柔らかく包み込むように適宜な変形を生じ、その「高さ」を吸収して、「別の『秘密情報』」印字部の盛り上がりパターンをレリーフホログラム形成層や、2つのスクラッチ隠蔽層の盛り上がりに繋がらないようにすることが必須であり、このため、粘着層の厚さを、インクジェット方式で設けた「別の『秘密情報』」の盛り上がり高さ(印字部の基材面から印字部表面までの距離を意味する。)の2.0倍〜5.0倍とすることが好適である。
この厚さが、その盛り上がり高さの2.0倍未満であると、その吸収性が不十分となり、5.0倍を超えると、不必要な厚さとなり、やはり、隠ぺいホログラムシートを貼着したスクラッチカード等の総厚さに悪影響を与えることとなる。
粘着層の形成方法としては、グラビアコート、ロールコート、コンマコートなどの方法で、塗布し乾燥して形成することができる。
粘着層の粘着力は、レリーフホログラム形成層との界面の剥離強度として、JIS Z0237準拠の180°による剥離方法において、1.0〜3.0kg/25mm幅の範囲にすることが望ましい。もちろん、それ以上の剥離強度を有していても、本発明の目的には適合している。
このようにして適宜な剥離性フィルム上に設けた、第一のスクラッチ隠蔽層、レリーフホログラム形成層、及び、第二のスクラッチ隠蔽層からなる隠ぺいホログラムシートを、その剥離性フィルムから剥離すると、本発明の隠ぺいホログラムシートとなり、また、適宜な剥離性フィルム上に設けた、第一のスクラッチ隠蔽層、レリーフホログラム形成層、第二のスクラッチ隠蔽層及び、粘着層からなる、「粘着層付き隠ぺいホログラムシート」を、その剥離性フィルムから剥離すると、本発明の隠ぺいホログラムシートに粘着加工を施した、いわば、「隠ぺいホログラムラベル」となる。
上記した目的から、この剥離性フィルムの表面を、平均表面粗さRaで、1.0μm〜30μm、もしくはそれ以上の粗さに設定した「粗面」としておくことも、スクラッチ時の破壊性を均一、且つ、容易化することができ、スクラッチオフ適正の向上に寄与する。
また、レリーフホログラム形成層のホログラムレリーフ面に、反射性薄膜層をそのホログラムレリーフに追従するように接して設けることで、反射性薄膜層そのものをホログラムレリーフ形状として、その反射性薄膜層からの反射光(この反射光がホログラムレリーフの位相を含んでいる。)の強度をより強く、大きいものとし、より鮮明なレリーフホログラム再生像を出現させることを可能とする。
反射性薄膜層としては、真空薄膜法などにより形成される金属薄膜などの金属光沢反射層、または透明反射層のいずれでもよいが、金属光沢反射層を用いる場合には、その反射性薄膜層での反射率が非常に高いため、非常に鮮明なレリーフホログラム再生像を出現させることができる。
この際、金属光沢反射層を「全面形成」する場合には、「秘密情報」の形成位置をこの反射性薄膜層の背後とすると、「第一のスクラッチ隠蔽層」の物理的な剥離では、その「秘密情報」を視認できないため、「秘密情報」の形成位置をこの反射性薄膜層の前、すなわち、反射性薄膜層とレリーフホログラム形成層との間、もしくは、レリーフホログラム形成層と「第一のスクラッチ隠蔽層」との間に形成する。
または、「秘密情報」の形成位置をこの反射性薄膜層の背後とする場合には、その「秘密情報」を視認可能とする目的で、金属光沢反射層の「秘密情報」に該当する領域を開口部とした「部分形成」とする必要がある。
透明反射層を設けた場合は、「全面形成」であっても、その背後の「秘密情報」を視認できるため好適である。もちろん、意匠的な効果を求めて、透明反射層をも「部分形成」とすることも好適である。
これらの反射性薄膜層の形成には、真空薄膜法等の物理的薄膜形成方法や、メッキ等の化学的薄膜形成方法を用いることができ、その厚さとして、10〜2000nm程度、好ましくは20〜1000nmの厚さになるように設けることができる。
さらに、スクラッチ隠蔽層のレリーフホログラム形成層が形成されている面とは反対の面に、地紋印刷を施して、その「地紋」が存在することによる偽造防止性の向上のみならず、不正にスクラッチした際にその「地紋」も同時に削れてしまうことによって、偽造や変造を防止する効果を高めることができる。
この地紋印刷は、主要なデザイン模様の背景となる淡色系のパターンや彩文の印刷のことであり、単色の印刷用インキを使用してもよいが、より偽造防止性を高めるため、多色の印刷用インキを使用することも好ましい。この多色の地紋印刷には、オフセット印刷や、グラビア印刷も使われるが、オルロフ印刷やシムルタン印刷などの特殊な印刷方式もその高い偽造防止性から好適である。
オルロフ印刷とは、凸版多色集合印刷のことであり、それぞれの色のインキに対応する部分版(パターンローラ)に転移したそれぞれの色のインキを中間のローラに集合し、その集合ローラから一つの凸版版面にそれらのインキを同時に着肉する。凸版版面から直接印刷する場合(オルロフ印刷)とゴム胴(ブランケット胴)にインキを転移してから印刷する方法(オフセット・ザンメル)とがある。版面は一つであるが、一つの画線の途中から色を何色かに変化させることが出来るものである。
また、シムルタン印刷とは、複数の版面(平版や樹脂版、もしくは金属版などの凸版版面)を一つのゴム胴(ブラン胴)の周りに配置して、各版面からのインキをゴム胴に集合してから印刷する。印刷位置精度は版胴への版面の取り付け精度でほとんど決まり、基材の伸縮などの影響が少ないため、高い見当合わせが安定して可能となるものである。
この地紋印刷のデザインとしては、装飾的効果をあげるための図形であって、規則正しく繰り返される「文様」や、紋章的な感じを含む図文である「紋様」、その他染織等に用いられる「型」として繰り返される意匠等を用いることができる。
特に、スクラッチによって、容易にそのデザインが破壊されることを目的として、それらの画線の幅を非常に細く、30〜100μm程度とした「細線」、もしくは、「細紋」とすることも好適である。
地紋印刷における「地紋」の形成厚さは、1.0〜10.0μmとする。
但し、スクラッチ隠蔽層の表面が「粗い」面であるため、この凹凸に追従して印刷可能なインクジェット方式や、この凹凸に影響され難い感熱転写方式、もしくは、昇華転写方式を用いて地紋印刷を行ってもよい。さらに、このような転写方式を用いて、スクラッチ隠蔽層の凹凸の凸部のみに印刷を行い、不正なスクラッチにより非常に容易に地紋印刷が破壊されるようにすることも好適である。
特に、昇華転写方式は、スクラッチ隠蔽層を構成する樹脂層にのみ浸透し、独特の風合いを醸し出すとともに、同一のものを偽造することが困難であるため好ましい。
また、この地紋印刷を、スクラッチ隠蔽層とレリーフホログラム形成層との間にも設け、且つ、そのデザイン及び、形成位置をスクラッチ隠蔽層の上下で同一とすることで、スクラッチ隠蔽層を削った際に、その地紋デザインが、連続したデザインとして視認できるようにすることも、その意外性や偽造防止性を高めるため好適である。
そして、本発明の隠ぺいホログラムシートのスクラッチ隠蔽層を、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料及び、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料の両方を含んでいるものとすると、隠ぺいホログラムシートを不正に剥離しようとした際に、スクラッチ隠蔽層に剥離痕を残すことが可能となり、その偽造防止性を著しく高めることが可能となる。
スクラッチ隠蔽層用のインキ組成物に含める顔料成分としては、上記したごとく、金属系微粉末やそれらの酸化微粉末等(もちろん、窒化物やその他の化合物微粉末でもよい。)の顔料成分を20〜80%含有するものを用いるが、この顔料成分として、平均粒子径1.0μm〜10μmの比較的粒子径の大きい顔料群(「群」とは、複数の顔料を混合することも含める意味。)と、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料群を準備し、これらの混合系を用いることで、粒子径の大きい顔料群の隙間に微粒子顔料群が入り込む構造とし、スクラッチ隠蔽層が極度の変形を受けた際に、微粒子顔料群が粒子径の大きい顔料間の滑り剤の役目を果たして、粒子径の大きい顔料の層内移動を容易かつ不可逆なものとする(塑性変形を生じることを意味する。)。さらに、この「滑り」効果を助長するためにシリコーンオイルやタルク等の滑り性付与剤を1%〜5%添加することも好適である。
本発明の隠ぺいホログラムシートのいずれかの「スクラッチ隠蔽層」を不正に剥がそうとすると、隠ぺいホログラムシート全体が、90度から180度の「折れ曲がり変形」を受け、従って、「スクラッチ隠蔽層」も同様の変形を受けるとともに、「スクラッチ隠蔽層」の一方の面は、レリーフホログラム形成層と固着してズレ変形を生じ難い状態となっていることから、「スクラッチ隠蔽層」の他方の面にその変形圧力が集中し、上記の塑性変形を大きくして、その「スクラッチ隠蔽層」の他方の面に不規則な凹凸や、不規則な裂け目を発生させ、この不規則な凹凸や、不規則な裂け目が、「剥離痕」として視認されることとなる。
このような「剥離痕」をより確実に発生させるためには、粒子径の大きい顔料群と、微粒子顔料群の比率を、10対1〜10対30、特には、10対5〜10対10とすることが好ましい。
粒子径の大きい顔料群10に対して、微粒子顔料群の比率が1未満であると、スクラッチ隠蔽層に「剥離痕」が発生し難くなり、微粒子顔料群の比率が30を超えても、やはり「剥離痕」が発生し難くなる。
さらには、スクラッチ隠蔽層用インキ組成物に用いる樹脂として、凝集破壊し易い脆弱性の樹脂を用いることもこの「剥離痕」の発生を確実なものとするが、この場合には、スクラッチオフ(コインや爪によるスクラッチによりスクラッチ隠蔽層を部分的に除去することを意味する。)を容易とする効果も発現するため好適である。
さらに、スクラッチ隠蔽層と、レリーフホログラム形成層との間に、適宜な透明基材を設けることで、スクラッチオフ時に、コインや爪が、直接、レリーフホログラム形成層の表面を削ることを防ぎ、レリーフホログラム形成層の表面の「光学的な鏡面」に対して悪影響を与えることを防止し、且つ、スクラッチ隠蔽層を残渣(削り残りを意味する。)なく、安定して、確実に除去することを容易なものとすることができる。
特に、その適宜な透明基材として、耐擦傷性が高く、爪等の押圧で変形を生じ難いものを使用することが好ましく、例えば、3次元架橋フィルムのように表面強度が強いもの、または、フッ素系樹脂のような離形性を有して、爪等を滑らせてしまうものを用いると、これらの効果に優れる隠ぺいホログラムシートとすることができる。
本発明の隠ぺいホログラムシートに用い得る、適宜な透明基材としては、上記の特性に加えて、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や耐溶剤性および耐熱性をも有するものが好ましい。さらに、透明性を有していれば、特に限定されるものではないが、フィルム状もしくはシート状のプラスチックが好ましい。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアリレート、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、ポリエチレン/ビニルアルコール等の各種のプラスチックフィルムを例示することができる。
特に、フッ素系樹脂パウダーや、シリコン系樹脂パウダー等を混入したプラスチックフィルムは、耐擦傷性が著しく高く好適である。
その透明基材の厚さは、2.0〜50μmであるが、隠ぺいホログラムシートとしての加工適正や取り扱い適正から3.0〜20.0μmとすることが望ましい。
この厚さが、2.0μm未満であると、この透明基材上にスクラッチ隠蔽層を設けたり、もしくは、レリーフホログラム形成層を設けたりする際の加工適正に劣るものとなり、この厚さが50.0μmを超えると、隠ぺいホログラムシートの総厚さが大きくなり過ぎるため好ましくない場合がある。(但し、上記したようなポスター等の用途に対してはこの限りでない。)
このような適宜な透明基材を設ける場合には、上記した隠ぺいホログラムシートの作成手順において、適宜な剥離性フィルムを用いず、この透明基材の一方の面に第一のスクラッチ隠蔽層を設け、その透明基材の他方の面にレリーフホログラム形成層、及び、第二のスクラッチ隠蔽層、さらには、この上に、粘着層を、この順序で設けることで、適宜な剥離性フィルムを用いずとも、本発明の隠ぺいホログラムシート、さらには、粘着層付き隠ぺいホログラムシートを得ることができる。
もしくは、この透明基材の一方の面にレリーフホログラム形成層、及び、第二のスクラッチ隠蔽層、さらには、粘着層をこの順序で設け、粘着層に適宜な剥離紙(粘着ラベル用のセパレータを意味する。)を貼りつけた後、その透明基材の他方の面に、第一のスクラッチ隠蔽層を設けて、本発明の隠ぺいホログラムシート、さらには、粘着層付き隠ぺいホログラムシートとしてもよい。
これらの手順を用いると、「スクラッチ隠蔽層」やレリーフホログラム形成層を、「透明基材」という、物理的、且つ、化学的に安定しており、さらには、表面平滑性をも高い「フィルム」上に、別々の工程を用いて設けることができるため、より安定して、より精密に形成できる。
もちろん、透明基材の一方の面に、レリーフホログラム形成層、及び、第一のスクラッチ隠蔽層をこの順序で設け、その透明基材の他方の面に第二のスクラッチ隠蔽層、さらには、粘着層を設けることでも、適宜な剥離性フィルムを用いずに、本発明の隠ぺいホログラムシート、さらには、粘着層付き隠ぺいホログラムシートを得ることができ、好適である。
以上の説明においては、主に、ホログラムレリーフ面がレリーフホログラム形成層と第二のスクラッチ隠蔽層との間の界面にある場合について説明をしたが、このホログラムレリーフ面が、レリーフホログラム形成層と第一のスクラッチ隠蔽層との間の界面にある場合も同様の手法を用いて隠ぺいホログラムシートを作製とすることができ、そして同様の好適な効果を得ることができる。
以下に、このホログラムレリーフ面が、レリーフホログラム形成層と第一のスクラッチ隠蔽層との間の界面にある場合につき、さらに詳述する。
この場合における、本発明の隠ぺいホログラムシートの構成は、やはり、第一のスクラッチ隠蔽層、レリーフホログラム形成層と第二のスクラッチ隠蔽層からなる3層構成となり、前記した構成と同一であるが、その製造においては、適宜な剥離性フィルム上に(ラベルとする場合には、この上に粘着層を既に設けてあってもよい。)、まず、第二のスクラッチ隠蔽層を設け、その上にレリーフホログラム形成層を設けた後、上記したホログラムレリーフ形状を有する原版を、そのレリーフホログラム形成層に押し当て、ホログラムレリーフの複製をした後に、そのホログラムレリーフ面上に、第一のスクラッチ隠蔽層を設ける手順となる(手順1)。
もしくは、適宜な剥離性フィルム上に、第一のスクラッチ隠蔽層を設け、その第一のスクラッチ隠蔽層に対して、その原版を押し当て、ホログラムレリーフの複製をした後に、レリーフホログラム形成層となる透明な樹脂を形成し、その上に、第二のスクラッチ隠蔽層を設けることとなる(手順2)。
手順1の方法においては、適宜な剥離性フィルム上に、第一のスクラッチ隠蔽層を設け、レリーフホログラム形成層を設けた後、ホログラムレリーフの複製を施し、第一のスクラッチ隠蔽層を設ける手順となるが、この中に、レリーフホログラム形成層が形成された、そのホログラムレリーフ面上に、直接、第二のスクラッチ隠蔽層を形成する手順を有しているため、そのホログラムレリーフ面に、その面形状の不要な変形や、その面の性質の不要な変質、もしくは、劣化を招かないように、第二のスクラッチ隠蔽層用インキ組成物に使用する溶剤等を、レリーフホログラム形成層に影響の少ないものを選定し、且つ、第二のスクラッチ隠蔽層を形成する方式も、レリーフホログラム形成層に不要な加熱や圧力を与えないものとする。
さらに、レリーフホログラム形成層そのものを、電離放射線硬化性樹脂、もしくは、熱硬化性樹脂とし、さらに、その硬化反応を十分に完結させる「ポストキュア工程」を設けたり、レリーフホログラム形成層のホログラムレリーフ面の強度を局所的に高めるため、原版を押し当てた状態で、剥離性フィルム側から圧力を掛けながら、原版を100〜200℃に加熱する方法も好適である。このような工程を付加することで、レリーフホログラム形成層の最表面をさらなる「光学的な鏡面」とすることができる。
また、使用する透明樹脂層として、3次元架橋型のメラミン樹脂等の、耐溶剤性及び耐熱性に優れるものを用いることも好適である。
そして、この場合における、レリーフホログラム形成層のホログラムレリーフ面は、第一のスクラッチ隠蔽層をスクラッチオフする際の、コインや爪が引っ掻く面となるため、このスクラッチオフによっても、そのホログラムレリーフ面に、その面形状の不要な変形や、その面の性質の不要な変質、もしくは、劣化を招かないように、レリーフホログラム形成層中に、シリコン樹脂、シリコンオイル、またはフッ素樹脂等の離型性付与剤を10〜30%含めることが好適である。
その他については、既に説明した方法を用いて同様に本発明の隠ぺいホログラムシートを形成することができる。
また、手順2の方法においては、第一のスクラッチ隠蔽層に対して、直接、ホログラムレリーフの複製を施すこととなるが、第一のスクラッチ隠蔽層の表面が粗いことから、その表面に原版を押し当てて加熱、且つ、加圧してホログラムレリーフ面を形成しようとすると非常に高い加熱と大きな圧力が必要となり、また、その複製精度も不均一となる。
このため、そのインキ組成物に、粒子径の大きい顔料群と、微粒子顔料群の比率を、10対1〜10対5として配合することで、スクラッチ隠蔽層の塑性変形をし易くすることはこの手順においても好ましいものとなる。そして、第一のスクラッチ隠蔽層の最表面を上記したような平圧プレスやロールプレスを用いることにより「光学的な鏡面」とした後に、ホログラムレリーフを複製することで、第一のスクラッチ隠蔽層に形成したホログラムレリーフ面の状態をいわば「鏡面」の状態としたままとすることがより好適である。(ホログラムレリーフ面は、3次元曲面であるため、「平面」に対して用いる「鏡面」という表現は適切ではないが、3次元曲面の状態が「鏡面」のように滑らかであることを例えて「いわば鏡面の状態」と表現した。)
さらに、第一のスクラッチ隠蔽層を、一旦、上記した原版のホログラムレリーフ面上にインキ組成物の状態で設けた後に乾燥して形成し、原版のホログラムレリーフ面形状を高い精度で第一のスクラッチ隠蔽層上に再現させ(低粘度のスクラッチ隠蔽層用インキ組成物の状態でホログラムレリーフ面上の設け、インキ内の顔料や樹脂材料の移動による、高い面形状再現性を発現させるという意味。)、その原版から上記した適宜な剥離性フィルムへ第一のスクラッチ隠蔽層を転移させる方法も、ホログラムレリーフ面の「光学的な鏡面」性を維持することで、より鮮明なレリーフホログラム再生像を出現させるために好適である。
その他については、既に説明した方法を用いて同様に本発明の隠ぺいホログラムシートを形成することができる。
このようにして得られた、本発明の隠ぺいホログラムシートの、「第一のスクラッチ隠蔽層」(「第一隠ぺい層」)をレリーフホログラム形成層(「ホログラム層」)からコインを用いて削り取る(「物理的に剥離」する。)と、そのレリーフホログラム形成層の露出した最表面が「光学的な鏡面」となっており、その最表面を通して、非常に鮮明なレリーフホログラム形成層によるホログラム再生像(反射型ホログラムの再生像)を視認することができた。
さらに、レリーフホログラム形成層から、やはり、コインを用いて、「第二のスクラッチ隠蔽層」(「第二隠ぺい層」)の対応する位置(上記したレリーフホログラム形成層の「露出した最表面」の「領域」に対応した位置にある、レリーフホログラム形成層の反対面の「領域」という意味。レリーフホログラム形成層のもう一つの最表面である。)を削り取ると、やはり、そのレリーフホログラム形成層の露出した、もう一つの最表面も「光学的な鏡面」となっており、この領域から、レリーフホログラム形成層による鮮明なホログラム再生像(透過型ホログラムの再生像)を視認するとができた。
また、「第一のスクラッチ隠蔽層」(「第一隠ぺい層」)とレリーフホログラム形成層(「ホログラム層」)の間に「秘密情報」を設けた本発明の隠ぺいホログラムシートを同様に評価すると、レリーフホログラム形成層によるホログラム再生像に、その「秘密情報」が重なった状態で視認され、高い意匠性と、高度な偽造防止性を確認できた。
また、このようにして得られた、本発明の隠ぺいホログラムシートの第二のスクラッチ隠蔽層の上に粘着層を設け、その粘着層側を、スクラッチカード等の基材面、及び、その基材上の「別の『秘密情報』」形成部に接し、且つ、その「別の『秘密情報』」形成部を覆うように押し当て、2Kgの加重を掛けたゴムローラによって隠ぺいホログラムシート上から加圧して、本発明の隠ぺいホログラムシートをその基材の所定の位置に貼着した。
この状態では、隠ぺいホログラムシート内の「秘密情報」、及び、隠ぺいホログラムシートに覆われた「別の『秘密情報』」形成部を視認することはできず、また、その隠ぺいホログラムシートの中にホログラムが含められているとは想像もできなかったが、隠ぺいホログラムシートの第一のスクラッチ隠蔽層をコインで一部削り取ることにより、その削りとった領域から、「秘密情報」と鮮明なレリーフホログラム再生像を同時に視認することができ、さらに、その領域のレリーフホログラム形成層と、第二のスクラッチ隠蔽層を削り取ることで、「別の『秘密情報』」を確認することができた。
このとき、「秘密情報」形成部の位置と、「別の『秘密情報』」形成部の位置が、重なるように設けられていると、「秘密情報」形成部を削り取った後でないと、「別の『秘密情報』」形成部を視認することができないものとすることができ、正規の購入者が、「別の『秘密情報』」形成部を視認できる状態で放置していても、また、いかなる第三者がその状態で盗み見したとしても、すでに削り取られてしまった「秘密情報」の内容を知ることができず、偽造や変造を実質的に不可能にすることができるため、好適である。
もちろん、用途によっては、「秘密情報」形成部の位置と、「別の『秘密情報』」形成部の位置を敢えてずらし、同時に両方の「情報」を視認できるものとして、その利便性を追求することも好適である。
また、少なくともいずれかの「スクラッチ隠蔽層」が、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料及び、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料を含んでいる本発明の隠ぺいホログラムシートから、その「スクラッチ隠蔽層」を剥がそうとしたり、また、「第一のスクラッチ隠蔽層」が、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料及び、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料を含んでいる、粘着層付きの隠ぺいホログラムシートを、上記した基材及び、基材上の「別の『秘密情報』」形成部に貼着した後、「第一のスクラッチ隠蔽層」の一部を剥がしたところ、その剥がす行為によって、「第一のスクラッチ隠蔽層」の表面に「剥離痕」が発生し、剥がした痕跡を残さず「第一のスクラッチ隠蔽層」や、隠ぺいホログラムシートそのものを剥がすことは困難と思われた。
本発明によれば、ホログラム層を第一隠ぺい層、及び、第二隠ぺい層で挟み込んで、第三者に対して、レリーフホログラム形成層、または、体積ホログラム形成層というホログラム層の存在、及び、そのホログラム層に記録されているホログラムデザインを非常に高いレベルで秘匿可能とし、いずれか一方の隠ぺい層を物理的に剥離して初めて、そのホログラムの存在を確認できるという高度な偽造防止性を有し、且つ、その物理的な剥離後には、鮮明なホログラムデザイン(ホログラム再生像)、特には、その剥離界面が「光学的な鏡面」となることによって、非常に鮮明なホログラム再生像が出現するという高い意匠性を有する隠ぺいホログラムシートを提供することができる。
また、それらの第一隠ぺい層、または、第二隠ぺい層をスクラッチ隠蔽層とすることで、高い隠ぺい性を確保し、且つ、安定した「物理的な剥離」を可能とし、さらには、隠ぺいホログラムシート内に、秘密情報を含め、上記した物理的な剥離後には、隠蔽した秘密情報とその鮮明なホログラムデザインを重ねて視認できるという高い意匠性、さらには、そのホログラムが存在するか否かを目視によって判定するという真正性判定の簡易性をも併せ持つ隠ぺいホログラムシートを提供することができる。
そして、本発明の隠ぺいホログラムシートは、ホログラムデザイン及び、「秘密情報」を第三者に開示していないことから、不正者が、例え、本発明の隠ぺいホログラムシートを複数枚入手して、その構造やホログラムの存在を知り得たとしても、そのホログラムデザインが統一された唯一のデザインなのか、複数のデザインを任意に配したものなのか、もしくは、特定の「秘密情報」に対して特定のホログラムデザインを対応させてあるものかを知ることができないものとしており、この原理によって、入手した隠ぺいホログラムシート以外の「秘密情報」を有する隠ぺいホログラムシート等に対しての「偽造品」を作ることを事実上不可能とした、隠ぺいホログラムシートを提供することができる。
さらに、本発明によれば、スクラッチ隠蔽層に平均粒径の異なる顔料を配して、スクラッチ隠蔽層を剥がそうとしたときに、その剥離痕を残せる構造とし、その偽造防止性を著しく高めることを可能とした隠ぺいホログラムシートを提供することができる。
本発明の一実施例を示す隠ぺいホログラムシートH0の断面図である。(「秘 密情報」H4を第一隠ぺい層H1とホログラム層H2の間に設けた例。) 本発明の他の実施例を示す隠ぺいホログラムシートHの断面図である。 本発明のさらに他の実施例を示す隠ぺいホログラムシートH´の断面図である。 本発明のさらに他の実施例を示す隠ぺいホログラムシートH´´の断面図である。 本発明の隠ぺいホログラムシートHをスクラッチカード6の基材7の所定の位 置に貼着した図である。ここで、(a)は、スクラッチカード6を上から見た 図であり、(b)は、そのA−A断面図である。 スクラッチカード6に「秘密情報」8として「12345678」を印字した 図(「秘密情報」8を囲む枠は便宜上記載してあるのみ。) 本発明の隠ぺいホログラムシートHの最上層に地紋印刷9が設けられ、且つ、 スクラッチカード6の基材7の所定の位置に貼着されている図である。(本発 明の隠ぺいホログラムシートHの地紋印刷9のみを強調して図示している。)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
(第一隠ぺい層、第二隠ぺい層、第一のスクラッチ隠蔽層、及び、第二のスクラッチ隠蔽層)
本発明の隠ぺいホログラムシートH0は、第一隠ぺい層H1、ホログラム層H2、及び、第二隠ぺい層H3からなる3層積層体であり(図1参照。)、且つ、第一隠ぺい層H1、または、第二隠ぺい層H3は、ホログラム層H2から、物理的に剥離することが可能であって、その物理的な剥離後のホログラム層H2の空気中に露出する最表面が、「光学的な鏡面」となっているものである。(「物理的に剥離」する図、及び、露出した最表面が「光学的な鏡面」となっている図は、示していない。)
このホログラム層H2には、レリーフホログラム形成層2(図2〜図4参照。図2〜図4において、ホログラム層H2は、レリーフホログラム形成層2を例示している。)、または、体積ホログラム形成層(図示せず。層構成図としては、図1と同様の構成となり、この意味において、「体積ホログラム形成層」は、図1中の「H2」と同様の位置づけとなる。)を用いることができる。
この第一隠ぺい層H1、もしくは、第二隠ぺい層H3には、樹脂材料等の有機材料系材料、または、金属薄膜や、金属化合物薄膜(酸化物、窒化物等。)などの無機材料系材料を用いる。
その有機材料系材料としては、ホログラム層H2との界面の剥離強度(JIS Z0237準拠の180°による剥離方法による。)が、0.01〜1.0kg/25mm幅であって、且つ、ホログラム層H2によるホログラム再生像の発現を抑制して、その再生像の視認を阻止する性質を有するものが用いられる。
この界面の剥離強度が、0.01kg/25mm幅未満であると、第一隠ぺい層H1、もしくは、第二隠ぺい層H3と、ホログラム層H2との界面において、容易に「剥離」現象が発生してしまい、その偽造防止性が低下する。
また、この界面の剥離強度が、1.0kg/25mm幅を超えると、第一隠ぺい層H1、もしくは、第二隠ぺい層H3と、ホログラム層H2との界面における「接着」が「強固」となり過ぎて、ホログラム層H2から、第一隠ぺい層H1、もしくは、第二隠ぺい層H3を、「物理的に剥離」する際に、ホログラム層H2の最表面にダメージを与えるか(最表面に微細な亀裂、微細な凹凸や微細な変形を発生させたり、最表面の一部を変性させたりすることを意味する。いずれにしても、最表面のこの領域が「光学的な鏡面」では無くなることとなる。)、または、第一隠ぺい層H1、もしくは、第二隠ぺい層H3の一部が脱落して、ホログラム層H2の最表面に「突起状」に残ってしまう(この場合にも、最表面のこの領域が「光学的な鏡面」では無くなる。)こととなる。
具体的には、樹脂材料そのものが可視光に対する不透明性を有し、且つ、上記の剥離強度を満足する、結晶性プラスチック材料や配向処理プラスチック材料、すなわち、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリアミドや、液晶ポリマーなどを用いる。
これらの材料の結晶化度は、20〜80%であり、配向度は、延伸度で表して、200〜500%である。
または、白色顔料や、鱗片状金属薄膜材料を、上記の剥離強度を満足する範囲で、適宜な樹脂材料、すなわち、ウレタン樹脂等に、10〜50%程度、分散し混入させた材料を用いる。この添加量が10%未満であると、その「隠ぺい性」が不十分となり、50%を超えると、インキ化が困難となるとともに、インキ組成物としての適性(印刷適性やコーティング適性など。)に劣るものとなる。
さらには、無機超微粒子顔料や有機超微粒子顔料を、30〜60%程度、適宜な樹脂材料に高度に分散させた材料、または、
樹脂材料中にその樹脂の屈折率とは異なる屈折率を有する「別の樹脂」を「紛体」状として分散させた材料(「別の樹脂」の混入割合=10〜30%。「紛体」の大きさ=1.0〜10μm。)、
樹脂材料とは相溶性の低い「別の樹脂」を適宜な溶剤にて相溶させた後その溶剤を徐々に蒸発させて「別の樹脂」をその樹脂材料内に「微結晶状として析出」させた材料(析出する「別の樹脂」の混入割合=10〜30%。「微結晶樹脂」の大きさ=1.0〜0.1μmである。)、
さらには、樹脂材料中に多数の気泡(空洞を意味する)を有する材料(空洞の大きさは、最大直径で、1.0μm以上であって、「第一隠ぺい層H1、もしくは、第二隠ぺい層H3の厚さの1/3以下程度である。)などを用いることができる。
これらの材料は、ヘーズ(JIS K 7136:2000準拠)で20%以上の「層」を形成することができ、この添加量や大きさが設定範囲未満であると、その「隠ぺい性」が不十分となり、この添加量や大きさが設定範囲を超えると、インキ化が困難となるとともに、インキ組成物としての適性(印刷適性やコーティング適性など。)に劣るものとなる。
また、体積ホログラム層(図示せず。)を隠ぺいする場合には、その「特定波長」を選択的に吸収する「染料」や「顔料」を、10〜30%含めた樹脂材料を用いて、第一隠ぺい層H1、または、第二隠ぺい層H3とすることができる。
この目的で使用する「染料」や「顔料」の光吸収曲線における「光吸収波長の範囲」内に、少なくとも上記した「特定波長」が含まれ、特には、その光吸収曲線のピークが、この「特定波長」と同一、もしくは、「特定波長」に対して±10%にあるものを用いる。
以上の材料系を用いて、第一隠ぺい層H1、または、第二隠ぺい層H3を、ホログラム層H2上に設ける手段としては、
第一隠ぺい層H1、または、第二隠ぺい層H3が、「フィルム状」である場合には、ホログラム層H2に対するラミネーション方式や、平板プレス圧着方式等を用いることができるが、特には、ホログラム層H2の二つの最表面の「光学的な鏡面」性を維持するため、低溶解性、且つ、高揮発性の溶媒をその界面に含め、ゴム状ローラーでラミネートしつつ、その溶媒を排出して、その界面を「真空」状態とする方式が最も好ましい。
また、第一隠ぺい層H1、または、第二隠ぺい層H3が、上記した組成のインキ組成物である場合には、オフセット印刷方式、ドライオフセット印刷方式、グラビアコーティング方式、スクリーン印刷方式、カーテンコート方式、ロールコート方式、活版印刷方式、凹版印刷方式、インクジェット印刷方式、転写形成方式などの形成方式を用い、さらには、適宜な加熱や加圧を施すことができる、平板プレス方式やロールプレス方式等を併用する。
特に、ホログラム層H2の最表面から、それらの第一隠ぺい層H1、または、第二隠ぺい層H3を「物理的に剥離」することを可能とし、さらに、その剥離後には、その最表面が、「光学的な鏡面」として露出可能とするために、ホログラム層H2と、それらの第一隠ぺい層H1、または、第二隠ぺい層H3の界面における「相互作用」の小さい、すなわち、「ホログラム層H2と、それらの第一隠ぺい層H1、または、第二隠ぺい層H3に用いられる材料間の相溶性が低く、それらの界面において、両層の材料が混ざり合わず」、「『第一隠ぺい層H1、または、第二隠ぺい層H3』に用いられる溶剤等が、『ホログラム層H2』の最表面を劣化せず」、「『第一隠ぺい層H1、または、第二隠ぺい層H3』に用いられる材料が、『ホログラム層H2』の最表面に対して、『濡れ難』い状態として(第一隠ぺい層H1上にホログラム層H2を設ける場合には、第一隠ぺい層H1に用いられる材料の表面張力より、ホログラム層H2に用いられる材料の表面張力の方を大きく、ホログラム層H2上に、第一隠ぺい層H1または第二隠ぺい層H3を設ける場合には、ホログラム層H2に用いられる材料の表面張力より、第一隠ぺい層H1または第二隠ぺい層H3に用いられる材料の表面張力の方を大きく設定する。)両層間の接着強度が小さく」する。
本発明における「第一隠ぺい層H1」または「第二隠ぺい層H3」には、以下に説明する「第一のスクラッチ隠蔽層1」または、「第二のスクラッチ隠蔽層4」(以下、「スクラッチ隠蔽層1または4」とも略す。)を採用することができる。(図2〜図4参照。図2〜図4において、ホログラム層H2は、レリーフホログラム形成層2を例示している。)
スクラッチ隠蔽層1または4は、爪やコイン等を用いて、容易に、「物理的な剥離」をすることができ、特に好ましい。
本発明において、「物理的な剥離」とは、爪やコイン等の「『第一隠ぺい層H1』または『第二隠ぺい層H3』」(以下、「隠ぺい層H1またはH3」とも略す。)より硬度の大きい材料を用いて、その「隠ぺい層H1またはH3」を物理的に削り取り、「ホログラム層H2」の最表面を露出させること(この場合には、「硬度の大きい材料を用いて、「最表面」を磨き上げることとなる。)、または、「隠ぺい層H1またはH3」を指で持ち上げたり、「隠ぺい層H1またはH3」に粘着テープを貼着した後その粘着テープを「90度剥離」したり(90度垂直方向へ引っ張ることを意味する。)、「180度剥離」して、「隠ぺい層H1またはH3」と「ホログラム層H2」との界面における剥離(「界面剥離」ともいう。)を生じさせるなど、種々の物理的な手段を用いて、このような「界面剥離」を生じさせて「ホログラム層H2」の最表面を露出させること、及び、これらの手段の併用、さらには、あらかじめ、「隠ぺい層H1またはH3」と「ホログラム層H2」との間に「空隙」(図示せず「隠ぺい層H1またはH3」と「ホログラム層H2」との間に、「接触していない領域」を設けることを意味し、例えば、この「領域」を100〜300μmの網点状として、「光学的な鏡面」となっているホログラム層H2の上に「半球上の空隙」が点在する状態、すなわち、「隠ぺい層H1またはH3」の側に同様の凹みが生じている状態をいう。)を設けておき、「隠ぺい層H1またはH3」を「ホログラム層H2」から分離することで、その「最表面」を露出させることなどを意味する。
また、「隠ぺい層H1またはH3」を加熱して軟化させ、「界面剥離」し易くしたり、「隠ぺい層H1またはH3」と「ホログラム層H2」との間に、その「界面剥離」を助長する「剥離助長層」(図示せず。それ自体の界面張力の非常に小さいシリコン樹脂層など。)を設け、「界面剥離」し易くする。(以上の「物理的な剥離」及び「界面剥離」の状態は図示せず。)
以下に、本発明の隠ぺいホログラムシートH0において、「隠ぺい層H1またはH3」を「スクラッチ隠蔽層1または4」とし、且つ、「ホログラム層H2」を「レリーフホログラム形成層2」とした、本発明の隠ぺいホログラムシートH、H´もしくは、H´´(以下、H〜H´´ともいう。)につき、詳述する。(図2〜図4参照。)
この隠ぺいホログラムシートH〜H´´のスクラッチ隠蔽層1または4に用いるインキ組成物としては、熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、エチルセルロース、硝酸セルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン等のスチレン樹脂、あるいはスチレン共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの単独あるいは共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等のビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、重合ロジン等のロジンエステル樹脂、クマロン樹脂、ビニルトルエン樹脂、ポリアミドや、ポリイミド等を挙げることができる。また、スクラッチオフ性を満足する範囲でこれらの樹脂に硬化剤等を混合して、擦れ等によるスクラッチ隠蔽層1または4の表面の不要な剥離や、剥がれを防止してもよい。(図2〜図4参照。)
また、熱硬化性樹脂としては、シリコン樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、エポキシ樹脂や、不飽和ポリエステル樹脂等をあげることができ、シリコン樹脂として、シリコンゴム(シロキサン結合が5000〜10000の直鎖構造分子。)や、ケイ素樹脂、ゴム系天然樹脂として、天然ゴム、塩酸ゴム、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等を用いることができる。
さらには、スクラッチオフするという行為における環境影響を考慮して、スクラッチ隠蔽層1または4に用いるインキ組成物として、生分解性プラスチックを用いることも好適である。
生分解プラスチックとしては、化学合成系として、εーカプロラクトン等のラクトン系樹脂、ポリブチレンサクシネート−アジペート等のポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリ乳酸等、低分子量脂肪族ジカルボン酸と低分子量脂肪族ジオールより合成したポリエステル樹脂等、変性ポリビニルアルコールと脂肪族ポリエステル樹脂と澱粉の混合物等、または、低分子量脂肪族ポリエステルに脂肪族イソシアネートを添加して重合させたものなどが、また、天然物系として、ゼラチンなどの動物性天然物質、セルロースなどの植物性天然物質など、または、ポリヒドロキシブチレート等の微生物生産系物質などが好適である。
スクラッチ隠蔽層1または4に用いるインキ組成物としては、これらの樹脂成分を含む固形分全体に対して、隠蔽性とスクラッチ性を付与するために、金属系微粉末(アルミニウム粉末、黄銅微粉末、銅微粉末等)やそれらの酸化微粉末、窒化微粉末、その他の化合物微粉末等の顔料成分を20〜80%含有するものを用いる。
また、スクラッチ隠蔽層1または4の隠蔽性をさらに向上させるために、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の隠蔽性の強い顔料成分を1〜10%含有させてもよい。スクラッチ隠蔽層1または4用インキ組成物を以上の組成物から構成することにより、印刷適性とスクラッチ性との双方を満足することができるようになる。
スクラッチ隠蔽層1または4は、この組成物を適宜な溶剤で希釈したものを、適宜な剥離性フィルム(本発明の隠ぺいホログラムシートH〜H´´をこのフィルム上で形成した後、このフィルムから剥離することで、本発明の隠ぺいホログラムシートH〜H´´を得ることができる。この「適宜な剥離性フィルム」は図示せず。)上に、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、凹版印刷方式、インクジェット印刷方式等の印刷方式を用い、乾燥後の厚さとして、5μm〜50μm、さらには10μm〜30μmの厚さで形成する。(図2〜図4参照。)
さらに、スクラッチ隠蔽層1または4用インキ組成物として、金属ペースト、樹脂材料及び助剤を、水と低級アルコールに分散せしめて水性エマルジョンインキとしたものも使用でき、特に、レリーフホログラム形成層2の上にスクラッチ隠蔽層1または4を設ける手順とする場合に、そのレリーフホログラム形成層2の表面に不要な変形や変質を与えないため好適である。
その金属ペーストの金属としては、銅と亜鉛の合金であるブロンズパウダーや、アルミニウムパウダーを用いる。また、アルミニウムを微粉末化して、脂肪酸等で表面を処理したものを沸点の高い炭化水素溶剤( ミネラルスピリットなど)でペースト状にしたアルミニウムペーストとしてもよい。
これに、一般の印刷インキに使用する黄、マゼンタ、シアンまたは墨用の着色顔料、チタン白等体質顔料を、適宜、含めて着色タイプとしてもよい。
その樹脂材料としては、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂や、ポリアクリル酸系樹脂等を用いることができ、このこれら樹脂材料のエマルジョンをインキ組成物の25 〜50%としてアルミニウムペーストや、着色顔料などに、10〜35%の水と5%未満のイソプロピルアルコールを加えて攪拌して水性のエマルジョンインキとするものである。これに消泡剤や界面活性剤、もしくは防腐剤等の助剤を0.1〜3%添加することもできる。
この水性エマルジョンインキ組成物を用いたスクラッチ隠蔽層1または4の形成は、グラビア印刷法、スクリーン印刷法あるいはアニロックスローラーを介して印刷するフレキソ印刷法などが全面印刷あるいは部分印刷に好適な方法として適用され得る。
また、スクラッチ隠蔽層1または4用インキ組成物として、層内にて凝集破壊し易い脆弱性の樹脂を溶剤に溶かしたものに、隠蔽性の顔料としてアルミニウム粉末(銀色)、真鍮粉末(金色)、銅粉末(赤色)など金属粉末、あるいはタルク、カオリンなどの白色の体質顔料を混合したもの、あるいは、これに適宜色の着色顔料や染料を混合して着色したものを使用できる。
その凝集破壊し易い樹脂としては、異種の樹脂を適宜な配合比率でブレンドしたブレンド樹脂が使用でき、例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン系重合体、スチレン−ブタジエンゴム、各種ワックス、ロジン、テルペン系樹脂、テルペン系重合体などの樹脂のうちのいずれか2種以上を適宜比率にて配合したブレンド樹脂が使用できる。
この樹脂を溶解する溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、シクロヘキサノール、酢酸イソブチル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサノン、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコール誘導体など、又はこれらの混合溶剤が使用できる。
スクラッチ隠蔽層1または4用インキ組成物に用いられる顔料としては、さらに、有機顔料として、キナクリドン系レッド・マゼンタ、アンスラキノン系レッド・イエロー、ポリアゾ系イエロー、ベンズイミダゾロン系イエロー・オレンジ、フタロシアニン系顔料として、銅フタロシアニンブルー(α型、β型)、銅フタロシアニングリーン、異種金属フタロシアニンブルー、スレン系ブルー、アゾ系顔料として、溶性アゾ顔料(カーミン6B、パーマネントレッド2B他)、不溶性アゾ顔料(ジスアゾ系、モノアゾ系他)、不溶性多環式顔料(赤:キナクリドン、ペリレン、ジケトピロロピロール、橙:ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、黄:キノフタロン、イソインドリノン、緑:フタロシアニン、青:フタロシアニン、インダンスレン、紫:ジオキサジン他)、不溶性レーキ顔料(赤:レーキレッドC、ウォチュングレッド他)等がある。
無機顔料としては、複合酸化物系顔料、微粒子複合酸化物系顔料、紺青、ハイブリッド型顔料等があるが、さらに、弁柄、モリブデンレッド、カドミウムレッド、鉛丹(以上、赤色。)、黄鉛(赤口)、モリブデンオレンジ(橙色)、カドミウムオレンジ(橙色)、群青(ウルトラマリンブルー)、紺青(プルシアンブルー)、コバルトブルー、セルリアン、マンガン青(以上、青色。)、アンバー(茶色。)、黄鉛、カドミウムイエロー、チタン黄、黄色酸化鉄(以上、黄色。)、酸化クロム、コバルトグリーン、ビリジアン、ピーコック(以上、緑色。)、マルス紫、コバルトバイオレット、マンガンバイオレット(以上、紫色。)その他、体質顔料や、金属粉顔料等が用いられる。
これらの顔料の粒径を、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料群、もしくは、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料群として仕上げる。特に、微粒子顔料群は、二次凝集しやすく、再分散処理等を施す必要がある。
適宜な剥離性フィルム上に、第一のスクラッチ隠蔽層1を設ける前に、本発明の隠ぺいホログラムシートHの用途に応じたデザインにより、オフセット印刷や、グラビア印刷等を用いて、1.0〜10.0μmの厚さで地紋印刷9を施した後、その地紋印刷9を覆うように第一のスクラッチ隠蔽層1を設ける手順とすると、本発明の地紋印刷9が最表面となる隠ぺいホログラムシートH(図7参照。)を得ることができる。
もちろん、隠ぺいホログラムシートH〜H´´を形成した後の、そのスクラッチ隠蔽層1または4上に改めて、同様の印刷方式を用いて地紋印刷9を設けてもよい。
この地紋印刷9以外の通常デザイン(主要なデザイン模様等)の印刷を施し、その意匠性を高めることができることは言うまでもない。
また、その適宜な剥離性フィルムを用いず、厚さ2.0〜50.0μmの透明基材を用い、その透明基材の一方の面に、上記した印刷方式等を用いて、第一のスクラッチ隠蔽層1を設け、さらにその第一のスクラッチ隠蔽層1の上に地紋印刷9を設けた後、その透明基材の他方の面に、レリーフホログラム形成層2(そしてホログラムレリーフ3。)、及び、第二のスクラッチ隠蔽層4、さらには、粘着層を設ける手順としてもよい。(図示せず。)
そして、スクラッチ隠蔽層1または4の上に、もしくは、スクラッチ隠蔽層1または4及びそれらの地紋印刷9の上に、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、これらの共重合体さらには電離放射線硬化樹脂等の保護層を、感熱溶融転写方式、昇華転写方式、インクジェット方式で、1〜3μm厚さに形成して、「秘密情報」H4の隠蔽をさらに強化してもよい。(「秘密情報」H4は、本発明の隠ぺいホログラムシートH0において、第一隠ぺい層H1とホログラム層H2との間、第二隠ぺい層H3とホログラム層H2との間、及び/または、ホログラム層H2の内部に設ける。図1において、「秘密情報」H4を、第一隠ぺい層H1とホログラム層H2との間に設けた例を図示している。図2〜図4においても同様。)
(ホログラム層、レリーフホログラム形成層、ホログラムレリーフ、体積ホログラム形成層、及び秘密情報)
本発明の隠ぺいホログラムシートH0のホログラム層H2には、レリーフホログラム形成層2、または、体積ホログラム形成層を用いる。(図1及び図2〜図4参照。体積ホログラム形成層は図示せず。)
ホログラム層H2の第一隠ぺい層H1と接する面が、第一面であって、ホログラム層H2に記録されたホログラムの内、この第一面を通過して視認されるホログラム再生像が、第一ホログラム再生像であって、その記録されているホログラムが、第一ホログラムとなる。また、ホログラム層H2の第二隠ぺい層H3と接する面が、第二面であって、ホログラム層H2に記録されたホログラムの内、この第二面を通過して視認されるホログラム再生像が、第二ホログラム再生像であって、その記録されているホログラムが、第二ホログラムとなる。(図示せず。)
そして、ホログラム層H2の第一面上、及び/または、第二面上に「秘密情報」H4を設ける。(図1参照。図1には、ホログラム層H2の第一面上、すなわち、第一隠ぺい層H1とホログラム層H2との間に、「秘密情報」H4を設けた例を図示している。)
このとき、「秘密情報」H4を設ける手順として、ホログラム層H2の第一面、もしくは、第二面に、直接、「秘密情報」H4を設ける手順としてもよいし、または、あらかじめ、第一隠ぺいH1や、第二隠ぺい層H3上に、「秘密情報」H4を設けておき、その「秘密情報」H4を間に挟みこむように、ホログラム層H2を設ける手順としてもよい。
この「秘密情報」H4を上記した手順で、ホログラム層H2上に、直接、設ける方法、もしくは、一旦、第一隠ぺい層H1や第二隠ぺい層H3に設けておく方法としては、可変情報を形成する方法として、感熱溶融転写方式、昇華転写方式、光学的もしくは物理的直接描画方式、電子写真方式及び、インクジェット方式を用いる方法等があり、固定情報を形成する方法としては、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、活版印刷方式、凹版印刷方式、スクリーン印刷方式を用いる方法等がある。
そして、「秘密情報」H4としては、個人特有の番号または記号や、何らかの管理番号または記号等、もしくは、単なる連続番号や記号や、暗号鍵番号、さらには、全くの乱数等とする。
または、本発明の隠ぺいホログラムシートH0の用途により、番号または記号のみならず、文字、図形、マークその他、個人及びその隠ぺいホログラムシートH0の供給者が共通に認識できるものであれば何れも用いることができる。
その「秘密情報」H4の厚さは、上記した種々の形成方法に適した範囲とするが、通常、0.1〜5.0μmとする。
但し、インクジェット方式を用いた場合などのように、「秘密情報」H4形成部の厚さ(高さともいう。)が、5〜20μmと厚くすることが効果的である場合や、0.1μm未満(少なくとも0.01μm以上とする。)であっても、その「秘密情報」H4を認識可能である場合には、この限りではない。

そして、上記した体積ホログラム形成層には、上記した第一ホログラムや第二ホログラムとして、「透過型ホログラム」や「反射型ホログラム」を記録することができる。(これらのホログラムは「体積ホログラム」ともいう。)
これらのホログラム、すなわち、「体積ホログラム」を記録(形成)する、体積ホログラム形成層には、銀塩写真乳剤、重クロム酸ゼラチン、フォトレジスト、フォトポリマー材料、無機材料からなるフォトリフラクティブ材料、フォトクロミック材料等及び、それらの材料からなるフィルムを用い、上記した形成手段を用いて、5.0〜50μm、特には、10〜30μmの厚さで設ける。
同様に、レリーフホログラム形成層にも、上記した第一ホログラムや第二ホログラムとして、「透過型ホログラム」や「反射型ホログラム」を記録することができる。(これらのホログラムは「レリーフホログラム」ともいう。このレリーフホログラム形成層については、以下に、詳述する。)
本発明における隠ぺいホログラムシートH0の「第一隠ぺい層H1」または「第二隠ぺい層H3」には、以下に説明する第一のスクラッチ隠蔽層1または第二のスクラッチ隠蔽層4(「スクラッチ隠蔽層1または4」。)を採用し、「ホログラム層H2」には、レリーフホログラム形成層2を採用し、且つ、そのレリーフホログラム形成層2の一方面にホログラムレリーフ3を形成した例を詳述する。(図1及び図2〜図4参照。図2〜図4において、「ホログラム層H2」は、「レリーフホログラム形成層2」を例示している。)
もちろん、レリーフホログラム形成層2の両面にそれぞれ異なるデザイン、もしくは、同一デザインのホログラムレリーフを設けることもその意匠性や偽造防止性を高める効果があり好ましい。(図示せず。)
本発明の隠ぺいホログラムシートH〜H´´のレリーフホログラム形成層2を構成するための透明樹脂層に用いられる樹脂材料としては、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としてはアクリル酸エステル樹脂、すなわち、ポリメチルメタクリレート(屈折率n=1.49)、ポリメチルアクリレート(n=1.47)、ポリベンジルメタクリレート(n=1.57)、ポリブチルアクリレート(n=1.44)、ポリイソブチルアクリレート(n=1.48)等、セルロース系樹脂、すなわち、硝酸セルロース(n=1.54)、メチルセルロース(n=1.50)、セルロース・アセテートプロピオネート(n=1.47)等、ビニル系樹脂、すなわち、ポリ酢酸ビニル(n=1.47)、ポリ塩化ビニル・酢酸ビニル(n=1.54)等、アクリルアミド樹脂(n=1.50)、もしくはポリスチレン樹脂(n=1.60)等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、アクリルウレタン樹脂(n=1.60)、エポキシ変性アクリル樹脂(n=1.55)、メラミン樹脂(n=1.56)、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、アルキッド樹脂(n=1.54)、フェノール樹脂(n=1.60)、シリコン樹脂(n=1.41〜1.60)、もしくは、フッ素化樹脂(n=1.35〜1.38)等が挙げられる。(図2〜図4参照。)
これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、1種もしくは2種以上を使用することができる。これらの樹脂の1種もしくは2種以上は、各種イソシアネート樹脂を用いて架橋させてもよいし、あるいは、各種の硬化触媒、例えば、ナフテン酸コバルト、もしくはナフテン酸亜鉛等の金属石鹸を配合するか、または、熱もしくは紫外線で重合を開始させるためのベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、ナフトキノン、アゾビスイソブチロニトリル、もしくはジフェニルスルフィド等を配合しても良い。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル変性ポリエステル等を挙げることができ、このような電離放射線硬化性樹脂に架橋構造を導入するか、もしくは粘度を調整する目的で、単官能モノマーもしくは多官能モノマー、またはオリゴマー等を配合して用いてもよい。
また、上記の熱可塑性樹脂、もしくは熱硬化性樹脂に、シリコン樹脂やフッ素含有樹脂、さらには、シリコンオイルを混合したもの、または、熱可塑性樹脂、もしくは熱硬化性樹脂とシリコン樹脂やフッ素含有樹脂を共重合させたものや、熱可塑性樹脂、もしくは熱硬化性樹脂の分子内にシロキサン結合〔―Si(R1)(R2)−O―〕やフッ素原子〔−F〕を導入したものを用いることができる。
さらには、上記の熱可塑性樹脂、もしくは熱硬化性樹脂に、シリコンパウダー微粒子やフッ素パウダー微粒子を分散させたものを用いることもできる。
フッ素化樹脂には、完全フッ素化樹脂として、四フッ素化樹脂、部分フッ素化樹脂として、三フッ素化樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、フッ素化樹脂共重合体として、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂。四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、エチレン・四フッ化エチレン共重合体、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体などを用いることができる。
さらに、上記の樹脂材料を用いてレリーフホログラム形成層2を形成するには、感光性樹脂材料にホログラムの干渉露光を行なって現像することによって直接的に形成することもできるが、予め作成したレリーフホログラムもしくはその複製物、またはそれらのメッキ型等を複製用型として用い、その型面を、上記の樹脂材料をプレス成型や、射出成型、ブロー成型等により作成した透明樹脂層に押し付けることにより、賦型を行ない、ホログラムレリーフ3面を形成する。(図2〜図4参照。)
熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、型面に未硬化の樹脂を密着させたまま、加熱もしくは電離放射線照射により、硬化を行わせ、硬化後に剥離することによって、硬化した透明樹脂層の片面にレリーフホログラムの微細凹凸を形成することができ、この微細凹凸がホログラムレリーフ3となる。なお、同様な方法によりパターン状に形成して模様状とした回折格子を有する回折格子形成層も光回折構造(すなわち、レリーフホログラム形成層2のホログラムレリーフ3。)として使用できる。
ホログラムは、物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を凹凸のレリーフ形状で記録されたもので、例えば、フレネルホログラムなどのレーザ再生ホログラム、及びレインボーホログラムなどの白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーテッドホログラム(CGH)や、ホログラフィック回折格子などがある。また、マシンリーダブルホログラムのように、その再生光を受光部でデータに変換し所定の情報として伝達したり、真偽判定を行うものであってもよい。
さらに、微細な凹凸(すなわち、ホログラムレリーフ3。)を精密に作成するため、光学的な方法だけでなく、電子線描画装置を用いて、精密に設計されたレリーフ構造を作り出し、より精密で複雑な再生光を作り出すものであってもよい。このレリーフ形状は、ホログラムを再生する光、もしくは、光源の波長(域)と、再生する方向、及び強度によってその凹凸のピッチや、深さ、もしくは特定の周期的形状が設計される。凹凸のピッチ(周期)は再生角度に依存し、通常0.1μm〜数μmであり、凹凸の深さは、再生強度に大きな影響を与える要素であって、通常0.1μm〜2μmである。
単一回折格子のように、全く同一形状の凹凸の繰り返しであるものは、隣り合う凹凸が同じ形状であればある程、反射する光の干渉度合いが増しその強度が強くなり、最大値へと収束する。回折方向のぶれも最小となる。立体像のように、像の個々の点が焦点に収束するものは、その焦点への収束精度が向上し、再生像が鮮明となる。
また、レリーフ面にホログラム画像の凹凸とは異なる周期や、形状の凹凸が存在すると、それはホログラムもしくは回折格子の再生時のノイズとなり、像を不鮮明にする要因となる。
ホログラムレリーフ形状を賦形(複製ともいう)する方法は、回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された原版をプレス型(スタンパという)として用い、上記レリーフホログラム形成層2上に、原版を重ねて加熱ロールなどの適宜な手段により、両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸模様を複製することができる。形成するホログラムパターンは単独でも、複数でもよい。
上記の極微細な形状を精密に再現するため、また、複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小とするため、原版は金属を使用し、低温、且つ、高圧下で複製を行う。
原版は、Niなどの硬度の高い金属を用いる。光学的撮影もしくは、電子線描画などにより形成したガラスマスターなどの表面にCr、または、Ni薄膜を真空蒸着法、スパッタリングなどにより5〜50nm形成後、Niなどを電着法(電気めっき、無電解めっき、さらには複合めっきなど)により50〜1000μmの厚さで形成した後、それらの金属を剥離することで作ることができる。
高圧回転式の複製に用いるためには、このNi層の厚み精度を高くする必要があり、通常±10μm、好ましくは、±1μmとする。このため、裏面の研磨や、平坦化方法を用いてもよい。
複製方式は、高圧とするため、平板式でなく、回転式を用い、線圧100kg/m〜10000kg/m、好ましくは、5000kg/m以上とする。複製用シリンダーは、その直径が小さいとレリーフの再現性が低下するため、複製シリンダー直径は大きい方が好ましく、通常、直径0.1m〜2.0m、好ましくは、1.0m以上の弧を使用する。
レリーフホログラム形成層2をこの複製用シリンダーに沿って押し当て、裏面より金属製シリンダーにより上記圧力にて複製を実施する。複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小限とするためには、レリーフホログラム形成層2全体を加熱するのではなく、レリーフホログラム形成層2のホログラムレリーフ3面側の一部のみを加熱する方法が望ましい。通常60℃〜110℃に加熱する。さらには、裏面の金属製シリンダーを常温に保つ、もしくは冷却することで、さらにその精度を向上させることができる。
さらに、ホログラムレリーフ3面が、レリーフホログラム形成層2と第一のスクラッチ隠蔽層1との間の界面にある場合も同様の手法を用いて本発明の隠ぺいホログラムシートH´´を作製とすることができ、そして同様の好適な効果を得ることができる。その手順には、上記したように「手順1」と「手順2」がある。
「手順1」とした作成方法においては、適宜な剥離性フィルム上に、(ラベルとする場合には、この上に粘着層を既に設けてあってもよい。)、まず、第二のスクラッチ隠蔽層4を設けた、その第二のスクラッチ隠蔽層4の上に、レリーフホログラム形成層2を設けることとなるが、上記のレリーフホログラム形成層2用の透明樹脂層を、同様の方法を用いて、同様の厚さに形成し、同様に、ホログラムレリーフ3を形成する手順を用いることとなる。
そして、上記の「手順2」とした作成方法においては、第一のスクラッチ隠蔽層1に対して、ホログラムレリーフ3の複製を施す手順となり、レリーフホログラム形成層2は、単に、この第一のスクラッチ隠蔽層1の表面にあるホログラムレリーフ3面上に、上記の透明樹脂層を、同様の方法を用いて、同様の厚さに形成することで得られる。
これらの場合には、レリーフホログラム形成層2のホログラムレリーフ3面が、第一のスクラッチ隠蔽層1をスクラッチオフする際の、コインや爪が引っ掻く面となるため、このスクラッチオフによっても、そのホログラムレリーフ3面に、その面形状の不要な変形や、その面の性質の不要な変質、もしくは、劣化を招かないように、レリーフホログラム形成層2中に、シリコン樹脂、または、シリコンオイル等の離型剤を10〜30%含めることが好適である。
(反射性薄膜層)
本発明の隠ぺいホログラムシートH´のレリーフホログラム形成層2のホログラムレリーフ3に接して、且つ、追従するように反射性薄膜層5を形成する。この反射性薄膜層5は、入射した光を反射する必要があるため、レリーフホログラム形成層2よりも高い屈折率を有する薄膜層であれば、特に限定されない。(図3参照。)
反射性薄膜層5としては、真空薄膜法などにより形成される金属薄膜などの金属光沢反射層、または透明反射層のいずれでもよいが、金属光沢反射層の場合には、「秘密情報」8を視認可能とする目的で、金属光沢反射層の「秘密情報」8に該当する領域を開口部とした「部分形成」としてもよく、透明反射層の場合は、「全面形成」であっても、「部分形成」としてもよい。
反射性薄膜層5の形成には、真空薄膜法等の物理的薄膜形成方法や、メッキ等の化学的薄膜形成方法を用いることができ、その厚さとして、10〜2000nm程度、好ましくは20〜1000nmの厚さになるように設ける。
透明反射層としては、ほぼ無色透明な色相で、その光学的な屈折率がレリーフホログラム形成層2のそれとは異なることにより、金属光沢が無いにもかかわらず、ホログラムなどの光輝性を視認できることから、透明なホログラムを作製することができる。
例えば、レリーフホログラム形成層2よりも光屈折率の高い薄膜層には、例として、ZnS、TiO2、Al23、Sb23、SiO、SnO2、ITOなどがある。
好ましくは、金属酸化物又は窒化物であり、具体的には、Be、Mg、Ca、Cr、Mn、Cu、Ag、Al、Sn、In、Te、Ti、Fe、Co、Zn、Ge、Pb、Cd、Bi、Se、Ga、Rb、Sb、Pb、Ni、Sr、Ba、La、Ce、Auなどの酸化物または窒化物他はそれらを2種以上を混合したものなど(透明金属化合物)が例示できる。
またアルミニウムなどの一般的な光反射性(可視光波長のほぼ全域にわたる反射、すなわち、「全反射」に近い性質を有する。)の金属薄膜も、厚みが20nm以下になると、透明性が出て使用できる。
透明反射層(透明金属化合物層)の形成は、金属の薄膜と同様、10〜2000nm程度、好ましくは20〜1000nmの厚さになるよう、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD(化学蒸着法)などの真空薄膜法などにより設ければよい。特にCVD法はレリーフホログラム形成層2への熱的ダメージが少ない。また、他の薄膜形成法を用いても、形成する薄膜層を薄くしておくと、その熱的ダメージを少なくすることができる。例えば、アルミニウム蒸着層であれば、形成条件によるが、厚さにして、ほぼ20nmのものあたりが、透明性が無くなり全反射性を出現する臨界点である。この厚さは薄膜材料、形成方法、金属加熱温度・真空度等の形成条件により異なる。
(粘着層)
粘着層としては、従来公知の溶剤系及び水系のいずれの粘着剤、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂や、天然ゴム、クロロプレンゴムなどのゴム系樹脂などが挙げられる。自然にやさしい材料構成とするために、特に、天然ゴムを主成分とするラテックス、それを変性したもの、特に天然ゴムにスチレン特にメタクリルさんメチルとをグラフト重合させて得た天然ゴムラテックス等の天然素材から作製されたものを用いても良い。
粘着層に用いられる溶剤としては、溶剤類、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、イソホロン、ジイソブチルケトン、等。)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブチルアルコール等、さらにはその水溶液。)、芳香族類(ベンゼン、トルエン、キシレン、ソルベッソNo.100、ソルベッソNo.150、カクタスP−180等。)、環状炭化水素類(シクロヘキサン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸セルソルブ、エチルー3−エトキシプロピオネート等。)、エーテル類(テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、t−ブチルセロソルブ等。)等を用いることができる。
粘着層の形成厚さは、10μm〜60μmとする。
粘着層の形成方法としては、グラビアコート、ロールコート、コンマコートなどの方法で、レリーフホログラム形成層2のホログラムレリーフ3面の上、もしくは、反射性薄膜層5上に、塗布し乾燥して形成することができる。また、より精密な印刷を要する場合には、ステンレススクリーン印刷方法や、活版印刷方式、オフセット印刷方式、フォトレジスト処理方式等を用いることができる。(図示せず。)
粘着層の粘着力は、レリーフホログラム形成層2、もしくは、反射性薄膜層5と粘着層との界面の剥離強度として、JIS Z0237準拠の180°による剥離方法において、1.0〜3.0kg/25mm幅の範囲にすることが望ましい。もちろん、それ以上の剥離強度を有していても、本発明の目的には適合している。
特に、基材7及び基材7上の「秘密情報」8形成部との粘着力は、本発明の目的より、本発明の隠ぺいホログラムシートH〜H´´を基材7及び基材7上の「秘密情報」8形成部から剥がすことが困難となるレベルまで大きいものとする必要があるが、その粘着層と基材7及び基材7上の「秘密情報」8形成部との界面の剥離強度よりも、粘着層とレリーフホログラム形成層2または反射性薄膜層5との界面の剥離強度を、より大きいものとなるように設計する。
粘着層には、微粒子透明顔料や超微粒子顔料を添加しえもよい。
その微粒子透明顔料や超微粒子顔料としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、クレー、カオリン、ホワイトカーボン、アルミナホワイト、珪藻土、石膏、タルク、珪石粉等の体質顔料を細かく粉砕したものや、マイクロシリカ等の無機微粒子、シリコン樹脂やフッ素樹脂粉末等の微粒子樹脂紛体、その他、平均粒径で、0.1μm〜0.01μmとした微粒子顔料や、0.01μm以下とした超微粒子顔料を使用する。
具体的には、天然に産する方解石、氷州席、アラゴナイト、石灰岩、大理石、貝殻、チョーク、重晶石、石膏、ギブス石などを微粉砕したものや、その合成物において平均粒径を調整したもの、さらには、一般的に用いられる無機顔料、や有機顔料においても、超微粒子酸化チタンや超微粒子酸化ジルコニウム等、その平均粒径を、0.01μm以下としたもの等は、適宜な樹脂材料との混合において、透明となるため、好適である。
但し、この粒径のものは、二次凝集しやすく、ニーダー等の適宜な分散処理機に繰り返し通すなどの再分散処理等を施す必要がある。添加量は、屈折率の向上度合いと透明性とのバランスで決められるが、通常1%〜20%添加が好適であり、第二のスクラッチ隠蔽層4に配慮した適宜な溶剤または水に溶かして選定した樹脂に分散して用いる。
その形成方法、及び、厚さは、上記した方法、及び、厚さとする。
また、粘着層に使用される樹脂は、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド系樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル変性ポリエステル等である。
さらに、環境に配慮して、上記したような生分解性プラスチックを用いることも好適である。
このようにして形成した本発明の隠ぺいホログラムシートH(H´とH´´も同様である。)に粘着層を追加形成した「ラベル」を、ある目的で使用するスクラッチカード6の基材7の所定の位置に貼着した。(図5参照。)この際、基材7上の所定の位置に、「秘密情報」8として、連続数字1〜8が印字されており(図6参照。図6には、その所定の位置を示す枠が便宜上表示されている。)、その「秘密情報」8を覆うように、本発明の隠ぺいホログラムシートHが貼着されている。
また、本発明の隠ぺいホログラムシートHの第一のスクラッチ隠蔽層1上に、幾何学模様からなる地紋印刷9を施したものを、スクラッチカード6の基材7上に貼着した。(図7参照。)
いずれの場合も、目視では、本発明の隠ぺいホログラムシートHで覆われた「秘密情報」8を、視認することはできず、また、これらの外観からは、その隠ぺいホログラムシートHの中にレリーフホログラム形成層2が存在することはとても知り得ない状態であった。
そして、本発明の隠ぺいホログラムシートHの第一のスクラッチ隠蔽層1、もしくは、地紋印刷9と第一のスクラッチ隠蔽層1を、コインを用いて部分的に削り取ると、その削り取った領域から、レリーフホログラム形成層2によるホログラム再生像を視認でき、さらに、レリーフホログラム形成層2及び第二のスクラッチ隠蔽層4を、同様に、コインを用いて部分的に削り取ると、その削り取った領域から、その下に隠れていた「秘密情報」8を視認することができた。
また、本発明の隠ぺいホログラムシートHにおいて、その第一のスクラッチ隠蔽層1とレリーフホログラム形成層2の間に「秘密情報」H4形成部を設けたものを同様に評価したときには、その「秘密情報」H4についても、目視では、本発明の隠ぺいホログラムシートH中に設けられた「秘密情報」H4を、視認することはできず、また、これらの外観からは、その隠ぺいホログラムシートHの中にレリーフホログラム形成層2が存在することはとても知り得ない状態であった。(図2参照。評価している状態は図示せず。)
そして、本発明の隠ぺいホログラムシートHの第一のスクラッチ隠蔽層1、もしくは、地紋印刷9と第一のスクラッチ隠蔽層1を、コインを用いて部分的に削り取ると、その削り取った領域から、レリーフホログラム形成層2によるホログラム再生像及び「秘密情報」H4を同時に視認でき、さらに、レリーフホログラム形成層2及び第二のスクラッチ隠蔽層4を、同様に、コインを用いて部分的に削り取ると、その削り取った領域から、その下に隠れていた「秘密情報」8を視認することができた。
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。なお、溶媒を除き、各層の各組成物は固形分換算の質量部である。
(実施例1)
表面をフッ素樹脂にて離形処理し、且つ、粗面化処理を施した38μm厚さの透明ポリエチレンテレフタレートシート(表面粗さを3μm〜10μmとした剥離性フィルム。)上に、下記組成の第一隠蔽層H1用インキ組成物を、ステンレススクリーン印刷方式にて、乾燥条件を「低温乾燥」として、第一隠蔽層H1に「白化処理」を施しつつ、乾燥後の厚さ30μmの「隠ぺい性」性を有する第一隠蔽層H1を形成した。(図1参照。剥離性フィルムは図示せず。)
<第一隠蔽層H1用インキ組成物>
塩化ビニルー酢酸ビニル樹脂 20部
アクリル樹脂 10部
イソホロンジイソシアネート 0.1部
メチルエチルケトン 5部
トルエン 5部
エチルアルコール 10部
イソプロピルアルコール 10部
酢酸エチル 30部
第3級アミン 1部
ブチルセルソルブ 10部
次いで、この第一隠蔽層H1上に、表面平滑性の高い(平均表面粗さRaが0.1μm。)ステンレス金属ロール板を用いて、100℃の加熱、100kg/cmの線圧にてカレンダー処理を施して、第一隠蔽層H1の表面を平滑とした。(この表面が「光学的な鏡面」となる。)
ここで、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフイルム上に、膜厚20μmのフォトポリマー層(ホログラム層H2となる層。)、及び、保護フィルムとして、厚さ23μmポリエチレンテレフタレートフイルムが積層されたフォトポリマーシート(デュポン社製「HRF705」)を用い、反射型ホログラムとして、クリプトンレーザー(発光波長647nm)を光源とし、所定の反射型ホログラム撮影光学系(図示せず。)を用いて、10mm×30mmサイズの「絵画モチーフ1」を反射型ホログラムとして、その結像位置を、記録面から2mm後方の位置として撮影し、且つ、所定の透過型ホログラム撮影光学系(図示せず。)を用いて、10mm×30mmサイズの「絵画モチーフ2」を透過型ホログラムとして、その結像位置を、記録面から5mm後方の位置として重ねて(多重露光を意味する。)に撮影した。
この時、それぞれ露光強度2.0mWにて、それぞれの記録角度(それぞれの参照光の角度。「物体」である「絵画モチーフ1」及び「絵画モチーフ2」は、そのシート面の垂線方向に対しそれぞれの参照光と対称の方向にある。)をホログラム層H2に対して、(そのシート面の垂線方向に対し)20度と30度とし、それぞれ50mJ/cm2の露光量となるように照射した後、高圧水銀灯を用いて500mJ/cm2の紫外線を照射し、更に120℃で120分間加熱処理し、その後、上記保護フィルムを剥離して、「ホログラム層H2が積層されている厚さ70μmのシート」を作製した。このときの回折効率は、それぞれ、40%及び50%とした。
次に、この厚さ70μmのシートを、そのホログラム層H2の露出面と、平滑化処理を施した第一隠蔽層H1の表面とが接するように、このシートと第一隠蔽層H1をラミネートし、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフイルムを剥離して、第一隠ぺい層H1とホログラム層H2の積層体を得た。(図1参照。剥離性フィルムは図示せず。)
そして、そのホログラム層H2上に、下記組成の第二隠蔽層H3用インキ組成物を、ステンレススクリーン印刷方式にて、乾燥条件を「低温乾燥」として、第二隠蔽層H3に「白化処理」を施しつつ、乾燥後の厚さ30μmの「隠ぺい性」性を有する第二隠蔽層H3を形成した。(図1参照。剥離性フィルムは図示せず。)
<第二隠蔽層H4用インキ組成物>
塩化ビニルー酢酸ビニル樹脂 20部
アクリル樹脂 10部
イソホロンジイソシアネート 0.1部
トルエン 5部
エチルアルコール 10部
イソプロピルアルコール 25部
酢酸エチル 20部
第3級アミン 1部
ブチルセルソルブ 10部
さらに、この第一隠蔽層H1、ホログラム層H2、及び第二隠蔽層H3の3層積層体を、表面平滑性の高い平板プレス用のステンレス金属平板(平均表面粗さRaが0.1μm。)を用いて、60℃の加熱、107Paの平圧にて平板プレス処理を施して、ホログラム層H2の第一隠蔽層H1及び第二隠蔽層H3との界面、すなわち、ホログラム層H2の2つの最表面を「光学的な鏡面」として仕上げ、この第一隠蔽層H1、ホログラム層H2、及び第二隠蔽層H3の積層物を、タテ20mm×横50mmのサイズにカットし、剥離性フィルムから剥離して、本発明の実施例1の隠ぺいホログラムシートH0(「秘密情報」H4は設けていない。以下、本実施例において同様。)を得た。(図1参照。図1において、「秘密情報」H4を設けていない層構成となる。以下、本実施例において同様。)
この隠ぺいホログラムシートH0を観察すると、表裏とも「乳白色」を呈しており、「単なる乳白色のシート」として観察できるのみであり、その中に形成されている、ホログラムの存在を窺い知ることはできなかった。
次いで、この隠ぺいホログラムシートH0の乳白色を呈している第一隠蔽層H1の一部をコインで引っ掻くと、第一隠蔽層H1が部分的に削れ、その削れた部分から、ホログラム層H2による、反射型の鮮明なホログラム再生像「絵画モチーフ1」が出現し、且つ、その削れた部分に対応する第二隠蔽層H3の部分をコインで引っ掻くと、第二隠蔽層H3が部分的に削れ、その削れた部分から、ホログラム層H2による、反射型及び透過型の鮮明なホログラム再生像「『絵画モチーフ1』及び『絵画モチーフ2』」が出現し、その意外性、意匠性、及びその秘匿性を確認できた。(この評価状況は図示せず。)
(実施例2)
実施例1において、第一隠ぺい層H1上の所定の位置に、インクジェットプリンターにて、「秘密情報」H4として、「ホログラム」の文字(各文字の高さ4mm、幅2mm、文字間隔1mm。)を印字した後、カレンダー処理を施して、「秘密情報」H4を含む、第一隠蔽層H1の表面を平滑とした(この「秘密情報」H4を含む、第一隠蔽層H1の表面が「光学的な鏡面」となる。)こと、外は、実施例1と同様にして、本発明の実施例2の隠ぺいホログラムシートH0を得た。(図1参照。)
この実施例2の隠ぺいホログラムシートH0を、実施例1と同様に評価したところ、第一隠蔽層H1の削れた部分から、「秘密情報」H4と同時に、ホログラム層H2による反射型の鮮明なホログラム再生像「絵画モチーフ1」を視認でき、且つ、その第一隠蔽層H1の削れた部分に対応する第二隠蔽層H3の削れた部分から、その「秘密情報」H4と同時に、ホログラム層H2による、反射型及び透過型の鮮明なホログラム再生像「『絵画モチーフ1』及び『絵画モチーフ2』」を視認できたこと以外は、実施例1と同様の意外性、高い意匠性、及び、高度な偽造防止性を確認できた。
(実施例3)
表面をフッ素樹脂にて離形処理し、且つ、粗面化処理を施した38μm厚さの透明ポリエチレンテレフタレートシート(表面粗さを3μm〜10μmとした剥離性フィルム。)上に、下記組成の第一のスクラッチ隠蔽層1用インキ組成物を、ステンレススクリーン印刷方式にて形成し、乾燥後の厚さとして、第一のスクラッチ隠蔽層1を30μmの厚さで形成した。(図2参照。剥離性フィルムは図示せず。)
<第一のスクラッチ隠蔽層1用インキ組成物>
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体 20部
アクリル樹脂 5部
顔料ノンリーフィングアルミペースト アルミニウム微粉末 40部
顔料リーフィングアルミペースト アルミニウム微粉末 10部
イソシアネート系硬化剤 1部
トルエン 10部
酢酸エチル 5部
エチルセルソルブ 9部
次いで、この第一のスクラッチ隠蔽層1上に、表面平滑性の高い(平均表面粗さRaが0.1μm。)ステンレス金属ロール板を用いて、100℃の加熱、100kg/cmの線圧にてカレンダー処理を施して、第一のスクラッチ隠蔽層1の表面を平滑とし(この表面が「光学的な鏡面」となる。)、その上に、下記組成のレリーフホログラム形成層2用インキ組成物を、ステンレススクリーン印刷方式にて、形成し、乾燥後の厚さとして、レリーフホログラム形成層2を10μmの厚さで形成した。(図2参照。剥離性フィルムは図示せず。)
<レリーフホログラム形成層2用インキ組成物>
メラミン樹脂 30部
トルエン 10部
メチルアルコール 10部
イソプロピルアルコール 20部
エチルセルソルブ 10部
ブチルセルソルブ 20部
ここで、レーザ光学系を用いて撮影した意匠性の高いホログラム(レリーフホログラム)を備えたNi原版を用意し、上記したレリーフホログラム形成層2に、そのNi原版のレリーフ面を合わせて、回転式レリーフホログラム形成装置(原版シリンダー径1.0m、原版面温度100℃、加圧シリンダー径0.3m、水冷式、圧力2000kg/m、複製速度10m/分)にて、ホログラムレリーフ3(Ni原版のレリーフ形状)をレリーフホログラム形成層2上に形成した。(図2参照。剥離性フィルムは図示せず。)
そして、そのレリーフホログラム形成層2のホログラムレリーフ3面上に、下記組成の第二のスクラッチ隠蔽層4用インキ組成物を、ステンレススクリーン印刷方式にて形成し、乾燥後の厚さとして、第二のスクラッチ隠蔽層4を30μmの厚さで形成した。(図2参照。剥離性フィルムは図示せず。)
<第二のスクラッチ隠蔽層4用インキ組成物>
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体 20部
アクリル樹脂 5部
顔料ノンリーフィングアルミペースト アルミニウム微粉末 40部
顔料リーフィングアルミペースト アルミニウム微粉末 10部
イソシアネート系硬化剤 1部
トルエン 5部
酢酸エチル 10部
ブチルセルソルブ
さらに、この第一のスクラッチ隠蔽層1、レリーフホログラム形成層2、及び第二のスクラッチ隠蔽層4の3層積層体を、表面平滑性の高い平板プレス用のステンレス金属平板(平均表面粗さRaが0.1μm。)を用いて、100℃の加熱、109Paの平圧にて平板プレス処理を施して、レリーフホログラム形成層2の第一のスクラッチ隠蔽層1及び第二のスクラッチ隠蔽層4との界面、すなわち、レリーフホログラム形成層2の2つの最表面を「光学的な鏡面」として仕上げ、本発明の第3実施例の隠ぺいホログラムシートH(「秘密情報」H4は設けていない。以下、本実施例において同様。)を得た。(図2参照。図2において、「秘密情報」H4を設けていない層構成となる。以下、本実施例において同様。)
この第一のスクラッチ隠蔽層1、レリーフホログラム形成層2、及び第二のスクラッチ隠蔽層4の積層物を、タテ10mm×横30mmのサイズにカットし、剥離性フィルムから剥離して、本発明の第3実施例の隠ぺいホログラムシートHを得た。(図2参照。)
この隠ぺいホログラムシートHを観察すると、表裏とも「銀色」を呈しており、「単なる銀色のシート」として観察できるのみであり、その中に形成されている、ホログラムの存在を窺い知ることはできなかった。
次いで、この隠ぺいホログラムシートHの銀色を呈している第一のスクラッチ隠蔽層1の一部をコインで引っ掻くと、第一のスクラッチ隠蔽層1が部分的に削れ、その削れた部分から、レリーフホログラム形成層2のホログラムレリーフ3による、反射型の鮮明なレリーフホログラム再生像「意匠性の高いホログラム」が出現し、且つ、その削れた部分に対応する第二のスクラッチ隠蔽層4の部分をコインで引っ掻くと、第二のスクラッチ隠蔽層4が部分的に削れ、その削れた部分から、レリーフホログラム形成層2のホログラムレリーフ3による、透過型の鮮明なレリーフホログラム再生像「『先のホログラムに対して鏡像関係にある』ホログラム」が出現し、その意外性と秘匿性を確認できた。(この評価状況は図示せず。)
(実施例4)
スクラッチカード6の基材7として、厚さ188μmの乳白ポリエチレンテレフタレートシート(カードサイズ)に、所定のデザインをオフセット印刷にて施し、(図5参照。)、インクジェットプリンターにて、基材7の所定の領域に、「別の『秘密情報』」8として、「12345678」の番号(各数字文字の高さ4mm、幅2mm、文字間隔1mm。)を印字した。
これとは別に、表面をフッ素樹脂にて離形処理し、且つ、粗面化処理を施した38μm厚さの透明ポリエチレンテレフタレートシート(表面粗さを3μm〜10μmとした剥離性フィルム。)上に、下記組成のスクラッチ隠蔽層1用インキ組成物を、ステンレススクリーン印刷方式にて形成し、乾燥後の厚さとして、スクラッチ隠蔽層1を30μmの厚さで形成した。(図2参照。剥離性フィルムは図示せず。)
<スクラッチ隠蔽層1用インキ組成物>
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体 20部
アクリル樹脂 5部
顔料ノンリーフィングアルミペースト アルミニウム微粉末 40部
顔料リーフィングアルミペースト アルミニウム微粉末 10部
イソシアネート系硬化剤 1部
トルエン 10部
酢酸エチル 5部
エチルセルソルブ 9部
次いで、このスクラッチ隠蔽層1上に、表面平滑性の高い(平均表面粗さRaが0.1μm。)ステンレス金属ロール板を用いて、100℃の加熱、100kg/cmの線圧にてカレンダー処理を施して、スクラッチ隠蔽層1の表面を平滑とし、その上に、下記組成のレリーフホログラム形成層2用インキ組成物を、ステンレススクリーン印刷方式にて、形成し、乾燥後の厚さとして、レリーフホログラム形成層2を10μmの厚さで形成した。(図2参照。剥離性フィルムは図示せず。)
<レリーフホログラム形成層2用インキ組成物>
メラミン樹脂 30部
トルエン 10部
メチルアルコール 10部
イソプロピルアルコール 20部
エチルセルソルブ 20部
ブチルセルソルブ 10部
ここで、レーザ光学系を用いて撮影した意匠性の高いホログラム(レリーフホログラム)を備えたNi原版を用意し、上記したレリーフホログラム形成層2に、そのNi原版のレリーフ面を合わせて、回転式レリーフホログラム形成装置(原版シリンダー径1.0m、原版面温度100℃、加圧シリンダー径0.3m、水冷式、圧力2000kg/m、複製速度10m/分)にて、ホログラムレリーフ3(Ni原版のレリーフ形状)をレリーフホログラム形成層2上に形成した。(図2参照。剥離性フィルムは図示せず。)
そして、そのレリーフホログラム形成層2のホログラムレリーフ3面上に、下記組成の第二のスクラッチ隠蔽層4用インキ組成物を、ステンレススクリーン印刷方式にて形成し、乾燥後の厚さとして、第二のスクラッチ隠蔽層4を30μmの厚さで形成した。(図2参照。剥離性フィルムは図示せず。)
<第二のスクラッチ隠蔽層4用インキ組成物>
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体 20部
アクリル樹脂 5部
顔料ノンリーフィングアルミペースト アルミニウム微粉末 40部
顔料リーフィングアルミペースト アルミニウム微粉末 10部
イソシアネート系硬化剤 1部
トルエン 5部
酢酸エチル 10部
ブチルセルソルブ
さらに、この第一のスクラッチ隠蔽層1、レリーフホログラム形成層2、及び第二のスクラッチ隠蔽層4の3層積層体を、表面平滑性の高い平板プレス用のステンレス金属平板(平均表面粗さRaが0.1μm。)を用いて、100℃の加熱、109Paの平圧にて平板プレス処理を施して、レリーフホログラム形成層2の第一のスクラッチ隠蔽層1及び第二のスクラッチ隠蔽層4との界面、すなわち、レリーフホログラム形成層2の2つの最表面を「光学的な鏡面」として仕上げ、本発明の実施例4の隠ぺいホログラムシートH(「秘密情報」H4は設けていない。以下、本実施例において同様。)を得た。(図2参照。図2において、「秘密情報」H4を設けていない層構成となる。以下、本実施例において同様。)
そして、この実施例4のホログラムシートHの、第二のスクラッチ隠蔽層4上に、下記組成の粘着層用粘着剤組成物をステンレススクリーン印刷方式にて、形成し、乾燥後の厚さとして、粘着層を30μmの厚さで形成した。(図示せず。)
・<粘着層用粘着剤組成物>
酢酸ビニル−アクリル共重合体 30部
イソホロンジイソシアネート 0.1部
トルエン 10部
イソプロピルアルコール 20部
酢酸ビニル 30部
エチルセルソルブ 10部
この第一のスクラッチ隠蔽層1、レリーフホログラム形成層2、第二のスクラッチ隠蔽層4及び粘着層の積層物を、タテ10mm×横30mmのサイズにカットし、剥離性フィルムから剥離して、本発明の実施例4の粘着層付き隠ぺいホログラムシートHを得た。(図2参照。粘着層は図示していない。また、「秘密情報」HAは設けていない。)
この粘着層付き隠ぺいホログラムシートHを、最初に準備してあった、スクラッチカード6の基材7上の所定の位置に、その基材7上に印字してある「秘密情報」8を覆うように、貼着したところ、スクラッチカード6上にて、「銀色のラベル」を観察できるのみであり、その下、及びその中に形成されている、「秘密情報」8や、ホログラムの存在を窺い知ることはできなかった。(図5参照。)
次いで、このスクラッチカード6上の「銀色のラベル」をコインで引っ掻くと、スクラッチ隠蔽層1が部分的に削れ、その削れた部分から、レリーフホログラム形成層2のホログラムレリーフ3によるレリーフホログラム再生像「意匠性の高いホログラム」が出現し、さらに、このレリーフホログラム形成層2及び第二のスクラッチ隠蔽層4を、コインで引っ掻き、レリーフホログラム形成層2及び第二のスクラッチ隠蔽層4を部分的に削ると、その削れた部分から、「秘密情報」8を視認でき、この「銀色のラベル」及び、この「ラベル」を貼着したスクラッチカード6を偽造することは、困難と思われた。(この評価状況は図示せず。)
(実施例5)
実施例4において、第一のスクラッチ隠蔽層1上の所定の位置に、インクジェットプリンターにて、「秘密情報」H4として、「ホログラム」の文字(各文字の高さ4mm、幅2mm、文字間隔1mm。)を印字した後、カレンダー処理を施して、「秘密情報」H4を含む、第一隠蔽層H1の表面を平滑とした(この「秘密情報」H4を含む、第一隠蔽層H1の表面が「光学的な鏡面」となる。)こと、以外は、実施例4と同様にして、本発明の実施例5の粘着層付き隠ぺいホログラムシートHを得た。(図2参照。粘着層は図示していない。)
この実施例5の粘着層付き隠ぺいホログラムシートHを、実施例4と同様に評価したところ、第一のスクラッチ隠蔽層1の削れた部分から、「秘密情報」H4と同時に、レリーフホログラム形成層2による反射型の鮮明なレリーフホログラム再生像「意匠性の高いホログラム」を視認でき、且つ、その第一のスクラッチ隠蔽層1の削れた部分に対応する第二のスクラッチ隠蔽層4の削れた部分から、その「秘密情報」H4と同時に、ホログラム層H2による、透過型の鮮明なレリーフホログラム再生像「『先のホログラムに対して鏡像関係にある』ホログラム」を視認できたこと以外は、実施例4と同様の意外性、高い意匠性、及び、高度な偽造防止性を確認できた。(この評価状況は図示せず。)
(実施例6)
実施例3のホログラムレリーフ3面上に、電子線加熱式真空蒸着機を使用して、TiOx薄膜を、200nmの厚さで形成して、反射性薄膜層5とし、その反射性薄膜層5の上に、粘着層を設けたこと以外は、実施例3と同様にして、実施例6の隠ぺいホログラムシートH´を得た。(図3及び、図5参照。図3において、「秘密情報」H4は設けていない。以下、本実施例において同様。)
この実施例6の隠ぺいホログラムシートH´を実施例3と同様に評価したところ、レリーフホログラム形成層2のホログラムレリーフ3によるレリーフホログラム再生像「意匠性の高いホログラム」がより鮮明に出現し(図示せず。)、このシートを偽造することは、より困難と思われたこと以外は実施例3と同様の良好な結果を得た。
(実施例7)
実施例4の第一のスクラッチ隠蔽層1のレリーフホログラム形成層2と接している面とは反対の面に、昇華転写プリンターにて幾何学模様からなる黄色の地紋印刷9を設けた。(この印刷面は、剥離性フィルムと接していた面であり、剥離フィルムを剥離後に形成した。)こと以外は、実施例4と同様にして、実施例7の隠ぺいホログラムシートHを得た。(図2、図5及び図7参照)
このスクラッチカード6上の隠ぺいホログラムシートHを実施例4と同様に評価したところ、地紋印刷9が独特の風合いを呈して金色に観察されたこと、及び、コインでスクラッチしたところ、地紋印刷9と第一のスクラッチ隠蔽層1が同時に削れ、このシートの偽造が、より困難と思われたこと以外は、実施例4と同様の良好な結果を得た。(評価状況は図示せず。)
(実施例8)
実施例5において、剥離フィルムを用いずに、透明基材として、厚さ16μmの透明ポリエチレンテレフタレートシートを用い(図示せず。)、その一方の面に、第一のスクラッチ隠蔽層1を同様の方法、及び、同様の厚さで形成し、その他方の面に、レリーフホログラム形成層2をやはり同様の方法、同様の厚さで形成後、同様のホログラム複製方法でその表面にホログラムレリーフ3を形成し、そのホログラムレリーフ3面上に、第二のスクラッチ隠蔽層4を同様の方法、及び、同様の厚さで形成し、さらに、その上に、粘着層を同様の方法、同様の厚さで形成したこと以外は、実施例5と同様にして、実施例8の粘着層付き隠ぺいホログラムシートを得た。(この構成の隠ぺいホログラムシートは図示せず。隠ぺいホログラムシートをスクラッチカード6に貼着した状態は、図5参照。)
このスクラッチカード6上の隠ぺいホログラムシートを実施例5と同様に評価したところ、コインでスクラッチした際に、第一のスクラッチ隠蔽層1が、その透明基材面から削り残渣が残らずきれいに除去でき、スクラッチオフが安定して実施できると思われたこと、及び、そのため、出現したホログラムレリーフ3によるレリーフホログラム再生像が、より鮮明となっており、偽造防止性が高まったと思われたこと以外は、実施例5と同様の良好な結果を得た。(評価状況は図示せず。)
(実施例9)
実施例5において、第一のスクラッチ隠蔽層1を、表面平滑性の非常に高い(平均表面粗さRaが0.01μm。)厚さ11μmの透明ポリエチレンテレフタレートシート上に仮形成した後、剥離性フィルム上に転写して、剥離性フィルム上の第一のスクラッチ隠蔽層1の露出している面の平均表面粗さRaを0.01μmとし、その露出面に、Ni原版のレリーフ面を合わせて、回転式レリーフホログラム形成装置(原版シリンダー径1.0m、原版面温度200℃、加圧シリンダー径0.3m、水冷式、圧力10000kg/m、複製速度2m/分)にて、ホログラムレリーフ3(Ni原版のレリーフ形状)を第一のスクラッチ隠蔽層1上に形成し、そのホログラムレリーフ3面上に、レリーフホログラム形成層2を同様の方式で同様の厚さで設け、そのレリーフホログラム形成層2上に、第二のスクラッチ隠蔽層4及び粘着層をやはり、同様の方式で同様の厚さで設けたこと以外は、実施例5と同様にして、実施例9の粘着層付き隠ぺいホログラムシートH´´を得た。(図4及び図5参照。図4において、粘着層は図示していない。)
このスクラッチカード6上の隠ぺいホログラムシートH´´を実施例5と同様に評価したところ、コインでスクラッチした際に、ホログラムレリーフ3によるレリーフホログラム再生像が、より鮮明となって出現するとともに、ホログラムレリーフ3面が露出しており、この「ラベル」を偽造することは、到底、困難と思われたこと以外は、実施例5と同様の良好な結果を得た。(評価状況は図示せず。)
(実施例10)
実施例5において、下記組成の第一のスクラッチ隠蔽層1用インキ組成物及び第二のスクラッチ隠蔽層4用インキ組成物を用いて、同様の方式、同様の厚さで、第一のスクラッチ隠蔽層1及び第二のスクラッチ隠蔽層4を形成したこと以外は、実施例5と同様にして、実施例10の粘着層付き隠ぺいホログラムシートHを得た。(図2参照。図2において、粘着層は図示していない。)
<第一のスクラッチ隠蔽層1用インキ組成物>
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体 20部
アクリル樹脂 5部
顔料アルミペースト アルミニウム微粉末(平均粒径8μm) 30部
微粒子酸化ジルコニウム(平均粒径:0.01μm) 20部
シリコーンオイル 5部
トルエン 10部
酢酸エチル 5部
エチルセルソルブ 5部
<第二のスクラッチ隠蔽層4用インキ組成物>
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体 20部
アクリル樹脂 5部
顔料アルミペースト アルミニウム微粉末(平均粒径8μm) 30部
微粒子酸化ジルコニウム(平均粒径:0.01μm) 20部
シリコーンオイル 5部
トルエン 3部
酢酸エチル 10部
エチルセルソルブ 2部
ブチルセルソルブ 5部
このスクラッチカード6上の隠ぺいホログラムシートHを実施例5と同様に評価し、さらに、その隠ぺいホログラムシートHを剥がそうとしたところ、実施例5と同様の良好な結果に加え、第一のスクラッチ隠蔽層1のスクラッチオフしていない部分に「剥離痕」が発生したことから(さらに確認すると、第二のスクラッチ隠蔽層4にもやはり「剥離痕」が生じていた。)、この「ラベル」の偽造が非常に困難であると思われた。(評価方法は図示せず。)
(比較例)
実施例5において、レリーフホログラム形成層2を設けず、隠ぺいラベル(スクラッチラベル)を形成したこと以外は、実施例5と同様にして比較例の隠ぺいラベル(スクラッチラベル)を得た。
この隠ぺいラベル(スクラッチラベル)を実施例5と同様に評価したところ、スクラッチオフにより、「秘密情報」8を視認することはできたが、ホログラム再生像は出現せず、通常のスクラッチラベルと判明し、容易に偽造が可能と推定された。
H0、H、H´、H´´ 隠ぺいホログラムシート
H4 「秘密情報」
H1または、1 第一のスクラッチ隠蔽層
H2または、2 レリーフホログラム形成層
3 レリーフホログラム形成層のホログラムレリーフ
H3または、4 第二のスクラッチ隠蔽層
5 反射性薄膜層
6 スクラッチカード
7 基材
8 別の「秘密情報」
9 地紋印刷

Claims (5)

  1. 第一隠ぺい層、ホログラム層、及び第二隠ぺい層からなる隠ぺいホログラムシートであって、
    前記ホログラム層には、前記ホログラム層が前記第一隠ぺい層と接している第一面を通して第一ホログラム再生像を視認できる第一ホログラム、及び前記ホログラム層が前記第二隠ぺい層と接している第二面を通して第二ホログラム再生像を視認できる第二ホログラムが記録されており、前記第一隠ぺい層を物理的に剥離することによって、前記第一ホログラム再生像が視認可能になり前記第二隠ぺい層を物理的に剥離することによって、前記第二ホログラム再生像が視認可能になることを特徴とする隠ぺいホログラムシート。
  2. 第一隠ぺい層、レリーフホログラム層、第二隠ぺい層及び粘着層からなる隠ぺいホログラムシートであって、
    前記レリーフホログラム層には、前記レリーフホログラム層が前記第一隠ぺい層と接している第一面を通して再生像を視認できるレリーフホログラムが記録されており、当該ホログラムシートをスクラッチカード基材の上の秘密情報を覆うように、前記粘着層により貼着した後、第一隠ぺい層を物理的に剥離することによって、前記レリーフホログラム再生像が視認可能になり、さらにレリーフホログラム形成層及び前記第二隠ぺい層を物理的に剥離することによって、スクラッチカード基材上の秘密情報が視認可能になることを特徴とする隠ぺいホログラムシート。
  3. 前記第一隠ぺい層及び前記第二隠ぺい層の少なくともいずれか一方が、スクラッチ隠蔽層であることを特徴とする請求項1または2に記載の隠ぺいホログラムシート。
  4. 前記ホログラム層が、レリーフホログラム形成層、または、体積ホログラム形成層であることを特徴とする請求項1記載の隠ぺいホログラムシート。
  5. 前記ホログラム層の前記第一面上、及び/又は、前記第二面上に、秘密情報が形成されていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の隠ぺいホログラムシート。

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