JP5659800B2 - ホログラムシート - Google Patents

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本発明は、ホログラムシート、ホロラムラベル及びホログラム転写シート(以下、ホログラムシート等ともいう。)に係り、詳しくは、視認性の異なる3種類の着色パターンをあたかも一つのパターンとして認識するように形成したことにより、高い偽造防止性を有し、且つ、その真正性を容易に判定できる偽造防止用ホログラムシート、ラベル及び転写シートに関するものである。
本明細書において、配合を示す「部」は特に断わらない限り質量基準である。また、 「ホログラム」はホログラムと、回折格子などの光回折性機能を有するものも含む。
また、「ヘーズ(曇価ともいう。)」とは、JIS K 7136「プラスチック−透明材料のヘーズの求め方」に準じて求められるものであって、「試験片を透過する透過光のうち、前方散乱によって入射光から2.5°以上それた透過光の百分率」であり、「全光線透過率(平行透過率+拡散透過率)に対する拡散透過率の比」として定義されるものである。
(主なる用途)本発明のホログラムシート等の主なる用途としては、偽造防止分野や意匠用途などに使用されるホログラムシート等であって、具体的には、
(1)製造メーカー純正品等、純正品の認証が意義を持つ種々の商品分野、例えば、電子機器、電気機器、コンピュータ関連製品、及び、それらの構成部品、コンピュータ関連ソフト、純正備品類(用紙やトナーなどのプリンタ消耗品等。)医薬品、医薬部外品もしくは化成品等、
(2)商品そのものが真正品であることを消費者に強く求められる分野、もしくは、シート等を貼付等することで意匠性を高めたり、商品が高価であることを示し、その商品の付加価値を高める分野など、例えば、書籍、文書、講演、演劇、映画、写真、絵画、彫刻、版画、図面、模型等もしくは、それらの編集物、又は記録媒体に記録したもの(ビデオカセット、コンパクトディスク、デジタルビデオディスクなど)等の著作物、所定の設定をされ、変更を防止しているROMボード(コンピューター機器、ゲーム機、遊技機等に用いられるもの。ROMとボードに渡る貼付も含む。)、時計類、ネクタイ、マフラー、衣服等衣類、ハンカチーフ、ネッカチーフ、カバン、バッグ、ベルト、財布、小物入れ、装身具、宝石等宝飾品、スポーツ用品、化粧品、食器類、記念カップ、キーホルダー、置物、花瓶、陶器、人形、家具類、建具類、傘、ステッキ、食品容器、たばこ、葉巻等、及びそれらの高級ブランド品等、
(3)本人確認の手段(ID証)分野、例えば、パスポート、運転免許証、保険証、会員証、身分証、住民登録証、病院カード、もしくは図書館カード等、
(4)経済秩序を保つ上で真正品であることが求められる分野、例えば、商品券、ギフト券等の金券類、もしくはプリペイドカード、クレジットカード、キャッシュカード等のカード類、
(5)さらには、これらのものを包装し、その包装を封印する分野、例えば、単に保管のため、もしくは郵便物や小荷物として封筒に入れたり、パッケージに入れて配達や配送をする分野、商品をパッケージに入れて販売する分野、単純に包装する分野、それらの封緘シールとして使用する分野、また、それらの説明書や効能書等にその真正性を証明したり、後発医薬品との識別をするために貼付する分野等、
(6)または、これらのものを提供するサービスの用に供するもの等、例えば、各種サービスを提供する証し、貸与品の証し、さらには、各種サービスを受けることができる証し等、
に関し、特に、そのホログラムシート等に、印刷パターン等による、製造メーカー、出版社、著作者、ゲーム機運用会社、高級ブランド、証明書発行者、カードセキュリティ会社、金券類等発券・発行者、配達・配送会社、販売会社、その他関連組織等の名称や、ロゴ、印章、その他、他社との識別性を有する文字・図形・記号等、すなわち、ブランドロゴ表示や、真正性を表す文字・記号等を含めており、そのロゴや、文字・図形・記号等が、その製品の付加価値や、品質保証等の信頼性を高めるもの(証明するもの)である分野に好適である。
(先行技術)近年、光の干渉を用いて立体画像(3D画像)を再生し得るホログラムの開発が進められ、このホログラムは高度な製造技術を要するとともに様々な形態、例えばラベル、シール、箔状に形成可能なことから、これを応用し、偽造防止手段として、上記分野を含め、様々なものの一部に貼着して使用されている。
このホログラムは、一見して本物か否かが判り、しかも上述したように製造が困難であることから、広く利用されるようになってきた。
すなわち、偽造防止の手段として、クレジツトカード等の金券類、証明書等の一部に設けたり、外観の目新しさを狙つて本の表紙、パンフレツト、レコードジヤケツト、パツケージ、衣類等の様々な物品に設けることが試みられている。
この様なホログラムの装飾性および偽造防止性を高めるために、所定の「絵柄」をホログラムに付与することが行われている。すなわち、物品に貼着されたホログラム付きラベルの表面に「絵柄」を印刷等により設けることが試みられている。
従来、本出願人は、絵柄入りホログラム付きラベルについて、支持体とその支持体上にホログラム形成層、反射性薄膜層、接着剤層及び、必要に応じて剥離シ− トが順次積層されると共に、上記の任意の層間に少なくとも一層の「絵柄」層を有してなるもので、「絵柄」とホログラム再生像が一体に調和し、且つ、絵柄入りホログラム付きラベルを貼着した「被着体」のデザイン、色彩、色調と調和した美麗なものとし、「ホログラムステツカー」として有用であると共に、クレジツトカード等の金券類および高級製品に貼り付けられた場合には、高い偽造防止性を発揮する、絵柄入りホログラム付きラベルを提供している。
特に、その反射性薄膜層に隣接して(接着して)「絵柄」層を設け、「絵柄」を書き換えようとした場合、反射性薄膜層が損壊してしまい、書き換えられた「絵柄」であるか否かが容易に判別でき、偽造防止を図ることができるものを開示している(特許文献1参照。) 。
また、これらホログラムラベルの最表面の支持体は、樹脂フィルムであり、その樹脂フィルムのみでは、付加した絵柄の耐擦傷性などの耐久性が不十分であるとして、ホログラムラベル表面の耐擦傷性などの耐久性を向上させ、裏側が透けず、質感にも優れるホログラム付きラベル及びその製造方法をも開示している(特許文献2参照。)。
しかしながら、これらのホログラムラベルに付加された「絵柄」層や、「印刷」層は、一般的コート方法や、一般的印刷方法により、各印刷方法に適したインキの顔料及び染料を選択して形成されるものであって、あくまで、「絵柄」層を書き換えようとすると、その「絵柄」層と接している「反射性薄膜層」を傷つけてしまい、「絵柄」層のみを書き換えることが物理的に難しいという特性から、偽造防止を図るものである。
特許文献2においても、「印刷」層は、「公知の印刷法で特に限定されることなく、例えば、公知のインキを用いて公知のスクリーン印刷やグラビア印刷で印刷すればよい」と記載するのみであって、真正なホログラムに「類似した視認性」(目視にて観察した際に、ホログラム再生像のように具体的な「像」を結像しないものの、光を乱反射したり、部分的に輝いたりして、「類似する光学的効果」を醸し出していることを意味する。)を付与したラベルに、全く同一の色調を有する「印刷」層を施して偽造品を作製することが可能と考えられた。
さらには、「印刷」層を形成した領域では、その「印刷」層がホログラムの光学的効果を遮断するため(観察側から見て手前に、「印刷デザイン」を強調するように「印刷」層を設けており、そして、その「印刷」層は、ほとんど光を透過しないため。)、偽造を試みる者は、この「印刷」層を形成した部分についてはホログラムの光学的効果を「再現」する必要がなく(通常、この「印刷」層形成領域は、ラベル全体の面積の大半を占めている。)、「印刷」層形成領域以外のわずかな領域のみについて、真正なホログラムに「似せた光学効果」を醸し出せればよいため、偽造が容易となってしまうという欠点を有していた。
この問題を解決するために、「印刷」層形成領域の上においてもホログラム効果を発現させるため、本出願人は、ホログラムレリーフ上に透明反射性薄膜層を設け、その透明反射性薄膜層上の一部に「印刷」層を設け、それらの層全体を覆うように全反射性薄膜層を設ける技術を開示している(特許文献3参照。)。
しかしながら、この技術は、ホログラムを製造する工程が非常に煩雑となるだけでなく、他の特許文献と同様に、「印刷」層は、一般的なものであって、「印刷」層そのものには、何ら偽造防止性を付与していないことから、やはり、上記と同様の偽造を防ぐことができず、「印刷」層そのものに対して偽造防止機能を持たせる、より高度な偽造防止効果を提供することができないものであった。
実公平5−18779号公報 特開2007−86251号公報 特開平7−129069号公報
本発明は、一方がホログラム再生像を透過するタイプ、及び、他方の2種類がホログラム再生像を消失または低減させるタイプである、3種類の着色パターン層(「印刷」層)を、ホログラム形成層の上下に設けることによって、あたかも、一つの着色パターンがホログラムと複合されているように観察されるものの、あらかじめ定められた観察方法によっては、目視にて容易に、その3種類を判別可能である、偽造防止性に優れ、且つ、真正性の判定が簡易な、ホログラムシート、ホロラムラベル及びホログラム転写シートを提供する。
上記の課題を解決するために、
本発明のホログラムシートの第1の態様は、
透明樹脂層の一方の面にホログラムレリーフが設けられたホログラム形成層、前記透明樹脂層の他方の面に形成された透明着色パターン層A、前記ホログラムレリーフを埋めるように形成された透明着色パターン層B1と透明着色パターン層B2、及び、前記ホログラムレリーフ、前記透明着色パターン層B1、または、前記透明着色パターン層B2に追従するように接して設けられた反射性薄膜層とからなるホログラムシートであって、
前記ホログラムシートを前記透明樹脂層側から観察した際に、前記透明着色パターン層A、前記透明着色パターン層B1、及び、前記透明着色パターン層B2が、同一の色を呈し、前記色で形成された一つのパターンCとして視認されるよう、透明着色パターン層B1および透明着色パターン層B2の光透過性を、透明着色パターン層Aの光透過性より低く、且つ、前記透明着色パターン層B1の屈折率と前記透明着色パターン層B2の屈折率とが互いに異なることを特徴とするものである
ホログラムとは、一方で、ホログラム再生像として再生したい「3次元物体」に対して、時間的・空間的コヒーレント性を有する光である、レーザー光を照射(照明)し、その「3次元物体」の表面で、反射、散乱(回折)した「光」(これが「物体光」と呼ばれる。)を、所定の角度で、感光材料へ入射させ、他方で、そのレーザー光そのもの(これが、「参照光」と呼ばれる。)を、その「物体光」の入射角度とは異なる角度で、同時に、その感光材料へ入射させて、その「物体光」と、「参照光」とを干渉させ、その干渉によって生じた「干渉縞」を、その感光材料に記録したものである。
このホログラム形成方法は、撮影方式によるホログラム形成方法の一つであって、「二光線束法」とも呼ばれる。
その「物体光」と、「参照光」は、互いにコヒーレントであるので、感光材料内に鮮明な干渉縞が発生し、その干渉縞が記録される。
まず簡単な場合として、参照光及び物体光の二つが、いずれも平行光であって所定の角度をなす場合を考えると、二つの光の感光材料面までの道筋(光路)の長さの違い、したがって二つの光の位相の違いによって、感光材料面上のある位置では互いに強め合い、また別の位置では弱め合い、結果として感光材料には、参照光、物体光のなす角度によって決まる等間隔で感光材料面に垂直方向に伸びる干渉縞が記録される。
また、この干渉縞のコントラストは、参照光及び物体光の振幅が等しいときもっとも大きく、相違があるほど小さくなる。物体光は、「3次元物体」の立体形状に依存して変化する光であって平行光ではないので、干渉縞は乱れたものになる。
しかしその乱れは、参照光に対する物体光の位相の変化が干渉縞の横ずれとして、また、振幅の変化がコントラストの変化として生じ、感光材料には、物体光の位相、振幅の情報がすべて記録される。このようにして露光された感光材料を現像処理したものがホログラムとなる。
このホログラムには、普通のカメラで写した写真のようには、物体の像が写っておらず、ただ一様に白濁(屈折率分布として)しているように見えるが、光の波長に近い細かさで物体情報が完全に記録されている。
この感光材料として、フォトレジストを用い、フォトレジストの現像時間管理によって、フォトレジストの表面に、所望の深さの凹凸を設けたものが、レリーフホログラムであって、その凹凸が、上記と同様に、その深さや、周期は乱れており、その乱れが、物体光の位相や、振幅の情報を含むことになる。
そして、その凹凸面が、ホログラムレリーフ面であって、このときの「凹凸面を有する感光材料層」が、「ホログラムレリーフをその一方の面に有するホログラム形成層」となる。
このホログラムを、例えば、上記した参照光と同一のレーザー光で照明すると、感光材料内に記録された干渉縞が、光の進行方向を変える回折格子として作用する。
回折格子に光が入射すると、そのまま透過する直接透過光(ゼロ次回折光)のほかに、格子の間隔、いまの場合は、干渉縞の間隔によって決まる方向にプラス、マイナス一次の二つの回折光を生じる。
ホログラム作成時、物体光と参照光とが所定の角度をなす平行光を用いた場合には、このホログラムを照明した際のプラス、マイナス一次の二つの回折光は、いずれも平行光であり、前者はちょうど元の物体光が感光材料を透過する方向に進む。
実際の干渉縞は物体光の位相、振幅で乱されているので、ちょうどそれに対応するようにプラス一次の回折光は乱され、元の物体光をそのまま再生することになる。ホログラムを通して見ると、ゼロ次、マイナス一次の回折光にじゃまされず、元の位置に物体が立体的に再生する。この像は直接像とよばれ、あたかも物体から出たように発散した光で見えるので虚像になる。これに対して、もう一つのマイナス一次の回折光によって、ホログラムの右側に、元の物体と前後が逆になった像が再生する。これは共役像とよばれ、実際に光が集束するので実像になる。
この直接像を、見る位置を変えて観察すると、前後の3次元物体の相対位置が変化し、立体的に再生していることを確認できる。
この状況は、レリーフホログラムにおいても同様であって、上記したホログラム形成層が有するホログラムレリーフ面を、所定の「参照光」で照明すると、所定の角度に直接像(ホログラム再生像)が現れる。
そして、このホログラムレリーフ面を「反射面」と位置付けると、そのホログラムレリーフ面で「反射した光」が、所定の角度によって決まる方向へ、その直接像を出現させる。その共役像である実像も同様である。
本発明のホログラムシートは、透明樹脂層の一方の面に形成したホログラムレリーフ面を反射面とする。この反射は、透明樹脂層と、空気との屈折率差により発生するものであるが、そのホログラムレリーフ面に反射性薄膜層を設けた場合には、反射性薄膜層の反射性能により、より強い反射光が発生することとなる。
以下にその詳細を説明する。
本発明のホログラムシートにおいて、透明樹脂層の他方の面から、参照光(照明光を意味する。)を入射させ、「透明樹脂層からなるホログラム形成層」(以下、ホログラム形成層と称する。)を透過して、そのホログラムレリーフ面(反射面)で反射させると、その反射光は、その界面での正反射光(入射する光の入射角度に対して、鏡面反射のように正反射する方向に進む光。0次回折光ともいう。3次元物体の情報を含んでいない。)と、±1次回折光(ホログラムレリーフの形状でその回折角度が決まる、所定の角度に進む光。3次元物体の情報を含む。本説明において、高次回折光は省略する。)とに分かれる。
そして、その正反射光と±1次回折光の強度比は、ホログラムレリーフの形状によって定まる値である。
すなわち、ホログラムレリーフ面における正反射光と±1次回折光の諸特性は、次のような値をとる。
正反射光の反射角度は、参照光の入射角度により定まる値であり(鏡面反射の方向となる。)、正反射光の強度は、入射光の強度、ホログラムレリーフ面を構成する2つの物質(2つの樹脂、樹脂と空気、もしくは樹脂と反射性薄膜層用材料)の屈折率差、及び、ホログラムレリーフ形状(正反射光は、ホログラムレリーフに対する0次回折光を意味し、反射光全体から、ホログラムレリーフの回折効率によって定まる、±1次回折光分だけ、差し引かれた強度となる。)により定まる値となる。
但し、その強度については、ホログラムレリーフ面に追従するように接して反射性薄膜層が設けられている場合には、ホログラムレリーフ面を構成する2つの樹脂の屈折率差ではなく、その反射性薄膜の反射性能(光の反射、吸収性能)に大きく依存する値となる。
その正反射光(0次回折光)は、ホログラム再生像の情報を含まない単純反射光として、再び、ホログラム形成層を透過して、参照光入射側に戻ってくる。
これに対して、±1次回折光の反射角度は、ホログラムレリーフ形状(ホログラムレリーフの回折角度を意味する。)により定まる値をとり、±1次回折光の強度は、入射光の強度、ホログラムレリーフ面を構成する2つの物質(2つの樹脂、樹脂と空気、もしくは樹脂と反射性薄膜層用材料)の屈折率差、及び、ホログラムレリーフ形状(ホログラムレリーフの回折効率を意味する。)により定まる値となる。
もちろん、この強度も、ホログラムレリーフ面に追従するように接して反射性薄膜層が設けられている場合には、ホログラムレリーフ面を構成する2つの樹脂の屈折率差ではなく、その反射性薄膜の反射性能に大きく依存する値となる。
その±1次回折光は、ホログラム再生像の情報を含む光(3次元物体の情報を含んでいる光となっている。)として、再び、ホログラム形成層を透過して、参照光入射側に戻ってくる光となり、その光によって、ホログラム再生像を視認することができることとなる。
但し、2つの樹脂の屈折率差は、樹脂と空気、もしくは樹脂と反射性薄膜層用材料との屈折率差より小さいため、2つの樹脂による界面の正反射光の強度や、±1次回折光の強度は著しく小さいものとなる。
従って、ホログラム形成層のホログラムレリーフを埋めるように透明着色パターンB1または透明着色パターンB2が形成されると、この領域における界面で反射再生されるホログラム再生像は、消失するか、または、僅かに再生されるものとなる。
本発明のホログラムシートは、ホログラム形成層の他方の面(ホログラムレリーフを形成していない面)に、透明着色パターン層Aが形成され、その透明着色パターン層Aが表している「パターン」(パターンa)が、その透明着色パターン層Aが呈する「一つの色」の「パターン」(パターンa)として、視認される。
さらに、本発明のホログラムシートには、ホログラム形成層のホログラムレリーフを埋めるように形成された透明着色パターンB1および透明着色パターンB2が形成され、その透明着色パターンB1が表している「パターン」(パターンb1)が、透明着色パターン層B1が呈する「一つの色」の「パターン」(パターンb1)として、視認され、されに、その透明着色パターンB2が表している「パターン」(パターンb2)が、透明着色パターン層B2が呈する「一つの色」の「パターン」(パターンb2)として、視認される。
そして、透明着色パターン層Aの「パターンa」と、透明着色パターンB1の「パターンb1」と、透明着色パターンB2の「パターンb2」とが、「一つの色(同色)を有する(呈する)一つのパターンC」を構成するように形成されているため、この「色」の同一性により、本発明のホログラムシート上には、一つの「パターンC」が形成されているように観察される。
そもそも、「色」とは、「物体」からの反射光を、色相(色合い)、彩度(鮮やかさ)、明度(明るさ)の3つの要素で認識した(視認される)「情報」である。
そして、いわゆる、「色調」とは、色の濃淡・明暗・強弱などの具合、すなわち、色合いを意味し、「彩度」と「明度」を複合した概念であって、色彩の強弱及び、濃淡の調子のことを意味する。
従って、ここでいう「同色」とは、二つ以上の「物体」が、「同一の色を呈する」ことであって、それらが、「同一の色相」及び「同一の色調」を有していることを意味し、それらを視認したときに、それらが「同じ色」と認識されることをいう。(この意味合いから、本発明においては、一般的に用いられる「同一色調」という定義を用いず、「同一の色を呈する」、乃至は、「前記色で形成された」という定義を用いている。)
すなわち、透明着色パターン層Aや、透明着色パターン層B1、B2は、透明性を有する樹脂に、染料や顔料を分散・溶解したものを用いるが、染料や顔料の種類、その分散性・溶解性、顔料粒子の大きさや、形状、その表面状態、その他の添加剤、そして、形成方法や、形成時の乾燥条件、硬化条件、さらには、その厚さや、界面の状態により、色相、彩度、明度が決まり、そして「色」が定まることとなる。
また、この透明着色パターン層Aや、透明着色パターン層B1、B2の裏面からの反射光の強度、さらには、それらの裏面に、反射層(反射性薄膜層)を設けて光を反射させた場合には、その反射層(表面、乃至は、層内での多重反射による反射を生じる層を意味する。)で反射する光の波長や、光の強度によっても、上記の3要素が変化し、結果として、視認される「色」が異なることとなる。
以上のように、本発明における「同一の色」とは、この視認される「色」のことを意味し、この視認される「色」を、上記した諸要素を調整して「同一」とする。
従って、この調整する範囲は、透明着色パターン層A、透明着色パターン層B1、及び、透明着色パターン層B2を正反射光として視認する範囲を指しており、さらには、各層から散乱・反射された光を視認する範囲(正反射光から若干それた角度範囲を意味する。)である。
すなわち、ホログラムレリーフ面から、ホログラム再生像が再生される方向を除く方向において、視認する際に、上記した「同一の色」を呈することとなる。
これに対して、透明着色パターン層Aにおいて視認される「色」、透明着色パターン層B1、及び、透明着色パターン層B2において視認される「色」は、上記した、±1次回折光によって影響を受ける。
この影響は、様々な「色」を定するホログラム再生像によって、色相(色合い)、彩度(鮮やかさ)、明度(明るさ)の3つの要素、すべてに関して大きくその影響を受けるものとなり、ホログラム再生像の情報を含んでいる±1次回折光の強度が最も大きくなる、透明着色パターンB1または透明着色パターンB2が形成されていないホログラムレリーフ面において最大となる。そして、その影響の大きさは、ホログラムレリーフ面に追従するように接して反射性薄膜層が設けられた場合にさらに強調されることとなる。
ホログラム形成層のホログラムレリーフを埋めるように透明着色パターンB1または透明着色パターンB2が形成された領域においては、ホログラム再生像の情報を含んでいる±1次回折光の強度が小さく、全く発生しない(消失している)か、ほんの僅か発生するに留まる。
この現象により、本発明のホログラムシートを、そのホログラム再生像を確認できる角度から視認した際には、透明着色パターン層Aにおいて視認される「色」、透明着色パターン層B1において視認される「色」、及び、透明着色パターン層B2において視認される「色」が、それぞれ「異なる色」として確実に判定することができるものとなる。
すなわち、ホログラム形成層の一方の面にホログラムレリーフを形成したホログラムシートに、ホログラム形成層の他方の面から入射した参照光は、透明着色パターン層Aの領域及び、その他の領域から、ホログラム形成層を透過し、ホログラムレリーフ面で反射すると同時に、ホログラム再生像の情報を含み、再び、ホログラム形成層を透過し、さらに、透明着色パターン層Aの領域においては、透明着色パターン層Aをも透過し、その他の領域においては、そのまま、観察者側に戻ってくる。
この際、ホログラム再生像を含んだ反射光は、上記したように、「物体光の位相や、振幅の情報」を含んでいるため、透明着色パターン層Aの領域、すなわち、「パターンa」の領域の「色」に、比較的大きな「変化」を与えることになる。
これに対して、透明着色パターン層B1の領域や透明着色パターン層B2の領域、すなわち、「パターンb1」の領域や「パターンb2」の領域の「色」も、上記したホログラム再生像による影響を受けるものの、それらの領域におけるホログラム再生像の光の強度(明るさや鮮明さ)が、「パターンa」の領域におけるホログラム再生像の光の強度に比較して、比較的小さいものとなっているため、その「色」に僅かな「変化」を与えるのみである。
そして、「パターンb1」の領域の「色」と、「パターンb2」の領域の「色」においても、それぞれを構成する樹脂の屈折率に差があるため、それぞれの領域におけるホログラム再生像の光の強度に差が発生し、その「色」に僅かな「変化」を生じさせることとなる。
すなわち、透明着色パターン層B1、B2は、ホログラム形成層のホログラムレリーフを埋めるように形成されており、従って、着色パターンB1が形成する「パターンb1」の領域内や、着色パターンB2が形成する「パターンb2」の領域内においては、ホログラムレリーフ面(界面)にて、ホログラム形成層を構成する透明樹脂と、着色パターンB1を構成する樹脂および着色パターンB2を構成する樹脂が、直接、「接着」して、この界面での反射を抑制し、この界面に入射する光は、この界面における両構成樹脂の屈折率に依存して、抑制された界面反射、乃至は、大きい界面透過の、個々の割合が定まることとなる。
ここで、透明着色パターンB1と透明着色パターンB2の屈折率が異なるため、それらの界面、すなわち、「パターンb」の領域内や「パターンb2」の領域内における、それぞれの界面反射や、界面透過の割合は異なる。
従って、ホログラム形成層の一方の面にホログラムレリーフを形成したホログラムシートに、ホログラム形成層の他方の面から入射した参照光は、ホログラム形成層を透過し、透明着色パターン層B1もしくはB2の領域、すなわち、「パターンb1」もしくは「パターンb2」の領域においては、ホログラムレリーフ面(界面)にて一部反射し(入射した光の量の一部という意味。)、残りの大部分(入射した光の量の内、わずかな反射光分を除いた光の量という意味。)が透過して透明着色パターン層B1、B2内に入射し、透明着色パターン層B1、B2を透過して、透明着色パターン層B1、B2のもう一方の界面(空気と接しているか、もしくは、反射性薄膜層に接している平坦な面。この面はホログラム情報を含んでいない。)にて、一部反射し、一部透過する。
そして、透明着色パターン層B1もしくはB2の領域以外の領域においては、すなわち、「パターンb1」もしくは「パターンb2」のない領域においては、ホログラムレリーフ面(界面)にて反射が生じる(ホログラム情報を含んでいる反射。反射性薄膜層が設けられている場合には、この面において強い反射光が発生する。)。
このときの「パターンb1」もしくは「パターンb2」の領域における、透明着色パターン層B1もしくはB2と、ホログラムレリーフ面との界面での反射光の強度は、反射性薄膜層が設けられている場合における反射光の強度より小さいものであって、界面を挟む二つの樹脂(界面の上下の樹脂という意味。)の屈折率差によって定まる値を持ち、且つ、その正反射方向へ(ホログラム情報を持たない光として)進む光と、回折方向へ(ホログラム情報を含む光として)進む光に分かれるため(それぞれの方向へ進む光の個々の強度として)、さらに小さいものとなる。これらの光の強度比は、レリーフホログラムの回折効率によって定まる。
そして、このときの界面の透過光は、入射した方向へ(ホログラム情報を持たない光として)進む光と、回折方向へ(ホログラム情報を含む光として)進む光に分かれるため、さらに小さいものとなり、且つ、その強度比は、同様にレリーフホログラムの回折効率によって定まるものである。
そして、透明着色パターン層B1、B2の、ホログラムレリーフと接している面と反対側の面は、「平坦な面」となっており、この「平坦な面」に追従して、反射性薄膜層が接着している場合には、この領域での「光の反射」は、この反射性薄膜層による「光の全反射光」となる。
この全反射光は、ホログラム再生像の情報を上記した「残りの大部分(「パターンb1」の領域と「パターンb2」の領域とでは、この大きさが異なる。)」に相当する光の量の分だけ持ち(ホログラム再生像の明るさが低減した状態で、その情報を含むという意味。この低減の度合いは、2つの領域で異なる。)、「パターンb1の形」もしくは、「パターンb2の形」をその情報として、反射方向へ進み、再び、透明着色パターン層B1またはB2、及び、ホログラム形成層を「透過」して、その観察側に戻ってくるため、観察側において「パターンb1」と、「パターンb2」とを、それぞれの「色」として鮮明に視認することとなる。
すなわち、この「パターンb1」の領域と、「パターンb2」の領域においては、上記した入射した参照光の「正反射光」に関しては、ホログラム再生像は視認されず、形成したそれぞれの「色」を確認することができる。
そして、その参照光の±1次回折光の方向へ進む光に関しては、「パターンb1」の領域と、「パターンb2」の領域、さらにはそれ以外の領域において、強度の異なるホログラム再生像をその「色」に加える形で視認することとなる。
このような「視認性の違い」(「パターンa」、「パターンb1」及び「パターンb2」の各パターンの「見え方」が、「色の違い」を根拠として、「異なるもの」として認識されることを意味する。)を有する、透明着色パターン層Aの「パターンa」と、着色パターンB1の「パターンb1」と、着色パターンB2の「パターンb2」とが、「同一の色を有する一つのパターンC」を構成するように形成されているため、「ホログラム再生像の光が進む方向以外」の観察角度においては、この「色」の同一性により、本発明のホログラムシート上には、単に、「一つの色を有する、一つのパターンC」が形成されているように観察される。
しかし、「ホログラム再生像が発現する方向(角度)」において、観察すると、全く「色」に変化を生じないか、もしくは、僅かに変化を生じる、「パターンb1」、「パターンb2」と、「色」により大きい変化を生じる「パターンa」とで、確実に判別可能な「色」の違いが発生し、「パターンC」が、単一の「一つのパターン」ではなく、3種類の「パターン」で構成されていることが判読されることとなる。
この「視認性の違い」は、一つ目のパターンが、観察角度に依存せず、一定の色にて、「安定」して視認できるものとして認識され、二つ目のパターンが僅かに差を生じるものとして認識されると同時に、三つ目のパターンが、観察角度を変えたとき(ホログラムシートをそのシート平面内において回転させる等により、ホログラム再生像の再生方向を変え、相対的に、その観察角度を変えることができる。)、その「色」が、比較的大きな変化を生じるいわば「不安定」なものとして認識されることを意味する。
ここでいう「確実に判別可能な『色』の違い」とは、例示すれば、「色差」、すなわち、L*a*b*色度図(LAB表色系)における△E{=(△a2+△b2+△L21/2)}で表される「色差」であって、「同色」とは、この「色差」が、0.5以下となることを意味する。
国際照明委員会(CIE)が提唱する表色系には、その他RGB系、XYZ系(Yxy系)、UVW系(Luv系)等があるが、これらは相関しており、容易に換算が可能であって、その換算値を用いることもできる。
そして、「色」の変化は、この△Eが0.5を超えると「差があるもの」として認識され(SLIGHT:差がわずかに感じられる。)、1.5を超えると明確にその「違い」を視認できる(NOTICEABLE:差がかなり感じられる。)。
本発明のホログラムシートを観察する一般的環境は、前述した種々の用途において、そのホログラムシートを適用した物品等を使用する環境であって、身に着けたり、持ち運びする場合には、屋外環境であったり、外出先のデパートやショッピングモール等の室内環境となり、家庭内に据え置くものに適用した場合には、その家庭の室内環境となる。
屋外環境においては、太陽光線や、その太陽光線が建物等で反射した光が入射光となり、室内環境においては、デパート等や、ショッピングモール等、さらには、一般家庭内の照明である蛍光灯等が光源となって、その蛍光灯等が発する光が入射光となるため、その角度は、複数、且つ、様々であり、それら多数の入射光によって、個々に対応するホログラム再生像が発現する。
従って、この透明着色パターン層Aの「パターンa」は、それら対応する複数のホログラム再生像が発現する角度において、その度に、その「色」を変化させることとなり、他方、透明着色パターン層B1の「パターンb1」の領域や、透明着色パターン層B2の「パターンb2」の領域は、一つの「色」を常に呈するか、僅かに変化するに留まることとなる。
このように、「パターンb1」や「パターンb2」が「一定」の色を呈したり、僅かに変化するに留まることは、この「色」を基準として、「色」が変化する「パターンa」を「対比する」ことを可能としており、この「対比」により、確実な真正性判定を実現している。
透明着色パターン層Aを、透明性を有しながら、ホログラム再生像を発現する反射光を少し透過するものとし(透過後のホログラム再生像のホログラム再生効率を回折格子換算の回折効率で表して、5〜10%とすることを意味する。)、そして、透明着色パターン層B1、B2からのホログラム再生像発現反射光を、全く「0」とするか、極く僅かなものとすると(透過後のホログラム再生像のホログラム再生効率を回折格子換算の回折効率で表して、0%、乃至は、5%未満とすることを意味する。)、ホログラムシートを一瞥したのみでは、上記した「視認性の差」を「認識し難いもの」とすることができ、この僅かな「視認性の差」が存在することを知りうる者(正当な権利を有する者を意味する。)のみが、その「差」を的確な判定方法を用いて判読し、真正性を判定することができるようになる。
すなわち、ホログラム再生像を発現しない方向から観察した場合には、「パターンa」、「パターンb1」及び「パターンb2」は、いずれも、その背後の、空気との界面、もしくは、反射性薄膜層からの反射光を受けて、その領域の隅々まで一様な明るさを付与された、同一の「色」として観察されることとなる。
この反射光は、例えば、「パターンa」においては、ホログラムレリーフ面及びその面に追従して形成されている反射性薄膜層からの「0次回折光」であって、その反射角度は、「正反射光」と同一の角度となる。そして、「パターンb1」や、「パターンb2」における反射光は、透明着色パターン層B1や、透明着色パターン層B2の下の「平坦な面」もしくは、その面に追従して形成されている反射性薄膜層からの「正反射光」となる。
このように、いすれの領域における反射光も、同一角度に反射する光となる。
そして、その反射光の強度は、「パターンb1」もしくは「パターンb2」の方が、「パターンa」より大きくなるため(0次回折光は、入射光強度から、±1次回折光の強度を差し引いた強度となる。)、透明着色パターン層B1や、透明着色パターン層B2の光透過性を、透明着色パターン層Aの光透過性より低下させて(層の厚さを厚くするなどの方法により、透過率を低下させるという意味。)、それらの視認性を同一とすることが好ましい。(ここでいう「視認性が同一」とは、それらの反射光を色差計等により光学的に測定した場合に、「同一の色」となることを意味することは言うまでもない。)
例えば、「パターンb1」の反射光と、「パターンa」の反射光との比が、1.5/1の時には、透明着色パターン層B1と透明着色パターン層Aに、同一の透明樹脂、同一の染料または顔料を用い、その厚さの比を1.5/1とする。
もしくは、透明着色パターン層B1の方に、透過する光を散乱させる効果を有する、シリコン樹脂等の透明な微粒子を添加することも、その調整が容易であるため好適である。
また、透明着色パターン層Aの透明性を高いものとすると(透過後のホログラム再生像のホログラム再生効率を回折格子換算の回折効率で表して、10〜30%とすることを意味する。)、上記したホログラム再生像が発現する角度において、透明着色パターン層Aの「パターンa」の領域と、その領域の周辺領域とのコントラスト(明るさの差)が小さくなり、あたかも「パターンa」が消失したように視認されるため、このように「消失」する部分を混入させることも、その偽造防止性を高めるためには好適である。
尚、回折効率は、光源として、半導体レーザー(例えば、キコー技研 MLX標準コリメートレーザー:電圧DC4.8〜6.5V・平行光時ビーム径拡大6mm)を用い、入射光強度に対する反射光強度の割合(%)で求めることができる。
透明着色パターン層A、透明着色パターン層B1及び透明着色パターン層B2を、いずれも透明性の高いものとすると、「パターンa」においては、全反射光が強くなり、「パターンb1」、「パターンb2」においては、ホログラムレリーフの0次回折光が、正反射光(すなわち、全反射光と同一の角度に進む光を意味する。)として強く反射し、いずれも明るい色を有する領域となって、その「視認性の差」を僅かなものとすることができる。
これらの効果は、透明着色パターン層A、透明着色パターン層B1及び透明着色パターン層B2を、いずれも透明性の高いものとしたときには、反射性薄膜層そのものの光の反射率が高い場合(照明光となる可視光線に対する反射率が70%以上の場合。)に顕著に表れる。
逆に、透明着色パターン層Aを、透明性を有しながら、ホログラム再生像を発現する反射光を僅かに透過するものとし、透明着色パターン層B1や透明着色パターン層B2も同様のものとしたときには、反射層薄膜層そのものの光の反射率が低い場合(照明光となる可視光線に対する反射率が30%以下の場合。)に顕著に表れる。
以上のように、透明着色パターン層Aの上下の面、透明着色パターン層B1及び、透明着色パターン層B2の下の面、の形成形状は、透過乃至は反射する光に対して、散乱性を持たず、ホログラム形成層の他方の面に平行な「平坦な面」(「鏡面」に近いものを意味する。)とする必要があり、
ステンレススクリーン印刷方式、凹版方式、レジスト処理方式、さらには、着色層転写方式を用い、インキとしては、透明な樹脂に、その樹脂に溶解性の高い染料を混入させるか、もしくは、透明な樹脂に、粒径の小さい顔料を混入させ、その顔料が二次凝集しないように、ボールミルや、ニーダー等を用いて、顔料を樹脂中に十分に分散させたものを用いることが好ましい。
また、オフセット印刷方式や、グラビア印刷方式、シルクスクリーン方式を用いる場合には、形成時のインキの粘度調整、及び、乾燥条件の管理により、上記のような「平坦な面」を実現する必要がある。
透明着色パターン層Aの厚さは、2.0μm〜20μmであり、その平坦性は、表面粗さRaで、可視光の波長以下、すなわち、0.1μm〜0.5μmとする。
2.0μm未満では、安定した「色」を呈することができず、20μmを超えると、その断面が視認できるようになるため不都合である。
また、平坦性は、0.5μmを超えると光の散乱性が高くなり、その界面での光の反射が多くなって、その界面の視認性と、透明着色パターン層B1もしくは透明着色パターン層B2の視認性との間に、大きな差を生じることとなるため不都合である。平坦性は、もちろん、0.1μm未満とすることが好ましいが、印刷方式や、レジスト処理方式等において形成する場合には、物理的な困難性を伴うものとなる。
ホログラムレリーフ面は、その凹凸の形状そのものが、「3次元物体」の立体形状(位相)や、立体表面の反射強度(強度)を再現して、ホログラム再生像を結像し、その凹凸形状の精密性が、再現するホログラムの鮮明性に直結している。
ホログラムは、ホログラム再生の冗長性から、ホログラムレリーフの一部を消失(ホログラム再生像が結像する方向へ光が進行しない部分を設けるという意味。)しても、その鮮明性には影響を及ぼさないという性質を持つものの、それは、不要な光の成分が加わらないことによることを意味し、例えば、その凹凸形状に変形を加えた場合は、ホログラム再生像を形成する光の位相や強度を歪めることから、その変形が僅かであっても、ホログラム再生像の鮮明性を低下させることとなる。
従って、そのホログラムレリーフ面に、0.01μm厚さの僅かな油等の汚れが付着したり、微細な傷や凹みがついたり、僅かであっても凹凸が歪むような圧力が加わったりすると、その鮮明性の低下を招き、その真正性の判定を不安定なものとする。
このため、透明着色パターン層B1もしくはB2をホログラムレリーフ面上に形成する際には、細心の注意が必要であり、透明着色パターン層B1もしくはB2を設ける領域以外の凹凸面には、何らの作用も生じない方法を用いる。
このことから、オフセット印刷方式や、グラビア方式は、その原理から、透明着色パターン層B形成領域以外の凹凸面に、版胴が押し付けられ、その圧力のみならず、溶剤や湿し水が付着するという課題を有する。
従って、原理的に、透明着色パターン層B1もしくはB2を設ける領域のみに作用する方式である、ステンレススクリーン方式や、あらかじめパターン状に着色層を形成した転写シートを用いて、その着色層部分のみを転移させる着色層転写方式が好ましい。
もちろん、ホログラムレリーフに使用される透明樹脂をその表面強度の大きい電離放射線硬化タイプとして、ホログラムレリーフ形成後に十分硬化させ、且つ、透明着色パターン層Bを形成する際には、そのホログラムレリーフに全く影響を及ぼさない純度の高い溶剤や、純度の高い水(純水等。)を用いて、余分な付着物を後処理において除去可能とするなどの手法も好適である。
透明着色パターン層B1もしくはB2の厚さは、透明着色パターン層Aの厚さに対応して決められるが、少なくとも、ホログラムレリーフを埋めることが可能であって、且つ、一方の面が「平坦な面」となるのに十分な厚さが必要であり、2.0μm〜10μmとする。その平坦性は、0.1μm〜1.0μmとする。
ホログラムレリーフの凹凸深さは、0.1μm〜2.0μmであるため、その厚さは、2.0μm以上とし、その段差を目立たなくするため、10μm以下とする。平坦性については、その面が、透明着色パターン層B1もしくはB2の下となって目立たなくなるため、透明着色パターン層Aよりやや粗いものであっても、その視認性には影響しない。
「パターンa」、「パターンb1」、「パターンb2」、そして、それらが一つとなった「パターンC」としては、文字、図形、記号、及びそれらの組み合わせを用いることができる。
特に、ブランド、メーカー等が使用している「ロゴ」のように、互いに離間している(接していないという意味。)、複数の文字から構成されるものが好適であって、文字毎に、透明着色パターン層A、透明着色パターン層B1もしくはB2を、この順序で繰り返し用いても良いし、複数の文字の「一文字」のみを透明着色パターン層B1とし、他の「一文字」のみを透明着色パターン層B2とし、残りの文字を全て透明着色パターン層Aとするものであっても良い。
これは、「視認性」の変化が、「一文字」の中の一部のみで発生し(透明着色パターン層A)、他の部分は変化しないかその変化が極く僅かなもの(透明着色パターン層B1もしくはB2)とした場合には、真正性を判定する者が、その「変化」を判定する際に、「偽造防止のために意図して設けられたもの」か、「単なる印刷ムラ」なのかを判別することが困難なものとなるためであり、「一文字」全体が、「一様に変化」するか、「一様に変化しない」かを判定させることにより、判定の信頼性を確保するためである。
また、透明着色パターン層A(「パターンa」)と、透明着色パターン層B1(「パターンb1」)もしくは、透明着色パターン層B2(「パターンb2」)とを接して形成し、それを合体したものを「パターンC」とすると、「パターンC」内に、その境界線が発生して、その境界線上で二つの領域を見比べることを可能とし、その二つの領域に何らかの差があることを容易に気付かせる要因となる。
しかも、その境界線領域において、透明着色パターン層Aと透明着色パターン層B1もしくはB2とが、部分的に重なった場合には、その境界線領域が別の「色」を呈し、偽造防止性を大幅に低下させることとなる。
さらに、透明着色パターン層A(「パターンa」)、透明着色パターン層B1(「パターンb1」)、または透明着色パターン層B2(「パターンb2」)の占める領域の大きさは、上記した「ロゴ」等の大きさ(例えば、ロゴを表す線の線幅が2mm。)であれば十分であるが、上記したそれぞれの層の効果を十分に引き出すためには、少なくとも、100μm以上の線幅を有することが必要である。
この線幅は、例えば、「文字を表す画線の内の一つの画線の幅」を意味し、これが、100μm未満であると、反射性薄膜層からの反射光に埋もれて、その「色」の変化を判読し難くなる。
ホログラム形成層を形成するには、透明樹脂層にあたる、透明性を有する感光性樹脂材料にホログラムの干渉露光を行なって現像することによって直接的に形成することもできるが、予め作成したレリーフホログラムもしくはその複製物、またはそれらのメッキ型等を複製用型として用い、その型面を上記の樹脂材料からなる透明樹脂層に押し付けることにより、賦型を行なうか、もしくは、射出形成や、押し出し成型の型を上記の複製用型として用い、成形と同時に形成することも好適である。
ホログラムとしては、レインボーホログラム等を用いることができるが、「パターンC」と同様のデザインの回折格子パターンとすることも、「パターンa」と、「パターンb1」、「パターンb2」の視認性の「差」をさらに小さいものとし、より偽造防止性に優れるものとすることができる。
このレインボーホログラムや、回折格子パターンは、一つの光源からの光に対する再生方向(回折方向)が、「光」の波長成分に依存して異なり、一つの角度ではなく、比較的広い角度へと再生像が発現する(回折光が進む。)ため、安定して、「パターンa」の変化を視認することができ、好適である。
この一方の面(ホログラムレリーフ形成面)、及び他方の面にそれぞれ、透明着色パターン層B1、B2及び、透明着色パターン層Aを上記したように形成し、さらに、その透明着色パターン層B1、B2上と、その透明着色パターン層B1、B2を形成しておらずホログラムレリーフ面が露出している領域上に、それらの面形状に追従するように、反射性薄膜層を形成することができる。
反射性薄膜層には、アルミニウム等の金属薄膜や、TiOx等の金属酸化物薄膜、さらには、金属窒化物薄膜を用い、真空蒸着法等の物理的形成方法、もしくは、CVD(化学気相成長)法等により形成することができる。
この反射性薄膜層を形成した際に、透明着色パターン層B1、B2の端部に存在する「段差」(10μm厚さで形成すると、10μmの段差となる。)が、反射性薄膜層の付着ムラや、反射性薄膜層に用いられる材料の変質等により、その光反射性にムラを生じて(目立って)、透明着色パターン層Aの段差と、「明らかな差(視認性の差)」を生じないように、「パターンb1」領域や「パターンb2」領域の端部(境界領域)の5μm〜20μmの部分に「階調(グラデーション)」を設け、且つ、同様の「階調」を「パターンa」の端部にも設ける等の工夫を施すことは、偽造防止性を高くするためにも好適である。
その「階調」を施す方法としては、その厚さを10μm、5μm、1μmと徐々に小さくするか、もしくは、厚さ1μmの網点状として、その段差を小さくする方法が好適である。
また、観察者が、「パターンa」の領域の色と、「パターンb1」の領域もしくは「パターンb1」の領域の色とを視認する場合、単純には、「透明着色パターン層Aで反射する光」と、「一旦、ホログラム形成層を通過し、透明着色パターン層B1もしくはB2で反射して、再び、ホログラム形成層を通過して戻ってくる光」とを比較するため、その色差を小さくするために、ホログラム形成層の透明性は高いことが望ましく、その透明性を示す指標である、「ヘーズ」として10%以下とする。さらには、「ヘーズ」を1%以下とすることがより好適である。
このとき、観察者は、「パターンa」領域の色を視認する際には、「観察側から入射する光が、透明着色パターン層Aとホログラム形成層を通過し、反射性薄膜層面で反射して、再び、ホログラム形成層と透明着色パターン層Aを通過して戻ってくる光」を視認し、
「パターンb1」の領域もしくは「パターンb2」の領域の色を視認する際には、「観察側から入射する光が、「ホログラム形成層と透明着色パターン層B1もしくはB2を通過し、反射性薄膜層面で反射して、再び、透明着色パターン層B1もしくはB2とホログラム形成層を通過して戻ってくる光」とを視認して、
その両者を「比較」することとなる。
従って、これらの光の透過や、反射の状況に応じて、その顔料や、染料の含有量や、形成厚さを設定する。
「ヘーズ」を、10%以下に抑えるためには、
ホログラム形成層においては、ホログラム形成層となる透明樹脂層に「ヘーズ」が10%以下の透明な樹脂を用い、
透明着色パターン層Aにおいては、「ヘーズ」が5%以下の透明な樹脂を用い、その樹脂に相溶する染料を1%〜10%添加したものを用いるか、
「ヘーズ」が2%以下の透明な樹脂を用い、その樹脂に分散性の良い微粒子有機顔料もしくは、微粒子有機顔料を、1%〜5%添加したものを用いる。
これにより、透明着色パターン層Aの視認性をより明確なものとし、その偽造防止性をさらに高めることができる。
また、ホログラム形成層と透明着色パターン層B1もしくはB2が形成している「界面」を、ホログラムシートに入射した「光」が通過(透過)する際に、その「光」が、不要な「位相」変化や、「強度」変化を受けないことが望ましい。
そのために、ホログラム形成層の屈折率と、透明着色パターン層B1の屈折率を同一、もしくは、その屈折率差を0.1未満とする。
その屈折率差が「0」の場合には、その「界面」そのものが存在しないように「光」が透過し、屈折率差が存在したとしても、その屈折率差が「0.1未満」の場合には、その「光」に対する不要な「位相」変化や、「強度」変化を十分に抑制することができ、着色パターンB1による、ホログラムレリーフの消失効果をより明確なものとして、その偽造防止性をさらに高めることができる。
そして、ホログラム形成層の屈折率と、透明着色パターン層B2の屈折率との差を0.1以上0.5以下とし、透明着色パターン層B1の屈折率との差を0.1以上として、その視認性に差を発現させながら、その透過光が、不要な「位相」変化や、不溶な「強度」変化を受けないようにするため、その屈折率差を0.5以下とする。
透明着色パターン層B1の屈折率を、0.1未満とし、透明着色パターン層B2の屈折率を0.1以上とすることで、透明着色パターン層B1と透明着色パターン層B2の視認性の差を確保するが、その差は、0.1以上あることが好ましく、さらには、0.3以上あることが、その差を目視にて安定的、且つ、確実に判定する上では好ましい。
そして、透明着色パターン層B1の屈折率と、透明着色パターン層B2の屈折率との差が0.5を超えると、透明着色パターン層B2の屈折率と、ホログラム形成層との屈折率との差が大きくなりすぎ、透明着色パターン層B2と、透明着色パターン層Aとの視認性に差が小さくなるため好ましくない。
また、上記した、反射性薄膜層の上に、溶剤系もしくは水系の粘着剤を設けることにより、ホログラムラベルとする。
このことにより、種々の用途における、被点着体への適用を容易とすることができる。
反射性薄膜層の下(反対側という意味。)にある透明着色パターン層B1もしくはB2への影響を抑制するためには、水系の粘着剤を用いることが好ましい。
さらに、上記したホログラムシートの反射性薄膜層の上に、溶剤系もしくは水系の接着剤層を設け、さらに、透明着色パターン層Aの領域においては透明着色パターン層Aを覆い、且つ、透明着色パターン層Aを設けていない領域においては、ホログラム形成層である透明樹脂層が露出している領域を覆う、透明基材を設けて、ホログラム転写シートとする。
このとき、透明基材は、透明基材と、透明着色パターン層A、もしくは、ホログラム形成層との剥離が容易なものを用いる。
このことにより、偽造防止性を付与する対象物へ容易に適用でき、且つ、適用後、透明基材を剥離すると、残った層が非常に薄いため、もはや、その残った層を剥がすことを物理的に難しくでき、偽造防止性の高いものとすることができる。
このときの各層の形成順序は、例えば、透明基材の上に、透明着色パターン層Aを設け、その透明着色パターン層Aを覆うようにして、ホログラム形成層を設け、ホログラムレリーフを形成し、その上に、透明着色パターン層B1と、B2を設け、それらを覆うように反射性薄膜層を設けた後に、その反射性薄膜層上に接着剤層を設ける順序とすることができる。
そして、この場合には、透明基材の上に、透明基材との剥離性を有する「剥離層」を追加しても好適である。
また、この順序で設けた場合には、透明着色パターン層Aが、ホログラム形成層の中に埋め込まれているため、偽造防止性を付与する対象物へ転写後、透明基材を剥がした状態で、その剥がした面が面一(透明着色パターン層Aが飛び出していないという意味。図示せず。)であるため、偽造防止性にさらに優れるものとなる。
本発明のホログラムシートを、蛍光灯下で観察したところ、ホログラム再生像が発現しない方向においては、透明着色パターン層Aの領域である「パターンa」も、透明着色パターン層B1とB2の領域である「パターンb1」と「パターンb2」も、同一の「色」に見え、一つの「色」からなる「一つのパターンC」として認識できた。
このホログラムシートを、ホログラムシート面内において、所定角度回転させ、且つ、観察する方向を所定の方向へと少し変えたところ、ホログラム再生像が発現する方向となり、「パターンa」の「色」に変化が生じ、「パターンb2」の「色」に極く僅かな変化が生じたが、「パターンb1」の「色」には何らの変化も生じず、その真正性を容易に確認することができた。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
本発明の一実施例を示すホログラムシートHの断面図である。 本発明の別の実施例を示すホログラムラベルH´の断面図である。 本発明のさらに別の実施例を示すホログラム転写シートH´´の断面図である。
(透明樹脂層の一方の面にホログラムレリーフが設けられたホログラム形成層)
本発明のホログラムシートHのホログラム形成層1を構成するための透明樹脂層に用いられる樹脂材料としては、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としてはアクリル酸エステル樹脂、アクリルアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、もしくはポリスチレン樹脂等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、もしくはフェノール樹脂等が挙げられる。(図1参照。)
これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、1種もしくは2種以上を使用することができる。これらの樹脂の1種もしくは2種以上は、各種イソシアネート樹脂を用いて架橋させてもよいし、あるいは、各種の硬化触媒、例えば、ナフテン酸コバルト、もしくはナフテン酸亜鉛等の金属石鹸を配合するか、または、熱もしくは紫外線で重合を開始させるためのベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、ナフトキノン、アゾビスイソブチロニトリル、もしくはジフェニルスルフィド等を配合しても良い。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル変性ポリエステル等を挙げることができ、このような電離放射線硬化性樹脂に架橋構造を導入するか、もしくは粘度を調整する目的で、単官能モノマーもしくは多官能モノマー、またはオリゴマー等を配合して用いてもよい。
上記の樹脂材料を用いてホログラム形成層1を形成するには、感光性樹脂材料にホログラムの干渉露光を行なって現像することによって直接的に形成することもできるが、予め作成したレリーフホログラムもしくはその複製物、またはそれらのメッキ型等を複製用型として用い、その型面を、上記の樹脂材料をプレス成型や、射出成型、ブロー成型等により作成した透明樹脂層に押し付けることにより、賦型を行ない、ホログラムレリーフ2面を形成する。(図1参照。)
熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、型面に未硬化の樹脂を密着させたまま、加熱もしくは電離放射線照射により、硬化を行わせ、硬化後に剥離することによって、硬化した透明樹脂層の片面にレリーフホログラムの微細凹凸を形成することができ、この微細凹凸がホログラムレリーフ2となる。なお、同様な方法によりパターン状に形成して模様状とした回折格子を有する回折格子形成層も光回折構造(すなわち、ホログラム形成層1のホログラムレリーフ2。)として使用できる。
ホログラムは、物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を凹凸のレリーフ形状で記録されたもので、例えば、フレネルホログラムなどのレーザ再生ホログラム、及びレインボーホログラムなどの白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーテッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子などがある。また、マシンリーダブルホログラムのように、その再生光を受光部でデータに変換し所定の情報として伝達したり、真偽判定を行うものであってもよい。
微細な凹凸(すなわち、ホログラムレリーフ2。)を精密に作成するため、光学的な方法だけでなく、電子線描画装置を用いて、精密に設計されたレリーフ構造を作り出し、より精密で複雑な再生光を作り出すものであってもよい。このレリーフ形状は、ホログラムを再現もしくは再生する光もしくは光源の波長(域)と、再現もしくは再生する方向、及び強度によってその凹凸のピッチや、深さ、もしくは特定の周期的形状が設計される。凹凸のピッチ(周期)は再現もしくは再生角度に依存するが、通常0.1μm〜数μmであり、凹凸の深さは、再現もしくは再生強度に大きな影響を与える要素であるが、通常0.1μm〜2μmである。
単一回折格子のように、全く同一形状の凹凸の繰り返しであるものは、隣り合う凹凸が同じ形状であればある程、反射する光の干渉度合いが増しその強度が強くなり、最大値へと収束する。回折方向のぶれも最小となる。立体像のように、画像の個々の点が焦点に収束するものは、その焦点への収束精度が向上し、再現もしくは再生画像が鮮明となる。
さらに、透明金属化合物薄膜の場合は、その薄膜の上下の面が、同一レリーフ形状であり且つ、その面と面の距離(すなわち膜厚さ)が均一であればあるほど、再現もしくは再生強度が大きくなる。また、レリーフ面にホログラム画像の凹凸とは異なる周期、形状の凹凸が存在すると、それはホログラムもしくは回折格子の再現もしくは再生時のノイズとなり、画像を不鮮明にする要因となる。
レリーフ形状を賦形(複製ともいう)する方法は、回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された原版をプレス型(スタンパという)として用い、上記ホログラム形成層1上に、もしくは、下記する反射性薄膜層5上に、前記原版を重ねて加熱ロールなどの適宜手段により、両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸模様を複製することができる。形成するホログラムパターンは単独でも、複数でもよい。
上記の極微細な形状を精密に再現するため、また、複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小とするため、原版は金属を使用し、低温・高圧下で複製を行う。
原版は、Niなどの硬度の高い金属を用いる。光学的撮影もしくは、電子線描画などにより形成したガラスマスターなどの表面にCr、Ni薄膜を真空蒸着法、スパッタリングなどにより5〜50nm形成後、Niなどを電着法(電気めっき、無電解めっき、さらには複合めっきなど)により50〜1000μm形成した後、金属を剥離することで作ることができる。
高圧回転式の複製に用いるためには、このNi層の厚み精度を高くする必要があり、通常±10μm、好ましくは、±1μmとする。このため、裏面の研磨や、平坦化方法を用いてもよい。
複製方式は、高圧とするため、平板式でなく、回転式を用い、線圧0.1トン/m〜10トン/m、好ましくは、5トン/m以上とする。複製用シリンダーは、その直径が小さいとレリーフの再現性が低下するため、複製シリンダー直径は大きい方が好ましく、通常、直径0.1m〜2.0m、好ましくは、1.0m以上の弧を使用する。
ホログラム形成層1をこの複製用シリンダーに沿って押し当て、裏面より金属製シリンダーにより上記圧力にて複製を実施する。複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小限とするためには、ホログラム形成層1全体を加熱するのではなく、ホログラム形成層1のホログラムレリーフ2面側の一部のみを加熱する方法が望ましい。通常60℃〜110℃に加熱する。さらには、裏面の金属製シリンダーを常温に保つ、もしくは冷却することで、さらにその精度を向上させることができる。
また、上記した透明樹脂層に用いられる樹脂材料の中から、ヘーズが10%以下である透明材料を選定して用いることで、ホログラム形成層1のヘーズを10%以下とすることができる。
(透明着色パターン層A、透明着色パターン層B1または、透明着色パターン層B2)
本発明のホログラムシートHでは、透明樹脂層の一方の面にホログラムレリーフ2が設けられたホログラム形成層1の、その透明樹脂層の他方の面に「透明着色パターン層A」3を形成し、ホログラムレリーフ2を埋めるように「透明着色パターン層B1」4を形成し、同様にして、ホログラムレリーフ2の別の領域に、ホログラムレリーフ2を埋めるように「透明着色パターン層B2」5を形成する。(図1参照。)
「透明着色パターン層A」3に用いられる顔料としては、
有機顔料として、キナクリドン系レッド・マゼンタ、アンスラキノン系レッド・イエロー、ポリアゾ系イエロー、ベンズイミダゾロン系イエロー・オレンジ、フタロシアニン系顔料として、銅フタロシアニンブルー(α型、β型)、銅フタロシアニングリーン、異種金属フタロシアニンブルー、スレン系ブルー、アゾ系顔料として、溶性アゾ顔料(カーミン6B、パーマネントレッド2B他)、不溶性アゾ顔料(ジスアゾ系、モノアゾ系他)、不溶性多環式顔料(赤:キナクリドン、ペリレン、ジケトピロロピロール、橙:ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、黄:キノフタロン、イソインドリノン、緑:フタロシアニン、青:フタロシアニン、インダンスレン、紫:ジオキサジン他)、不溶性レーキ顔料(赤:レーキレッドC、ウォチュングレッド他)などがある。
特に、不溶性アゾ顔料、不溶性多環式顔料、不溶性レーキ顔料は、着色力が強く、鮮明な色相を有し、透明性が高いため好適である。
無機顔料としては、複合酸化物系顔料、微粒子複合酸化物系顔料、紺青、ハイブリッド型顔料等があるが、さらに、弁柄、モリブデンレッド、カドミウムレッド、 鉛丹(以上、赤色。)、黄鉛(赤口)、モリブデンオレンヂ(橙色)、カドミウムオレンジ(橙色)、群青(ウルトラマリンブルー)、紺青(プルシアンブルー)、コバルトブルー、セルリアン、マンガン青(以上、青色。)、アンバー(茶色。)、黄鉛、カドミウムイエロー、チタン黄、黄色酸化鉄(以上、黄色。)、酸化クロム、コバルトグリーン、ビリジアン、ピーコック(以上、緑色。)、マルス紫、コバルトバイオレット、マンガンバイオレット(以上、紫色。)その他、体質顔料、金属粉顔料等が用いられる。
顔料の粒径は、「透明着色パターン層A」3の透明性を確保するため、0.01〜0.1μmのもの(微粒子顔料)とする。但し、この粒径のものは、二次凝集しやすく、再分散処理等を施す必要がある。添加量は、用いる形成方法において、形成する厚さとのバランスで決められるが、通常1%〜20%添加が好適であり、適宜な溶剤または水に溶かして、2〜20μm厚さに形成する。
形成方法は、「透明着色パターン層A」3の平坦性を、表面粗さRaで、0.1μm〜0.5μmとするため、ステンレススクリーン印刷方式、凹版方式、レジスト処理方式、さらには、着色層転写方式が好ましい。
さらに、「透明着色パターン層A」3の「ヘーズ」を、10%以下に抑えるためには、「ヘーズ」が2%以下の透明な樹脂を用い、その樹脂に分散性の良い微粒子有機顔料もしくは、微粒子有機顔料を、1%〜5%添加したものを用いる。
アクリル樹脂(ヘーズ2%以下)、ポリカーボネート樹脂(同2%以下)等に、上記微粒子顔料を1%〜5%添加し、ホログラム形成層1に対する溶解性の小さい溶剤系を用いて、固形分30%〜50%として形成する。
このとき、溶剤系に乾燥速度の比較的遅いもの(沸点100°以上、好ましくは、沸点130°以上のもの。)を溶剤成分の10%〜20%混入させ、その乾燥中に、「透明着色パターン層A」3の最表面のレベリングを促進することも好適である。
「透明着色パターン層A」3に用いられる染料としては、天然染料、及び合成染料があり、ダイレクトレッド2、ダイレクトレッド28(コンゴレッド)などの直接染料、オレンジ2などの酸性染料、メチレンブルーなどの塩基性染料、カチオン染料、アリザリンなどの媒染染料、モーダントブラック3などの酸性媒染染料、硫化染料、インディゴなどの建染染料、ナフトール染料、ディスパースイエロー7、ディスパースオレンジ3、ディスパースレッド17、1、4−ジアミノアンスラキノンなどの分散染料、レアクティブレッド1などの反応染料等を用いることができる。
これら染料を、相溶性の高い透明樹脂に溶解させることで、鮮明な色相と、高い透明性を得ることができるため、その添加量は、1%〜30%とする。また、染料系を用いた場合は、顔料系よりも形成時のレンズベリング性や、表面平滑性に優れるため、より「平坦な面」を実現することができる。
固形分及び、形成方法は顔料系と同様である。
さらに、「透明着色パターン層A」3の「ヘーズ」を、10%以下に抑えるためには、「ヘーズ」が5%以下の透明な樹脂を用い、その樹脂に相溶する染料を1%〜10%添加したものを用いる。
また、「透明着色パターン層A」3に使用される樹脂は、アクリル系樹脂(屈折率n=1.42)、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド系樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などが挙げられ、ホログラム形成層1との接着性の良好なもの、顔料や染料の分散性・相溶性の良いものが使用できる。
さらに、これらの顔料や、染料に加えて、「色」を調整するため、粒径0.1μm〜1.0μmの炭酸カルシウム等の透明体質顔料や、透明性を有しながら光散乱性を有するシリコンパウダー等の高屈折率透明樹脂粒子を使用することもできる。
これら体質顔料や、透明樹脂粒子は、「透明着色パターン層A」3の光透過性を抑制する効果を持ち、その添加量は、固形分比1%〜10%とする。1%未満では、添加した効果が表れず、10%を超えると、インキとしてのレベリング性や、分散性に悪影響を及ぼすことになる。
「透明着色パターン層B1」4、もしくは、「透明着色パターン層B2」5に用いられる樹脂、顔料、及び染料としては、上記したものにおいて、反射性薄膜層5や、ホログラム形成層1との接着性の良好なもの、顔料や染料の分散性・相溶性の良いものが使用でき、「透明着色パターン層A」3と同様の透明性を付与するために、その配合も「透明着色パターン層A」3と同様とする。
また、それらの形成時に、ホログラム形成層1のホログラムレリーフ2の面の形状や性質に影響を及ぼさないようにするため、その溶剤系や、形成方法を選択する。特に、その形成プロセスにおいて、「透明着色パターン層B1」4、もしくは、「透明着色パターン層B2」5を形成する領域(「パターンb1」の領域、もしくは、「パターンb2」の領域。)以外の領域にあるホログラムレリーフ2面には、一切、物理的、化学的な接触の無い方法が望ましい。
また、「透明着色パターン層B1」4が設けられている領域における、ホログラムレリーフ2界面(ホログラム形成層1と「透明着色パターン層B1」4との界面。)において、その界面での反射率をほぼ「0%」とするために、ホログラム形成層1に使用する透明樹脂層の屈折率と、「透明着色パターン層B1」4に使用する樹脂の屈折率を同一とするか、その屈折率差を0.1未満とするように、「透明着色パターン層B1」4に使用する樹脂を選定する。
例えば、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができ、熱可塑性樹脂としては、アクリル酸エステル樹脂(屈折率n=1.47)、アクリルアミド樹脂(n=1.50)、ニトロセルロース樹脂(n=1.54)、酢酸ビニル樹脂(n=1.47)、もしくは、ポリスチレン樹脂(n=1.60)等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、ウレタン樹脂(n=1.60)、エポキシ変性アクリル樹脂(n=1.55)、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、アルキッド樹脂(n=1.54)、メラミン樹脂(n=1.54)、フェノール樹脂(n=1.60)、もしくはポリイミド(n=1.65〜1.75)等が挙げられる。
さらに、これらの樹脂に、高屈折率無機微粒子を混入させた、有機・無機ハイブリッド樹脂を用いることができる。
例えば、有機ポリマーマトリックス中に、TiO2(n=2.70)、ZrO(n=2.10)、PbS(n=4.20)などの無機ナノ粒子を均一分散させた、高屈折ポリマー等がある。
これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、1種もしくは2種以上を使用することができ、各種イソシアネート樹脂を用いて架橋させてもよいし、あるいは、各種の硬化触媒、例えば、ナフテン酸コバルト、もしくはナフテン酸亜鉛等の金属石鹸を配合するか、または、熱もしくは紫外線で重合を開始させるためのベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、ナフトキノン、アゾビスイソブチロニトリル、もしくはジフェニルスルフィド等を配合しても良い。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート(n=1.55)、ウレタンアクリレート(n=1.54)、アクリル変性ポリエステル(n=1.64)等を挙げることができ、このような電離放射線硬化性樹脂に架橋構造を導入するか、もしくは粘度を調整する目的で、単官能モノマーもしくは多官能モノマー、またはオリゴマー等を配合して用いてもよい。
そして、「透明着色パターン層B2」5が設けられている領域における、ホログラムレリーフ2界面(ホログラム形成層1と「透明着色パターン層B2」5との界面。)において、その界面での反射率を、「透明着色パターン層B1」4が設けられている領域における、ホログラムレリーフ2界面(ホログラム形成層1と「透明着色パターン層B1」4との界面。)と視認できる「差」を設けるため、「透明着色パターン層B1」4に使用する樹脂の屈折率と、「透明着色パターン層B2」5に使用する樹脂の屈折率とを異なるものとする。
これによって、結果として、「透明着色パターン層B1」4の屈折率と、「透明着色パターン層B2」5の屈折率が、異なるものとなる。
また、ホログラム形成層1に使用する透明樹脂層の屈折率と、「透明着色パターン層B1」4に使用する樹脂の屈折率を同一とするか、その屈折率差を0.1未満とするように、「透明着色パターン層B1」4に使用する樹脂を選定した際には、ホログラム形成層1に使用する透明樹脂層の屈折率と、「透明着色パターン層B2」5に使用する樹脂の屈折率との差を、0.1以上0.3以下となるように、「透明着色パターン層B2」5に使用する樹脂を選定する。
さらに、環境に配慮して、生分解プラスチックを用いることもできる。
もちろん、これらの樹脂を、「透明着色パターン層A」3にも使用し、その耐久性や、物理特性の高いものとすることも好適である。
(反射性薄膜層)
本発明のホログラムシートHでは、ホログラム形成層1の上に形成されているホログラムレリーフ2に接して、追従するように、且つ、ホログラムレリーフ2の上に「透明着色パターン層B1」4、もしくは、「透明着色パターン層B2」5が設けられている領域においては、その「透明着色パターン層B1」4、もしくは、「透明着色パターン層B2」5に接して、追従するように、反射性薄膜層6を形成する。(図1参照。)
この反射性薄膜層6は、入射した光を反射する必要があるため、ホログラム形成層1、「透明着色パターン層B」4、及び、「透明着色パターン層B2」5よりも高い屈折率を有する薄膜材料を用いれば、特に限定されるものではない。
反射性薄膜層6としては、真空薄膜法などにより形成される金属薄膜などの金属光沢反射層、又は透明反射層のいずれでもよいが、金属光沢反射層を部分的に設けたり、透明反射層を設けた場合は、ホログラムシートHを、偽造防止を図る対象物に適用した後、ホログラムシートHに覆われた対象物上の画像などがホログラムを通して観察できるので好ましい。
透明反射層としては、ほぼ無色透明な色相で、その光学的な屈折率がホログラム形成層1のそれとは異なることにより、金属光沢が無いにもかかわらず、ホログラムなどの光輝性を視認できることから、透明なホログラムを作製することができる。
例えば、ホログラム形成層1よりも光屈折率の高い薄膜、例として、ZnS、TiO2、Al23、Sb23、SiO、SnO2、ITOなどがある。好ましくは、金属酸化物又は窒化物であり、具体的には、Be、Mg、Ca、Cr、Mn、Cu、Ag、Al、Sn、In、Te、Ti、Fe、Co、Zn、Ge、Pb、Cd、Bi、Se、Ga、Rb、Sb、Pb、Ni、Sr、Ba、La、Ce、Auなどの酸化物又は窒化物他はそれらを2種以上を混合したものなどが例示できる。またアルミニウムなどの一般的な光反射性の金属薄膜も、厚みが20nm以下になると、透明性が出て使用できる。
透明金属化合物の形成は、金属の薄膜と同様、10〜2000nm程度、好ましくは20〜1000nmの厚さになるよう、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD(化学気相成長)法などの真空薄膜法などにより設ければよい。特にCVD法はホログラム形成層1への熱的ダメージが少ない。また、他の薄膜形成法を用いても、形成する薄膜層を薄くしておくと、その熱的ダメージを少なくすることができる。例えば、アルミニウム蒸着層であれば、形成条件によるが、ほぼ20nmが透明性が無くなり全反射性を出現する臨界点である。この厚さは薄膜材料、形成方法、金属加熱温度・真空度等の形成条件により異なる。
(粘着剤層)
本発明のホログラムラベルH´(図2参照。)に用いられる粘着剤層7としては、従来公知の溶剤系及び水系のいずれの粘着剤、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂や、天然ゴム、クロロプレンゴムなどのゴム系樹脂などが挙げられる。自然にやさしい材料構成とするために、特に、天然ゴムを主成分とするラテックス、それを変性したもの、特に天然ゴムにスチレン特にメタクリル酸メチルとをグラフト重合させて得た天然ゴムラテックス等の天然素材から作製されたものを用いても良い。
粘着剤層7の塗工量は、約8〜30g/m2(固形分)が一般的であり、従来公知の方法、すなわち、グラビアコート、ロールコート、コンマコートなどの方法で、塗布し乾燥して粘着剤層7を形成する。また、粘着剤層7の粘着力は、反射性薄膜層6と粘着剤層7との剥離強度で、JIS Z0237準拠の180°による剥離方法において、0.1〜1kg程度の範囲にすることが望ましい。もちろん、それ以上の剥離強度を有していても、本発明の目的には適合している。
以上の如き粘着剤の種類や、塗工量は、反射性薄膜層6上に粘着剤層7を形成する際に、その剥離強度が前記範囲になるように、選択して使用することが好ましい。
本発明のホログラムラベルH´を、偽造防止を図る対象物の所望の位置に、その粘着剤層7が接するように貼りつけ、加圧することで、容易にその対象物に適用することができる。
(透明基材、または、接着剤層)
本発明のホログラム転写シートH´´(図3参照。)で使用される透明基材8は、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や、ホログラム転写シートH´´を製造する際の処理や加工に適した耐溶剤性および耐熱性を有するものが好ましく、さらに、ホログラム形成層1及び、「透明着色パターン層A」3との剥離性を有するもの(透明基材8を容易に剥離することができるという意味。)とする。
使用目的にもよるので、限定されるものではないが、フィルム状もしくはシート状のプラスチックが好ましい。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアリレート、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、ポリエチレン/ビニルアルコール等の各種のプラスチックフィルムを例示することができる。
透明基材8の一方の面に、シリコン処理等の表面不活性化処理を全面に施し、透明基材8の剥離強度を所望の値に抑えることも好適である。
透明基材8の厚さは、通常5〜100μmであるが、転写シートとしての取り扱い適正から12〜25μmとすることが望ましい。
もちろん、環境影響を配慮して、透明な生分解性を有するプラスチックフィルム又はシートを使用することもでき、化学合成系として、ラクトン系樹脂:εーカプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、3,5,5−トリメチルカプロラクトン、3,3,5−トリメチルカプロラクトン、βープロピオラクトン、γーブチロラクトン、δーバレロラクトン、エナントラクトンの単独重合体またはこれら2種以上のモノマーの共重合体、これらの混合物、ポリカプロラクトン、もしくは、ポリブチレンサクシネート系樹脂:ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリブチレンサクシネートとポリカプロラクトンとの混合物、ポリブチレンサクシネートとポリブチレンサクシネート・アジペートとの混合物、ポリブチレンサクシネート・アジペートとポリ乳酸との混合物、もしくは、ポリ乳酸、ポリ乳酸とD−乳酸との混合物など、もしくは、低分子量脂肪族ジカルボン酸と低分子量脂肪族ジオールより合成したポリエステル樹脂、例えばコハク酸とブタンジオール、エチレングリコールとの組み合わせや、シュウ酸とネオペンチルグリコール、ブタンジオール、エチレングリコールとの組み合わせなど、変性ポリビニルアルコールと脂肪族ポリエステル樹脂と澱粉の混合物、低分子量脂肪族ポリエステルに脂肪族イソシアネートを添加して重合させたものが好適である。
また、天然物系として、ゼラチンなどの動物性天然物質、セルロースなどの植物性天然物質など:澱粉脂肪酸エステル、澱粉キトナン・セルロースなど、微生物生産系として、ポリヒドロキシブチレートや、ポリエステル系:炭素源として3−ヒドロキシプロピオン酸、4−ヒドロキシ酪酸、γ―ブチロラクトンをベースとするP(3HB−CO―4HB)、炭素源としてプロピオン酸、吉草酸をベースとしたP(3HB−CO―3HV)などが好適である。
また、透明基材7の上に、ホログラム形成層1及び、「透明着色パターン層A」3との剥離性を有する剥離層(図示せず。)を設けてもよく、剥離層は、透明基材7とは剥離する性質を有し、ホログラム形成層1及び、「透明着色パターン層A」3との接着性に優れ、且つ、耐久性に優れるものが望ましく、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等より選定する。透明性を有し、且つ、耐久性を有するシリコン樹脂微粒子等を添加することも好適である。
そして、反射性薄膜層6の上に、接着剤層9を設ける。(図3参照。)
接着剤としては、偽造防止を図る対象物に対する接着性を確保するためのものであるので、反射性薄膜層6等との接着性がよく、被着体である対象物と強固に接着できるものが好ましい。具体的には、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ゴム変性物などが挙げられ、これらの中から適するものを適宜選択して使用でき、また、これらは単体、もしくは2種以上の混合系で、更に必要に応じてハードレジンや可塑剤、その他の添加剤を加えて使用することができ、形成厚さ、形成方法等は適宜選択する。
本発明のホログラム転写シートH´´を、その対象物に接着剤層9を接するように重ね、透明基材8側から100°〜200°の加熱と、1g/mm2〜100g/mm2の加圧により、その対象物に貼着させ、その後、透明基材8のみを剥離することにより、容易に、偽造防止を図る対象物に適用することができる。
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。なお、溶媒を除き、各層の各組成物は固形分換算の質量部である。
(実施例1)
ホログラム形成層1を構成する透明樹脂層として、50μm厚さのアクリル系樹脂(屈折率n=1.42)を押し出し成形法によりシート上に形成し、レーザ光学系を用いて撮影した意匠性の高いホログラム(回折効率20%)を備えたNi原版を用意し、上記したホログラム形成層1の一方の面に、そのNi原版のレリーフ面を合わせて、回転式レリーフホログラム形成装置(原版シリンダー径1.0m・原版面温度100℃、加圧シリンダー径0.3m水冷式、圧力2トン/m、複製速度10m/分)にてホログラムレリーフ2をホログラム形成層1の一方の面に形成した。(図1参照。)
このホログラム形成層1の他方の面に、下記組成の「透明着色パターン層A」3を、ステンレススクリーン方式を使用して、厚さ5μmの赤色の文字(ロゴ)「BR ND RAN 」を形成した。
この文字サイズは、5mm×5mmの文字とし、三つのブランクを含む10文字を繰り返えして天地左右に配置したデザイン(天地方向には2mmの隙間をあけ、左右方向には、3mmの隙間を設けた。)とした。「BR ND RAN 」の文字の画線幅は、ほぼ300μmであった。(このデザインが、「パターンa」に相当する。)
そして、乾燥条件は、緩やかなものとし、文字表面の平滑性を高めた。
・<透明着色パターン層A用組成物>
アクリル系樹脂(屈折率n=1.42) 30質量部
フタロシアニン系染料 10質量部
トルエン 30質量部
イソプロピルアルコール 2 5質量部
ブチルセルソルブ 5質量部
さらに、このホログラム形成層1のホログラムレリーフ2面上に、下記組成の「透明着色パターン層B1」4を、ステンレススクリーン方式を使用して、厚さ7μmの赤色の文字(ロゴ)「 A D」を形成した。
・<透明着色パターン層B1用組成物>
アルキッド樹脂(n=1.54) 30質量部
フタロシアニン系染料 10質量部
トルエン 30質量部
イソプロピルアルコール 2 5質量部
ブチルセルソルブ 5質量部
このとき、このロゴ「 A D」は、8つのブランクと二つの文字からなり、その「A」と「D」の位置が、ちょうど、「透明着色パターン層A」3の(ロゴ)「BR ND RAN 」の左側のブランクの位置と、右側のブランクの位置に、それぞれ合致するように配置した。「 A D」の文字の画線幅も、ほぼ300μmであった。(このデザインが、「パターンb1」に相当する。)
(図1参照。)
同様にして、ホログラム形成層1のホログラムレリーフ2面上であって、下記組成の「透明着色パターン層B2」5を、ステンレススクリーン方式を使用して、厚さ6.5μmの赤色の文字(ロゴ)「 B 」を形成した。
・<透明着色パターン層B2用組成物>
エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64) 30質量部
フタロシアニン系染料 10質量部
トルエン 30質量部
イソプロピルアルコール 2 5質量部
ブチルセルソルブ 5質量部
このとき、このロゴ「 B 」は、9つのブランクと一つの文字からなり、その「B」の位置が、ちょうど、「透明着色パターン層A」3の(ロゴ)「BR ND RAN 」の中央のブランクの位置に、合致するように配置した。「 B 」の文字の画線幅も、ほぼ300μmであった。(このデザインが、「パターンb2」に相当する。)
(図1参照。)
さらに、このホログラムレリーフ2面と、「透明着色パターン層B1」4及び「透明着色パターン層B2」5に接して、追従するように、アルバック社製真空蒸着機にて、200nm厚さのアルミニウム薄膜からなる反射性薄膜層6を形成し、実施例1のホログラムシートHとした。(図1参照。)
このホログラムシートHを、ホログラム形成層1側から、室内蛍光灯の照明下にて観察したところ、ホログラムシートHを正面から観察した際には、「BR ND RAN 」の赤い文字と、「 A D」の赤い文字、及び、「 B 」の赤い文字が、反射性薄膜層6からの反射光を背後から受け、「 A D」の赤い文字の「色」と、「 A D」の赤い文字の「色」、及び、「 B 」の赤い文字の「色」が「同一」と視認され、あたかも、それらの文字が合わさって、その「赤色一色」からなる「BRANDBRAND」という「一つのロゴ」が印刷されているように認識された(「パターンa」と「パターンb1」、及び、「パターンb2」とが同色であるため、一体となって、「パターンC」である「BRANDBRAND」と視認されることを意味する。)。
そして、このホログラムシートHを観察する角度を、そのホログラムが再生する方向として観察すると、「透明着色パターン層A」3の文字である「BR ND RAN 」の文字が明るく見えて「色」が変化し、且つ、「透明着色パターン層B2」5の文字である「 B 」の赤い文字も少し明るさを帯び、「色」が変化したことを視認できたが、「透明着色パターン層B1」4の文字である「 A D」の文字の「色」はほとんど変化が無かったことにより、容易に、その真正性を判定することができた。
(実施例2)
ホログラム形成層1を構成する透明樹脂層として、アクリル系樹脂(n=1.42、ヘーズ2%)を用い、「透明着色パターン層A」3、「透明着色パターン層B1」4、及び、「透明着色パターン層B2」5に、それぞれ下記組成のインキを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2のホログラムシートHとした。(図1参照。)
・<透明着色パターン層A用組成物>
アクリル系樹脂(n=1.42、ヘーズ2%) 30質量部
レイキッドC微粒子有機顔料 1質量部
トルエン 30質量部
イソプロピルアルコール 3 4質量部
ブチルセルソルブ 5質量部
・<透明着色パターン層B1用組成物>
アルキッド樹脂(n=1.54) 30質量部
レイキッドC微粒子有機顔料 1質量部
トルエン 30質量部
イソプロピルアルコール 3 4質量部
ブチルセルソルブ 5質量部
・<透明着色パターン層B2用組成物>
エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64) 30質量部
レイキッドC微粒子有機顔料 1質量部
トルエン 30質量部
イソプロピルアルコール 3 4質量部
ブチルセルソルブ 5質量部
このホログラムシートHを、実施例1と同様に評価したところ、「透明着色パターン層A」3の「色」(青色)の変化が、より明確に視認されたこと以外は、実施例1と同様の良好な評価結果を得た。
(実施例3)
ホログラム形成層1を構成する透明樹脂層として、アクリル酸エステル樹脂(屈折率n=1.47)を用い、「透明着色パターン層A」3と「透明着色パターン層B1」4、及び、「透明着色パターン層B2」5に、それぞれ下記組成のインキを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3のホログラムシートHとした。(図1参照。)
・<透明着色パターン層A及び透明着色パターン層B1用組成物>
アクリル酸エステル樹脂(屈折率n=1.47) 30質量部
フタロシアニン系染料 10質量部
トルエン 30質量部
イソプロピルアルコール 2 5質量部
ブチルセルソルブ 5質量部
・<透明着色パターン層B2用組成物>
エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64) 30質量部
フタロシアニン系染料 10質量部
トルエン 30質量部
イソプロピルアルコール 2 5質量部
ブチルセルソルブ 5質量部
このホログラムシートHを、実施例1と同様に評価したところ、「透明着色パターン層B1」4の領域におけるホログラムレリーフ2の消失効果がより強く感じられたこと(観察角度を変えても、その「色」が変化しないことを意味する。)以外は、実施例1と同様の良好な評価結果を得た。
(実施例4)
実施例3の「透明着色パターン層A及び透明着色パターン層B1用組成物」、さらには、「透明着色パターン層B2用組成物」として、それぞれ下記組成物を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、実施例4のホログラムシートHを得た。(図1参照。)
・<透明着色パターン層A及び透明着色パターン層B1用組成物>
アクリルアミド樹脂(n=1.50) 30質量部
フタロシアニン系染料 10質量部
トルエン 30質量部
イソプロピルアルコール 2 5質量部
ブチルセルソルブ 5質量部
・<透明着色パターン層B2用組成物>
表面シリカ被覆TiO2ナノ粒子分散含硫黄ポリイミド(n=1.80) 30質量部
フタロシアニン系染料 10質量部
トルエン 30質量部
イソプロピルアルコール 2 5質量部
ブチルセルソルブ 5質量部
このホログラムシートHを、実施例3と同様に評価したところ、ホログラムシートHを観察する角度を、そのホログラムが再生する方向として観察した際の「透明着色パターン層B1」4の領域と、「透明着色パターン層B2」5の領域の差がより明確となったこと以外は、実施例3と同様の良好な評価結果を得た。
(実施例5)
実施例1の反射性薄膜層6の上に、下記組成の粘着剤層7を30μm厚さで形成し、実施例5のホログラムラベルH´を得た。(図2参照。)
・<粘着剤組成物>
酢酸ビニル−アクリル共重合体 30質量部
トルエン 40質量部
酢酸ビニル 40質量部
このホログラムラベルH´の粘着剤層7を、偽造防止性を付与する対象物の表面に置き、圧力をかけたところ、ホログラムラベルH´が、その対象物表面に容易に貼着し、ホログラム形成層1側から、室内蛍光灯下にて観察したところ、実施例1と同様の良好な評価結果を得た。
(実施例6)
透明基材8として、25μmポリエチレンテレフタレートを用い、その一方の面に、実施例1の「透明着色パターン層A」3を同様の方法を用いて形成し、その一方の面と、「透明着色パターン層A」3の表面を覆うように、下記組成の組成物を、グラビアコーティング方式を用いて、10μmの厚さで形成し、ホログラム形成層1としたこと以外は、実施例1と同様に処理し、さらに、
・<ホログラム形成層用組成物>
メラミン樹脂 30質量部
トルエン 40質量部
イソプロピルアルコール 1 0質量部
酢酸エチル 20重量部
反射性薄膜層6の上に、下記組成の接着剤層9をグラビアコーティング方式を用いて、10μmの厚さで形成し、実施例6のホログラム転写シートH´´を得た。(図3参照。)
・<接着剤組成物>
酢酸ビニル−アクリル共重合体 30質量部
トルエン 40質量部
酢酸ビニル 40質量部
このホログラム転写シートH´´の接着剤層9面を、偽造防止性を付与する対象物の表面に接するように置き、透明基材7側から、120°、10g/mm2にて加熱、加圧した後、その透明基材7を剥離し、その対象物上に、ホログラム部分(ホログラム転写シートH´´の構成から、透明基材7を剥離した部分。)を転写した。
そのホログラム部分は、もはや、その対象物から剥がすことができず、高い偽造防止性を有すると思われたこと以外は、実施例1と同様の良好な評価を得た。
(実施例7)
実施例6において、反射性薄膜層6を、アルバック社製電子線加熱方式真空蒸着機を用いて、TiOx薄膜層40nmを形成したこと以外は、同様にして、実施例7のホログラム転写シートH´´を得た。(図3参照。)
このホログラム転写シートH´´を実施例6と同様にして、偽造防止性を付与する対象物のデザインの上に転写したところ、ホログラム部分を通して、、ホログラム転写シートH´´のホログラム再生像、及び、「透明着色パターン層A」3、「透明着色パターン層B1」4、及び「透明着色パターン層B2」5の「ロゴ」の背後に、そのデザインを視認することができ、意匠性が向上するとともに、さらに偽造防止性が高いものとなったこと以外は、実施例6と同様に良好な評価結果を得た。
(比較例)
(比較例1)
「透明着色パターン層A」3、「透明着色パターン層B1」4、及び「透明着色パターン層B2」5を設けず、「透明着色パターン層A」3と同様の組成物を用いて、「BRANDBRAND」の「ロゴ」を一様に形成したこと以外は、実施例1と同様にし、比較例1のホログラムシートを得た。
このホログラムシートを実施例1と同様に評価したところ、形成した「BRAND」の「ロゴ」は、いずれの文字も同様に視認されるものであり、「BRANDBRAND」の「ロゴ」をホログラムシートの上に単に印刷形成するだけで、同様のものが容易に作成でき、偽造防止性に劣るものであると思われた。
H ホログラムシート
H´ ホログラムラベル
H´´ ホログラム転写シート
1 ホログラム形成層
2 ホログラムレリーフ
3 透明着色パターン層A
4 透明着色パターン層B1
5 透明着色パターン層B2
6 反射性薄膜層
7 粘着剤層
8 透明基材
9 接着剤層

Claims (1)

  1. 透明樹脂層の一方の面にホログラムレリーフが設けられたホログラム形成層、前記透明樹脂層の他方の面に形成された透明着色パターン層A、前記ホログラムレリーフを埋めるように形成された透明着色パターン層B1、前記ホログラムレリーフを埋めるように形成された透明着色パターン層B2、及び、前記ホログラムレリーフ、前記透明着色パターン層B1、または、前記透明着色パターン層B2に追従するように接して設けられた反射性薄膜層とからなるホログラムシートであって、
    前記ホログラムシートを前記透明樹脂層側から観察した際に、前記透明着色パターン層A、前記透明着色パターン層B1、及び、前記透明着色パターン層B2が、同一の色を呈し、前記色で形成された一つのパターンCとして視認されるよう、透明着色パターン層B1および透明着色パターン層B2の光透過性を、透明着色パターン層Aの光透過性より低く、且つ、前記透明着色パターン層B1の屈折率と前記透明着色パターン層B2の屈折率とが互いに異なることを特徴とするホログラムシート。
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