JP5476781B2 - 真正性識別用転写シート - Google Patents

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本発明は、不正な意図に基づく偽造や改ざん等により得られたものと真正なものとの区別を可能にした真正性識別用転写シートに関するものである
(主なる用途)本発明の真正性識別体の主なる用途としては、偽造防止分野に使用される真正性識別体であって、具体的には、クレジットカード等の偽造されて使用されると、カード保持者やカード会社等に損害を与え得るもの、運転免許証、社員証、会員証等の身分証明書、入学試験用の受験票、パスポート等、紙幣、商品券、ポイントカード、株券、証券、抽選券、馬券、預金通帳、乗車券、通行券、航空券、種々の催事の入場券、遊戯券、交通機関や公衆電話用のプリペイドカード等がある。
これらはいずれも、経済的、もしくは社会的な価値を有する情報を保持した情報記録体であり、偽造による損害を防止する目的で、記録体そのものの真正性を識別できる機能を有することが望まれる。
また、これら情報記録体以外であっても、高額商品、例えば、高級腕時計、高級皮革製品、貴金属製品、もしくは宝飾品等の、しばしば、高級ブランド品と言われるもの、または、それら高額商品の収納箱やケース等も偽造され得るものである。また、量産品でも有名ブランドのもの、例えば、オーディオ製品、電化製品等、または、それらに吊り下げられるタグも、偽造の対象となりやすい。
さらに、著作物である音楽ソフト、映像ソフト、コンピュータソフト、もしくはゲームソフト等が記録された記憶体、またはそれらのケース等も、やはり偽造の対象となり得る。また、プリンター用のトナー、用紙など、交換する備品を純正材料に限定している製品などにも、偽造による損害を防止する目的で、そのものの真正性を識別できる機能を有することが望まれる。
(背景技術)
従来、情報記録体や上記した種々の物品(総称して、真正性識別対象物と言う。)の偽造を防止する目的で、その構造の精密さから、製造上の困難性を有すると言われるホログラムを真正性の識別可能なものとして適用することが多く行なわれている。しかしながら、ホログラムの製造方法自体は知られており、その方法により精密な加工を施すことができることから、ホログラムが単に目視による判定だけのものであるときは、真正なホログラムと偽造されたホログラムとの区別は困難である。
これらの真正性識別対象物、特にラベル形態や転写形態にてホログラム画像を施された物品は、ホログラム画像の目視確認という真正性識別のみでなく、新たな真正性識別方法を用いてその対象物の真正性を識別する必要が生じている。
(先行技術)
これらの要求に応えるため、入射した光の内、左回り偏光もしくは、右回り偏光のいずれか一方の光のみを反射する光選択反射層を有する真正性識別体、さらには、その光選択反射層とホログラムを積層した真正性識別体がが提案された。この光選択反射層として、コレステリック液晶を使用し、偏光版等を用いて確認する方法で偽造防止性を高めている。
(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)
しかしながら、ホログラムによる偽造防止性と、コレステリック液晶による真正性判定を積層して、色彩変化とホログラム画像の再生という視覚効果が得られたとしても、その真正性判定には、偏光板からなる特別な真正性判定器具が必要であり、判定を行う場面ではその器具を備え付け、その場面で取り出して使用する等、判定作業が煩雑であるという欠点を有する。
特開2000−25373号公報 特開2007−90538号公報
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。その目的は、真正性判定に特別な真正性判定器具等を必要とせず、目視にて容易に精度よく真正性の識別が可能である真正性識別体を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明の真正性識別用転写シートの第1の態様は、少なくともコレステリック液晶層、ホログラム形成層及び着色層を含む真正性識別体(真正性識別媒体とも呼ぶ)からなる真正性識別用転写シートであって、
透明基材の一方の面に、剥離層、コレステリック液晶層、反射性薄膜層、ホログラム形成層、着色層、および接着層がこの順序で積層されてなり、
前記コレステリック液晶層が観察する角度に応じて色調が変化し、且つ、前記着色層が、異なる色調を有する、接していない複数の領域を有し、前記色調のそれぞれは、その分光特性が、それぞれ異なる所定の観察角度におけるコレステリック液晶層から反射される光の分光特性と同一であり、観察する角度に応じて、前記コレステリック液晶層の色調が変化する際に前記観察角度において視認可能な領域によって形成される形状パターン2パターン以上有することを特徴とする。
コレステリック液晶層は、観察する角度により、「赤色」から、「緑色」さらには「青色」へとその色調を変化させる。(選択的反射光が変化するという意味。)この変化は分光特性が連続的に変化するという意味で「連続」であって、且つ、観察角度を徐々にかえると、それに従って、徐々に変わる。
このコレステリック液晶層上に、部分的に着色層を設けた際、その着色層の分光特性がコレステリック液晶層から反射される光と同一(反射光の波長分布及びその強度であらわされる反射光の分光特性が同一という意味。)であると、その「着色層が表示するパターン」の「その境界」(着色層形成部分の端部)を目視では認識できず、一つの色調を有するコレステリック液晶層のみがあるものと認識する。
この「表示するパターン(表示パターンともいう。)」とは、着色層がその「形成された形」で表現している文字、図形、記号等を意味する。
前記した観察角度を少し「ずらす」と、コレステリック液晶層の反射光の分光特性が変化し(別の色調となる。)、この着色層の分光特性とは異なるものとなることから、着色層とコレステリック液晶との間に色差等のコントラストが生じ、目視にて容易にその着色層の「表示するパターン」を認識することができるようになる。
例えば、コレステリック液晶層の色調が「赤色」であると、その「赤色」と同等の色調を有する「赤色の着色層」は、上記した現象を示す。
逆に、コレステリック液晶層の「赤色」に対して、対照的な色調(補色等)である「緑色」及び「青色」乃至は、その混合色(「青緑色」。補色となる。)によって着色層を形成すると、目視にて明瞭にその着色層の表示するパターンを認識することができる。
すなわち、コレステリック液晶層の選択的反射光が「赤色」を呈しているときに、「緑色」及び「青色」の着色パターンにより、「一つの文字、図形等の表示(第1表示パターン)」を形成し、そして、コレステリック液晶の選択的反射光が「緑色」を呈しているときに、「赤色」及び「青色」の着色パターンにより、「別の文字、図形等の表示(第2表示パターン)」を形成し、さらに、コレステリック液晶層の選択的反射光が「青色」を呈しているときに、「赤色」及び「緑色」の着色パターンにより、「の文字、図形等の表示(第3表示パターン)」を形成すると、観察角度を徐々に変えていくに連れて、(第1表示パターン)、(第2表示パターン)、(第3表示パターン)へとその表示が切り替わる。すなわち、各表示パターンは、「緑と青で組み合わされたパターン」、「赤と青で組み合わされたパターン」及び「赤と緑で組み合わされたパターン」となるが、それぞれの「緑」、「青」及び「赤」のパターンは共通であって、そのうちの2つで構成される3通りの組み合わせによって、異なる3つのパターンを表示する。
この切り替わりは、各着色層の上記した分光特性が、その下にあるコレステリック液晶層の選択的反射光の分光特性と一致したときにのみ発生するため(すなわち、1色部分の境界線が完全に消失したときのみ。)、観察角度でみると非常に狭い範囲(観察角度にして10度以内)となる。
それ以外の観察角度では、第1表示から第3表示までが混在した表示となり、個別の表示を認識することは困難である。
真正性判別を実施するためには、少なくとも2つの所定の観察角度で、2つの所定の表示パターンが出現する必要がある。もちろん、上記したように3つの所定の観察角度で、3つの所定の表示パターンを出現させてもよい。
切り替え表示パターンが3以上となると、各表示パターンを併せたもの(表示パターン全体)が複雑なものとなり、個々の切り替えパターン(3つの表示パターンの場合、その一つは「(緑色)+(青色)」や、「(赤色)+(青色)」でそれぞれ異なる一つの表示パターンを形成する等。)をその複雑なものの中から類推することが難しくなる。ただし、表示パターンが6つを超えると、表示パターンと表示パターンの角度差が10度程度となるため、コントラストが小さく、メリハリがなくなるとともに、判定をする者が、目視判定の情報として覚えておくべき情報が多くなりすぎる等の不便が生じる。
また、偽造防止性を高めるため、切り替え画面を、「垂直方向(0度)」と、「20度」方向に一つずつ設定し、さらに、角度として間を空けて「80度」の位置に3つ目を設定するなど、意外性を導入することも、偽造防止という観点からは望ましい。その場合、この大きく開いている角度(方向)に、ホログラム再生画像を結像させることも好適である。
これらの表示を明瞭に、且つ、確実に確認する必要があるため、各着色層の分光特性に「近い」選択反射性を有するコレステリック液晶を複数層重ねて形成することも好適である。すなわち、所定の観察角度に対する選択的反射光が、「波長」として10nm〜50nm程度ずれているコレステリック液晶層を積層すると、積層体の選択的反射光の分光特性曲線の幅を広げることができ、同一色調を示す観察角度範囲を広げることができるため、安定した真正性判定を可能とできる。
ある選択的反射光を反射するコレステリック液晶層は、特定の波長の光を強く反射し、その波長より数十nm以上ずれた波長の光は透過するため、そのコレステリック液晶層の下に、選択的反射光波長が数十nmずらした第2のコレステリック液晶層を形成すると、この層から、新たに(上の層を透過して)、そのずれた波長の反射光を選択的に反射することとなり、2層積層体として観察すると、あたかも、選択的反射光の分光特性が合算されたように、すなわち、反射光強度―波長曲線において、その反射する波長の幅が広がったように認識される。このような原理から、コレステリック液晶層の選択的反射層の波長を少しずつ(例えば20nm。)ずらした層を多層(例えば5層。)として、その幅を100nm以上としても、その最下層の選択的反射光の強度は減衰することなく観察することができる。
さらに、これらの各表示の「表示パターン」と関連するホログラム画像をホログラム形成層に記録することにより、これらの各表示の「表示パターン」とホログラム画像との比較により、目視にて容易に偽造防止性の高い真正性判定をすることができる。
ホログラム画像は、観察光がコレステリック液晶層を透過した光(選択的反射光の補色光。)により再生されると同時に、観察光の入射する光に対して所定の角度(所定の方向)、所定の距離に結像するため、その所定の方向にて観察される「表示パターン」にのみ関連する画像とすることは、偽造防止性を高める上でより好適である。例えば、同一の文字、図形等を記録しておく等が、好適である。
ホログラムは高い冗長性を有するため、ホログラム形成層状に、その再生の障害となる着色層が広い面積を占めていても、そのホログラムの画像再生にはそれほど支障はないが、着色層を網点状や、市松模様とし、その間からホログラムを露出させることでより鮮明なホログラム画像を得ることができる。
もちろん、コレステリック液晶層もそれ自体が文字、図形や記号等を表すパターン状に形成されていてもよく、そのパターンと、上記した各表示パターンや、ホログラム画像とが関連するものであってもよい。
着色層には、天然無機顔料:アンバー、シェンナ等の褐色顔料、炭酸カルシウム、カオリン、パール顔料等)等、合成無機顔料:白色顔料(亜鉛華、鉛白、二酸化チタン)、赤色顔料(鉛丹、酸化鉄赤)、黄色顔料(黄鉛、クロム黄、亜鉛黄)、青色顔料(ウルトラマリン青、プロシア青)等、セラミック顔料又は、アゾ系顔料、多環式系顔料:キナンクリドン、ペリノン、キノフタロン、フタロシアニン、インダンスレン、キナクリドン等、レーキ顔料:レーキレッドC、ウオチュングレッド等、さらには、天然染料:アカネ、アイ、ウコン等、合成染料:アリザニン、インディゴ等が用いられる。この着色層の濃度は、コレステリック液晶層からの反射光の強度に応じて均一になるよう調整することが好ましい。
パール顔料等の色彩可変性を有する顔料は、着色層の反射光の分光特性に変化を与える効果(反射光波長に幅を持たせることができる等。)があり、画面の切り替え性能を調整することに好適である。
着色パターン層の形成方法は、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷等、形成パターンに適宜な方式を用いることができる。
但し、数十μmから数mmまでの網点状等の微細なパターンを形成するためには、印刷位置精度が高く、印刷パターンのにじみ等がすくないステンレススクリーン印刷方式が望ましい。形成する厚さは、着色インキの顔料含有率等にも左右されるが、選択的反射光との同調性において決めることが好適である。
「表示パターン」が切り替わる状況を3つの表示パターンの場合について説明すると、コレステリック液晶層をCL、赤色着色層を「赤」、緑色着色層を「緑」、青色着色層を「青」と表したときに、各色の着色層を「バー状」に飛び飛びに並べ、観察する側から「CL/赤/CL/緑/CL/青/CL/赤/CL」と認識できるとき、CLの色調が変化するとそれぞれの色を呈する「広いバー」(広赤、広青等。)もしくは「狭いバー」(狭赤、狭青等。)として、目視にて認識される。
(1)CLが赤色のときは、
「/ / 赤/ / 緑/ / 青/ / 赤/ /」
すなわち、
「/ 広赤 /狭緑/狭赤/狭青/ 広赤 /」
(2)CLが緑色のときは、
「/ / 赤/ / 緑/ / 青/ / 赤/ 緑/
すなわち、
「/狭緑/狭赤/ 広緑 /狭青/狭緑/狭赤/狭緑/」
(3)CLが青色のときは、
「/ / 赤/ / 緑/ / 青/ / 赤/ 青/
すなわち、
「/狭青/狭赤/狭青/狭緑/ 広青 /狭赤/狭青/」
となる。これらが、いわゆるバーコードパターンであった場合には、観察角度により読み取れるデータが異なるものとなる。もちろん2次元バーコード等他のあらゆる光学的認識方法に使用できる。
ホログラム形成層は、透明性の高いものが使用される。ホログラム形成層がホログラムレリーフである場合には、ホログラム効果を高めるための反射性薄膜として、透明反射性薄膜を設けることが好適である。この場合は、透明反射性薄膜の分光特性を、コレステリック液晶層の選択的反射光の分光特性に重ね、これに対応した着色層を形成する必要がある。
本発明の真正性識別用転写シートの第の態様は、層構成としては、透明基材/剥離層/着色層/ホログラム形成層/反射性薄膜層/コレステリック液晶層/接着層として、剥離層及び、接着層を設けることにより、転写シート形態とすることができる。
剥離層、接着層には、通常の転写シートに使用される剥離剤、接着剤が使用できるが、各層を透過して表示パターンを観察する場合には、光学的な透明性の高いものを使用することが好適である。
真正性識別体をラベル形態や転写シート形態とすることで、真正性識別対象物への適用が容易となる。
なお、上記層構成は、透明基材/剥離層/ホログラム形成層/反射性薄膜層/着色層/コレステリック液晶層/接着層であってもよい。
本発明の真正性識別用転写シートによれば、コレステリック液晶層とホログラム形成層の単純な積層体よりも偽造防止性に優れ、意匠性も向上し、目視による真正性の識別が容易であるとともに、真正性識別対象物への適用が容易となる
本発明にかかる1実施例を示す真正性識別体A1の断面図である。 本発明にかかる他の実施例を示す真正性識別体A2の断面図である。 本発明にかかる他の実施例(ラベル形態)を示す真正性識別体A3の断面図である。 本発明の実施例(転写シート形態)を示す真正性識別体A4の断面図である。
(透明基材)
本発明で使用される透明基材1は、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や、真正性識別体A1からA4を製造する際の加工に耐える耐溶剤性および耐熱性を有するものが好ましい。使用目的にもよるので、限定されるものではないが、フィルム状もしくはシート状のプラスチックが好ましい。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアリレート、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、ポリエチレン/ビニルアルコール等の各種のプラスチックフィルムを例示することができる。
透明基材1の厚さは、通常5〜250μmであるが、ラベル形態、転写シート形態とするする場合には、その加工適正等を配慮し、5〜100μm、特に10〜50μmとすることが望ましい。
(ホログラム形成層)
本発明のホログラム形成層3を構成するための透明な樹脂材料としては、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としてはアクリル酸エステル樹脂、アクリルアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、もしくはポリスチレン樹脂等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、もしくはフェノール樹脂等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、1種もしくは2種以上を使用することができる。これらの樹脂の1種もしくは2種以上は、各種イソシアネート樹脂を用いて架橋させてもよいし、あるいは、各種の硬化触媒、例えば、ナフテン酸コバルト、もしくはナフテン酸亜鉛等の金属石鹸を配合するか、または、熱もしくは紫外線で重合を開始させるためのベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、ナフトキノン、アゾビスイソブチロニトリル、もしくはジフェニルスルフィド等を配合しても良い。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル変性ポリエステル等を挙げることができ、このような電離放射線硬化性樹脂に架橋構造を導入するか、もしくは粘度を調整する目的で、単官能モノマーもしくは多官能モノマー、またはオリゴマー等を配合して用いてもよい。
上記の樹脂材料を用いてホログラム形成層3を形成するには、感光性樹脂材料にホログラムの干渉露光を行なって現像することによって直接的に形成することもできるが、予め作成したレリーフホログラムもしくはその複製物、またはそれらのメッキ型等を複製用型として用い、その型面を上記の樹脂材料の層に押し付けることにより、賦型を行なうのがよい。
熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、型面に未硬化の樹脂を密着させたまま、加熱もしくは電離放射線照射により、硬化を行わせ、硬化後に剥離することによって、硬化した透明な樹脂材料からなる層の片面にレリーフホログラムの微細凹凸を形成することができる。なお、同様な方法によりパターン状に形成して模様状とした回折格子を有する回折格子形成層も光回折構造として使用できる。
ホログラムは物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を凹凸のレリーフ形状で記録されたもので、例えば、フレネルホログラムなどのレーザ再生ホログラム、及びレインボーホログラムなどの白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子などがある。また、マシンリーダブルホログラムのように、その再生光を受光部でデータに変換し所定の情報として伝達したり、真偽判定を行うものであってもよい。
微細な凹凸を精密に作成するため、光学的な方法だけでなく、電子線描画装置を用いて、精密に設計されたレリーフ構造を作り出し、より精密で複雑な再生光を作り出すものであってもよい。このレリーフ形状は、ホログラムを再現もしくは再生する光もしくは光源の波長(域)と、再現もしくは再生する方向、及び強度によってその凹凸のピッチや、深さ、もしくは特定の周期的形状が設計される。凹凸のピッチ(周期)は再現もしくは再生角度に依存するが、通常0.1μm〜数μmであり、凹凸の深さは、再現もしくは再生強度に大きな影響を与える要素であるが、通常0.1μm〜1μmである。
単一回折格子のように、全く同一形状の凹凸の繰り返しであるものは、隣り合う凹凸が同じ形状であればある程、反射する光の干渉度合いが増しその強度が強くなり、最大値へと収束する。回折方向のぶれも最小となる。立体像のように、画像の個々の点が焦点に収束するものは、その焦点への収束精度が向上し、再現もしくは再生画像が鮮明となる。
さらに、透明金属化合物薄膜の場合は、その薄膜の上下の面が、同一レリーフ形状であり且つ、その面と面の距離(すなわち膜厚さ)が均一であればあるほど、再現もしくは再生強度が大きくなる。
ホログラムレリーフ形状を賦形(複製ともいう)する方法は、回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された原版をプレス型(スタンパという)として用い、上記透明基材1及び反射性薄膜層5上に、前記原版を重ねて加熱ロールなどの適宜手段により、両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸模様を複製することができる。形成するホログラムパターンは単独でも、複数でもよい。
上記の極微細な形状を精密に再現するため、また、複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小とするため、原版は金属を使用し、低温・高圧下で複製を行う。
原版は、Niなどの硬度の高い金属を用いる。光学的撮影もしくは、電子線描画などにより形成したガラスマスターなどの表面にCr、Ni薄膜層を真空蒸着法、スパッタリングなどにより5〜50nm形成後、Niなどを電着法(電気めっき、無電解めっき、さらには複合めっきなど)により50〜1000μm形成した後、金属を剥離することで作ることができる。
複製方式は、平板式もしくは、回転式を用い、線圧0.1トン/m〜10トン/m、複製温度は、通常60℃〜200℃とする。
(反射性薄膜層)
本発明では、ホログラム形成層3のホログラムレリーフ4のレリーフ面に、追従するように反射性薄膜層5を形成する。この反射性薄膜層5は、入射した光を反射する必要があるため、ホログラム形成層3よりも高い屈折率を有する薄膜層であれば、特に限定されない。
反射性薄膜層5としては、観察する側を考慮して、真空薄膜法などにより形成される金属薄膜などの金属光沢反射層、又は透明反射層のいずれかを選択するが、金属光沢反射層を部分的に設けたり、透明反射層を設けた場合は、その透明反射層を通して真正性識別対象物のデザイン等を確認できるので好ましい。
透明反射層としては、ほぼ無色透明な色相で、その光学的な屈折率がホログラム形成層2のそれとは異なることにより、金属光沢が無いにもかかわらず、ホログラムなどの光輝性を視認できることから、透明なホログラムを作製することができる。例えば、ホログラム形成層3よりも光屈折率の高い薄膜、例として、ZnS、TiO2、Al23、Sb23、SiO、SnO2、ITOなどがある。
好ましくは、金属酸化物又は窒化物であり、具体的には、Be、Mg、Ca、Cr、Mn、Cu、Ag、Al、Sn、In、Te、Ti、Fe、Co、Zn、Ge、Pb、Cd、Bi、Se、Ga、Rb、Sb、Pb、Ni、Sr、Ba、La、Ce、Auなどの酸化物又は窒化物他はそれらを2種以上を混合したものなどが例示できる。またアルミニウムなどの一般的な光反射性の金属薄膜も、厚みが20nm以下になると、透明性が出てきて透明反射層として使用できる。
透明金属化合物の形成は、金属の薄膜と同様、ホログラム形成層2のホログラムレリーフ面に、10〜2000nm程度、好ましくは20〜1000nmの厚さになるよう、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD(化学蒸着法)などの真空薄膜法などにより設ければよい。
(コレステリック液晶)
本発明に用いられるコレステリック液晶層2は、光選択反射性を有するものであればよく、さらに、観察側からの入射光に対して左円偏光もしくは右円偏光のいずれか一方を反射する光選択反射性を有するものであってもよい。また、これらのものを組み合わせて適用して、判定方法を複雑なものとし、より高度な真正性識別体とすることもできる。
コレステリック液晶としては、コレステロールのハロゲン化物、モノカルボン酸コレステロールエステル、モノカルボン酸シトステロールエステル、安息香酸誘導体のコレスタノールエステル、二塩基酸ジコレステリルエステル、主鎖型液晶高分子化合物、側鎖型液晶高分子化合物、剛直主鎖型液晶高分子化合物などが挙げられる。
より具体的には、例えばコレステリルクロライド、コレステリルアセテート、コレステリルノナノエート、炭酸メチルコレステロール、炭酸エチルコレステロール、コレステリルp−メトキシベンゾエート、シトステロイルベンゾエート、シトステロイルp−メチルベンゾエート、コレスタニルベンゾエート、10、12−ドコサジインジカルボン酸ジコレステリルエステル、8、12−エイコサジカルボン酸ジコレステリルエステル、10、12−ペンタコサジインジカルボン酸ジコレステリルエステル、ドデカジカルボン酸ジコレステリルエステル、12、14−ヘキサコサジインジカルボン酸ジコレステリルエステル、4−(7−コレステリルオキシカルボニルヘプチルオキシ)フェノキシオクタン酸コレステリルエステル、L−グルタミン酸−γ−ベンジル/L−グルタミン酸−γ−ドデシル共重合体などがある。
さらに、コレステリルホルメート、コレステリルアセテート、コレステリルプロピオネート、コレステリルブチレート、コレステリルペンタネート、コレステリルヘキサネート、コレステリルヘプタネート、コレステリルオクタネート、コレステリルノナノエート、コレステリルデカネート、コレステリルドデカネート(コレステリルラウレート)、コレステリルミリステート、コレステリルパルミテート、コレステリルステアレート、コレステリルオレエート、コレステリルオレイルカーボネート、コレステリルリノレート、コレステリル12−ヒドロキシステアレート、コレステリルメルカプタン、コレステロールクロライド、コレステリルフルオライド、コレステリルブロマイド、コレステリルアイオダイド等を挙げることができる。
好ましくは、アルキルコレステロール(例えばコレステロールナノエート)およびコレステリルハライド(例えばコレステロールクロライド)コレステリルオレイルカーボネート3種の混合物が挙げられ、これらの3つのタイプの液晶は常温で使用できるように混合して用いられるのが一般的である。
尚、ここに示す化合物に限定されるものではなく、またこれらのコレステリック液晶化合物は、1種または2種以上混合して用いることができる。
ネマチック液晶化合物にカイラル化合物を加えてコレステリック液晶とするものとしては、液晶化合物として、4−置換安息香酸4’−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4’−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4’−置換ビフェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキサンカルボニルオキシ)安息香酸4’−置換フェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4’−置換フェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4’−置換シクロヘキシルエステル、4−置換4’−置換ビフェニル、4−置換フェニル4’−置換シクロヘキサン、4’−置換シクロヘキサン、2−(4−置換フェニル)−5−置換ピリジン等、例えば、「パリオカラーLC242」(BASF社製)等が用いられる。
特に好ましくは、少なくとも分子の一方の末端にシアノ基又はフッ素原子を有する液晶化合物を用い、これらの液晶化合物にそれぞれ好適な各種のカイラル剤を加えたものが用いられる。カイラル化合物としては、「CB−15」、「C−15」(以上、BDH社製)、「CM−21」、「CM−22」、「CM−19」、「CM−20」、「CM」(以上、チッソ社製)、「S1082」、「S−811」、「R−811」(以上、メルク社製)、「パリオカラーLC756」(BASF社製)等を挙げることができる。
また、有機合成によって得られるネマチック液晶の末端基に不斉炭素を有する基を導入したコレステロール基を持たないコレステリック液晶や、コレステロール誘導体にシッフ系ネマチック液晶を加えた混合液晶も用いられる。さらには、天然コレステロールのハロゲン置換物、エステル化物(コレステリルベンゾエート、コレステリルクロライド、コレステリルオリエート、コレステリルノナノエート等も好適である。
これらのコレステリック液晶を設ける方法としては、溶剤系、水系、無溶剤系として、通常の印刷方式、コーティング方式を用いて形成することができる。より好ましくは、着色パターン層形成方法と同一の手段を用いることにより、その形成位置の同調性を高めることができる。同一パターンを形成する場合は、製版方式も同一とすることができる。特に着色パターン層を透明基材/剥離層上に設けた後は、この位置等をタイミングマーク(印刷位置決め用の目印)として、液晶層の形成やホログラムレリーフ複製をすることもできる。
また液晶をゼラチン他樹脂膜等でカプセル化したインキを用いて形成してもよい。カプセル化したものは、その製造時の作業性だけでなく、物理特性(強靭性、耐摩耗性、耐熱性等)に優れるとともに、液晶の染み出し等の不具合を防止し、本発明の用途において要求される衛生面で特に好適である。
コレステリック液晶層4の形状、厚さは、真正性識別体の使用目的に応じて適宜最適なものとする必要があるが、目視できる通常の大きさ、形状のものから、バーコード等の機械読取に用いるもの、さらには、マイクロ文字のように隠し文字として数十μmとすることもできるため、選択的反射性を維持した上で、個々に対応した厚さ、すなわち数μm〜50μmのうち、最適なものとする。
上記コレステリック液晶層4を設ける際、予め以下の配向膜を設ける等の配向処理を施しても良い。配向膜は、ポリビニルアルコール樹脂(PVA)、ポリイミド樹脂等の一般に配向膜として使用し得るものであれば、いずれでもよい。配向膜は、これらの樹脂の溶剤溶液を、コレステリック液晶層4を形成する層の表面に適宜な塗布法により塗布し、乾燥させた後に、布、ブラシ等を用いて摩擦するラビングを行なって形成する。
コレステリック液晶層2は、観察する角度により、その色調が変化するが、その変化の状況は理論的に定まっているため、本発明の着色層6と同一となる観察角度はかなり狭いものとなる。
観察角度に対して、同一である範囲を拡大するためには、以下の二通りの方法がある。
一つは、コレステリック液晶層の分光特性を変化させる方法であり、選択的反射光のピーク値が少しずれたコレステリック液晶層を重ね合わせて、観察角度を変えたときに最上層、その次の層、さらにその次の層が、着色層6と同一の色調を呈するように設計することにより、コレステリック液晶層からの反射光がそのピーク値を維持するようにすることができる。
これは、前記ピーク値において、10nm〜50nm程度ずれているコレステリック液晶層を積層することにより実現できる。具体的には、観察角度0度で、反射光630nmの赤色を呈しているコレステリック液晶層10μmに、同一観察角度で反射光650nm、同670nmのコレステリック液晶層各10μmを積層する。
この積層体を観察角度0度で観察すると、600nm〜690nmの赤色の反射光が観察され、この観察角度を10度ずらしても、着色層6の色調をまだ維持しており、第1表示パターンを表示し続ける。
他の色調においても同様の工夫をすることができ、表示パターンを確実に認識することができる。
他のもう一つの方法は、着色層6の分光特性を変化させる方法であり、着色層6に使用する顔料を前記ピーク波長に近い複数の顔料で構成するか、パール顔料のように反射角度により色調を変化させる顔料を添加して、コレステリック液晶層の色調変化に追従させる方法がある。
いずれにしても、各表示パターンを認識できる角度範囲を広げるためには、コレステリック液晶層2から観察される反射光波長(ホログラム形成層3及び、反射性薄膜層5を透過する場合はその影響を含めて。)と、着色層6からの反射光が同一である範囲を広げることが必要である。
さらに、「反射光等の分光特性が同一」として、上記説明において、「同一」という言葉を使用してその具定例等を述べたが、その「同一」性は、「二つのものの境界が目視では判別できない程度」、さらには、「各表示パターンが認識可能程度」にまで、その許容範囲を拡大しても本発明の効果は十分達成できる。
(着色層)
本発明では、反射性薄膜層5上に、若しくは、コレステリック液晶層2上に、又は、転写シート形態では、剥離層8上に、着色層6を形成する。
着色層に用いられる顔料としては、
有機顔料として、キナクリドン系レッド・マゼンタ、アンスラキノン系レッド・イエロー、ポリアゾ系イエロー、ベンズイミダゾロン系イエロー・オレンジ、フタロシアニン系顔料として、銅フタロシアニンブルー(α型、β型)、銅フタロシアニングリーン、異種金属フタロシアニンブルー、スレン系ブルー、アゾ系顔料として、溶性アゾ顔料(カーミン6B、パーマネントレッド2B他)、不溶性アゾ顔料(ジスアゾ系、モノアゾ系他)がある。
無機顔料としては、複合酸化物系顔料、微粒子複合酸化物系顔料、紺青、ハイブリッド型顔料等があるが、さらに、弁柄、モリブデンレッド、カドミウムレッド、鉛丹(以上、赤色。)、黄鉛( 赤口)、モリブデンオレンヂ(橙色)、カドミウムオレンジ(橙色)、群青(ウルトラマリンブルー)、紺青(プルシャンブルー)、紺青、コバルトブルー、セルリアン、マンガン青(以上、青色。)、アンバー(茶色。)、黄鉛、カドミウムエロー、チタン黄、黄色酸化鉄(以上、黄色。)酸化クロム、コバルトグリーン、ビリジアン、ピーコック(以上、緑色。)、マルス紫、コバルトバイオレット、マンガンバイオレット(以上、紫色。)その他、体質顔料、金属粉顔料等が用いられる。
顔料の粒径は、通常0.01μmから10μmのものが用いられるが、0.01〜0.1μmのものは、透明性も兼ね備えており、コレステリック液晶層2の色調を一部透過する性質を示す。但し、この粒径のものは、二次凝集しやすく、再分散処理等を施す必要がある。添加量は、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式等、適宜な形成パタ形成方法で形成する厚さとのバランスで決められるが、通常10%〜50%添加が好適であり、適宜な溶剤に溶かして、2〜20μm厚さに形成する。
染料も、一部透明性を有しているため、コレステリック液晶層2の色調の影響を受けるため、その影響を含めて設計することが望ましい。いずれにしても、使用する樹脂との分散性、溶解性等に優れるものが使用できる。
着色層6形成後、表面粗さ1.0μm以上の凹凸を有する金属製スタンパにて加熱プレスすることで、着色層6の表面を粗面化することができる。また、この着色顔料に加えて、粒径1.0μm以上の炭酸カルシウム、二酸化チタン等の体質顔料を使用することでも、着色パターン層を粗面化することができる。この粗面化により、この着色層6の反射光の特性を変化させ、調整することができる。
着色層6に使用される樹脂は、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド系樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などが挙げられ、反射性薄膜層5や、コレステリック液晶層2、ホログラム形成層3、剥離層8等との接着性の良好なもの、顔料や染料の分散性の良いものがが使用できる。その他添加剤は適宜使用する。
(粘着層、接着層及び剥離層)
また、本発明の真正性識別体は、さらに、粘着剤を施して(粘着層7。)ラベルとしたり、剥離剤及び接着剤を施して(剥離層8、接着層7.)転写シートとすることもできる。
その場合、粘着剤としては、従来公知の溶剤系及び水系のいずれの粘着剤、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂や、天然ゴム、クロロプレンゴムなどのゴム系樹脂などが挙げられる。
自然にやさしい材料構成とするために、特に、天然ゴムを主成分とするラテックス、それを変性したもの、特に天然ゴムにスチレン特にメタクリルさんメチルとをグラフト重合させて得た天然ゴムラテックス等の天然素材から作製されたものを用いても良く、形成厚さ、形成方法等は適宜選択する。
剥離層は、透明基材とは剥離する性質を有し、着色層6や、ホログラム形成層3との接着性に優れ、且つ、耐久性に優れるものが望ましく、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等より選定する。透明性を有し、且つ耐久性を有するシリコン樹脂微粒子や、フッ素化ポリエチレン樹脂微粒子等を添加することも好適である。
また、接着剤としては、種々の物品に対する接着性を確保するためのものであるので、反射性薄膜層5等との接着性がよく、被着体と強固に接着できるものが好ましい。具体的には、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ゴム変性物などが挙げられ、これらの中から適するものを適宜選択して使用でき、また、これらは単体、もしくは2種以上の混合系で、更に必要に応じてハードレジンや可塑剤、その他の添加剤を加えて使用することができ、形成厚さ、形成方法等は適宜選択する。
(実施例1)
透明基材1として、25μmのPETフィルムの表面に、グラビア印刷により厚さ5μmのコレスチック液晶層2を“高さ50mmの☆マーク”形状に形成した後、紫外線硬化させた。
・<コレステリック液晶組成物>
バイカラーLC242 37質量部
バイカラーLC756 2質量部
紫外線重合開始剤 1質量部
トルエン 60質量部
このコレステリック液晶層2上及び、透明基材1上にアクリル樹脂を塗布し、レリーフホログラムの複製用型の型面(再生像として星マークを記録してある。)を、接触させたまま加熱硬化させることにより、レリーフホログラムの形成を行ない、厚さ20μmのホログラム形成層3及び、ホログラムレリーフ4を得た。
このホログラムレリーフ4上に、反射性薄膜層5として、透明反射性薄膜(TiOx薄膜)100nmを反応性真空蒸着法により形成して、その上に、下記組成の着色層6をグラビア方式を使用して、厚さ5μmの着色パターン層6(赤色の第1表示パターン「星マーク」と青色の第2表示パターン「月マーク」をそれぞれ形成。)を形成し、真偽判定用識別体A1を得た。
・<着色パターン組成物>
上記メラミン樹脂 樹脂組成物 30質量部
弁柄若しくは群青 10質量部
体質顔料 5質量部
トルエン 55質量部
得られた真正性識別体A1を観察側から眺めると、観察角度0度において、☆マークの「赤色」のコレステリック液晶層2が見えると同時に、「青色」の第2表示パターン「月マーク」が見え、観察する角度を変えて30度とすると、観察光と同一の色調によるホログラム画像「星マーク」を確認できた。さらに観察角度を60度とすると、☆マークの「青色」のコレステリック液晶層2が見えると同時に、「赤色」の第1表示パターン「星マーク」が見えた。
以上より、目視にて容易に対象とする真正性判別体A1が「真正」であることを判定することができた。
(実施例2)
透明基材1として、25μmのPETフィルムの表面に、アクリル樹脂を塗布し、レリーフホログラムの複製用型の型面(再生像として星マークを記録してある。)を、接触させたまま加熱硬化させることにより、レリーフホログラムの形成を行ない、厚さ20μmのホログラム形成層3及び、ホログラムレリーフ4を得た。
このホログラムレリーフ4上に、反射性薄膜層5として、透明反射性薄膜(TiOx薄膜)50nmを反応性真空蒸着法により形成して、その上に、実施例1と同様にしてグラビア印刷により厚さ5μmのコレスチック液晶層2を“高さ50mmの☆マーク”形状に形成した後、紫外線硬化させた。
さらにその上に、実施例1と同様に着色層6をグラビア方式を使用して、厚さ5μmの着色パターン層6(赤色の第1表示パターン「星マーク」と青色の第2表示パターン「月マーク」をそれぞれ形成。)を形成し、真偽判定用識別体A2を得た。
得られた真正性識別体A2を観察側から眺めると、観察角度0度において、☆マークの「赤色」のコレステリック液晶層2が見えると同時に、「青色」の第2表示パターン「月マーク」が見え、観察する角度を変えて30度とすると、「青緑色」のホログラム画像「星マーク」を確認できた。さらに観察角度を60度とすると、☆マークの「青色」のコレステリック液晶層2が見えると同時に、「赤色」の第1表示パターン「星マーク」が見えた。
以上より、目視にて容易に対象とする真正性判別体A2が「真正」であることを判定することができた。
(実施例3)
着色層6に、緑色顔料「コバルトグリーン」による形成層を追加して、第1から第3表示パターンを形成した以外は、実施例1と同様にして実施例3を得た。
各表示パターンは、「赤」、「緑」、「青」のモザイク状のアルファベット文字とし、3組の組み合わせで、異なるアルファベット文字を表示するよう調整した。
得られた真正性識別体を観察側から眺めると、観察角度0度において、☆マークの「赤色」のコレステリック液晶層2が見えると同時に、「緑色」及び「青色」モザイクで表示される第1表示パターンが見え、観察する角度を変えて35度とすると、☆マークの「緑色」のコレステリック液晶層2が見えると同時に、「赤色」及び「青色」モザイクで表示される第2表示パターンが見え、さらに観察角度を45度とすると、観察光と同じ色調のホログラム画像「星マーク」を確認でき、観察角度を70度とすると、☆マークの「青色」のコレステリック液晶層2が見えると同時に、「赤色」及び「緑色」モザイクで表示される第3表示パターンが見えた。
以上より、目視にて容易に精度よく、対象とする真正性判別体が「真正」であることを判定することができた。
(実施例4)
次の組成物をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が20μmになるように、塗工し70℃で乾燥させて、粘着層7を形成した以外は、実施例1と同様にして真正性識別媒体A3を得た。
・<粘着剤組成物>
酢酸ビニル−アクリル共重合体 30質量部
トルエン 40質量部
酢酸ビニル 40質量部
この真正性識別媒体A3(ラベル形態。)をパスポートに貼着した。
パスポート上の真正性識別体A3を観察すると、実施例1と同様の効果が得られ、このパスポートが「真正」であると判定できた。
(実施例5)
透明基材1上に、次の組成物をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が2μmになるように、塗工し70℃で乾燥させて、剥離層8を形成し、
・<剥離剤組成物>
アクリル樹脂 20質量部
微粒子マイクロシリカ(平均粒径0.016μm) 0.1質量部
トルエン 40質量部
酢酸ビニル 40質量部
その上に、着色層6、ホログラム形成層3.反射性薄膜層5、コレステリック液晶層2及び、次の組成物をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が5μmになるように、塗工し70℃で乾燥させて、接着層7を形成した以外は、実施例1と同様にして真正性識別媒体A4を得た。
・<粘着剤組成物>
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 20質量部
アクリル樹脂 20質量部
体質顔料 10質量部
トルエン 20質量部
酢酸ビニル 30質量部
この真正性識別媒体A4(転写シート形態。)をパスポートに重ね、120℃、10分間加熱加圧後、透明基材1を剥離して転写した。
パスポート上の真正性識別体A3を観察すると、実施例1と同様の効果が得られ、このパスポートが「真正」であると判定できた。
(比較例)
着色層6として、赤色の印刷のみを使用したこと以外は実施例1と同様にして、比較例を得た。
これを観察すると、観察角度0度において、☆マークの「赤色」のコレステリック液晶層2が見えたのみであった。その観察する角度を少し変えて10度とすると、「赤色」の着色層6を確認でき、以後ずっと着色層6を確認できた。
観察する角度を少し変えて10度とすると、観察光と同一の色調によるホログラム画像「星マーク」を確認でき、以後、コレステリック液晶層2の☆マークの「色」が「緑色」から「青色」へ変化するのみであった。
以上より、「真正」であると判定するにはやや不安があると感じた。
A1、A2 真正性識別体
A3、A4 真正性識別体(ラベル形態、転写シート形態)
1 透明基材
2 コレステリック液晶層
3 ホログラム形成層
4 ホログラムレリーフ
5 反射性薄膜層
6 着色層
7 粘着層(もしくは接着層)
8 剥離層

Claims (2)

  1. 透明基材の一方の面に、剥離層、コレステリック液晶層、ホログラム形成層、反射性薄膜層、着色層、および接着層がこの順序で形成された真正性識別用転写シートであって、
    前記コレステリック液晶層が観察する角度に応じて色調が変化し、
    且つ、
    前記着色層が、異なる色調を有する、接していない複数の領域を有し、
    前記色調のそれぞれは、その分光特性が、それぞれ異なる所定の観察角度におけるコレステリック液晶層から反射される光の分光特性と同一であり、
    観察する角度に応じて、前記コレステリック液晶層の色調が変化する際に前記観察角度において視認可能な領域によって形成される形状パターン2パターン以上有することを特徴とする真正性識別用転写シート。
  2. 透明基材の一方の面に、剥離層、着色層、ホログラム形成層、反射性薄膜層、コレステリック液晶層、および接着層がこの順序で形成された真正性識別用転写シートであって、
    前記コレステリック液晶層が観察する角度に応じて色調が変化し、
    且つ、
    前記着色層が、異なる色調を有する、接していない複数の領域を有し、
    前記色調のそれぞれは、その分光特性が、それぞれ異なる所定の観察角度におけるコレステリック液晶層から反射される光の分光特性と同一であり、
    観察する角度に応じて、前記コレステリック液晶層の色調が変化する際に前記観察角度において視認可能な領域によって形成される形状パターン2パターン以上有することを特徴とする真正性識別用転写シート。
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