JP6036280B2 - 着色シート、着色ラベル及び着色転写シート - Google Patents
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もしくは、透明樹脂基材上に設けられた、ある着色パターン層の透明樹脂基材と接していない面が、「曲面の一部からなる形状」であるとは、その面が所定の曲面を持つ立体物の上部を切り取ったときのその切り取り形状、例えば、その面が、所定の曲率半径を有する球面の一領域を占める形状であるとして、その球面を一つの平面で切り取ったときのドーム状の部分を指す。(以下、「曲面の一部からなる形状」を「球面の一部からなる形状」、または、単に「球面形状」とも略す。)
さらに、その「球面の一部からなる形状」の中心軸(その「球面の一部からなる形状」の中心点と、その「球面そのもの」の中心点とを結ぶ直線を意味する。いわゆる光学レンズ等の「光軸」と同等の「軸」であり、以下、「光軸」ともいう。)が基材面に対して垂直、もしくは、所定の角度をなすように形成されていることを意味する。そして、「球面」は、「幾何学的に定まる理論上の単一な面」のみではなく、その「面」に内在する凹凸や曲りの程度が目視では判別できない程度に小さいものであって、目視観察においては「幾何学的に定まる理論上の単一な球面」と認識するような「面」をも含む。
(1)製造メーカー純正品等、純正品の認証が意義を持つ種々の商品分野、例えば、電子機器、電気機器、コンピュータ関連製品、及び、それらの構成部品、コンピュータ関連ソフト、純正備品類(用紙やトナーなどのプリンタ消耗品等。)医薬品、医薬部外品もしくは化成品等。
(2)商品そのものが真正品であることを消費者に強く求められる分野、もしくは、シート等を貼付等することで意匠性を高めたり、商品が高価であることを示し、その商品の付加価値を高める分野など、例えば、書籍、文書、講演、演劇、映画、写真、絵画、彫刻、版画、図面、模型等もしくは、それらの編集物、又は記録媒体に記録したもの(ビデオカセット、コンパクトディスク、デジタルビデオディスクなど)等の著作物、所定の設定をされ、変更を防止しているROMボード(コンピューター機器、ゲーム機、遊技機等に用いられるもの。ROMとボードに渡る貼付も含む。)、時計類、ネクタイ、マフラー、衣服等衣類、ハンカチーフ、ネッカチーフ、カバン、バッグ、ベルト、財布、小物入れ、装身具、宝石等宝飾品、スポーツ用品、化粧品、食器類、記念カップ、キーホルダー、置物、花瓶、陶器、人形、家具類、建具類、傘、ステッキ、食品容器、たばこ、葉巻等、及びそれらの高級ブランド品等。
(3)本人確認の手段(ID証)分野、例えば、パスポート、運転免許証、保険証、会員証、身分証、住民登録証、病院カード、もしくは図書館カード等。
(4)経済秩序を保つ上で真正品であることが求められる分野、例えば、商品券、ギフト券等の金券類、もしくはプリペイドカード、クレジットカード、キャッシュカード等のカード類。
(先行技術)近年、光の干渉を用いて立体画像(3D画像)を再生し得るホログラムの開発が進められ、このホログラムは高度な製造技術を要すると共に様々な形態、例えばラベル、シール、または、箔状に形成可能なことから、これを応用し、偽造防止手段として、上記分野を含め、様々なものの一部に貼着して使用されている。
本発明の着色シートの第1の態様は、
透明樹脂基材の一方の面の一部に着色パターン層Aが、他方の面の一部に着色パターン層Bがそれぞれ設けられ、前記着色パターン層Aと前記着色パターン層Bとは互いに重ならない領域を少なくとも有し、かつ、前記着色パターン層Bの表面は、前記透明樹脂基材の表面に対して所定角度の斜面もしくは曲面の一部をなしており、前記着色パターン層Bの表面の形状に追従するように反射層が設けられ、さらに前記着色パターン層Bの設けられた側の透明樹脂基材上の少なくとも前記着色パターン層Aが設けられた領域に対応する領域に反射層が設けられた着色シートであって、前記反射層は、隙間なく敷き詰められた状態の金属薄膜細片を含むインキ層であることを特徴とするものである。
以下、前記反射層を「高輝度インキ反射層」と呼び、前記反射層の形成に用いるインキを「高輝度インキ」と呼ぶこととする。
透明樹脂基材の一方の面の一部に着色パターン層Aが設けられ、前記透明樹脂基材の他方の面の一部に着色パターン層Bが設けられ、且つ、前記透明樹脂基材の他方の面並びに前記着色パターン層Bに追従するように高輝度インキ反射層が設けられた着色シートにおいて、前記着色パターン層Bの前記透明樹脂基材と接していない面は、前記透明樹脂基材の他方の面に対して所定角度の斜面、もしくは、曲面の一部からなる形状をなしていることを特徴とする着色シートを提供することができ、あたかも一つのパターンとして形成されたものと観察される着色パターンが、実際には、視認性の異なる2種類の着色パターンから構成されていることで、安価で、偽造防止性が高く、真正性の判定が容易な、着色シートを提供することができる。
前記透明樹脂基材のヘーズが、10%以下であることを特徴とするものである。
前記透明樹脂基材のヘーズが、10%以下であることを特徴とする第1の態様の着色シートを提供することができ、着色パターン層Bの視認性をより明確なものとして、その偽造防止性をさらに高めた、着色シートを提供することができる。
前記透明樹脂基材の屈折率と、前記着色パターン層Bの屈折率が同一、もしくは、その屈折率差が0.1以下であることを特徴とするものである。
前記透明樹脂基材の屈折率と、前記着色パターン層Bの屈折率が同一、もしくは、その屈折率差が0.1以下であることを特徴とする第1の態様または第2の態様の着色シートを提供することができ、透明樹脂基材と着色パターン層Bの界面における反射光を消失させる効果をより明確なものとして、その偽造防止性をさらに高めた、着色シートを提供することができる。
第1〜第3の態様の着色シートの前記高輝度インキ反射層の上に、粘着剤層が設けられていることを特徴とするものである。
第1〜第3の態様の着色シートの前記高輝度インキ反射層の上に、粘着剤層が設けられていることを特徴とする着色ラベルを提供することができ、被貼着体への適用を容易とし、且つ、高輝度インキ反射層と粘着剤層の粘着力を大きくした、着色ラベルを提供することができる。
第1〜第3の態様の着色シートの前記高輝度インキ反射層の上に、接着剤層が設けられ、且つ、前記透明樹脂基材と前記着色パターン層Aを覆うように転写用基材が剥離可能に設けられていることを特徴とするものである。
第1〜第3の態様の着色シートの前記高輝度インキ反射層の上に、接着剤層が設けられ、且つ、前記透明樹脂基材と前記着色パターン層Aを覆うように転写用基材が剥離可能に設けられていることを特徴とする着色転写シートを提供することができ、偽造防止性を付与する対象物へ容易に適用でき、高輝度インキ反射層と粘着剤層の粘着力をも大きくして、適用後は、もはや剥がすことを物理的に難しくして、その偽造防止性を高めることが可能な、着色転写シートを提供することができる。
そして、慣用的に用いられる「色調」という語は、色の配合、色の濃淡や強弱などのぐあいを意味し、上記と同様に、「色相」、「彩度」及び「明度」を複合した概念であるが、本明細書では、この3要素からなるものを「色」という語で統一する。
その着色パターン層Bの傾斜角度(透明樹脂基材の「他方の面」と「斜面」とがなす角度である。)は、本発明の着色シート等を観察する点(観察者の目の位置。)から通常30cm程度の距離だけ離してその真正性を判断することを考慮して、5度〜40度とすることができる。その中でも、10度〜30度とすることが好適である。
真正性判定時には、300mmの距離だけ離して本発明の着色シート等を観察することになるが、その際に、「着色パターン層Bの『球面形状』によって反射され、集光点に集光される光」は、曲率半径が600mm未満であると、集光点が着色シート等から約200mmのところとなり、その点から再び光が広がるため、通常の観察点である着色シート等から300mmの位置においては、視認し得る可能性が小さくなる。また、曲率半径が1200mm超であると、集光点が着色シート等から約400mmのところとなり、通常の観察点においては、着色パターン層Bの球面形状によって反射された光が、十分に集光されておらず、やはり、視認し得る可能性が小さくなる。
ここで、着色パターン層Aや着色パターン層Bの「色」は、当然に、その表面での反射光だけでなく、着色パターン層Aや着色パターン層Bの層内まで侵入し、層内にある着色顔料などによって反射される光を含むが、説明の簡略化のため、以下の説明においては、「着色パターン層Aの表面での反射、または、着色パターン層Bの表面での反射」という表現に統一する。
従って、観察者は、照明光源を着色パターン層Bの「色」に影響を及ぼす角度範囲内にのみに配置するような方法(その光源以外の周辺の光源を遮蔽するという意味。これが真正性判定方法の一例である。)をとらない限り、着色パターン層Bの「色」の変化に気づくことはない。
例えば、観察者に対して、「パターンb」から戻ってくる光と、「パターンa」から戻ってくる光との比が、(1.5)対(1)のときには、着色パターン層Bと着色パターン層Aに、同一の透明樹脂、同一の染料または顔料を用い、その厚さの比を(1.5)対(1)とする等の調整を行う。
その土台となる部分の厚さは、2.0μm以上とし、その段差を目立たなくするため、10μm以下とする。平坦性については、その面が、着色パターン層Bの下となって目立たなくなるため、着色パターン層Aよりやや粗いものであっても、その視認性には影響しない。
「パターンa」や、「パターンb」、そして、それらが一つとなった「パターンc」としては、文字、図形、記号、及びそれらの組み合わせを用いることができる。
透明樹脂基材として、上記した樹脂の中から「ヘーズ」が10%以下の透明な樹脂を用い、その樹脂に相溶する染料を1%〜10%添加したものを用いるか、「ヘーズ」が2%以下の透明な樹脂を用い、その樹脂に分散性の良い微粒子有機顔料もしくは、微粒子無機顔料を、1%〜5%添加したものを用いる。
本発明の着色シートHの透明樹脂基材1に用いられる樹脂材料としては、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としてはアクリル酸エステル樹脂、アクリルアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、もしくはポリスチレン樹脂等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、もしくはフェノール樹脂等が挙げられる。(図1参照。)
これらの熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は、1種もしくは2種以上を使用することができる。これらの樹脂の1種もしくは2種以上は、各種イソシアネート樹脂を用いて架橋させてもよいし、あるいは、各種の硬化触媒、例えば、ナフテン酸コバルト、もしくはナフテン酸亜鉛等の金属石鹸を配合するか、または、熱もしくは紫外線で重合を開始させるためのベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、ナフトキノン、アゾビスイソブチロニトリル、もしくはジフェニルスルフィド等を配合しても良い。
熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、平滑な面を有する型面に未硬化の樹脂を密着させたまま、加熱もしくは電離放射線照射により、硬化を行わせ、硬化後に剥離することによって、硬化したフィルム状またはシート状の透明樹脂基材1を得ることができる。
本発明の着色シートHでは、透明樹脂基材1の一方の面の一部に「着色パターン層A」2を形成し、その透明樹脂基材1の他方の面の一部に「着色パターン層B」3を形成する。(図1参照。)
「着色パターン層A」2に用いられる顔料としては、
有機顔料として、キナクリドン系レッド・マゼンタ、アンスラキノン系レッド・イエロー、ポリアゾ系イエロー、ベンズイミダゾロン系イエロー・オレンジ、フタロシアニン系顔料として、銅フタロシアニンブルー(α型、β型)、銅フタロシアニングリーン、異種金属フタロシアニンブルー、スレン系ブルー、アゾ系顔料として、溶性アゾ顔料(カーミン6B、パーマネントレッド2B他)、不溶性アゾ顔料(ジスアゾ系、モノアゾ系他)、不溶性多環式顔料(赤:キナクリドン、ペリレン、ジケトピロロピロール、橙:ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、黄:キノフタロン、イソインドリノン、緑:フタロシアニン、青:フタロシアニン、インダンスレン、紫:ジオキサジン他)、不溶性レーキ顔料(赤:レーキレッドC、ウォチュングレッド他)等がある。
また、それぞれの方式で、凹版や、転写基材表面、及び成形型の底の部分の面が、「着色パターン層B」3の「斜面」、もしくは、「球面形状」に該当するため、この面を表面粗さRaで0.1μm〜1.0μmとなる平坦な面とすることが必須である。
本発明の着色シートHでは、透明樹脂基材1の上に接して、追従するように、且つ、透明樹脂基材1の上に「着色パターン層B」3が設けられている領域においては、その「着色パターン層B」3に接して、追従するように、高輝度インキ反射層4を形成する。(図1参照。)
高輝度インキ反射層4には、適宜な剥離性を有する基材表面上に金属薄膜を湿式法や乾式法で形成した後に、その金属薄膜をロール巻き上げ方式その他の適宜な剥離手段を用いて、その基材表面から剥離しつつ、その金属薄膜を適宜な大きさ及び形状になるように破断する方法で形成した金属薄膜細片を、所定の樹脂材料及び溶剤等に分散させた高輝度インキを用いることができる。
本発明の着色ラベルH´(図2参照。)に用いられる粘着剤層5としては、従来公知の溶剤系及び水系のいずれの粘着剤も用いることができる。例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂や、天然ゴム、クロロプレンゴムなどのゴム系樹脂などを挙げることができる。自然にやさしい材料構成とするために、特に、天然ゴムを主成分とするラテックス、または、それを変性したもの、特に天然ゴムにスチレンとメタクリル酸メチルとをグラフト重合させて得た天然ゴムラテックス等の天然素材から作製されたものを用いても良い。
本発明の着色転写シートH´´(図3参照。)で使用される転写用基材6は、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や、着色転写シートH´´を製造する際の処理や加工に適した耐溶剤性及び耐熱性を有するものが好ましく、さらに、透明樹脂基材1及び、「着色パターン層A」2との剥離性を有するもの(転写用基材6を容易に剥離することができるという意味。)とする。
接着剤層7に用いられる接着剤としては、偽造防止を図る対象物に対する接着性を確保するためのものであるので、高輝度インキ反射層4等との接着性がよく、被転写物である対象物と強固に接着できるものが好ましい。具体的には、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、及びゴム変性物などが挙げられ、これらの中から適するものを適宜選択して使用でき、また、これらは単体、もしくは2種以上の混合系で、更に必要に応じてハードレジンや可塑剤、または、その他の添加剤を加えて使用することができ、形成厚さ、形成方法等は適宜選択する。
透明樹脂基材1を構成する樹脂材料として、50μm厚さの透明なメラミン樹脂を押し出し成形法によりシート上に形成したものを用いた。(図1参照。)
この透明樹脂基材1の一方の面に、下記組成の「着色パターン層A」2を、ステンレススクリーン方式を使用して、厚さ5.0μmの赤色の文字(ロゴ)「BR ND」を形成した。
そして、乾燥条件は、緩やかなものとし、文字表面の平滑性を高めた。このときの「着色パターン層A」2の平坦性は、表面粗さRaで、0.5μmであった。
・<着色パターン層A用組成物>
メラミン樹脂 30質量部
フタロシアニン系染料 10質量部
トルエン 30質量部
イソプロピルアルコール 2 5質量部
ブチルセルソルブ 5質量部
さらに、この透明樹脂基材1の他方の面に、下記組成の「着色パターン層B」3を、凹版印刷方式を使用して、文字の線幅方向(幅300μm)に傾斜角度10度で形成した。(この傾斜角度は、透明樹脂基材の他方の面に対して10度とした。)このとき、幅300μmを10分割して、文字の画線を30μm幅の短冊状領域に分け、それぞれの短冊状領域の幅方向に傾斜角度10度の傾斜を設けた。
・<着色パターン層B用組成物>
メラミン樹脂 30質量部
フタロシアニン系染料 10質量部
蛍光増白剤 2質量部
トルエン 30質量部
イソプロピルアルコール 2 5質量部
ブチルセルソルブ 3質量部
「着色パターン層B」3の短冊状領域の一方の端部での厚さを4.4μmとし、30μm離れた他の端部での厚さを9.6μmとした。従って、「着色パターン層B」3は、傾斜角度30度の面を持つ短冊状領域が繰り返して形成されたものとなった。(図示せず。図1〜3には、「着色パターン層B」3として、一つの斜面を有する例を示している。)
その結果、平均厚さ7.0μmの赤色の文字(ロゴ)「 A 」を形成した。
(図1参照。)
さらに、この透明樹脂基材1上及び、「着色パターン層B」3に接して、追従するように、ファインラップスーパーメタリックシルバーインキ(大日本インキ化学工業社製、高輝度インキ商品名)を用いて、グラビアリバース方式で、乾燥後の厚さが5μmになるように印刷し、200℃、100kg/cmの線圧のシリコン樹脂ロールでカレンダー処理して、高輝度インキ反射層4を形成し、実施例1の着色シートHとした。(図1参照。)
この着色シートHを、透明樹脂基材1側から、事務所室内の天井に等間隔に設置されている10本の蛍光灯の照明下にて観察したところ、着色シートHを正面から観察した際には、「BR ND」(「パターンa」)の赤い文字が、高輝度インキ反射層4からの反射光を背後から受けて、また、「 A 」(「パターンb」)の赤い文字は、明度を向上させた組成物を1.4倍の厚さで設けたことで、「BR ND」の赤い文字の「色」と、「 A 」の赤い文字の「色」が「同一」と認識され、あたかも、それらの文字が合わさって、「赤色一色」からなる「BRAND」という「一つのロゴ」が印刷されているように認識された(「パターンa」と「パターンb」とが同色であるため、一体となって、「パターンc」である「BRAND」と視認されることを意味する。)。
そして、この着色シートHを、上記蛍光灯の中の1本のみを点灯させ、この蛍光灯からの着色シートHへの入射光が、「着色パターン層B」3の斜面によって正反射される方向から着色シートHを観察すると、「 A 」(「パターンb」)の赤い文字のみが明るくなり、その真正性を判定することができた。また、「着色パターン層B」3の段差も目立だたないものであった。(図示せず。)
以上のことから、本発明の着色シートHが高い偽造防止性を有するものと思われた。
透明樹脂基材1を構成する樹脂材料として、アクリル樹脂(ヘーズ2%)を用い、「着色パターン層A」2及び「着色パターン層B」3に、下記組成のインキ組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の着色シートHとした。(図1参照。)
・<着色パターン層A用組成物>
アクリル樹脂 30質量部
レイキッドC微粒子有機顔料 1質量部
トルエン 30質量部
イソプロピルアルコール 3 4質量部
ブチルセルソルブ 5質量部
・<着色パターン層B用組成物>
メラミン樹脂 30質量部
レイキッドC微粒子有機顔料 1質量部
蛍光増白剤 2質量部
トルエン 30質量部
イソプロピルアルコール 3 4質量部
ブチルセルソルブ 3質量部
この着色シートHを、実施例1と同様に評価したところ、「着色パターン層A」2の「色」(青色)の変化が、より明確に視認されたこと以外は、実施例1と同様の良好な評価
結果を得た。
透明樹脂基材1を構成する樹脂材料として、アクリル酸エステル樹脂(屈折率n=1.47)を用い、「着色パターン層A」2と「着色パターン層B」3に、下記組成のインキ組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の着色シートHとした。(図1参照。)
・<着色パターン層A用組成物>
アクリル酸エステル樹脂(屈折率n=1.47) 30質量部
フタロシアニン系染料 10質量部
トルエン 30質量部
イソプロピルアルコール 2 5質量部
ブチルセルソルブ 5質量部
・<着色パターン層B用組成物>
アクリル酸エステル樹脂(屈折率n=1.47) 30質量部
フタロシアニン系染料 10質量部
蛍光増白剤 2質量部
トルエン 30質量部
イソプロピルアルコール 2 5質量部
ブチルセルソルブ 3質量部
この着色シートHを、実施例1と同様に評価したところ、「着色パターン層B」3の領域における、「着色パターン層B」3と透明樹脂基材1との界面での反射が消失したこと(観察角度を変えても、その「色」が変化しないことを意味する。)以外は、実施例1と同様の良好な評価結果を得た。
実施例3の「着色パターン層A」2及び「着色パターン層B」3用インキ組成物として、下記組成物を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、実施例4の着色シートHを得た。(図1参照。)
・<着色パターン層A用組成物>
エポキシ変性アクリル樹脂(n=1.55) 30質量部
フタロシアニン系染料 10質量部
トルエン 30質量部
イソプロピルアルコール 2 5質量部
ブチルセルソルブ 5質量部
・<着色パターン層B用組成物>
エポキシ変性アクリル樹脂(n=1.55) 30質量部
フタロシアニン系染料 10質量部
蛍光増白剤 2質量部
トルエン 30質量部
イソプロピルアルコール 2 5質量部
ブチルセルソルブ 3質量部
この着色シートHを、実施例1と同様に評価したところ、「着色パターン層B」3の領域における「着色パターン層B」3と透明樹脂基材1との界面での反射が消失したことが感じられたこと(透明樹脂基材1の他方の面の正反射角度に観察角度を合わせても、その「色」が比較的変化しないことを意味する。)以外は、実施例1と同様の良好な評価結果を得た。
実施例1の高輝度インキ反射層4の上に、下記組成の粘着剤層5を、シルクスクリーン印刷方式を用いて、30μm厚さで形成し、実施例4の着色ラベルH´を得た。(図2参照。)
・<粘着剤組成物>
酢酸ビニル−アクリル共重合体 30質量部
トルエン 20質量部
酢酸ビニル 20質量部
イソプロピルアルコール 2 5質量部
ブチルセルソルブ 5質量部
この着色ラベルH´の粘着剤層5を、偽造防止性を付与する対象物の表面に置き、圧力をかけたところ、着色ラベルH´が、その対象物表面に容易に貼着し、透明樹脂基材1側から、室内蛍光灯下にて観察したところ、実施例1と同様の良好な評価結果を得た。
転写用基材6として、25μmポリエチレンテレフタレートを用い、その一方の面に、実施例1の「着色パターン層A」2を同様の方法を用いて形成し、その一方の面と、「着色パターン層A」2の表面を覆うように、下記組成の組成物を、グラビアコーティング方式を用いて、10μmの厚さで形成し、その上に、実施例1の「着色パターン層B」3を同様の配置となるように形成した。(図3参照。)
・<透明樹脂基材用組成物>
メラミン樹脂 30質量部
トルエン 40質量部
イソプロピルアルコール 1 0質量部
酢酸エチル 20重量部
その上に実施例1と同様にして、高輝度インキ反射層4を形成し、その上に、下記組成の接着剤層7をグラビアコーティング方式を用いて、10μmの厚さで形成し、実施例6の着色転写シートH´´を得た。(図3参照。)
・<接着剤組成物>
酢酸ビニル−アクリル共重合体 20質量部
トルエン 40質量部
酢酸ビニル 40質量部
この着色転写シートH´´の接着剤層7面を、偽造防止性を付与する対象物の表面に接するように置き、転写用基材6側から、120℃、且つ、10g/平方ミリメートルにて加熱且つ加圧した後、その転写用基材6を剥離し、その対象物上に、転写部分(着色転写シートH´´の構成から、転写用基材6を剥離した部分。)を転写した。
実施例6において、高輝度インキ反射層4を、TiOx薄膜から製造したものとしたこと以外は、同様にして、実施例7の着色転写シートH´´を得た。(図3参照。)
この着色転写シートH´´を実施例6と同様にして、偽造防止性を付与する対象物のデザインの上に転写したところ、高輝度インキ反射層4の輝度そのものが若干低下したものの、転写部分を通して、「着色パターン層A」2及び「着色パターン層B」3の「ロゴ」の背後に、その対象物にあらかじめ印刷されていたデザインを視認することができ、意匠性が向上するとともに、さらに偽造防止性が高いものとなったこと以外は、実施例6と同様に良好な評価結果を得た。
透明樹脂基材1を構成する樹脂材料として、50μm厚さの透明なメラミン樹脂を押し出し成形法によりシート上に形成したものを用いた。(図示せず。)
この透明樹脂基材1の一方の面に、下記組成の「着色パターン層A」2を、ステンレススクリーン方式を使用して、厚さ5.0μmの赤色の文字(ロゴ)「BR ND」を形成した。
そして、乾燥条件は、緩やかなものとし、文字表面の平滑性を高めた。このときの「着色パターン層A」2の平滑性は、表面粗さRaで、0.5μmであった。
・<着色パターン層A用組成物>
メラミン樹脂 30質量部
フタロシアニン系染料 10質量部
トルエン 30質量部
イソプロピルアルコール 2 5質量部
ブチルセルソルブ 5質量部
さらに、この透明樹脂基材1の他方の面に、下記組成の「着色パターン層B」3を、凹版印刷方式を使用して形成した。(図示せず。)
このとき、文字サイズを10mm×10mm(一つの文字の外接円直径は14.1mmとなる。)、及び、曲率半径を900mmに設定した球面形状と、その土台となる部分を厚さ6.6μmとした凹版を作製した。しかも、その球面形状部分も、フレネルレンズの原理を利用して、ドームの底面となる円の直径を14.1mm、且つ、ドームの最も高い部分の高さである中心高さを13.9μmとした球面形状を想定し、その球面形状を高さ方向に20分割(そのドームを高さ方向に0.7μmのピッチでスライスすることを意味する。)し、その厚さ変化部分のみ(スライスしてできる薄い円盤から、その円盤の「芯(円柱形状)」の部分を除去したもの。)を、その土台上に形成できるように凹版を作製し、且つ、画線部は、10mm×10mmの文字「A」とし、「着色パターン層A」2の文字「BR ND」の空白部に合致する配置とした。
・<着色パターン層B用組成物>
メラミン樹脂(屈折率n=1.50) 30質量部
フタロシアニン系染料 10質量部
蛍光増白剤 2質量部
トルエン 30質量部
イソプロピルアルコール 2 5質量部
ブチルセルソルブ 3質量部
その結果、平均厚さ7.0μmの赤色の文字(ロゴ)「 A 」を形成した。
このときの「着色パターン層B」3の平滑性は、「球面形状」の一部を「小さい領域での平面」と近似して測定し、表面粗さRaで、0.5μmであった。
この実施例7の着色シートを、透明樹脂基材1側から、事務所室内の天井に等間隔に設置されている10本の蛍光灯の照明下にて観察したところ、着色シートを正面から観察した際には、「BR ND」(「パターンa」)の赤い文字が、反射性薄膜層5からの反射光を背後から受けて、また、「 A 」(「パターンb」)の赤い文字は、明度を向上させた組成物を1.4倍の厚さで設けたことで、「BR ND」の赤い文字の「色」と、「 A 」の赤い文字の「色」が「同一」と認識され、あたかも、それらの文字が合わさって、「赤色一色」からなる「BRAND」という「一つのロゴ」が印刷されているように認識された(「パターンa」と「パターンb」とが同色であるため、一体となって、「パターンc」である「BRAND」と視認されることを意味する。)。
そして、この実施例7の着色シートを、上記蛍光灯の中の1本のみを点灯させ、この蛍光灯からの着色シートへの入射光が、「着色パターン層B」3の球面形状によって集光される方向であって、且つ、集光される距離だけ離れた位置(集光点を意味する。距離は約300mm。)で着色シートを観察すると、「 A 」(「パターンb」)の赤い文字のみが明るくなり、その真正性を判定することができた。(図示せず。)
以上のことから、本発明の実施例7の着色シートが高い偽造防止性を有するものと思われた。
(比較例)
(比較例1)「着色パターン層A」2及び「着色パターン層B」3を設けず、「着色パターン層A」2と同様の組成物を用いて、「BRAND」の「ロゴ」を一様に形成したこと以外は、実施例1と同様にし、比較例1の着色シートを得た。
H´ 着色ラベル
H´´ 着色転写シート
1 透明樹脂基材
2 着色パターン層A
3 着色パターン層B
4 高輝度インキ反射層
5 粘着剤層
6 転写用基材
7 接着剤層
Claims (5)
- 透明樹脂基材の一方の面の一部に着色パターン層Aが、他方の面の一部に着色パターン層Bがそれぞれ設けられ、前記着色パターン層Aと前記着色パターン層Bとは互いに重ならない領域を少なくとも有し、
かつ、前記着色パターン層Bの表面は、前記透明樹脂基材の表面に対して所定角度の斜面もしくは曲面の一部をなしており、
前記着色パターン層Bの表面の形状に追従するように反射層が設けられ、さらに前記着色パターン層Bの設けられた側の透明樹脂基材上の少なくとも前記着色パターン層Aが設けられた領域に対応する領域に反射層が設けられた着色シートであって、
前記反射層は、隙間なく敷き詰められた状態の金属薄膜細片を含むインキ層であることを特徴とする着色シート。 - 前記透明樹脂基材のヘーズが、10%以下であることを特徴とする請求項1に記載の着色シート。
- 前記透明樹脂基材の屈折率と、前記着色パターン層Bの屈折率が同一、もしくは、その屈折率差が0.1以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の着色シート。
- 請求項1〜3に記載の着色シートの前記反射層の上に、粘着剤層が設けられていることを特徴とする着色ラベル。
- 請求項1〜3に記載の着色シートの前記反射層の上に、接着剤層が設けられ、且つ、前記透明樹脂基材と前記着色パターン層Aを覆うように転写用基材が剥離可能に設けられていることを特徴とする着色転写シート。
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-
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