JP2014006473A - 着色シート、着色ラベル及び着色転写シート - Google Patents

着色シート、着色ラベル及び着色転写シート Download PDF

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Abstract

【課題】ブランド等の絵柄の入った着色シート等は、被貼着体に貼付されたりして、その被貼着体の真正性を証明するものであるため、単にシート等の上に同様の絵柄を印刷した偽造品を作製し、真正でない他の被貼着体へ貼付して使用されることが可能であると、その証明性を維持することができなくなるという課題を有していた。
【解決手段】着色シート等を構成する透明樹脂基材の上下に、わずかに視認性の異なる絵柄を形成することにより、あたかも一つの絵柄が形成されているように認識させ、真正性を判定する際には、そのわずかな視認性の差を判定することにより、真正性を容易に判定可能な絵柄の入った着色シート等を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、着色シート、着色ラベル及び着色転写シート(以下、着色シート等ともいう。)に係り、詳しくは、視認性の異なる2種類の着色パターンをあたかも一つのパターンとして認識することができるように形成したことにより、高い偽造防止性を有し、且つ、その真正性を容易に判定できる偽造防止用着色シート、着色ラベル及び着色転写シートに関するものである。
ここで、視認性とは、「視覚的な文字や図形などを明確に認識することができるかを表すもの」であって、実際に目で見て確認した際の文字や図形などの見易さを示すものである。別の言い方をすれば、何らかの手段で形成された文字や図形などの光学的特性の一つと言うことができる。
本明細書において、配合を示す「部」は特に断わらない限り質量基準である。
さらに、透明樹脂基材上に設けられた、ある着色パターン層の、透明樹脂基材と接していない面が、「所定角度の斜面」であるとは、その面が、透明樹脂基材の他方の面に対して、所定角度で傾斜していることを意味する。また、このことは、傾斜している略平面をなすことをも含む。(ここで略平面とは、その平面の凹凸や曲りの程度が目視では判別できない程度に小さいものであって、目視観察においては「平面」と認識するような「面」を意味する。)
また、「ヘーズ(曇価ともいう。)」とは、JIS K 7136「プラスチック−透明材料のヘーズの求め方」に準じて求められるものであって、「試験片を透過する透過光のうち、前方散乱によって入射光から2.5度以上それた透過光の百分率」であり、「全光線透過率(平行透過率+拡散透過率)に対する拡散透過率の比」として定義されるものである。
(主なる用途)本発明の着色シート等の主なる用途としては、偽造防止分野や意匠用途などに使用される分野であって、具体的には、以下の(1)から(4)に使用される分野がある。
(1)製造メーカー純正品等、純正品の認証が意義を持つ種々の商品分野、例えば、電子機器、電気機器、コンピュータ関連製品、及び、それらの構成部品、コンピュータ関連ソフト、純正備品類(用紙やトナーなどのプリンタ消耗品等。)医薬品、医薬部外品もしくは化成品等。
(2)商品そのものが真正品であることを消費者に強く求められる分野、もしくは、シート等を貼付等することで意匠性を高めたり、商品が高価であることを示し、その商品の付加価値を高める分野など、例えば、書籍、文書、講演、演劇、映画、写真、絵画、彫刻、版画、図面、模型等もしくは、それらの編集物、又は記録媒体に記録したもの(ビデオカセット、コンパクトディスク、デジタルビデオディスクなど)等の著作物、所定の設定をされ、変更を防止しているROMボード(コンピューター機器、ゲーム機、遊技機等に用いられるもの。ROMとボードに渡る貼付も含む。)、時計類、ネクタイ、マフラー、衣服等衣類、ハンカチーフ、ネッカチーフ、カバン、バッグ、ベルト、財布、小物入れ、装身具、宝石等宝飾品、スポーツ用品、化粧品、食器類、記念カップ、キーホルダー、置物、花瓶、陶器、人形、家具類、建具類、傘、ステッキ、食品容器、たばこ、葉巻等、及びそれらの高級ブランド品等。
(3)本人確認の手段(ID証)分野、例えば、パスポート、運転免許証、保険証、会員証、身分証、住民登録証、病院カード、もしくは図書館カード等。
(4)経済秩序を保つ上で真正品であることが求められる分野、例えば、商品券、ギフト券等の金券類、もしくはプリペイドカード、クレジットカード、キャッシュカード等のカード類。
さらには、これらのものを包装し、その包装を封印する分野、例えば、単に保管のため、もしくは郵便物や小荷物として封筒に入れたり、パッケージに入れて配達や配送をする分野、商品をパッケージに入れて販売する分野、単純に包装する分野、それらの封緘シールとして使用する分野、また、それらの説明書や効能書等にその真正性を証明したり、後発医薬品との識別をするために貼付する分野等、または、これらのものを提供するサービスの用に供するもの等、例えば、各種サービスを提供する証し、貸与品の証し、さらには、各種サービスを受けることができる証し等に関し、特に、その着色シート等に、印刷パターン等による、製造メーカー、出版社、著作者、ゲーム機運用会社、高級ブランド、証明書発行者、カードセキュリティ会社、金券類等発券または発行者、配達または配送会社、販売会社、その他関連組織等の名称や、ロゴ、印章、その他、他社との識別性を有する文字、図形、記号等、すなわち、ブランドロゴ表示や、真正性を表す文字や記号等を含めており、そのロゴや、文字、図形、記号等が、その製品の付加価値や、品質保証等の信頼性を高めるもの(証明するもの)である分野に好適である。
(先行技術)近年、光の干渉を用いて立体画像(3D画像)を再生し得るホログラムの開発が進められ、このホログラムは高度な製造技術を要すると共に様々な形態、例えばラベル、シール、または、箔状に形成可能なことから、これを応用し、偽造防止手段として、上記分野を含め、様々なものの一部に貼着して使用されている。
このホログラムは、一見して本物か否かが判り、しかも上記したように製造が困難であることから、広く利用されるようになってきた。
すなわち、偽造防止手段として、クレジットカード等の金券類、証明書等の一部に設けたり、外観の目新しさを狙つて本の表紙、パンフレット、レコードジャケット、パッケージ、衣類等の様々な物品に設けることが試みられている。
この様なホログラムの装飾性及び偽造防止性を高めるために、所定の「絵柄」をホログラムに付与することが行われている。すなわち、物品に貼着されたホログラム付きラベルの表面に「絵柄」を印刷等により設けることが試みられている。
従来、本出願人は、絵柄入りホログラム付きラベルについて、支持体とその支持体上に透明樹脂、反射性薄膜層、接着剤層及び、必要に応じて剥離シ−トが順次積層されると共に、上記の任意の層間に少なくとも一層の「絵柄」層を有してなるもので、「絵柄」とホログラム再生像が一体に調和し、且つ、絵柄入りホログラム付きラベルを貼着した「被着体」のデザイン、色彩、色調と調和した美麗なものとし、「ホログラムステッカー」として有用であると共に、クレジットカード等の金券類及び高級製品に貼り付けられた場合には、高い偽造防止性を発揮する、絵柄入りホログラム付きラベルを提供している。
特に、その反射性薄膜層に隣接して(接着して)「絵柄」層を設け、「絵柄」を書き換えようとした場合、反射性薄膜層が損壊してしまい、書き換えられた「絵柄」であるか否かが容易に判別でき、偽造防止を図ることができるものを開示している(特許文献1参照。)。
また、これら着色ラベルの表面の支持体は、樹脂フィルムであり、その樹脂フィルムのみでは、付加した絵柄の耐擦傷性などの耐久性が不十分であるとして、着色ラベル表面の耐擦傷性などの耐久性を向上させ、裏側が透けず、質感にも優れるホログラム付きラベル及びその製造方法をも開示している(特許文献2参照。)。
しかしながら、これらの着色ラベルに付加された「絵柄」層や、「印刷」層は、一般的コート方法や、一般的印刷方法により、各印刷方法に適したインキの顔料及び染料を選択して形成されるものであって、あくまで、「絵柄」層を書き換えようとすると、その「絵柄」層と接している「反射性薄膜層」を傷つけてしまい、「絵柄」層のみを書き換えることが物理的に難しいという特性から、偽造防止を図るものである。
特許文献2においても、「印刷」層は、「公知の印刷法で特に限定されることなく、例えば、公知のインキを用いて公知のスクリーン印刷やグラビア印刷で印刷すればよい」と記載するのみであって、真正なホログラムに「類似した視認性」(目視にて観察した際に、ホログラム再生像のように具体的な「像」を結像しないものの、光を乱反射したり、部分的に輝いたりして、「類似する光学的効果」を醸し出していることを意味する。)を付与したラベルに、全く同一の色調を有する「印刷」層を施して偽造品を作製することが可能と考えられた。
この問題を解決するために、「印刷」層形成領域の上においてもホログラム効果を発現させるため、本出願人は、ホログラムレリーフ上に透明反射性薄膜層を設け、その透明反射性薄膜層上の一部に「印刷」層を設け、それらの層全体を覆うように全反射性薄膜層を設ける技術を開示している(特許文献3参照。)。
しかしながら、これらの技術は、ホログラムを製造するという非常に煩雑な工程を必須としており、シート等が非常に高価となるだけでなく、「印刷」層は、一般的なものであって、「印刷」層そのものには、何ら偽造防止性を付与していないことから、やはり、上記したような偽造を防ぐことができず、「印刷」層そのものに対して偽造防止機能を持たせるという、より高度で安価な偽造防止効果を提供することができないものであった。
実公平5−18779号公報 特開2007−86251号公報 特開平7−129069号公報
本発明は、2種類の着色パターン層(例えば、「印刷」層など。)を、透明樹脂基材の上下に設けることによって、あたかも、一つの着色パターン層が形成されているように観察されるものの、あらかじめ定められた観察方法によっては、目視にて容易に、その2種類の着色パターン層を判別可能である、安価で、偽造防止性に優れ、且つ、真正性の判定が簡易な、着色シート、着色ラベル及び着色転写シートを提供する。
上記の課題を解決するために、
本発明の着色シートの第1の態様は、
透明樹脂基材の一方の面の一部に着色パターン層Aが設けられ、前記透明樹脂基材の他方の面の一部に着色パターン層Bが設けられ、且つ、前記透明樹脂基材の他方の面並びに前記着色パターン層Bに追従するように反射性薄膜層が設けられた着色シートにおいて、前記着色パターン層Bの前記透明樹脂基材と接していない面は、前記透明樹脂基材の他方の面に対して所定角度の斜面をなしていることを特徴とするものである。
上記第1の態様の着色シートによれば、
透明樹脂基材の一方の面の一部に着色パターン層Aが設けられ、前記透明樹脂基材の他方の面の一部に着色パターン層Bが設けられ、且つ、前記透明樹脂基材の他方の面並びに前記着色パターン層Bに追従するように反射性薄膜層が設けられた着色シートにおいて、前記着色パターン層Bの前記透明樹脂基材と接していない面は、前記透明樹脂基材の他方の面に対して所定角度の斜面をなしていることを特徴とする着色シートを提供することができ、あたかも一つのパターンとして形成されたものと観察される着色パターンが、実際には、視認性の異なる2種類の着色パターンから構成されていることで、安価で、偽造防止性が高く、真正性の判定が容易な、着色シートを提供することができる。
特に、前記着色パターン層Aが、例えば「ある文字情報等」である「パターンa」を構成し、前記着色パターン層Bが、「『パターンa』とは異なる文字情報等」である「パターンb」を構成しているものとしたときに、前記着色シートを前記透明樹脂基材側の真正面(その前記透明樹脂基材の他方の面に対して垂直上方から観察するという意味。)から観察した際には、前記着色パターン層A及び、前記着色パターン層Bが、同一の「色」を呈して、「パターンa」と「パターンb」との区別がなくなり、その「パターンa」と「パターンb」とが、「合成されたパターン」、すなわち、「一つのパターンc」(合成された一つの文字情報等)として視認され、且つ、前記着色シートを前記透明樹脂基材側の予め定まった角度で斜め上方から観察した際には、前記着色パターン層Aと、前記着色パターン層Bが、互いに異なる「色」を呈して、「パターンa」と「パターンb」との区別が現れ、その「パターンa」と「パターンb」とが別々の文字情報等、すなわち、「ある文字情報等」と、「異なる文字情報等(『ある文字情報』とは別の文字情報等を意味する。)」として観察されることを特徴とする着色シートを提供することができる。
このことは、一見して「一つのパターンc」、すなわち、一つの「色」で表現された「一つの文字情報等」を提示していると観察されるパターンが、所定の観察角度において、「パターンa」と「パターンb」という、異なる「色」を呈する「二つに分割された、それぞれの文字情報等」として観察されることを意味する。
本発明の着色シートの第2の態様は、
前記透明樹脂基材のヘーズが、10%以下であることを特徴とするものである。
上記第2の態様の着色シートによれば、
前記透明樹脂基材のヘーズが、10%以下であることを特徴とする第1の態様の着色シートを提供することができ、着色パターン層Bの視認性をより明確なものとして、その偽造防止性をさらに高めた、着色シートを提供することができる。
本発明の着色シートの第3の態様は、
前記透明樹脂基材の屈折率と、前記着色パターン層Bの屈折率が同一、もしくは、その屈折率差が0.1以下であることを特徴とするものである。
上記第3の態様の着色シートによれば、
前記透明樹脂基材の屈折率と、前記着色パターン層Bの屈折率が同一、もしくは、その屈折率差が0.1以下であることを特徴とする第1の態様または第2の態様の着色シートを提供することができ、透明樹脂基材と着色パターン層Bの界面における反射光を消失させる効果をより明確なものとして、その偽造防止性をさらに高めた、着色シートを提供することができる。
本発明の第4の態様である着色ラベルは、
第1〜第3の態様の着色シートの前記反射性薄膜層の上に、粘着剤層が設けられていることを特徴とするものである。
上記の態様の着色ラベルによれば、
第1〜第3の態様の着色シートの前記反射性薄膜層の上に、粘着剤層が設けられていることを特徴とする着色ラベルを提供することができ、被貼着体への適用を容易とした、着色ラベルを提供することができる。
本発明の第5の態様である着色転写シートは、
第1〜第3の態様の着色シートの前記反射性薄膜層の上に、接着剤層が設けられ、且つ、前記透明樹脂基材と前記着色パターン層Aを覆うように転写用基材が剥離可能に設けられていることを特徴とするものである。
上記の態様の着色転写シートによれば、
第1〜第3の態様の着色シートの前記反射性薄膜層の上に、接着剤層が設けられ、且つ、前記透明樹脂基材と前記着色パターン層Aを覆うように転写用基材が剥離可能に設けられていることを特徴とする着色転写シートを提供することができ、偽造防止性を付与する対象物へ容易に適用でき、且つ、適用後は、もはや剥がすことを物理的に難しくして、その偽造防止性を高めることが可能な、着色転写シートを提供することができる。
本発明の着色シート等は、透明樹脂基材の一方の面の一部に、着色パターン層Aが形成されており、その着色パターン層Aが表している「パターン」(パターンaと称している。)が、「同色(一つの色)」の「パターン」(パターンa)として、視認される。
さらに、本発明の着色シート等には、透明樹脂基材の他方の面の一部に、着色パターン層Bが設けられており、且つ、その着色パターン層Bの透明樹脂基材と接していない面が、斜面となっており、その着色パターン層Bが表している「パターン」(パターンbと称している。)が、「同色(一つの色)」の「パターン」(パターンb)として、視認される。
そして、着色パターン層Aの形成領域である「パターンa」と、着色パターン層Bの形成領域である「パターンb」とが、特定の観察角度範囲において、「一つの色を有する一つのパターン」(パターンcと称している。)を構成するように形成されているため、この「色」の同一性により、本発明の着色シート等には、その範囲において、あたかも一つの「パターンc」が形成されているように観察される。
そもそも、「色」とは、「物体」からの反射光を、色相(色合い)、彩度(鮮やかさ)、明度(明るさ)の3つの要素で視認し、認識される「情報」である。(3要素は、「色の三属性」とも呼ばれる。)
そして、慣用的に用いられる「色調」という語は、色の配合、色の濃淡や強弱などのぐあいを意味し、上記と同様に、「色相」、「彩度」及び「明度」を複合した概念であるが、本明細書では、この3要素からなるものを「色」という語で統一する。
従って、ここでいう「二つ以上の物体が同色である」とは、それらの「物体」が、「同一の色を呈する」ことであって、それらが、「同一の色相」、「同一の彩度」及び「同一の明るさ」を有していることを意味し、それらを視認したときに、それらが「同じ色」と認識されることをいう。
すなわち、着色パターン層Aや、着色パターン層Bは、透明性を有する樹脂に、染料や顔料を分散し、且つ、溶解したものを用いるが、染料や顔料の種類、その分散性、溶解性、顔料粒子の大きさや、形状、その表面状態、その他の添加剤、そして、形成方法や、形成時の乾燥条件、硬化条件、さらには、その厚さや、界面の状態により、色相、彩度、明度が決まり、そして「色」が定まることとなる。
さらに、本発明の着色シート等の着色パターン層Bの形成厚さには傾斜があるため(着色パターン層Bの一方の面が透明樹脂基材と接し、他方の面が斜面となっているため、その厚さは、徐々に、薄いほうから厚い方へと単調増加していることをいう。)、着色パターン層Bを形成する際に一つの組成のインキのみを用いたときには、着色パターン層Bの形成領域内において、若干の「色」の違いが視認される可能性がある。
その着色パターン層Bの傾斜角度(透明樹脂基材の「他方の面」と「斜面」とがなす角度である。)は、本発明の着色シート等を観察する点(観察者の目の位置。)から通常30cm程度の距離だけ離してその真正性を判断することを考慮して、5度〜40度とすることができる。その中でも、10度〜30度とすることが好適である。
真正性の判断時に、例えば、30cmの距離だけ離して本発明の着色シート等を観察する際に、「着色パターン層Bの斜面によって反射される光」は本来秘匿されていなければならないが、傾斜角度が5度未満であると、「着色パターン層Bの斜面によって反射される光」の反射角度が、透明樹脂基材の「他方の面」に対して垂直方向に戻ってくる光(観察方向に向かう光。)に対して、10度未満となり、それらの二つの光を同時に視認してしまうこととなり、「着色パターン層Bの斜面によって反射される光」の秘匿性が著しく低下する。
また、傾斜角度を40度超とすると、その反射光と垂直方向に戻ってくる光との間の角度が80度を超えることとなり、真正性を判断する際の視認がしづらくなると同時に、その判定の再現性、すなわち、判定の信頼性が低下する。
従って、秘匿性と判定の信頼性をより高いものとするために、着色パターン層Bの傾斜角度を、5度〜40度とし、さらには、10度〜30度とする。
さらに、秘匿されている「着色パターン層Bの斜面によって反射される光」を、その真正性判定時に確実に視認できるようにするためには、その着色パターン層Bの斜面は平面であることが最も望ましく、少なくとも略平面とする必要がある。すなわち、その斜面が平面であれば、反射する光の反射角度のブレ幅を非常に狭いものとすることができ、そのような光が存在することを知らない第三者に発見される可能性を極限まで小さいものとすることができる。また、その斜面が略平面であったとしても、不要な回折現象を生じない程度に凹凸が小さいものであるか、または、凹凸面が単調に変化するような面であれば、上記と同様に反射する光のブレ幅を比較的狭いものとすることができる。また、着色パターン層Bが離散的に形成されたものである場合には、それぞれの形成部分におけるそれぞれの傾斜角度は同一であることが望ましく、異なるとしても、その差が5度未満、さらには、1度未満であることがより望ましい。
但し、着色パターン層Bの形成領域「パターンb」が、比較的大きな領域、例えば、縦5mm×横5mmの正方形の領域であった場合、この領域に傾斜角度30度の一つの斜面を形成するには、一つの端の厚さを0.03mmとした場合には、他端の厚さを(0.03mm+2.8mm)の厚さとする必要があり、このような厚さの着色層を形成することは凹版印刷方式や成形方式等により可能であるものの、その形成精度を高く維持することは困難である。
そこで、この縦5mm×横5mmの領域を縦50μm×横50μmの領域に分割し、その小さな個々の領域に対して、それぞれ傾斜角度30度の斜面を形成することで、その形成精度を高くすることも好適である。
こうすることにより、縦50μm×横50μmの領域の一端の着色層の厚さを10μmとした場合には、他端の着色層の厚さを38μmとすることで、30度の傾斜角度の斜面を再現性よく形成することが可能となる。
さらには、縦5mm×横5mmの領域を、縦50μm×横50μmの領域に分割した後、その飛び飛びの位置のみに着色層を形成したり、直径50μmの網点領域の集合体とすることもその形成を容易とし、好適である。
そして、この着色パターン層Aや、着色パターン層Bの裏面(背後という意味を含む。)に、反射性薄膜層を設けて光を反射させたときには、上記した傾向がさらに顕著に現れ、また、参照する光の波長分布や、強度分布によって、上記反射光の3要素が変化し、結果として、視認される「色」が異なるものとなってしまう可能性がある。
従って、本発明における「同一の色」を実現するためには、本発明の着色シート等を参照する際の、着色シート等の中を透過または反射する光の挙動を踏まえ、調整して、最終的に、特定の範囲で観察される「色」を同一とする必要がある。
すなわち、その着色パターン層Aにおいて視認される「色」を、その垂直上方で観察する際には、単純に着色パターン層Aの最上面で反射される光だけでなく、着色パターン層Aと透明樹脂基材を透過し、反射性薄膜層で垂直方向に反射され、再び、透明樹脂基材と着色パターン層Aを透過して戻る光(戻り光ともいう。)を考慮に入れる必要がある。
また、着色パターン層Bにおいて視認される「色」を、その垂直上方で観察する際には、着色パターン層Bと透明樹脂基材との界面で単純に反射される光だけでなく、透明樹脂基材の透明性や、着色パターン層Bの厚さとその変化の度合いを考慮する必要がある。
さらに、その着色パターン層Bにおいて視認される「色」を、その斜面の反射方向で観察する際には、透明樹脂基材と着色パターン層Bを透過し、反射性薄膜層で正反射して、再び、着色パターン層Bと透明樹脂基材を透過する光を考慮に入れる必要がある。(ここで、正反射とは、ある反射面に対して、光の入射角度と出射角度が等しい反射をいう。)
ここで、着色パターン層Aや着色パターン層Bの「色」は、当然に、その表面での反射光だけでなく、着色パターン層Aや着色パターン層Bの層内まで侵入し、層内にある着色顔料などによって反射される光を含むが、説明の簡略化のため、以下の説明においては、「着色パターン層Aの表面での反射、または、着色パターン層Bの表面での反射」という表現に統一する。
いずれにしても、本発明の着色シート等においては、その垂直上方から観察する際に、着色パターン層Aと、着色パターン層Bの「色」が「同一の色」を呈することが必須であり、且つ、その斜面の反射方向での観察において、着色パターン層Aと、着色パターン層Bの「色」が異なる「色」を呈することが求められる。
もちろん、その斜面の反射方向での観察において、着色パターン層Aと、着色パターン層Bの「色」が明確に異なる「色」を呈するようにしたり(「色差」が大きいことを意味する。)、さらには、そのような差が発現する観察角度(判定可能な角度範囲という意味。)を非常に狭いものとすることが真正性判定の信頼性、すなわち、偽造防止性を向上させるため、特に好ましい。
ここでいう「色差」とは、例えば、L*a*b*色度図(LAB表色系)における△E{=(△a2+△b2+△L21/2)}で表される「色差」であって、「同色」とは、この「色差」が、0.5以下となることを意味する。
国際照明委員会(CIE)が提唱する表色系には、その他、RGB系、XYZ系(Yxy系)、UVW系(Luv系)等があるが、これらは相関しており、容易に換算が可能であって、その換算値を用いることもできる。
そして、「色」の変化は、この△Eが0.5を超えると「差があるもの」として認識され(SLIGHT:差がわずかに感じられる。)、1.5を超えると明確にその「違い」を視認できる(NOTICEABLE:差がかなり感じられる。)。
そもそも、本発明の着色シート等を観察する一般的環境は、上記した種々の用途において、その着色シート等を適用した物品等を使用する環境であって、身に着けたり、持ち運びする場合には、屋外環境であったり、外出先のデパートやショッピングモール等の室内環境となり、家庭内に据え置くものに適用した場合には、その家庭内環境となる。
屋外環境においては、太陽光線や、その太陽光線が建物等で反射した光が入射光となり、室内環境においては、デパート等や、ショッピングモール等、さらには、一般家庭内の照明である蛍光灯等が光源となって、その蛍光灯等が発する光が入射光となるため、その角度は、複数、且つ、様々であり、それら多数の入射光によって、正反射光が発現する。
従って、着色パターン層Bの「パターンb」の領域は、非常に限られた所定の角度方向(反射性薄膜層の正反射角度方向。)にたまたま照明光源が存在していた場合を除き、一つの「色」を常に呈することとなる。しかも、そのような偶然によって、所定の角度に照明光源が存在したとしても、その一つや二つの照明光源からの照明光の量は、室内全体の照明光源による照明光の量と比較すると無視できる。
これは、所定の角度が非常に狭く設定してあり、しかも、観察者と着色シート等を結ぶ線から左右に外れるものは対象外となるため、着色パターン層Bの「色」に影響を及ぼすと考えられる角度範囲は、非常に狭い範囲に限定されるためである。(例えば、着色シート等を中心とするドーム状の半円球の曲面を想定したとき、その曲面上の中で、該当する範囲が、その曲面の面積全体に比較し、1/100未満となるという意味である。)
従って、観察者は、照明光源を着色パターン層Bの「色」に影響を及ぼす角度範囲内にのみに配置するような方法(その光源以外の周辺の光源を遮蔽するという意味。これが真正性判定方法の一例である。)をとらない限り、着色パターン層Bの「色」の変化に気づくことはない。
このように、「パターンb」が非常に限られた光学的な環境条件以外で「一定」の色を呈することは、この「色」を基準として、その限られた光学的な環境条件における僅かに色が変化する瞬間を「対比する」ことを可能にしており、この「対比」により、確実な真正性判定を実現している。
さらに、着色パターン層A及び着色パターン層Bを、比較的隠ぺい性が高いもの、例えば、可視光透過率にして10%〜30%(層内を往復して戻る光は1%〜9%になる。)とし、斜面での正反射光を僅かなものとすると、着色シート等を一瞥したのみでは、上記した「視認性の差」を「認識し難いもの」とすることができ、この僅かな「視認性の差」が存在することを知り得る者(正当な権利を有する者を意味する。)のみが、その「差」を探し出すようにして判読し、真正性を判定することができるようにすることも好適である。
また、「パターンa」を、垂直上方から観察した場合には、その背後にある反射性薄膜層からの均一な反射光を受けて、その領域の隅々まで一様な明るさを付加された、同一の「色」として観察される。
この反射光の強度は均一であり、そして、その反射角度は、垂直方向となる。
そして、「パターンb」を垂直上方から観察した場合には、着色パターン層Bの下の「斜面」及び、その面に追従して形成されている反射性薄膜層からの「正反射光」は観察者の方には戻ってこないため、背後からの明るさは付加されない。
従って、このような「パターンa」と「パターンb」を同一の「色」とするためには、少なくとも、着色パターン層Bの「明度」を着色パターン層Aよりも上げるか、または、着色パターン層Aの厚さを着色パターン層Bの厚さより厚くして、光の透過性を下げる必要がある。
このような調整により、所望の条件下において、「パターンa」と「パターンb」の「色」を同一とする。(ここでいう「色が同一」とは、それらの戻り光を色差計等により光学的に測定した場合に、「同一の色」となることを意味することは言うまでもない。)
例えば、観察者に対して、「パターンb」から戻ってくる光と、「パターンa」から戻ってくる光との比が、(1.5)対(1)のときには、着色パターン層Bと着色パターン層Aに、同一の透明樹脂、同一の染料または顔料を用い、その厚さの比を(1.5)対(1)とする等の調整を行う。
もしくは、着色パターン層Bに、透明性を維持しながら透過する光を散乱させる効果を有する、シリコン樹脂等の透明な微粒子を添加することも、その調整が容易であるため好適である。
また、着色パターン層Aの透明性を高いものとすると、反射性薄膜層から強い光が反射してくるため、着色シート等の全体領域が明るくなって、着色パターン層Aの「パターンa」の領域と、その領域の周辺領域とのコントラスト(明るさの差)が小さくなり、あたかも「パターンa」が消失したように視認されるため、このように「消失」する部分を混入させることも、その偽造防止性を高めるためには好適である。
また、着色パターン層Aと着色パターン層Bを、いずれも透明性の高いものとすると、「パターンa」においては、反射性薄膜層からの反射光が、正反射光として強く反射し、明るい「色」を有する領域となり、「パターンb」に用いられる着色パターン層Bの「明るさ」を上げることによって、その「視認性の差」を僅かなものとすることとなるが、この現象は、反射性薄膜層そのものの光の反射率が高い場合(照明光となる可視光線の反射率が70%以上の場合。)に顕著に表れる。
逆に、着色パターン層Aと着色パターン層Bを隠ぺい性の高いものとしたときには、反射性薄膜層そのものの光の反射率が低い場合(照明光となる可視光線の反射率が30%以下の場合。)にさらに顕著に表れることとなる。
以上のように、着色パターン層Aの上下の面、及び、着色パターン層Bの下の面、の形成形状は、透過乃至は反射する光に対して、散乱性を持たず、「平坦な面」(「鏡面」に近いものを意味する。)とする必要があり、ステンレススクリーン印刷方式、凹版方式、レジスト処理方式、さらには、着色層転写方式を用い、インキとしては、透明な樹脂に、その樹脂に溶解性の高い染料を混入させるか、もしくは、透明な樹脂に、粒径の小さい顔料を混入させ、その顔料が二次凝集しないように、ボールミルや、ニーダー等を用いて、顔料を樹脂中に十分に分散させたものを用いることが好ましい。
また、オフセット印刷方式や、グラビア印刷方式、シルクスクリーン方式を用いる場合には、形成時のインキの粘度調整、及び、乾燥条件の管理により、上記のような「平坦な面」を実現する必要がある。
着色パターン層Aの厚さは、2.0μm〜20μmであり、その平坦性は、表面粗さRaで表して、可視光の波長以下、すなわち、0.1μm〜0.5μmとする。
2.0μm未満では、安定した「色」を呈することができず、20μmを超えると、その段差が視認できるようになるため不都合である。
また、平坦性については、Raが0.5μmを超えると光の散乱性が高くなり、その界面での光の反射が多くなって、その界面の視認性と、着色パターン層Bの界面の視認性との間に、大きな差を生じることとなるため不都合である。平坦性は、もちろん、0.1μm未満とすることが好ましいが、印刷方式や、レジスト処理方式等において形成する場合には、物理的な困難性を伴うものとなる。
着色パターン層Bの厚さは、着色パターン層Aの厚さに対応して決められるが、少なくとも、一方の面が「斜面」となるのに十分な厚さが必要であり、着色パターン層Bの断面形状を台形で例えた場合には、まず、その土台となる部分の厚さは2.0μm〜10μmとする。
そして、土台の上にある直角三角形の部分(台形は、土台となる長方形の上に直角三角形が乗せられている形状といえる。)は、「斜面」の傾斜角度によってその形状が決まることとなる。
着色パターン層Bの形成領域である「パターンb」の領域の大きさが、例えば、100μm×100μmであった場合には、傾斜角度が5度のときは、その直角三角形の形状は、一方の端を0μmとし、他方の端を8.7μmとすることになる。また、傾斜角度が40度のときは、一方の端を0μmとし、他方の端を62.8μmとすることになる。
このとき、100μm×100μmの領域を10μm×10μmに細分化し、個々の10μm×10μmの小さな領域のそれぞれに小さな直角三角形を乗せるという意味で一方の端に0μm、他方の端に6.3μmの上乗せをすることでも傾斜角度40度の斜面を得ることができる。
そして、その斜面の平坦性は、0.1μm〜1.0μmとする。
その土台となる部分の厚さは、2.0μm以上とし、その段差を目立たなくするため、10μm以下とする。平坦性については、その面が、着色パターン層Bの下となって目立たなくなるため、着色パターン層Aよりやや粗いものであっても、その視認性には影響しない。
但し、着色パターン層Bの断面形状を台形とすることは、着色層の厚いところと薄いところ、上記のサイズが100μm×100μmで、傾斜角度が5度の例では、土台2.0μm上に、一方の端に0μm、そして、他方の端に8.7μmの上乗せを行うため、その厚さは、薄いところで2.0μm、厚いところで10.7μmとなる。
従って、着色パターン層Bを一つの組成のインキで形成すると、一方の端と他方の端とで大きな「色」の差が生じてしまう。そこで、100μm×100μmの領域を傾斜方向に10分割し、厚さが大きくなるにつれて、その顔料または染料濃度を徐々に薄めていく手法を用いる。
また、上記したように、100μm×100μmの領域を10μm×10μmに細分化して斜面を形成する場合には、一つ一つの小さな領域内では、薄い方から厚い方へと「色」が徐々に変化しているものの、100μm×100μmの領域全体でみれば、均一な「色」を呈するようにすることができる。
すなわち、100μm×100μmの一方の端の10μm×10μmの「色」(領域内は「色」が変化している。)と、他方の端の10μm×10μmの「色」(この領域も領域内で「色」が変化している。)とが、その内側における「色」の変化状況が同一であり、結果として、この二つの領域の「色」は全く同一ということができる。そして、この分割が微細であるため、観察者にとって、「パターンb」の全体が一つの「色」を呈すると認識できるものである。
「パターンa」や、「パターンb」、そして、それらが一つとなった「パターンc」としては、文字、図形、記号、及びそれらの組み合わせを用いることができる。
特に、ブランドや、メーカー等が使用している「ロゴ」のように、互いに離間している(接していないという意味。)、複数の文字から構成されるものが好適であって、文字毎に、着色パターン層Aと着色パターン層Bとを交互に変化させても良いし、複数の文字の「一文字」のみを着色パターン層Bとし、残りの文字を全て着色パターン層Aとするものであっても良い。
これは、「視認性」の差が、「一文字」の中の一部のみで発生し(着色パターン層A)、他の部分は変化しないもの(着色パターン層B)とした場合には、真正性を判定する者が、その「変化」を判定する際に、「偽造防止のために意図して設けられたもの」か、「単なる印刷ムラ」なのかを判別することが困難なものとなるためであり、「一文字」全体が、「一様に変化」するか、「一様に変化しない」かを判定させることにより、判定の信頼性を確保するためである。
また、着色パターン層A(「パターンa」)と、着色パターン層B(「パターンb」)とを接して形成し、それを合体したものを「パターンc」とすると、「パターンc」内に、その境界線が発生して、その境界線上で二つの領域を見比べることを可能とし、その二つの領域に何らかの差があることを容易に気付かせる要因となる。
しかも、その境界線領域において、着色パターン層Aと着色パターン層Bとが、部分的に重なった場合には、その境界線領域が別の「色」を呈し、判定の信頼性を大幅に低下させることとなる。
さらに、着色パターン層A(「パターンa」)と、着色パターン層B(「パターンb」)の占める領域の大きさは、上記した「ロゴ」等の大きさ(例えば、ロゴを表す線の線幅が2mm。)であれば十分であるが、上記したそれぞれの層の効果を十分に引き出すためには、少なくとも、100μm以上の線幅を有することが必要である。
この線幅は、例えば、「文字を表す画線の内の一つの画線の幅」を意味し、これが、100μm未満であると、反射性薄膜層からの反射光に埋もれて、その「色」の変化を判読し難くなる。
透明樹脂基材としては、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を適宜な手段によってフィルム状、または、シート状にしたものを用いることができる。
透明樹脂基材の一方の面、及び他方の面にそれぞれ、着色パターン層A及び、着色パターン層Bを上記したように形成し、さらに、その着色パターン層B上と、その着色パターン層Bを形成しておらず透明樹脂基材が露出している領域上に、それらの面形状に追従するように、反射性薄膜層を形成する。
反射性薄膜層には、アルミニウム等の金属薄膜や、TiOx等の金属酸化物薄膜、さらには、金属窒化物薄膜を用い、真空蒸着法等の物理的形成方法、もしくは、CVD(化合気相成長)法等により形成することができる。
この反射性薄膜層を形成した際に、着色パターン層Bの端部に存在する「段差」(10μm厚さで形成すると、10μmの段差となる。)が、反射性薄膜層の付着ムラや、反射性薄膜層用材料の変質等により、その光反射性にムラを生じて(目立って)、着色パターン層Aの段差に対して、「明らかな差(視認性の差)」を生じてしまうことを解消するため、「パターンb」領域の端部(境界領域)の5μm〜20μmに「階調(グラデーション)」を設け、且つ、同様の「階調」を「パターンa」の端部にも設ける等の工夫を施すことは、偽造防止性を高くするためにも好適である。この「諧調」領域は、上記の「斜面」を形成する領域とは考えず、「斜面」を取り囲む、「周辺領域」と位置づけるものとする。
その「階調」を施す方法としては、その厚さを10μm、5μm、及び1μmと徐々に小さくするか、もしくは、その領域を厚さ1μmの適宜な大きさの網点領域として、その段差の視認性を抑制する方法が好適である。
また、観察者が、「パターンa」領域の色と、「パターンb」領域の色を視認する場合、単純には、「着色パターン層Aで反射する光」と、「一旦、透明樹脂基材を通過し、着色パターン層Bで反射して、再び、透明樹脂基材を通過して戻ってくる光」とを比較するため(特に、着色パターン層Aと、着色パターン層Bの隠ぺい性が高い場合に顕著となる。)、その色差を小さくするために、透明樹脂基材の透明性は高いことが望ましく、その透明性を示す指標である、「ヘーズ」として10%以下とする。さらには、「ヘーズ」を1%以下とすることがより好適である。
この「ヘーズ」が10%を超えると、着色パターン層Bの視認性が低下するとともに、「色」を判定する際に、「色」の3要素とは異なる要素である、「色のにごり」が発生し、「パターンa」と「パターンb」の「色」を同一とすることが困難となる。
「ヘーズ」を、10%以下に抑えるためには、
透明樹脂基材として、上記した樹脂の中から「ヘーズ」が10%以下の透明な樹脂を用い、その樹脂に相溶する染料を1%〜10%添加したものを用いるか、「ヘーズ」が2%以下の透明な樹脂を用い、その樹脂に分散性の良い微粒子有機顔料もしくは、微粒子無機顔料を、1%〜5%添加したものを用いる。
また、着色パターン層Bは、透明樹脂基材上の一部に形成されているが、その透明樹脂基材と着色パターン層Bとで形成されている「界面」を、着色シート等に入射した「光」が通過(透過)する際に、その「光」が、不要な反射を受けないことが望ましい。
特に、着色パターン層Bが透明な場合には、その「界面」を、着色シート等に入射した「光」が比較的多く通過(透過)するため、その通過する「光」が、不要な反射を受けないことが重要となる。これは、この界面において着色シート等に入射した「光」が比較的多く反射されることで、着色パターン層B内に到達する光が減少するだけでなく、着色パターン層Bを通過して、斜面で反射した反射光が再び着色パターン層Bを通過して透明樹脂基材側に戻ってくる光をも遮断してしまうことで(この界面で反射してしまい、界面を透過しないことを意味する。)、真正性判定の確実性を低下させることとなるからである。そのために、透明樹脂基材の屈折率と、着色パターン層Bの屈折率を同一、もしくは、その屈折率差を0.1以下とする。
その屈折率差が「0」の場合には、その「界面」そのものが存在しないように「光」が透過し、また、屈折率差が存在したとしても、その屈折率差が「0.1以下」の場合には、その「光」に対する不要な反射を十分に抑制することができ、その偽造防止性をさらに高めることができる。
また、上記した、反射性薄膜層の上に、溶剤系もしくは水系の粘着剤を設けることにより、着色ラベルとする。
このことにより、種々の用途における、被貼着体への適用を容易とすることができる。
反射性薄膜層の下にある着色パターン層Bへの影響を抑制するためには、水系の粘着剤を用いることが好ましい。
さらに、上記した着色シートの反射性薄膜層の上に、溶剤系もしくは水系の接着剤層を設け、さらに、着色パターン層Aの領域においては着色パターン層Aを覆い、且つ、着色パターン層Aを設けていない領域においては、透明樹脂基材が露出している領域を覆う、転写用基材を設けて、着色転写シートとする。
このとき、転写用基材は、透明樹脂基材や着色パターン層Aとの剥離が容易なものを用いる。
このことにより、偽造防止性を付与する対象物へ容易に適用でき、且つ、適用後、転写用基材を剥離すると、残った層が非常に薄いため、もはや、その残った層を剥がすことを物理的に難しくでき、偽造防止性の高いものとすることができる。
このときの各層の形成順序は、例えば、転写用基材の上に、着色パターン層Aを設け、その着色パターン層Aを覆うようにして、透明樹脂基材を設け、その上に、着色パターン層Bを設け、それらを覆うように反射性薄膜層を設けた後に、その反射性薄膜層上に接着剤層を設ける順序とすることができる。
この場合には、転写用基材の上に、転写用基材との剥離性を有する「剥離層」を追加しても好適である。
また、この順序で設けた場合には、着色パターン層Aが、透明樹脂基材の中に埋め込まれているため、偽造防止性を付与する対象物へ転写後、転写用基材を剥がした状態で、その剥がした面が面一(着色パターン層Aが飛び出していないという意味。)であるため、偽造防止性にさらに優れるものとなる。
本発明の着色シート等を、蛍光灯下で観察したところ、「斜面の正反射光の進行方向」ではない方向においては、着色パターン層Aの領域である「パターンa」も、着色パターン層Bの領域である「パターンb」も、同一の「色」に見え、一つの「色」からなる「一つのパターンc」として認識できた。
さらに、この着色シート等に対して、照明光源を一つとし、その照明光源、着色シート等、及び、観察位置の空間配置を変化させ、照明光源からの照明光が着色パターン層Bの斜面で正反射して出てくる方向に観察位置がくるように動かしたところ、その配置にぴったりと合致したところで、「パターンb」のみ「色」に変化が生じ、容易且つ確実に、真正性を確認することができた。
また、本発明の着色ラベルを適宜な被貼着体へ貼り付けた状態で、同様の効果を確認することができた。
さらに、本発明の着色転写シートを用いて、適宜な対象物へ転写した状態でも、同様の効果を確認できた。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
本発明の一実施例を示す着色シートHの断面図である。 本発明の別の実施例を示す着色ラベルH´の断面図である。 本発明のさらに別の実施例を示す着色転写シートH´´の断面図である。
(透明樹脂基材)
本発明の着色シートHの透明樹脂基材1に用いられる樹脂材料としては、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としてはアクリル酸エステル樹脂、アクリルアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、もしくはポリスチレン樹脂等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、もしくはフェノール樹脂等が挙げられる。(図1参照。)
これらの熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は、1種もしくは2種以上を使用することができる。これらの樹脂の1種もしくは2種以上は、各種イソシアネート樹脂を用いて架橋させてもよいし、あるいは、各種の硬化触媒、例えば、ナフテン酸コバルト、もしくはナフテン酸亜鉛等の金属石鹸を配合するか、または、熱もしくは紫外線で重合を開始させるためのベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、ナフトキノン、アゾビスイソブチロニトリル、もしくはジフェニルスルフィド等を配合しても良い。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル変性ポリエステル等を挙げることができ、このような電離放射線硬化性樹脂に架橋構造を導入するか、もしくは粘度を調整する目的で、単官能モノマーもしくは多官能モノマー、またはオリゴマー等を配合して用いてもよい。(図1参照。)
熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、平滑な面を有する型面に未硬化の樹脂を密着させたまま、加熱もしくは電離放射線照射により、硬化を行わせ、硬化後に剥離することによって、硬化したフィルム状またはシート状の透明樹脂基材1を得ることができる。
また、上記した透明樹脂基材に用いられる樹脂材料の中から、ヘーズが10%以下である透明材料を選定して用いることで、透明樹脂基材1のヘーズを10%以下とすることができる。
(着色パターン層A、または、着色パターン層B)
本発明の着色シートHでは、透明樹脂基材1の一方の面の一部に「着色パターン層A」2を形成し、その透明樹脂基材1の他方の面の一部に「着色パターン層B」3を形成する。(図1参照。)
「着色パターン層A」2に用いられる顔料としては、
有機顔料として、キナクリドン系レッド・マゼンタ、アンスラキノン系レッド・イエロー、ポリアゾ系イエロー、ベンズイミダゾロン系イエロー・オレンジ、フタロシアニン系顔料として、銅フタロシアニンブルー(α型、β型)、銅フタロシアニングリーン、異種金属フタロシアニンブルー、スレン系ブルー、アゾ系顔料として、溶性アゾ顔料(カーミン6B、パーマネントレッド2B他)、不溶性アゾ顔料(ジスアゾ系、モノアゾ系他)、不溶性多環式顔料(赤:キナクリドン、ペリレン、ジケトピロロピロール、橙:ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、黄:キノフタロン、イソインドリノン、緑:フタロシアニン、青:フタロシアニン、インダンスレン、紫:ジオキサジン他)、不溶性レーキ顔料(赤:レーキレッドC、ウォチュングレッド他)等がある。
特に、不溶性アゾ顔料、不溶性多環式顔料、不溶性レーキ顔料は、着色力が強く、鮮明な色相を有し、透明性が高いため好適である。
無機顔料としては、複合酸化物系顔料、微粒子複合酸化物系顔料、紺青、ハイブリッド型顔料等があるが、さらに、弁柄、モリブデンレッド、カドミウムレッド、鉛丹(以上、赤色。)、黄鉛(赤口)、モリブデンオレンジ(橙色)、カドミウムオレンジ(橙色)、群青(ウルトラマリンブルー)、紺青(プルシアンブルー)、コバルトブルー、セルリアン、マンガン青(以上、青色。)、アンバー(茶色。)、黄鉛、カドミウムイエロー、チタン黄、黄色酸化鉄(以上、黄色。)、酸化クロム、コバルトグリーン、ビリジアン、ピーコック(以上、緑色。)、マルス紫、コバルトバイオレット、マンガンバイオレット(以上、紫色。)その他、体質顔料や、金属粉顔料等が用いられる。
顔料の粒径は、通常のものを使用できるが、「着色パターン層A」2の透明性を確保するには、顔料の粒径が0.01〜0.1μmのもの(微粒子顔料)を使用する。但し、この粒径のものは、二次凝集しやすく、再分散処理等を施す必要がある。添加量は、用いる形成方法において、形成する厚さとのバランスで決められるが、通常1%〜20%添加が好適であり、適宜な溶剤または水に溶かして、2〜20μmの厚さに形成する。
形成方法は、「着色パターン層A」2の平坦性を、表面粗さRaで、0.1μm〜0.5μmとするため、ステンレススクリーン印刷方式、凹版方式、レジスト処理方式、さらには、着色層転写方式が好ましい。
さらに、「着色パターン層A」2の「ヘーズ」を、10%以下に抑えるためには、「ヘーズ」が2%以下の透明な樹脂を用い、その樹脂に分散性の良い微粒子有機顔料もしくは、微粒子無機顔料を、1%〜5%添加したものを用いる。
アクリル樹脂(ヘーズ2%以下)、ポリカーボネート樹脂(同2%以下)等に、上記微粒子顔料を1%〜5%添加し、透明樹脂基材1に対する溶解性の小さい溶剤系を用いて、固形分30%〜50%として形成する。
このとき、溶剤系に乾燥速度の比較的遅いもの(沸点100℃以上、好ましくは、沸点130℃以上のもの。)を溶剤成分の10%〜20%混入させ、その乾燥中に、「着色パターン層A」2の表面のレベリングを促進することも好適である。
「着色パターン層A」2に用いられる染料としては、天然染料、及び合成染料があり、ダイレクトレッド2、ダイレクトレッド28(コンゴレッド)などの直接染料、オレンジ2などの酸性染料、メチレンブルーなどの塩基性染料、カチオン染料、アリザリンなどの媒染染料、モーダントブラック3などの酸性媒染染料、硫化染料、インディゴなどの建染染料、ナフトール染料、ディスパースイエロー7、ディスパースオレンジ3、ディスパースレッド17、1,4−ジアミノアンスラキノンなどの分散染料及び、レアクティブレッド1などの反応染料等を用いることができる。
これら染料を、適宜な樹脂に溶解させて、着色パターン層A用のインキとすることができるが、相溶性の高い透明樹脂に溶解させることで、より鮮明な色相と、より高い透明性を得ることができる。
染料の添加量は、1%〜30%とする。また、染料系を用いた場合は、顔料系よりも形成時のレンズベリング性や、表面平滑性に優れるため、より「平坦な面」を実現することができる。
固形分及び、形成方法は顔料系と同様である。
さらに、「着色パターン層A」2の「ヘーズ」を、10%以下に抑えるためには、「ヘーズ」が5%以下の透明な樹脂を用い、その樹脂に相溶する染料を1%〜10%添加したものを用いる。
また、「着色パターン層A」2に使用される樹脂は、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド系樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などが挙げられ、透明樹脂基材1との接着性の良好なもの、顔料や染料の分散性や相溶性の良いものが使用できる。
さらに、これらの顔料や、染料に加えて、「色」を調整するため、粒径0.1μm〜1.0μmの炭酸カルシウム等の透明体質顔料や、透明性を有しながら光散乱性を有するシリコンパウダー等の高屈折率透明樹脂粒子を使用することもできる。
これらの透明体質顔料や、透明樹脂粒子は、「着色パターン層A」2の光透過性を抑制する効果を持ち、その添加量は、固形分比1%〜10%とする。1%未満では、添加した効果が表れず、10%を超えると、インキとしてのレベリング性や、分散性に悪影響を及ぼすことになる。
「着色パターン層B」3に用いられる樹脂、顔料、及び染料としては、上記したものにおいて、反射性薄膜層4や、透明樹脂基材1との接着性の良好なもの、顔料や染料の分散性や相溶性の良いものが使用でき、「着色パターン層A」2と同様の透明性を付与する場合には、その配合も「着色パターン層A」2と同様とするが、隠ぺい性を付与する場合には、隠ぺい性に優れるチタン白や、鉛白等の顔料を用いることになる。
また、その形成時に、透明樹脂基材1の形状や性質に影響を及ぼさないようにするため、その溶剤系や、形成方法を選択する。特に、その形成プロセスにおいて、「着色パターン層B」3を形成する領域(「パターンb」の領域。)以外の領域にある透明樹脂基材1面には、物理的または、化学的な接触が全く無い方法が望ましい。
また、「着色パターン層B」3が設けられている領域における、(透明樹脂基材1と「着色パターン層B」3との界面。)において、その界面での反射率をほぼ「0%」とするために、透明樹脂基材1に使用する樹脂材料の屈折率と、「着色パターン層B」3に使用する樹脂の屈折率を同一とするか、または、その屈折率差を0.1以下とするように、「着色パターン層B」3に使用する樹脂を選定する。
例えば、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができ、熱可塑性樹脂としては、アクリル酸エステル樹脂(屈折率n=1.47)、アクリルアミド樹脂(n=1.50)、ニトロセルロース樹脂(n=1.54)、酢酸ビニル樹脂(n=1.47)、もしくは、ポリスチレン樹脂(n=1.60)等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、ウレタン樹脂(n=1.60)、エポキシ変性アクリル樹脂(n=1.55)、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、アルキッド樹脂(n=1.54)、もしくはフェノール樹脂(n=1.60)等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は、1種もしくは2種以上を使用することができ、各種イソシアネート樹脂を用いて架橋させてもよいし、あるいは、各種の硬化触媒、例えば、ナフテン酸コバルト、もしくはナフテン酸亜鉛等の金属石鹸を配合するか、または、熱もしくは紫外線で重合を開始させるためのベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、ナフトキノン、アゾビスイソブチロニトリル、もしくはジフェニルスルフィド等を配合しても良い。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート(n=1.55)、ウレタンアクリレート(n=1.54)、アクリル変性ポリエステル(n=1.64)等を挙げることができ、このような電離放射線硬化性樹脂に架橋構造を導入するか、もしくは粘度を調整する目的で、単官能モノマーもしくは多官能モノマー、またはオリゴマー等を配合して用いてもよい。
さらに、環境に配慮して、生分解性プラスチックを用いることもできる。
もちろん、これらの樹脂を、「着色パターン層A」2にも使用し、その耐久性や、物理特性の高いものとすることも好適である。
「着色パターン層B」3の斜面を形成する方法としては、「着色パターン層A」2の形成方法と同様の方法を用いることができるが、斜面の傾斜角度を5度〜40度とすることや、その平坦性である、表面粗さRaで0.1μm〜1.0μmとすることを実現するためには、凹版方式、着色層転写方式及び着色層成形方式を用いることが好適である。
凹版印刷方式は、凹版の底面を斜面とし、自由なパターンで100μm程度の厚さの印刷をすることができ、且つ、印刷形状の再現性が高い。
着色層転写方式は、転写基材上にあらかじめ「着色パターン層B」3に相当する着色層を設けておき、透明樹脂基材1上に位置合わせをして重ね合わせ、転写基材上から加熱し、且つ、加圧して、その着色層自体の接着性を利用して、着色層部分のみを透明樹脂基材1上へ転写(転移)させるものである。その転写後に斜面となる面は、転写基材上の表面が写し取られた面となるため、高い平坦性と、高い再現性を付与することが可能である。
着色層成形方式は、あらかじめ凹版と同様の成形型をフォトレジストの露光量調節等の手法を用いて作成しておき、この成形型の凹部に電離放射線硬化型の樹脂を埋め込んで、透明樹脂基材1上に接するように重ねて、電離放射線を照射した後、その成形型を剥がすことで、「着色パターン層B」3を高い精度で形成することができるものである。ここで、フォトレジストの露光量調節とは、通常の「露光するか否かのON/OFFの露光」ではなく、一つのパターンを細分化し、その細かな領域に、パターンの端部から徐々に露光量を増加させ、フォトレジスト現像後には、階段状の斜面を形成することをいう。このとき、その階段の一つのステップの段差が0.1μm未満であれば、本発明の「斜面」に該当することになる。これは、例えば、電子線レジストを用いた電子線描画方式により実現できる。(形成方法は図示せず。)
また、それぞれの方式で、凹版や、転写基材表面、及び成形型の底の部分の面が、「着色パターン層B」3の斜面に該当するため、この面を表面粗さRaで0.1μm〜1.0μmとなる平坦な面とすることが必須である。
さらに、これらの形成方法は、「パターンb」を微細な領域に分割して、「着色パターン層B」3を形成する場合にも好適に用いることができる。
(反射性薄膜層)
本発明の着色シートHでは、透明樹脂基材1の上に接して、追従するように、且つ、透明樹脂基材1の上に「着色パターン層B」3が設けられている領域においては、その「着色パターン層B」3に接して、追従するように、反射性薄膜層4を形成する。(図1参照。)
この反射性薄膜層4は、入射した光を反射する必要があるため、透明樹脂基材1、及び、「着色パターン層B」3よりも高い屈折率を有する薄膜であれば、特に限定されない。
反射性薄膜層4としては、真空薄膜法などにより形成される金属薄膜などの金属光沢反射層、または透明反射層のいずれでもよいが、金属光沢反射層を部分的に設けたり、透明反射層を設けた場合は、着色シートHを、偽造防止を図る対象物に適用した後、着色シートHに覆われた対象物上の画像などが着色シートHを通して観察できるので好ましい。
透明反射層としては、ほぼ無色透明な色相で、その光学的な屈折率が透明樹脂基材1のそれとは異なることにより、金属光沢が無いにもかかわらず、光輝性を視認できることから、透明性と反射性を兼ね備える薄膜を作製することができる。
例えば、透明樹脂基材1よりも光屈折率の高い薄膜の例として、ZnS、TiO2、Al23、Sb23、SiO、SnO2、ITOなどがある。好ましくは、金属酸化物又は窒化物であり、具体的には、Be、Mg、Ca、Cr、Mn、Cu、Ag、Al、Sn、In、Te、Ti、Fe、Co、Zn、Ge、Pb、Cd、Bi、Se、Ga、Rb、Sb、Pb、Ni、Sr、Ba、La、Ce、Auなどの酸化物又は窒化物、または、それらの2種以上を混合したものなどが例示できる(これらを総称して透明金属化合物ともいう。)。またアルミニウムなどの一般的な光反射性の金属薄膜も、厚みが20nm以下になると、透明性が出て使用できる。
透明金属化合物の形成は、金属の薄膜と同様、10〜2000nm程度、好ましくは20〜1000nmの厚さになるよう、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD(化合気相成長)法などの真空薄膜法などにより設ければよい。特にCVD法は透明樹脂基材1への熱的ダメージが少ない。また、他の薄膜形成法を用いても、形成する薄膜層を薄くしておくと、その熱的ダメージを少なくすることができる。例えば、アルミニウム蒸着層であれば、形成条件によるが、ほぼ20nmで透明性が無くなり全反射性(可視光波長の光を90%以上反射することをいう。)を出現する臨界点である。この厚さは薄膜材料、形成方法、金属加熱温度や真空度等の形成条件により異なる。
(粘着剤層)
本発明の着色ラベルH´(図2参照。)に用いられる粘着剤層5としては、従来公知の溶剤系及び水系のいずれの粘着剤も用いることができる。例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂や、天然ゴム、クロロプレンゴムなどのゴム系樹脂などを挙げることができる。自然にやさしい材料構成とするために、特に、天然ゴムを主成分とするラテックス、または、それを変性したもの、特に天然ゴムにスチレンとメタクリル酸メチルとをグラフト重合させて得た天然ゴムラテックス等の天然素材から作製されたものを用いても良い。
粘着剤層5の塗工量は、約8〜30g/平方メートル(固形分)が一般的であり、従来公知の方法、すなわち、グラビアコート、ロールコート、コンマコートなどの方法で、塗布し乾燥して粘着剤層5を形成する。また、粘着剤層5の粘着力は、反射性薄膜層4と粘着剤層5との剥離強度で、JIS Z0237準拠の180度による剥離方法において、0.1〜1kg程度の範囲にすることが望ましい。もちろん、それ以上の剥離強度を有していても、本発明の目的には適合している。
本発明の着色ラベルH´を、偽造防止を図る対象物(被貼着体)の所望の位置に、その粘着剤層5が接するように貼りつけ、加圧することで、容易にその対象物に適用することができる。
(転写用基材、または、接着剤層)
本発明の着色転写シートH´´(図3参照。)で使用される転写用基材6は、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や、着色転写シートH´´を製造する際の処理や加工に適した耐溶剤性及び耐熱性を有するものが好ましく、さらに、透明樹脂基材1及び、「着色パターン層A」2との剥離性を有するもの(転写用基材6を容易に剥離することができるという意味。)とする。
使用目的にもよるので、限定されるものではないが、フィルム状もしくはシート状のプラスチックが好ましい。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアリレート、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、ポリエチレン/ビニルアルコール等の各種のプラスチックフィルムを例示することができる。
転写用基材6の一方の面に、シリコン処理等の表面不活性化処理を全面に施し、転写用基材6の剥離強度を所望の値に抑えることも好適である。
転写用基材6の厚さは、通常5〜100μmであるが、転写シートとしての取り扱い適正から12〜25μmとすることが望ましい。
もちろん、環境影響を配慮して、透明な生分解性を有するプラスチックフィルム又はシートを使用することもでき、化学合成系として、ラクトン系樹脂:εーカプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、3,5,5−トリメチルカプロラクトン、3,3,5−トリメチルカプロラクトン、βープロピオラクトン、γーブチロラクトン、δーバレロラクトン、エナントラクトンの単独重合体またはこれら2種以上のモノマーの共重合体、これらの混合物、ポリカプロラクトン、もしくは、ポリブチレンサクシネート系樹脂:ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリブチレンサクシネートとポリカプロラクトンとの混合物、ポリブチレンサクシネートとポリブチレンサクシネート・アジペートとの混合物、ポリブチレンサクシネート・アジペートとポリ乳酸との混合物、もしくは、ポリ乳酸、ポリ乳酸とD−乳酸との混合物など、もしくは、低分子量脂肪族ジカルボン酸と低分子量脂肪族ジオールより合成したポリエステル樹脂、例えばコハク酸とブタンジオール、エチレングリコールとの組み合わせや、シュウ酸とネオペンチルグリコール、ブタンジオール、エチレングリコールとの組み合わせなど、もしくは、変性ポリビニルアルコールと脂肪族ポリエステル樹脂と澱粉の混合物、または、低分子量脂肪族ポリエステルに脂肪族イソシアネートを添加して重合させたものなどが好適である。
また、天然物系として、ゼラチンなどの動物性天然物質、セルロースなどの植物性天然物質など、もしくは、澱粉脂肪酸エステル、澱粉キトナン・セルロースなど、または、微生物生産系として、ポリヒドロキシブチレートや、ポリエステル系、さらには、炭素源として3−ヒドロキシプロピオン酸、4−ヒドロキシ酪酸、もしくは、γ―ブチロラクトンをベースとするP(3HB−CO―4HB)、または、炭素源としてプロピオン酸、吉草酸をベースとしたP(3HB−CO―3HV)などが好適である。
また、転写用基材6の上に、透明樹脂基材1及び、「着色パターン層A」2との剥離性を有する剥離層(図示せず。)を設けてもよく、剥離層は、転写用基材6とは剥離する性質を有し、透明樹脂基材1及び、「着色パターン層A」2との接着性に優れ、且つ、耐久性に優れるものが望ましく、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等より選定する。透明性を有し、且つ、耐久性を有するシリコン樹脂微粒子等を添加することも好適である。
そして、反射性薄膜層4の上に、接着剤層7を設ける。(図3参照。)
接着剤層7に用いられる接着剤としては、偽造防止を図る対象物に対する接着性を確保するためのものであるので、反射性薄膜層4等との接着性がよく、被転写物である対象物と強固に接着できるものが好ましい。具体的には、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、及びゴム変性物などが挙げられ、これらの中から適するものを適宜選択して使用でき、また、これらは単体、もしくは2種以上の混合系で、更に必要に応じてハードレジンや可塑剤、または、その他の添加剤を加えて使用することができ、形成厚さ、形成方法等は適宜選択する。
本発明の着色転写シートH´´を、その対象物に接着剤層7を接するように重ね、転写用基材6側から100℃〜200℃の加熱と、1g/平方ミリメートル〜100g/平方ミリメートルの加圧により、その対象物に貼着させ、その後、転写用基材6のみを剥離することにより、容易に、偽造防止を図る対象物に適用することができる。
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。なお、溶媒を除き、各層の各組成物は固形分換算の質量部である。
(実施例1)
透明樹脂基材1を構成する樹脂材料として、50μm厚さの透明なメラミン樹脂を押し出し成形法によりシート上に形成したものを用いた。(図1参照。)
この透明樹脂基材1の一方の面に、下記組成の「着色パターン層A」2を、ステンレススクリーン方式を使用して、厚さ5.0μmの赤色の文字(ロゴ)「BR ND」を形成した。
この一つ一つの文字サイズは、5mm×5mmの文字とし、一つのブランクを含む、「4文字+1ブランク」の5文字長のものを繰り返えして天地左右に配置したデザイン(天地方向には2mmの隙間をあけ、左右方向には、3mmの隙間を設けた。)とした。「BR ND」の文字の画線幅は、ほぼ300μmであった。(これが、透明樹脂基材1の一方の面の一部に設けられた「着色パターン層A」2に相当し、このデザインが、「パターンa」に相当する。)
そして、乾燥条件は、緩やかなものとし、文字表面の平滑性を高めた。このときの「着色パターン層A」2の平坦性は、表面粗さRaで、0.5μmであった。
・<着色パターン層A用組成物>
メラミン樹脂 30質量部
フタロシアニン系染料 10質量部
トルエン 30質量部
イソプロピルアルコール 2 5質量部
ブチルセルソルブ 5質量部
さらに、この透明樹脂基材1の他方の面に、下記組成の「着色パターン層B」3を、凹版印刷方式を使用して、文字の線幅方向(幅300μm)に傾斜角度10度で形成した。(この傾斜角度は、透明樹脂基材の他方の面に対して10度とした。)このとき、幅300μmを10分割して、文字の画線を30μm幅の短冊状領域に分け、それぞれの短冊状領域の幅方向に傾斜角度10度の傾斜を設けた。
・<着色パターン層B用組成物>
メラミン樹脂 30質量部
フタロシアニン系染料 10質量部
蛍光増白剤 2質量部
トルエン 30質量部
イソプロピルアルコール 2 5質量部
ブチルセルソルブ 3質量部
「着色パターン層B」3の短冊状領域の一方の端部での厚さを4.4μmとし、30μm離れた他の端部での厚さを9.6μmとした。従って、「着色パターン層B」3は、傾斜角度30度の面を持つ短冊状領域が繰り返して形成されたものとなった。(図示せず。図1〜3には、「着色パターン層B」3として、一つの斜面を有する例を示している。)
その結果、平均厚さ7.0μmの赤色の文字(ロゴ)「 A 」を形成した。
このとき、このロゴ「 A 」は、4つのブランクと一つの文字からなり、その「A」の位置が、ちょうど、「着色パターン層A」2の(ロゴ)「BR ND」の中央に位置するように配置した。「 A 」の文字の画線幅も、ほぼ300μmであった。(これが、透明樹脂基材1の他方の面の一部に設けられた「着色パターン層B」3に相当し、このデザインが、「パターンb」に相当する。)
(図1参照。)
さらに、この透明樹脂基材1上及び、「着色パターン層B」3に接して、追従するように、アルバック社製真空蒸着機にて、200nm厚さのアルミニウム薄膜からなる反射性薄膜層4を形成し、実施例1の着色シートHとした。(図1参照。)
この着色シートHを、透明樹脂基材1側から、事務所室内の天井に等間隔に設置されている10本の蛍光灯の照明下にて観察したところ、着色シートHを正面から観察した際には、「BR ND」(「パターンa」)の赤い文字が、反射性薄膜層4からの反射光を背後から受けて、また、「 A 」(「パターンb」)の赤い文字は、明度を向上させた組成物を1.4倍の厚さで設けたことで、「BR ND」の赤い文字の「色」と、「 A 」の赤い文字の「色」が「同一」と認識され、あたかも、それらの文字が合わさって、「赤色一色」からなる「BRAND」という「一つのロゴ」が印刷されているように認識された(「パターンa」と「パターンb」とが同色であるため、一体となって、「パターンc」である「BRAND」と視認されることを意味する。)。
このとき、「パターンb」である「 A 」の赤い文字の画線内は均一の「色」を呈していると認識できた。(図示せず。)
そして、この着色シートHを、上記蛍光灯の中の1本のみを点灯させ、この蛍光灯からの着色シートHへの入射光が、「着色パターン層B」3の斜面によって正反射される方向から着色シートHを観察すると、「 A 」(「パターンb」)の赤い文字のみが明るくなり、その真正性を判定することができた。(図示せず。)
以上のことから、本発明の着色シートHが高い偽造防止性を有するものと思われた。
(実施例2)
透明樹脂基材1を構成する樹脂材料として、アクリル樹脂(ヘーズ2%)を用い、「着色パターン層A」2及び「着色パターン層B」3に、下記組成のインキ組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の着色シートHとした。(図1参照。)
・<着色パターン層A用組成物>
アクリル樹脂 30質量部
レイキッドC微粒子有機顔料 1質量部
トルエン 30質量部
イソプロピルアルコール 3 4質量部
ブチルセルソルブ 5質量部
・<着色パターン層B用組成物>
メラミン樹脂 30質量部
レイキッドC微粒子有機顔料 1質量部
蛍光増白剤 2質量部
トルエン 30質量部
イソプロピルアルコール 3 4質量部
ブチルセルソルブ 3質量部
この着色シートHを、実施例1と同様に評価したところ、「着色パターン層A」2の「色」(青色)の変化が、より明確に視認されたこと以外は、実施例1と同様の良好な評価
結果を得た。
(実施例3)
透明樹脂基材1を構成する樹脂材料として、アクリル酸エステル樹脂(屈折率n=1.47)を用い、「着色パターン層A」2と「着色パターン層B」3に、下記組成のインキ組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の着色シートHとした。(図1参照。)
・<着色パターン層A用組成物>
アクリル酸エステル樹脂(屈折率n=1.47) 30質量部
フタロシアニン系染料 10質量部
トルエン 30質量部
イソプロピルアルコール 2 5質量部
ブチルセルソルブ 5質量部
・<着色パターン層B用組成物>
アクリル酸エステル樹脂(屈折率n=1.47) 30質量部
フタロシアニン系染料 10質量部
蛍光増白剤 2質量部
トルエン 30質量部
イソプロピルアルコール 2 5質量部
ブチルセルソルブ 3質量部
この着色シートHを、実施例1と同様に評価したところ、「着色パターン層B」3の領域における、「着色パターン層B」3と透明樹脂基材1との界面での反射が消失したこと(観察角度を変えても、その「色」が変化しないことを意味する。)以外は、実施例1と同様の良好な評価結果を得た。
(実施例4)
実施例3の「着色パターン層A」2及び「着色パターン層B」3用インキ組成物として、下記組成物を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、実施例4の着色シートHを得た。(図1参照。)
・<着色パターン層A用組成物>
エポキシ変性アクリル樹脂(n=1.55) 30質量部
フタロシアニン系染料 10質量部
トルエン 30質量部
イソプロピルアルコール 2 5質量部
ブチルセルソルブ 5質量部
・<着色パターン層B用組成物>
エポキシ変性アクリル樹脂(n=1.55) 30質量部
フタロシアニン系染料 10質量部
蛍光増白剤 2質量部
トルエン 30質量部
イソプロピルアルコール 2 5質量部
ブチルセルソルブ 3質量部
この着色シートHを、実施例1と同様に評価したところ、「着色パターン層B」3の領域における「着色パターン層B」3と透明樹脂基材1との界面での反射が消失したことが感じられたこと(透明樹脂基材1の他方の面の正反射角度に観察角度を合わせても、その「色」が比較的変化しないことを意味する。)以外は、実施例1と同様の良好な評価結果を得た。
(実施例5)
実施例1の反射性薄膜層4の上に、下記組成の粘着剤層5を、シルクスクリーン印刷方式を用いて、30μm厚さで形成し、実施例4の着色ラベルH´を得た。(図2参照。)
・<粘着剤組成物>
酢酸ビニル−アクリル共重合体 30質量部
トルエン 20質量部
酢酸ビニル 20質量部
イソプロピルアルコール 2 5質量部
ブチルセルソルブ 5質量部
この着色ラベルH´の粘着剤層5を、偽造防止性を付与する対象物の表面に置き、圧力をかけたところ、着色ラベルH´が、その対象物表面に容易に貼着し、透明樹脂基材1側から、室内蛍光灯下にて観察したところ、実施例1と同様の良好な評価結果を得た。
(実施例6)
転写用基材6として、25μmポリエチレンテレフタレートを用い、その一方の面に、実施例1の「着色パターン層A」2を同様の方法を用いて形成し、その一方の面と、「着色パターン層A」2の表面を覆うように、下記組成の組成物を、グラビアコーティング方式を用いて、10μmの厚さで形成し、その上に、実施例1の「着色パターン層B」3を同様の配置となるように形成した。(図3参照。)
・<透明樹脂基材用組成物>
メラミン樹脂 30質量部
トルエン 40質量部
イソプロピルアルコール 1 0質量部
酢酸エチル 20重量部
その上に実施例1と同様にして、反射性薄膜層4を形成し、その上に、下記組成の接着剤層7をグラビアコーティング方式を用いて、10μmの厚さで形成し、実施例6の着色転写シートH´´を得た。(図3参照。)
・<接着剤組成物>
酢酸ビニル−アクリル共重合体 20質量部
トルエン 40質量部
酢酸ビニル 40質量部
この着色転写シートH´´の接着剤層7面を、偽造防止性を付与する対象物の表面に接するように置き、転写用基材6側から、120℃、且つ、10g/平方ミリメートルにて加熱且つ加圧した後、その転写用基材6を剥離し、その対象物上に、転写部分(着色転写シートH´´の構成から、転写用基材6を剥離した部分。)を転写した。
その転写部分は、もはや、その対象物から剥がすことができず、高い偽造防止性を有すると思われたこと以外は、実施例1と同様の良好な評価を得た。
(実施例7)
実施例6において、反射性薄膜層4を、アルバック社製電子線加熱方式真空蒸着機を用いて、TiOx薄膜層40nmを形成したこと以外は、同様にして、実施例7の着色転写シートH´´を得た。(図3参照。)
この着色転写シートH´´を実施例6と同様にして、偽造防止性を付与する対象物のデザインの上に転写したところ、転写部分を通して、「着色パターン層A」2及び「着色パターン層B」3の「ロゴ」の背後に、その対象物にあらかじめ印刷されていたデザインを視認することができ、意匠性が向上するとともに、さらに偽造防止性が高いものとなったこと以外は、実施例6と同様に良好な評価結果を得た。
(比較例)
(比較例1)「着色パターン層A」2及び「着色パターン層B」3を設けず、「着色パターン層A」2と同様の組成物を用いて、「BRAND」の「ロゴ」を一様に形成したこと以外は、実施例1と同様にし、比較例1の着色シートを得た。
この着色シートを実施例1と同様に評価したところ、形成した「BRAND」の「ロゴ」は、いずれの文字も同様に視認されるものであり、「BRAND」の「ロゴ」を着色シートの上に単に印刷形成するだけで、同様のものが容易に作成でき、偽造防止性に劣るものであると思われた。
H 着色シート
H´ 着色ラベル
H´´ 着色転写シート
1 透明樹脂基材
2 着色パターン層A
3 着色パターン層B
4 反射性薄膜層
5 粘着剤層
6 転写用基材
7 接着剤層

Claims (5)

  1. 透明樹脂基材の一方の面の一部に着色パターン層Aが設けられ、前記透明樹脂基材の他方の面の一部に着色パターン層Bが設けられ、且つ、前記透明樹脂基材の他方の面並びに前記着色パターン層Bに追従するように反射性薄膜層が設けられた着色シートにおいて、
    前記着色パターン層Bの前記透明樹脂基材と接していない面は、前記透明樹脂基材の他方の面に対して所定角度の斜面をなしていることを特徴とする着色シート。
  2. 前記透明樹脂基材のヘーズが、10%以下であることを特徴とする請求項1に記載の着色シート。
  3. 前記透明樹脂基材の屈折率と、前記着色パターン層Bの屈折率が同一、もしくは、その屈折率差が0.1以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の着色シート。
  4. 請求項1〜3に記載の着色シートの前記反射性薄膜層の上に、粘着剤層が設けられていることを特徴とする着色ラベル。
  5. 請求項1〜3に記載の着色シートの前記反射性薄膜層の上に、接着剤層が設けられ、且つ、前記透明樹脂基材と前記着色パターン層Aを覆うように転写用基材が剥離可能に設けられていることを特徴とする着色転写シート。
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