JP4186191B2 - 植物ステロールエステル含有毛髪化粧料用感触向上剤 - Google Patents

植物ステロールエステル含有毛髪化粧料用感触向上剤 Download PDF

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Description

本発明は、優れた機能・効能・効果等を毛髪化粧料(整髪剤、ヘアコンディショナー、仕上げ剤、染毛剤、ウェーブ剤等)に付与することができる毛髪化粧料用感触向上剤に関する。
従来、ラノリン(羊毛蝋)は、配合原料として各種の製品に使用されてきた。例えば、ラノリンは、毛髪や皮膚に対し、しっとり感、適度の油性感、ツヤ等を付与することができるため、化粧料(毛髪化粧料、乳液、クリーム、口紅、ローション等)に配合されてきた。又、ラノリンは、乳化安定性やエモリエント性に優れるため、乳化助剤や安定剤、軟化剤としても使用されてきた。
しかしながら、ラノリンは、固有の臭気があり、更にはアレルギーを惹き起こすといった問題があった。更に、最近では、動物由来物質に起因する健康被害(BSE等)が問題となり、一般に動物由来物質が敬遠されるという傾向がある。
そこで、従来より、非動物由来のラノリン代用物質の試みが行われている。例えば、特許文献1には、そのようなラノリン代用物質として、植物ステリン(ステロール)と特定のエステルとからなる乳化剤が記載されている。又、特許文献2には、植物性ステリンの酸化エチレン付加物、特定の混合エステル、及び特定のジクリセリドからなるラノリン代用物質が記載されている。
しかしながら、上記ラノリン代用物質は、何れも合成物質を含有している。そのため、これらの合成物質が経口・経皮吸収された場合、健康上、問題が発生する可能性がある。更には、合成物質は、天然物に比し温和(マイルド)な作用に欠け、所謂、「人にやさしい」機能を付与しにくい。
一方、非動物由来物質であって体内に吸収されても健康上、安全な天然物としては、フィトステロール(植物ステロール)及びフィトステロール脂肪酸エステルが知られる。これらの物質は、穀類、野菜、果実、キノコ類などの植物性食品に含まれ、日常的に食品から摂取されている。
そのようなフィトステロールやフィトステロール脂肪酸エステルを使用した化粧料としては、特許文献3に、フィトステロール、水素添加フィトステロール、及び特定のフィトステロール脂肪酸エステルを配合した化粧料が記載されている。又、特許文献4には、ステロール(スチグマステロール等)の不飽和脂肪酸(オレイン酸等)エステルを有効成分とする頭髪用化粧料が記載されている。
しかしながら、上記化粧料は何れも、ラノリン代用物質として開発されたものではないため、ラノリン様の風合い(しっとり感、適度の油性感、ツヤ等)を十分付与できないという問題がある。
フィトステロールやフィトステロール脂肪酸エステルを使用した他の化粧料として、特許文献5に、ヒドロキシ脂肪酸とフィトステロールから得られるステロイドエステル化物と特定のアルコールエステル化物とからなるラノリン代用化粧料原料が開示される。又、特許文献6には、フィトステロール又はその誘導体(オレイン酸エステル等)、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、並びに特定のシリコーン油を含有する化粧料が記載されている。更に、特許文献7には、カチオン性界面活性剤、高級アルコール、シリコーン、及び特定の油剤(オレイン酸フィトステリル等)を含有するヘアーリンス組成物が記載されている。
しかしながら、上記化粧料は何れも、フィトステロール又はフィトステロール脂肪酸エステルとして単独に調製(若しくは分離等)して得られるものを使用するため、工業的に高価なものになり、広く化粧料や皮膚外用剤等に利用するには問題があった。
そこで、特許文献8には、植物ステロールワックスを効率よくかつ安価に製造できる植物ステロールワックスの製造方法が提案されている。更に、同号公報には、この植物ステロールワックスを用いて調製される使用感、安定性に優れた皮膚外用剤として、フィトステロール、フィトステロール脂肪酸エステル及び炭化水素を主成分とした植物ステロールワックスを含有する皮膚外用剤が提案されている。
この皮膚外用剤は、上述の通り、効率よく安価に製造でき且つ使用感、安定性が良いのみならず、更に食用植物油(大豆油等)原料から調製されるので安全性が高い。
特開昭49−50140号公報。 特開昭58−198565号公報。 特開昭52−79030号公報。 特開平2−6404号公報。 特開平9−194345号公報。 特開2002−145722号公報。 特開2001−139437号公報。 特開2001−163764号公報。
本発明は、上記特許文献8に記載の発明を更に発展させ、べとつきが少なく、毛髪化粧料と容易に均一混合でき、更にはステロールワックスとラノリン類(ラノリン、液状ラノリン、及び硬質ラノリン等)に近い風合い・効能・効果を与えることができる安全な毛髪化粧料用感触向上剤を安価に提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者等が鋭意、検討した結果、植物ステロールワックスを脂肪酸エステル化して調製される下記植物ステロールエステル含有組成物(I)を使用すれば、優れた功を奏することを見出し、本発明を成すに到った。
即ち、本発明は、(I);植物油脱臭留出物からトコフェロールを抽出、分離、精製する際に得られる副産物を蒸留、脂肪酸エステル化、脱色、脱臭して調製される組成物、を含有する毛髪化粧料用感触向上剤を提供する。
本発明は、上記組成物(I)及び成分(II):植物由来の油脂を含有する毛髪化粧料用感触向上剤を提供する。
特に、本発明は、油脂(II)が植物油及び/又は植物(部分)硬化油である上記毛髪化粧料用感触向上剤を提供する。
上記毛髪化粧料用感触向上剤において、成分(II)が植物油及び/又は植物(部分)硬化油であれば、ラノリン若しくは硬質ラノリンに近い風合いを付与できる毛髪化粧料用感触向上剤とすることができる。
更に、本発明は、成分(III):ショ糖脂肪酸エステル及び成分(IV):液状高級脂肪酸を更に含有する上記何れかに記載の毛髪化粧料用感触向上剤を提供する。
毛髪化粧料用感触向上剤において、成分(I)及び成分(II)に加え、更に成分(III)ショ糖脂肪酸エステル及び成分(IV)液状高級脂肪酸を配合すれば、液状ラノリンに近い風合いを付与できる毛髪化粧料用感触向上剤とすることができる。
本発明により、べとつきが少なく、毛髪化粧料と容易に均一混合でき、更にはステロールワックスとラノリン類(ラノリン、液状ラノリン、及び硬質ラノリンを含む。)に近い風合い・効果・効能(例えば、傷んだ毛髪の修復・保護、並びにラノリン様のしっとり感及び油性感等)を与えることができる安全な毛髪化粧料用感触向上剤を安価に提供することができる。
以下、本発明を詳述する。
本発明の毛髪化粧料用感触向上剤には、(I);植物油脱臭留出物からトコフェロールを抽出、分離、精製する際に得られる副産物を蒸留、脂肪酸エステル化、脱色、脱臭して調製される組成物、を含有する。組成物(I)を含有することにより、ステロールワックスに近い風合いが得られる。更に、組成物(I)に含まれるステロールワックスの高分子成分により、傷んだ毛髪を修復・保護することができる。更に、組成物(I)は、単独に調製(若しくは分離等)して得られるフィトステロール又はフィトステロール脂肪酸エステルに比し、安価に製造できる。
上記植物油脱臭留出物としては、植物油の脱臭工程にて水蒸気蒸留を行う際に水蒸気に伴われて留出されるものが挙げられる。原料として用いる植物油としては、大豆、ナタネ、綿実、トウモロコシ、ヒマワリ等の食用植物油が挙げられる。
組成物(I)の調製においては、上記植物油脱臭留出物からトコフェロールを抽出、分離、精製する際に得られる副産物(残渣)を利用する。植物油脱臭留出物からトコフェロールを抽出、分離、精製する方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。即ち、植物油脱臭留出物を、必要に応じ変性処理(エステル化、不ケン化等)を行った後、有機溶媒にてトコフェロールを抽出する。次いで、この抽出液を塩基性陰イオン交換樹脂で処理して、トコフェロールを樹脂に吸着させる。その後、酸を含む有機溶媒を樹脂に通液することにより、トコフェロールを樹脂から溶出・分離して、精製トコフェロールが得られる。
より具体的には、以下の1〜5の方法が例示される。
1:各種植物油脂の精製工程で副生する低濃度トコフェロール含有物質のエステル化物または不ケン化物のアルコール抽出液をOH塩基性陰イオン交換樹脂で処理し、ホウ酸のアルコール溶液を抽出溶媒として前記処理した樹脂に通液することにより、ミツクストコフェロールを溶出させるトコフェロール類の濃縮精製法(特開昭49−85222号公報)、
2:天然及び合成トコフェロール物質を炭素数1及び4からなる1価のアルコールを用いて溶液としこれを塩基性陰イオン交換樹脂で処理して、トコフェロール物質を該樹脂に吸着させ、次に蟻酸、酢酸または蓚酸溶液によりトコフェロール物質を該樹脂より溶出することを特徴とするトコフェロール物質を精製する方法(特公昭38−23638号公報)、
3:各種植物油脂の精製工程で副生する低濃度トコフェロール含有物質のエステル化物または不ケン化物を芳香族系炭化水素で溶解した芳香族系炭化水素溶液を、前記芳香族系炭化水素で置換したOH塩基性陰イオン交換樹脂で処理し、ホウ酸のアルコール溶液を溶出溶媒として前記処理した樹脂に通液することにより、ミツクストコフェロールを溶出させるトコフェロール類の濃縮精製方法(特公昭55−25189号公報)、
4:トコフェロール含有物を溶媒に溶解し、これを塩基性陰イオン交換樹脂に通液してトコフェロール類を吸着せしめ、吸着しない不純物を除去したのち、炭酸ガスで処理した溶媒を抽出溶媒として通液し、トコフェロール類を選択的に溶出させるトコフェロールの精製濃縮法(特公昭61−55917号公報)、
5:植物油脂の精製工程で副生する低濃度トコフェロール含有物質から、これをメチルエステル化反応、該反応物を強塩基性樹脂処理、及び該樹脂に吸着したトコフェロールを溶出操作に付して、トコフェロールを分離する方法において、(1)メチルエステル化反応をトルエン中で行い、(2)該メチルエステル化反応生成物のトルエン層をそのまま強塩基性樹脂にて処理し、(3)酸を含むトルエンを展開溶媒として該樹脂に吸着したトコフェロールを溶出するトコフェロールを分離する方法(特公昭61−57309号公報)。
植物油脱臭留出物からトコフェロールを抽出、分離、精製する別の方法としては、例えば脱臭留出物をエステル化後蒸留留分から単離する方法がある。より具体的には、蒸留の前に、脱臭剤スラジ中に存在しているステロール類を同時に存在している脂肪酸でエステル化し、生ずる混合物を蒸留して残りの脂肪酸を得そして次にトコフェロール類を得、それによってエステル化中に生成するステロールエステル類を該蒸留の残渣中に残存させ、そして次にトコフェロール類を蒸留物から単離し、そしてステロールエステル類の開裂後にステロール類を蒸留残渣から単離することを特徴とする、脱臭剤スラジの蒸留により脱臭剤スラジからトコフェロール類およびステロール類を分離する方法(特許2648450号)が挙げられる。
本発明においては、以下の方法が好ましい。即ち、先ず、脱臭留出物に含まれる遊離の脂肪酸を、有機溶媒(トルエン、キシレン等)中にてエステル化(メチルエステル化、エチルエステル化等)する。次いで、この反応物の有機溶媒相を強塩基性陰イオン交換樹脂にて処理した後、酸(酢酸、プロピオン酸等)を含む溶液をこの樹脂に通液することにより、吸着したトコフェロールを分離する。
本発明の組成物(I)は、上記植物油脱臭留出物からトコフェロールを抽出、分離、精製する際に得られる副産物(処理残渣)から、調製される。従って、組成物(I)を非常に低コストにて製造することができる。
トコフェロールの分離、精製の際に強塩基性陰イオン交換樹脂を使用した場合、このような副産物には、通常、強塩基性陰イオン交換樹脂に吸着しない非吸着油中の成分であるステロール、ステロール脂肪酸エステル、炭化水素等が含まれている。
本発明の組成物(I)の調製において、上記にて得られた副産物を蒸留して、揮発分(脂肪酸エステル等)を留去する。蒸留は、例えば1〜0.005(特に0.9〜0.01)Torr下に、150〜160(特に152〜158)℃にて行うのが好ましい。
次いで、上記蒸留残渣に脂肪酸を加え、フィトステロール等の含有成分を脂肪酸エステルとする。脂肪酸エステル化により、べとつきを抑えることができ、他の配合原料や毛髪化粧料との混合が容易になる。更には、後工程の組成物(I)の精製(脱色・脱臭等)を容易にすることができ、製造コストを低下させることができる。脂肪酸としては、食用油中に含まれるものが好ましい。具体的には、脂肪酸としては、C16〜C18脂肪酸(特に、オレイン酸、リノール酸、ステアリン酸等)が好ましい。脂肪酸の配合量は、例えば蒸留残渣500重量部に対し60〜120(特に80〜100)重量部であってよい。脂肪酸エステル化は、必要に応じ加熱下、撹拌混合して行ってよい。
次いで、上記エステル化反応混合物を、必要に応じ抽出操作等を行った後、脱色する。脱色は、吸着剤(活性白土、酸性白土、シリカゲル等)、吸着樹脂(デュオライトXAD−761、XAD−7等)等を用いて行ってよい。
その後、脱臭することにより組成物(I)が得られる。脱臭は、例えば10〜0.1(特に8〜0.5)Torr下に、150〜160(特に152〜158)℃にて、水を吹き込むことにより行ってよい。
組成物(I)には、その他添加剤として酸化防止剤(δ−トコフェロール及び/又は没食子酸n−プロピル等)を加えてよい。
上記のようにして調製される組成物(I)の成分組成は、通常、遊離フィトステロール(スチグマステロール等)3重量%以下(典型的には0.1〜2.0重量%)、フィトステロール脂肪酸エステル(オレイン酸フィトステリル等)55〜65(典型的には56.5〜62)重量%、トリテルペンアルコール類(トリメチルステロール等)3〜10(典型的には6〜8)重量%、炭化水素類(スクワレン、パラフィン等)6〜13(典型的には2〜5)重量%、及び脂肪酸メチルエステル3重量%以下(典型的には0.1〜0.7重量%)である。
更に、組成物(I)の各種物性は、通常、酸価(mgKOH/g)2.0以下(典型的には1.0〜1.7)、けん化価(試料2gをキシレン25mlに溶解した後の測定値)60〜95(典型的には80〜90)、ヨウ素価(gI/100g)40〜60(典型的には45〜55)を有する。
本発明の毛髪化粧料用感触向上剤においては、(II);植物由来の油脂を含有する。組成物(I)と油脂(II)とを併用することにより、ラノリン類に近い風合い・効能・効果(特に、しっとり感及び油性感等)を付与することができる。
油脂(II)としては、植物油及び/又は植物(部分)硬化油が挙げられる。植物油としては、具体的には米胚芽油、オリーブ油、サフラワー油、大豆油、ヒマワリ油、ナタネ油、パーム油、ホホバ油、マカデミアンナッツ油、ヒマシ油、ツバキ油、アボカド油、小麦胚芽油、メドウホーム油等が挙げられる。
植物(部分)硬化油は、植物油の少なくとも一部(全部を含む。)が硬化変性処理(水添等)されたものである。具体的には、植物(部分)硬化油としては、水添コメヌカ油、部分水添コメヌカ油、硬化パーム油、パーム部分硬化油、硬化大豆油等が挙げられる。
その他、添加剤として、高級アルコール類(C12〜C22アルコール等)、エステル類(C1〜C50脂肪酸エステル、多塩基酸エステル等)、炭化水素類等を加えてよい。尚、これら等の添加剤は、安全性の高いものが好ましい。
本発明の毛髪化粧料用感触向上剤は、上記組成物(I)及び油脂(II)が植物由来物質なので、一般に安全性が高いものである。
以下、本発明の毛髪化粧料用感触向上剤の好ましい具体的態様を説明する。本発明の一態様としては、上記組成物(I)及び成分(II)として植物硬化油を含有する毛髪化粧料用感触向上剤が挙げられる。
本態様において、植物硬化油としては、水添コメヌカ油、パーム部分硬化油が好ましい。その他、添加剤として、オレイルアルコール等の高級アルコール類、ジペンタエリスリット脂肪酸エステル等のエステル類、パラフィン等の炭化水素類等を加えてよい。
本態様においては、特に以下の特徴を有する。即ち、上記組成物(I)と植物硬化油とを併用することにより、ラノリン様の毛髪化粧料用感触向上剤とすることができる。具体的には、本態様においては、ラノリンに近い常温ペースト状の形態とすることができる。更に、ラノリンに近い風合い・機能[毛髪の保湿感、毛髪の滑らかさ、毛髪の艶、毛髪のリッチ(rich)感、湿潤性、エモリエント性、毛髪に対する保護作用等]を付与することができる。更に、毛髪に対する優れた皮膜感をも付与できる。
本態様の組成において、組成物(I)10〜99(特に70〜95)重量%、植物硬化油1〜90(特に5〜30)重量%が、それぞれ好ましい。組成物(I)が10重量%未満だと被膜性、エモリエント性が十分得られないことがあり、逆に95重量%を超過すると被膜性が強くなり過ぎ油性の滑らかさが十分、得られないことがある。
本発明の別の一態様として、上記組成物(I)並びに成分(II)として植物油及び植物(部分)硬化油を含有する毛髪化粧料用感触向上剤が挙げられる。
本態様において、上記植物油としては、米胚芽油、マカデミアンナッツ油、ホホバ油が好ましい。植物(部分)硬化油としては、植物(部分)硬化油(パーム部分硬化油、水添コメヌカ油等)が好ましい。その他、添加剤として、オレイルアルコール等の高級アルコール類、ジペンタエリスリット脂肪酸エステル等のエステル類、パラフィン等の炭化水素類等を加えてよい。
本態様においては、特に以下の特徴を有する。即ち、組成物(I)と、植物油及び植物(部分)硬化油とを併用することにより、硬質ラノリン様の毛髪化粧料用感触向上剤とすることができる。具体的には、本態様においては、硬質ラノリンに近いワックス状の形態とすることができる。更に、硬質ラノリンに近い風合い(艶、被膜感、ハリ・コシ等)を付与することができる。更に、植物油を含有することにより、毛髪に滑らかさを付与することができる。
本態様の組成において、組成物(I)10〜70(特に30〜60)重量%、植物油1〜30(特に5〜15)重量%、植物(部分)硬化油10〜70(特に30〜60)重量%が、それぞれ好ましい。組成物(I)が10重量%未満だと被膜性、エモリエント性が十分得られないことがあり、逆に95重量%を超過するとハリ・コシ感が十分、得られないことがある。植物油が1重量%未満だと滑らかさが十分、得られないことがあり、逆に30重量%を超過するとハリ・コシ感が十分、得られないことがある。植物(部分)硬化油が10重量%未満だと被膜性が低くハリ・コシ感が十分、得られないことがある。
本発明の更に別の一態様として、上記組成物(I)及び成分(II)として植物油を含有する毛髪化粧料用感触向上剤が挙げられる。
本態様において、植物油としては、米胚芽油、オリーブ油、サフラワー油、大豆油、ヒマワリ油、ナタネ油、パーム油、ホホバ油、マカデミアンナッツ油、ヒマシ油、ツバキ油、アボカド油、小麦胚芽油、メドウホーム油が好ましい。その他、添加剤として、オレイルアルコール等の高級アルコール類、ジペンタエリスリット脂肪酸エステル等のエステル類、パラフィン等の炭化水素類等を加えてよい。
本態様においては、特に以下の特徴を有する。即ち、上記組成物(I)と植物油とを併用することにより、液状ラノリン様の毛髪化粧料用感触向上剤とすることができる。具体的には、本態様においては、液状ラノリンに近い液状〜ペースト状形態とすることができる。更に、液状ラノリンに近い風合い・機能(特に毛髪の滑らかさ等)を付与することができる。
本態様においては、上記組成物(I)と植物油の他に、更に(III)ショ糖脂肪酸エステル及び(IV)液状高級脂肪酸を含有する毛髪化粧料用感触向上剤を含有するのが好ましい。ショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖とC12〜C22脂肪酸とのフルエステル若しくは部分エステル(ヘキサエルカ酸スクロース、オレイン酸スクロース、ステアリン酸スクロース、パルミチン酸スクロース等)が好ましい。「液状」高級脂肪酸は、常温にて流動性を有するものである。液状であることにより、液状ラノリン様の形態とすることができる。液状高級脂肪酸としては、例えば、常温液状のC16〜C22脂肪酸、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、分岐脂肪酸(イソステアリン酸等)が挙げられるが、特に分岐脂肪酸が好ましい。
上記好ましい態様においては、以下の特徴が更に付加される。即ち、上記組成物(I)、植物油、ショ糖脂肪酸エステル、及び液状高級脂肪酸を併用することにより、液状ラノリン様の毛髪化粧料用感触向上剤とすることができる。具体的には、本態様においては、液状ラノリンに近い形態とすることができる。更に、液状ラノリンに近い風合い・機能を付与することができる。特に、ショ糖脂肪酸エステルを配合することにより、液状ラノリン様のエモリエント性、抱水性、しっとり感、柔軟効果、艶、保湿効果等を付与することができる。更に、液状高級脂肪酸を配合することにより、毛髪の滑らかさを付与することができる。
上記好ましい態様において、組成物(I)5〜50(特に20〜40)重量%、植物油10〜90(特に30〜70)重量%、ショ糖脂肪酸エステル0.1〜50(特に1〜20)重量%、液状高級脂肪酸0.1〜50(特に1〜20)重量%が、それぞれ好ましい。組成物(I)が5重量%未満だと毛髪の保護作用が少なくなり、エモリエント性が十分、得られないことがあり、逆に50重量%を超過すると滑らかさが十分、得られないことがある。植物油が10重量%未満だと滑らかさが十分、得られないことがあり、逆に90重量%を超過するとリッチ感が十分、得られないことがある。ショ糖脂肪酸エステルが0.1重量%未満だと十分なエモリエント性及び抱水性が得られないことがあり、逆に50重量%を超過するとしっとり感が強過ぎ、滑らかさが低下することがある。液状高級脂肪酸が0.1重量%未満だと滑らかさが低下することがあり、逆に50重量%を超過すると十分なエモリエント性及び保護作用が得られないことがある。
本発明の毛髪化粧料用感触向上剤は、毛髪化粧料全般(具体的には、コンディショナー、整髪剤、リンス、ヘアカラー、ウェーブ剤、仕上げ剤等)に配合することができる。本発明の毛髪化粧料用感触向上剤の配合量としては、例えば1〜5重量%程度であってよい。
(実施例)
以下、本発明を実施例にて更に具体的に詳述する。
[組成物(I)の調製]
調製例1
大豆油の脱臭処理により副産物として得られる脱臭留出物2000g(総トコフェロール含量10.3%、酸価81)を硫酸130gの存在下、メタノール1000ml及びトルエン1000mlの混合溶媒で還流下1時間メチルエステル化を行い、油状物質を分離し、水500mlで4回洗浄した。メチルエステル化反応により酸価は1であった。そして室温まで冷却後、析出した結晶をろ過で分離した。ろ過で8.9gの結晶が除去された。
次に強塩基性陰イオン交換樹脂アンバーライトIRA958をカラムに2,000ml充填し、OH型とした後、トルエンで置換し、上記に調製したメチルエステル化油のトルエン溶液を通液した。続いてトルエン4,000mlを流して樹脂を洗浄し、トルエンを留去することにより非吸着油1,670gを得た。尚、吸着したトコフェロールは10%酢酸メタノール溶液4,000mlを流して溶出させ、トコフェロール濃縮油257gを得た。
次に非吸着油に含まれる脂肪酸メチルエステルを減圧蒸留により留去した残渣500gにオレイン酸80gを加え、窒素気流下200℃で24時間反応させた。反応混合物にヘキサン5Lを加えて攪拌溶解し、水酸化ナトリウム10gを加えた80%メタノール水2Lを加え過剰なオレイン酸を除去した。次いで70%メタノール水2Lで4回、水3Lで4回、順次ヘキサン層を洗浄した。活性白土45g、活性炭30gを加えて1時間還流攪拌後、室温まで冷却し、濾過、濃縮した。
次いでδ−トコフェロール0.44gと没食子酸プロピル0.06gを濃縮液に加え、真空度10Torr〜0.1Torr、温度150〜160℃にて、水30mLを2時間かけて吹き込んだ。以上の操作により、487gの淡黄色から淡褐色のペースト状のオイルが得られた。このオイルは酸価0.8、ケン化価83.7であり、ガスクロマトグラフィーによる分析結果はステロール、ステロール脂肪酸エステル、炭化水素の割合は、1.7%、61.0%、7.3%であった。
調製例2
植物油(大豆油及び葉種油1:1の混合物)の脱臭処理により副産物として得られる脱臭留出物2000g(総トコフェロール含量9.8%、酸価78)を硫酸130gの存在下、メタノール1,000ml及びトルエン1,000mlの混合溶媒で還流下1時間メチルエステル化を行い、油状物質を分離し、水500mlで4回洗浄した。メチルエステル化反応により酸価は1であった。そして室温まで冷却後、析出した結晶をろ過で分離した。ろ過で9.2gの結晶が除去された。
次に強塩基性陰イオン交換樹脂デュオライトA113をカラムに2,000ml充填し、OH型とした後、トルエンで置換し、上記に調製したメチルエステル化油のトルエン溶液を通液した。続いてトルエン4,000mlを流して樹脂を洗浄し、トルエンを留去することにより非吸着油1,650gを得た。尚、吸着したトコフェロールは10%酢酸メタノール溶液4,000mlを流して溶出させ、トコフェロール濃縮油248gを得た。
次に非吸着油に含まれる脂肪酸メチルエステルを減圧蒸留により留去した残渣510gにオレイン酸82gとリノール酸20gを加え、窒素気流下200℃で24時間反応させた。反応混合物にヘキサン5Lを加えて攪拌溶解し、水酸化ナトリウム10gを加えた80%メタノール水2Lを加え過剰なオレイン酸及びリノール酸を除去した。次いで70%メタノール水2Lで4回、水3Lで4回、順次ヘキサン層を洗浄した。活性白土45g、活性炭30gを加えて1時間還流攪拌後、室温まで冷却し濾過、濃縮した。次いで真空度10Torr〜0.1Torr、温度150〜160℃にて、水30mLを2時間かけて吹き込んだ。以上の操作により、504gの淡黄色から淡褐色のペースト状のオイルが得られた。このオイルは酸価0.1、ケン化価74.8であり、ステロール、ステロール脂肪酸エステル、炭化水素の割合は、1.9%、62.1%、9.0%であった。
[組成物(I)のGPC分析及びキャピラリーGC分析]
調製例1のGPC分析及び調製例2のGC分析を、以下の測定条件及び測定方法にて行った。測定結果(チャート)を、それぞれ図1及び図2に示す。尚、GPC分析チャート図の各ピークに付記した化合物名は、その化合物がそのピーク中に含まれることを意味する。
(GPC分析)
・標準溶液の調製
表1に示す各標準物質10〜25mgをそれぞれ50mLメスフラスコに精秤し、クロロホル厶を加え溶解し50mLにメスアップする。この溶液を、それぞれの標準溶液とする。
Figure 0004186191
・試料溶液の調製
試料物質(調製例1)200mgを50mLメスフラスコに精秤し、トルエンを加え溶解し50mLにメスアップする。この溶液を、試料溶液とする。
・GPC分析条件
カラ厶;K−801(Shodex製、排除限界分子量:1500)
K−802(Shodex製、排除限界分子量:5000)
溶離液;クロロホルム
流速;0.5mL/min
温度;35℃
検出;光散乱検出器(GAS1.0 NEB.40℃ EVA.80℃)
・GPC分析方法
Figure 0004186191
溶液の分析結果から、それぞれの標準物質の保持時間を確認する。試料溶液の分析結果より得られた各ピークの保持時間と標準物質の保持時間を照合し、各ピーク中に含まれる成分とする。それぞれのピークの面積百分率比を各ピークの成分含有量とする。
上記GPCチャート(図1)中、保持時間約20〜約30分領域における、主要成分及びその含有濃度は、下記表2の通りである。
Figure 0004186191
(GC分析)
・内部標準溶液の調製
コレステリルn−デシレート(SIGMA:C−4633)25mgを50mLメスフラスコに精秤し、ヘキサンを20mL加え加熱溶解する。室温に戻しながらクロロホルムを加え、50mLにメスアップする。
・標準溶液の調製
前記表1に示す各標準物質10〜25mgをそれぞれ50mLメスフラスコに精秤し、トルエンを加え溶解し50mLにメスアップする。その溶液5mLを25mLスクリューバイアルに取る。そこに、上記にて調製した内部標準溶液5mLを加え、それぞれの標準溶液とする。
・試料溶液の調製
試料物質(調製例2)200mgを50mLメスフラスコに精秤し、トルエンを加え溶解し50mLにメスアップする。その溶液5mLを25mLスクリューバイアルに取る。そこに、上記にて調製した内部標準溶液5mLを加え、試料溶液とする。
・GC分析条件
装置:GC−17A
Figure 0004186191
m film thickness)
キャリアーガス:He92kPa
昇温プログラム:150℃〜250℃(5℃/min.)+250℃〜350℃(10 ℃/min.)
注入方法:スプリット法(スプリット比45:1、温度350℃)
検出器:FID(温度350℃)
・GC分析方法
上記分析条件により、標準溶液及び試料溶液をそれぞれ2μL注入する。フィトステロールの面積は、ブラシカステロール、カンペステロール、スチグマステロール、及びシトステロールの4本のピークを合わせたものとし、フィトステロールの脂肪酸エステルの面積は、C−16脂肪酸エステルであるそれぞれのステロール由来の4本のピークを合わせたものとC−18脂肪酸エステルであるそれぞれのステロール由来の4本のピークを合わせたものとする。炭化水素類は、スクワレン及びパラフィンを合わせたものとする。得られたそれぞれの面積と溶液調製時の重量を下式に当てはめ、試料中の各成分含量を算出する。
Figure 0004186191
[植物ステロールワックスの調製]
比較調製例1
植物油脱臭留出物よりトコフェロールを抽出、分離、精製した副産物約1700gを蒸留機に仕込み、約1.0〜0.001Torr下、約150〜160℃にて、脂肪酸エステルを蒸留により留分として約1120g留出させた。蒸留残渣にヘキサン約2300mlを加えて攪拌し、不溶解分は濾過にて除去後、活性白土約60gを加えて30分間攪拌後、濾過、濃縮した。次に約10〜0.1Torr下、約150〜160℃にて、水約30mlを2時間にかけて吹き込んだ。以上の操作により約550gの淡黄色〜淡褐色のペースト状のオイル(植物ステロールワックス)が得られた。このオイルは酸価が約0.3、ケン化価が約48.5であり、ステロール、ステロール脂肪酸エステル、炭化水素の割合は、約19%、約41%、約16%であった。
[毛髪化粧料用感触向上剤の調製]
実施例1〜10及び比較例1〜3
表3及び表4に示す組成に従って、各配合成分を、必要に応じ80℃程度に加熱溶融し、均一に撹拌混合して、各毛髪化粧料用感触向上剤を調製した。
[毛髪化粧料用感触向上剤の各種評価試験結果]
ヘアーコンディショナーに、上記で得られた毛髪化粧料用感触向上剤(各実施例1〜10及び比較例1〜3)を加えて、下記組成を有する感触向上剤配合ヘアーコンディショナーを調製した。この感触向上剤配合ヘアーコンディショナーを、シャンプー処理した毛髪に塗布し、コーミングしてゆきわたらせ、すすぎ、ドライヤー乾燥した後、複数のパネラーによる官能評価試験を行った。最多評価結果を表3及び表4に示す。尚、製造コストは、原料の購入価格を基準に評価した。
感触向上剤配合ヘアーコンディショナー組成(重量%);
セタノール 5,ミリスチン酸イソプロピル 1,塩化セチルトリメチルアンモニウム 2,親油型モノステアリン酸グリセリル 1,ジメチルポリシロキサン(高重合体含有) 3,パラフィン 0.5,グリセリン 3.5,感触向上剤 3,精製水 残量。
Figure 0004186191
Figure 0004186191
表中、◎は「非常に優れる」、○は「優れる」、△は「普通」、×は「劣る」を表す。
表3及び表4より、本発明の毛髪化粧料用感触向上剤(実施例1〜10)は、何れもべとつきが少なく、毛髪化粧料と容易に均一混合でき、更にはステロールワックスとラノリン類(ラノリン、液状ラノリン、及び硬質ラノリン等)に近い風合い・効能・効果(毛髪のしっとり感、油性感)を付与することができ、且つ製造コストも低く抑えることができる。
詳しくは、組成物(I)及び成分(II)として植物硬化油を含有する毛髪化粧料用感触向上剤(実施例1)は、特に毛髪の被膜感、リッチ感に優れた、ラノリン様の感触向上剤となっていることが判る。
更に、組成物(I)並びに成分(II)として植物油及び植物(部分)硬化油を含有する毛髪化粧料用感触向上剤(実施例2〜4)は、特に毛髪の滑らかさ、ハリ・コシ、被膜感、リッチ感に優れた、硬質ラノリン様の感触向上剤となっていることが判る。
更に、組成物(I)、成分(II)として植物油、(III)ショ糖脂肪酸エステル及び(IV)液状高級脂肪酸を含有する毛髪化粧料用感触向上剤(実施例9及び10)は、特に毛髪の滑らかさ、保湿感、抱水性に優れた、液状ラノリン様の感触向上剤となっているが判る。
一方、成分(II)を含有しない場合(比較例1)は、ラノリン様の風合い(特に、毛髪のしっとり感、油性感、滑らかさ)が低減するのが判る。
又、組成物(I)の替わりに植物ステロールワックスを使用した場合(比較例2)は、組成物(I)を使用した場合に比し、べとつきが増大し、毛髪化粧料との均一混合性も低下する。更に、植物ステロールワックスの精製容易性も低下するため、製造コストが上昇する。
又、組成物(I)の替わりにオレイン酸フィトステリルを使用した場合(比較例3)は、毛髪の修復・保護性、ハリ・コシ、被膜感に劣る。更に、オレイン酸フィトステリルは高価であるため、製造コストも高くなる。
[ヘアコンディショナー用基剤の調製]
基剤1,2,4〜6,8,9〜17の調製
各配合成分を均一に撹拌混合して、調製した。表5及び6に配合組成を示す。
基剤3及び7の調製
アニオン界面活性剤を除く各油性成分を均一に撹拌混合した後、この混合物中にアニオン界面活性剤及び水性成分を順次加え、均一に撹拌混合して調製した。表5に配合組成を示す。
Figure 0004186191
Figure 0004186191
[ヘアコンディショナーの調製]
サンプル1〜27、比較サンプル1〜17、並びに対照1〜9
必要に応じ加熱(約80℃)下、各油性成分を均一に撹拌混合した。一方、必要に応じ加熱(約80℃)下、各水性成分を均一に撹拌混合した。そして、上記油性混合物中に上記水性混合物を徐々に加えた後、冷却し、補水調製後、均一に撹拌混合して、各ヘアコンディショナー(各サンプル1〜27、比較サンプル1〜17、並びに対照1〜9)を調製した。表7〜10に配合組成を示す。
尚、各サンプル9〜27及び各比較サンプル5〜17においては、二種の基剤を配合した。「高重合ポリエチレングリコール」は、数平均分子量200万のものである。そして、各表に示す配合量の高重合ポリエチレングリコールを2%水溶液にして使用した。
表7中、1)〜5)は、以下を表す。
1)平均分子量1200。
2)組成物Aの組成;高重合メチルポリシロキサン(13重量%)+アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(15重量%)+メチルポリシロキサン(72重量%)。
3)組成物Bの組成;高重合メチルポリシロキサン(10万cs、30重量%)+高重合メチルポリシロキサン(1万cs、20重量%)+メチルポリシロキサン(20cs、50重量%)。
4)組成物Cの組成;トリメチルグリシン(40重量%)+塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体8%水溶液(2.5重量%)+D−マンニット(4重量%)+パラオキシ安息香酸メチル(0.1重量%)+エタノール(2重量%)+精製水(残量)。
5)組成物Dの組成;[ポリビニルピロリドン・ビニルカプロラクタム・ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド共重合体+エタノール(重量比4:6)]混合物(50重量%)+1,3−ブチレングリコール(50重量%)。
[ヘアコンディショナーの各種評価試験]
シャンプー処理した毛髪にヘアコンディショナーを塗布し、コーミングしてゆきわたらせ、すすぎ、ドライヤー乾燥して、試験用毛髪を調製した。この試験用毛髪に対し、複数のパネラーによる官能評価試験を行った。
但し、表中、「毛髪の修復・保護作用」は、毛髪を先ずヘアカラー、ブリーチ剤又はパーマ剤にて3回施術した後、ヘアコンディショナーにて処理し、これを複数のパネラーにより官能評価試験を行った。「製造コスト」は、原料の購入価格を基準に評価した。「濯ぎ時のキシミ」は、上記試験用毛髪を更にシャンプーした際のキシミの有無を調べた。
最多評価結果を表7〜10に示す。表中、「べとつきの無さ」及び「濯ぎ時のキシミの無さ」の欄において、◎は「殆ど無し」、○は「多少あり」、△は「普通」、×は「かなりの程度あり」をそれぞれ表す。「エモリエント性」及び「毛髪の修復・保護作用」の欄において、◎は「非常に優れる」、○は「優れる」、△は「普通」、×は「劣る」をそれぞれ表す。「製造コストの低さ」の欄において、◎は「非常に低廉」、○は「低廉」、△は「普通」、×は「高コスト」をそれぞれ表す。「毛髪の滑らかさ」、「毛髪の艶」、「毛髪のリッチ感」、「毛髪の被膜感」及び「毛髪のハリ・コシ」の欄においては、◎は「対照と同程度以上に優れる」、○は「ラノリン類を含有しないヘアコンディショナーよりは優れるが対照よりは劣る」、△は「ラノリン類を含有しないヘアコンディショナーと同程度」をそれぞれ表す。
Figure 0004186191
Figure 0004186191
Figure 0004186191
Figure 0004186191
表7〜10から明らかなように、ヘアコンディショナーに成分(I)を配合した場合(各サンプル1〜27)は一般に、べとつきが殆ど無く、エモリエント性及び毛髪の修復・保護作用に非常に優れ、且つ製造コストが非常に低廉である。
表7から明らかなように、ヘアコンディショナーに成分(I)の替わりに植物ステロールワックスを配合した場合(比較サンプル1及び4)は、べとつきが生じる。ヘアコンディショナーに成分(I)の替わりにオレイン酸フィトステリルを配合した場合(比較サンプル2及び3)は、毛髪の修復・保護作用が低下し、製造コストも高くつく。
表7〜10から明らかなように、ヘアコンディショナーに高重合ポリエチレングリコールを配合した場合(各サンプル2、6、8、10、13、15、17、19、21、23、25、及び27)は、毛髪の濯ぎ時におけるキシミの発生をより一層低下若しくは防止することができる。
表7から明らかなように、ヘアコンディショナーにワセリンを配合した場合(サンプル4)も、毛髪の濯ぎ時におけるキシミの発生の低下若しくは防止効果が認められる。
表8から明らかなように、ヘアコンディショナーに成分(I)、成分(II)の植物油、成分(III)及び成分(IV)を配合した場合(各サンプル9〜15)は、成分(I)、成分(II)の植物油、成分(III)及び成分(IV)の配合の替わりに液状ラノリンを配合した場合(各対照1〜3)に比し、毛髪の滑らかさ及び艶において、液状ラノリンと同程度以上に優れる。即ち、成分(I)、成分(II)の植物油、成分(III)及び成分(IV)からなる配合物は、液状ラノリンの代用物となり得るものである。よって、ヘアコンディショナーに成分(I)、成分(II)の植物油、成分(III)及び成分(IV)を配合すれば、液状ラノリン様の風合いを毛髪に付与することができる。
表8から明らかなように、ヘアコンディショナーに成分(I)、成分(II)の植物油、成分(III)及び成分(IV)の配合の替わりに植物ステロールワックス若しくはオレイン酸フィトステリルを配合した場合(各比較サンプル5〜8)は、液状ラノリン様の毛髪の滑らかさ及び艶が低下する。
表9から明らかなように、ヘアコンディショナーに成分(I)及び成分(II)の植物硬化油を配合した場合(各サンプル16〜21)は、成分(I)及び成分(II)の植物硬化油の配合の替わりにラノリンを配合した場合(各対照4〜6)に比し、毛髪の滑らかさ及びリッチ感において、ラノリンと同程度以上に優れる。即ち、成分(I)及び成分(II)の植物硬化油からなる配合物は、ラノリンの代用物となり得るものである。よって、ヘアコンディショナーに成分(I)及び成分(II)の植物硬化油を配合すれば、ラノリン様の風合いを毛髪に付与することができる。
表9から明らかなように、ヘアコンディショナーに成分(I)及び成分(II)の植物硬化油の配合の替わりに植物ステロールワックス若しくはオレイン酸フィトステリルを配合した場合(各比較サンプル9〜13)は、ラノリン様の毛髪の滑らかさ及びリッチ感が低下する。
表10から明らかなように、ヘアコンディショナーに成分(I)、成分(II)の植物油及び成分(II)の植物硬化油を配合した場合(各サンプル22〜27)は、成分(I)、成分(II)の植物油及び成分(II)の植物硬化油の配合の替わりに硬質ラノリンを配合した場合(各対照7〜9)に比し、毛髪の滑らかさ、被膜感及びハリ・コシにおいて、硬質ラノリンと同程度以上に優れる。即ち、成分(I)、成分(II)の植物油及び成分(II)の植物硬化油からなる配合物は、硬質ラノリンの代用物となり得るものである。よって、ヘアコンディショナーに成分(I)、成分(II)の植物油及び成分(II)の植物硬化油を配合すれば、硬質ラノリン様の風合いを毛髪に付与することができる。
表10から明らかなように、ヘアコンディショナーに成分(I)、成分(II)の植物油及び成分(II)の植物硬化油の配合の替わりに植物ステロールワックス若しくはオレイン酸フィトステリルを配合した場合(各比較サンプル14〜17)は、硬質ラノリン様の毛髪の滑らかさ、被膜感及びハリ・コシが低下する。
調製例1のGPC分析チャート図を示す。 調製例2のGC分析チャート図を示す。

Claims (4)

  1. _(I);植物油脱臭留出物からトコフェロールを抽出、分離、精製する際に得られる副産物を蒸留、脂肪酸エステル化、脱色、脱臭して調製される組成物、を含有する毛髪化粧料用感触向上剤。
  2. 請求項1に記載の組成物(I)及び(II):植物由来の油脂を含有することを特徴とする毛髪化粧料用感触向上剤。
  3. 油脂(II)が植物油及び/又は植物(部分)硬化油であることを特徴とする請求項2に記載の毛髪化粧料用感触向上剤。
  4. 更に、(III):ショ糖脂肪酸エステル及び(IV):液状高級脂肪酸を含有することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の毛髪化粧料用感触向上剤。
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