JP4184655B2 - 複合容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複合容器に関し、更に詳しくは、少なくとも紙とプラスチックフィルムとが積層された積層シートを打ち抜いてなるブランク板を成形金型内に挿入し、射出成形することにより、樹脂とブランク板とを一体化して形成される複合容器であって、そのブランク板の紙とプラスチックフィルムとが剥離可能に積層され、そのブランク板を用いて作製された複合容器を、使用後に、成形樹脂とブランク板、およびブランク板の紙とプラスチックフィルムとに容易に剥離して分離することができ、それぞれを再生利用できるようにした複合容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、粉状、粒状などの家庭用洗剤や、清酒などの飲料の容器として、紙とプラスチックフィルムなどを貼り合わせた積層シートによるブランク板を成形金型内に挿入し、これに樹脂を射出して一体化成形した複合容器、例えばピラードパックと呼ばれる複合容器が使用されてきた。
【0003】
このような複合容器は、例えば、板紙とプラスチックフィルムを貼り合わせた積層シートを打ち抜いてブランク板を作製し、金型内でトレーやカップ状などの容器本体を形成するようにフォーミングして、底部または底部の周囲、胴部の接合部や柱部分、上部開口端の周縁部など必要部分のみに骨組み状に樹脂を射出し、一体化成形して作製することができるので、保形性がよく、良好な防湿性も得られ、また、同サイズのプラスチック単体容器と比較して、樹脂の使用量が少なく軽量で、表面の絵柄などの印刷もブランク板の紙面などにフラットな状態で加工できるため意匠性が高く、更に、使用後の廃棄処理で焼却しても発生する熱量が小さく、環境に対する負荷も小さいという利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような複合容器は、上記のような種々の利点を有する反面、保形性容器であるため、使用後の容器が嵩張り、回収の際の運搬効率を低下させ、また、再生利用しようとしても、ブランク板と射出成形された樹脂、或いはブランク板の紙とプラスチックフィルムとが強固に接着し一体化されており、ブランク板と射出成形樹脂、或いはブランク板の紙とプラスチックフィルムとの分離が難しく、再生利用が困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、少なくとも紙とプラスチックフィルムとが積層された積層シートを打ち抜いてなるブランク板を成形金型内に挿入し、射出成形することにより、樹脂とブランク板とを一体化して形成される複合容器であって、複合容器として必要な性能を良好に備え、且つ、容器の使用後には、射出成形樹脂とブランク板、およびブランク板の紙とプラスチックフィルムなどを容易に分離することができ、それらの再生利用も容易に行うことのできる複合容器を生産性よく提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、以下の本発明により解決することができる。即ち、請求項1に記載した発明は、少なくとも紙とプラスチックフィルムとが積層された積層シートを打ち抜いてなるブランク板を成形金型内に挿入し、射出成形することにより、樹脂とブランク板とを一体化して形成される複合容器であって、前記ブランク板が、米坪量250〜700g/m 2 の板紙を前記紙とし、少なくとも該板紙の一方の面に接着剤を用いて前記プラスチックフィルムを貼り合わせた積層シートで形成され、且つ、該接着剤の塗布量を乾燥時の塗布量で1.5〜4.0g/m 2 とすることによって、前記ブランク板の前記紙とプラスチックフィルムとの積層面の剥離強度が0.3〜1.0N/15mm幅とし、前記樹脂と前記ブランク板の接合部の前記ブランク板の端部近辺を強く押しつぶすことにより、その部分の前記ブランク板の前記紙と前記プラスチックフィルムとが、積層面で剥離することを可能としたことを特徴とする複合容器からなる。
【0008】
そして、ブランク板を少なくとも紙とプラスチックフィルムとの積層シートで形成することにより、複合容器に防湿性、耐水性を付与することができる。
また、使用後の複合容器の成形樹脂とブランク板、およびブランク板の紙とプラスチックフィルムとを分離し、それぞれを再生利用するためには、前記ブランク板の紙とプラスチックフィルムとの積層面の剥離強度を0.3〜1.0N/15mm幅の範囲とすることが好ましく、それによりブランク板の紙とプラスチックフィルムとを容易に剥離できると同時に、成形樹脂とブランク板との接合部の接着強度も分離可能な程度に小さくすることができる。
【0009】
このような剥離強度の調節は、例えば、紙とプラスチックフィルムとの積層を接着剤を用いるドライラミネーション法またはウェットラミネーション法で行い、その接着剤の塗布量の調節などにより容易に行うことができる。
前記剥離強度が0.3N/15mm幅未満の場合は、ブランク板を成形金型内に挿入し、樹脂を射出した際、樹脂の射出圧により紙とプラスチックフィルムとの間で剥離を生じ、良好な一体化成形ができなくなるため好ましくない。
また、前記剥離強度が1.0N/15mm幅を超える場合は、紙とプラスチックフィルムとの積層強度が強すぎるため、成形樹脂とブランク板との接合部の接着強度も強くなり、成形された複合容器を使用した後、成形樹脂とブランク板との分離、およびブランク板の紙とプラスチックフィルムとの剥離の両方が難しくなるため好ましくない。
【0010】
従って、前記のような構成を採ることにより、複合容器の成形と、その使用を良好に行うことができ、且つ、容器の使用後には、複合容器の成形樹脂とブランク板との分離、およびブランク板の紙とプラスチックフィルムとの剥離を容易に行え、それぞれを再生利用することのできる複合容器を生産性よく提供することができる。
【0011】
請求項1に記載した発明は、前記ブランク板が、米坪量250〜700g/m2 の板紙を基材とし、少なくとも該板紙の一方の面に接着剤を用いてプラスチックフィルムを貼り合わせた積層シートで形成され、且つ、該接着剤の塗布量が乾燥時の塗布量で1.5〜4.0g/m2 であることを特徴とする請求項1記載の複合容器からなる。尚、上記接着剤の塗布量は、プラスチックフィルム面に接着剤を塗布して、紙と貼り合わせる場合の塗布量である。
【0012】
また、複合容器に必要な剛性や防湿性、耐水性などを付与するためには、容器の寸法にもよるが、ブランク板に用いる紙として、米坪量250〜700g/m2 の板紙を用いることが好ましく、また、その板紙の少なくとも一方の面に接着剤を用いてプラスチックフィルムを貼り合わせることが好ましい。
更に、複合容器の製造や使用中の段階では問題がなく、且つ、使用後には、複合容器の成形樹脂とブランク板、およびブランク板の紙とプラスチックフィルムとを容易に剥離できるようにするためには、その貼り合わせに接着剤を用い、その塗布量を乾燥時の塗布量で1.5〜4.0g/m2 とすることが好ましく、それにより、ブランク板の紙とプラスチックフィルムとの積層面の剥離強度を0.3〜1.0N/15mm幅の範囲に容易に調節することができる。
【0013】
また、前記接着剤は、その材質については特に限定はされないが、樹脂の射出成形の際、樹脂の射出圧と共に熱が加わるため、耐熱性を有することが好ましく、その意味で一液反応型または二液反応型の接着剤を用いることが耐熱性に優れる点で好ましい。具体例としては、通常、ドライラミネートなどに使用されるポリウレタン系などの一液または二液反応型接着剤、或いはアクリル系の二液反応型接着剤などを好適に使用することができる。
【0014】
このような接着剤の塗布量は、貼り合わせる紙の表面平滑性や接着剤の吸収性などにより接着強度が影響されるため、調整が必要となるが、通常、乾燥時の塗布量を1.5〜4.0g/m2 の範囲で調整することにより、紙とプラスチックフィルムの剥離強度を前記0.3〜1.0N/15mm幅の範囲に調節することができる。
前記接着剤の塗布量が1.5g/m2 未満の場合は、前記剥離強度が0.3N/15mm幅未満となり、複合容器の射出成形の段階でブランク板の紙とプラスチックフィルムとが剥がれやすくなるため好ましくない。また、前記接着剤の塗布量が4.0g/m2 を超える場合は、前記剥離強度が1.0N/15mm幅を超える危険性が増し、成形樹脂とブランク板の分離、およびブランク板の板紙とプラスチックフィルムとの剥離が難しくなるため好ましくない。
【0015】
従って、前記のような構成を採ることにより、複合容器に一層確実に剛性と防湿性、耐水性を付与できると共に、使用後の複合容器を、その成形樹脂とブランク板、およびブランク板の板紙とプラスチックフィルムとに容易に分離して、それぞれを再生利用できるようになる。
【0016】
請求項2に記載した発明は、前記複合容器の射出成形の樹脂がポリプロピレンであって、且つ、ブランク板の少なくとも該樹脂と接着する側のプラスチックフィルムがポリプロピレンフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の複合容器である。
【0017】
前記射出成形の樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステルなど射出成形に使用できる熱可塑性樹脂は何でも使用でき、また、ブランク板の紙に積層するプラスチックフィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリスチレンフィルムなどを使用できるが、複合容器の機械的強度や、防湿性、耐内容物性などの性能のほか、成形樹脂とブランク板との接合部の接着安定性などを総合的に考慮した場合、複合容器の射出成形の樹脂にはポリプロピレンを用い、また、ブランク板の少なくとも射出成形の樹脂と接着する側のプラスチックフィルムにはポリプロピレンフィルムを用いることが一層好ましい。
【0018】
このような構成を採ることにより、前記請求項1に記載した発明の作用効果に加えて、複合容器が、機械的強度や、防湿性、耐内容物性などの性能に優れると共に、成形樹脂とブランク板のプラスチックフィルムの両方がポリプロピレンであるため、成形樹脂とブランク板の接合部の接着も安定し、また、使用後の複合容器を、成形樹脂とブランク板のプラスチックフィルムと紙とに分離した際にも、ポリプロピレンと紙との二種類に分別でき、再生利用の手間も軽減することができる。更に、ポリプロピレンは射出成形の加工性もよく、且つ安価であるため製造コストも低減でき、経済性にも優れた複合容器を提供することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の複合容器の実施の形態について説明する。
本発明の複合容器は、基本的には、少なくとも紙とプラスチックフィルムとが積層された積層シートを打ち抜いてなるブランク板を、成形金型内に挿入し、射出成形することにより、樹脂とブランク板とを一体化して形成される複合容器であって、ブランク板の紙とプラスチックフィルムとの積層面の剥離強度を0.3〜1.0N/15mm幅となるように調節して形成したことを特徴とするものである。
【0020】
このように複合容器を構成することにより、複合容器の製造および使用中の段階では、容器の性能を良好に維持することができ、且つ、複合容器の使用後には、例えば、射出成形樹脂とブランク板の接合部のブランク板の端部近辺を強く押しつぶすことにより、その部分のブランク板の紙とプラスチックフィルムとが、積層面で剥離すると同時に、射出成形樹脂とブランク板とが分離し、成形樹脂とブランク板、およびブランク板の紙とプラスチックフィルムとを分離させ、それぞれを再生利用できるようにしたものである。
【0021】
また、複合容器のブランク板の紙に、米坪量が250〜700g/m2 の板紙を使用し、少なくともその一方の面に積層するプラスチックフィルムの積層方法として、接着剤を用いて貼り合わせる方法を採り、その接着剤の塗布量を、乾燥時の塗布量で1.5〜4.0g/m2 の範囲となるように調節して貼り合わせることにより、その積層面の剥離強度を前記0.3〜1.0N/15mm幅に調節でき、且つ、複合容器の剛性や防湿性などの性能も優れたものにすることができるものである。
【0022】
尚、上記板紙は、特に限定はされず、容器に充填する内容物に応じて、コップ原紙、アイボリー紙、カード紙、コートボールなどの中から、適するものを適宜選択して使用することができる。
また、板紙に積層するプラスチックフィルムについても特に限定はされず、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリスチレン、トリアセテートなどの延伸または無延伸フィルムを使用することができ、これらの中から目的に合わせて適宜選択して使用することができる。
【0023】
例えば、複合容器に防湿性を付与したい場合は、板紙の容器の内側になる面に、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステルなどのフィルムを積層することが効果的であり、更に、板紙の容器の外側になる面にも、絵柄などの印刷を施して意匠性を高めた後、その上に前記フィルムを積層することにより、外側からの摩擦などによる印刷面の傷つきを防止すると共に、耐水性などを向上させることができる。
【0024】
尚、前記容器の内側になる面に積層するフィルムは、使用後に剥離して再生利用するためには単独のフィルムであることが好ましいが、容器にガスバリヤー性などが必要とされる場合は、例えば中間層などにアルミニウム箔などを積層した複合フィルムを用いてもよい。その場合、複合フィルム自体の再生利用は難しくなるが、それ以外の射出成形樹脂や紙、或いは単独で用いたフィルムは容易に再生利用することができる。
また、前記プラスチックフィルムの積層面には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理などの易接着性処理を施すことができる。
【0025】
前記板紙とプラスチックフィルムとを接着剤を用いて貼り合わせる場合、前述したように、その接着剤は、耐熱性を有することが好ましく、この点から、一液または二液反応型のポリウレタン系またはアクリル系の接着剤が適している。
例えば、二液反応型のポリウレタン系接着剤は、高分子末端に水酸基を有するポリオール成分とイソシアネート基を有するポリイソシアネート成分を主成分とし、水酸基とイソシアネート基の反応でウレタン結合を形成して硬化するものである。
【0026】
このような二液反応型のポリウレタン系接着剤のポリオール成分としては、ポリエステルポリオール、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオールなどを使用することができる。
また、ポリイソシアネート成分としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)、メタン−トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェートなどのイソシアネートモノマーや、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどイソシアネートモノマーをトリメチロールプロパンに付加したウレタンプレポリマー、ヘキサメチレンジイソシアネートビューレット、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートトリマーなどのイソシアネート変性体などを使用することができる。
【0027】
一液反応型のポリウレタン系接着剤としては、イソシアネート基を末端にもつプレポリマーポリウレタン接着剤、例えば、ポリエーテルポリオールとジイソシアネートを反応させて得られるポリエーテルポリウレタンポリイソシアネートや、ポリエステルポリオールとジイソシアネートを反応させて得られるポリエステルポリウレタンポリイソシアネートなどを使用することができる。
【0028】
また、ブランク板と射出成形樹脂との接合部の接着性を安定化させるためには、射出成形樹脂と、板紙に積層するプラスチックフィルムとに同質の樹脂を用いることが好ましく、例えば、射出成形樹脂にポリプロピレンを用いる場合は、板紙に積層するプラスチックフィルムにも少なくとも該樹脂と接着する側の面にはポリプロピレンフィルムを用い、また、射出成形樹脂にポリエステルを用いる場合は、板紙に積層するプラスチックフィルムにも少なくとも該樹脂と接着する側の面にはポリエステルフィルムを用いることが好ましい。
【0029】
射出成形樹脂と、板紙に積層するプラスチックフィルムとに同質の樹脂を用いることができない場合は、必要に応じて、プラスチックフィルム側の少なくとも射出成形樹脂との接合部に両者の熱接着性を向上させるためのヒートシール剤などの熱接着性樹脂コートを施すことができる。
このような熱接着性樹脂コートは、例えば、板紙の容器の外側または内側になる面にプラスチックフィルムを積層しないような場合には、板紙自体に施すことができる。
【0030】
本発明の複合容器に用いるブランク板の代表的な構成例として、以下のような構成が挙げられる。
〔1〕(外側)2軸延伸ポリプロピレンフィルム(厚み20μm)/接着剤(2.5g/m2 に調節)/(印刷)コートボール(500g/m2 )/熱接着性樹脂コート(塩素化ポリプロピレン)
〔2〕(外側)2軸延伸ポリプロピレンフィルム(厚み20μm)/接着剤(2.5g/m2 に調節)/(印刷)コートボール(500g/m2 )/接着剤(3.5g/m2 に調節)/無延伸ポリプロピレンフィルム(厚み20μm)
〔3〕(外側)2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み12μm)(印刷)/接着剤(2.5g/m2 に調節)/コップ原紙(270g/m2 )/接着剤(3.0g/m2 に調節)/アルミニウム箔(厚み9μm)/通常のドライラミネート/無延伸ポリプロピレンフィルム(厚み60μm)
〔4〕(外側)2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み12μm)(印刷)/接着剤(2.5g/m2 に調節)/コップ原紙(270g/m2 )/接着剤(3.0g/m2 に調節)/(アルミニウム蒸着層)2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み12μm)/通常のドライラミネート/無延伸ポリプロピレンフィルム(厚み60μm)
上記のほか、様々な構成を採ることができる。上記紙、フィルムなどの厚みは、容器のサイズや充填される内容物により適宜変更することができる。
また、上記の構成は、いずれも射出成形樹脂として、ポリプロピレンを用いる場合の構成である。
【0031】
【実施例】
以下に、図面を用いて本発明を更に具体的に説明する。
図1、図2は、それぞれ本発明の複合容器に用いるブランク板の一実施例の構成を示す展開図である。
図3は、図1に示したブランク板を用いて製造した複合容器の構成を示す斜視図である。
尚、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの図面に限定されるものではない。
【0032】
図1は、本発明の複合容器に用いるブランク板の一実施例の構成を示す展開図であり、図1に示したブランク板10は、胴巻き方式のブランク板の例を示したものであり、テーパー付き角形複合容器の胴部の周壁を形成するために用いるものである。従って、少なくとも板紙にプラスチックフィルムを剥離可能、即ち、その積層面の剥離強度が0.3〜1.0N/15mm幅となるように調節して積層された積層シートを、図示したような扇形状の胴板1に打ち抜くと共に、胴板1の角形複合容器の周囲四隅に相当する位置には、3本1組の縦方向の押し罫3a 、3b 、3c 、3d を設けて、それぞれがなだらかに折り曲げられるように構成されている。
【0033】
このようなブランク板10を、雄型と雌型とで構成される成形金型の雌型内に角筒形に折り曲げて挿入し、雄型で型閉めした後、金型内に樹脂を射出して、ブランク板10と樹脂とを一体化成形することにより、図3に示した構成の複合容器100を製造することができる。
【0034】
即ち、図3に示した複合容器100は、横断面が長方形状のテーパー付き角形複合容器に形成されており、胴部の周壁がブランク板10の胴板1で形成されると共に、この場合、底部5の全体が底辺連結樹脂6で形成され、胴板1の両側部端縁同士の接合間隙部と、これに対向する壁面の対称的な位置に、それぞれ柱状に縦骨樹脂4、4′が設けられ、更に、容器周壁の上縁を覆い、その外周にフランジ8を形成する口縁骨樹脂7が設けられ、底部5を形成する底辺連結樹脂6と縦骨樹脂4、4′と口縁骨樹脂7とは、それぞれ連続し骨組みを形成するように設けられている。
また、フランジ8の位置は、容器周壁の上端よりやや下側の外周に設けたが、複合容器100に取り付ける蓋の形式により、容器周壁の上端の外周などに適宜変更して設けることができる。
【0035】
図2は、本発明の複合容器に用いるブランク板の別の一実施例の構成を示す展開図であり、図2に示したブランク板20は、複合容器の胴部周壁と底板とを形成できるように構成したものであり、テーパー付き丸形複合容器に使用するブランク板の例を示したものである。
この場合も、ブランク板20には、少なくとも板紙にプラスチックフィルムを剥離可能、即ち、その積層面の剥離強度が0.3〜1.0N/15mm幅となるように調節して積層された積層シートを用い、その積層シートを図示したように、中心部に円形の底板2を有し、その上下に丸形複合容器の胴部周壁の半周ずつを形成する扇形状の胴板1a または胴板1b が連設された形状に打ち抜くと共に、底板2と胴板1a の間には押し罫3eを設け、また、底板2と胴板1b の間には押し罫3fを設けて構成したものである。
【0036】
このようなブランク板20を用いて、テーパー付き丸形複合容器を製造す場合、雄型と雌型とで構成される成形金型の雌型内に、ブランク板20の底板2を先頭にして雄型で挿入することにより、底板2の両側に連設された胴板1a と胴板1b とが押し罫3e、3fにより後方に折り曲げられ、成形金型内でテーパー付き丸形容器状に組み立てられる。次いで、雄型で型閉めされた成形金型内に樹脂を射出して、ブランク板20と樹脂とを一体化成形することにより、図には示していないが、底板2と胴板1a 、1b の接合間隙部と、胴板1a と胴板1b の端部同士の接合間隙部とを連続するように埋め、更に、丸形容器周壁の上縁を覆い、その上縁外周にフランジが形成されるように樹脂が注入され、骨組み状の成形樹脂とブランク板20とが一体化成形されたテーパー付き丸形複合容器を製造することができる。
【0037】
以上のようにして製造された複合容器は、いずれも射出成形による一体化成形などの製造段階、および内容物の充填、充填後の使用段階では、特に問題はなく良好に製造し、使用することができた。
そして、複合容器の使用後には、射出成形樹脂とブランク板の接合部のブランク板の端部近辺を強く押しつぶすことにより、その部分のブランク板の紙とプラスチックフィルムとが、積層面で剥離すると同時に、射出成形樹脂とブランク板とが分離し、成形樹脂とブランク板、およびブランク板の紙とプラスチックフィルムとを容易に分離することができた。
従って、それぞれの材料を分別回収し、再生利用することも容易である。
【0038】
【発明の効果】
以上、詳しく説明したように、本発明によれば、少なくとも紙とプラスチックフィルムとが積層された積層シートを打ち抜いてなるブランク板を成形金型内に挿入し、射出成形することにより、樹脂とブランク板とを一体化して形成される複合容器であって、複合容器として必要な性能を良好に備え、且つ、容器の使用後には、射出成形樹脂とブランク板、およびブランク板の紙とプラスチックフィルムなどを容易に分離することができ、それらの再生利用も容易に行うことのできる複合容器を生産性よく提供できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合容器に用いるブランク板の一実施例の構成を示す展開図である。
【図2】本発明の複合容器に用いるブランク板の別の一実施例の構成を示す展開図である。
【図3】図1に示したブランク板を用いて製造した複合容器の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1、1a 、1b 胴板
2 底板
3a 、3b 、3c 、3d 、3e 、3f 押し罫
4、4′縦骨樹脂
5 底部
6 底辺連結樹脂
7 口縁骨樹脂
8 フランジ
10、20 ブランク板
100 複合容器
Claims (2)
- 少なくとも紙とプラスチックフィルムとが積層された積層シートを打ち抜いてなるブランク板を成形金型内に挿入し、上部開口端の周縁部など必要部分のみに骨組み状に樹脂を射出して射出成形することにより、前記樹脂と前記ブランク板とが一体化され形成される複合容器であって、前記ブランク板が、米坪量250〜700g/m2の板紙を前記紙とし、少なくとも該板紙の一方の面に接着剤を用いて前記プラスチックフィルムを貼り合わせた積層シートで形成され、且つ、該接着剤の塗布量を乾燥時の塗布量で1.5〜4.0g/m2とすることによって、前記ブランク板の前記紙と前記プラスチックフィルムとの積層面での剥離強度を0.3〜1.0N/15mm幅とし、前記樹脂と前記ブランク板の接合部の前記ブランク板の端部近辺を強く押しつぶすことにより、その部分の前記ブランク板の前記紙と前記プラスチックフィルムとが、積層面で剥離することを可能としたことを特徴とする複合容器。
- 前記複合容器の射出成形の前記樹脂がポリプロピレンであって、且つ、ブランク板の少なくとも該樹脂と接着する側のプラスチックフィルムがポリプロピレンフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の複合容器。
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