JP4180270B2 - 鋼材用水性被覆剤、被覆方法及び被覆鋼材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、亜鉛めっき鋼板等の鋼材を被覆するに好適な鋼材用水性被覆剤、それによる鋼材の被覆方法、及び被覆された鋼材に関する。
【0002】
【従来の技術】
亜鉛めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板等の鋼材は、従来から、6価クロム酸塩等を用いたクロメートによる防錆処理が広く行われ、必要に応じて耐有機溶剤性、耐指紋性、耐傷つき性等を付与すべく有機樹脂による被覆が行われた後、各種塗料が上塗りされたり、潤滑膜が形成されていた。
【0003】
近年、環境問題の高まりを背景に、従来鋼材に施されていたクロメート処理を省略する動きがある。クロメート処理層は、それ自身で高度の耐食性及び塗装密着性を有するものであるから、このクロメート処理を行わない場合には、これらの性能が著しく低下することが予想される。そのため、クロメート処理による下地処理を行わずに、有機樹脂による一段処理のみで良好な耐食性及び塗装密着性を有する防錆層を形成することが要求されることとなってきた。
【0004】
特開平11−71536公報には、2価金属で中和されたアイオノマー樹脂とエポキシ化合物との反応物にシリカ、エポキシ化合物を含有させた金属表面用防錆処理剤が開示されている。この処理剤は、塗料等の硬化性樹脂との密着性を改善できる。また、エポキシ化合物を配合した直後は、耐アルカリ性は良好である。しかしポットライフが短く、経時によりエポキシ化合物と水とが反応し、グリシジル基の開環反応が起こるため、アイオノマー樹脂中のカルボキシル基と架橋できず、耐アルカリ性が極めて悪くなる。また金属素材との密着性が悪く、特に湿潤条件下では、水が皮膜を通じて金属素材界面へ浸透し、皮膜が剥離する。
【0005】
特開2000−273659公報には、1価金属と2価金属で中和されたアイオノマー樹脂とアミンで中和されたポリオレフィン樹脂とエポキシ化合物との反応物にシリカ、エポキシ化合物、シランカップリング剤、チオ硫酸イオンを配合した金属表面用防錆処理剤が開示されている。この処理剤は、シランカップリング剤を後添加する分、上記特開平11−71536公報に記載の技術より耐アルカリ性と塗装密着性が向上する。しかし、シランカップリング剤を添加した直後から、アルコキシル基の加水分解が起こり、縮重合反応によりシランカップリング剤が高分子化するため、耐アルカリ性が経時により低下してしまう。また、金属素材との密着性も不十分である。
【0006】
一方、アルミニウムの塗装下地処理剤として、特開2000−204485号公報には、0.5〜200g/lの量の樹脂を含む水溶液又は水性分散体にイミダゾール類、トリアジン類、トリアゾール類、グアニン類、グアニジン類等の孤立電子対を持つ窒素原子を含有する化合物の1種又は2種以上を0.1〜20g/l含有するものが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐食性、耐溶剤性、耐アルカリ性、塗装密着性、皮膜密着性、浴安定性に優れ、亜鉛系被覆鋼又は無被覆鋼等の鋼材を被覆するに好適な1液タイプの鋼材用水性被覆剤、それによる鋼材の被覆方法、及び被覆された鋼材を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エポキシ化合物及びエポキシ基含有シラン化合物を反応させて得られるものである水性分散樹脂を固形分換算で5〜30質量%、シリカ粒子を0.1〜20質量%、グアニジン化合物を0.01〜5質量%及び水を含む(但し、有機チタネート化合物を含まない)ことを特徴とする鋼材用水性被覆剤である。
【0009】
本発明は、上記鋼材用水性被覆剤を鋼材表面に塗布して皮膜を形成することを特徴とする鋼材の被覆方法でもある。
また、本発明は、上記鋼材用水性被覆剤を鋼材表面に塗布して皮膜を形成した後、該皮膜の上に上塗り塗料を塗布して塗膜を形成することを特徴とする鋼材の被覆方法でもある。
さらに、本発明は、上記鋼材の被覆方法によって得られる被覆された鋼材でもある。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に述べる。
本発明の鋼材用水性被覆剤は、水性分散樹脂、シリカ粒子及びグアニジン化合物を配合してなるものである。
【0011】
本発明の鋼材用水性被覆剤に配合される水性分散樹脂としては特に限定されず、例えば、水性アクリル樹脂、水性ウレタン樹脂、水性ポリエステル樹脂、水性エポキシ樹脂、水性オレフィン樹脂、水性アイオノマー樹脂等を挙げることができる。
【0012】
上記水性アクリル樹脂は、スチレン、アルキル(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、アルコキシシラン(メタ)アクリレート類などの不飽和単量体を水溶液中で重合開始剤を用いてラジカル重合することによって、水溶化あるいは水分散化させるなどして得ることができる。重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、アゾビスシアノ吉草酸、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物などが使用できる。
【0013】
上記水性ウレタン樹脂は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、ビスフェノールヒドロキシプロピルエーテル、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコール類とヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物とを反応させ、さらにジアミンなどで鎖延長し、水分散化させるなどして得ることができる。
【0014】
上記水性ポリエステル樹脂は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、ビスフェノールヒドロキシプロピルエーテル、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコール類と無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、無水ハイミック酸などの多塩基酸とを脱水縮合させ、アンモニアやアミンなどで中和し、水分散化させるなどして得ることができる。
【0015】
上記水性エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂を界面活性剤で強制乳化し、水分散化させて得る方法や上記エポキシ樹脂の存在下で、高酸価アクリル樹脂をラジカル重合したのち、アンモニアやアミンなどで中和し、水分散化させるなどして得ることができる。
【0016】
上記水性オレフィン樹脂は、エチレンとメタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸とを高温高圧下でラジカル重合したのち、アンモニアやアミンなどで中和し、水分散化させるなどして得ることができる。
【0017】
上記水性アイオノマー樹脂は、エチレンとメタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸とを高温高圧下でラジカル重合したのち、KOH、NaOH、LiOHなどの金属化合物あるいは上記金属化合物を含有するアンモニアやアミンなどで中和し、水分散化させるなどして得ることができる。
【0018】
上記水性分散樹脂は、1種または2種以上用いてもよい。
また、上記水性分散樹脂の少なくとも1種の存在下で、水性アクリル樹脂、水性ウレタン樹脂、水性ポリエステル樹脂、水性エポキシ樹脂、水性オレフィン樹脂、水性アイオノマー樹脂の少なくとも1種によって変性することによって得られる水性複合樹脂を1種または2種以上用いてもよい。
【0019】
本発明の鋼材用水性被覆剤において、上記水性分散樹脂が、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の中和物であることが好ましい。ここで、上記水性分散樹脂が、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の中和物であるとは、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体に含有されるカルボキシル基の一部又は全量を中和したものであることを意味するものである。
【0020】
上記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンとメタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸とを高温高圧下でラジカル重合させて得られるコポリマーである。
【0021】
上記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体は、不飽和カルボン酸を15〜30質量%含有するものであることが好ましい。また、メルトフローレート(190℃)が1〜500g/10minであるものが好ましく、特に10〜300g/10minであるものが好ましい。このようなエチレン−不飽和カルボン酸共重合体としては、例えば、エチレン−アクリル酸共重合体が、商品名プリマコール5980Iとしてダウケミカル社から、ニュクレルN5130Hとして三井・デュポンポリケミカル社から販売されている。また、エチレン−メタクリル酸共重合体が、商品名ニュクレルN2060、同N2030H、同N2050Hとして三井・デュポンポリケミカル社から販売されている。これらのエチレン−不飽和カルボン酸共重合体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。より好ましい形態としては、上記水性分散樹脂が、不飽和カルボン酸を15〜30質量%含有するエチレン−不飽和カルボン酸共重合体の中和物であるものを挙げることができる。
【0022】
上記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の中和物が、アルカリ金属、アンモニア及びアミンからなる群より選択される少なくとも1種で中和されるものであることが好ましい。すなわち、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体に含有されるカルボキシル基の一部又は全量が、KOH、NaOH、LiOH等の金属化合物により供給されるアルカリ金属、アンモニア及びアミンからなる群より選択される少なくとも1種によって、中和されるものであること意味するものである。好ましくは、アルカリ金属又はアルカリ金属を含有するアンモニア、アミンによって中和されるものである。
【0023】
上記アミンとしては、例えば、トリエチルアミン、エタノールアミン等の水溶性アミン等を挙げることができる。上記アミンは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
上記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体を中和することに用いられる金属化合物としては、例えば、カリウム、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属を含む化合物が好ましいが、亜鉛、マグネシウム、カルシウム等の2価金属を含む化合物を用いることもできる。上記金属化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、金属化合物とともにアンモニア、アミンを併用してもよい。エチレン−メタクリル酸共重合体をNaOH及びKOHで中和した水分散体が、商品名ケミパールS−650、同S−100、及び同S−659として三井化学社から販売されている。
【0025】
上記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の中和物は、中和度が30%以上であることが好ましい。中和度が30%以上とは、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体に含有されるカルボキシル基の30%以上が中和されていることを意味するものである。より好ましい形態としては、上記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の中和物が、アルカリ金属、アンモニア及びアミンからなる群より選択される少なくとも1種で中和され、中和度が30%以上であるものを挙げることができる。上記金属化合物単独で中和される場合、中和度が30%未満の場合は水分散性が十分でなく、また、中和度が極端に低い場合は水に分散しなくなる。一方、中和度の上限は特に限定しないが、耐食性の観点からは200%以内とすることが好適である。
【0026】
上記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体に含有されるカルボキシル基を中和する反応温度としては、50〜150℃であることが好ましく、反応時間としては、30分〜8時間であることが好ましい。
本発明において、水性分散樹脂としては、上記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の中和物を含むものである場合には、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の中和物を変性させたものであってもよい。
【0027】
本発明における水性分散樹脂の固形分濃度での含有量は、該水性被覆剤の5〜30質量%であり、好ましくは、7〜25質量%である。この含有量が5質量%未満では、造膜性や耐水性が低下する場合がある。30質量%を超えると水性被覆剤の浴安定性が低下する場合がある。
【0028】
シリカ粒子は、平均粒径が0.01〜0.5μm程度のものが好適であり、コロイダルシリカやヒュームドシリカ等から適宜選択して用いることができる。具体例としては、スノーテックスN、スノーテックスC(日産化学工業)やアデライトAT−20N、AT−20A(旭電化工業)やカタロイドS−20L、カタロイドSA(触媒化成工業)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。配合量は該水性被覆剤に0.1〜20質量%であり、好ましくは1〜10質量%の範囲である。この配合量が0.1質量%未満では鋼材表面に形成される皮膜の硬度や耐食性が低下し、20質量%を超えると造膜性や耐水性が低下する場合がある。
【0029】
本発明におけるグアニジン化合物は、従来から耐食性を付与するために使用されてきたクロム化合物と同様、金属表面に吸着し易く、また酸化能力も優れているため金属表面を不動態化させることができ、特に亜鉛鋼板等の白錆防止に有効である。
【0030】
グアニジン化合物は、下記式(3)で表されることが好ましい。これにより、得られる水性被覆剤の耐食性をより向上させることができる。
【0031】
【化3】
【0032】
式中、X′及びY′は、同一又は異なって、H、NH2、フェニル基若しくはメチルフェニル基(トリル基)を表すか、又は、置換基としてH、NH2、フェニル基若しくはメチルフェニル基(トリル基)を有していてもよく、かつ、−C(=NH)−、−CO−若しくは−CS−を含んでもいてもよい。
【0033】
上記グアニジン化合物の例としては、グアニジン、アミノグアニジン、グアニルチオ尿素、1,3−ジ−o−トリルグアニジン、1−o−トリルビグアミド、1,3−ジフェニルグアニジン等を挙げることができる。
上記グアニジン化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0034】
上記グアニジン化合物の含有量は、該水性被覆剤に0.01〜5質量%であり、好ましくは0.05〜5質量%である。0.01質量%未満の場合には耐食性が不十分となり、一方5質量%を超えると耐食性が飽和して不経済となるだけでなく、使用する水性分散樹脂によってはゲル化して塗布不能となることがある。
【0035】
本発明の鋼材用水性被覆剤は、更に、有機チタネート化合物、チオカルボニル化合物及び/又はリン酸イオンを配合してなるものであることが好ましい。これは、有機チタネート化合物、チオカルボニル化合物、リン酸イオンを2種以上配合してもよく、また、いずれか1種を配合してもよいことを意味する。すなわち、本発明の鋼材用水性被覆剤において、水性分散樹脂、シリカ粒子及びグアニジン化合物の必須成分以外に、更に、有機チタネート化合物、チオカルボニル化合物及びリン酸イオンからなる群より選択される少なくとも1種を配合してなることを意味するものである。
【0036】
有機チタネート化合物として用いられる具体例としては、ジプロポキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン、ジプロポキシ・ビス(ジエタノールアミナト)チタン、ジブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン、ジブトキシ・ビス(ジエタノールアミナト)チタン、ジプロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、ジブトキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、ジヒドロキシ・ビス(ラクタト)チタンモノアンモニウム塩、ジヒドロキシ・ビス(ラクタト)チタンジアンモニウム塩、プロパンジオキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、オキソチタンビス(モノアンモニウムオキサレート)、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネート等を挙げることができる。これらは単独でも良く、2種以上を併用してもよい。有機チタネート化合物の添加量は、該水性被覆剤に、好ましくは0.01〜20質量%の範囲であり、より好ましくは0.1〜20質量%の範囲であり、さらに好ましくは0.1〜10質量%の範囲である。この添加量が0.01質量%未満では形成される皮膜と鋼材との密着性が低下し、20質量%を超えると水性被覆剤の浴安定性が低下する場合がある。
【0037】
本発明におけるチオカルボニル化合物は、上記グアニジン化合物と同様の効果を有するものである。また、チオカルボニル化合物を水性分散樹脂を含む水性被覆剤にリン酸イオンと共に添加すると相乗作用により防錆効果が著しく向上し、従来のクロム含有樹脂系防錆剤より優れた水性被覆剤を得ることができる。
【0038】
本発明におけるチオカルボニル化合物は、下記一般式(1)で表されることが好ましい。これにより、得られる水性被覆剤の耐食性をより向上させることができる。
【0039】
【化4】
【0040】
式中、X、Yは、同一又は異なって、H、OH、SH若しくはNH2を表すか、又は、置換基としてOH、SH若しくはNH2を有していてもよく、かつ、−O−、−NH−、−S−、−CO−若しくは−CS−を含んでもいてもよい炭素数1〜15の炭化水素基を表し、XとYとが結合して環を形成してもよい。
【0041】
上記一般式(1)で表されるチオカルボニル化合物とは、下記式(I)に示すチオカルボニル基
【0042】
【化5】
【0043】
を有する化合物を指し、その中でも下記式(II)に示す窒素原子や酸素原子を有するチオカルボニル基が好ましい。
【0044】
【化6】
【0045】
また、水溶液中や酸又はアルカリの存在下の条件においてチオカルボニル基含有化合物を形成することのできる化合物も使用することができる。
上記チオカルボニル化合物の例としては、下記式(III)
【0046】
【化7】
【0047】
で表されるチオ尿素及びその誘導体、例えば、メチルチオ尿素、ジメチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、エチルチオ尿素、ジエチルチオ尿素、1,3−ジブチルチオ尿素、フェニルチオ尿素、ジフェニルチオ尿素、1,3−ビス(ジメチルアミノプロピル)−2−チオ尿素、エチレンチオ尿素、プロピレンチオ尿素、チオペンタール、チオカルバジド、チオカルバゾン類、チオシアヌル酸類、チオヒダントイン、2−チオウラミル、3−チオウラゾール、下記式(IV)
【0048】
【化8】
【0049】
で表されるチオアミド化合物及びその誘導体、例えば、チオホルムアミド、チオアセトアミド、チオプロピオンアミド、チオベンズアミド、チオカルボスチリル、チオサッカリン、下記式(V)
【0050】
【化9】
【0051】
で表されるチオアルデヒド化合物、例えば、チオホルムアルデヒド、チオアセトアルデヒド、下記式(VI)
【0052】
【化10】
【0053】
で表されるカルボチオ酸類及びその塩類、例えば、チオ酢酸、チオ安息香酸、ジチオ酢酸、メチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸トリエチルアミン塩、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピぺリジン塩、ピペコリルジチオカルバミン酸ピペコリン塩、o−エチルキサントゲン酸カリウム、下記式(VII)
【0054】
【化11】
【0055】
で表されるチオ炭酸類、例えば、エチレントリジチオカルボネート、その他上記式(I)の構造を有する化合物、例えば、チオクマゾン、チオクモチアゾン、チオニンブルーJ、チオピロン、チオピリン、チオベンゾフェノン等が挙げられる。これらのチオカルボニル化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、上記チオカルボニル化合物のうち水に溶解しないものは、アルカリ溶液で一旦溶解させた後、被覆剤中に配合する。
【0056】
上記チオカルボニル化合物は、下記一般式(2)で表される側鎖を有し、重量平均分子量が1000〜1000000である重合体であることが好ましい。このような重合体である場合には、得られる水性被覆剤の耐食性をより向上させることができる。
【0057】
【化12】
【0058】
Zは、−(CH2)aCOO-Aを表し、aは、1〜8の整数であり、Aは、アンモニア、アミン又は1価金属イオンを表す。
【0059】
上記一般式(2)で表される側鎖をする重合体としては特に限定されず、例えば、下記一般式(4)で表されるものを挙げることができる。
【0060】
【化13】
【0061】
m及びnは、重合体の重量平均分子量が1000〜1000000となる整数である。n/n+mは、0.2〜0.8であり、好ましくは0.3〜0.6である。0.2未満の場合には、重合体の水溶性が低下する、一方、0.8を超えると、耐食性が低下する。Aは、同一又は異なっていてもよい。B、Cは、重合体の主鎖を表し、例えば、下記一般式(5)で表されるものを挙げることができる。側鎖が結合している位置は、下記一般式(5)に特に示していない場合には、いずれの炭素原子に結合していてもよいことを表す。B、Cは、同一又は異なっていてもよい。
【0062】
【化14】
【0063】
p、q及びrとしては、重合体の重量平均分子量が1000〜1000000となる整数であれば特に限定されない。
【0064】
上記チオカルボニル化合物は、上記一般式(2)で表される側鎖を有し、重量平均分子量が1000〜1000000である重合体であり、該水性分散樹脂の固形分に対して0.01〜1.0質量%であることがより好ましい。1.0質量%を超えると、浴安定性に劣る。
【0065】
チオカルボニル化合物の含有量は、該水性被覆剤に、好ましくは0.01〜5質量%であり、より好ましくは0.1〜1質量%である。0.01質量%未満の場合には耐食性が不十分となり、一方5.0質量%を超えると耐食性が飽和して不経済となるだけでなく、使用する水性分散樹脂によってはゲル化して塗布不能となることがある。
【0066】
本発明におけるリン酸イオンは、金属素地表面にリン酸塩層を形成して不動態化させると共に、水性分散樹脂による皮膜の架橋反応を促進させ、緻密な防錆膜を形成し防錆性を向上させる。本発明の鋼材用水性被覆剤にリン酸イオンを含有させるにはリン酸化合物を使用する。
【0067】
リン酸化合物の例としては、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸等のリン酸類、リン酸亜鉛、リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム等のリン酸塩類等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0068】
リン酸イオンの含有量は、該水性被覆剤に、好ましくは0.05〜1質量%であり、より好ましくは0.05〜0.5質量%であり、さらに好ましくは0.05〜0.3質量%である。リン酸イオンが0.05質量%未満の場合には、防錆効果が十分に発揮されず、一方、1質量%を超えるとかえって防錆性が低下したり、樹脂がゲル化したりして浴安定性が悪くなることがある。
【0069】
本発明の鋼材用水性被覆剤において、より好ましい形態としては、更に、有機チタネート化合物を0.01〜20質量%、チオカルボニル化合物0.01〜5質量%及び/又はリン酸イオンを0.05〜1質量%を配合したものを挙げることができる。これは、更に、有機チタネート化合物、チオカルボニル化合物及びリン酸イオンからなる群より選択される少なくとも1種を配合し、上記鋼材用水性被覆剤に対して、上記有機チタネート化合物が0.01〜20質量%、上記チオカルボニル化合物が0.01〜5質量%、上記リン酸イオンが0.05〜1質量%配合されてなるものであることを意味するものである。
【0070】
本発明の鋼材用水性被覆剤において、上記水性分散樹脂が、エポキシ化合物及び/又はエポキシ基含有シラン化合物を反応させて得られるものであることが好ましい。
【0071】
エポキシ化合物として用いられる具体例としては、長瀬化成工業、日産化学工業、光栄化学等から販売されているアジピン酸グリシジルエステル、フタル酸グリシジルエステル、テレフタル酸グリシジルエステル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグルシジルエーテル、ポリグルセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグルセロールポリグリシジルエーテル、グルセロールポリグリシジルエーテル、トリメチルプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレンレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレンレングリコールジグリシジルエーテル、2,2−ビス−(4′−グリシジルオキシフェニル)プロパン、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、ビスフェノールAグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。配合量としては、上記エポキシ化合物を、上記水性分散樹脂の固形分に対して、0.1〜30質量%反応させることが好ましい。より好ましくは1〜20質量%の範囲であり、さらに好ましくは1〜13質量%の範囲である。この配合量が0.1質量%未満では、鋼材表面に形成される皮膜の耐アルカリ性や塗料等の硬化性樹脂との密着性が低下し、30質量%を超えると鋼材表面に形成される皮膜の耐溶剤性や水性被覆剤の浴安定性が低下する場合がある。
【0072】
エポキシ基含有シラン化合物として用いられる具体例としては、信越化学工業、日本ユニカー、チッソ、東芝シリコーン等から販売されている3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。配合量としては、上記エポキシ基含有シラン化合物を、上記水性分散樹脂の固形分に対して、0.1〜30質量%反応させることが好ましい。さらに好ましくは1〜20質量%の範囲である。この配合量が0.1質量%未満では、鋼材表面に形成される皮膜の耐アルカリ性や塗料等の硬化性樹脂との密着性が低下し、30質量%を超えると水性被覆剤の浴安定性が低下する場合がある。
【0073】
上記水性分散樹脂が、エポキシ化合物及び/又はエポキシ基含有シラン化合物を反応させて得られるものである場合に、上記鋼材用水性被覆剤の特に好ましい形態としては、例えば、上記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の中和物と、エポキシ化合物と、エポキシ基含有シラン化合物とを反応させて得られる水性分散樹脂、シリカ粒子、グアニジン化合物、並びに、有機チタネート化合物、チオカルボニル化合物及びリン酸イオンからなる群より選択される少なくとも1種が配合されているものを挙げることができる。この場合の鋼材用水性被覆剤は、これらの成分が配合されていればよく、その添加順序としては特に限定されないが、例えば、以下(1)、(2)のようにして製造される。
(1)上記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の中和物の水分散体を撹拌しながら適宜昇温し、そこへエポキシ化合物及びエポキシ基含有シラン化合物を添加して反応させ、得られる水性分散樹脂にシリカ粒子及びグアニジン化合物を配合して水性組成物を調製し、更に、有機チタネート化合物、チオカルボニル化合物及びリン酸イオンからなる群より選択される少なくとも1種を配合する。
(2)上記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の中和物の水分散体とシリカ粒子とを撹拌しながら適宜昇温し、そこへエポキシ化合物及びエポキシ基含有シラン化合物を添加して反応させ、得られる水性分散樹脂にグアニジン化合物を配合して水性組成物を調製し、更に、有機チタネート化合物、チオカルボニル化合物及びリン酸イオンからなる群より選択される少なくとも1種を配合する。
【0074】
本発明における鋼材用水性被覆剤は、固形分濃度で1〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜30質量%である。この固形分濃度が1質量%未満では、塗装作業性が低下し、50質量%を超えると水性被覆剤の浴安定性や塗装作業性が低下する。
【0075】
本発明の鋼材用水性被覆剤には、さらに他の添加剤が配合されていてもよい。例えば、顔料や界面活性剤、また、樹脂とシリカ粒子や顔料との親和性を向上させ、同時に樹脂と亜鉛又は鉄のリン酸化物層との密着性等を向上させるためにシランカップリング剤を配合してもよい。上記顔料としては、例えば、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、炭酸カルシウム(CaCO3)、硫酸バリウム(BaSO4)、アルミナ(Al2O3)、カオリンクレー、カーボンブラック、酸化鉄(Fe2O3、Fe3O4)等の無機顔料や、有機顔料等の各種着色顔料等を用いることができる。上記界面活性剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等を挙げることができる。
【0076】
またシランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−〔2−(ビニルベンジルアミノ)エチル〕−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0077】
本発明の鋼材用水性被覆剤には、造膜性を向上させ、より均一で平滑な皮膜を形成するために溶剤を用いてもよい。溶剤としては、塗料に一般的に用いられるものであれば、特に限定されず、例えば、レベリングの点から、アルコール系、ケトン系、エステル系、エーテル系の親水性溶剤等を挙げることができる。
【0078】
本発明の鋼材の被覆方法は、上記鋼材用水性被覆剤を鋼材表面に塗布して皮膜を形成するものである。例えば、本発明の鋼材の被覆方法によって、亜鉛被覆鋼又は無被覆鋼を被覆するには、必要に応じて脱脂処理した被塗物に上記鋼材用水性被覆剤を適用する。コーティング方法は特に限定されず、一般に使用されるロールコート、エアスプレー、エアレススプレー、浸漬等を適宜採用することができる。皮膜の硬化性を高めるために、あらかじめ被塗物を加熱しておくか、コーティング後に被塗物を熱乾燥させることが好ましい。被塗物の加熱温度は50〜250℃、好ましくは70〜220℃である。加熱温度が50℃未満では、水分の蒸発速度が遅く十分な成膜性が得られないため、耐溶剤性や耐アルカリ性が低下する。一方、250℃を超えると樹脂の熱分解が生じて耐溶剤性や耐アルカリ性が低下し、また黄変のため外観が悪くなる。コーティング後に熱乾燥させる場合の乾燥時間は1秒〜5分が好ましい。
【0079】
上記鋼材の被覆方法によって鋼材表面に形成される皮膜のコーティング膜厚は、乾燥膜厚が0.1μm以上であることが好ましい。0.1μm未満であると耐食性や耐アルカリ性が低下することがある。一方、乾燥膜厚が厚すぎると、塗装下地処理としては不経済であり塗装にも不都合であるので、より好ましくは0.1〜10μm、さらに好ましくは0.1〜5μmである。
【0080】
また、本発明の鋼材の被覆方法は、上記鋼材用水性被覆剤を鋼材表面に塗布して皮膜を形成した後、該皮膜の上に上塗り塗料を塗布して塗膜を形成して使用することもできる。上塗り塗料としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル変性アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、フタル酸樹脂、アミノ樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂等からなる塗料などが挙げられる。また、この上塗り塗料は、チタンホワイト、カーボンブラック等の着色顔料、タルク等の体質顔料、アルミニウム粉、銅粉等の金属顔料、鉛丹、硫酸鉛等の防錆顔料などを含有していてもよい。さらに、分散剤、乾燥剤、可塑剤、消泡剤、増粘剤、安定剤、皮張り防止剤、かび防止剤、防腐剤、凍結防止剤等を含有していてもよい。
【0081】
上塗り塗料の塗膜の膜厚は、防錆金属製品の用途、使用する上塗り塗料の種類等によって適宜決定され、特に制限されない。通常、5〜300μm程度、より好ましくは10〜200μm程度である。上塗り塗料の塗膜の形成は、上記鋼材用水性被覆剤により形成された皮膜の上に上塗り塗料を塗布し、加熱して乾燥、硬化させて行うことができる。乾燥温度及び時間は、塗布される上塗り塗料の種類、塗膜の膜厚等に応じて適宜調整されることになるが、通常、乾燥温度としては、50〜250℃が好ましく、乾燥時間としては、5分〜1時間が好ましい。上塗り塗料の塗布方法としては、塗料形態に応じて、従来公知の方法により行うことができる。
【0082】
本発明において、鋼材用水性被覆剤を塗布して皮膜を形成することができる鋼材としては、例えば、亜鉛めっき鋼板、亜鉛−ニッケルめっき鋼板、亜鉛−鉄めっき鋼板、亜鉛−クロムめっき鋼板、亜鉛−アルミニウムめっき鋼板、亜鉛−チタンめっき鋼板、亜鉛−マグネシウムめっき鋼板、亜鉛−マンガンめっき鋼板等の亜鉛系の電気めっき、溶融めっき、蒸着めっき鋼板等の亜鉛又は亜鉛系合金めっき鋼板;アルミニウム又はアルミニウム系合金めっき鋼板;鉛又は鉛系合金めっき鋼板;錫又は錫系合金めっき鋼板等を挙げることができる。これらの鋼材は、耐食性や密着性を向上させるためにクロメート処理を施してもよいが、本発明においては、クロメート処理を行うことなく良好な耐食性を有する皮膜を形成することができる。
【0083】
上記鋼材用水性被覆剤を鋼材表面に塗布して皮膜を形成する鋼材の被覆方法によって得られる被覆された鋼材は、耐食性、耐溶剤性、耐アルカリ性、及び皮膜密着性が付与されたものであり、更に上塗り塗料を塗布して塗膜を形成するものは、鋼板に形成された皮膜と上塗り塗膜とが良好な塗装密着性を有するものである。
【0084】
亜鉛系被覆鋼又は無被覆鋼亜鉛及びアルミニウム系被覆鋼又は無被覆鋼アルミニウムからなる鋼材に上記鋼材の被覆方法を適用して得られる被覆された鋼材は、より耐食性、耐溶剤性、耐アルカリ性、皮膜密着性、及び塗装密着性を付与されたものであるためより好適に用いられるものである。
【0085】
本発明の鋼材用水性被覆剤は、上記のように塗装下地処理剤及び水性防錆塗料として使用できると共に、いわゆる一次防錆剤としても適用し得る。また、コイルコーティング分野における亜鉛系めっき鋼板の潤滑膜の下地処理や塗装下地処理にも利用でき、ワックスを添加することにより潤滑鋼板用の潤滑防錆剤としても利用することができる。
【0086】
【実施例】
次に、水性分散樹脂の製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。なお、各例中の%は質量%を意味する。
水性組成物の製造例
製造例1
攪拌機、温度調節器、滴下漏斗、および冷却器を備えたコルベンに、水性アクリル樹脂(カネビノールKD5、日本エヌエスシー製)を固形分換算で100.0g、及び脱イオン水を加えて固形分25%になるように調整した。次に撹拌しながら80℃に昇温し、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル5gと3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン5gからなる混合物を10分間にわたってコルベンへ滴下した。滴下終了後、その温度で120分間エージングを行い、脱イオン水を加えて固形分24%の水性分散樹脂を得た。これにシリカ粒子(スノーテックスN、日産化学)33.0gと1,3−ジフェニルグアニジン1.5gを配合し、脱イオン水を加えて22質量%の水性組成物を調製した。
【0087】
製造例2〜9 比較製造例10〜12
水性樹脂の種類を表2のとおりとし、エポキシ化合物、エポキシ基含有シラン化合物、グアニジン化合物の種類または配合量、シリカ粒子の配合量を代えた以外は、製造例1と同様にして表1に示す水性組成物を得た。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
参考例1
水性被覆剤の調製製造例1の水性組成物に、ジプロポキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタンを3.5g/l、チオ尿素を5g/l、第二リン酸アンモニウムを1.25g/lの濃度となるように脱イオン水を加えて、固形分濃度20%の鋼材用水性被覆剤を調製した。
【0091】
試験板の作成
70mm×150mm×0.8mmの電気亜鉛めっき鋼板(日本テストパネル製)を55℃のアルカリ脱脂剤(サーフクリーナー53、日本ペイント製)2%水溶液を用いて、60℃で2分間スプレー処理して脱脂した。次に板厚1.0mmの電気亜鉛めっき鋼板に上記水性被覆剤をバーコーターで、乾燥膜厚1g/m2になるように塗布し、20秒で鋼板到達温度が150℃になるように焼き付けて試験板を作成した。
【0092】
評価方法
耐食性(1次防錆性)、耐溶剤性、塗装密着性、耐アルカリ性、皮膜密着性、及び浴安定性を評価した。その結果を表3〜6に記載する。評価は下記の方法にしたがって行った。
なお、表における鋼板種類中、「EG」は、電気亜鉛めっき鋼板、「GI」は、溶融亜鉛めっき鋼板を示す。
【0093】
<耐食性(1次防錆性)>
試験板の平面部及びエリクセンテスターで7mm押し出した加工部の端面部および裏面部をテープシールし、5%の食塩水を35℃で噴霧し、240時間後の白錆発生面積率を下記の評価基準で評価した。
◎:白錆発生なし
○:白錆発生面積が10%未満
△:同10%以上30%未満
×:同30%以上
【0094】
<耐溶剤性>
試験板をラビングテスターに設置後、エタノールを含浸させた脱脂綿を0.5Kgf/cm2の荷重で10回(往復)、およびケロシン含浸させた脱脂綿を0.5Kgf/cm2の荷重で50回(往復)擦った後の皮膜状態を下記の評価基準で評価した。
◎:擦り面に跡がまったく付かない
○:擦り面に跡がわずかに付く
△:擦り面に白い跡が付く
×:擦り面に皮膜がなくなる
【0095】
<塗装密着性>
試験板表面にメラミンアルキッド塗料(スーパーラック100、日本ペイント製)をバーコーターで乾燥膜厚20μmとなるように塗布し、120℃で25分間焼き付けて塗膜板を作製した。次に塗膜板を沸騰水中に30分間浸漬し、24時間放置後、エリクセンテスターにて塗膜板を7mm押し出し、その押し出し部にセロテープ(R)(ニチバン製)を貼り、強制剥離した後の塗膜状態を下記の評価基準で評価した。
◎:剥離なし
○:僅かに剥離
△:部分剥離
×:完全剥離
【0096】
<耐アルカリ性>
水性被覆剤を調整直後に作成した試験板と調整してから10日経時に作成した試験板を55℃のアルカリ脱脂剤(サーフクリーナー53、日本ペイント製)2%水溶液に撹拌しながら30分間浸漬した後の皮膜状態を下記の評価基準で評価した。
◎:剥離なし
○:僅かに剥離
△:部分剥離
×:完全剥離
【0097】
<皮膜密着性>
試験板にフィラメンテープ(スリオン社製)を貼り、40℃、湿度80%の条件下で3日間放置後、テープを強制剥離して、塗膜状態を下記の評価基準で評価した。
◎:剥離なし
○:僅かに剥離
△:部分剥離
×:完全剥離
【0098】
<浴安定性>
水性被覆剤を40℃の保温庫に保管し、30日経時させた後の溶液状態を下記の評価基準で評価した。
◎:異常なし
○:僅かに粘度上昇
△:粘度上昇
×:ゲル状
【0099】
実施例1〜8、参考例2〜62、比較例1〜20
水性分散樹脂の種類、有機チタネート化合物、チオカルボニル化合物の種類と濃度、リン酸イオンの濃度、亜鉛めっき鋼板の種類を表3〜6に記載したように変えた以外は、参考例1と同様にして試験板を作成し評価した。この結果を表3〜6に示す。
【0100】
【表3】
【0101】
【表4】
【0102】
【表5】
【0103】
【表6】
【0104】
実施例の結果から明らかなように,本発明の鋼材用水性被覆剤で皮膜を形成した被覆された鋼材は、一次防錆性、耐溶剤性、塗装密着性、耐アルカリ性、皮膜密着性に優れていた。また、本発明の鋼材用水性被覆剤は、浴安定性にも優れていた。
【0105】
【発明の効果】
本発明の鋼材用水性被覆剤は、水性分散樹脂を固形分濃度で5〜30質量%、シリカ粒子を0.1〜20質量%及びグアニジン化合物を0.01〜5質量%配合したものであることから、浴安定性が良好で、緻密な皮膜の形成が可能である。したがって、本発明の鋼材用水性被覆剤によって被覆された鋼材は、耐食性、耐溶剤性、塗装密着性、耐アルカリ性、皮膜密着性に優れる。
Claims (10)
- エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の中和物と、エポキシ化合物及びエポキシ基含有シラン化合物とを反応させて得られる水性分散樹脂を固形分換算で5〜30質量%、シリカ粒子を0.1〜20質量%、グアニジン化合物を0.01〜5質量%及び水を含む(但し、有機チタネート化合物を含まない)ことを特徴とする鋼材用水性被覆剤。
- 更に、チオカルボニル化合物0.01〜5質量%及び/又はリン酸イオンを0.05〜1質量%配合したことを特徴とする請求項1に記載の鋼材用水性被覆剤。
- 水性分散樹脂は、エポキシ化合物を、前記水性分散樹脂の1〜20質量%となる割合で反応させて得られるものである請求項1又は2に記載の鋼材用水性被覆剤。
- 水性分散樹脂は、エポキシ基含有シラン化合物を、前記水性分散樹脂の1〜20質量%となる割合で反応させて得られるものである請求項1〜3のいずれかに記載の鋼材用水性被覆剤。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の鋼材用水性被覆剤を鋼材表面に塗布して皮膜を形成することを特徴とする鋼材の被覆方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の鋼材用水性被覆剤を鋼材表面に塗布して皮膜を形成した後、該皮膜の上に上塗り塗料を塗布して塗膜を形成することを特徴とする鋼材の被覆方法。
- 請求項7又は8に記載の鋼材の被覆方法によって得られる被覆された鋼材。
- 鋼材が亜鉛系被覆鋼又は無被覆鋼亜鉛及びアルミニウム系被覆鋼又は無被覆鋼アルミニウムからなるものである請求項9に記載の被覆された鋼材。
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