JPH10316900A - 耐火被覆層の形成方法 - Google Patents

耐火被覆層の形成方法

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JPH10316900A
JPH10316900A JP14868497A JP14868497A JPH10316900A JP H10316900 A JPH10316900 A JP H10316900A JP 14868497 A JP14868497 A JP 14868497A JP 14868497 A JP14868497 A JP 14868497A JP H10316900 A JPH10316900 A JP H10316900A
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JP
Japan
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refractory
paint
heat
synthetic resin
weight
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JP14868497A
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English (en)
Inventor
Keiichi Kato
圭一 加藤
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Kikusui Kagaku Kogyo KK
Original Assignee
Kikusui Kagaku Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 発泡型耐火塗料を用いた耐火被覆層の形成に
おいて、均一な発泡が得られ、発泡倍率の大きなものが
得られるものとする。 【構成】 鉄骨造の構造部材である鋼材の表面に、加熱
による体積膨張する耐火塗料塗膜および熱反射性作用を
有する塗料塗膜を順序不問に形成させる。 【効果】 火災時において発泡型耐火塗料塗膜が均一に
かつ、高倍率に発泡し、断熱効果の高い被覆層を得るこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、鉄骨造の柱,梁,床
等に使用される鋼材を火災から保護する為に、形成され
る耐火被覆層を形成する方法に関する。従って、利用分
野は建築分野である。
【0002】
【従来の技術】従来、鉄骨造の構造部材である鋼材に対
する耐火被覆層の形成は、プレハブ工法では成形板ある
いはPC板を用いて囲うようにする工法、現場打ち工法
であるロックウールあるいはひる石プラスターの吹付
け、ひる石モルタルあるいはパーライトモルタルの塗り
付けが古くから在った。現場施工の方法では、ロックウ
ールの吹付け,吸熱物質を含んだ軽量モルタルの吹付け
が現在も利用されている。また、火災時の加熱によって
発泡し、断熱層を形成する耐火塗料に関する発明も多数
出願されている。
【0003】従来より存在する耐火塗料についての発明
では、主として塗料組成についての技術が中心であっ
た。例えば、特開昭53−119935号,特開平3−
275774号,特開平5−194881号に開示され
る技術も組成あるいは施工方法に関したものである。耐
火被覆層を含めた鋼材上の仕上げは、耐火塗料と着色仕
上げの為の塗料によるものが、現場における技術として
一般的であった。仕上げ塗料は耐火塗料の外観を美しく
し、耐火塗料の雨水,紫外線に対する耐久性を保持する
ための保護膜となっている。
【0004】
【発明の目的】従来における耐火塗料と仕上げ塗料によ
る構成では、耐火塗料塗膜の経年劣化の遅延あるいは化
粧の付与には効果はあったが、耐火性能そのものに対す
る影響は何等存在しなかった。この発明の目的は、耐火
被覆層としてみた時、層の厚みをあまり大きくすること
なく、耐火性能を向上させる複合技術を提供することに
ある。
【0005】
【目的を達成するための手段】前記目的を達成するため
の請求項1の発明は、構造部材の表面に、加熱により体
積膨張する耐火塗料塗膜および熱反射作用を有する金属
粉末と合成樹脂成分を主成分とする熱反射性塗料塗膜を
順に形成させることを要旨としている。
【0006】請求項2の発明は、構造部材の表面に、加
熱により体積膨張する耐火塗料塗膜および熱反射作用を
有する金属粉末と合成樹脂成分を主成分とする熱反射性
塗料塗膜、更に仕上げ塗材による塗膜を順に形成させる
ことを要旨としている。
【0007】請求項3の発明は、構造部材の表面に、熱
反射作用を有する金属粉末と合成樹脂成分を主成分とす
る熱反射性塗料塗膜および加熱により体積膨張する耐火
塗料塗膜を順に形成させることを要旨としている。
【0008】請求項4の発明は、構造部材の表面に、熱
反射作用を有する金属粉末と合成樹脂成分を主成分とす
る熱反射性塗料塗膜および加熱により体積膨張する耐火
塗料塗膜、更に仕上げ塗料による塗膜を順に形成させる
ことを要旨としている。
【0009】請求項5の発明は、前記請求項1または請
求項2記載の耐火塗料の主成分が、有機質結合材とし
ての合成樹脂成分であり、熱硬化型無機質結合材とし
ての、水ガラス,シリカゾル,アルミナゾル,ジルコニ
アゾル,コロイダルシリカなどのアルカリ金属塩,有機
シリケート,有機チタネート,酸性金属リン酸塩,重ク
ロム酸リン酸から任意に選択されるものおよび分解発
泡する充填材としてのポリリン酸アンモニウム,リン酸
アンモニウム,リン酸二水素カリウムなどのリン酸塩、
含窒素化合物から任意に選択されるものであることを要
旨としている。
【0010】請求項6の発明は、前記請求項1または請
求項2記載の耐火塗料の主成分が、有機質結合材とし
ての合成樹脂成分であり、熱硬化型無機質結合材とし
ての、水ガラス,シリカゾル,アルミナゾル,ジルコニ
アゾル,コロイダルシリカなどのアルカリ金属塩,有機
シリケート,有機チタネート,酸性金属リン酸塩,重ク
ロム酸リン酸から任意に選択されるものおよび分解発
泡する充填材としてのポリリン酸アンモニウム,リン酸
アンモニウム,リン酸二水素カリウムなどのリン酸塩、
含窒素化合物から任意に選択されるものおよびペンタエ
リスリトール,ジペンタエリスリトール,トリペンタエ
リスリトールなどのイソパラフィンの多価アルコール,
でんぷん,デキストリン,膨張性黒鉛から任意に選択さ
れる炭化層形成剤であることを要旨としている。
【0011】以下、この発明を構成するそれぞれの要素
について説明する。この発明の利用対象は、高層ビル,
駐車場,倉庫等において鉄骨が主たる構造部材とするも
のである。主たる構造とは、これら建築物において、
柱,梁,壁,床,屋根または階段を耐火構造としなけれ
ばならないものを言う。耐火構造の必要性は、火災時に
高温に曝された構造部材の鉄骨が、熱により軟化変形
し、建築物が崩壊するのを防ぐためである。
【0012】この発明に言う耐火塗料とは、高温に曝さ
れるという加熱により、塗料中の成分の一つ以上が発泡
し、体積膨張し断熱層を形成するものである。この発泡
型耐火塗料は、上記した特開昭53−119935号,
特開平3−275774号,特開平5−194881号
などの他、この発明の出願人が先に出願した特願平8−
287671に開示されるものが利用できる。
【0013】これら発泡型耐火塗料では、常温時におけ
る塗膜の結合材となる成分,加熱後において塗膜の結合
材となる成分,加熱によって発泡する成分,加熱後に炭
化層を形成する成分,加熱された時に吸熱反応を示す成
分等により構成される。
【0014】上記、特願平8−287671に記載され
た耐火塗料の発明では、常温時における塗膜の結合材成
分(A)として合成樹脂,加熱後における結合材成分
(B)としての熱硬化型無機質結合材,加熱によって発
泡する成分(C)として分解発泡する充填材,加熱され
て発泡した後の塗膜中に炭素骨格を存在させることがで
きる炭化層形成剤成分(D)を主成分とするものであ
る。この発明では、A,B,C,Dの成分を、A:B:
Cを5〜40重量%:5〜40重量%:5〜50重量%
とし、A,B,C成分の合計を全重量中30重量%以上
としたり、A:B:C:Dを5〜40重量%:5〜40
重量%:5〜50重量%:5〜50重量%とし、A,
B,C成分の合計を全重量中30重量%以上とすること
にしている。
【0015】合成樹脂の例として、メラミン樹脂,アク
リル樹脂,アルキッド樹脂,塩化ビニル樹脂,酢酸ビニ
ル樹脂,ウレタン樹脂,エポキシ樹脂,シリコーン樹
脂,ポリエステル樹脂等がある。これらの樹脂は単独に
て用いても良くあるいは共重合したものにして、またこ
れらを混合して用いることもできる。更に、これらの樹
脂の形態として、溶媒に溶解させたものあるいはエマル
ションとして分散させたものも利用される。
【0016】熱硬化型無機質結合材の例としては、水ガ
ラス,シリカゾル(コロイダルシリカを含む),アルミ
ナゾル,ジルコニアゾルなどのアルカリ金属塩,有機シ
リケート,有機チタネート,酸性金属リン酸塩,重クロ
ム酸リン酸がある。
【0017】上記の例にあるアルカリ金属塩とは、アル
カリ土類金属の酸化物とシリカ、アルミナまたはジルコ
ニアから生じる塩のことである。アルカリ金属塩の例と
して、Mをアルカリ土類金属として表したときケイ酸塩
(xMO・ySiO),アルミン酸塩(xMO・
yAl・zHO;但しz=0を含む)、アルミ
ノケイ酸塩(xMO・yAl・zSiO・n
O;n=0を含む)、ジルコニウム酸塩(xM
・yZrO)がある。水に対して溶解するか、不溶性
であるかは金属の種類によって異なる。ケイ酸塩の中で
特定の組成、形状のものについて水ガラス、シリカゾル
などと称している。
【0018】上記の例にある水ガラスとは、アルカリ−
ケイ酸系ガラスの濃厚水溶液のことを言い、NaO・
nSiO(n=2〜4)あるいはKO・nSi
,LiO・nSiO,(RN)O・nSi
により組成が表わされる。シリカゾルとは、水性シ
リカゾルのことを言い、高分子量の無水珪酸の超微粒子
を水中に分散させたコロイド溶液のことである。
【0019】有機シリケートは、オルト珪酸Si(O
H)とアルキルアルコールとのエステルであり、珪酸
アルキルSi(OR)のことを指す。アルキル基を選
択することにより、多種類の有機シリケートがあり、例
としてメチルオルトシリケート,エチルオルトシリケー
ト,n−プロピルオルトシリケート,n−ブチルオルト
シリケート,n−オクチルオルトシリケート,フェニル
オルトシリケート,ベンジルオルトシリケートなどがあ
る。更には、オルトシリケート類の脱水縮合によって得
られるポリシリケート類もある。
【0020】有機チタネートとは、Ti−O−C型結合
をもつ、アルコキシチタニウムエステル,チタニウムキ
レートおよびチタニウムアシレートを指す。 例えば、テ
トラ−i−プロピルチタネート,テトラ−n−ブチルチ
タネート,ブチルチタネートダイマー,テトラステアリ
ルチタネート,トリエタノールアミンチタネート,チタ
ニウムアセチルアセテート,チタニムエチルアセトアセ
テート,チタニウムラクテート,テトラオクチレングリ
コールチタネートなどがある。
【0021】酸性金属リン酸塩とは、MO・xP
・yHOにより表わされるMがアルカリ金属である金
属酸化物とリン酸の錯塩である。この塩に対しては硬化
剤としてMgO,CaO,Al,Fe,T
iO,Mg(OH),Ca(OH),Zn(O
H),Al(OH),MgSiO,CaSi
,BaO,第II族のホウ酸塩などを併用すること
もある。
【0022】重クロム酸リン酸とは、重クロム酸マグネ
シウムとリン酸の混合物を言う。
【0023】分解発泡する無機質充填材の例としては、
ポリリン酸アンモニウム,リン酸アンモニウム,リン酸
二水素カリウムなどのリン酸塩あるいは含窒素化合物か
ら任意に選択されるもののことを言う。含窒素化合物の
例としては、2,2′アゾビスイソブチロニトリル,ジ
ニトロソペンタメチレンテトラミン,アゾジカルボンア
ミド,P−トルエンスルホニルヒドラジド,メラミン,
尿素,グアニジン,ジシアンジアミドなどの−(NH)
−結合又は−N=N−結合を有するものがある。
【0024】炭化層形成剤に利用されるものの例とし
て、ペンタエリスリトール,ジペンタエリスリトール,
トリペンタエリスリトールなどのイソパラフィンの多価
アルコール,でんぷん,デキストリン,膨張性黒鉛から
任意に選択されるものである。
【0025】これらA,B,Cの三成分あるいはA,
B,C,Dの四成分を、それぞれの重量割合の範囲内に
おいて組み合せて耐火塗料を作成するが、範囲外である
少量の時あるいは多量に配合した時の欠点は、特許出願
の明細書に記載のある通りである。
【0026】その他、耐火塗料に配合される成分として
は、耐火性能を損なわない範囲において、酸化チタン,
炭酸カルシウム,アルミニウム粉末,水酸化アルミニウ
ム,無機繊維,アルミナ,シリカなどの充填剤および消
泡剤,分散剤,湿潤剤などの界面活性剤、造膜助剤,防
凍剤などの溶剤、着色の為の顔料,粘度,粘性調整の為
の増粘剤あるいは防腐剤,防黴剤など、通常の塗料に使
用される成分がある。
【0027】その他の耐火塗料としては、組成物の全
固形分の10〜80wt%の未発泡粒状水ガラスを樹脂
に混合したもの、に1〜25wt%の多価アルコー
ルと1〜25wt%のリン酸塩を混合したもの、自己
架橋アクリルエマルション固形分100重量部に対して
水酸化アルミニウム200〜400重量部を混合したも
のなど、あらゆる種類の発泡型耐火塗料が使用できる。
発泡型耐火塗料は、火災時の加熱によって発泡し、断熱
層を形成する。この断熱層によって、建物の鉄骨構造は
火災の熱から守られる。発泡型耐火塗料の塗布量は要求
される耐火性能によって異なり、又、その種類によって
も異なるので一概には言えないが、この発明の出願人が
先に出願した特願平8−28761号に開示されるもの
を例にとれば、30分耐火で概ね800〜1500g/
(固形分換算)である。
【0028】熱反射作用を有する金属粉末と合成樹脂を
主成分とする塗料とは、鱗片状のフレークあるいは粒状
の金属粉を透明な合成樹脂中に分散させた塗料のことで
あり、金属粉末には、銀またはアルミニウムを、フレー
クの場合は厚みを0.1〜5μm,一片のフレークの大
きさを2500μm以下、粒状の場合は粒の大きさを
50μm以下にし、合成樹脂固形分中に体積割合におい
て5〜50%配合される。また、合成樹脂の例として、
メラミン樹脂,アクリル樹脂,アルキッド樹脂,塩化ビ
ニル樹脂,酢酸ビニル樹脂,ウレタン樹脂,エポキシ樹
脂,シリコーン樹脂,ポリエステル樹脂等がある。これ
らの樹脂は単独にて用いても良く、あるいは共重合した
ものにして、またこれらを混合して用いることもでき
る。更に、これらの樹脂の形態として、溶媒に溶解させ
たものあるいはエマルションとして分散させたものも利
用される。
【0029】金属粉の種類として、銀,アルミニウム以
外の例として、安定な金属である鉄,マグネシウム,
錫,亜鉛等も候補として挙げられるが、耐久性あるいは
錆の発生の有無を考慮すると、銀,アルミニウムを選択
することとなる。他の貴金属である金,白金も対象とな
るが、価格の点で実用的でない。
【0030】構造部材の表面に、耐火塗料および熱反射
性塗料を塗装し、塗膜を形成させるには公知の塗装手段
を用いることにより可能である。建築現場における施工
を考慮すると、エアースプレーあるいはエアレススプレ
ーにより塗装することが適したものとなる。耐火塗料の
塗布量は要求される耐火性能によって異なるが、一般的
に1時間の耐火性能を得る為には、湿潤時において50
0〜1500g/m塗装するのが良い。この時の、乾
燥時の塗膜の厚みは、約0.5〜1.5mmとなる。
【0031】そして、耐火塗料を塗装後、2〜3時間の
塗装間隔時間をおいて熱反射性塗料を塗装する、あるい
は熱反射性塗料を塗装後、2〜3時間の塗装間隔時間を
おいて耐火塗料を塗装するのが良い。塗装間隔をおくの
は、十分に造膜させるためであり、例えば耐火塗料を塗
装した直後に熱反射性塗料を塗装すると耐火塗料が造膜
しきれず、流動性が残った状態の耐火塗料の上へ、熱反
射性塗料を塗装することにより、平滑な塗装面が損なわ
れ、均一な被覆が得られなくなり良くない。また、熱反
射性塗料を塗装した直後に耐火塗料を塗装すると、熱反
射性塗料の均一な塗膜が得られず、構造部材に対して熱
伝導の大きな個所を発生させることとなり良くない。熱
反射性塗料の塗布量は、30〜500g/m塗装する
のが良い。この塗布量の範囲の内、150〜300g/
の範囲にあるとき良好な試験結果が得られる。この
塗装厚みが0.02mmより薄い場合には、熱反射性が
十分得られず発泡能力が劣ることとなる。逆に、塗布量
を500g/mを越えて塗装しても耐火性能上の問題
はないが、不経済となる。
【0032】この発明の形成方法では、耐火塗料塗膜お
よび熱反射性塗料塗膜の形成の上に、更に、仕上げ塗料
による塗膜を形成させることも一つの方法としている。
仕上塗料の例としては、JIS A6909「建築用仕
上塗材」に記載されているものがあり、塗料の構成ある
いは意匠の違いにより薄付け仕上塗材,厚付け仕上塗
材,軽量骨材仕上塗材,複層仕上塗材と分類されてい
る。この他にもJISの分類の範囲に入らないものであ
っても利用可能であることは言うまでもない。また、従
来方法において使用されていた平滑塗料を熱反射性塗料
の上に塗装することも可能である。
【0033】図面により、この発明の方法を利用した時
の耐火被覆層の構造を断面図によって表す。図1は、構
造部材1の表面に、先に発泡型耐火塗料塗膜2が形成さ
れ、次に熱反射性塗料塗膜3が形成された例である。図
2は、構造部材1の表面に先に熱反射性塗料塗膜3が形
成され、次に発泡型耐火塗料塗膜2が形成された例であ
る。
【0034】
【作用】この発明では、耐火塗料塗膜と熱反射性塗料塗
膜を複合させることにより、熱反射性塗料塗膜が火災時
における放射熱の侵入を制限し、耐火塗料塗膜しいては
構造部材への熱の伝導を制限することとなる。また、耐
火塗料塗膜が表面側にある時は、熱反射性塗料塗膜に伝
導した熱は均一に分散され、耐火塗料の発泡を均一にす
ることができるし、熱反射性塗料塗膜が存在することで
火災による輻射熱を耐火塗料塗膜中に反射させることに
より、発泡を早くし、断熱層の形成を早くさせることに
なる。
【0035】仕上げ塗材を耐火塗料および熱反射性塗料
の上に塗装し、被覆することは美しい表面仕上げを得る
ことになる。
【0036】
【実施例】実施例では1〜8あるいは比較例1〜4で
は、下記配合1による耐火塗料、配合2による熱反射性
塗料および仕上げ塗材の一つである合成樹脂エマルショ
ン塗料を使用して試験を行った。試験体の作成は、材質
がSS400(一般構造用圧延鋼材製),大きさが40
×40×100mmの角棒の両端がALC版により被覆
されたものの残り4面に対して、最初に耐火塗料を塗布
し、1日後、下記表3に示す組み合せにより熱反射性塗
料あるいは仕上げ塗料を塗装した。熱反射性塗料および
仕上げ塗料の二つの塗料を塗装する場合も、1日の間隔
時間を設けた。
【0037】
【表1】 耐火塗料1の配合 合成樹脂エマルション 100重量部 ポリリン酸アンモニウム 100重量部 ペンタエリスリトール 70重量部 メラミン 70重量部 分散剤 1重量部 消泡剤 2重量部 造膜助剤 5重量部 増粘剤 2重量部 水 100重量部 ──────────────────────── 計 450重量部
【0038】表1中の合成樹脂エマルションには、ヘキ
スト合成(株)製の商品名「モビニール664」(酢酸
ビニル−アクリル共重合樹脂,固形分50%)を使用
し、ポリリン酸アンモニウムには、ヘキストAG製の
「Hostaflam AP422」を使用し、メラミ
ンには日産化学工業(株)製の一般メラミンを使用し
た。
【0039】
【表2】 反射性塗料の配合 水分散性アルミニウムパウダー 200重量部 シリコーン樹脂エマルション 100重量部 分散剤 1重量部 消泡剤 2重量部 造膜助剤 5重量部 増粘剤 2重量部 水 100重量部 ──────────────────────── 計 410重量部
【0040】表2中のアルミニウムパウダーは、アルミ
ニウムを平均厚み1.5μm,粒度88μm以下が重量
比99.9%以上にある、界面活性剤による被覆のある
ものを用い、シリコーン樹脂エマルションには、ダウコ
ーニングアジア社製の商品名DC84ADDTIVE,
固形分61%のものを使用した。
【0041】
【表3】
【0042】次に耐火塗料の配合が異なったもの耐火塗
料2,同3,同4を用意し、それらを利用する実施例9
〜14を作成し、これらについても試験体を作成した。
耐火塗料2および耐火塗料4の配合は、下記表4,表5
に示す。耐火塗料3には、ドイツ,DESOWAG社製
の商品名「Pyrotect」を利用した。
【0043】
【表4】 耐火塗料2の配合 合成樹脂エマルション 100重量部 ポリリン酸アンモニウム 500重量部 メラミンシアヌレート 100重量部 分散剤 2重量部 消泡剤 2重量部 造膜助剤 6重量部 増粘剤 2重量部 水 100重量部 ───────────────────────── 計 812重量部
【0044】表4中の合成樹脂エマルションには、ヘキ
スト合成(株)製の商品名「モビニールDM772」、
固形分47%を使用し、ポリリン酸アンモニウムには、
前記表1中の配合に利用したHostaflam AP
422を使用し、メラミンシアヌレートには、日産化学
工業(株)製の商品名「MC610」を使用した。
【0045】
【表5】 耐火塗料4の配合 一液型変性エポキシ樹脂エマルション 100重量部 ポリリン酸アンモニウム 400重量部 ジシアンジアミド 100重量部 ペンタエリスリトール 100重量部 分散剤 2重量部 消泡剤 2重量部 造膜助剤 7重量部 増粘剤 2重量部 水 100重量部 ───────────────────────── 計 813重量部
【0046】表5中のエポキシ樹脂エマルションは、固
形分40%であり、ポリリン酸アンモニウムは前記表
1,表4の配合に利用したものと同じものを利用した。
ジシアンジアミドおよびぺンタエリスリトールは試薬を
用いた。
【0047】実施例9〜14における耐火塗料および熱
反射性塗料,仕上げ塗料の組み合せを下記表6に示す。
【0048】
【表6】
【0049】上記方法により作成した試験体は20℃,
65%RH条件下において14日間養生した後に、サン
シャインウェザーメーターによる促進耐候性試験、15
00時間を行った後、あるいは促進耐候性試験を行わな
いでJIS A1304「建築構造部分の耐火試験方
法」にある標準曲線に沿って30分間加熱し、K熱電対
により角棒の長手方向中間位置の中心における温度測定
を行った。下記表4および表5にそれぞれの試験結果を
記す。平均発泡高さの数値は、角棒の40×40×10
0mmのそれぞれの面の中央における発泡高さを測定
し、平均値を求めた。
【0050】
【表7−1】
【表7−2】
【0051】
【表8−1】
【表8−2】
【0052】次に、実施例の15〜22,比較例5〜9
では、熱反射性塗料として菊水化学工業(株)製の商品
名「キクスイ断熱」の塗料100gに対して、粒度50
μm以下の銀粉50gを添加したもの(熱反射性塗料
2)および下記表9に組成を示す塗料(熱反射性塗料
3)を用い、また、耐火塗料には先の表1に記した組成
の塗料を使用して試験を行った。試験体の作成は、材質
がSS400(一般構造用圧延鋼材製),大きさが40
×40×100mmの角棒の両端がALC版により被覆
されたものの残り4面に対して、最初に熱反射性塗料を
塗布し、1日後に表1の組成から成る耐火塗料あるいは
仕上げ塗料を塗装した。実施例あるいは比較例における
組み合せは下記表10に示す。
【0053】
【表9】 熱反射性塗料3の配合 水分散性アルミニウムパウダー 200重量部 アクリル樹脂エマルション 100重量部 分散剤 1重量部 増粘剤 2重量部 水 100重量部 ──────────────────────── 計 403重量部
【0054】表9中のアルミニウムパウダーは、アルミ
ニウムを平均厚み4μm,粒度88μm以下が重量比9
5%以上,44μm以下が重量比65%以上にある界面
活性剤被覆のあるものを用い、アクリル樹脂エマルショ
ンには、ヘキスト合成(株)製の商品名「モビニール7
00」、樹脂固形分47%のものを使用した。
【0055】
【表10】
【0056】上記方法により作成した試験体は、20
℃,65%RH条件下において14日間養生した後に、
JIS A1304にある標準曲線に沿って30分間加
熱し、K熱電対により鉄骨の温度測定を行った。加熱後
の平均発泡高さと到達温度,発泡の均一性を確認した。
下記表11には30分加熱の結果を示す。発泡の均一性
については、平均発泡高さを測定した時の4測定点の幅
が、平均値に対して±5mm以内の時を○,±10mm
以内の時を△,±10mmを越える時を×とした。
【0057】
【表11】
【0058】参考例では、下記表12に配合を示す熱反
射性塗料4を作成し、熱反射性塗料に用いる金属を変え
た場合の耐久性について評価を行った。
【0059】
【表12】 エポキシ樹脂 100重量部 鉄粉 100重量部 増粘剤 5重量部 希釈剤(キシレン) 50重量部 ──────────────────────── 計 255重量部
【0060】試験は熱反射性塗料の1〜4を用い、それ
ぞれをプラスチック板に100g/mの塗布量により
塗り付け、20℃,65%RH条件下にて14日間静置
後、JIS K5400に規定する耐塩水噴霧試験を1
20時間行い、試験片を水洗し、その後の表面状態を目
視確認した。評価は、試験前後における表面状態の変化
によって区別し、全く異状が見られないものを○、変色
域が一部分に見られるものを△、変色域が全体の10%
以上に及んでいるものを×とした。
【0061】耐塩水噴霧試験の結果は、熱反射性塗料
1,同2,同3については○、熱反射性塗料4では×と
なった。
【0062】
【発明の効果】この発明では、上記表3,表7から分か
るように、熱反射性塗料を耐火塗料の上塗りとして30
g/m以上用いることにより、仕上げ材の有無に拘わ
らず、耐候性のある耐火被覆層とすることができる。ま
た、表10,表11から分かるように熱反射性塗料を耐
火塗料の下塗りとして用いることにより、耐火塗料の均
一な発泡が得られるようになり、その発泡倍率も大きな
ものとなり、加熱試験の到達温度も小さなものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例を示す断面図である。
【図2】 この発明の他の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 構造部材 2 発泡型耐火塗料塗膜 3 熱反射性塗料塗膜

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造部材の表面に、加熱により体積膨張
    する耐火塗料塗膜および熱反射作用を有する金属粉末と
    合成樹脂成分を主成分とする塗料塗膜を順に形成させる
    ことを特徴とする耐火被覆層の形成方法。
  2. 【請求項2】 構造部材の表面に、加熱により体積膨張
    する耐火塗料塗膜および熱反射作用を有する金属粉末と
    合成樹脂成分を主成分とする塗料塗膜、更に仕上げ塗料
    による塗膜を順に形成させることを特徴とする耐火被覆
    層の形成方法。
  3. 【請求項3】 構造部材の表面に、熱反射作用を有する
    金属粉末と合成樹脂成分を主成分とする熱反射性塗料塗
    膜および加熱により体積膨張する耐火塗料塗膜を順に形
    成させることを特徴とする耐火被覆層の形成方法。
  4. 【請求項4】 構造部材の表面に、熱反射作用を有する
    金属粉末と合成樹脂成分を主成分とする熱反射性塗料塗
    膜および加熱により体積膨張する耐火塗料塗膜、更に仕
    上げ塗料による塗膜を順に形成させることを特徴とする
    耐火被覆層の形成方法。
  5. 【請求項5】 耐火塗料の主成分が、有機質結合材と
    しての合成樹脂成分であり、熱硬化型無機質結合材と
    しての、水ガラス,シリカゾル,アルミナゾル,ジルコ
    ニアゾル,コロイダルシリカなどのアルカリ金属塩,有
    機シリケート,有機チタネート,酸性金属リン酸塩,重
    クロム酸リン酸から任意に選択されるものおよび分解
    発泡する充填材としてのポリリン酸アンモニウム,リン
    酸アンモニウム,リン酸二水素カリウムなどのリン酸
    塩、含窒素化合物から任意に選択されるものであること
    を特徴とする請求項1,請求項2,請求項3または請求
    項4記載の耐火被覆層の形成方法。
  6. 【請求項6】 耐火塗料の主成分が、有機質結合材と
    しての合成樹脂成分であり、熱硬化型無機質結合材と
    しての、水ガラス,シリカゾル,アルミナゾル,ジルコ
    ニアゾル,コロイダルシリカなどのアルカリ金属塩,有
    機シリケート,有機チタネート,酸性金属リン酸塩,重
    クロム酸リン酸から任意に選択されるものおよび分解
    発泡する充填材としてのポリリン酸アンモニウム,リン
    酸アンモニウム,リン酸二水素カリウムなどのリン酸
    塩、含窒素化合物から任意に選択されるものおよびペン
    タエリスリトール,ジペンタエリスリトール,トリペン
    タエリスリトールなどのイソパラフィンの多価アルコー
    ル,でんぷん,デキストリン,膨張性黒鉛から任意に選
    択される炭化層形成剤であることを特徴とする請求項
    1,請求項2,請求項3または請求項4記載の耐火被覆
    層の形成方法。
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