JP2000273659A - 金属表面用防錆処理剤および表面処理金属製品 - Google Patents

金属表面用防錆処理剤および表面処理金属製品

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JP2000273659A
JP2000273659A JP11245569A JP24556999A JP2000273659A JP 2000273659 A JP2000273659 A JP 2000273659A JP 11245569 A JP11245569 A JP 11245569A JP 24556999 A JP24556999 A JP 24556999A JP 2000273659 A JP2000273659 A JP 2000273659A
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ammonia
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Makoto Yamazaki
真 山崎
Kengo Yoshida
健吾 吉田
Yoichiro Mori
陽一郎 森
Yoshiyuki Harada
佳幸 原田
Hiroshi Kanai
洋 金井
Taku Tokita
卓 時田
Shigenobu Otsubo
重信 大坪
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Mitsui Chemicals Inc
Nippon Steel Corp
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Mitsui Chemicals Inc
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐食性および耐水密着性に優れた防錆層を形
成することができる金属表面用防錆処理剤および表面処
理金属製品を提供する。 【解決手段】 1価金属と2価金属で中和されたアイオ
ノマー樹脂(A)、アンモニアあるいはアミンで中和さ
れたアイオノマー樹脂(B)および水から成る水性分散
体で、(A)と(B)に含まれるアイオノマー樹脂の未
中和状態での総カルボキシル基量に対して、1価金属の
含有率が0.6以下(化学当量)で、かつ2価金属の含
有率が0.05〜0.8(化学当量)となるように配合
した金属表面用防錆処理剤を金属表面に塗布、乾燥す
る。これにより耐食性と耐水密着性に優れる表面処理金
属製品が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐食性および耐水
密着性に優れた防錆層を形成することができる金属表面
用防錆処理剤および表面処理金属製品に関する。
【0002】
【従来の技術】主として炭化水素から構成される高分子
主鎖からなり、側鎖に有するカルボキシル基の一部が金
属陽イオンで中和されている部分中和物であるアイオノ
マー樹脂が、各種の基材、特に金属と良好な密着性を有
することは知られている。例えば、日本接着学会誌、V
ol.19、No.3、p95−101(1983)に
は、アルカリ金属や2価金属イオンなど、架橋イオンの
種類によってアイオノマー樹脂の塗膜物性や密着性が異
なることが報告されている。また、このアイオノマー樹
脂からなる防錆層は、耐水性に優れるため、アイオノマ
ー樹脂を金属基材の防錆剤として使用できることも知ら
れている。しかも、Na、K等の1価金属イオンやアン
モニアやアミン等で架橋されたアイオノマーは、容易に
水中に分散することが可能であるため水性分散体として
市販されている。そのため、アイオノマー樹脂の水性分
散体を使用した様々な防錆処理剤が開発され、現在、各
種産業分野において広く用いられている。
【0003】しかしながら、この様なアイオノマー樹脂
の単独処理ではユーザーが要求する耐食性や密着性等の
性能に応え得るものはなく、主に下地にクロメート処理
等を施した有機被覆複合鋼板として製造が行われてき
た。例えば、特開平6−246229号公報あるいは特
開平7−52310号公報に見られるように、鋼板表面
上に形成されたクロメート処理層の上に、アイオノマー
樹脂の水性分散体を塗布した有機複合被覆鋼板の製造方
法、あるいは特開平8−39725号公報、特開平9−
287883号公報あるいは特開平9−187884号
公報に見られるように、鋼板表面上に形成されたクロメ
ート処理層の上に、ワックスを分散させたアイオノマー
樹脂の水性分散体を塗布した潤滑鋼板の製造方法等が報
告されている。ところで、近年、環境問題の高まりを背
景に、6価クロムを使用しない表面処理金属製品への要
求が高まっている。そのため、クロメート処理による下
地処理を行わずに、有機樹脂による一段処理のみでも、
従来並の耐食性や密着性等の性能を有する処理剤および
鋼板が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】発明者らは、2価の金
属で中和されたアイオノマー樹脂で形成される防錆層
が、優れた耐食性を有することを見いだし、すでに特願
平9−164262号において、2価の金属で中和され
た樹脂の水性分散体とエポキシ基含有化合物等を含む防
錆処理剤を開示している。しかしながら、ユーザーによ
っては、より優れた耐食性や耐水密着性等の性能を必要
とされる場合があり、さらなる性能の向上が課題となっ
ていた。そこで、本発明の目的は、上記の課題を解決し
て、耐食性および耐水密着性に優れた金属表面用防錆処
理剤および表面処理金属製品を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために種々の検討を行った結果、1価金属と
2価金属で中和されたアイオノマー樹脂(A)を含む水
性分散体に、アンモニアあるいはアミンで中和されたア
イオノマー樹脂(B)を含む水分散体を添加して、
(A)と(B)に含まれるアイオノマー樹脂の総カルボ
キシル基量に対する1価金属および2価金属の含有率を
特定範囲となるように調整することで、得られた水分散
体を含む処理剤を用いて形成される防錆層が、安定して
耐食性および耐水密着性に優れることを見いだした。
【0006】本発明の第1は、上記知見に基づくもので
あって、1価金属と2価金属で中和されたアイオノマー
樹脂(A)、アンモニアあるいはアミン等で中和された
アイオノマー樹脂(B)、および水から成る水性分散体
を含むことを特徴とする金属表面用防錆処理剤である。
本発明の第2は、前記1価金属と2価金属で中和された
アイオノマー樹脂(A)、アンモニアあるいはアミンで
中和されたアイオノマー樹脂(B)、および水から成る
水性分散体において、(A)と(B)に含まれるアイオ
ノマー樹脂の総カルボキシル基量に対して、1価金属の
含有率が0.6以下(化学当量)で、かつ2価金属の含
有率が0.05〜0.8(化学当量)であることを特徴
とする金属表面用防錆処理剤である。
【0007】本発明の第3は、前記1価の金属がNaお
よびKから選ばれる少なくとも1種であり、また2価の
金属がMgおよびZnから選ばれる少なくとも1種であ
ることを特徴とする金属表面用防錆処理剤である。本発
明の第4は、前記防錆処理剤中に、Siを含まないエポ
キシ基含有化合物(C)、Siを含まないエポキシ基含
有化合物(C)と1価金属と2価金属で中和されたアイ
オノマー樹脂(A)との反応物(D)、およびSiを含
まないエポキシ基含有化合物(C)とアンモニアあるい
はアミンで中和されたアイオノマー樹脂(B)との反応
物(E)から選ばれる少なくとも1種を、[(A)+
(B)]/[(C)+(D)+(E)]=99/1〜5
0/50(重量換算)となる割合で含むことを特徴とす
る金属表面用防錆処理剤である。
【0008】本発明の第5は、前記1価金属と2価金属
で中和されたアイオノマー樹脂(A)、アンモニアある
いはアミンで中和されたアイオノマー樹脂(B)および
水から成る水性分散体が、シリカ(F)、シランカップ
リング剤(G)を、さらに含有することを特徴とする金
属表面用防錆処理剤である。シリカ(F)、シランカッ
プリング剤(G)の添加により、より優れた耐食性特に
加工後の耐食性が向上する。
【0009】本発明の第6は、分子構造がR−CH2
2 CH2 −Si(CH3 )n(OCH3 )mであるシ
ランカップリング剤(G)が1種以上含有されることを
特徴とする金属表面用防錆処理剤である。本発明の第7
は、シランカップリング剤(G)の分子構造がR−CH
2 CH2CH2 −Si(CH3 )n(OCH3 )mで、
Rが以下に示した構造のいずれかであること、n=0,
m=3または、n=1,m=2であることを特徴とする
金属表面防錆処理剤である。
【0010】
【化2】NH2 CH2 CH2 NH− CH2 =C(CH3 )−COO− 1837+ (CH3 2 ・Cl- − HS−
【0011】本発明の第8は、前記1価金属と2価金属
で中和されたアイオノマー樹脂(A)、アンモニアある
いはアミンで中和されたアイオノマー樹脂(B)、Si
を含まないエポキシ基含有化合物(C)、Siを含まな
いエポキシ基含有化合物(C)と1価金属と2価金属で
中和されたアイオノマー樹脂(A)との反応物(D)、
およびSiを含まないエポキシ基含有化合物(C)とア
ンモニアあるいはアミンで中和されたアイオノマー樹脂
(B)との反応物(E)の合計量に対して、シリカ
(F)が(F)/[(A)+(B)+(C)+(D)+
(E)]=0.02〜0.45(重量換算)となる割合
で、かつシランカップリング剤(G)が(G)/
[(A)+(B)+(C)+(D)+(E)]=0.0
005〜0.1(重量換算)となる割合で含まれること
を特徴とする金属表面防錆処理剤である。
【0012】本発明の第9は、前記1価金属と2価金属
で中和されたアイオノマー樹脂(A)、アンモニアある
いはアミンで中和されたアイオノマー樹脂(B)および
水から成る水性分散体が、チオ硫酸イオン、亜硫酸イオ
ン、亜硫酸水素イオンから選ばれる少なくとも1種類以
上を、さらに含有することを特徴とする金属表面用防錆
処理剤である。チオ硫酸イオン、亜硫酸イオン、亜硫酸
水素イオンの添加により、より優れた耐食性、特に加工
後の耐食性が向上する。
【0013】本発明の第10は、前記防錆処理剤中に、
1価金属と2価金属で中和されたアイオノマー樹脂
(A)、アンモニアあるいはアミンで中和されたアイオ
ノマー樹脂(B)、Siを含まないエポキシ基含有化合
物(C)、Siを含まないエポキシ基含有化合物(C)
と1価金属と2価金属で中和されたアイオノマー樹脂
(A)との反応物(D)、およびSiを含まないエポキ
シ基含有化合物(C)とアンモニアあるいはアミンで中
和されたアイオノマー樹脂(B)との反応物(E)の総
重量 (A)+(B)+(C)+(D)+(E) に対し
て、チオ硫酸イオン、亜硫酸イオン、亜硫酸水素イオン
から選ばれる少なくとも1種以上を合計で0.1〜10
重量%の割合で含むことを特徴とする金属表面防錆剤で
ある。本発明の第11は、前記いずれかの金属表面用防
錆処理剤を塗布、乾燥して得られることを特徴とする表
面処理金属製品である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳述する。本発明
の金属表面用防錆処理剤は、1価金属と2価金属で中和
されたアイオノマー樹脂(A)を含む水性分散体に、ア
ンモニアあるいはアミンで中和されたアイオノマー樹脂
(B)を含む水性分散体を添加したものである。また、
1価金属と2価金属で中和されたアイオノマー樹脂
(A)、アンモニアあるいはアミンで中和されたアイオ
ノマー樹脂(B)、および水から成る水性分散体におい
て、(A)と(B)に含まれるアイオノマー樹脂の総カ
ルボキシル基量に対して、1価金属の含有率が0.6以
下(化学当量)で、かつ2価金属の含有率が0.05〜
0.8(化学当量)となるように、(A)中の1価金属
と2価金属の含有量を考慮して適宜調整する。ここで、
前記1価金属および2価金属とは、塩、イオンおよび化
合物等の全ての形態を含むものと定義する。
【0015】前記水性分散体の1価金属の含有率が、
(A)と(B)に含まれるアイオノマー樹脂の総カルボ
キシル基量に対して、0.6(化学当量)より多い場
合、耐食性や耐水密着性が不良となる。また、前記水性
分散体中の2価金属の含有率が、(A)と(B)に含ま
れるアイオノマー樹脂の総カルボキシル基量に対して、
0.05未満(化学当量)だと、2価金属による架橋効
果が十分でないため、耐食性が劣る。さらに、水性分散
体中の2価の金属の含有率が、(A)と(B)に含まれ
るアイオノマー樹脂の総カルボキシル基量に対して、
0.8(化学当量)より多い場合、沈殿等を生じるため
好ましくない。
【0016】ここで、1価金属と2価金属で中和された
アイオノマー樹脂(A)を含む水性分散体中に含有す
る、カルボキシル基の中和に寄与していないフリーな1
価金属を、限外濾過、イオン交換等により除去すること
も有効な手段である。次に、本発明の金属表面用防錆処
理剤の主成分であるアイオノマー樹脂の水性分散体につ
いて説明する。まず、1価金属と2価金属で中和された
アイオノマー樹脂(A)を含む水性分散体の原料となる
樹脂は、エチレンー不飽和カルボン酸共重合体であっ
て、含有するカルボキシル基の少なくとも一部が2価の
金属陽イオンで中和された部分中和物からなるアイオノ
マー樹脂(A−1)である。
【0017】また、本発明の金属表面用防錆処理剤のも
う一つの主成分であるアンモニアあるいはアミンで中和
されたアイオノマー樹脂(B)の水性分散体の原料とな
る樹脂は、エチレンー不飽和カルボン酸共重合体であっ
て、含有するカルボキシル基の少なくとも1部がアンモ
ニアあるいはアミンで中和された部分中和物からなるア
イオノマー樹脂(B−1)、あるいはエチレンー不飽和
カルボン酸共重合体(B−2)である。
【0018】これらの樹脂(A−1)、(B−1)およ
び(B−2)の主骨格を構成するエチレン−不飽和カル
ボン酸共重合体は、ランダム共重合体でもよいし、ポリ
エチレンヘの不飽和カルボン酸のグラフト共重合体でも
よい。特に、透明性に優れる塗膜が得られる点で、エチ
レン−不飽和カルボン酸ランダム共重合体が好ましい。
また、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体は、1種の
不飽和カルボン酸のみを含むものでもよいし、2種以上
の不飽和カルボン酸を含むものでもよい。
【0019】エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の成
分である不飽和カルボン酸としては、炭素数3〜8の不
飽和カルボン酸等を挙げることができる。炭素数3〜8
の不飽和カルボン酸の具体例としては、アクリル酸、メ
タクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、ク
ロトン酸、イソクロトン酸、シトラコン酸、アリルコハ
ク酸、メサコン酸、グルタコン酸、ナジック酸、メチル
ナジック酸、テトラヒドロフタール酸、メチルヘキサヒ
ドロフタル酸等を挙げることができる。これらの中で
は、特に、アクリル酸およびメタクリル酸が好ましい。
【0020】また、これらの樹脂(A−1)、(B−
1)および(B−2)の主骨格を構成するエチレン−不
飽和カルボン酸共重合体は、エチレンと不飽和カルボン
酸に加えて第3成分を含んでいても良い。この第3成分
としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリ
ル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソブチル等の不飽和
カルボン酸エステル、酢酸ビニル等のビニルエステルを
挙げることができる。このエチレン−不飽和カルボン酸
共重合体におけるエチレンと不飽和カルボン酸の含有割
合は、通常、エチレン95〜60重量部に対して、不飽
和カルボン酸5〜40重量部の割合であり、好ましくは
エチレン92〜75重量部に対して、不飽和カルボン酸
8〜25重量部の割合である。また、エチレンー不飽和
カルボン酸共重合体が第3成分を含む場合は、第3成分
は40重量%以下の量で存在することが好ましい。
【0021】アイオノマー樹脂(A−1)において、エ
チレン−不飽和カルボン酸共重合体が側鎖に有するカル
ボキシル基の少なくとも一部は、2価の金属陽イオンで
中和されている。このアイオノマー樹脂(A−1)が有
する2価の金属イオンとしては、Mg、Zn、Ca、C
u、Fe、Ba等を挙げることができる。これらの中で
も、MgおよびZnを2価の金属イオンとして有するア
イオノマー樹脂が、製造が容易である点で好ましい。
【0022】また、アイオノマー樹脂(A−1)におい
て、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体が側鎖に有す
るカルボキシル基の全部に対する、2価の金属陽イオン
で中和されたカルボキシル基の割合、すなわち、中和度
は、耐食性に優れる防錆層を形成する金属表面用防錆処
理剤が得られる点で、通常、20〜100%程度であ
り、好ましくは30〜80%である。また、このアイオ
ノマー樹脂は、ASTMD 1238によるMFR(1
90℃)が、0.05〜100g/10minであるも
のが好ましく、特に0.1〜50g/10minである
ものが好ましい。
【0023】さらに、2価の金属陽イオンで中和された
アイオノマー樹脂(A−1)は、乳化時に、K、Na等
の1価のアルカリ金属化合物を併用することで、良好な
収率で1価の金属と2価の金属で中和されたアイオノマ
ー樹脂(A)の水性分散体を得ることができる。用いら
れる1価のアルカリ金属化合物としては、例えば、KO
H、NaOH、LiOH等の水酸化物、K2 CO3 、N
2 CO3 等の炭酸塩等を挙げることができる。これら
の中でも、特に、KOHおよびNaOHが好ましい。
【0024】本発明の金属表面用防錆処理剤において、
1価のアルカリ金属化合物は、通常、アイオノマー樹脂
(A−1)の未中和の状態でのカルボキシル基量に対し
て、0.2〜1当量になるように使用され、特に0.5
〜0.95当量が好ましい。また、通常、水に対して1
〜60重量%の固形分のアイオノマー樹脂(A−1)と
1価のアルカリ金属化合物とを混合して、100〜25
0℃の温度で加熱溶融し、分散させる方法によって、容
易に1価金属と2価の金属で中和されたアイオノマー樹
脂(A)の水性分散体を得ることができる。
【0025】この2価の金属で中和されたアイオノマー
樹脂(A−1)の製造は、例えば、エチレンと不飽和カ
ルボン酸、および必要に応じて第3成分を、高圧ラジカ
ル重合法により共重合させ、得られるエチレン−不飽和
カルボン酸共重合体のカルボキンル基を、前記2価金属
陽イオンを有する化合物で中和処理する方法、ポリエチ
レンに不飽和カルボン酸を共重合し、得られる共重合体
のカルボキシル基を前記2価金属陽イオンを有する化合
物で中和処理する方法等の方法に従って行うことができ
る。また、この製造は、押し出し機に所定の成分を供給
して溶融混練して反応させても良いし、水、あるいは適
当な有機溶剤中で行わせてもよい。前記2価の金属陽イ
オンを有する化合物としては、例えば、ZnO、Zn
(OH)2 、MgO、Mg(OH)2 、CuO、Ca
(OH)2 、Ba(OH)2 等を挙げることができる。
【0026】次に、アイオノマー樹脂(B−1)におい
て、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体が側鎖に有す
るカルボキシル基の少なくとも一部は、アンモニアある
いはアミンで中和されている。このアイオノマー樹脂
(B−1)が有するアンモニアおよびアミンとしては、
ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、メチルアミン、エチ
ルアミン、エタノールアミン、シクロヘキシルアミン、
水酸化アンモニウム、4級アンモニア化合物(テトラメ
チルアンモニウムヒドロキシド、ヒドラジン水和物
等)、アンモニア等を挙げることができる。
【0027】アイオノマー樹脂(B−1)において、エ
チレン−不飽和カルボン酸共重合体が側鎖に有するカル
ボキシル基の全部に対する、アンモニアあるいはアミン
で中和されたカルボキシル基の割合は、通常、20〜1
00%程度であり、好ましくは30〜80%である。ま
た、このアイオノマー樹脂は、ASTM D 1238に
よるMFR(190℃)が、0.05〜100g/10
minであるものが好ましく、特に0.1〜50g/1
0minであるものが好ましい。また、アンモニアある
いはアミンで中和されたアイオノマー樹脂(B−1)、
およびエチレン−不飽和カルボン酸共重合体(B−2)
は、乳化時に、アンモニアあるいはアミンを使用するこ
とで、良好な収率でアンモニアあるいはアミンで中和さ
れたアイオノマー樹脂(B)の水性分散体を得ることが
できる。
【0028】このアンモニアあるいはアミンで中和され
たアイオノマー樹脂(B−1)の製造は、例えば、エチ
レンと不飽和カルボン酸、および必要に応じて第3成分
を、高圧ラジカル重合法により共重合させ、得られるエ
チレン−不飽和カルボン酸共重合体のカルボキンル基
を、前記アンモニアあるいはアミンで中和処理する方
法、ポリエチレンに不飽和カルボン酸を共重合し、得ら
れる共重合体のカルボキシル基を前記アンモニアあるい
はアミンで中和処理する方法等の方法に従って行うこと
ができる。また、この製造は、押し出し機に所定の成分
を供給して溶融混練して反応させても良いし、水、ある
いは適当な有機溶剤中で行わせてもよい。
【0029】前記アンモニアおよびアミンとしては、例
えば、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、メチルアミ
ン、エチルアミン、エタノールアミン、シクロヘキシル
アミン、水酸化アンモニウム、4級アンモニア化合物
(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ヒドラジン
水和物等)、アンモニアを挙げることができる。本発明
の金属表面用防錆処理剤は、前記1価の金属と2価の金
属で中和されたアイオノマー樹脂(A)の水性分散体と
アンモニアあるいはアミンで中和されたアイオノマー樹
脂(B)の水性分散体を主成分とし、さらに、Siを含
まないエポキシ基含有化合物(C)、(C)と(A)と
の反応物(D)、および(C)と(B)との反応物
(E)から選ばれる少なくとも1種以上を含むものであ
ると、上塗り塗料等の硬化性樹脂塗膜との密着性に優れ
る塗膜を形成することができる。
【0030】本発明の金属表面用防錆処理剤は、下記の
8つの態様のいずれの成分の組み合わせからなる組成物
であってもよく、上塗り塗装の可否、使用する塗料、成
膜条件(防錆塗料または上塗り塗料の焼付け条件)等に
応じて適宜選択される。特に、上塗り塗料を塗装する場
合は、下記の(2)〜(8)の組み合わせからなる組成
物が好ましい。 (1)1価金属と2価金属で中和されたアイオノマー樹
脂(A)+アンモニアあるいはアミンで中和されたアイ
オノマー樹脂(B) (2)(1)+エポキシ基含有化合物(C) (3)(1)+反応物(D) (4)(1)+反応物(E) (5)(3)+エポキシ基含有化合物(C) (6)(4)+エポキシ基含有化合物(C) (7)(1)+反応物(D)+反応物(E) (8)(7)+エポキシ基含有化合物(C)
【0031】金属表面用防錆処理剤の成分として用いら
れるSiを含まないエポキシ基含有化合物(C)として
は、カルボン酸と2,3−エポキンプロパノール等の反
応によって得られるグリシジルエステル類、およびエピ
クロルヒドリンと1価または多価の金属アルコキンドと
の反応によって得られるグリシジルエーテル類などを挙
げることができる。グリシジルエステル類を得るための
カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪
酸、吉草酸等の飽和モノカルボン酸、マロン酸、コハク
酸、グルタル酸、アジピン酸等の飽和ジカルボン酸、安
息香酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸、アクリル酸、
メタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、
フマール酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン
酸、ントラコン酸、アリルコハク酸、メサコン酸、グル
タコン酸、ナジック酸、メチルナジック酸、テトラヒド
ロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等の不飽和ジ
カルボン酸などが挙げられる。これらのカルボン酸は、
1種単独または2種以上の組み合わせが、グリシジルエ
ステル類中に含まれていてもよい。
【0032】Siを含まないエポキシ基含有化合物
(C)として用いられるグリシジルエステル類の具体例
としては、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸
ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエス
テル等が挙げられる。また、Siを含まないエポキシ基
含有化合物(C)として用いられるグリシジルエーテル
類を得るための1価または多価の金属アルコキシドは、1
価または多価のアルコールと金属との反応によって得ら
れる化合物である。1価のアルコールとしては、例え
ば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ル、ヘキサノール、フェノール等が挙げられ、多価アル
コールとしては、例えばエチレングリコール、レゾルシ
ン、グリセリン、ビスフェノールA等の多価アルコール
を挙げることができる。金属としては、例えば、Li、
Na、K、Mg、Ca等のアルカリ金属またはアルカリ
土類金属を挙げることができる。
【0033】この1価または多価の金属アルコキシドの
具体例として、ナトリウムアルコキシド等が挙げられ
る。これらの金属アルコキンドの1種単独または2種以
上の組み合わせが、グリシジルエーテル中に含まれてい
ても良い。さらに、Siを含まないエポキシ基含有化合
物(C)として用いられるグリシジルエーテル類の具体
例としては、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソ
ルビタンポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポ
リグリシジルエーテル、ベンタエリスリトールポリグリ
シジルユーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテ
ル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチル
プロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコ
ールグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシ
ジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエ
ーテル、プロピレングリコールジグリシジルユーテル、
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、2,
2−ビス−(4’−グリシジルオキシフェニル)プロパ
ン等を挙げることができる。
【0034】本発明の金属表面用防錆処理剤は、Siを
含まないエポキン基含有化合物(C)として、前記グリ
シジルエステル類およびグリシジルエーテル類を、1種
単独または2種以上の組み合わせを含んでいてもよい。
本発明において、これらのSiを含まないエポキン基含
有化合物(C)の中でも、1価金属と2価金属で中和さ
れたアイオノマー樹脂(A)とアンモニアあるいはアミ
ンで中和されたアイオノマー樹脂(B)と、加熱により
反応して、上塗り塗料等の硬化性樹脂層との密着性に優
れた金属表面用防錆処理剤を形成することができる点
で、特に、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エ
チレンおよびポリエチレングリコールジグリシジルエー
テル等のジグリシジルエーテルの多価エポキシ化合物が
好ましい。
【0035】また、Siを含まないエポキシ基含有化合
物(C)は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合
物に代表される芳香族系エポキシ化合物とカルボキシル
基含有アクリル樹脂、芳香族ポリオール樹脂の反応物等
の変性エポキシ化合物であってもよい。さらに、本発明
において、Siを含まないエポキシ基含有化合物(C)
は、水性分散体の調製が容易となる点で、水溶性または
ディスパージョンを形成するものが好ましく、特に水溶
率が25%以上の水溶性のものが好ましい。本発明にお
いて、水溶率とは、25℃で水にエポキシ基含有化合物
を混合した時に、水に実際に溶解したエポキシ基含有化
合物の量の割合をいう。すなわち、ある温度Tでエポキ
シ基含有化合物Xgを水に溶解した時、エポキシ基含有
化合物の不溶分がYg残った時は、温度Tにおける該エ
ポキシ基含有化合物の水溶率は[(X−Y)/X]×1
00(%)となる。
【0036】さらにまた、このSiを含まないエポキシ
基含有化合物(C)の粘度は、25℃で1〜30000
mPa・s、特に5〜20000mPa・sの範囲にあ
ることが好ましい。本発明の金属表面用防錆処理剤にお
いて、Siを含まないエポキシ基含有化合物(C)とし
ては、通常、エポキシ当量が80〜2500g、特には
120〜2000gの範囲にあるものが用いられる。本
発明において、エポキシ当量とは、エポキシ基1グラム
当量当たりのエポキシ基含有化合物のグラム数をいう。
例えば、分子量100のエポキン基含有化合物が1分子
内に1つのエポキシ基を有する場合には、このエポキシ
基含有化合物のエポキシ当量は100となる。また、分
子量100のエポキシ基含有化合物が1分子内に2つの
エポキシ基を有する場合には、このエポキシ基含有化合
物のエポキン当量は50となる。
【0037】本発明の金属表面用防錆処理剤の成分とし
て用いられる、Siを含まないエポキシ基含有化合物
(C)と1価金属と2価金属で中和されたアイオノマー
樹脂(A)との反応物(D)、およびSiを含まないエ
ポキシ基含有化合物(C)とアンモニアあるいはアミン
で中和されたアイオノマー樹脂(B)の反応物(E)
は、(A)、(B)およびエポキシ基含有化合物とを含
む組成物を調製する際に、(A)あるいは(B)が有す
るカルボキシル基と、(C)が有するエポキシ基とが反
応して形成されるものである。この反応物(D)および
(E)は、処理剤の調製が容易となる点で、水溶性また
はディスパージョンを形成するものが好ましい。
【0038】本発明の金属表面用防錆処理剤は、前記1
価金属と2価金属で中和されたアイオノマー樹脂の水性
分散体(A)、とアンモニアあるいはアミンで中和され
たアイオノマー樹脂の水性分散体(B)の混合物単独で
用いてもよいし、この(A)と(B)の混合物と、Si
を含まないエポキシ基含有化合物(C)、(C)と
(A)との反応物(D)、および(C)と(B)との反
応物(E)とを、前記(2)〜(8)のいずれかの組み
合わせで含む水性分散体組成物として用いてもよい。
【0039】前記(2)〜(8)のいずれかの組み合わ
せで含む水性分散体組成物は、上塗り塗料等の硬化性樹
脂からなる塗膜との密着性に優れる防錆層形成すること
ができる。この水性分散体組成物の調製は、例えば、ア
イオノマー樹脂の水性分散体にエポキシ基含有化合物を
溶解する方法、アイオノマー樹脂の水分散体にエポキシ
基含有化合物の水溶液を混合する方法、アイオノマー樹
脂とエポキシ基含有化合物および水の混合物を加熱溶融
して一括乳化する方法等によって行うことができる。特
には、アイオノマー樹脂の水性分散体ヘエポキシ化合物
の溶解、あるいはエポキン化合物水溶液の混合が好まし
く、これらは常温〜180℃の温度で行われることが好
ましい。
【0040】また、水性分散体組成物において、1価金
属および2価金属で中和されたアイオノマー樹脂(A)
と、アンモニアあるいはアミンで中和されたアイオノマ
ー樹脂(B)に対する、Siを含まないエポキシ基含有
化合物(C)、(C)と(A)との反応物(D)、およ
び(C)と(B)との反応物(E)から選ばれる少なく
とも1種の含有割合は、[(A)+(B)]/[(C)
+(D)+(E)]=99/1〜50/50(重量換
算)となる割合が好ましく、特に、好ましくは[(A)
+(B)]/[(C)+(D)+(E)]=90/10
〜60/40(重量換算)となる割合である。(A)と
(B)の割合が、上記範囲を超えると、上塗り塗料との
耐水密着性が低下し、逆に上記範囲以下であると、塗膜
の耐湿性が低下する。
【0041】さらに、1価金属および2価金属で中和さ
れたアイオノマー樹脂の水性分散体(A)と、アンモニ
アあるいはアミンで中和されたアイオノマー樹脂の水性
分散体(B)、Siを含まないエポキシ基含有化合物
(C)、(C)と(A)との反応物(D)、および
(C)と(B)との反応物(E)の濃度は、特に制限さ
れず、塗布方法、塗布に使用される装置等に応じて適宜
調整される。通常は(A)、(B)、(C)、(D)お
よび(E)の合計量で2〜50重量%、好ましくは5〜
20重量%である。
【0042】また、本発明の金属表面用防錆処理剤の粘
度は、防錆層を形成するための作業性の観点から、1〜
1000mPa・s程度のものが好ましく、特に、2〜
100mPa・s程度のものが好ましい。さらに、1価
金属および2価金属で中和されたアイオノマー樹脂
(A)の水性分散体およびアンモニアあるいはアミンで
中和されたアイオノマー樹脂(B)の水性分散体中の分
散体粒子径は、通常、0.2μm以下、好ましくは0.
1μm以下である。
【0043】本発明の金属表面用防錆処理剤は、前記1
価金属と2価金属で中和されたアイオノマー樹脂の水性
分散体(A)、アンモニアあるいはアミンで中和された
アイオノマー樹脂の水性分散体(B)、Siを含まない
エポキシ基含有化合物(C)、(C)と(A)との反応
物(D)および(C)と(B)との反応物(E)以外
に、シリカ、酸化チタンなどの無機酸化物コロイドの添
加が耐食性向上に有効である。特にシリカは耐食性向上
に有効であり、さらにシランカップリング剤と併用する
ことで効果的に作用する。
【0044】すなわち、1価金属と2価金属で中和され
たアイオノマー樹脂(A)、アンモニアあるいはアミン
で中和されたアイオノマー樹脂(B)および水から成る
水性分散体が、シリカ(F)およびシランカップリング
剤(G)を、さらに含むものであると、より優れた耐食
性特に加工後耐食性、上塗り塗料等の硬化性樹脂塗膜と
の密着性に優れる塗膜を形成することができる。本発明
における金属表面用防錆処理剤の成分として用いられる
シリカ量は、前記1価金属と2価金属で中和されたアイ
オノマー樹脂の水性分散体(A)、アンモニアあるいは
アミンで中和されたアイオノマー樹脂の水性分散体
(B)、Siを含まないエポキシ基含有化合物(C)、
(C)と(A)との反応物(D)および(C)と(B)
との反応物(E)の全量[(A)+(B)+(C)+
(D)+(E)]に対して重量換算で0.02〜0.4
5である。0.45より多い場合、皮膜が脆くなり、加
工を受けたあとの耐食性が低下する。一方0.02より
も少ない場合は、平板の耐食性および金属板との耐水密
着性が低下する。シリカの一次粒子径は2〜50nmが
好ましい。より好ましくは5〜20nmである。
【0045】本発明における金属表面用防錆処理剤の成
分として用いられる、シランカップリング剤は、皮膜中
に含有する樹脂とシリカとの相溶性を高め均一な膜を作
るだけでなく、樹脂とシリカ相互に物理結合または化学
結合して架橋構造を形成する。このため水、酸素などの
腐食因子の透過係数低減、皮膜伸び付与、強度向上をは
じめとする各種の物性を改善することが出来る。このた
め、使用する樹脂量を低減することが出来、経済的であ
る。これらの物性改善によって、たとえば、水分、酸素
透過率の低減によっては平板耐食性の向上、皮膜の強度
増による耐傷つき性の向上、皮膜の伸性付与による加工
時の皮膜ダメ−ジ低減に基づく加工部耐食性の向上が発
現される。また、金属材料と処理液の濡れ性を向上し、
密着性も向上する。
【0046】本発明の金属表面用防錆処理剤の成分とし
て用いられる、シランカップリング剤は、R−CH2
2 CH2 −Si(CH3 )n(OCH3 )mで規定さ
れる分子構造であり、少なくとも処理液中に1種類以上
含有されることが好ましい。Rの構造は、
【0047】
【化3】NH2 CH2 CH2 NH− CH2 =C(CH3 )−COO− 1837+ (CH3 2 ・Cl- − HS− のいづれかであること。そして、n=0,m=3または
n=1,m=2である。そして上記式で表されるシラン
カップリング剤を2つ以上混合添加すると性能が更に向
上する。
【0048】上記以外の構造では,本発明における樹脂
との相互作用が乏しく、耐食性が向上しない。また、上
記構造のシランカップリグ材であれば、処理液の表面張
力を減少することができ、金属板への密着性を向上させ
るだけでなく、塗装時の泡発生も大幅に改善することが
できる。n=2,m=1またはn=3,m=0であると
無機顔料との相互作用が弱くなり、耐食性、耐水密着性
が低下する。
【0049】上記シランカップリング剤の具体例として
は、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメト
キシシラン,γ−(2−アミノエチル)アミノプロピル
メチルジメトキシシラン,γ−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシラン,γ−メタクリロキシプロピルメチ
ルジメトキシシラン,γ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン,γ−タグリシドキシプロピルメチルジメ
トキシシラン,オクタデシルジメチル(3−(トリメト
キシシリル)プロピル)アンモニウムクロライド,オク
タデシルジメチル(3−(メチルジメトキシシリル)プ
ロピル)アンモニウムクロライド,γ−メルカプトプロ
ピルトリメトキシシラン,γ−メルカプトプロピルメチ
ルジメトキシシランである。
【0050】これらシランカップリング剤は処理液中に
単独で存在している必要はなく、上記(A)、(B)、
(C)、(D)または(E)と反応してシランカップリ
ング剤含有化合物となっていてもよい。量は、前記1価
金属と2価金属で中和されたアイオノマー樹脂の水性分
散体(A)、アンモニアあるいはアミンで中和されたア
イオノマー樹脂の水性分散体(B)、Siを含まないエ
ポキシ基含有化合物(C)、(C)と(A)との反応物
(D)および(C)と(B)との反応物(E)の全量
[(A)+(B)+(C)+(D)+(E)]に対して、
0.0005〜0.1である。0.1より多い場合、皮
膜が脆くなり、加工を受けたあとの耐食性が低下する。
一方0.0005よりも少ない場合耐食性、耐水密着性
が低下する。
【0051】また、本発明の金属表面用防錆処理剤は、
1価金属と2価金属で中和されたアイオノマー樹脂
(A)、アンモニアあるいはアミンで中和されたアイオ
ノマー樹脂(B)および水から成る水性分散体が、チオ
硫酸イオン、亜硫酸イオン、亜硫酸水素イオンから選ば
れる少なくとも1種類以上を、さらに含有したものとす
ることにより、より優れた耐食性特に加工後の耐食性が
向上する。
【0052】1価金属と2価金属で中和されたアイオノ
マー樹脂(A)、アンモニアあるいはアミンで中和され
たアイオノマー樹脂(B)、エポキシ基含有化合物
(C)、エポキシ基含有化合物(C)と1価金属と2価
金属で中和されたアイオノマー樹脂(A)との反応物
(D)、およびエポキシ基含有化合物(C)とアンモニ
アあるいはアミンで中和されたアイオノマー樹脂(B)
との反応物(E)の総重量(A)+(B)+(C)+
(D)+(E) に対して、チオ硫酸イオン、亜硫酸イ
オン、亜硫酸水素イオンから選ばれる少なくとも1種以
上の合計量が0.1〜10重量%の割合で含まれるのが
好ましい。ここで、処理剤中のチオ硫酸イオン、亜硫酸
イオン、亜硫酸水素イオンから選ばれる少なくとも1種
類以上の合計量が[(A)+(B)+(C)+(D)+
(E)]に対して、0.1重量%未満の場合、加工部耐
食性が不良となり、10重量%より多い場合、形成され
る防錆層の耐水密着性を劣化させるため好ましくない。
【0053】酸化抑制剤であるチオ硫酸イオン、亜硫酸
イオンおよび亜硫酸水素イオンは、主に樹脂で形成され
る防錆層中にイオンまたはその塩の状態で分散し、腐食
反応の抑制に寄与することで、防食性能を向上させる効
果があるものと考えられる。また、主に樹脂で形成され
る防錆層中に、前記チオ硫酸イオン、亜硫酸イオンおよ
び亜硫酸水素イオン、およびその塩を分散、補足するこ
とで、この防食性能を効果的に引き出すことができる。
つまり、前記チオ硫酸イオン、亜硫酸イオンおよび亜硫
酸水素イオン、およびその塩は、溶解性が高いため水分
の多い環境下においては金属表面からすぐに洗い流され
てしまう。しかし、これらのチオ硫酸イオン、亜硫酸イ
オンおよび亜硫酸水素イオン、およびその塩を主に樹脂
で形成される防錆層中に分散、補足させることで、長期
間防食効果を維持できるものと考えられる。
【0054】なお、チオ硫酸イオン、亜硫酸イオンおよ
び亜硫酸水素イオンの供給源としては、チオ硫酸、チオ
硫酸リチウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウ
ム、チオ硫酸アンモニウム、チオ硫酸亜鉛、チオ硫酸マ
グネシウム、亜硫酸(水素)、亜硫酸(水素)リチウ
ム、亜硫酸(水素)ナトリウム、亜硫酸(水素)カリウ
ム、亜硫酸(水素)アンモニウム、亜硫酸(水素)亜
鉛、亜硫酸(水素)マグネシウム等を挙げることができ
る。
【0055】なお、本発明の金属表面処理用防錆処理剤
は、さらに必要に応じて、各種の樹脂、配合剤等の他の
成分を、本発明の目的を損なわない範囲で含有していて
も良い。他の成分としては、界面活性剤、腐食抑制剤、
消泡剤、有機系潤滑剤等が挙げられる。界面活性剤は、
防錆処理剤の安定性を向上させるために用いられるもの
であり、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界
面活性剤等が挙げられる。また、腐食抑制剤は、得られ
る防錆層の防錆能力を向上させるために用いられるもの
であり、例えば、モリブデン酸塩等の水溶性多価金属塩
類やカソード反応を抑制するタイプの有機インヒビター
等が挙げられる。
【0056】また、有機系潤滑剤としては、ポリオレフ
ィン系樹脂の水性分散体が好ましく、ポリエチレン、ポ
リプロピレン等のポリオレフィン系炭化水素の重合体か
ら選ばれる1種、あるいは2種類以上を混合したもの等
が使用可能である。本発明の金属表面用防錆処理剤は、
基材上に塗布し、乾燥、硬化して、基材上に、優れた耐
食性を有し、かつ上塗り塗料と良好な密着性を有する防
錆層を形成する防食処理方法に適用することができる。
特に、本発明の金属表面用防錆処理剤を用いる防食処理
方法は、金属表面に適用して、耐食性に優れ、かつ上塗
り塗料と良好な密着性を有する防錆層を形成することが
できるため、有用である。
【0057】本発明において適用可能な金属製品として
は、亜鉛めっき鋼板、亜鉛−ニッケルめっき鋼板、亜鉛
−鉄めっき鋼板、亜鉛−クロムめっき鋼板、亜鉛−アル
ミニウムめっき鋼板、亜鉛−チタンめっき鋼板、亜鉛−
マグネシウムめっき鋼板、亜鉛−マンガンめっき鋼板等
の亜鉛系の電気めっき、溶融めっき、蒸着めっき鋼板、
アルミニウムまたはアルミニウム合金めっき鋼板、鉛ま
たは鉛合金めっき鋼板、錫または錫合金めっき鋼板、さ
らにはこれらのめっき層に少量の異種金属元素あるいは
不純物としてコバルト、モリブデン、タングステン、ニ
ッケル、チタン、クロム、アルミニウム、マンガン、
鉄、マグネシウム、鉛、アンチモン、錫、銅、カドミウ
ム、ヒ素等を含有したもの、または/およびシリカ、ア
ルミナ、チタニア等の無機物を分散させたものが含まれ
る。さらには、以上のめっきと他の種類のめっき、例え
ば鉄めっき、鉄−りんめっき等と組み合わせた複層めっ
きにも適用可能である。さらに、亜鉛鉄板、亜鉛合金
板、アルミニウム板、アルミニウム合金板、鋼板等にも
使用可能である。
【0058】防錆処理剤の塗布は、スプレー、カーテ
ン、フローコーター、ロールコーター、バーコーター、
刷毛塗り、浸漬およびエアナイフ絞り等のいずれの方法
によっても行うことができる。基材上に防錆処理剤を塗
布した後、自然乾燥させても良いが、焼き付けを行うこ
とが好ましい。焼き付け温度は、到達板温60〜250
℃で、良好な耐食性を有する防錆層を形成することがで
きる。この防食処理方法において、基材上に形成される
防錆層の厚さは、塗装品の用途、使用する防錆塗料、上
塗り塗料の種類、厚さ等にしたがって適宜選択され、特
に限定されない。通常、防錆処理剤を塗布後、乾燥した
際に防錆層に割れを生じることなく、かつ十分な防錆能
を発揮するために、0.1〜20μm、特に0.3〜1
0μmの厚さが好ましい。
【0059】本発明の防錆処理剤による処理によって形
成される防錆層の上に、上塗り塗料を塗布することも可
能である。塗料としては例えば、アクリル樹脂、アクリ
ル変性アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、
メラミン樹脂、フタル酸樹脂、アミノ樹脂、ポリエステ
ル樹脂、塩化ビエル樹脂等からなる塗料などが挙げられ
る。また、この上塗り塗料は、チタンホワイト、カーボ
ンプラック等の着色顔料、タルク等の体質顔料、アルミ
ニウム粉、銅粉等の金属顔料、鉛丹、硫酸鉛等の防錆顔
料などを含有していてもよい。さらに、分散剤、乾燥
剤、可塑剤、消泡剤、増粘剤、安定剤、皮張り防止剤、
かび防止剤、防腐剤、凍結防止剤等を含有していてもよ
い。
【0060】本発明の防錆処理方法によって製造される
表面処理金属製品において、上塗り塗料の塗膜の厚さ
は、防錆金属製品の用途、使用する上塗り塗料の種類等
によって適宜決定され、特に制限されない。通常、5〜
300μm程度、特に好ましくは10〜200μm程度
である。上塗り塗料の塗膜の形成は、防錆層の上に上塗
り塗料を塗布し、加熱して乾燥、硬化させて行うことが
できる。乾燥時間および温度は、塗布される上塗り塗料
の種類、塗膜の厚さ等に応じて適宜調整される。
【0061】また、本発明において、さらなる耐食性や
密着性を得るために下地にリン酸塩処理やクロメート処
理を施してもかまわない。この場合のクロメート処理と
しては、電解型クロメート、反応型クロメートおよび塗
布型クロメートのいずれの処理をあげることができる。
リン酸塩の付着量としては、リン酸塩として0.5〜
3.5g/m2 の範囲が好ましく、クロメートの付着量
としては、金属クロムとして10〜150mg/m2
範囲が好ましい。
【0062】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例によって
より具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によ
り限定されるものではない。 (1)防錆処理剤の作製 下記に示す1)〜4)のアイオノマー樹脂の水性分散体
からなる防錆処理剤を作製して評価に用いた。 1)内容量1.5リットルの加圧オートクレープに、M
gで中和されたエチレン−メタクリル酸共重合体(MF
R(190℃):0.6g/10min,メタクリル酸
含量:15重量%,中和度:54%)240g、水76
0g、および水酸化カリウム18.8g(未中和のエチ
レンーメタクリル酸共重合体のカルボキシル基に対して
0.8化学当量)を入れ、170℃に昇温した後、2時
間攪拌して水性分散体からなる防錆処理剤を得た。得ら
れた防錆処理剤は、固形分濃度25.0、粘度125m
Pa・s、pH11.5、100メッシュon0.02
%、および収率97.2%であった。
【0063】2)内容量1.5リットルの加圧オートク
レープに、Znで中和されたエチレンーメタクリル酸共
重合体(MFR(190℃):0.7g/10min,
メタクリル酸含量:15重量%,中和度:58%)25
0g、水750g、および水酸化カリウム22g(未中
和のエチレン−メタクリル酸共重合体のカルボキシル基
に対して0.9化学当量)を入れ、170℃に昇温した
後、2時間攪拌して水性分散体からなる防錆処理剤を得
た。得られた防錆処理剤は、固形分濃度26.2、粘度
123mPa・s、pH12.1、100メッシュon
0.001%、収率98.2%であった。
【0064】3)内容量1.5リットルの加圧オートク
レープに、Znで中和されたエチレン−メタクリル酸共
重合体(MFR(190℃):14g/10nim,メ
タクリル酸含量:15重量%,中和度:22%)230
g、水770g、および水酸化カリウム15.7g(未
中和のエチレン−メタクリル酸共重合体のカルボキシル
基に対して0.7化学当量)を入れ、150℃に昇温し
た後、2時間攪拌して水性分散体からなる防錆処理剤を
得た。得られた防錆処理剤は、固形分濃度23.6、粘
度370mPa・s、pH11.0、100メッシュo
n0.001%、収率96.0%であった。
【0065】4)内容量1.5リットルの加圧オートク
レープに、エチレン−アクリル酸共重合体(MFR(1
90℃):300g/10min,アクリル酸含量:2
0重量%)250g、水750g、およびアンモニア3
5.4g(未中和のエチレン−アクリル酸共重合体のカ
ルボキシル基に対して0.75化学当量)を入れ、15
0℃に昇温した後、2時間攪拌して水性分散体からなる
防錆処理剤を得た。得られた防錆処理剤は、固形分濃度
24.3、粘度190mPa・s、pH9.3、100
メッシュon0.001%、収率95.3%であった。
【0066】ここで、防錆処理剤を製造した後、100
メッシュの濾布で濾過し、未乳化物の量を測定し、残り
を乳化物として収率を求めて乳化性の指標とした。 (2)防錆処理剤の調整 (1)で作製されたアイオノマー樹脂の水性分散体から
なる防錆処理剤、テトラエチレングリコールジグリシジ
ルエーテル、およびコロイダルシリカ(日産化学製、商
品名:スノーテックスN)を表1に示す割合で混合し
て、防錆処理剤の調整を行った。
【0067】
【表1】
【0068】また、(1)で作製されたアイオノマー樹
脂の水性分散体からなる防錆処理剤、テトラエチレング
リコールジグリシジルエーテル、およびコロイダルシリ
カ(日産化学製、商品名:スノーテックスN)シランカ
ップリング剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン製)
を表2〜7に示す割合で混合して、防錆処理剤の調整を
行った。また、(1)で作製されたアイオノマー樹脂の
水性分散体からなる防錆処理剤、テトラエチレングリコ
ールジグリシジルエーテル、およびコロイダルシリカ
(日産化学製、商品名:スノーテックスN)、チオ硫酸
アンモニウム、亜硫酸アンモニウムおよび亜硫酸水素ア
ンモニウム(関東化学(株)製)を表8〜10に示す割
合で混合して、防錆処理剤の調整を行った。
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】
【0071】
【表4】
【0072】
【表5】
【0073】
【表6】
【0074】
【表7】
【0075】
【表8】
【0076】
【表9】
【0077】
【表10】
【0078】(3)金属板の種類 EG:電気亜鉛めっき鋼板(めっき付着量:20g/m
2 ) GI:溶融亜鉛めっき鋼板(めっき付着量:60g/m
2 ) GA:鉄亜鉛合金めっき鋼板(めっき付着量:45g/
2 ) ZN:電気亜鉛ニッケルめっき鋼板(めっき付着量:2
0g/m2 、ニッケル含有率:12重量%) AL:アルミシリコン合金めっき(めっき付着量:60
g/m2
【0079】(4)防錆処理剤の塗布方法 エアナイフコーターを使用して、(3)に示す金属板に
防錆剤を表1〜7に記載の実施例については乾燥膜厚
1.5μm、表8〜10に記載の実施例については乾燥
膜厚1.0μmになるように塗布し、炉温250℃、到
達板温150℃で焼き付け、乾燥させて防錆金属板試料
とした。
【0080】(5)性能評価項目 1)耐水密着性 (4)で作製した防錆金属板試料に、さらに、バーコー
タを用いて、メラミンアルキッド樹脂塗料(関西ぺイン
ト(株)製、アミラック#1000)を、乾燥膜厚30
μmになるように塗布し、炉温130℃で20分間焼き
付けた。次に、1晩放置した後、沸騰水に30分浸漬し
た。その後、JIS K 5400に記載されている碁盤
目試験法に準じて碁盤目を付けて、7mmのエリクセン
加工を施した。その加工部に粘着テープ(ニチバン
(株):商品名セロテープ)を貼り付け、速やかに斜め
45゜の方向に引っ張って剥離させて碁盤目100の内
で剥離された碁盤目の数を数えた。以下の評価で、◎お
よび○を良好と判定した。 ◎ : 剥離なし ○ : 剥離面積率 5%未満 △ : 剥離面積率 5%以上、50%未満 × : 剥離面積率 50%以上
【0081】2)耐食性 (4)で作製した防錆金属板試料を、JIS Z 2371に記載
されている塩水噴霧試験方法に準じて、雰囲気温度35
℃で、5%のNaCl水溶液を塗装鋼板試料に吹き付
け、240時間後の白錆発生率を測定した。以下の評価
で、◎および○を良好と判定した。 ◎ : 白錆発生なし ○ : 白錆発生率 5%未満 △ : 白錆発生率 5%以上、20%未満 × : 白錆発生率 20%以上
【0082】3)加工部耐食性 (4)で作製した防錆金属板試料に6mmのエリクセン
加工を施し、JISZ 2371に記載されている塩水
噴霧試験方法に準じて、雰囲気温度35℃で、5%のN
aCl水溶液を塗装鋼板試料に吹き付け、48時間後の
加工部における白錆発生率を測定した。以下の評価で、
◎および○を良好と判定した。 ◎ : 白錆発生なし ○ : 白錆発生率 10%未満 △ : 白錆発生率 10%以上、20%未満 × : 白錆発生率 20%以上
【0083】4)耐溶剤性 (4)で作製した防錆金属板試料表面を、ラビング試験
機を用いてエタノールまたはメチルエチルケトンをしみ
込ませたガーゼで10往復ラビングを行いラビング部の
表面外観を評価した。なお、ガーゼラビングの荷重は
0.5kgf/cm2 で行った。以下の評価で、◎およ
び○を良好と判定した。 ◎ : ラビングの跡なし ○ : ラビングの跡が残っているが下地金属の露出な
し △ : 下地金属の一部が露出 × : 皮膜が溶解し下地金属の半分以上が露出 以上の評価結果を表1〜10に示す。表より明らかなよ
うに、本発明による金属表面用防錆処理剤で処理された
表面処理金属製品は、いずれの場合においても耐食性と
耐水密着性に優れることが分かった。
【0084】
【発明の効果】本発明の金属表面用防錆処理剤は、優れ
た耐食性を有し、良好な耐水密着性を有する防錆層を形
成することができる。そのため、本発明の防錆処理剤
は、家電、建材および自動車分野等で広く用いられてい
る亜鉛めっき鋼板、亜鉛系合金めっき鋼板等の防錆処理
剤として好適である。また、本発明に係る金属表面用防
錆処理剤で金属表面を処理することにより、優れた耐食
性と耐水密着性を有する表面処理金属製品を市場に提供
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 健吾 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内 (72)発明者 森 陽一郎 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 原田 佳幸 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 金井 洋 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 時田 卓 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井化学株式会社内 (72)発明者 大坪 重信 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井化学株式会社内 Fターム(参考) 4D075 CA13 CA33 CA38 DB01 EA06 EA10 EC03 EC45 4J038 CB161 CB162 DB022 DB062 DB092 HA156 HA446 JC31 JC32 JC34 JC35 JC36 KA02 MA08 MA10 MA12 NA03 NA04 NA12 PB05 PB07 PB09 PC02 4K062 AA01 BA08 BA17 BB03 BC09 BC12 BC19 CA04 FA12 GA10

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1価金属と2価金属で中和されたアイオ
    ノマー樹脂(A)、アンモニアあるいはアミンで中和さ
    れたアイオノマー樹脂(B)、および水から成る水性分
    散体を含むことを特徴とする金属表面用防錆処理剤。
  2. 【請求項2】 1価金属と2価金属で中和されたアイオ
    ノマー樹脂(A)、アンモニアあるいはアミンで中和さ
    れたアイオノマー樹脂(B)、および水から成る水性分
    散体において、(A)と(B)に含まれるアイオノマー
    樹脂の総カルボキシル基量に対して、1価金属の含有率
    が0.6以下(化学当量)で、かつ2価金属の含有率が
    0.05〜0.8(化学当量)であることを特徴とする
    請求項1に記載の金属表面用防錆処理剤。
  3. 【請求項3】 1価の金属がNaおよびKから選ばれる
    少なくとも1種であり、また2価の金属がMgおよびZ
    nから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする
    請求項1又は2のいずれかに記載の金属表面用防錆処理
    剤。
  4. 【請求項4】 Siを含まないエポキシ基含有化合物
    (C)、Siを含まないエポキシ基含有化合物(C)と
    1価金属と2価金属で中和されたアイオノマー樹脂
    (A)との反応物(D)、およびSiを含まないエポキ
    シ基含有化合物(C)とアンモニアあるいはアミンで中
    和されたアイオノマー樹脂(B)との反応物(E)から
    選ばれる少なくとも1種を、[(A)+(B)]/
    [(C)+(D)+(E)]=99/1〜50/50
    (重量換算)となる割合で含むことを特徴とする請求項
    1〜3のいずれかに記載の金属表面用防錆処理剤。
  5. 【請求項5】 1価金属と2価金属で中和されたアイオ
    ノマー樹脂(A)、アンモニアあるいはアミンで中和さ
    れたアイオノマー樹脂(B)、および水から成る水性分
    散体が、シリカ(F)、シランカップリング剤(G)
    を、さらに含有することを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれかに記載の金属表面用防錆処理剤。
  6. 【請求項6】 分子構造がR−CH2 CH2 CH2 −S
    i(CH3 )n(OCH3 )mであるシランカップリン
    グ剤(G)が1種以上含有されることを特徴とする請求
    項5に記載の金属表面用防錆処理剤。
  7. 【請求項7】 前記分子構造がR−CH2 CH2 CH2
    −Si(CH3 )n(OCH3 )mであるシランカップ
    リング剤(G)のRが、以下に示した〜構造のいず
    れか一つであり、n=0,m=3または、n=1,m=
    2であることを特徴とする請求項6に記載の金属表面防
    錆処理剤。 【化1】NH2 CH2 CH2 NH− CH2 =C(CH3 )−COO− 1837+ (CH3 2 ・Cl- − HS−
  8. 【請求項8】 1価金属と2価金属で中和されたアイオ
    ノマー樹脂(A)、アンモニアあるいはアミンで中和さ
    れたアイオノマー樹脂(B),Siを含まないエポキシ
    基含有化合物(C)、Siを含まないエポキシ基含有化
    合物(C)と1価金属と2価金属で中和されたアイオノ
    マー樹脂(A)との反応物(D)、およびSiを含まな
    いエポキシ基含有化合物(C)とアンモニアあるいはア
    ミンで中和されたアイオノマー樹脂(B)との反応物
    (E)の総重量[(A)+(B)+(C)+(D)+
    (E)]に対して、シリカ(F)が(F)/[(A)+
    (B)+(C)+(D)+(E)]=0.02〜0.4
    5(重量換算)の割合で、かつシランカップリング剤
    (G)が(G)/[(A)+(B)+(C)+(D)+
    (E)]=0.0005〜0.1(重量換算)の割合で
    含むことを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の
    金属表面防錆処理剤。
  9. 【請求項9】 1価金属と2価金属で中和されたアイオ
    ノマー樹脂(A)、アンモニアあるいはアミンで中和さ
    れたアイオノマー樹脂(B)および水から成る水性分散
    体が、チオ硫酸イオン、亜硫酸イオン、亜硫酸水素イオ
    ンから選ばれる少なくとも1種類以上を、さらに含有す
    ることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の金
    属表面用防錆処理剤。
  10. 【請求項10】 1価金属と2価金属で中和されたアイ
    オノマー樹脂(A)、アンモニアあるいはアミンで中和
    されたアイオノマー樹脂(B)、Siを含まないエポキ
    シ基含有化合物(C)、Siを含まないエポキシ基含有
    化合物(C)と1価金属と2価金属で中和されたアイオ
    ノマー樹脂(A)との反応物(D)、およびSiを含ま
    ないエポキシ基含有化合物(C)とアンモニアあるいは
    アミンで中和されたアイオノマー樹脂(B)との反応物
    (E)の総重量[(A)+(B)+(C)+(D)+
    (E)]に対する割合で、チオ硫酸イオン、亜硫酸イオ
    ン、亜硫酸水素イオンから選ばれる少なくとも1種以上
    を合計で0.1〜10重量%含有することを特徴とする
    請求項9に記載の金属表面防錆剤。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれかに記載の
    金属表面用防錆処理剤を塗布、乾燥して得られることを
    特徴とする表面処理金属製品。
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