JP2003073856A - 防錆剤含有水分散性金属表面処理剤、表面処理金属材とその製造方法 - Google Patents

防錆剤含有水分散性金属表面処理剤、表面処理金属材とその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 諸特性に優れる表面処理金属材と、そのため
の貯蔵安定性に優れた水分散性金属表面処理剤とその製
造方法を提供する。 【解決手段】 総固形分濃度が10〜80質量%でかつ
固形分中40〜90質量%がアイオノマー樹脂、1〜1
0質量%が水溶性多官能エポキシ基含有化合物、7〜4
0質量%がアミノ基またはアンモニウムイオン吸着シリ
カ、0.1〜10質量%がチオカルボニル化合物または
バナジン酸アンモニウムから選ばれる少なくとも1種の
防錆剤で構成され、前記アイオノマー樹脂がガラス転移
点50〜70℃のエチレン−不飽和カルボン酸重合体で
かつ含まれるカルボキシル基の40〜60%が1価の金
属陽イオンで中和されたもので、さらに、前記水溶性多
官能エポキシ基含有化合物中に含まれる塩素含有量が1
質量%未満である水分散性金属表面処理剤とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐食性、塗料密着
性、耐アルカリ性等の基本性能のみならず、耐溶剤性、
耐傷付き性に優れる表面処理金属材と、その表面処理金
属材を得ることができる貯蔵安定性に優れた防錆剤含有
の水分散性金属表面処理剤と製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近の家電用表面処理金属材、特に亜鉛
系めっき鋼板などに対し、耐指紋性、耐食性、耐傷つき
性等、所謂、表面外観品位に対する要求レベルが年々高
まってきており、それに伴い表面の実用機能を高めるこ
とが可能な表面処理剤の開発が急ピッチで進められてい
る。そのため、例えば、近年、金属の後処理や塗装下地
処理技術において、リン酸塩処理にかわり、クロメート
処理が主流となっているが、最近では環境問題の観点か
らこのクロメートの難溶化と、更には触っても指紋が付
かない、目立たない、そこから発錆しない、取り扱い疵
が付きにくい、溶剤で拭いても表面機能が低下しない、
後塗装性が良い等、金属表面の多機能かつ高性能化の傾
向は年々高まるばかりである。特に、金属後処理用の表
面処理剤については、近年技術の改善が目覚しく、ノン
エキストラ(価格の高騰化がない)での高機能性を付与
した表面処理剤やそれらを施した高機能金属材が市場提
供されるようになった。
【0003】耐傷付き性を改善する方策の開示例として
は、特開平7−171498号公報および特開平10−
130861号公報がある。前者は、粒径と融点を特定
した球形のポリエチレンワックスの粒子とシリカ粒子と
を、活性水素を分子内に持つウレタン樹脂に常温架橋型
のエポキシ樹脂を配合した樹脂中に添加してなる塗料組
成物を使用して金属材の上層に薄膜を形成させることを
特徴とした打ち抜き加工性にすぐれる樹脂塗装金属材に
関する。また後者は、ケイ酸アルカリ金属塩、ケイ酸コ
ロイド、固形潤滑剤および有機樹脂(シランカップリン
グ剤)をそれぞれ特定量配合してなることを特徴とする
表面処理金属材に関する。両者は、いずれも家電オーデ
ィオ製品向け深絞り用金属材として市場提供しようとす
るための技術である。
【0004】また、リン酸塩やクロム酸塩を使用しない
ため無公害で、かつ、金属表面に優れた耐食性や塗料密
着性を付与した例としては特開平10−176119号
公報がある。この技術は、平均分子量を特定した水性の
ポリエステル樹脂とエチレン−エチレン性不飽和カルボ
ン酸共重合体アルカリ金属中和物(アイオノマー)の水
分散性樹脂にエチレン性不飽和単量体を重合して得られ
る金属表面処理剤に関し、樹脂の配合比を特定すること
で金属の耐食性および塗料密着性を向上させようとする
ものである。
【0005】さらに、クロメート処理を施した亜鉛また
は亜鉛系めっき鋼板の経時黒変防止対策も重要である。
例えば、特開平6−246229号公報、特開平8−3
9725号公報、特開平9−187883号公報および
特開平9−187884号公報では、いずれも下地クロ
メート処理の上に有機系の複合クリアー樹脂を薄膜塗布
することにより、亜鉛めっき層の腐蝕を防ぎ、黒く変色
することを防止する技術を開示している。
【0006】しかし何れの上記従来技術を使用しても、
耐食性、塗料密着性および耐アルカリ性を損なうことな
く、耐溶剤性、耐傷付き性および耐型カジリ性を同時に
満足させた表面処理金属材を得ることは困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術による有
機被膜は、(1)処理剤自身が長期安定性に欠ける(ゲ
ル化、かびが生える等)、(2)速乾性に劣る、(3)
薄膜だと疵付いて破壊されやすい、(4)耐溶剤性は概
して低い、(5)無塗油の深絞り加工において、素材の
加工に塗膜が追従できず板破断を起こす、(6)耐アル
カリ性が劣る、等の難点がある。これらの難点は、従来
技術が採用している、樹脂を水に分散させるために用い
る乳化剤に原因があり、この乳化剤でディスパージョン
化した水分散性樹脂と熱硬化性の架橋剤とを用いる限り
少なからず起こり得るものと考えられる。
【0008】したがって本発明の目的は、耐アルカリ
性、塗料密着性および耐食性を損なうことなく、耐溶剤
性、耐傷付き性、型カジリ性、深絞り加工性、ポストコ
ート性等を同時に高位に満足させさせた表面処理金属
材、およびその表面処理金属材を得ることができる貯蔵
安定性に優れた水分散性金属表面処理剤と製造方法を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意研究と開発を繰り返した結果、バ
インダー用主樹脂としてエチレン−不飽和カルボン酸共
重合体のカルボキシル基を1価の金属陽イオンで中和し
たアイオノマー樹脂を用い、シリカおよび防錆剤、さら
に塩素含有量を特定範囲に制御した水溶性の多官能エポ
キシ基含有化合物(以下、単に「水溶性エポキシ化合
物」と称する)を配合することで、耐食性、塗料密着
性、耐アルカリ性等の基本性能に加えて耐溶剤性、耐傷
付き性に優れる表面処理金属材と、その表面処理金属材
を得ることができる貯蔵安定性に優れた水分散性金属表
面処理剤が得られることが分かり、本発明を完成するに
至ったものである。
【0010】本発明の要旨とするところは、(1)総固
形分濃度が10〜80質量%でかつ固形分中40〜90
質量%がアイオノマー樹脂、1〜10質量%が水溶性多
官能エポキシ基含有化合物、7〜40質量%がアミノ基
およびアンモニウムイオンの一方または両方を吸着させ
たシリカ(アミノ基またはアンモニウムイオン吸着型シ
リカ)、0.1〜10質量%がチオカルボニル化合物ま
たはバナジン酸アンモニウムから選ばれる少なくとも1
種の防錆剤で構成された水分散性金属表面処理剤であっ
て、前記アイオノマー樹脂がガラス転移点50〜70℃
のエチレン−不飽和カルボン酸重合体でかつ含まれるカ
ルボキシル基の40〜60%が1価の金属陽イオンで中
和されたもので、さらに、前記水溶性多官能エポキシ基
含有化合物中に含まれる塩素含有量が1質量%未満であ
ることを特徴とする水分散性金属表面処理剤、(2)水
分散性金属表面処理剤のさらに固形分中0.5〜20質
量%が水分散性ポリオレフィン樹脂で構成されたもので
あることを特徴とする前記(1)に記載の水分散性金属
表面処理剤、(3)金属材表層に、固形分中40〜90
質量%がアイオノマー樹脂、1〜10質量%が水溶性多
官能エポキシ基含有化合物、7〜40質量%がアミノ基
およびアンモニウムイオンの一方または両方を吸着させ
たシリカ、0.1〜10質量%がチオカルボニル化合物
またはバナジン酸アンモニウムから選ばれる少なくとも
1種の防錆剤で構成された有機無機複合皮膜を乾燥質量
として0.3〜5.0g/m2有し、前記アイオノマー
樹脂がガラス転移点50〜70℃のエチレン−不飽和カ
ルボン酸重合体で、かつ含まれるカルボキシル基の40
〜60%が1価の金属陽イオンで中和されたもので、さ
らに、前記有機無機複合皮膜中の塩素含有量が0.1質
量%未満であることを特徴とする表面処理金属材、
(4)有機無機複合皮膜のさらに固形分中0.5〜20
質量%が、水分散性ポリオレフィン樹脂で構成されたも
のであることを特徴とする前記(3)記載の表面処理金
属材、(5)金属材表面上層に、前記(1)または
(2)に記載の水分散性金属表面処理剤を塗布、焼付処
理を行い有機無機複合皮膜を乾燥質量として0.3〜
5.0g/m2形成することを特徴とする表面処理金属
材の製造方法、である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に述べ
る。本発明の金属表面処理剤に使用する主樹脂開発の基
本思想は、耐食性、塗料密着性および耐アルカリ性等の
基本性能に加えて、(1)アルカリ脱脂時、あるいはエ
タノールやメチルエチルケトン(MEK)といった極性
基の強い溶剤に対して容易に溶解剥離若しくは膨潤しな
いこと、加えて(2)摺り疵が付きにくく、プレス加工
等での厳しい加工でも容易に型カジリせず、しかも、基
板金属の加工伸びに対して十分追従できること、(3)
しかもバインダー樹脂としてゲル化、沈殿のない貯蔵安
定性に優れた水分散性樹脂であることにある。
【0012】更に、金属表面処理剤から形成される樹脂
皮膜には、安価で塗料選択性のあるメラミンアルキッド
等の低級なポストコート塗装に対しても十分な塗料密着
性を発揮できるような機能付与が必須であるが、これに
ついては、後述の水溶性エポキシ化合物を必須配合とし
た。また、耐食性付与にあたり、アミノ基またはアンモ
ニウムイオン吸着型シリカを必須とし、更に高位の耐食
性付与のためにチオカルボニル化合物、バナジン酸アン
モニウム等の防錆剤を配合した。
【0013】本発明で使用する1価の金属陽イオンで中
和したアイオノマー樹脂は、エチレンと不飽和カルボン
酸を150〜270℃、98〜245MPa(1000
〜2500Kg/cm2)の高温高圧下で共重合反応さ
せ、得られたエチレン−不飽和カルボン酸共重合体のカ
ルボン酸を150〜300℃の高温下で金属水酸化物等
と反応させ、側鎖に有するカルボキシル基の40〜60
%を1価の金属陽イオンで中和させることによって得ら
れる水分散性アイオノマー樹脂である。このアイオノマ
ー樹脂の主骨格を構成するエチレン−不飽和カルボン酸
共重合体は、グラフト共重合体でもよいが、透明性の点
でランダム共重合体が好ましい。
【0014】エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の一
成分である不飽和カルボン酸としては、炭素数3〜8の
不飽和カルボン酸が挙げられる。具体例としては、アク
リル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタ
コン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、シトラコン酸、
アリルコハク酸、メサコン酸、グルタコン酸、ナジック
酸、メチルナジック酸、テトラヒドロフタール酸、メチ
ルヘキサヒドロフタル酸が挙げられる。これらの中で
も、メタクリル酸が好ましい。
【0015】上記アイオノマー樹脂の主骨格を構成する
エチレン−不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンと不
飽和カルボン酸に加えて第3成分を含んでいてもよい。
このような第3成分との例しては、(メタ)アクリル酸
メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル
酸イソブチル等の不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニ
ル等のビニルエステルが挙げられる。なお、ここで用い
る「(メタ)アクリル」という表現は、「アクリルまた
はメタクリル」を意味する。
【0016】上記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体
におけるエチレンの含有量は、8〜95質量%であり、
好ましくは8〜25質量%である。また、エチレン−不
飽和カルボン酸共重合体が上記第3成分を含む場合、そ
の量は40質量%以下に限定することが好ましい。
【0017】上記アイオノマー樹脂の中和に用いる金属
陽イオンとしては、良好な乳化性を有するアイオノマー
樹脂が得られる点でLi+、Na+、K+等、1価の金属
陽イオンが推奨されるが、中でもNa(ナトリウム)イ
オンが好ましい。金属陽イオンで中和されたカルボキシ
ル基の割合、すなわち中和度は、塗膜の密着性に優れる
とともに、良好な水分散体が得られる点で40〜60%
とする。40%未満では良好な水分散体が得られにく
く、60%を越えると塗膜の密着性が劣るため好ましく
ない。
【0018】この40〜60%に中和調整されたエチレ
ン−不飽和カルボン酸共重合体のガラス転移点(以下、
Tgという)は、50〜70℃である必要があり、好ま
しくは50〜60℃である。Tgが50℃未満では、樹
脂皮膜としての耐疵付き性が低下し、プレス加工などで
皮膜が破れて型カジリを起こし易く、また、Tgが70
℃を超えると皮膜の柔軟性が不足し、加工による皮膜の
ひび割れなどが発生するため好ましくない。本発明にお
いては、TgはJIS K 7121に従って測定され
る。
【0019】上記水分散性アイオノマー樹脂の(固形分
換算)配合量は、全固形分に対する百分率で40〜90
質量%、好ましくは50〜80質量%である。この割合
が40質量%未満では、金属被塗物に対して均一な皮膜
の形成が難しくなることから、耐食性が著しく低下す
る。一方、90質量%を超えると、処理液の増粘が影響
して膜厚の均一制御が難しくなるため、プレス加工性に
劣るなどの問題が生じる他、塗装仕上がり外観の低下や
塗装設備の洗浄に時間がかかる等、塗装作業上の問題が
生じるため好ましくない。
【0020】一方、本発明で用いる水溶性エポキシ化合
物は、耐アルカリ性およびポストコート時の塗膜の二次
密着性を安定して高位に得るために使用するものであ
る。水溶性エポキシ化合物の全固形分に対する百分率は
1〜10質量%であるが、好ましくは3〜7質量%であ
る。この配合割合が1質量%未満では、皮膜の素地密着
性やメラミンアルキッド系塗料など低級のポストコート
の沸水二次密着性が不十分となる。一方、10質量%を
超えると塗膜が過剰に硬質化し、加工によりひび割れが
入り易くなったり塗膜剥離しやすくなる。
【0021】上記水溶性エポキシ化合物は、含まれるグ
リシジル基が、塗装後の加熱によりアイオノマー樹脂の
カルボキシル基と反応し、素地金属や家電用途のワンコ
ート・ワンベーク(1C1B)塗装のポストコート等に
対する密着性を向上させる利点がある。官能基数として
は、3〜4官能のものが好ましく、その例としてはペン
タエリスリトールグリシジルエーテルやグリセロールポ
リグリシジルエーテル等であって塩素量を1質量%未満
に調整したものが挙げられる。しかし、単官能のエポキ
シ化合物では、アイオノマー樹脂とともに配合された金
属表面処理剤から形成した塗装皮膜において、メラミン
アルキッド樹脂塗料のような低級なポストコートとの二
次密着性の機能を改善することは困難である。また、官
能基が5を超えると、架橋密度が高まりすぎて皮膜の硬
質化が進み、加工性が著しく低下するため耐食性の劣化
を招くことがある。
【0022】水溶性エポキシ化合物の粘度については、
塗装作業性の面から25℃で400mPa・s以下、さ
らには350mPa・s以下のものが好適である。また
エポキシ当量は6.0〜7.5eq/kg、さらには
6.2〜7.1eq/kgの範囲のものが反応性の面か
ら好適である。
【0023】ここで、従来使用されていた多官能エポキ
シ化合物は、原料であるエピクロルヒドリン由来の塩素
が多く残留している。そのため、この塩素を多量に含む
金属表面処理剤は貯蔵安定性が悪く、時間の経過ととも
に沈殿物を生じるほか、この処理液で形成された皮膜は
耐食性等の性能が劣る等の問題点があった。
【0024】そこで本発明では、製造時に塩素量を1質
量%未満に調整した水溶性多官能エポキシ化合物を使用
する。しかも、水溶性多官能エポキシ樹脂中に含まれる
塩素の量を1質量%以下、さらに処理皮膜中に含まれる
塩素の量を0.1質量%以下に調節することで、処理剤
の長期安定性のみならずこの処理剤を処理することによ
って得られる表面処理金属板の耐食性を改善することが
可能になる。
【0025】また、本発明で使用するアミノ基またはア
ンモニウムイオン吸着型シリカとしては、粒径10〜2
0nmの微粒子状シリカの表面にアミノ基および/また
はアンモニウムイオンを吸着させてpH9.0〜10.
5に調整し、水中に分散させたコロイダルシリカが最適
である。pHの調整においては、有機アミノ化合物また
はアンモニア水のいずれを用いてもよいが、作業性、作
業環境の面から有機アミノ化合物の使用が好ましい。こ
のような有機アミノ化合物としては、アミノアルコール
やジエタノールアミンなどを挙げることができる。
【0026】該シリカの(固形分換算)配合量は、全固
形分に対する百分率で7〜40質量%、好ましくは15
〜35質量%である。シリカが7質量%未満では皮膜の
耐疵付き性や耐食性の低下が生じ、40質量%を超える
と塗膜が固くなり過ぎて柔軟性が低下し、プレス曲げ加
工などにおいて曲げ部の塗膜にヘアークラック等が発生
しやすくなるため耐食性も低下する。
【0027】本発明で使用する防錆剤は、外的腐食因子
の抑制防止を目的として、(1)腐食因子の浸透防止、
(2)防錆皮膜の優れた密着性、(3)防錆イオンによ
る素地金属表面の不動態化、(4)防錆皮膜への耐水性
付与、などの諸特性を満足し得る必要がある。そのよう
な防錆剤がチオカルボニル化合物、およびバナジン酸ア
ンモニウムの少なくとも1種からなるものであり、この
配合量は0.1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%
である。これが0.1質量%未満では、金属素材の耐食
性が十分でなく、10質量%を超えると増粘して塗料化
が困難になるか、塗装しても、高生産性のライン下では
連続して均一な塗装外観を得ることが困難である。な
お、防錆剤としてチオカルボニル化合物を用いる際に
は、その配合量の0.1〜10倍量を目安としてリン酸
イオンを併用してもよい。リン酸イオンは、水溶液中で
リン酸イオンを生じる任意のリン酸化合物から生じさせ
ることができる。そのようなリン酸化合物としては、例
えば、リン酸、リン酸アンモニウム、リン酸カリウム、
リン酸ナトリウムなどを使用することができる。
【0028】上記チオカルボニル化合物とは、下記に示
すチオカルボニル基(I)
【0029】
【化1】
【0030】を有する化合物を指し、その中でも下記に
示す窒素原子や酸素原子を同時に有するチオカルボニル
基(II)が好ましい。
【0031】
【化2】
【0032】また、水溶液中や酸またはアルカリの存在
下の条件においてチオカルボニル化合物を形成すること
のできる化合物も使用することができる。上記チオカル
ボニル化合物の例としては、次の式(III)
【0033】
【化3】
【0034】で表されるチオ尿素およびその誘導体、例
えばメチルチオ尿素、ジメチルチオ尿素、エチルチオ尿
素、ジエチルチオ尿素、ジフェニルチオ尿素、チオペン
タール、チオカルバジド、チオカルバゾン類、チオシア
ヌル酸類、チオヒダントイン、2−チオウラミル、3−
チオウラゾール、次の式(IV)
【0035】
【化4】
【0036】で表されるチオアミド化合物、例えばチオ
ホルムアミド、チオアセトアミド、チオプロピオンアミ
ド、チオベンズアミド、チオカルボスチリル、チオサッ
カリン、次の式(V)
【0037】
【化5】
【0038】で表されるチオアルデヒド化合物、例えば
チオホルムアルデヒド、チオアセトアルデヒド、次の式
(VI)
【0039】
【化6】 で表されるカルボチオ酸類、例えばチオ酢酸、チオ安息
香酸、ジチオ酢酸、次の式(VII)
【0040】
【化7】
【0041】で表されるチオ炭酸類、その他式(I)の
構造を有する化合物、例えばチオクマゾン、チオクモチ
アゾン、チオニンブルーJ、チオピロン、チオピリン、
チオベンゾフェノンが挙げられる。なお、上記チオカル
ボニル化合物のうち水に溶解しないものは、アルカリ溶
液で一旦溶解させた後、処理剤中に配合する。
【0042】なお、本発明の水分散性金属表面処理剤に
は、他の機能、たとえば潤滑性の付与を目的として水分
散性のオレフィン樹脂系ワックスを、総固形分濃度に占
める割合で0.5〜20質量%添加することもできる。
【0043】また、本発明に係わる処理剤は、更に他の
成分が配合されても良い。例えば、顔料、界面活性剤等
を挙げることができる。また、樹脂成分、シリカ粒子、
顔料との親和性を向上させ、更に樹脂成分と亜鉛めっき
または鋼材との密着性等を向上させるためにシランカッ
プリング剤を配合しても良い。
【0044】上記顔料としては、例えば酸化チタン、酸
化亜鉛、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリ
ウム、アルミナ、カオリンクレー、カーボンブラック、
酸化鉄等の無機顔料や有機顔料等を用いることができ
る。
【0045】上記シランカップリング剤としては、例え
ば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルト
リエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエ
トキシシラン、N−[2−(ビニルベンジルアミノ)エ
チル]−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙
げることができる。
【0046】上記各成分を含有する本発明の水分散性金
属表面処理剤は、総固形分濃度10〜80質量%で使用
することができる。固形分以外の組成は水がほとんどで
あるが、その他、揮発性pH調整剤等、塗装・焼付後に
皮膜組成中に残らないもの全てを含む。上記総固形分濃
度が10質量%未満では皮膜厚を十分に確保することが
できず、80質量%を超えると塗装作業性が悪くなるた
め安定した塗膜厚を確保することが困難になる。
【0047】本発明の水分散性金属表面処理剤の調製方
法は、例えば、アイオノマー樹脂の水分散体に所定量の
アミノ基またはアンモニウムイオン吸着型シリカを加
え、水およびアルカリ成分を加えてpHを調整する。添
加するアルカリ成分としては、乾燥過程でガス化して固
形皮膜中にアルカリ分が残らないようにするため、有機
アミノ化合物またはアンモニア水等のアルカリ水溶液が
好ましい。また、本発明の処理剤はアルカリ性であれば
そのpHは問わないが、好ましくは約10前後に調整し
たのち、所定量の水溶性エポキシ化合物を添加し、液温
40℃以下で約10分間、ディスパー攪拌してよく混合
する。なお、アイオノマー樹脂と水溶性エポキシ化合物
の混合物を加熱溶融して一括乳化する手法もあるが、こ
の手法は特に無機系防錆剤を共存させる場合には好まし
くなく、沈殿物が発生することがあるので避けたほうが
よい。
【0048】本発明の処理方法は、金属材料を本発明の
水分散性金属表面処理剤で処理し、その後焼付けるもの
である。処理方法としては特に制限はないがロールコー
ター法が好ましく、その他、浸漬法、スプレー法等があ
る。塗膜の付着量は乾燥質量で0.3〜5.0g/m2
とする。0.3g/m2未満では耐食性が劣化するため
好ましくない。また、5.0g/m2を越えるものは経
済的に好ましくない。また、焼付温度は80〜180
℃、焼付時間は2秒〜30分、さらには4秒〜10分が
好ましい。
【0049】上記金属材料としては特に制限はなく、板
状またはその他の形状の未処理鋼材、電気亜鉛めっき鋼
材、溶融亜鉛めっき鋼材、ガルバリウム鋼材、アルミニ
ウム材、アルミニウム合金材、その他銅材等の金属材料
に適用可能である。さらに、本発明の対象の金属材料に
は、プラスチック材料に各種金属をラミネートした金属
−プラスチック複合材料も含まれる。このようにして製
造された本発明の表面処理金属材は、クロメート処理を
施すことなく本発明の水分散性金属表面処理剤で被覆さ
れているため、無公害かつ耐溶剤性、耐傷付き性および
ポストコート性に優れたものとなる。
【0050】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。
【0051】(実施例1〜121、比較例1〜35) <水分散性金属表面処理剤の調製>エチレン−メタクリ
ル酸共重合体100g〔溶融流れ指数(MFR)が19
0℃で0.8g/10分、メタクリル酸含有量15質量
%〕、中和剤は水酸化ナトリウムを250℃で溶融して
アイオノマー樹脂溶融物を用意し、これに水300gを
加えた後、170℃に加熱した内容積1リットルの耐圧
ホモミキサーに、1000rpmで攪拌しながら約2時
間かけて仕込んだ。仕込み終了後、さらに1時間攪拌を
継続して室温まで冷却しアイオノマー樹脂の水分散体を
得た。
【0052】次に、エポキシ化合物として塩素含有量が
1.0質量%未満で水溶化率100%のペンタエリスリ
トールポリグリシジルエーテル(デナコールEX−14
10、ナガセ化成工業製)を、またシリカとして表面が
アンモニウムイオンを吸着し、かつアルカリ性に制御さ
れたコロイダルシリカを用意し、アイオノマー水分散体
樹脂、エポキシ化合物およびシリカを表1〜4および表
8に示す質量百分率で種々配合し、それらを500rp
mで60分間ディスパー中で攪拌した。なお、表1〜4
および表8中のアイオノマー樹脂およびコロイダルシリ
カの質量%は固形分に換算した値である。
【0053】そして攪拌の途中でアミノアルコールによ
ってpHを10に調整して攪拌を10分継続行った後、
防錆剤としてA:チオ尿素、B:1,3-ジエチル-2-チ
オ尿素、C:チオアセトアミド、D:2,2’-ジトリル
チオ尿素、E:チオ安息香酸、F:チオアセトアルデヒ
ド、G:バナジン酸アンモニウム、及びリン酸アンモニ
ウムを表1〜4および表8に示す質量百分率で種々配合
した。そして更に攪拌を続け、合計60分間の攪拌が終
了した後、200メッシュフィルターで濾過し、そのろ
液を(必要に応じて)純水で調整し、本実施例または比
較例の水分散性金属表面処理剤とした。
【0054】<鋼板への塗装>脱脂剤(「サーフクリー
ナー155」、日本ペイント社製)の2%水溶液を、6
0℃で60秒間スプレー後、水洗して乾燥された板厚
1.2mmの電気亜鉛めっき鋼板(目付量20g/
2)の表面に、上記水分散性金属表面処理剤の固形皮
膜が0.3〜5.0g/m2となるようバーコーターで
塗布したのち、ガス炉の中で出口側板温が在炉時間20
秒で120℃になるよう塗膜の焼付処理を行い試験片を
作製した。尚、付着量の測定は重量法で行った。
【0055】<性能評価試験> 1)耐アルカリ性 アルカリ脱脂剤(SC53、日本ペイント社製)の2%
水溶液に試験片の半分を、液温55℃×10分浸漬の
後、水洗乾燥して塗膜外観の健全性、耐脱膜性を非浸漬
部と比較観察した。 ◎ :塗膜異常なし、○:僅かに外観変色、△:部分脱
膜、×:全面脱膜
【0056】2)耐白化性(塗膜の耐沸水試験) 試験片の半分を純水の沸騰水に2時間浸漬した後試験片
を引き上げ、自然乾燥を待って浸漬部と非浸漬部の外観
差を目視で判定した。 ◎:外観の差なし、○:僅かに浸漬部に脱色あり、△:
部分白化あり、×:全面白化
【0057】3)型カジリ性 円筒エリクセンプレスを使用。直径50mm円筒、絞り
比2.4、板厚1.0mm、クリアランス0.0mm、
しわ押え圧力1.5トンで試験片の無塗油絞り抜けを行
い、円筒胴部の型カジリ状況を観察。 ◎ :かじりなし、○:僅かにかじり、△:部分的なか
じり、×:全面かじり
【0058】4)耐食性 JIS Z 2371に準拠した塩水噴霧試験をおこな
った。エリクセン6mm押し出し加工部、平面部のある
試験片(端面、裏面はテープシール)を作製し、塩水噴
霧168時間後、白錆発生状況を評価した。 ◎ :錆なし、○:面積比5%以下、△:5〜30%、
×:30%以上
【0059】5)ポストコート二次密着性 試験片にメラミンアルキッド樹脂系塗料(白色)を、乾
燥膜厚20〜25μm、125℃×20分の条件で焼き
付けた後、沸騰した純水に30分浸漬、24時間室内放
置した後、JIS K 5400に準拠した碁盤目試験
で、試験片に1mm角の碁盤目を100個密接して罫書
き、粘着テープ(「セロテープ」、ニチバン社製)にて
45度方向に強制剥離した。 ◎:剥離なし、○:僅かに剥離、△:部分剥離、×:全
面剥離
【0060】6)耐溶剤性 SUS丸棒端面にエタノールを含浸させた8枚重ねのガ
ーゼを荷重1Kg×10回(往復)、およびMEK(メ
チルエチルケトン)を含浸させて荷重1Kg×50回
(往復)擦った後の塗膜の溶解外観を特殊染料で染色
し、その染色度の差から判定。 ◎ :異常なし、○:僅かに溶解、△:部分的溶解、
×:全面溶解(素地露出)
【0061】7)処理剤の沈殿発生 全塩素量が異なるエポキシ化合物添加後、40℃×30
日経時させた際の処理剤中の沈殿発生状況を評価 ◎ :異常なし、○:僅かに白濁するも沈殿なし、△:
白濁増すも沈殿なし、×:沈殿大
【0062】処理剤の配合組成および評価結果を表1〜
4および表8に示す。これらの結果から、処理剤中のシ
リカ量が本発明の範囲を外れると、下限側では耐食性、
上限側では絞り加工などのプレス加工性にダメージがあ
り、避けた方がよいことが分かる。また、アイオノマー
樹脂の配合量が本発明の範囲を外れると、下限側では耐
食性、プレス型カジリ性、メラミンアルキッドによるポ
ストコートの二次密着性でダメージが大きく、上限側で
は絞り加工等のようなプレス加工に若干劣るため、好ま
しくないことが分る。
【0063】また、経時に対し、処理液中に発生する沈
殿物は、水溶性エポキシ化合物中の塩素含有量が1質量
%を越えると白濁もしくは沈殿することが分かる。ま
た、塩素含有量を制御した水溶性エポキシ化合物につい
ては、その量が本発明の範囲を外れると、下限側ではポ
ストコートの二次密着性が劣化し、上限側では耐アルカ
リ性、耐白化性、耐かじり性など、塗膜性能の全体的な
レベルダウンを招くことが分かる。
【0064】さらに、アイオノマー樹脂のTgが本発明
の範囲を外れると、下限側では皮膜が軟らかくなり耐型
カジリ性が劣り、上限側では皮膜の柔軟性が不足し耐型
かじり性に劣ることが分かる。アイオノマーの中和度に
ついては、本発明の範囲を外れると、下限側では処理液
の安定性が劣化し、上限側ではポストコートの二次密着
性が劣化することが分る。有機無機複合皮膜の付着量に
ついては、本発明の下限範囲を外れると、耐食性のみな
らず耐型かじり性や二次密着性が劣化することが分か
る。
【0065】また、防錆剤の量が本発明の範囲を外れる
と、下限側では耐食性の低下が大きく、逆に上限を外れ
ると型かじり性、ポストコートの二次密着性でダメージ
が大きい。
【0066】(実施例122〜206)(水性ワックス
として水分散性ポリオレフィン樹脂を添加した場合) 既述の各実施例および比較例用に製造した水分散性金属
表面処理剤に、数平均分子量が1500、粒径0.7μ
mの水分散性ポリオレフィン樹脂(固形分換算)を表5
〜7に示す質量百分率で種々配合し、500rpmで3
0分間ディスパー攪拌し、攪拌の途中でアミノアルコー
ルによってpHの微調整をおこなった後、200メッシ
ュフィルターでろ過し、そのろ液を潤滑機能を付与した
水分散性金属表面処理剤とした。これらの組成および評
価結果を表5〜7に示す。
【0067】これらの結果から、潤滑剤であるポリオレ
フィン樹脂の添加は、本発明範囲内であれば他性能への
影響は殆どなく、処理剤を構成するアイオノマー樹脂、
シリカの作用効果もポリオレフィン樹脂添加前と同様の
効果であることが分かる。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】
【0071】
【表4】
【0072】
【表5】
【0073】
【表6】
【0074】
【表7】
【0075】
【表8】
【0076】
【発明の効果】本発明の水分散性金属表面処理剤は、特
定のアイオノマー樹脂、水溶性エポキシ化合物、シリカ
および非クロム系防錆剤を組み合わせて調製してあるた
め、40℃以下において1ヶ月以上の高い貯蔵安定性を
有する。また、めっき後処理製品等の本発明の表面処理
金属材は、耐アルカリ性、塗料密着性および耐食性を損
なうことなく、耐溶剤性、耐傷付き性、型カジリ性、深
絞り加工性、ポストコート性等を満足させる。さらに、
本発明の処理剤および表面処理金属材はクロムを含有し
ないため低公害である。このように耐食性、低公害性に
優れた本発明の表面処理金属材は、家庭用電気製品や建
材および自動車部品等の構成部材として好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 健吾 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内 (72)発明者 高橋 彰 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内 (72)発明者 宮内 優二郎 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内 (72)発明者 壁屋 元生 東京都品川区南品川4丁目1番15号 日本 ペイント株式会社内 (72)発明者 佐々木 基寛 東京都品川区南品川4丁目1番15号 日本 ペイント株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AA20B AB01A AB03 AH02H AH03H AH04H AK03B AK53B AK70B BA02 CA14B EH462 EJ422 GB32 GB48 JA05B JB01 JB02 JK06 JK16 JL01 YY00B 4K026 AA02 AA13 AA22 BA08 BB08 CA30 CA38 DA03 DA11 EA06 EB11 4K044 AA01 BA14 BA21 BB11 BC02 BC04 BC06 CA53 CA62

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 総固形分濃度が10〜80質量%でかつ
    固形分中40〜90質量%がアイオノマー樹脂、1〜1
    0質量%が水溶性多官能エポキシ基含有化合物、7〜4
    0質量%がアミノ基およびアンモニウムイオンの一方ま
    たは両方を吸着させたシリカ、0.1〜10質量%がチ
    オカルボニル化合物またはバナジン酸アンモニウムから
    選ばれる少なくとも1種の防錆剤で構成された水分散性
    金属表面処理剤であって、前記アイオノマー樹脂がガラ
    ス転移点50〜70℃のエチレン−不飽和カルボン酸重
    合体でかつ含まれるカルボキシル基の40〜60%が1
    価の金属陽イオンで中和されたもので、さらに、前記水
    溶性多官能エポキシ基含有化合物中に含まれる塩素含有
    量が1質量%未満であることを特徴とする防錆剤含有水
    分散性金属表面処理剤。
  2. 【請求項2】 水分散性金属表面処理剤のさらに固形分
    中0.5〜20質量%が水分散性ポリオレフィン樹脂で
    構成されたものであることを特徴とする請求項1に記載
    の水分散性金属表面処理剤。
  3. 【請求項3】 金属材表層に、固形分中40〜90質量
    %がアイオノマー樹脂、1〜10質量%が水溶性多官能
    エポキシ基含有化合物、7〜40質量%がアミノ基およ
    びアンモニウムイオンの一方または両方を吸着させたシ
    リカ、0.1〜10質量%がチオカルボニル化合物また
    はバナジン酸アンモニウムから選ばれる少なくとも1種
    の防錆剤で構成された有機無機複合皮膜を乾燥質量とし
    て0.3〜5.0g/m2有し、前記アイオノマー樹脂
    がガラス転移点50〜70℃のエチレン−不飽和カルボ
    ン酸重合体で、かつ含まれるカルボキシル基の40〜6
    0%が1価の金属陽イオンで中和されたもので、さら
    に、前記有機無機複合皮膜中の塩素含有量が0.1質量
    %未満であることを特徴とする表面処理金属材。
  4. 【請求項4】 有機無機複合皮膜のさらに固形分中0.
    5〜20質量%が、水分散性ポリオレフィン樹脂で構成
    されたものであることを特徴とする請求項3に記載の表
    面処理金属材。
  5. 【請求項5】 金属材表面上層に、請求項1または2に
    記載の水分散性金属表面処理剤を塗布、焼付処理を行い
    有機無機複合皮膜を乾燥質量として0.3〜5.0g/
    2形成することを特徴とする表面処理金属材の製造方
    法。
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