JP4179026B2 - 膜パターン形成方法及びデバイスの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、膜パターン形成方法、デバイス及びデバイスの製造方法、電気光学装置、並びに電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子回路または集積回路などに使われる配線などの膜パターンを形成する方法としては、例えばフォトリソグラフィ法が用いられる。このフォトリソグラフィ法は、真空装置などの大掛かりな設備と複雑な工程を必要とし、また材料使用効率も数%程度でそのほとんどを廃棄せざるを得ず、製造コストが高い。
【0003】
これに対して、液滴吐出ヘッドから液体材料を液滴状に吐出する液滴吐出法、いわゆるインクジェット法を用いて基板上に膜パターンを形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。この方法では、膜パターン用の液体材料(機能液)を基板に直接パターン配置し、その後熱処理やレーザー照射を行って膜パターンに変換する。この方法によれば、フォトリソグラフィが不要となり、プロセスが大幅に簡略化されるとともに、原材料の使用量も少なくてすむというメリットがある。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−274671号公報
【特許文献2】
特開2000−216330号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、デバイスを構成する回路の高密度化が進み、例えば配線についてもさらなる微細化、細線化が要求されている。上述した液滴吐出法を用いた膜パターン形成方法では、吐出した液滴が着弾後に基板上で広がるため、微細な膜パターンを安定的に形成するのが困難であった。
【0006】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、細い膜パターンを、精度よく安定して形成することができる薄膜パターン形成方法、デバイス及びその製造方法、電気光学装置、並びに電子機器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、以下の構成を採用している。
本発明の膜パターン形成方法は、機能液を基板上に配置して所定物質を含む膜パターンを形成する方法であって、前記基板上にバンクを形成するバンク形成工程と、前記バンクによって区画された領域に前記機能液を配置する材料配置工程と、前記機能液に含まれる所定物質を熱処理により析出させる焼成工程とを有し、前記焼成工程は、前記所定物質の析出が少ない温度条件で前記所定物質を含む化合物を溶融させる溶融工程と、前記溶融した前記化合物から前記所定物質を析出させる析出工程とを含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の膜パターン形成方法では、バンクによって区画された領域に機能液が配置され、この機能液に対して熱処理を施すことにより、機能液に含まれる所定物質が析出し、その結果、基板上に所定物質を含む膜パターンが形成される。この場合、バンクによって膜パターンの形状が規定されることから、例えばバンクによる溝の幅を狭くするなど、バンクを適切に形成することにより、膜パターンの微細化や細線化が図られる。
また、本発明の膜パターン形成方法では、機能液を熱処理により焼成する際、その熱処理の温度条件を制御することにより、バンク上での所定物質の析出が防止される。すなわち、バンク上に所定物質を含む化合物が残っている場合にも、溶融工程において、その化合物からの所定物質の析出を抑制しつつ、その化合物を一旦溶融させることにより、その溶融物がバンクによって区画された領域内に引き込まれる。その結果、続く析出工程において、バンク上での所定物質の析出が防止され、膜パターンが精度よく安定して形成される。
【0009】
上記の膜パターン形成方法において、前記化合物は、分解温度に比べて融点が同程度以下であり、分解温度以上の加熱によって前記所定物質を析出するものであるのが好ましい。前記化合物がこうした温度特性を有する場合、例えば、溶融工程での処理温度を化合物の融点と同程度とすることにより、化合物に含まれる所定物質の析出を抑制しつつ、その化合物を溶融させることができる。さらに、溶融工程の後に処理温度を化合物の分解温度以上にすることにより、溶融した化合物から所定物質を析出させることができる。
【0010】
また例えば、溶融工程において、前記化合物の融点より低い温度から融点を超える温度までの熱処理の昇温速度を制御することによっても、前記所定物質の析出を抑制しつつ、前記化合物を溶融させることができる。
【0011】
また、上記の膜パターン形成方法において、前記所定物質が、導電性の金属物質であり、前記化合物が、前記金属物質を含む金属化合物であることにより、導電性を有する膜パターンが形成される。この膜パターンは、配線として、各種デバイスに適用される。
【0012】
本発明のデバイスの製造方法は、基板に膜パターンが形成されてなるデバイスの製造方法であって、上記の膜パターン形成方法により、前記基板に前記膜パターンを形成することを特徴とする。
本発明のデバイス製造方法では、デバイスに形成される膜パターンの微細化や細線化が安定して図られる。そのため、高精度なデバイスを安定して製造することができる。
特に、前記膜パターンが前記基板上に設けられたTFT(膜トランジスタ)等のスイッチング素子の一部を構成する場合には、高集積化されたスイッチング素子を安定的に得ることができる。
【0013】
本発明のデバイスは、上記のデバイス製造方法を用いて製造されることを特徴とすることにより、高い精度を有する。
【0014】
また、本発明の電気光学装置は、上記のデバイスを備えることを特徴とする。電気光学装置としては、例えば、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ型表示装置などを例示できる。
また、本発明の電子機器は、上記の電気光学装置を備えることを特徴とする。これらの発明によれば、高精度なデバイスを有することから、品質や性能の向上が図られる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の膜パターン形成方法を概念的に示す図である。
本発明の膜パターン形成方法は、機能液Lを基板P上に配置して所定物質(例えば金属物質など)を含む膜パターンCを形成するものであり、基板P上にバンクBを形成するバンク形成工程と、バンクBによって区画された領域(区画領域A)に機能液Lを配置する材料配置工程と、機能液Lに含まれる所定物質を熱処理により析出させる焼成工程とを有する。なお、区画領域Aに配置された機能液Lは、溶剤が蒸発乾燥することにより、機能液Lの溶質である化合物を含む乾燥膜L1となる。こうした機能液Lを蒸発乾燥させる工程(中間乾燥工程)は、焼成工程の一部として行ってもよいし、焼成工程の前に別工程として行ってもよい。
【0016】
本発明の膜パターン形成方法では、バンクBによって区画された区画領域Aに機能液Lが配置され、この機能液L(乾燥膜L1)に対して焼成を施すことにより、機能液Lに含まれる所定物質が析出し、その結果、基板P上に所定物質を含む膜パターンCが形成される。この場合、バンクBによって膜パターンCの形状が規定されることから、例えばバンクBによる溝の幅を狭くするなど、バンクBを適切に形成することにより、膜パターンCの微細化や細線化が図られる。なお、膜パターンCが形成された後、基板PからバンクBを除去してもよく、そのまま基板P上に残してもよい。
【0017】
また、本発明において、焼成工程は、所定物質を含む化合物(乾燥膜L1)を溶融させる溶融工程と、溶融した化合物L2から所定物質を析出させる析出工程とを含む。すなわち、焼成工程においては、まず、所定物質の析出が少ない温度条件で所定物質を含む化合物(乾燥膜L1)を一旦溶融させる。この溶融工程において、バンクB上に残っている上記化合物(例えば図1に示すa部)は、溶融に伴って流動性が向上することにより、区画領域A(バンクBによる溝内部)に引き込まれる。なお、溶融工程では、所定物質の析出が少ない温度条件に制御されているので、その化合物からの所定物質の析出は抑制される。その後、析出工程におけるさらなる熱処理によって、区画領域Aにおける化合物L2(化合物の溶融物)から所定物質が析出する。その結果、基板P上に、所定物質を含む膜パターンCが形成される。
【0018】
ここで、上記化合物としては、分解温度に比べて融点が同程度以下であり、かつ分解温度以上の加熱によって上記所定物質を析出するものが好ましく用いられ、一例として、金、銀、銅、パラジウム、ニッケルなどの金属物質を含む有機金属化合物などが挙げられる。例えば、有機銀化合物には、融点が150℃程度、分解温度が250℃程度のものがある。
【0019】
こうした温度特性を有する化合物を用いる場合、例えば、溶融工程及び析出工程の各工程で個別に処理温度を制御したり、あるいは熱処理の昇温速度を制御したりすることにより、上述した焼成工程を確実に実施できる。
【0020】
溶融工程と析出工程とで個別に処理温度を制御する方法では、例えば、溶融工程での処理温度を化合物(例えば有機金属化合物)の融点と同程度とすることにより、その化合物に含まれる所定物質(例えば金属物質)の析出を抑制しつつ、その化合物を溶融させることができる。そして、溶融工程の後に処理温度を化合物の分解温度以上にすることにより、溶融した化合物から所定物質(例えば金属物質)を析出させることができる。
【0021】
また、熱処理の昇温速度を制御する方法では、例えば、焼成温度(熱処理温度)を上昇させる過程において、上記化合物(例えば有機金属化合物)の融点より低い温度から融点を超える温度までの昇温速度を、上記化合物の溶融の進行に応じて制御する。すなわち、上記化合物の溶融時において、上記所定物質が析出しない範囲の低速で処理温度を上昇させる。これにより、化合物に含まれる所定物質(例えば金属物質)の析出を抑制しつつ、その化合物を溶融させることができる。この方法では、昇温速度の制御(通常は低速昇温)により、所定物質の析出を遅らせることができ、化合物の溶融温度と分解温度とがほぼ同じである場合にも利用できるという利点がある。またこの場合、焼成に係る一連の昇温過程の中で溶融工程と析出工程とを実施するので、処理の簡素化が図られる。なお、化合物の溶融温度と分解温度とが異なる場合には、溶融工程と析出工程とで昇温速度を変化させてもよい。溶融工程に比べて、析出工程での昇温速度を高めることにより、スループットの向上が図られる。
【0022】
このように、本発明の膜パターン形成方法では、焼成工程において、所定物質を含む化合物を一旦溶融させた後に、その化合物から所定物質を析出させることにより、機能液Lに含まれる所定物質がバンクB上で析出するのが防止され、膜パターンCが精度よく安定して形成される。
【0023】
なお、機能液Lに含まれる所定物質が導電性の金属物質であり、機能液Lの溶質である化合物が上記金属物質を含む金属化合物である場合、金属物質の析出により導電性を有する膜パターンCが形成される。こうした導電性の膜パターンCは、配線として各種デバイスに利用可能である。
【0024】
図2は、本発明の比較例として、バンクB上に機能液Lの乾燥物(化合物)が残っている状態(図2に示すa部)で、焼成により所定物質を析出させた様子を説明するための図である。
図2の比較例では、バンクB上に残留した機能液Lの乾燥物から所定物質が析出することから、バンクBによって区画された領域(バンクBによる溝内部)の膜パターンC1とは別に、バンクB上においても所定物質を含む膜が形成される(図2に示すa部)。このようなバンクB上にはみ出した膜は密着性が弱かったり、剥離分離しやすかったりするため、この膜が導電性を有する場合にはショートなどの配線不良の原因となりやすい。
【0025】
これに対して、本発明の膜パターン形成方法では、導電性の膜パターンCを形成する場合において、バンクB上における導電性膜の形成が防止されるので、ショートなどの配線不良が防止される。
【0026】
図1に戻り、本発明において、バンクBの形成方法としては、リソグラフィ法や印刷法等、任意の方法を用いることができる。例えば、リソグラフィ法を使用する場合は、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等所定の方法で、基板P上にバンクの形成材料からなる層を形成した後、エッチングやアッシング等によりパターニングすることにより、所定のパターン形状のバンクBが得られる。なお、基板Pとは別の物体上でバンクBを形成し、それを基板P上に配置してもよい。
【0027】
また、バンクBの形成材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、オレフィン樹脂、メラミン樹脂等の高分子材料の他、シリカなどの無機物を含む材料が挙げられる。
【0028】
また、本発明における基板Pとしては、ガラス、石英ガラス、Siウエハ、プラスチックフィルム、金属板など各種のものが挙げられる。さらに、これら各種の素材基板の表面に半導体膜、金属膜、誘電体膜、有機膜などが下地層として形成されたものも含む。
【0029】
また、本発明における機能液Lとしては、各種のものが適用されるが、例えば、導電性微粒子を含む配線パターン用インクが用いられる。
また、機能液Lを、バンクBによって区画された領域に配置する方法としては、液滴吐出法、いわゆるインクジェット法を用いるのが好ましい。液滴吐出法を用いることにより、スピンコート法などの他の塗布技術に比べて、液体材料の消費に無駄が少なく、基板上に配置する機能液の量や位置の制御を行いやすいという利点がある。
【0030】
配線パターン用インクは、導電性微粒子を分散媒に分散させた分散液からなるものである。
導電性微粒子としては、例えば、金、銀、銅、パラジウム、及びニッケルのうちのいずれかを含有する金属微粒子の他、これらの酸化物、並びに導電性ポリマーや超電導体の微粒子などが用いられる。
これらの導電性微粒子は、分散性を向上させるために表面に有機物などをコーティングして使うこともできる。
導電性微粒子の粒径は5nm以上0.1μm以下であることが好ましい。0.1μmより大きいと、後述する液滴吐出ヘッドのノズルに目詰まりが生じるおそれがある。また、5nmより小さいと、導電性微粒子に対するコーティング剤の体積比が大きくなり、得られる膜中の有機物の割合が過多となる。
【0031】
分散媒としては、上記の導電性微粒子を分散できるもので、凝集を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性、また液滴吐出法(インクジェット法)への適用の容易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。
【0032】
上記導電性微粒子の分散液の表面張力は0.02N/m以上0.07N/m以下の範囲内であることが好ましい。液滴吐出法にて液体を吐出する際、表面張力が0.02N/m未満であると、インク組成物のノズル面に対する濡れ性が増大するため飛行曲りが生じやすくなり、0.07N/mを超えるとノズル先端でのメニスカスの形状が安定しないため吐出量や、吐出タイミングの制御が困難になる。表面張力を調整するため、上記分散液には、基板との接触角を大きく低下させない範囲で、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系などの表面張力調節剤を微量添加するとよい。ノニオン系表面張力調節剤は、液体の基板への濡れ性を向上させ、膜のレベリング性を改良し、膜の微細な凹凸の発生などの防止に役立つものである。上記表面張力調節剤は、必要に応じて、アルコール、エーテル、エステル、ケトン等の有機化合物を含んでもよい。
【0033】
上記分散液の粘度は1mPa・s以上50mPa・s以下であることが好ましい。液滴吐出法を用いて液体材料を液滴として吐出する際、粘度が1mPa・sより小さい場合にはノズル周辺部がインクの流出により汚染されやすく、また粘度が50mPa・sより大きい場合は、ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり円滑な液滴の吐出が困難となる。
【0034】
液滴吐出法の吐出技術としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換式、電気熱変換方式、静電吸引方式などが挙げられる。帯電制御方式は、材料に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で材料の飛翔方向を制御してノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、材料に30kg/cm2程度の超高圧を印加してノズル先端側に材料を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には材料が直進してノズルから吐出され、制御電圧をかけると材料間に静電的な反発が起こり、材料が飛散してノズルから吐出されない。また、電気機械変換方式は、ピエゾ素子(圧電素子)がパルス的な電気信号を受けて変形する性質を利用したもので、ピエゾ素子が変形することによって材料を貯留した空間に可撓物質を介して圧力を与え、この空間から材料を押し出してノズルから吐出させるものである。
【0035】
また、電気熱変換方式は、材料を貯留した空間内に設けたヒータにより、材料を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の材料を吐出させるものである。静電吸引方式は、材料を貯留した空間内に微小圧力を加え、ノズルに材料のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから材料を引き出すものである。また、この他に、電場による流体の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用可能である。液滴吐出法は、材料の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の材料を的確に配置できるという利点を有する。なお、液滴吐出法により吐出される液状材料(流動体)の一滴の量は、例えば1〜300ナノグラムである。
【0036】
本発明の膜パターン形成方法では、上述した配線パターン用インクを用いることにより、導電性を有する膜パターンを形成することができる。この導電性の膜パターンは、配線として、各種デバイスに適用される。
【0037】
図3は、本発明の膜パターン形成方法に用いられる装置の一例として、液滴吐出法によって基板上に液体材料を配置する液滴吐出装置(インクジェット装置)IJの概略構成を示す斜視図である。
【0038】
液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド1と、X軸方向駆動軸4と、Y軸方向ガイド軸5と、制御装置CONTと、ステージ7と、クリーニング機構8と、基台9と、ヒータ15とを備えている。
ステージ7は、この液滴吐出装置IJによりインク(液体材料)を設けられる基板Pを支持するものであって、基板Pを基準位置に固定する不図示の固定機構を備えている。
【0039】
液滴吐出ヘッド1は、複数の吐出ノズルを備えたマルチノズルタイプの液滴吐出ヘッドであり、長手方向とY軸方向とを一致させている。複数の吐出ノズルは、液滴吐出ヘッド1の下面にY軸方向に並んで一定間隔で設けられている。液滴吐出ヘッド1の吐出ノズルからは、ステージ7に支持されている基板Pに対して、上述した導電性微粒子を含むインクが吐出される。
【0040】
X軸方向駆動軸4には、X軸方向駆動モータ2が接続されている。X軸方向駆動モータ2はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからX軸方向の駆動信号が供給されると、X軸方向駆動軸4を回転させる。X軸方向駆動軸4が回転すると、液滴吐出ヘッド1はX軸方向に移動する。
Y軸方向ガイド軸5は、基台9に対して動かないように固定されている。ステージ7は、Y軸方向駆動モータ3を備えている。Y軸方向駆動モータ3はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからY軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ7をY軸方向に移動する。
【0041】
制御装置CONTは、液滴吐出ヘッド1に液滴の吐出制御用の電圧を供給する。また、X軸方向駆動モータ2に液滴吐出ヘッド1のX軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を、Y軸方向駆動モータ3にステージ7のY軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を供給する。
クリーニング機構8は、液滴吐出ヘッド1をクリーニングするものである。クリーニング機構8には、図示しないY軸方向の駆動モータが備えられている。このY軸方向の駆動モータの駆動により、クリーニング機構8は、Y軸方向ガイド軸5に沿って移動する。クリーニング機構8の移動も制御装置CONTにより制御される。
ヒータ15は、ここではランプアニールにより基板Pを熱処理する手段であり、基板P上に塗布された液体材料に含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行う。このヒータ15の電源の投入及び遮断も制御装置CONTにより制御される。
【0042】
液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド1と基板Pを支持するステージ7とを相対的に走査しつつ基板Pに対して液滴を吐出する。ここで、以下の説明において、X軸方向を走査方向、X軸方向と直交するY軸方向を非走査方向とする。したがって、液滴吐出ヘッド1の吐出ノズルは、非走査方向であるY軸方向に一定間隔で並んで設けられている。なお、図3では、液滴吐出ヘッド1は、基板Pの進行方向に対し直角に配置されているが、液滴吐出ヘッド1の角度を調整し、基板Pの進行方向に対して交差させるようにしてもよい。このようにすれば、液滴吐出ヘッド1の角度を調整することで、ノズル間のピッチを調節することが出来る。また、基板Pとノズル面との距離を任意に調節することが出来るようにしてもよい。
【0043】
図4は、ピエゾ方式による液体材料の吐出原理を説明するための図である。
図4において、液体材料(配線パターン用インク、機能液)を収容する液体室21に隣接してピエゾ素子22が設置されている。液体室21には、液体材料を収容する材料タンクを含む液体材料供給系23を介して液体材料が供給される。ピエゾ素子22は駆動回路24に接続されており、この駆動回路24を介してピエゾ素子22に電圧を印加し、ピエゾ素子22を変形させることにより、液体室21が変形し、ノズル25から液体材料が吐出される。この場合、印加電圧の値を変化させることにより、ピエゾ素子22の歪み量が制御される。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子22の歪み速度が制御される。ピエゾ方式による液滴吐出は材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有する。
【0044】
次に、本発明の膜パターン形成方法の実施形態の一例として、基板上に導電膜配線を形成する方法について図5のフローチャートを参照して詳しく説明する。
本実施形態に係る膜パターン形成方法は、上述した配線パターン用のインク(配線パターン形成材料)を基板上に配置し、その基板上に配線用の導電膜パターンを形成するものであり、バンク形成工程、残渣処理工程、撥液化処理工程、材料配置工程、中間乾燥工程、及び焼成工程から概略構成される。
以下、各工程毎に詳細に説明する。
【0045】
(バンク形成工程)
バンクは、仕切部材として機能する部材であり、バンクの形成はリソグラフィ法や印刷法等、任意の方法で行うことができる。例えば、リソグラフィ法を使用する場合は、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等所定の方法で、基板上にバンクの高さに合わせてバンクの形成材料を塗布し、その上にレジスト層を塗布する。そして、バンク形状(配線パターン)に合わせてマスクを施しレジストを露光・現像することによりバンク形状に合わせたレジストを残す。最後にエッチングしてマスク以外の部分のバンク材料を除去する。また、下層が無機物で上層が有機物で構成された2層以上でバンク(凸部)を形成してもよい。
【0046】
これにより、先の図1に示したように、配線パターンを形成すべき領域の周辺を囲むように、例えば10μm幅でバンクが突設される。
なお、基板に対しては、有機材料塗布前に表面改質処理として、HMDS処理((CH3)3SiNHSi(CH3)3を蒸気状にして塗布する方法)が施されている。
【0047】
(残渣処理工程(親液化処理工程))
次に、バンク間におけるバンク形成時のレジスト(有機物)残渣を除去するために、基板に対して残渣処理を施す。
残渣処理としては、紫外線を照射することにより残渣処理を行う紫外線(UV)照射処理や大気雰囲気中で酸素を処理ガスとするO2 プラズマ処理等を選択できるが、ここではO2 プラズマ処理を実施する。
【0048】
具体的には、基板Pに対しプラズマ放電電極からプラズマ状態の酸素を照射することで行う。O2 プラズマ処理の条件としては、例えばプラズマパワーが50〜1000W、酸素ガス流量が50〜100ml/min、プラズマ放電電極に対する基板Pの板搬送速度が0.5〜10mm/sec、基板温度が70〜90℃とされる。
なお、基板Pがガラス基板の場合、その表面は配線パターン形成材料に対して親液性を有しているが、本実施の形態のように残渣処理のためにO2 プラズマ処理や紫外線照射処理を施すことで、基板表面の親液性を高めることができる。
【0049】
(撥液化処理工程)
続いて、バンクに対し撥液化処理を行い、その表面に撥液性を付与する。
撥液化処理としては、例えば大気雰囲気中でテトラフルオロメタンを処理ガスとするプラズマ処理法(CF4 プラズマ処理法)を採用することができる。CF4 プラズマ処理の条件は、例えばプラズマパワーが50〜1000kW、4フッ化メタンガス流量が50〜100ml/min、プラズマ放電電極に対する基体搬送速度が0.5〜1020mm/sec、基体温度が70〜90℃とされる。
なお、処理ガスとしては、テトラフルオロメタン(四フッ化炭素)に限らず、他のフルオロカーボン系のガスを用いることもできる。
【0050】
このような撥液化処理を行うことにより、バンクにはこれを構成する樹脂中にフッ素基が導入され、高い撥液性が付与される。なお、上述した親液化処理としてのO2 プラズマ処理は、バンクの形成前に行ってもよいが、O2 プラズマによる前処理がなされると、バンクがフッ素化(撥液化)されやすいという性質があるため、バンクを形成した後にO2 プラズマ処理することが好ましい。
なお、バンクに対する撥液化処理により、先に親液化処理した基板表面に対し多少は影響があるものの、特に基板がガラス等からなる場合には、撥液化処理によるフッ素基の導入が起こらないため、基板はその親液性、すなわち濡れ性が実質上損なわれることはない。
また、バンクについては、撥液性を有する材料(例えばフッ素基を有する樹脂材料)によって形成することにより、その撥液処理を省略するようにしてもよい。
【0051】
(材料配置工程及び中間乾燥工程)
次に、先の図3に示した液滴吐出装置IJによる液滴吐出法を用いて、配線パターン形成材料を、基板上のバンクによって区画された領域(先の図1に示す区画領域A)、すなわちバンクによる溝の内部に配置する。なお、本例では、配線パターン形成材料として、導電性微粒子として有機銀化合物を用い、溶媒(分散媒)としてジエチレングリコールジエチルエーテルを用いたインク(分散液)を用いる。
【0052】
すなわち、材料配置工程では、図6(a)に示すように、液体吐出ヘッド1から配線パターン形成材料を含む液体材料Lを液滴にして吐出し、その液滴を基板P上のバンクB、B間(バンクBによる溝の内部)に配置する。液滴吐出の条件としては、例えば、インク重量4ng/dot、インク速度(吐出速度)5〜7m/secで行う。
【0053】
このとき、バンクB、Bによって液体材料の配置領域が仕切られていることから、その液体材料Lが基板P上で拡がることが阻止される。
【0054】
また、図6(a)に示すように、隣接するバンクB、B間の幅Wが液滴の直径Dより狭い場合(すなわち、液滴の直径DがバンクBによる溝の幅Wより大きい場合)、図6(b)の二点鎖線で示すように、液滴の一部がバンクB、B上にのるものの、毛管現象などにより液体材料LはバンクB、B間に入り込む。本例では、バンクB、Bは撥液性が付与されていることから、液体材料がバンクBにはじかれ、バンクB、B間により確実に流れ込む。
また、基板Pの表面は親液性を付与されているため、バンクB、B間に流れ込んだ液体材料Lがその区画された領域内で均一に広がる。これにより、吐出する液滴の直径Dより狭い線幅Wの塗膜が形成される。
【0055】
(中間乾燥工程)
基板に液体材料を配置した後、分散媒の除去及び膜厚確保のため、必要に応じて乾燥処理をする。乾燥処理は、例えば基板Pを加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる処理の他、ランプアニールによって行なうこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、特に限定されないが、赤外線ランプ、キセノンランプ、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを光源として使用することができる。これらの光源は一般には、出力10W以上5000W以下の範囲のものが用いられるが、本実施形態では100W以上1000W以下の範囲で十分である。
【0056】
(焼成工程)
焼成工程は、材料配置・中間乾燥後の基板を熱処理することにより、乾燥膜に含まれる分散媒を完全に除去するとともに、乾燥膜に含まれる有機銀化合物から銀を析出させて導電性膜を形成するものである。なお、本例で用いる配線パターン用インクに含まれる有機銀化合物は、融点が150℃程度、分解温度が250℃程度である。また、この有機銀化合物は、溶融しながら分解し、銀を析出する性質を有しているものの、溶融開始時点における銀の析出は非常に遅い。
【0057】
焼成工程では、銀の析出が少ない温度条件で有機銀化合物を一旦溶融させ(溶融工程)、その後、溶融した有機銀化合物から銀を析出させる(析出工程)。
【0058】
具体的には、乾燥膜が形成された基板を、電気炉などの炉内に投入し、炉内を有機銀化合物の分解温度である250℃程度以上の温度に昇温する。また、昇温過程においては、有機銀化合物の融点である150℃より低い温度(例えば100℃)から融点を超える温度(例えば160℃)までの熱処理の昇温速度を、有機銀化合物の溶融の進行に応じて制御する。本例では、炉内が上記温度範囲にあるときには、銀が析出しない範囲の低速(例えば、2分で1℃の昇温速度以下)で炉内の温度を上昇させる。これにより、先の図1に示したように、バンク上に残っている有機銀化合物は、溶融に伴って流動性が向上することにより、バンクによる区画領域(バンクによる溝内部)に引き込まれる。本例では、バンク自身に發液処理が行われていることから、溶融した液がバンク内に容易に集まる。またこのとき、上記炉内の昇温速度の制御により、銀の析出は抑制される。
【0059】
その後、炉内を250℃程度まで昇温する。これにより、バンクによる区画領域(バンクによる溝内部)に配置された有機銀化合物から銀が析出し、導電性の膜パターンが形成される。
【0060】
なお、焼成工程は通常大気中で行なわれるが、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で行なうこともできる。また、焼成工程における処理温度は、分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング材の有無や量、基材の耐熱温度などを考慮して適宜決定される。また、本例のように、焼成温度が約250以上となる場合には、バンク及び液体材料の乾燥膜の上に低融点ガラスなどを予め塗布してもよい。
【0061】
以上の工程により、機能膜の乾燥膜は微粒子間の電気的接触が確保され、導電性膜(膜パターン)に変換される。
本例では、焼成工程において、有機銀化合物を一旦溶融させた後に、その有機銀化合物から銀を析出させることにより、バンク上で銀が析出するのが防止され、細い導電性の膜パターンが精度よく安定して形成される。
【0062】
次に、本発明の電気光学装置の一例である液晶表示装置について説明する。
図7は、本発明に係る液晶表示装置について、各構成要素とともに示す対向基板側から見た平面図であり、図8は図1のH−H’線に沿う断面図である。図9は、液晶表示装置の画像表示領域においてマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図で、図10は、液晶表示装置の部分拡大断面図である。なお、以下の説明に用いた各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
【0063】
図7及び図8において、本実施の形態の液晶表示装置(電気光学装置)100は、対をなすTFTアレイ基板10と対向基板20とが光硬化性の封止材であるシール材52によって貼り合わされ、このシール材52によって区画された領域内に液晶50が封入、保持されている。シール材52は、基板面内の領域において閉ざされた枠状に形成されてなり、液晶注入口を備えず、封止材にて封止された痕跡がない構成となっている。
【0064】
シール材52の形成領域の内側の領域には、遮光性材料からなる周辺見切り53が形成されている。シール材52の外側の領域には、データ線駆動回路201及び実装端子202がTFTアレイ基板10の一辺に沿って形成されており、この一辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路204が形成されている。TFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路204の間を接続するための複数の配線205が設けられている。また、対向基板20のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための基板間導通材206が配設されている。
【0065】
なお、データ線駆動回路201及び走査線駆動回路204をTFTアレイ基板10の上に形成する代わりに、例えば、駆動用LSIが実装されたTAB(Tape Automated Bonding)基板とTFTアレイ基板10の周辺部に形成された端子群とを異方性導電膜を介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。なお、液晶表示装置100においては、使用する液晶50の種類、すなわち、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード等の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、位相差板、偏光板等が所定の向きに配置されるが、ここでは図示を省略する。
また、液晶表示装置100をカラー表示用として構成する場合には、対向基板20において、TFTアレイ基板10の後述する各画素電極に対向する領域に、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタをその保護膜とともに形成する。
【0066】
このような構造を有する液晶表示装置100の画像表示領域においては、図9に示すように、複数の画素100aがマトリクス状に構成されているとともに、これらの画素100aの各々には、画素スイッチング用のTFT(スイッチング素子)30が形成されており、画素信号S1、S2、…、Snを供給するデータ線6aがTFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画素信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次で供給してもよく、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。また、TFT30のゲートには走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmをこの順に線順次で印加するように構成されている。
【0067】
画素電極19は、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけオン状態とすることにより、データ線6aから供給される画素信号S1、S2、…、Snを各画素に所定のタイミングで書き込む。このようにして画素電極19を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画素信号S1、S2、…、Snは、図8に示す対向基板20の対向電極121との間で一定期間保持される。なお、保持された画素信号S1、S2、…、Snがリークするのを防ぐために、画素電極19と対向電極121との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量60が付加されている。例えば、画素電極19の電圧は、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ蓄積容量60により保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い液晶表示装置100を実現することができる。
【0068】
図10はボトムゲート型TFT30を有する液晶表示装置100の部分拡大断面図であって、TFTアレイ基板10を構成するガラス基板Pには、上記膜パターン形成方法により、導電性膜としてのゲート配線61が形成されている。
【0069】
ゲート配線61上には、SiNxからなるゲート絶縁膜62を介してアモルファスシリコン(a−Si)層からなる半導体層63が積層されている。このゲート配線部分に対向する半導体層63の部分がチャネル領域とされている。半導体層63上には、オーミック接合を得るための例えばn+型a−Si層からなる接合層64a及び64bが積層されており、チャネル領域の中央部における半導体層63上には、チャネルを保護するためのSiNxからなる絶縁性のエッチストップ膜65が形成されている。なお、これらゲート絶縁膜62、半導体層63、及びエッチストップ膜65は、蒸着(CVD)後にレジスト塗布、感光・現像、フォトエッチングを施されることで、図示されるようにパターニングされる。
【0070】
さらに、接合層64a、64b及びITOからなる画素電極19も同様に成膜するとともに、フォトエッチングを施されることで、図示するようにパターニングされる。そして、画素電極19、ゲート絶縁膜62及びエッチストップ膜65上にそれぞれバンク66…を突設し、これらバンク66…間に上述した液滴吐出装置IJを用いて、銀化合物の液滴を吐出することでソース線、ドレイン線を形成することができる。
【0071】
本実施の形態の液晶表示装置は、上記膜パターン形成方法により、微細化や細線化が図られた導電膜が、精度よく安定して形成されることから、高い品質や性能が得られる。
【0072】
なお、上記実施形態では、TFT30を液晶表示装置100の駆動のためのスイッチング素子として用いる構成としたが、液晶表示装置以外にも例えば有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示デバイスに応用が可能である。有機EL表示デバイスは、蛍光性の無機および有機化合物を含む薄膜を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、前記薄膜に電子および正孔(ホール)を注入して再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光させる素子である。そして、上記のTFT30を有する基板上に、有機EL表示素子に用いられる蛍光性材料のうち、赤、緑および青色の各発光色を呈する材料すなわち発光層形成材料及び正孔注入/電子輸送層を形成する材料をインクとし、各々をパターニングすることで、自発光フルカラーELデバイスを製造することができる。本発明におけるデバイス(電気光学装置)の範囲にはこのような有機ELデバイスをも含むものである。
【0073】
また、本発明に係るデバイス(電気光学装置)としては、上記の他に、PDP(プラズマディスプレイパネル)や、基板上に形成された小面積の薄膜に膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用する表面伝導型電子放出素子等にも適用可能である。
【0074】
次に、本発明の電子機器の具体例について説明する。
図11(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図11(a)において、600は携帯電話本体を示し、601は上記実施形態の液晶表示装置を備えた液晶表示部を示している。
図11(b)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図11(b)において、700は情報処理装置、701はキーボードなどの入力部、703は情報処理本体、702は上記実施形態の液晶表示装置を備えた液晶表示部を示している。
図11(c)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図11(c)において、800は時計本体を示し、801は上記実施形態の液晶表示装置を備えた液晶表示部を示している。
図11(a)〜(c)に示す電子機器は、上記実施形態の液晶表示装置を備えたものであるので、高い品質や性能が得られる。
なお、本実施形態の電子機器は液晶装置を備えるものとしたが、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ型表示装置等、他の電気光学装置を備えた電子機器とすることもできる。
【0075】
次に、本発明の膜パターンの形成方法によって形成される膜パターンを、アンテナ回路に適用した例について説明する。
図12は、本実施形態例に係る非接触型カード媒体を示しており、非接触型カード媒体400は、カード基体402とカードカバー418から成る筐体内に、半導体集積回路チップ408とアンテナ回路412を内蔵し、図示されない外部の送受信機と電磁波または静電容量結合の少なくとも一方により電力供給あるいはデータ授受の少なくとも一方を行うようになっている。
【0076】
本実施形態では、上記アンテナ回路412が、本発明の膜パターン形成方法に基づいて形成されている。そのため、上記アンテナ回路412の微細化や細線化が図られ、高い品質や性能を得ることができる。
【0077】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の膜パターン形成方法を概念的に示す図である。
【図2】 本発明の比較例として、バンク上に機能液の乾燥物が残留した状態で、熱処理により所定物質を析出させた様子を説明するための図である。
【図3】 液滴吐出装置の概略斜視図である。
【図4】 ピエゾ方式による液状体の吐出原理を説明するための図である。
【図5】 配線パターンを形成する手順を示すフローチャート図である。
【図6】 機能液としての配線パターン用インクを基板上に配置する様子を示す図である。
【図7】 液晶表示装置を対向基板の側から見た平面図である。
【図8】 図7のH−H’線に沿う断面図である。
【図9】 液晶表示装置の等価回路図である。
【図10】 同、液晶表示装置の部分拡大断面図である。
【図11】 本発明の電子機器の具体例を示す図である。
【図12】 非接触型カード媒体の分解斜視図である。
【符号の説明】
B…バンク、P…基板(ガラス基板)、A…区画領域、L…機能液、C…膜パターン(導電性膜)、L1…乾燥膜、L2…溶融物、30…TFT(スイッチング素子)、100…液晶表示装置(電気光学装置)、400…非接触型カード媒体(電子機器)。
Claims (4)
- 機能液を基板上に配置して所定物質を含む膜パターンを形成する方法であって、
前記基板上にバンクを形成するバンク形成工程と、前記バンクによって区画された領域に前記機能液を配置する材料配置工程と、前記機能液に含まれる所定物質を熱処理により析出させる焼成工程とを有し、
前記焼成工程は、前記所定物質の析出が少ない温度条件で前記所定物質を含む化合物を溶融させ、前記バンクによって区画された領域内に引き込む溶融工程と、前記溶融した前記化合物から前記所定物質を析出させる析出工程とを含み、
前記化合物は、分解温度に比べて融点が同程度以下であり、分解温度以上の加熱によって前記所定物質を析出し、
前記溶融工程では、前記化合物の融点より低い温度から融点を超える温度までの熱処理の昇温速度を制御する
ことを特徴とする膜パターン形成方法。 - 請求項1記載の膜パターン形成方法において、
前記所定物質は、導電性の金属物質であり、
前記化合物は、前記金属物質を含む金属化合物であることを特徴とする膜パターン形成方法。 - 基板に膜パターンが形成されてなるデバイスの製造方法であって、
請求項1または請求項2に記載の膜パターン形成方法により、前記基板に前記膜パターンを形成することを特徴とするデバイス製造方法。 - 請求項3に記載のデバイス製造方法において、
前記膜パターンは、前記基板上に設けられたスイッチング素子の一部を構成することを特徴とするデバイス製造方法。
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