JPH05142189A - 銀・塩化銀電極、その製造方法およびそれに用いる銀・塩化銀電極形成用組成物 - Google Patents

銀・塩化銀電極、その製造方法およびそれに用いる銀・塩化銀電極形成用組成物

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JPH05142189A
JPH05142189A JP17220291A JP17220291A JPH05142189A JP H05142189 A JPH05142189 A JP H05142189A JP 17220291 A JP17220291 A JP 17220291A JP 17220291 A JP17220291 A JP 17220291A JP H05142189 A JPH05142189 A JP H05142189A
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silver chloride
electrode
chloride
chloride electrode
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JP17220291A
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Norihiko Ushizawa
典彦 牛沢
Hideichiro Yamaguchi
秀一郎 山口
雅博 ▲ぬで▼島
Masahiro Nudeshima
Takeshi Shimomura
猛 下村
Hiroaki Watanabe
博明 渡辺
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Fujikura Kasei Co Ltd
Terumo Corp
Original Assignee
Fujikura Kasei Co Ltd
Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基板との接着性が良く、電極抵抗等の電極特
性のばらつきの小さな、しかも微小化が可能で、かつ滅
菌可能で安全性の高い銀・塩化銀電極を提供する。 【構成】 粒径が1〜2μmの酸化銀と粒径が1〜2μ
mの塩化銀と耐熱性樹脂(ポリイミド)と有機溶媒との
重量比が32:48:5:15の導電性ペーストを調整
する。次に、この導電性ペーストをアルミナ基板2上に
印刷した後、440°Cで10分間、焼成させる。これ
により銀と塩化銀と耐熱性樹脂とで構成される銀・塩化
銀電極膜(焼結体層)3が形成される。この銀・塩化銀
電極膜3の表面抵抗を4探針法を用いて測定した結果
は、0.25〜0.40Ω/□の範囲内であり、目標の
1Ω/□以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気化学的検出素子お
よび基準電極の内部電極等に用いられる銀・塩化銀電
極、その製造方法およびそれに用いる銀・塩化銀電極形
成用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】銀・塩化銀電極は、pHおよび各種イオ
ン選択性電極の電気化学的検出素子、あるいは基準電極
などの内部電極として広く用いられている。また、医用
分野の応用としては、生体内で生じる心電信号、筋電信
号、脳波などの生体電気信号を検出するための生体用電
極として銀・塩化銀電極が使用されている。
【0003】従来、この銀・塩化銀電極の主な製造方法
としては、(a)銀線または銀を被覆した白金線などの
導電性基体を、塩化ナトリウム、塩酸等の塩酸イオンを
含む水溶液中で陽極とし、電気分解させて銀の表面に難
溶解性の塩化銀を電気化学的に形成する電気分解法、
(b)塩化銀あるいは塩素酸銀と酸化銀を水で混練させ
たペーストを白金基体上に塗布し、400°Cの温度で
焼成する熱分解法、(c)白金コイルの上に酸化銀と水
のペースト状物質を塗布し、約400°C程度に加熱し
て多孔質状の銀の塊を形成し、その後、電気分解法と同
様にして塩化銀膜を形成する方法、(d)蒸着などによ
り形成した銀膜の上に塩化銀を蒸着させる方法等があ
る。
【0004】ところで、このような方法により形成され
た銀・塩化銀電極は、いずれも銀・塩化銀と基体との接
着性が悪く、膜が剥がれやすいという問題があった。こ
の膜と基体との接着性を改善したものとして、基体上
に、銀粉末と塩化銀粉末と低融点ガラスフリット(バイ
ンダ)から構成される被覆膜を形成し、ガラスフリット
により基板と被覆膜とを溶融結着させた銀・塩化銀電極
が開示されている(特公昭57ー61414号、特公昭
57ー33049号)。また、銀粒子を塩化銀中に分散
する電極系に関するバインダとして銀粒子と塩化銀粒子
とともに、ポリ塩化ピニル、エポキシ樹脂等の合成樹脂
あるいは接着剤を均一に混合した層を塗布法等により形
成してなる銀・塩化銀電極(特願昭49−99455号
公報、特願昭49−13461号公報)が開示されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の銀・塩化銀電極においては、基体との接着性
は改善されるが、バインダとしてガラスフリットを用い
たものでは、基体表面にガラスが溶融して集まり、その
結果電極抵抗の変化が大きくなり、また、表面抵抗が高
くなるという問題があった。さらに作製した膜は多孔質
状に形成され易く、膜電位差や電位ドリフト(変動)が
発生し、安定性が悪いという問題があった。
【0006】また、膜の形成には、生産性を高めるため
スクリーン印刷等の印刷方法が使用されるが、ガラスの
粉末を用いているため、印刷後に平坦な表面を得ること
が難しく、再現性に問題があった。さらに、均一性が得
られにくいことから微小電極の作製が困難であるという
問題があった。また、ガラスフリットに低融点ガラスを
用いると、低融点ガラスにはPb0、B2 3 、Si0
2 などを含むため、高圧水蒸気滅菌を行った場合や、生
体液に触れたときに重金属が溶出してしまい、これによ
る汚染、中毒が問題となっていた。また、バインダとし
て合成樹脂あるいは接着剤を用いた電極では溶存酸素の
分圧により電位が変動するという問題があった。
【0007】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、均一化および微小化を図ることがで
きるとともに、再現性に優れ、しかも滅菌等を行った場
合でも重金属等の汚染のおそれがなく安全性が高く、さ
らに溶存酸素の分圧の影響を受けにくく安定した特性が
得られる銀・塩化銀電極を提供することにある。
【0008】本発明は、また、作製工程において特性変
化のばらつきがなく、均一かつ微小な電極を得ることが
できる銀・塩化銀電極の製造方法を提供することを目的
とする。
【0009】さらに、本発明はこのような銀・塩化銀電
極を作製するための銀・塩化銀電極形成用組成物を提供
することも目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の銀・塩化銀電極
は、銀と塩化銀と耐熱性樹脂とを含む焼結体層により構
成され、より具体的には、この焼結体層が耐熱性樹脂に
より基体上に設膜されるとともに強固に接着された構造
を有している。
【0011】また、本発明の銀・塩化銀電極の製造方法
は、焼成時に熱分解して金属銀を析出する銀化合物と塩
化銀と耐熱性樹脂と溶媒とを混合して導電性ペーストを
作製し、この導電性ペーストにより基体上に膜を形成
し、次いでこの膜を所定の温度で焼成させることにより
銀化合物を分解させるものである。なお、本発明におい
て、ペーストとは、インク状の低粘度から粘土状の硬い
ものまでを総称するものとする。ここで、焼成を行うの
は、銀化合物を分解させ、表面活性の高い銀表面を形成
するとともに、塩化銀を適度に溶融させることにより均
一な銀・塩化銀電極を得るためである。焼成温度の範囲
は、250〜550°Cが望ましい。下限を250°C
としたのは、酸化銀が分解して銀に変化する温度は22
5°C付近であり、ポリイミドの縮合反応が250°C
前後で生起し、バインダーとなるためである。250°
C未満では銀化合物の分解速度が遅く、かつ塩化銀の溶
融が不十分となる。一方、上限を550°Cとしたの
は、現存する耐熱性樹脂の上限が550°C程度であ
り、これより高くなると分解して体積変化を生じ、導電
性が出現するからである。また550°Cより高くなる
と、塩化銀が溶解して流れやすくなり、抵抗値が上昇す
るとともに、物性の安定性が悪化する。
【0012】また、本発明の銀・塩化銀電極形成用組成
物は、焼結時に熱分解して金属銀を析出する銀化合物と
塩化銀と耐熱性樹脂と溶剤とを含むものである。
【0013】本発明において、耐熱性樹脂とは、化学的
耐熱性が高い高分子で、短期耐熱温度が350°C以上
の高分子をいうものと定義する。高分子の耐熱性は物理
的耐熱性と化学的耐熱性とに分類される。物理的耐熱性
は、高分子のガラス転移温度Tg、融点Tm、軟化点や
流動性の変化に対して決められる。一方、化学的耐熱性
は、高分子の熱分解や劣化に関係付けられる。短期耐熱
温度が350°C以上の高分子とは、熱重量測定で35
0°Cで変化のない樹脂であり、本発明において好まし
くは、塩化銀の融点(455°C)において10分間以
上にわたり15%以上の重量および体積の変化がない樹
脂である。また、106 Ω・cm以上の電気絶縁性のあ
る樹脂である。このような条件を満たす耐熱性樹脂とし
ては、アラミッド(芳香族ポリイミド)、ポリイミド、
ポリベンズイミダゾール、その他の含窒素縮重合系樹
脂、ポリアミドイミド樹脂やポリベンゾビスチアゾー
ル、ポリアリレート(芳香族ポリエステル)などがあ
る。ポリイミドは、線状(縮合型)ポリイミド、付加重
合型ポリイミド等があるがいずれも使用可能である。た
だし、何れの樹脂も適当な溶媒に溶解するものであるこ
とが望ましい。
【0014】ここで、溶媒としては、耐熱性樹脂として
ポリイミドを用いた場合には、ビニルピロリドンを使用
する。その他N−メチルピロリドン等のピロリドン誘導
体、およびモノグライム、ジグライム、テトラグライ
ム、トリグライム等のエーテル系の溶媒も使用できる。
【0015】また、本発明において、銀化合物として
は、焼成時に熱分解して金属銀となるような酸化銀、炭
酸銀、有機酸銀、銀錯体、炭酸銀およびコロイド銀のよ
うな銀化合物を使用することができる。ただし、溶存酸
素の影響を受けにくい電極膜を得るには、酸化銀を使用
することが望ましい。
【0016】銀化合物と塩化銀の配合比(重量比)は、
3:7〜8:2の範囲が望ましい。銀化合物の重量比が
3重量部より小さいと抵抗値が高くなり、8重量部より
大きくなると焼成時に発生する酸素のため樹脂が分解さ
れ易くなり、密着性が悪くなり、また作製された電極が
溶存酸素の影響を受け易くなる。
【0017】銀化合物および塩化銀の粒径は20μm以
下が好ましく、1〜10μmが特に好ましい。粒径が2
0μmを越えると形成される電極膜の平坦性が損なわれ
るようになる。
【0018】耐熱性樹脂の配合比(重量比)は、銀化合
物と塩化銀に対し、0.1:99.9〜20:80の範
囲が好ましい。0.1より少ないと密着性が悪く、20
を越えると抵抗値が高くなる。
【0019】本発明の銀・塩化銀電極に用いる基体とし
て使用可能なものは、銀、金、白金、グラファイト等の
導電体基板、アルミナ等のセラミック基板、ガラス、サ
ファイアやシリコン基板等の絶縁体基板または半導体基
板である。絶縁性の基板では、電極との電気的接続を行
うためにリード線を配線するか導電性層を形成する必要
がある。
【0020】このような基体上に銀・塩化銀膜を形成す
る方法としては、所望の電極形状のスクリーンを用いた
スクリーン印刷法を用いることができ、その他はけ塗
り、スプレー、ディッピング等の方法も用いることがで
きる。
【0021】次に、本発明の銀・塩化銀電極の製造方法
をさらに具体的に説明する。
【0022】粒径が1〜2μmの酸化銀粉末と粒径が1
〜2μmの塩化銀粉末とポリイミドとポリイミドを溶解
する有機溶媒(たとえば、ビニルピロリドン)とを重量
比が所定の割合(例えば、32:48:5:15)で、
粒子が凝集しないようにしながら混練させて、導電性ペ
ーストを調整する。このペーストを印刷用インクとして
用い、アルミナ基板上にスクリーン印刷装置等で電極パ
ターンを印刷する。続いて、印刷した基板を180°C
で20分間乾燥させた後、440°Cで10分間焼成さ
せる。
【0023】酸化銀は、高温では銀と酸素分子に分解す
ることが知られているが、TGA(熱重量分析)および
DSC(示差熱分析)測定の結果、225°C付近から
分解が顕著になり、410°C前後で分解速度が最大に
達することが分かった。また、塩化銀の溶融温度は44
0〜455°Cであったが、350°C付近から膜表面
への移動、焼結が顕著になった。縮合型のポリイミド
は、250°C前後で縮合反応のため、大きな重量変化
が起きるが、450°Cで10分間では15%以上の重
量変化は観測されなかった。酸化銀に関しては、焼成温
度で分解し最終的に銀となる他の銀化合物を用いても上
記と同様の結果が得られる。樹脂成分に関しても焼成温
度範囲での熱重量変化が15%以下の耐熱性樹脂であれ
ば同様の結果が得られる。
【0024】したがって、440°Cの焼成過程では、
まず、ポリイミドが硬化し、造膜し、酸化銀は銀粒子に
なり、銀粒子と塩化銀粒子が均一に分散した状態を保っ
たままで塩化銀が溶融して銀粒子を包むように広がると
推測される。このようにして、塩化銀中に銀粒子が均一
に分散した銀・塩化銀膜が得られる。特に、銀化合物と
して酸化銀を使用した場合には、顕著な効果が認められ
る。
【0025】さらに、測定溶液中に浸漬させた場合、こ
の塩化銀中に銀粒子が均一に分散した銀・塩化銀電極
は、銀電極として露出することがないので、測定溶液中
のイオンおよび酸素ガスの影響が少なく、ドリフトの小
さな電極特性が得られやすくなる。
【0026】
【実施例】
【0027】以下、本発明の実施例を図面を参照して具
体的に説明する。
【0028】(実施例1)
【0029】図1は本発明の実施例1に係る銀・塩化銀
電極1の構造を表すものである。この銀・塩化銀電極1
では、アルミナ基板2上に、銀、塩化銀および耐熱性樹
脂とから構成される銀・塩化銀電極膜(焼結体層)3が
形成されている。焼結体層3の下層部には電気的接続の
ための接続層4の一端部が形成されており、この接続層
4の他端部がリード線接続部5に接続されている。銀・
塩化銀電極膜(焼結体層)3およびリード線接続部5を
除くアルミナ基板2の表面は絶縁ガラス等の絶縁層層6
により覆われている。
【0030】次に、この銀・塩化銀電極1の作製方法に
ついて詳しく説明する。
【0031】粒径が1〜2μmの酸化銀(ナウ研究所
製)と粒径が1〜2μmの塩化銀(ナウ研究所製)と耐
熱性樹脂と有機溶媒との重量比が32:48:5:15
の導電性ペーストを調整した。耐熱性樹脂には、耐熱性
ポリイミドであるサーミッドIP-600(カネボウ・エヌエ
スシー社製)とリソコートSI-100(宇部興産社製)、全
芳香族ポリアミドであるアピエール樹脂(ユニチカ社
製)、および比較例としてポリエステル/イソシアネー
ト(東洋紡社製)とキシレン樹脂(三菱瓦斯化学社製)
とを用いた。まず、これらの耐熱性樹脂の熱分解性につ
いて焼成条件に近い条件(昇温速度:10°C/min 、
キャリアガス:空気)でTGA測定を行った。熱重量の
変化から耐熱性の強さは、サーミッド>アピエール>リ
ソコート>キシレン樹脂>ポリエステル/イソシアネー
トの順番になった。なお、440°Cにおける熱重量変
化量および室温での電気抵抗値は表1の通りである。
【0032】
【表1】
【0033】次に、上記導電性ペーストを440°Cで
10分間焼成させたときの被覆特性を表2に示した。樹
脂としては、熱重量変化が15%以下である必要がある
ことが分かる。
【0034】これら導電性ペーストをアルミナ基板2上
に印刷した後、前記と同様の条件で乾燥、加熱(キュ
ア)および焼成を行い銀・塩化銀電極膜3を形成した。
【0035】このようにして作製した銀・塩化銀電極膜
3の表面抵抗を4探針法を用いて測定した結果を表2に
まとめて示した。表面抵抗値は全て、0.25〜0.4
0Ω/□の範囲内であり、目標の1Ω/□以下であるの
で、銀・塩化銀電極として十分に使用できることが確認
された。
【0036】次に、この銀・塩化銀電極1を作用電極と
し、飽和カロメル電極を基準電極、白金電極を対極とし
て0.15M/lの水溶液に浸漬してポテンショスタッ
トで電極電位を規制しながら交流電解を行い電流応答を
測定した。この交流応答を解析して電極インピーダンス
を求めた結果を表2に一緒に示した。また、密着性テー
プ剥離試験(ゴバン目テープ試験)を行い、その結果を
同じく表2に示した。密着性の評価は、100個中の9
0〜100を合格(○)、90未満を不合格(×)とし
た。
【0037】
【表2】
【0038】(実施例2)
【0039】酸化銀と塩化銀の重量比を10:0、7:
3、4:6、2:8、0:10と変えた点以外は、実施
例1と同様の条件で5種類の試料を作製した。また、酸
化銀の代わりに銀粉を使用し、銀と塩化銀との重量比を
4:6とした試料を比較例とした。
【0040】4探針法により測定した各試料の表面抵抗
は表3のようであった。表3によれば、酸化銀と塩化銀
の重量比が0:10の試料は抵抗値が非常に高く銀・塩
化銀電極には使用できないことが分かる。また、重量比
が10:0の試料は、抵抗値が実質的には銀電極と同じ
値である。酸化銀は銀に変化しているが、酸化銀の分解
時に発生する酸素の影響により樹脂の分解が促進される
ため、密着性が悪く、電極しては使用できない。また、
酸化銀の代わりに銀粉を使用した試料は溶存酸素の影響
を受け易いことが分かる。
【0041】以上のことから、酸化銀と塩化銀の重量比
が、7:3〜2:8の範囲で銀・塩化銀電極として溶存
酸素の影響を受け難い電極を形成できることが分かっ
た。
【0042】なお、溶存酸素の影響についての測定は次
のように行った。作製した試料にリード線を接続した
後、1Mの塩化カリウム(KCl)水溶液に浸漬させ、
飽和カロメル電極に対する起電力を、酸素ガス分圧を
0、150、760mmHgと変化させて測定し、溶存
酸素の影響を調べた。その結果を表3の中に一緒に示し
た。
【0043】
【表3】
【0044】(実施例3)
【0045】酸化銀と塩化銀の重量比を4:6として、
樹脂の重量と、酸化銀および塩化銀の重量との比を5:
95、10:90、15:85、20:80、30:7
0と変えた以外は実施例1と同様の条件で、5種類の試
料を作製した。4探針法により測定した表面抵抗は表4
のようであった。
【0046】表4より、樹脂の重量と酸化銀および塩化
銀の重量との比が30:70の試料は抵抗値が非常に高
く、銀・塩化銀電極には使用できないことが分かる。こ
れに対し、樹脂の重量と酸化銀および塩化銀の重量との
比が5:95〜20:80の範囲とした試料は、安定な
銀・塩化銀電極となっている。
【0047】
【表4】
【0048】(実施例4)
【0049】実施例1で得られた銀・塩化銀電極層(焼
結体層)3を、図2に示すように、セラミック基板(厚
さ0.48mm)11に形成された直径1.5mmのキ
ャビティ部12内にシリコーン接着剤で接着させた後、
このキャビティ部12内に飽和塩化カリウム(KCl)
を含むPVAゲルからなる内部電解質ゲル層(厚さ約
0.3mm)13を形成した。次に、セラミック基板1
1の表面にフォトレジスト溶液を塗布して約50μm厚
さの絶縁膜14を形成し、その後露光現像して絶縁膜1
4に直径50μmの穴15を開け、この穴15を通して
測定液と内部電解質ゲル層13とが触れるようにした。
なお、セラミック基板11の内部には接続層16が設け
られ、銀・塩化銀電極層(焼結体層)3と基板11の表
面のリード線接続部17との間を電気的に接続してい
る。
【0050】この電極を0.1mM〜1M塩化カリウム
(KCl)および塩化ナトリウム(NaCl)を含む溶
液中に浸漬し、参照電極として飽和カロメル電極を用
い、この参照電極に対して電極電位差応答を調べた。電
位差は−41mVでほぼ一定値を示し基準電極として利
用できることが分かった。次に、0.15M塩化ナトリ
ウム(NaCl)溶液に浸漬して電位差の経時変化を調
べた結果、7日以上にわたって一定電位を保つことがわ
かった。
【0051】(実施例5)
【0052】基板にテフロン板を用いた以外は実施例1
と同様にして、酸化銀、塩化銀およびポリイミドからな
る層を形成し、180°Cで乾燥させ後、250°Cで
10分間加熱(キュア)し、その後ポリイミド層をテフ
ロン板より剥し、次いで440°Cで10分間焼成し
た。得られた膜(膜厚50μm)を打ち抜きポンチで、
直径5mmの円盤状に切り出した後、片面にリード線を
接着し、他面には含水ゲルを塗布した。このようにして
作製した膜型電極の電極抵抗を試験した結果、10Ω以
下であった。また、この電極を、粘着テープで胸部皮膚
に貼り付け、リード線を心電計に接続しても安定に心電
波形が測れることがわかった。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように請求項1および2記
載の銀・塩化銀電極によれば、特定の組成比の銀化合物
と塩化銀と耐熱性樹脂とを含む焼結体層により構成した
ので、これを基体上に形成した場合には耐熱性樹脂によ
り設層されるとともに、基体に対し強固に接着され、基
体との接着性が向上する。また、溶存酸素によって電極
電位が変化しないので、高濃度の酸素が共存する測定溶
液中でも正確な測定が可能であり、しかも膜の平坦性が
良いため均一性が向上し、スクリーン印刷によって製造
した場合には、容易に微小化を図ることができる。さら
に、高圧水蒸気滅菌によっても電位の変動がきわめて小
さいので生体用電極としても使用が可能である。また、
膜電極として形成した場合、柔軟であり生体皮膚に馴染
み易いという利点もある。
【0054】また、請求項3および4に記載の銀・塩化
銀電極の製造方法によれば、銀化合物と塩化銀と耐熱性
樹脂と溶媒とを混合して導電性ペーストを作製し、この
導電性ペーストにより基体上に膜を形成し、この膜を所
定の温度で焼成させるようにしたので、特にスクリーン
印刷方法を用いることにより前記銀・塩化銀電極を容易
に製造できる。
【0055】さらに、請求項5ないし11に記載の銀・
塩化銀電極形成用組成物によれば、焼成時に金属銀を析
出する銀化合物と塩化銀と耐熱性樹脂と溶剤とを含むよ
うにしたので、これを用いることにより前記銀・塩化銀
電極を容易に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る銀・塩化銀電極1の構
造を表す断面図である。
【図2】本発明の実施例4に係る銀・塩化銀電極を基準
電極として使用した場合の構造を表す断面図である。
【符号の説明】
1 銀・塩化銀電極 2 アルミナ基板 3 銀・塩化銀電極層(焼結体層) 4 接続層 11 セラミック基板 13 内部電解質ゲル層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ▲ぬで▼島 雅博 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内 (72)発明者 下村 猛 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内 (72)発明者 渡辺 博明 東京都板橋区蓮根3丁目25番3号 藤倉化 成株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銀と塩化銀と耐熱性樹脂とを含む焼結体
    層を有することを特徴とする銀・塩化銀電極。
  2. 【請求項2】 基体上に、銀と塩化銀と耐熱性樹脂とを
    含む焼結体層が形成されたことを特徴とする銀・塩化銀
    電極。
  3. 【請求項3】 銀化合物と塩化銀と耐熱性樹脂と溶媒と
    を混合して導電性ペーストを作製し、この導電性ペース
    トにより基体上に膜を形成し、この膜を前記銀化合物が
    熱分解する温度以上の温度で焼成させることを特徴とす
    る銀・塩化銀電極の製造方法。
  4. 【請求項4】 焼成温度が250〜550°Cの範囲で
    あることを特徴とする請求項3記載の銀・塩化銀電極の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 250〜550°Cの範囲の焼成温度で
    導電性金属を析出する銀化合物と塩化銀と耐熱性樹脂と
    溶剤とを含むことを特徴とする銀・塩化銀電極形成用組
    成物。
  6. 【請求項6】 前記銀化合物が、酸化銀、銀錯体、有機
    酸銀、炭酸銀およびコロイド銀からなる群より選択され
    た少なくとも1種であることを特徴とする請求項5記載
    の銀・塩化銀電極形成用組成物。
  7. 【請求項7】 前記銀化合物が、酸化銀である請求項6
    記載の銀・塩化銀電極形成用組成物。
  8. 【請求項8】 前記銀化合物と塩化銀の重量比が、3:
    7〜8:2の範囲であることを特徴とする請求項5ない
    し7のいずれか1に記載の銀・塩化銀電極形成用組成
    物。
  9. 【請求項9】 耐熱性樹脂が、250〜550°Cの焼
    成温度の耐熱性を有する電気絶縁性高分子である請求項
    5ないし8のいずれか1に記載の銀・塩化銀電極形成用
    組成物。
  10. 【請求項10】 前記耐熱性樹脂の重量と、銀化合物と
    塩化銀の重量との比が、0.1:99.9〜20:80
    の範囲であることを特徴とする請求項5ないし9のいず
    れか1に記載の銀・塩化銀電極形成用組成物。
  11. 【請求項11】 銀化合物と塩化銀の粒径がそれぞれ2
    0μm以下であることを特徴とする請求項5ないし10
    のいずれか1に記載の銀・塩化銀電極形成用組成物。
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