JP2574495B2 - 炭素微小電極及びその製造方法 - Google Patents

炭素微小電極及びその製造方法

Info

Publication number
JP2574495B2
JP2574495B2 JP2001051A JP105190A JP2574495B2 JP 2574495 B2 JP2574495 B2 JP 2574495B2 JP 2001051 A JP2001051 A JP 2001051A JP 105190 A JP105190 A JP 105190A JP 2574495 B2 JP2574495 B2 JP 2574495B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon
wire
electrode
oil
organic binder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2001051A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH03188367A (ja
Inventor
浩子 金子
雅弘 山田
征史 重松
明 根岸
隆昌 川窪
吉久 須田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Pencil Co Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Agency of Industrial Science and Technology
Mitsubishi Pencil Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Agency of Industrial Science and Technology, Mitsubishi Pencil Co Ltd filed Critical Agency of Industrial Science and Technology
Priority to JP2001051A priority Critical patent/JP2574495B2/ja
Publication of JPH03188367A publication Critical patent/JPH03188367A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2574495B2 publication Critical patent/JP2574495B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measurement And Recording Of Electrical Phenomena And Electrical Characteristics Of The Living Body (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、電気化学的検出器、環境分析用センサ
ー、および生体系や食品系等の無害、無毒性が厳しく要
求される検出系のプローブ電極等に用いられるボルタン
メトリー用炭素微小電極及びその製造方法に関する。
詳しくは、電極材料として結晶性炭素微粉末と有機物
粘結材とを高度に分散複合させた組成物を、所望する細
線状に押出成形した後、不活性雰囲気中で高温度まで焼
成することにより、含まれる有機物粘結材を炭素化して
得られる純粋な複合炭素細線をそのまま、もしくはこれ
に油を含浸させたものを作用電極として用い、その一端
をリード線に導通をとった後、他の一端の先端部を必要
量露出させる外は、炭素細線の全表面を絶縁物で被覆す
ることを特徴とする炭素微小電極、およびその製造方法
に関する。
〔従来の技術〕
分析化学に於て利用されている電気化学的手法にボル
タンメトリー(電圧電流法)がある。この電気化学的検
出器を用いた高速液体クロマトグラフィー等は、選択性
が非常に高く、高感度な測定が可能であるため、定量目
的成分が極微量でかつ多数の混合物を含む臨床生体試料
や、環境試料、などの分析に盛んに使われている。とこ
ろで、電気化学的検出器の作用電極として、どの様な電
極材料を選択するかは、測定物質の種類や定量の可否に
大きく影響する。従来、こうしたボルタンメトリー用作
用電極としては、水銀滴下電極、静止水銀電極、白金、
金、金アマルガム、銅、炭素(グラスライクカーボン、
カーボンファイバー、カーボンペースト、パイログラフ
ァイト、)等げ検討されてきたが、これらの中で水銀電
極がポーラログラフ用電極として、またグラスライクカ
ーボンが電気化学的検出器用電極の主流になってきた。
しかしながら、ポーラログラフ法では、水銀の毒性が安
全性の点で問題化し始めており、水銀に替わる毒性の無
い電位窓の広い良好な電極が求められている。またグラ
スライクカーボンでも改良されるべき点が多い、すなわ
ち電流感度が低く、高い正電位で電解質を介して電位が
かかると、電極表面の再現性が悪くなる。そのために適
用できる電位範囲は、+1.0V付近迄であった。また酸化
処理などの前処理の影響が大きく、測定の再現性に問題
があった。
こうした電気化学的検出器を用いて、生体系で特に細
胞レベルの生理学的情報をその場使用(insitu)で得る
ことが近年極めて重要になってきた。この為には、電極
を生体の目的細胞の近傍に配置するか、刺入して、その
場で物理的、化学的、電気的、に刺激を与えて神経細胞
の応答や化学変化の経緯を測定できることが要求され、
細胞に対する毒性がなく、極めて細い(μm程度)電極
が必要とされている。従来、この種の電極としては、細
く引き延ばしたガラス毛細管内に塩化カリウム水溶液の
ような導電性水溶液を満たした電極が、生理学者達の間
で多く使用されてきた。それを作成するための装置(ガ
ラス電極作成装置・プーラー)も市販されている。
しかし、この電極では、電気パルスによる刺激は伝え
られても、電気化学的な情報が得られない。その他にも
生体系に電気を導通する目的には、強度的に弱い金や白
金を合金化して強化したものや、タングステン等を細く
した金属細線電極が使用されてきた。(特許公報昭55−
30381)白金電極では、水素発生電位より負側で使用で
きない上に前処理も難しい。金電極は、ハロゲン化イオ
ンに対して弱い。
また、これらの電極は、金属を素材とするためイオン
が溶出し毒性があり生体系を害するが、これに替わる良
好な電極が無いため現在もその使用を余儀なくされてい
る。
更に、最近、炭素微小電極として炭素繊維の1本(直
径数μm程度)を用いたものが市販され始めたが、これ
は発明者らの研究によると電気化学的特性のバラツキが
多く、データの再現性が得られず信頼性に欠ける。
〔発明が解決しようとする課題〕
そこで、発明者らは、前記した電極材料の欠点を解決
すべく、即ち、 生体系に対して、電球、電圧の何れをも加えること
が出来る細胞規模の微小電極を作成すること、 生体系に対して、毒性をもたないこと。
(もし、生体内に残存しても安全であること)また、食
品検査にも使用できること。
生体及び食品などに刺して、極く微小(微量)部分
の電気化学的検出を可能とする機械的強度を具備するこ
と。
電極特性のバラツキが少なく、データの再現性があ
り、信頼性のある計測を可能とすること。
特殊な前処理を必要とせず、安定に電極反応を測定
できること。
安価で、使い捨てが出来ること。
を目標として、炭素材料が電位窓が大きく、前処理も
容易であり、溶出せず毒性がない、等他の材料に無い極
めて優れた性質をもつことに着目して鋭意研究を重ね、
前記した電極等の問題点を改善した新複合炭素材料を用
いた微小電極の開発に成功した。
〔課題を解決するための手段〕
ボルタンメトリー用電極としての必要条件は、 電位窓が大きく、ブランク電流が小さいこと。
再現性が良く繰り返し使用が可能であること。
電極反応活性があること。
電極特性に固体差がないこと。
不純物の含有が少ないこと。
理論的解釈が可能であること。
取扱いや前処理が容易であること。
等が挙げられるが、発明者らは、炭素の細棒がこれら
の条件を満たすか否かを確かめるために、厳格な品質管
理が成され、機械強度が高い複合炭素材料で作られるシ
ャープペンシルの芯(GRC;Graphite Rainforcement Car
bon)を電極として用いて試験を行った結果、従来の炭
素材料と比べて同等以上の特性を持つものであるとの知
見が得られた。そこで、以前にシャープペンシルの芯を
プローブ電極として用いることを提案した。(特願昭63
−078698) この芯素材は、電極として良好な挙動を示す上、機械
的強度が大きいので電気化学的検出系、環境分析用セン
ター、および無毒性を利用して食品検査や医療用検出系
に有効に使用しうることを示した。しかし、シャープペ
ンシルの芯は、市販品(JIS指定)として直径0.2〜1.0m
mの物が有るのみで、細胞レベルの検出系に適応できる
程に(100μm以下から数μm程度まで)細いものは無
い。
また、シャープペンシルの芯素材では、ここまで細く
した場合に耐えられる程の機械的強度に乏しい。そこ
で、筆記具としてでは無く微小電極としての特性を高め
るべく素材調整を行い、電極の先端直径が100μm以下
から数μm迄の極細炭素線に成形加工する方法を見出し
た。
また、この極細炭素線の一端をリード線に導通をとっ
た後、炭素細線の他端先端部を残して、その他全表面を
絶縁物で被覆して、炭素微小円盤電極及び炭素微小円柱
電極を作成し、本願微小電極の発明を完成させたもので
ある。
では、次に本願発明の中心となる極細炭素線の製造方
法について説明する。
即ち、基本的には結晶性炭素微粉末と有機物粘結材と
を高度に分散複合させた組成物を、所望する細線状に押
出成形した後、不活性雰囲気中または非酸化性雰囲気中
で高温度まで焼成することにより、含まれる有機物粘結
材を炭素化して得られる純粋な複合炭素細線を製造し、
これをそのまま用いるかもしくは、これに油を含浸させ
たものを作用電極として用いることである。
本願に言う、有機物粘結材は、不活性雰囲気中または
非酸化性雰囲気中で焼成すると有効に炭素化物を残す有
機物であって、具体的には、有機高分子物質及び、その
モノマー・オリゴマー類、タール・ピッチ類、乾留ピッ
チ類、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の初期重合体類、等
の内の一種または、二種以上の混合物である。
以下具体的に一例を挙げる。即ち、有機高分子物質の
内、天然高分子物質類としては、リグニン、セルロー
ス、トラガントガム、アラビアガム、天然ガム及びその
誘導体、糖類、キチン、キトサン等のごとき縮合多環芳
香族を分子の基本構造内に持つ化合物である。また、合
成高分子物質類としては、後述する熱可塑性樹脂および
熱硬化性樹脂以外の物質で、例えば、ナフタレンスルフ
ォン酸のホルマリン縮合物、ジニトロナフタレン、ピレ
ン、ピラントロン、ビオラントロン、ベンゾアントロン
等から誘導されるインダンスレン系建染染料及びその中
間体である。
熱可塑性樹脂類としては、ポリ塩化ビニル、ポリアク
リロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、後塩素化ポリ塩化
ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ
ビニルピロリドン、エチルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロース、ポリ塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、
等の通常の熱可塑性樹脂及びポリフェニレンオキサイ
ド、ポリパラキシレン、ポリスルフォン、ポリイミド、
ポリアミドイミド、ポリベンツイミダゾール、ポリオキ
サジアゾール、等の耐熱性熱可塑性樹脂がある。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、フラン樹
脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、コプナ樹脂、等が用
いられ加熱により、流動すると共に、分子間架橋を生じ
三次元化して硬化し特別の炭素前駆体化処理を行うこと
なく高い炭素残査収率を示すものが用いられる。
ピッチ類としては、石油ピッチ、コールタールピッ
チ、アスファルト、及び、これらのピッチ類や合成樹脂
などの炭化水素化合物の乾留物(400℃以下の処理物)
が用いられる。
次に、本発明において有機物粘結材に複合して用いら
れる結晶性炭素微粉末について説明を加える。
発明者らの研究における知見によれば、電極反応を良
好に行わせるには、高度に発達した黒鉛の結晶端面が電
極面に垂直に整列するように組織配向した複合炭素材料
を作成することである。それ故、結晶性炭素微粉末とし
ては、黒鉛ウイスカ、高配向性気相分解黒鉛(HOPG;Hig
hly−Oriented Pyrolytic−Graphite)、キッシュ黒
鉛、結晶質天然黒鉛が好ましく用いられる。結晶質炭素
微粉末の粒度は、目的とする電極の直径に依っても異な
るが、最大径が数μm以下であることが好ましい。ま
た、結晶性炭素微粉末の配合量も使用する有機物粘結材
の種類及び、目的とする電極の直径に依って異なるが、
炭素化する前の有機物線状組成物(グリーン組成物)中
20〜80重量%、好ましくは40〜60重量%であること。
さて、焼成前の結晶性炭素複合有機質細線(グリーン
細線)は、上記の天然高分子物質、合成高分子物質、熱
硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、ピッチ類等の内一種また
は、二種以上を有機物粘結材としてこれに前記結晶性炭
素微粉末を目的に応じ適宜選択して配合し、ヘンシェル
ミキサー等で粉体分散を十分に行った後、必要に応じて
可塑剤、溶剤等を添加し、加圧ニーダーまたは二本ロー
ル等の高度に剪断力が掛けられる混練機を用いて、十分
に混合分散を施す。然る後、ペレタイザーにより顆状化
し、スクリュー式押出機により所望の直径に押出成形し
て製造される。この際に特性改善の目的で、細線に延伸
操作が施されることが望ましい。
次に、この細線を真直性を維持させるために支持枠に
固定して、180℃に加熱されたエアー・オーブン中に
て、10時間処理してブリカーサ(炭素前駆体)線材とす
る。
更に、窒素ガス中で昇温速度を制御しつつ、1,000℃
迄徐々に加熱して炭素化を終了させた後自然放冷して焼
成を完了させることによって微小電極用炭素細線が得ら
れる。
目的により、要すれば更に、真空中又は、アルゴン気
相中で2,500℃迄加熱処理を施して全体を黒鉛質にする
ことも行われる。
こうして得られた微小電極要炭素細線は、そのままか
或いは、油含浸処理を施してから作用電極として用い
る。
本発明の油含浸処理に用いられる油の種類は、動・植
物油、鉱油、シリコーン油等の油脂類、及びワックス類
であり、含浸に適するよう室温かもしくは加熱下で低粘
性であるものが好ましい。また、油含浸の方法は、通常
の液体含浸方法が採用され、炭素細線を油中に浸漬し、
常圧下で加熱するか加圧、減圧等を繰り返すことに依っ
て行なわれる。
次に、前記した炭素細線もしくは油含浸された炭素細
線を用いて微小電極に加工する方法について説明する。
炭素細線の一端を導線に接合して導通を取った後、こ
の全表面を絶縁体で被覆してから、炭素細線の導線側で
ない他の一端を必要に応じて絶縁皮膜より突出させて外
部に露出させて完成させる。絶縁に用いられる絶縁性の
材料としては、ガラス、およびプラスチックス等が用い
られるが、電解液中に浸漬して使用する場合には、テフ
ロンやシリコン等の耐食性樹脂材料で構成されることが
好ましい。絶縁被覆の方法としては、プラスチックの場
合には通常の塗工法が適用される。即ち、スプレー塗
装、ディッピング塗装、静電塗装、等が適している。
次に、ガラスによる被覆方法について説明する。
パイレックスガラス製の毛細管内に両端を銀ペースト
によって導線に接合した炭素細線を嵌挿して挾持させ、
該パイレックスガラス製の毛細管の両端を、ガラス毛細
管製造用プーラーの牽引端子に固定して、パイレックス
ガラス製の毛細管の中央部を均一に加熱して可塑化させ
ると同時にプーラーを牽引することにより炭素細線を挾
持したままガラス皮膜ぎ構築される。これを、中央部で
切断して炭素細線の一端を露出させて電極を完成させ
る。
〔実施例〕
以下、この発明を実施例をもって具体的に説明する。
(実施例1) 電極用炭素細線の材料として、後塩素化ポリ塩化ビニ
ル樹脂(日本カーバイト社製 T−742)40重量%、高
結晶性天然黒鉛微粉末(日本黒鉛社製 CSSP−B)60重
量%、を加えた配合物100重量%に対して、可塑剤とし
てジアリルフタレートモノマー25重量%を添加してヘン
シェルミキサーを用いて分散した後、表面温度を120℃
に保ったミキシング用二本ロールを用いて十分に混練を
繰り返し、黒鉛粒子が一次粒子状態に近くなるまで続行
して、メカノケミカル反応を誘起させたシート状組成物
を、ペレタイザーによってペレット化した成形用組成物
を得た。このペレットをスクリュー型押出機で直径80μ
mのダイを用いて、脱気を行いつつ成形温度130℃で押
し出し、4倍に延伸してこれを枠に固定して180℃に加
温されたエアーオーブン中にて10時間空気酸化させて処
理し、プリカーサとした。
次に、これを窒素ガス中で500℃迄を10℃/時、500〜
1,000℃迄を50℃/時の昇温速度で昇温させ、1,000℃で
3時間保持した後自然放冷させて焼成を完了させ、直径
15μmの電極用炭素細線を得た。
次に、この炭素細線を10cmに切断し、この両端に銅線
を銀ペーストで接合した。これを、パイレックスガラス
製の毛細管(内径0.5mm、外径1mm)内に挿入してから、
このガラス管の両端をプーラーの牽引端子に固定する。
ガラス管中央部の幅2cmを加熱してこの部分を可塑化さ
せ、一気にプーラーを作動させてガラス管壁を炭素細線
に密着させた。最後に、中央部で切断して炭素面を露出
させて微小電極を完成した。
神経細胞より分泌される神経伝達物質であるカテコー
ルアミンの一種であるドーパミンは、大変酸化されやす
く不安定な物質である。この微小電極を用いてリンゲル
液中に溶解したドーパミンのサイクリックボルタンモグ
ラム(C.V曲線)と、その物質の経時変化を測定した例
を第1図A,Bに示す。
第1図Aにおいては、ジハイドロキノンであるドーパ
ミンが(I式)に従って酸化還元する変化に相当する2
つの波が明瞭に観察された。また、Bでは、C.V曲線の
経時変化が観察され、ピークの高さで示されるドーパミ
ンの量が酸化還元反応を重ねるごとに減少してゆく様子
が明らかに検出された。
(実施例2) 電極用炭素細線の材料として、ポリ塩化ビニル・ポリ
酢酸ビニル共重合樹脂(日本ゼオン社製ML)25重量%、
フラン樹脂初期縮合物(日立化成社製 VF−302)25重
量%、キッシュ黒鉛)(光和精鉱社製 KH)50重量%を
加えた配合物100重量%に対して、可塑剤としてジブチ
ルフタレート25重量%を添加して実施例1と同様にヘン
シェルミキサーを用いて分散した後、表面温度を70℃に
保ったミキシング用二本ロールを用いて十分に混練を繰
り返し、黒鉛粒子が一次粒子状態に近くなるまで続行し
て、メカノケミカル反応を誘起させたシート状組成物を
ペレタイザーによってペレット化した成形用組成物を得
た。
このペレットを、スクリュー型押出機で直径150μm
のダイを用いて、脱気を行いつつ成形温度100℃で押し
出し、2倍に延伸してこれを枠に固定してから、180℃
に加温されたエァーオーブン中にて10時間処理して完全
硬化を行って、プリカーサとした。以降、実施例1と同
様に焼成処理して、直径50μmの電極用炭素細線を得
た。
次に、この炭素細線を長さ3cmに切断し、その一端を
銀ペーストによって銅線に接合した後、他の端を1mm露
出させたほかは総て室温硬化型シリコーン樹脂で被覆し
て絶縁を施し、微小電極を完成させた。
この電極を用いて、ビタミンCを10倍量共存させて、
サイクリックボルタンモグラム(C.V曲線)を測定し
た。
即ち、実施例1に示したように、ドーパミンはリンゲ
ル液中で単独で存在すると、大変不安定であるため、保
存する場合には、当量以上のアスコルビン酸(ビタミン
C)と共存させておく。また、生体内でもビタミンCと
共存状態で存在していると言われている。従って、ドー
パミンの検出は、多量のビタミンC共存系で行う必要が
ある。
この結果を、第2図A,Bに示す。
Aは、リンゲル液中でのビタミンCのみのC.V曲線で
あり、Bは、同液中でビタミンCと共存したドーパミン
のC.V曲線である。ビタミンC共存下でも、ドーパミン
のジキノン部の酸化還元反応に相当する2つの還元波と
1つの酸化波が見られ、それらのうち、酸化波を利用し
てドーパミンの定量が可能になった。
尚、このC.V曲線を利用する分析法の代わりに、更に
高感度分析法である微分パルスボルタンメトリー法でも
本発明による微小電極の使用が可能であった。
(実施例3) 実施例2によって得られた直径50μmの炭素細線を常
圧下140℃に加熱されたシリコーンオイル(KF−96 信
越化学社製)に浸漬し、6時間含浸処理を施した。得ら
れた油含有炭素細線を用い実施例2と同様に加工して微
小電極として完成させた。この電極を用いて、1モルKC
1中でブランク電流の測定を行ない、更にフェロシアン
イオンのレドックス反応を1モルKC1−1ミリモルFe(C
N)6 4-系で行なった。結果のC.V曲線を図3に示す。何
れの場合でも油処理が施されたものの方がS/N(シグナ
ル/ノイズ)比が高く良好な電極反応を示した。
〔発明の効果〕
以上、説明したように本発明に依れば、従来使用でき
なかった生体内その場使用(in situ)向けの炭素微小
電極を提供することが可能となった。
更に、油加工を施すことで、ブランク電流を減少させ
ることが出来S/N比の高い良好な電極とすることができ
る。
即ち、本発明による、炭素微小電極は、生理的に毒性
が無い。イオンの溶出が無い。細くても剛性や機械的強
度が高い。データーの再現性が良く、信頼性が高い。品
質管理が十分に行えるので、多量にしかも安価に供給す
ることが可能である。等の極めて優れた性能が発揮でき
るので、円盤状、円柱状、その他様々な計測用電極とし
て多用途に使用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
(第1図A)実施例1において、生理的食塩水を主成分
とするリンゲル液中に10ミリモルのドーパミンを溶解
し、溶液中の酸素を除去(Arガス通気 5分間)後、ド
ーパミンのサイクリックボルタンモグラムを500mV/秒の
掃引速度で測定したC.V曲線を示した。 (第1図B)AのC.V曲線測定後5分間放置後Aと同一
掃引速度で測定したC.V曲線を連続して重ね書きした結
果をBに示す。サイクルを重ねる度に、ピーク電流は減
少し、ドーパミンの分解速度が推定できることを示し
た。 (第2図A)実施例2において実施例1と同一のリンゲ
ル液中で測定した、10ミリモルのビタミンCのC.V曲線
である。 (第2図B)曲線(…)は、10ミリモルのビタミンCの
C.V曲線であり、曲線(−)は、ドーパミンの量が2.8ミ
リモル量のものである。 (第3図A)は、1モルKC1中でのブランク電流の測定
を行ったものであり、 (第3図B)は、1モルKC1−1ミリモルFe(CN)6 4-
でフェロシアンイオンのレドックス反応を測定したもの
である。
フロントページの続き (72)発明者 重松 征史 茨城県つくば市梅園1丁目1番4 工業 技術院電子技術総合研究所内 (72)発明者 根岸 明 茨城県つくば市梅園1丁目1番4 工業 技術院電子技術総合研究所内 (72)発明者 川窪 隆昌 群馬県藤岡市立石1091 三菱鉛筆株式会 社群馬研究開発部内 (72)発明者 須田 吉久 群馬県藤岡市立石1091 三菱鉛筆株式会 社群馬研究開発部内 審査官 能美 知康 (56)参考文献 特開 平3−2553(JP,A) 特開 平1−250854(JP,A) 特開 平1−173862(JP,A) 特開 昭62−123349(JP,A) 実開 昭60−106609(JP,U)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結晶性炭素微粉末と有機物粘結材とを高度
    に分散複合させた組成物を、所望する細線状に押出成形
    した後、不活性雰囲気中または非酸化性雰囲気中で高温
    度まで焼成することにより、含まれる有機物粘結材を炭
    素化して得られる炭素細線の直径が0.2mm以下、1μm
    以上である純粋な複合炭素細線をそのまま、もしくはこ
    れに油を含浸させたものを作用電極として用い、その一
    端をリード線を導通をとった後、他の一端の先端部を必
    要量露出させる外は、炭素細線の全表面を絶縁物で被覆
    することを特徴とする炭素微小電極。
  2. 【請求項2】前記の含浸に用いられる油は、動・植物
    油、鉱油、シリコーン油等の油脂類、及びワックス類の
    一種または二種以上であることを特徴とする請求項1に
    記載の炭素微小電極。
  3. 【請求項3】結晶性炭素微粉末が、黒鉛ウイスカ、HOPG
    (Highly Oriented Pyrolytic Graphite)、キッシュ黒
    鉛、結晶質天然黒鉛である請求項1に記載の炭素微小電
    極。
  4. 【請求項4】有機物粘結材は、不活性雰囲気中または非
    酸化性雰囲気中で焼成すると炭素化物を残す有機物であ
    って、具体的には、有機高分子物質及び、モノマー・オ
    リゴマー類、タール・ピッチ類、乾留ピッチ類、熱可塑
    性樹脂、熱硬化性樹脂の初期重合体類、の一種または、
    二種以上の混合物である請求項1に記載の炭素微小電
    極。
  5. 【請求項5】絶縁用被覆材料は、ガラス、酸化物、合成
    樹脂等の内、電気化学的に反応しないものを用いる請求
    項1に記載の炭素微小電極。
  6. 【請求項6】結晶性炭素微粉末と有機物粘結材とを高度
    に分散複合させた組成物を、所望する細線状に押出成形
    した後、不活性雰囲気中または非酸化性雰囲気中で高温
    度まで焼成することにより、含まれる有機物粘結材を炭
    素化して得られる炭素細線の直径が0.2mm以下、1μm
    以上である純粋な複合炭素細線をそのまま、もしくはこ
    れを油中に浸漬し、加熱または加圧、減圧を繰り返すこ
    とに依って油含浸処理が施されたものを作用電極として
    用い、その一端をリード線に導電性銀ペーストで接着し
    て導通をとった後、他の一端の先端部を必要量露出させ
    る外は、炭素細線の全表面を絶縁物で被覆することを特
    徴とする炭素微小電極の製造方法。
  7. 【請求項7】焼成、炭素化は不活性雰囲気中または非酸
    化性雰囲気中で、通常500〜1500℃の温度に加熱処理
    し、要すれば更に不活性雰囲気中2000〜3000℃迄加熱を
    施して黒鉛化処理することからなる請求項6に記載の炭
    素微小電極の製造方法。
JP2001051A 1989-09-28 1990-01-09 炭素微小電極及びその製造方法 Expired - Lifetime JP2574495B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001051A JP2574495B2 (ja) 1989-09-28 1990-01-09 炭素微小電極及びその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1-250772 1989-09-28
JP25077289 1989-09-28
JP2001051A JP2574495B2 (ja) 1989-09-28 1990-01-09 炭素微小電極及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH03188367A JPH03188367A (ja) 1991-08-16
JP2574495B2 true JP2574495B2 (ja) 1997-01-22

Family

ID=26334207

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001051A Expired - Lifetime JP2574495B2 (ja) 1989-09-28 1990-01-09 炭素微小電極及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2574495B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6838175B2 (en) 2001-01-31 2005-01-04 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Carbon microrod and method of producing the same

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2574523B2 (ja) * 1990-07-16 1997-01-22 工業技術院長 炭素微小電極及びその製造方法
JPH08227714A (ja) * 1995-02-21 1996-09-03 Mitsubishi Pencil Co Ltd リチウムイオン二次電池負極用炭素材料およびその製造方法
JP2014002015A (ja) * 2012-06-18 2014-01-09 Asahi Glass Co Ltd 微小金属電極およびその製造方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6378698A (ja) * 1986-09-22 1988-04-08 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 選択駆動回路
JPH01136371A (ja) * 1987-11-24 1989-05-29 Toshiba Corp 半導体装置の製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6838175B2 (en) 2001-01-31 2005-01-04 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Carbon microrod and method of producing the same

Also Published As

Publication number Publication date
JPH03188367A (ja) 1991-08-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2655742B2 (ja) 先細炭素微小電極及びその製造方法
JP2816262B2 (ja) 炭素微小センサー電極およびその製造方法
JP2783927B2 (ja) 電極用炭素材料およびその製造方法
JP2740587B2 (ja) 微小複合電極およびその製造方法
US6042751A (en) Thick film conductor composition for use in biosensors
Babu et al. Binder free and free-standing electrospun membrane architecture for sensitive and selective non-enzymatic glucose sensors
US6599408B1 (en) Thick film conductor composition for use in biosensors
Huffman et al. Electrochemical properties of different carbon‐fiber microelectrodes using fast‐scan cyclic voltammetry
Manasa et al. S (O) MWCNT/modified carbon paste–A non‐enzymatic amperometric sensor for direct determination of 6‐mercaptopurine in biological fluids
Suneesh et al. Tantalum oxide honeycomb architectures for the development of a non-enzymatic glucose sensor with wide detection range
WO2019120314A1 (zh) 一种基于单壁碳纳米角电极的固态离子选择性电极及制备方法
Özdokur Voltammetric determination of isoniazid drug in various matrix by using CuOx decorated mw‐cnt modified glassy carbon electrode
JP2574495B2 (ja) 炭素微小電極及びその製造方法
Rabie et al. Fabrication of a new electrochemical sensor based on carbon paste electrode modified by silica gel/MWCNTs for the voltammetric determination of salicylic acid in tomato
CN111122676B (zh) 一种基于铂-金-生物质炭纳米复合材料的电化学传感器的制备与槲皮素检测的应用
US5273639A (en) Probe electrode
JP2574523B2 (ja) 炭素微小電極及びその製造方法
Ehzari et al. A sensitive electrochemical sensor based on multiwall carbon nanotube-ionic liquid/nickel oxide nanoparticles for simultaneous determination of the antipsychotic drugs clozapine and sertraline
Zhang et al. Determination of l-tryptophane using a sensor platform based on LaCoO 3 poriferous nanofibers by electrospinning
Li et al. Electrochemical sensor based on antibody modified of MnO2@ CNTs/GCE for cardiac myoglobin detection in human blood serum as a sensitive marker of muscle damage
Ghanbari et al. Modified glassy carbon electrode with silver nanoparticles/polyaniline/reduced graphene oxide nanocomposite for the simultaneous determination of biocompounds in biological fluids
JPH01250854A (ja) プローブ電極
JPH05142189A (ja) 銀・塩化銀電極、その製造方法およびそれに用いる銀・塩化銀電極形成用組成物
Chang et al. Voltammetric determination of sunscreen by convenient epoxy-carbon composite electrodes
JP3056283B2 (ja) クーロメータ型電解セル用作用電極

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term