JP4172104B2 - Ptp包装体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定深さの複数のポケットを規則的に備えたプラスチック製のポケットシートのポケット内に、食品、医薬錠剤、ガラスアンプルなどの内容物を装填し、ポケット開口部を別の被覆シートにより被覆して密封包装したプレス・スルー・パックと称するPTP包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の上記PTP包装体の密封包装に使用する被覆シートの素材としては、フレキシブルなプラスチックシートとアルミニウム箔とのラミネートシート、又は硬質のプラスチックシートとアルミニウム箔とのラミネートシートが使用されている。
【0003】
また、内容物を装填するポケットシートの素材としては、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどが使用され、また、防湿性を付与するために水蒸気バリア性の高いポリ塩化ビニリデンをコーティンクしたものなどが使用されている。
【0004】
このPTP包装体は、ポケット外側から錠剤などの内容物を被覆シート側に押圧し、その内容物による押圧力によって被覆シートを破断開封して、内容物を包装体内より取り出して使用するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このようなPTP包装体の被覆シートには、従来はプラスチックシートとアルミニウム箔とのラミネートシートが使用されているため、固形内容物を取り出した後のPTP包装体の廃棄処理においては、プラスチックとアルミニウム箔とを含んでいるために、自然環境の維持保全の観点から簡単な廃棄処理ができない問題がある。
【0006】
また、従来のPTP包装体においては、その包装体の製造作業中や、包装体の開封中に、アルミ金属箔によって手を傷付けたりする心配があり、また、開封時に、破断したアルミ金属箔の破片を内容物と一緒に飲み込んでしまう危険性もある。
【0007】
本発明は、使用後の空になったPTP包装体の廃棄処理を容易にできるようにするとともに、包装体製造作業中や包装体開封中におけるアルミ金属箔による手指に対する損傷や、破断したアルミ金属箔の破片を飲み込む危険性を回避することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る発明は、所定深さの複数のポケットが成形されたポケットシート1と、該ポケットシート1のポケット内に装填された所定内容物Cと、該ポケットシート1の開口面側を被覆密封した被覆シート2からなるPTP(プレススルーパック)包装体であって、該被覆シート2が、少なくとも合成樹脂製の外面層3と合成樹脂製の接着性内面層4とによる非金属素材により積層構成され、前記被覆シート2の少なくとも内面側に易開封性擦過傷が付与されているPTP包装体において、前記被覆シート2を構成する外面層3と接着性内面層4との積層内面のいずれか一方若しくは両方に、毛書き線状パターンによる易開封性擦過傷が付与され、前記外面層3と接着性内面層4のいずれか一方若しくは両方が少なくとも一軸延伸フィルムであり、且つその延伸配向方向と易開封性擦過傷のカット方向とが略等しい方向であることを特徴とするPTP包装体である。
【0011】
次に、本発明の請求項2に係る発明は、上記請求項1に係る発明のPTP包装体において、前記外面層3と接着性内面層4とが、互いに接着剤若しくは熱溶融性樹脂を介して接着していることを特徴とするPTP包装体である。
【0012】
次に、本発明の請求項3に係る発明は、上記請求項1又は請求項2に係る発明のPTP包装体において、前記外面層3と接着性内面層4とが、互いにドライラミネート方式若しくはエクストルーダーラミネート方式にて接着していることを特徴とするPTP包装体である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のPTP包装体の発明の実施の形態を、図1に示すPTP包装体の側断面図に従って以下に詳細に説明する。
【0016】
本発明の第1の実施の形態としてのPTP包装体は、所定深さの複数の凹部状のポケット1aが、熱間真空成形法、熱間圧空成形法など適宜プラスチックシート成形方式により成形されたプラスチック製のポケットシート1を備える。
【0017】
該ポケットシート1の各ポケット1a内には、所定の内容物Cが装填され、そのポケット開口部側の平坦面には被覆シート2が重ね合わせられて被覆され、互いの重ね合わせ面は熱融着により接着されて各ポケット1aが密封されている。
【0018】
被覆シート2は、図1に示すように、合成樹脂製の外面層3と、合成樹脂製の接着性内面層4とによる非金属素材にて二層に積層構成され、ラミネートにより互いに貼り合わせられて接着されているか、又はコーティングにより積層されている。
【0019】
図1に示すように、外面層3と内面層4は、無延伸の合成樹脂フィルムにより形成されていてもよいし、又はそのいずれか一方又は両方は、一軸延伸フィルムにより形成されていて、その延伸軸方向に容易に引き裂き開封できるようになっていてもよい。
【0020】
本発明の第2の実施の形態としてのPTP包装体は、同図1に示すように、被覆シート2は非金属製であって、合成樹脂製の外面層3と合成樹脂製の接着性内面層4とにより二層に積層構成され、被覆シート2の外面層3の内面側に、略全面的に易開封性擦過傷3aが付与され、この擦過傷3aは、一方向(等方向)又は多方向(異方向)に延びる多数の細い毛書き線状パターンであり、外面層3は、この擦過傷3aに沿って破断され易くなっており、したがって、被覆シート2は接着性内面層4を含めて破断され易くなっているものである。
【0021】
なお、上記第2の実施の形態のPTP包装体としては、その他に、同図1における外面層3内面の擦過傷3aと対面する接着性内面層4の内面側にも、擦過傷3aと同一方向又は異なる方向に同様の擦過傷が設けられていてもよい。
【0022】
図2は、本発明の第3の実施の形態としてのPTP包装体の側断面図であり、被覆シート2が三層に積層構成されていて、外面層3と内面層4が接着層5により積層接着されていて、外面層3の内面には、略全面的に易開封性擦過傷3aが付与され、この擦過傷3aは、上記第2の実施例と同様に一方向(等方向)又は多方向(異方向)に延びる多数の細い毛書き線状パターンであり、外面層3は、この擦過傷3aに沿って破断され易くなっており、したがって、被覆シート2は接着性内面層4、接着層5を含めて破断され易くなっているものである。
【0023】
図3は、本発明の第4の実施の形態としてのPTP包装体の側断面図であり、被覆シート2が、上記第3の実施の形態と同様に三層に積層構成され、外面層3と内面層4が接着層5により積層接着されているが、外面層3の内面に略全面的に易開封性擦過傷3aが付与され、また、接着層5と対面する接着性内面層4の内面側にも、外面層3の擦過傷3aと同一方向又は異なる方向に同様の易開封性擦過傷4aが設けられているものである。
【0024】
本発明のPTP包装体におけるポケットシート1の素材としては、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリアミドなどのプラスチックシートが使用され、また、防湿性を付与するために水蒸気バリア性の高いポリ塩化ビニリデンをコーティンクしたものなどが使用される。
【0025】
被覆シート2を構成する外面層3の素材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの無延伸又は延伸されたプラスチックフィルムが使用でき、また、接着性内面層4の素材としては、前記外面層3の素材に対して接着性があり、且つポケットシート1の各ポケット1aの開口部外周の平坦面にヒートシール(超音波加熱シール、高周波加熱シール、電熱ヒーター加熱シールなど)の可能なポリオレフィン系(ポリエチレン系、ポリプロピレン系)の熱接着性樹脂、又はこれらの無延伸又は延伸されたフィルムが使用できる。
【0026】
被覆シート2の外面層3と接着性内面層4との積層は、ラミネート方式又はコーティング方式のいずれでもよく、ラミネート方式の場合には、ドライラミネート、エクストルーダーラミネート、又はウエットラミネートのいずれでもよい。
【0027】
また、被覆シート2を構成する外面層3と内面層4とを接着ラミネートする接着層5の層構成材料としては、ドライラミネート用、エクストルーダーラミネート用、ウエットラミネート用の接着性樹脂若しくは接着剤が使用でき、例えばポリウレタン系等のドライラミネート用接着剤、又はポリエチレン系の熱溶融性樹脂等が使用できる。
【0028】
本発明において、外面層3のフィイルム内面、又は外面層3若しくは接着層5と対面する内面層4のフィルム内面に形成する易開封性擦過傷3a、4aは、その傷付け処理方向が同一方向(等方向)でもよいし、多方向(異方向)でもよいが、フィルムとして延伸フィルム(一軸延伸又は二軸延伸)を用いる場合は、そのフィルムの延伸配向方向と揃う方向(略等しい方向)に傷付け処理を施すことが適当である。
【0029】
また、易開封性擦過傷3a、4aは、フィルムに対して未貫通の状態に付与された擦過傷であり、該フィルム面に、この擦過傷3a、4aのように傷付け処理加工することにより、被覆シートが総プラスチック製であるにも係わらず、アルミニウム箔に匹敵するPTP包装体としての易開封適性(プレス・スルー適性;押圧開封適性)が付与できるものである。
【0030】
本発明において易開封性擦過傷3a、4aは、フィルム表面に付与されず、フィルム内面側に付与されるため、表面(外面)に傷が現出せず、PTP包装体の被覆シート2表面の美粧性に優れ、また、被覆シート2表面への印刷適性が良好であり、また、擦過傷3a、4aを付与加工後のラミネートにより、傷付け部分からフィルムに貫通孔が発生するような心配もない。
【0031】
また、本発明の被覆シート2は、ラミネートされる外面層3のフィルムと内面層4のフィルムのラミネート内面のいずれか一方若しくは両方に未貫通状態に傷付け処理を施して易開封性擦過傷を形成した後に、それぞれ擦過傷の形成された面を互いに対向させてラミネートすることによって、フィルム表面に擦過傷が現出したり貫通孔が生じたりせず、また、たとえ貫通孔が生じても、ラミネート用の接着層5(接着剤、熱溶融樹脂)により生じた孔を埋設することができ、閉塞性や密封性が確保できるだけでなく、フィルム表面の外観を損なうようなことが無く綺麗なラミネート表面が形成できる。
【0032】
例えば、被覆シート2の外面層3の表面に傷付け処理を施した場合には、被覆シート2の外観の美粧性が損なわれ、表面の平滑性や、印刷適性も劣るものであるが、本発明における被覆シート2は、その内面に傷付け処理を施してあるためPTP包装体の外観美粧性、表面の平滑性、良好な印刷適性などが得られるものである。
【0033】
【発明の効果】
本発明のPTP包装体は、ポケットシート及び被覆シートの全ての素材が合成樹脂であり、被覆シートは非金属製であるため、使用後の空になったPTP包装体の廃棄処理においてプラスチック材と金属材とに仕分けする手間が省け、容易に廃棄処理でき、また、包装体製造作業中や包装体開封中における従来のような被覆シートのアルミ金属箔による手指に対する損傷や、破断したアルミ金属箔の破片を飲み込む危険性を回避できる効果がある。
【0034】
また、総プラスチック製であるにも係わらず、被覆シートは形成された擦過傷によって容易に押圧開封(プレス・スルー)して内容物を取り出すことができ、また、容易開封性を保持しつつ閉塞性や密封性が確保できる。
【0035】
また、容易開封性を付与する擦過傷は、被覆シートの構成フィルム内面に形成されているため、被覆シート表面の外観を損なうようなことが無く、綺麗なラミネート表面が形成でき、良好な印刷適性も得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のPTP包装体の第1の実施の形態を説明する側断面図。
【図2】本発明のPTP包装体の第2の実施の形態を説明する側断面図。
【図3】本発明のPTP包装体の第3の実施の形態を説明する側断面図。
【符号の説明】
1…ポケットシート 1a…ポケット(凹部状容器部)
2…被覆シート 3…外面層 3a…易開封性擦過傷 4…内面層
4a…易開封性擦過傷 5…接着層
C…内容物
Claims (3)
- 所定深さの複数のポケットが成形されたポケットシート1と、該ポケットシート1のポケット内に装填された所定内容物Cと、該ポケットシート1の開口面側を被覆密封した被覆シート2からなるPTP(プレススルーパック)包装体であって、該被覆シート2が、少なくとも合成樹脂製の外面層3と合成樹脂製の接着性内面層4とによる非金属素材により積層構成され、前記被覆シート2の少なくとも内面側に易開封性擦過傷が付与されているPTP包装体において、前記被覆シート2を構成する外面層3と接着性内面層4との積層内面のいずれか一方若しくは両方に、毛書き線状パターンによる易開封性擦過傷が付与され、前記外面層3と接着性内面層4のいずれか一方若しくは両方が少なくとも一軸延伸フィルムであり、且つその延伸配向方向と易開封性擦過傷のカット方向とが略等しい方向であることを特徴とするPTP包装体。
- 請求項1記載のPTP包装体において、前記外面層3と接着性内面層4とが、互いに接着剤若しくは熱溶融性樹脂を介して接着していることを特徴とするPTP包装体。
- 請求項1又は請求項2記載のPTP包装体において、前記外面層3と接着性内面層4とが、互いにドライラミネート方式若しくはエクストルーダーラミネート方式にて接着していることを特徴とするPTP包装体。
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