JP4170828B2 - アンテナ及びアンテナ用誘電体基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、広帯域アンテナ及びデュアルバンドアンテナ、並びにそれらのアンテナに用いられる誘電体基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば「B−77 半円形状素子と線状素子の組み合わせによる超広帯域アンテナ」井原泰介,木島誠,常川光一,pp77,1996年電子情報通信学会総合大会(以下非特許文献1)には、図16(a)に示すようなモノポールアンテナが開示されている。図16(a)では、半円状のエレメント1010を、地板1011に対して垂直に立設し、エレメント1010の円弧において地板1011に最も近い点を給電部1012としている。非特許文献1には、円の半径がほぼ1/4波長となる周波数fLが下限となることが示されている。また、非特許文献1には、図16(b)に示すように、図16(a)に示したエレメント1010に切り欠きを設けたエレメント1013を、地板1011に対して垂直に立設した例も説明されている。この非特許文献1では図16(a)のモノポールアンテナと図16(b)のモノポールアンテナとはVSWR(Voltage Standing Wave Ratio)特性はほとんど変わらないとしている。さらに非特許文献1では図16(c)に示すように、図16(b)のように切り欠きを設けたエレメントに、fLより低い周波数で共振するエレメント1014aをメアンダモノポール構造として接続したエレメント1014を、地板1011に対して垂直に立設した例も示されている。なおエレメント1014aは、切り欠き部分に収まるように設置されている。エレメント1014aのためfLより低い周波数でも共振し、多共振化が図られてはいるが、このfLより低い周波数域でのVSWR特性は悪く、デュアルバンドアンテナとして使用するには十分な特性が得られていない。
【0003】
また特開2001−203521号公報(以下特許文献1)には、図17に示すようなマイクロストリップパッチアンテナ1100が示されている。このマイクロストリップパッチアンテナ1100は、誘電体基板1110上に、接地面1140と、マイクロストリップパッチ1120と、当該マイクロストリップパッチ1120に接続される三角パッド(給電導体)1130とを導電性金属により形成したものである。なお、マイクロストリップパッチ1120は、給電導体である三角パッド1130を介して給電点1150から給電される。図17に示すようなマイクロストリップパッチアンテナ1100は、図示されてはいないがマイクロストリップアンテナの動作原理からグランドが誘電体基板1110に対して対向配置されていないと適切に動作しない。また、接地面1140は、面積が非常に小さいため放射エレメントとして機能しているとは考えられない。さらに、マイクロストリップアンテナでは放射導体に流れる電流が直接の放射源ではなく、図17において三角パッド1130及びマイクロストリップパッチ1120に流れる電流は直接の放射源とはならない。また、特許文献1に示されている本マイクロストリップパッチアンテナ1100の受信周波数帯域は、中心周波数1.8GHzに対し200MHzと狭く、三角パッド1130は放射導体として機能しておらず、マイクロストリップパッチ1120が単一周波数(1.8GHz)の放射導体となっていることが考えられる。このように、図17に示したマイクロストリップパッチアンテナ1100は、マイクロストリップアンテナであって、放射導体に流れる電流が放射に寄与するモノポールアンテナではない。また、放射導体に流れる電流路を連続的に変化させることで広帯域を実現する進行波アンテナでもない。さらに、受信周波数帯域が単一であるので、デュアルバンドアンテナでもない。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−203521号
【非特許文献1】
「B−77 半円形状素子と線状素子の組み合わせによる超広帯域アンテナ」井原泰介,木島誠,常川光一,pp77,1996年電子情報通信学会総合大会
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来から様々なアンテナが存在しているが、非特許文献1で述べられた従来のモノポールアンテナでは、導体を地板に対して垂直に立設するため、アンテナのサイズが大きくなってしまう。
【0006】
また、非特許文献1で述べられたアンテナは、上でも述べたように、複数の帯域における多共振化が図られてはいるものの、デュアルバンドアンテナとしては現在要求されているようなアンテナ特性が得られていない。
【0007】
さらに、特許文献1で述べられたマイクロストリップアンテナについては、三角パッドとマイクロストリップパッチが共に放射に寄与しているような形状に見えるが、三角パッドは放射導体として機能しない給電導体に過ぎない。よってこのアンテナは受信周波数帯域が単一のアンテナであり、デュアルバンドアンテナではない。
【0008】
以上のような問題に鑑み、本発明の目的は、小型化が可能であり且つ広帯域化が可能な新規な形状のアンテナ及び当該アンテナ用の誘電体基板を提供することである。
【0009】
また本発明の他の目的は、小型化が可能であり且つ十分なアンテナ特性を有する新規な形状のデュアルバンドアンテナ及び当該デュアルバンドアンテナ用の誘電体基板を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様に係るアンテナは、給電位置において給電される平面エレメントと、平面エレメントと併置されるグランドパターンとを具備し、平面エレメントとグランドパターンとの距離が、給電位置を通る直線から離れるに従い、連続的且つ飽和的に増加するものである。平面エレメントとグランドパターンとを併置することにより、アンテナの小型化が可能になる。
【0011】
また、上記平面エレメントの側縁部が、曲線と傾きが段階的に変更されて接続された線分とのうちいずれかで構成され、且つ上記平面エレメントが、アンテナ用誘電体基板の上又は内部に形成されるようにしてもよい。
【0012】
平面エレメントがアンテナ用誘電体基板の上又は内部に形成されるようにすると、アンテナのさらなる小型化が可能になる。但し、平面エレメントがアンテナ用誘電体基板の上又は内部に形成されるようにすると、平面エレメントとグランドパターンとの結合が強くなるため、お互いの距離の調整が必要になる。そこで平面エレメントの側縁部の形状を上記のようにし、平面エレメントとグランドパターンとの距離を調整することにより、結合度合いが最適化され、広帯域が実現できる。
【0013】
また、上記アンテナ用誘電体基板に対向する、グランドパターンの辺を、線分で構成してもよい。これは、平面エレメントとグランドパターンとの距離の調整が、主に平面エレメントの形状により行われる場合を示すものである。
【0014】
さらに、上記グランドパターンが、アンテナ用誘電体基板に対して先細り形状を有し、当該先細り形状を線分で構成するようにしてもよい。このようにグランドパターンの形状を調整することにより、アンテナ特性(特にインピーダンス特性)が改善される。
【0015】
また、上記平面エレメントは、当該平面エレメントの給電位置を通る直線に対して対称であってもよい。
【0016】
さらに、上記アンテナ用誘電体基板が、平面エレメントの給電位置を通る直線上の端点に接続された共振エレメントをさらに含むようにしてもよい。このような共振エレメントを設けることにより、デュアルバンドアンテナが実現できる。
【0017】
また、上記共振エレメントは、平面エレメントの給電位置を通る直線に対して対称であってもよい。また、非対称であってもよい。
【0018】
さらに、上記平面エレメントと共振エレメントとを、同一の層に形成してもよい。
【0019】
また、上記平面エレメントと共振エレメントの少なくとも一部とを異なる層に形成してもよい。これによりアンテナ用誘電体基板が小型化でき、全体としてアンテナも小型化できる。
【0020】
さらに、上記平面エレメントと共振エレメントをそれぞれが形成される層に対して平行な仮想平面に投影した際に、共振エレメントを、仮想平面に投影された平面エレメントの脇に定義された所定の領域に重なることなく配置してもよい。また、共振エレメントを、少なくとも、仮想平面に投影された平面エレメントの給電位置を通る直線に対して平行であり、且つ当該給電位置から遠い方の、投影された平面エレメントの側縁部の端点を始点として給電位置方向に伸びた半直線より平面エレメント側の領域と重なることなく配置してもよい。
【0021】
このように共振エレメントを配置することにより、平面エレメントの特性に悪影響を及ぼすことなく、平面エレメントと共振エレメントの特性を個別に制御できる。
【0022】
本発明の第2の態様に係るアンテナ用誘電体基板は、誘電体の層と、側縁部が曲線と傾きが段階的に変更されて接続された線分とのうちいずれかで構成される導体の平面エレメントを含む層とを有し、アンテナ用誘電体基板の側面のうち平面エレメントの給電位置に最も近い面と側縁部との距離が、給電位置を通る直線から離れるに従い、連続的且つ飽和的に増加するものである。
【0023】
アンテナ用誘電体基板が平面エレメントの層を含むようにすることにより、アンテナの小型化が可能になる。
【0024】
また、上記平面エレメントは、当該平面エレメントの給電位置を通る直線に対して対称であってもよい。
【0025】
さらに、本発明の第2の態様において、上記平面エレメントの給電位置を通る直線上の端点に接続された共振エレメントをさらに有するようにしてもよい。このような共振エレメントを設けることにより、デュアルバンドが実現できる。
【0026】
また、上記共振エレメントは、平面エレメントの給電位置を通る直線に対して対称であってもよい。また、非対称であってもよい。
【0027】
さらに、上記平面エレメントと共振エレメントとを、同一の層に形成してもよい。
【0028】
また、上記平面エレメントと共振エレメントの少なくとも一部とを異なる層に形成してもよい。これによりアンテナ用誘電体基板が小型化できる。
【0029】
さらに、上記平面エレメントと共振エレメントをそれぞれが形成される層に対して平行な仮想平面に投影した際に、共振エレメントを、仮想平面に投影された平面エレメントの脇に定義された所定の領域に重なることなく配置してもよい。また、共振エレメントを、少なくとも、仮想平面に投影された平面エレメントの給電位置を通る直線に対して平行であり、且つ当該給電位置から遠い方の、投影された平面エレメントの側縁部の端点を始点として給電位置方向に伸びた半直線より平面エレメント側の領域と重なることなく配置してもよい。
【0030】
このように共振エレメントを配置することにより、平面エレメントの特性に悪影響を及ぼすことなく、平面エレメントと共振エレメントの特性を個別に制御できる。
【0031】
なお、グランドパターンと平面エレメント又はアンテナ用誘電体基板とは、非対向状態であり、互いの面が平行又は実質的に平行である、とも言える。また、グランドパターンと平面エレメント又はアンテナ用誘電体基板とは、完全には重なることなく、互いの面が平行又は実質的に平行であるとも言える。
【0032】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
本発明の第1の実施の形態に係るアンテナの構成を図1(a)及び図1(b)に示す。図1(a)に示すように、本実施の形態に係るアンテナは、平面エレメント1を内部に含み且つ誘電率が約20の誘電体基板5と、誘電体基板5に併置されるグランドパターン2と、例えばプリント基板(より具体的には例えば、FR−4、テフロン(登録商標)などを素材とする樹脂基板)である基板6と、平面エレメント1の給電点1aに接続される高周波電源3とにより構成される。平面エレメント1は、T字に類似した形状を有しており、誘電体基板5の端部に沿った底辺1bと上方に伸びる辺1cと第1の傾斜角を有する辺1dと第1の傾斜角より大きな傾斜角を有する辺1eと天頂部1fとにより構成される。給電点1aは、誘電体基板5の端部に沿った底辺1bの中点に設けられている。本実施の形態では誘電体基板5とグランドパターン2との距離L1は、1.5mmである。また、グランドパターン2の幅は20mmである。
【0033】
また、給電点1aを通る直線4に対して平面エレメント1とグランドパターン2とは左右対称となっている。また、平面エレメント1の辺1c、1d及び1e上の点から直線4に平行にグランドパターン2まで降ろした線分の長さ(以下、距離と呼ぶ)についても、直線4に対して左右対称となっている。すなわち、直線4との間隔が同じであれば、距離は同じになる。
【0034】
本実施の形態では、誘電体基板5に面するグランドパターン2の辺2aは直線となっている。従って、距離は、辺1c、1d及び1eの任意の点が当該辺1c、1d及び1eを移動するにつれて漸次増加するようになっている。すなわち、上記の任意の点が直線4から離れる程、距離は増加する。
【0035】
辺1c、1d及び1eを接続することにより構成される折れ線は曲線ではないものの、距離が飽和的に増加するように傾きが段階的に変更されている。言い換えれば、直線4から離れると最初は急激に距離が増加するが次第に増加率が減少している。すなわち、直線4からみて同じ側にある天頂部1fの端点と底辺1bの端点を結ぶ直線から内側に削ったような形状になっている。
【0036】
本実施の形態では、グランドパターン2の辺2aに対向する平面エレメント1の側縁部は1c、1d及び1eの3つの線分で構成されている。しかし、距離が飽和的に増加するという条件を満たしていれば、この側縁部の形状はこれに限定されない。辺1c、1d及び1eの代わりに、2以上の任意数の線分で構成される折れ線を採用してもよい。また、辺1c、1d及び1eの代わりに、直線4からみて同じ側にある天頂部1fの端点と底辺1bの端点を結ぶ直線に対して上に凸の曲線であってもよい。すなわち、平面エレメント1から見れば、内側に凸の曲線である。
【0037】
いずれの形状を採用するにせよ、直線4から離れるに従って距離は連続的に変化し、この連続変化部分の存在により下限周波数以上において連続的な共振特性を得ることができる。なお、下限周波数の調整は平面エレメント1の高さを変更することによって行う。但し、天頂部1fの長さや、逆円弧状の側縁部の形状・長さによっても制御可能である。
【0038】
図1(b)は側面図であり、基板6の上にグランドパターン2と、誘電体基板5とが設けられている。基板6とグランドパターン2が一体形成される場合もある。なお、本実施の形態では、誘電体基板5の内部に平面エレメント1が形成されている。すなわち、誘電体基板5は、セラミックス・シートを積層して形成され、そのうちの一層として導体の平面エレメント1も形成される。従って、実際は上から見ても図1(a)のようには見えない。誘電体基板5内部に平面エレメント1を構成すれば、露出させた場合に比して誘電体の効果が若干強くなるため小型化でき、さびなどに対する信頼性も増す。但し、誘電体基板5表面に平面エレメント1を形成するようにしてもよい。また、誘電率も変更することができ、単層基板、多層基板のいずれを用いてもよい。単層基板ならば誘電体基板5上に平面エレメント1を形成することになる。なお、本実施の形態において、誘電体基板5はグランドパターン2と平行又は実質的に平行に配置されている。この配置により、誘電体基板5の一層に含まれる平面エレメント1もグランドパターン2と平行又は実質的に平行になる。
【0039】
このように平面エレメント1を誘電体基板5で覆うような形で形成すると、誘電体により平面エレメント1周辺の電磁界の様子が変化する。具体的には、誘電体の中の電界密度が増す効果と波長短縮効果が得られるため、平面エレメント1を小型化することができるようになる。また、これらの効果により電流路の打ち上げ角度が変化し、アンテナのインピーダンス等価回路における誘導成分L及び容量成分Cが変化する。即ち、インピーダンス特性に大きな影響が出てくる。このインピーダンス特性への影響を踏まえた上で4.9GHzから5.8GHzの帯域で所望のインピーダンス特性を得るように形状の最適化を行うと図1(a)に示したような形状となった。この帯域幅は従来に比して非常に広い。
【0040】
なお、平面エレメント1は、従来技術と同様にモノポールアンテナの放射導体であるとも考えられる。一方で、本実施の形態におけるアンテナは、グランドパターン2も放射に寄与している部分もあるので、ダイポールアンテナであるとも言える。但し、ダイポールアンテナは通常同一形状を有する2つの放射導体を用いるため、本実施の形態におけるアンテナは、非対称型ダイポールアンテナとも呼べる。さらに、本実施の形態におけるアンテナは、進行波アンテナとも言える。このような考え方は以下で述べる全ての実施の形態に適用可能である。
【0041】
[実施の形態2]
本発明の第2の実施の形態に係るアンテナの構成を図2に示す。図2に示すように、本実施の形態に係るアンテナは、平面エレメント11を内部に含み且つ誘電率が約20の誘電体基板15と、誘電体基板15に併置されるグランドパターン12と、例えばプリント基板である基板16と、平面エレメント11の給電点11aに接続される高周波電源13とにより構成される。平面エレメント11及び誘電体基板15は、第1の実施の形態における平面エレメント1及び誘電体基板5と同じである。本実施の形態では誘電体基板15とグランドパターン12との距離L2は、1.5mmである。また、グランドパターン12の幅は20mmである。
【0042】
また、給電点11aを通る直線14に対して平面エレメント11とグランドパターン12とは左右対称となっている。また、平面エレメント11の辺11c、11d及び11e上の点から直線14に平行にグランドパターン12まで降ろした線分の長さ(以下、距離と呼ぶ)についても、直線14に対して左右対称となっている。すなわち、直線14との間隔が同じであれば、距離は同じになる。
【0043】
本実施の形態では、誘電体基板15に面するグランドパターン12の辺12a及び12bは、直線14から遠くなるほど平面エレメント11とグランドパターン12の距離が、より長くなるように傾けられている。本実施の形態では、側端部において長さL3(=2乃至3mm)だけ直線14との交点より下に下がっている。すなわち、グランドパターン12は誘電体基板15に対して上縁部12a及び12bからなる先細り形状を有している。側面の構成については図1(b)と同様である。
【0044】
本実施の形態のようにグランドパターン12の辺12a及び12bを傾けることにより、4.9GHz乃至5.8GHzの帯域においては、第1の実施の態様に係るアンテナより、インピーダンス特性が良くなっていることが確認されている。
【0045】
[実施の形態3]
本発明の第3の実施の形態に係るアンテナは、2.4GHz帯と5GHz帯のデュアルバンドアンテナである。本デュアルバンドアンテナは、図3に示すように、平面の第1エレメント21と第1エレメント21の天頂中央から伸びる共振エレメントである第2エレメント27とを内部に含む誘電体基板25と、誘電体基板25と間隔L5(=1.5mm)を隔てて併置され且つ誘電体基板25に対して上縁部が先細り形状を有するグランドパターン22と、誘電体基板25とグランドパターン22とが設置される基板26と、第1エレメント21の底辺中央部に設けられた給電点21aと接続される高周波電源23とにより構成される。誘電体基板25のサイズは、例えば8mm×4.5mm×1mmである。
【0046】
第1エレメント21は、T字に類似した形状を有しており、より具体的には図1(a)に示した平面エレメント1と同様の形状を有する。この第1エレメント21の高さL4により、5GHz帯の帯域制御を行う。但し、天頂部の辺の長さや、逆円弧状の側縁部の形状・長さによっても制御可能である。また、第2エレメント27の先端部分は、第1エレメント21の天頂部より給電点21a側まで伸びている。
【0047】
グランドパターン22は、幅20mmのところ、給電点21aを通る直線24との交点から両側端部に向かってL6(=2乃至3mm)下がっている。すなわち、グランドパターン22は誘電体基板25に対して上縁部22a及び22bからなる先細り形状を有している。側面の構成については第2エレメント27の部分を除けば図1(b)とほぼ同じである。但し、第2エレメント27は第1エレメント21と同層に設けられている。
【0048】
第1エレメント21とグランドパターン22は、直線24に対して左右対称となっている。また、第1エレメント21の側縁部上の点から直線24に平行にグランドパターン22まで降ろした線分の長さ(以下、距離と呼ぶ)も、直線24に対して左右対称となっている。さらに、上記の距離は、第1エレメント21の側縁部を直線24から離れるように移動するにつれて漸次増加するようになっている。
【0049】
このような第1エレメント21とグランドパターン22の形状により、インピーダンス特性を制御する。また、2.4GHz帯の共振周波数は、第2エレメント27の開放端の長さを調整することにより制御する。なお、第2エレメント27の形状は、第1エレメント21の特性に悪影響を及ぼさないように小型化を図るため、折り曲げられている。
【0050】
このような形状を採用することにより、5GHz帯と2.4GHz帯の電気的特性を個別に制御できるようになる。5GHz帯と2.4GHz帯は、無線LAN(Local Area Network)の規格で用いられる帯域であり、その両方の周波数帯に対応できる本実施の形態は非常に有用である。
【0051】
[実施の形態4]
本発明の第4の実施の形態に係るアンテナは、2.4GHz帯と5GHz帯のデュアルバンドアンテナである。本デュアルバンドアンテナは、図4に示すように、平面の第1エレメント31と第1エレメント31の天頂中央から伸びる共振エレメントである第2エレメント37とを内部に含む誘電体基板35と、誘電体基板35と間隔L8(=1.5mm)を隔てて併置され且つ誘電体基板35に対して上縁部が先細り形状を有するグランドパターン32と、誘電体基板35とグランドパターン32とが設置される基板36と、第1エレメント31の底辺中央部に設けられた給電点31aと接続される高周波電源33とにより構成される。誘電体基板35のサイズは、例えば10mm×5mm×1mmである。
【0052】
第1エレメント31は、T字に類似した形状を有しており、より具体的には図1(a)に示した平面エレメント1と同様の形状を有する。この第1エレメント31の高さL7により、5GHz帯の帯域制御を行う。但し、天頂部の辺の長さや、逆円弧状の側縁部の形状・長さによっても制御可能である。また、第2エレメント37の先端部分は、第1エレメント31の天頂部より給電点31a側まで伸びている。
【0053】
グランドパターン32は、幅20mmのところ、給電点31aを通る直線34との交点から両側端部に向かってL9(=2乃至3mm)下がっている。すなわち、グランドパターン32は誘電体基板35に対して上縁部32a及び32bからなる先細り形状を有している。側面の構成については第2エレメント37の部分を除けば図1(b)とほぼ同じである。但し、第2エレメント37は第1エレメント31と同層に設けられている。
【0054】
第1エレメント31、第2エレメント37及びグランドパターン32は、直線34に対して左右対称となっている。また、第1エレメント31の側縁部上の点から直線34に平行にグランドパターン32まで降ろした線分の長さ(以下、距離と呼ぶ)も、直線34に対して左右対称となっている。さらに、上記の距離は、第1エレメント31の側縁部を直線34から離れるように移動するにつれて漸次増加するようになっている。
【0055】
このような第1エレメント31とグランドパターン32の形状により、インピーダンス特性を制御する。また、2.4GHz帯の共振周波数は、第2エレメント37の開放端の長さを調整することにより制御する。なお、第2エレメント37のミアンダ部分は上寄りに形成されている。これは、第1エレメント31の特性に悪影響を与えないようにしながら、限られたスペースの中で効率的な配置を行うためである。図5に示すように、スペース38は、第1エレメント31の特性に悪影響を及ぼす部分であり、この部分に第2エレメント37が配置されないような構成となっている。また、第2エレメント37は、少なくとも点線38aより第1エレメント31側の領域には配置されない。この点線38aは、給電点31aから遠い方の第1エレメント31の側縁部の端点を始点として直線34に対して平行に給電点31aの方向に伸ばした半直線である。
【0056】
このような形状を採用することにより、5GHz帯と2.4GHz帯の電気的特性を個別に制御できるようになる。5GHz帯と2.4GHz帯は、無線LANの規格で用いられる帯域であり、その両方の周波数帯に対応できる本実施の形態は非常に有用である。
【0057】
例えば図6(a)及び(b)に示すような実装形態を採用した場合のアンテナ特性を示しておく。図6(a)及び(b)に示すように、誘電体基板35は、1.5mm隔てて上縁部が水平のグランドパターン39と併置される。図4で示したように、誘電体基板35は、そのサイズが10mm×5mm×1mmであり、第1エレメント31と第2エレメント37とを含む。一方、グランドパターン39のサイズは、高さ47mm、幅12mmである。基板36の厚さは0.8mmである。なお、図6(a)において示されている図はXY平面であり、図6(b)において示されている図はXZ平面であるものとする。
【0058】
このとき、第2エレメント37のインピーダンス特性は図7に示すようになる。図7において縦軸はVSWRであり、横軸は周波数(GHz)である。最もVSWRが小さい周波数は約2.45GHzであり、VSWRが2以下の周波数帯は、約2.20GHzから2.67GHzといったように、約470MHz程度確保されている。一方、第1エレメント31のインピーダンス特性は図8に示すようになる。最もVSWRが小さい周波数は約5.2GHzであり、VSWRが2以下の周波数帯は、約4.6GHzから6GHz以上であり、少なくとも1.4GHz確保されている。このように、第2エレメント37も第1エレメント31も広帯域が実現されている。すなわち、本実施の形態に係るアンテナが、デュアルバンドアンテナとして十分な機能を有することを示している。なお、グランドパターン39は、誘電体基板35に向けてテーパーを付してもよい。
【0059】
また、図6(a)及び(b)に示したアンテナの指向性についても図9(a)乃至(f)に示す。図9(a)は、送信側アンテナから2.45GHzの電波を送信し、図6(a)及び(b)に示した受信側アンテナをXY平面を測定面として回転させた際の放射パターンを示す。なお、同心円については、中心が−45dBi、一番外側の円が5dBi、各円の間隔が10dBiである。ここで内側の実線は送信側アンテナから垂直偏波の電波を送信した場合の受信側アンテナの放射パターンを、外側の太線は送信側アンテナから水平偏波の電波を送信した場合の受信側アンテナの放射パターンを示す。水平偏波の方が全ての方向においてゲインが大きいことが分かる。また、垂直偏波の場合0°、−90°及び180°方向に指向性があるように見える。なお、右上の絵は、図6(a)及び(b)のアンテナを示している。黒塗りの部分が、誘電体基板35が設置される位置である。垂直矢印は0°の方向を示しており、+θの方向に角度が増加するようになっている。
【0060】
同様に、図9(b)は、送信側アンテナから2.45GHzの電波を送信し、図6(a)及び(b)に示した受信側アンテナをYZ平面を測定面として回転させた際の放射パターンを示す。上と同様に実線は送信側アンテナから垂直偏波の電波を送信した場合の受信側アンテナの放射パターンを、太線は送信側アンテナから水平偏波の電波を送信した場合の受信側アンテナの放射パターンを示す。水平偏波の方は0°及び180°方向に指向性があるように見える。また、垂直偏波の方は0°、90°及び180°方向に指向性があるように見える。なお、右上の絵の意味は同じである。
【0061】
図9(c)は、送信側アンテナから2.45GHzの電波を送信し、図6(a)及び(b)に示した受信側アンテナをXZ平面を測定面として回転させた際の放射パターンを示す。上と同様に実線は送信側アンテナから垂直偏波の電波を送信した場合の受信側アンテナの放射パターンを、太線は送信側アンテナから水平偏波の電波を送信した場合の受信側アンテナの放射パターンを示す。水平偏波の方は0°及び180°方向に指向性があるように見える。また、垂直偏波の方は無指向性を示している。なお、右上の絵の意味は同じである。
【0062】
図9(d)は、送信側アンテナから5.4GHzの電波を送信し、図6(a)及び(b)に示した受信側アンテナをXY平面を測定面として回転させた際の放射パターンを示す。上と同様に実線は送信側アンテナから垂直偏波の電波を送信した場合の受信側アンテナの放射パターンを、太線は送信側アンテナから水平偏波の電波を送信した場合の受信側アンテナの放射パターンを示す。水平偏波の方は45°、135°、−45°及び−135°方向に指向性があるように見える。また、垂直偏波の方は90°方向を除き無指向性のように見える。なお、右上の絵の意味は同じである。
【0063】
図9(e)は、送信側アンテナから5.4GHzの電波を送信し、図6(a)及び(b)に示した受信側アンテナをYZ平面を測定面として回転させた際の放射パターンを示す。上と同様に実線は送信側アンテナから垂直偏波の電波を送信した場合の受信側アンテナの放射パターンを、太線は送信側アンテナから水平偏波の電波を送信した場合の受信側アンテナの放射パターンを示す。水平偏波の方は45°、135°、−45°及び−135°方向に指向性があるように見える。また、垂直偏波の方は複雑な形状の指向性があるように見える。なお、右上の絵の意味は同じである。
【0064】
図9(f)は、送信側アンテナから5.4GHzの電波を送信し、図6(a)及び(b)に示した受信側アンテナをXZ平面を測定面として回転させた際の放射パターンを示す。上と同様に実線は送信側アンテナから垂直偏波の電波を送信した場合の受信側アンテナの放射パターンを、太線は送信側アンテナから水平偏波の電波を送信した場合の受信側アンテナの放射パターンを示す。水平偏波の方は複雑な形状の指向性があるように見える。また、垂直偏波の方は−45°方向を除き無指向性のように見える。なお、右上の絵の意味は同じである。
【0065】
図10に平均ゲインのデータをまとめておく。各平面につき、垂直偏波(V)と水平偏波(H)に対する2.45GHzの平均ゲイン及び5.4GHzの平均ゲインが示されている。さらに、2.45GHzと5.4GHzのトータルの平均ゲインも示されている。これを見ると、2.45GHzではXZ平面における垂直偏波のゲインが高く、水平偏波であれば、YZ平面又はXY平面でゲインが高い。また、5.4GHzではYZ平面又はXY平面の水平偏波のゲインが高く、垂直偏波であればXZ平面が比較的ゲインが高い。
【0066】
[実施の形態5]
本発明の第5の実施の形態に係るアンテナは、2.4GHz帯と5GHz帯のデュアルバンドアンテナであって、ここでは第4の実施の形態に係る誘電体基板35をさらに小型化するための工夫について説明する。本デュアルバンドアンテナは、図11(a)の側面図に示すように、誘電体基板46の比較的下方の層に平面の第1エレメント41と共振エレメントである第2エレメントの第1部分47aを形成し、誘電体基板46の比較的上方の層に第2エレメントの第2部分47bを形成し、それらを2つの外部電極46aにより接続する構造を有する。図11(b)に第1エレメント41と第2エレメントの第1部分47aとが形成されている層の構造を示す。第1エレメント41の形状は第4の実施の形態に示したものと同じである。第2エレメントの第1部分47aは、第1エレメント41の天頂中央から伸びて、途中2方向に分かれ、誘電体基板46の上端部に設けられた2つの外部電極46aに接続している。図11(c)に第2エレメントの第2部分47bが形成されている層の構造を示す。第2エレメントの第2部分47bは、誘電体基板46の上端部に設けられた外部電極46aから誘電体基板46の下端部方向に伸びた後、第4の実施の形態(図4)において示したミアンダ部分を含む構成を有している。なお、第4の実施の形態(図4)において示したように、第2エレメントの第2部分47bは、第1エレメント41の天頂部より給電点側まで伸びている。この第2エレメントの第2部分47bは、層は異なるようになっているが第1エレメント41と上から見て重ならないように配置されている。少なくとも、第4の実施の形態における図5に示した配置と同様に、第1エレメント41に悪影響を与える領域に上から見て重ならないように配置される。すなわち、第2エレメントの第2部分47bと第1エレメント41とをそれぞれが形成される層に対して平行な仮想平面に投影した際に、第2エレメントの第2部分47bが、仮想平面に投影された第1エレメントの脇に定義された所定の領域に重なることなく配置されるということである。この所定の領域とは、図5で示した領域38に対応する部分である。なお、本実施の形態における誘電体基板46のサイズは、L10=1mm、L11=4mm、L12=10mmとなっている。
【0067】
第2エレメントの共振周波数は、第2エレメントの開放端の長さを調整することにより制御する。第4の実施の形態と比較すると、第2エレメントの第1部分47aとして外部電極46aに向けて伸びている部分と外部電極46aの部分と第2エレメントの第2部分47bとして外部電極46aから伸びている部分とが、開放端の長さとして追加されていることになる。よって、第2エレメントの第2部分47bを短くしても2.4GHz帯の特性は、第4の実施の形態に係るアンテナと同レベルを維持できる。これにより誘電体基板46の小型化が実現できる。
【0068】
本実施の形態における5GHz帯のインピーダンス特性を図12に示す。図12において縦軸はVSWRを、横軸は周波数(GHz)を示す。第4の実施の形態に係る5GHz帯のインピーダンス特性を表す図8と比較すると、多少曲線の形は異なるが、VSWR2以下の帯域は、ほぼ同じとなっている。
【0069】
本実施の形態における2.4GHz帯のインピーダンス特性を図13に示す。図13において縦軸はVSWRを、横軸は周波数(GHz)を示す。第4の実施の形態に係る2.4GHz帯のインピーダンス特性を表す図7と比較すると、VSWR2以下の帯域は、高周波側でむしろ小型化した場合を示す図13の方が約80MHz程度広くなっている。このように良好な特性を示すことが分かる。
【0070】
[実施の形態6]
本発明の第6の実施の形態に係るアンテナは、2.4GHz帯と5GHz帯のデュアルバンドアンテナであって、ここでは第4の実施の形態に係る誘電体基板35をさらに小型化するための工夫について説明する。本デュアルバンドアンテナは、図14(a)の側面図に示すように、誘電体基板56の比較的下方の層に平面の第1エレメント51と共振エレメントである第2エレメントの第1部分57aを形成し、誘電体基板56の比較的上方の層に第2エレメントの第2部分57bを形成し、それらを1つの外部電極56aにより接続する構造を有する。図14(b)に第1エレメント51と第2エレメントの第1部分57aが形成されている層の構造を示す。第1エレメント51の形状は第4の実施の形態に示したものと同じである。第2エレメントの第1部分57aは、第1エレメント51の天頂中央から伸びて、直線的に誘電体基板56の上端部に設けられた外部電極56aに接続している。図14(c)に第2エレメントの第2部分57bが形成されている層の構造を示す。第2エレメントの第2部分57bは、誘電体基板56の上端部に設けられた外部電極56aから誘電体基板56の下端部方向に伸びた後、第4の実施の形態(図4)において示した第2エレメント37の第1エレメント31と接続する部分を除くほとんどの部分を含む構成を有している。なお、第4の実施の形態(図4)において示したように、第2エレメントの第2部分57bは、第1エレメント51の天頂部より給電点側まで伸びている。この第2エレメントの第2部分57bは、層は異なるようになっているが第1エレメント51と上から見て重ならないように配置されている。少なくとも、第4の実施の形態における図5に示した配置と同様に、第1エレメント51に悪影響を与える領域に上から見て重ならないように配置される。
【0071】
第2エレメントの共振周波数は、第2エレメントの開放端の長さを調整することにより制御する。第4の実施の形態と比較すると、第2エレメントの第1部分57aとして外部電極56aに向けて伸びている部分と外部電極56aの部分と第2エレメントの第2部分57bとして外部電極56aから伸びている部分とが、開放端の長さとして追加されていることになる。よって、第2エレメントの第2部分57bを短くしても2.4GHz帯の特性は第4の実施の形態に係るアンテナと同レベルを維持できる。これにより誘電体基板56の小型化が実現できる。
【0072】
[実施の形態7]
本発明の第7の実施の形態に係るアンテナは、2.4GHz帯と5GHz帯のデュアルバンドアンテナであって、ここでは第4の実施の形態に係る誘電体基板35をさらに小型化するための工夫について説明する。本デュアルバンドアンテナは、図15(a)の側面図に示すように、誘電体基板66の比較的下方の層に平面の第1エレメント61と共振エレメントである第2エレメントの第1部分67aを形成し、誘電体基板66の比較的上方の層に第2エレメントの第2部分67bを形成し、それらを2つの外部電極66aにより接続する構造を有する。図15(b)に第1エレメント61と第2エレメントの第1部分67aが形成されている層の構造を示す。第1エレメント61の形状は第4の実施の形態に示したものと同じである。第2エレメントの第1部分67aは、第1エレメント61の天頂中央から伸びて、途中2方向に分かれ、第1エレメント61の横幅を超えて伸びた後に、誘電体基板66の上端部に設けられた2つの外部電極66aに接続している。図15(c)に第2エレメントの第2部分67bが形成されている層の構造を示す。第2エレメントの第2部分67bは、誘電体基板66の上端部に設けられた外部電極66aから誘電体基板66の下端部方向に伸びた後、ミアンダ部分を含む構成を有している。なお、第4の実施の形態(図4)において示したように、第2エレメントの第2部分67bは、第1エレメント61の天頂部より給電点側まで伸びている。この第2エレメントの第2部分67bは、層は異なるようになっているが第1エレメント61と上から見て重ならないように配置されている。少なくとも、第4の実施の形態における図5に示した配置と同様に、第1エレメント61に悪影響を与える領域に上から見て重ならないように配置される。
【0073】
第2エレメントの共振周波数は、第2エレメントの開放端の長さを調整することにより制御する。第4の実施の形態と比較すると、第2エレメントの第1部分67aとして外部電極66aに向けて伸びている部分と外部電極66aの部分と第2エレメントの第2部分67bとして外部電極66aから伸びている部分とが、開放端の長さとして追加されていることになる。よって、第2エレメントの第2部分67bを短くしても2.4GHz帯の特性は第4の実施の形態に係るアンテナと同レベルを維持できる。これにより誘電体基板66の小型化が実現できる。
【0074】
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、平面エレメント及び共振エレメントの形状は同様のアンテナ特性を得られるならば、別の形状を採用する場合もある。また、グランドパターンの先細り形状は、上縁部が直線の例を挙げたが、上や下に凸の曲線であってもよい。また、グランドパターンの上縁部に、給電のための電極を収容するための窪みを設ける場合もある。さらに、実装例も図6に示したものに限定されない。すなわち、PCカードやコンパクトフラッシュ(登録商標)(CF)カードなどの、パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)などのスロットに挿入して用いる無線通信カードに実装することもできる。実装時におけるアンテナ特性の調整のため、グランドパターンを誘電体基板の右側又は左側まで伸ばすこともある。また、基板上端部に誘電体基板2つを互いに干渉しないように設け、スペースダイバーシティアンテナを構成しても良い。さらに、誘電体基板を小型のスティック型のカードに実装することも可能である。
【0075】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、小型化が可能であり且つ広帯域化が可能な新規な形状のアンテナ及び当該アンテナ用の誘電体基板を提供することができる。
【0076】
また他の側面として、小型化が可能であり且つ十分なアンテナ特性を有する新規な形状のデュアルバンドアンテナ及び当該デュアルバンドアンテナ用の誘電体基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の第1の実施の形態におけるアンテナの構成を示す正面図、(b)は側面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態におけるアンテナの構成を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態におけるアンテナの構成を示す図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態におけるアンテナの構成を示す図である。
【図5】第2エレメントが第1エレメントに影響を与える領域を説明するための図である。
【図6】(a)は本発明の第4の実施の形態における実装例を示す正面図、(b)は底面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態における2.4GHz帯のインピーダンス特性を示す図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態における5GHz帯のインピーダンス特性を示す図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態において、(a)乃至(c)は2.45GHzの電波についての放射パターンを、(d)乃至(f)は5.4GHzの電波についての放射パターンを示す。
【図10】本発明の第4の実施の形態におけるゲイン特性を示す図である。
【図11】(a)乃至(c)は本発明の第5の実施の形態に係るアンテナ用誘電体基板の層構成例を示す図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態における5GHz帯のインピーダンス特性を示す図である。
【図13】本発明の第5の実施の形態における2.4GHz帯のインピーダンス特性を示す図である。
【図14】(a)乃至(c)は本発明の第6の実施の形態に係るアンテナ用誘電体基板の層構成例を示す図である。
【図15】(a)乃至(c)は本発明の第7の実施の形態に係るアンテナ用誘電体基板の層構成例を示す図である。
【図16】(a)乃至(c)は従来のアンテナの構成を示す図である。
【図17】従来のアンテナの構成を示す図である。
【符号の説明】
1 平面エレメント
2 グランドパターン
3 高周波電源
4 対称線
5 アンテナ用誘電体基板
6 プリント基板
7 共振エレメント
Claims (12)
- 給電位置において給電される平面エレメントと共振エレメントとを有するアンテナ用誘電体基板と、
グランドパターンと、
を具備し、
前記平面エレメントと前記グランドパターンとが非対向状態であり、互いの面が平行又は実質的に平行であり、
前記平面エレメントの2つの側縁部が、曲線と傾きが段階的に変更されて接続された線分とのうちいずれかで構成され、
前記側縁部と前記グランドパターンとの距離が、前記給電位置を通る第1の直線から離れるに従い、連続的且つ飽和的に増加し、
前記平面エレメントは、前記給電位置から遠い方の、前記側縁部の端点間を結ぶ第2の直線上の点にて前記共振エレメントに接続され、
前記共振エレメントの先端部分は、前記第2の直線より前記給電位置側まで伸びており、
前記平面エレメントと前記共振エレメントをそれぞれが形成される層に対して平行な仮想平面に投影した際に、前記共振エレメントの先端部分が、前記仮想平面に投影された前記平面エレメントの前記側縁部の脇に定義された所定の領域に重なることなく配置される
ことを特徴とするアンテナ。 - 給電位置において給電される平面エレメントと共振エレメントとを有するアンテナ用誘電体基板と、
グランドパターンと、
を具備し、
前記平面エレメントと前記グランドパターンとが非対向状態であり、互いの面が平行又は実質的に平行であり、
前記平面エレメントの2つの側縁部が、曲線と傾きが段階的に変更されて接続された線分とのうちいずれかで構成され、
前記側縁部と前記グランドパターンとの距離が、前記給電位置を通る第1の直線から離れるに従い、連続的且つ飽和的に増加し、
前記平面エレメントは、前記給電位置から遠い方の、前記側縁部の端点間を結ぶ第2の直線上の点にて前記共振エレメントに接続され、
前記共振エレメントの先端部分は、前記第2の直線より前記給電位置側まで伸びており、
前記平面エレメントと前記共振エレメントをそれぞれが形成される層に対して平行な仮想平面に投影した際に、前記共振エレメントの先端部分が、少なくとも、前記仮想平面に投影された前記第1の直線に対して平行であり、且つ当該給電位置から遠い方の、前記仮想平面に投影された前記側縁部の端点を始点として前記給電位置方向に伸びた半直線より前記平面エレメント側の領域と重なることなく配置される
ことを特徴とするアンテナ。 - 前記共振エレメントが、前記第1の直線に対して対称であることを特徴とする請求項1又は2記載のアンテナ。
- 前記共振エレメントが、前記第1の直線に対して非対称であることを特徴とする請求項1又は2記載のアンテナ。
- 前記平面エレメントと前記共振エレメントが、同一の層に形成されることを特徴とする請求項1及至4のいずれか1つ記載のアンテナ。
- 前記平面エレメントと前記共振エレメントの少なくとも一部とが異なる層に形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つ記載のアンテナ。
- アンテナ用誘電体基板であって、
誘電体の層と、
2つの側縁部が曲線と傾きが段階的に変更されて接続された線分とのうちいずれかで構成される導体の平面エレメントを含む層と、
共振エレメントと、
を有し、
前記アンテナ用誘電体基板の側面のうち前記平面エレメントの給電位置に最も近い面と前記側縁部との距離が、前記給電位置を通る第1の直線から離れるに従い、連続的且つ飽和的に増加し、
前記平面エレメントは、前記給電位置から遠い方の、前記側縁部の端点間を結ぶ第2の直線上の点にて前記共振エレメントに接続され、
前記共振エレメントの先端部分は、前記第2の直線より前記給電位置側まで伸びており、
前記平面エレメントと前記共振エレメントをそれぞれが形成される層に対して平行な仮想平面に投影した際に、前記共振エレメントの先端部分が、前記仮想平面に投影された前記平面エレメントの前記側縁部の脇に定義された所定の領域に重なることなく配置される
ことを特徴とするアンテナ用誘電体基板。 - アンテナ用誘電体基板であって、
誘電体の層と、
2つの側縁部が曲線と傾きが段階的に変更されて接続された線分とのうちいずれかで構成される導体の平面エレメントを含む層と、
共振エレメントと、
を有し、
前記アンテナ用誘電体基板の側面のうち前記平面エレメントの給電位置に最も近い面と前記側縁部との距離が、前記給電位置を通る第1の直線から離れるに従い、連続的且つ飽和的に増加し、
前記平面エレメントは、前記給電位置から遠い方の、前記側縁部の端点間を結ぶ第2の直線上の点にて前記共振エレメントに接続され、
前記共振エレメントの先端部分は、前記第2の直線より前記給電位置側まで伸びており、
前記平面エレメントと前記共振エレメントをそれぞれが形成される層に対して平行な仮想平面に投影した際に、前記共振エレメントの先端部分が、少なくとも、前記仮想平面に投影された前記第1の直線に対して平行であり、且つ当該給電位置から遠い方の、前記仮想平面に投影された前記側縁部の端点を始点として前記給電位置方向に伸びた半直線より前記平面エレメント側の領域と重なることなく配置される
ことを特徴とするアンテナ用誘電体基板。 - 前記共振エレメントが、前記第1の直線に対して対称であることを特徴とする請求項7又は8記載のアンテナ用誘電体基板。
- 前記共振エレメントが、前記第1の直線に対して非対称であることを特徴とする請求項7又は8記載のアンテナ用誘電体基板。
- 前記平面エレメントと前記共振エレメントが、同一の層に形成されることを特徴とする請求項7及至10のいずれか1つ記載のアンテナ用誘電体基板。
- 前記平面エレメントと前記共振エレメントの少なくとも一部とが異なる層に形成されることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1つ記載のアンテナ用誘電体基板。
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