JP4166347B2 - リチウム二次電池用正極活物質の製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池用正極活物質の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウム二次電池用正極活物質に適したリチウム含有複合金属酸化物の製造方法に関し、より詳しくはリチウム含有複合金属酸化物の焼成を脱水反応と酸化結晶化反応の二段階に分けて行う工業的生産に適したリチウム二次電池用正極活物質の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
リチウムまたはリチウム化合物を負極とする非水電解液二次電池は、高電圧で高エネルギー密度が期待され、多くの研究が行われている。
非水電解液二次電池の正極活物質としては、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウムなどのリチウム複合酸化物、二酸化マンガン、二硫化チタン、二硫化モリブデン、五酸化バナジウム、五酸化ニオブなどの金属酸化物やカルコゲンなどが広く知られている。
これら酸化物や化合物は層状またはトンネル状の結晶構造を有し、充放電によりリチウムイオンの可逆的放出、吸蔵を繰り返す事が可能である。特に、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウムは4ボルト(V)級非水電解液リチウム二次電池用正極活物質として精力的に研究が行われており、すでに比較的製造が容易なコバルト酸リチウムが実用に供せられている。
【0003】
しかしコバルトは非常に高価な金属であり、また戦略物質でもあり、産地が特定地域に遍在しているため、政治情勢の変化による供給不安や価格高騰などの問題がある。
これに対しニッケル、マンガンは比較的安価な金属であり、かつ安定した供給が可能である。このうちマンガン酸リチウムはコバルト酸リチウムやニッケル酸リチウムに比べて容量が小さく、サイクル特性にも問題がある。
一方ニッケル酸リチウムもサイクル特性に多少問題がある。ニッケル酸リチウムは充電でリチウムを放出していくと、結晶構造が六方晶から単斜晶に変化するため、サイクル特性が悪化すると言われている。その対策としてニッケル酸リチウムのニッケルの一部をコバルトや他の金属で置換すると六方晶から単斜晶への変化がなくなりサイクル特性が改善される事が知られている(T.Ohzukuet.al.,J.Electrochem.Soc.,140,1862(1993);荒井 創、岡田重人、大塚秀昭、山木準一,電池技術,7,98(1995))。
【0004】
ニッケル酸リチウム、置換ニッケル酸リチウムはコバルト酸リチウムと比較して製造が困難である。また、ニッケル酸リチウムは充電によりリチウムが放出されると酸化ニッケル(NiO2 )が生成する。この酸化ニッケルは非常に不安定な化合物で、酸素を放出しながら発熱するのでニッケル酸リチウムの熱安定性の向上が強く望まれている。これに対し、正極活物質としてニッケル酸リチウムのニッケルの一部をアルミニウム、マンガン、鉄、銅などの異種元素で置換した置換ニッケル酸リチウムを用いた場合では、熱安定性が改善できることが知られ、いくつかの提案がなされている。
例えば、リチウム金属あるいはリチウムを吸蔵放出可能な材料からなる負極と、正極とを有する非水系電池において、正極の活物質としてLiab Nic Code (ただし、M;Al、Mn、Sn、In、Fe、V、Cu、Mg、Ti、Zn、Moからなる群から選択される少なくとも一種の金属であり、かつ0<a<1.3、0.02≦b≦0.5、0.02≦d/(c+d)≦0.9、1.8<e<2.2の範囲であって、更にb+c+d=1である)を用いる非水系電池が開示されている(特開平5−242891号公報)。しかしニッケル酸リチウム、置換ニッケル酸リチウムは、コバルト酸リチウムと比較すると製造が困難な物質である。
【0005】
この正極活物質用の置換ニッケル酸リチウムの製造方法として、ニッケル塩として酸化ニッケルまたは水酸化ニッケルを用い、そのニッケルの一部をコバルト、マンガン、鉄、バナジウム、クロム、アルミニウム、マグネシウムそれぞれの塩で置換した化合物とリチウム塩の混合物を2段階で焼成することにより合成するLiNi1 yy2 (M=Co、Mn、Fe、V、Cr、Al、Mgから選ばれる少なくとも1つの元素、0<y≦0.25)で表される非水電解液二次電池用正極活物質の製造方法であって、第1段目の焼成を空気気流中590〜690℃、第2段目の焼成を酸素気流中700〜850℃でそれぞれ行う非水電解液二次電池用正極活物質の製造方法が提案されている(特開平9−293506号公報)。
【0006】
しかし、第1段目の焼成がリチウム二次電池用正極活物質の脱水の起こる温度と比較して高温であるため脱水が急激過ぎ、実験室規模では問題がなくとも工業的製造規模では焼成系からの水分の追い出しが間に合わないこと、結晶の破壊を伴う危険があり、リチウム二次電池用正極活物質の製造方法としては問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、放電容量が大きく、サイクル特性が良好で、しかも熱安定性に優れたリチウム二次電池用正極活物質に適したNi系リチウム含有複合金属酸化物の工業的製造法の開発を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のため鋭意努力した結果、本発明者らはリチウム含有複合金属酸化物の焼成を脱水反応と酸化結晶化反応の二段階に分けることにより、大量製造に適した工業的製造方法を確立して本発明を完成した。
【0009】
すなわち本発明は、
[1] 一般式(1)
Li Ni ・・・・・(1)
(ただし、0.94≦x≦1.06、0.98≦y+z≦1.02、0.70≦y≦0.95;MはCo、Mn、Fe、Mg、Al、Ti、Cr、Sn、In、Cu、V、Zn、Mo、Bのうちの1種または2種以上を表す。)
の製造において、ニッケル化合物とコバルト、マンガン、鉄、マグネシウム、アルミニウム、チタン、クロム、錫、インジウム、銅、バナジウム、亜鉛、モリブデン、ホウ素からなる群より選ばれた1種または2種以上の元素を含む非ニッケル系金属化合物とリチウム化合物の焼成を(i)脱水反応として酸素気流中または脱湿、脱炭酸ガスした空気または不活性ガス気流中で、1時間以上かけて徐々に昇温しながら反応温度430〜550℃、保持時間10分以上に保持した後、(ii)酸化結晶化反応として酸素気流中または脱湿、脱炭酸ガス処理した空気の気流中で反応温度700〜850℃、保持時間20時間以上の2段階に分けて行うことを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質の製造方法、
[2] ニッケル化合物として水酸化ニッケルまたは酸化水酸化ニッケル、非ニッケル系金属化合物として前記非ニッケル系金属の酸化物、水酸化物または酸化水酸化物、リチウム化合物として水酸化リチウムまたは硝酸リチウムを焼成する前記[1]に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法、
[3] ニッケル化合物と前記非ニッケル系金属化合物の混合水溶液をアルカリ水溶液で共沈させた共沈物と、水酸化リチウムまたは硝酸リチウムの混合物を焼成する前記[1]または[2]に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法、及び
[4] ニッケル化合物と前記非ニッケル系金属化合物の混合水溶液をアルミン酸アルカリ水溶液で共沈させた共沈物と水酸化リチウムまたは硝酸リチウムの混合物を用いる前記[1]ないし[3]のいずれかに記載のリチウム二次電池用正極活物質製造方法、
【0010】
[5] 上記[1]ないし[4]のいずれかに記載のリチウム二次電池用正極活物質製造方法によって製造されたリチウム二次電池用正極活物質、および
[6] 上記[5]に記載のリチウム二次電池用正極活物質が使用されたリチウム二次電池、を開発することにより上記の目的を達成した。
【0011】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の一般式(1)
Lix Niyz2 ・・・・・・・(1)
の製造において、リチウム含有複合金属酸化物の製造原料としては硝酸塩または水酸化物が適している。ただ、工業的には硝酸塩を使用するとNOx の問題があるので水酸化物の使用が最適である。反応は酸素気流中、脱湿、脱炭酸ガス処理した空気または不活性ガス気流中で長時間の焼成反応が必要である。工業的焼成炉としては、プッシャー炉の使用が提案されている。しかし、プッシャー炉は熱効率が悪く、また大量のガスを流しながらの反応のためには、炉の設計、運転が難しい欠点がある。
【0012】
出発原料として水酸化物を使用すると、焼成中に大量の水分が発生し、この水分を速やかに系外に追い出さないと電池特性の良い正極活物質になるリチウム含有複合金属酸化物は得られない。
このため原料系[Li(OH)2 ・Ni(OH)2 ・Co(OH)2 ・Al(OH)3 の混合物]の脱水反応を、熱重量測定(Thermogravimetry:TG)、TG曲線の時間微分曲線(Derivative Thermogravimetry:DTG)及び示差熱分析(Differential Thermal Analysis:DTA)の測定を行った。結果を図1に示す。
TGは脱水反応における重量減少を測定している。この測定によると、700℃付近において酸化反応によると思われる少量の重量増加が検出できた。またDTGを測定することにより、反応の開始温度、終了温度などを正確に把握できる。更にDTAによると、脱水反応による5種の吸熱ピークが観察されている。
【0013】
その結果水酸化ニッケル、置換金属(コバルト、マンガン、鉄、マグネシウム、アルミニウム、チタン、クロム、錫、インジウム、銅、バナジウム、亜鉛、モリブデン、ホウ素のうちの1種または2種以上)の水酸化物または酸化物、水酸化リチウムの混合物の熱分析行うと、混合物の原料化合物及び配合比率により多少変化はするが、60〜70℃の温度領域で全脱水量の約20%の脱水が起こる。240〜270℃の温度領域で約70%の脱水が起こる。420〜470℃の温度領域で約10%の脱水が起こることがわかった。更に酸化する雰囲気でのみ起こる極微量の脱水反応が690〜710℃の温度領域にあることも明らかになった。
【0014】
上述のように、リチウム二次電池用正極活物質に使用するLix Niyz2 の製造においては、脱水反応で生成した水を速やかに系外に追い出すことが非常に重要である。急激な昇温は水蒸気の急激な発生を招き水蒸気をうまく系外に排出できなくなる。この脱水反応は、発生する水蒸気をいかにうまく系外に排出するかが極めて重要であり、電池特性の良い正極活物質を製造するかのキーポイントになる。
したがって、第一段の脱水反応の温度に到達するまで少なくとも1時間以上、好ましくは3〜4時間かけて徐々に昇温し、水蒸気の発生に応じて、脱湿、脱炭酸ガスした空気または窒素、アルゴンなどの不活性ガスを流しながら発生する水蒸気を系外に強制的に排出することが必要である。
【0015】
また、その理由は十分に解明していないが、脱水反応及び酸化結晶化反応の際、雰囲気ガス中に炭酸ガスが存在する時は、結果として電池特性の優れた正極活物質は得られにくいことも確認できた。このことは原料金属化合物(リチウム、ニッケル、置換金属の化合物)は炭酸塩化合物のを使用することは避けることが好ましいことを示している。
本発明の方法では、第2段の酸化結晶化反応は15時間以下の処理時間では電池特性の良い正極活物質は得られず、該反応の処理時間は長いほど電池特性が良くなる結果を得ている。2段焼成反応を行う従来技術(特開平9−293506号公報)においては、2段目の焼成反応は15分程度の短くてよいとされているが、これは1段目の脱水反応がいかなる条件で行っているのか不明であり、また温度条件が異なるためかもしれない。
したがって酸化結晶化反応に長時間の反応時間が必要である。そのために工業的製造においてはどのような焼成炉を使用するかが重要な問題である。
【0016】
リチウム含有複合酸化物の工業的製造には通常プッシャー炉の使用が提案されているが、プッシャー炉は熱効率が悪く、また焼成時に発生する水分を急速に追い出すために大量のガス流中で焼成する処理には不向きである。このような焼成脱水反応にはローターリーキルンが適しているが、ローターリーキルンによる処理は長時間を必要とする酸化結晶化反応の焼成には不向きである。
【0017】
これらの反応メカニズムを種々検討した結果、リチウム含有複合金属酸化物は430〜550℃の焼成処理温度で保持時間10分以上、好ましくは30分〜1時間程度、雰囲気として酸素または脱湿、脱炭酸ガスした空気または不活性ガス気流中で脱水反応を行うと、発生する水分の95%以上が脱水されることが判った。
この脱水した生成物を次に700〜850℃、好ましくは740〜800℃の反応温度で酸素または脱湿、脱炭酸ガスした空気雰囲気下で酸化結晶化反応行うと、非常に電池特性の良いニッケル系リチウム含有複合酸化物の正極活物質が得られることが判った。
脱水反応終了後の脱水物の酸化結晶化反応への仕込みは、いかなる温度で行っても良い。即ち、脱水反応終了後高温のままでも、また室温まで冷却してからでもいずれの場合でも良い。
【0018】
この場合の酸化結晶化反応時間は、20時間以上必要である。反応時間を長くすれば、電池特性は少しづつ向上する。しかし約72時間以上長くしてもほとんどそれ以上の向上はない。経済的には酸化結晶化反応時間は、ほぼ20〜24時間が適当である。この際空気を用いる時は脱湿、脱炭酸ガスをして、露点0℃以下、炭酸ガス濃度0.1%以下が望ましい。
以上の知見を得たので、リチウム含有複合金属酸化物の脱水反応は連続的ローターリーキルンで行い、酸化結晶化反応は台車炉、プッシャー炉またはローラーハウスキルンなどで行う大量生産に適した工業的製造方法を確立した。
【0019】
以下実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。
なお、実施例において電池の作製はアルゴン雰囲気下のグローブボックス中で行った。
【0020】
【実施例】
(実施例1〜4)および(比較例1)
水酸化ニッケル153.9g(1.66モル)、水酸化コバルト11.2g(0.12モル)、水酸化アルミニウム17.2g(0.22モル)をボールミルで水と十分にスラリー状に混合し、濾過、ケーキを乾燥した。この混合物91.1gと水酸化リチウム24g(1.0モル)をボールミルで十分乾式混合を行った。水酸化リチウムを加えた混合物80gを磁製容器に入れ、内容積2.8リットルの電気管状炉内にセットし、酸素/窒素(1/4 )混合ガス気流中(2000ml/min)450℃まで3時間かけて昇温し、1時間保持して脱水反応を行った。その後、室温まで冷却し、脱水物を取り出した。脱水物10gずつを磁製容器に入れ、同じ炉に1個ずつセットし、酸素気流中(100ml/min)750℃で反応時間を15時間(比較例1)、20時間(実施例1)、24時間(実施例2)、72時間(実施例3)、168時間(実施例4)と変化させてそれぞれ酸化結晶化反応を行った。
【0021】
得られた化合物を正極活物質として正極を作成した。すなわち、前記活物質と導電剤であるアセチレンブラックおよび、結着剤としてポリフッ化エチレン樹脂を重量比で8:1:1となるように混合し(総重量1.25g)、トルエン(3.00g)を加え樹脂を膨潤させながら十分混練した。さらにトルエンを蒸発させながら混練を続けた。混練物をステンレス鋼製のエキスパンドメッシュ(厚さ100μm )上に圧着成形し、シートに成形した。圧着は数回脱気を繰り返しながら200kg/cm2 で行った。このシート(厚さ310μm)から直径16mmの円盤を打ち抜き、90℃で15時間真空脱気を行い正極とした。
【0022】
電池はこの正極を用い、20mmのコイン型セルを組んだ。すなわちコインの容器に正極を置きその上に16mmφのポリプロピレン製不織布(厚さ100μm)、19mmφの多孔質ポリプロピレン製セパレーター(厚さ25μm)、16mmφのポリプロピレン製不織布(厚さ100μm)を重ねた。その上に負極(厚さ500μm;直径19mmφのリチウム箔)を重ね、電解液(1M−LiPF6 /EC+DMC(1:2))を入れ十分浸み込ませてから、ポリプロピレンパッキングを置き、上蓋をして、かしめて電池とした。
【0023】
この電池について、0.3mA/cm2 の充放電電流密度で2.5〜4.3Vの電圧規制充放電試験を20℃で行った。この時、2サイクル目の放電容量を放電容量とした。サイクル特性の評価は、30サイクル目の放電容量を2サイクル目の放電容量で割った値、即ち容量維持率で行った。放電容量は、活物質1g当たりに概算した放電時の電気容量である。
【0024】
【表1】
Figure 0004166347
【0025】
(実施例5)
水酸化リチウム24g(1.0モル)、水酸化ニッケル78.8g(0.85モル)、水酸化コバルト9.3g(0.1モル)、レピッドクロサイト(γ−FeOOH)4.4g(0.05モル)をボールミルで十分混合した。この混合物の一部40gを磁製容器に入れ、内容積2.8リットルの電気管状炉内にセットし、酸素気流中(2000ml/min)550℃まで4時間かけて昇温し、30分間保持して脱水反応を行った。その後、室温まで冷却した。再度酸素気流中(100ml/min)で750℃まで昇温し、24時間酸化結晶化反応を行った。得られた化合物を正極活物質として実施例1と同様の電池評価を行った。
放電容量 193.2mAh/g
1回目のク−ロン効率 88.3%
容量維持率 98%
【0026】
(実施例6)
水酸化リチウム24g(1.0モル)、水酸化ニッケル78.8g(0.85モル)、水酸化コバルト9.3g(0.1モル)、MnOOH4.4g(0.05モル)をボールミルで十分混合した。この混合物の一部40gを磁製容器に入れ、内容積2.8リットルの電気管状炉内にセットし、酸素気流中(2000ml/min)500℃まで3時間かけて昇温し、30分間保持して脱水反応を行った。その後、300℃まで冷却した。再度酸素気流中(100ml/min)760℃まで昇温し、24時間酸化結晶化反応を行った。得られた化合物を正極活物質として実施例1と同様の電池評価を行った。
放電容量 190mAh/g
1回目のクーロン効率 90.2%
容量維持率 98%
【0027】
(比較例2)
実施例1で使用した同じ混合物40gを磁製容器に入れ、内容積2.8リットルの電気管状炉内にセットし、酸素/窒素(1/4)混合ガス気流中(2000ml/min)400℃まで3時間かけて昇温し、1時間保持して脱水反応を行った。その後、室温まで冷却した。再度酸素気流中(100ml/min)750℃まで昇温し、24時間酸化結晶化反応を行った。得られた化合物を活物質として実施例1と同様の電池評価を行った。
放電容量 175.3mAh/g
1回目のクーロン効率 78.1%
容量維持率 85%
【0028】
(実施例7)
水酸化リチウム24g(1.0モル)、水酸化ニッケル86.2g(0.93モル)、MnOOH6.2g(0.07モル)をボールミルで十分混合した。この混合物の一部40gを磁製容器に入れ、内容積2.8リットルの電気管状炉内にセットし、酸素/窒素(1/4)気流中(2000/min)、500℃まで3時間かけて昇温し、1時間保持して脱水反応を行った。その後室温まで冷却した。再度酸素気流中(100ml/min)750℃まで昇温し、24時間酸化結晶化反応を行った。得られた化合物を正極活物質として実施例1と同様の電池評価を行った。
放電容量 192.3mAh/g
1回目のクーロン効率 89.2%
容量維持率 95%
【0029】
(実施例8)
水酸化リチウム24g(1.0モル)、水酸化ニッケル83.4g(0.9モル)、水酸化コバルト9.3g(0.1モル)をボールミルで十分混合した。この混合物の一部40gを磁製容器に入れ、内容積2.8リットルの電気管状炉内にセットし、酸素/窒素(1/4)気流中(2000ml/min)、480℃まで3時間かけて昇温し、30分間保持して脱水反応を行った。その後室温まで冷却した。再度酸素気流中(100ml/min)750℃まで昇温し、24時間酸化結晶化反応を行った。得られた化合物を正極活物質として実施例1と同様の電池評価を行った。
放電容量 216.2mAh/g
1回目のクーロン効率 95.0%
容量維持率 98%
【0030】
(実施例9)
実施例1で使用した同じ混合物40gを磁製容器に入れ、内容積2.8リットルの電気環状炉内にセットし、窒素気流中(2000ml/min)、450℃まで3時間かけて昇温し、1時間その温度に保持して脱水反応を行った。その後室温まで冷却した。再度酸素気流中(100ml/min)、750℃まで昇温し、24時間酸化結晶化反応を行った。得られた化合物を正極活物質として実施例1と同様の電池評価を行った。
放電容量 192.2mAh/g
1回目のクーロン効率 85.6%
容量維持率 98%
【0031】
【発明の効果】
脱水反応と酸化結晶化反応を分けて行い、脱水反応で発生する水分の95%以上を脱水してから酸化結晶化反応を行うと、非常に電池特性の良い正極活物質が製造できる。このように反応を2段階に分けることにより大量生産に適した工業的プロセスが確立できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】LiOH、Ni(OH)2 、Co(OH)2 及びAl(OH)3 の混合物の脱湿、脱炭酸ガス空気の気流中での熱分析結果。
【図2】実施例1〜4および比較例1の酸化結晶化反応の反応時間と放電容量の関係。
【図3】実施例1〜4および比較例1の酸化結晶化反応の反応時間と1サイクル目のクーロン効率の関係。

Claims (6)

  1. 一般式(1)
    Li Ni ・・・・・(1)
    (ただし、0.94≦x≦1.06、0.98≦y+z≦1.02、0.70≦y≦0.95;MはCo、Mn、Fe、Mg、Al、Ti、Cr、Sn、In、Cu、V、Zn、Mo、Bのうちの1種または2種以上を表す。)
    の製造において、ニッケル化合物とコバルト、マンガン、鉄、マグネシウム、アルミニウム、チタン、クロム、錫、インジウム、銅、バナジウム、亜鉛、モリブデン、ホウ素からなる群より選ばれた1種または2種以上の元素を含む非ニッケル系金属化合物とリチウム化合物の焼成を(i)脱水反応として酸素気流中または脱湿、脱炭酸ガスした空気または不活性ガス気流中で、1時間以上かけて徐々に昇温しながら反応温度430〜550℃、保持時間10分以上に保持した後、(ii)酸化結晶化反応として酸素気流中または脱湿、脱炭酸ガス処理した空気の気流中で反応温度700〜850℃、保持時間20時間以上の2段階に分けて行うことを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
  2. ニッケル化合物として水酸化ニッケルまたは酸化水酸化ニッケル、非ニッケル系金属化合物として前記非ニッケル系金属の酸化物、水酸化物または酸化水酸化物、リチウム化合物として水酸化リチウムまたは硝酸リチウムを焼成する請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
  3. ニッケル化合物と前記非ニッケル系金属化合物の混合水溶液をアルカリ水溶液で共沈させた共沈物と、水酸化リチウムまたは硝酸リチウムの混合物を焼成する請求項1または2に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
  4. ニッケル化合物と前記非ニッケル系金属化合物の混合水溶液をアルミン酸アルカリ水溶液で共沈させた共沈物と水酸化リチウムまたは硝酸リチウムの混合物を用いる請求項1ないし3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極活物質製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極活物質製造方法によって製造されたリチウム二次電池用正極活物質。
  6. 請求項5に記載のリチウム二次電池用正極活物質が使用されたリチウム二次電池。
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