JP4246283B2 - リチウム含有複合金属酸化物、その製造方法及び用途 - Google Patents
リチウム含有複合金属酸化物、その製造方法及び用途 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はリチウム二次電池用正極活物質に適したリチウム含有複合金属酸化物、その製造方法及び用途に関し、より詳しくは金属リチウムあるいはリチウム−炭素(リチウム−グラファイト)インターカレーション化合物などを負極活物質とするリチウム二次電池において、正極活物質として使用した場合、高容量でサイクル特性が良好で、しかも熱安定性に優れたリチウムニッケル酸系複合金属酸化物、その製造方法及び用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
リチウムまたはリチウム化合物を負極とする非水電解液二次電池は、高電圧で高エネルギー密度が期待され、多くの研究が行われている。非水電解液二次電池の正極活物質としては、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウムなどのリチウムと他の金属との複合酸化物、二酸化マンガン、二硫化チタン、二硫化モリブデン、五酸化バナジウム、五酸化ニオブなどの金属酸化物やカルコゲンなどが広く知られている。これら酸化物や化合物は層状またはトンネル状の結晶構造を有し、充放電によりリチウムイオンの可逆的放出、吸蔵を繰り返すことが可能である。特に、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウムは4ボルト(V)級非水電解液リチウム二次電池用正極活物質として精力的に研究が行われている。すでに比較的製造が容易なコバルト酸リチウムが実用に供せられている。
【0003】
しかしコバルトは非常に高価な金属であり、また戦略物質でもあり、産地が特定地域に遍在しているため、政治情勢の変化による供給不安や価格高騰などの問題がある。一方、ニッケル、マンガンは比較的安価な金属であり、かつ安定した供給が可能である。マンガン酸リチウムはコバルト酸リチウムやニッケル酸リチウムに比べて容量が小さく、サイクル特性にも問題がある。またニッケル酸リチウムもサイクル特性に多少問題がある。LiNi02は充電でLiを放出していくと、結晶構造が六方晶から単斜晶に変化する。それ故、サイクル特性が悪化すると言われている。その対策としてLiNiO2のNiの一部をCoで置換すると六方晶から単斜晶への変化がなくなりサイクル特性が改善されることが知られている(T. Ohzuku et al., J.Electrochem.Soc., 140, 1862(1993); 荒井 創、岡田重人、大塚秀昭、山木準一,電池技術,7, 98(1995) )。
【0004】
また、LiNiO2は充電によりLiが放出されるとNiO2が生成する。NiO2は非常に不安定な化合物で、酸素を放出しながら発熱する。それ故、LiNiO2の熱安定性の向上が強く望まれている。
LiNiO2のNiの一部をAlで置換すると熱安定性は大幅に向上することが知られている(T. Ohzuku et al., J.Electrochem.Soc., 142, 4033(1995) )。しかし、この場合は放電容量が大幅に低下する。
特開昭63-121258 号にはLiCoO2を種々の異種金属で置換して過電圧特性を改善する方法が提案されている。また特開平5-242891号にはLiNixCoyO2を更に種々の異種金属で置換すると、放電容量が増大し,Fe,Cuの場合には熱安定性が改善されることが提案されている。
【0005】
また、O. ZhongらはLiAlyNi1-yO2の合成とその電気化学的研究を行っている(O. Zhong and Ulchi von Sacken, J. Power Sources, 54, 221(1995))。まず、 LiAlyNi1-yO2 の合成をLiOH,NiO,Al2 O3 (またはAl(OH)3 )の混合物で試みたが、単相のLiAlyNi1-yO2の合成には成功せず、製品の中にAl2O3 が不純物として混入していた。そこで彼らはAl源を金属Al粉末(300 メッシュ)に変えて初めて単相の合成に成功した。しかし放電容量は104 〜148mAh/gと小さいものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、放電容量が大きく、サイクル特性が良好で、しかも熱安定性に優れたリチウム二次電池用正極活物質に適したリチウム含有複合金属酸化物の提供を課題とする。さらには、リチウム二次電池において1回目の充放電のクーロン効率の改善を課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題解決のため鋭意努力した結果、本発明者らは、LiNiO2 においてNiの一部をCo及びAlで置換することにより、放電容量が大きく、サイクル特性が良好で、熱安定性にも優れた正極活物質となるリチウム含有複合金属酸化物が得られることを見出した。更にこのリチウム含有複合金属酸化物の製造において、Li,Ni,Co,Alを含む原料化合物の混合方法が製品の特性、特に熱安定性に影響していることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は以下の発明からなる。
[1]一般式
LiNix Coy AlzO2
[0.70≦x<0.85; 0.05≦y≦0.20; 0.10<z≦0.25; x+y+z=1.0]
で表されるリチウム含有複合金属酸化物の製造において、水を溶媒としてLi以外の構成金属の水酸化物及び/または酸化物をスラリー混合する工程、濾過乾燥後にLiOH、Li2O及びLi2 CO3からなる群から選ばれるリチウム化合物と乾式混合する工程、及び混合物を酸素含有気流中で焼成する工程を含んでいることを特徴とするリチウム含有複合金属酸化物の製造方法。
[2] 焼成の際に混合物と気相を通じてのみ接触するような状態で別途リチウム化合物を共存させることを特徴とする請求項1に記載のリチウム含有複合金属酸化物の製造方法。
上記の製造方法により、リチウム含有金属酸化物として以下のものも得ることができる。
(1)α−NaFeO2 型結晶構造を有し、一般式
LiNix Coy Al2O2
[0.70≦x<0.85; 0.05≦y≦0.20; 0.10<z≦0.25; x+y+z=1.0]
で表されるリチウム含有複合金属酸化物において、銅Kα線を用いた粉末X線回折における(018 )面のピーク位置と(110 )面のピーク位置との分離Δ2θ((110)-(018) )が 0.520〜0.700°であり、(018 )面のピーク強度が(110 )面のピーク強度より高いリチウム含有複合金属酸化物。
(2)DTA測定による発熱ピーク曲線において、ピーク高さ率が0.30以下である上記(1)に記載のリチウム含有複合金属酸化物。
これらのリチウム含有複合金属酸化物は、リチウム二次電池用正極活物質として、正極に含めることができる。また、この正極を用いてリチウム二次電池を得ることができる。
以下に本発明について詳細に説明する。
【0011】
[7] 焼成の際に混合物と気相を通じてのみ接触するような状態で別途リチウム化合物を共存させることを特徴とする前項[3]〜[6]のいずれか記載のリチウム含有複合金属酸化物の製造方法。
[8] 前項[1]または[2]記載のリチウム含有複合金属酸化物を含むリチウム二次電池用正極活物質。
[9] 前項[1]または[2]記載のリチウム含有複合金属酸化物を正極活物質として含むリチウム二次電池。
【0012】
本発明のリチウム含有複合金属酸化物は、α−NaFeO2 型結晶構造を有し、一般式
LiNix Coy Alz O2
[0.70≦x<0.85; 0.05≦y≦0.20; 0.10<z≦0.25; x+y+z=1.0]
で表されるリチウム含有複合金属酸化物である。このCo及びAl置換LiNiO2 結晶におけるCoの置換量yは0.05より小さいとサイクル特性が悪く、0.20を越えると放電容量が低くなるので好ましくない。また、Alの置換量zは0.10を越えると熱安定性が大幅に向上し、好ましくは0.11以上であるが、0.25を越えると放電容量が低くなるので好ましくない。
【0013】
本発明のLiNix Coy Alz O2 の銅Kα線を用いた以下の測定条件での粉末X線回折においては、(018 )面のピークと(110 )面のピークが完全に分離しており、ピーク間の2θの差Δ2θ((110)-(018) )が0.520 〜0.700 °であり、これが熱安定性の良い正極活物質の条件であることが判った。Δ2θが上記の範囲に入っていることは原料の混合が完全に行われ、非常にきれいな固溶体結晶が生成していることを表す。但し、測定条件は、以下の通り。
X線回折測定条件:スリット(発散:1/2 °;散乱:1/2 °;受光:0.3mm );
スキャンスピ−ド:1.5 °/min;スキャンステップ:0.02°;出力:50KV/180mA。
【0014】
次に、熱安定性の評価は下記のような試験法で行った。
正極活物質300mg を13mmφのペレットに成形する(成形圧力:200kg/cm2 )。このペレットを正極とし、リチウム箔を負極として、1M LiPF6 /EC(エチレンカーボネート)+DMC(ジメチルカーボネート)(1:2)を電解液として電池を組み立てる。電池は金属製の分解可能なタイプでリチウム箔、セパレーター、不織布、正極を重ね電解液を十分浸み込ませてスプリングで押さえつけて電池とする。電流密度0.7mA/cm2,電圧4.2Vで満充電を行う。満充電後、電池をグローブボックス内で分解し、正極をDMCで洗浄し、電解質を除去し、乾燥する。その後、DTA(示差熱分析)測定用アルミニウムセルにこの正極を20±1mg入れ、密封する。窒素気流中10℃/minの昇温速度でDTAを測定して、発熱ピ−ク温度を求め、以下の式よりピーク高さ率を求める。
ピーク高さ率=ピーク高さ(μV)/(( ピーク温度) −( ピーク開始温度))ピーク高さ率が小さい程、熱安定性は良好である。
前述のごとく、Li,Ni,Co,Alを含む原料化合物の混合方法が製品の特性、特に熱安定性と1回目のクーロン効率に影響を与えるが、上記の熱安定性の良い本発明の正極活物質を得るために用いる混合方法としては、原料として該金属の水酸化物あるいは酸化物のスラリーによる混合、原料金属塩の混合水溶液のアルカリによる共沈が非常に有効である。
【0015】
本発明において有効なスラリー混合法としては、前記原料金属の水酸化物あるいは酸化物を20〜45重量%のスラリーにしてボールミル混合を行う方法があげられる。溶媒としては水、アルコール、ケトン、エーテル類が好適である。ただし、水を溶媒にするときはLi以外の金属(Ni,Co,Al)の水酸化物あるいは酸化物をスラリーで混合し、濾過乾燥後、LiOHと乾式混合を行う。
また、本発明において有効な共沈混合法としては、Ni,Co,Alを含む化合物の混合水溶液をアルカリ(例えば、NaOH,KOH,LiOHなど)で中和共沈させ、洗浄乾燥後、LiOH、Li2 O及びLi2 CO3 からなる群から選ばれるリチウム化合物と乾式混合を行う方法があげられる。この時、前記リチウム化合物は種類として複数用いてもよい。さらに、有用な方法として、Ni系化合物とCo系化合物の混合水溶液にアルミン酸アルカリ金属とアルカリとの混合水溶液を加えて中和共沈させる方法が挙げられる。前記アルミン酸アルカリ金属塩は、例えば、塩化ニッケル(NiCl2 )や塩化コバルト(CoCl2 )等の塩とのみ直接反応するので、Alの混合に関しては原子レベルでの混合が行われており、非常にきれいな固溶体が生成する。乾式混合方法としては、ボールミルによる混合、遊星ミルによる混合などが有効である。
【0016】
混合物の焼成は、混合物を粉末のままあるいはペレットに成形して、酸素あるいは脱湿脱炭酸ガス処理した空気気流中700〜850℃で10〜24時間行うのが好ましい。なお、焼成の際には、例えば焼成系内に前記混合物固体と直接接触しないように焼成系内において解放系である容器に入れたリチウム化合物を共存させるなど、焼成系内に存在する前記混合物と気相を通じてのみ接触するような状態で別途リチウム化合物を共存させることにより、焼成時のリチウムの蒸発を補うことができる。共存させるリチウム化合物としては、LiOHまたはLi2 Oが好ましい。焼成後残存する共存リチウム化合物を取り除くことにより、目的とするリチウム含有複合金属酸化物が得られる。
【0017】
本発明のリチウム二次電池は、本発明のリチウム含有複合金属酸化物を正極活物質として正極に使用されることを特徴とするが、その製造方法としては従来と同様の方法が使用できる。すなわち、従来使用されているリチウム二次電池の製造方法において使用する正極活物質を、本発明のリチウム含有複合金属酸化物とすればよい。
【0018】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。尚、以下に示す実施例における電池の作製、解体はアルゴン雰囲気下のグローブボックス中で行った。
【0019】
【実施例】
(実施例1)
この実施例は参考例として示す。
塩化ニッケル水和物(NiCl2 ・6H2 O)197.3g(0.83 モル) と塩化コバルト水和物(CoCl2 ・6H2 O)11.9g(0.05モル) を2000mlのイオン交換水に溶解して、NiとCoを含む水溶液を調製した。次に、水酸化ナトリウム(NaOH)70.4g(1.76モル) を400mlのイオン交換水に溶解した後、この溶液にアルミニウム箔3.24g(0.12モル) を溶解してアルミン酸ナトリウム水溶液を調製した。前記Ni系化合物とCo系化合物の混合水溶液をこのアルミン酸ナトリウムで中和した。生成した青緑色の沈澱を濾過し、十分洗浄、そして乾燥後、水酸化リチウム(LiOH)24g(1.0 モル) を加えて、ボールミルで24時間撹拌混合を行った。この混合物の一部(40g) を磁製容器に入れ、内容積2.8 リットルの電気管状炉内にセットし、酸素気流中(1000ml/min) 750℃で20時間加熱焼成した。その後、室温まで冷却し、生成物(32g) を取り出し、粉末X線回折(CuKα線)を測定した(図1)。X線回折図は典型的なα−NaFeO2 型結晶構造を示しており、(018 )面と(110 )面との分離もきれいに分かれており、Δ2θは0.560 °であった。生成物のICP分析の結果、生成物はLiNi0.83Co0.05Al0.12O2 であった。
【0020】
これを正極活物質として正極を作製した。すなわち、前記活物質と導電剤であるケッチェンブラックおよび、結着剤としてポリフッ化エチレン樹脂を重量比で8:1:1 となるように混合し(総重量1.25g )、トルエン(3.00g )を加え樹脂を膨潤させながら十分混練した。さらにトルエンを蒸発させながら混練を続けた。混練物をステンレス鋼製エキスパンドメシュ(厚さ100 μm )上に圧着成形し、シートに成形した。圧着は数回脱気を繰り返しながら90℃,200kg/cm2で行った。このシ−ト(厚さ310 μm )から直径16mmの円盤を打ち抜き、15時間90℃真空脱気を行い正極とした。
【0021】
電池はこの正極を用い、20mmのコイン型セルを組んだ。すなわちコインの容器に正極を置きその上に16mmφのポリプロピレン製不織布(厚さ100 μm )、19mmφの多孔質ポリプロピレン製セパレーター(厚さ25μm )、16mmφのポリプロピレン製不織布(厚さ100 μm )を重ね、その上に負極(厚さ500 μm;直径19mmφのリチウム箔)を重ね、電解液(1M LiPF6 /EC+DMC(1:2))を入れ十分浸み込ませてから、テフロンパッキンを置き、上蓋をして、かしめて電池とする。
【0022】
この電池について、0.3mA/cm2 の充放電電流密度で2.5 〜4.3Vの電圧規制充放電試験を20℃で行った。この時、2サイクル目の放電容量を放電容量とした。サイクル特性の評価は、30サイクル目の放電容量を2サイクル目の放電容量で割った値、即ち容量維持率で行った。また、前述の方法により、ピーク高さ率を求め、正極活物質としてのリチウム含有複合金属酸化物の熱安定性について評価を行った。以下、電池特性、熱安定性及び該複合金属酸化物結晶のX線回折の結果を表1に示す。但し、放電容量は、活物質1g当たりに換算した放電時の電気容量である。
【表1】
【0023】
(実施例2)
水酸化リチウム24g(1 モル) 、水酸化ニッケル74.2g(0.8 モル) 、水酸化コバルト4.65g(0.05モル) 、水酸化アルミニウム11.7g(0.15モル) にメチルエチルケトン390gを加えてスラリーとし、ボールミルで24時間混合撹拌する。濾過乾燥後、この混合物の一部(40g) を第1の磁製容器に入れ、また第2の磁製容器に水酸化リチウム5g(0.20 モル) を入れ、両容器を内容積2.8 リットルの電気管状炉内にセットし、酸素気流(700ml/mim )中780 ℃、24時間加熱焼成した。その後、室温まで温度を下げてから残存リチウム化合物の入った第2の容器を取り除き、第1の容器の生成物(32g) を取り出し、X線回折の測定及び、実施例1と同様の電池評価と該材料の熱安定性評価を行った。これらの結果を表2に示す。ICP分析の結果、生成物の組成はLiNi0.8 Co0.05Al0.15O2 であった。
【表2】
【0024】
(実施例3)
水酸化ニッケル76g(0.82モル) 、水酸化コバルト6.5g(0.07 モル) 、酸化アルミニウム5.6g(0.055モル) にイオン交換水300gを加え、ボールミルで24時間混合撹拌した。濾過乾燥後、水酸化リチウム24g(1 モル) を加え、さらにボールミルで24時間混合撹拌を行った。混合物の一部(40g) を磁製容器に入れ、内容積2.8 リットルの電気管状炉にセットし、酸素気流中(700ml/min )750 ℃で24時間加熱焼成した。その後、室温まで冷却し、生成物(32g) を取り出し、実施例1と全く同様に、X線回折の測定及び電池評価と該材料の熱安定性評価を行った。これらの結果を表3に示す。ICP分析の結果、生成物の組成はLiNi0.82Co0.07Al0.11O2 であった。
【表3】
【0025】
(実施例4)
この実施例は参考例として示す。
塩化ニッケル水和物(NiCl2 ・6H2 O)173.5g(0.73モル)と塩化コバルト水和物(CoCl2 ・6H2 O)38.1g (0.16モル)を2000mlのイオン交換水に溶解して、NiとCo化合物の混合水溶液を調製した。次に、水酸化ナトリウム(NaOH) 71.2g(1.78モル)を500mlのイオン交換水に溶解した後、この溶液にアルミニウム箔2.97g (0.11モル)を溶解してアルミン酸ナトリウム水溶液を調製した。上記NiとCo混合溶液をアルミン酸ナトリウム水溶液で中和した。この時、NiとCo系化合物の混合水溶液のpHは3.8 であったが、アルミン酸ナトリウム水溶液を添加するとpHはすぐに6.8 まで上昇し、その後アルミン酸ナトリウム水溶液の添加に従ってpHは少しずつ上昇し、前記水溶液の80%添加時でpHは7.9 となり、全量添加時にはpHは12.3になった。0.1 規定濃度のHClを加え、pHを7.5 に調整し、反応を終了させた。生成した青緑色の沈澱を濾過し、十分洗浄及び乾燥後、炭酸リチウム(Li2 CO3)37g (0.5 モル)を加え、ボールミルで24時間撹拌混合を行った。この混合物の一部(40g) を磁製容器に入れ、内容積2.8 リットルの電気管状炉内にセットし、酸素気流中(1000ml/min)、750 ℃で24時間加熱焼成した。その後、室温まで冷却し、生成物(32g) を取り出し、実施例1と同様にX線回折の測定及び電池特性評価、正極活物質の熱安定性評価を行った。結果を表4にまとめた。但し、ICP分析の結果、生成物の組成はLiNi0.73Co0.16Al0.11O2 であった。
【表4】
【0026】
(比較例1)
水酸化リチウム24g(1 モル) 、水酸化ニッケル77.2g(0.833 モル) 、水酸化コバルト5.3g(0.057モル) 、水酸化アルミニウム8.6g(0.11 モル) をボールミルで24時間撹拌混合した。混合物の一部(40g) を磁製容器にいれ、内容積2.8 リットルの電気管状炉内にセットし、酸素気流中(700ml/min )750 ℃で24時間加熱焼成した。室温まで冷却し、生成物(32g) を取り出し、実施例1と同様にX線回折の測定及び、電池評価、熱安定性の評価を行った。結果を表5中にまとめたように、本比較例で製造されたリチウム含有複合金属酸化物は、電池特性のうち、特に1回目のクーロン効率が低く、また熱安定性(ピーク高さ率で評価)が乏しかった。但し、ICP分析の結果、生成物の組成はLiNi0.833 Co0.057 Al0.11O2 であった。
【表5】
【0027】
(比較例2)
水酸化ニッケル77.2g(0.833 モル) 、水酸化アルミニウム13.0g(0.167 モル) にイオン交換水300gを加え、ボールミルで24時間撹拌混合した。濾過乾燥後、水酸化リチウム24g(1モル)を加え、さらにボールミルで24時間混合撹拌した。混合物の一部(40g) を磁製容器にいれ、内容積2.8 リットルの電気管状炉にセットし、酸素気流中(700ml/min )750 ℃で24時間加熱焼成した。その後、室温まで冷却し、生成物(31g) を取り出し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表6中にまとめたように、本比較例で製造されたリチウム含有複合金属酸化物は、放電容量および1回目のクーロン効率が低かった。但し、生成物の組成は、ICP分析の結果LiNi0.833 Al0.167 O2 であった。
【表6】
【0028】
(比較例3)
水酸化ニッケル77.2g(0.833 モル) 、水酸化コバルト15.5g(0.167 モル) にイオン交換水300gを加え、ボールミルで24時間撹拌混合した。濾過乾燥後、水酸化リチウム24g(1モル)を加え、さらにボールミルで24時間混合撹拌した。混合物の一部(40g) を磁製容器にいれ、内容積2.8 リットルの電気管状炉にセットし、酸素気流中(700ml/min )750 ℃で24時間加熱焼成した。室温まで冷却し、生成物(32g) を取り出し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表7中にまとめたように、本比較例で製造されたリチウム含有複合金属酸化物は、熱安定性が特に悪い。但し、生成物の組成は、ICP分析の結果、LiNi0.833 Co0.167 O2 であった。
【表7】
【0029】
(比較例4)
水酸化リチウムと水酸化ニッケルを原料として、常法(例えば、Solid State Ionics, 69, p238(1994)誌記載の方法)に従って合成したLiNiO2 について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表8中にまとめたように、本正極活物質の使用では容量維持率が低かった。
【表8】
【0030】
実施例1〜4、及び比較例1〜4に記載の該材料の熱安定性について、表9に結果をまとめた。ここで、満充電容量は、電流密度0.7mA/cm2 で電圧4.2Vで満充電を行ったときの充電容量である。また、窒素気流中10℃/min でDTAを測定したときの発熱ピークの立ち上がりの温度を開始温度とし、ピーク頂点における温度をピーク温度とした。
【0031】
【表9】
【0032】
【発明の効果】
比較例3に記載の従来型Co置換LiNiO2 複合材料では、熱安定性の改善はほとんど見られなかったのに比べて、本発明のCo,Al置換LiNiO2 複合金属酸化物はAlによる置換量を10%以上とすることにより熱安定性が大幅に向上した。これにより、放電容量が大きく、サイクル特性が良好で、熱安定性にも優れたリチウム二次電池用正極活物質が得られることとなった。
また、構成金属の混合方法を工夫し、Co,Alの組成比を最適にすることによりNi系正極活物質の欠点と言われている1回目のクーロン効率の改善も可能となった。
また、本発明のリチウム含有複合金属酸化物の製造方法により、上記のリチウム二次電池用正極活物質として使用できるリチウム含有複合金属酸化物が効率よく製造できる。
また、本発明のリチウム二次電池は、上記のリチウム含有複合金属酸化物を正極活物質として用いているため、サイクル特性、放電特性、熱安定性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリチウム含有複合金属酸化物(実施例1)のX線回折の結果である。
Claims (2)
- 一般式
LiNix Coy AlzO2
[0.70≦x<0.85; 0.05≦y≦0.20; 0.10<z≦0.25; x+y+z=1.0]
で表されるリチウム含有複合金属酸化物の製造において、水を溶媒としてLi以外の構成金属の水酸化物及び/または酸化物をスラリー混合する工程、濾過乾燥後にLiOH、Li2O及びLi2 CO3からなる群から選ばれるリチウム化合物と乾式混合する工程、及び混合物を酸素含有気流中で焼成する工程を含んでいることを特徴とするリチウム含有複合金属酸化物の製造方法。 - 焼成の際に混合物と気相を通じてのみ接触するような状態で別途リチウム化合物を共存させることを特徴とする請求項1に記載のリチウム含有複合金属酸化物の製造方法。
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JP04228998A JP4246283B2 (ja) | 1997-05-19 | 1998-02-24 | リチウム含有複合金属酸化物、その製造方法及び用途 |
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