JP4164378B2 - 光量調節装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラ等の光学装置、特に薄型の装置に好適な光量調節装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のレンズシャッタカメラに具備されるシャッタ装置の構成を図6に示す。
【0003】
同図において、101は永久磁石、102は駆動レバー、102aは駆動レバー102に設けられた駆動ピンである。駆動レバー102は永久磁石101に固着され、永久磁石101と一体的に回転する。103はコイル、104,105は軟磁性材料から成り、コイル103により励磁されるステータである。ステータ104とステータ105は104a部と105a部において接合されており、磁気回路上一体となっている。コイル103への通電により、ステータ104及びステータ105が励磁され、永久磁石101は所定の角度内を回転駆動する。106,107はシャッタ羽根であり、108は地板である。シャッタ羽根106,107は地板108のピン108a,108bへ穴部106a,107aにおいて回転可能に取り付けられ、長穴106b,107bが駆動ピン102aに摺動可能に嵌合し、永久磁石101とともに駆動レバー102が回転することで、シャッタ羽根106,107は穴部106a,107aを中心として回転駆動され、不図示の開口を開閉する。
【0004】
この他の形態としては、コストアップを防ぐ為に永久磁石をプラスチックマグネットで形成し、駆動ピンを一体的に成形したものもある。
【0005】
109はシャッタ羽根106,107を地板108との間で移動可能に保持する前地板であり、110はステータ104,105を保持し、永久磁石101を回転可能に保持する後地板である。
【0006】
また、撮像素子にCCDなどを用い、被写界像を光電変換して記憶媒体に静止画像の情報として記録するデジタルカメラが普及してきている。この種のデジタルカメラの露光に関する動作について、以下に簡単に説明する。
【0007】
まず撮影に先立って主電源が投入され、撮像素子が動作状態になるとシャッタ羽根は撮像素子に露光可能な開位置に保持される。これにより撮像素子にて電荷の蓄積と放出転送が繰り返され、画像モニターによって被写界の観察が可能になる。
【0008】
その後、レリーズボタンが押されると、その時点での撮像素子の出力に応じて絞り値と露光時間が決定され、それに基づいて、露光開口の口径を絞る必要がある場合には、まず、絞り羽根が駆動されて所定の絞り値にセットされる。次に、蓄積電荷の放出がされている撮像素子に対して電荷の蓄積開始が指示され、それと同時にその蓄積開始信号をトリガー信号として露光時間制御回路が起動され、所定の露光時間の経過により、シャッタ羽根が撮像素子への露光を遮る閉位置へと駆動される。撮像素子への露光が遮られた後、蓄積された電荷の転送が行われ、画像書き込み装置を介して記録媒体に画像情報が記録される。電荷の転送中に撮像素子への露光を防ぐのは、電荷の転送中に余分な光によって電荷が変化してしまうことを防ぐためである。
【0009】
上記のようなシャッタ装置の他に、NDフィルターを進退させる機構を持つものや、小さな絞り径をもつ絞り規制部材を進退させる機構を持つものがある。
【0010】
上記シャッタ装置は、コイルやステータの高さ(軸方向の寸法)がある為に薄型でコンパクトな装置とするのは困難であった。
【0011】
また、特許文献1に、カメラのモータ装置が開示されているが、これにおいても回転子を固定するベース板、カバー板など回転軸方向に多数の部品が重なっているので、軸方向を薄型に構成することは困難であった。
【0012】
また、特許文献2においては、駆動装置の径方向の厚さを小さくする為に回転軸方向にコイル、ステータなどを重ねて構成しているために軸方向を薄型にする構成は困難であった。
【0013】
また、特許文献3には、マグネットとこれを挟み込むステータとの間隔を維持する為の摺動面をステータに設けているものが開示されている。
【0014】
上記のように軸方向に薄型化した装置を構成することは困難であったが、そのような中で、軸方向に薄型化された光量調節装置として、本願出願人による特許文献4を挙げることができる。
【0015】
以下に、上記特許文献4に開示された、軸方向に薄型化された光量調節装置の構成を示す。
【0016】
回転中心の仮想軸に対して垂直方向の面が仮想軸を中心とする角度方向に分割して異なる極に交互に着磁され、回転中心を中心として回転可能なマグネットを備え、マグネットの外周或いは内周側にコイルを配置し、コイルにより励磁される第1のステータと第2のステータがマグネットの上面及び下面及び内周面に対向したステータと、マグネットと一体的に構成された駆動ピンとからなる駆動装置と、開口部を備えた地板と、駆動装置の駆動ピンにより駆動され、地板の開口部の開口量を調節する光量調節部材とを有する光量調節装置である。
【0017】
このような構成の光量調節装置とすることにより、従来に較べて薄型でコンパクトな装置にすることが可能となっている。
【0018】
【特許文献1】
特開2000−324787号公報
【特許文献2】
特開2002−51524号公報
【特許文献3】
特開2002−51526号公報
【特許文献4】
特開2002−49076号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような光量調節部材を駆動する駆動装置と、光量調節部材が具備される地板とを光量軸方向に重ねて配置する構造では、二つのユニットを結合しているため、さらなる薄型化の要請に応えるのは非常に困難であった。
【0020】
(発明の目的)
本発明の目的は、装置の薄型化、低コスト化を達成することのできる光量調節装置を提供しようとするものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、環状であって、径方向に平行な面にn個の着磁部を有する回転体と、環状であって、前記回転体の外径側に配置され、前記回転体と中心位置を同じにすると共に厚みを同等とするコイルと、環状であって、前記回転体の径方向と直交する方向に配置され、前記回転体の着磁部と対向して径方向に延出するn/2個の第1の磁極部を具備する第1のステータと、環状であって、前記回転体の径方向と直交する方向に配置され、前記第1の磁極部と反対側で前記回転体の着磁部と対向して径方向に延出するn/2個の第2の磁極部を具備し、前記第1のステータと共に前記コイルの外周を囲む第2のステータと、前記回転体の回転に伴って、前記回転体、前記コイル、前記第1のステータ、および、前記第2のステータの開口部を通過する光の進路に進退して通過光量を調整する光量調節部材と、前記回転体の径方向と直交する方向において、前記回転体と前記第1のステータとの間に形成された第1の空気間隔と、前記回転体と前記第2のステータとの間に形成された第2の空気間隔とを有し、前記光量調節部材が、前記第1の空気間隔、および、前記第2の空気間隔の、一方あるいは両方に配置されている光量調節装置とするものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0024】
図1及び図2は本発明の実施の第1の形態に係る光量調節装置を示す図であり、詳しくは、図1は光量調節装置の分解斜視図、図2はその断面図である。
【0025】
これらの図において、1はプラスチックマグネット材料からなる環状(リング形状)の回転体であるマグネットであり、環状の中心である回転中心を仮想軸とすると仮想軸に対して垂直な面(言い換えれば、マグネットの径方向に平行な面)である一方の面及び他方の面を円周方向に16分割して交互にS極、N極に着磁されている。また、各々その裏面は反対の極になっている。本実施の形態ではマグネットの両面を16分割して着磁しているが、着磁極数は2極以上あればよい。また、回転体の周方向における一部だけをマグネットで構成し、回転体の他の部位を非磁性体で構成してもよい。この場合は、着磁極数は1極以上あればよい。1aはマグネット1の片面に形成された凸部であって、マグネット1が回転するとこの凸部1aが第1のステータ5上を滑らかに摺動する。マグネット1の反対側の面には段差1cが形成され、軸受2と接触している。マグネット1は、片面で凸部1aが第1のステータ5に接触し、反対側の面で段差1cが軸受2に接触することにより、その軸方向の位置が定まる。1bは段差であり、軸方向から見ると、ボビン4のフランジ部4aと重畳している。
【0026】
軸受2は、マグネット1と組み合わされた後に第1のステータ5に固定され、マグネット1が第1のステータ5と第2のステータ6の間で所定の間隔を維持できるように受け部2aを有し、位置決めがされている。また、開口部2bを有し、下記で述べる第2のステータ6の開口部6dと共にこの装置の最大開口径を形成している。
【0027】
3は環状のコイルであり、電気的に絶縁された材料で形成されたボビン4に巻かれている。コイル3はマグネット1の径方向外側に配置され、その中心位置はマグネット1と同じである。ボビン4はコイル3のスペース効率を稼ぐ為、断面が略L字型に形成され、さらにマグネット1の段差1bとの間の光線の侵入を防ぐ為のフランジ部4aを有する。
【0028】
環状の第1のステータ5は軟磁性材料からなり、コイル3への通電により励磁される第1の磁極部5aを持ち、第1の磁極部5aは環状のマグネット1の軸方向と垂直な第1の平面(一方の面)に所定の隙間(第1の空気間隔)をもって対向し、マグネット1の径方向でしかも内径方向に延出する平板の櫛歯形状により構成されている。この延出する櫛歯形状の第1の磁極部5aの数はマグネット1の着磁分割数をnとするとn/2個形成され、それらが720/n度ずつ等分配置されている。なお、本実施の形態では第1の磁極部5aは8つであり、45度ずつ等分に配置されている。
【0029】
コイル3ヘの通電により、第1の磁極部5aはすべて互いに同極になるように励磁される。
【0030】
環状の第2のステータ6は軟磁性材料からなり、コイル3への通電により励磁される第2の磁極部6aを持ち、第2の磁極部6aはマグネット1の第1の平面と反対側の平面である第2の平面(他方の面)に所定の隙間(第2の空気間隔)をもって対向し、マグネット1の径方向でしかも内径方向に延出する平板の櫛歯形状により構成されている。この延出する櫛歯形状の第2の磁極部6aの数はマグネット1の着磁分割数nの1/2個形成され、それらが720/n度(この実施の形態では45度)ずつ等分(ここでは8つ)配置されている。
【0031】
コイル3ヘの通電により、第2の磁極部6aはすべて互いに同極になるように、しかも第1の磁極部5aとは逆の極性になるように励磁される。第2のステータ6の第2の磁極部6aは、マグネット1を挟んで第1のステータ5の第1の磁極部5aに対向する位置に形成されている。第1のステータ5と第2のステータ6は、第2のステータ6の最外周部の立ち壁形状の連接部6jで磁気的に連結されている。第1のステータ5、第2のステータ6のうち、この立ち壁形状の連接部6jのみがコイル3に接触している。また、6h,6iはストッパーであり、マグネット1の回動の際、後述の駆動ピン1hが時計方向に回動する際はストッパー6iに、半時計方向に回動する際はストッパー6hに、それぞれ当接することでマグネット1の回動量の最大値が規制される。
【0032】
また、第1の磁極部5aの櫛歯形状の先端部(内周部)、第2の磁極部6aの櫛歯形状の先端部(内周部)はそれぞれ連結されて円形の開口部5d,6dを形成し、第2の磁極部6aの先端部近傍には、下記で述べる光量調節羽根の円滑な回動の為にマグネット1側に出っ張ったレール状の受け面6eが設けてある。
【0033】
マグネット1、コイル3、第1のステータ5及び第2のステータ6で、磁気回路を構成しており、コイル3に電流を流すことで、磁束が連接部6j、第1の磁極部5a、第2の磁極部6aを巡回する。
【0034】
マグネット1には第2のステータ6側に駆動ピン1hと1iが形成されている。そして、駆動ピン1hは第2のステータ6の板厚の中心より先まで伸びており、マグネット1が回動する際、その最大回転角度の規制として駆動ピン1hが第2のステータ6のストッパー6h,6iに当接する。第2のステータ6とマグネット1の間の第2の空気間隔に、光量調節羽根7,8が移動可能に保持される。
【0035】
光量調節羽根7,8は、カーボン材料などの非磁性体で形成され、光線を遮る十分な遮光性能を有している。そして、この光量調節羽根7と8の丸穴7a,8aがそれぞれ第2のステータ6のピン6b,6cに回転可能に嵌合している。また、長穴7b,8bはマグネット1の駆動ピン1h,1iにそれぞれ摺動可能に嵌合している。これにより、マグネット1の回転に応じて光量調節羽根7,8が回動し、第2のステータ6の開口部6dの開口量を変化させることができる。
【0036】
一般に本実施形態のような電磁力を利用した駆動装置においては、磁束の効率的利用の観点から言えば、コイルで発生する磁束を可能な限り多くマグネットに作用させるためにも、マグネットとステータをできるだけ接近させて配置することが望ましいが、一方で、マグネットとステータが接近すればするほどその吸着力(コギング力)も大きくなるという問題がある。コギング力は磁極のある位置に発生するので、通電時にはその発生トルクに影響を与え、場合によっては回転ムラが発生してスムーズに回動できない、あるいは、起動時にはそのコギング力がマグネットに対する回転力の発生に打ち勝ってしまい回転部材が動き出さない、といった問題が発生してしまう。
【0037】
以上から、マグネットとステータの間隔を適切に設定し、そのコギング力を弱めて通電による発生トルクとのバランスをとる必要がある。
【0038】
また、部品加工精度、組立精度及び部品の変形量などの積み上げにより、回転するマグネットがステータと接触し、部品損傷、トルク低下を引き起こすことを防ぐためにも、ステータとマグネットの間に間隔を設ける必要がある。
【0039】
以上の二つの必要性から、マグネットとステータとの間には、その装置の性能に合わせた最適な空気間隔を設定している。
【0040】
本実施形態においても、上記の点に鑑み、マグネット1と第2のステータ6の間の第2の空気間隔を設定している。すなわち、上記コギング力の影響を回避する為に必要な間隔と、各部品(光量調節羽根7,8)の加工精度、組立精度及び部品の変形量から必要な間隔を算出し、本実施形態の第2の空気間隔を設定するようにしている。
【0041】
上記のようにマグネット1と第2のステータ6の間に新たに追加された光量調節羽根7,8の厚さ、変形量分を加算することでこの空気間隔が増加したとしても、前述の特許文献4のように地板と駆動装置が別体である場合の全体の厚さに比べて、その増加量は少ない。したがって、スペース効率の改善を図ることができる。
【0042】
次に、コイル3への通電によるマグネット1の動作について簡単に説明する。
【0043】
図3及び図4は、光量調節装置に具備されるマグネット1の回転動作を説明する為の図であって、図2のB−Bから見た断面図を示している。なお、マグネット1の動作を理解しやすくするために、マグネット1と駆動ピン1h、第2のステータ6のみを示している。
【0044】
図3は、コイル3への逆通電時に、マグネット1の駆動ピン1hが第2のステ−タ6のストッパー6hに当接している状態であり、図4は、コイル3への正通電時に、マグネット1の駆動ピン1hが第2のステ−タ6のストッパー6iに当接している状態である。
【0045】
まず、コイル3に通電(逆通電)を行い、第1のステータ5の第1の磁極部5aをN極、第2のステータ6の第2の磁極部6aをS極に励磁すると、マグネット1は時計回りに回転して、図4に示すように駆動ピン1hはストッパー6iに当接するまで回動し、これに伴って光量調節羽根7,8は各々反時計回りに回動する。その結果、光量調節羽根7,8が互いに重なるように移動し、開口部6dを閉ざした状態になる。一方、コイル3に逆方向の通電(正通電)を行い、第1のステータ5の磁極部をS極、第2のステータ6の磁極部をN極に励磁すると、マグネット1は反時計回りに回転して、図3に示すように駆動ピン1hはストッパー6hに当接するまで回動し、これに伴って光量調節羽根7,8は各々時計回りに回動する。これにより光量調整羽根が互いに離れるように移動し、開口部6dを開放(最大開口径)した状態になる。
【0046】
なお、このマグネット1の駆動原理、及びコイル3への通電方向と励磁によるマグネット1の回動方向の関係については既に公知であるので、その詳細な説明は省略する。
【0047】
ここで、本実施の形態の駆動装置が小型化を達成できる理由について説明する。まず、コイルがマグネットの外側(または内側)に配置され、コイルとマグネットの厚みが同等であるため、駆動装置内でコイルとマグネットが回転軸方向に占める領域はマグネットの厚さに相当する量だけ(あるいはコイルの厚さに相当する量だけ)確保すればよい。マグネットの主要部分(凸部1aを除く)は平たいリング状で形成されるため、マグネット自体の厚みを容易に薄くすることができる。また、軸方向(言い換えればマグネットの径方向に直交する方向)にマグネットを挟んで対向する第1の磁極部と第2の磁極部は、中央に開口部を有する平たい円形の板に、周方向に沿って穴を設けた形状となっており、軸方向に凹凸を設ける必要がない平板形状であるため、容易に薄く構成することができる。また、上述した理由により、マグネットとステータとの間には所定の間隔を設ける必要があるが、この間隔の内部に光量調節羽根を収納できる。更に、従来のように光量調節羽根を回動させるための地板を別途設ける必要もない。以上のような理由により、光量調節装置全体として軸方向に非常に薄く構成することが可能になる。
【0048】
また、コイルに通電することで互いに逆の極性に励磁される第1の磁極部と第2の磁極部の間にマグネットが配置されているため、一方の磁極部から流れ出た磁束のほとんどがマグネットを通過して他方の磁極部に流れ込み、マグネットの回転出力を高めることができる。マグネット1と第2のステータ6の間には磁束の流れに影響のない非磁性体で作られた光量調節羽根7,8が配置されているので磁気抵抗が少なく、又コイル3により発生する磁力線が効果的にマグネット1に作用する為、出力の高いアクチエータとなり、結果的に薄型で高効率の特性を備えた光量調節装置を構成できる。
【0049】
なお、マグネットとステータの中央の開口部の大きさを変更するだけで、容易に最大開口量を設定することができ、この開口部内にレンズを配置することもできる。
【0050】
さらに、軸方向から見ると、ボビン4に設けたフランジ部4aとマグネット1の外周部(段差部1b)が全周に渡って重畳しているので、光量調節装置として必要な光路以外の不要な光線(固定されたボビン4と回転するマグネット1との隙間に入る直射光線)の入射を確実に防止することが可能となる。このマグネットと重畳する部位を設けるのはボビンでなくても良く、例えばステータに設けてあっても良い。
【0051】
更に、装置内で光量調節羽根7,8の回動空間を確保する為、回動するマグネット1の軸方向の位置を規制するために軸受2に半径方向に張り出した受け面(2a)を設けたので、マグネットが光量調節羽根7,8に接触することは無く、光量調節羽根7,8とマグネット1は互いに干渉せずに回動することができる。更に又、光量調節羽根7,8がスムーズに回動する為に第2のステータ6に摺動性のよいレール上の受け面6eを設けたので、光量調節羽根7,8がひっかからずに動作する。
【0052】
なお、光量調節羽根7,8を第2の空気間隔内に配置する構成にしているが、勿論、第1の空気間隔内に配置する構成であっても良い。また、光量調節部材としてここでは一対の羽根を用いたが、この枚数はもっと多くてもよく、反対に1枚のみであっても良い。また、ここでは光量調節装置として光路を完全に閉ざすシャッタ装置で説明したが、これに対し絞り装置として複数のステップに開口径を変化させる装置であっても良い。又、NDフィルタのようにその濃度により通過(透過)光量を調節する、詳しくは濃度の異なる半透明部を複数もち、任意の濃度の半透明部を開口部に進退させることを可能にする光量調節部材でも良い。なお、この場合も、半透明部は複数であっても一つであっても良い。
【0053】
以上により、出力が高く、かつ安価で薄型の光量制御装置を提供可能となる。
【0054】
(実施の第2の形態)
図5は本発明の実施の第2の形態に係る光量調節装置の断面を示す図である。
【0055】
図5において、21はプラスチックマグネット材料からなる環状(リング形状)のマグネットであり、環状の中心である回転中心を仮想軸とすると仮想軸に対して垂直な面である一方の面及び他方の面を円周方向に16分割して交互にS極、N極に着磁されている。また、各々その裏面は反対の極になっている。この例では着磁極数は16極であるが、マグネットは2極以上であればよい。マグネット21の外周部は軸方向両側に突出しており、マグネット21が回転すると一方の凸部21aが第1のステータ25上を滑らかに摺動するとともに、他方の凸部21bが第2のステータ26上を滑らかに摺動する。マグネット21は、片面で凸部21aが第1のステータ25に接触し、反対側の面で凸部21bがステータ26に接触することにより、その軸方向の位置が定まる。21cはボビン24の内周部を摺動する摺動面である。
【0056】
23は環状のコイルであり、電気的に絶縁された材料でコの字型に形成されたボビン24に巻かれている。コイル23はマグネット21の径方向外側に配置され、その中心位置はマグネット21と同じである。
【0057】
環状の第1のステータ25は軟磁性材料からなり、コイル23への通電により励磁される第1の磁極部25aを持ち、第1の磁極部25aは図1の構成と同様に環状のマグネット21の軸方向と垂直な第1の平面(一方の面)に所定の隙間(第1の空気間隔)をもって対向し、マグネット21の径方向でしかも内径方向に延出する平板の櫛歯形状により構成されている。この延出する櫛歯形状の磁極部の数はマグネット21の着磁分割数をnとするとn/2個形成され、それらが720/n度(この実施の形態では45度)ずつ等分(ここでは8つ)配置されている。
【0058】
コイル23ヘの通電により、第1の磁極部25aはすべて互いに同極になるように励磁される。
【0059】
環状の第2のステータ26は軟磁性材料からなり、コイル23への通電により励磁される第2の磁極部26aを持ち、第2の磁極部26aはマグネット21の第1の平面と反対側の平面である第2の平面(他方の面)に所定の隙間(第2の空気間隔)をもって対向し、マグネット21の径方向でしかも内径方向に延出する平板の櫛歯形状により構成されている。この延出する櫛歯形状の磁極部の数はマグネット1の着磁分割数nの1/2個形成され、それらが720/n度(この実施の形態では45度)ずつ等分(ここでは8つ)配置されている。
【0060】
コイル23ヘの通電により、第2の磁極部26aはすべて互いに同極になるように、しかも第1の磁極部25aとは逆の極性になるよう励磁される。第2のステータ26の第2の磁極部26aは、マグネット21を挟んで第1のステータ25の第1の磁極部25aに対向する位置に形成されている。第1のステータ25と第2のステータ26は、第2のステータ26の最外周部の立ち壁形状の連接部26jで磁気的に連結されている。第1のステータ25、第2のステータ26のうち、この立ち壁形状の連接部26jのみがコイル23に接触している。
実施の第1の形態と同様に、マグネット21、コイル23、第1のステータ25及び第2のステータ26で磁気回路を構成している。
【0061】
第1のステータ25とマグネット21の間の第1の空気間隔に光量調節羽根27が配置され、第2のステータ26とマグネット21の間の第2の空気間隔に光量調節羽根28が配置されてある。
【0062】
光量調節羽根27,28はカーボン材料などの非磁性体で形成され光線を遮る十分な遮光性能を有している。光量調節羽根27はその回動中心に回動軸27aを有し、第1のステータ25の穴に回転可能に嵌合している。光量調節羽根28はその回動中心に回動軸28aを有し、第2のステータ26の穴に回転可能に嵌合している。
【0063】
マグネット21には第1のステータ25の側に駆動ピン21h、第2のステータ26の側に駆動ピン21iが形成されており、それぞれ光量調節羽根27,28の長穴27b,28bに回転可能に嵌合しており、駆動ピン21hは光量調節装置27を貫通した後、第1のステータ25の板厚の中心以上まで伸びており、マグネット21の回動の際、その最大回転角度の規制手段として第1のステータ25のストッパー部25hに当接する。
【0064】
これにより、マグネット21の回転に応じて光量調節羽根27,28が回動し、第2のステータ26の開口部26dの開口量(通過光量)を変化させることができる。
【0065】
上記実施の第2の形態においては、第1のステータ25とマグネット21の間の第1の空気間隔に光量調節羽根27を配置し、第2のステータ26とマグネット21の間の第2の空気間隔に光量調節羽根28を配置しているが、第1の空気間隔と第2の空気間隔のいずれに光量調節羽根を配置してもよく、その効果はそれぞれの空気間隔に分けて配置しているので、さらにスペース効率のよいレイアウトとなっている。
【0066】
この実施の第2の形態においても同様に、上記実施の第1の形態で述べたそれぞれの効果を有することは言うまでも無い。また、光量調節羽根でなく、NDフィルタであっても良い。
【0067】
上記の実施の各形態によれば、従来のように地板ユニットと光量調節部材の駆動源である駆動装置という二つのユニットを重ねて構成するのではなく、地板ユニットを廃止して、駆動装置内に光量調節羽根又は濃度の異なる半透明部を有するNDフィルタより成る光量調節部材を配置した。故に、光量調節装置の光軸方向の厚さを極力小さいものとすることができ、装置全体の薄型化、低コスト化を図ることができる。
【0068】
また、光量調節部材を非磁性体で形成することにより、マグネット、コイル、ステ−タで作られる磁気回路の効率を損ねることがない。
【0069】
最後に、請求項1以外の本発明に係る光量調節装置の実施態様について以下に列挙する。
【0070】
(実施態様1) 環状を成し回転可能に保持されるとともに、回転の中心軸に対して垂直方向の面が円周方向に分割して異なる極に交互に着磁されたマグネットと、前記マグネットの外径側もしくは内径側に配置されるコイルと、前記マグネットの前記中心軸方向に配置され、前記マグネットと所定の間隔を空けて対向し、前記コイルにより励磁される第1の磁極部を具備する環状の第1のステータと、前記マグネットの前記中心軸方向であって前記第1のステータと反対側に配置され、前記マグネットと所定の間隔をあけて対向し、前記コイルにより励磁される第2の磁極部を具備する環状の第2のステータと、前記マグネット、前記コイル、前記第1のステータ、および、前記第2のステータの開口部を通過する光の進路に進退して通過光量を調節する光量調節部材とを有し、前記光量調節部材が、前記マグネットと前記第1のステータの間、および、前記マグネットと前記第2のステータの間の、一方あるいは両方に配置されていることを特徴とする光量調節装置。
【0071】
(実施態様2) 前記光量調節部材を前記光の進路に進退させることで、前記光の進路に設けられた開口部の面積を変化させることを特徴とする実施態様1に記載の光量調節装置。
【0072】
(実施態様3) 前記光量調節部材は半透明部材であり、前記光量調節部材を前記光の進路に進退させることで、前記光の進路の透過率を変化させることを特徴とする実施様態1に記載の光量調節装置。
【0073】
(実施態様4) 前記光量調節部材は、非磁性体で形成されることを特徴とする実施態様1又は2に記載の光量調節装置。
【0074】
(実施態様5) 前記コイルが巻かれるボビンを有し、前記マグネットと前記ボビンは、前記中心軸方向から見ると、全周に渡り重畳する部位を有することを特徴とする実施態様1〜4のいずれかに記載の光量調節装置。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、装置の薄型化、低コスト化を達成することができる光量調節装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1の形態に係る光量調節装置を示す分解斜視図である。
【図2】図1の光量調節装置の断面図である。
【図3】光量調節羽根を開いたときの図2のB−Bにおける断面図である。
【図4】光量調節羽根を閉じたときの図2のB−Bにおける断面図である。
【図5】本発明の実施の第2の形態に係る光量調節装置を示す断面図である。
【図6】従来の光量調節装置を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 マグネット
2 軸受
2b 開口部
3 コイル
4 ボビン
5 第1のステータ
5a 第1の磁極部
5d 開口部
6 第2のステータ
6a 第2の磁極部
6d 開口部
7,8 光量調節羽根
21 マグネット
23 コイル
24 ボビン
25 第1のステータ
25a 第1の磁極部
26 第2のステータ
26a 第2の磁極部
27,28 光量調節羽根
Claims (5)
- 環状であって、径方向に平行な面にn個の着磁部を有する回転体と、
環状であって、前記回転体の外径側に配置され、前記回転体と中心位置を同じにすると共に厚みを同等とするコイルと、
環状であって、前記回転体の径方向と直交する方向に配置され、前記回転体の着磁部と対向して径方向に延出するn/2個の第1の磁極部を具備する第1のステータと、
環状であって、前記回転体の径方向と直交する方向に配置され、前記第1の磁極部と反対側で前記回転体の着磁部と対向して径方向に延出するn/2個の第2の磁極部を具備し、前記第1のステータと共に前記コイルの外周を囲む第2のステータと、
前記回転体の回転に伴って、前記回転体、前記コイル、前記第1のステータ、および、前記第2のステータの開口部を通過する光の進路に進退して通過光量を調整する光量調節部材と、
前記回転体の径方向と直交する方向において、前記回転体と前記第1のステータとの間に形成された第1の空気間隔と、前記回転体と前記第2のステータとの間に形成された第2の空気間隔とを有し、
前記光量調節部材が、前記第1の空気間隔、および、前記第2の空気間隔の、一方あるいは両方に配置されていることを特徴とする光量調節装置。 - 前記光量調節部材を前記光の進路に進退させることで、前記光の進路に設けられた前記開口部の面積を変化させることを特徴とする請求項1に記載の光量調節装置。
- 前記光量調節部材は半透明部材であり、前記光量調節部材を前記光の進路に進退させることで、前記光の進路の透過率を変化させることを特徴とする請求項1に記載の光量調節装置。
- 前記光量調節部材は、非磁性体で形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光量調節装置。
- 前記コイルが巻かれるボビンを有し、前記回転体と前記ボビンは、前記回転体の中心軸方向から見ると、全周に渡り重畳する部位を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光量調節装置。
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