JP4163958B2 - 燃料噴射弁 - Google Patents

Description

【０００１】
技術分野
本発明は、請求項１の上位概念に記載の形式の燃料噴射弁に関する。
【０００２】
背景技術
ドイツ連邦共和国特許出願公開第１９７３５６６５Ａ１号明細書に基づいて公知の燃料噴射装置は補償エレメントを備えており、補償エレメントが、小球帽状（ドーム状）の支持面を有する１つの支持体から成っている。燃料噴射弁が、前記補償エレメントを介してシリンダヘッドの受容孔内に支持されている。受容孔と燃料噴射弁との間のリングギャップ内で、燃料噴射弁の溝内にシールリングを配置してあり、シールリングが前記リングギャップを燃焼室に対して封止（密閉）している。燃料噴射弁は支持面でもって、球形に形成された球欠凹面（ドーム状凹面）に接触し、従って受容孔の軸線に対して或る程度までの角度誤差を補償した状態で組み込まれて、適当な手段、例えばクランプ爪によって受容孔内に圧着固定される。これによって、燃料供給導管への簡便な適合が可能である。即ち、燃料噴射弁の製作誤差及び組付け誤差が補償される。
【０００３】
しかしながらドイツ連邦共和国特許出願公開第１９７３５６６５Ａ１号明細書に基づいて公知の燃料噴射装置においては欠点として、該燃料噴射装置の前述の構造は比較的大きな角度許容誤差を可能にするものの、受容孔と燃料噴射弁との間のリングギャップの封止の問題を一層強めることになり、それというのは大きな傾倒角度では封止がシールリングの弾性変形によってのみ行われ、このためにシールリングが大きな横断面積及び弾性変形量を有していて、著しく不均一な圧縮の場合にもシールできるようになっていなければならないからである。
【０００４】
発明の開示
請求項１に記載の本発明に基づく燃料噴射弁においては従来技術に比べて利点として、ノズル基体の流出側端部に設けられた構成部分を部分的にボール状に形成したことによって、シールリングによる封止作用が大きな傾倒角の場合にも保証され、それというのはボール状の構成部分は大きな面積割合で、受容孔の周壁に形成された球欠凹面と接触するからである。さらに、ボール状の構成部分にインナーレセスを形成して、かつボール状の構成部分をノズル基体に被せ嵌めるようになっていることによって、慣用の燃料噴射弁が、変更なしにボール状の構成部分内に挿入可能であり、この場合、元のパッキンがノズル基体とボール状の構成部分との間の封止作用を担うことになる。
【０００５】
請求項１に記載の燃料噴射弁の有利な実施態様及び改善が、該請求項の従属請求項に記載の手段によって達成される。
【０００６】
特にシールリングは球欠凹面の形状に応じて、ボール状の構成部分の赤道に沿って、或いは該赤道よりも下流側に配置されていてよい。
【０００７】
更に有利には球欠凹面が、受容孔の周壁の円錐形のテーパー部によって代替されてよく、これによってシリンダヘッドの加工が単純化される。
【０００８】
シリンダヘッドの単純な加工と球欠凹面の封止作用とが、受容孔内に圧入可能な挿入体を設け、かつ該挿入体に球欠凹面を形成することによって実施されてよい。従ってシールリングが、プレス嵌め作用に基づいて完全に省略される。
【０００９】
次に本発明の実施例を図面に示して詳細に説明する。
【００１０】
図１に、混合気圧縮型火花点火式内燃機関のシリンダヘッドの受容孔内に配置された本発明に基づく燃料噴射弁の実施例が概略的に部分破断して示してある。
【００１１】
この場合、燃料噴射弁１は直接噴射式の燃料噴射弁１として構成されていて、内燃機関のシリンダヘッド２内に組み込まれている。燃料噴射弁１は流入側端部３に燃料分配管路４への差込み継手を有しており、差込み継手が、燃料分配管路４と燃料噴射弁１の流入接続管片６との間のパッキン５によって封止されている。燃料噴射弁１が、燃料噴射弁１の操作のための電気的な接触用の電気的な接続部７を備えている。
【００１２】
燃料噴射弁１は、シリンダヘッド２の受容孔８内に配置されていて、ノズル基体１０及び弁ケーシング１１を有している。弁ケーシング１１は受容孔８の周壁９に接触して支持されていてよい。ノズル基体１０が流出側端部１２に、本発明に基づきボール状（球体状）の構成部分１３を有しており、該構成部分（凸面球状体）がシールリング１４と一緒に、シリンダヘッド２を内燃機関の燃焼室（図示せず）に対して封止するために役立っている。この場合、シールリング１４が有利には溝１５内に配置されており、溝がボール状の構成部分１３の周面に形成されている。
【００１３】
図２Ａに、図１の燃料噴射弁の一点鎖線で包囲した区域ＩＩＡが拡大して概略的に示してある。該区域は、本発明の構成手段を明瞭に示すために部分的に破断して示してある。すべての図面において、同一の構成要素には同一の符号が付けてある。
【００１４】
すでに図１で説明してあるように、燃料噴射弁１の流出側端部１２に、シールリング１４を受容するボール状の構成部分１３が形成されている。シールリング１４が該実施例では、ボール状の構成部分１３の赤道１６に沿って配置されている。シールリング１４のための有利な材料は、例えばテフロン^（Ｒ）若しくは銅であり、テフロン若しくは銅は、高いフレキシビリティーを有し、ひいては受容孔８内における燃料噴射弁１の位置に対する良好な適合能を有している。
【００１５】
シリンダヘッド２の受容孔８が球欠凹面１７を有しており、球欠凹面内でボール状の構成部分１３が受容孔８の周壁９に接している。燃料噴射弁１が真直ぐに方向付けられている、即ち受容孔８内にずれることなしに、要するに角度誤差なしに取り付けられている場合には、シールリング１４が球欠凹面１７に完全に接している。
【００１６】
燃料噴射弁１がシリンダヘッド２の受容孔８内で、例えば個々の構成部品の製作誤差に基づき、若しくは運転中の燃料噴射弁１の不均一な加熱によってずらされると、燃料噴射弁１はシリンダヘッド２に対して傾斜することになり、その結果、ボール状の構成部分１３のシールリング１４と球欠凹面１７との間の相対的な位置も変化する。しかしながら、前述のずれは、シールリング１４の材料の可塑性によって補償されて、封止作用が完全に維持される。
【００１７】
図２Ｂに、本発明に基づく燃料噴射弁の別の実施例の、図２Ａと同じ区域が部分的に破断して概略的に示してある。
【００１８】
前記別の実施例の構成は、図１及び図２Ａの実施例の構成に類似しているものの、この場合、シールリング１４が赤道１６より下流側に配置されている。シールリング１４は同様に環状の溝１５内に装嵌されて、燃料噴射弁１の組付けられた状態で、球欠凹面１７によって形成された支承面に直接に接触している。これによって、ずれが大きな範囲で補償可能である。ずれの補償に際してシールリング１４の材料に逃げ容積を提供するために、溝１５が例えばアンダーカット容積を有しており、それというのはシールリング１４がボール状の構成部分１３と同一面を成して変形されているからである。シールリング１４よりもわずかに大きな直径を有する溝１５も、逃げ容積を提供するために役立つ。
【００１９】
図３Ａ及び図３Ｂに示すさらに別の実施例は、シールリング１４の配置の点で、図２Ａ及び図２Ｂに示す実施例に等価的に構成されている。ボール状の構成部分１３は、貫通開口としてのインナーレセス（内部の切欠き）１８を有しており、インナーレセス内にノズル基体１０の流出側端部１２が押込まれるようになっている。この場合には封止のためにノズル基体１０とボール状の構成部分１３との間に別のシールリング１９が配置されており、これによって燃焼室とシリンダヘッド２との間の封止作用が維持される。このような配置構成の利点は特に、ノズル基体１０におけるシールリング１９の慣用の配置を変更する必要がなく、ボール状の構成部分１３をノズル基体１０の流出側端部１２に挿嵌するだけでよい。この場合にノズル基体１０における唯一の手段が支持カラー２０であり、支持カラーにボール状の構成部分１３が支持される。
【００２０】
ボール状の構成部分１３は、シールリング１９上へのプレス嵌めだけによってノズル基体１０の流出側端部１２に取り付けられるか、若しくは点溶接によって付加的に確保される。
【００２１】
前記すべての実施例の特徴として、構成部分１３の球形が、燃料噴射弁１の傾斜角に関連して接触面として問題になる領域にだけ設けられている。燃料噴射弁の傾斜角が、例えば受容孔８の流入側の幾何学形状によって制限されているので、構成部分１３は必ずしもその全体にわたって球形に形成されなくてよい。
【００２２】
図４に、本発明に基づく燃料噴射弁のさらに別の実施例が部分的に破断して概略的に示してある。
【００２３】
前述の実施例と異なり、シリンダヘッド２の受容孔８が、燃料噴射弁１のノズル基体１０の流出側端部１２の領域内に球欠凹面１７を有するのではなく、単に円錐形のテーパー部（面取り部）２１を有している。このような構成によっては全周にわたって線状のシール面しか得られないので、確実な封止作用を得るために、シールリング１４が、図２Ｂで述べた実施例と同様に、赤道１６よりも下流側に配置されている。該実施例の利点として、テーパー部２１の形状に大きな要求を課す必要がなく、従って受容孔８の加工が単純かつ経済的に行われる。
【００２４】
図５に、本発明に基づく燃料噴射弁１のさらに別の実施例が部分的に破断して概略的に示してある。
【００２５】
図１〜図３で説明した実施例は、球欠凹面１７の形状に基づき、ひいてはこれに伴う大きな支承面によって、シールリング１４なしにも高い封止作用が得られるという特色を有している。このような特色が、図５に示す実施例では、球欠凹面１７をリング状の挿入体２２に形成して、該挿入体を受容孔８の肩部２３まで圧入することによって得られる。リング状の挿入体の圧入によって、リング状の挿入体２２の応力が付加的に封止作用に寄与し、従って別体のシールリング１４並びに溝１５が省略される。
【００２６】
図５に示す燃料噴射弁１は、シール領域と燃焼室との間に存在するデッドスペース（無効空間）の減少のために付加的に延長部２４を有している。このような付加的に手段は、前述の実施例にも使用可能であり、特に図２Ａ及び図２Ｂ並びに図４に示す燃料噴射弁１では、デッドスペースの減少のために効果的である。
【００２７】
本発明は、図示の実施例に限定されるものではなく、例えば自己着火式内燃機関の燃焼室内へ噴射する燃料噴射弁１のためにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図１】 内燃機関のシリンダヘッド内に配置された燃料噴射弁の実施例を部分破断して示す概略側面図。
【図２Ａ】 図１に示す燃料噴射弁の一点鎖線で包囲した区域ＩＩＡの概略拡大図。
【図２Ｂ】 燃料噴射弁の別の実施例の部分概略図。
【図３Ａ】 燃料噴射弁のさらに別の実施例の部分概略図。
【図３Ｂ】 燃料噴射弁のさらに別の実施例の部分概略図。
【図４】 燃料噴射弁のさらに別の実施例の部分概略図。
【図５】 燃料噴射弁のさらに別の実施例の部分概略図。
【符号の説明】
１ 燃料噴射弁、 ２ シリンダヘッド、 ３ 流入側端部、 ４ 燃料分配管路、 ５ パッキン、 ６ 接続管片、 ７ 接続部、 ８ 受容孔、 ９ 周壁、 １０ ノズル基体、 １１ 弁ケーシング、 １２ 流出側端部、 １３ ボール状の構成部分、 １４ シールリング、 １５ 溝、 １６ 赤道、 １７ 球欠凹面、 １８ インナーレセス、 １９ シールリング、 ２０ 支承カラー、 ２１ テーパー部、 ２２ 挿入体、 ２３ 肩部、 ２４ 延長部

Claims (8)

1. 燃料の直接的な噴射のための燃料噴射弁（１）であって、特に混合気圧縮型火花点火式内燃機関の燃焼室内への燃料の直接噴射のためのものであり、該燃料噴射弁が内燃機関のシリンダヘッド（２）の受容孔（８）内に配置されて、ノズル基体（１０）及びシールリング（１４）を有しており、シールリングが該燃料噴射弁（１）を内燃機関のシリンダヘッド（２）に対して封止している形式のものにおいて、
   燃料噴射弁（１）の下流側の端部（１２）に、少なくとも部分的にボール状の構成部分（１３）を形成してあり、該構成部分が少なくとも部分的に受容孔（８）の周壁（９）に接しており、前記ボール状の構成部分（１３）の周面に受容部（１５）が形成されており、該受容部にシールリング（１４）が配置されており、前記ノズル基体（１０）が流出側端部（１２）に減径されてなる段部を有しており、前記ボール状の構成部分（１３）が、インナーレセス（１８）を有していて、前記ノズル基体（１０）の前記流出側端部（１２）に被せ嵌められ、かつ該ノズル基体（１０）の前記段部によって形成された支持カラー（２０）に支持されており、前記受容部（１５）が、前記ボール状の構成部分（１３）の周面に形成された環状の溝（１５）であることを特徴とする燃料噴射弁。
2. 周壁（９）が、少なくとも部分的にボール状の構成部分（１３）の領域で、球欠凹面（１７）を形成している請求項１記載の燃料噴射弁。
3. 受容部としての溝（１５）が、少なくとも部分的にボール状の構成部分（１３）の赤道（１６）に沿って形成されている請求項１又は２記載の燃料噴射弁。
4. 受容部としての溝（１５）が、少なくとも部分的にボール状の構成部分（１３）の赤道（１６）より下流側に配置されている請求項１又は２記載の燃料噴射弁。
5. ノズル基体（１０）がパッキン（１９）によって、ノズル基体（１０）に被せ嵌められた少なくとも部分的にボール状の構成部分（１３）に対して封止されている請求項１から４までのいずれか１項記載の燃料噴射弁。
6. 受容孔（８）の周壁（９）が、円錐形のテーパー部（２１）を有しおり、該テーパー部にシールリング（１４）が接している請求項１記載の燃料噴射弁。
7. 少なくとも部分的にボール状の構成部分（１３）が挿入体（２２）に接しており、該挿入体に球欠凹面（１７）が形成されており、前記挿入体が、シリンダヘッド（２）の受容孔（８）内に挿嵌されている請求項１記載の燃料噴射弁。
8. 挿入体（２２）が、シリンダヘッド（２）の受容孔（８）の肩部（２３）に当接している請求項７記載の燃料噴射弁。

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