JP2006037960A - 燃料噴射系 - Google Patents

Abstract

【課題】燃料噴射系におけるシール部材のシール性を改善し、かつ燃料噴射系の組立てを著しく簡単に行うことができるようにする。
【解決手段】複数の燃料噴射弁１が設けられていて、該燃料噴射弁の少なくとも噴射側端部が、シリンダヘッド３の受容孔２内に配置されており、該受容孔が流入側においてそれぞれ接続部材４で供給管路区分５に係合しており、該供給管路区分を介して燃料噴射弁１に燃料が圧力負荷されて供給され、接続部材４が供給管路区分５に対してシール部材６）によってシールされている形式の燃料噴射系において、シール部材６がスリーブ状に形成されていて、塑性変形可能な成形領域７を有しており、該成形領域が、供給管路区分５と接続部材４との組立て時に塑性変形し、運転時に弾性的な特性を有している。
【選択図】図１

Description

本発明は、燃料噴射系、特に内燃機関の燃焼室内に燃料を直接噴射するための燃料噴射系であって、複数の燃料噴射弁が設けられていて、該燃料噴射弁の少なくとも噴射側端部が、シリンダヘッドの受容孔内に配置されており、該受容孔が流入側においてそれぞれ接続部材で供給管路区分に係合しており、該供給管路区分を介して燃料噴射弁に燃料が圧力負荷されて供給され、接続部材が供給管路区分に対してシール部材によってシールされている形式のものに関する。

例えばドイツ連邦共和国特許公開第１０１０８４６７号明細書に基づいて、燃料分配管路を介して燃料を供給される燃料噴射弁が公知である。この燃料噴射弁はその噴射側の端部で、シリンダヘッドの受容開口内に挿入されている。燃料噴射弁の流入側端部は、燃料分配管路の受容開口に進入していて、半径方向においてリング状のシール部材によって取り囲まれ、このシール部材は燃料噴射弁を燃料分配管路に対してシールしている。シール部材はＯリングとして形成されていて、ゴム状材料から成っている。

上記明細書に基づいて公知の燃料噴射系における欠点としては特に、シール部材が大きな燃料圧のためには適していないということが挙げられる。また半径方向のシール部材であるラジアルパッキンは、軸方向における誤差、すなわち運転中に例えば燃料分配管路とシリンダヘッドとの間における異なった熱膨張に起因して受容開口に対して燃料噴射弁が傾斜することによって生じる、軸方向における誤差を補償することができない。さらにまたシール部材は、極めて狭い温度範囲のためにしか製造することができない。ゴム状材料から製造されるリング状のシール部材によって、燃料は該シール部材を通って拡散することがある。
ドイツ連邦共和国特許公開第１０１０８４６７号明細書

ゆえに本発明の課題は、冒頭に述べた形式の燃料噴射系を改良して、燃料噴射系におけるシール部材のシール性を改善し、かつ燃料噴射系の組立てを著しく簡単に行うことができるようにする。

この課題を形成するために本発明の構成では、シール部材がスリーブ状に形成されていて、塑性変形可能な成形領域を有しており、該成形領域が、供給管路区分と接続部材との組立て時に塑性変形し、運転時に弾性的な特性を有しているようにした。

このように構成された本発明による燃料噴射系には、燃料噴射系の組立てを著しく簡単に行うことができるという利点がある。なぜならば本発明による燃料噴射系では、シール部材の軸方向における弾性的な伸長可能性によって、供給管路区分は、軸方向における変位を補償する弾性的なばねエレメントなしに、シリンダヘッドに固定され得るからである。供給管路区分に対する燃料噴射弁の傾斜変化、つまり例えば供給管路区分とシリンダヘッドとの間における異なった熱膨張に基づいて生じる傾斜変化は、シール性を維持しながら、シール部材によって補償されることができる。

本発明による燃料噴射系の別の有利な構成は、請求項２以下に記載されている。

本発明の有利な構成では、成形領域が、シール部材の軸方向における部分長さにわたってベローズ状もしくは波形の領域として延在している。このように構成されていると、弾性的なばね定数を改善することができ、シール部材において作用する燃料圧を、シール性改善のために利用することができる。

別の有利な構成では、シール部材が深絞り又はエンボス加工によって製造されている。このようにすると、シール部材、特にシール部材の波側の領域を特に簡単に製造することができる。

また、シール部材の端部の円錐形に拡大する内輪郭と該内輪郭にそれぞれ係合する丸く形成された区分とによって、供給管路区分とシリンダヘッドもしくは燃料噴射弁との間における傾斜変化に関するシール性を、著しく改善することができる。

本発明の別の有利な構成では、シール部材の材料が、特に流入区分及び／又は流出区分との接触領域において、流入区分もしくは流出区分の対応する接触領域よりも著しく硬いか又は柔らかい。これによってシール性はさらに改善され、大きな許容誤差が可能になる。

シール部材を被覆することによって、耐久性を改善することができる。

シール部材の材料は特に、流入区分及び／又は流出区分との接触領域において、流入区分もしくは流出区分の対応する接触領域よりも著しく硬いか又は柔らかい。

流入区分及び／又は流出区分は有利には鋼から成っている。シール部材は少なくとも流出区分もしくは流出区分との接触領域において、有利には真鍮から成っている。

流入区分及び／又は流出区分は有利にはアルミニウムから成っている。シール部材は少なくとも流入区分もしくは流出区分との接触領域において、有利には鋼、特に鋼Ｃ４５から成っている。

シール部材が少なくとも流出側領域もしくは流入側領域において、特に摩耗を減少させる炭素層によって、被覆されている。

次に図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。以下において同一の部材にはすべての図面において同一符号が付されている。

図１に示された本発明による燃料噴射系の１実施例は、図示の実施例では、自己着火式であっても火花点火式であってもよい直接噴射式内燃機関のための燃料噴射弁の、燃料を供給するため及び押さえるための燃料噴射系として構成されている。

例示された本発明による燃料噴射系は主として、供給管路区分５と燃料噴射弁１と、この供給管路区分５と燃料噴射弁１とを電気的にかつ圧力をシールして接続するスリーブ状のシール部材６とから成っている。燃料噴射弁１は図示の実施例ではほぼその全長が、シリンダヘッド３の受容孔２内に配置されている。燃料噴射弁１は流入側に接続部材４を有しており、この接続部材４を介して燃料噴射弁１には燃料が持続的に供給される。接続部材４は受容孔２から僅かに突出している。

供給管路区分５はいわゆる燃料レールの一部であり、各燃料噴射弁１のために受容室１０を有しており、この受容室１０には接続部材４が進入している。供給管路区分５は受容室１０の領域においてＵ字形に形成されており、そして供給管路区分５は、開放したＵ字形の領域が受容孔２を覆うように配置されている。供給管路区分５の、開放したＵ字形の領域とは反対側の上側領域には、供給孔１１が延びている。この供給孔１１は図示の実施例では、ピン状の流出区分９を介して、受容室１０内に配置されたシール部材６の中に開口している。流出区分９は例えば横断面が丸く形成されている。流出区分９はその流出側の外輪郭において環状に均一に丸く面取りされている。流出区分９は図示の実施例では、スリーブ状のシール部材６の流入側領域の、流れ方向において円錐形に先細になった内輪郭に、シール作用をもって係合している。内輪郭が丸く面取りされていることもしくは円錐形に先細になっていることによって、玉シール部もしくは円錐シール部が形成され、このようなシール部は、流出区分９に対するシール部材６の傾斜が変化した場合でもシール作用を維持する。これによって特に、運転中に温度差や材料差に基づいて生じる、供給管路区分５とシリンダヘッド３との間における幾分異なった熱膨張を、補償することができる。

図示の実施例においてシール部材６は、波形もしくはベローズ形の成形領域７を有している。シール部材６の長さは次のように、すなわちシール部材６が組立て時に成形領域７において、その弾性的な特性をこの領域において失うことなしに、塑性変形するように、選択されている。成形領域７は次のように、すなわち該成形領域７がその都度必要な圧着力を燃料噴射弁１に対して弾性的に運転中にも加えることができるように、寸法設定されている。シール部材６は例えば真鍮又は鋼から製造されている。

シール部材６の流出側領域の内輪郭は、流れ方向において円錐形に拡大していて、外輪郭において丸く面取りされている接続部材４の流入区分８の、同様に横断面が丸い形状と一緒に、同様に玉シール部もしくは円錐シール部を形成している。

供給管路区分５はねじ結合部材１２を用いて、堅固にシリンダヘッド３に接合されている。

シール部材６はその弾性的な特性によって燃料噴射弁１を弾性的に受容孔２内に押し込む。

図２には本発明による燃料噴射系の別の実施形態が示されている。この実施形態ではスリーブ状のシール部材６の壁厚は、全軸方向長さにわたって等しいままの大きさを有していて、エンボス加工（Praegen）によって製造されている。

図３には、本発明による燃料噴射系のさらに別の実施形態が示されている。図２に示された実施例とは異なり、図３の実施例ではシール部材の外輪郭は流入側の領域において流れ方向とは逆向きに丸く形成されていて、流出区分９の、流れ方向とは逆向きに円錐形に先細になった内輪郭に係合しており、これによって玉／円錐シール部材が形成される。このシール部材は深絞りによって製造されていて、シール部材の流入側領域は、センタリングされて配置された孔を有しており、この孔を通って燃料は流出区分９からシール部材６の内部に流入することができる。

本発明は図示の実施例に制限されるものではなく、実施例に記載された特徴は互いに任意に組み合わせることができる。

本発明による燃料噴射系の第１実施例を示す図である。 本発明による燃料噴射系の第２実施例を示す図である。 本発明による燃料噴射系の第３実施例を示す図である。

符号の説明

１ 燃料噴射弁、 ２ 受容孔、 ３ シリンダヘッド、 ４ 接続部材、 ５ 供給管路区分、 ６ シール部材、 ７ 成形領域、 ８ 流入区分、 ９ 流出区分、 １０ 受容室、 １１ 供給孔、 １２ ねじ結合部材

Claims (12)

1. 燃料噴射系、特に内燃機関の燃焼室内に燃料を直接噴射するための燃料噴射系であって、複数の燃料噴射弁（１）が設けられていて、該燃料噴射弁（１）の少なくとも噴射側端部が、シリンダヘッド（３）の受容孔（２）内に配置されており、該受容孔（２）が流入側においてそれぞれ接続部材（４）で供給管路区分（５）に係合しており、該供給管路区分（５）を介して燃料噴射弁（１）に燃料が圧力負荷されて供給され、接続部材（４）が供給管路区分（５）に対してシール部材（６）によってシールされている形式のものにおいて、
   シール部材（６）がスリーブ状に形成されていて、塑性変形可能な成形領域（７）を有しており、該成形領域（７）が、供給管路区分（５）と接続部材（４）との組立て時に塑性変形し、運転時に弾性的な特性を有していることを特徴とする燃料噴射系。
2. 成形領域（７）が、軸方向における部分長さにわたって延在するベローズ状もしくは波形の領域として形成されている、請求項１記載の燃料噴射系。
3. シール部材（６）が深絞り又はエンボス加工によって製造されている、請求項１又は２記載の燃料噴射系。
4. シール部材（６）の、流入側及び／又は流出側の端部の内輪郭が、外方に向かって、特に円錐形に拡大されている、請求項１から３までのいずれか１項記載の燃料噴射系。
5. 供給管路区分（５）の流出区分（９）及び／又は接続部材（４）の流入区分（８）が、シール部材（６）の流入側端部もしくは流出側端部の円錐形の内輪郭に係合していて、シール部材（６）の流入側端部もしくは流出側端部の内輪郭の円錐形に成形された面と接触している面の領域において、丸く面取りされており、さらに供給管路区分（５）の流出区分（９）及び／又は接続部材（４）の流入区分（８）の外径が、シール部材（６）の内部に向かって先細になっていて、これによってそれぞれ円錐／玉シール部が生ぜしめられている、請求項４記載の燃料噴射系。
6. シール部材（６）の流入側端部及び／又は流出側端部の外輪郭が、外方に向かって先細に、特に丸く形成されているもしくは部分円形状になっている、請求項１から５までのいずれか１項記載の燃料噴射系。
7. 供給管路区分（５）の流出区分（９）の内輪郭が流れ方向において、特に円錐形に拡大していて、シール部材（６）の流入側端部が、流出区分（９）の拡大した領域にシール作用をもって係合していて、これによってそれぞれ円錐／玉シール部が生ぜしめられている、請求項６記載の燃料噴射系。
8. 接続部材（４）の流入区分（８）の内輪郭が流れ方向において、特に円錐形に先細になっていて、シール部材（６）の流出側端部が、流入区分（８）の先細になった領域にシール作用をもって係合していて、これによってそれぞれ円錐／玉シール部が生ぜしめられている請求項６又は７記載の燃料噴射系。
9. シール部材（６）の材料が、特に流入区分（８）及び／又は流出区分（９）との接触領域において、流入区分（８）もしくは流出区分（９）の対応する接触領域に比べて、著しく硬いか又は柔らかく形成されている、請求項１から８までのいずれか１項記載の燃料噴射系。
10. 流入区分（８）及び／又は流出区分（９）が鋼から成っていて、シール部材（６）が少なくとも、流入区分（８）もしくは流出区分（９）との接触領域において真鍮から成っている、請求項９記載の燃料噴射系。
11. 流入区分（８）及び／又は流出区分（９）がアルミニウムから成っていて、シール部材（６）が少なくとも、流入区分（８）もしくは流出区分（９）との接触領域において鋼、特に鋼Ｃ４５から成っている、請求項９記載の燃料噴射系。
12. シール部材（６）が少なくとも流出側領域もしくは流入側領域において、特に摩耗を減少させる炭素層によって、被覆されている、請求項１から１１までのいずれか１項記載の燃料噴射系。

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