JP5831510B2 - 燃料噴射弁および燃料噴射弁の取付方法 - Google Patents
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Description
図1に示す燃料噴射弁1は、点火式の内燃機関(ガソリンエンジン)に搭載されており、内燃機関の燃焼室2へ直接燃料を噴射するものである。具体的には、燃焼室2を形成するシリンダヘッド3のうちシリンダの中心線Cと一致する位置に、燃料噴射弁1を挿入する取付穴4が形成されている。
挿入時におけるシール材40の先端部41は、噴孔側に近づくほど外径寸法が徐々に縮径していく円筒形状であることを特徴とする。そのため、挿入時において、先端部41の外周面が取付穴4の内周面4aと擦れることを抑制できるので、摩擦引上力に起因して先端部41が溝部15から外れることを抑制できる。
先端部41の噴孔側の端面41aの全体が、溝部15の内部に位置していることを特徴とする。これによれば、挿入時において、先端部41の外角41cが溝部15の内部に位置することとなるので、挿入時において、先端部41の外角41cが取付穴4の内周面4aと擦れることを、より一層抑制できる。よって、摩擦引上力に起因して先端部41が溝部15から外れることの抑制効果を向上できる。
ボデー10の外周面のうち縮径部13の反噴孔側に連なる部分には、反噴孔側に向かうほどボデー10の径寸法が徐々に拡大するテーパ面14が形成されている。そして、取付穴4へのボデー10の挿入が完了した後、所定圧以上のガス圧がシール材40の噴孔側から印加された後の使用状態(通常使用状態)において、上記ガス圧によりシール材40がテーパ面14に押し付けられて圧縮変形し、その圧縮変形部分が取付穴4の内周面4aとボデー10の外周面との間をシールするように構成されていることを特徴とする。
取付穴4へのボデー10の挿入が完了した後、所定圧以上のガス圧がシール材40に未だ印加されていない初期状態において、溝部15のうち反噴孔側の壁面15cと取付穴4の内周面4aとの間にシール材40が挟まれて圧縮変形し、その圧縮変形部分が上記内周面4aとボデー10の外周面との間をシールするように構成されていることを特徴とする。
取付穴4にボデー10が挿入されていない状態において、シール材40の最外径寸法D40は、取付穴4の内周面4aの内径寸法D4よりも大きく設定されていることを特徴とする。
取付穴4にボデー10が挿入されていない状態において、縮径部13に装着された状態のシール材40の最外周位置(図2の例では本体部42の外周面位置)が、溝部15のうち噴孔側の壁面の最外周位置(図2の例では噴孔側壁面15aの最外周面位置、つまり噴孔部11の外周面位置)よりも、径方向外側に位置していることを特徴とする。
溝部15のうち反噴孔側の壁面15cは、反噴孔側に向かうほどボデー10の径寸法が徐々に拡大するテーパ状に形成されていることを特徴とする。ここで、上記特徴に反して反噴孔側壁面15cを断面直角の形状にすると、ガス押上力によりシール材40が反噴孔側へ移動する際に、先端部41が溝部15からスムーズに外れなくなることが懸念される。これに対し、上記特徴によれば、反噴孔側壁面15cをテーパ状に形成するので、ガス押上力により先端部41が溝部15から外れることをスムーズにでき、上記懸念を解消できる。
シール装着工程S10、S20では、取付穴4への挿入途中のみならず該挿入が完了した時点においても先端部41が溝部15に装着された状態が維持されるよう、先端部41を溝部15へ装着することを特徴とする。これによれば、シール材40を取付穴4へ挿入する途中で、先述した摩擦引上力によりシール材40が所定位置からずれることの抑制効果を向上できる。しかも、上記特徴によれば、初期状態において、溝部15内に位置する先端部41は、ガス押上力により反噴孔側壁面15cに押し付けられて圧縮変形してシールする。よって、初期状態においてもシール性を確保できる。
上記第1実施形態では、挿入工程が完了した時点での初期状態では、シール材40の先端部41が溝部15内に嵌まり込んだままである。これに対し、本実施形態では、挿入工程の途中では、先端部41が溝部15内に嵌まり込んだ状態が維持されるが(図6(a)参照)、挿入工程が完了した時点での初期状態では、先端部41が溝部15から外れた状態となる(図6(b)参照)。
上記第1実施形態では、シール材40を縮径部13へ装着した状態、かつ、取付穴4に挿入する前の状態において、シール材40は肉厚均一の形状である。これに対し本実施形態では、図7に示すように肉厚が不均一なシール材400を採用しており、図3の第2装着工程S20による矯正を不要にしている。
本実施形態では、テーパ面14のテーパ角度θ1が、10°以上かつ20°以下の範囲に設定されている。以下、この設定による作用効果やボデー10の詳細構造について、図8を用いて説明する。
テーパ面14のテーパ角度θ1が10°以上かつ20°以下の範囲に設定されている。以下、この設定による効果を、図9および図10に示す試験結果を用いて説明する。
ボデー10の外周面のうちテーパ面14に対して反噴孔側に連続する部分には、ボデー10を径方向に縮小させた形状である隙間用縮径部(つまり並行部17およびサブテーパ面18)が形成されている。この隙間用縮径部は、取付穴4の内周面4aとの間に隙間(つまり退避室4b)を形成する。
隙間用縮径部(つまり並行部17およびサブテーパ面18)には、ボデー10の径寸法が該ボデー10の軸方向において均一である並行部17が含まれている。そのため、ボデー10が径方向に大型化することを抑制しつつ、退避室4bを形成できる。
隙間用縮径部(つまり並行部17およびサブテーパ面18)には、反噴孔側に向かうほどボデー10の径寸法が徐々に拡大するサブテーパ面18が含まれており、並行部17は、テーパ面14およびサブテーパ面18の間に位置する。
サブテーパ面18のテーパ角度θ2が10°以上かつ20°以下の範囲に設定されている。そのため、テーパ面14による先述した効果、つまりシール材40の移動抑制と楔効果によるシール性向上との両立を図る効果が、サブテーパ面18においても同様に発揮されるようになる。
テーパ面14の表面粗さが、ボデー10のうち電動アクチュエータ30を収容する部分における外周面の表面粗さよりも小さくなるようにボデー10は加工されている。
図11に示す本実施形態では、上記第4実施形態に係るサブテーパ面18を廃止している。つまり、ボデー10のうち基端側縮径部16から反噴孔側に連なる部分には、テーパ面14、並行部17および基部12が順に形成されており、並行部17は、テーパ面14および基部12の間に位置して連続して繋がっている。この場合、並行部17が特許請求の範囲に記載の隙間用縮径部に相当し、並行部17の外周面と取付穴4の内周面4aとの間に形成される隙間が退避室4bとして機能する。
図12に示す本実施形態では、上記第4実施形態に係るサブテーパ面18および並行部17を廃止している。つまり、ボデー10のうち基端側縮径部16から反噴孔側に連なる部分には、テーパ面14および基部12が順に形成されており、テーパ面14は、基端側縮径部16および基部12の間に位置して連続して繋がっている。
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、以下のように変更して実施してもよい。また、各実施形態の特徴的構成をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。
Claims (20)
- 燃料を噴射する噴孔(10a)が形成されたボデー(10)を備え、
前記ボデーの外周面には、環状のシール材(40)が装着される部分であり、該ボデーを径方向に縮小させた形状である縮径部(13)が形成されており、
内燃機関の所定箇所に形成された取付穴(4)に前記ボデーを挿入した状態では、前記取付穴の内周面(4a)と前記ボデーの外周面との間が前記シール材によりシールされることとなるように構成された燃料噴射弁(1)において、
前記縮径部のうち、前記シール材の噴孔側の先端部(41)が装着される部分には、前記ボデーの径方向に凹む環状の溝部(15)が形成され、
前記縮径部のうち前記溝部の反噴孔側に連なる部分には、前記溝部よりも外形寸法が大きく、かつ、軸方向に亘って径寸法が均一の基端側縮径部(16)が形成され、
前記ボデーの外周面のうち前記基端側縮径部の反噴孔側に連なる部分には、反噴孔側に向かうほど前記ボデーの径寸法が徐々に拡大するテーパ面(14)が形成され、
前記取付穴への前記ボデーの挿入が完了した後、所定圧以上のガス圧が前記シール材の噴孔側から印加された後の使用状態において、前記ガス圧により前記シール材が前記テーパ面に押し付けられて圧縮変形し、その圧縮変形部分が前記取付穴の内周面と前記ボデーの外周面との間をシールするように構成されていることを特徴とする燃料噴射弁。 - 前記先端部(41)が前記溝部に嵌まるように前記縮径部に装着された、前記シール材を備えることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射弁。
- 前記先端部は、噴孔側に近づくほど外径寸法が徐々に縮径していく円筒形状であることを特徴とする請求項2に記載の燃料噴射弁。
- 前記先端部(41)の噴孔側の端面(41a)の全体が、前記溝部の内部に位置していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。
- 前記テーパ面のテーパ角度(θ1)が10°以上かつ20°以下の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。
- 前記ボデーの外周面のうち前記テーパ面に対して反噴孔側に連続する部分には、前記取付穴の内周面との間に隙間(4b)を形成するよう、前記ボデーを径方向に縮小させた形状である隙間用縮径部(17、18)が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の燃料噴射弁。
- 前記隙間用縮径部には、前記ボデーの径寸法が該ボデーの軸方向において均一である並行部(17)が含まれていることを特徴とする請求項6に記載の燃料噴射弁。
- 前記隙間用縮径部には、反噴孔側に向かうほど前記ボデーの径寸法が徐々に拡大するサブテーパ面(18)が含まれており、
前記並行部は、前記テーパ面および前記サブテーパ面の間に位置することを特徴とする請求項7に記載の燃料噴射弁。 - 前記サブテーパ面のテーパ角度(θ2)が10°以上かつ20°以下の範囲に設定されていることを特徴とする請求項8に記載の燃料噴射弁。
- 前記ボデーの内部には、前記噴孔を開閉する弁体(20)、および前記弁体を開閉作動させる磁気吸引力を生じさせる電動アクチュエータ(30)が収容されており、
前記テーパ面の表面粗さが、前記ボデーのうち前記電動アクチュエータを収容する部分における外周面の表面粗さよりも小さいことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。 - 前記溝部のうち反噴孔側の壁面(15c)は、反噴孔側に向かうほど前記ボデーの径寸法が徐々に拡大するテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。
- 前記取付穴への前記ボデーの挿入が完了した後、所定圧以上のガス圧が前記シール材に未だ印加されていない初期状態において、
前記溝部のうち反噴孔側の壁面と前記取付穴の内周面との間に前記シール材が挟まれて圧縮変形し、その圧縮変形部分が前記取付穴の内周面と前記ボデーの外周面との間をシールするように構成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。 - 前記取付穴への前記ボデーの挿入が完了した後、所定圧以上のガス圧が前記シール材に未だ印加されていない初期状態において、前記先端部が前記溝部から外れ、前記縮径部のうち前記溝部よりも反噴孔側の部分と前記取付穴の内周面との間に前記シール材が挟まれて圧縮変形し、その圧縮変形部分が前記取付穴の内周面と前記ボデーの外周面との間をシールするように構成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。
- 前記取付穴に前記ボデーが挿入されていない状態において、前記シール材の最外径寸法(D40)は、前記取付穴の内周面の内径寸法(D4)よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。
- 前記取付穴に前記ボデーが挿入されていない状態において、前記縮径部に装着された状態の前記シール材の最外周位置が、前記溝部のうち噴孔側の壁面の最外周位置よりも、径方向外側に位置していることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。
- 前記シール材のうち、前記先端部より反噴孔側の部分を本体部(420)と呼ぶ場合において、
前記先端部は、前記本体部よりも径方向内側に拡大する向きに肉厚が大きく形成されていることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。 - 請求項1〜16のいずれか1つに記載の燃料噴射弁(1)の取付方法であって、
前記縮径部に前記シール材を装着するシール装着工程(S10、S20)と、
その後、前記取付穴に前記燃料噴射弁を挿入する挿入工程(S30)と、
を備え、
前記シール装着工程では、前記溝部に前記先端部を装着し、
前記挿入工程では、前記先端部が前記溝部に装着された状態で、前記ボデーを前記取付穴に挿入することを特徴とする請求項1〜16のいずれか1つに記載の燃料噴射弁の取付方法。 - 前記シール装着工程では、
前記取付穴への挿入途中のみならず該挿入が完了した時点においても前記先端部が前記溝部に装着された状態が維持されるよう、前記先端部を前記溝部へ装着することを特徴とする請求項17に記載の燃料噴射弁の取付方法。 - 前記シール装着工程では、
前記取付穴への挿入途中では前記先端部が前記溝部に装着され、該挿入が完了した時点では前記先端部が前記溝部から外れた状態になるよう、前記先端部を前記溝部へ装着することを特徴とする請求項17に記載の燃料噴射弁の取付方法。 - 前記シール装着工程では、
前記シール材を前記縮径部に対向配置する配置工程と、
前記先端部が前記溝部内に嵌め込まれるよう、前記先端部を塑性変形させる矯正工程と、
を含むことを特徴とする請求項17〜19のいずれか1つに記載の燃料噴射弁の取付方法。
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