JP5831510B2 - 燃料噴射弁および燃料噴射弁の取付方法 - Google Patents

燃料噴射弁および燃料噴射弁の取付方法 Download PDF

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Description

本発明は、内燃機関の燃焼に用いる燃料を噴射する燃料噴射弁、およびその燃料噴射弁を内燃機関の所定箇所に取り付ける方法に関する。
内燃機関の所定箇所に形成された取付穴へ、燃料噴射弁のボデーを挿入して取り付ける構造の場合、取付穴の内周面とボデーの外周面との隙間から、燃料噴射空間(例えば燃焼室または吸気管内)にあるガスが漏れ出ることを防止することが要求される。
そこで従来では、上記隙間に環状のシール材を介在させている。具体的には、ボデーの外周面に、径方向へ凹む縮径部を形成し、該縮径部にシール材を装着した状態で、ボデーを取付穴へ挿入している(特許文献1参照)。
特開2005−155394号公報
しかしながら、上記従来の構造では、ボデーを取付穴へ挿入する際に、シール材の外周面が取付穴の内周面に擦れ、その摩擦でシール材が引き上げられて、シール材の一部が縮径部の所定位置からずれる場合がある。そして、このように位置ずれした状態でさらにボデーを挿入していくと、取付穴の内周面とボデーの外周面との間でシール材が強く擦れることとなり、シール材が破損することが懸念されるようになる。
本発明は、上記問題を鑑みてなされたもので、その目的は、シール材の破損抑制を図った燃料噴射弁、およびその取付方法を提供することにある。
開示された発明は上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。なお、特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、開示された発明の技術的範囲を限定するものではない。
開示された第1の発明である燃料噴射弁(1)は、燃料を噴射する噴孔(10a)が形成されたボデー(10)を備え、ボデーの外周面には、環状のシール材(40)が装着される部分であり、該ボデーを径方向に縮小させた形状である縮径部(13)が形成されており、内燃機関の所定箇所に形成された取付穴(4)にボデーを挿入した状態では、取付穴の内周面(4a)とボデーの外周面との間がシール材によりシールされることとなるように構成された燃料噴射弁(1)であることを前提とする。そして、縮径部のうち、シール材の噴孔側の先端部(41)が装着される部分には、ボデーの径方向に凹む環状の溝部(15)が形成され、縮径部のうち溝部の反噴孔側に連なる部分には、溝部よりも外形寸法が大きく、かつ、軸方向に亘って径寸法が均一の基端側縮径部(16)が形成され、ボデーの外周面のうち基端側縮径部の反噴孔側に連なる部分には、反噴孔側に向かうほどボデーの径寸法が徐々に拡大するテーパ面(14)が形成され、取付穴へのボデーの挿入が完了した後、所定圧以上のガス圧がシール材の噴孔側から印加された後の使用状態において、ガス圧によりシール材がテーパ面に押し付けられて圧縮変形し、その圧縮変形部分が取付穴の内周面とボデーの外周面との間をシールするように構成されていることを特徴とする燃料噴射弁である。
この第1の発明によれば、シール材が装着される縮径部に溝部が形成されているので、シール材の先端部が溝部に引っ掛かった状態でボデーを取付穴へ挿入するようにできる。そのため、該挿入時にシール材が取付穴に擦れても、その摩擦でシール材が引き上げられることを抑制できる。よって、シール材が縮径部の所定位置からずれることを抑制できるので、取付穴の内周面とボデーの外周面との間でシール材が強く擦れて破損することを抑制できる。
また、開示された第2の発明は、上記第1の発明に係る燃料噴射弁(1)の取付方法であって縮径部にシール材を装着するシール装着工程(S10、S20)と、その後、取付穴に燃料噴射弁を挿入する挿入工程(S30)と、を備え、シール装着工程では、溝部に先端部を装着し、挿入工程では、先端部が溝部に装着された状態で、ボデーを取付穴に挿入することを特徴とする、燃料噴射弁の取付方法である。
この第2の発明によれば、ボデーの縮径部にシール材を装着するにあたり、縮径部に形成されている溝部にシール材の先端部を装着する。そして、その装着状態でボデーを取付穴に挿入する。したがって、シール材の先端部が溝部に引っ掛かった状態でボデーを取付穴へ挿入するようにできる。そのため、該挿入時にシール材が取付穴に擦れても、その摩擦でシール材が引き上げられることを抑制できる。よって、シール材が縮径部の所定位置からずれることを抑制できるので、取付穴の内周面とボデーの外周面との間でシール材が強く擦れて破損することを抑制できる。
本発明の第1実施形態にかかる燃料噴射弁が、内燃機関に取り付けられた状態を示す図。 第1実施形態において、燃料噴射弁のボデーにシール材を装着した状態であって、内燃機関の取付穴に挿入する前の状態を示す図。 第1実施形態において、燃料噴射弁を内燃機関に取り付ける手順を示す図。 第1実施形態にかかるシール装着工程を説明する図であり、(a)はシール材を強制する前の状態を示し、(b)は矯正後の状態を示す図。 第1実施形態において、(a)は、燃料噴射弁の取り付けが完了した時点における初期状態を示し、(b)は、シール材にガス圧が印加された後の通常使用状態を示す図。 本発明の第2実施形態において、(a)は、燃料噴射弁を取付穴へ挿入する途中の状態を示し、(b)は、その挿入が完了した時点における初期状態を示す図。 本発明の第3実施形態において、燃料噴射弁のボデーにシール材を装着した状態であって、内燃機関の取付穴に挿入する前の状態を示す図。 本発明の第4実施形態にかかる燃料噴射弁において、シール材にガス圧が印加された後の使用状態であって、シール材が退避室へ移動した状態を示す図。 取付穴へのシール材の挿入時に生じるシール材の移動量と、テーパ角度との関係を示す試験結果。 ガスの漏れ量とテーパ角度との関係を示す試験結果。 本発明の第5実施形態にかかる燃料噴射弁において、シール材にガス圧が印加された後の通常使用状態を示す図。 本発明の第6実施形態にかかる燃料噴射弁において、シール材にガス圧が印加された後の通常使用状態を示す図。
以下、本発明にかかる燃料噴射弁およびその取付方法の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、図中の同一符号を付した部分の構成は、互いに同一もしくは均等であり、その説明を援用する。
(第1実施形態)
図1に示す燃料噴射弁1は、点火式の内燃機関(ガソリンエンジン)に搭載されており、内燃機関の燃焼室2へ直接燃料を噴射するものである。具体的には、燃焼室2を形成するシリンダヘッド3のうちシリンダの中心線Cと一致する位置に、燃料噴射弁1を挿入する取付穴4が形成されている。
燃料噴射弁1は、燃料通路を内部に有するとともに、燃料を噴射する噴孔10aを有するボデー10を備える。ボデー10内には、弁体20、電動アクチュエータ30等が収容されている。弁体20は、ボデー10の着座面10bに離着座するシート面20aを有する。シート面20aを着座面10bに着座させるよう弁体20を閉弁作動させると、噴孔10aからの燃料噴射が停止される。シート面20aを着座面10bから離座させるよう弁体20を開弁作動(リフトアップ)させると、噴孔10aから燃料が噴射される。
電動アクチュエータ30は、ソレノイドコイル31および固定コア32を有して構成されている。コイル31に通電すると固定コア32は磁気吸引力を生じさせ、この磁気吸引力により可動コア(図示せず)が固定コア32に引き寄せられてリフトアップする。可動コアに結合された弁体20は、可動コアとともにリフトアップ(開弁作動)する。一方、コイル31への通電を停止させると、スプリング(図示せず)の弾性力により、弁体20は可動コアとともに閉弁作動する。
ボデー10の外周面には、環状のシール材40が装着されている。このシール材40により、ボデー10の外周面と取付穴4の内周面4aとの間に存在する隙間がシールされている。これにより、燃焼室2内のガスが上記隙間から外部へ漏れ出ることを防止している。なお、シール材40の材質には、弾性変形可能で耐熱性を有することが要求され、フッ素樹脂が具体例として挙げられる。
図2は、燃料噴射弁1を取付穴4に挿入する前の状態を示す拡大図であり、以下、図2を用いてボデー10とシール材40の形状について詳細に説明する。
ボデー10は、噴孔10aを有する部分である噴孔部11と、中心線Cの方向(軸方向)に延びて弁体20を収容する形状の基部12と、を有する。ボデー10のうち噴孔部11から噴孔10aの反対側(反噴孔側)に連なる部分には、シール材40が装着される縮径部13が形成されている。また、ボデー10のうち縮径部13から反噴孔側に連なる部分には、テーパ面14が形成されている。要するに、ボデー10の先端から順に、噴孔部11、縮径部13、テーパ面14および基部12が、軸方向に連なって形成されている。
縮径部13のうち噴孔部11に連なる部分には、ボデー10の径方向に凹む環状の溝部15が形成されている。以下の説明では、縮径部13のうち溝部15が形成されていない部分を、基端側縮径部16と呼ぶ。つまり、基端側縮径部16および溝部15の両方に跨ってシール材40は装着されている。
噴孔部11の外径寸法D11と基部12の外径寸法D12とは同じである。縮径部13の外径寸法D15、D16は、噴孔部11および基部12の外径寸法D11、D12よりも小さい。縮径部13のうち、溝部15の外径寸法D15は基端側縮径部16の外径寸法D16よりも小さい。
テーパ面14は、反噴孔側に向かうほどボデー10の径寸法が徐々に拡大する形状である。基端側縮径部16の外周面は、径寸法が均一な形状である。溝部15のうち最も径寸法の小さい部分を底面15aと呼び、溝部15のうち底面15aから噴孔部11に連なる部分を噴孔側壁面15bと呼び、溝部15のうち底面15aから基端側縮径部16に連なる部分を反噴孔側壁面15cと呼ぶ。
底面15aは、径寸法が均一な形状である。反噴孔側壁面15cは、反噴孔側に向かうほど径寸法が徐々に拡大するテーパ状に形成されている。噴孔側壁面15bは、軸方向に対して垂直に拡がる形状である。
シール材40は、基端側縮径部16および溝部15の両方に跨って装着されている。シール材40のうち、噴孔側の先端部41は溝15に嵌っており、他の部分(以下、本体部42と呼ぶ)は基端側縮径部16に装着されている。この装着状態では、本体部42は弾性変形して基端側縮径部16に密着するように構成してもよいし、本体部42と基端側縮径部16との間に隙間が形成されるように構成してもよい。
縮径部13への装着前において、シール材40は肉厚が均一の円筒形状である。また、縮径部13への装着後において、本体部42は、軸方向のいずれにおいても径寸法が均一の形状である。装着後の先端部41は、噴孔側に近づくほど外径寸法が徐々に縮径していく形状である。先端部41の噴孔側の端面41aの全体が、溝部15の内部に位置している。
より詳細に説明すると、先端部41の噴孔側の端面41aのうち、内周側の角であり環状に延びる稜線の部分を内角41bと呼び、外周側の角であり環状に延びる稜線の部分を外角41cと呼ぶ。そして、内角41bは、溝部15の底面15a上に位置し、外角41cは、溝部15の噴孔側壁面15b上に位置する。換言すれば、外角41cは、噴孔部11の外周面よりも径方向内側に位置する。但し、シール材40の本体部42の外周面は、噴孔部11の外周面よりも径方向外側に位置する。つまり、本体部42の外径寸法D40は、噴孔部11の外径寸法D11よりも大きい。なお、内角41bと底面15aとは接触していてもよいし離間していてもよい。外角41cと噴孔側壁面15bとは接触していてもよいし離間していてもよい。
次に、図3を用いて、シール材40をボデー10に装着して、燃料噴射弁1を取付穴4に取り付ける作業の手順(取付方法)を説明する。
先ず、第1装着工程S10において、ボデー10にシール材40を嵌め込む。具体的には、シール材40を径方向に弾性変形させた状態で、噴孔部11の側から縮径部13に嵌め込む。この時点では、図4(a)に示すように、縮径していく形状の先端部41は形成されておらず、シール材40は径寸法が均一な形状である。
次に、第2装着工程S20(矯正工程)において、シール材40の噴孔側先端部を塑性変形させて、縮径していく形状の先端部41を形成する(図4(b)参照)。例えば、治具により噴孔側先端部を溝部15内に押し付けることで、溝部15に嵌り込む縮径形状に先端部41を塑性変形(矯正)させる。なお、これらの工程S10、S20が「シール装着工程」に相当する。
次に、挿入工程S30において、矯正済みのシール材40が装着された状態の燃料噴射弁1を、取付穴4に挿入する。図5(a)は、燃料噴射弁1を所定位置まで挿入して挿入工程が完了した時点での状態(初期状態)を示す。この状態では、シール材40の先端部41が溝部15内に嵌まり込んだままであり、シール材40の本体部42は、取付穴4の内周面4aと基端側縮径部16との間に挟まれて、径方向に弾性変形している。
換言すれば、取付穴4への挿入途中のみならず該挿入が完了した時点においても先端部41が溝部15に装着された状態が維持されるよう、先端部41は溝部15へ装着されている。つまり、挿入途中において、シール材40の外周面が取付穴4の内周面4aに擦れ、その摩擦によりシール材40には引き上げられる方向の力(摩擦引上力)が作用する。しかし、先端部41が溝部15に引っ掛かっているので、摩擦引上力に抗して先端部41は溝部15内に留まる。
上記初期状態において、燃焼室2内のガス圧であって所定圧未満のガス圧(例えば内燃機関のアイドル運転時のガス圧)が、シール材40に噴孔側から印加されると、シール材40には押し上げられる方向の力(ガス押上力)が作用する。詳細には、先端部41の端面41a、外周面および内周面の全体にガス圧が印加されてガス押上力が作用する。反噴孔側へ押し上げられるこのガス押上力に対しても、先端部41が溝部15に引っ掛かっていることにより、先端部41は溝部15内に留まる(図5(a)参照)。この時、先端部41は、ガス押上力により反噴孔側壁面15cに押し付けられて圧縮変形する。この圧縮変形した部分が、取付穴4の内周面4aとボデー10の外周面との間をシールする(図3中の符号S40参照)。
次に、内燃機関の負荷増大に伴い燃焼室2内のガス圧が上昇し、シール材40の噴孔側から印加されるガス圧が所定圧以上になると、上記ガス押上力が増大し、先端部41が溝部15から外れて、シール材40は反噴孔側へ押し上げられる(図5(b)参照)。すると、先端部41は基端側縮径部16上に位置するとともに、本体部42の反噴孔側の一部はテーパ面14上に位置するようになる。以下、図5(b)の状態(通常使用状態)において、テーパ面14上に位置するシール材40の部分を通常時本体部42x、基端側縮径部16上に位置するシール材40の部分を通常時先端部41xと呼ぶ。
上記通常使用状態において、通常時先端部41の端面41aにガス圧が印加されてガス押上力が作用する。反噴孔側へ押し上げられるこのガス押上力により、通常時本体部42xはテーパ面14に押し付けられる(図5(b)参照)。その結果、シール材40の全体が圧縮変形し、取付穴4の内周面4aとボデー10の外周面との間をシールする(図3中の符号S50参照)。
以上により、本実施形態によれば、シール材40が装着される縮径部13に溝部15が形成されているので、シール材40の先端部41が溝部15に引っ掛かった状態でボデー10を取付穴4へ挿入するようにできる。そのため、該挿入時におけるシール材40と取付穴4との摩擦力(摩擦引上力)により、シール材40の本体部42がテーパ面14の位置まで引き上げられることを防止できる。よって、本体部42が縮径部13の所定位置、つまりテーパ面14よりも噴孔側の位置(基端側縮径部16)から反噴孔側へずれることを抑制できる。そのため、取付穴4の内周面4aとテーパ面14との間で、挿入時にシール材40が強く擦れて破損することを回避できる。
しかも、燃料噴射弁1を取付穴4から取り出す作業を実施するにあたり、シール材40の先端部41が溝部15に引っ掛かった状態でボデー10を取付穴4から取り出すようにできる。そのため、該取出時におけるシール材40と取付穴4との摩擦力(摩擦引下力)により、シール材40の通常時先端部41xが溝部15よりも噴孔側の位置、つまり噴孔部11の外周面上へ引き下げられることを防止できる。よって、先端部41が縮径部13の所定位置、つまり噴孔部11よりも反噴孔側の位置(溝部15)から噴孔側へずれることを抑制できる。そのため、取付穴4の内周面4aと噴孔部11の外周面との間にシール材40が噛み込んで、燃料噴射弁1を取付穴4から取り出す作業性が悪くなることを回避できる。
さらに、以下に列挙する特徴を備えた本実施形態によれば、各々の特徴により以下に説明する作用効果が発揮される。
<特徴1>
挿入時におけるシール材40の先端部41は、噴孔側に近づくほど外径寸法が徐々に縮径していく円筒形状であることを特徴とする。そのため、挿入時において、先端部41の外周面が取付穴4の内周面4aと擦れることを抑制できるので、摩擦引上力に起因して先端部41が溝部15から外れることを抑制できる。
<特徴2>
先端部41の噴孔側の端面41aの全体が、溝部15の内部に位置していることを特徴とする。これによれば、挿入時において、先端部41の外角41cが溝部15の内部に位置することとなるので、挿入時において、先端部41の外角41cが取付穴4の内周面4aと擦れることを、より一層抑制できる。よって、摩擦引上力に起因して先端部41が溝部15から外れることの抑制効果を向上できる。
<特徴3>
ボデー10の外周面のうち縮径部13の反噴孔側に連なる部分には、反噴孔側に向かうほどボデー10の径寸法が徐々に拡大するテーパ面14が形成されている。そして、取付穴4へのボデー10の挿入が完了した後、所定圧以上のガス圧がシール材40の噴孔側から印加された後の使用状態(通常使用状態)において、上記ガス圧によりシール材40がテーパ面14に押し付けられて圧縮変形し、その圧縮変形部分が取付穴4の内周面4aとボデー10の外周面との間をシールするように構成されていることを特徴とする。
これによれば、先述したガス押上力によりシール材40がテーパ面14に押し付けられるので、シール材40が軸方向に圧縮変形してシールすることとなる。そのため、ガス押上力によりシール材40に剪断力や引張力が生じる態様でシール材40を用いる場合に比べて、シール材40が損傷するおそれを抑制できる。特に、燃焼室2へ直接燃料を噴射する位置へ燃料噴射弁1が取り付けられている場合には、燃焼室2の高いガス圧が印加されることになるので、上記効果が顕著に発揮される。
<特徴4>
取付穴4へのボデー10の挿入が完了した後、所定圧以上のガス圧がシール材40に未だ印加されていない初期状態において、溝部15のうち反噴孔側の壁面15cと取付穴4の内周面4aとの間にシール材40が挟まれて圧縮変形し、その圧縮変形部分が上記内周面4aとボデー10の外周面との間をシールするように構成されていることを特徴とする。
これによれば、初期状態の時点でも、取付穴4の内周面4aとボデー10の外周面との間をシールするようにできるので、燃焼室2のガスが取付穴4を通じて外部に漏出するおそれを、通常使用時のみならず初期状態の時点においても抑制できる。
<特徴5>
取付穴4にボデー10が挿入されていない状態において、シール材40の最外径寸法D40は、取付穴4の内周面4aの内径寸法D4よりも大きく設定されていることを特徴とする。
これによれば、初期状態および通常使用状態のいずれの時においても、シール材40の外周面が取付穴4の内周面4aに密着し、かつ、シール材40の内周面がボデー10の外周面に密着することの確実性を向上できる。よって、シール材40によるシール性を向上できる。
<特徴6>
取付穴4にボデー10が挿入されていない状態において、縮径部13に装着された状態のシール材40の最外周位置(図2の例では本体部42の外周面位置)が、溝部15のうち噴孔側の壁面の最外周位置(図2の例では噴孔側壁面15aの最外周面位置、つまり噴孔部11の外周面位置)よりも、径方向外側に位置していることを特徴とする。
これによれば、初期状態および通常使用状態のいずれの時においても、シール材40の外周面が取付穴4の内周面4aに密着し、かつ、シール材40の内周面がボデー10の外周面に密着することの確実性を向上できる。よって、シール材40によるシール性を向上できる。
<特徴7>
溝部15のうち反噴孔側の壁面15cは、反噴孔側に向かうほどボデー10の径寸法が徐々に拡大するテーパ状に形成されていることを特徴とする。ここで、上記特徴に反して反噴孔側壁面15cを断面直角の形状にすると、ガス押上力によりシール材40が反噴孔側へ移動する際に、先端部41が溝部15からスムーズに外れなくなることが懸念される。これに対し、上記特徴によれば、反噴孔側壁面15cをテーパ状に形成するので、ガス押上力により先端部41が溝部15から外れることをスムーズにでき、上記懸念を解消できる。
<特徴8>
シール装着工程S10、S20では、取付穴4への挿入途中のみならず該挿入が完了した時点においても先端部41が溝部15に装着された状態が維持されるよう、先端部41を溝部15へ装着することを特徴とする。これによれば、シール材40を取付穴4へ挿入する途中で、先述した摩擦引上力によりシール材40が所定位置からずれることの抑制効果を向上できる。しかも、上記特徴によれば、初期状態において、溝部15内に位置する先端部41は、ガス押上力により反噴孔側壁面15cに押し付けられて圧縮変形してシールする。よって、初期状態においてもシール性を確保できる。
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、挿入工程が完了した時点での初期状態では、シール材40の先端部41が溝部15内に嵌まり込んだままである。これに対し、本実施形態では、挿入工程の途中では、先端部41が溝部15内に嵌まり込んだ状態が維持されるが(図6(a)参照)、挿入工程が完了した時点での初期状態では、先端部41が溝部15から外れた状態となる(図6(b)参照)。
溝部15から外れるタイミングはできるだけ遅いことが望ましい。例えば、挿入量の残りが所定量になった時点で外れるようにするにあたり、上記所定量を、テーパ面14の軸方向長さ未満に設定することが望ましい。
このように挿入途中で溝部15から外れるようにするには、主に、基端側縮径部16の面粗度や、溝部15の面粗度、シール材40の面粗度、反噴孔側壁面15cのテーパ角度、シール材40の弾性係数および弾性変形量等を調整して実現させる。
要するに、本実施形態によれば、取付穴4へのボデー10の挿入が完了した後、所定圧以上のガス圧がシール材40に未だ印加されていない初期状態において、先端部41が溝部15から外れている。そのため、縮径部13のうち溝部15よりも反噴孔側の部分(図6の例では基端側縮径部16の部分)と取付穴4の内周面4aとの間にシール材40が挟まれて圧縮変形し、その圧縮変形部分が上記内周面4aとボデー10の外周面との間をシールすることとなる(図6(b)参照)。
そのため、挿入途中まではシール材40が溝部15に引っ掛かるので、第1実施形態の効果と同様にして、摩擦でシール材40が引き上げられることを防止できる。しかも、挿入完了時点では溝部15から外れているので、ガス圧が初回にシール材40へ印加される時に、シール材40のうちガス圧を受ける部分を、シール材40の端面41aだけにできる(図6(b)参照)。よって、端面41aに加えてシール先端部41の内角41bおよび外角41cにも初回ガス圧がかかる第1実施形態(図5(a)参照)の場合に比べ、シール材40がガス圧を受ける面積を少なくできる。よって、シール材40が燃焼室2内のガスから受ける熱量を少なくできるので、シール材40が溶損する懸念を低減できる。
(第3実施形態)
上記第1実施形態では、シール材40を縮径部13へ装着した状態、かつ、取付穴4に挿入する前の状態において、シール材40は肉厚均一の形状である。これに対し本実施形態では、図7に示すように肉厚が不均一なシール材400を採用しており、図3の第2装着工程S20による矯正を不要にしている。
すなわち、シール材400は、噴孔側の先端部410および反噴孔側の本体部420から構成されており、シール材400を縮径部13へ装着した状態、かつ、取付穴4に挿入する前の状態において、先端部410は溝部15に装着され、本体部420は基端側縮径部16に装着されている。本体部420は肉厚均一の円筒形状であり、先端部410は、本体部420よりも径方向内側に拡大する向きに肉厚が大きく形成されている。
換言すれば、シール材400を縮径部13へ装着した状態および装着する前の状態において、先端部410の外径寸法は本体部420の外径寸法と一致し、先端部410の内径寸法は本体部420の内径寸法よりも小さく設定されている。つまり、先端部410は、径方向内側に突出する突出部410dを有し、その突出部410dが溝部15内に嵌り込んでいる。
以上により、本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果が発揮される。すなわち、縮径部13に溝部15が形成されているので、シール材40の突出部410dが溝部15に引っ掛かった状態でボデー10を取付穴4へ挿入するようにできる。そのため、先述した摩擦引上力によりシール材40の本体部420がテーパ面14の位置まで引き上げられることを防止できる。よって、本体部420が縮径部13の所定位置、つまりテーパ面14よりも噴孔側の位置(基端側縮径部16)から反噴孔側へずれることを抑制できる。そのため、挿入時にシール材400が強く擦れて破損することを回避できる。
しかも、燃料噴射弁1を取付穴4から取り出す作業を実施するにあたり、シール材400の突出部410dが溝部15に引っ掛かった状態でボデー10を取付穴4から取り出すようにできる。そのため、先述した摩擦引下力により、シール材400が引き下げられることを防止できる。よって、先端部410が縮径部13の所定位置(溝部15)から噴孔側へずれることを抑制できる。そのため、取付穴4の内周面4aと噴孔部11の外周面との間にシール材40が噛み込んで燃料噴射弁1を取り出す作業性が悪くなることを回避できる。
さらに、本実施形態によれば、弾性変形していない状態で肉厚が不均一となっている、突出部410dを備えたシール材400を採用するので、第1実施形態にかかる第2装着工程S20(矯正)を不要にできる。
(第4実施形態)
本実施形態では、テーパ面14のテーパ角度θ1が、10°以上かつ20°以下の範囲に設定されている。以下、この設定による作用効果やボデー10の詳細構造について、図8を用いて説明する。
ボデー10のうちテーパ面14から反噴孔側に連なる部分には、並行部17およびサブテーパ面18が順に形成されている。つまり、並行部17は、テーパ面14およびサブテーパ面18の間に位置して連続して繋がっている。ボデー10のうちサブテーパ面18から反噴孔側に連なる部分は基部12である。テーパ面14、並行部17およびサブテーパ面18は、ボデー10を径方向に縮小させた形状であり、基部12に比べて小径である。並行部17およびサブテーパ面18は、特許請求の範囲に記載の隙間用縮径部に相当する。
並行部17の径寸法は、ボデー10の軸方向において均一である。軸方向におけるサブテーパ面18の軸方向長さは、テーパ面14の軸方向長さよりも短い。溝部15、基端側縮径部16、テーパ面14、並行部17およびサブテーパ面18は、表面粗さが全て同一になるように切削加工されている。また、テーパ面14の表面粗さが、ボデー10のうち電動アクチュエータ30を収容する部分(図1参照)における外周面の表面粗さよりも小さくなるように切削加工されている。
テーパ面14およびサブテーパ面18は、反噴孔側に向かうほどボデー10の径寸法が徐々に拡大する形状である。基端側縮径部16および並行部17の外周面は、径寸法が均一な形状である。
テーパ面14のテーパ角度θ1およびサブテーパ面18のテーパ角度θ2(図8参照)は、それぞれ10°以上かつ20°以下の範囲に設定されている。具体的には、これらのテーパ角度θ1、θ2は15°に設定されている。なお、テーパ角度とは、ボデー10の断面視において軸方向に延びる仮想線とボデー10の外形線とが交差する角度のことである。反噴孔側壁面15cのテーパ角度は、テーパ面14およびサブテーパ面18のテーパ角度θ1、θ2よりも大きい。基端側縮径部16、並行部17および底面15aのテーパ角度はゼロであると言える。
ここで、図3の符号S50および図5(b)に示す通常使用状態が長期間継続されると、シール材40がクリープ現象により劣化していき、シール材40の径方向変形量に対する上記面圧が低下する。しかしながら、このように劣化すると、ガス押上力によりシール材40がさらに押し上げられて、シール材40の径方向変形量が増大する。そのため、径方向変形量に対する面圧が低下するものの、径方向変形量が増大するので、通常使用状態における面圧が維持される。よって、楔効果によるシール能力は維持される。
通常使用状態がさらに長期間継続されてシール材40のクリープによる劣化が進行すると、シール材40がガス押上力によりさらに押し上げられて、通常時本体部42xの一部が退避室4bに挿入されてくる(図8参照)。退避室4bは、並行部17およびサブテーパ面18の外周面と取付穴4の内周面4aとの間に形成される隙間である。
その結果、取付穴4の内周面4aとサブテーパ面18との間にシール材40が挟み込まれていき、通常時本体部42xの一部はサブテーパ面18上に位置するとともに、通常時先端部41xの一部は並行部17上に位置するようになる。以下、図8に示す退避状態において、サブテーパ面18上に位置するシール材40の部分を退避時本体部42z、並行部17上に位置するシール材40の部分を退避時先端部41zと呼ぶ。
上記退避状態において、退避時先端部41zの端面41aにガス圧が印加されてガス押上力が作用する。反噴孔側へ押し上げられるこのガス押上力により、退避時本体部42zおよび退避時先端部41zの各々は、サブテーパ面18およびテーパ面14に押し付けられる(図8参照)。その結果、テーパ面14に加えてサブテーパ面18でも楔効果が発揮されるようになる。これにより、取付穴4の内周面4aとボデー10(つまりテーパ面14およびサブテーパ面18)の外周面との間がシールされる(以下、この状態を退避状態と呼ぶ)。
なお、基部12の外周面と取付穴4の内周面4aとの間には、ボデー10を取付穴4に挿入するのに必要なクリアランスが設けられているが、このクリアランスは、ガス押上力によってもシール材40が入り込めない程度に小さく設定されている。したがって、退避状態において、退避時本体部42zがサブテーパ面18と基部12の境界位置に達すると、退避時本体部42zはそれ以上押し上がることはできない。よって、仮に退避時本体部42zが上記境界位置に達すると、それ以降は、楔効果の進行による面圧確保ができなくなり、シール能力は低下していく。この点を鑑み、燃料噴射弁1の耐用年数以内に、退避時本体部42zが上記境界位置に達することがないように設定されている。
以上に説明した本実施形態の燃料噴射弁1は、要するに、以下に列挙する特徴を備える。そして、それらの各特徴により以下に説明する作用効果が発揮される。
<特徴9>
テーパ面14のテーパ角度θ1が10°以上かつ20°以下の範囲に設定されている。以下、この設定による効果を、図9および図10に示す試験結果を用いて説明する。
図9に係る試験では、シール材40が装着された状態のボデー10を取付穴4に挿入する前と挿入した後において、シール材40の端面41aが軸方向に移動した距離を計測している。図10に係る試験では、燃料噴射弁1を取付穴4に取り付けた後、ガス押上力を付与して楔効果が発揮された状態において、シール材40から漏れ出るガスの流量を計測している。
図9および図10の横軸はテーパ面14のテーパ角度を示しており、5°、10°、15°、20°、25°、30°、45°、60°の8点についてテーパ角度を変更して上記試験を実施している。なお、図9に係る試験では、テーパ角度を5°にするとシール材40が破断し、移動量の計測が不能であった。これに対し、図10に係る試験では、テーパ角度を5°にしてもシール材40は破断しなかった。このような破断有無の違いは、図9の試験では寸法公差最大の燃料噴射弁を用い、図10の試験では寸法公差最小の燃料噴射弁を用いたことが原因で生じたと推察する。
図9に示す試験結果は、テーパ角度が10°以上であれば、取付穴4にボデー10を挿入する際に生じるシール材40の移動を、シール材40が損傷しない程度に抑制できることを示す。また、図10に示す試験結果は、テーパ角度が20°以下であれば、楔効果によるシール性が十分に得られることを示す。
したがって、テーパ角度θ1が10°以上かつ20°以下に設定された本実施形態によれば、取付穴4にボデー10を挿入する際に生じるシール材40の移動を抑制してシール材40損傷の抑制を図ることと、楔効果によるシール性向上との両立を実現できる。
<特徴10>
ボデー10の外周面のうちテーパ面14に対して反噴孔側に連続する部分には、ボデー10を径方向に縮小させた形状である隙間用縮径部(つまり並行部17およびサブテーパ面18)が形成されている。この隙間用縮径部は、取付穴4の内周面4aとの間に隙間(つまり退避室4b)を形成する。
さて、シール材40のシール面圧がクリープにより低下した場合に、シール材40がテーパ面14を擦り上がってシール面圧を上昇させるといった楔効果は、シール材40が限界位置まで擦り上った以降は発揮されなくなる。この点に着目した本実施形態では、テーパ面14の反噴孔側に連続する隙間用縮径部が形成されているので、テーパ面14の反噴孔側に隣接して退避室4bが設けられる。そのため、シール材40の端部(つまり通常時本体部42x)がテーパ面14の反噴孔側端部にまで擦り上った以降も、通常時本体部42xが退避室4bに進入できるので、シール材40がさらに擦り上ることができる。よって、楔効果が発揮されなくなる時期を延長させることができ、シール能力が発揮されるシール材40の寿命を長くできる。
<特徴11>
隙間用縮径部(つまり並行部17およびサブテーパ面18)には、ボデー10の径寸法が該ボデー10の軸方向において均一である並行部17が含まれている。そのため、ボデー10が径方向に大型化することを抑制しつつ、退避室4bを形成できる。
<特徴12>
隙間用縮径部(つまり並行部17およびサブテーパ面18)には、反噴孔側に向かうほどボデー10の径寸法が徐々に拡大するサブテーパ面18が含まれており、並行部17は、テーパ面14およびサブテーパ面18の間に位置する。
そのため、退避室4bに進入した通常時本体部42xの先端(つまり退避時本体部42y)が、さらにサブテーパ面18に押し付けられて楔効果を発揮する。よって、シール材40のシール性を向上できる。
<特徴13>
サブテーパ面18のテーパ角度θ2が10°以上かつ20°以下の範囲に設定されている。そのため、テーパ面14による先述した効果、つまりシール材40の移動抑制と楔効果によるシール性向上との両立を図る効果が、サブテーパ面18においても同様に発揮されるようになる。
<特徴14>
テーパ面14の表面粗さが、ボデー10のうち電動アクチュエータ30を収容する部分における外周面の表面粗さよりも小さくなるようにボデー10は加工されている。
これによれば、テーパ面14の表面粗さが小さいので、テーパ面14とシール材40との密着性を向上できる。よって、シール材40とボデー10との間におけるシール性を向上できる。さて、このように表面粗さを小さくすると、シール材40が擦り上がりやすくなる。そのため、テーパ角度θ1を10°以上にすることによる擦り上がり抑制効果が好適に発揮されるようになる。
(第5実施形態)
図11に示す本実施形態では、上記第4実施形態に係るサブテーパ面18を廃止している。つまり、ボデー10のうち基端側縮径部16から反噴孔側に連なる部分には、テーパ面14、並行部17および基部12が順に形成されており、並行部17は、テーパ面14および基部12の間に位置して連続して繋がっている。この場合、並行部17が特許請求の範囲に記載の隙間用縮径部に相当し、並行部17の外周面と取付穴4の内周面4aとの間に形成される隙間が退避室4bとして機能する。
このようにサブテーパ面18を廃止した構成であっても、並行部17により退避室4bが形成されるので、シール材40の端部がテーパ面14の反噴孔側端部にまで擦り上った以降も、シール材40の端部が退避室4bに進入できるようになる。よって、第1実施形態と同様にして、楔効果が発揮されなくなる時期を延長させることができ、シール能力が発揮されるシール材40の寿命を長くできる。
(第6実施形態)
図12に示す本実施形態では、上記第4実施形態に係るサブテーパ面18および並行部17を廃止している。つまり、ボデー10のうち基端側縮径部16から反噴孔側に連なる部分には、テーパ面14および基部12が順に形成されており、テーパ面14は、基端側縮径部16および基部12の間に位置して連続して繋がっている。
このようにサブテーパ面18および並行部17を廃止した構成によれば、退避室4bが存在しなくなる。そのため、シール能力の寿命を長くできるといった効果は発揮されなくなるものの、サブテーパ面18および並行部17を切削加工する工程が不要になるので、ボデー10の加工に要する工数を低減できる。
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、以下のように変更して実施してもよい。また、各実施形態の特徴的構成をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。
・上記第1実施形態にかかるシール材40の形状と上記第3実施形態にかかるシール材400の形状とを組み合わせても良い。すなわち、先端部410に突出部410dを形成するとともに、その先端部410を縮径していく形状に矯正する。
・溝部15のうち反噴孔側の壁面15cは、反噴孔側に向かうほどボデー10の径寸法が徐々に拡大するテーパ状に形成されているが、湾曲状に形成してもよい。
・上記実施形態に係る燃料噴射弁1は、図1に示すように、シリンダヘッド3に取り付けられているが、シリンダブロックに取り付けられた燃料噴射弁であってもよい。また、上記実施形態では、点火式の内燃機関(ガソリンエンジン)に搭載された燃料噴射弁1について説明したが、圧縮自着火式の内燃機関(ディーゼルエンジン)に搭載された燃料噴射弁であってもよい。さらに、上記実施形態では、燃焼室2へ直接燃料を噴射する燃料噴射弁について説明したが、吸気管へ燃料を噴射する燃料噴射弁であってもよい。
・上記第1実施形態に係る溝部15を廃止して、ボデー10のうち噴孔部11の反噴孔側には基端側縮径部16が連続して繋がる構造にしてもよい。この場合、溝部15が形成されている場合に比べて、ボデー10の挿入時にシール材40が移動しやすくなる。しかし、テーパ面14のテーパ角度θ1が10°以上に設定されているので、上記移動は抑制される。
・上記第4実施形態では、基端側縮径部16およびテーパ面14を同一の表面粗さに加工している。これに対し、テーパ面14の表面粗さを、基端側縮径部16の表面粗さよりも小さく加工してもよい。これによれば、テーパ面14とシール材40との密着性が高くなり、シール材40とテーパ面14との間のシール性が向上する。よって、10°〜20°の範囲内においてテーパ角度θ1を大きく設定できるようになり、ボデー10挿入時におけるシール材40移動量の低減を促進できる。
・上記第4実施形態では、テーパ角度θ1、θ2が10°以上かつ20°以下の範囲に設定されているが、この範囲から外れた角度に設定されていてもよい。
・上記第4実施形態では、テーパ面14の表面粗さが、ボデー10のうち電動アクチュエータ30を収容する部分における外周面の表面粗さよりも小さく設定されている。これに対し、上記収容の部分とテーパ面14の表面粗さが同じに設定されていてもよい。
1…燃料噴射弁、4…取付穴、4a…取付穴の内周面、10…ボデー、10a…噴孔、13…縮径部、15…溝部、40…シール材、41…先端部、S10、S20…シール装着工程、S30…挿入工程。

Claims (20)

  1. 燃料を噴射する噴孔(10a)が形成されたボデー(10)を備え、
    前記ボデーの外周面には、環状のシール材(40)が装着される部分であり、該ボデーを径方向に縮小させた形状である縮径部(13)が形成されており、
    内燃機関の所定箇所に形成された取付穴(4)に前記ボデーを挿入した状態では、前記取付穴の内周面(4a)と前記ボデーの外周面との間が前記シール材によりシールされることとなるように構成された燃料噴射弁(1)において、
    前記縮径部のうち、前記シール材の噴孔側の先端部(41)が装着される部分には、前記ボデーの径方向に凹む環状の溝部(15)が形成され
    前記縮径部のうち前記溝部の反噴孔側に連なる部分には、前記溝部よりも外形寸法が大きく、かつ、軸方向に亘って径寸法が均一の基端側縮径部(16)が形成され、
    前記ボデーの外周面のうち前記基端側縮径部の反噴孔側に連なる部分には、反噴孔側に向かうほど前記ボデーの径寸法が徐々に拡大するテーパ面(14)が形成され、
    前記取付穴への前記ボデーの挿入が完了した後、所定圧以上のガス圧が前記シール材の噴孔側から印加された後の使用状態において、前記ガス圧により前記シール材が前記テーパ面に押し付けられて圧縮変形し、その圧縮変形部分が前記取付穴の内周面と前記ボデーの外周面との間をシールするように構成されていることを特徴とする燃料噴射弁。
  2. 前記先端部(41)が前記溝部に嵌まるように前記縮径部に装着された、前記シール材を備えることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射弁。
  3. 前記先端部は、噴孔側に近づくほど外径寸法が徐々に縮径していく円筒形状であることを特徴とする請求項2に記載の燃料噴射弁。
  4. 前記先端部(41)の噴孔側の端面(41a)の全体が、前記溝部の内部に位置していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。
  5. 前記テーパ面のテーパ角度(θ1)が10°以上かつ20°以下の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。
  6. 前記ボデーの外周面のうち前記テーパ面に対して反噴孔側に連続する部分には、前記取付穴の内周面との間に隙間(4b)を形成するよう、前記ボデーを径方向に縮小させた形状である隙間用縮径部(17、18)が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の燃料噴射弁。
  7. 前記隙間用縮径部には、前記ボデーの径寸法が該ボデーの軸方向において均一である並行部(17)が含まれていることを特徴とする請求項6に記載の燃料噴射弁。
  8. 前記隙間用縮径部には、反噴孔側に向かうほど前記ボデーの径寸法が徐々に拡大するサブテーパ面(18)が含まれており、
    前記並行部は、前記テーパ面および前記サブテーパ面の間に位置することを特徴とする請求項7に記載の燃料噴射弁。
  9. 前記サブテーパ面のテーパ角度(θ2)が10°以上かつ20°以下の範囲に設定されていることを特徴とする請求項8に記載の燃料噴射弁。
  10. 前記ボデーの内部には、前記噴孔を開閉する弁体(20)、および前記弁体を開閉作動させる磁気吸引力を生じさせる電動アクチュエータ(30)が収容されており、
    前記テーパ面の表面粗さが、前記ボデーのうち前記電動アクチュエータを収容する部分における外周面の表面粗さよりも小さいことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。
  11. 前記溝部のうち反噴孔側の壁面(15c)は、反噴孔側に向かうほど前記ボデーの径寸法が徐々に拡大するテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項〜10のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。
  12. 前記取付穴への前記ボデーの挿入が完了した後、所定圧以上のガス圧が前記シール材に未だ印加されていない初期状態において、
    前記溝部のうち反噴孔側の壁面と前記取付穴の内周面との間に前記シール材が挟まれて圧縮変形し、その圧縮変形部分が前記取付穴の内周面と前記ボデーの外周面との間をシールするように構成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。
  13. 前記取付穴への前記ボデーの挿入が完了した後、所定圧以上のガス圧が前記シール材に未だ印加されていない初期状態において、前記先端部が前記溝部から外れ、前記縮径部のうち前記溝部よりも反噴孔側の部分と前記取付穴の内周面との間に前記シール材が挟まれて圧縮変形し、その圧縮変形部分が前記取付穴の内周面と前記ボデーの外周面との間をシールするように構成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。
  14. 前記取付穴に前記ボデーが挿入されていない状態において、前記シール材の最外径寸法(D40)は、前記取付穴の内周面の内径寸法(D4)よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。
  15. 前記取付穴に前記ボデーが挿入されていない状態において、前記縮径部に装着された状態の前記シール材の最外周位置が、前記溝部のうち噴孔側の壁面の最外周位置よりも、径方向外側に位置していることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。
  16. 前記シール材のうち、前記先端部より反噴孔側の部分を本体部(420)と呼ぶ場合において、
    前記先端部は、前記本体部よりも径方向内側に拡大する向きに肉厚が大きく形成されていることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。
  17. 請求項1〜16のいずれか1つに記載の燃料噴射弁(1)の取付方法であって、
    前記縮径部に前記シール材を装着するシール装着工程(S10、S20)と、
    その後、前記取付穴に前記燃料噴射弁を挿入する挿入工程(S30)と、
    を備え、
    前記シール装着工程では、前記溝部に前記先端部を装着し、
    前記挿入工程では、前記先端部が前記溝部に装着された状態で、前記ボデーを前記取付穴に挿入することを特徴とする請求項1〜16のいずれか1つに記載の燃料噴射弁の取付方法
  18. 前記シール装着工程では、
    前記取付穴への挿入途中のみならず該挿入が完了した時点においても前記先端部が前記溝部に装着された状態が維持されるよう、前記先端部を前記溝部へ装着することを特徴とする請求項17に記載の燃料噴射弁の取付方法。
  19. 前記シール装着工程では、
    前記取付穴への挿入途中では前記先端部が前記溝部に装着され、該挿入が完了した時点では前記先端部が前記溝部から外れた状態になるよう、前記先端部を前記溝部へ装着することを特徴とする請求項17に記載の燃料噴射弁の取付方法。
  20. 前記シール装着工程では、
    前記シール材を前記縮径部に対向配置する配置工程と、
    前記先端部が前記溝部内に嵌め込まれるよう、前記先端部を塑性変形させる矯正工程と、
    を含むことを特徴とする請求項17〜19のいずれか1つに記載の燃料噴射弁の取付方法
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