JP3945654B2 - 燃料噴射弁のシール構造 - Google Patents
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Description
燃料噴射弁6の金属製の燃料供給パイプ1は、その上流側を突出するように樹脂モールドされて構成されている。そして、燃料供給パイプ1に一体に成形されたモールド樹脂がソケット2を構成している。このソケット2の上流側が上流に向かって肉厚を漸次薄くするように形成されて円錐状突起部3を構成している。
金属製のバックアップリング4は、シール補強部材として機能するもので、その内周壁面が円錐状突起部3の外周壁面に沿った傾斜面に形成されている。このバックアップリング4は、燃料供給パイプ1に外嵌され、その内周壁面を円錐状突起部3の外周壁面に面するようにソケット2の上流側に配設されている。また、フッ素系の合成ゴムからなるOリング5は、燃料供給パイプ1に外嵌され、バックアップリング4の上流側に配設されている。さらに、燃料配管7が燃料供給パイプ1に外嵌状態に装着されている。
そして、バックアップリング4の外径は、燃料配管7の内径より大径に形成されている。そこで、バックアップリング4が燃料配管7に圧入され、燃料配管7の内壁面とバックアップリング4の外壁面とが隙間なく密接する。このように、バックアップリング4と燃料配管7との間に隙間がないため、この部分におけるOリング5のはみ出し現象はない。
また、燃料供給パイプ1が燃料配管7に対して径方向にずれても、バックアップリング4の内周壁面が円錐状突起部3の外周壁面に沿った傾斜面に形成されているので、バックアップリング4の内周側先端部が下流側に僅かに撓み変形し、Oリング5の変形部分が侵入するための隙間は形成されない。そこで、Oリング5が燃料の高圧圧力により変形しても、この部分におけるOリング5のはみ出し現象はない。
このようなショートショットが発生すると、図7に示されるように、Oリング5が接触する燃料供給パイプ1の外周壁面と円錐状突起部3の外周壁面3aとの繋ぎ部3bが不連続な状態となる。このため、燃料圧力の脈動によって、Oリング5が不連続な繋ぎ部3bに押し付けられた状態でこすれ、Oリング5の損傷が発生し、シール信頼性を損ねるという課題があった。
また、ショートショットが顕著となると、図8に示されるように、繋ぎ部3bがバックアップリング4の上流側端面より下流側に窪んでしまうことになる。このような場合、燃料の高圧圧力によるOリング5の変形部分が窪んだ繋ぎ部3bにはみ出し、Oリング5の損傷が発生し、シール信頼性を損ねるという課題があった。
また、大径部と上小径部との接続面が燃料供給パイプの軸心と直交する面で構成されているので、モールド成形後の熱収縮に起因する燃料供給パイプと円錐状突起部との間における軸方向の微小隙間の発生が確実に防止される。そこで、Oリングのはみ出し、傷つきの発生がより確実に防止され、より高いシール信頼性が得られる。
図1はこの発明の実施の形態1に係る燃料噴射弁のシール構造を示す断面図、図2はこの発明の実施の形態1に係る燃料噴射弁のシール構造を示す要部拡大断面図である。
なお、図1では、ソケットの下流側に位置している燃料噴射弁を構成する電磁コイル、アーマチャー、ニードル弁、噴射孔などは図示されていない。また、図2では、ハッチングが省略されている。また、図1および図2において、Aは燃料供給パイプの軸心を示し、Cは燃料の流れを示している。
金属製のバックアップリング14は、シール補強部材として機能するもので、その内周壁面14aを円錐状突起部13の外周壁面13aに沿った傾斜面とするリング状に形成されている。このバックアップリング14は、燃料供給パイプ11に外嵌され、ソケット12の上流側に円錐状突起部13と同心状に配設されている。そして、バックアップリング14の内周壁面14aが円錐状突起部13の外周壁面13aに面している。また、フッ素系の合成ゴムからなるOリング15は、燃料供給パイプ11のOリング装着部11aに外嵌状態に装着され、バックアップリング14の上流側に位置している。さらに、燃料配管16が燃料供給パイプ11に外嵌状態に装着されている。
燃料供給パイプ11の上流側の部分には、Oリング装着部11aが形成されている。そして、小径部11bがOリング装着部11aの下流側にOリング装着部11aの下流端Bに連なって形成されている。さらに、大径部11dが小径部11bの下流側に形成されている。さらにまた、接続面11cが小径部11bと大径部11dとを接続するように形成されている。そして、Oリング装着部11aの半径D1は、小径部11bの半径D2より大きく、大径部11dの半径D3より小さくなっている。そこで、接続面11cは、半径が下流側に向かって漸次大きくなる傾斜面に形成されている。
また、ソケット12の半径D4は、燃料配管16の内径D5より小さくなっている。
このように、Oリング装着部11aの半径D1、小径部11bの半径D2、大径部11dの半径D3、ソケット12の半径D4および燃料配管16の内径(半径)D5は、D2<D1<D3<D4<D5を満足するように形成されている。
そこで、図1中矢印Cで示されるように、高圧燃料が燃料配管16から燃料供給パイプ11に供給される。そして、電磁コイルの励磁および消磁により、アーマチャーとともにニードル弁が駆動され、燃料配管16から燃料供給パイプ11に供給された高圧燃料が、噴射孔からエンジンのシリンダー内に噴射される。
また、燃料供給パイプ11が燃料配管16に対して径方向にずれても、バックアップリング14の内周壁面14aが円錐状突起部13の外周壁面13aに沿った傾斜面に形成されているので、バックアップリング14の内周壁面14aの先端側が下流側に僅かに撓み変形し、Oリング15の変形部分が侵入するための隙間は形成されない。そこで、Oリング15が燃料の高圧圧力により変形しても、この部分におけるOリング5のはみ出し現象はない。
そこで、Oリング15が接触する燃料供給パイプ11のOリング装着部11aと円錐状突起部13の外周壁面13aとの繋ぎ部が連続な状態となる。このため、燃料圧力の脈動などに起因するOリング15の損傷の発生が抑制され、シール信頼性が向上される。
図3はこの発明の実施の形態2に係る燃料噴射弁のシール構造を示す断面図である。
図3において、燃料供給パイプ11Aの上流側の部分には、Oリング装着部11aが形成されている。そして、小径部11bがOリング装着部11aの下流側にOリング装着部11aの下流端Bに連なって形成されている。さらに、大径部11dが小径部11bの下流側に形成されている。さらにまた、接続面11eが小径部11bと大径部11dとを接続するように形成されている。この接続面11eは、燃料供給パイプ11Aの軸心Aと直交する面で構成されている。
なお、他の構成は、上記実施の形態1と同様に構成されている。
燃料噴射弁10では、接続面11cがその半径を下流側に向かって漸次大する傾斜面に形成されているので、収縮力が接続面11cで十分に受け止められない。そこで、図4に示されるように、軸方向の微小隙間18が燃料供給パイプ11と円錐状突起部13との間に発生する恐れがある。
しかし、燃料噴射弁10Aでは、接続面11eが燃料供給パイプ11Aの軸心Aと直交する面で構成されているので、収縮力が接続面11eで受け止められ、燃料供給パイプ11と円錐状突起部13との間における軸方向の微小隙間18の発生が抑制される。
さらに、接続面11eが燃料供給パイプ11の軸心Aと直交する面で構成されているので、モールド成形後の熱収縮に起因する燃料供給パイプ11Aと円錐状突起部13との間における軸方向の微小隙間18の発生が確実に防止される。そこで、Oリング15のはみ出し、傷つきの発生がより確実に防止され、より高いシール信頼性が得られる。
また、燃料噴射弁がより高圧などの過酷な環境で使用される場合、このような微小隙間18でさえもOリング15のシール性を低下させる要因となる。そこで、実施の形態1による燃料噴射弁10を過酷な環境で使用される燃料噴射弁に採用する場合には、成形条件の厳しい管理が必要となる。そして、微小隙間18の発生状態、燃料圧力などの条件を考慮して、実施の形態1、2による燃料噴射弁10,10Aを適宜選択すればよい。
Claims (1)
- 上流側をOリング装着部とする円筒状の燃料供給パイプと、
上記燃料供給パイプの上記Oリング装着部の下流側に合成樹脂を用いてモールド成形されたソケットと、
上記ソケットの上流側端面の中央部分から上記Oリング装着部の下流端に至るように突設された円錐状突起部と、
内周壁面を上記円錐状突起部の外周壁面に沿った傾斜面とするリング状に形成され、上記ソケットの上流側に該円錐状突起部と同心状に配設されたバックアップリングと、
上記バックアップリングを圧入するように上記燃料供給パイプに外嵌状態に装着され、該燃料供給パイプに燃料を供給する燃料配管と、
上記Oリング装着部に外嵌状態に装着されて、上記燃料供給パイプと上記燃料配管との間をシールするOリングと、
を備える燃料噴射弁のシール構造において、
上記燃料供給パイプには、上記Oリング装着部の外径より小さな外径の小径部が、該Oリング装着部の下流端に連なってその下流側に形成され、上記Oリング装着部の外径より大きな外径の大径部が、上記小径部の下流側に形成され、上記大径部と上記小径部との接続面が上記燃料供給パイプの軸心と直交する面で構成されており、
上記円錐状突起部が、上記合成樹脂を用いて上記小径部にモールド成形されて上記ソケットと一体に成形されていることを特徴とする燃料噴射弁のシール構造。
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