JP3218424B2 - 電磁式燃料噴射弁のシール構造 - Google Patents

電磁式燃料噴射弁のシール構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電磁式燃料噴射弁の
シール構造にかかるもので、とくにコモンレール(蓄圧
器)などの燃料配管と電磁式燃料噴射弁との間に配置す
るOリングのはみ出しを防止することができる電磁式燃
料噴射弁のシール構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の、とくにエンジンのシリンダー内
に燃料(たとえばガソリン)を直接噴射する筒内ガソリ
ン噴射システムに使用される高圧噴射用インジェクター
(電磁式燃料噴射弁)において、エンジンに電磁式燃料
噴射弁を取り付けるときに、燃料配管であるコモンレー
ルと電磁式燃料噴射弁との間にOリングによるシールを
行っている。さらに、最近における燃料の高圧化のた
め、Oリングの下流側にそのシール補助部材としてバッ
クアップリングを用いている。なお、バックアップリン
グは、パイプの継ぎ手構造にも利用されている(たとえ
ば実開昭62−176588号)。
【0003】図7にもとづき、従来の電磁式燃料噴射弁
1のシール構造2を概説する。図7は、シール構造2を
示す断面図であって、電磁式燃料噴射弁1は、ナイロン
製のソケット3(コネクター)およびこのソケット3に
挿通した磁性体からなる燃料供給用パイプ4を有する。
【0004】電磁式燃料噴射弁1においては、燃料供給
用パイプ4から供給された高圧燃料(たとえばガソリ
ン)を、電磁コイルの励磁および消磁により、アーマチ
ャーとともにニードル弁を駆動し、噴射孔からエンジン
のシリンダー(いずれもソケット3の下流側に位置して
おり、図示せず)内に噴射する。
【0005】ソケット3および燃料供給用パイプ4の上
流側部分は、燃料配管かつ蓄圧器としてのコモンレール
5内に位置しており、ソケット3および燃料供給用パイ
プ4の部分において、コモンレール5と電磁式燃料噴射
弁1との間をシール構造2によりシールする。
【0006】シール構造2は、フッ素系の合成ゴムから
なるOリング6と、金属製のバックアップリング7と、
を有する。
【0007】Oリング6は、コモンレール5の燃料入口
8の下流側において、コモンレール5の内壁面5Aと燃
料供給用パイプ4の外周面4Aとの間にこれを配置する
ことにより、電磁式燃料噴射弁1とコモンレール5との
間に蓄圧室9を形成する。なお、コモンレール5には、
複数本の電磁式燃料噴射弁1を取り付け、それぞれの燃
料供給用パイプ4を蓄圧室9に臨ませてある。
【0008】バックアップリング7は、Oリング6の下
流側において燃料供給用パイプ4とコモンレール5との
間にこれを配置し、さらに下流側のソケット3に当接さ
せてある。なお、バックアップリング7の外径D7は、
コモンレール5の内径D5よりこれを小さく形成するこ
とによって、各電磁式燃料噴射弁1のコモンレール5へ
の取付け時における、コモンレール5との間の軸方向の
ずれ、あるいは径方向のずれに対応可能としてある。
【0009】すなわち、バックアップリング7の外周面
7Aと、コモンレール5の内壁面5Aとの間には外周側
隙間10が形成され、またバックアップリング7の内周
面7Bと燃料供給用パイプ4の外周面4Aとの間には内
周側隙間11が形成されている。
【0010】こうした構成のシール構造2におけるOリ
ング6は、温度変化により硬度変化を起こし、蓄圧室9
から電磁式燃料噴射弁1側にはみ出し現象を起こす可能
性がある。すなわち、図中拡大部分に仮想線で示すよう
に、蓄圧室9における高圧により、Oリング6が変形
し、外周側隙間10および内周側隙間11の間にはみ出
して(はみ出し部分6A)、ついにはOリング6が切断
され、シール構造2のシール性が損なわれてしまうとい
う問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような
諸問題にかんがみなされたもので、シール構造に用いる
Oリングのはみ出しを防止することができる電磁式燃料
噴射弁のシール構造を提供することを課題とする。
【0012】また本発明は、コモンレールなどの燃料配
管への電磁式燃料噴射弁の取付け時にOリングのはみ出
し現象を防止することによりシール性を確保することが
できる電磁式燃料噴射弁のシール構造を提供することを
課題とする。
【0013】また本発明は、電磁式燃料噴射弁の軸心と
燃料配管側の中心との心ずれ、および軸方向のずれを許
容することができる電磁式燃料噴射弁のシール構造を提
供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、Oリ
ングのはみ出し現象を抑えるには、いかなる状況におい
てもOリングがはみ出す隙間をもたせなければよいこと
に着目したもので、電磁式燃料噴射弁に燃料を供給する
燃料配管と、この燃料配管と上記電磁式燃料噴射弁との
間のシールを行うOリングと、このOリングと上記電磁
式燃料噴射弁のソケットとの間であってこのOリングの
下流側に配置するバックアップリングと、を有する電磁
式燃料噴射弁のシール構造であって、上記燃料配管の内
壁に上記バックアップリングの外周側の面を密接させる
とともに、このバックアップリングの内周側のいずれか
の部分を上記ソケットの面に沿わせて、上記Oリングが
上記燃料配管と上記電磁式燃料噴射弁との間においては
み出す隙間を形成しないようにしたことを特徴とする電
磁式燃料噴射弁のシール構造である。
【0015】バックアップリングの外径をコモンレール
などの燃料配管の内径より若干大きく形成することによ
って、バックアップリングを燃料配管に圧入し、燃料配
管の内壁にバックアップリングの外周側の面を密接させ
ることができる。
【0016】上記バックアップリングの、上記Oリング
に面した側面を平面とすることができる。
【0017】上記バックアップリングの、上記Oリング
に面した側面を傾斜面とすることができる。
【0018】本発明における上記バックアップリングの
内周側のいずれかの部分としては、Oリング側の面、ソ
ケット側の面および燃料供給用パイプ側の面、さらに
は、これらの面の稜線部分ないし端部などがあるが、と
くにソケット側の面および燃料供給用パイプ側の面をソ
ケットの面に沿わせ、Oリングが電磁式燃料噴射弁と燃
料配管との間において、はみ出す隙間を形成しないよう
にすることができる。
【0019】Oリングがはみ出す隙間を形成しないよう
にするための構成として、たとえばバックアップリング
の内周側の先端部がソケットの面に対して(ソケットの
面の方向あるいは逆方向に)変形可能とし、燃料配管お
よび電磁式燃料噴射弁が軸方向および径方向にずれが生
じても、そのずれによる隙間を当該変形により埋めてし
まうようにすることができる。
【0020】バックアップリングの内周側の先端部がソ
ケットの面に対して変形可能とするようにする具体的構
成としては、たとえばソケットの中央部分に円錐状突出
部を形成し、バックアップリングの内周側の先端部をこ
の円錐状突出部に沿うようにテーパー状とすることがで
きる。あるいは、上記円錐状突出部を形成せずに、バッ
クアップリングの内周側の先端部をテーパー状とするこ
ともできる。
【0021】本発明による電磁式燃料噴射弁のシール構
造においては、コモンレールなどの燃料配管の内壁にバ
ックアップリングの外周側の面を密接させたので、燃料
配管とバックアップリングとの間の部分には隙間が存在
せず、この部分ではOリングがはみ出すことはない。
【0022】さらに、上記バックアップリングの内周側
のいずれかの部分を電磁式燃料噴射弁のソケットの面に
沿わせたので、電磁式燃料噴射弁が燃料配管に対して軸
方向および径方向にずれても、ソケットの面に沿った部
分がこのずれを吸収することが可能となるとともに、当
該ずれによってバックアップリングの内周側部分が電磁
式燃料噴射弁の燃料供給用パイプあるいはソケットから
離間しても、バックアップリングの先端部が変形するこ
とにより、Oリングが変形して入り込む隙間をなくし、
Oリングの異形変形を防止することができ、Oリングの
はみ出し現象を未然に防止可能である。
【0023】かくして、電磁式燃料噴射弁の燃料配管へ
の取付け時に発生する可能性があるOリングのはみ出し
現象を防止して、シール性能の信頼性を確保可能であ
る。
【0024】
【発明の実施の形態】つぎに本発明の第1の実施の形態
による電磁式燃料噴射弁のシール構造20を図1ないし
図3にもとづき説明する。ただし、図7と同様の部分に
は同一符号を付し、その詳述はこれを省略する。図1
は、電磁式燃料噴射弁1のシール構造20を示す断面図
であって、前記ソケット3の中央部分に挿通した前記燃
料供給用パイプ4の周囲に位置してこのソケット3に
体的に円錐状突出部21(図中、断面三角形のリング状
に現れる)を形成するとともに、バックアップリング7
に相当するバックアップリング22はこの円錐状突出部
21の傾斜面21Aに沿った形状の内周傾斜面22Aを
有している。
【0025】バックアップリング22の外径D22は、
コモンレール5の内径D5よりこれを大きく形成し、バ
ックアップリング22をコモンレール5に圧入すること
により、コモンレール5の内壁面5Aとバックアップリ
ング22の外周面22Bとの間には隙間を有せず密着さ
せてある。
【0026】図2は、円錐状突出部21とバックアップ
リング22の内周側部分との間の拡大断面図であって、
実線で示すように、バックアップリング22を取り付け
る前の状態では、バックアップリング22の、Oリング
6側の平面つまり上流側平面部22Cと、円錐状突出部
21の頂部21Bとの間には上流側間隔Uをあけてあ
る。また、バックアップリング22のテーパー先端部2
2Dと燃料供給用パイプ4の外周面4Aとの間には径方
向間隔R1をあけてある。
【0027】図2の仮想線に示すように、電磁式燃料噴
射弁1を取り付けるにあたって、バックアップリング2
2をコモンレール5に圧入することにより、バックアッ
プリング22が燃料供給用パイプ4ないし円錐状突出部
21方向にわずかに移動する。
【0028】なお、バックアップリング22および円錐
状突出部21に関する上流側間隔Uおよび径方向間隔R
1の寸法としては、テーパー先端部22Dが頂部21B
に一致するか、あるいはこれ以下の傾斜面21Aに接す
るかのようにするものとする。
【0029】なおまた、円錐状突出部21の傾斜角度θ
1は、内周傾斜面22Aの傾斜角度θ2よりこれを大き
く形成してある。
【0030】こうした構成のシール構造20において
は、図1に示すように、バックアップリング22とコモ
ンレール5との間には隙間がないため、この部分におけ
るOリング6のはみ出し現象はない。
【0031】また、図3に示すように、電磁式燃料噴射
弁1がその取付け時にコモンレール5に対して軸方向あ
るいは径方向にずれても、バックアップリング22の内
周側においてもOリング6のはみ出し現象はない。
【0032】すなわち、バックアップリング22の内周
傾斜面22Aが円錐状突出部21の傾斜面21Aに沿っ
ているので、Oリング6が燃料の高圧圧力により変形し
ても、バックアップリング22のテーパー先端部22D
が図中仮想線のように下流側にわずかにたわみ変形(弾
性変形あるいは塑性変形)し、Oリング6をバックアッ
プするとともに、Oリング6の変形部分が侵入するため
の異形変形用隙間を形成することがない。
【0033】図4は、本発明の第2の実施の形態による
電磁式燃料噴射弁1のシール構造30の断面図であっ
て、シール構造30においては、バックアップリング3
1のOリング6側平面を傾斜面31Aとしている。バッ
クアップリング31の外周面31Bは、シール構造20
(図1)の場合と同様に、バックアップリング31の外
径D31をコモンレール5の内径D5より大きく形成す
ることによってコモンレール5の内壁面5Aにこれを密
着させてある。
【0034】図2に相当する図5に実線で示すように、
バックアップリング31を取り付ける前の状態では、バ
ックアップリング31のテーパー先端部31Cと燃料供
給用パイプ4の外周面4Aとの間に径方向間隔R2をあ
けてある。
【0035】バックアップリング31をコモンレール5
に圧入することにより、図5中仮想線で示すように傾斜
面31Aが燃料供給用パイプ4方向に移動する。
【0036】図6に示すように、電磁式燃料噴射弁1な
いしバックアップリング31がソケット3ないし燃料供
給用パイプ4に対して軸方向あるいは径方向にずれて
も、バックアップリング31のテーパー先端部31Cが
図中仮想線のようにわずかにたわみ変形し、Oリング6
が入り込んで異形変形するような隙間をなくす。
【0037】したがって、図3に示したシール構造20
の場合と同様に、Oリング6のはみ出し現象を防止し、
その切断によるシール性能の低下を防止して、シール性
を確保することができる。
【0038】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、バックア
ップリングをコモンレールに圧入するとともに、その内
周側部分において軸方向および径方向のずれを吸収可能
とするとともにバックアップリングとの間に隙間を生じ
ないようにしたので、Oリングのはみ出し現象を防止し
てシール性能を確保することができる。
【0039】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による電磁式燃料噴
射弁のシール構造20の断面図である。
【図2】同、円錐状突出部21とバックアップリング2
2の内周側部分との間の拡大断面図である。
【図3】同、バックアップリング22のテーパー先端部
22Dが下流側にわずかにたわみ変形する状態を示す拡
大断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態による電磁式燃料噴
射弁のシール構造30の断面図である。
【図5】同、バックアップリング31の内周側部分の拡
大断面図である。
【図6】同、バックアップリング31のテーパー先端部
31Cがわずかにたわみ変形する状態を示す拡大断面図
である。
【図7】従来の電磁式燃料噴射弁のシール構造2を示す
断面図である。
【符号の説明】
1 電磁式燃料噴射弁 2 電磁式燃料噴射弁1のシール構造(図7) 3 ソケット(コネクター) 4 磁性体からなる燃料供給用パイプ 4A 燃料供給用パイプ4の外周面 5 コモンレール(燃料配管、蓄圧器) 5A コモンレール5の内壁面 6 Oリング 6A Oリング6のはみ出し部分 7 バックアップリング 7A バックアップリング7の外周面 7B バックアップリング7の内周面 8 燃料入口 9 蓄圧室 10 外周側隙間 11 内周側隙間 20 電磁式燃料噴射弁1のシール構造(図1、第1の
実施の形態) 21 円錐状突出部 21A 円錐状突出部21の傾斜面 21B 円錐状突出部21の頂部 22 バックアップリング 22A バックアップリング22の内周側傾斜面 22B バックアップリング22の外周面 22C バックアップリング22の上流側平面部 22D バックアップリング22のテーパー先端部 30 電磁式燃料噴射弁1のシール構造(図4、第2の
実施の形態) 31 バックアップリング 31A バックアップリング31の傾斜面 31B バックアップリング31の外周面 31C バックアップリング31のテーパー先端部 D5 コモンレール5の内径 D7 バックアップリング7の外径 D22 バックアップリング22の外径 D31 バックアップリング31の外径 U バックアップリング22の上流側平面部22Cと、
円錐状突出部21の頂部21Bとの間に形成した上流側
間隔 R1 バックアップリング22のテーパー先端部22D
と、燃料供給用パイプ4の外周面4Aとの間に形成した
径方向間隔 R2 バックアップリング31のテーパー先端部31C
と、燃料供給用パイプ4の外周面4Aとの間に形成した
径方向間隔 θ1 円錐状突出部21の傾斜角度 θ2 内周傾斜面22Aの傾斜角度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−7995(JP,A) 特開 昭48−98256(JP,A) 実開 昭63−8476(JP,U) 実開 昭57−28953(JP,U) 実開 平1−24766(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02M 55/02 330 F02M 55/02 340 F02M 51/06 F16J 15/10 F02J 15/18

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料供給用パイプおよびこの燃料供給
    用パイプを挿通したソケットを有する電磁式燃料噴射弁
    この燃料供給用パイプを介して燃料を供給する燃料配
    管と、 この燃料配管と該燃料配管内に位置する前記燃料供給用
    パイプとの間に設けるとともに、該燃料配管と前記ソケ
    ットとの間のシールを行うOリングと、 このOリングと前記ソケットとの間であってこのOリン
    グの下流側に配置するとともにこのOリングに向かう上
    流側の面およびその反対側である下流側の面を有する
    ックアップリングと、を有する電磁式燃料噴射弁のシー
    ル構造であって、 前記燃料配管の内壁面に前記バックアップリングの外周
    面を密接させるとともに、 このバックアップリングのこの密接部から内周側に向か
    う前記下流側の面を前記ソケットの面に沿わせ、 このバックアップリングのこの密接部から内周側に向か
    う前記上流側の面を上流側平面部として前記Oリングに
    対向させ、 前記ソケットの中央部分に挿通した前記燃料供給用パイ
    プの周囲に位置して、下流側から上流側に円錐状の円錐
    状突出部を前記ソケットに一体に形成するとともに、 前記バックアップリングは、前記下流側の面の途中か
    ら、この円錐状突出部の傾斜面に沿った形状の内周側傾
    斜面を有し、 前記Oリングが前記燃料配管と前記燃料供給用パイプ
    の間において前記バックアップリングをこえてはみ出す
    隙間を形成しないようにしたことを特徴とする電磁式燃
    料噴射弁のシール構造。
  2. 【請求項2】 前記円錐状突出部の前記バックアップ
    リングの前記下流側の面が沿う前記ソケットの前記面に
    対する傾斜角度は、前記バックアップリングの前記ソケ
    ットの該面に対する前記内周側傾斜面の傾斜角度よりこ
    れを大きく形成したことを特徴とする請求項1記載の電
    磁式燃料噴射弁のシール構造。
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