JP4160326B2 - 成形機の異物監視装置及び異物監視方法 - Google Patents

成形機の異物監視装置及び異物監視方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形機の異物監視装置及び異物監視方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、射出成形機のような成形機においては、加熱シリンダ内においてスクリュを前進させ、加熱され、溶融させられた樹脂を高圧で射出して金型装置のキャビティに充填(てん)し、該キャビティ内において樹脂を冷却し、固化させることによって成形品を成形する際に、前記キャビティ内に所定のパターンの転写箔(はく)が付着された転写フィルムを配設し、前記成形品の成形と同時に、かつ、一体に転写箔を転写するインモールド(IMD)成形が行われている(特許第2922354号公報、特公平7−121536号公報、特開平4−158015号公報、特開2001−191362号公報参照)。なお、インモールド成形は転写成形とも呼ばれている。
【0003】
そのために、前記金型装置は、固定金型が取り付けられた固定プラテン、可動金型が取り付けられた可動プラテン、及び、該可動プラテンを進退させるための可動プラテン駆動機構を備え、該可動プラテン駆動機構を作動させ、前記可動プラテンを進退させることによって、金型装置の型閉、型締及び型開を行うことができるようになっている。さらに、前記金型装置の近くに、転写フィルムの供給ロール及び巻取ロールが配設され、固定金型と可動金型との合わせ面に沿って、前記転写フィルムが所定ピッチずつ搬送されるようになっている。なお、該所定ピッチは転写フィルムに付着された転写箔のピッチに対応する。
【0004】
そして、金型装置の型締が行われる時に、射出装置が前進させられ、加熱シリンダのノズルが、前記固定プラテンに形成されたノズル通過孔を通って、固定金型の背面に押し付けられ、密着させられる。続いて、溶融させられた樹脂が高圧で前記ノズルから射出され、固定金型に形成されたスプルーを通って、固定金型と可動金型の合わせ面に形成されたキャビティ空間内に充填されるようになっている。
【0005】
これにより、樹脂成形と同時に転写箔の転写が行われる。そして、前記可動プラテンを後退させて型開を行い、前記転写箔が転写された転写フィルムを成形品の表面から剥(はく)離して、前記転写箔を表面に備える成形品を得ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のインモールド成形においては、転写フィルムにゴミや埃(ほこり)のような異物が付着することがあり、この状態で成形が行われると、成形品の内部に異物が混入して、成形品の外観不良が発生してしまう。
【0007】
このような外観不良の成形品を排除するために、検査員が成形品を目視検査するようになっているが、異物が混入した成形品は樹脂と転写箔とが一体化しているので、再生利用することができないので廃棄処分される。そのため、成形品の外観不良が発生すると、樹脂材料と転写箔とが無駄になってしまう。また、検査員が成形品を目視検査する必要があり、成形工程を省力化することができなくなってしまう。
【0008】
本発明は、前記従来の問題点を解決して、金型や転写フィルムを監視カメラによって撮影し、撮影された画像を画像処理し、成形前に異物を検出することによって、外観不良の成形品が成形されることを防止することができるとともに、成形工程を省力化し、成形コストを低くすることが可能な成形機の異物監視装置及び異物監視方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明の成形機の異物監視装置においては、固定金型が取り付けられる固定金型支持装置と、可動金型が取り付けられる可動金型支持装置と、転写箔が付着された転写フィルムを、キャビティの位置を通過するように間欠的に搬送する転写フィルム搬送装置と、該転写フィルム搬送装置と対向する側の金型支持装置に取り付けられ、前記固定金型又は可動金型の合わせ面及び転写フィルムを撮影する監視カメラと、該監視カメラの撮影した画像を画像処理して、前記合わせ面又は転写フィルムに異物が付着しているか否かを監視する制御装置とを有する。
【0010】
本発明の他の成形機の異物監視装置においては、さらに、前記制御装置は、異物を検出すると前記転写箔を空送りさせる。
【0011】
本発明の更に他の成形機の異物監視装置においては、さらに、前記制御装置は、異物を検出すると警報を発する。
【0012】
本発明の更に他の成形機の異物監視装置においては、さらに、前記制御装置は、異物を検出すると成形機を停止させる。
【0013】
本発明の成形機の異物監視方法においては、転写箔が付着された転写フィルムを、キャビティの位置を通過するように間欠的に搬送し、固定金型又は可動金型の合わせ面及び転写フィルムを撮影し、撮影された画像を画像処理して、前記合わせ面又は転写フィルムに異物が付着しているか否かを監視する。
【0014】
本発明の他の成形機の異物監視方法においては、さらに、異物を検出すると前記転写箔を空送りさせる。
【0015】
本発明の更に他の成形機の異物監視方法においては、さらに、異物を検出すると警報を発する。
【0016】
本発明の更に他の成形機の異物監視方法においては、さらに、異物を検出すると成形機を停止させる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明の実施の形態における金型装置の概略を示す斜視図である。
【0019】
図において、12は固定金型、15は可動金型である。ここで、固定金型12は、後述される固定金型支持装置としての固定プラテン11に取り付けられ、可動金型15は後述される可動金型支持装置としての可動プラテン14に取り付けられている。そして、該可動プラテン14が図示されない可動プラテン駆動機構によって前進させられると、前記可動金型15は図に示される位置から右方に移動し、前記可動金型15の合わせ面が固定金型12の合わせ面に密着して型閉、型締が行われる。なお、本実施の形態においては、前記可動金型15の合わせ面及び固定金型12の合わせ面に、それぞれ、キャビティを形成する凹部が形成されている。また、前記固定金型12の背面には前記凹部に連通するスプルー13が穿(せん)設されている。
【0020】
なお、金型装置によって成形される成形品は、食器、日用雑貨、光学部品、機械部品、装飾品等いかなるものであってもよいが、本実施の形態においては、携帯電話機等の電子装置の透明窓部材である場合について説明する。この場合、成形品を成形する樹脂は、例えば、POM(ポリアセタール)、PC(ポリカーボネイト)等であるが、いかなるものであってもよい。
【0021】
また、25は転写フィルムであり、転写箔26が所定の間隔で転写可能に付着している。ここで、前記転写フィルム25は、例えば、厚さ10〜20〔μm〕程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムから成り、また、前記転写箔26は、例えば、耐擦傷性処理を施したPCから成る透明な保護皮膜である。なお、前記転写箔26には、文字、絵柄等の模様が印刷されたものであってもよい。この場合、前記転写フィルム25は後述される転写フィルム搬送装置によって間欠的に搬送され、前記転写箔26が転写された後、図示されない巻取ロールに巻き取られる。また、前記転写フィルム25の搬送方向は適宜変更することができる。
【0022】
そして、固定プラテン11には、監視カメラ21が配設され、可動金型15の合わせ面に形成されたキャビティや搬送される転写フィルム25を撮影するようになっている。前記監視カメラ21は、例えば、工業用テレビカメラであるが、家庭用ビデオカメラ、デジタルカメラ等いかなる種類のカメラであってもよい。なお、前記監視カメラ21は必要に応じて複数台配設されていてもよい。
【0023】
次に、本発明の実施の形態における金型装置の構成をより詳細に説明する。
【0024】
図2は本発明の実施の形態における金型装置の側面図、図3は本発明の実施の形態における金型装置の内部構成を示す側断面図である。
【0025】
固定金型支持装置としての固定プラテン11は、図2に示されるように、固定金型12が取り付けられる金型取付面及びその反対側の背面を備え、概略、矩(く)形の厚板状の形状を有する。なお、前記固定プラテン11は図示されない成形機のフレームに固定されている。そして、前記固定プラテン11には、図3に示されるように、加熱シリンダ45の先端部分及びノズル45aが通るノズル通過孔18が中心付近に形成される。なお、該ノズル通過孔18は、背面と金型取付面とを連通するものである。また、前記固定プラテン11には、タイバー16が挿入される複数、例えば、四つの図示されないタイバー挿入孔が形成される。そして、該タイバー挿入孔に挿入されたタイバー16の端部は、前記固定プラテン11に固定される。
【0026】
また、図2における前記固定プラテン11の左方には、可動金型支持装置としての可動プラテン14が図における左右方向に移動可能に配設される。該可動プラテン14は、可動金型15が取り付けられる金型取付面及びその反対側の背面を備え、概略、矩形の厚板状の形状を有する。そして、前記背面には、可動プラテン駆動機構のコネクティングロッド17の端部が接続される。また、前記可動プラテン14には、タイバー16が挿入される複数、例えば、四つの図示されないタイバー挿入孔が形成される。そして、前記可動プラテン14は前記タイバー挿入孔に挿入されたタイバー16に沿って、図において左右に移動する。
【0027】
ここで、前記可動プラテン14の図2における上面には、ブラケット32を介して、転写フィルム供給ロール31が回転可能に取り付けられる。また、前記可動プラテン14の下面には、転写フィルム巻取ロール33が取り付けられる。この場合、該転写フィルム巻取ロール33は、ブラケット34を介して前記可動プラテン14の下面に取り付けられた図示されない転写フィルム巻取モータの回転軸に取り付けられ、該転写フィルム巻取モータによって回転させられ、転写フィルム25を間欠的に巻き取るようになっている。
【0028】
そして、可動金型15の図2における上面及び下面には、転写フィルム25をガイドする転写フィルムガイドロール36a及び転写フィルムガイドロール36bが回転可能に取り付けられる。本実施の形態において、転写フィルム搬送装置は、前記転写フィルム供給ロール31、転写フィルム巻取ロール33、並びに、転写フィルムガイドロール36a及び転写フィルムガイドロール36bを有し、前記転写フィルム25を、キャビティの位置を通過するように間欠的に搬送するようになっている。
【0029】
また、図3に示されるように、固定金型12の合わせ面12aには、キャビティを構成する凹部41が形成され、該凹部41の底面には、前記ノズル通過孔18に連通するように、スプルー13が穿設されている。ここで、型閉及び型締が行われた時には、射出装置の加熱シリンダ45が図3において左方へ移動させられて、該加熱シリンダ45のノズル45aの先端が固定金型12の背面に押し付けられ、前記ノズル45a内の樹脂流路を前記固定金型12のスプルー13と連通させるようになっている。
【0030】
この場合、前記加熱シリンダ45内にはスクリュ46が挿入され、該スクリュ46を図3において左方へ移動させ、加熱シリンダ45内の溶融樹脂を前記ノズル45a内の樹脂流路から射出させると、射出された溶融樹脂が、前記スプルー13を通って、前記キャビティ内に供給されるようになっている。
【0031】
そして、前記固定金型12には、図示されない駆動装置によって駆動されるエジェクタピン44が配設される。なお、該エジェクタピン44の数は単数であっても複数であってもよく、適宜決定することができる。ここで、前記エジェクタピン44は駆動装置によって駆動されると、図3における左方向に移動して、先端が凹部41の底面から突き出て、成形品51を凹部41からエジェクトする、すなわち、放出するようになっている。
【0032】
また、可動金型15の合わせ面15aには、前記凹部41と対向する位置にキャビティを構成する凹部42が形成されている、ここで、該凹部42の近傍には、図3に示されるように、転写フィルム搬送位置検出器37が取り付けられている。該転写フィルム搬送位置検出器37は、例えば、光センサを備え、転写フィルム25に一定間隔で付与された位置検出マークをピックアップして、前記転写フィルム25の搬送量を検出することによって、転写フィルム25の搬送位置を検出するものであるが、いかなる形態のものであってもよい。
【0033】
そして、前記転写フィルム25は、前記キャビティを構成する凹部42の上を通過するように搬送される。すなわち、前記転写フィルム25は転写フィルムガイドロール36a及び転写フィルムガイドロール36bによってキャビティの位置を通過するようにガイドされる。この場合、前記転写フィルム25が所定ピッチずつ間欠的に搬送され、該転写フィルム25に付着する転写箔26が前記凹部42に対応する位置において順次停止するようになっている。なお、前記所定ピッチは転写フィルム25に付着された転写箔26のピッチに対応する。
【0034】
また、可動金型15の合わせ面15aには、図示されない転写フィルム押さえ部材が取り付けられている。該転写フィルム押さえ部材は、図示されない駆動装置によって駆動され、転写フィルム25を押さえ、転写箔26が凹部42に対応する位置からずれることを防止するようになっている。そして、前記転写箔26が前記凹部42に対応する位置において停止している状態で型閉及び型締が行われ、加熱シリンダ45内の溶融樹脂が射出されて、前記凹部41及び凹部42によって構成されるキャビティ内に充填される。これにより、前記転写箔26が転写された成形品51が成形されるようになっている。
【0035】
なお、前記金型装置は、図示されない制御装置を有する。該制御装置は、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ、磁気ディスク等の記憶手段、キーボード、マウス等の入力手段、CRT、液晶ディスプレイ等の表示手段、通信インターフェイス等を備え、前記転写フィルム搬送位置検出器37からの検出信号等を受信し、前記転写フィルム巻取モータ等の動作を含む金型装置の全ての動作を制御する。
【0036】
また、前記制御装置は、画像処理機能を有するものであり、監視カメラ21が撮影した画像を画像処理し、該画像中に含まれる転写フィルム25及び可動金型15の合わせ面15aにゴミ、埃、粉塵(じん)、その他の異物が付着しているか否かを監視する。この場合、異物が付着しているか否かを監視する範囲、すなわち、監視範囲はあらかじめ設定されている。該監視範囲は、監視カメラ21が撮影した画像の全範囲、すなわち、撮影範囲と等しくてもよいが、該撮影範囲の一部であってもよい。なお、前述されたように、前記転写箔26が耐擦傷性処理を施したPCから成る透明な保護皮膜である場合、前記監視範囲はキャビティを構成する凹部42に対応する範囲とすることが望ましい。該凹部42に対応する範囲を監視することによって、転写箔26が透明であるので、前記凹部42の底面に異物が付着している場合、及び、前記凹部42の上に位置する転写箔26に異物が付着している場合のいずれの場合であっても異物を検出することができる。
【0037】
なお、前記監視範囲を広く設定して、一台の監視カメラ21では、すべての監視範囲を撮影することができない場合には、複数台の監視カメラ21によって撮影された画像に基づいて、監視するようにしてもよい。さらに、固定金型12の合わせ面12aを撮影するようにしてもよい。
【0038】
また、監視する異物のサイズ、すなわち、異物として検出される閾(しきい)値もあらかじめ設定されている。この場合、閾値を小さくすると異物を検出する画像処理の処理負荷が大きくなり、前記制御装置の負担が増大し、処理時間が長くなる。また、閾値を大きくすると、外観不良の原因となるサイズの異物を見逃してしまう恐れがある。そのため、肉眼で判別することができる程度のサイズを閾値とすることが望ましい。なお、異物が転写箔26における模様の付いている部分に付着している場合には外観不良となりにくいので、前記閾値を転写箔26における透明な部分と模様の付いている部分とで異なるように設定することもできる。
【0039】
そして、異物が付着していることを検出した場合には、溶融樹脂の射出動作を行うことなく、転写フィルム25を空送りさせて、次の転写箔26が凹部42に対応する位置において停止するようにする。すなわち、異物が付着している部分の転写箔26をスキップする。また、あらかじめ設定された回数以上連続して、異物が付着していることを検出した場合には、成形機の動作を停止させたり、警報を発して、成形機のオペレータに注意を促すようにしてもよい。なお、前記制御装置は、図示されない射出装置、可動プラテン駆動機構等の他の装置を制御する制御装置と一体的に形成されたものであってもよいし、他の装置を制御する制御装置の中に構築されたシステムであってもよい。
【0040】
次に、前記構成の金型装置の動作について説明する。
【0041】
図4は本発明の実施の形態における金型装置によって成形された成形品の側面図、図5は本発明の実施の形態における金型装置によって成形された成形品の正面図であり図4のA矢視図である。
【0042】
まず、図示されない可動プラテン駆動機構を駆動させて、可動プラテン14を図1〜3において右方へ移動させて型閉及び型締を行う。ここで、型閉及び型締を行う直前において、転写フィルム25は、転写箔26が、キャビティを構成する凹部42の真上に位置するように、あらかじめ搬送されている。
【0043】
この場合、前記転写フィルム25の搬送量は、転写フィルム搬送位置検出器37によって検出された搬送位置に基づいて、転写フィルム巻取ロール33を回転させる転写フィルム巻取モータの回転量を制御することによって制御される。なお、転写フィルム供給ロール31は、わずかにブレーキがかけられた状態で回転するようになっていることが望ましい。これにより、前記転写フィルム25は、転写フィルム供給ロール31によってバックテンションをかけられた状態、すなわち、搬送方向の後方に引っ張られた状態となる。そのため、前記転写フィルム巻取ロール33の回転による前記転写フィルム25の搬送量の制御を正確に行うことができる。
【0044】
なお、転写フィルム搬送位置検出器37は、凹部42の近傍に取り付けられているので、転写フィルム25のたるみ等の影響を受けることが少なく、前記キャビティ付近での位置で転写フィルム25の搬送量を正確に検出することができる。そして、転写箔26が前記凹部42に対応する位置において停止すると、図示されない転写フィルム押さえ部材が駆動装置によって駆動され、転写フィルム25を押さえ、前記転写箔26が凹部42に対応する位置からずれることが防止される。
【0045】
続いて、可動プラテン駆動機構を駆動させて、可動プラテン14を図1〜3において右方へ移動させ、型閉及び型締を行う。そして、射出装置の加熱シリンダ45を図3において左方へ移動させて、該加熱シリンダ45のノズル45aの先端を固定金型12の背面に押し付け、前記ノズル45a内の樹脂流路を前記固定金型12のスプルー13と連通させる。
【0046】
続いて、前記加熱シリンダ45内に挿入されているスクリュ46を図3において左方へ移動させ、加熱シリンダ45内の溶融樹脂を前記ノズル45a内の樹脂流路から射出させる。すると、射出された溶融樹脂は、前記スプルー13を通って、凹部41及び凹部42によって構成されるキャビティ内に充填される。
【0047】
そして、前記溶融樹脂の熱と圧力によって、前記転写フィルム25は前記凹部42の底面に完全に密着される。また、前記キャビティの内部が溶融樹脂で充満されて成形品51が成形されると同時に、該成形品51の正面へ前記転写フィルム25の転写箔26が転写される。
【0048】
続いて、成形が終了すると、可動プラテン駆動機構を駆動させて、可動プラテン14を図1〜3において左方へ移動させ型開を行う。そして、図示されない駆動装置によってエジェクタピン44を駆動して、成形品51をエジェクトする、すなわち、キャビティから放出する。なお、前記転写フィルム押さえ部材も駆動され、転写フィルム25を開放する。これにより、図4及び5に示されるような成形品51が成形される。
【0049】
この場合、該成形品51は、前記凹部41及び凹部42によって形成されるキャビティに対応する部分である透明窓部材52、及び、前記スプルー13に対応したスプルー対応部53とから成る。そして、最終的な製品としての前記透明窓部材52は、後工程においてスプルー対応部53から切断され分離されて得られる。ここで、前記成形品51の透明窓部材52には、図4及び5に示されるように、転写箔26が転写されている。該転写箔26は、例えば、耐擦傷性処理を施したPCから成る保護皮膜であって透明であるが、文字、絵柄等の模様54が印刷されたものであってもよい。
【0050】
そして、次の成形品51を成形するために、前記転写フィルム25を所定量だけ搬送する。この場合、転写フィルム巻取モータを所定の回転量だけ回転させ、前記転写箔26の1ピッチ分だけ転写フィルム25を搬送させる。これにより、前記成形品51の透明窓部材52に転写された転写箔26の次に転写フィルム25に付着された転写箔26が、凹部42の真上に到達する。この場合、前記転写フィルム25の搬送量は、転写フィルム搬送位置検出器37によって検出された搬送位置に基づいて、転写フィルム巻取ロール33を回転させる転写フィルム巻取モータの回転量を制御することによって制御される。
【0051】
ここで、制御装置は、監視カメラ21が撮影した画像を画像処理し、該画像中に含まれる転写フィルム25及び可動金型15の合わせ面15aに異物が付着しているか否かを監視している。そして、あらかじめ設定された監視範囲、例えば、キャビティを構成する凹部42に対応する範囲において異物が検出された場合、前記制御装置は、転写箔26又はその周囲の転写フィルム25に異物が付着しているものと判断する。そして、前記制御装置は、可動プラテン駆動機構を駆動させず、また、射出装置も作動させずに、転写フィルム巻取モータを所定の回転量だけ回転させ、前記転写箔26の1ピッチ分だけ転写フィルム25を搬送させる。これにより、異物が付着している転写箔26又はその周囲の転写フィルム25は空送りされる。これにより、監視範囲において異物が検出されなくなると、次の成形品51を成形するための成形動作が開始される。
【0052】
また、あらかじめ設定された回数以上連続して異物が検出される場合には、異物が転写箔26や転写フィルム25以外の場所、例えば、凹部42の底面に付着している可能性がある。この場合、転写フィルム25を空送りしても異物が除去されないので、前記制御装置は、成形機の動作を停止させたり、警報を発して、成形機のオペレータに注意を促す。
【0053】
以降は、前述された動作を繰り返すことによって、保護被膜としての転写箔26が転写された透明窓部材52としての成形品51が成形される。なお、本実施の形態においては、監視カメラ21を固定プラテン11に配設して、可動金型15の合わせ面15aに形成された凹部42を監視範囲として異物が付着しているか否かを監視するようになっているが、監視カメラ21を可動プラテン14に配設して、固定金型12の合わせ面12aに形成された凹部41を監視範囲として異物が付着しているか否かを監視するようにすることもできる。さらに、監視カメラ21を固定プラテン11及び可動プラテン14に配設して、可動金型15の合わせ面15aに形成された凹部42及び固定金型12の合わせ面12aに形成された凹部41を同時に監視するようにしてもよい。
【0054】
このように、本実施の形態においては、成形品51の成形と同時に、かつ、一体に転写箔26を転写するインモールド成形を行う場合、監視カメラ21が撮影した画像を画像処理し、該画像中に含まれる転写フィルム25及び可動金型15の合わせ面15aに異物が付着しているか否かを監視している。そして、異物が検出された場合には、転写箔26の1ピッチ分だけ転写フィルム25を搬送させて、転写箔26を空送りするようになっている。また、あらかじめ設定された回数以上連続して異物が検出される場合には、成形機の動作を停止させたり、警報を発して、成形機のオペレータに注意を促すようになっている。
【0055】
そのため、異物の付着した成形品51を成形することがないので、外観不良の成形品が成形されることを防止することができる。また、異物の検出や転写箔26の空送りは自動的に行われ、検査員が成形品を目視検査する必要がないので、省力化することができる。さらに、異物が付着した転写箔26だけを廃棄するので、樹脂材料を無駄にすることがなく、成形品51の成形コストを低くすることができる。
【0056】
以上のように、本実施の形態においては、金型装置を射出成形機に適用した例について説明したが、前記金型装置は、射出成形機だけでなく、IC等の半導体封止用のトランスファー成形装置等にも適用することができるものである。
【0057】
さらに、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0058】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、成形機の異物監視装置においては、固定金型が取り付けられる固定金型支持装置と、可動金型が取り付けられる可動金型支持装置と、転写箔が付着された転写フィルムを、キャビティの位置を通過するように間欠的に搬送する転写フィルム搬送装置と、該転写フィルム搬送装置と対向する側の金型支持装置に取り付けられ、前記固定金型又は可動金型の合わせ面及び転写フィルムを撮影する監視カメラと、該監視カメラの撮影した画像を画像処理して、前記合わせ面又は転写フィルムに異物が付着しているか否かを監視する制御装置とを有する。
【0059】
また、成形機の異物監視方法においては、転写箔が付着された転写フィルムを、キャビティの位置を通過するように間欠的に搬送し、固定金型又は可動金型の合わせ面及び転写フィルムを撮影し、撮影された画像を画像処理して、前記合わせ面又は転写フィルムに異物が付着しているか否かを監視する。
【0060】
この場合、異物の付着した成形品を成形することがないので、外観不良の成形品が成形されることを防止することができる。
【0061】
他の成形機の異物監視装置においては、さらに、前記制御装置は、異物を検出すると前記転写箔を空送りさせる。
【0062】
また、他の成形機の異物監視方法においては、さらに、異物を検出すると前記転写箔を空送りさせる。
【0063】
この場合、異物が付着した転写箔だけを廃棄するので、樹脂材料を無駄にすることがなく、成形品の成形コストを低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における金型装置の概略を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態における金型装置の側面図である。
【図3】本発明の実施の形態における金型装置の内部構成を示す側断面図である。
【図4】本発明の実施の形態における金型装置によって成形された成形品の側面図である。
【図5】本発明の実施の形態における金型装置によって成形された成形品の正面図であり図4のA矢視図である。
【符号の説明】
11 固定プラテン
12 固定金型
12a、15a 合わせ面
14 可動プラテン
15 可動金型
21 監視カメラ
25 転写フィルム
26 転写箔

Claims (8)

  1. (a)固定金型が取り付けられる固定金型支持装置と、
    (b)可動金型が取り付けられる可動金型支持装置と、
    (c)転写箔が付着された転写フィルムを、キャビティの位置を通過するように間欠的に搬送する転写フィルム搬送装置と、
    (d)該転写フィルム搬送装置と対向する側の金型支持装置に取り付けられ、前記固定金型又は可動金型の合わせ面及び転写フィルムを撮影する監視カメラと、
    (e)該監視カメラの撮影した画像を画像処理して、前記合わせ面又は転写フィルムに異物が付着しているか否かを監視する制御装置とを有することを特徴とする成形機の異物監視装置。
  2. 前記制御装置は、異物を検出すると前記転写箔を空送りさせる請求項1に記載の成形機の異物監視装置。
  3. 前記制御装置は、異物を検出すると警報を発する請求項1又は2に記載の成形機の異物監視装置。
  4. 前記制御装置は、異物を検出すると成形機を停止させる請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形機の異物監視装置。
  5. (a)転写箔が付着された転写フィルムを、キャビティの位置を通過するように間欠的に搬送し、
    (b)固定金型又は可動金型の合わせ面及び転写フィルムを撮影し、
    (c)撮影された画像を画像処理して、前記合わせ面又は転写フィルムに異物が付着しているか否かを監視することを特徴とする成形機の異物監視方法。
  6. 異物を検出すると前記転写箔を空送りさせる請求項5に記載の成形機の異物監視方法。
  7. 異物を検出すると警報を発する請求項5又は6に記載の成形機の異物監視方法。
  8. 異物を検出すると成形機を停止させる請求項5〜7のいずれか1項に記載の成形機の異物監視方法。
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