JP4158166B2 - ケーブルドラムブレーキ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ケーブルが巻回されたケーブルドラムからケーブルを繰り出して延線経路に沿って布設するケーブル延線作業において、延線作業速度が低下し、あるいは停止した際のケーブルドラムの過回転を防止するケーブルドラムブレーキ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図13は従来のケーブル延線作業を説明する斜視図である。
図において、1はケーブル2が巻回される円筒部の両端にフランジ1aを設けた木製のケーブルドラム、3はケーブルドラム1の中心穴1bに挿通されるドラム受用軸である。4はジャッキであり、このジャッキ4は、ベース4a、ベース4aに垂直に立設され、雌ねじが中心穴に刻設された円筒状の支柱4b、支柱4bの中心穴に螺合された長尺の雄ねじ棒4c、雄ねじ棒4cの頭部に固着され円筒状の受部4d、雄ねじ棒4cに螺合され雄ねじ棒4cを支柱4bに対して固定する環状の止め具4e、支柱4bとベース4aとに連結されて支柱4bの倒れを防止する補強梁4fとを備えている。
【0003】
つぎに、従来のケーブル延線作業について説明する。
まず、ケーブル延線経路に沿ってケーブルトレイ(図示せず)を布設する。そして、ケーブルドラム1をケーブル延線経路の始点側に搬送し、ドラム受用軸3をケーブルドラム1の中心穴1bに挿通させる。また、雄ねじ棒4cを回転させて受部4dが所定の高さとなるように調節する。ついで、止め具4eを回転させて支柱4bに緊締させることにより、雄ねじ棒4cが支柱4bに対して固定される。このようにして受部4dの高さが調整されたジャッキ4をケーブルドラム1の両端にそれぞれ配置し、ケーブルドラム1の中心穴1bに挿通されたドラム受用軸3を受部4dに通す。
これにより、ケーブルドラム1は、浮いた状態で、一対のジャッキ4に回転自在に支持される。
そこで、作業者は、ケーブルドラム1に巻回されているケーブル2の先端を持って、ケーブル延線経路に沿って移動する。この作業者の牽引によりケーブルドラム1が回転し、ケーブル2がケーブルドラム1から送り出される。そして、作業者がケーブル延線経路の終点側まで移動した後、ケーブル2のケーブルドラム1側を切断する。ついで、作業者がケーブル延線経路に沿って移動しつつ、切断されたケーブル2を整線しつつケーブルトレイに移し替える。
この作業を所定本数分繰り返し行い、ケーブル布設作業が終了する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来のケーブル延線作業においては、ケーブルドラム1が単にジャッキ4に回転可能に支持されているに過ぎないので、作業者のケーブル2を持っての移動速度が低下したり、作業者が停止すると、ケーブルドラム1の慣性により、ケーブルドラム1が過回転してしまうことになる。このケーブルドラム1の過回転により、ケーブル2がケーブルドラム1から繰り出され、ケーブル2の巻回状態が緩むとともに、始点側でのケーブル2の弛みが生じてしまい、次にケーブル2の牽引時に、ケーブル2の絡みやケーブルドラム1へのケーブル2の緊締を引き起こし、うまく牽引できなくなるという課題があった。
これを解決するためには、ケーブル2の弛みを見ながら、ケーブルドラム1の回転を制御する作業者をケーブルドラム1の直近に配備する必要があり、省人化が図れないという課題があった。
また、傾斜スクリュウジャッキによりケーブルドラム1の心軸をすくい上げ、ケーブルドラム1の一対のフランジ1aの外周面を駆動用ローラで支持し、さらに該駆動用ローラにブレーキを取り付けて、ケーブルドラム1の回転制御を行う方法が例えば特開昭62−255368号公報に提案されている。しかしながら、このような方法は大がかりな装置が必要となり、小型化および低価格化が図れないという課題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ケーブルドラムを回転支持する汎用のジャッキに簡易に装着できる構成を採り、省人化を図るとともにケーブルの弛みに応じてケーブルドラムの回転を制動できる小型、かつ、安価なケーブルドラムブレーキ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るケーブルドラムブレーキ装置は、ケーブルが巻回されたケーブルドラムの中心穴に挿通されたドラム受用軸と、上記ドラム受用軸を上記ケーブルドラムに固定するドラム受用軸固定手段と、上記ドラム受用軸の両端を回転自在に支持する一対のジャッキと、上記一対のジャッキに着脱可能に装着され、上記ケーブルドラムから送り出される上記ケーブルの弛み具合を検知するケーブル弛み検知手段と、上記ケーブル弛み検知手段による上記ケーブルの弛み具合に応じて上記ドラム受用軸の回転を制動する制動手段と、を備え、上記ドラム受用軸固定手段は、貫通穴が中心に穿設された中空切頭円錐状をなし、小径側を上記ドラム受用軸の他側に向けて該ドラム受用軸の一側から該ドラム受用軸に挿着され、該ドラム受用軸の所定位置に固定される固定側軸受と、貫通穴が中心に穿設された中空切頭円錐状をなし、小径側を上記ドラム受用軸の一側に向けて該ドラム受用軸の他側から該ドラム受用軸に挿着される可動側軸受と、上記ドラム受用軸の上記可動側軸受の外側に固定される固定コマと、上記可動側軸受の上記固定コマ側に螺着され、回転により上記可動側軸受から伸長して上記可動側軸受を上記固定コマから離反する方向に移動させて、上記固定側軸受および上記可動側軸受のそれぞれの小径側を上記ケーブルドラムの中心穴に圧入させる軸受ロック装置とから構成されているものである。
【0007】
また、上記ケーブル弛み検知手段は、上記一対のジャッキのそれぞれに着脱可能に装着された一対の支持体と、上記一対の支持体のそれぞれに上記ドラム受用軸の軸方向と平行な軸周りに回動自在に支持された一対のブレーキアームと、上記一対のブレーキアームの先端部間に架設された検知棒とから構成され、上記検知棒を上記ケーブルドラムから送り出される上記ケーブルに載せ、該ケーブルの弛み具合に応じた該検知棒の昇降を上記ブレーキアームの上記軸を支点とする回動として検知するようにしたものである。
【0008】
また、上記一対のブレーキアームが長さ調整可能に構成されているものである。
【0009】
また、上記検知棒が長さ調整可能に構成されているものである。
【0010】
また、上記制動手段は、上記ドラム受用軸に供周り可能に、かつ、同軸に取り付けられるブレーキディスクと、上記支持体に取り付けられ、上記ブレーキディスクを挟み込むように配置された一対のシューを有するディスクブレーキと、上記ブレーキアームの上記軸周りの回動量に応じて上記ディスクブレーキに油を圧送して上記一対のシューを作動させるディスクブレーキ駆動手段とから構成されているものである。
【0012】
また、空転防止用爪が上記固定側軸受および上記可動側軸受の外周面に設けられ、上記固定側軸受および上記可動側軸受のそれぞれの小径側が上記ケーブルドラムの中心穴に圧入された際に空転防止用爪が上記ケーブルドラムに食い込むように構成されているものである。
【0013】
さらに、貫通穴を有し、上記ケーブルドラムのフランジの外周部に装着される固定具と、一端側が上記固定側軸受および上記ドラム受用軸に挿通され、他端側が上記固定具の貫通穴に挿通されるアンクルとを備えたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図について説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るケーブルドラムブレーキ装置をケーブルドラムに装着した状態を示す正面図であり、図において図13に示した従来装置と同一または相当部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0015】
図1において、ドラム受用軸3がケーブルドラム1の中心穴1bに挿通され、その両端がケーブルドラム1の両側に配設された一対のジャッキ4の受部4dにそれぞれ挿通されて、ケーブルドラム1が一対のジャッキ4により回転自在に支持されている。このドラム受用軸3は、固定側軸受10、可動側軸受11、軸受ロック装置12および固定コマ13からなるドラム受用軸固定手段によりケーブルドラム1に供回り可能に固定されている。
一対のジャッキ4の受部4dには、それぞれプレート取付部15、16が取付ねじ17により締着固定されている。
【0016】
プレート取付部15には、第1のプレート20がその主面をドラム受用軸3の軸心に対して直交するように取付ねじ21により締着固定されている。ディスクブレーキ22が第1のプレート20の下部側に取り付けられている。ブレーキアーム23が第1のプレート20の下部側にブレーキアーム取付軸24周りに回動可能に取り付けられている。このブレーキアーム取付軸24の軸方向はドラム受用軸3の軸方向と平行となっている。L字状の取付板45が第1のプレート20の上部側に取り付けられている。油圧タンク25が取付板45に取り付けられ、油圧タンク25の操作レバー26とブレーキアーム23とがロープ27により連結されている。パイプ28は油圧タンク25で昇圧された油をディスクブレーキ22に供給するためのものであり、滑車29はブレーキアーム23の回動トルクを操作レバー26に円滑に伝達させるためのものである。
ディスク取付軸30はドラム受用軸3の端部に装着され、固定ピン31によりドラム受用軸3に供回り可能に固定されている。ブレーキディスク32は円盤状をなし、ディスク取付軸30に取付ねじ33により締着固定されている。これにより、ブレーキディスク32はドラム受用軸3と同軸に、供回り可能に装着される。このブレーキディスク32はその外周部がディスクブレーキ22の一対のシュー22a間に挿入されている。
【0017】
プレート取付部16には、第2のプレート34がその主面をドラム受用軸3の軸心に対して直交するように取付ねじ21により締着固定されている。ブレーキアーム23が第2のプレート34の下部側にブレーキアーム取付軸24周りに回動可能に取り付けられている。また、固定コマ13がドラム受用軸3の端部に装着され、ドラム受用軸3の抜けを防止している。
ケーブルガイド棒35が第1および第2のプレート20、34の下部側にブレーキアーム取付軸24周りに回動可能に取り付けられた一対のブレーキアーム23の先端部間に架設され、ケーブルガイドローラ36がケーブルガイド軸35に回転自在に装着されている。
【0018】
ここで、ディスクブレーキ22、油圧タンク25、操作レバー26、ロープ27、パイプ28およびブレーキディスク32から制動手段が構成され、油圧タンク25、操作レバー26、ロープ27およびパイプ28からディスクブレーキ駆動手段が構成されている。
また、プレート取付部15、16、第1および第2のプレート20、34、ブレーキアーム23、ケーブルガイド軸35およびケーブルガイドローラ36からケーブル弛み検知手段が構成され、プレート取付部15、16および第1および第2のプレート20、34から支持体が構成され、ケーブルガイド軸35およびケーブルガイドローラ36から検知棒が構成されている。
【0019】
ついで、各構成要素の詳細について説明する。
図2はこの発明の実施の形態1に係るケーブルドラムブレーキ装置におけるケーブルドラムとドラム受用軸との固定構造を示す斜視図、図3は図2のIII−III矢視断面図、図4は固定コマを示す斜視図である。
固定側軸受10は、貫通穴10aが中心に穿設された中空切頭円錐形状に形成され、複数の空転防止爪10bが円錐外周面に突設されている。可動側軸受11は、貫通穴11aが中心に穿設された中空切頭円錐形状に形成され、複数の空転防止爪11bが円錐外周面に突設され、さらに貫通穴11aの端部側(切頭円錐形状の大径側)が径大に形成され、その径大部に雌ねじ部11cが刻設されている。軸受ロック装置12は、貫通穴12aが中心に穿設された段付き円筒状に形成され、その径小部の外周に雄ねじ部12bが刻設されている。固定コマ13は、中心に貫通穴13aを有する断面C状態の円筒状に形成され、その空隙部13bを挟む一方の端面にねじ穴13cが刻設され、外周から空隙部13bを挟む他方の端面に至るように穴13dが穿設され、さらに外周面に固定ねじ41を装着用の切欠部13eが形成されている。
なお、貫通穴10a、11a、12a、13aの内径はドラム受用軸3の外径より僅かに大径に形成されている。
【0020】
固定側軸受10は貫通穴10a内にドラム受用軸3を通し、ドラム受用軸3の所定の位置にスライド移動し、固定ねじ40によりドラム受用軸3に締着固定される。また、雄ねじ部12bを雌ねじ部11cに螺着して可動側軸受11と軸受ロック装置12とを一体とし、ドラム受用軸3の他端側からドラム受用軸3に挿入される。さらに、固定コマ13がドラム受用軸3の他端側からドラム受用軸3に挿入され、固定ねじ41を穴13dに挿入しねじ穴13cに締着することにより、空隙部13bの間隙が狭まり、固定コマ13がドラム受用軸3に固定される。そして、軸受ロック装置12を回すことにより、軸受ロック装置12は可動側軸受11から伸長する。この時、軸受ロック装置12は固定コマ13によりドラム受用軸3の長さ方向の移動が阻止されているので、結果的に可動側軸受11が固定コマ13から離反する方向、即ち固定側軸受10に接近する方向に移動することになる。なお、固定側軸受10と可動側軸受11とは、切頭円錐形の切頭側が相対するようにドラム受用軸3に装着される。
【0021】
図5はこの発明の実施の形態1に係るケーブルドラムブレーキ装置の主要部を示す分解斜視図、図6はこの発明の実施の形態1に係るケーブルドラムブレーキ装置の主要部を示す断面図である。
プレート取付部15は、ジャッキ4の受部4dに装着される円筒状の装着部15aと、装着部15aに連なって設けられ、ディスク取付軸30が挿入される円筒状の受部15bと、受部15bの内周面に嵌着されたベアリング15cと、装着部15aの外周に周方向に突設された環状のフランジ15dと、フランジ15dに周方向に刻設された複数のねじ穴15eとから構成されている。なお、装着部15aには、受部4dの下方延出部に嵌合する切欠15fが設けられ、受部4dに装着した際の周方向の回りを阻止するようになっている。
第1のプレート20は、平板状をなし、受部15bに挿入される貫通穴20aが中央部に穿設され、穴20bが各ねじ穴15eと相対するように貫通穴20aの周りに穿設され、油圧タンク25を取り付けるための穴20cが上部側に穿設され、ディスクブレーキ22を取り付けるための穴20dが下部側に穿設され、さらにブレーキアーム取付軸24が下部側に立設されている。
ディスク取付軸30は、円筒状の本体30aと、本体30aの外周に周方向に突設された環状のフランジ30bとから構成されている。そして、本体30aの端部側には、穴中心が本体30aの軸心を通り、かつ、本体30aの軸心と直交する穴が形成され、一方の穴はねじが切られねじ穴30cとされ、他方の穴は貫通する穴30dとされている。さらに、ブレーキディスク32を取り付けるためのねじ穴30eがフランジ30bに周方向に複数刻設されている。
ブレーキディスク32は、円盤状をなし、本体30aに挿入される貫通穴32aが中央部に穿設され、穴32bが各ねじ穴30eと相対するように貫通穴32aの周りに穿設されている。
【0022】
なお、プレート取付部16はプレート取付部15と同等に構成されている。また、第2のプレート34は、平板状をなし、プレート取付部の受部に挿入される貫通穴が中央部に穿設され、ブレーキアーム取付軸24が下部側に立設されている。さらに、ドラム受用軸3の一端側には、図示していないが、固定ピン31が挿通される穴が設けられている。
【0023】
図7はこの発明の実施の形態1に係るケーブルドラムブレーキ装置におけるブレーキアーム周りを示す分解斜視図である。
ブレーキアーム23は、矩形断面に形成され、ブレーキアーム取付軸24周りに回動可能に取り付けられる回動アーム23aと、回動アーム23aに伸縮自在に装着される延出アーム23bと、延出アーム23bの先端に装着されるケーブルガイド軸受23cとから構成されている。回動アーム23aには、アーム長さ調整用の穴23dが複数設けられ、延出アーム23bの両端には、それぞれ固定用の穴23e、23fが設けられ、さらにケーブルガイド軸受23cには、固定用の穴23gが設けられている。そして、ロックピン50を外側から穴23d、23eに差し込んで回動アーム23aと延出アーム23bとが固定され、ロックピン51を外側から穴23f、23gに差し込んで延出アーム23bとケーブルガイド軸受23cとが固定される。
このブレーキアーム23は、第1のプレート20および第2のプレート34のそれぞれにブレーキアーム取付軸24周りに回動自在に取り付けられ、ケーブルガイド軸35が両ケーブルガイド軸受23c間に架設され、ケーブルガイドローラ36がケーブルガイド軸35に回転自在に装着されている。
【0024】
このように構成されたケーブルドラムブレーキ装置を組み立てるには、まず固定側軸受10をドラム受用軸3の一端側からドラム受用軸3に挿入し、ドラム受用軸3の所定の位置までスライド移動し、固定ねじ40によりドラム受用軸3に締着固定する。ついで、このドラム受用軸3をケーブルドラム1の中心穴1bに挿入する。また、雄ねじ部12bを雌ねじ部11cに螺着して可動側軸受11と軸受ロック装置12とを一体とし、ドラム受用軸3の他端側からドラム受用軸3に挿入する。さらに、固定コマ13をドラム受用軸3の他端側からドラム受用軸3に挿入し、固定ねじ41により、ドラム受用軸3に固定する。この時、固定側軸受10および可動側軸受11は切頭円筒形状の切頭側がケーブルドラム1の中心穴1b内に挿入されている。そこで、軸受ロック装置12を回すことにより、可動側軸受11が固定側軸受10に接近する方向に移動する。これにより、固定側軸受10および可動側軸受11が中心穴1bに圧入され、ケーブルドラム1とドラム受用軸3とが一体化されるとともに、空転防止爪10b、11bがケーブルドラム1に食い込んで、ケーブルドラム1の空転が阻止される。
【0025】
ついで、雄ねじ棒4cを回転させて受部4dが所定の高さとなるように調節する。そして、止め具4eを回転させて支柱4bに緊締させることにより、雄ねじ棒4cが支柱4bに対して固定される。この受部4dの高さが調整されたジャッキ4をケーブルドラム1の両端にそれぞれ配置し、ドラム受用軸3の両端をそれぞれ受部4dに通す。これにより、ケーブルドラム1は一対のジャッキ4に浮いた状態で回転自在に支持される。
【0026】
ついで、ドラム受用軸3の一端側において、装着部15aをジャッキ4の受部4dに装着し、取付ねじ17によりプレート取付部15をジャッキ4の受部4dに固定する。この時、装着部15aの切欠15fが受部4dの下部延出部に嵌合し、プレート取付部15の周方向の回転が阻止される。
そして、受部15bが貫通穴20a内に入るように第1のプレート15をプレート取付部15に装着し、取付ねじ21を穴20bに入れてねじ穴15eに締着して、第1のプレート15をプレート取付部15に固定する。この時、ブレーキアーム取付軸24が下部側に位置している。
つぎに、本体30aの一端側が貫通穴32a内に入るようにブレーキディスク32をディスク取付軸30に装着し、取付ねじ33を穴32bに入れてねじ穴30eに締着して、ブレーキディスク32をディスク取付軸30に固定する。そして、本体30aの他端側を受部15b内に挿入し、ねじ穴30cおよび穴30dとドラム受用軸3の穴3aとを合わせて固定ピン31を外側からねじ穴30cにねじ込む。この固定ピン31は穴3aを貫通し、その先端を穴30dから突出させる。これにより、ディスク取付軸30はドラム受用軸3と一体化される。
【0027】
ついで、固定ねじ42を穴20dに入れてディスクブレーキ22を第1のプレート20の下部側に締着固定する。これにより、ブレーキディスク32の外周部は一対のシュー22a間に位置する。
また、固定ねじ43を穴20cに入れて取付板45を第1のプレート20の上部側に締着固定する。そして、油圧タンク25および滑車29をL字状の取付板45に取り付け、油圧タンク25とディスクブレーキ22とをパイプ28で連結する。さらに、ブレーキアーム23の回動アーム23aを第1のプレート20の下部側にブレーキアーム取付軸24周りに回動可能に取り付ける。
【0028】
また、ドラム受用軸3の他端側において、装着部をジャッキ4の受部4dに装着し、取付ねじ17によりプレート取付部16をジャッキ4の受部4dに固定する。この時、装着部の切欠が受部4dの下部延出部に嵌合し、プレート取付部16の周方向の回転が阻止される。
そして、受部が貫通穴内に入るように第2のプレート34をプレート取付部16に装着し、取付ねじ21により第2のプレート34をプレート取付部16に締着固定する。この時、ブレーキアーム取付軸24が下部側に位置している。
そして、ブレーキアーム23の回動アーム23aを第2のプレート34の下部側にブレーキアーム取付軸24周りに回動可能に取り付ける。
さらに、固定コマ13をドラム受用軸3の他端側からドラム受用軸3に挿入し、固定ねじ41により、ドラム受用軸3に固定する。これにより、ドラム受用軸3の抜けが防止される。
【0029】
ついで、ケーブルガイドローラ36が装着されたケーブルガイド軸35の両端にケーブルガイド軸受23cをそれぞれ取り付ける。さらに、両ケーブルガイド軸受23cを延出アーム23bに嵌め込み、ロックピン51を穴23f、23gに差し込んで両者を固定する。そして、両延出アーム23bをそれぞれ回動アーム23aに差し込み、所定の延出長さに調整した後、ロックピン50を穴23d、23eに差し込んで両者を固定する。
つぎに、長さ調節されて滑車29に掛け渡されたロープ27の一端をドラム受用軸3の一端側に配設された回動アーム23aに固定し、他端を油圧タンク25の操作レバー26に固定して、図1に示されるケーブルドラムブレーキ装置の組立が完了する。
【0030】
このように構成されたケーブルドラムブレーキ装置では、ブレーキアーム23、ケーブルガイド軸35およびケーブルガイドローラ36の自重により、ケーブルガイドローラ36が地面に接するまで、ブレーキアーム23がブレーキアーム取付軸24を支点として下向きに回動している。そして、このブレーキアーム23の下向きの回動トルクがロープ27を介して操作レバー26に作用し、油圧タンク25から昇圧された油がパイプ28を介してディスクブレーキ22に供給される。そこで、一対のシュー22aが突出されてブレーキディスク32を挟み込み、ブレーキディスク32の回転が制動される。
この状態から、ブレーキアーム23がブレーキアーム取付軸24を支点として上向きに回動すると、ロープ27が滑車29を介して操作レバー26側に送り込まれ、操作レバー26が初期状態に復帰する。この操作レバー26の復帰動作に応じて油圧タンク25内の油の昇圧が徐々に解除され、一対のシュー22aが没し、ブレーキディスク32の制動が解除される。そして、ブレーキアーム23がブレーキアーム取付軸24を支点として上向きに所定角度回動すると、ブレーキディスク32に対する制動が完全に解除される。
このように、ブレーキアーム23の回動量によって、ブレーキディスク32、即ちケーブルドラム1の回転が制御される。
【0031】
このケーブルドラムブレーキ装置では、ブレーキアーム23、ケーブルガイド軸35およびケーブルガイドローラ36がケーブルドラム1のケーブル送り出し側に位置し、ケーブルガイド軸35およびケーブルガイドローラ36がケーブルドラム1から送り出されるケーブル2上に載せられる。
そこで、ケーブル延線作業において、作業者が、ケーブルドラム1に巻回されているケーブル2の先端を持って、ケーブル延線経路に沿って移動すると、この作業者の牽引によりケーブルドラム1が回転し、ケーブル2がケーブルドラム1から送り出される。この時、牽引されたケーブル2からケーブルガイドローラ36を上方に押し上げる力が働き、ブレーキアーム23がブレーキアーム取付軸24を支点として上側に回動する。このブレーキアーム23の上側への回動に伴って、ブレーキディスク32に対する制動が解除され、ケーブルドラム1がスムーズに回転し、ケーブル2が送り出される。
ここで、作業者のケーブル2を持っての移動速度が低下したり、作業者が停止すると、ケーブル2の牽引力が低下し、ケーブル2に弛みが発生する。このケーブル2の弛みにより、ケーブルガイドローラ36を上方に押し上げる力が低下し、ケーブルガイドローラ36が地面側に下降し、ブレーキアーム23がブレーキアーム取付軸24を支点として下側に回動する。このブレーキアーム23の下側への回動に伴って、ブレーキディスク32に対する制動が大きくなり、ケーブルドラム1の回転が停止される。
従って、作業者のケーブル2を持っての移動速度が低下したり、作業者が停止した場合におけるケーブルドラム1の慣性に起因するケーブルドラム1の過回転が未然に防止される。
【0032】
このように、この実施の形態1によれば、ケーブル延線作業時のケーブル2の弛みをブレーキアーム23のブレーキアーム取付軸24周りの回動として検知し、ブレーキアーム23が下側に回動するとブレーキディスク32の回転を制動し、ブレーキアーム23が上側に回動するとブレーキディスク32の回転の制動を解除するようにしているので、作業者のケーブル2を持っての移動速度が低下したり、作業者が停止すると、ブレーキディスク32の回転が速やかに制動され、ケーブルドラム1が停止される。
そこで、ケーブルドラム1の過回転に起因するケーブル2の巻回状態の緩みや始点側でのケーブル2の弛みが未然に阻止され、次にケーブル2の牽引時に、ケーブル2の絡みやケーブルドラム1へのケーブル2の緊締を引き起こすことなく、うまく牽引できる。
また、ケーブル2の弛みを見ながら、ケーブルドラム1の回転を制御する作業者をケーブルドラム1の直近に配備する必要がなくなり、省人化を図ることができる。
また、既存のジャッキ4に装着することができるので、ケーブルドラム1の回転制御を行う大がかりな装置は必要なく、小型化、軽量化および低価格化を図ることができる。
また、ケーブルドラム1の回転制御に外部動力を要しないので、その点においても、小型化、軽量化および低価格化を図ることができる。
【0033】
ケーブルドラム1は木製であり、使用をかさねるにつれフランジ1aに割れや欠けが生じてしまう。そして、フランジ1aに割れや欠けが生じていると、フランジ1aを押さえ込んで制動する方法では、うまくケーブルドラム1を制動できなくなる。この実施の形態1によれば、ドラム受用軸3をケーブルドラム1に供回り可能に固定し、ドラム受用軸3の回転を制動するようにしているので、フランジ1aの割れや欠けの影響がなく、どのようなケーブルドラム1に対しても安定して回転を制御することができる。
【0034】
また、ブレーキアーム23が延出アーム23bを回動アーム23aに伸縮自在に取り付けて構成されているので、ケーブルドラム1のフランジ1aの外径に応じてブレーキアーム23の長さを調整でき、優れた汎用性が得られる。
また、第1および第2のプレート20、34にブレーキアーム取付軸24周りに回動可能に取り付けられた一対のブレーキアーム23と、一対のブレーキアーム23の先端部に架設されたケーブルガイド軸35およびケーブルガイドローラ36とによりケーブル2の弛みをブレーキアーム2の回動量として検知するようにしているので、ケーブル弛み検知手段を簡易な構成で実現でき、軽量化および低価格化が図られる。さらに、作業者のケーブル2を持っての移動速度が低下したり、作業者が停止することで生じるケーブル2の弛みを速やかに検知でき、ケーブルドラム1の過回転を確実に防止できる。
また、ケーブルガイドローラ36がケーブルガイド軸35に回転自在に装着されているので、ケーブルガイドローラ35がケーブル2の走行に合わせて回転し、ケーブル2の牽引抵抗を上昇させることがなく、作業者の負荷の増大を抑えることができるとともに、ケーブル2の絶縁被覆の損傷を抑えることができる。
【0035】
また、ブレーキアーム23の回動トルクをロープ27を介して操作レバー26に伝達し、油圧タンク25から油をディスクブレーキ22に圧送し、一対のシュー22aを作動させてブレーキディスク32を制動するようにしているので、制動手段を簡易な構成で実現でき、軽量化および低価格化が図られる。
【0036】
また、ドラム受用軸固定手段が、貫通穴10aが中心に穿設された中空切頭円錐状をなし、小径側をドラム受用軸3の他側に向けて該ドラム受用軸3の一側から該ドラム受用軸3に挿着され、該ドラム受用軸3の所定位置に固定される固定側軸受10と、貫通穴11aが中心に穿設された中空切頭円錐状をなし、小径側をドラム受用軸3の一側に向けて該ドラム受用軸3の他側から該ドラム受用軸3に挿着される可動側軸受11と、ドラム受用軸3の可動側軸受11の外側に固定される固定コマ13と、固定コマ13に装着され、可動側軸受11を固定側軸受10方向に加圧移動させて、固定側軸受10および可動側軸受11のそれぞれの小径側をケーブルドラム1の中心穴1bに圧入させる軸受ロック装置12とから構成されているので、ドラム受用軸3がケーブルドラム1に同軸的に一体化され、ケーブルドラム1が偏心することなく回転し、ケーブル2の安定した繰り出しができる。
また、空転防止用爪10b、11bが固定側軸受10および可動側軸受11の外周面に設けられ、固定側軸受10および可動側軸受11のそれぞれの小径側がケーブルドラム1の中心穴1bに圧入された際に空転防止用爪10b、11bがケーブルドラム1に食い込むように構成されているので、ケーブルドラム1の空転が確実に防止される。
【0037】
なお、上記実施の形態1では、ケーブルガイド軸35の長さが一定のものを用いるものとしているが、ケーブルガイド軸35の長さを調整可能に構成してもよい。この場合、ケーブルガイド軸35の長さをケーブルドラム1の軸方向長さに合わせることができ、優れた汎用性が得られる。
また、上記実施の形態1では、プレート取付部15、16、第1および第2のプレート20、34、一対のブレーキアーム23、ケーブルガイド軸35およびケーブルガイロドーラ36からケーブル弛み検知手段を構成するものとしているが、ケーブル弛み検知手段はこの構成に限定されるものではなく、ケーブル2の弛みを検知できるものであればよい。
また、上記実施の形態1では、ディスクブレーキ駆動手段として油圧タンク25を用いた油圧システムで構成するものとしているが、ディスクブレーキ駆動手段はこれに限定されるものではない。
【0038】
実施の形態2.
図8はこの発明の実施の形態2に係るケーブルドラムブレーキ装置における固定側軸受周りを示す斜視図、図9はこの発明の実施の形態2に係るケーブルドラムブレーキ装置を適用するケーブルドラムの要部を示す断面図である。
図8および図9において、ケーブルドラム1は、木製のフランジ1aを木製の円筒部1cの両側に宛い、通しボルト58を一側からフランジ1aおよび円筒部1cに通し、通しボルト58の延出部にナット59を締着して、組み立てられている。固定具としてのアイナット60は通しボルト58の延出部に締着される。クランク61は一端側がアイナット60に挿通され、他端側が固定側軸受10およびドラム受用軸3に挿通される。
固定側軸受10にはクランク61の他端側を挿通するための貫通穴10cが軸心と直交し、かつ、軸心を通るように穿設されている。また、図示していないが、ドラム受用軸3にも、クランク61の他端側を挿通するための貫通穴が軸心と直交し、かつ、軸心を通るように穿設されている。さらに、抜け止めピン62がクランク61の他端側に穿設された貫通穴61aに装着され、クランク61の抜けが防止されている。
なお、他の構成は、上記実施の形態1と同様に構成されている。
【0039】
つぎに、この実施の形態2による特徴部分について説明する。
まず、アイボルト60を通しボルト58のフランジ1aからの延出部に締着する。
そして、上記実施の形態1と同様に、固定側軸受10と可動側軸受11とが、切頭円錐形の切頭側(小径側)をケーブルドラム1の中心穴1b内に圧入した状態で、ドラム受用軸3に装着される。この時、固定側軸受10は、その貫通穴10cがドラム受用軸3の貫通穴と一致するように位置決めされる。
ついで、クランク61の一端側をアイボルト60の穴60aに挿通させ、その後クランク61の他端側を固定側軸受10の貫通穴10cおよびドラム受用軸3の貫通穴に挿通させる。そして、抜け止めピン62をクランク61の他端側に穿設された貫通穴61aに装着する。
【0040】
従って、この実施の形態2によれば、ケーブルドラム1とドラム受用軸3とがアンクル61およびアイボルト60によりドラム受用軸3周りの回転方向において強制的に連結され、ケーブルドラム1の欠けなどにより空転防止用爪10b、11bとケーブルドラム1との食い込みが不十分となっても、ケーブルドラム1の空回りが確実に防止される。
また、アンクル61を用いているので、ケーブルドラム1の外径が変わり、固定側軸受10のケーブルドラム1の中心穴1bへの差し込み量が変化しても、アイボルト60と固定側軸受10との連結が可能となる。
ここで、固定側軸受10にはクランク61の他端側を挿通するための貫通穴10cが軸心と直交し、かつ、軸心を通るように穿設され、ドラム受用軸3にも、クランク61の他端側を挿通するための貫通穴が軸心と直交し、かつ、軸心を通るように穿設されているものとしているが、両貫通穴は必ずしも軸心と直交し、かつ、軸心を通るように穿設される必要はなく、固定側軸受10およびドラム受用軸3を位置合わせしたときに、両貫通穴の穴中心を一致できればよい。
【0041】
実施の形態3.
上記実施の形態2では、通しボルト58のねじ部が固定側軸受10側に位置している場合に適用されるものであるが、この実施の形態3では、通しボルト58の頭部が固定側軸受10側に位置している場合に適用されるものである。
この実施の形態3では、アイボルト60に代えて、図10に示されるL型金具63が固定具として用いられる。
このL型金具63は、図10に示されるように、第1のL型金具64と第2のL型金具65とがそれぞれ切り欠き64b、65bを有する穴64a、64a周りに回動可能に連結され、さらに第1のL型金具64と第2のL型金具65には、アンクル61を挿通するための穴64c、65cが設けられている。
そして、第1のL型金具64と第2のL型金具65とは、穴64c、65cの穴位置を一致させる状態では、切り欠き64b、65bが塞がれる。
また、第2のL型金具65を穴64a、64a周りに180度回動させると、図11に示されるように、切り欠き64b、65bが一致するようになる。
【0042】
そこで、図12に示されるように、通しボルト58を緩め、切り欠き64b、65bが一致するようにしたL型金具63を通しボルト58の軸部に通し、第2のL型金具65を穴64a、64a周りに180度回動させて切り欠き64b、65bを塞いだ状態とする。そして、通しボルト58を締着して、L型金具63をケーブルドラム1に装着する。その後、上記実施の形態2と同様に、アンクル61の一端側をL型金具63の穴64c、65cに挿通させることになる。
従って、この実施の形態3においても、上記実施の形態2と同様に効果が得られる。
【0043】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0044】
この発明によれば、ケーブルが巻回されたケーブルドラムの中心穴に挿通されたドラム受用軸と、上記ドラム受用軸を上記ケーブルドラムに固定するドラム受用軸固定手段と、上記ドラム受用軸の両端を回転自在に支持する一対のジャッキと、上記一対のジャッキに着脱可能に装着され、上記ケーブルドラムから送り出される上記ケーブルの弛み具合を検知するケーブル弛み検知手段と、上記ケーブル弛み検知手段による上記ケーブルの弛み具合に応じて上記ドラム受用軸の回転を制動する制動手段とを備えているので、ケーブルドラムを回転支持する汎用のジャッキに簡易に装着でき、かつ、ケーブルの弛みに応じてケーブルドラムの回転を制動でき、ケーブルの弛みを監視する作業者の省人化が図れるとともに、小型、かつ、安価なケーブルドラムブレーキ装置が得られる。
【0045】
また、上記ケーブル弛み検知手段は、上記一対のジャッキのそれぞれに着脱可能に装着された一対の支持体と、上記一対の支持体のそれぞれに上記ドラム受用軸の軸方向と平行な軸周りに回動自在に支持された一対のブレーキアームと、上記一対のブレーキアームの先端部間に架設された検知棒とから構成され、上記検知棒を上記ケーブルドラムから送り出される上記ケーブルに載せ、該ケーブルの弛み具合に応じた該検知棒の昇降を上記ブレーキアームの上記軸を支点とする回動として検知するようにしたので、ケーブル弛み検知手段を簡易な構成で実現でき、小型軽量化および低価格化が図られる。
【0046】
また、上記一対のブレーキアームが長さ調整可能に構成されているので、ブレーキアームの長さをケーブルドラムの外径に合わせて調整でき、優れた汎用性が得られる。
【0047】
また、上記検知棒が長さ調整可能に構成されているので、検知棒の長さをケーブルドラムの軸方向長さに合わせて調整でき、優れた汎用性が得られる。
【0048】
また、上記制動手段は、上記ドラム受用軸に供周り可能に、かつ、同軸に取り付けられるブレーキディスクと、上記支持体に取り付けられ、上記ブレーキディスクを挟み込むように配置された一対のシューを有するディスクブレーキと、上記ブレーキアームの上記軸周りの回動量に応じて上記ディスクブレーキに油を圧送して上記一対のシューを作動させるディスクブレーキ駆動手段とから構成されているので、制動手段を簡易な構成で実現でき、小型軽量化および低価格化が図られる。
【0049】
また、上記ドラム受用軸固定手段は、貫通穴が中心に穿設された中空切頭円錐状をなし、小径側を上記ドラム受用軸の他側に向けて該ドラム受用軸の一側から該ドラム受用軸に挿着され、該ドラム受用軸の所定位置に固定される固定側軸受と、貫通穴が中心に穿設された中空切頭円錐状をなし、小径側を上記ドラム受用軸の一側に向けて該ドラム受用軸の他側から該ドラム受用軸に挿着される可動側軸受と、上記ドラム受用軸の上記可動側軸受の外側に固定される固定コマと、上記可動側軸受の上記固定コマ側に螺着され、回転により上記可動側軸受から伸長して上記可動側軸受を上記固定コマから離反する方向に移動させて、上記固定側軸受および上記可動側軸受のそれぞれの小径側を上記ケーブルドラムの中心穴に圧入させる軸受ロック装置とから構成されているので、ドラム受用軸がケーブルドラムに同軸的に一体化され、ケーブルドラムが偏心することなく回転し、ケーブルの安定した繰り出しができる。
【0050】
また、空転防止用爪が上記固定側軸受および上記可動側軸受の外周面に設けられ、上記固定側軸受および上記可動側軸受のそれぞれの小径側が上記ケーブルドラムの中心穴に圧入された際に空転防止用爪が上記ケーブルドラムに食い込むように構成されているので、ケーブルドラムの空回りが確実に防止される。
【0051】
さらに、貫通穴を有し、上記ケーブルドラムのフランジの外周部に装着される固定具と、一端側が上記固定側軸受および上記ドラム受用軸に挿通され、他端側が上記固定具の貫通穴に挿通されるアンクルとを備えたので、ドラム受用軸とケーブルドラムとがドラム受用軸周りの回転方向において強制的に連結され、ケーブルドラムの空回りが確実に防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係るケーブルドラムブレーキ装置をケーブルドラムに装着した状態を示す正面図である。
【図2】 この発明の実施の形態1に係るケーブルドラムブレーキ装置におけるケーブルドラムとドラム受用軸との固定構造を示す斜視図である。
【図3】 図2のIII−III矢視断面図である。
【図4】 この発明の実施の形態1に係るケーブルドラムブレーキ装置における固定コマを示す斜視図である。
【図5】 この発明の実施の形態1に係るケーブルドラムブレーキ装置の主要部を示す分解斜視図である。
【図6】 この発明の実施の形態1に係るケーブルドラムブレーキ装置の主要部を示す断面図である。
【図7】 この発明の実施の形態1に係るケーブルドラムブレーキ装置におけるブレーキアーム周りを示す分解斜視図である。
【図8】 この発明の実施の形態2に係るケーブルドラムブレーキ装置における固定側軸受周りを示す斜視図である。
【図9】 この発明の実施の形態2に係るケーブルドラムブレーキ装置を適用するケーブルドラムの要部を示す断面図である。
【図10】 この発明の実施の形態3に係るケーブルドラムブレーキ装置における固定具を示す斜視図である。
【図11】 この発明の実施の形態3に係るケーブルドラムブレーキ装置における固定具の動作を示す斜視図である。
【図12】 この発明の実施の形態3に係るケーブルドラムブレーキ装置を適用するケーブルドラムの要部を示す断面図である。
【図13】 従来のケーブル延線作業を説明する斜視図である。
1 ケーブルドラム、1b 中心穴、2 ケーブル、3 ドラム受用軸、4 ジャッキ、10 固定側軸受(ドラム受用軸固定手段)、11 可動側軸受(ドラム受用軸固定手段)、12 軸受ロック装置(ドラム受用軸固定手段)、13固定コマ(ドラム受用軸固定手段)、15、16 プレート取付部(ケーブル弛み検知手段、支持体)、20 第1のプレート(ケーブル弛み検知手段、支持体)、22 ディスクブレーキ(制動手段)、23 ブレーキアーム(ケーブル弛み検知手段)、24 ブレーキアーム取付軸、25 油圧タンク(制動手段、ディスクブレーキ駆動手段)、26 操作レバー(制動手段、ディスクブレーキ駆動手段)、27 ロープ(制動手段、ディスクブレーキ駆動手段)、28 パイプ(制動手段、ディスクブレーキ駆動手段)、32 ブレーキディスク(制動手段)、34 第2のプレート(ケーブル弛み検知手段、支持体)、35 ケーブルガイド軸(ケーブル弛み検知手段、検知棒)、36 ケーブルガイドローラ36(ケーブル弛み検知手段、検知棒)、60 アイボルト(ドラム受用軸固定手段、固定具)、61 アンクル(ドラム受用軸固定手段)、63 L型金具(ドラム受用軸固定手段、固定具)。
Claims (7)
- ケーブルが巻回されたケーブルドラムの中心穴に挿通されたドラム受用軸と、
上記ドラム受用軸を上記ケーブルドラムに固定するドラム受用軸固定手段と、
上記ドラム受用軸の両端を回転自在に支持する一対のジャッキと、
上記一対のジャッキに着脱可能に装着され、上記ケーブルドラムから送り出される上記ケーブルの弛み具合を検知するケーブル弛み検知手段と、
上記ケーブル弛み検知手段による上記ケーブルの弛み具合に応じて上記ドラム受用軸の回転を制動する制動手段と、を備え、
上記ドラム受用軸固定手段は、貫通穴が中心に穿設された中空切頭円錐状をなし、小径側を上記ドラム受用軸の他側に向けて該ドラム受用軸の一側から該ドラム受用軸に挿着され、該ドラム受用軸の所定位置に固定される固定側軸受と、貫通穴が中心に穿設された中空切頭円錐状をなし、小径側を上記ドラム受用軸の一側に向けて該ドラム受用軸の他側から該ドラム受用軸に挿着される可動側軸受と、上記ドラム受用軸の上記可動側軸受の外側に固定される固定コマと、上記可動側軸受の上記固定コマ側に螺着され、回転により上記可動側軸受から伸長して上記可動側軸受を上記固定コマから離反する方向に移動させて、上記固定側軸受および上記可動側軸受のそれぞれの小径側を上記ケーブルドラムの中心穴に圧入させる軸受ロック装置とから構成されていることを特徴とするケーブルドラムブレーキ装置。 - 上記ケーブル弛み検知手段は、上記一対のジャッキのそれぞれに着脱可能に装着された一対の支持体と、上記一対の支持体のそれぞれに上記ドラム受用軸の軸方向と平行な軸周りに回動自在に支持された一対のブレーキアームと、上記一対のブレーキアームの先端部間に架設された検知棒とから構成され、上記検知棒を上記ケーブルドラムから送り出される上記ケーブルに載せ、該ケーブルの弛み具合に応じた該検知棒の昇降を上記ブレーキアームの上記軸を支点とする回動として検知するようにしたことを特徴とする請求項1記載のケーブルドラムブレーキ装置。
- 上記一対のブレーキアームが長さ調整可能に構成されていることを特徴とする請求項2記載のケーブルドラムブレーキ装置。
- 上記検知棒が長さ調整可能に構成されていることを特徴とする請求項3記載のケーブルドラムブレーキ装置。
- 上記制動手段は、上記ドラム受用軸に供周り可能に、かつ、同軸に取り付けられるブレーキディスクと、上記支持体に取り付けられ、上記ブレーキディスクを挟み込むように配置された一対のシューを有するディスクブレーキと、上記ブレーキアームの上記軸周りの回動量に応じて上記ディスクブレーキに油を圧送して上記一対のシューを作動させるディスクブレーキ駆動手段とから構成されていることを特徴とする請求項2記載のケーブルドラムブレーキ装置。
- 空転防止用爪が上記固定側軸受および上記可動側軸受の外周面に設けられ、上記固定側軸受および上記可動側軸受のそれぞれの小径側が上記ケーブルドラムの中心穴に圧入された際に空転防止用爪が上記ケーブルドラムに食い込むように構成されていることを特徴とする請求項1記載のケーブルドラムブレーキ装置。
- 貫通穴を有し、上記ケーブルドラムのフランジの外周部に装着される固定具と、一端側が上記固定側軸受および上記ドラム受用軸に挿通され、他端側が上記固定具の貫通穴に挿通されるアンクルとを備えたことを特徴とする請求項1記載のケーブルドラムブレーキ装置。
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