JP4158150B2 - 車高調整装置 - Google Patents

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  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Vehicle Body Suspensions (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアスプリングに対する空気の給排気により車高を調整する車高調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
大型トラック等の車両は、いわゆるエアサスペンションを備えているものが多い。エアサスペンションは、車両のシャーシスプリングとしてエアスプリングを用いるものである。
【0003】
また、トラック等の場合は、積載荷重の大小にかかわらず、車体フレームの高さ(車高)を車軸から所定の高さに維持することにより、所定のサスペンションストロークを確保することができ、乗り心地を向上させるとともに、荷台の振動を有効に低減させることができる。なお、上記所定の高さは基準車高と呼ばれており、その値は車種によって適宜決められている。
【0004】
特に、エアサスペンションを有するトラック等は、エアスプリングに対する空気の給排により、車高を調整可能とした車高調整装置を備えていることが多い。すなわち、この車高調整装置は、例えば、車軸とフレームの間の距離等を検出することで現在の車高を求め、その現在の車高と所定の基準車高とを比較し、現在の車高が基準車高からずれている場合には、エアタンクからエアスプリングへ空気を供給、或いは、エアスプリングから大気中へ空気を排出することにより、車高を一定に保持するような調整を行う。また、従来の車高調整装置の中には、所定時間内の車高平均を求め、その車高平均と基準車高との差に応じて車高調整を行うことにより、例えば、車体が揺動する毎に車高調整が行われてエアタンクの空気が無駄に消費されることを防止可能なものも存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−108731号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、例えばエアタンクが空か若しくは充分に空気が残っていない場合、従来の車高調整装置は、先ずエアタンクに空気を供給すると共に、プレッシャセンサにより当該エアタンクの内圧を測定し、そのエアタンクの内圧が充分な値になった後に、車高調整の制御を開始する。すなわち従来の車高調整装置は、エアタンクの内圧が充分な値になるまで、車高調整ができないという問題がある。
【0007】
本発明は上記の実情に鑑みてなされたものであって、エアタンクが空か若しくは充分に空気が残っていない状態であっても、車高調整の制御を開始することを可能とする、車高調整装置の提供を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エアスプリングに対する空気の給排気により車高を調整可能な車高調整装置であって、圧縮空気を生成するコンプレッサと、上記エアスプリングに対する空気の給排気を制御する給排気制御バルブと、上記コンプレッサと上記給排気制御バルブとの間を接続するエア管路と、上記エア管路の内圧に応じて開閉し、該内圧が所定圧以上になったときには開くプロテクションバルブと、上記プロテクションバルブを介して上記エア管路と接続され、上記エアスプリングへ供給するための圧縮空気を備蓄するエアスプリング用エアタンクと、上記エア管路の内圧値を検出する内圧値検出手段と、上記給排気制御バルブにおける空気の給排気のためのバルブ開閉動作を、上記内圧値検出手段が検出した内圧値に基づいて制御する制御手段と、を有する。
上記制御手段は、上記内圧値検出手段が検出する上記エア管路の内圧値が上記所定圧よりも低い所定の内圧値未満から該所定の内圧値以上となったとき、上記給排気制御バルブの給気制御を開始する。
【0009】
上記構成では、エンジンが停止してコンプレッサが止まり、エア管路の内圧が低下してプロテクションバルブが閉じた停止状態において、エンジンが始動されてコンプレッサが動作を開始すると、コンプレッサからの空気がエア管路に流入し、エア管路の内圧が上昇する。そして、エア管路の内圧値が所定の内圧値以上になり、内圧値検出手段がこれを検出すると、制御手段は、給排気制御バルブの給気制御を開始し、エアスプリングにエアが供給される。また、エア管路の内圧が所定圧(>所定の内圧値)に達するまではプロテクションバルブが閉じた状態に維持され、コンプレッサからの空気がエアスプリング用エアタンクに流入せず、エア管路の内圧が所定圧以上になると、プロテクションバルブが開き、コンプレッサからの空気がエアスプリング用エアタンクに流入して備蓄される。
すなわち、上記停止状態からのコンプレッサの動作開始時において、エアスプリング用エアタンクに十分な空気が備蓄されるのを待つことなく、コンプレッサからの空気をエアスプリングに優先的に流入させて、車高調整を行うことができる。
【0010】
また、本発明は、エアスプリングに対する空気の給排気により車高を調整する車高調整装置であり、上記目的を達成すべく、圧縮空気を生成するコンプレッサと、コンプレッサからの圧縮空気を備蓄してその備蓄した圧縮空気をエアサスペンション用のエア系統とその他のエア系統に供給するためのメインエアタンクと、メインタンクの内圧が第1の所定圧以下になったときには閉じ、第1の所定圧より大きい第2の所定圧以上になったときには開く第1のプロテクションバルブと、エアスプリングに対する空気の給排気を制御する給排気制御バルブと、第1のプロテクションバルブと給排気制御バルブまでの間を接続するエア管路と、エア管路の内圧が第1の所定圧以下になったときには閉じ、第2の所定圧以上になったときには開く第2のプロテクションバルブと、第2のプロテクションバルブを介してエア管路と接続され、エアスプリングへ供給するための圧縮空気を備蓄するエアスプリング用エアタンクと、エア管路とエアスプリング用エアタンクとの間に設けられ、エアスプリング用エアタンクの内圧がエア管路の内圧よりも高いときにのみ開きそれ以外のときには閉じる逆止弁と、給排気制御バルブにおける空気の給排気のためのバルブ開閉動作を制御する制御手段と、エア管路の内圧値を検出する内圧値検出手段とを有する。そして、制御手段は、内圧検出手段が検出した内圧値が第1の所定圧及び第2の所定圧よりも低い第1の内圧値以下になったときには、所定時間経過後に給排気制御バルブの給気制御を停止し、内圧検出手段が検出した内圧値が、第1の所定圧及び第2の所定圧よりも低く且つ第1の内圧値よりも高い第2の内圧値以上になったときには、所定時間経過後に給排気制御バルブの給気制御を開始する。
【0011】
すなわち、上記構成によれば、エアスプリング用エアタンクをバイパスして、コンプレッサと給排気制御バルブとの間がエア管路により接続されており、給排気制御バルブにおける空気の給気制御の開始と停止の制御を、エアスプリング用エアタンクの内圧検出値ではなくエア管路の内圧検出値に基づいて行っているため、車高調整の際に、エアスプリング用エアタンクを介さずに、コンプレッサからの空気を直接、エアスプリングに供給できる。またこの構成によれば、エア管路の内圧が第1の内圧値以下若しくは第2の内圧値以上になってから所定時間が経過するまで待ってから、給排気制御バルブの給気制御の開始と停止を行うようにしているため、エア管路の内圧が変動する度に給排気制御バルブの給気制御の開始と停止が頻繁に繰り返えされることはない。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は、本発明の車高調整装置を備えた一実施の形態としての車両における、エアシステムを模式的に示す図である。なお、本実施の形態では、後軸側の構成のみ示しており、前軸側についてはその図示を省略している。
【0014】
本実施の形態にかかる車両において、後軸は、4つのエアスプリング15〜18を介して図示しないサイドメンバに支持されている。なお、エアスプリング15,16は右後輪用のエアスプリングであり、エアスプリング17,18は左後輪用のエアスプリングである。
【0015】
エアシステムのエア供給側は、圧縮空気を生成するコンプレッサ21と、コンプレッサ21からの空気を備蓄するメインエアタンク1と、エアサスペンション(以下、エアサスとする)用のエアタンク4とを有している。メインエアタンク1とコンプレッサ21は、エア管路22を介して連通状態に接続(以下、単に接続とする)され、また、エア管路23を介して図示しないブレーキ系統を含む低圧力エアシステム系統などと接続され、また、エア管路24を介して第1のシングルプロテクションバルブ25と接続されている。
【0016】
第1のシングルプロテクションバルブ25は、本発明にかかるエア管路51を介して、本発明にかかる給排気制御バルブとして機能するマグネチックバルブ8、及び、第2のシングルプロテクションバルブ26、逆止弁56と接続されている。ここで、当該第1のシングルプロテクションバルブ25は、エア管路24の内圧、つまりメインエアタンクの内圧が第1の所定圧Pc以下のときには閉じられ、第2の所定圧Pd(但しPc<Pd)以上の時には開かれるバルブである。この第1のシングルプロテクションバルブ25は、車両走行中等に何らかの原因によりエア管路24の内圧が第1の所定圧Pc以下になったときに、メインエアタンク1からエア管路51への空気の流出を停止することにより、図示しないブレーキ系統を含む低圧力エアシステム系統などへメインエアタンク1から供給されるエア圧力を保持可能として、車両の安全性を確保する機能を有している。なお、本実施の形態では、第1の所定圧Pcを例えば7kg/cm近傍の値とし、第2の所定圧Pdを例えば8kg/cm近傍の値としている。
【0017】
また、エア管路51には、本発明にかかる内圧検出手段として機能するエアサス制御用プレッシャスイッチ52が設けられている。エアサス制御用プレッシャスイッチ52は、エア管路51の内圧として第1,第2の所定内圧値Pa,Pb(但しPa<Pb)を検出可能なセンサであり、エア管路51の内圧が上記第1の所定内圧値Pa以下になったときにはその旨を表す検出信号(以下、Pa検出信号と呼ぶ)を発生してコントロールユニット30へ送信し、また、エア管路51の内圧が上記第2の所定内圧値Pb以上になった時にはその旨を表す検出信号(以下、Pb検出信号と呼ぶ)を発生してコントロールユニット30へ送信する。なお、当該エアサス制御用プレッシャスイッチ52における上記第1の所定内圧値Pa及び第2の所定内圧値Pbは、上記第1のシングルプロテクションバルブ25の第1の所定圧Pc及び第2の所定圧Pdよりも共に低い値(つまりPa,Pb<Pc,Pd)に設定されている。なお、本実施の形態では、第1の所定内圧値Paを例えば5kg/cm近傍の値とし、第2の所定内圧値Pbを例えば6kg/cm近傍の値としている。
【0018】
第2のシグルプロテクションバルブ26は、エア管路51の内圧が第1の所定圧Pc以下の時には閉じられ、第2の所定圧Pd以上になった時には開かれるバルブである。なお、本実施の形態において、当該第2のシングルプロテクションバルブ26の第1,第2の所定圧Pc,Pdは、第1のシングルプロテクションバルブ25の上記第1,第2の所定圧Pc,Pdとそれぞれ同じ値であるとする。当該第2のシングルプロテクションバルブ26は、エア管路53を介してエアサス用エアタンク4と接続されている。
【0019】
逆止弁56は、エア管路53を介してエアサス用エアタンク4と接続されている。この逆止弁56は、エア管路51の内圧よりもエアサス用エアタンク4の内圧の方が高い場合に開き、エア管路51の内圧よりもエアサス用エアタンク4の内圧の方が低い場合に閉じるバルブである。
【0020】
マグネチックバルブ8は、エア管路9を介してエアスプリング15,16と接続されると共に、エア管路10を介してエアスプリング17,18と接続されている。そして、マグネチックバルブ8は、信号線37を介してコントロールユニット30から送られてくる開閉制御信号により、エア管路51からの空気をエアスプリング15〜18へ給気するか又はエアスプリング15〜18の空気を排気するかの給排気動作が制御される。
【0021】
エア管路9にはその管路の内圧、すなわちエアスプリング15,16の内圧を検出するためのプレッシャセンサ11が設けられ、同様に、エア管路10にはエアスプリング17,18の内圧を検出するためのプレッシャセンサ12が設けられている。そして、各プレッシャセンサ11,12が検出した内圧値は、それぞれ対応する信号線33,34を介してコントロールユニット30へ送られる。
【0022】
また、本発明の車高調整装置には、サイドメンバに対する後軸の高さ位置、すなわち後軸側の車高を検出するためのハイトセンサ13,14が設けられている。なお、ハイトセンサ13は右後輪側の車高を検出し、ハイトセンサ14は左後軸側の車高を検出する。そして、これらハイトセンサ13,14が検出した車高値は、それぞれ対応する信号線31,32を介してコントロールユニット30へ送られる。
【0023】
コントロールユニット30は、本発明にかかる制御手段としての機能を有しており、ハイトセンサ13,14からの現在の車高値と、基準車高の値とが一致するように、エア管路51からの空気をエアスプリング15〜18へ供給したり、或いは、エアスプリング15〜18から大気中へ空気を排出するように、マグネチックバルブ8を制御することで、車高調整の制御を行う。
【0024】
また本実施の形態の車高調整装置のコントロールユニット30は、エアサス制御用プレッシャスイッチ52から信号線55を介して送られてくるPa検出信号やPb検出信号に基づいて、車高調整動作の停止制御や開始制御を行う。具体的に説明すると、上記エア管路51の内圧が上記第1の所定内圧値Pa以下になり、エアサス制御用プレッシャスイッチ52から信号線55を介して上記Pa検出信号が送られてきた場合、コントロールユニット30は、当該Pa検出信号が所定時間Ta継続した後に、マグネチックバルブ8を閉制御する。つまり、本実施の形態のコントロールユニット30は、エア管路51の内圧が第1の所定内圧値Pa以下になってから所定時間Ta経過した場合、エア管路51からの空気をエアスプリング15〜18へ供給することによる車高調整制御を行わないようにする。一方、上記エア管路51の内圧が上記第2の所定内圧値Pb以上になり、エアサス制御用プレッシャスイッチ52から信号線55を介してPb検出信号が送られてきた場合、コントロールユニット30は、当該Pb検出信号が所定時間Tb継続した後に、エア管路51からの空気をエアスプリング15〜18へ供給することによる車高調整制御を開始する。つまり、本実施の形態のコントロールユニット30は、エア管路51の内圧が第2の所定内圧値Pb以上になってから所定時間Tbが経過した場合、現在の車高と基準車高とを一致させる車高調整を開始する。なお、所定時間TaとTbの時間長は同じであっても、又は異なっていても良い。本実施の形態では、所定時間TaとTbの時間長を例えば5秒としている。
【0025】
以下、本実施の形態の車高調整装置において、例えば、エンジンが停止されてコンプレッサ21が止まり、エアサス用エアタンク4内の空気が消費等されて空の状態となった後、エンジンが始動されてコンプレッサ21が動作を開始することで、図1のエアシステムにおいて具体的に各部にどのように空気が供給されて車高調整が可能になるのかを、順を追って説明する。なお、エンジン始動前のエアシステムの状態は、エア管路24の内圧が例えば前記第1の所定圧Pc以下となっており、また、エア管路51の内圧が上記第1の所定内圧値Pa以下になってから所定時間Ta経過しているとする。この場合、第1のシングルプロテクションバルブ25及び第2のシングルプロテクションバルブ26は共に閉じた状態となり、また、マグネチックバルブ8も同様に閉じた状態となる。
【0026】
先ず、エンジンが始動されてコンプレッサ21が動作を開始すると、コンプレッサ21からの空気は、メインエアタンク1内に備蓄されることになる。この場合、第1のシングルプロテクションバルブ25は、エア管路24の内圧、つまりメインエアタンク1の内圧が第2の所定圧Pd以上になるまで閉じた状態を維持する。
【0027】
次に、エア管路24の内圧が第2の所定圧Pd以上になると、第1のシングルプロテクションバルブ25は開くことになる。第1のシングルプロテクションバルブ25が開くと、メインエアタンク1の空気は、エア管路51に流入する。この時、メインエアタンク1に比べて内容積が非常に小さいエア管路51の内圧は、上記エア管路24の内圧と同じ圧まで略々瞬時に上昇することになる。またこの時、エアサス制御用プレッシャスイッチ52は、上記エア管路51の内圧が第2の所定内圧値Pb以上になったことを検出することになり、その結果、コントロールユニット30にはPb検出信号が送られる。ここで、コントロールユニット30は、上記Pb検出信号が所定時間Tbだけ継続するまでは、上記マグネチックバルブ8の閉制御状態を維持する。したがって、当該所定時間Tbが経過するまでの間、メインエアタンク1からエア管路51に流入した空気は、マグネチックバルブ8を介してエアスプリング15〜18側に供給されることはない。一方、この状態の時、エア管路51の内圧は既に前記第2の所定値Pd以上になっているため、第2のシングルプロテクションバルブ26は開き、その結果、エア管路51内の空気、つまり、エア管路24を介したメインエアタンク1からの空気は、エアサス用エアタンク4に流入することになる。このように、本実施の形態の車高調整装置によれば、メインエアタンク1からエア管路51に流入した空気は、所定時間Tbが経過するまでの間、エアサス用エアタンク4に備蓄されることになる。なお、第2のシングルプロテクションバルブ26が開くことで、エア管路24と51の内圧が例えば第1の所定圧Pc以下になる場合には、第1,第2のシングルプロテクションバルブ25,26は共に閉じることになる。また、逆止弁56は、エアサス用エアタンク4の内圧がエア管路51の内圧よりも高くなるまで、閉じた状態を維持している。
【0028】
次に、上記Pb検出信号が供給されて所定時間Tbが経過すると、コントロールユニット30は、車高調整のために上記マグネチックバルブ8の開閉制御を開始する。すなわち、本実施の形態の車高調整装置は、エア管路51の内圧が第2の所定内圧値Pb以上になってから所定時間Tbの経過後には、メインエアタンク1を介したコンプレッサ21からの空気を使用することで、たとえエアサス用エアタンク4内に充分な空気が備蓄されていなかったとしても車高調整を開始する。言い換えると、本実施の形態の車高調整装置は、エアサス用エアタンク4に充分な空気が備蓄されるのを待つことなく、車高調整を行うことができる。
【0029】
当該車高調整を行うことで、例えば、メインエアタンク1の内圧が徐々に低下し、エア管路24及びエア管路51の内圧が上記第1の所定圧Pc以下になった場合、第1のシングルプロテクションバルブ25及び第2のシングルプロテクションバルブ26は共に閉じられる。このように、第1のシングルプロテクションバルブ25及び第2のシングルプロテクションバルブ26が閉じられた状態で、車高調整のためにマグネチックバルブ8が開かれると、内容積の小さいエア管路51の空気は失われ、その結果、エア管路51の内圧は急激に低下することになる。一方、エア管路51の内圧が上記エアサス用エアタンク4の内圧よりも低くなると、逆止弁56が開く。これにより、エア管路51内には、エアサス用エアタンク4の空気が、逆止弁56を通って流入することになる。このように、本実施の形態の車高調整装置は、第1のシングルプロテクションバルブ25及び第2のシングルプロテクションバルブ26が共に閉じられた時には、エアサス用エアタンク4内の空気を車高調整に用いている。そして、当該エアサス用エアタンク4内の空気を用いた車高調整は、エア管路51の内圧が第1の所定内圧値Pa以下になって所定時間Taが経過するまで続けられる。
【0030】
また、上記エアサス用エアタンク4内の空気を用いた車高調整中に、若しくは、エア管路51の内圧が第1の所定内圧値Pa以下になって所定時間Taが経過することで車高調整が停止された後に、上記コンプレッサ21からの空気がメインエアタンク1に備蓄され、当該メインエアタンク1の内圧、つまりエア管路24の内圧が、前記第2の所定圧Pd以上になったならば、第1のシングルプロテクションバルブ25は開かれ、それ以降は上述同様の各動作が行われることになる。
【0031】
なお、本実施の形態のエアシステムにおいて、第1のシングルプロテクションバルブ25及び第2のシングルプロテクションバルブ26が閉じられた状態で、上記車高調整のためにマグネチックバルブ8が開かれた場合、内容積の小さいエア管路51の内圧は、実際には前記第1の所定内圧値Pa以下まで急激に低下することになるが、このとき、エアサス用エアタンク4の内圧よりもエア管路51の内圧が低くなって逆止弁56が開き、エア管路51内にエアサス用エアタンク4の空気が流入すると、当該エア管路51の内圧は、エアサス用エアタンク4の内圧と略々同じ圧になる。そして、当該エアサス用エアタンク4の内圧が前記第1の所定内圧値Pa以上の空気圧であれば、このエア管路51の内圧も瞬時にその第1の所定内圧値Pa以上の空気圧となる。すなわち、第1のシングルプロテクションバルブ25及び第2のシングルプロテクションバルブ26が閉じられた状態で、上記車高調整のためにマグネチックバルブ8の開閉動作が行われると、内容積の小さいエア管路51の内圧は、例えば第1の所定内圧値Pa以下や第2の所定内圧値Pb以上に激しく変動することになる。したがって、コントロールユニット30が、例えば、エアサス制御用プレッシャスイッチ52からPa検出信号やPb検出信号が供給されたのと同時に、車高調整の停止制御や開始制御を行うものであったとすると、マグネチックバルブ8が頻繁に開閉制御されることになり好ましくない。これに対して、本実施の形態によれば、車高調整の停止制御や開始制御の際に、前記所定時間TaやTbの待ち時間を持たせるようにしているため、上記マグネチックバルブ8が頻繁に開閉制御されてしまう問題は起きない。
【0032】
以上説明したように、本実施の形態の車高調整装置によれば、エアサス用エアタンク4に充分な空気が備蓄されるのを待つことなく、コンプレッサ21からの空気を用いて、車高調整制御を開始することができる。また、本実施の形態の車高調整装置によれば、コントロールユニット30は、内圧検出用センサであるエアサス制御用プレッシャスイッチ52からのPa検出信号やPb検出信号に応じた車高調整の開始や停止の制御開始タイミングに、前記所定時間TaやTb分のフィルタ(遅延)をかけているため、内容積が小さく圧力変動が激しいエア管路51の内圧検出値を、内容積の大きなエアサス用エアタンク4の内圧検出値と略々等価に利用可能となっている。
【0033】
なお、上述した実施の形態の説明は、本発明の一例である。このため、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることはもちろんである。本実施の形態では、後軸側のみ説明しているが、本発明の車高調整装置は、前軸についても同様の車高調整を行う。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、給排気制御バルブにおける空気の給気制御の開始と停止、つまり車高調整制御の開始と停止の制御を、エア管路の内圧に基づいて行っており、エア管路を介してコンプレッサから直接エアスプリングへ空気を注入できるため、エアサスペンション用のエアタンクが空か若しくは充分に空気が残っていない状態であっても、車高調整の制御を開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施の形態の車高調整装置を備えた車両のエアシステムを模式的に示す全体図である。
【符号の説明】
1 メインエアタンク
4 エアサス用エアタンク
8 マグネチックバルブ
11,12 プレッシャセンサ
13,14 ハイトセンサ
15〜18 エアスプリング
9,10,22〜24,51,53 エア管路
21 コンプレッサ
25,26 第1,第2のシングルプロテクションバルブ
30 コントロールユニット
31〜34,37,55 信号線
52 エアサス制御用プレッシャスイッチ
56 逆止弁

Claims (4)

  1. エアスプリングに対する空気の給排気により車高を調整可能な車高調整装置であって
    圧縮空気を生成するコンプレッサと、
    上記エアスプリングに対する空気の給排気を制御する給排気制御バルブと、
    上記コンプレッサと上記給排気制御バルブとの間を接続するエア管路と、
    上記エア管路の内圧に応じて開閉し、該内圧が所定圧以上になったときに開くプロテクションバルブと、
    上記プロテクションバルブを介して上記エア管路と接続され、上記エアスプリングへ供給するための圧縮空気を備蓄するエアスプリング用エアタンクと、
    上記エア管路の内圧値を検出する内圧値検出手段と
    上記給排気制御バルブにおける空気の給排気のためのバルブ開閉動作を、上記内圧値検出手段が検出した内圧値に基づいて制御する制御手段と、を有し、
    上記制御手段は、上記内圧値検出手段が検出する上記エア管路の内圧値が上記所定圧よりも低い所定の内圧値未満から該所定の内圧値以上となったとき、上記給排気制御バルブの給気制御を開始する
    ことを特徴とする車高調整装置。
  2. 請求項1記載の車高調整装置であって、
    上記エア管路とエアスプリング用エアタンクとの間に設けられ、上記エアスプリング用エアタンクの内圧が上記エア管路の内圧よりも高いときに開き、低いときに閉じる逆止弁をさらに有する
    ことを特徴とする車高調整装置。
  3. 請求項1又は請求項2記載の車高調整装置であって、
    上記制御手段は、上記内圧検出手段が検出した内圧値が上記所定の内圧値以上になってから所定時間継続した後に給気制御を開始する
    ことを特徴とする車高調整装置。
  4. エアスプリングに対する空気の給排気により車高を調整する車高調整装置において、
    圧縮空気を生成するコンプレッサと、
    上記コンプレッサにより生成された圧縮空気を備蓄し、その備蓄した圧縮空気をエアサスペンション用のエア系統とその他のエア系統に供給するためのメインエアタンクと、
    上記メインタンクの内圧が第1の所定圧以下になったときには閉じ、上記メインエアタンクの内圧が第1の所定圧より大きい第2の所定圧以上になったときには開く、第1のプロテクションバルブと、
    上記エアスプリングに対する空気の給排気を制御する給排気制御バルブと、
    上記第1のプロテクションバルブと上記給排気制御バルブの間を接続するエア管路と、
    上記エア管路の内圧が第1の所定圧以下になったときには閉じ、上記第2の所定圧以上になったときには開く、第2のプロテクションバルブと、
    上記第2のプロテクションバルブを介して上記エア管路と接続され、上記エアスプリングへ供給するための圧縮空気を備蓄するエアスプリング用エアタンクと、
    上記エア管路と上記エアスプリング用エアタンクとの間に設けられ、上記エアスプリング用エアタンクの内圧が上記エア管路の内圧よりも高いときにのみ開き、それ以外のときには閉じる逆止弁と、
    上記給排気制御バルブにおける空気の給排気のためのバルブ開閉動作を制御する制御手段と、
    上記エア管路の内圧値を検出する内圧値検出手段とを有し、
    上記制御手段は、上記内圧検出手段が検出した内圧値が、上記第1の所定圧及び第2の所定圧よりも低い第1の内圧値以下になったときには、所定時間経過後に上記給排気制御バルブの給気制御を停止し、上記内圧検出手段が検出した内圧値が、第1の所定圧及び第2の所定圧よりも低く且つ上記第1の内圧値よりも高い第2の内圧値以上になったときには、所定時間経過後に上記給排気制御バルブの給気制御を開始する
    ことを特徴とする車高調整装置。
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