JP4157800B2 - 光走査装置、画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタル複写機およびレーザプリンタ等の画像形成装置、さらに光走査型のバーコード読み取り装置や車載用のレーザレーダ装置等へも応用が可能な光走査装置及び該光走査装置を用いた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の光走査装置においては光ビームを走査する偏向器としてポリゴンミラーやガルバノミラーが用いられているが、より高解像度な画像と高速プリントを達成するにはこれらミラーの移動速度をさらに高速にしなければならず、ミラーを支える軸受の耐久性やミラーの風損による発熱、騒音等の問題が生ずることから、高速走査に限界がある。
【0003】
これに対し、近年シリコンマイクロマシニングを利用した光偏向器の研究がすすめられており、Si基板で振動ミラーとそれを支持する捩り梁を一体形成した方式が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。これら提案技術によれば共振を利用して往復振動させるので高速動作が可能であるにもかかわらず、騒音が低いという利点がある。さらに振動ミラーを回転する駆動力も小さくて済むので消費電力も低く抑えられる。一方、この振動ミラーにおいて剛性を確保しつつ慣性モーメントを低減する方法として、ミラー基板の裏側を肉抜きする構造が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
上記したように振動ミラーを利用することで、従来のポリゴンミラーを用いる方法に比べ小型で消費電力が少ない光走査装置を提供することができるが、これらの振動ミラーは振れ角が小さく、反射面の大きさにも限界があるため、光路長の短い複数の光走査装置を並列に配置することで構成画像を主走査に分割し、各々の記録幅を小さくして繋ぎ合わせる方式が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0005】
しかし、振動ミラーを複数個用い、分割走査する際の問題点として以下の2点が挙げられる。
(1) 複数用いる振動ミラーの共振周波数のばらつき
(2) 振動ミラー駆動時のミラー面の動的変形
上記(1) の共振周波数のばらつきが大きいと、複数の振動ミラーを共通の駆動周波数で駆動できないという問題がある。また上記(2) に関しては、振動ミラー自体100μm以下の薄い基板であり、捩り梁を捩って回動させる振動モードでの回転トルクに対して、振動ミラーの自由端部側には反回転方向に慣性力が働くため、S字状に変形され捩り回転方向(主走査方向)に面がうねり、動的変形を生じさせる。この変形量は振動ミラーの振幅に伴い回動方向が逆転する瞬間、つまり振れ角が最大の時に最も大きくなり、水平に近づくにつれて小さくなる。この変形によりミラー面は凹面鏡または凸面鏡として作用し、画像端にいくほど結像位置、いわゆるピント位置が被走査面からずれることになる。
【0006】
特に、複数の振動ミラーを並列配置した構成では、隣接する走査領域の境界部において一方が走査開始側、他方が走査終端側となるため、変形方向が互いに逆となり結像位置が逆方向にずれることで、被走査面上のスポット径の差によって濃度変化が生じ、画像上継ぎ目が縦筋となって目立ちやすくなるという問題がある。
【0007】
共振周波数のばらつきに対する対応策としては、ミラー形状の加工ばらつきを抑えるか、ばらつきを吸収する手段を用いる必要がある。ばらつき吸収手段としては、共振点で走査しないで、共振点から外れた平坦な周波数特性(f-θ)領域[共振外安定領域]を用いる方法がある。この[共振外安定領域]は広いほど良いが、この領域を広げる為には、共振点での利得を抑えた平坦な周波数特性にすれば良い。具体的には、振動ミラーを内包する揺動空間の気圧を高く調整し、粘性抵抗を大きくしていけば良い。
【0008】
しかしながら、気圧を高くし、粘性抵抗を大きくすると、振動ミラー駆動時のミラー面の動的変形が更に増加するという問題を生じてしまう。
振動ミラーの動的変形対応策としては、以下が考えられる。
▲1▼変形低減案(ミラー自体の変更による)
▲2▼変形補正案(外的要因を印加することによる)
ミラーの動的変形が発生する要因としては、ミラー駆動時に発生する慣性力及び残存する気体による粘性抵抗力が考えられるので、
▲1▼の変形低減案としては、変形に対する剛性を確保しつつ、慣性モーメントを低減する方法があり、これは前述の特許文献3に開示がある。
【0009】
また、真空雰囲気にすることにより粘性抵抗を下げる技術もある(例えば、特許文献1、5参照)。▲2▼の変形補正案としては、電気的、物理的な力を印加する等が考えられる。
以上のように、共振周波数のばらつき対応策とミラー面の動的変形対応策について、粘性抵抗は相反する作用を生じるという課題がある。
【0010】
一方、ミラーの全面に対して均一に静電力を作用させて振動させる技術がある(例えば、特許文献6参照)。この技術では、ミラーの全面に静電力を作用させる電極基板がミラーの振れの中心位置の下を屋根の頂上としてミラーの振れ方向に傾斜した形状で形成され、この電極基板上に絶縁材料を介してミラー面に対向して電極が配置されている。しかし、薄膜の電極、絶縁材料を複層に構成する製造という複雑が製造工程を経なければならない。
【0011】
【特許文献1】
特許第2924200号公報
【特許文献2】
特許第3011144号公報
【特許文献3】
特開2001−249300号公報
【特許文献4】
特開2001−228428号公報
【特許文献5】
特開平8−334722号公報
【特許文献6】
特開2002−48998号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、製造が比較的容易な、振動ミラーの一部に回動の駆動力を作用させる構成の振動ミラーを前提とし、ミラー配置環境での流体の粘性抵抗をミラー面の動的変形に対する変形補正に用いることにより、粘性抵抗により平坦な周波数特性を得る時の問題点であるミラーの動的変形を低減することにより、共振外安定領域を広げ、かつミラー面の動的変形の小さい光走査装置、該光走査装置を用いた画像形成装置を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を達成するため以下の構成とした。
(1).光ビームを反射するミラー面を有する振動ミラーと、前記振動ミラーを揺動自在に支持する捩り梁と、前記振動ミラーを囲むことで該振動ミラーの揺動空間を形成するパッケージ部材とを具備し、該振動ミラーの一部に揺動の駆動力を作用させる光走査装置において、前記パッケージ部材の中、振動ミラーを間にして対向する部分の前記パッケージ部材が、前記振動ミラーの捩り回転方向に該振動ミラーからの距離が一定ではない断面形状を有すると共に前記振動ミラーには貫通穴が形成されていて、この貫通穴は多数の小径穴からなり、前記捩り梁から該振動ミラー両側の自由端に進むにつれて、該小径穴が密に形成されていることとした(請求項1)。
(2).(1)に記載の光走査装置において、前記貫通穴は光のビーム径よりも小さいこととした(請求項2)。
(3).(1)又は(2)に記載の光走査装置において、前記パッケージ部材中、前記振動ミラーのミラー面に対向する部位には、振動ミラーとの間で光ビームを往復反射する対向ミラーを有することとした(請求項3)。
(4).(1)乃至(3)の何れかに記載の光走査装置において、前記振動ミラーを囲むことで該振動ミラーの揺動空間を形成するパッケージ部材は、振動ミラーを密閉封止した構造であることとした(請求項4)。
(5).(4)に記載の光走査装置において、前記振動ミラーを囲むことで該振動ミラーの揺動空間を形成するパッケージ部材の、前記振動ミラーを収めた室は、別の気密室と連通して気密が保持されていることとした(請求項5)。
(6).(4)又は(5)に記載の光走査装置において、前記振動ミラーの揺動空間には不活性ガスが導入されて、密閉封止されていることとした(請求項6)。
(7).(1)乃至(6)の何れかに記載の光走査装置において、前記振動ミラーを囲むことで該振動ミラーの揺動空間を形成するパッケージ部材の、前記振動ミラーを収めた室は、外界と連通していることとした(請求項7)。
(8).光ビームを反射するミラー面を有する振動ミラーと、前記振動ミラーを揺動自在に支持する捩り梁と、前記振動ミラーを囲むことで該振動ミラーの揺動空間を形成するパッケージ部材と具備した光走査装置において、前記振動ミラーには貫通穴が形成されていてこの貫通穴は多数の小径穴からなり、前記捩り梁から該振動ミラー両側の自由端に進むにつれて該小径穴が密に形成されていることとした(請求項8)。
(9).光走査装置を用いて静電像が形成される感光体と、静電像をトナーで顕像化する現像手段と、顕像化されたトナー像を記録紙に転写する転写手段とを有する画像形成装置において、前記光走査装置として、前記請求項1乃至8の何れかに記載の光走査装置を用いていることとした(請求項9)。
【0014】
【発明の実施の形態】
振動ミラーの全面でなく、一部に回動(振動)の駆動力を作用させて振動を行わせる振動ミラーを用いた技術において、振動ミラーの共振周波数ばらつきを吸収する手段として、振動ミラーを内包する揺動空間の気圧(粘性抵抗)を調整し、共振点での利得を抑えた平坦な周波数特性を用いる方法がある。前記周波数特性の平坦な領域[共振外安定領域]を拡大する為には、揺動空間の気圧を高めに設定する。
【0015】
しかし、気圧が高い(粘性抵抗が大きい)場合は、振動ミラーの動的変形が大きくなるという問題がある。振動ミラーの動的変形低減には、その発生要因である慣性モーメントと粘性抵抗に対する対応策が必要になる。慣性モーメントに対しては、ミラー形状に工夫を加えて慣性モーメントを下げる従来技術があるが、以下に述べる本発明の実施形態では粘性抵抗による振動ミラー変形を低減させる。
【0016】
その手段は、1つは振動ミラーを内包する密閉空間の形状を工夫し、粘性抵抗を補正するのであり、もう1つは振動ミラー形状を工夫し、振動ミラーにかかる粘性抵抗を部分的に小さくするのである。以上の方法により、気圧を高くして、平坦な周波数特性を得る時の問題点である振動ミラーの動的変形を低減することができる。以下に、実施の形態を説明する。
【0017】
はじめに、共振周波数のばらつきに対する対応策について簡単に説明する。振動ミラー形状の加工ばらつきに起因する周波数ばらつきはおよそ300Hz発生するので、このばらつきを吸収する手段を用いる必要がある。
【0018】
図1における符号a、b、cは、各振動ミラーの周波数特性(駆動周波数[f]と振れ角[θ]の関係を示す特性:f-θ特性)の個体ばらつきを示す。各振動ミラー共に、共振点で振れ角(θ)が最も大きくなるが、駆動している駆動周波数がこの共振点に対応する駆動周波数(f)からが少しでもずれると振れなくなるか、或いは極端に振れ角が減少する。このため、例えば、上記a、b、cの3つの周波数特性の各振動ミラーについて、ある特定値の駆動周波数を設定しても、全部について同等の振れ角(θ)を得ることはできないばかりか、その駆動周波数では駆動できない振動ミラーが存在してしまう。
【0019】
このような振動ミラー個体のばらつきを容認した上で、ばらつきを吸収する手段としては、共振点での駆動周波数では走査せずに、図1中に示される共振点から外れた、勾配の緩やかな平坦に近い曲線部に相当する周波数特性(f-θ)領域(以下、「共振外安定領域」という)に着目すると、かかる「共振外安定領域」では駆動周波数が異なる値でも振れ角(θ)の変動量は少ないことがわかる。しかも、各振動ミラー共に、かかる「共振外振動領域」が同じ駆動周波数帯に重なっている。そこで、「共振外安定領域」で各振動ミラーを駆動すれば、略一定範囲の振れ角を得ることができると考えられる。
【0020】
図1の例では、「共振外安定領域」の中心値である駆動周波数2.5kHzを中心とした一定の範囲の駆動周波数で各振動ミラーを駆動したとき、各振動ミラーの振れ角を5°前後の略一定の範囲で振動させることができる。
【0021】
周波数特性として、「共振外安定領域」が広い特性を有する振動ミラーほど、個体のばらつきが大きい場合にも所定の振れ角を得ることができ、特性のばらつきに対処可能となるので好ましいといえる。この「共振外安定領域」を広げる為には、製造される任意の振動ミラーについて、共振点での利得を抑えた平坦な周波数特性にすればよい。
【0022】
具体的には図2に示すように、振動ミラーを収めた空間の封止気圧、つまり、「揺動空間の気圧」が高いときの周波数特性a'から「揺動空間の気圧」が低いときの周波数特性c'、これらの中間の周波数特性b'を比較することでわかるように、振動ミラーを内包する揺動空間の気圧を高く調整し、振動ミラーが位置する環境流体の粘性抵抗を大きくしていけば、「共振外安定領域」を大きくとることができ、各振動ミラー個体のばらつきがあっても、一定の駆動周波数で所期の振れ角を得ることができる。
【0023】
しかしながら、「揺動空間の気圧」を高くし、粘性抵抗を大きくすると、振動ミラー駆動時におけるミラー面の動的変形が更に増加してしまうという新たな問題が起きる。これは、前記した特許文献6に開示されるように、ミラー面全面に駆動力を作用させるタイプの振動ミラーとは異なり、振動ミラーの一部に静電力などによる揺動の駆動力を作用させるタイプの振動ミラーを対象とする本発明の振動ミラーに固有の問題である。
【0024】
以上のように、共振周波数のばらつき対応策とミラー面の動的変形対応策について、粘性抵抗は相反する作用を生じる。そこで、本発明は粘性抵抗をミラー面の動的変形の補正に用いることにより、動的変形を低減しようとしている。
【0025】
具体的には、振動ミラーの上下に面し、揺動空間を形成するパッケージ部材の形状を、振動ミラーの捩り回転方向に振動ミラーからの距離が一定ではない断面形状にすることにより、振動ミラーが捩り回転した時、移動する気体がパッケージ部材にあたってかえってくる粘性抵抗の反(作用)力を、捩り回転方向(主走査方向)に発生するミラーの動的変形の補正に利用する(ダンピング効果)ことを主な内容とするものである。
【0026】
図3に慣性力による振動ミラーの動的変形を有限要素法で数値計算した時の、概略形状を示す。図3において、x、y座標軸の原点Oの位置にある捩り梁(図示されず)を中心に振動ミラーが正逆方向に回動、つまり、振動(揺動)する。
【0027】
振動ミラーは、振動モードにおいて、該振動ミラーの一部に振動のための駆動力が作用する。このとき、振動モードでの回転トルクに対して、振動ミラーを支える捩り梁を支点として、振動ミラーの自由端部側には反回転方向に慣性力が働くため、振動ミラーは図3に外形を示すようにS字状に変形されて捩り回転方向(主走査方向)に面がうねり、動的変形を生じさせている。すなわち、図3において、振動ミラーに矢印で示す時計回りの向きの捩り回転トルクが作用するとき、振動ミラーの自由端部側には反時計回りの向きに、矢印で示すように慣性トルクが作用するため、振動ミラーは曲線dで示すS字状の傾向に変形する。
【0028】
また、揺動空間に流体(気体)が存在している場合、振動ミラーが捩り回転する際には、振動ミラーを支持する捩り梁を支点として、振動ミラーの自由端部側には、反回転方向に粘性抵抗が強く働くために、上記S字状の変形がより大きくなる。
【0029】
そこで、図3において、振動ミラーが捩り回転した時、この回転に伴い移動する気体が該振動ミラーに対面して揺動空間を構成するパッケージ部材に当たって返ってくる「粘性抵抗の反(作用)力」を、捩り回転方向(主走査方向)に発生するミラーの動的変形の補正に利用できる点に着目し、上記変形を補正しない状態での曲線dで示すS字状の変形が、補正後の曲線eに補正されるようにパッケージ部材を工夫した。
【0030】
[1] 光走査装置
本発明の光走査装置の構成を説明する。最初に、本発明に係る振動ミラー及び揺動空間を形成するパッケージ部材に関して特徴的な実施例を例示していき、最後に本発明の光走査装置を用いた画像形成装置の一例として、レーザプリンタについて、全体構成及び動作を含めて例示する。
【0031】
以下では、振動ミラーは静電気力を振動ミラーの全部ではなく、一部に作用させて振動駆動させる静電駆動型の振動ミラーを用いた場合で説明する。しかしながら、静電駆動型に限らず、例えば、ピエゾ駆動素子など、駆動手段としては、その他のタイプの駆動手段を用いる振動ミラーでも本発明を適用できる。
【0032】
1.1 光走査装置の構成
図4、図5にその例を示す。図4に本発明の第1の例としての光走査装置1Aを上からみた状態を図4に、この図4の光走査装置1Aを中心から左右方向に切断したときのA-A'断面を図5に示している。
【0033】
図4、図5を参照するに、光走査装置1Aは、一番下から上に向けて、順にそれぞれ矩形の概形をしたベース基板2A、第1基板3、第2基板4、透明基板5Aの順に積層した構造になっている。
【0034】
ベース基板2Aの中央部には矩形の凹部2-1が形成されている。この凹部2-1は、後述する振動ミラー3-3の捩り梁3-2を中心とする振動を妨げない広さと深さを有している。この凹部2-1の左右方向外側にはそれぞれ丸い貫通穴からなる開口2-2、2-3が形成されていて、絶縁材2-4、2-5が充填されており、該絶縁材2-4、2-5の中心部を挿通して棒状のリード端子2-6、2-7が絶縁保持されている。
【0035】
第1基板3の中央部には、該第1基板3と一体に捩り梁3-2及び短冊状のミラー基板3-1が形成されている。つまり、第1基板3の中央部は、捩り梁3-2及びミラー基板3-1を残して、中抜きされている。この中抜きされた中抜き開口を後述する図16に符号3-17で示す。短冊状をしたミラー基板3-1の中央部は、これと一体の捩り梁3-2を介して揺動可能に当該第1基板3に両持ち支持されている。
【0036】
ミラー基板3-1の上側表面部はミラー面3-10になっており、振動ミラー3-3は表面にミラー面3-10が形成されたミラー基板3-1により構成されている。図4、図5において、ミラー基板3-3の左端部には櫛歯状の第1可動電極3-4、右端部には櫛歯状の第2可動電極3-5が形成されている。
【0037】
これら第1可動電極3-4、第2可動電極3-5には、それぞれ、これら第1可動電極3-4、第2可動電極3-5の櫛歯状の形状と非接触で噛み合う形状で第1固定電極3-6、第2固定電極3-7が形成されている。第2基板4の中央部には捩り梁3-2を支軸として回動する振動ミラー3-3の揺動を妨げない大きさの矩形の開口4-1が形成されている。
【0038】
透明基板5Aは、振動ミラー3-3を保護すると共に、外部からの光ビームを振動ミラー3-3に入射させ、振動ミラー3-3からの反射光を外部に取り出すことができるように透明となっている。
【0039】
図5において、第1基板3には、第1固定電極3-6、第2固定電極3-7の各外側の位置に、縦長の形状をした矩形の開口3-8、3-9が形成されている。第1基板3は、これら開口3-8、3-9の内側部および外側の全周囲を、図中において太線で描き起こして示すように絶縁膜で被われている。
【0040】
第2基板4についても、同様に開口4-1の内側及び外側の全周囲を、太線で描き起こして示すように、全周囲を絶縁膜で被われている。但し、第1基板3に形成された開口3-8、3-9に対向する一回り小さい縦長の矩形領域4-2、4-3については、絶縁膜が除去されて電気的に導通状態の矩形領域が形成されている。
【0041】
これら絶縁膜がない矩形領域4-2、4-3の中心部は、前記したリード端子2-6、2-7に対向する位置に対応しており、これら各リード端子2-6、2-7の各先端部に設けられた、先端部曲面形状を有するはんだボール6と接触して導通がとられていて、該第2基板4に形成されている後述の第3固定電極4-4、第4固定電極4-5に対して振動ミラー駆動用の電圧を印加することができるようになっている。
【0042】
第2基板4について、第1基板3の第1固定電極3-6、第2固定電極3-7それぞれ対向した位置には、第1可動電極3-4、第2可動電極3-5と非接触状態で噛み合い、かつ、通過可能なように、第1固定電極3-6、第2固定電極3-7と同一形状、同一ピッチ、同一位相、で櫛歯状の第3固定電極4-4、第4固定電極4-5が形成されている。
【0043】
第2基板4について、少なくとも矩形領域4-2及び第3固定電極4-4を共通に囲みかつ、開口4-1と連通するようにして、第2基板4を貫通する絶縁溝4-6が形成されている。同様に、少なくとも矩形領域4-3及び第4固定電極4-5を共通に囲みかつ、開口4-1と連通するようにして、第2基板4を貫通する絶縁溝4-7が形成されている。
【0044】
図4、図16において、第1基板3について、捩り梁3-2の軸長手方向で下側に位置する該捩り梁3-2の基端部を囲みかつ、当該第1基板3の中抜き開口3-17(図16参照)と連通するようにして絶縁溝3-11が形成されている。また、第1基板3について、この絶縁溝3-11の外側には第5固定電極3-12が形成されており、この第5固定電極3-12は第1基板3を介して第1固定電極3-6、第2固定電極3-7とそれぞれ共通に導通されている。
【0045】
図4、図16において、第1基板3について、捩り梁3-2の軸長手方向上で上側に位置する該捩り梁3-2の基端部及び該基端部の近傍に設けた第6固定電極3-13を共通に囲みかつ、当該第1基板3の中抜き開口3-17(図16参照)と連通するようにして絶縁溝3-14が形成されている。この第6固定電極3-13は捩り梁3-2を介して振動ミラー3-3の第1可動電極3-4、第2可動電極3-5とそれぞれ共通に導通されている。
【0046】
第5固定電極3-12、第6固定電極3-13に対する電圧の印加等は、前記矩形領域4-2、4-3における通電手段と同様の構成からなる、リード端子2-6'、2-7'及びはんだボール6'を用いて行われる(図13参照)。
【0047】
図4、図5、図16により理解されるように、ベース基板2A、第1基板3、第2基板4、透明基板5Aの順にこれら基板を一体的に積層した構成により、捩り梁3-2を含む振動ミラー3-3は、凹部2-1、中抜き開口3-17、開口4-1等により連通して形成される気密室内に位置する。
【0048】
ここで、ベース基板2A、第1基板3、第2基板4、透明基板5Aなどは、振動ミラー3-3を囲むことで該振動ミラーの揺動空間を形成するパッケージ部材の一例を構成している。
【0049】
第1可動電極3-4、第2可動電極3-5、第1固定電極3-6、第2固定電極3-7、第3固定電極4-4、第4固定電極4-5に時間的に変化する電圧を加えることで、これら可動電極と固定電極間に、静電力を作用させて、振動ミラー3-3を捩り梁3-2を軸として振動させる。振動ミラー3-3が配置された空間はある程度の真空度による気密が保持されている構成である。
【0050】
以上が、本例にかかる光走査装置の基本的な構成である、光ビームを反射するミラー面3-10を有する振動ミラー3-3と、前記振動ミラー3-3を揺動自在に支持する捩り梁3-2と、前記振動ミラー3-3を囲むことで該振動ミラー3-3の揺動空間を形成するパッケージ部材(ベース基板2、第1基板3、第2基板4、透明基板5A)とを具備し、該振動ミラー3-3の一部に揺動の駆動力を作用させる光走査装置1の基本構成である。なお、上の基板は、本例では透明基板5Aとし、全体を透明としたが、これに限らず、振動ミラーに光ビームを入射させるために必要な部分についてだけ、透明とする構成でもよい。
【0051】
以下に、さらに説明を補足する。
【0052】
パッケージ部材を構成する、ベース基板2A、第1基板3、第2基板4、透明基板5A等の各基板相互の接合は、はんだ接合、ガラス接合、エポキシ接着剤接合等から基板材質に合った好適な接合を選択してやればよい。
【0053】
図5において、第1基板3と第2基板4を含めてマイクロミラー001と称する。各基板は、絶縁材を間にして2枚のシリコン基板をサンドイッチ状に挟んで構成したSOI(Silicon On Insulator)基板を用いて作製されている。振動ミラー3-3を構成している上下2枚の基板およびこれら基板間の絶縁材からなる基板の構成は、第1基板3と同じである。上側のシリコン基板及び絶縁材に対してエッチング加工を用いて溶解処理することで現れる下側の基板の上側の面にミラー面3-10が形成され、また、該下側の基板に捩り梁3-2が形成されている。
【0054】
前記したように、第1基板3と第2基板4には振動ミラー3-3側の櫛歯状の第1可動電極3-4、第2可動電極3-5に対向する位置に櫛歯状の第1固定電極3-6、第2固定電極3-7及び第3固定電極4-4、第4固定電極4-5が形成されている。
【0055】
このように、これら電極形状は櫛歯形状にすることにより、駆動電圧を低減することができる。ここではSOI基板で構成される第1基板3と第2基板4の両方の基板とも低抵抗の基板(導体)を用いており、特別に金属を形成せず、基板自体が電極を兼ねている。
【0056】
その為、第1基板3については、第1可動電極3-4、第2可動電極3-5と第1固定電極3-6、第2固定電極3-7とを絶縁分離する手段として基板にスリット溝(絶縁溝3-11、3-14)を形成することで絶縁分離の機能を得ている。
【0057】
また、本例では、上記したように、エッチング処理により、SOI基板の基板界面をミラー面として用いた場合を例示している。振動ミラー3-3において、下向きの裏面には、図5に示すように、捩り梁3-2と平行にリブRBを形成して、ミラーの軽量化を行いつつ剛性を確保している。
【0058】
マイクロミラー001の上下に位置する透明基板5A及びベース基板2はマイクロミラー001(厳密には振動ミラー3-3)の揺動空間を形成するパッケージ部材としての役目を兼ねている。
【0059】
1.1a (第1例)請求項1
図5にその例を示す。図5において、ベース基板2Aについて、凹部2−1の底部であって振動ミラー3−3と対向する部分の形状を、捩り梁3−2を中心とする振動ミラー3−3の、矢印で示す捩り回転方向に該振動ミラー3−3からの距離が一定でない形状、詳しくは、振動ミラー3−3を軸支する捩り梁3−2から両側の自由端に向かって、振動ミラー3−3からの距離が離れる傾向に変化する断面形状2−8にしている。
【0060】
表現を変えれば、捩り梁3-2の真下に位置する凹部2-1の底部を山の頂上として振動ミラー3-3の両端側へ進むにつれて下降する傾斜の山形にしてある。この形状は、凹部2-1内において、紙面を貫く方向について一定である。山形の形状は、連続的、断続的、直線的、或いは曲線的の何れも態様も可能である。
【0061】
このように、振動ミラー3-3を間にして上下に位置するパッケージ部材の何れか又は一方の形状を、振動ミラー3-3を軸支する捩り梁3-2から両側の自由端に向かって、振動ミラー3-3からの距離が離れた断面形状にすることで、大きい空間領域を設定して動的変形が大きい振動ミラー3-3の両側の自由端にかかるダンピング効果を減じてやることにより、動的変形を低減することができる。
【0062】
ミラー上下方向に不均一な部材を配置し、ダンピング効果を大きく受ける振動ミラーの両端部での空間領域を広げ、振動ミラーが捩り回転した時、移動する気体がパッケージ部材にあたってかえってくる粘性抵抗の反(作用)力を減じてミラーの動的変形を低減しているのである。
【0063】
1.1b (第2例)請求項1
図6にその例を示す。本例の光走査装置1Bは、上からみた構成は図4に示した光走査装置1Aと共通であるが、A−A’断面構造が図6に示すようになっている。
【0064】
図5に示した光走査装置1Aとの関係では、マイクロミラー001など構成は同じである。光走査装置1Aでは、振動ミラー3-3の下側のベース基板2Aのみ、その断面形状にダンピング効果をもたせるように、山型の傾斜をもたせていた。図5の例との共通構成部分については、同じ符号を付して説明は可能な限り省略する。 図6に示す光走査装置1Bでは、振動ミラー3-3の上側で対向する透明基板5Bについても、下側のベース基板2-8と対称の傾向の断面形状としたものである。
【0065】
つまり、図5の光走査装置における透明基板5Aに代えて設けた図6に示す透明基板5Bについて、開口4-1の天井に相当する、振動ミラー3-3と対向する部分の形状が、捩り梁3-2を中心とする振動ミラー3-3の、矢印で示す捩り回転方向に該振動ミラー3-3からの距離が一定でない形状、詳しくは、振動ミラー3-3を軸支する捩り梁3-2から両側の自由端に向かって、連続的(直線的或いは曲線的)に振動ミラー3-3からの距離が離れた断面形状5B-8にしている。
【0066】
表現を変えれば、捩り梁3-2の真上が最も振動ミラー3-3に近く、振動ミラー3-3の両端側へ進むにつれて振動ミラー3-3から遠ざかる傾斜となるような断面形状5B-8にしてある。山形を逆さにした形状である。この形状は、図6において開口4-1の範囲で紙面を貫く方向に一定である。
【0067】
本例では、振動ミラー3-3を挟む上下2つの基板(透明基板5Aとベース基板2)について、振動ミラーに作用するダンピング効果が減じられるように、山形の傾斜をもたせたので、その効果も大であるが、透明基板5Aについては、光ビームの入出射側なので、山形の傾斜をもたせると、光ビームの光路上に挿入するレンズ等の設計が煩雑になる。レンズ等の設計が複雑になるのを好まない場合には、ベース基板2Aのみについて図5に示した形状とする。
なお、図6において、図5で説明した内容と共通の構造部分については、図5に示したものと同じ符号を付して、説明を省略した。
【0068】
1.1c (第3例)請求項1
図7にその例を示す。本例の光走査装置1Cは、上からみた構成は図4に示した光走査装置1A、1Bと共通であるが、A−A’断面構造が図7に示すようになっている。
【0069】
前記図5に示した光走査装置1Aは、振動ミラー3-3の下側のベース基板2A側のみ、その断面形状にダンピング効果をもたせるように、山形の傾斜をもたせた。これに対し、図7に示す光走査装置1Cでは、マイクロミラー001の構成は同じであり、図5に示した光走査装置1Aにおけるベース基板2Aに代えてベース基板2Bを設けた。それ以外は図5に示した構成と同じであり、共通の部材については同じ符号を付し、可能な限り説明は省略する。
【0070】
図7に示した本例のベース基板2Bの特徴的な形状は、捩り梁3-2から該振動ミラー3-3両側の自由端までの間に該振動ミラー3-3からの距離が最も近い形状、つまり、凹部2-1内で紙面を貫く方向に同一形状の凸条部2B-9、2B-10を形成した。
【0071】
さらに、該振動ミラー3-3の長手方向両側の自由端側に該振動ミラーからの距離が最も離れた形状を形成した。この形状部分を図7において符号2B-11、2B-12で示す。符号2B-11、2B-12で示した形状部分は、例えば、該当部分の凹部2-1におけるベース基板2Bの肉厚を、上記自由端側に進むにつれて次第に薄くすることで形成することができる。
【0072】
振動ミラーを軸支する捩り梁と両側の自由端の間が振動ミラーからの距離が最も近く、両側の自由端側が振動ミラーから最も離れた断面形状にしたことにより、振動ミラーの両側の自由端側の部分ではダンピング効果を減じ、かつ、捩り梁と両側の自由端の間の部位(この部位は、図3におけるS字形の変形量が最も大きい部位に相当する。)でのダンピング効果を利用する。こうして、捩り梁3-2と両側の自由端の間がダンピング効果が大きく、自由端側は小さくすることにより、ミラーの動的変形をより効果的に減少させることができる。つまり、振動ミラーの部位に応じて、ダンピング効果を減じさせる箇所とダンピング効果を強化する箇所を積極的につくり、効果的に振動ミラーの変形を減少させる。
【0073】
1.1d (第4例)請求項1
図8にその例を示す。本例の光走査装置1Dは、上からみた構成は図4に示した光走査装置1A、1B、1Cと共通であるが、A−A’断面構造が図8に示すようになっている。本例は、図7における光走査装置1Cの変形例であり、図7における透明基板5Aに代えて透明基板5Cを設けた。マイクロミラー001をはじめ、他の構成は図7におけると同じであり、共通の部材については同じ符号を付し、可能な限り説明は省略する。
【0074】
つまり、ベース基板2Bの他に、透明基板5Cについても、捩り梁3-2から該振動ミラー3-3両側の自由端までの間に該振動ミラー3-3からの距離が最も近い形状、つまり、開口4-1内で紙面を貫く方向に同一形状の凸条部5C-9、5C-10を形成した。
【0075】
さらに、該振動ミラー3-3の長手方向両側の自由端側に該振動ミラー3-3からの距離が最も離れた形状を有することとした。この形状部分を図8において符号5C-11、5C-12で示す。符号5C-11、5C-12で示した形状部分は、例えば、該当部分の開口4-1に対応する透明基板5Cの肉厚を、前記自由端側に進むにつれて次第に薄くすることで形成する。
【0076】
本例では、ベース基板2Bだけでなく、透明基板5Cについても形状に特殊性を与えたので、捩り梁と両側の自由端の間がダンピング効果大きく、自由端側は小さくする作用が大きい。振動ミラーの部位に応じて、ダンピング効果を減じさせる箇所とダンピング効果を強化する箇所を上下の基板において積極的につくり、効果的に振動ミラーの変形を減少させる。
【0077】
1.1e (第5例)請求項1
図9にその例を示す。本例は、ベース基板の形状を変えた例であり、前記図7で説明した構成の変形例であり、図9に示したように、パッケージ部材の断面形状が連続的に(なだらかに)変化している点に特徴がある。本例の光走査装置1C’を上からみた構成は図4に示した光走査装置1A、1B、1Cと共通であるが、図4におけるA−A’矢視断面の構成は図9に示すようになっており、前記図7との関係ではベース基板2Bに代えてベース基板2B’を用いている。これ以外の構成は図7の例と同じである。
【0078】
マイクロミラー001をはじめ、他の構成は図7におけると同じであり、共通部材については、図7におけると同じ符号を付し説明は可能な限り省略する。図9において、ベース基板2B'の特徴は、振動ミラー3-3を軸支する捩り梁3-2と両側の自由端の間が振動ミラー3-3に最も近く、両側の自由端側が最も離れた断面形状を形成し、振動ミラーからの距離が最も近い形状から最も離れた形状へと連続的(直線的或いは曲線的)に変化する形状としている。
【0079】
本例では、図7の例における凸条部2B-9、2B-10に対応する部分がなだらかな山状をした凸条部2B'-9、2B'-10を構成している。これらの凸条部2B'-9、2B'-10の山裾部であって振動ミラー3-3の両側自由端側に向かう部位について振動ミラー3-3から次第に離れる形状になっており、連続的な形状変化となるようにしてある。振動ミラー3-3から最も離れた部位の形状部分を符号2B'-11、2B'-12で示す。
【0080】
図3において、振動ミラーはS字状になだらかに変形しているので、これを補正するためのパッケージ部材の形状もなだらかな形状とすることで、流体によるそのダンピング効果がなだらかな形状に沿って連続的に作用する為に、動的変形の低減に対してより効果的である。このような連続的な形状の作製方法としては、連続形状部のみ樹脂モールド等で別途作製し、ベース基板に接合しても良い。
【0081】
1.1f (第6例)請求項1
図10にその例を示す。本例は、ベース基板及び透明基板に形成されるダンピング効果を補正するための形状の他の例である。本例の光走査装置1D’は、上からみた構成は図4に示した光走査装置1A、1B、1C、1C’、1Dと共通であるが、A−A’断面構造が図10に示すようになっている。本例は、図9における光走査装置1C’の変形例であり、図9における光走査装置1C’において、透明基板5Aに代えて透明基板5C’を設けた。マイクロミラー001をはじめ、他の構成は図9におけると同じであり、共通の部材については同じ符号を付し、可能な限り説明は省略する。
【0082】
つまり、ベース基板2B'の他に、透明基板5C'についても、振動ミラー3-3を軸支する捩り梁3-2と両側の自由端の間が振動ミラー3-3に最も近く、両側の自由端側が最も離れた断面形状を形成し、振動ミラー3-3からの距離が最も近い形状から最も離れた形状へと連続的(直線的或いは曲線的)に変化する形状としている。
【0083】
本例では、図9の例における凸条部2B'-9、凸条部2B'-10に対応する部分がなだらかな山形をした凸条部5C'-9、凸条部5C'-10を構成している。これらの凸条部5C'-9、凸条部5C'-10の山裾部であって振動ミラー3-3の両側自由端側に向かうに従い、振動ミラー3-3から次第に離れる形状になっており、連続的に形状が変化するようにしてある。振動ミラー3-3から最も離れた部位の形状部分を符号5C'-11、5C'-12で示す。
【0084】
このように、連続的に(なだらかに)変化する形状で振動ミラーを上下から挟むように構成することにより、流体によるそのダンピング効果が振動ミラー面に沿って連続的にかつ、十分に作用し、振動ミラー動的変形の低減に対してより効果的である。
【0085】
振動ミラーに対する動的変形の低減に対して振動ミラー面に対し連続的な変形防止の力が振動ミラーに対向している上下の基板(透明基板5C'、ベース基板2B')の各なだらかな山形の凸条部により作用してより効果的な補正が可能である。このような連続的な形状の作製方法としては、連続形状部のみ樹脂モールド等で別途作製し、ベース基板に接合しても良い。
【0086】
1.1g (第7例)請求項1、2、8
図11、図12にその例を示す。本例は、これまで説明した各光走査装置において(1)パッケージ部材が振動ミラーの捩り回転方向に該振動ミラーからの距離が一定ではない断面形状とした構成と共に適用することで振動ミラーの変形低減効果を得ることができることはもちろんであるが、(2)パッケージ部材が振動ミラーの捩り回転方向に該振動ミラーからの距離が一定の断面形状とした構成(請求項8)においても適用することにより振動ミラーの変形低減効果を得ることができる。
【0087】
本例は、振動ミラー3-3に貫通穴を形成したものである。これにより、振動ミラー3-3が捩り回転する時に受ける粘性抵抗力を効果的に低減することができる。
【0088】
例えば、図4乃至図10におけるマイクロミラー001、より詳細には、振動ミラー3-3に、光ビーム径よりも小さい貫通穴3-15を形成していることである。図11は、これまで説明した光走査装置の中、マイクロミラーに相当する部分を取り出して示した平面図であり、図12は同図のA―A'矢視断面図である。
【0089】
図11、図12において、ここでは、上記▲1▼、▲2▼の2ケースを一緒に説明するため、特徴部分の構成である、これまでの説明で出てきたマイクロミラーの部分だけを取り出してこれを符号001'とし、また、振動ミラーについては符号3-3'を付している。
【0090】
振動ミラーに貫通穴3-15が形成されている他は、本例にかかるマイクロミラー001'の基本的な構成は、前記図4乃至図10に示したマイクロミラー001と同じである。よって、その構成部分についても共通部分を含み、共通の部材について、これまでと同じ符号で示して説明は省略する。
【0091】
図11、図12において、第1基板3Aは、振動ミラー3-3'に貫通穴3-15が形成されている他は、これまでの説明における第1基板3と全く同じ構成であり、その詳細構成部分について、これまでの第1基板3におけるものと同じ符号を付してある。
【0092】
振動ミラー3-3に形成する貫通穴3-15はその数を問わず、一定の効果はあるが、本例では、複数形成しており、しかも該振動ミラー3-3を軸支する捩り梁3-2から両側の自由端に向かって、次第に単位面積当たりの貫通穴数が多くなる傾向、つまり、形成密度が高く、密になるように形成している。
【0093】
振動ミラー3-3が捩り回転する時に受ける粘性抵抗力による変形は図3に示したように、捩り支点からの距離が離れた両端部に至る程大きい傾向があるので、貫通穴の形成密度もこの傾向に合わせることで、効果的な変形低減が行われる。
【0094】
ここで、貫通穴3-15の穴径は、入射する光ビームを回収できるように、該光ビームの径よりも小さくしている。
【0095】
このように、振動ミラーに形成した貫通穴3-15は、それ自体で粘性抵抗力を効果的に低減することから、上記第1例〜第5例のように、パッケージ部材の形状に特徴を持たせた構成と組み合わせて実施する場合(上記▲1▼のケース)に限らず、パッケージ部材の形状が従来通りの構成の光走査装置(上記▲2▼のケース)についても実施することで、簡易な構成で実施による利益を得ることができる。
【0096】
1.1h (第8例)請求項3
その例を図13、図14に示す。本例は、図4乃至図12等で説明したパッケージ部材の1つである、振動ミラーの上側に対向配置された基板に対して適用可能である。図13は、図4において捩り梁3−2と平行に該捩り梁3−2の中心を通る矢視B−B’を切断ラインとする断面図である。
【0097】
図13において、振動ミラー3-3のミラー面3-10に対向するパッケージ部材である基板5Dは、その下面が平坦であり、その中央部には捩り梁3-2と直交する方向(紙面を貫く方向)にわたり、光ビームの透過が可能なスリット窓5D-1が形成されている。ここで、スリット窓といっても、基板5Dに実際に外界と連通する開口が形成されているわけではなく、光ビームだけが通過できる光学的なスリットとすることで、振動ミラーを密閉空間に保持している。
【0098】
本例では、基板5Dの裏面であって、後述する対向ミラー014と対向ミラー014'との間に位置し、かつ、該基板5Dの上面と平行な略矩形の領域をスリット窓5D-1としている。
【0099】
基板5Dは下面には、このスリット窓5D-1を介して導かれた光ビームを振動ミラー3-3との間で往復反射してから射出するように、スリット窓5D-1を間にして傾斜面に反射層を付して形成した第1対向ミラー014、第2対向ミラー014'を設けている。
【0100】
基板5D全体を透明部材で製作し、第1対向ミラー014、第2対向ミラー014'に相当する傾斜面に反射材を塗布することにより、結果的に上記のようなスリット窓5D-1が形成される。
【0101】
図14に拡大して示すように、下向きの矢印で示す入射ビームは、ミラー面3-10と第1、第2対向ミラー014、014'間で反射を繰り返す光路をたどり、上向きの矢印で示す射出ビーム光走査装置より射出されるが、この反射を繰り返す毎に、入射ビームの振れ角に対する射出光の振れ角を増大させることができ、走査角を振動ミラーによるものだけの走査角よりもはるかに増大させることができる。
【0102】
このように第1、第2対向ミラー014、014'を設け、当該光走査装置に入射してくる光ビームを振動ミラーと第1、第2対向ミラー間で往復反射させる構造としているので、光ビームの走査角をより増大させることができる。
【0103】
振動ミラーは、そのものの振れ角を大きくすることで、走査角を大きくすることができるのであるが、ダンピング効果による変形量も増大する。本例の利用形態として、ダンピング効果による変形量をある程度抑えることができる範囲まで、走査角を減じつつ、かつ、これまで説明したパッケージ部材の形状にかかる本発明を組み合わせることで、振動ミラーの変形を一層小さくして、所望の走査角を得ることができる。
【0104】
1.1i (第9例)請求項4〜7
これまで説明した第1例〜第8例の光走査装置において、振動ミラー3−3の上方に設けられているパッケージ部材としての透明基板が無い構成、つまり、外界と連通した単純な構成とし、大気中で振動ミラー3−3を動作させる構成とすることもできる。このように、透明基板が無い状態、つまり、振動ミラーを大気中で使用する場合でもベース基板について前記第1例〜第8例に準じた構成とすることにより、ミラーの動的変形に対して効果的である。
【0105】
しかしながら、振動ミラーの環境からの悪影響を排除するためには、パッケージ部材にて振動ミラーを密閉封止した構造とすることが好ましい。密閉封止された構造とすれば、外部の気流による粘性抵抗の変動が無いので、それに起因する共振周波数のズレやミラーの変形等が無いので、安定したミラーの動作特性が得られる。また、その他の外部環境(温度、湿度、ごみ等)に対しても、安定したミラーの動作特性が得られる。
【0106】
振動ミラー3-3を囲むことで振動ミラーの揺動空間を形成するパッケージ部材の、振動ミラー3-3を収めた室(これまでの例で透明基板、ベース基板などで囲まれた室)は、図4乃至図13等の各図で示したように、光走査装置本体内にて気密室を構成するようにしてもよいが、他の例として、各図においてパッケージ部材により形成される振動ミラーを収めた気密室を、別に設けた気密室と連通して気密が保持される構成とすることもできる。
【0107】
その一例としては、例えば、複数の光走査装置を用いる場合、任意の光走査装置において振動ミラーを収めた気密室と、他の光走査装置における振動ミラーを収めた気密室とを連通した構成にすることが考えられる。
【0108】
かかる構成により、任意の一つの気密室の圧力や、後述する不活性ガス封入時の条件を整えることで、各室も同じ条件にしやすくなり、調整が簡単であるという利益を得る。
【0109】
上記振動ミラー3-3を収めた室における密閉封止空間は不活性ガス(Ar、N2、SF6等)で封入されていることが望ましい。不活性ガスで封入することにより、腐食や酸化等の無い安定な状態に保つことができる。また、振動ミラーの駆動力として本例のように静電引力を用いる場合、電極間で発生する放電に対して耐性を上げることができる。
【0110】
[2] 画像形成装置
本例は、請求項9に対応する。
【0111】
以下では、これまでに説明した構成の光走査装置(振動ミラーモジュール)およびこれに走査用レンズなどの光学系を組み合わせた光走査手段、該光走査手段を搭載した画像形成装置の一例としてのレーザプリンタの構成について説明する。
【0112】
2.1 光走査手段を構成する光走査装置
図15は、前記した各例の光走査装置のうち、第1基板3、第2基板4と、これらに、パッケージ部材を構成する上部基板として、図13、図14で説明した基板5D、パッケージ部材を構成するベース基板として図7、図8に例示したベース基板2Bを組み合わせて構成した光走査装置であり、ここでは振動ミラーモジュール130として説明する。部材の組み合わせが異なるだけで、その構成の詳細については既に述べた内容と共通である。
【0113】
図15において、振動ミラーを構成する基板は、2枚のSi基板である第1基板3、第2基板4を酸化膜等の絶縁膜を介して接合して構成されている。第1基板3は、厚さ60μmのSi基板からなり、可動ミラーとしての振動ミラー3-3および同一直線上で軸支する捩り梁3-2を、エッチングにより形成している。つまり、第1基板3から、該振動ミラー3-3および捩り梁3-2の部分が残るように、その周囲を第1基板から抜き取ることで形成している。第1基板3のうち、振動ミラー3-3および捩り梁3-2を除く部分を以下では、固定枠と称し、符号3-16で示している。
【0114】
振動ミラー3-3は捩り梁3-2に対して対称に形成され両端の縁部および対向する固定枠3-16の内辺には数μmのギャップを有して振動ミラー3-3側の櫛歯状の凹凸(可動電極3-4、3-5)と互い違いに噛み合うよう櫛歯状の凹凸による固定電極3-6、3-7を形成している。
【0115】
振動ミラー3-3の表面における反射面の形成にいくつかの方法があり、ここでは、Au等の金属被膜が蒸着されて反射面がつくられ、図16、図17に示すように各基板を絶縁層を介して接合した状態で島状に分離することで基板そのものを個別に電極として形成している。
【0116】
図16において、振動ミラー両端の凹凸部を第1、第2可動電極3-4、3-5(説明では便宜上分けているが同電位)、これら第1、第2可動電極3-4、3-5に対向する固定枠3-16の凹凸部を第1、第2固定電極3-6、3-7となす。
【0117】
また、図15、図17において、第2の基板4は厚さ140μmのSi基板からなり、エッチングにより中央部を所定の形状部分を残して繰り抜いた構成とし、上記固定枠3-16に形成した凹凸部と重なり合う内辺には外郭が一致するように櫛歯状に凹凸を形成することで、前記第1、第2固定電極3-6、3-7と同様に第3、第4固定電極4-4、4-5となし、振動ミラー3-3の揺動に沿って第1、第2可動電極3-4、3-5が噛み合うように通過する。
【0118】
本例では、第1、第2固定電極3-6、3-7には同位相の電圧パルスを印加し、第3固定電極4-4には第1、第2固定電極3-6、3-7に印加する電圧パルスよりも進んだ位相の電圧パルス、第4の固定電極4-5には第1、第2固定電極3-6、3-7に印加する電圧パルスよりも遅れた位相の電圧パルスが印加される。
【0119】
図18には振動ミラーの振れ角に対応して各電極間に発生する静電トルクの様子を示す。図19に電極部の断面を示す。図中、下向きの矢印で示すように左回り方向の静電トルクTを正としている。
【0120】
▲1▼振動ミラー3-3は初期状態では水平であるが、第3固定電極4-4に電圧を印加すると対向する第1可動電極3-4との間で負の方向での静電力を生じ、捩り梁3-2をねじって回転され、捩り梁3-2の戻り力と釣り合う振れ角まで傾く。
【0121】
▲2▼上記第3固定電極4-4の電圧が解除されると捩り梁3-2の戻り力で振動ミラー3-3は水平に戻るが、水平に戻る直前に第1、第2固定電極3-6、3-7に電圧を印加することによって正の方向での静電力を生じ、水平に戻る。
【0122】
▲3▼引き続き、第4の固定電極4-5に電圧を印加することによってさらに正の方向での静電トルクを増し、捩り梁3-2をねじって回転され、捩り梁3-2の戻り力と釣り合う振れ角まで傾く。
【0123】
▲4▼第4の固定電極4-5の電圧を解除すると、捩り梁3-2の戻り力で振動ミラー3-3は水平に戻るが、水平に戻る直前に第1、第2固定電極3-6、3-7に電圧を印加することによって負の方向での静電力を生じ、水平に戻る。
【0124】
▲5▼第3固定電極4-4に電圧を印加すると対向する第1可動電極3-4との間で負の方向での静電力を生じ、捩り梁3-2をねじって回転される。
【0125】
上記のように、電極の切り換えを繰り返し行うことで、振動ミラー3-3をその両端の可動電極が対向する第1、第2固定電極を抜ける振れ角、実施例では約2°が確保されるように往復振動させる。
【0126】
ここで、振動ミラー3-3の慣性モーメント、捩り梁3-2の幅と長さを、走査する所望の駆動周波数に合わせ、捩り梁3-2を回転軸とした1次共振モードの帯域にかかるよう設計することによって、励振されて著しく振幅が拡大され、振動ミラー3-3両端の第1、第2可動電極3-4、3-5が対向する第3、第4固定電極4-4、4-5を抜ける振れ角まで拡大させることができる。
【0127】
これによって、第3、第4固定電極4-4、4-5を抜けた振れ角でも水平に戻す方向、この場合には、第3固定電極4-4第1可動電極3-4を引くように、つまり、振動ミラー3-3に正の方向での静電力を生じさせるので、静電トルクの働く振れ角範囲を拡大でき共振周波数を外れた駆動周波数においても大きな振れ角が維持できる。
【0128】
図20には駆動周波数に対する振れ角の特性を示すが、駆動周波数を共振周波数に一致させれば、最も振れ角が大きくとれるが、共振周波数付近においては急峻に振れ角が変化する特性を有する。
【0129】
従って、初期的には振動ミラーの駆動制御部において固定電極に印加する駆動周波数を共振振動数に合うよう設定することができるが、温度変化等で共振周波数が変動した際には振れ角が激減してしまうことで経時的な安定性に乏しいという欠点がある。
【0130】
また、後述する実施例のように複数の振動ミラーを有する場合には、各々に固有の共振振動数がばらつくため、共通の駆動周波数で駆動できないという問題がある。
【0131】
そこで、実施例では、駆動周波数を振動ミラーと捩り梁からなる振動部固有の共振周波数近傍で、比較的振れ角変化の少ない、共振周波数から高めに外れた周波数帯域に設定しており、共振周波数2kHzに対し駆動周波数は2.5kHzとし、振れ角は印加電圧のゲイン調整により±5°に合わせている。
【0132】
この際、振動ミラーの加工誤差による共振振動数のばらつき、実施例では300Hz、温度による共振周波数の変動、実施例では3Hz、があっても駆動周波数がいずれの共振周波数にもかからないような周波数帯域、共振周波数2kHzであれば2.303Hz以上、または1.697Hz以下に設定することが望ましい。
【0133】
いま、振動ミラーの寸法を、縦2a、横2b、厚さd、捩り梁の長さをL、幅cとするとSiの密度ρ、材料定数Gを用いて、
慣性モーメントI=(4abρd/3)・a^2
バネ定数K=(G/2L)・{cd(c^2+d^2)/12}
となり、共振振動数fは、
f=(1/2π)・(K/I)^1/2 =(1/2π)・{Gcd(c^2+d^2)/24LI}^1/2
ここで、梁の長さLと振れ角θは比例関係にあるため
θ=A/I f^2 、Aは定数
で表され、振れ角θは慣性モーメントIに反比例し、共振振動数fを高めるには慣性モーメントを低減しないと振れ角θが小さくなってしまう。
そこで、実施例では振動ミラー反射面の裏側の基板厚dを格子状に残し、それ以外をd/10以下の厚さまでエッチングにより肉抜きすることで、慣性モーメントを約1/5に低減している。
これらの慣性モーメントに利くパラメータ、ねじり梁の寸法誤差等が共振周波数のばらつきを発生させる要因となる。
一方、空気の誘電率ε、電極長さH、印加電圧V、電極間距離δとすると
電極間の静電力F=εHV^2/2δ
となり、振れ角θ=B・F/I 、Bは定数とも表され、電極長さHが長いほど振れ角θが大きくなり、櫛歯状とすることで櫛歯数nに対して2n倍の駆動トルクを得ている。
このように外周長をできるだけ長くして電極長をかせぐことで、低電圧でより大きい静電トルクが得られるように配慮している。
【0134】
ところで、振動ミラーの速度υ、面積Eに対して、空気の密度ηとすると
空気の粘性抵抗P=C・ηυ^2・E^3 、Cは定数
が振動ミラーの回転に対向して働く。
【0135】
本例では、第1、第2基板3、4が接合されてなる振動ミラー基板(マイクロミラー101)を、中央部に凹状に振動ミラーの揺動空間を形成し、リード端子を備えたベース基板2B上に、反射面を上側に向け、ベース基板2Bの外縁に形成された一対のV溝(2B-1、2B-2)を結ぶ直線上にねじり梁3-2を合わせて、第1基板3の下面を基準にして装着し、また、第2基板4の上面にキャップ状に成形されたカバーである基板5Dを接合して振動ミラー202の揺動空間が密封されるようにしており、揺動空間には不活性ガスを封入し、気密封止を行なっている。気圧は、駆動電圧等も考慮し、0.1〜10torr程度の範囲で適切に調整する。光ビームは、カバーに形成されたスリット窓5D-1を通じて入出射される。
図15において、基板5Dの内側には、振動ミラー3-3と対向して対向ミラー014、014'が、捩り梁3-2と直交する方向に一体的に形成されている。2枚の対向ミラー014、014'はスリット窓5D-1を挟んで屋根状に144.7°の角度をなすよう基板面より各々9°、および26.3°傾けた傾斜面に、金属被膜を蒸着して対の反射面として配備した構成となす。スリット窓5D-1の部分には上記の金属被膜が無い。よって、光ビームをスリット窓5D-1を通り抜けることができる。
【0136】
基板5D-1の底面は振動ミラー面3-10と平行に形成され、第2基板4の枠部上面に当接して接合されるが、この際、第2基板4には対向ミラーを位置決めするための指標4-8が両サイドにエッチングによって描かれ、これに対向ミラー014、014'のエッジを合わせるように基板上でアライメントしており、主走査方向に対向ミラー014、014'の方向を正確に合わせることができる。
【0137】
2.2 光走査手段
図21は、光走査装置に走査光学系を含めた光走査手段の副走査断面図、図22は光走査手段の分解斜視図、図23は光学素子の配置を示す。図21〜図23において、光源である半導体レーザ101は、フレーム部材102に立設された壁に配備された段付きの貫通穴103に反対側からステム外周を基準に圧入され、段差部に鍔面を突き当てて光軸方向を位置決めする。U字状の凹部105にはUV接着剤を介してカップリングレンズ110の光軸が半導体レーザ101からの射出軸と合うように、また、射出光束が平行光束となるように発光点との光軸方向の位置決めを行い、凹部とカップリングレンズ110との隙間のUV接着剤を硬化させて固定する。
【0138】
本例の場合、3つの光源部を有するが、全て同一構成である。
カップリングレンズ110より射出した光ビームは、一対の取付斜面109に接合配備され副走査方向に負の曲率を有するシリンダミラー136に入射され、副走査方向において振動ミラー面で集束する集束光束として振動ミラーモジュール(光走査装置)130のスリット窓5D-1から入射される。
【0139】
振動ミラーモジュール130は、ねじり梁3-2の方向が光軸方向に合うように、フレーム底面側に設けられた段付きの角穴104の裏側よりベース基板2Bの外縁を基準に位置決めされ、段差部に鍔面を突き当てて振動ミラー面の位置を合わせ、本例の場合、均等間隔に3つの振動ミラーモジュール130が単一のフレーム部材102により位置決めされる。
【0140】
各振動ミラーモジュール130はプリント基板112に、ベース基板2Bの底面から突出したリード端子を各々スルーホールに挿入して半田付けし、フレーム部材102の下側開口をふさぐように基板上面を当接して固定すると同時に、回路接続がなされる。
【0141】
プリント基板112には半導体レーザの駆動回路、振動ミラーの駆動回路を構成する電子部品、および同期検知センサ113が実装されており、外部回路との配線が一括してなされる。
【0142】
一端をプリント基板112に結線されたケーブル115は半導体レーザ101のリード端子と接続されている。
【0143】
図21は光走査手段の副走査断面を示す。半導体レーザ101から射出した光ビームはカップリングレンズ110、シリンダミラー136を介して、振動ミラー3-3に対し捩り梁を含む副走査断面内(副走査断面については図23参照)で法線に対して副走査方向に約20°傾けてスリット窓5D-1より入射され、図14で説明したように、ミラー面3-10に入射した光ビームは反射されて第1の対向ミラー014に至り、ここで反射されて振動ミラー3-3に戻され、さらに反射した光ビームはスリット窓5D-1を超えて第2の対向ミラー014'に入射され、振動ミラー3-3との間で3往復しながら反射位置を副走査方向に移動させ、合計5回の振動ミラーでの反射により再度、スリット窓5D-1から射出される。
【0144】
本例ではこのように複数回反射を繰り返すことで、振動ミラーの振れ角が小さくても大きな走査角が得られるようにし、光路長を短縮している。いま、振動ミラーでの総反射回数N、振れ角αとすると、走査角θは2Nαで表せる。
【0145】
本例では、N=5、α=5°であるから最大走査角は50°となり、その内35°を画像記録領域としている。 共振を利用することで印加電圧は微小で済み発熱も少ないが、上式から明らかなように記録速度、つまり共振周波数、が速くなるに従って捩り梁のばね定数Kを高める必要があり振れ角がとれなくなってしまう。そこで、上記したように対向ミラー014、014'を設けることで走査角を拡大し、記録速度によらず必要十分な走査角が得られるようにしている。
【0146】
また、屋根状に対向して反射面を構成し、振動ミラーへの副走査方向での入射角度が繰り返し反射毎に正負、言いかえれば、反射に伴う進行方向が右向き、左向き、に振り分けるようにすることで、斜入射に伴う被走査面での走査線の曲がりを抑え、直線性を維持するとともに、光軸と直交する面内での光束の回転が射出時にはもとの姿勢に戻るようにして結像性能の劣化がおきないよう配慮している。
【0147】
図22において、ピンフォトダイオードによる同期検知センサ113は、隣接する振動ミラーモジュール130で共用する中間位置と両端位置に配置され、各光走査モジュール130の走査係止側と走査終端側とで光ビームが検出できるように計4箇所に実装されている。第2の走査レンズ117の射出面側には各レンズの走査領域間にV字状の高輝アルミ薄板を貼り付けるミラー受け部128がハウジング106に形成され、高輝アルミ薄板によって反射した光ビームが走査領域間に形成された開口部129およびフレーム部材102の矩形穴150を通って各々の同期検知センサ113へ導かれるように、隣接する光走査手段の走査開始側と走査終端側に対応した反射面が向かい合って配置されている。
【0148】
図21において、フレーム部材102は、ある程度剛性が確保できるガラス繊維強化樹脂やアルミダイキャスト等からなり、両端部には画像形成装置本体の構造体に取付けるためのフランジ部131、133が形成され、一方、フランジ部131には基準穴を備えその内径に固定ネジ132の軸部を嵌合させ、もう一方のフランジ部133には長穴を備え固定ネジ132を貫通して各々バネ座金134を介して感光体に対向させて固定する。
【0149】
この際、基準穴を回転軸としたガタ分で被走査面(感光体)において各振動ミラーモジュール130のいずれかで走査された走査線が被走査面の移動方向yと直交する方向xに平行となるよう調節される(図23参照)。
【0150】
フレーム部材102の上面は角穴104の裏側に設けられた各振動ミラーモジュール130のミラー法線方向の突き当て面と平行な面となし、走査レンズを収納するハウジング106の底面より突出した2本の突起135をフレーム部材102の係合穴に挿入して同面上での位置決めを行い、4隅をネジ止めして配備される。実施例では、ネジ137はフレーム部材の貫通穴を介してプリント基板112に螺合され、フレーム部材を挟むようにこれら3つの部材を一体的に結合され、この後に上記半田付けがなされる。
【0151】
ハウジング106には結像手段を構成する第1の走査レンズ116、第2の走査レンズ117が主走査方向に配列され、各々の走査領域がわずかに重なるように位置決めされて一体的に保持される。
【0152】
第1の走査レンズ116は副走査方向基準面の中央に突出され主走査方向の位置決めを行う突起120、および両端を係合して光軸方向の位置決めを行う平押面119を入射面側、出射面側各々に備え、ハウジング106に一体形成された溝122に突起120を係合し、一対の切欠121の各々に各端の平押面119を挿入し波板バネ143で入射面側に押し付け同面内での姿勢を保持することで、光軸と直交する同一面に走査レンズ同士の相対的な配置を合わせ、副走査方向基準面をハウジング106から突出した一対の突起142の先端に突き当てることで、光軸と直交する面内での位置決めがなされて副走査方向の設置高さが決定され、カバー138と一体形成された板バネ141で押圧支持される。
【0153】
一方、第2の走査レンズ117は同様に副走査方向基準面の中央に突出され主走査方向の位置決めを行う突起123、両端に光軸方向の位置決めを行う平押面144を備え、ハウジングに一体形成された溝122に突起123を係合し、切欠121に平押面144を挿入し波板バネ143で出射面側に押し付け姿勢を保持するとともに、副走査方向基準面をハウジング106から突出した突起145および副走査方向に繰り出し自在な調節ネジ146の先端に突き当てて設置高さを位置決めし、カバー138と一体形成された板バネ141で押圧支持される。147はカバー138を固定するネジである。
【0154】
各走査は振動ミラー3-3が一旦、負の最大振れ角まで振れた状態を走査開始端として、水平な状態で画像中央を通過し、正の最大振れ角で走査終端となるように行われるが、振動ミラー3-3自体100μm以下と薄い基板で作製されており、その過渡状態では、振動ミラーの回転軸に近い領域には捩り梁のねじり振動に対応して回転トルクが、また、回転軸から離れた外周領域にはそれと相反する方向に慣性トルクが働くため、振動ミラー3-3は図24に示すように捩り梁3-2に直交する断面ではS字状に変形する。この変形量は、回転方向が逆転する瞬間、すなわち最大振れ角(±θ0)時をピークに水平な状態に戻るに従って減少し、それを超えるとS字状の変形が反転して増加していくというように面をうねらせるために、任意の振れ角においては、振幅(最大振れ角)によって異なる変形量「δ(θ0), δ(θs)」となる。
【0155】
振動ミラー3-3は、図24に示すように、走査角θ0に達するまでの往期間のうち、θs〜−θsの期間(0<θs<θ)、同一方向の走査時のみ画像記録を行い、走査角−θ0から+θ0の復期間には、画像記録は行わない。言い換えれば、駆動周波数の1周期毎に画像記録を行う。
【0156】
本発明適用前の例では、図25に示すように、振動ミラーについて、最大振れ角5°(θ0=5°)にS字変形の山と谷の差(PV)で、δ(θs)=δ(5°)=約0.5μmのS字変形が発生し、被走査面上に集束するはずの主走査方向におけるビームスポットの結像位置が、図25で示すように、走査開始側では被走査面を超えてΔS=約5mm遠目に集束し、走査終端側では被走査面よりΔS'=約5mm手前で集束してしまう。結像位置が被走査面から外れると被走査面におけるビームスポットが不均一となり、いわゆるピントずれとなって画像がぼけ、濃度が変化してしまう。
【0157】
そこで、本例では、ダンピング効果を利用し、ミラーの動的変形を低減することにより、上記問題点に対する対策としている。なお、本例では、3つの光走査装置を配列した例を示したが、配列数はいくつであっても同様である。
【0158】
2.3 画像形成装置の例
図26は、図21乃至図23で説明したような、本発明の光走査装置(振動ミラーモジュール)に結像レンズ等走査光学系を付加して構成した光走査手段(符号500で示した)を4つ用いた、タンデム方式のカラーレーザプリンタを画像形成装置の一例として説明する。
【0159】
光走査手段は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成用として構成されていて、これら符号500-1、500-2、500-3、500-4で示す光走査手段には、夫々感光体ドラム504-1、504-2、504-3、504-4が対応している。
【0160】
光走査手段500-1、500-2、500-3、500-4により、感光体ドラム504-1、504-2、504-3、504-4に1色ずつ画像形成されるようになっている。各感光体ドラム504-1、504-2、504-3、504-4の下方には、これら各感光体ドラムに対して共通に接触するようにして、転写ベルト501が配置されている。図26に図示の例では、各光走査手段500-1、500-2、500-3、500-4を光ビームの射出方向が下向きとなるように配備している。
【0161】
転写ベルト501は、1つの駆動ローラR1と2つの支持ローラR2、R3により支持されている。各感光体ドラム504-1、504-2、504-3、504-4は、矢印で示す転写ベルト501の移動方向に沿って均等間隔でが配列されている。
【0162】
各感光体ドラム504-1、504-2、504-3、504-4のまわりには、これら感光体ドラムの順に、帯電器503-1、503-2、503-3、503-4および、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応したトナーで現像を行う現像装置502-1、502-2、502-3、502-4、さらに、転写された後の残トナーをブレードで掻き取り備蓄するクリーニング装置508-1、508-2、508-3、508-4が配置されている。
【0163】
各感光体ドラム504-1、504-2、504-3、504-4において、帯電器と現像装置との間の位置に、光走査手段からの走査用のレーザビームが照射されて、その光走査手段の受け持つ色の画像情報による静電像が形成される。
【0164】
ここで、転写ベルト501上の同じ位置に重ね画像を形成するため、各光走査手段500-1、500-2、500-3、500-4による潜像形成のためのレーザビームによる画像の書き出しのタイミングがずらされる。転写ベルト501端に形成されたレジストマークを検出するセンサ505は、このずらしの時期を設定するためのものである。
【0165】
こうして、各光走査手段500-1、500-2、500-3、500-4について、センサ505による検知信号をトリガとして所定タイミングだけずらしたタイミングで、レーザビームによる画像の書き出しが行われる。
【0166】
各感光体ドラム504-1、504-2、504-3、504-4に形成された静電潜像は、各感光体ドラムの回転方向下流側に位置する現像装置502-1、502-2、502-3、502-4において、トナー現像により可視像化され、各感光体ドラム504-1、504-2、504-3、504-4から転写ベルト501の同一画像領域に、順に転写され、重ねカラートナー画像が形成される。
【0167】
この重ねカラートナー画像は、給紙トレイ509から給紙コロ506 により送り出されてレジストローラ510の部位でタイミングを調整されてから送り出される用紙Sに、従動ローラR2と転写器が転写ベルトを間にして対向配置されている二次転写部で転写される。転写後の用紙Sは、搬送ベルト511により定着装置512に送られ、定着装置512を出たのち、排出ローラ513により排紙トレイ514に送り出される。
【0168】
転写ベルト501にトナー画像が転写されたのちの各感光体ドラム504-1、504-2、504-3、504-4は、クリーニング装置508-1、508-2、508-3、508-4により残留トナーが除去されて、次の画像形成に備えられる。
【0169】
こうして、光走査装置を含む光走査手段によって静電像が形成される感光体(感光体ドラム504-1、504-2、504-3、504-4)と、静電像をトナーで顕像化する現像手段(現像装置502-1、502-2、502-3、502-4)と、顕像化されたトナー像を記録紙(用紙S)に転写する転写手段(転写器515、従動ローラR2)とを有する画像形成装置(レーザプリンタ)において、かかる光走査手段(500-1、500-2、500-3、500-4)を構成する光走査装置(振動ミラーモジュール130)を使用することで、振動ミラーの動的変形による画質の低下を低減することができる。特に、重ねカラー画像を形成するカラー画像形成装置において、画質の向上を図ることができる。
【0170】
【発明の効果】
請求項1記載の発明では、振動ミラーが捩り回転する時に受ける粘性抵抗力を捩り支点からの距離が離れる程、効果的に低減できる光走査装置を提供することができる。
請求項2記載の発明では、請求項7記載の発明では、入射する光ビームを回収できる。
請求項3記載の発明では、請求項8記載の発明では、光ビームの走査角をより増大させることができる。
請求項4記載の発明では、密閉封止により外部環境を受けない、或いは受け難いので、外部環境に起因するミラー動作の不安定が解消される。
請求項5記載の発明では、振動ミラーを収めた室の条件を整え易い。
請求項6記載の発明では、腐食や酸化等の無い安定な状態に保つことができる。
請求項7記載の発明では、簡易な構成でダンピング効果を減じ得る。
請求項8記載の発明では、記載の発明では、簡易な構成で粘性抵抗力を効果的に低減できる。
請求項9記載の発明では、請求項15記載の発明では、かつミラー面の動的変形の小さい光走査装置を用いるため高画質の画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】振動ミラーにおける共振周波数の個体ばらつきを例示した図である。
【図2】振動ミラーの封止気圧を変えた時の周波数特性の変化を例示した図である。
【図3】振動ミラーの動的変形(補正有・無時)の外形を模視的に示した概略図である。
【図4】光走査装置の平面図である。
【図5】光走査装置の断面図である。
【図6】光走査装置の断面図である。
【図7】光走査装置の断面図である。
【図8】光走査装置の断面図である。
【図9】光走査装置の断面図である。
【図10】光走査装置の断面図である。
【図11】光走査装置の平面図である。
【図12】光走査装置の断面図である。
【図13】光走査装置の断面図である。
【図14】光走査装置の対向ミラー部における光ビームの反射経路を説明した図である。
【図15】光走査装置の分解斜視図である。
【図16】第1基板の平面図である。
【図17】第2基板の平面図である。
【図18】振動ミラーの振れ角と各固定電極による静電トルクとの関係を示した図である。
【図19】電極部の断面図である。
【図20】駆動周波数に対するミラーの振れ角特性の図である。
【図21】光走査手段の副走査断面図である。
【図22】光走査手段の分解斜視図である。
【図23】光走査手段における光学素子の配置を説明した分解斜視図である。
【図24】振動ミラーの変形の態様を模視的に示した図である。
【図25】振動ミラー変形時における被走査面と結像位置との関係を模視的に示した図である。
【図26】画像形成装置としてのカラーレーザプリンタの概略構成図である。
【符号の説明】
3−3 振動ミラー
2−8 断面形状
Claims (9)
- 光ビームを反射するミラー面を有する振動ミラーと、前記振動ミラーを揺動自在に支持する捩り梁と、前記振動ミラーを囲むことで該振動ミラーの揺動空間を形成するパッケージ部材とを具備し、該振動ミラーの一部に揺動の駆動力を作用させる光走査装置において、
前記パッケージ部材の中、振動ミラーを間にして対向する部分の前記パッケージ部材が、前記振動ミラーの捩り回転方向に該振動ミラーからの距離が一定ではない断面形状を有すると共に前記振動ミラーには貫通穴が形成されていて、この貫通穴は多数の小径穴からなり、前記捩り梁から該振動ミラー両側の自由端に進むにつれて、該小径穴が密に形成されていることを特徴とする光走査装置。 - 請求項1に記載の光走査装置において、
前記貫通穴は光のビーム径よりも小さいことを特徴とする光走査装置。 - 請求項1又は2に記載の光走査装置において、
前記パッケージ部材中、前記振動ミラーのミラー面に対向する部位には、振動ミラーとの間で光ビームを往復反射する対向ミラーを有することを特徴とする光走査装置。 - 請求項1乃至3の何れかに記載の光走査装置において、
前記振動ミラーを囲むことで該振動ミラーの揺動空間を形成するパッケージ部材は、振動ミラーを密閉封止した構造であることを特徴とする光走査装置。 - 請求項4に記載の光走査装置において、
前記振動ミラーを囲むことで該振動ミラーの揺動空間を形成するパッケージ部材の、前記振動ミラーを収めた室は、別の気密室と連通して気密が保持されていることを特徴とする光走査装置。 - 請求項4又は5に記載の光走査装置において、
前記振動ミラーの揺動空間には不活性ガスが導入されて、密閉封止されていることを特徴とする光走査装置。 - 請求項1乃至6の何れかに記載の光走査装置において、
前記振動ミラーを囲むことで該振動ミラーの揺動空間を形成するパッケージ部材の、前記振動ミラーを収めた室は、外界と連通していることを特徴とする光走査装置。 - 光ビームを反射するミラー面を有する振動ミラーと、前記振動ミラーを揺動自在に支持する捩り梁と、前記振動ミラーを囲むことで該振動ミラーの揺動空間を形成するパッケージ部材と具備した光走査装置において、
前記振動ミラーには貫通穴が形成されていてこの貫通穴は多数の小径穴からなり、前記捩り梁から該振動ミラー両側の自由端に進むにつれて該小径穴が密に形成されていることを特徴とする光走査装置。 - 光走査装置を用いて静電像が形成される感光体と、静電像をトナーで顕像化する現像手段と、顕像化されたトナー像を記録紙に転写する転写手段とを有する画像形成装置において、
前記光走査装置として、前記請求項1乃至8の何れかに記載の光走査装置を用いていることを特徴とする画像記録装置。
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