JP2004341320A - 光走査装置、画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】光ビームを反射するミラー面を有する振動ミラーと、前記振動ミラーを揺動自在に軸支する一対の捩り梁を有する光走査装置において、振動ミラーの共振周波数のばらつきを低減する方法及び駆動周波数のばらつき吸収幅を広くする方法を提供すること。
【解決手段】振動ミラーの特性が所定の範囲内に揃えられように、前記振動ミラーの揺動空間の気圧が調整されていて、密閉封止された構造とした。また、必要に応じ、ガス吸着剤(008)、ガス放出剤(009)により気圧を調整することとした。
【選択図】図12

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタル複写機およびレーザプリンタ等の画像形成装置、さらに光走査型のバーコード読み取り装置や車載用のレーザレーダ装置等へも応用が可能な光走査装置及び該光走査装置を用いた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の光走査装置においては光ビームを走査する偏向器としてポリゴンミラーやガルバノミラーが用いられているが、より高解像度な画像と高速プリントを達成するにはこれらミラーの移動速度をさらに高速にしなければならず、ミラーを支える軸受の耐久性やミラーの風損による発熱、騒音等の問題が生ずることから、高速走査に限界がある。
【0003】
これに対し、近年シリコンマイクロマシニングを利用した光偏向器の研究がすすめられており、Si基板で振動ミラーとそれを支持する捩り梁を一体形成した方式が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。これら提案技術によれば共振を利用して往復振動させるので高速動作が可能であるにもかかわらず、騒音が低いという利点がある。さらに振動ミラーを回転する駆動力も小さくて済むので消費電力も低く抑えられる。
【0004】
上記したように振動ミラーを利用することで、従来のポリゴンミラーを用いる方法に比べ小型で消費電力が少ない光走査装置を提供することができるが、これらの振動ミラーは振れ角が小さく、反射面の大きさにも限界があるため、光路長の短い複数の光走査装置を並列に配置することで構成画像を主走査に分割し、各々の記録幅を小さくして繋ぎ合わせる方式が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
しかしながら、このように振動ミラーを複数個用い、分割走査する際は個別の振動ミラーの共振周波数のばらつきが大きな問題点として挙げられる。共振周波数のばらつきが大きいと、複数の振動ミラーを共通の駆動周波数で駆動できないからである。ミラーの振れ角の調整幅は極端に狭い。
【0006】
共振周波数のばらつき発生要因としては、
▲1▼製造による加工ばらつき
▲2▼環境温度、湿度の変化によるばらつき
▲3▼大気中で使用する場合の大気圧の変化によるばらつき
等が挙げられる。
【0007】
よって、避けては通ることのできない問題であり、個々の共振周波数に合わせた駆動周波数にて駆動するか、または、同一の駆動周波数で個々を駆動しようとすると選別してある範囲のものだけを使用するという歩留まりの悪い手段を取るか、複雑な駆動系の制御を付加して駆動させるか、の何れかの選択とならざるを得ない。
【0008】
▲1▼のような加工ばらつきにより発生する共振周波数のばらつきに対する対応策としては、振動ミラー作製工程において、振動ミラー及び捩り梁を形成後に、振動ミラーを駆動させた状態で、振動ミラー及び捩り梁もしくはその両方をエッチングまたはデポジッションすることにより質量変化させ(一般にトリミングという)、共振周波数を所定の範囲内に調整する方法が挙げられる(例えば、特許文献4〜6参照)。
【0009】
しかしながら、この方法では製造工程の途中で調整している為、完成後の実使用時の共振周波数との差を見込んだ調整をしないとズレが発生しやすかったり、▲2▼、▲3▼の使用環境下による共振周波数のばらつきに対しては対応できない等の問題がある。
【0010】
また、このような振動ミラーの共振周波数は基本的には弾性部材(捩り梁)の剛性と振動ミラーの慣性によって一意的に決まるので、▲2▼のような使用環境下の温度変動による共振周波数のばらつきに対する対応策としては、弾性部材である捩り梁に抵抗加熱によるヒータを設け、弾性部材の温度を一定に保つことにより、環境温度変化による剛性変化つまり周波数変化を抑える方法が挙げられる(例えば、特許文献7参照)。
【0011】
しかしながら、この方法ではヒータを新たに設けるために、その分の製造コストの上昇が避けられない。また、継続的にヒータに通電するため、消費電力も上昇する。さらに、ヒータの発熱により弾性部材の温度を制御する為、環境温度の低下に対しては積極的に対応できない等の問題がある。
【0012】
その他には、振動ミラーを熱膨張係数の異なるベース部材に接合固定することによって、温度変化によって発生する熱膨張係数の差により発生する応力を利用して、弾性部材の剛性変化と相殺させ、周波数変化を抑制するものが挙げられる(例えば、特許文献8参照)。
【0013】
しかしながら、この方法は構造、材料、接合方法方法により応力の発生の仕方が変化するので、効果的に応力が発生するように設計できるのか、また製造ばらつきを考慮した時、設計通り効果的に応力が発生するかの疑問もある。
また、▲3▼のような場合の共振周波数のばらつきに対しては、通常は振動ミラーの揺動空間を密閉封止した構造が用いられている。
【0014】
さらに、▲1▼〜▲3▼に対する対応策としては、比較的簡単な構成のフィードバックで構成されている駆動回路を用いることにより、確実に共振周波数で駆動させる方法が挙げられる(例えば、特許文献9参照)。しかしながら、この方法は電磁力で駆動させる方式の振動ミラーであり、振動ミラー上に形成された駆動電流を流すためのコイルを共通使用し、コイルの逆起電力を検出してフィードバックをかけるような構成になっている。よって、電磁力以外の駆動力を用いた振動ミラーに対しては、当てはまらない等の限定がつく。
【0015】
【特許文献1】
特許第2924200号公報
【特許文献2】
特許第3011144号公報
【特許文献3】
特開2001−228428号公報
【特許文献4】
特開2002−40353号公報
【特許文献5】
特開2002−40355号公報
【特許文献6】
特開2002−228965号公報
【特許文献7】
特開平9−197334号公報
【特許文献8】
特開2002−321195号公報
【特許文献9】
特開2002−277809号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、振動ミラーの共振周波数のばらつきを低減する方法及び駆動周波数のばらつき吸収幅を広くする方法を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
課題を達成するための、1つの手段としては、振動ミラーを駆動させた状態で、揺動空間の気圧を調整し、所定の周波数範囲に入った状態で、密閉封止する。更には、揺動空間の気圧を個別の振動ミラー毎に調整する手段を備えることにより、共振周波数ばらつきを更に低減することができる(気圧変化による共振周波数のシフトを利用したもの)。また、共振点での利得を抑えた平坦な周波数特性を用いたり、共振ピークから外れた帯域を利用することにより、駆動周波数のばらつき吸収幅を広くすることができる。
本発明は、前記課題を達成するため以下の構成とした。
(1). 光ビームを反射するミラー面を有する振動ミラーと、前記振動ミラーを揺動自在に軸支する一対の捩り梁を有する光走査装置において、前記振動ミラーの特性が所定の範囲内に揃えられように、前記振動ミラーの揺動空間の気圧が調整されていて、密閉封止された構造とした(請求項1)。
(2). 光ビームを反射するミラー面を有する振動ミラーと、前記振動ミラーを揺動自在に軸支する一対の捩り梁を有する光走査装置において、前記振動ミラーの揺動空間は密閉封止された構造であり、前記振動ミラーの特性を所定の範囲内に揃えられように、前記揺動空間の気圧を調整する気圧調整手段を備えた(請求項2)。
(3). 光ビームを反射するミラー面を有する振動ミラーと、前記振動ミラーを揺動自在に軸支する一対の捩り梁を有する光走査装置において、前記振動ミラーの揺動空間は密閉封止された構造であり、所定の駆動周波数或は帯域で所定の振れ角が得られるように、前記揺動空間の気圧を調整する気圧調整手段を備えた(請求項3)。
(4). (2)、(3)に記載の光走査装置において、前記気圧調整手段は揺動空間内のガスを吸着する手段であり、予め揺動空間内の気圧を高めに設定しておいて、気圧を調整することとした(請求項4)。
(5). (2)、(3)に記載の光走査装置において、前記気圧調整手段は揺動空間内へガスを放出する手段であり、予め揺動空間内の気圧を低めに設定しておいて、気圧を調整することとした(請求項5)。
(6). (2)、(3)に記載の光走査装置において、前記揺動空間内に封入するガスは、複数種のガスを混合してなることとした(請求項6)。
(7). (2)、(3)に記載の光走査装置において、前記気圧調整手段を複数種備えていることとした(請求項7)。
(8). (7)に記載の光走査装置において、前記気圧調整手段は、揺動空間内のガスを吸着する手段と、該揺動空間内へガスを放出する手段とからなることとした(請求項8)。
(9). (7)に記載の光走査装置において、前記複数種の気圧を調整する手段は各々活性化温度が異なることとした(請求項9)。
(10). (7)に記載の光走査装置において、前記複数種の気圧調整手段は各々活性化手段が異なることとした(請求項10)。
(11). (4)乃至(10)の何れかに記載の光走査装置において、前記気圧調整手段は分割配置されていることとした(請求項11)。
(12). (1)乃至(11)の何れかに記載の光走査装置において、当該光走査装置に所定の周波数の電圧を印加する駆動電圧発生装置を備え、前記振動ミラーが、共振周波数の近傍で共振ピークから外れた帯域において駆動させられることとした(請求項12)。
(13). 光走査装置によって静電像が形成される感光体と、静電像をトナーで顕像化する現像手段と、顕像化されたトナー像をシート状媒体に転写する転写手段とを有する画像形成装置において、前記光走査装置として(1)乃至(12)の何れかに記載の光走査装置を用いることとした(請求項13)。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下では、振動ミラーは静電気力を振動ミラーに作用させて振動駆動させる静電駆動型の振動ミラーを用いた場合で説明する。しかしながら、静電駆動型に限らず、例えば、ピエゾ駆動素子など、駆動手段としては、その他のタイプの駆動手段を用いる振動ミラーでも本発明を適用できる。
【0019】
[1]光走査装置(請求項1)
本例は、気圧を調整しながら、振動ミラー特性が許容範囲内に入った時に振動空間を密閉封止する光走査装置に関する。図3乃至5にその例を示す。図3に本発明の第1の例としての光走査装置1Aを上からみた状態を図4に、この図4の光走査装置1Aを中心から左右方向に切断したときのA−A’断面を図4に示している。
【0020】
図3、図4を参照するに、光走査装置1Aは、一番下から上に向けて、順にそれぞれ矩形の概形をしたベース基板2A、第1基板3、第2基板4、透明な基板5Aの順に積層した構造になっている。
【0021】
ベース基板2Aの中央部には矩形の凹部2−1が形成されている。この凹部2−1は、後述する振動ミラー3−3の捩り梁3−2を中心とする振動を妨げない広さと深さを有している。この凹部2−1の左右方向外側にはそれぞれ丸い貫通穴からなる開口2−2、2−3が形成されていて、絶縁材2−4、2−5が充填されており、該絶縁材2−4、2−5の中心部を挿通して棒状のリード端子2−6、2−7が絶縁保持されている。
【0022】
第1基板3の中央部には、該第1基板3と一体に捩り梁3−2及び短冊状のミラー基板3−1が形成されている。つまり、第1基板3の中央部は、捩り梁3−2及びミラー基板3−1を残して、中抜きされている。この中抜きされた中抜き開口を後述する図15に符号3−17で示す。短冊状をしたミラー基板3−1の中央部は、これと一体の捩り梁3−2を介して揺動可能に当該第1基板3に両持ち支持されている。
【0023】
ミラー基板3−1の上側表面部はミラー面3−10になっており、振動ミラー3−3は表面にミラー面3−10が形成されたミラー基板3−1により構成されている。図3、図4において、ミラー基板3−3の左端部には櫛歯状の第1可動電極3−4、右端部には櫛歯状の第2可動電極3−5が形成されている。
【0024】
これら第1可動電極3−4、第2可動電極3−5には、それぞれ、これら第1可動電極3−4、第2可動電極3−5の櫛歯状の形状と非接触で噛み合う形状で第1固定電極3−6、第2固定電極3−7が形成されている。第2基板4の中央部には捩り梁3−2を支軸として回動する振動ミラー3−3の揺動を妨げない大きさの矩形の開口4−1が形成されている。
【0025】
基板5Aは、振動ミラー3−3を保護すると共に、外部からの光ビームを振動ミラー3−3に入射させ、振動ミラー3−3からの反射光を外部に取り出すことができるように透明となっている。
【0026】
図4において、第1基板3には、第1固定電極3−6、第2固定電極3−7の各外側の位置に、縦長の形状をした矩形の開口3−8、3−9が形成されている。第1基板3は、これら開口3−8、3−9の内側部および外側の全周囲を、図中において太線で描き起こして示すように絶縁膜で被われている。
【0027】
第2基板4についても、同様に開口4−1の内側及び外側の全周囲を、太線で描き起こして示すように、全周囲を絶縁膜で被われている。但し、第1基板3に形成された開口3−8、3−9に対向する一回り小さい縦長の矩形領域4−2、4−3については、絶縁膜が除去されて電気的に導通状態の矩形領域が形成されている。
【0028】
これら絶縁膜がない矩形領域4−2、4−3の中心部は、前記したリード端子2−6、2−7に対向する位置に対応しており、これら各リード端子2−6、2−7の各先端部に設けられた、先端部曲面形状を有するはんだボール6と接触して導通がとられていて、該第2基板4に形成されている後述の第3固定電極4−4、第4固定電極4−5に対して振動ミラー駆動用の電圧を印加することができるようになっている。
【0029】
第2基板4について、第1基板3の第1固定電極3−6、第2固定電極3−7にそれぞれ対向した位置には、第1可動電極3−4、第2可動電極3−5と非接触状態で噛み合い、かつ、通過可能なように、第1固定電極3−6、第2固定電極3−7と同一形状、同一ピッチ、同一位相、で櫛歯状の第3固定電極4−4、第4固定電極4−5が形成されている。
【0030】
第2基板4について、少なくとも矩形領域4−2及び第3固定電極4−4を共通に囲みかつ、開口4−1と連通するようにして、第2基板4を貫通する絶縁溝4−6が形成されている。同様に、少なくとも矩形領域4−3及び第4固定電極4−5を共通に囲みかつ、開口4−1と連通するようにして、第2基板4を貫通する絶縁溝4−7が形成されている。
【0031】
図4、図15において、第1基板3について、捩り梁3−2の軸長手方向で下側に位置する該捩り梁3−2の基端部を囲みかつ、当該第1基板3の中抜き開口3−17(図15参照)と連通するようにして絶縁溝3−11が形成されている。また、第1基板3について、この絶縁溝3−11の外側には第5固定電極3−12が形成されており、この第5固定電極3−12は第1基板3を介して第1固定電極3−6、第2固定電極3−7とそれぞれ共通に導通されている。
【0032】
図4、図15において、第1基板3について、捩り梁3−2の軸長手方向上で上側に位置する該捩り梁3−2の基端部及び該基端部の近傍に設けた第6固定電極3−13を共通に囲みかつ、当該第1基板3の中抜き開口3−17(図15参照)と連通するようにして絶縁溝3−14が形成されている。この第6固定電極3−13は捩り梁3−2を介して振動ミラー3−3の第1可動電極3−4、第2可動電極3−5とそれぞれ共通に導通されている。
【0033】
第5固定電極3−12、第6固定電極3−13に対する電圧の印加等は、前記矩形領域4−2、4−3における通電手段と同様の構成からなる、リード端子及びはんだボールを用いて行われる(図示省略)。
【0034】
図3、図4、図15により理解されるように、ベース基板2A、第1基板3、第2基板4、基板5Aの順にこれら基板を一体的に積層した構成により、捩り梁3−2を含む振動ミラー3−3は、凹部2−1、中抜き開口3−17、開口4−1等により連通して形成される密封封止された構造の気密室内に位置する。
【0035】
ここで、ベース基板2A、第1基板3、第2基板4、基板5Aなどは、振動ミラー3−3を囲むことで該振動ミラーの揺動空間を形成するパッケージ部材の一例を構成している。
【0036】
第1可動電極3−4、第2可動電極3−5、第1固定電極3−6、第2固定電極3−7、第3固定電極4−4、第4固定電極4−5に時間的に変化する電圧を加えることで、これら可動電極と固定電極間に、静電力を作用させて、振動ミラー3−3を捩り梁3−2を軸として振動させる。
【0037】
以上が、本例にかかる光走査装置の基本的な構成である、光ビームを反射するミラー面3−10を有する振動ミラー3−3と、前記振動ミラー3−3を揺動自在に支持する捩り梁3−2と、前記振動ミラー3−3を囲むことで該振動ミラー3−3の揺動空間を形成するパッケージ部材(ベース基板2、第1基板3、第2基板4、基板5A)とを具備し、該振動ミラー3−3の一部に揺動の駆動力を作用させる光走査装置1Aの基本構成である。
【0038】
なお、上の基板は、本例では基板5Aとし、全体を透明としたが、これに限らず、振動ミラーに光ビームを入射させるために必要な部分についてだけ、透明とする構成でもよい。
【0039】
以下に、さらに説明を補足する。
パッケージ部材を構成する、ベース基板2A、第1基板3、第2基板4、基板5A等の各基板相互の接合は、はんだ接合、ガラス接合、エポキシ接着剤接合等から基板材質に合った好適な接合を選択してやればよい。
【0040】
図4において、第1基板3と第2基板4を含めてマイクロミラー001と称する。各基板は、絶縁材を間にして2枚のシリコン基板をサンドイッチ状に挟んで構成したSOI(Silicon On Insulator)基板を用いて作製されている。振動ミラー3−3を構成している上下2枚の基板およびこれら基板間の絶縁材からなる基板の構成は、第1基板3と同じである。
【0041】
上側のシリコン基板及び絶縁材に対してエッチング加工を用いて溶解処理することで現れる下側の基板の上側の面にミラー面3−10が形成され、また、該下側のミラー基板3−1に捩り梁3−2が形成されている。
【0042】
前記したように、第1基板3と第2基板4には振動ミラー3−3側の櫛歯状の第1可動電極3−4、第2可動電極3−5に対向する位置に櫛歯状の第1固定電極3−6、第2固定電極3−7及び第3固定電極4−4、第4固定電極4−5が形成されている。
【0043】
このように、これら電極形状は櫛歯形状にすることにより、駆動電圧を低減することができる。ここではSOI基板で構成される第1基板3と第2基板4の両方の基板とも低抵抗の基板(導体)を用いており、特別に金属を形成せず、基板自体が電極を兼ねている。
【0044】
その為、第1基板3については、第1可動電極3−4、第2可動電極3−5と第1固定電極3−6、第2固定電極3−7とを絶縁分離する手段として基板にスリット溝(絶縁溝3−11、3−14)を形成することで絶縁分離の機能を得ている。
【0045】
また、本例では、上記したように、エッチング処理により、SOI基板の基板界面をミラー面として用いた場合を例示している。振動ミラー3−3において、下向きの裏面には、図4に示すように、捩り梁3−2と平行にリブRBを形成して、ミラーの軽量化を行いつつ剛性を確保している。
【0046】
マイクロミラー001の上下に位置する基板5A及びベース基板2はマイクロミラー001(厳密には振動ミラー3−3)の揺動空間を形成するパッケージ部材としての役目を兼ねている。
【0047】
上記マイクロミラー001の上に位置する基板5Aおよび下に位置するベース基板2Aなどは、当該マイクロミラー001の揺動空間を形成する封止部材としての役目を兼ねているが、最終的な気圧を調整する最後の封止工程においては、振動ミラー3−3を駆動しながら、振動ミラーの特性が所定の範囲内に揃えられるように揺動空間の気圧を調整し、密閉封止されていることを特徴とする。
【0048】
気圧を調整し密閉封止する際の1つの手段としては、振動ミラー3−3を駆動させた状態で、揺動空間の気圧を調整し、所定の周波数範囲に入った状態で、密閉封止する。更には、複数の光走査装置を光走査手段として用いる構成では、揺動空間の気圧を各光走査装置における個別の振動ミラー毎に調整する手段を備えることにより、気圧変化による共振周波数のシフトを利用し、共振周波数のばらつきを更に低減することができる。また、共振点での利得を抑えた平坦な周波数特性を用いたり、図19に示すように共振ピークから外れた帯域(共振外安定領域)を利用することにより、駆動周波数のばらつき吸収幅を広くすることができる。
【0049】
揺動空間の気圧を調整して封止することにより、気圧調整にて変動可能な前述図1、図2の振動ミラーの特性(共振周波数、振れ角等)を調整することができるので、光走査装置製作工程の最後に異なる特性を作り分けることができる。よって、異仕様の特性の製品を低コストで製作可能となる。また逆に、同仕様の特性の製品については、その特性ばらつきを低減することができるので、従来では規格から外れ不良品と見なされたものも、気圧調整で良品となることができ、良品率が上がる。また封止構造となっている為に、環境変化による共振周波数の変動に対して耐性がある。更には、光走査装置の製造工程の最後で調整することにより、仕様値に合わせ易く、良品率が上がる。更には、気圧を低めに設定する特性の光走査装置においては、気体の粘性抵抗の効果が大きくなるので、振動ミラーの揺動空間を密閉封止する構造体との間に発生するダンピング効果が特性に大きく影響するが、ここでは密閉封止時に特性を見ながら調整しているので、仕様に合った光走査装置が得られやすい。
【0050】
なお、図4に示した構成の光走査装置1Aの他に、図5に示したように、マイクロミラー001をベース基板2Bと上カバー50とで全包囲的に囲む構成とする光走査装置1Bのように、振動ミラー3−3の揺動空間を密閉封止した構成とすることもできる。上カバー50の一部にを透明板51を用いて振動ミラー3−3に対する入射出光を出入りを可能にしている。本例の光走査装置については、図4との関係で共通の部材には同じ符号を付して説明を省略する。
【0051】
[2]光走査装置例
本例は、光走査装置に揺動空間の気圧を調整する気圧調整手段を備えている。また、気圧調整手段として、周波数を揃えられるように揺動空間の気圧を調整することができるガス吸着剤を用いる。
【0052】
図6乃至図8にその例を示す。本発明の第2の例としての光走査装置1Cを上からみた状態を図6に、この図6の光走査装置1Cを中心から左右方向に切断したときのA−A’断面を図7に示している。光走査装置1Cの基本構造は図3、図4に示されるものと同様であり、共通構成部分には同一符号を付してある。
【0053】
本例が前記した第1の例と異なる点は、振動ミラー3−3の揺動空間の気圧を調整する気圧調整手段を備えていることである。前記した第1の例では、光走査装置製作工程の最後に振動ミラー3−3の密閉封止空間の気圧調整するのに対して、本例の方法では光走査装置完成後にも気圧調整を行うことが可能である点に特徴である。
【0054】
本例では図6、図7に示す光走査装置1Cのように、一例として、凹部2−1、開口4−1などにより構成される振動ミラー3−3の揺動空間に連通する絶縁溝4−6を利用して、そこにガス吸着剤008を配置した例を示している。基板5A、振動ミラー001、ベース基板2A等を重ねて接着などにより振動ミラー3−3の揺動空間内を密閉封止する際に上記ガス吸着剤008にて、吸着され得るガスも一緒に封入しておくことにより、封止後にガス吸着剤008を加熱等の方法で活性化することにより、気圧調整することができ、ひいては振動ミラー3−3の特性を調整することができる。
【0055】
図8に示した光走査装置1Dの場合においても、同様に、絶縁溝4−6を利用して、そこにガス吸着剤008を配置し、かつ、ガス吸着剤008に吸着されるガスを封入することでて、密閉封止された揺動空間の気圧を調節することができる。
【0056】
図1に示したように、光走査装置は、振動ミラーを封止する揺動空間の封止気圧を変えることにより、当該振動ミラーの周波数特性が変化する性質があるので、複数、或いは多数の光走査装置についてその共振周波数にばらつきがある場合において、共振周波数を必要な振れ角が得られる所定の範囲に揃えることが容易に可能となる。
【0057】
また、封止気圧と振れ角には、図2に示したような特性があるので、これを利用して、特性にばらつきのある複数の光走査装置について封止後において任意の駆動周波数、或いは帯域で所望の振れ角が得られるように調節することができる。ここで、気圧調整手段とは、揺動空間に連通したガス吸収剤を配置できる空間としてのスリット溝(絶縁溝4−6或いは4−7)と、ガス吸着剤008、封入するガス等である(請求項2、3)。
【0058】
本例では、光走査装置完成後に気圧調整ができるので、より正確に調整できる。また、密閉封止した後に調整できるので、封止方法によっては、封止時に発生することがあるアウトガスが封止空間内に残留して引き起こす特性変動も調整することができる。
【0059】
また、揺動空間の気圧を調整することにより、振動ミラー作製時に発生する共振周波数のばらつきを吸収、低減できる。また封止構造となっている為に、環境変化による共振周波数の変動に対して耐性がある。よって、振動ミラーの特性を考えると、気圧調整により共振周波数を揃えた特性にすることにより、安定かつ扱い易い光走査装置を得ることができる。また、振れ角調整は駆動電圧の調整で比較的容易に調整可能なのに対して、共振周波数の調整は共通の駆動周波数で駆動する場合、駆動周波数の調整幅が極端に狭い為に、複雑な駆動系の制御を必要とするなどの問題がある。よって、請求項に記載の光走査装置にすることにより、安定かつ制御の簡単な光走査装置が得られる。
【0060】
図6乃至図8において、気圧調整手段として、揺動空間内のガスを吸着する手段、例えばガス吸着材を用いた場合を示したが、揺動空間内のガスを吸着するという方法は、揺動空間内にガス吸着剤を配置させることにより達成でき、その活性化方法も基本的には加熱させるだけなので、容易に揺動空間の気圧を調整(下げる)することができ、あらかじめ揺動空間の気圧を高めに設定しておくことにより、振動ミラーの特性ばらつきを低減できる。また、吸着剤の場合、封止方法によっては、封止時に発生することがあるアウトガスが封止空間内に残留して引き起こす特性変動も調整することができる。(請求項4)
本例では、密閉封止した後に調整できるので、実使用状態での調整が可能である。ここでは、スリット溝である絶縁溝4−6を利用して、ガス吸着剤008を配置したが、揺動空間に連通している場所であれば、原則的にどこでもよい。ただ、加熱などの便宜上、外表面に近い部位が好ましい場合もある。
【0061】
ガス吸着剤は、その材料が金属の場合は、スリット溝である絶縁溝4−6に配置すると、電極間でショートする不良が発生してしまうので、ショートが起きない場所に別途、スリット溝を形成し配置する(後述する図12、図13におけるガス放出剤009の場合も同様)。
【0062】
図6を用いて例示すると、第2基板4にガス吸収剤の配置専用のスリット溝4−10を形成する。このスリット溝4−10はU字形をしていて、開口4−1と連通している。このスリット溝4−10内に、ガス吸収剤008(この例では当該剤は金属からなる)を配置するのである。勿論、この場合には、絶縁溝4−6にはガス吸収剤008(この例では金属)を配置しない。
【0063】
後述する図12、図13の例では、ここで述べたような別設のスリット溝は図示しないが、金属の剤を用いる場合などにはここで述べた例に準じて、第2基板4に、ガス吸収剤008配置用、ガス吸収剤009用のそれぞれ専用のスリット溝を設けて各剤を配置すればよい。
【0064】
このような、新規に設ける剤配置用の専用のスリット溝は前述の絶縁溝4−6と同様の方法で、なお且つ、同時に作製できるので、製作コストの上昇を招かない利点がある。
【0065】
2.1 共振周波数のばらつき
共振周波数のばらつきについて、説明する。振動ミラーの共振周波数は作製時に発生する形状ばらつきに起因する個体ばらつきと、環境温度、湿度の変化に起因するばらつき、大気中で使用する場合の大気圧の変化によるばらつきが存在する。共振周波数のばらつきが大きいと、複数の振動ミラーを共通の駆動周波数で駆動できないという問題がある。(調整幅が狭いため)
共振周波数を揃える為に、封止気圧を調整する場合、その振れ角も変動してしまうという問題があるが、図9に示されるf−θ特性と、図10に示される駆動電圧と振れ角の関係(V−θ特性)を見比べればわかるように、振れ角調整は駆動電圧で調整する方が圧倒的に容易である。V−θ特性を見ればわかるように、両者は通常使用領域において、ほぼ比例関係なので、複雑なフィードバック回路を用いることなく、容易に振れ角調整が可能となる。
【0066】
もしくは最初から駆動電圧を高く設定しておいて、つまり振れ角を大きくとっておいて、それ以下の振れ角を走査に使うというような用い方をすれば、特に電圧調整も必要ではない。
【0067】
よって図9、図10において密閉封止された揺動ミラーの揺動空間の気圧調整にて、振動ミラーの特性の内、共振周波数を揃えることで容易に振れ角調整が可能となる。
【0068】
揺動空間の気圧を調整することにより、振動ミラー作製時に発生する共振周波数のばらつきを吸収、低減できる。また封止構造となっている為に、環境変化による共振周波数の変動に対して耐性がある。よって、安定かつ扱い易い、制御の簡単な光走査装置を得ることができる。
【0069】
気圧を調整しながら、振動ミラー特性が許容範囲内に入ったときに密閉封止し、或いは、気圧調整手段を用いて揺動ミラーの揺動空間の気圧を調整する(請求項3)。
【0070】
2.2 ガス放出による気圧調整手段(請求項5)
本例は、揺動空間内へガスを放出することにより気圧を調整する。つまり、ガス吸着剤のかわりに、ガスを放出する、ガス放出剤を用いる。揺動空間内のガスを放出するという方法は、揺動空間内にガス放出剤を配置させることにより達成でき、その活性化方法も基本的には加熱させるだけなので、容易に揺動空間の気圧を調整(上げる)することができ、あらかじめ揺動空間の気圧を低めに設定しておくことにより、振動ミラーの特性ばらつきを低減できる。
【0071】
[3]複数種類のガスによる気圧調整手段を備えた光走査装置例(請求項6)本例の光走査装置は、気圧調整手段として、振動ミラーの揺動空間内に封入するガスとして、複数種のガスを混入してなる。
図11において、光走査装置1C’の機械的な構成は前記図7に示した光走査装置Cと同じである。本例では、気圧調整手段として、絶縁溝4−6を有し、これにガス吸収剤008を配置している。ここで、振動ミラー3−3の揺動空間内に封入するガスとして、複数種のガスを混合してなる。
【0072】
気圧調整する場合、単一ガスでは特定の気圧に調整することが難しいが、複数のガスを混合して使用する場合は、メインのガス(a)と気圧調整用のガス(b)と分ける。その上で、気圧調整用のガスに質量の異なる複数ガス(c)とガス(d)を用いる等の方法により、振動ミラー3−3の揺動空間の気圧を微調整することができ、振動ミラーの特性ばらつきを更に低減することができる。
【0073】
[4]気圧調整手段を複数種備えた光走査装置例(請求項7、8)
図12、図13は、気圧調整手段を複数種備えた光走査装置1A’を例示している。図12、図13において、光走査装置1A’の機械的な構成は前記図3、図4に示した光走査装置1Aと同じである。
【0074】
ここでは、複数種の調整手段としては、ガス吸着剤008とガス放出剤009を併用した場合を示している。ガス吸着剤008は絶縁溝4−6に、ガス放出剤009は絶縁溝4−7にそれぞれ配置されている。ガス吸着剤008、ガス放出剤009の各配置場所を異ならせることにより、気圧の調整を速やかに、かつ、安定して行うことができる。
【0075】
このように、気圧の上下について反対に作用するガス吸収剤、及びガス放出剤を併用する場合、揺動空間内の気圧を両方向に調整することができ(上げたり、下げたり)、揺動空間の気圧調整の調整幅が広がる上に、微調整もすることができる等調整自由度が高く、振動ミラーの特性ばらつきを更に低減できる。
【0076】
なお、気圧の上下について同方向に作用する複数種のガスを用いる場合には、調整幅を大きくとることができる。
【0077】
4.1 活性化温度が異なる複数種の気圧調整手段の例(請求項9)
複数種の調整手段として、例えば、ガス吸着剤008とガス放出剤009を併用した場合であって、これらのガスの活性化温度が異なる場合、温度を変えるだけで、揺動空間の気圧を粗微調整することができ、振動ミラーの特性ばらつきを更に低減できる。
【0078】
4.2 活性化手段が異なる複数種の気圧調整手段の例(請求項10)
複数種の調整手段として、例えば、ガス吸着剤008とガス放出剤009を併用した場合であって、更に活性化方法がレーザー加熱であったり、抵抗加熱であったりというように異なる場合は、局所的な活性化も可能となり、揺動空間の気圧を粗調整、微調整することができ、振動ミラーの特性ばらつきを更に低減できる。
【0079】
4.3 異なる複数種の気圧調整手段が分割配置された例(請求項11)
既に例示しているように、ガス吸着剤008は絶縁溝4−6に、ガス放出剤009は絶縁溝4−7にそれぞれ配置するというように、ガス吸着剤008、ガス放出剤009の各配置場所を異ならせ、つまり、分割配置することにより、ガス吸着剤008、ガス放出剤009の局所加熱を用いて活性化することにより、揺動空間の気圧を粗調整、微調整も可能となり、振動ミラーの特性ばらつきを更に低減できる。また、加熱等で活性化するときに予定よりも反応しすぎとかがなく調整し易い。
【0080】
[5]気圧調整手段としての剤の例
5.1 吸着剤の例
通常気体等の吸着剤としては、無機質吸着剤(ゼオライト、シリカゲル、多孔質ガラス等)や有機質吸着剤(活性炭、吸着性樹脂等)や触媒金属等がある。ここでは、気体分子を吸着することにより気圧を調整する為に、不可逆的反応である化学吸着を選択的に発現させる為の吸着剤を選択すれば良い。例えば、表1には各種金属の複数ガスに対する化学吸着特性を示しているが、それら金属表面上に酸化物や炭化物等(吸着反応ストッパー層の役目)を形成しておき、加熱することにより前記酸化物や炭化物等を金属内部へ拡散させることにより、金属表面を露出させ活性化することにより、化学吸着を起こすことができる。使用する金属は表1中に挙げられるものの他に、例えば、Zr−V−Fe等の「燒結体」等がある。これは、作製時に多孔質状に形成できる為に、高比表面積が得られる為に用いられる方法である。
【0081】
【表1】
Figure 2004341320
【0082】
5.2 放出剤の例
放出剤としては、例えば、可逆的反応である物理的吸着を用いた方法等が挙げられる。例えば、活性炭に窒素を低温物理吸着させたものを用意しておき、後で加熱することにより物理吸着を絶つことにより、放出剤として用いることができる。
【0083】
5.3 複数のガスを使う例
例えば吸着剤を用いる場合、前出の表1に示されるように材料によっては吸着しやすいし難いという性質があるので、複数ガスを用いることにより調整が可能となる。
【0084】
[6]駆動周波数のばらつき吸収幅を広くする例
本例は請求項12に対応する。図9に示されるf−θ特性において、共振ピークから外れた平坦な帯域[共振外安定領域]を利用することにより、駆動周波数のばらつき吸収幅を広くすることができる。この共振外安定領域は広いほど良い。この共振外安定領域を広げる為には、共振点での利得を抑える。これにより、共振外安定領域が広がった平坦な周波数特性を得る。
【0085】
[7] 画像形成装置
本例は、請求項13に対応する。以下では、これまでに説明した構成の光走査装置(振動ミラーモジュール)およびこれに走査用レンズなどの光学系を組み合わせた光走査手段、該光走査手段を搭載し、静電像が形成される感光体と、静電像をトナーで顕像化する現像手段と、顕像化されたトナー像をシート状媒体に転写する転写手段とを有する画像形成装置の一例としてのレーザプリンタの構成について説明する。
【0086】
7.1 光走査手段を構成する光走査装置
図14は、前記した各例の光走査装置のうち、第1基板3、第2基板4と、これらに、パッケージ部材を構成する上部基板として、図4で説明した基板5A、パッケージ部材を構成するベース基板として図4に例示したベース基板2Aを組み合わせて構成した光走査装置であり、ここでは振動ミラーモジュール130として説明する。部材の組み合わせが異なるだけで、その構成の詳細については既に述べた内容と共通である。
【0087】
図14において、振動ミラーを構成する基板は、2枚のSi基板である第1基板3、第2基板4を酸化膜等の絶縁膜を介して接合して構成されている。第1基板3は、厚さ60μmのSi基板からなり、可動ミラーとしての振動ミラー3−3および同一直線上で軸支する捩り梁3−2を、エッチングにより形成している。つまり、第1基板3から、該振動ミラー3−3および捩り梁3−2の部分が残るように、その周囲を第1基板から抜き取ることで形成している。第1基板3のうち、振動ミラー3−3および捩り梁3−2を除く部分を以下では、固定枠と称し、符号3−16で示している。
【0088】
振動ミラー3−3は捩り梁3−2に対して対称に形成され両端の縁部および対向する固定枠3−16の内辺には数μmのギャップを有して振動ミラー3−3側の櫛歯状の凹凸(可動電極3−4、3−5)と互い違いに噛み合うよう櫛歯状の凹凸による第1固定電極3−6、第2固定電極3−7を形成している。
【0089】
振動ミラー3−3の表面における反射面の形成にいくつかの方法があり、ここでは、Au等の金属被膜が蒸着されて反射面がつくられ、図15、図16に示すように各基板を絶縁層を介して接合した状態で島状に分離することで基板そのものを個別に電極として形成している。
【0090】
図14、図15において、振動ミラー3−3両端の凹凸部を第1、第2可動電極3−4、3−5(説明では便宜上分けているが同電位)、これら第1、第2可動電極3−4、3−5に対向する固定枠3−16の凹凸部を第1、第2固定電極3−6、3−7となす。
【0091】
また、図14、図16において、第2の基板4は厚さ140μmのSi基板からなり、エッチングにより中央部を所定の形状部分を残して繰り抜いた構成とし、上記固定枠3−16に形成した凹凸部と重なり合う内辺には外郭が一致するように櫛歯状に凹凸を形成することで、前記第1、第2固定電極3−6、3−7と同様に第3、第4固定電極4−4、4−5となし、振動ミラー3−3の揺動に沿って第1、第2可動電極3−4、3−5が噛み合うように通過する。
【0092】
本例では、第1、第2固定電極3−6、3−7には同位相の電圧パルスを印加し、第3固定電極4−4には第1、第2固定電極3−6、3−7に印加する電圧パルスよりも進んだ位相の電圧パルス、第4の固定電極4−5には第1、第2固定電極3−6、3−7に印加する電圧パルスよりも遅れた位相の電圧パルスが印加される。
【0093】
図17には振動ミラーの振れ角に対応して各電極間に発生する静電トルクの様子を示す。図18に電極部の断面を示す。図中、下向きの矢印で示すように左回り方向の静電トルクTを正としている。
【0094】
▲1▼振動ミラー3−3は初期状態では水平であるが、第3固定電極4−4に電圧を印加すると対向する第1可動電極3−4との間で負の方向での静電力を生じ、捩り梁3−2をねじって回転され、ねじり梁3−2の戻り力と釣り合う振れ角まで傾く。
【0095】
▲2▼上記第3固定電極4−4の電圧が解除されるとねじり梁3−2の戻り力で振動ミラー3−3は水平に戻るが、水平に戻る直前に第1、第2固定電極3−6、3−7に電圧を印加することによって正の方向での静電力を生じ、水平に戻る。
【0096】
▲3▼引き続き、第4の固定電極4−5に電圧を印加することによってさらに正の方向での静電トルクを増し、捩り梁3−2をねじって回転され、捩り梁3−2の戻り力と釣り合う振れ角まで傾く。
【0097】
▲4▼第4の固定電極4−5の電圧を解除すると、捩り梁3−2の戻り力で振動ミラー3−3は水平に戻るが、水平に戻る直前に第1、第2固定電極3−6、3−7に電圧を印加することによって負の方向での静電力を生じ、水平に戻る。
【0098】
▲5▼第3固定電極4−4に電圧を印加すると対向する第1可動電極3−4との間で負の方向での静電力を生じ、捩り梁3−2をねじって回転される。
【0099】
上記のように、電極の切り換えを繰り返し行うことで、振動ミラー3−3をその両端の可動電極が対向する第1、第2固定電極を抜ける振れ角、実施例では約2°が確保されるように往復振動させる。
【0100】
ここで、振動ミラー3−3の慣性モーメント、捩り梁3−2の幅と長さを、走査する所望の駆動周波数に合わせ、捩り梁3−2を回転軸とした1次共振モードの帯域にかかるよう設計することによって、励振されて著しく振幅が拡大され、振動ミラー3−3両端の第1、第2可動電極3−4、3−5が対向する第3、第4固定電極4−4、4−5を抜ける振れ角まで拡大させることができる。
【0101】
これによって、第3、第4固定電極4−4、4−5を抜けた振れ角でも水平に戻す方向、この場合には、第3固定電極4−4第1可動電極3−4を引くように、つまり、振動ミラー3−3に正の方向での静電力を生じさせるので、静電トルクの働く振れ角範囲を拡大でき共振周波数を外れた駆動周波数においても大きな振れ角が維持できる。
【0102】
図19には駆動周波数に対する振れ角の特性を示すが、駆動周波数を共振周波数に一致させれば、最も振れ角が大きくとれるが、共振周波数付近においては急峻に振れ角が変化する特性を有する。
【0103】
従って、初期的には振動ミラーの駆動制御部において固定電極に印加する駆動周波数を共振振動数に合うよう設定することができるが、温度変化等で共振周波数が変動した際には振れ角が激減してしまうことで経時的な安定性に乏しいという欠点がある。
【0104】
また、後述する実施例のように複数の振動ミラーを有する場合には、各々に固有の共振振動数がばらつくため、共通の駆動周波数で駆動できないという問題がある。
【0105】
そこで、実施例では、駆動周波数を振動ミラーと捩り梁からなる振動部固有の共振周波数近傍で、比較的振れ角変化の少ない、共振周波数から高めに外れた周波数帯域に設定しており、共振周波数2kHzに対し駆動周波数は2.5kHzとし、振れ角は印加電圧のゲイン調整により±5°に合わせている。
【0106】
この際、振動ミラーの加工誤差による共振振動数のばらつき、実施例では300Hz、温度による共振周波数の変動、実施例では3Hz、があっても駆動周波数がいずれの共振周波数にもかからないような周波数帯域、共振周波数2kHzであれば2.303Hz以上、または1.697Hz以下に設定することが望ましい。
【0107】
いま、振動ミラーの寸法を、縦2a、横2b、厚さd、捩り梁の長さをL、幅cとするとSiの密度ρ、材料定数Gを用いて、
慣性モーメントI=(4abρd/3)・a^2
バネ定数K=(G/2L)・{cd(c^2+d^2)/12}
となり、共振振動数fは、
f=(1/2π)・(K/I)^1/2 =(1/2π)・{Gcd(c^2+d^2)/24LI}^1/2
ここで、梁の長さLと振れ角θは比例関係にあるため
θ=A/I f^2 、Aは定数
で表され、振れ角θは慣性モーメントIに反比例し、共振振動数fを高めるには慣性モーメントを低減しないと振れ角θが小さくなってしまう。
そこで、実施例では振動ミラー反射面の裏側の基板厚dを格子状に残し、それ以外をd/10以下の厚さまでエッチングにより肉抜きすることで、慣性モーメントを約1/5に低減している。
これらの慣性モーメントに利くパラメータ、ねじり梁の寸法誤差等が共振周波数のばらつきを発生させる要因となる。
一方、空気の誘電率ε、電極長さH、印加電圧V、電極間距離δとすると
電極間の静電力F=εHV^2/2δ
となり、振れ角θ=B・F/I 、Bは定数とも表され、電極長さHが長いほど振れ角θが大きくなり、櫛歯状とすることで櫛歯数nに対して2n倍の駆動トルクを得ている。このように外周長をできるだけ長くして電極長をかせぐことで、低電圧でより大きい静電トルクが得られるように配慮している。
【0108】
ところで、振動ミラーの速度υ、面積Eに対して、空気の密度ηとすると
空気の粘性抵抗P=C・ηυ^2・E^3 、Cは定数
が振動ミラーの回転に対向して働く。
【0109】
本例では、第1、第2基板3、4が接合されてなる振動ミラー基板(マイクロミラー101)を、中央部に凹状に振動ミラーの揺動空間を形成し、リード端子を備えたベース基板2B上に、反射面を上側に向け、ベース基板2Bの外縁に形成された一対のV溝(2B−1、2B−2)を結ぶ直線上にねじり梁3−2を合わせて、第1基板3の下面を基準にして装着し、また、第2基板4の上面にキャップ状に成形されたカバーである基板5Aを接合して振動ミラー202の揺動空間が密封されるようにしており、揺動空間には不活性ガスを封入し、気密封止を行なっている。気圧は、駆動電圧等も考慮し、0.1〜10torr程度の範囲で適切に調整する。光ビームは、カバーに形成されたスリット窓5A−1を通じて入出射される。
図14において、基板5Aの内側には、振動ミラー3−3と対向して対向ミラー014、014’が、捩り梁3−2と直交する方向に一体的に形成されている。2枚の対向ミラー014、014’はスリット窓5A−1を挟んで屋根状に144.7°の角度をなすよう基板面より各々9°、および26.3°傾けた傾斜面に、金属被膜を蒸着して対の反射面として配備した構成となす。スリット窓5A−1の部分には上記の金属被膜が無い。よって、光ビームをスリット窓5A−1を通り抜けることができる。
【0110】
基板5A−1の底面は振動ミラー面3−3の上面であるミラー面と平行に形成され、第2基板4の枠部上面に当接して接合されるが、この際、第2基板4には対向ミ
ラーを位置決めするための指標4−8が両サイドにエッチングによって描かれ、これに対向ミラー014、014’のエッジを合わせるように基板上でアライメントしており、主走査方向に対向ミラー014、014’の方向を正確に合わせることができる。
【0111】
7.2 光走査手段
図20は、光走査装置に走査光学系を含めた光走査手段の副走査断面図、図21は光走査手段の分解斜視図、図22は光学素子の配置を示す。図20〜図22において、光源である半導体レーザ101は、フレーム部材102に立設された壁に配備された段付きの貫通穴103に反対側からステム外周を基準に圧入され、段差部に鍔面を突き当てて光軸方向を位置決めする。U字状の凹部105にはUV接着剤を介してカップリングレンズ110の光軸が半導体レーザ101からの射出軸と合うように、また、射出光束が平行光束となるように発光点との光軸方向の位置決めを行い、凹部とカップリングレンズ110との隙間のUV接着剤を硬化させて固定する。
【0112】
本例の場合、3つの光源部を有するが、全て同一構成である。
カップリングレンズ110より射出した光ビームは、一対の取付斜面109に接合配備され副走査方向に負の曲率を有するシリンダミラー136に入射され、副走査方向において振動ミラー面で集束する集束光束として振動ミラーモジュール(光走査装置)130のスリット窓5A−1から入射される。
【0113】
振動ミラーモジュール130は、ねじり梁3−2の方向が光軸方向に合うように、フレーム底面側に設けられた段付きの角穴104の裏側よりベース基板2Bの外縁を基準に位置決めされ、段差部に鍔面を突き当てて振動ミラー面の位置を合わせ、本例の場合、均等間隔に3つの振動ミラーモジュール130が単一のフレーム部材102により位置決めされる。
【0114】
各振動ミラーモジュール130はプリント基板112に、ベース基板2Bの底面から突出したリード端子を各々スルーホールに挿入して半田付けし、フレーム部材102の下側開口をふさぐように基板上面を当接して固定すると同時に、回路接続がなされる。
【0115】
プリント基板112には半導体レーザの駆動回路、振動ミラーの駆動回路を構成する電子部品、および同期検知センサ113が実装されており、外部回路との配線が一括してなされる。一端をプリント基板112に結線されたケーブル115は半導体レーザ101のリード端子と接続されている。
【0116】
図20は光走査手段の副走査断面を示す。半導体レーザ101から射出した光ビームはカップリングレンズ110、シリンダミラー136を介して、振動ミラー3−3に対し捩り梁を含む副走査断面内(副走査断面については図21参照)で法線に対して副走査方向に約20°傾けてスリット窓5A−1より入射され、振動ミラー3−3の表面に形成されたミラー面に入射した光ビームは反射されて第1の対向ミラー014に至り、ここで反射されて振動ミラー3−3に戻され、さらに反射した光ビームはスリット窓5A−1を超えて第2の対向ミラー014’に入射され、振動ミラー3−3との間で3往復しながら反射位置を副走査方向に移動させ、合計5回の振動ミラーでの反射により再度、スリット窓5A−1から射出される。
【0117】
本例ではこのように複数回反射を繰り返すことで、振動ミラーの振れ角が小さくても大きな走査角が得られるようにし、光路長を短縮している。いま、振動ミラーでの総反射回数N、振れ角αとすると、走査角θは2Nαで表せる。
【0118】
本例では、N=5、α=5°であるから最大走査角は50°となり、その内35°を画像記録領域としている。 共振を利用することで印加電圧は微小で済み発熱も少ないが、上式から明らかなように記録速度、つまり共振周波数、が速くなるに従って捩り梁のばね定数Kを高める必要があり振れ角がとれなくなってしまう。そこで、上記したように対向ミラー014、014’を設けることで走査角を拡大し、記録速度によらず必要十分な走査角が得られるようにしている。
【0119】
また、屋根状に対向して反射面を構成し、振動ミラーへの副走査方向での入射角度が繰り返し反射毎に正負、言いかえれば、反射に伴う進行方向が右向き、左向き、に振り分けるようにすることで、斜入射に伴う被走査面での走査線の曲がりを抑え、直線性を維持するとともに、光軸と直交する面内での光束の回転が射出時にはもとの姿勢に戻るようにして結像性能の劣化がおきないよう配慮している。
【0120】
図20、図21において、ピンフォトダイオードによる同期検知センサ113は、隣接する振動ミラーモジュール130で共用する中間位置と両端位置に配置され、各光走査モジュール130の走査係止側と走査終端側とで光ビームが検出できるように計4箇所に実装されている。第2の走査レンズ117の射出面側には各レンズの走査領域間にV字状の高輝アルミ薄板を貼り付けるミラー受け部128がハウジング106に形成され、高輝アルミ薄板によって反射した光ビームが走査領域間に形成された開口部129およびフレーム部材102の矩形穴150を通って各々の同期検知センサ113へ導かれるように、隣接する光走査手段の走査開始側と走査終端側に対応した反射面が向かい合って配置されている。
【0121】
図20において、フレーム部材102は、ある程度剛性が確保できるガラス繊維強化樹脂やアルミダイキャスト等からなり、両端部には画像形成装置本体の構造体に取付けるためのフランジ部131、133が形成され、一方、フランジ部131には基準穴を備えその内径に固定ネジ132の軸部を嵌合させ、もう一方のフランジ部133には長穴を備え固定ネジ132を貫通して各々バネ座金134を介して感光体に対向させて固定する。
【0122】
この際、基準穴を回転軸としたガタ分で被走査面(感光体)において各振動ミラーモジュール130のいずれかで走査された走査線が被走査面の移動方向yと直交する方向xに平行となるよう調節される(図22参照)。
【0123】
フレーム部材102の上面は角穴104の裏側に設けられた各振動ミラーモジュール130のミラー法線方向の突き当て面と平行な面となし、走査レンズを収納するハウジング106の底面より突出した2本の突起135をフレーム部材102の係合穴に挿入して同面上での位置決めを行い、4隅をネジ止めして配備される。実施例では、ネジ137はフレーム部材の貫通穴を介してプリント基板112に螺合され、フレーム部材を挟むようにこれら3つの部材を一体的に結合され、この後に上記半田付けがなされる。
【0124】
ハウジング106には結像手段を構成する第1の走査レンズ116、第2の走査レンズ117が主走査方向に配列され、各々の走査領域がわずかに重なるように位置決めされて一体的に保持される。
【0125】
第1の走査レンズ116は副走査方向基準面の中央に突出され主走査方向の位置決めを行う突起120、および両端を係合して光軸方向の位置決めを行う平押面119を入射面側、出射面側各々に備え、ハウジング106に一体形成された溝122に突起120を係合し、一対の切欠121の各々に各端の平押面119を挿入し波板バネ143で入射面側に押し付け同面内での姿勢を保持することで、光軸と直交する同一面に走査レンズ同士の相対的な配置を合わせ、副走査方向基準面をハウジング106から突出した一対の突起142の先端に突き当てることで、光軸と直交する面内での位置決めがなされて副走査方向の設置高さが決定され、カバー138と一体形成された板バネ141で押圧支持される。
【0126】
一方、第2の走査レンズ117は同様に副走査方向基準面の中央に突出され主走査方向の位置決めを行う突起123、両端に光軸方向の位置決めを行う平押面144を備え、ハウジングに一体形成された溝122に突起123を係合し、切欠121に平押面144を挿入し波板バネ143で出射面側に押し付け姿勢を保持するとともに、副走査方向基準面をハウジング106から突出した突起145および副走査方向に繰り出し自在な調節ネジ146の先端に突き当てて設置高さを位置決めし、カバー138と一体形成された板バネ141で押圧支持される。符号147はカバー138を固定するネジである。
【0127】
7.3 画像形成装置の例
図23は、図20乃至図22で説明したような、本発明の光走査装置(振動ミラーモジュール)に結像レンズ等走査光学系を付加して構成した光走査手段(符号500で示した)を4つ用いた、タンデム方式のカラーレーザプリンタを画像形成装置の一例として説明する。
【0128】
光走査手段は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成用として構成されていて、これら符号500−1、500−2、500−3、500−4で示す光走査手段には、夫々静電像が形成される感光体としての感光体ドラム504−1、504−2、504−3、504−4が対応している。
【0129】
光走査手段500−1、500−2、500−3、500−4により、感光体ドラム504−1、504−2、504−3、504−4に1色ずつ画像形成されるようになっている。各感光体ドラム504−1、504−2、504−3、504−4の下方には、これら各感光体ドラムに対して共通に接触するようにして、転写ベルト501が配置されている。図23に図示の例では、各光走査手段500−1、500−2、500−3、500−4を光ビームの射出方向が下向きとなるように配備している。
【0130】
転写ベルト501は、1つの駆動ローラR1と2つの支持ローラR2、R3により支持されている。各感光体ドラム504−1、504−2、504−3、504−4は、矢印で示す転写ベルト501の移動方向に沿って均等間隔でが配列されている。
【0131】
各感光体ドラム504−1、504−2、504−3、504−4のまわりには、これら感光体ドラムの順に、帯電器503−1、503−2、503−3、503−4および、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応したトナーで現像を行う現像装置502−1、502−2、502−3、502−4、さらに、転写された後の残トナーをブレードで掻き取り備蓄するクリーニング装置508−1、508−2、508−3、508−4が配置されている。
【0132】
各感光体ドラム504−1、504−2、504−3、504−4において、帯電器と現像装置との間の位置に、光走査手段からの走査用のレーザビームが照射されて、その光走査手段の受け持つ色の画像情報による静電像が形成される。
【0133】
ここで、転写ベルト501上の同じ位置に重ね画像を形成するため、各光走査手段500−1、500−2、500−3、500−4による潜像形成のためのレーザビームによる画像の書き出しのタイミングがずらされる。転写ベルト501端に形成されたレジストマークを検出するセンサ505は、このずらしの時期を設定するためのものである。
【0134】
こうして、各光走査手段500−1、500−2、500−3、500−4について、センサ505による検知信号をトリガとして所定タイミングだけずらしたタイミングで、レーザビームによる画像の書き出しが行われる。
【0135】
各感光体ドラム504−1、504−2、504−3、504−4に形成された静電潜像は、各感光体ドラムの回転方向下流側に位置する現像装置502−1、502−2、502−3、502−4において、トナー現像により可視像化され、各感光体ドラム504−1、504−2、504−3、504−4から転写ベルト501の同一画像領域に、順に転写され、重ねカラートナー画像が形成される。
【0136】
この重ねカラートナー画像は、給紙トレイ509から給紙コロ506 により送り出されてレジストローラ510の部位でタイミングを調整されてから送り出される用紙Sに、従動ローラR2と転写器が転写ベルトを間にして対向配置されている二次転写部で転写される。転写後の用紙Sは、搬送ベルト511により定着装置512に送られ、定着装置512を出たのち、排出ローラ513により排紙トレイ514に送り出される。
【0137】
転写ベルト501にトナー画像が転写されたのちの各感光体ドラム504−1、504−2、504−3、504−4は、クリーニング装置508−1、508−2、508−3、508−4により残留トナーが除去されて、次の画像形成に備えられる。
【0138】
こうして、光走査装置を含む光走査手段によって静電像が形成される感光体(感光体ドラム504−1、504−2、504−3、504−4)と、静電像をトナーで顕像化する現像手段(現像装置502−1、502−2、502−3、502−4)と、顕像化されたトナー像を記録紙(用紙S)に転写する転写手段(転写器515、従動ローラR2)とを有する画像形成装置(レーザプリンタ)において、かかる光走査手段(500−1、500−2、500−3、500−4)を構成する光走査装置(振動ミラーモジュール130)を使用することで、振動ミラーの動的変形による画質の低下を低減することができる。特に、重ねカラー画像を形成するカラー画像形成装置において、画質の向上を図ることができる。
【0139】
【発明の効果】
請求項1記載の発明では、揺動空間の気圧を調整して封止することにより、気圧調整にて変動可能な振動ミラーの特性(共振周波数、振れ角等)を調整することができるので、光走査装置製作工程の最後に異なる特性を作り分けることができる。
【0140】
請求項2記載の発明では、振動ミラーを封止後に、揺動空間の気圧を調整することで、光走査装置の特性のばらつきを所定の範囲に収めることができるので、ばらつきの調整が容易である。
【0141】
請求項3記載の発明は、特性にばらつきのある複数の光走査装置について任意に定めた一定の駆動周波数で所望の振れ角を得ることが可能である。
【0142】
請求項4記載の発明は、揺動空間の気圧を調整して、振動ミラーの特性のばらつきを低減することができる。
【0143】
請求項5記載の発明は、振動ミラーの特性ばらつきを低減できる。
【0144】
請求項6記載の発明では、振動ミラーの揺動空間の気圧を微調整することができ、振動ミラーの特性ばらつきを低減することができる。
【0145】
請求項7、8記載の発明では、揺動空間の気圧調整の調整幅が広がる上に、微調整もすることができる等調整自由度が高い。
【0146】
請求項9記載の発明は、温度を変えるだけで、揺動空間の気圧を粗微調整することができ、振動ミラーの特性ばらつきを更に低減できる。
【0147】
請求項10記載の発明は、局所的な活性化も可能となり、揺動空間の気圧を粗調整、微調整することができ、振動ミラーの特性ばらつきを更に低減できる。
【0148】
請求項11記載の発明では、加熱等で活性化するときに予定よりも反応しすぎとかがなく調整し易い。
【0149】
請求項12記載の発明では、共振ピークから外れた帯域で使うことにより、駆動周波数に対する調整幅が広がる。
【0150】
請求項13記載の発明では、従来のポリゴンミラーを用いた走査手段に比べて、消費電力が小さく、低騒音な画像形成装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】振動ミラーの封止気圧を変えた時の周波数特性の変化を例示した図である。
【図2】振動ミラーの封止気圧と振れ角の関係を例示した図である。
【図3】光走査装置の平面図である。
【図4】光走査装置の断面図である。
【図5】光走査装置の断面図である。
【図6】光走査装置の平面図である。
【図7】光走査装置の断面図である。
【図8】光走査装置の断面図である。
【図9】光走査装置の断面図である。振動ミラーの共振周波数の個体ばらつきを例示した図である。
【図10】振動ミラーの駆動電圧と振れ角の関係を例示した図である。
【図11】光走査装置の断面図である。
【図12】光走査装置の平面図である。
【図13】光走査装置の断面図である。
【図14】光走査装置の分解斜視図である。
【図15】第1基板の平面図である。
【図16】第2基板の平面図である。
【図17】振動ミラーの振れ角と各固定電極による静電トルクとの関係を示した図である。
【図18】電極部の断面図である。
【図19】駆動周波数に対するミラーの振れ角特性の図である。
【図20】光走査手段の副走査断面図である。
【図21】光走査手段の分解斜視図である。
【図22】光走査手段における光学素子の配置を説明した分解斜視図である。
【図23】画像形成装置としてのカラーレーザプリンタの概略構成図である。
【符号の説明】
1A、1A’、1B、1C、1C’、1D 光走査装置
008 ガス吸着剤
009 ガス放出剤
4−6、4−7 絶縁溝

Claims (13)

  1. 光ビームを反射するミラー面を有する振動ミラーと、前記振動ミラーを揺動自在に軸支する一対の捩り梁を有する光走査装置において、
    前記振動ミラーの特性が所定の範囲内に揃えられように、前記振動ミラーの揺動空間の気圧が調整されていて、密閉封止された構造であることを特徴とする光走査装置。
  2. 光ビームを反射するミラー面を有する振動ミラーと、前記振動ミラーを揺動自在に軸支する一対の捩り梁を有する光走査装置において、
    前記振動ミラーの揺動空間は密閉封止された構造であり、前記振動ミラーの特性を所定の範囲内に揃えられように、前記揺動空間の気圧を調整する気圧調整手段を備えていることを特徴とする光走査装置。
  3. 光ビームを反射するミラー面を有する振動ミラーと、前記振動ミラーを揺動自在に軸支する一対の捩り梁を有する光走査装置において、
    前記振動ミラーの揺動空間は密閉封止された構造であり、所定の駆動周波数或は帯域で所定の振れ角が得られるように、前記揺動空間の気圧を調整する気圧調整手段を備えていることを特徴とする光走査装置。
  4. 請求項2、3に記載の光走査装置において、
    前記気圧調整手段は揺動空間内のガスを吸着する手段であり、予め揺動空間内の気圧を高めに設定しておいて、気圧を調整することを特徴とする光走査装置。
  5. 請求項2、3に記載の光走査装置において、
    前記気圧調整手段は揺動空間内へガスを放出する手段であり、予め揺動空間内の気圧を低めに設定しておいて、気圧を調整することを特徴とする光走査装置。
  6. 請求項2、3に記載の光走査装置において、
    前記揺動空間内に封入するガスは、複数種のガスを混合してなることを特徴とする光走査装置。
  7. 請求項2、3に記載の光走査装置において、
    前記気圧調整手段を複数種備えていることを特徴とする光走査装置。
  8. 請求項7に記載の光走査装置において、
    前記気圧調整手段は、揺動空間内のガスを吸着する手段と、該揺動空間内へガスを放出する手段とからなることを特徴とする光走査装置。
  9. 請求項7に記載の光走査装置において、
    前記複数種の気圧を調整する手段は各々活性化温度が異なることを特徴とする光走査装置。
  10. 請求項7に記載の光走査装置において、
    前記複数種の気圧調整手段は各々活性化手段が異なることを特徴とする光走査装置。
  11. 請求項4乃至10の何れかに記載の光走査装置において、
    前記気圧調整手段は分割配置されていることを特徴とする光走査装置。
  12. 請求項1乃至11の何れかに記載の光走査装置において、
    当該光走査装置に所定の周波数の電圧を印加する駆動電圧発生装置を備え、
    前記振動ミラーが、共振周波数の近傍で共振ピークから外れた帯域において駆動させられることを特徴とする光走査装置。
  13. 光走査装置によって静電像が形成される感光体と、静電像をトナーで顕像化する現像手段と、顕像化されたトナー像をシート状媒体に転写する転写手段とを有する画像形成装置において、
    前記光走査装置として請求項1乃至12の何れかに記載の光走査装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
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