JP2008020540A - 光走査装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属電極に金属膜を低コストで形成することが可能であると共に、金属電極の小型化に対応可能な小型の光走査装置及びこれを用いた画像形成装置の提供。
【解決手段】振動ミラー3を駆動する駆動電極が基板上に設けられた振動ミラーのねじり回転軸4の垂直方向及び水平方向に複数個存在する光走査装置において、駆動電極の外部電極が振動ミラー3の反射面側と同一方向の基板1上全面に形成される。また、振動ミラー3の反射面が外部電極と同じ材質によって構成される。
【選択図】図3
【解決手段】振動ミラー3を駆動する駆動電極が基板上に設けられた振動ミラーのねじり回転軸4の垂直方向及び水平方向に複数個存在する光走査装置において、駆動電極の外部電極が振動ミラー3の反射面側と同一方向の基板1上全面に形成される。また、振動ミラー3の反射面が外部電極と同じ材質によって構成される。
【選択図】図3
Description
本発明は、電子写真式複写装置、プリンタ、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置に関し、詳しくは光ビームを走査する偏向器として振動ミラーを用いた光走査装置及びこれを具備する画像形成装置に関する。
従来、画像形成装置等に用いられる光走査装置においては、光ビームを走査する偏向器としてポリゴンミラーやガルバノミラー等が用いられるが、画像の高解像度及び画像形成速度を高めるためにはこれ等偏向器の回転をさらに高速化する必要があるが、軸受の耐久性、風損による発熱、騒音の発生といった各種の問題点があり、高速走査には限界がある。
このため、最近ではシリコンマイクロマシニングを利用した光偏向器の研究が進められており、シリコン基板上に振動ミラー及びこれを軸支するねじり梁を一体形成し、共振を利用して振動ミラーを往復振動させる技術が、例えば「特許文献1」及び「特許文献2」に開示されている。
シリコン基板上に金属電極を形成する方法としては、例えば「特許文献1」においては図12に例示される方法が挙げられる。この例では、振動ミラーに対向する駆動電極が金属で形成されているため、金属電極もこれと同時にパターン形成されている。しかし、駆動電極が金属以外の材料で形成されている場合には、ワイヤボンディング等を用いた外部回路との接続のために金属電極部に金属膜を後工程で形成する必要が生じる。
金属のパターン形成方法としては、通常のフォトリソグラフとエッチングとを用いた方法、リフトオフ法、ステンシルマスクを用いた製膜方法等が挙げられるが、基板表面に凹凸がある場合、金属電極の数が多い場合、小型化のために金属電極のサイズを小さくする場合においては、工程が複雑化したりその形成が困難となったりしてしまうという問題点がある。具体的には、通常のフォトリソグラフとエッチングとを用いた方法及びリフトオフ法では工程数が多い上に、基板表面に凹凸がある場合にはパターンの形成が困難になる。また、ステンシルマスクを用いた製膜方法は他の2方法に比して簡略化されているが、ステンシルマスクを用いるために金属電極の数が多い場合やサイズが小さくなった場合には位置合わせ精度が厳しくなり、対応し難くなるという問題点がある。
本発明は上述の問題点を解決し、金属電極に金属膜を低コストで形成することが可能であると共に、金属電極の小型化に対応可能な小型の光走査装置及びこれを用いた画像形成装置の提供を目的とする。
請求項1記載の発明は、振動ミラーを駆動する駆動電極が基板上に設けられた前記振動ミラーのねじり回転軸の垂直方向及び水平方向に複数個存在する光走査装置において、前記駆動電極の外部電極が前記振動ミラーの反射面側と同一方向の前記基板上全面に形成されていることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の光走査装置において、さらに前記振動ミラーの反射面が前記外部電極と同じ材質によって構成されていることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の光走査装置において、さらに前記外部電極と前記反射面とが単一の工程によって形成されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れか1つに記載の光走査装置において、さらに前記外部電極が空間的に絶縁されていることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか1つに記載の光走査装置において、さらに前記振動ミラーの揺動空間が密閉されていることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか1つに記載の光走査装置において、さらに前記振動ミラーは静電気力により駆動されることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項6記載の光走査装置において、さらに前記外部電極が櫛歯状であることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項6または7記載の光走査装置において、さらに前記振動ミラーを共振周波数の近傍であって共振ピークから外れた帯域において駆動することを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項1ないし8の何れか1つに記載の光走査装置を有する画像形成装置であることを特徴とする。
本発明によれば、複数の外部電極を同じ面側に形成しているので、1回の成膜工程で全ての金属電極を形成することができ、製作コストをより低減することが可能となる。
本発明の光走査装置の構成及び製造方法を以下に説明する。本実施形態において、マイクロミラーとして静電気力により駆動する静電駆動型のミラーを用いた例を示すが、本発明が適用可能なマイクロミラーはこれに限られず、他のタイプのものを用いてもよい。
先ず、電極部が水平方向及び垂直方向に複数個存在するマイクロミラーの製造方法を説明する。
図1に示すように、マイクロミラーはSi基板を貼り合わせたSOI(Silicon on Insulator)基板を用いて作製されており、各基板とも低抵抗である導体が用いられ、エッチング加工により厚い方の基板に振動ミラーの揺動空間が、薄い方(60μm程度)の基板に振動ミラーがそれぞれ形成される。ここで、各基板としてそれぞれ導体が用いられているため、特別に金属を用いることなく基板自体が電極を兼ねる構成となっている。
図1に示すように、マイクロミラーはSi基板を貼り合わせたSOI(Silicon on Insulator)基板を用いて作製されており、各基板とも低抵抗である導体が用いられ、エッチング加工により厚い方の基板に振動ミラーの揺動空間が、薄い方(60μm程度)の基板に振動ミラーがそれぞれ形成される。ここで、各基板としてそれぞれ導体が用いられているため、特別に金属を用いることなく基板自体が電極を兼ねる構成となっている。
各基板には、振動ミラーに形成された可動電極である櫛歯状電極と対向する位置にそれぞれ固定電極である櫛歯状電極が形成されている。電極の形状を櫛歯状とすることにより、駆動電圧を低減することができる。また、振動ミラーのねじり回転方向に沿って2段に電極が形成されているため、振動ミラーには常に駆動トルクが作用する状態に構成されており、振動ミラーの振れ角を大きくとることができる。さらに複数の電極を絶縁分離するためにスリット溝が形成され、振動ミラーの反射面とは反対の面には振動ミラーの軽量化を行いつつ剛性を確保するためのリブが形成されている。
従来では、振動ミラーと同一基板上に形成した外部電極及び振動ミラーとは別基板上に形成した外部電極を共に図面下方に向けて形成し、最後に(h)工程において、ステンシルマスクを用いて外部電極上に金属電極(Pad電極)を、振動ミラー上に反射ミラーを選択的に成膜している。しかし、本発明では外部電極がスリット溝によって空間的に絶縁分離された構造となっているので、最終の(h)工程においてステンシルマスクを用いることなく、基板の全面に成膜を行うことができる。図2にその一例を示す。
図2(a)はマイクロミラーの平面図を、(b)はマイクロミラーとリード端子を備えたベース基板とが接合された断面図を、(c)はさらに光ビームの入出射が行われる透明基板が接合されて密閉封止された断面図をそれぞれ示す。本発明の構成ではマイクロミラーの下側はベース基板によって封止され、さらに上側は透明基板によって封止されるため、必要最小限の部品点数によって封止構造を得ることができる。各基板の接合は、はんだ接合、ガラス接合、エポキシ接着剤接合等から基板材質に応じて適宜選択可能である。
上述のように、外部電極が空間的に絶縁されている構造であれば、基板の全面に成膜を行っても外部電極がそれぞれ絶縁されているためにセルフアラインで金属電極が形成されることになるため、選択的に成膜を行う従来の構成に比して製作コストを低減することができる。特に外部電極の数が多くなる場合には、従来では個々の位置合わせ精度が厳しくなるため、本発明の構成はより有効となる。また、本発明の構成では、複数の外部電極を同じ向き(同じ面側)に形成しているので、1回の成膜工程で全ての金属電極を形成することができ、製作コストをより低減することができる。
さらに本発明の構成によれば、外部電極の向きが振動ミラーの反射面側と同じであるので、反射ミラーの反射面材質を金属電極の材質と共通化することにより、1回の成膜工程で金属電極及び反射ミラーを形成することができ、さらにコストを低減することが可能となる。基板全面に成膜を行う場合において外部電極間の短絡が懸念されるが、スリット溝の底部には成膜がされにくく、さらに図1(g)の工程においてSiO2の除去をウエットエッチングにより行うことでサイドエッチが発生し、金属が断線する構造であるので外部電極間の短絡を回避することができる。
図3は、本発明の一実施形態に用いられる光走査装置の振動ミラーモジュールを示している。
振動ミラー基板は、2枚のSi基板1,2を酸化膜等の絶縁膜を介して接合して構成されている。60μmの厚さであるSi基板1は、振動ミラーである可動ミラー3及び可動ミラー3を同一直線上で支持するねじり梁4を有しており、可動ミラー3及びねじり梁4はエッチングによってその周囲から貫通され、固定枠5(図4参照)から分離して形成されている。可動ミラー3はねじり梁4に対して左右対称形に形成されており、その両端部及びこれと対向する固定枠5の内辺には数μmの隙間を有して互いに噛合する櫛歯状の凹凸がそれぞれ形成されている。可動ミラー3の表面にはAu等の金属被膜が蒸着されて反射面を形成しており、図4に示すように各基板1,2を絶縁層を介して接合した状態で島状に分離することにより基板そのものを個別に電極として構成している。可動ミラー3の両端の凹凸部により第1の可動電極6及び第2の可動電極7(説明では便宜上分けているが同電位)が、対向する固定枠5の凹凸部により第1の固定電極8及び第2の固定電極9がそれぞれ構成されている。140μmの厚さであるSi基板2はエッチングにより中央部が貫通されており、固定枠5に形成した凹凸部と重なり合う内辺にはその外郭が一致するように櫛歯状の凹凸部が形成されている。この凹凸部は第3の固定電極10及び第4の固定電極11をそれぞれ構成しており、各電極10,11には可動ミラー3の揺動により各電極6,7が噛合するように通過する。
振動ミラー基板は、2枚のSi基板1,2を酸化膜等の絶縁膜を介して接合して構成されている。60μmの厚さであるSi基板1は、振動ミラーである可動ミラー3及び可動ミラー3を同一直線上で支持するねじり梁4を有しており、可動ミラー3及びねじり梁4はエッチングによってその周囲から貫通され、固定枠5(図4参照)から分離して形成されている。可動ミラー3はねじり梁4に対して左右対称形に形成されており、その両端部及びこれと対向する固定枠5の内辺には数μmの隙間を有して互いに噛合する櫛歯状の凹凸がそれぞれ形成されている。可動ミラー3の表面にはAu等の金属被膜が蒸着されて反射面を形成しており、図4に示すように各基板1,2を絶縁層を介して接合した状態で島状に分離することにより基板そのものを個別に電極として構成している。可動ミラー3の両端の凹凸部により第1の可動電極6及び第2の可動電極7(説明では便宜上分けているが同電位)が、対向する固定枠5の凹凸部により第1の固定電極8及び第2の固定電極9がそれぞれ構成されている。140μmの厚さであるSi基板2はエッチングにより中央部が貫通されており、固定枠5に形成した凹凸部と重なり合う内辺にはその外郭が一致するように櫛歯状の凹凸部が形成されている。この凹凸部は第3の固定電極10及び第4の固定電極11をそれぞれ構成しており、各電極10,11には可動ミラー3の揺動により各電極6,7が噛合するように通過する。
本実施形態では、第1の固定電極8及び第2の固定電極9に同位相の電圧パルスを印加し、第3の固定電極10には各電極8,9に印加する電圧パルスよりも進んだ位相の電圧パルスが、第4の固定電極11には各電極8,9に印加する電圧パルスよりも遅れた位相の電圧パルスがそれぞれ印加される。
図5に可動ミラー3の振れ角に対応して各電極間に発生する静電トルクの様子を、図6に電極の断面をそれぞれ示す。図6において、左回り方向の静電トルクを正としている。可動ミラー3は初期状態において水平であるが、第3の固定電極10に電圧を印加すると対向する第1の可動電極6との間で負の方向への静電力が生じ、ねじり梁4をねじって回転してねじり梁4の戻り力と釣り合う振れ角まで傾く。第3の固定電極10への電圧が解除されるとねじり梁4の戻り力で可動ミラー3は水平の状態に戻るが、可動ミラー3が水平状態に戻る直前に第1及び第2の固定電極8,9に電圧を印加することにより正の方向への静電力を生じさせ、引き続き第4の固定電極11に電圧を印加することによりさらに正の方向への静電トルクを増加させるといった電極の切り替えを繰り返し行うことにより、各可動電極6,7が対向する第1及び第2の固定電極8,9を抜ける振れ角、本実施形態では約2°にて可動ミラー3を往復振動させる。
ここで、可動ミラー3の慣性モーメント及びねじり梁4の幅と長さを走査する所望の駆動周波数に合わせ、ねじり梁4を回転軸とした1次共振モードの帯域にかかるように設計することにより、励振されて各可動電極6,7が対向する第3及び第4の固定電極10,11を抜ける振れ角まで可動ミラー3の振幅を著しく拡大することができる。これにより、第3及び第4の固定電極10,11を抜けた振れ角でも水平状態に戻す方向、第3の固定電極10では可動ミラー3に正の方向への静電力が生じるので、静電トルクの働く振れ角範囲を拡大することができ、共振周波数を外れた駆動周波数においても大きな振れ角を維持することができる。
図7は、駆動周波数に対する振れ角の特性を示す。駆動周波数を共振周波数に一致させることにより振れ角を最も大きくすることができるが、共振周波数付近においては急峻に振れ角が変化する特性があるため、初期的には可動ミラー3の駆動制御部において固定電極に印加する駆動周波数を共振振動数と合致するように設定することができるが、温度変化等で共振周波数が変動した場合には振れ角が激減することで経時的な安定性に欠けるという問題点がある。また、複数の可動ミラー3を有する場合には、各可動ミラー3毎に固有の共振振動数がばらつくため、共通の駆動周波数によって駆動できないという問題点がある。
そこで本実施形態では、駆動周波数を可動ミラー3とねじり梁4とからなる振動部固有の共振周波数近傍で比較的振れ角の少ない、共振周波数から高めに外れた周波数帯域に設定している。具体的には、共振周波数2kHzに対し駆動周波数を2.5kHzとし、振れ角は印加電圧のゲイン調整により±5°に合わせている。このとき、可動ミラー3の加工誤差による共振振動数のばらつき(実施形態では300Hz)、及び温度による共振周波数の変動(実施形態では3Hz)があっても、駆動周波数が何れの共振周波数にもかからないような周波数帯域(例えば共振周波数が2kHzであれば2.303Hz以上、または1.697Hz以下)に設定することが望ましい。
可動ミラー3の寸法を、縦2a、横2b、厚さd、ねじり梁4の長さをL、幅cとすると、Siの密度ρ、材料定数Gを用いて、
慣性モーメントI=(4abρd/3)・a^2
ばね定数K=(G/2L)・{cd(c^2+d^2)/12}
となり、共振振動数fは、
f=(1/2π)・(K/I)^1/2=(1/2π)・{Gcd(c^2+d^2)/24LI}^1/2
ここで、ねじり梁4の長さLと振れ角θは比例関係にあるため、
θ=A/If^2(Aは定数)
で表され、振れ角θは慣性モーメントIに反比例し、共振振動数fを高めるには慣性モーメントIを低減しないと振れ角θが小さくなってしまう。
慣性モーメントI=(4abρd/3)・a^2
ばね定数K=(G/2L)・{cd(c^2+d^2)/12}
となり、共振振動数fは、
f=(1/2π)・(K/I)^1/2=(1/2π)・{Gcd(c^2+d^2)/24LI}^1/2
ここで、ねじり梁4の長さLと振れ角θは比例関係にあるため、
θ=A/If^2(Aは定数)
で表され、振れ角θは慣性モーメントIに反比例し、共振振動数fを高めるには慣性モーメントIを低減しないと振れ角θが小さくなってしまう。
そこで、本実施形態では可動ミラー3の反射面の裏側の基板厚さdを格子状に残し、それ以外をd/10以下の厚さまでエッチングにより肉抜きすることにより、慣性モーメントIを約1/5に低減している。これら慣性モーメントIに効くパラメータ、ねじり梁4の寸法誤差等が共振周波数のばらつきを発生させる要因となる。
一方、空気の誘電率ε、電極長さH、印加電圧V、電極間距離δとすると、
電極間の静電力F=εHV^2/2δ
となり、振れ角θ=B・F/I(Bは定数)とも表され、電極長さHが長いほど振れ角θが大きくなり、櫛歯状とすることで櫛歯数nに対して2n倍の駆動トルクを得ている。このように外周長をできるだけ長くして電極長さHを稼ぐことで、低電圧でより大きい静電トルクが得られるように配慮している。
電極間の静電力F=εHV^2/2δ
となり、振れ角θ=B・F/I(Bは定数)とも表され、電極長さHが長いほど振れ角θが大きくなり、櫛歯状とすることで櫛歯数nに対して2n倍の駆動トルクを得ている。このように外周長をできるだけ長くして電極長さHを稼ぐことで、低電圧でより大きい静電トルクが得られるように配慮している。
ところで、可動ミラーの速度v、面積Eに対して空気の密度ηとすると、
空気の粘性抵抗P=C・ηv^2・E^3(Cは定数)
が可動ミラー3の回転に対向して働く。従って、可動ミラー3をカバーで密封し減圧状態に保持することが望ましい。本実施形態では、各基板1,2が接合されて構成される振動ミラー基板を、中央部に凹状に可動ミラー3の揺動空間を有しリード端子を備えたベース基板12上に、反射面を上側に向けて基体の外縁に形成された一対のV溝を結ぶ直線上にねじり梁4を合わせて基板1の下面を基準にして装着し、基板2の上面にキャップ状に形成された透明樹脂製のカバー13を接合して可動ミラー3の揺動空間が密封されるように構成しており、揺動空間には非蒸発型ゲッタを同梱し外部からの加熱で活性化することで圧力が1torr以下となるように構成している。光ビームは、カバー13に形成されたスリット窓14を介して入出射される。
空気の粘性抵抗P=C・ηv^2・E^3(Cは定数)
が可動ミラー3の回転に対向して働く。従って、可動ミラー3をカバーで密封し減圧状態に保持することが望ましい。本実施形態では、各基板1,2が接合されて構成される振動ミラー基板を、中央部に凹状に可動ミラー3の揺動空間を有しリード端子を備えたベース基板12上に、反射面を上側に向けて基体の外縁に形成された一対のV溝を結ぶ直線上にねじり梁4を合わせて基板1の下面を基準にして装着し、基板2の上面にキャップ状に形成された透明樹脂製のカバー13を接合して可動ミラー3の揺動空間が密封されるように構成しており、揺動空間には非蒸発型ゲッタを同梱し外部からの加熱で活性化することで圧力が1torr以下となるように構成している。光ビームは、カバー13に形成されたスリット窓14を介して入出射される。
カバー13の内側には、可動ミラー3と対向する対向ミラー15が、ねじり梁4と直交する方向に一体的に形成されている。2枚の対向ミラー15は、スリット窓14を挟んで屋根状に144.7°の角度をなすように、基板面よりそれぞれ9°、及び26.3°傾けた傾斜面に金属被膜を蒸着して各反射面が形成されている。カバー13の底面は可動ミラー3の面と平行に形成されており、基板2の枠部上面に当接して接合されるが、このとき基板2には対向ミラー15を位置決めするための指標16が、両側にエッチングによって形成され、この指標16に対向ミラー15のエッジを合わせるように基板上でアライメントしており、対向ミラー15を主走査方向に向けて正確に位置合わせすることができる。
図8は、本実施形態に用いられる光走査装置の副走査断面を示している。半導体レーザ17から出射した光ビームは、カップリングレンズ18、シリンダミラー19を介して可動ミラー3に対しねじり梁4を含む副走査断面内で法線に対して副走査方向に約20°傾けてスリット窓14より入射され、反射した光ビームは第1の反射面20に入射されて可動ミラー3に戻され、さらに反射した光ビームはスリット窓14を超えて第2の反射面21に入射され、可動ミラー3との間で3往復しながら反射位置を副走査方向に移動させ、合計5回の可動ミラー3による反射で再度スリット窓14から射出される。本実施形態では、このように光ビームの反射を複数回繰り返すことで可動ミラー3の振れ角が小さくても大きな走査角が得られるように構成されており、この構成により光路長を短縮している。
可動ミラー3の総反射回数をN、振れ角をαとすると、走査角θは2Nαで表せる。本実施形態ではN=5、α=5°であるから最大走査角は50°となり、そのうち35°を画像記録領域としている。共振を利用することにより印加電圧は微小であり発熱も少ないが、上式から明らかなように記録速度すなわち共振周波数が速くなるに従ってねじり梁4のばね定数Kを高める必要があり、振れ角を大きくとることができなくなる。そこで、上述の構成のように対向ミラー15を設けることにより走査角を拡大し、記録速度によらず必要十分な走査角が得られるように構成している。また、屋根状に対向して対向ミラー15の反射面を構成し、可動ミラー3への副走査方向における入射角度が反射毎に繰り返し切り替わる、換言すれば反射に伴う進行方向が右向きまたは左向きに振り分けるように構成することにより、斜入射に伴う被走査面での走査線の曲がりを抑制して直線性を維持すると共に、光軸と直交する面内での光束の回転が射出時には元の姿勢に戻るようになり、結像性能の劣化が発生しないように配慮している。
図9は、本実施形態における光走査装置の分解斜視図を、図10は光学素子の配置をそれぞれ示している。光源である半導体レーザ17は、フレーム部材22に立設された壁に配備された段付きの貫通穴23に反対側からステム外周を基準に圧入され、段差部に鍔面を突き当てて光軸方向を位置決めされる。U字形状の凹部24にはUV接着剤を介してカップリングレンズ18の光軸が半導体レーザ17からの射出軸と合致するように、また射出光束が平行光束となるように発光点との光軸方向の位置決めを行い、凹部24とカップリングレンズ18との隙間のUV接着剤を硬化させて固定している。本実施形態では3個の光源を有するが、全て同じ構成である。
カップリングレンズ18より射出した光ビームは、一対の取り付け斜面25に接合され副走査方向に負の曲率を有するシリンダミラー19に入射され、副走査方向において可動ミラー面で集束する集束光軸として振動ミラーモジュール26のスリット窓から入射される。振動ミラーモジュール26はねじり梁4の方向が光軸方向と合うように、フレーム底面側に設けられた段付きの角穴27の裏側よりベース基板212の外縁を基準に位置決めされ、段差部に鍔面を突き当てて可動ミラー面の位置を合わせ、本実施形態では均等間隔に3個の振動ミラーモジュール26が単一のフレーム部材22により位置決めされる。
各振動ミラーモジュール26はプリント基板28に、ベース基板12の底面から突出したリード端子をそれぞれスルーホールに挿入して半田付けにより固定され、フレーム部材22の下側開口を塞ぐように基板上面を当接すると同時に回路接続がなされる。プリント基板28には、半導体レーザ17の駆動回路、可動ミラー3の駆動回路を構成する電子部品、及び同期検知センサ29が実装されており、外部回路との配線が一括してなされている。一端をプリント基板28に接続されたケーブル30は、半導体レーザ17のリード端子と接続される。
フレーム部材22は、ある程度剛性が確保できるガラス繊維強化樹脂あるいはアルミダイキャスト等により構成され、その両端部には画像形成装置本体の構造体に取り付けるためのフランジ部31,32が形成されている。フランジ部31は固定ねじ33の軸部が嵌合する基準穴を有し、フランジ部32は長穴を有しており、それぞればね座金34を介して固定ねじ33により感光体に対向して画像形成装置本体に固定される。このとき、基準穴を回転軸としたガタ分により、感光体の被走査面において振動ミラーモジュール26の何れかで走査された走査線が被走査面の移動方向yと直交する方向xに平行となるように調整される。
フレーム部材22の上面は角穴27の裏側に設けられた各振動ミラーモジュール26のミラー法線方向の突き当て面と平行な面をなし、走査レンズを収納するハウジング35の底面より突出した2本の突起36をフレーム部材22の係合穴に挿入して同面上での位置決めを行い、4隅をねじ止めして装着される。本実施形態ではねじ37はフレーム部材22の貫通穴を介してプリント基板28に螺合され、フレーム部材22を挟むように一体的に結合された後に半田付けがなされる。
ハウジング35には、結像手段を構成する第1の走査レンズ38及び第2の走査レンズ39が主走査方向に配列され、互いの走査領域がわずかに重なるように位置決めされて一体的に保持されている。第1の走査レンズ38は副走査方向基準面の中央に突出され主走査方向の位置決めを行う突起40及び両端を結合して光軸方向の位置決めを行う平押面41を入射面側及び出射面側にそれぞれ備え、ハウジング35に一体形成された溝42に突起40を係合し、一対の切欠43のそれぞれに各平押面41を挿入し、波板ばね44で入射面側に押し付けて同面内での姿勢を保持することで、光軸と直交する同一面に走査レンズ同士の相対的な位置を合わせ、副走査方向基準面をハウジング35から突出した一対の突起45の先端に突き当てることで、光軸と直交する面内での位置決めがなされて副走査方向の設置高さが決定され、カバー46と一体形成された板ばね47によって押圧支持される。
第2の走査レンズ39は、第1の走査レンズ38と同様に、副走査方向基準面の中央に突出形成され主走査方向の位置決めを行う突起48、及びその両端に光軸方向の位置決めを行う平押面49を備えており、溝42に突起48を係合し、切欠43に平押面49を挿入して波板ばね44により出射面側に押し付けられて姿勢を保持されると共に、副走査方向基準面をハウジング35から突出した突起50及び副走査方向に進退自在な調節ねじ51の先端に突き当てて設置高さを位置決めし、板ばね47によって押圧支持される。図中、符号52はカバー46を固定するねじを示している。
上述の実施形態では、3個の光走査装置を配列した例を示したが、配列数はこれに限られず、いくつであってもよい。
上述の実施形態では、3個の光走査装置を配列した例を示したが、配列数はこれに限られず、いくつであってもよい。
図11は、本発明の光走査装置を4個用い、それぞれ対応した感光体ドラム53に1色毎に画像形成し、転写ベルト54上に各画像を重ね合わせてフルカラー画像形成を行うタンデム方式のカラーレーザプリンタを示している。この例において光走査装置55は光ビームの出射方向が下向きとなるように4個用いられており、各感光体ドラム53上にはイエロ、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像が形成される。
転写ベルト54は駆動ローラと2本の従動ローラとで走行可能に支持されており、転写ベルト54の走行方向に沿って等間隔で各感光体ドラム53が配列されている。各感光体ドラム53の周囲には、イエロ、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応したトナーを補給する現像ローラ56及びトナーホッパ部57、画像転写後の残トナーをブレードで掻き取り備蓄するクリーニング部材58が一体的に配置されている。転写ベルト54の端部に形成されたレジストマークを検出するセンサ59の信号をトリガとして、副走査方向の書き出しタイミングを互いにずらして各光走査装置55により各感光体ドラム53上に静電潜像が形成され、現像部においてトナーを供給された後に転写ベルト54上に各色画像が順次転写されていく。転写材である用紙は給紙トレイ60上より給紙ローラ61の回転によって供給され、4色目の画像形成にタイミングを合わせてレジストローラ対62によって転写部63に向けて給送される。給送された用紙は転写部63において転写ベルト54上から4色同時に画像を転写され、搬送ベルト64によって定着装置に送られる。用紙上に転写されたトナー像は定着装置の定着ローラ65によって用紙上に定着され、画像が定着された用紙は排出ローラ対66によって機外の排紙トレイ67上に排出される。
上述の画像形成装置によれば、従来のポリゴンミラーやガルバノミラーを用いた光走査装置を有するものに比して、消費電力を低減することができると共に画像形成時における騒音の発生を抑制することができる。
1,2 基板(Si基板)
3 振動ミラー(可動ミラー)
6 第1の可動電極
7 第2の可動電極
8 第1の固定電極
9 第2の固定電極
10 第3の固定電極
11 第4の固定電極
55 光走査装置
3 振動ミラー(可動ミラー)
6 第1の可動電極
7 第2の可動電極
8 第1の固定電極
9 第2の固定電極
10 第3の固定電極
11 第4の固定電極
55 光走査装置
Claims (9)
- 振動ミラーを駆動する駆動電極が基板上に設けられた前記振動ミラーのねじり回転軸の垂直方向及び水平方向に複数個存在する光走査装置において、
前記駆動電極の外部電極が前記振動ミラーの反射面側と同一方向の前記基板上全面に形成されていることを特徴とする光走査装置。 - 請求項1記載の光走査装置において、
前記振動ミラーの反射面が前記外部電極と同じ材質によって構成されていることを特徴とする光走査装置。 - 請求項2記載の光走査装置において、
前記外部電極と前記反射面とが単一の工程によって形成されていることを特徴とする光走査装置。 - 請求項1ないし3の何れか1つに記載の光走査装置において、
前記外部電極が空間的に絶縁されていることを特徴とする光走査装置。 - 請求項1ないし4の何れか1つに記載の光走査装置において、
前記振動ミラーの揺動空間が密閉されていることを特徴とする光走査装置。 - 請求項1ないし5の何れか1つに記載の光走査装置において、
前記振動ミラーは静電気力により駆動されることを特徴とする光走査装置。 - 請求項6記載の光走査装置において、
前記外部電極が櫛歯状であることを特徴とする光走査装置。 - 請求項6または7記載の光走査装置において、
前記振動ミラーを共振周波数の近傍であって共振ピークから外れた帯域において駆動することを特徴とする光走査装置。 - 請求項1ないし8の何れか1つに記載の光走査装置を有することを特徴とする画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006190537A JP2008020540A (ja) | 2006-07-11 | 2006-07-11 | 光走査装置及び画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006190537A JP2008020540A (ja) | 2006-07-11 | 2006-07-11 | 光走査装置及び画像形成装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008020540A true JP2008020540A (ja) | 2008-01-31 |
Family
ID=39076540
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2006190537A Pending JP2008020540A (ja) | 2006-07-11 | 2006-07-11 | 光走査装置及び画像形成装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2008020540A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010026069A (ja) * | 2008-07-16 | 2010-02-04 | Kyoto Univ | 振動ミラー素子 |
US9057936B2 (en) | 2009-10-22 | 2015-06-16 | Robert Bosch Gmbh | Micromechanical projection device and method for manufacturing a micromechanical projection device |
JP2017058416A (ja) * | 2015-09-14 | 2017-03-23 | 富士電機株式会社 | 光走査装置および内視鏡 |
-
2006
- 2006-07-11 JP JP2006190537A patent/JP2008020540A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010026069A (ja) * | 2008-07-16 | 2010-02-04 | Kyoto Univ | 振動ミラー素子 |
US9057936B2 (en) | 2009-10-22 | 2015-06-16 | Robert Bosch Gmbh | Micromechanical projection device and method for manufacturing a micromechanical projection device |
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