JP4365722B2 - 光り走査装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、デジタル複写機およびレーザプリンタ等の画像形成装置、さらに光走査型のバーコード読み取り装置や車載用のレーザレーダ装置等へも応用が可能な光走査装置の製造方法に関する。
従来の光走査装置においては、光ビームを走査する偏向器としてポリゴンミラーやガルバノミラーが用いられている。これらの走査手段により高解像度画像と高速プリントを達成するにはポリゴンミラーの回転速度やガルバノミラーの振動速度をさらに高速にしなければならない。しかし、高速にするとこれらのミラーを支持する軸受の耐久性やこれらミラーの風損による発熱、騒音などの問題が生じるので、高速走査に限界がある。
これに対し、近年シリコンマイクロマシニングを利用した光偏向器の研究がすすめられており、Si基板で振動ミラーとそれを軸支するねじり梁を一体形成した方式が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
これら提案技術では、共振を利用して往復振動させるので高速動作が可能であるにもかかわらず、騒音が低いという利点がある。さらに振動ミラーを回転する駆動力も小さくて済むので消費電力も低く抑えられる。
前記したように振動ミラーを利用することで、従来のポリゴンミラーを用いる方法に比べ小型で消費電力が少ない光走査装置を提供できるが、これらの振動ミラーは振れ角が小さく、反射面の大きさにも限界があるため、画像形成装置への適用に際して光路長の短い複数の光走査装置を並列配置することで画像を主走査方向に分割し各々の記録幅を小さくして繋ぎ合わせている。また、安全性のために可動部を密封している(例えば、特許文献3参照)。
しかし、振動ミラーを複数個用いたときには、分割走査する際は個別の振動ミラーの共振周波数のばらつきが大きな問題点として挙げられる。振動ミラーの振れ角の調整幅は極端に狭く、共振周波数のばらつきが大きいと、複数の振動ミラーを共通の駆動周波数で駆動できないからである。
ここで、共振周波数のばらつき発生要因としては、
(1)製造による加工ばらつき
(2)環境温度、湿度の変化によるばらつき
(3)大気中で使用する場合の大気圧の変化によるばらつき
等が挙げられる。よって、個々の共振周波数に合わせた駆動周波数にて駆動するか、または、同一の駆動周波数で個々の振動ミラーを駆動しようとすると、選別してある範囲のものだけを使用するという歩留まりの悪い手段を取るか、複雑な駆動系の制御を付加して駆動させるか、という選択にならざるを得ない。
前記(1)のような加工ばらつきにより発生する共振周波数のばらつきに対する対応策としては、振動ミラー作製工程において、振動ミラー及び捩り梁を形成後に、振動ミラーを駆動させた状態で、当該振動ミラー及び捩り梁もしくはその両方をエッチングまたはデポジッションすることにより質量変化させ(一般にトリミングという)、共振周波数を所定の範囲内に調整する方法が挙げられる(例えば、特許文献4、5、6参照)。
しかし、この方法では製造工程の途中で調整している為に、完成後の実使用時の共振周波数との差を見込んだ調整をしないと、ズレが発生しやすかったり、前記(2)、(3)のばらつきを生じさせるような変化の使用環境下における共振周波数のばらつきに対しては対応できない等の問題がある。
また、このような振動ミラーの共振周波数は基本的には弾性部材(捩り梁)の剛性と振動ミラーの慣性によって一意的に決まるので、前記(2)のような使用環境下の温度変動による共振周波数のばらつきに対する対応策として、弾性部材である捩り梁に抵抗加熱によるヒータを設け、弾性部材の温度を一定に保つことにより、環境温度変化による剛性変化つまり周波数変化を抑える方法がある(例えば、特許文献7参照)。
しかし、この方法ではヒータを新たに設けるために、その分の製造コストの上昇が避けられない。また、継続的にヒータに通電するため、消費電力も上昇する。さらに、ヒータの発熱により弾性部材の温度を制御する為、環境温度の低下に対しては積極的に対応できない等の問題がある。
その他、振動ミラーを熱膨張係数の異なるベース部材に接合固定することによって、温度変化によって発生する熱膨張係数の差により発生する応力を利用して、弾性部材の剛性変化と相殺させ、周波数変化を抑制するものがある(例えば、特許文献8参照)。
しかし、この方法は構造、材料、接合方法方法により応力の発生の仕方が変化するので、効果的に応力が発生するように設計できるのか、また製造ばらつきを考慮した時、設計通り効果的に応力が発生するかの疑問もある。
前記(1)〜(3)に対する対応策として、比較的簡単な構成のフィードバック系で構成されている駆動回路を用いることにより、確実に共振周波数で駆動させる方法がある(例えば、特許文献9参照)。
しかし、この方法は電磁力で駆動させる方式の振動ミラーであり、振動ミラー上に形成された駆動電流を流すためのコイルを共通使用し、コイルの逆起電力を検出してフィードバックをかけるような構成になっている。よって、電磁力以外の駆動力を用いた振動ミラーに対しては、当てはまらない等の限定がつく。
また、可動部の空気抵抗による影響を制御するため可動部を一定圧力に封止したり(例えば特許文10参照)、光走査モジュールを減圧容器内に設け、ミラー基板の振動の際の空気抵抗をなくしてより高周波での駆動を可能とする技術がある(例えば、特許文献11参照)。しかし、具体性に欠く内容である。
特許第2924200号公報 特許第3011144号公報 特開2001−228428号公報 特開2002−40353号公報 特開2002−40355号公報 特開2002−228965号公報 特開平9−197334号公報 特開2002−321195号公報 特開2002−277809号公報 特開平8−334722号公報 特開2002−48998号公報
この発明は前記の従来技術の経緯に鑑みてなされたものであり、駆動周波数のばらつき吸収幅を広くした光走査装置の製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、前記課題を達成するため光ビームの反射面を有する振動ミラーと前記振動ミラーを揺動自在に支持する一対の捩り梁を有する光走査装置の製造方法において、前記振動ミラーと前記捩り梁が入った容器内の圧力を除々に上げながら、実使用時の駆動周波数および駆動電圧で駆動する前記振動ミラーの振れ角の監視を行う工程と、前記ミラーの振れ角が許容範囲で、かつ、狙いの封止圧力(共振外安定領域を大きくとることができるときの封止圧力)になった時点で前記容器内の圧力変化を止めて前記振動ミラーの揺動空間の封止を行う工程とを有することとした。
この発明では、光ビームの反射面を有する振動ミラーと前記振動ミラーを揺動自在に支持する一対の捩り梁を有する光走査装置の製造方法において、前記振動ミラーと前記捩り梁が入った容器内の圧力を除々に上げながら、実使用時の駆動周波数および駆動電圧で駆動する前記振動ミラーの振れ角の監視を行う工程と、前記ミラーの振れ角が許容範囲で、かつ、狙いの封止圧力(共振外安定領域を大きくとることができるときの封止圧力)になった時点で前記容器内の圧力変化を止めて前記振動ミラーの揺動空間の封止を行う工程とを有するので、振れ角許容範囲に対応する共振外安定領域を大きくとることができ、ひいては、駆動周波数のばらつき吸収幅を広くした光走査装置、該光走査装置を用いた画像形成装置を提供することができる。
以下、この発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。最初に、本発明に係る振動ミラーの揺動空間を気密封止する構成に関して特徴的な実施例を例示し、最後に本発明により製造した光走査装置を用いた画像形成装置の例としてレーザプリンタについて、全体構成及び動作を含めて例示する。ここで、振動ミラーは静電気力により駆動する静電駆動型のミラー用いた場合である。しかしながら、静電駆動型に限らず、例えば、ピエゾ駆動素子など、駆動手段としては、その他のタイプの駆動手段を用いる振動ミラーの製造においても本発明を適用できる。
(光走査装置の構成)
本例は、振動ミラーの特性が所定の範囲内、例えば振れ角許容範囲に揃えられるように、振動ミラーを駆動しながら、振動ミラーの揺動空間の圧力を調整した上で、密閉封止した光走査装置に関する。図1、図2にその例を示す。図1に本発明の例としての光走査装置1Aを上からみた状態を、この図1の光走査装置1Aを中心から左右方向に切断したときのA-A'断面を図2に示している。
図1、図2を参照するに、光走査装置1Aは、一番下から上に向けて、順にそれぞれ矩形の概形をしたベース基板2A、第1基板3、第2基板4、透明な基板5Aの順に積層した構造になっている。
ベース基板2Aの中央部には矩形の凹部2-1が形成されている。この凹部2-1は、後述する振動ミラー3-3の捩り梁3-2を中心とする振動を妨げない広さと深さを有している。この凹部2-1の左右方向外側にはそれぞれ丸い貫通穴からなる開口2-2、2-3が形成されていて、絶縁材2-4、2-5が充填されており、該絶縁材2-4、2-5の中心部を挿通して棒状のリード端子2-6、2-7が絶縁保持されている。
第1基板3の中央部には、該第1基板3と一体に捩り梁3-2及び短冊状のミラー基板3-1が形成されている。つまり、第1基板3の中央部は、捩り梁3-2及びミラー基板3-1を残して、中抜きされている。この中抜きされた中抜き開口を後述する図13に符号3-17で示す。短冊状をしたミラー基板3-1の中央部は、これと一体の捩り梁3-2を介して揺動可能に当該第1基板3に両持ち支持されている。
ミラー基板3-1の上側表面部はミラー面3-10になっており、振動ミラー3-3は表面にミラー面3-10が形成されたミラー基板3-1により構成されている。図1、図2において、ミラー基板3-1の左端部には櫛歯状の第1可動電極3-4、右端部には櫛歯状の第2可動電極3-5が形成されている。
これら第1可動電極3-4、第2可動電極3-5には、それぞれ、これら第1可動電極3-4、第2可動電極3-5の櫛歯状の形状と非接触で噛み合う形状で第1固定電極3-6、第2固定電極3-7が形成されている。第2基板4の中央部には捩り梁3-2を支軸として回動する振動ミラー3-3の揺動を妨げない大きさの矩形の開口4-1が形成されている。
基板5Aは、振動ミラー3-3を保護すると共に、外部からの光ビームを振動ミラー3-3に入射させ、振動ミラー3-3からの反射光を外部に取り出すことができるように透明となっている。
図2において、第1基板3には、第1固定電極3-6、第2固定電極3-7の各外側の位置に、縦長の形状をした矩形の開口3-8、3-9が形成されている。第1基板3は、これら開口3-8、3-9の内側部および当該第1基板3の外側の全周囲を、図中において太線で描き起こして示すように絶縁膜で被われている。
第2基板4についても、同様に開口4-1の内側及び当該第2基板4の外側の全周囲を、太線で描き起こして示すように、絶縁膜で被われている。但し、第1基板3に形成された開口3-8、3-9に対向する一回り小さい縦長の矩形領域4-2、4-3については、絶縁膜が除去されて電気的に導通状態に形成されている。
これら絶縁膜がない矩形領域4-2、4-3の中心部は、前記したリード端子2-6、2-7に対向する位置に対応しており、これら各リード端子2-6、2-7の各先端部に設けられた、先端部曲面形状を有するはんだボール6と接触して導通がとられていて、該第2基板4に形成されている後述の第3固定電極4-4、第4固定電極4-5に対して振動ミラー駆動用の電圧を印加することができるようになっている。
第2基板4について、第1基板3の第1固定電極3-6、第2固定電極3-7にそれぞれ対向した位置には、第1可動電極3-4、第2可動電極3-5と非接触状態で噛み合い、かつ、通過可能なように、第1固定電極3-6、第2固定電極3-7と同一形状、同一ピッチ、同一位相、で櫛歯状の第3固定電極4-4、第4固定電極4-5が形成されている。
第2基板4について、少なくとも矩形領域4-2及び第3固定電極4-4を共通に囲みかつ、開口4-1と連通するようにして、第2基板4を貫通する絶縁溝4-6が形成されている。同様に、少なくとも矩形領域4-3及び第4固定電極4-5を共通に囲みかつ、開口4-1と連通するようにして、第2基板4を貫通する絶縁溝4-7が形成されている。
図2、図13において、第1基板3について、捩り梁3-2の軸長手方向で下側に位置する該捩り梁3-2の基端部を囲みかつ、当該第1基板3の中抜き開口3-17(図13参照)と連通するようにして絶縁溝3-11が形成されている。また、第1基板3について、この絶縁溝3-11の外側には第5固定電極3-12が形成されており、この第5固定電極3-12は第1基板3を介して第1固定電極3-6、第2固定電極3-7とそれぞれ共通に導通されている。
図2、図13において、第1基板3について、捩り梁3-2の軸長手方向上で上側に位置する該捩り梁3-2の基端部及び該基端部の近傍に設けた第6固定電極3-13を共通に囲みかつ、当該第1基板3の中抜き開口3-17(図13参照)と連通するようにして絶縁溝3-14が形成されている。この第6固定電極3-13は捩り梁3-2を介して振動ミラー3-3の第1可動電極3-4、第2可動電極3-5とそれぞれ共通に導通されている。
第5固定電極3-12、第6固定電極3-13に対する電圧の印加等は、前記矩形領域4-2、4-3における通電手段と同様の構成からなるリード端子及びはんだボールを用いて行われる(図示省略)。
図1、図2、図13により理解されるように、ベース基板2A、第1基板3、第2基板4、基板5Aの順にこれら基板を一体的に積層した構成により、捩り梁3-2を含む振動ミラー3-3は、凹部2-1、中抜き開口3-17、開口4-1等により連通して形成される密封封止された構造の気密室内に位置する。ここで、ベース基板2A、第1基板3、第2基板4、基板5Aなどは、振動ミラー3-3を囲むことで該振動ミラーの揺動空間を形成するパッケージ部材の一例を構成している。
第1可動電極3-4、第2可動電極3-5、第1固定電極3-6、第2固定電極3-7、第3固定電極4-4、第4固定電極4-5に時間的に変化する電圧を加えることで、これら可動電極と固定電極間に、静電力を作用させて、振動ミラー3-3を捩り梁3-2を軸として振動させる。
以上が、本例にかかる光走査装置の基本的な構成である、光ビームを反射するミラー面3-10を有する振動ミラー3-3と、前記振動ミラー3-3を揺動自在に支持する捩り梁3-2と、前記振動ミラー3-3を囲むことで該振動ミラー3-3の揺動空間を形成するパッケージ部材(ベース基板2、第1基板3、第2基板4、基板5A)とを具備し、該振動ミラー3-3の一部に揺動の駆動力を作用させる光走査装置1Aの基本構成である。
なお、上の基板は、本例では基板5Aとし、全体を透明としたが、これに限らず、振動ミラーに光ビームを入射させるために必要な部分についてだけ、透明とする構成でもよい。
パッケージ部材を構成する、ベース基板2A、第1基板3、第2基板4、基板5A等の各基板相互の接合は、はんだ接合、ガラス接合、エポキシ接着剤接合等から基板材質に合った好適な接合を選択してやればよい。
図2において、第1基板3と第2基板4を含めてマイクロミラー001と称する。各基板は、絶縁材を間にして2枚のシリコン基板をサンドイッチ状に挟んで構成したSOI(Silicon On Insulator)基板を用いて作製されている。振動ミラー3-3を構成している上下2枚の基板およびこれら基板間の絶縁材からなる基板の構成は、第1基板3と同じである。
上側のシリコン基板及び絶縁材に対してエッチング加工を用いて溶解処理することで現れる下側の薄い方(約60μm)の基板3の上側の面にミラー面3-10が形成され、また、該下側のミラー基板3-1に捩り梁3-2が形成されている。
前記したように、第1基板3と第2基板4には振動ミラー3-3側の櫛歯状の第1可動電極3-4、第2可動電極3-5に対向する位置に櫛歯状の第1固定電極3-6、第2固定電極3-7及び第3固定電極4-4、第4固定電極4-5が形成されている。
このように、これら電極形状は櫛歯形状にすることにより、駆動電圧を低減することができる。ここではSOI基板で構成される第1基板3と第2基板4の両方の基板とも低抵抗の基板(導体)を用いており、特別に金属を形成せず、基板自体が電極を兼ねている。
その為、第1基板3については、第1可動電極3-4、第2可動電極3-5と第1固定電極3-6、第2固定電極3-7とを絶縁分離する手段として基板にスリット溝(絶縁溝3-11、3-14)を形成することで絶縁分離の機能を得ている。
また、本例では、上記したように、エッチング処理により、SOI基板の基板界面をミラー面として用いた場合を例示している。振動ミラー3-3において、下向きの裏面には、図2に示すように、捩り梁3-2と平行にリブRBを形成して、ミラーの軽量化を行いつつ剛性を確保している。
マイクロミラー001の上下に位置する基板5A及びベース基板2Aはマイクロミラー001(厳密には振動ミラー3-3)の揺動空間を形成するパッケージ部材としての役目を兼ねている。上記マイクロミラー001の上に位置する基板5Aおよび下に位置するベース基板2Aなどは、当該マイクロミラー001の揺動空間を形成する封止部材としての役目を兼ねているが、最終的な気圧を調整する最後の封止工程においては、振動ミラー3-3を駆動しながら、振動ミラーの特性が所定の範囲内に揃えられるように揺動空間の圧力を調整し、密閉封止されている。
(揺動空間の圧力を調整し密閉封止する手段)
揺動空間の圧力を調整し密閉封止する手段について図3、図4により説明する。球形をした圧力容器1000内には光走査装置1Aを支持する支持台1001が図示しないフレームに固定されている。この支持台1001は、光走査装置1Aを保持することができる枠状をしていて、光走査装置1Aが嵌合保持されている。リード2-6、2-7は圧力容器1000外に設けた駆動電源1002に接続されている。
基板5Aは第2基板4上に単に乗せられただけであり、接合されておらず開口4-1、凹部2-1などで構成される振動ミラー3-3の揺動空間は事実上、外部と連通しているといってよい。基板5Aと第2基板4との合わせ目の部位を囲むようにして枠状の加熱部材1003が基板5Aに被せるようにして嵌合されている。この加熱部材1003にはヒーターHが内蔵されていて、このヒーターHは、圧力容器1000外に設けた加熱電源1004に接続されている。
さらに、加熱部材1003は図示省略の加圧機構により加圧される構成になっている。この加圧の向きは、基板5Aを第2基板4に押し付ける向きである。加熱部材1003は、各基板の接合面を加熱すると共に、該加圧によりこれら基板の各接合面同士を溶着させることができる。
支持台1001の斜め左上方に相当する圧力容器1000の一部は透過性の材質の窓1005Lになっていて、この窓1005Lを介して振動ミラー3-3にレーザービームが光源1006から出射されるようになっている。振動ミラー3-3による上記レーザービームの反射光の光路上に位置する圧力容器1000の一部は透過性の材質の窓1005Rになっていて、この窓1005Rを介して進む該反射光を受光できる位置に受光用のPSDセンサ1007が配置されている。PSDセンサ1007による検知出力は測定装置1008に送られて、振動ミラー3-3による振れ角が検出できるようになっている。
圧力容器1000の一部には開閉蓋1009が設けられていて、この開閉蓋1009を開いて支持台1001上に光走査装置1Aを装着し、また取り出すことができる。また、圧力容器1000の中に不活性ガスを充填する不活性ガス装置1010や、当該圧力容器1000内の圧力を可変調圧することができる圧力調整装置1011がそれぞれ当該圧力容器1000に通じる配管を介して接続されている。
圧力調整装置1011は、圧力容器1000内の圧力を負圧にする真空ポンプの一種であるロータリポンプ、圧力容器1000内の圧力を負圧の度合いを低める(圧力容器内の圧力を高める)ように調整するリークバルブ等を具備している。これら、測定装置1008、加熱電源1004、駆動電源1002、不活性ガス装置1010、圧力調整装置1011などは、図示しない制御装置によりコントロールされるようになっている。
リークバルブはこれを開けたときに、圧力容器1000内に大気を導入し圧力容器内の圧力を上げる。或いは不活性性ガスを導入するようにすることもできる。後者の装置構成とすれば、揺動空間を完全に不活性ガスを封入した状態で光走査装置を製造できる。
(振動ミラーの特性)
振動ミラーの特性について説明する。図5は同一の光走査装置について、振動ミラーの揺動空間の封止圧力を変えたときの駆動周波数(f)と振れ角(θ)の関係(所謂f−θ特性)を示す。図5において封止圧力(低)とは負圧の度合いが低い、つまり、高真空度を意味し、封止圧力(高)とは負圧の度合いが高い、つまり、低真空度を意味する。
横軸の駆動周波数とは、例えば、第1可動電極3-4と第3固定電極4-4および第2可動電極3-5と第4固定電極4-5間に印加される駆動電圧の交番周波数をいう。縦軸の振れ角(θ)とは、例えば、振動ミラー3-3の振れ角であり、この例では5°を中心としてプラス、マイナスで1°の範囲を振れ角許容範囲としている。
因みに、この振れ角許容範囲に収まる光走査装置であれば、そのような特性の光走査装置を複数、並列配置することで同一の駆動周波数で駆動して画像を主走査方向に分割し各々の光走査装置による走査幅を繋ぎ合わせて画像形成することができ、かかる画像は各光走査装置による画像が隣設の光走査装置による走査画像と重なったり、離れたりする度合いが画質を損なわない許容範囲に収まる。
図5において、3つの特性曲線が示されている。それは、封止圧力(高)の場合の特性曲線5-1、封止圧力(低)の場合の特性曲線5-2、封止圧力が(中間)の場合の特性曲線5-3である。
例えば、封止圧力(中間)に設定したときの特性曲線5-3に着目すると、駆動周波数(f)を低い状態から除々に高めていくと、ある駆動周波数のところで振動ミラーが振動を開始し、駆動周波数の増加に応じて急激に振れ角が大きくなり、ピークに達した後、急激に振れ角が小さくなり、やがて、駆動周波数の増加に応じて振れ角の小さくなる度合いが低く(勾配が小さく)なる傾向の曲線領域となり(この領域を共振外安定領域という)、やがて振れなくなるという傾向を呈する。
このような傾向は、封止圧力が異なる他の特性曲線5-1,5-2においても同じであるが、よくみると、振れ角許容範囲に対応する共振外安定領域については、個々の特性曲線5-1,5-2,5-3について異なることがわかる。
即ち、特性曲線5-3について振れ角許容範囲に対応する共振外安定領域はM-3、特性曲線5-1について振れ角許容範囲に対応する共振外安定領域はM-1、特性曲線5-2について振れ角許容範囲に対応する共振外安定領域はM-2である。
これらの各共振外安定領域M-1、M-2、M-3を比較すると、封止圧力が他の特性曲線における場合よりも高い特性曲線5-1における共振外安定領域M-1の幅が最も大きい。このように、振れ角許容範囲に対応する共振外安定領域を大きく取ることが可能な封止圧力というものが存在する
したがって、図5の例では、その光走査装置について特性曲線5-1のように共振外安定領域を大きくとることができるときの封止圧力(この封止圧力を以下では、狙いの封止圧力という。)で揺動空間を封止すれば、振れ角許容範囲に対応する共振外安定領域を最も大きくとれる。振れ角許容範囲に対応する共振外安定領域が大きければ、量産体制のもとで、光走査装置のf−θ特性にばらつきがあっても、振れ角許容範囲に収めることが可能である。
このように、狙いの封止圧力で揺動空間を封止することで量産された光走査装置の中から3個を抽出して特性を調べたら、それぞれが図6に示すような特性曲線6-1、6-2、6-3を示したとする。これら3つの光走査装置は狙いの封止圧力が同じであるので、それぞれの共振周波数に対応する共振点での振れ角は略同一であるが、各特性曲線6-1、6-2、6-3は相互に若干ずれている。
これら3つの光走査装置を画像形成装置に組み込み、並列配置することで同一の駆動周波数で駆動して画像を主走査方向に分割して走査する場合、駆動周波数を図6に示すように2.5KHzとしたとき、特性曲線6-3の特性を有する光走査装置では振れ角は5°丁度に収まり、また、他の特性曲線6-1、6-2の特性を有する各光走査装置でも振れ角は許容範囲の5°±1°の範囲に収まっている。
この場合でも、特性曲線6-1、6-2の特性を有する各光走査装置について、駆動電圧を調節する(ゲイン調整)ことにより、振れ角を許容範囲の5°±1°の範囲に収めることは容易である。駆動電圧と振れ角とは、図7に示すように比例関係にあるので、駆動電圧を変えることで簡単に振れ角を所望の角度にすることができるからである。
なお、振れ角は、図8に示すように揺動空間の封止圧力によっても変わるが、封止圧力と振れ角との関係は反比例の関係にあり、かつ、一旦封止した後での封止圧力の変更はかなり困難である。よって、封止圧力設定後の光走査装置については、駆動電圧の調整により振れ角を調整するのがよい。
(揺動空間を密閉封止する手順)
前記したような振動ミラーの特性を踏まえ、図3および前記した図9を参照しつつ、揺動空間を密閉封止する手順を説明する。先ず、支持台1001に光走査装置1Aを装着し、かつ、加熱部材1003を装着し、不活性ガス装置1010により圧力容器1000内に不活性ガスを充填する。
これにより、揺動空間に不活性ガス(Ar、N2、SF6、等)を導入して、後述するように密閉封止する。不活性ガスで封入することにより、腐食や酸化等の無い安定な状態に保つことができる。また、振動ミラーの駆動力として静電引力を用いる場合、電極間で発生する放電に対して耐性を上げることができる
に、圧力調整装置1011を駆動して圧力容器1000内の圧力を1Paの低圧(高負圧)に設定してから、駆動電源1002により駆動周波数を実使用時の駆動周波数に定めて、駆動電圧も実使用時の電圧に固定して電圧印加を行い、これにより振動ミラー3-3を駆動させつつ、光源1006からレーザービームを出射させ、その反射光をPSDセンサ1007に導く。
次に、圧力調整装置1011に備えられたリークバルブを少しずつ開き、圧力容器1000内の圧力を除々に上げながらPSDセンサ1007の出力を入力した測定装置1008により振れ角が5°なるポイントを監視し、かつ、圧力容器1000内の圧力を監視する。
振れ角が5°で、かつ、圧力容器1000内の圧力封止圧力が狙いの圧力になった時点(図9における時点(t1)でリークバルブを閉じ、振れ角が安定した時点(t2)で加熱電源1004をオンにして加熱部材1003を加熱すると共に図示しない加圧機構により加熱部材1003を加圧することにより基板5Aと第2基板4の各接合面同士が密着するように加圧する。基板5Aと第2基板4とが溶着したら加熱電源1004をオフにして溶着部を冷却して振動空間の封止を行なう。その後、加熱部材1003に対する加圧力を解除して光走査装置1Aから取り外す。
こうして、図3に示した圧力容器1000内に光走査装置1Aを次々と装着し、各光走査装置について、固定した駆動周波数、固定した駆動電圧のもとでその振動ミラー3-3を駆動させた状態で、振れ角を見ながら振れ角許容範囲に収まるときの狙いの封止圧力に入るようにその光走査装置の封止圧力を調整し、その圧力になったら封止する。
複数の光走査装置を光走査手段として用いる構成では、揺動空間の圧力を各光走査装置における個別の振動ミラー毎に調整する。このように、揺動空間の圧力変化による共振周波数のシフトを利用し、共振周波数のばらつきを低減することができる。共振点での利得を抑えた平坦な周波数特性を用いたり、図6に示すように共振ピークから外れた帯域(共振外安定領域)を利用することにより、駆動周波数のばらつき吸収幅を広くすることができる。
振動ミラーを揺動させながら、揺動空間の圧力を調整して封止することにより、気圧調整にて変動可能な振動ミラーの特性(共振周波数、振れ角等)を調整することができるので、光走査装置製作工程の最後に異なる特性を作り分けることができる。
よって、異仕様の特性の製品を低コストで製作可能となる。また逆に、同仕様の特性の製品については、その特性ばらつきを低減することができるので、従来では規格から外れ不良品と見なされたものも、気圧調整で良品となることができ、良品率が上がる。また封止構造となっているために、環境変化による共振周波数の変動に対して耐性がある。
光走査装置の製造工程の最後で調整することにより、仕様値に合わせ易く、良品率が上がる。気圧を低めに設定する特性の光走査装置においては、気体の粘性抵抗の効果が大きくなるので、振動ミラーの揺動空間を密閉封止する構造体との間に発生するダンピング効果が特性に大きく影響するが、ここでは密閉封止時に特性を見ながら調整しているので、仕様に合った光走査装置が得られやすい。
次に第2の実施例の光走査装置1A−1を説明する。基本構造は図10、図11に示すとおりであり、前記した図1、図2における構造と共通部分が多い。構造面で異なるのは封止管の部分だけであるので、同等の部材については同じ符号を付して説明は省略し、異なる構成部分を説明する。
本例では、透明基板5Aに、絶縁溝4-6,4-7等を介して連通する封止管008,009を備えている。封止管008、009は絶縁溝4-6,4-7等の直上部に相当する透明基板5Aに形成された細い円孔と、この円孔の上部に突き出した管状部とからなる。
ただ、図11では、圧力の調整を終え封止管008,009の頂部が既に封止された状態を示している。封止する前の、揺動空間の圧力調整過程においては、これら封止管008,009の頂部は開口しており、これに図示しない圧力調整機器からの管を接続して一体に連通した状態とする。この状態のもとで、圧力調整機器を用いて揺動空間の圧力調整ができた段階で封止管008,009を溶着封止し、切断することにより図10,図11に示すような、揺動空間を密閉封止した状態を得る。
前記した実施例1が、振動ミラー3-3の揺動空間を形成する封止部材である透明基板5A及び第2基板4を接合する際に、振動ミラーの周波数特性(f-θ特性)を検出しながら、例えば、駆動周波数、駆動電圧固定のもとで振れ角をみながら圧力調整して透明基板5Aと第2基板4とを接合するのに対して、本例では、封止部材の接合(透明基板5Aと第2基板4との接合)を終えた後に、実施例1におけると同様の手順で振動ミラーの振れ角を監視しつつ揺動空間の圧力を調整して封止管008,009を封止することにしている。
振動ミラーの周波数特性の検出と、封止部材の接合を同時に行うには、複雑で特別な装置を用いる必要があるが、本例のように封止管を封止する方法では、振れ角を監視する手段の他、封止管に圧力調整手段として簡単な排気調整装置を用いるだけでよく、容易に実施することができる。また、封止管008、009としてはガラス管を用いることにより、溶着により容易に封止することもできる。
本例では封止管は、複数個の封止管008、009を備えている。これにより、ガス注入用及びガス放出用と使い分けることができる。ガス放出用とガス注入用の封止管があれば、気圧調整時に気圧の増減が容易に行える。また、ガス注入側から任意のガスを注入することにより、任意のガス封止空間が実現できる。
さらに、封止管の配置される位置としては、振動ミラー3-3の対向位置を避けて配置する。封止管008、009が振動ミラー3-3の対向位置にある場合を想定すると、振動ミラーの揺動空間を密閉封止する構造体との間に発生するダンピング効果等の影響により、封止前後での特性に変動が現れてしまう。よって、封止管を振動ミラーの対向位置から避けて配置することにより、封止前後での特性誤差が小さい光走査装置1A−1を安定して作製することができる。
本例では、封止管008、009は揺動空間に連通する連通孔(絶縁溝4-6,4-7)を通して、間接的に繋がっている構成とした。これにより、封止前後での特性誤差が更に小さい光走査装置を安定して作製することができる。
本例においても、実施例1と同様、光走査装置1A−1は、揺動空間に不活性ガス(Ar、N2、SF6、等)を導入して、密閉封止されていることが望ましい。不活性ガスで封入することにより、腐食や酸化等の無い安定な状態に保つことができる。また、振動ミラーの駆動力として静電引力を用いる場合、電極間で発生する放電に対して耐性を上げることができる。不活性ガスの封入に際しては、複数の封止管の一つの封止管から空気を吸引しつつ他方の封止管から不活性ガスを導入する。
振動ミラーの共振周波数は作製時に発生する形状ばらつきに起因する個体ばらつきと、環境温度、湿度の変化に起因するばらつき、大気中で使用する場合の大気圧の変化によるばらつきが存在する。共振周波数のばらつきが大きいと、調整幅が狭いため複数の振動ミラーを共通の駆動周波数で駆動できない。
共振周波数を揃える為に、封止圧力を調整する場合、図5の特性図に示したようにその振れ角も変動してしまうがあるが、図6に示される駆動周波数(f)と振れ角(θ)の関係(f−θ)特性と、図7に示される駆動電圧(V)と振れ角(θ)の関係(V-θ特性)を見比べればわかるように、振れ角調整は駆動電圧で調整する方が圧倒的に容易である。V-θ特性を見ればわかるように、両者は通常使用領域において、ほぼ比例関係なので、複雑なフィードバック回路を用いることなく、容易に振れ角調整が可能となる。
もしくは最初から駆動電圧(V)を高く設定しておいて、つまり振れ角(θ)を大きくとっておいて、それ以下の振れ角を走査に使うというような用い方をすれば、特に電圧調整も必要ではない。
よって図1、図2、図10、図11等に例示したように、複数の光走査装置を揺動空間の圧力調整にて、振動ミラーの特性の内、共振周波数を揃える構成とした。揺動空間の圧力を調整することにより、振動ミラー作製時に発生する共振周波数のばらつきを吸収、低減できた。また封止構造としたので、環境変化による共振周波数の変動に対して耐性がある。よって、安定かつ扱い易い(制御の簡単な)光走査装置を得ることができる。
共振周波数のばらつきを吸収する手段について説明する。この発明では、図6に示されるf-θ特性において、共振ピーク(図中、共振点で示される)から外れた平坦な帯域[共振外安定領域]を利用したので、駆動周波数のばらつき吸収幅を広くすることができる。この共振外安定領域は広いほどよいが、この領域を広げる為に、揺動空間の圧力を調整し、共振点での利得を抑えた平坦な周波数特性を得ている。
例えば、後述する画像形成装置のように、複数の光走査装置を組み込み、並列配置することで同一の駆動周波数で駆動して画像を主走査方向に分割して走査する場合、各光走査装置に、所定の周波数の電圧を印加する駆動電圧発生装置を組み合わせ、各駆動電圧発生装置により、各光走査装置の振動ミラーが共振周波数の近傍で共振ピークから外れた帯域において駆動されるようにする。その場合、各駆動電圧発生装置について駆動電圧調整機能を持たせることで、図7に示したV−θ特性を利用してより、高精度に各光走査装置における振動ミラーの振れ角を合わせることが可能となる。
これまでに説明した構成の光走査装置(振動ミラーモジュール)およびこれに走査用レンズなどの光学系を組み合わせた光走査手段、該光走査手段を搭載しその走査により静電像が形成される感光体と、静電像をトナーで顕像化する現像手段と、顕像化されたトナー像をシート状媒体に転写する転写手段とを有する画像形成装置の一例としてのレーザプリンタの構成について説明する。
(光走査手段を構成する光走査装置)
図12は、前記した各例の光走査装置のうち、第1基板3、第2基板4と、これらに、パッケージ部材を構成する上部基板として、図2で説明した基板5A、パッケージ部材を構成するベース基板として図2に例示したベース基板2Aを組み合わせて構成した光走査装置であり、ここでは振動ミラーモジュール130として説明する。部材の組み合わせが異なるだけで、その構成の詳細については既に述べた内容と共通である。なお、図10、図11で説明した光走査装置についても以下に述べる内容に準じて実施することができる。
図12、図13において、振動ミラーを構成する基板は、2枚のSi基板である第1基板3の上に第2基板4を酸化膜等の絶縁膜を介して接合して構成されている。第1基板3は、厚さ60μmのSi基板からなり、可動ミラーとしての振動ミラー3-3および同一直線上で軸支する捩り梁3-2を、エッチングにより形成している。つまり、第1基板3から、該振動ミラー3-3および捩り梁3-2の部分が残るように、その周囲を第1基板から抜き取ることで形成している。第1基板3のうち、振動ミラー3-3および捩り梁3-2を除く部分を以下では、固定枠と称し、符号3-16で示している。
振動ミラー3-3は捩り梁3-2に対して対称に形成され両端の縁部には櫛歯状の凹凸からなる可動電極3-4,3-5が形成されている。また、固定枠3-16の内辺であってこれら可動電極3-4,3-5と数μmのギャップを有して互に噛み合うように櫛歯状の凹凸による第1固定電極3-6、第2固定電極3-7を形成している。
振動ミラー3-3の表面における反射面の形成にはいくつかの方法がある。この例では、Au等を蒸着して形成した金属被膜により反射面がつくられている。図12で説明したように第1基板3と第2基板4とは絶縁膜(図示されず)を介して接合されていて、この接合状態の下で図13、図14に示すように各基板上に島状に分離された部分を作ることで、各基板そのものを個別に電極として形成している。
すなわち、図13において、振動ミラー3-3両端の凹凸部を第1、第2可動電極3-4、3-5(説明では便宜上分けているが同電位)、これら第1、第2可動電極3-4、3-5に対向する固定枠3-16の凹凸部を第1、第2固定電極3-6、3-7となす。
また、図14において、第2の基板4は厚さ140μmのSi基板からなり、エッチングにより中央部を所定の形状部分を残して繰り抜いた構成とし、上記固定枠3-16に形成した凹凸部と重なり合う内辺には外郭が一致するように櫛歯状に凹凸を形成することで、前記第1、第2固定電極3-6、3-7と同様に第3、第4固定電極4-4、4-5となし、振動ミラー3-3が揺動するとき第1、第2可動電極3-4、3-5がこれら第1、第2固定電極3-6,3-7と噛み合うように通過する。
本例では、第1、第2固定電極3-6、3-7には同位相の電圧パルスを印加し、第3固定電極4-4には第1、第2固定電極3-6、3-7に印加する電圧パルスよりも進んだ位相の電圧パルス、第4の固定電極4-5には第1、第2固定電極3-6、3-7に印加する電圧パルスよりも遅れた位相の電圧パルスが印加される。
図15には振動ミラーの振れ角に対応して各電極間に発生する静電トルクの様子を示す。図16に電極部の断面を示す。図中、下向きの矢印で示すように左回り方向の静電トルクTを正としている。
(a)振動ミラー3-3は初期状態では水平であるが、第3固定電極4-4に電圧を印加すると対向する第1可動電極3-4との間で負の方向での静電力を生じ、捩り梁3-2をねじって回転され、ねじり梁3-2の戻り力と釣り合う振れ角まで傾く。
(b)上記第3固定電極4-4の電圧が解除されるとねじり梁3-2の戻り力で振動ミラー3-3は水平に戻るが、水平に戻る直前に第1、第2固定電極3-6、3-7に電圧を印加することによって正の方向での静電力を生じ、水平に戻る。
(c)引き続き、第4の固定電極4-5に電圧を印加することによってさらに正の方向での静電トルクを増し、捩り梁3-2をねじって回転され、捩り梁3-2の戻り力と釣り合う振れ角まで傾く。
(d)第4の固定電極4-5の電圧を解除すると、捩り梁3-2の戻り力で振動ミラー3-3は水平に戻るが、水平に戻る直前に第1、第2固定電極3-6、3-7に電圧を印加することによって負の方向での静電力を生じ、水平に戻る。
(e)第3固定電極4-4に電圧を印加すると対向する第1可動電極3-4との間で負の方向での静電力を生じ、捩り梁3-2をねじって回転される。
上記のように、電極の切り換えを繰り返し行うことで、振動ミラー3-3をその両端の可動電極が対向する第1、第2固定電極を抜ける振れ角、実施例では約2°が確保されるように往復振動させる。
ここで、振動ミラー3-3の慣性モーメント、捩り梁3-2の幅と長さを、走査する所望の駆動周波数に合わせ、捩り梁3-2を回転軸とした1次共振モードの帯域にかかるよう設計することによって、励振されて著しく振幅が拡大され、振動ミラー3-3両端の第1、第2可動電極3-4、3-5が対向する第3、第4固定電極4-4、4-5を抜ける振れ角まで拡大させることができる。
これによって、第3、第4固定電極4-4、4-5を抜けた振れ角でも水平に戻す方向、この場合には、第3固定電極4-4が第1可動電極3-4を引くように、つまり、振動ミラー3-3に正の方向での静電力を生じさせるので、静電トルクの働く振れ角範囲を拡大でき共振周波数を外れた駆動周波数においても大きな振れ角が維持できる。
図6には駆動周波数に対する振れ角の特性を示すが、駆動周波数を共振周波数に一致させれば、最も振れ角が大きくとれるが、共振周波数付近においては急峻に振れ角が変化する特性を有する。
従って、初期的には振動ミラーの駆動制御部において固定電極に印加する駆動周波数を共振振動数に合うよう設定することができるが、温度変化等で共振周波数が変動した際には振れ角が激減してしまうことで経時的な安定性に乏しい。
また、後述する実施例のように複数の振動ミラーを有する場合には、各々に固有の共振振動数がばらつくため、共通の駆動周波数で駆動できないという問題がある。この問題に対しては、前述した本発明の構成の光走査装置を用いることにより、解決することができる。また、駆動方法としては、駆動周波数を振動ミラーと捩り梁からなる振動部固有の共振周波数近傍で、比較的振れ角変化の少ない、共振周波数から高めに外れた周波数帯域に設定しており、共振周波数2kHzに対し駆動周波数は2.5kHzとし、振れ角は印加電圧のゲイン調整により±5°に合わせている。
この際、振動ミラーの加工誤差による共振振動数のばらつき、実施例では300Hz、温度による共振周波数の変動、実施例では3Hz、があっても駆動周波数がいずれの共振周波数にもかからないような周波数帯域、共振周波数2kHzであれば2.303Hz以上、または1.697Hz以下に設定することが望ましい。
いま、振動ミラーの寸法を、縦2a、横2b、厚さd、捩り梁の長さをL、幅をcとするとSiの密度ρ、材料定数Gを用いて、
慣性モーメントI=(4abρd/3)・a^2
バネ定数K=(G/2L)・{cd(c^2+d^2)/12}
となり、共振振動数fは、
f=(1/2π)・(K/I)^1/2 =(1/2π)・{Gcd(c^2+d^2)/24LI}^1/2
ここで、梁の長さLと振れ角θは比例関係にあるため
θ=A/I f^2 、Aは定数
で表され、振れ角θは慣性モーメントIに反比例し、共振振動数fを高めるには慣性モーメントを低減しないと振れ角θが小さくなってしまう。
そこで、実施例では振動ミラー反射面の裏側の基板厚dを格子状に残し、それ以外をd/10以下の厚さまでエッチングにより肉抜きすることで、慣性モーメントを約1/5に低減している。
これらの慣性モーメントに利くパラメータ、ねじり梁の寸法誤差等が共振周波数のばらつきを発生させる要因となる。
一方、空気の誘電率ε、電極長さH、印加電圧V、電極間距離δとすると
電極間の静電力F=εHV^2/2δ
となり、振れ角θ=B・F/I 、Bは定数とも表され、電極長さHが長いほど振れ角θが大きくなり、櫛歯状とすることで櫛歯数nに対して2n倍の駆動トルクを得ている。
このように外周長をできるだけ長くして電極長をかせぐことで、低電圧でより大きい静電トルクが得られるように配慮している。
ところで、振動ミラーの速度υ、面積Eに対して、空気の密度ηとすると
空気の粘性抵抗P=C・ηυ^2・E^3 、Cは定数
が振動ミラーの回転に対向して働く。
本例では、第1、第2基板3、4が接合されてなる振動ミラー基板(マイクロミラー101)を、中央部に凹状に振動ミラーの揺動空間を形成し、リード端子を備えたベース基板2B上に、反射面を上側に向け、ベース基板2Bの外縁に形成された一対のV溝(2B-1、2B-2)を結ぶ直線上にねじり梁3-2を合わせて、第1基板3の下面を基準にして装着し、また、第2基板4の上面にキャップ状に成形された透明なカバーである基板5Aを接合して振動ミラー202の揺動空間が密封されるようにしている。
揺動空間には不活性ガスを封入し、気密封止を行なっている。圧力は前記した例に準じて適切に調整する。光ビームは、カバーに形成されたスリット窓5A-1を通じて入出射される。
図12において、基板5Aの内側には、振動ミラー3-3と対向して対向ミラー014、014’が、捩り梁3-2と直交する方向に一体的に形成されている。2枚の対向ミラー014、014’はスリット窓5A-1を挟んで屋根状に144.7°の角度をなすよう基板面より各々9°、および26.3°傾けた傾斜面に、金属被膜を蒸着して対の反射面として配備した構成となす。スリット窓5A-1の部分には上記の金属被膜が無い。よって、光ビームをスリット窓5A-1を通り抜けることができる。
基板5A-1の底面は振動ミラー面3-3の上面であるミラー面と平行に形成され、第2基板4の枠部上面に当接して接合されるが、この際、第2基板4には対向ミラーを位置決めするための指標4-8が両サイドにエッチングによって描かれ、これに対向ミラー014、014’のエッジを合わせるように基板上でアライメントしており、主走査方向に対向ミラー014、014’の方向を正確に合わせることができる。
(光走査手段)
図17は、前記したこの発明にかかる光走査装置に走査光学系を含めた光走査手段の副走査断面図、図18は光走査手段の分解斜視図、図19は光走査手段における光学素子の配置を示す。図17〜図19において、光源である半導体レーザ101は、フレーム部材102に立設された壁に配備された段付きの貫通穴103に反対側からステム外周を基準に圧入され、段差部に鍔面を突き当てて光軸方向を位置決めする。U字状の凹部105にはUV接着剤を介してカップリングレンズ110の光軸が半導体レーザ101からの出射軸と合うように、また、出射光束が平行光束となるように発光点との光軸方向の位置決めを行い、凹部とカップリングレンズ110との隙間のUV接着剤を硬化させて固定する。
本例の場合、3つの光源部を有するが、全て同一構成である。
カップリングレンズ110より出射した光ビームは、一対の取付斜面109に接合配備され副走査方向に負の曲率を有するシリンダミラー136に入射され、副走査方向において振動ミラー面で集束する集束光束として振動ミラーモジュール(光走査装置)130のスリット窓5A-1から入射される。
ねじり梁3-2の方向が光軸方向に合うように、フレーム底面側に設けられた段付きの角穴104の裏側よりベース基板2Bの外縁を基準に位置決めされ、段差部に鍔面を突き当てて振動ミラー面の位置を合わせ、本例の場合、均等間隔に3つの振動ミラーモジュール130が単一のフレーム部材102により位置決めされる。
各振動ミラーモジュール130はプリント基板112に、ベース基板2Bの底面から突出したリード端子を各々スルーホールに挿入して半田付けし、フレーム部材102の下側開口をふさぐようにベース基板2Bの上面と当接させて固定すると同時に、回路接続がなされる。
プリント基板112には半導体レーザの駆動回路、振動ミラーの駆動回路を構成する電子部品、および同期検知センサ113が実装されており、外部回路との配線が一括してなされる。一端をプリント基板112に結線されたケーブル115は半導体レーザ101のリード端子と接続されている。
図17は光走査手段500の副走査断面を示す。半導体レーザ101から出射した光ビームはカップリングレンズ110、シリンダミラー136を介して、振動ミラー3-3に対し捩り梁を含む副走査断面内(該副走査断面については図19参照)で法線に対して副走査方向に約20°傾けてスリット窓5A-1より入射され、振動ミラー3-3の表面に形成されたミラー面に入射した光ビームは反射されて第1の対向ミラー014に至り、ここで反射されて振動ミラー3-3に戻され、さらに反射した光ビームはスリット窓5A-1を超えて第2の対向ミラー014’に入射され、振動ミラー3-3との間で3往復しながら反射位置を副走査方向に移動させ、合計5回の振動ミラーでの反射により再度、スリット窓5A-1から出射される。
本例ではこのように複数回反射を繰り返すことで、振動ミラーの振れ角が小さくても大きな走査角が得られるようにし、光路長を短縮している。いま、振動ミラーでの総反射回数N、振れ角αとすると、走査角θは2Nαで表せる。
本例では、N=5、α=5°であるから最大走査角は50°となり、その内35°を画像記録領域としている。共振を利用することで印加電圧は微小で済み発熱も少ないが、上式から明らかなように記録速度、つまり共振周波数、が速くなるに従って捩り梁のばね定数Kを高める必要があり振れ角がとれなくなってしまう。そこで、上記したように対向ミラー014、014’を設けることで走査角を拡大し、記録速度によらず必要十分な走査角が得られるようにしている。
また、屋根状に対向して反射面を構成し、振動ミラーへの副走査方向での入射角度が繰り返し反射毎に正負、言いかえれば、反射に伴う進行方向が右向き、左向き、に振り分けるようにすることで、斜入射に伴う被走査面での走査線の曲がりを抑え、直線性を維持するとともに、光軸と直交する面内での光束の回転が出射時にはもとの姿勢に戻るようにして結像性能の劣化がおきないよう配慮している。
図17、図18において、ピンフォトダイオードによる同期検知センサ113は、隣接する振動ミラーモジュール130で共用する中間位置と両端位置に配置され、各光走査モジュール130の走査開始側と走査終端側とで光ビームを検出することができるように計4箇所に実装されている。第2の走査レンズ117の出射面側には各レンズの走査領域間にV字状の高輝アルミ薄板を貼り付けるミラー受け部128がハウジング106に形成され、高輝アルミ薄板によって反射した光ビームが走査領域間に形成された開口部129およびフレーム部材102の矩形穴150を通って各々の同期検知センサ113へ導かれるように、隣接する光走査手段の走査開始側と走査終端側に対応した反射面が向かい合って配置されている。
図17において、フレーム部材102は、ある程度剛性が確保できるガラス繊維強化樹脂やアルミダイキャスト等からなり、両端部には画像形成装置本体の構造体に取付けるためのフランジ部131、133が形成され、一方、フランジ部131には基準穴を備えその内径に固定ネジ132の軸部を嵌合させ、もう一方のフランジ部133には長穴を備え固定ネジ132を貫通して各々バネ座金134を介して感光体に対向させて固定する。
この際、基準穴を回転軸としたガタ分で被走査面(感光体)において各振動ミラーモジュール130のいずれかで走査された走査線が被走査面の移動方向yと直交する方向xに平行となるよう調節される(図19参照)。
フレーム部材102の上面は角穴104の裏側に設けられた各振動ミラーモジュール130のミラー法線方向の突き当て面と平行な面となし、走査レンズを収納するハウジング106の底面より突出した2本の突起135をフレーム部材102の係合穴に挿入して同面上での位置決めを行い、4隅をネジ止めして配備される。実施例では、ネジ137はフレーム部材の貫通穴を介してプリント基板112に螺合され、フレーム部材を挟むようにこれら3つの部材を一体的に結合され、この後に上記半田付けがなされる。
ハウジング106には結像手段を構成する第1の走査レンズ116、第2の走査レンズ117が主走査方向に配列され、各々の走査領域がわずかに重なるように位置決めされて一体的に保持される。
第1の走査レンズ116は副走査方向基準面の中央に突出され主走査方向の位置決めを行う突起120、および両端を係合して光軸方向の位置決めを行う平押面119を入射面側、出射面側各々に備え、ハウジング106に一体形成された溝122に突起120を係合し、一対の切欠121の各々に各端の平押面119を挿入し波板バネ143で入射面側に押し付け同面内での姿勢を保持することで、光軸と直交する同一面に走査レンズ同士の相対的な配置を合わせ、副走査方向基準面をハウジング106から突出した一対の突起142の先端に突き当てることで、光軸と直交する面内での位置決めがなされて副走査方向の設置高さが決定され、カバー138と一体形成された板バネ141で押圧支持される。
一方、第2の走査レンズ117は同様に副走査方向基準面の中央に突出され主走査方向の位置決めを行う突起123、両端に光軸方向の位置決めを行う平押面144を備え、ハウジングに一体形成された溝122に突起123を係合し、切欠121に平押面144を挿入し波板バネ143で出射面側に押し付け姿勢を保持するとともに、副走査方向基準面をハウジング106から突出した突起145および副走査方向に繰り出し自在な調節ネジ146の先端に突き当てて設置高さを位置決めし、カバー138と一体形成された板バネ141で押圧支持される。符号147はカバー138を固定するネジである。なお、本例では、3つの光走査装置を配列した例を示したが、配列数はいくつであっても同様である。
この発明の光走査装置は、既に説明したように、振動ミラーの揺動空間を所定の圧力で封止することで振動ミラーの振れ角精度を所定の許容値に収めることができるので、主走査ラインを分割して走査しても、そのために画質が劣化することはない。さらに、駆動電圧制御により、より高精度に振動ミラーの振れ角を設定することができる。
(画像形成装置の例)
図18、図19に示した光走査手段500は、振動ミラーモジュール(光走査装置)130を複数配置している。この光走査手段500は光走査装置を複数、並列配置していて、画像を主走査方向に分割し各々の記録幅を小さくして繋ぎ合わせて画像形成する画像形成装置を構成することができる。以下にその例を説明する。
図20は、図17乃至図19で説明したような、本発明の光走査装置(振動ミラーモジュール)に結像レンズ等走査光学系を付加して構成した光走査手段(符号500で示した)を4つ用いた、タンデム方式のカラーレーザプリンタであり、これを画像形成装置の一例として説明する。
光走査手段は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成用として構成されていて、これら符号500-1、500-2、500-3、500-4で示す光走査手段には、夫々静電像が形成される感光体としての感光体ドラム504-1、504-2、504-3、504-4が対応している。
光走査手段500-1、500-2、500-3、500-4により、感光体ドラム504-1、504-2、504-3、504-4に1色ずつ画像形成されるようになっている。各感光体ドラム504-1、504-2、504-3、504-4の下方には、これら各感光体ドラムに対して共通に接触するようにして、転写ベルト501が配置されている。図23に図示の例では、各光走査手段500-1、500-2、500-3、500-4を光ビームの出射方向が下向きとなるように配備している。
転写ベルト501は、1つの駆動ローラR1と2つの支持ローラR2、R3により支持されている。各感光体ドラム504-1、504-2、504-3、504-4は、矢印で示す転写ベルト501の移動方向に沿って均等間隔でが配列されている。
各感光体ドラム504-1、504-2、504-3、504-4のまわりには、これら感光体ドラムの順に、帯電器503-1、503-2、503-3、503-4および、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応したトナーで現像を行う現像装置502-1、502-2、502-3、502-4、さらに、転写された後の残トナーをブレードで掻き取り備蓄するクリーニング装置508-1、508-2、508-3、508-4が配置されている。
これら各現像装置は、感光体ドラムに対向配置され各色に対応したトナーを該感光体に供給する現像ローラ502R1及び現像ローラにトナーを補給する補給ローラ502R2を備えている。図では煩雑になるので、現像装置502-1についての現像ローラのみ示す。
各感光体ドラム504-1、504-2、504-3、504-4において、帯電器と現像装置との間の位置に、光走査手段からの走査用のレーザビームが照射されて、その光走査手段の受け持つ色の画像情報による静電像が形成される。
ここで、転写ベルト501上の同じ位置に重ね画像を形成するため、各光走査手段500-1、500-2、500-3、500-4による潜像形成のためのレーザビームによる画像の書き出しのタイミングがずらされる。転写ベルト501端に形成されたレジストマークを検出するセンサ505は、このずらしの時期を設定するためのものである。
こうして、各光走査手段500-1、500-2、500-3、500-4について、センサ505による検知信号をトリガとして副走査方向の書き出しのタイミングをずらして各光走査手段によりレーザビームによる画像の書き出しが行われて静電潜像が形成される。
各感光体ドラム504-1、504-2、504-3、504-4に形成された静電潜像は、各感光体ドラムの回転方向下流側に位置する現像装置502-1、502-2、502-3、502-4において、トナー現像によりトナーがのせられて可視像化され、さらに、各感光体ドラム504-1、504-2、504-3、504-4から転写ベルト501の同一画像領域に、順に転写され、重ねカラートナー画像が形成される。
この重ねカラートナー画像は、給紙トレイ509から給紙コロ506により送り出されてレジストローラ510の部位で4色目の画像形成にタイミングを調整されてから送り出される用紙Sに、従動ローラR2と転写器515が転写ベルトを間にして対向配置されている二次転写部で4色同時に転写される。転写後の用紙Sは、搬送ベルト511により定着装置512に送られ、定着装置512を出たのち、排出ローラ513により排紙トレイ514に送り出される。
転写ベルト501にトナー画像が転写されたのちの各感光体ドラム504-1、504-2、504-3、504-4は、クリーニング装置508-1、508-2、508-3、508-4により残留トナーが除去されて、次の画像形成に備えられる。
こうして、光走査装置を含む光走査手段によって静電像が形成される感光体(感光体ドラム504-1、504-2、504-3、504-4)と、静電像をトナーで顕像化する現像手段(現像装置502-1、502-2、502-3、502-4)と、顕像化されたトナー像を記録紙(用紙S)に転写する転写手段(転写器515、従動ローラR2)とを有する画像形成装置(レーザプリンタ)において、かかる光走査手段(500-1、500-2、500-3、500-4)を構成する光走査装置(振動ミラーモジュール130)を使用することで従来のポリゴンミラーに比べ、消費電力が小さく、低騒音な画像形成装置を得ることができる。、振動ミラーの動的変形による画質の低下を低減することができる。特に、重ねカラー画像を形成するカラー画像形成装置において、画質の向上を図ることができる。
光走査装置の平面図である。 光走査装置の断面図である。 光走査装置を収容した圧力タンクの断面図である。 光走査装置及びこれに装着される加熱部材の斜視図である。 振動ミラーの封止圧力を変えるときのf-θ特性を示した図である。 振動ミラーのf-θ特性を示した図である。 振動ミラーのV−θ特性を示した図である。 振動ミラーの封止圧力と振れ角の関係を示した図である。 封止管の封止工程を説明した図である。 光走査装置の平面図である。 光走査装置の断面図である。 振動ミラーモジュールの分解斜視図である。 第1基板の平面図である。 第2基板の平面図である。 振動ミラーの振れ角と各固定電極による静電トルクとの関係を示した図である。 電極部の断面図である。 光走査手段の副走査断面図である。 光走査手段の分解斜視図である。 光走査手段における光学素子の配置を説明した分解斜視図である。 画像形成装置としてのカラーレーザプリンタの概略構成図である。
符号の説明
1A 光走査装置
3−2 捩り梁
3−3 振動ミラー
008、009 封止管

Claims (1)

  1. 光ビームの反射面を有する振動ミラーと、前記振動ミラーを揺動自在に支持する一対の
    捩り梁を有する光走査装置の製造方法において、
    前記振動ミラーと前記捩り梁が入った容器内の圧力を除々に上げながら、実使用時の駆動周波数および駆動電圧で駆動する前記振動ミラーの振れ角の監視を行う工程と、
    前記ミラーの振れ角が許容範囲である共振外安定領域を最も大きくとれる圧力になった時点で前記容器内の圧力変化を止めて前記振動ミラーの揺動空間の封止を行う工程とを有し、
    前記共振外安定領域は、駆動周波数を低い状態から徐々に高めて前記振動ミラーの振れ角がピークに達した後の、駆動周波数の増加に応じた振れ角の小さくなる度合いが低くなる傾向の領域であ
    ことを特徴とする光走査装置の製造方法。
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