以下、本発明の一実施形態を図1〜図23に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係るカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電チャージャ(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、4つのトナーカートリッジ(2034a、2034b、2034c、2034d)、転写ベルト2040、定着ローラ2050、給紙コロ2054、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
なお、本明細書では、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向に沿った方向をY軸方向、4つの感光体ドラムの配列方向に沿った方向をX軸方向として説明する。
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。なお、各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転するものとする。
感光体ドラム2030a、帯電チャージャ2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030b、帯電チャージャ2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030c、帯電チャージャ2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030d、帯電チャージャ2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
各帯電チャージャは、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
光走査装置2010は、上位装置からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて、各色毎に変調された光束を、対応する帯電された感光体ドラムの表面にそれぞれ照射する。これにより、各感光体ドラムの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの方向に移動する。なお、この光走査装置2010の構成については後述する。
ところで、各感光体ドラムにおける画像情報が書き込まれる走査領域は「有効走査領域」あるいは「画像形成領域」と呼ばれている。
トナーカートリッジ2034aにはブラックトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033aに供給される。トナーカートリッジ2034bにはシアントナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033bに供給される。トナーカートリッジ2034cにはマゼンタトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033cに供給される。トナーカートリッジ2034dにはイエロートナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033dに供給される。
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジからのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(以下、便宜上「トナー画像」という)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚づつ取り出し、レジストローラ対2056に搬送する。該レジストローラ対2056は、所定のタイミングで記録紙を転写ベルト2040に向けて送り出す。これにより、転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。ここで転写された記録紙は、定着ローラ2050に送られる。
定着ローラ2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。ここで定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次スタックされる。
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電チャージャに対向する位置に戻る。
次に、前記光走査装置2010の構成について説明する。
光走査装置2010は、一例として図2及び図3に示されるように、光源ユニットLU、シリンドリカルレンズ2204、振動ミラーユニット2104、2つの走査レンズ(2105A、2105B)、6つの折り返しミラー(2106a、2106b、2106c、2106d、2108b、2108c)、2つの光検知センサ(2205、2206)、及び走査制御装置(図示省略)などを備えている。そして、これらは、光学ハウジング2300の所定位置に組み付けられている。
なお、以下では、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
光源ユニットLUは、一例として図4に示されるように、4つの光源(2200a、2200b、2200c、2200d)、4つのカップリングレンズ(2201a、2201b、2201c、2201d)、それらを所定の位置関係で支持する支持部材2352、及び4つの光源が実装される回路基板2350などを有している。この光源ユニットLUでは、Z軸方向が副走査対応方向であり、X軸方向が主走査対応方向である。
支持部材2352は、樹脂製の部材であり、4つの光源を所定の位置関係で保持する光源支持部2352A、4つのカップリングレンズを所定の位置関係で保持するレンズ保持部2352B、及び光源支持部2352AのX軸方向の両端に設けられたフランジ部2352Cを有している。また、レンズ保持部2352Bの−Z側の面の中央部には、−Z方向に延びる四角柱状の突起2352Dが設けられている。そして、各フランジ部2352Cの−Z側の面は、XY平面に平行となるように高い加工精度で形成されている。
回路基板2350は、支持部材2352の−Y側に位置し、支持部材2352にねじ固定されている。
4つの光源は、X軸方向に沿って配置されている。ここでは、光源2200bが最も−X側に位置し、光源2200bの+X側に光源2200aが位置し、光源2200aの+X側に光源2200dが位置し、光源2200dの+X側に光源2200cが位置している。
カップリングレンズ2201aは、光源2200aの+Y側に位置し、カップリングレンズ2201bは、光源2200bの+Y側に位置している。また、カップリングレンズ2201cは、光源2200cの+Y側に位置し、カップリングレンズ2201dは、光源2200dの+Y側に位置している。
各光源は、一例として図5(A)及び図5(B)に示されるように、不図示の半導体レーザチップが活性層と平行な接合面でリードフレーム上に接合され、樹脂製のカバーで覆われている。そして、−Y方向に複数のリード端子が延びている。
また、各光源は、一例として図5(C)に示されるように、モノリシックに形成された2つの発光部を有している。すなわち、各光源は、いわゆる2チャンネル(2ch)のマルチビーム半導体レーザである。
2つの発光部は、対応するリード端子に電流を供給することにより個別に駆動することができ、リードフレームに平行な方向に向けて光束を射出する。
ここでは、一例として、2つの発光部の中心間距離Dは50μmである。そして、各光源において、2つの発光部を結ぶ線の中心を通りY軸に平行な軸が「射出軸」である。また、2つの発光部を結ぶ線は、リードフレームに平行である。
各光源では、リードフレームにおける半導体レーザチップが接合されている面と反対側の面が、支持部材2352に当接される面である。この面は、2つの発光部を結ぶ線、すなわち、2つの発光部の配列方向に平行である。
各光源は、一例として図6に示されるように、各光源の射出軸が、Z軸に直交する同一平面内に存在するように光源支持部2352Aに支持されている。なお、図6における、Axaは光源2200aの射出軸であり、Axbは光源2200bの射出軸であり、Axcは光源2200cの射出軸であり、Axdは光源2200dの射出軸である。
さらに、各光源は、一例として図6に示されるように、Z軸方向に関する発光部間隔がD・sinγとなるように、射出軸回りに角度γだけ回動した状態で光源支持部2352Aに保持されている。なお、本明細書では、「発光部間隔」とは2つの発光部の中心間距離をいう。
例えば、出力画像の解像度が600dpi、すなわち、走査ピッチが42.4μmであり、光走査装置2010における結像光学系の副走査対応方向に関する全系倍率が1.5倍であれば、γ=sin−1(42.4/1.5/50)=34.4°である。また、全系倍率が2.0倍であれば、γ=sin−1(42.4/2.0/50)=25.1°である。
そして、8個の発光部が、X軸方向に関して光源2200aと光源2200dの中間点を通りZ軸に平行な面に対して対称となるように、光源2200aと光源2200bはそれぞれの射出軸回りに反時計方向に回動され、光源2200cと光源2200dはそれぞれの射出軸回りに時計方向に回動されている。これにより、各感光体ドラム面上における2chの光スポットの配列方向が、各ステーションで揃うこととなる。
光源支持部2352Aは、一例として図7に示されるように、光源2200aが当接される当接面PLa、光源2200bが当接される当接面PLb、光源2200cが当接される当接面PLc及び光源2200dが当接される当接面PLdを有している。
当接面PLa及び当接面PLbは、XY平面に対してY軸回りに反時計方向に角度γだけ傾斜し、当接面PLc及び当接面PLdは、XY平面に対してY軸回りに時計方向に角度γだけ傾斜している。これにより、容易に4つの光源を、所望の姿勢で支持することができる。
また、4つの光源が、X軸方向に関して光源2200aと光源2200dの中間点を通りZ軸に平行な面に対して対称となるように、各光源が当接される当接面上には、それぞれ対応する光源の射出軸を間に挟み、該射出軸に直交する方向に関して対向する2つの位置決め部STが設けられている。
各当接面に光源が当接された状態が図8に示されている。ここでは、一例として図9に示されるように、各光源は、リードフレームが2つの位置決め部STの間に嵌合されるようになっている。これにより、簡単にしかも高精度に4つの光源の位置決めを行うことができる。
そして、各光源は、光源支持部2352Aに支持された状態で各リード端子が回路基板2350の所定位置に「はんだ付け」され、電気的に接続される。
一例として図10には、Y軸方向からみたときのレンズ保持部2352Bの形状が示されている。そして、一例として図11に示されるように、4つのカップリングレンズが保持される面(以下では、「レンズ保持面」と略述する)は、カップリングレンズの光軸と、該カップリングレンズに対応する光源の射出軸とがほぼ一致するように、光源支持部2352Aにおける当接面と同様な形状を有している。これにより、容易に4つのカップリングレンズを、対応する光源に対して所定の位置関係で保持することができる。なお、各カップリングレンズは、そのコバ部とレンズ保持面とのすき間に接着剤を充填して接着・固定される。
さらに、各光源は、一例として図12に示されるように、XY平面において、4つの射出軸が略同一点で交差するように放射状に配置されている。すなわち、4つの光源は、同一のXY平面の面内に、それらの射出軸が所定角度だけ離隔するように配置されている。ここでは、射出軸Axaと射出軸Axbとのなす角、及び射出軸Axcと射出軸Axdとのなす角は、いずれもθ1である。
回路基板2350の−Y側の面には、各発光部を駆動するための駆動用IC(不図示)が実装されている。
支持部材2352は、一例として図13に示されるように、板部材2360に固定されている。この板部材2360は、支持部材2352の各フランジ部2352Cに対応した2つのねじ穴2361、レンズ保持部2352Bの突起2352Dが嵌合される開口部2362を有している。
支持部材2352は、突起2352Dが開口部2362に嵌合された状態で、ねじ2356をフランジ部2352Cに挿入し、ねじ穴2361に螺合させることによって板部材2360に固定される。この板部材2360は、4つの光源、それらの射出軸及び4つのカップリングレンズが上記位置関係となるように、光学ハウジング2300の所定位置に取り付けられる。なお、板部材2360が光学ハウジング2300の一部であっても良い。
カップリングレンズ2201aは、光源2200aから射出された各光束を略平行光とする。カップリングレンズ2201bは、光源2200bから射出された各光束を略平行光とする。カップリングレンズ2201cは、光源2200cから射出された各光束を略平行光とする。カップリングレンズ2201dは、光源2200dから射出された各光束を略平行光とする。
なお、以下では、便宜上、光源2200aから射出される光束を、主光線が射出軸Axaと一致する光束LBaとし、光源2200bから射出される光束を、主光線が射出軸Axbと一致する光束LBbとして説明する。同様に、光源2200cから射出される光束を、主光線が射出軸Axcと一致する光束LBcとし、光源2200dから射出される光束を、主光線が射出軸Axdと一致する光束LBdとして説明する。
シリンドリカルレンズ2204は、一例として図14に示されるように、光源ユニットLUの+Y側に配置されている。このシリンドリカルレンズ2204は、樹脂製のレンズであり、X軸方向に屈折力(光学的パワー)を持つ4つのレンズ部(2204a、2204b、2204c、2204d)を有している。
各レンズ部では、第2面(+Y側の面)にシリンドリカル面が形成されており、第1面(−Y側の面)は、射出軸に直交する面に対して非平行となっている。そこで、各レンズ部に入射した光束は、XY平面内で屈曲される。
レンズ部2204aは、X軸方向に関して、カップリングレンズ2201aを介した光束LBaを、振動ミラーユニット2104の偏向反射面で線状に結像させる。
レンズ部2204bは、X軸方向に関して、カップリングレンズ2201bを介した光束LBbを、振動ミラーユニット2104の偏向反射面で線状に結像させる。
レンズ部2204cは、X軸方向に関して、カップリングレンズ2201cを介した光束LBcを、振動ミラーユニット2104の偏向反射面で線状に結像させる。
レンズ部2204dは、X軸方向に関して、カップリングレンズ2201dを介した光束LBdを、振動ミラーユニット2104の偏向反射面で線状に結像させる。
また、XY平面において、シリンドリカルレンズ2204を通過した光束LBaと光束LBbのなす角、及びシリンドリカルレンズ2204を通過した光束LBcと光束LBdのなす角は、いずれもθ2であり、前記θ1よりも小さい。これにより、振動ミラーユニット2104に入射する複数の光束間の入射角度差を小さくすることができ、その結果、斜入射に伴う走査軌跡の曲がりや光学的な収差による感光体ドラム表面での光スポットの劣化を軽減できる。
図2に戻り、振動ミラーユニット2104は、シリンドリカルレンズ2204の+Y側に配置されている。この振動ミラーユニット2104は、一例として図15に示されるように、振動ミラーモジュール2410、反射ミラー2430及び分離ミラー2440などを有している。
振動ミラーモジュール2410は、一例として図16に示されるように、ミラー構造体2411が、リード端子を有するセラミックパッケージ2412に収容され、内部が減圧された状態でガラス窓2413によって封止されている。セラミックパッケージ2412の−Z側の面には、X軸方向の両端近傍に円柱状の突起2412aがそれぞれ設けられている。
上記ミラー構造体2411は、一例として図17に示されるように、表面にミラー面が形成された可動ミラー2411Aと、該可動ミラー2411AのX軸方向の両端面の中央からそれぞれX軸に平行な方向に延びて可動ミラー2411Aを支える棒状の2つのねじり梁2411Bと、各ねじり梁2411Bに回転トルクを発生させる4つのカンチレバー2411Cと、それらの支持部をなすフレーム2411Eとを有し、シリコン基板をエッチングにより切り抜いて形成されている。ここでは、可動ミラー2411Aの−Z側の面が偏向反射面となる。そこで、以下では、可動ミラー2411Aの−Z側の面を偏向反射面ともいう。
可動ミラー2411Aは、その中心を通りX軸に平行な軸(以下では、「振動軸」ともいう)回りに振動させることができる。ここでは、一例として、圧電駆動方式により上記回転トルクを発生させている。
各ねじり梁2411Bの幅(Y軸方向の長さ)は40〜60μmである。
4つのカンチレバー2411Cは、振動軸を挟んで対称に形成され、フレーム2411Eと連結されている。各カンチレバー2411Cは、その−Z側の面にY軸方向を長手方向とするPZT膜2411Dがそれぞれ形成されている。
PZT膜2411Dは、正負の電圧が交互に印加されるとY軸方向に伸縮する。そこで、4つのPZT膜2411Dに印加する電圧を制御すると、カンチレバー2411Cに回転トルクを発生させることができる。これにより、各ねじり梁2411Bが捩られ、可動ミラー2411Aは、振動軸回りに回動する。
そして、4つのPZT膜2411Dに印加する電圧の正負を一定の周期で切り換えると、可動ミラー2411Aを振動軸回りに振動させることができる。
このとき、電圧の正負を切り換える周期を、可動ミラー2411Aの振動における1次振動モードの固有振動数、いわゆる共振振動数f0に近づけると、大きな振れ角を得ることができる。ここでは、振れ角は±25°であり、入射した光束は−50°〜+50°の範囲で偏向されることになる。そこで、走査周波数fdをこの共振振動数f0に合わせて設定、あるいは追従するようにすれば良い。
ところで、共振振動数f0は、振動する可動ミラー2411Aの慣性モーメントIによって決定されるため、ねじり梁2411Bの幅などの寸法精度にばらつきがあると、ミラー構造体2411の個体間で差が生じる。そこで、振動ミラーモジュール個々の走査周波数fdを揃えることは困難である。なお、共振振動数f0は、振動ミラーモジュールに固有の特性値であり、設定あるいは選択が可能な走査周波数fdとは区別している。
反射ミラー2430は、シリンドリカルレンズ2204を通過した光束(LBa、LBb、LBc、LBd)の光路上に配置され、一例として図18に示されるように、振動軸方向(ここでは、X軸方向)に平行な反射面を有している。また、反射ミラー2430は、その反射面の中心の下方に、−Z方向に延びる位置決め用の円柱状の突起2430aを有している。
そして、反射ミラー2430は、各光束を偏向反射面に向けて反射する。反射ミラー2430で反射された各光束は、振動軸が含まれる面であって、偏向反射面に垂直な面に対して所定角度傾斜している同一面内を通って偏向反射面に入射する。
ここでは、偏向反射面の中心を通り振動軸に直交する面(以下では、便宜上、「振動ミラー分割面Pm」ともいう)が、前述したX軸方向に関して光源2200aと光源2200dの中間点を通りZ軸に平行な面と一致するように、振動ミラーモジュール2410が配置されている。すなわち、4つの光源は、振動ミラー分割面Pmに対して互いに対称となるように配置されている。また、光源ユニットLUの8つの発光部は、振動ミラー分割面Pmに対して互いに対称となるように配置されている。
そこで、一例として図19に示されるように、反射ミラー2430で反射された光束LBaの光路とLBdの光路は、振動ミラー分割面Pmに対して対称である。同様に、一例として図19に示されるように、反射ミラー2430で反射された光束LBbの光路とLBcの光路は、振動ミラー分割面Pmに対して対称である。
偏向反射面に入射した4つの光束は、偏向反射面上で交差した後、離散する方向に反射される。
分離ミラー2440は、偏向反射面で偏向された光束(LBa、LBb、LBc、LBd)の光路上に配置され、光束LBa及び光束LBbを−X側に反射する反射面2440Aと、光束LBc及び光束LBdを+X側に反射する反射面2440Bを有している。
分離ミラー2440は、Y軸方向を稜線の方向とする屋根状の形状を有している。この稜線は、一例として図20に示されるように、振動ミラー分割面Pm内にある。そして、反射面2440Aは、稜線の−X側の屋根を構成し、反射面2440Bは、稜線の+X側の屋根を構成している。また、分離ミラー2440は、稜線の下方に、−Z方向に延びる位置決め用の円柱状の突起2440aを有している。
ここでは、反射ミラー2430と分離ミラー2440は、一体化されている。そして、反射ミラー2430の位置決め用の突起2430aは、分離ミラー2440の位置決め用の突起2440aの+Y側に設けられている。
振動ミラーモジュール2410は、一例として図21に示されるように、XY平面に対してX軸周りに傾斜しているモジュール支持板2451に支持されている。ここでは、セラミックパッケージ2412の各突起2419がモジュール支持板2451の切り欠きに嵌合され、位置決めされている。
さらに、モジュール支持板2451は、X軸方向に関して対向する2つの側板(2452、2453)に支持されている。各側板の−Z側の端面には、−Z方向に延びる2つの突起が設けられている。
2つの側板(2452、2453)、反射ミラー2430及び分離ミラー2440は、ユニット保持板2460に保持されている。
このユニット保持板2460には、側板2452の2つの突起がそれぞれ嵌合される2つの貫通孔2460a、側板2453の2つの突起がそれぞれ嵌合される2つの貫通孔2460b、反射ミラー2430の位置決め用の突起2430aが挿入される貫通孔2460c、及び分離ミラー2440の位置決め用の突起2440aが挿入される貫通孔2460dが形成されている。
ここでは、貫通孔2460c及び貫通孔dは、X軸方向に関して、貫通孔2460aと貫通孔bの中間位置に形成されている。
そこで、組み付け工程では、先ず、ユニット保持板2460の貫通孔2460c及び貫通孔dに、反射ミラー2430の位置決め用の突起2430a及び分離ミラー2440の位置決め用の突起2440aが挿入される。次に、ユニット保持板2460の2つの貫通孔2460aに側板2452の2つの突起がそれぞれ嵌合され、2つの貫通孔2460bに側板2453の2つの突起がそれぞれ嵌合される。そして、2つの側板(2452、2453)に、振動ミラーモジュール2410が支持されているモジュール支持板2451が取り付けられる。
これにより、組み付け工程において、偏向反射面と反射ミラー2430と分離ミラー2440を容易に所望の位置関係とすることができる。
このユニット保持板2460は、上記板部材2360の+Y側であって、XY平面に平行に、光学ハウジング2300の所定位置に取り付けられる。なお、ユニット保持板2460が光学ハウジング2300の一部であっても良い。これにより、4つの光源と偏向反射面を容易に所望の位置関係とすることができる。
図3に戻り、走査レンズ2105Aは、反射面2440Aで反射された光束LBa及び光束LBbの光路上に配置されている。走査レンズ2105Bは、反射面2440Bで反射された光束LBc及び光束LBdの光路上に配置されている。
可動ミラー2411Aの振れ角の時間変化が図22に示されている。可動ミラー2411Aは、共振振動されるため、時間tとともに振れ角θがsin波状に変化する。従って、可動ミラー2411Aの最大振れ角、すなわち振幅をθ0とすると、θ=θ0・sin2πfd・t、となる。そこで、各走査レンズは、振れ角の変化(dθ/dt)に対して、感光体ドラム面上での光スポットの移動速度が一定となるように設計されている。
ここでは、走査レンズ2105Aは、−X側の側板2452の−X側の面に固定されている(図21参照)。また、走査レンズ2105Bは、+X側の側板2453の+X側の面に固定されている(図21参照)。
そして、走査レンズ2105Aを通過した光束LBaは、折返しミラー2106aを介して、感光体ドラム2030aに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、可動ミラー2411Aの振動に伴って感光体ドラム2030aの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030a上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030aでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030aの回転方向が、感光体ドラム2030aでの「副走査方向」である。
また、走査レンズ2105Aを通過した光束LBbは、折返しミラー2106b及び折返しミラー2108bを介して、感光体ドラム2030bに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、可動ミラー2411Aの振動に伴って感光体ドラム2030bの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030b上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030bでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030bの回転方向が、感光体ドラム2030bでの「副走査方向」である。
また、走査レンズ2105Bを通過した光束LBcは、折返しミラー2106c及び折返しミラー2108cを介して、感光体ドラム2030cに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、可動ミラー2411Aの振動に伴って感光体ドラム2030cの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030c上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030cでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030cの回転方向が、感光体ドラム2030cでの「副走査方向」である。
また、走査レンズ2105Bを通過した光束LBdは、折返しミラー2106dを介して、感光体ドラム2030dに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、可動ミラー2411Aの振動に伴って感光体ドラム2030dの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030d上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030dでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030dの回転方向が、感光体ドラム2030dでの「副走査方向」である。
振動ミラーユニット2104と各感光体ドラムとの間の光路上に配置される光学系は、走査光学系あるいは結像光学系とも呼ばれている。本実施形態では、走査レンズ2105Aと折り返しミラー2106aとからKステーションの走査光学系(結像光学系)が構成されている。また、走査レンズ2105Aと折り返しミラー(2106b、2108b)とからCステーションの走査光学系(結像光学系)が構成されている。そして、走査レンズ2105Bと折り返しミラー(2106c、2108c)とからMステーションの走査光学系(結像光学系)が構成されている。さらに、走査レンズ2105Bと折り返しミラー2106dとからYステーションの走査光学系(結像光学系)が構成されている。
光検知センサ2205及び光検知センサ2206は、振動ミラーユニット2104で偏向された光束LBdを有効走査領域外で検出する。各光検知センサはいずれも、受光量に応じた信号(光電変換信号)を出力する。ここでは、光検知センサ2205は、いわゆる同期検知センサであり、各ステーションでの書き出しタイミングを合わせる同期検知信号を生成する。光検知センサ2206は、いわゆる終端検知センサである。
走査制御装置は、ミラー駆動回路、振幅制御回路、書込制御回路及び光源駆動回路などを有している。
ミラー駆動回路は、立ち上げ時に、各光検知センサの出力信号に基づいて、走査周波数fdを段階的にスイープし、共振振動数f0に最も近い走査周波数fdを検出し、走査周波数fdを設定する。ここで設定された走査周波数fdは、光源駆動回路に通知される。
光源駆動回路では、光源を変調する際の基準クロックfhと(走査周波数fd/光源のch数)との比が一定となるよう、設定された走査周波数fdに応じて基準クロックfhを調整する。なお、ここでは、光源のch数は2である。
振幅制御回路は、可動ミラー2411Aの振幅、該振幅の位相及びオフセットなどを検出する。
ここでは、振幅θ0=25°、光検知センサ2205と光検知センサ2206の検出走査角θs=18°、有効走査領域(LGATE)に相当する走査角θd=15°としており、各光検知センサの出力信号に基づいて、図23におけるt1、t2、t3を計測し、振幅を制御している。
例えば、振幅θ0にずれがあると、感光体ドラム面上での走査速度が変化し、主走査方向の画像幅が変化する。また、位相ずれやオフセットずれがあると、書出し位置のずれや主走査方向での局部的な倍率変化が発生し、色ずれや濃度むらの要因となる。
各光検知センサの出力信号から、走査角が2θsに対応した光束を検出すると、検出信号は復走査と往走査とで発生し、光検知センサ2205(同期検知センサ)の場合、その時間差t1を用いると、θs=θ0・cos2πfd・t1/2、で表される。θsは固定値であるので、t1を計測すれば振幅θ0が検出できることがわかる。
同様に、光検知センサ2206(終端検知センサ)とでt2、t3を検出することで、時間軸方向の位相ずれ、振幅中心のオフセットずれが検出できる。
従って、振動ミラーモジュール2410に引加するゲインおよび基準クロックのタイミングを調整することで、初期値からのずれが補正され、常に安定した振幅に保つことができる。
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る光走査装置2010では、光源ユニットLUによって、本発明の光源装置が構成されている。そして、振動ミラーモジュール2410によって、本発明の振動ミラー装置が構成されている。
以上説明したように、本実施形態に係る光走査装置2010によると、4つの感光体ドラムの配列方向であるX軸方向及び主走査方向であるY軸方向のいずれにも平行な同一平面の面内に、それらの射出軸が存在するように配置された4つの光源(2200a、2200b、2200c、2200d)を有する光源ユニットLUと、4つの光源からの各光束の光路を折り返す反射ミラー2430と、偏向反射面を有し、該偏向反射面をXY平面に平行で主走査方向に直交する方向であるX軸方向に平行な軸回りに振動させて、反射ミラー2430を介した各光束を偏向する振動ミラーモジュール2410と、該振動ミラーモジュール2410で偏向された4つの光束(LBa、LBb、LBc、LBd)の光路上に配置され、光束LBa及び光束LBbを振動ミラーモジュール2410の−X側に反射し、光束LBc及び光束LBdを+X側に反射する分離ミラー2440と、該分離ミラー2440を介した各光束を、それぞれ対応する感光体ドラムの表面に結像する走査光学系(結像光学系)とを備えている。
これによると、4つの光源からの光束を、単一の可動ミラー面(偏向反射面)上に集約させて一括して偏向し、偏向後に再度分離して各々に対応した感光体ドラムに導くことができる。そして、構成を簡略化でき、かつ扁平にすることができるので、低コストでコンパクトな光走査装置が実現できる。
すなわち、高コスト化を招くことなく、光学ハウジング2300のZ軸方向に関する長さを、光偏向器として振動ミラー装置を有する従来の光走査装置に比べて小さくすることができる。そこで、高コスト化を招くことなく、光偏向器として振動ミラー装置を有しながら、薄型化を図ることが可能となる。
また、8つの発光部は、振動ミラー分割面Pmに対して互いに対称である。この場合は、4つの光源間において、感光体ドラム表面での2chの光スポットの配列の向き(主副の位置関係)を揃えることができる。そこで、主走査方向に関して、発光部間に先行、後行の関係があっても、振幅検出を確実に行うことができる。そして、走査ライン順に対応した変調データを、主走査方向の書出しタイミングに従って読み出す制御を簡略化することができ、低コストな光走査装置が実現できる。
また、支持部材2352は、4つの光源を所定の位置関係で保持する光源支持部2352A、及び4つのカップリングレンズを所定の位置関係で保持するレンズ保持部2352Bを有している。これにより、4つの光源及び4つのカップリングレンズを容易に精度良く所望の位置関係で取り付けることができる。
そして、光源支持部2352Aは、4つの光源の射出軸を同一面内に配列するとともに、XY平面に対してY軸回りに角度γだけ傾斜した4つの当接面(PLa〜PLd)を有している。この場合は、4つの射出軸の配列面と可動ミラーの振動軸とを平行に保つことができる。また、上記配列面に対して発光部の配列角度を確実に位置決めすることができるので、各感光体ドラム表面における走査ラインの相対位置や光スポットの副走査方向のピッチを安定的に保つことができ、光学ハウジングの剛性によらずとも各色の重ね精度を向上させることができる。
また、4つの光源は、支持部材2352により、一体的に支持されている。この場合は、4つの光源間の配置精度を保った状態で、光学ハウジング2300に組み込むことができるので、生産性が向上し、低コストな光走査装置が実現できる。
また、光源支持部2352Aにおける各当接面上には、それぞれ対応する光源の射出軸を間に挟み、該射出軸に直交する方向に関して対向する2つの位置決め部STが設けられている。これにより、X軸方向及びY軸方向に関する各光源の位置決めを容易に精度良く行うことができる。
また、光源ユニットLUは、4つの光源が、振動ミラー分割面Pmに対して対称となるように配置されている。この場合は、各光源からの光束の可動ミラー面への入射位置、及び分離ミラーの各反射面が交わる稜線との相対配置を確実に位置決めすることができる。そして、各感光体ドラム表面における走査軌跡を互いに平行に保つことができ、各色の重ね精度を向上させることが可能である。
また、各光源は、複数の発光部の配列方向に平行な面を有し、その面を光源支持部2352Aの当接面に当接している。これにより、射出軸を回転軸とした角度調整を行う手間が省け、生産性が向上し、低コストな光走査装置が実現できる。
また、分離ミラー2440は、4つの光源の各射出軸が含まれる平面に平行な面内における位置決め用の突起2440aを有している。これにより、各光源と分離ミラー2440における各反射面が交わる稜線との相対配置を確実に位置決めすることができる。そして、各感光体ドラム表面における走査軌跡を互いに平行に保つことができ、各色の重ね精度を向上させることが可能である。
そして、本実施形態に係るカラープリンタ2000によると、光走査装置2010を備えているため、結果として、高コスト化を招くことなく、小型化を図ることが可能となる。
なお、上記実施形態では、圧電駆動方式により回転トルクを発生させる場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、電磁駆動方式や静電駆動方式により回転トルクを発生させても良い。
また、上記実施形態では、各光源が2つの発光部を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、4つの光源が、X軸方向に沿って配置されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。XY平面に平行な同一の面内に、それらの射出軸が存在するように配置されていれば良い。
また、上記実施形態において、前記光源ユニットLUに代えて、一例として図24に示されるように、いわゆるCANパッケージタイプの4つの光源(2200A、2200B、2200C、2200D)を有する光源ユニットLUaを用いても良い。この場合にも、支持部材2352は、4つの光源を所定の位置関係で保持する光源支持部2352a、及び4つのカップリングレンズを所定の位置関係で保持するレンズ保持部2352bを有している。
光源支持部2352aには、各光源の射出軸に沿って形成されている4つの貫通孔(図示省略)が形成されている。各光源は、そのCANパッケージの円筒外周部が上記貫通孔に裏面から圧入されている。これにより、4つの光源は、射出軸が略同一点で交差するように放射状に配置され、相対的な位置を保って一体的に支持されている。
レンズ保持部2352bは、光源支持部2352aの+Y側の面から突出したU字状の装着面を有する3つの突起部である。各カップリングレンズは、突起部とコバ部とのすき間に接着剤を充填して接着・固定される。