以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
〈第1の実施の形態〉
図1は、第1の実施の形態に係る光学パッケージを例示する平面図である。図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。図1及び図2を参照するに、第1の実施の形態に係る光学パッケージ10は、大略すると、基体11と、発光素子12と、受光素子13と、接合板14と、フレーム15と、カバーガラス16とを有する。
基体11は、発光素子12や受光素子13を実装するパッケージであり、中央部近傍に凹部11xが設けられている。基体11は、例えば、セラミックスにより形成されたCLCC(Ceramic Leaded Chip Carrier)と称されるフラットパッケージである。但し、基体11は、セラミックス以外の材料、例えば樹脂材料により形成されたものであってもよい。基体11及び凹部11xの平面形状は、例えば、各々矩形状とすることができるが、これには限定されない。なお、凹部11xの底部には段差が形成されている。
発光素子12は、基体11の凹部11xの底部の最も低い位置に実装されている。発光素子12は、発光エリア17を有する。基体11の凹部11xの底部において、発光素子12が実装されている位置よりも高い位置には、発光素子12を囲むように複数の配線電極18が例えば放射状に形成されている。
配線電極18の一端は、ボンディングワイヤ19を介して発光素子12の電極端子(図示せず)と接続されている。配線電極18の他端は、基体11の内部に形成された金属配線(図示せず)を介して、光学パッケージ10の外側の電極端子(図示せず)と接続されている。
発光素子12の一例としては、面発光レーザや、複数の面発光レーザを2次元的に配列した構成の面発光レーザアレイ等を挙げることができる。発光素子12の他の例としては、発光ダイオードや有機EL(electroluminescence)等を挙げることができる。
受光素子13は、基体11の凹部11xの底部において、配線電極18が形成されている位置よりも更に高い位置に実装されている。受光素子13の電極端子(図示せず)は、基体11の内部に形成された金属配線(図示せず)を介して、光学パッケージ10の外側の電極端子(図示せず)と接続されている。
受光素子13の一例としては、モニタ用のフォトダイオード等を挙げることができる。受光素子13の他の例としては、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を挙げることができる。
以下では、一例として、発光素子12として面発光レーザアレイを用い、受光素子13としてフォトダイオードを用いる例について説明する。発光素子12である面発光レーザアレイからの出射光の一部をカバーガラス16で反射して受光素子13であるフォトダイオードでモニタすることにより、カバーガラス16を介して出射される面発光レーザアレイからの出射光を所定の光強度に制御できる。
基体11の上面の凹部11xの周囲(発光素子12及び受光素子13の周囲)には接合板14が設置されている。フレーム15は、Z方向(発光素子12の光軸方向)に突起する筒状部21と、筒状部21の下端から筒状部の周囲に延設された板状部22とを有する。板状部22は、筒状部21の下端側が、XY平面方向の外側に曲げられた部分である。
板状部22の一部には、平面視において(発光素子12の光軸方向から視て)、筒状部21を囲むように波状部23が形成されている。フレーム15の板状部22の外縁部は、接合板14を介して、基体11の上面に固定されている。フレーム15の板状部22の外縁部と接合板14は、例えば、溶接により接合できる。なお、接合板14の一方の側は基体11と接し、他方の側の一部はフレーム15の板状部22の外縁部と接している。
筒状部21の上面は傾斜している。筒状部21の傾斜した上面の略中央部には開口部が設けられ、開口部を塞ぐように透明な板材であるカバーガラス16が、接合材20を介して、発光素子12の上方の筒状部21の内側に設置されている。換言すれば、カバーガラス16は、発光素子12の光軸と垂直な面に対し所定の傾斜角度となるように傾けた状態で、フレーム15に固定されている。なお、フレーム15に透明な板材であるカバーガラス16が設置されている部材を、光学パッケージ用リッドと称する場合がある。
カバーガラス16が傾斜している第1の理由は、発光素子12からの出射光が、カバーガラス16で反射して発光素子12に戻らないようにすることで、戻り光の影響による発光素子12の出射光量の変動を抑制するためである。又、カバーガラス16が傾斜している第2の理由は、発光素子12からの出射光のうち、カバーガラス16で反射した反射光(戻り光)を受光素子13に入射させて、発光素子12の出射光量をモニタするためである。
従って、カバーガラス16の所定の傾斜角度は、発光素子12からの出射光のうち、カバーガラス16で反射した反射光(戻り光)が受光素子13に入射する角度に設定されている。カバーガラス16の所定の傾斜角度は、例えば、10〜20度程度とすることができる。
なお、従来のカバーガラスが傾斜していない光学パッケージでは、面発光レーザアレイを構成する各面発光レーザからの出射光がカバーガラスで反射し、その反射光(戻り光)が発光源自身に入ることで、出射光量が変動する不具合が発生することが知られている。本実施の形態では、前述のように、カバーガラス16を傾斜させているため、戻り光の影響を低減できる。
フレーム15の板状部22に形成されている波状部23は、板状部22の一部に設けられた波板状の領域であり、例えば、断面形状が連続した複数の三角波状になるように加工されている。波状部23を設けることにより、カバーガラス16の傾斜を調整できる方向にフレーム15を容易に変形させることができ、カバーガラス16の傾き(傾斜角度)を調整することが可能となる。波状部23は、本発明に係る傾き調整部の代表的な一例である。なお、波状部23は、フレーム15を容易に変形させることができる形状であれば、例えば、断面形状が連続した複数の正弦状等になるように加工されたものでもよい。
光学パッケージ10は、受光素子13でモニタされる光量が所定の範囲内に入っている場合には、光学パッケージ間におけるモニタ光量のばらつきが大きくならないので、カバーガラス16の傾斜角度を調整することなく、そのまま使用できる。しかし、受光素子13でモニタされる光量が所定の範囲内に入っていない場合には、光学パッケージ間におけるモニタ光量のばらつきが大きくなるため、カバーガラス16の傾斜角度を調整し、受光素子13でモニタされる光量を所定の範囲内に入れる必要がある。
光学パッケージ10では、フレーム15に波状部23が形成されているため、フレーム15に外力を与えることによりフレーム15が変形し、カバーガラス16の傾斜角度を調整することができる。これにより、光学パッケージ間におけるモニタ光量のばらつきを容易に低減することができる。
図3は、傾き調整後のフレームの固定構造の例について説明する平面図である。図4は、図3のA−A線に沿う断面図である。図3及び図4を参照しながら、カバーガラス16の傾斜角度の調整と、調整後の固定構造について説明する。図3及び図4を参照するに、光学パッケージ10において、一対の固定用アーム31が、はんだ等(図示せず)により、一対の固定用パターン32に固定されている。
一対の固定用パターン32は、基体11の上面の接合板14よりも外側の領域に、平面視において、筒状部21を介して対向するように形成されている。固定用パターン32としては、例えば、金パターンや銅パターン等の金属パターンを用いることができる。
固定用アーム31は、断面形状が略L字型の部材であり、長手方向がXY平面と略平行となり、短手方向がZ方向と略平行となるように、短手方向の端部が固定用パターン32に固定されている。固定用アーム31の長手方向の先端部近傍には、突起部31xが設けられている。一対の固定用アーム31は、それぞれの突起部31xが波状部23の上面に接すると共に、平面視において筒状部21を介して対向するように、一対の固定用パターン32に固定されている。
一対の固定用アーム31は、波状部23を変形させて(フレーム15を変形させて)カバーガラス16の傾斜角度を調整した後に、一対の固定用パターン32に固定される。なお、固定用アーム31及び固定用パターン32は、本発明に係る固定部の代表的な一例である。
固定用アーム31及び固定用パターン32を用いたカバーガラス16の傾斜角度の調整方法の一例を以下に示す。まず、固定用パターン32に固定されていない一対の固定用アーム31を、Z方向に移動可能に構成されたフレーム傾き調整用冶具(図示せず)に取り付ける。そして、一対の固定用アーム31のそれぞれの突起部31xの先端部近傍が波状部23の上面に接した状態にする。
次に、フレーム傾き調整用冶具をZ方向に移動させて、固定用アーム31のそれぞれの突起部31xにより波状部23を矢印H方向に押圧し、カバーガラス16の傾きIを調整する(カバーガラス16の傾斜角度を調整する)。なお、それぞれの固定用アーム31を押圧する力のバランスを変えることにより、調整できる傾斜方向を変えることができる。又、何れか一方の固定用アーム31のみを押圧してもよい。
そして、カバーガラス16の傾斜角度が調整された状態のままフレーム傾き調整用冶具で一対の固定用アーム31を保持し、一対の固定用アーム31を、はんだ等(図示せず)により、一対の固定用パターン32に固定する。
はんだ等(図示せず)が硬化して一対の固定用アーム31が一対の固定用パターン32に固定された後、一対の固定用アーム31をフレーム傾き調整用冶具から取り外す。一対の固定用アーム31は、はんだ等(図示せず)により、一対の固定用パターン32に固定されているので、フレーム傾き調整用冶具から取り外しても、カバーガラス16の傾斜角度が調整された状態を保持できる。
なお、カバーガラス16の傾斜角度が適切か否かは、受光素子13でモニタされる光量を観察することにより判定できる。つまり、受光素子13でモニタされる光量を観察しながら、受光素子13でモニタされる光量が所定の範囲内に入るようにフレーム傾き調整用冶具の位置を調整する。そして、一対の固定用アーム31をその位置で固定することにより、カバーガラス16を適切な傾斜角度に調整し保持できる。
このように、第1の実施の形態に係る光学パッケージ10では、フレーム15に波状部23を形成し、フレーム15に外力を与えることによりフレーム15を変形させて、カバーガラス16の傾斜角度を調整することができる。これにより、受光素子13でモニタされる光量を所定の範囲内に収めることができる。すなわち、複数の光学パッケージ間におけるモニタ光量のばらつきを低減することが可能となる。
なお、複数の光学パッケージ間におけるモニタ光量のばらつきを低減することが目的であるから、複数の光学パッケージ間において、カバーガラス16の傾斜角度が一定となっている必要はない。
又、カバーガラス16の傾斜角度の調整が必要か否かを判定し、必要な場合のみカバーガラス16の傾斜角度を調整する。つまり、受光素子13でモニタされる光量が所定の範囲内に入っている場合には(複数の光学パッケージ間におけるモニタ光量のばらつきが小さい場合には)、カバーガラス16の傾斜角度の調整は不要である。そのため、調整が必要な場合のみ固定用アーム31を固定用パターン32に固定すればよく、無駄なコスト(製造コスト及び部品コスト)の発生を抑制できる。
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、第1の実施の形態とは異なる形状の変形可能なフレームを設ける例を示す。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する。
図5は、第2の実施の形態に係る光学パッケージを例示する平面図である。図6は、図5のA−A線に沿う断面図である。図5及び図6を参照するに、第2の実施の形態に係る光学パッケージ10Aは、フレーム15の板状部22に、波状部23に代えて貫通孔24及び回転軸25を形成した点が、第1の実施の形態に係る光学パッケージ10(図1〜図4参照)と相違する。
光学パッケージ10Aにおいて、板状部22の一部には、平面視において、筒状部21を囲むように環状(例えば、額縁状)の貫通孔24が形成されている。貫通孔24は、板状部22の上面側から基体11側に向かって貫通している。又、板状部22には、平面視において、筒状部21を介して対向するように、貫通孔24を2つの領域に分割する一対の板状の回転軸25が形成されている。回転軸25は、板状部22において貫通孔24の内側を貫通孔24の外側に対して保持すると共に貫通孔24の内側を貫通孔24の外側に対して回転させる回転軸である。
なお、一対の固定用アーム31が配置される方向(図5ではX方向)と、一対の回転軸25が配置される方向(図5ではY方向)とは、略直交している。板状部22に貫通孔24及び回転軸25を形成したことにより、カバーガラス16は回転軸25を回転中心として、ある程度回転することが可能である。貫通孔24及び回転軸25は、本発明に係る傾き調整部の代表的な一例である。
光学パッケージ10Aでは、フレーム15に貫通孔24及び回転軸25が形成されている。そのため、フレーム15に外力を与えることによりフレーム15が変形し(板状部22の貫通孔24の内側が回転軸25を回転中心として回転し)、カバーガラス16の傾斜角度を調整することができる。これにより、光学パッケージ間におけるモニタ光量のばらつきを容易に低減することができる。
カバーガラス16の傾斜角度は、第1の実施の形態と同様の方法により、調整できる。但し、固定用アーム31の突起部31xにより押圧するのは、貫通孔24の内側である。なお、第1の実施の形態と同様に、必要な場合のみカバーガラス16の傾斜角度を調整すればよい。
このように、第2の実施の形態に係る光学パッケージ10Aでは、フレーム15に貫通孔24及び回転軸25を形成し、板状部22を回転軸25を回転中心として回転させるようにフレーム15に外力を与えることでフレーム15を変形させる。これにより、第1の実施の形態の効果に加えて、更に以下の効果を奏する。すなわち、調整したい方向にのみ回転軸25を形成しているので、調整したくない方向へ悪影響を与えることなく、カバーガラス16の傾斜角度を調整可能である。なお、第2の実施の形態は、密封する必要がない光学パッケージに適用できる。
〈第3の実施の形態〉
第3の実施の形態では、接合板の形状を変えることでフレームを変形可能とする例を示す。なお、第3の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する。
図7は、第3の実施の形態に係る光学パッケージを例示する平面図である。図8は、図7のA−A線に沿う断面図である。なお、図8(a)はフレーム15が変形していない状態を、図8(b)はフレーム15が変形した状態(カバーガラス16の傾斜角度が調整された状態)を示している。図7及び図8を参照するに、第3の実施の形態に係る光学パッケージ10Bは、フレーム15に波状部23が設けられていない点、及び接合板14が接合板44に置換された点が、第1の実施の形態に係る光学パッケージ10(図1〜図4参照)と相違する。
光学パッケージ10Bにおいて、接合板44の内周側には外周側よりも一段下がった段差部44xが設けられている。換言すれば、接合板44は、外周側が厚く形成されており、内周側が薄く形成されている。そして、外周側の厚く形成されている部分(突起している部分)のみがフレーム15の板状部22の外縁部と接し、例えば、溶接により接合されている。
段差部44xは、板状部22とは接していなく、段差部44xと板状部22との間には意図的な空間が形成されている。つまり、フレーム15の板状部22の下面の一部は、接合板44と対向する対向部であり、対向部の一部と接合板44との間に空間が設けられている。このように、接合板44の対向部側に段差(段差部44x)を設けることで空間が確保されている。
光学パッケージ10Bでは、段差部44xと板状部22との間に意図的な空間が形成されているため、空間上のフレーム15に外力を与えることによりフレーム15が変形し、カバーガラス16の傾斜角度を調整することができる。これにより、光学パッケージ間におけるモニタ光量のばらつきを容易に低減することができる。
カバーガラス16の傾斜角度の調整方法を以下に示す。図8(b)に示すように、空間上のフレーム15の板状部22を、フレーム傾き調整用冶具(図示せず)により矢印J方向に押圧する。これにより、フレーム15の板状部22の押圧された部分が変形し、変形部の下面が段差部44xと接する(段差部44xと板状部22との間の空間が部分的になくなる)。空間の一部においてフレーム15の対向部が変形し、対向部の一部が接合板44の段差部44xと接した状態となる。これにより、カバーガラス16の傾斜角度の調整が可能となる
カバーガラス16の傾斜角度の調整度合いは、空間上の板状部22に外力を加える位置(矢印Jの位置)をX方向(紙面横方向)に移動することで可変できる。空間上の板状部22に外力を加える位置(矢印Jの位置)を内側(発光素子12側)にするほど、カバーガラス16の傾斜角度を大きくすることができる。
図8(b)の例では、左側の板状部22を変形させているので、カバーガラス16が左方向(矢印K方向)に更に傾くように調整されているが、右側の板状部22を変形させれば、傾きが小さくなる方向にカバーガラス16が調整される。なお、第1の実施の形態と同様に、必要な場合のみカバーガラス16の傾斜角度を調整すればよい。
図8(b)の状態で、例えばスポット溶接で板状部22と接合板44とを接合した後、フレーム傾き調整用冶具を取り外すことで、カバーガラス16の傾斜角度が調整された状態を保持できる。
このように、第3の実施の形態に係る光学パッケージ10Bでは、接合板44に段差部44xを設け、段差部44xと板状部22との間に意図的な空間を形成し、この空間が部分的になくなるようにフレーム15に外力を与えることでフレーム15を変形させる。これにより、第1の実施の形態の効果に加えて、更に以下の効果を奏する。すなわち、固定用アーム等の特別な部材を追加することなく、容易にカバーガラス16の傾斜角度を調整可能である。
〈第4の実施の形態〉
第4の実施の形態では、接合板の形状を変えることでフレームを変形可能とする他の例を示す。なお、第4の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する。
図9は、第4の実施の形態に係る光学パッケージを例示する断面図であり、図8(a)及び図8(b)等に対応する断面を示している。なお、図9はフレーム15が変形していない状態を示している。図9を参照するに、第4の実施の形態に係る光学パッケージ10Cは、接合板44に傾斜部44yが設けられている点が、接合板44に段差部44xが設けられていた第3の実施の形態に係る光学パッケージ10B(図7及び図8参照)と相違する。
光学パッケージ10Cにおいて、接合板44の外周側は平坦であり、内周側には発光素子12側に傾斜する傾斜部44yが設けられている。そして、外周側の平坦な部分のみがフレーム15の板状部22の外縁部と接し、例えば、溶接により接合されている。
傾斜部44yは、板状部22とは接していなく、傾斜部44yと板状部22との間には意図的な空間が形成されている。つまり、フレーム15の板状部22の下面の一部は、接合板44と対向する対向部であり、対向部の一部と接合板44との間に空間が設けられている。このように、接合板44の対向部側に傾斜(傾斜部44y)を設けることで空間が確保されている。
光学パッケージ10Cでは、傾斜部44yと板状部22との間に意図的な空間が形成されているため、空間上のフレーム15に外力を与えることによりフレーム15が変形し、カバーガラス16の傾斜角度を調整することができる。これにより、光学パッケージ間におけるモニタ光量のばらつきを容易に低減することができる。
カバーガラス16の傾斜角度は、第3の実施の形態と同様の方法により、調整できる。なお、第3の実施の形態と同様に、必要な場合のみカバーガラス16の傾斜角度を調整すればよい。カバーガラス16の傾斜角度を調整した状態で、例えばスポット溶接で板状部22と接合板44とを接合した後、フレーム傾き調整用冶具を取り外すことで、カバーガラス16の傾斜角度が調整された状態を保持できる。
このように、第4の実施の形態に係る光学パッケージ10Cでは、接合板44に傾斜部44yを設け、傾斜部44yと板状部22との間に意図的な空間を形成し、この空間が部分的になくなるようにフレーム15に外力を与えることでフレーム15を変形させる。これにより、第3の実施の形態の効果に加えて、更に以下の効果を奏する。すなわち、傾斜部44yと板状部22との間の空間(傾斜部44yと板状部22との間隔)が徐々に変化しているので、第3の実施の形態の場合よりもカバーガラス16の傾斜角度の微調整が可能となる。
〈第5の実施の形態〉
第5の実施の形態では、第1の実施の形態とは異なる形状の変形可能なフレームを設ける例を示す。なお、第5の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する。
図10は、第5の実施の形態に係る光学パッケージを例示する平面図である。図11は、図10のA−A線に沿う断面図である。なお、図11(a)はフレーム15が変形していない状態を、図11(b)はフレーム15が変形した状態(カバーガラス16の傾斜角度が調整された状態)を示している。
図10及び図11を参照するに、第5の実施の形態に係る光学パッケージ10Dは、フレーム15に波状部23が設けられていない点、及び接合板14が接合板54に置換された点が第1の実施の形態に係る光学パッケージ10(図1〜図4参照)と相違する。又、フレーム15の板状部22が傾斜している点が、第1の実施の形態に係る光学パッケージ10(図1〜図4参照)と相違する。
光学パッケージ10Dにおいて、接合板54は断面形状が矩形状である。つまり、接合板54の上面及び下面は平坦であり、段差部や傾斜部は設けられていない。板状部22は内周側(発光素子12側)が外周側よりも高くなるように傾斜しており、外周側のみが接合板54の上面と接し、例えば、溶接により接合されている。
板状部22の内周側は、接合板54とは接していなく、板状部22の内周側と接合板54との間には意図的な空間が形成されている。つまり、フレーム15の板状部22の下面の一部は、接合板54と対向する対向部であり、対向部の一部と接合板54との間に空間が設けられている。このように、対向部の接合板54側に傾斜を設けることで空間が確保されている。
光学パッケージ10Dでは、板状部22の内周側と接合板54との間に意図的な空間が形成されているため、空間上のフレーム15に外力を与えることによりフレーム15が変形し、カバーガラス16の傾斜角度を調整することができる。これにより、光学パッケージ間におけるモニタ光量のばらつきを容易に低減することができる。
カバーガラス16の傾斜角度の調整方法を以下に示す。図11(b)に示すように、空間上のフレーム15の板状部22を、フレーム傾き調整用冶具(図示せず)により矢印L方向に押圧する。これにより、フレーム15の板状部22の押圧された部分が変形し、板状部22の内周側と接合板54との間の空間が部分的になくなる。これにより、カバーガラス16の傾斜角度の調整が可能となる。
カバーガラス16の傾斜角度の調整度合いは、空間上の板状部22に外力を加える位置(矢印Lの位置)をX方向(紙面横方向)に移動することで可変できる。空間上の板状部22に外力を加える位置(矢印Lの位置)を内側(発光素子12側)にするほど、カバーガラス16の傾斜角度を大きくすることができる。
図11(b)の例では、右側の板状部22を変形させているので、カバーガラス16が右方向(矢印M方向)に傾斜が小さくなる方向に調整されているが、左側の板状部22を変形させれば、傾きが大きくなる方向にカバーガラス16が調整される。なお、第1の実施の形態と同様に、必要な場合のみカバーガラス16の傾斜角度を調整すればよい。
図11(b)の状態で、例えばスポット溶接で板状部22と接合板54とを接合した後、フレーム傾き調整用冶具を取り外すことで、カバーガラス16の傾斜角度が調整された状態を保持できる。
このように、第5の実施の形態に係る光学パッケージ10Dでは、板状部22を傾斜させ、板状部22の内周側と接合板54との間に意図的な空間を形成し、この空間が部分的になくなるようにフレーム15に外力を与えることでフレーム15を変形させる。これにより、第1の実施の形態の効果に加えて、更に以下の効果を奏する。すなわち、固定用アーム等の特別な部材を追加することなく、容易にカバーガラス16の傾斜角度を調整可能である。又、板状部22の傾斜はプレス加工で作製できるので、安定した形状が得られる。
〈第6の実施の形態〉
第6の実施の形態では、第1の実施の形態とは異なる形状の変形可能なフレームを設ける例を示す。なお、第6の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する。
図12は、第6の実施の形態に係る光学パッケージを例示する断面図である。なお、図12はフレーム15が変形していない状態を示している。図12を参照するに、第6の実施の形態に係る光学パッケージ10Eは、フレーム15の板状部22に傾斜に代えて段差を設けた点が、第5の実施の形態に係る光学パッケージ10D(図10及び図11参照)と相違する。
光学パッケージ10Eにおいて、板状部22は内周側(発光素子12側)が外周側よりも一段高くなるように段差が設けられており、外周側の一段低い部分のみが接合板54の上面と接し、例えば、溶接により接合されている。
板状部22の内周側の一段高い部分は、接合板54とは接していなく、板状部22の内周側の一段高い部分と接合板54との間には意図的な空間が形成されている。つまり、フレーム15の板状部22の下面の一部は、接合板54と対向する対向部であり、対向部の一部と接合板54との間に空間が設けられている。このように、対向部の接合板54側に段差を設けることで空間が確保されている。
光学パッケージ10Eでは、板状部22の内周側と接合板54との間に意図的な空間が形成されているため、フレーム15に外力を与えることによりフレーム15が変形し、カバーガラス16の傾斜角度を調整することができる。これにより、光学パッケージ間におけるモニタ光量のばらつきを容易に低減することができる。
カバーガラス16の傾斜角度は、第5の実施の形態と同様の方法により、調整できる。なお、第5の実施の形態と同様に、必要な場合のみカバーガラス16の傾斜角度を調整すればよい。カバーガラス16の傾斜角度を調整した状態で、例えばスポット溶接で板状部22と接合板54とを接合した後、フレーム傾き調整用冶具を取り外すことで、カバーガラス16の傾斜角度が調整された状態を保持できる。
このように、第6の実施の形態に係る光学パッケージ10Eでは、板状部22に段差を設け、板状部22の内周側と接合板54との間に意図的な空間を形成し、この空間が部分的になくなるようにフレーム15に外力を与えることでフレーム15を変形させる。これにより、第5の実施の形態の効果に加えて、更に以下の効果を奏する。すなわち、固定用アーム等の特別な部材を追加することなく、容易にカバーガラス16の傾斜角度を調整可能である。又、板状部22の段差はプレス加工で作製できるが、段差形状は傾斜部よりも更に安定した形状に作製できる。
以上の第1〜第6の実施の形態では、X方向(A−A断面方向)の傾き調整について説明したが、Y方向(A−A断面に垂直な方向)等の傾き調整についても同様に行なえることは言うまでもない。なお、図5に例示した形態の場合には、回転軸25を90度回転させて設ければ、Y方向(A−A断面に垂直な方向)の傾き調整を実現できる。
〈第7の実施の形態〉
第7の実施の形態では、第1の実施の形態に係る光学パッケージ10を搭載した光学ユニットの例を示す。第7の実施の形態では、光学パッケージ10に搭載された発光素子12は複数の光ビーム(マルチビーム)を出射可能なものとする。なお、第7の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する。ここでは、第1の実施の形態に係る光学パッケージを例にして説明するが、第2〜第6の実施の形態に係る光学パッケージを搭載しても構わない。
図13は、第7の実施の形態に係る光学ユニットを例示する斜視図である。図14は、図13に示す光学ユニットをXY面において切断した断面図である。
図13及び図14を参照するに、第7の実施の形態に係る光学ユニット200は、ベース部材207とホルダ部材208とを、カップリングレンズ202の光軸Aに直交する基準面で接合し、ネジ249で締結することにより一体化した構成とされている。光学ユニット200において、カップリングレンズ202は、ホルダ部材208に保持されている。光学パッケージ10が実装された制御基板206は、ベース部材207に保持されている。
本実施の形態では、ベース部材207及びホルダ部材208は、何れもアルミダイキャストにより形成しているが、略同一の熱膨張係数を有する異なる材料により形成してもよい。
本実施の形態では、板金で形成された付勢部材209の板ばね部220により、光学パッケージ10を制御基板206の裏側から押圧する。そして、3点のアンカー部(折り曲げ部)218を制御基板206に設けられた3ヶ所の穴219に嵌合し、制御基板206を図示しない基準面に寄せ組み(突き当て)する。これにより、ベース部材207に対する光学パッケージ10の位置決めがなされる。なお、光学パッケージ10の位置基準は、光学ユニット200を構成する他の部材の位置基準と同じとされている。
ベース部材207には、3ヶ所のスタッド216が形成されており、制御基板206に設けられた貫通穴217を貫通し、スタッド216に付勢部材209をネジ223により締結することにより、制御基板206とベース部材207とが接続されている。制御基板206は、付勢部材209により裏側から押圧されており、制御基板206をベース部材207等に直接締結しない構成なので、制御基板206に負担をかけることなく、確実に、ベース部材207に光学パッケージ10を位置決め及び支持できる。
なお、付勢部材209は弾性を有する材料であれば、樹脂材料、ゴム材料等で形成してもよい。よって、板バネ部に代えて、ゴム材料等からなる弾性部材を挟み込んでもよい。
又、カップリングレンズ202は、ホルダ部材208に形成された円筒面230に、コバ部との隙間に接着剤を充填することにより固定されている。カップリングレンズ202の光軸Aに直交する面Bと光学パッケージ10の配列面との平行性を合わせるために、当接面248に、光学パッケージ10の表面側を突き当てて搭載する。
ここで、光学パッケージ10の配列面とは、例えば、複数の面発光レーザが2次元に配列された面発光レーザアレイにおいて、複数の面発光レーザが配列された面である。なお、当接面248は、カップリングレンズ202の光軸Aに直交する面Bと平行となるように形成されている。これにより、カップリングレンズ202の位置を定めることができ、光ビームの出射方向を当接面248に直交した方向とすることができる。
なお、図13において、211はブラケット部材、214は斜面、225はアーム部、226は調節ネジ、227はスプリング、231は補強部材、224は位置決めピン、239は位置決め穴をそれぞれ示す。なお、203は、中央部に光ビーム径よりも小さい径の開口が設けられたアパーチャーミラーである。光学パッケージ10から出射された光ビームは、アパーチャーミラー203の開口を経由してカップリングレンズ202に入射する。
又、本実施の形態における光学ユニット200は、ブラケット部材211に設けられた嵌合穴234にホルダ部材208の円筒部を挿入し、板ばね212の係止爪229を円筒部溝に係合して、光軸Aに直交する面内で回動可能に支持される。そして、後述するポリゴンミラーやfθレンズが支持される不図示のハウジングに固定される。
このように、第7の実施の形態では、受光部光学系を大幅に削減できかつ高信頼性の光学パッケージ10を搭載しているので、変動が少ないマルチビーム光を作ることができ、低コストの光学ユニット200を提供できる。
〈第8の実施の形態〉
第8の実施の形態では、第7の実施の形態に係る光学ユニット200を搭載し、4ステーションを走査するマルチビーム走査装置の例を示す。なお、第8の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する。
図15は、第8の実施の形態に係るマルチビーム走査装置を例示する斜視図である。図15を参照するに、マルチビーム走査装置300は、光学ユニットからの4ステーション分に相当する複数の光ビームを、単一のポリゴンミラー(光偏向部)により、被走査面を有する各感光体ドラム(像担持体)に偏向、走査するように一体化されている。
4つの感光体ドラム301、302、303及び304は転写体の矢印Eで示す移動方向に沿って等間隔で配列され、順次異なる色のトナー像を転写し重ね合わせることでカラー画像を形成する。各感光体ドラムを走査する光走査装置は、一体として構成されており、2段に構成されたポリゴンミラー306により各々光ビームを走査する。
光学ユニット2001及び2002は、同一方向に走査する2ステーションに対し1個ずつ配備されている。光学ユニット2001及び2002の各々からの出射光は、光束分割プリズム308及び310を用い、ポリゴンミラー306の上下面に対応して上下2段に光ビームを分岐し、各感光体ドラムに交互に各ステーションに対応した画像を形成していく。なお、光学ユニット2001及び2002は、便宜上別符号としているが、何れも第7の実施の形態に係る光学ユニット200と同一構成である。
光学ユニット2001及び2002と、fθレンズ320及び321並びにトロイダルレンズとは、ポリゴンミラー306の回転軸を含み感光体ドラムの回転軸に平行な対称面に対し対称に配備されている。そして、ポリゴンミラー306により、各光学ユニットからの光ビームは相反する方向に偏向され、各感光体ドラムに導かれる。
従って、各ステーションにおける走査方向は対向する各感光体ドラムで相反する方向となり、記録領域の幅、言いかえれば主走査方向の倍率を合わせ、一方の走査開始端ともう一方の走査終端とが一致するように静電像を書き込んでいく。
なお、液晶偏向素子317及び318では液晶の配列方向に合った偏光成分のみが偏向されるため、発光素子の偏光方向は一方向に揃えられる。
光束分割プリズム308は、ハーフミラー面と、このハーフミラー面と平行なミラー面とを有する。光学ユニット2001からの複数のビームは、各々ハーフミラー面で1/2の光量が反射され、残りの1/2は透過して上下に2分岐され、方向を揃えて副走査方向に所定間隔をもって射出される。
液晶偏向素子317は、光束分割プリズム308の射出面の上下に各々配備されている。液晶偏向素子317は、電圧を印可すると副走査方向に電位分布を生じて液晶の配向が変化し、屈折率分布を発生して光線の方向を傾けることができ、印可電圧に応じて感光体ドラム面上の走査位置を可変できる。
シリンダレンズ313及び314は、分岐された各光ビームに対応して2段に設けられている。シリンダレンズ313及び314の一方は光軸を中心に回動調整可能に取り付けられ、各々の焦線が平行となるように調節できるようにしており、副走査方向に6mm間隔に2段に構成されたポリゴンミラー306の各々に入射される。
シリンダレンズ313及び314は、少なくとも副走査方向に正の曲率を有し、ポリゴンミラー面上で一旦ビームを収束させることで、後述するトロイダルレンズとにより、偏向点と感光体面上とを副走査方向に共役関係とする面倒れ補正光学系をなす。
ポリゴンミラー306は4面で、同一の偏向面により各発光点列からの複数のビームを一括で偏向、走査する。上下のポリゴンミラー306の位相は45°ずつずれており、光ビームの走査は上下段で交互に行われる。
走査光学系はfθレンズとトロイダルレンズとからなり、何れもプラスチック成形により作製されたものである。fθレンズ320は、主走査方向にはポリゴンミラー306の回転に伴って感光体面上でビームが等速に移動するようにパワーを持たせた非円弧面形状となし、層状に2段に積み重ねて一体に構成される。
トロイダルレンズを通った走査ビームは各々、走査開始側に配備された光検知センサ338及び340、走査終端側に配備された光検知センサ339及び341に入射される。そして、光検知センサ338及び340の検出信号を基に各々発光素子毎の同期検知信号を生成し、書込み開始のタイミングをとる。
一方、走査終端側に配備された光検知センサ339及び341の検出信号は、各々走査開始側に配備された光検知センサ338及び340からの光ビームの検出時間差を計測し、予め定められた基準値と比較して、各発光素子を変調する画素クロックを可変する。これにより、後述するように、主走査方向の倍率のずれを補正している。
図16に副走査断面における光線の経路を示す。複数の発光素子は、カップリングレンズの光軸に対して対称に配置されている。カップリングレンズによって平行光束に変換された各光線は、光学ユニット2001から射出した後、カップリングレンズの後側焦点の近傍で一旦収束し、主走査方向には光線間隔を広げつつfθレンズ320に入射する。すなわち、副走査方向にはシリンダレンズ313及び314により、ポリゴンミラー306の偏向面の近傍で再度収束されてfθレンズ320に入射される。
また、上記したように、光学ユニット2001からの複数の光ビームは光束分割プリズム308によって副走査方向上下に2分岐され、各ステーションに対応する感光体ドラムに導かれる。
光束分割プリズム308の下段から射出した複数の発光素子からのビーム401は、シリンダレンズ313を介してポリゴンミラー306の下段で偏向、走査され、fθレンズ320の下段を通って折返しミラー329によりトロイダルレンズ323に入射する。そして、折返しミラー330を介して感光体ドラム301上にスポット状に結像し、第1の画像形成ステーションとしてイエロー色の画像情報に対応した潜像を形成する。
光束分割プリズム308の上段から射出した複数の発光素子からのビーム402は、シリンダレンズ314を介しポリゴンミラー306の上段で偏向、走査され、fθレンズ320の上段を通って折返しミラー327によりトロイダルレンズ324に入射する。そして、折返しミラー328を介して感光体ドラム302上にスポット状に結像し、第2の画像形成ステーションとしてマゼンタ色の画像情報に対応した潜像を形成する。
同様に、対向するステーションにおいても、光学ユニット2002からの複数の光ビームは、光束分割プリズム310によって上下に2分岐され、液晶偏向素子318を介し各ステーションに対応する感光体ドラムに導かれる。
光束分割プリズム310の下段から射出した複数の発光素子からのビーム403は、シリンダレンズ315を介してポリゴンミラー306の下段で偏向、走査され、fθレンズ321の下段を通って折返しミラー332によりトロイダルレンズ326に入射する。そして、折返しミラー333を介して感光体ドラム304上にスポット状に結像し、第4の画像形成ステーションとしてブラック色の画像情報に対応した潜像を形成する。
光束分割プリズム310の上段から射出した複数の発光素子からのビーム404は、シリンダレンズ316を介してポリゴンミラー306の上段で偏向、走査され、fθレンズ321の上段を通って折返しミラー335によりトロイダルレンズ325に入射する。そして、折返しミラー336を介して感光体ドラム303上にスポット状に結像し、第3の画像形成ステーションとしてシアン色の画像情報に対応した潜像を形成する。
なお、本実施の形態では、トナー像の検出パターンの検出手段を有している。トナー像の検出パターンの検出手段は、照明用のLED素子354と反射光を受光するフォトセンサ355、及び一対の集光レンズ356とを含み、主走査ラインと約45°傾けたラインパターンを形成し、転写ベルトの移動に応じて検出時間差を読み取っていく。
本実施の形態では、トナー像の検出パターンの検出手段を中央部と左右両端部との3ヶ所に配備することで、左右両端部の差により傾きを、中央から左右端部までの各倍率を検出し、基準となるステーションに合わせ込むように補正する。言い換えれば、長時間ビームスポット位置が安定的に保持されていることが好ましい。
このように、第8の実施の形態では、低コストかつ高信頼性の光学ユニット2001及び2002を搭載している。その結果、結像位置を感光体面上に精度良く調整でき、高精度高信頼性の高い潜像を得ることができ、かつ低コストのマルチビーム走査装置300を提供できる。
〈第9の実施の形態〉
第9の実施の形態では、第8の実施の形態に係るマルチビーム走査装置300を搭載した画像形成装置の例を示す。なお、第9の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する。
図17は、第9の実施の形態に係る画像形成装置を例示する構成図である。図17を参照するに、画像形成装置500において、感光体ドラム501の周囲に帯電チャージャ502、現像ローラ503、トナーカートリッジ504、及びクリーニングケース505が配置されている。感光体ドラムへは上記したようにポリゴンミラー1面毎の走査により複数ライン(本実施の形態の例では4ライン)同時に画像記録が行われる。
帯電チャージャ502は、感光体を高圧に帯電する機能を有する。現像ローラ503は、マルチビーム走査装置300により記録された静電潜像に帯電したトナーを付着して顕像化する現像手段としての機能を有する。トナーカートリッジ504は、現像ローラ503にトナーを補給する機能を有する。クリーニングケース505は、ドラムに残ったトナーを掻き取り備蓄する機能を有する。
上記した画像形成ステーションは転写手段である転写ベルト506の移動方向に並列され、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー画像が転写ベルト上にタイミングを合わせて順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。各画像形成ステーションはトナー色が異なるだけで、基本的には同一構成である。
一方、記録紙は給紙トレイ507から給紙コロ508により供給され、レジストローラ対509により副走査方向の記録開始のタイミングに合わせて送り出される。そして、転写ベルトよりカラー画像が転写されて、定着ローラ510で定着して排紙ローラ512により排紙トレイ511に排出される。
このように、第9の実施の形態では、低コストかつ信頼性の高いマルチビーム走査装置300を搭載しているので、結像位置を感光体面上に精度良く調整でき、高精度で信頼性の高い画像を得ることができ、かつ低コストの画像形成装置500を提供できる。
なお、本実施の形態では、像担持体として感光体ドラムについて説明したが、像担持体としては、銀塩フィルムを用いた画像形成装置であってもよい。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同様の処理により可視化させることができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼き付け処理と同様の処理により印画紙に転写することが可能である。このような画像形成装置は、光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施することが可能である。
又、像担持体としてビームスポットの熱エネルギーにより発色する発色媒体(ポジの印画紙)を用いた画像形成装置であってもよい。この場合においては、光走査により可視画像を直接像担持体に形成することが可能である。
以上、好ましい実施の形態について詳説したが、上述した実施の形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。