本発明の実施の形態について説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
〔第1の実施の形態〕
最初に、図1及び図2に基づき、2次元アレイ素子等の面発光レーザアレイチップへの接着剤の這い上がりについて説明する。図1及び図2に示されるように、面発光レーザモジュール910は、パッケージ920と、カバーガラス940と、面発光レーザが2次元的に配列されている面発光レーザアレイチップ950を有している。尚、図1(a)は、この状態の上面図であり、図1(b)は、図1(a)における一点鎖線1A−1Bにおいて切断した断面図であり、図1(c)は、図1(a)における一点鎖線1C−1Dにおいて切断した断面図である。
パッケージ920は、セラミックパッケージであり、フラットパッケージと呼ばれるものであり、中央部分に凹部が形成されている。パッケージ920の凹部の底面921には、電極922及びグランド電極923が設けられており、電極922は、パッケージ920の外側の側面に設けられた不図示の側面電極と接続されており、グランド電極923は、パッケージ920に設けられた不図示のビアホールを介し、裏面に設けられた不図示の裏面電極と接続されている。尚、電極922の数は、便宜上一部省略等されており、実際の数とは異なる場合がある。
面発光レーザアレイチップ950は、パッケージ920の底面921におけるグランド電極923上に接着剤930により接着されて実装されている。尚、面発光レーザモジュールは、パッケージ920の上側よりカバーガラス940を被せて凹部を覆うことにより、形成されている。
パッケージ920の底面921におけるグランド電極923への面発光レーザアレイチップ950の実装は、パッケージ920の底部921におけるグランド電極923上に、接着剤930を不図示のディスペンサにより微量塗布した後、塗布された接着剤930の上に面発光レーザアレイチップ950を載置し適切な荷重を加える。面発光レーザアレイチップ950に荷重を加えることにより、面発光レーザアレイチップ950の側面950aには、はみ出した接着剤930が付着するものの、この状態では、面発光レーザアレイチップ950の上面950bには付着していない。尚、接着剤930は、高い熱伝導性と導電性を有するものであり、接着基材となるエポキシ樹脂にAgフィラーを大量に分散させたものである。接着剤930には、揮発性の溶剤が少量含まれており、溶剤が揮発することにより、Agフィラー同士が接触するため、高い熱伝導性と導電性とを得ることができる。
図2は、この後、接着剤930をキュアさせた後の状態を示すものである。具体的には、接着剤930を不図示のディスペンサにより微量塗布し、面発光レーザアレイチップ950に荷重を加えた後、200℃の温度で、接着剤930を加熱し硬化させたものである。尚、図2(a)は、この状態の上面図であり、図2(b)は、図2(a)における一点鎖線2A−2Bにおいて切断した断面図である。
この状態では、面発光レーザアレイチップ950の側面950aには、面発光レーザアレイチップ950に荷重を加えた際に、はみ出した接着剤930が付着しており、接着剤930に含まれるAgフィラーは、図1に示す状態と殆ど変わらない状態で留まっている。しかしながら、接着剤930に含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分931は、比較的粘度が低く、面発光レーザアレイチップ950の側面950a及び上面950bに濡れ広がるため、面発光レーザアレイチップ950の側面950aから上面950bに移動して這い上がる。
このように、面発光レーザアレイチップ950の上面950bの一部又は全部が、有機物成分931により覆われてしまうと、面発光レーザアレイチップ950と電極922とをボンディングワイヤにより接続することができなくなってしまう。即ち、面発光レーザアレイチップ950の上面には、不図示の電極端子(電極パッド)が設けられており、この不図示の電極端子が、這い上がった有機物成分931により覆われてしまうと、Au等からなるボンディングワイヤによる接続ができなくなり、面発光レーザアレイチップ950の不図示の電極端子と電極922とを接続することができなくなる。尚、接着剤930に含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分931は、グランド電極923側にも濡れ広がっている。
また、接着剤930をキュアさせる前の放置時間が長い場合や、接着剤930の粘度が低すぎると、キュアする前においても、接着剤930に含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分931が、面発光レーザアレイチップ950の側面950aを這い上がり、上面950bまで濡れ広がる場合がある。
このような接着剤930に含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分931が、面発光レーザアレイチップ950の側面950aに這い上がる現象は、パッケージ920の底面921のグランド電極923における表面エネルギーが、面発光レーザアレイチップ950の側面950aにおける表面エネルギーと同等か、または、小さいため発生する。
従って、面発光レーザアレイチップ950の側面950aにおける表面エネルギーを相対的に低くするか、グランド電極923における表面エネルギーを相対的に高くすることにより、接着剤930に含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分931が、面発光レーザアレイチップ950の側面950aに這い上がる現象を抑制することができ、面発光レーザモジュールの信頼性を高めることができる。
ところで、面発光レーザアレイチップ950は、半導体基板を劈開することにより形成されるものであるため、面発光レーザアレイチップ950の側面950aの表面エネルギーを低くする等の制御を行なうことは困難である。よって、本発明は、パッケージの底面において、面発光レーザアレイチップが設置される領域の表面エネルギーを相対的に高くすることにより、接着剤含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分が、面発光レーザアレイチップの側面に這い上がる現象を抑制し、面発光レーザモジュールの信頼性を高めたものである。
(面発光レーザモジュール)
次に、図3及び図4に基づき本実施の形態における面発光レーザモジュールについて説明する。図3は、本実施の形態における光学素子パッケージとなるパッケージ120及びカバーガラス140等を示すものであり、図3(a)は、これらの上面図であり、図3(b)は、図3(a)における一点鎖線3A−3Bにおいて切断した断面図である。また、図4は、本実施の形態における面発光レーザモジュール、即ち、本実施の形態における光学素子パッケージに面発光レーザアレイチップ150が設置されている面発光レーザモジュールを示すものであり、図4(a)は、本実施の形態における面発光レーザモジュールの上面図であり、図4(b)は、図4(a)における一点鎖線4A−4Bにおいて切断した断面図である。
図4に示されるように、本実施の形態における面発光レーザモジュール110は、パッケージ120と、カバーガラス140と、面発光レーザが2次元的に配列されている面発光レーザアレイチップ150を有している。
パッケージ120は、セラミックパッケージであり、フラットパッケージと呼ばれるものであり、中央部分に凹部が形成されている。パッケージ120の凹部の底面121には、電極122及びグランド電極123が設けられており、電極122は、パッケージ120の外側の側面に設けられた不図示の側面電極と接続されており、グランド電極123は、パッケージ120に設けられた不図示のビアホールを介し、裏面に設けられた不図示の裏面電極と接続されている。尚、グランド電極123は、後述するように、面発光レーザアレイチップ150が設置される領域であり、設置領域と記載する場合がある。また、パッケージ120において、グランド電極123の周囲には、高表面エネルギー部材125が設けられている。高表面エネルギー部材125は、グランド電極123における表面エネルギーよりも高くなるように形成されており、例えば、高表面エネルギー部材125の表面は、表面エネルギーが高くなるような表面処理等が施されている。また、高表面エネルギー部材125は、グランド電極123側から外側に向かって高くなるような傾斜が形成されている。尚、面発光レーザアレイチップ150の側面150aと対向する高表面エネルギー部材125の面における高さは、接着剤130に含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分131が移動しやすいように、できるだけ低い方が好ましい。図5に示されるように、面発光レーザアレイチップ150の高さh1よりも、面発光レーザアレイチップ150の側面150aと対向する高表面エネルギー部材125の面125aにおける高さh2が低くなるように形成されている。尚、図3及び図4に示す場合は、高表面エネルギー部材125は、高さh2が略0となるように、断面が略三角形の形状となるように形成されている。また、電極122の数は、便宜上一部省略等されており、実際の数とは異なる場合がある。
本実施の形態では、面発光レーザアレイチップ150は、パッケージ120の底面121におけるグランド電極123上に接着剤130を介し実装されている。また、面発光レーザアレイチップ150の不図示の電極端子は、ボンディングワイヤ等により、パッケージ120の底面121に設けられた電極122と接続されている。尚、パッケージ120の上側よりカバーガラス140を被せて凹部を覆うことにより、本実施の形態における面発光レーザモジュールが形成される。
パッケージ120の底面121におけるグランド電極123への面発光レーザアレイチップ150の実装は、パッケージ120の底部121におけるグランド電極123上に、接着剤130を不図示のディスペンサにより微量塗布した後、接着剤130の上に面発光レーザアレイチップ150を載置し適切な荷重を加える。面発光レーザアレイチップ150に荷重を加えることによりはみ出した接着剤130は、面発光レーザアレイチップ150の側面150aには付着するものの、面発光レーザアレイチップ150の上面150bには付着することなく、高表面エネルギー部材125に広がる。尚、接着剤130は、高い熱伝導性と導電性を有するものであり、接着基材となるエポキシ樹脂にAgフィラーを大量に分散させたものである。接着剤130には、揮発性の溶剤が少量含まれており、溶剤が揮発することにより、Agフィラー同士が接触する。
図4は、この後、接着剤130をキュアさせた後の状態を示すものである。具体的には、接着剤130を不図示のディスペンサにより微量塗布し、面発光レーザアレイチップ150に荷重を加えた後、200℃の温度で、接着剤130を加熱し硬化させたものである。
この状態では、面発光レーザアレイチップ150の側面150aには、面発光レーザアレイチップ150に荷重を加えた際に、はみ出した接着剤130が付着しており、接着剤130に含まれるAgフィラーは、図1に示す状態と殆ど変わらない状態で留まっている。また、接着剤130に含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分131は、面発光レーザアレイチップ150の側面150aの一部には濡れ広がるものの、グランド電極123の周囲に設けられた表面エネルギーの高い高表面エネルギー部材125の表面に、より多く濡れ広がる。即ち、高表面エネルギー部材125は、面発光レーザアレイチップ150の側面150aよりも表面エネルギーが高いため、接着剤130に含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分131は、より多く高表面エネルギー部材125の表面に濡れ広がる。よって、面発光レーザアレイチップ150の側面150aにおいて、接着剤130に含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分131の濡れ広がりを減らし抑制することができ、接着剤130に含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分131が、面発光レーザアレイチップ150の上面150bにまで濡れ広がることを防ぐことができる。このようにして、本実施の形態においては、接着剤130に含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分131が、面発光レーザアレイチップ150の側面150aより上面150bに這い上がることを抑制することができる。
尚、本実施の形態では、グランド電極123に金を用いているため、高表面エネルギー部材125は、金よりも表面エネルギーの高い、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)等を用いて形成されている。尚、高表面エネルギー部材125は、成膜等を行なうことにより形成するものであってもよい。また、高表面エネルギー部材125の表面エネルギーを高くする方法としては、プラズマ処理、UVオゾン処理、粗さを制御することにより表面エネルギーを高くする方法等が挙げられる。
これにより、本実施の形態においては、面発光レーザアレイチップ150と電極122とをボンディングワイヤにより確実に接続することができる。即ち、面発光レーザアレイチップ150の上面150bには、不図示の電極端子(電極パッド)が設けられているが、本実施の形態においては、有機物成分131は、面発光レーザアレイチップ150の上面150bまでは、殆ど濡れ広がることはない。よって、面発光レーザアレイチップ150の不図示の電極端子とパッケージ120の底面121に形成された電極122とをAu等によるボンディングワイヤにより確実に接続することができる。
従って、本実施の形態においては、信頼性の高い面発光レーザモジュールを高い歩留りで得ることができる。
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態における面発光レーザモジュールについて、図6及び図7に基づき説明する。図6は、本実施の形態における光学素子パッケージとなるパッケージ220及びカバーガラス140等を示すものであり、図6(a)は、これらの上面図であり、図6(b)は、図6(a)における一点鎖線6A−6Bにおいて切断した断面図である。また、図7は、本実施の形態における面発光レーザモジュール、即ち、本実施の形態における光学素子パッケージに面発光レーザアレイチップ150が設置されている面発光レーザモジュールを示すものであり、図7(a)は、本実施の形態における面発光レーザモジュールの上面図であり、図7(b)は、図7(a)における一点鎖線7A−7Bにおいて切断した断面図である。
図7に示されるように、本実施の形態における面発光レーザモジュール210は、パッケージ220と、カバーガラス140と、面発光レーザが2次元的に配列されている面発光レーザアレイチップ150を有している。
パッケージ220は、セラミックパッケージであり、フラットパッケージと呼ばれるものであり、中央部分に凹部が形成されている。パッケージ220の凹部の底面221には、電極222及びグランド電極223が設けられており、電極222は、パッケージ220の外側の側面に設けられた不図示の側面電極と接続されており、グランド電極223は、パッケージ220に設けられた不図示のビアホールを介し、裏面に設けられた不図示の裏面電極と接続されている。また、グランド電極223は、面発光レーザアレイチップ150よりも大きな形状で形成されており、グランド電極223の表面は、表面エネルギーを高くするためプラズマ処理等がなされている。尚、グランド電極223の表面における表面エネルギーの増加は、プラズマ処理等の前後において、接着剤を滴下させて濡れ広がりの状態を観察することにより確認することができる。また、電極222の数は、便宜上一部省略等されており、実際の数とは異なる場合がある。
本実施の形態では、面発光レーザアレイチップ150は、パッケージ220の底面221におけるグランド電極223上に接着剤130を介し実装されている。また、面発光レーザアレイチップ150の不図示の電極端子は、ボンディングワイヤ等により、パッケージ220の底面221に設けられた電極222と接続されている。尚、パッケージ220の上側よりカバーガラス140を被せて凹部を覆うことにより、本実施の形態における面発光レーザモジュールが形成される。
パッケージ220の底面221におけるグランド電極223への面発光レーザアレイチップ150の実装は、パッケージ220の底部221におけるグランド電極223上に、接着剤130を不図示のディスペンサにより微量塗布した後、接着剤130の上に面発光レーザアレイチップ150を載置し適切な荷重を加える。面発光レーザアレイチップ150に荷重を加えることにより、はみ出した接着剤130は、面発光レーザアレイチップ150の側面150aには付着するものの、面発光レーザアレイチップ150の上面150bには付着することなく、グランド電極223に濡れ広がる。尚、接着剤130は、高い熱伝導性と導電性を有するものであり、接着基材となるエポキシ樹脂にAgフィラーを大量に分散させたものである。接着剤130には、揮発性の溶剤が少量含まれており、溶剤が揮発することにより、Agフィラー同士が接触する。
図7は、この後、接着剤130をキュアさせた後の状態を示すものである。具体的には、接着剤130を不図示のディスペンサにより微量塗布し、面発光レーザアレイチップ150に荷重を加えた後、200℃の温度で、接着剤130を加熱し硬化させたものである。
この状態では、面発光レーザアレイチップ150の側面150aには、面発光レーザアレイチップ150に荷重を加えた際に、はみ出した接着剤130が付着しており、接着剤130に含まれるAgフィラーは、図1に示す状態と殆ど変わらない状態で留まっている。また、接着剤130に含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分131は、面発光レーザアレイチップ150の側面150aの一部には濡れ広がるものの、広くて表面エネルギーの高いグランド電極223の表面に、より多く濡れ広がる。即ち、グランド電極223は、面発光レーザアレイチップ150の側面150aよりも表面エネルギーが高いため、接着剤130に含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分131は、より多くグランド電極223の表面に濡れ広がる。よって、面発光レーザアレイチップ150の側面150aにおいて、接着剤130に含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分131の濡れ広がりを抑制することができ、接着剤130に含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分131が、面発光レーザアレイチップ150の上面150bにまで濡れ広がることを防ぐことができる。このようにして、本実施の形態では、接着剤130に含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分131が、面発光レーザアレイチップ150の側面150aより上面150bに這い上がることを抑制することができる。
尚、グランド電極223は、金又は金よりも表面エネルギーの高い、鉄、ニッケル、白金等を用いて形成されている。また、グランド電極223の表面エネルギーを高くする方法としては、プラズマ処理以外にも、UVオゾン処理や粗さを制御することにより表面エネルギーを高くする方法等が挙げられる。
これにより、本実施の形態においては、面発光レーザアレイチップ150と電極222とをボンディングワイヤにより確実に接続することができる。即ち、面発光レーザアレイチップ150の上面150bには、不図示の電極端子が設けられているが、本実施の形態においては、有機物成分131は、面発光レーザアレイチップ150の上面150bまでは、殆ど濡れ広がることはない。よって、面発光レーザアレイチップ150の不図示の電極端子とパッケージ220の底面221に形成された電極222とをAu等によるボンディングワイヤにより確実に接続することができる。
従って、本実施の形態では、信頼性の高い面発光レーザモジュールを高い歩留りで得ることができる。
〔第3の実施の形態〕
次に、第3の実施の形態における面発光レーザモジュールについて、図8から図10に基づき説明する。図8は、本実施の形態における光学素子パッケージとなるパッケージ320及びカバーガラス140等を示すものであり、図8(a)は、これらの上面図であり、図8(b)は、図8(a)における一点鎖線8A−8Bにおいて切断した断面図である。また、図9は、接着剤130が塗布された後、面発光レーザアレイチップ150が設置される前の状態のパッケージ320及びカバーガラス140等を示すものであり、図9(a)は、これらの上面図であり、図9(b)は、図9(a)における一点鎖線9A−9Bにおいて切断した断面図である。また、図10は、本実施の形態における面発光レーザモジュール、即ち、本実施の形態における光学素子パッケージに面発光レーザアレイチップ150が設置されている面発光レーザモジュールを示すものであり、図10(a)は、本実施の形態における面発光レーザモジュールの上面図であり、図10(b)は、図10(a)における一点鎖線10A−10Bにおいて切断した断面図である。
図10に示されるように、本実施の形態における面発光レーザモジュール310は、パッケージ320と、カバーガラス140と、面発光レーザが2次元的に配列されている面発光レーザアレイチップ150を有している。
パッケージ320は、セラミックパッケージであり、フラットパッケージと呼ばれるものであり、中央部分に凹部が形成されている。パッケージ320の凹部の底面321には、電極322及びグランド電極323が設けられており、電極322は、パッケージ320の外側の側面に設けられた不図示の側面電極と接続されており、グランド電極323は、パッケージ320に設けられた不図示のビアホールを介し、裏面に設けられた不図示の裏面電極と接続されている。尚、グランド電極323は、後述するように、面発光レーザアレイチップ150が設置される領域であり、設置領域と記載する場合がある。また、グランド電極323の周囲には、グランド電極323を囲むように、周辺領域326が形成されており、グランド電極323及び周辺領域326の表面は、表面エネルギーを高くするためプラズマ処理等がなされている。グランド電極323は、面発光レーザアレイチップ150の形状に対応して、略正方形、または、長方形状に形成されており、周辺領域326は、外側が略正方形、または、略長方形の形状であって、内部にグランド電極323よりも大きな形状の略正方形、または、略長方形の開口部が形成されており、この開口部の中にグランド電極323が形成されている。尚、本実施の形態では、周辺領域326は、グランド電極323と同様の材料により形成されているが、異なる材料により形成することも可能である。
また、グランド電極323と周辺領域326との間の領域は、グランド電極323及び周辺領域326よりも表面エネルギーが低い低表面エネルギー領域327となっており、この低表面エネルギー領域327により、グランド電極323と周辺領域326とが隔てられている。尚、グランド電極323及び周辺領域326の表面における表面エネルギーの増加は、プラズマ処理等の前後において、接着剤を滴下させて濡れ広がりの状態を観察することにより確認することができる。また、電極322の数は、便宜上一部省略等されており、実際の数とは異なる場合がある。
本実施の形態では、面発光レーザアレイチップ150は、パッケージ320の底面321におけるグランド電極323上に接着剤130により接着されて実装されている。また、面発光レーザアレイチップ150の不図示の電極端子は、ボンディングワイヤ等により、パッケージ320の底面321に設けられた電極322と接続されている。尚、パッケージ320の上側よりカバーガラス140を被せて凹部を覆うことにより、本実施の形態における面発光レーザモジュールが形成される。
パッケージ320の底面321におけるグランド電極323への面発光レーザアレイチップ150の実装は、最初に、パッケージ320の底部321におけるグランド電極323上に、接着剤130を不図示のディスペンサにより微量塗布する。図9はこの状態を示すものであり、この状態では、接着剤130はグランド電極323の上に留まり、周辺領域326に濡れ広がることはない。この後、接着剤130の上に面発光レーザアレイチップ150を載置し適切な荷重を加える。面発光レーザアレイチップ150に荷重を加えることによりはみ出した接着剤130は、面発光レーザアレイチップ150の側面150aには付着するものの、面発光レーザアレイチップ150の上面150bには付着することなく、周辺領域326に広がる。即ち、面発光レーザアレイチップ150に荷重を加えることによりはみ出した接着剤130は、低表面エネルギー領域327を超えて周辺領域326に濡れ広がる。尚、接着剤130は、高い熱伝導性と導電性を有するものであり、接着基材となるエポキシ樹脂にAgフィラーを大量に分散させたものである。接着剤130には、揮発性の溶剤が少量含まれており、溶剤が揮発することにより、Agフィラー同士が接触する。
本実施の形態では、面発光レーザアレイチップ150を実装する直前まで、接着剤130がグランド電極323の上に留まっているため、面発光レーザアレイチップ150を確実に接着することができる。即ち、グランド電極等表面エネルギーの高い領域が広いと、接着剤130、特に、接着剤130に含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分131が速やかに濡れ広がり揮発等してしまい、面発光レーザアレイチップ150がグランド電極に確実に接着されない場合があるが、本実施の形態では、低表面エネルギー領域327より外には、接着剤130が広がらないため、面発光レーザアレイチップ150がグランド電極323に確実に接着することができる。
図10は、この後、接着剤130をキュアさせた後の状態を示すものである。具体的には、接着剤130を不図示のディスペンサにより微量塗布し、面発光レーザアレイチップ150に荷重を加えた後、200℃の温度で、接着剤130を加熱し硬化させたものである。尚、キュアの際、接着剤130が硬化する温度となる前においては、接着剤130が熱により一時的に軟化するため、接着剤130に含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分131は、グランド電極323及び周辺領域326の表面をより移動しやすくなる。
この状態では、面発光レーザアレイチップ150の側面150aには、面発光レーザアレイチップ150に荷重を加えた際に、はみ出した接着剤130が付着しており、接着剤130に含まれるAgフィラーは、図1に示す状態と殆ど変わらない状態で留まっている。また、接着剤130に含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分131は、面発光レーザアレイチップ150の側面150aの一部には濡れ広がるものの、表面エネルギーの高い周辺領域326の表面に、より多く濡れ広がる。即ち、周辺領域326は、面発光レーザアレイチップ150の側面150aよりも表面エネルギーが高いため、接着剤130に含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分131は、周辺領域326の表面により多く濡れ広がる。
本実施の形態では、面発光レーザアレイチップ150をグランド電極323に接着するために必要な量の接着剤130をグランド電極323上に残し、面発光レーザアレイチップ150をグランド電極323上に確実に接着することができる。よって、面発光レーザアレイチップ150の側面150aにおいて、接着剤130に含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分131の濡れ広がりを抑制することができ、接着剤130に含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分131が、面発光レーザアレイチップ150の上面150bにまで濡れ広がることを防ぐことができる。このようにして、本実施の形態では、接着剤130に含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分131が、面発光レーザアレイチップ150の側面150aより上面150bに這い上がることを抑制することができる。
尚、周辺領域326は、金又は金よりも表面エネルギーの高い、鉄、ニッケル、白金等を用いて形成されている。また、周辺領域326の表面エネルギーを高くする方法としては、プラズマ処理以外にも、UVオゾン処理や粗さを制御することにより表面エネルギーを高くする方法等が挙げられる。
これにより、本実施の形態においては、面発光レーザアレイチップ150と電極322とをボンディングワイヤにより確実に接続することができる。即ち、面発光レーザアレイチップ150の上面150bには、不図示の電極端子が設けられているが、本実施の形態においては、有機物成分131は、面発光レーザアレイチップ150の上面150bまでは、殆ど濡れ広がることはない。よって、面発光レーザアレイチップ150の不図示の電極端子とパッケージ320の底面321に形成された電極322とをAu等によるボンディングワイヤにより確実に接続することができる。
従って、本実施の形態では、信頼性の高い面発光レーザモジュールを高い歩留りで得ることができる。
〔第4の実施の形態〕
次に、第4の実施の形態における面発光レーザモジュールについて、図11及び図12に基づき説明する。図11は、本実施の形態における光学素子パッケージとなるパッケージ420及びカバーガラス140等を示すものであり、図11(a)は、これらの上面図であり、図11(b)は、図11(a)における一点鎖線11A−11Bにおいて切断した断面図である。また、図12は、本実施の形態における面発光レーザモジュール、即ち、本実施の形態における光学素子パッケージに面発光レーザアレイチップ150が設置されている面発光レーザモジュールを示すものであり、図12(a)は、本実施の形態における面発光レーザモジュールの上面図であり、図12(b)は、図12(a)における一点鎖線12A−12Bにおいて切断した断面図である。
図12に示されるように、本実施の形態における面発光レーザモジュール410は、パッケージ420と、カバーガラス140と、面発光レーザが2次元的に配列されている面発光レーザアレイチップ150を有している。
パッケージ420は、セラミックパッケージであり、フラットパッケージと呼ばれるものであり、中央部分に凹部が形成されている。パッケージ420の凹部の底面421には、電極422及びグランド電極423が設けられており、電極422は、パッケージ420の外側の側面に設けられた不図示の側面電極と接続されており、グランド電極423は、パッケージ420に設けられた不図示のビアホールを介し、裏面に設けられた不図示の裏面電極と接続されている。尚、グランド電極423は、後述するように、面発光レーザアレイチップ150が設置される領域であり、設置領域と記載する場合がある。また、グランド電極423の周囲には、グランド電極423を囲むように、周辺領域426が形成されており、グランド電極423及び周辺領域426の表面は、表面エネルギーを高くするためプラズマ処理等がなされている。グランド電極423は、面発光レーザアレイチップ150の形状に対応して、略正方形、または、長方形状に形成されており、周辺領域426は、外側が略正方形、または、略長方形の形状であって、内部に円形の開口部が設けられており、この円形の開口部の中にグランド電極423が形成されている。尚、本実施の形態では、周辺領域426は、グランド電極423と同様の材料により形成されているが、異なる材料により形成することも可能である。
また、グランド電極423と周辺領域426との間の領域は、グランド電極423及び周辺領域426よりも表面エネルギーが低い低表面エネルギー領域427となっており、この低表面エネルギー領域427により、グランド電極423と周辺領域426とが隔てられている。尚、グランド電極423及び周辺領域426の表面における表面エネルギーの増加は、プラズマ処理等の前後において、接着剤を滴下させて濡れ広がりの状態を観察することにより確認することができる。また、電極422の数は、便宜上一部省略等されており、実際の数とは異なる場合がある。
本実施の形態では、面発光レーザアレイチップ150は、パッケージ420の底面321におけるグランド電極423上に接着剤130により接着され実装されている。また、面発光レーザアレイチップ150の不図示の電極端子は、ボンディングワイヤ等により、パッケージ420の底面421に設けられた電極422と接続されている。尚、パッケージ420の上側よりカバーガラス140を被せて凹部を覆うことにより、本実施の形態における面発光レーザモジュールが形成される。
パッケージ420の底面421におけるグランド電極423への面発光レーザアレイチップ150の実装は、最初に、パッケージ420の底部421におけるグランド電極423上に、接着剤130を不図示のディスペンサにより微量塗布した後、接着剤130の上に面発光レーザアレイチップ150を載置し適切な荷重を加える。面発光レーザアレイチップ150に荷重を加えることによりはみ出した接着剤130は、面発光レーザアレイチップ150の側面150aには付着するものの、面発光レーザアレイチップ150の上面150bには付着することなく、周辺領域426に広がる。即ち、面発光レーザアレイチップ150に荷重を加えることによりはみ出した接着剤130は、低表面エネルギー領域427を超えて周辺領域426に濡れ広がる。尚、接着剤130は、高い熱伝導性と導電性を有するものであり、接着基材となるエポキシ樹脂にAgフィラーを大量に分散させたものである。接着剤130には、揮発性の溶剤が少量含まれており、溶剤が揮発することにより、Agフィラー同士が接触する。
本実施の形態では、面発光レーザアレイチップ150を実装する直前まで、接着剤130がグランド電極423の上に留まっているため、面発光レーザアレイチップ150を確実に接着することができる。即ち、グランド電極等表面エネルギーの高い領域が広いと、接着剤130、特に、接着剤130に含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分131が速やかに濡れ広がり揮発等してしまい、面発光レーザアレイチップ150がグランド電極に確実に接着されない場合があるが、本実施の形態では、接着剤130を塗布した直後においては、低表面エネルギー領域427より外には、接着剤130が広がらないため、面発光レーザアレイチップ150がグランド電極423に確実に接着することができる。
図12は、この後、接着剤130をキュアさせた後の状態を示すものである。具体的には、接着剤130を不図示のディスペンサにより微量塗布し、面発光レーザアレイチップ150に荷重を加えた後、200℃の温度で、接着剤130を加熱し硬化させたものである。尚、キュアの際、接着剤130が硬化する温度となる前においては、接着剤130が熱により一時的に軟化するため、接着剤130に含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分131は、グランド電極423及び周辺領域426の表面をより移動しやすくなる。
この状態では、面発光レーザアレイチップ150の側面150aには、面発光レーザアレイチップ150に荷重を加えた際に、はみ出した接着剤130が付着しており、接着剤130に含まれるAgフィラーは、図1に示す状態と殆ど変わらない状態で留まっている。また、接着剤130に含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分131は、面発光レーザアレイチップ150の側面150aの一部には濡れ広がるものの、表面エネルギーの高い周辺領域426の表面に、より多く濡れ広がる。即ち、周辺領域426は、面発光レーザアレイチップ150の側面150aよりも表面エネルギーが高いため、接着剤130に含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分131は、周辺領域426の表面により多く濡れ広がる。
また、本実施の形態においては、略正方形、又は、略長方形状に形成されたグランド電極423の角と、円形の開口部を有する周辺領域426との間は狭くなっているため、面発光レーザアレイチップ150に荷重を加えることによりはみ出した接着剤130の多くは、グランド電極423の角の部分より、周辺領域426に広がりやすくなる。
本実施の形態では、面発光レーザアレイチップ150をグランド電極323に接着するために必要な量の接着剤130をグランド電極423上に残し、面発光レーザアレイチップ150をグランド電極423上に確実に接着することができる。よって、面発光レーザアレイチップ150の側面150aにおいて、接着剤130に含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分131の濡れ広がりを抑制することができ、接着剤130に含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分131が、面発光レーザアレイチップ150の上面150bにまで濡れ広がることを防ぐことができる。このようにして、本実施の形態では、接着剤130に含まれる接着基材となるエポキシ樹脂や溶剤等の有機物成分131が、面発光レーザアレイチップ150の側面150aより上面150bに這い上がることを抑制することができる。
尚、周辺領域426は、金又は金よりも表面エネルギーの高い、鉄、ニッケル、白金等を用いて形成されている。また、周辺領域426の表面エネルギーを高くする方法としては、プラズマ処理以外にも、UVオゾン処理や粗さを制御することにより表面エネルギーを高くする方法等が挙げられる。
これにより、本実施の形態においては、面発光レーザアレイチップ150と電極422とをボンディングワイヤにより確実に接続することができる。即ち、面発光レーザアレイチップ150の上面150bには、不図示の電極端子が設けられているが、本実施の形態においては、有機物成分131は、面発光レーザアレイチップ150の上面150bまでは、殆ど濡れ広がることはない。よって、面発光レーザアレイチップ150の不図示の電極端子とパッケージ420の底面421に形成された電極422とをAu等によるボンディングワイヤにより確実に接続することができる。
従って、本実施の形態では、信頼性の高い面発光レーザモジュールを高い歩留りで得ることができる。
〔第5の実施の形態〕
次に、第5の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1から第4の実施の形態における面発光レーザモジュールを用いたマルチビーム光源装置である。
図13、図14及び図15に基づき本実施の形態におけるマルチビーム光源装置について説明する。本実施の形態におけるマルチビーム光源装置は、第1から第4の実施の形態における面発光レーザモジュール601を構成する面発光レーザアレイからの複数の光ビームはカップリングレンズ602のX、Y、Z方向の配置調整によって、カップリングレンズ602の光軸に直交する面内(YZ平面)において光軸に対して各発光源が対称に配列するように、また、各発光源からのビームが平行光束となるように調整され、出射される。
アパーチャーミラー603は板状に形成され、光源側の面を反射面となし、光軸と直交する面から主走査方向に所定角度、45°だけ傾けられて配備される。中央部には光束径よりも小さい径の開口が設けられ、開口を通過した光束はカップリングレンズ及び、光束分割プリズム708を介し図示していないポリゴンミラーへと向かう。また、開口を通過せず反射された周辺光は収束レンズ604を介して光検知センサ610に導かれて、図示していないポリゴンミラー各面での走査開始後、画像領域に至るまでの時間を利用して、順次点灯して各々のビーム強度を検出し、基準値と比較して各発光源の出力が所定値となるように注入電流をセットする。セットされた注入電流は次の検出時まで保持され、ビーム強度を一定に保つ。尚、光束分割プリズム708は、ハーフミラー面641とミラー面642により構成されている。
光検知センサ610を面発光レーザモジュール601が実装される制御基板606上に実装し、外部ノイズ等による検出信号への影響がないようにしている。制御基板606には上記発光源の発光出力を一定に保持するパワー制御回路や画像情報に応じて発光源を各々変調する駆動回路が形成され、カップリングレンズ602とともに一体的に保持され、マルチビーム光源装置を構成する。
また、本実施の形態におけるマルチビーム光源装置は、カップリングレンズ602を保持するホルダ部材608と、第1から第4の実施の形態における面発光レーザモジュール601を実装した制御基板606を保持するベース部材607とをカップリングレンズ602の光軸に直交する基準面で接合し、ねじ締結することで一体化した構成としている。
ベース部材607とホルダ部材608とは、本実施の形態では、いずれもアルミダイキャストにより形成しているが、略同一の熱膨張係数であれば別材質であってもよい。ベース部材607には上記した面発光レーザモジュール601における面発光レーザアレイからのビーム強度を検出するためのアパーチャーミラー603、収束レンズ604および制御基板606上に実装される光検知センサ610へとビームを折り返すミラー605が配備される。
また、本実施の形態におけるマルチビーム光源装置は、板金で成型された付勢部材609の板ばね部620により制御基板606裏側から押圧するとともに、3点のアンカー部(折り曲げ部)618を制御基板606の穴619に嵌合して制御基板606を図示していない基準面に寄せ組みすることで、ベース部材607に対する面発光レーザモジュール601における面発光レーザアレイの位置決めがなされる。
ベース部材607には、3箇所のスタッド616が形成され、制御基板606に開けた貫通穴617を貫通して、スタッド616に付勢部材609をネジで締結することで、制御基板606を支持する。付勢部材609にて制御基板606を裏側から押圧しており、制御基板606をベース部材607等に直接締結しない構成なので、制御基板606に負荷をかけずに確実に、ベース部材607に面発光レーザモジュール601を構成する面発光レーザアレイを位置決め、支持することができる。尚、付勢部材609は弾性を有する材質であれば、樹脂等で形成しても良く、板ばね部の代わりに、ゴム等の弾性部材を挟み込んでもよい。
また、図15に示されるように、カップリングレンズ602は、ホルダ部材608に形成された円筒面630に、コバ部との隙間に接着剤を充填して固定され、カップリングレンズ602の光軸651に直交する面650と上記面発光レーザモジュール601における面発光レーザアレイの配列面との平行性を合わせるため、当接面648(当接面648はカップリングレンズ602の光軸651に直交する面650と平行になるようあらかじめ設計されている)に面発光レーザモジュール601における面発光レーザアレイの表面側を突き当てて搭載する。こうすることにより、光軸方向の位置が決まり、光ビームの出射方向が当接面648と直交させることができる。
尚、符号611はブラケット部材、614、615は斜面、624は位置決めピン、625はアーム部、626は調節ネジ、627はスプリング、631は位置決め穴、632はネジ、633は補強部材をそれぞれ示す。
また、本実施の形態におけるマルチビーム光源装置は、ブラケット部材611に設けられた嵌合穴634にホルダ部材608の円筒部を挿入し、板ばね612の係止爪629を円筒部溝に係合して、光軸651に直交する面内で回動可能に支持され、後述するポリゴンミラーやfθレンズが支持される不図示のハウジングに固定される。
本実施の形態におけるマルチビーム光源装置では、第1から第4の実施の形態における面発光レーザモジュールを用いているので、低価格で信頼性の高いマルチビーム光を得ることができる。
〔第6の実施の形態〕
次に、第6の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第5の実施の形態におけるマルチビーム光源装置を用いたマルチビーム走査装置及び画像形成装置である。即ち、本実施の形態は、第1から第4の実施の形態における面発光レーザモジュールを用いたマルチビーム走査装置及び画像形成装置である。
図16に基づき本実施の形態におけるマルチビーム走査装置について説明する。このマルチビーム走査装置は、4ステーションを走査する光走査装置であり、マルチビーム光源装置からの4ステーション分に相当する複数の光ビームを、単一のポリゴンミラーで走査し、対向する方向に偏向、走査することで各感光体ドラムを走査するように一体化された光走査ユニットの構成を示す。
4つの感光体ドラム701、702、703、704は転写体の移動方向705に沿って等間隔で配列され、順次異なる色のトナー像を転写し重ね合わせることでカラー画像を形成する。図示するように各感光体ドラムを走査する光走査装置は一体的に構成され、2段に構成されたポリゴンミラー706により各々光ビームを走査する。
マルチビーム光源装置707、709は同一方向に走査する2ステーションに対し各2ずつ配備され、光束分割プリズム708、710を用い、上記ポリゴンミラー706の上下面に対応して上下2段に光ビームを分岐し、各感光体ドラムに交互に各ステーションに対応した画像を形成していく。
マルチビーム光源装置707、709、および結像光学系を構成するfθレンズ、トロイダルレンズは、ポリゴンミラー706の回転軸を含み感光体ドラム軸に平行な対称面に対し対称に配備され、ポリゴンミラー706により、各マルチビーム光源装置からの光ビームは相反する方向に偏向され、各感光体ドラムに導かれる。
従って、各ステーションにおける走査方向は対向する各感光体ドラムで相反する方向となり、記録領域の幅、言いかえれば主走査方向の倍率を合わせ、一方の走査開始端ともう一方の走査終端とが一致するように静電像を書き込んでいく。
尚、液晶偏向素子717及び718では液晶の配列方向に合った偏光成分のみが偏向されるため、発光源の偏光方向は一方向に揃えている。
光束分割プリズム708は、図13に示されるように、ハーフミラー面641とハーフミラー面と平行なミラー面642とを有し、マルチビーム光源装置707からの複数のビーム771は、各々ハーフミラー面で1/2の光量が反射され、残りの1/2は透過して上下に2分岐され、方向を揃えて副走査方向に所定間隔をもって出射される。
液晶偏向素子717は、光束分割プリズム708の出射面の上下に各々配備され、電圧を印可すると、副走査方向に電位分布を生じて液晶の配向が変化し、屈折率分布を発生して光線の方向を傾けることができ、印可電圧に応じて感光体ドラム面上の走査位置を可変できる。
シリンダレンズ713、714は、分岐された各光ビームに対応して2段に設けられ、その一方は光軸を中心に回動調整可能に取り付けられ、各々の焦線が平行となるように調節できるようにしており、副走査方向に6mm間隔に2段に構成されたポリゴンミラー706の各々に入射される。
シリンダレンズ713、714は少なくとも副走査方向に正の曲率を有し、ポリゴンミラー面上で、一旦ビームを収束させることで、後述するトロイダルレンズとにより偏向点と感光体面上とを副走査方向に共役関係とする面倒れ補正光学系をなす。
ポリゴンミラー706は4面で、同一の偏向面により各発光点列からの複数のビームを一括で偏向、走査する。上下のポリゴンミラーの位相は45°ずつずれており、光ビームの走査は上下段で交互に行われる。
結像光学系はfθレンズとトロイダルレンズとからなり、いずれもプラスチック成形によるもので、fθレンズ720は主走査方向にはポリゴンミラー706の回転に伴って感光体面上でビームが等速に移動するようにパワーを持たせた非円弧面形状となし、層状に2段に積み重ねて一体に構成される。
トロイダルレンズを通った走査ビームは各々、走査開始側に配備された光検知センサ738、740、走査終端側に配備された光検知センサ739、741に入射され、光検知センサ738、740の検出信号を基に各々発光源毎の同期検知信号を生成し、書込み開始のタイミングをとる。
一方、走査終端側に配備された光検知センサ739、741の検出信号は、各々走査開始側に配備された光検知センサ738、740からの光ビームの検出時間差を計測し、あらかじめ定められた基準値と比較して、各発光源を変調する画素クロックを可変することで、後述するように、主走査方向の倍率のずれを補正している。
更に、図17もあわせて、副走査断面における光線の経路について説明する。
複数の発光源はカップリングレンズの光軸に対して対称に配置され、カップリングレンズによって平行光束に変換された各光線はマルチビーム光源装置707から出射した後、カップリングレンズの後側焦点の近傍で一旦収束し、主走査方向には光線間隔を広げつつfθレンズ720に入射され、副走査方向にはシリンダレンズ713、714により、ポリゴンミラー偏向面の近傍で再度収束されてfθレンズ720に入射される。
また、上記したように、マルチビーム光源装置707からの複数の光ビームは光束分割プリズム708によって副走査方向上下に2分岐され、各ステーションに対応する感光体ドラムに導かれる。
光束分割プリズム708の下段から出射した複数の発光源からのビーム771は、シリンダレンズ713を介してポリゴンミラー706の下段で偏向、走査され、fθレンズ720の下段を通って折返しミラー729によりトロイダルレンズ723に入射され、折返しミラー730を介して感光体ドラム701上にスポット状に結像し、第1の画像形成ステーションとしてイエロー色の画像情報に対応した潜像を形成する。
光束分割プリズム708の上段から出射した複数の発光源からのビーム772は、シリンダレンズ714を介しポリゴンミラー706の上段で偏向、走査され、fθレンズ720の上段を通って折返しミラー727によりトロイダルレンズ724に入射され、折返しミラー728を介して感光体ドラム702上にスポット状に結像し、第2の画像形成ステーションとしてマゼンタ色の画像情報に対応した潜像を形成する。
同様に、対向するステーションにおいても、マルチビーム光源装置709からの複数の光ビームは、光束分割プリズム710によって上下に2分岐され、液晶偏向素子718を介し各ステーションに対応する感光体ドラムに導かれる。
光束分割プリズム710の下段から出射した複数の発光源からのビーム773は、シリンダレンズ715を介してポリゴンミラー706の下段で偏向、走査され、fθレンズ721の下段を通って折返しミラー732によりトロイダルレンズ726に入射され、折返しミラー733を介して感光体ドラム704上にスポット状に結像し、第4の画像形成ステーションとしてブラック色の画像情報に対応した潜像を形成し、光束分割プリズム710の上段から出射した複数の発光源からのビーム774は、シリンダレンズ716を介してポリゴンミラー706の上段で偏向、走査され、fθレンズ721の上段を通って折返しミラー735によりトロイダルレンズ725に入射され、折返しミラー736を介して感光体ドラム703上にスポット状に結像し、第3の画像形成ステーションとしてシアン色の画像情報に対応した潜像を形成する。
尚、本実施の形態では、トナー像の検出パターンの検出手段を有している。トナー像の検出パターンの検出手段は、照明用のLED素子754と反射光を受光するフォトセンサ755、および一対の集光レンズ756とからなり、主走査ラインと約45°傾けたラインパターンを形成し、転写ベルトの移動に応じて検出時間差を読み取っていく。本実施の形態では、本実施例では中央部と左右両端部との3ヶ所に配備することで、左右両端部の差により傾きを、中央から左右端部までの各倍率を検出し、基準となるステーションに合わせ込むように補正する。言い換えれば、長時間ビームスポット位置が安定的に保持されていることが好ましい。
本実施の形態では、第1から第4の実施の形態における面発光レーザモジュールを用いているため、信頼性が高く結像位置を感光体面上に精度良く調整でき、高精度信頼性の高い潜像を得ることができる。
次に、図18に基づき、本実施の形態における画像形成装置について説明する。
本実施の形態における画像形成装置は、感光体ドラム801の周囲には感光体を高圧に帯電する帯電チャージャ802、本実施の形態における光走査装置800により記録された静電潜像に帯電したトナーを付着して顕像化する現像ローラ803、現像ローラにトナーを補給するトナーカートリッジ804、ドラムに残ったトナーを掻き取り備蓄するクリーニングケース805が配置される。感光体ドラムへは上記したようにポリゴンミラー1面毎の走査により複数ライン、実施例では4ライン同時に画像記録が行われる。
上述した画像形成ステーションは転写ベルト806の移動方向に並列され、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー画像が転写ベルト上にタイミングを合わせて順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。
各画像形成ステーションはトナー色が異なるだけで、基本的には同一構成である。
一方、記録紙は給紙トレイ807から給紙コロ808により供給され、レジストローラ対809により副走査方向の記録開始のタイミングに合わせて送りだされ、転写ベルトよりカラー画像が転写されて、定着ローラ810で定着して排紙ローラ812により排紙トレイ811に排出される。
本実施の形態における画像形成装置は、第1から第4の実施の形態におけるいずれかの面発光レーザモジュールを用いているため、結像位置を感光体面上に精度良く調整でき、高精度で信頼性の高い画像を得ることができる。
以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。